IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機特機システム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-収納ラックおよび個別ラック 図1
  • 特許-収納ラックおよび個別ラック 図2
  • 特許-収納ラックおよび個別ラック 図3
  • 特許-収納ラックおよび個別ラック 図4
  • 特許-収納ラックおよび個別ラック 図5
  • 特許-収納ラックおよび個別ラック 図6
  • 特許-収納ラックおよび個別ラック 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】収納ラックおよび個別ラック
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/18 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
H05K7/18 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020193666
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2022082227
(43)【公開日】2022-06-01
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】394025094
【氏名又は名称】三菱電機ディフェンス&スペーステクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅本 諭史
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 実行
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-173185(JP,A)
【文献】特開2013-207781(JP,A)
【文献】実開平04-048688(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0208420(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14,7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ラックと、
前記第1ラックと並べられる第2ラックと、
を備え、
前記第1ラックは、テーパーを成す側部と雄ネジが通る孔である連結孔とをそれぞれに有して外側に突き出た1つ以上の凸部が設けられ前記第1ラックの一つの面を構成する凸部板を備え、
前記第2ラックは、テーパーを成す側部と雄ネジが通る孔である連結孔とをそれぞれに有して内側にへこんだ1つ以上の凹部が前記1つ以上の凸部と対応する位置に設けられ前記第2ラックの一つの面を構成する凹部板を備え、
前記第1ラックと前記第2ラックが前記凸部板と前記凹部板を対面させて並べられ、前記1つ以上の凸部と前記1つ以上の凹部が嵌り合って1つ以上の雄ネジと1つ以上の雌ネジとを用いて固定される
収納ラック。
【請求項2】
前記第1ラックと前記第2ラックとのそれぞれが、直方体のラックであり、
前記1つ以上の凸部である4つの凸部が、前記凸部板の四隅に設けられ、
前記1つ以上の凹部である4つの凹部が、前記凹部板の四隅に設けられた
請求項1に記載の収納ラック。
【請求項3】
前記第1ラックが、上側に配置される上側ラックであり、
前記凸部板が、前記上側ラックの底面を構成する底面板であり、
前記第2ラックが、下側に配置される下側ラックであり、
前記凹部板が、前記下側ラックの上面を構成する上面板である
請求項1に記載の収納ラック。
【請求項4】
前記上側ラックは、アイボルトがそれぞれに取り付けられる1つ以上の取付孔が設けられ前記凸部板と対向して前記上側ラックの上面を構成する上面板を備え、
前記1つ以上の凸部が、前記1つ以上の取付孔と対向する位置に設けられた
請求項に記載の収納ラック。
【請求項5】
前記第1ラックと前記第2ラックとのそれぞれが、直方体状のラックであり、
前記1つ以上の取付孔である4つの取付孔が、前記上側ラックの前記上面板の四隅に設けられ、
前記1つ以上の凸部である4つの凸部が、前記上側ラックの前記底面板の四隅において前記4つの取付孔と対向する位置に設けられ、
前記1つ以上の凹部である4つの凹部が、前記下側ラックの前記上面板の四隅において前記4つの取付孔と対応する位置に設けられた
請求項に記載の収納ラック。
【請求項6】
前記4つの取付孔のうちの2つ以上の取付孔が、前記第1ラックが運搬されるときにハンドルを取り付けるために使用され、
前記4つの凹部のうちの2つ以上の凹部が、前記第2ラックが前記第1ラックと分けて運搬されるときに前記ハンドルと同じ種類のハンドルを取り付けるために使用される
請求項に記載の収納ラック。
【請求項7】
別のラックと並べられる個別ラックであり、
前記個別ラックは、テーパーを成す側部と雄ネジが通る孔である連結孔とをそれぞれに有して外側に突き出た1つ以上の凸部が設けられ前記個別ラックの一つの面を構成する凸部板を備え、
前記別のラックは、テーパーを成す側部と雄ネジが通る孔である連結孔とをそれぞれに有して内側にへこんだ1つ以上の凹部が前記1つ以上の凸部と対応する位置に設けられ前記別のラックの一つの面を構成する凹部板を備え、
前記個別ラックと前記別のラックが前記凸部板と前記凹部板を対面させて並べられ、前記1つ以上の凸部と前記1つ以上の凹部が嵌り合って1つ以上の雄ネジと1つ以上の雌ネジとを用いて固定される
個別ラック。
【請求項8】
別のラックと並べられる個別ラックであり、
前記別のラックは、テーパーを成す側部と雄ネジが通る孔である連結孔とをそれぞれに有して前記別のラックの外側に突き出た1つ以上の凸部が設けられ前記別のラックの一つの面を構成する凸部板を備え、
前記個別ラックは、テーパーを成す側部と雄ネジが通る孔である連結孔とをそれぞれに有して前記個別ラックの内側にへこんだ1つ以上の凹部が前記1つ以上の凸部と対応する位置に設けられ前記個別ラックの一つの面を構成する凹部板を備え、
前記別のラックと前記個別ラックが前記凸部板と前記凹部板を対面させて並べられ、前記1つ以上の凸部と前記1つ以上の凹部が嵌り合って1つ以上の雄ネジと1つ以上の雌ネジとを用いて固定される
個別ラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の個別ラックを連結して構成される収納ラックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
船のハッチのような狭い入口から特定の大きさを有する収納ラックを搬入するためには、例えば、収納ラックを上下に分割した状態で搬入し、搬入後に上側ラックと下側ラックを連結する必要がある。
2つのラックを連結させるために、次のような方法が考えられる。まず、下側ラックの上に上側ラックを置く。次に、上側ラックの側面が下側ラックの側面とずれないように上側ラックの位置を調整する。次に、上側ラックの側面と下側ラックの側面とのそれぞれの特定の箇所にプレートを取り付ける。そして、上側ラックのプレートと下側ラックのプレートとが連結されるように別のプレートを上側ラックのプレートと下側ラックのプレートにボルトで固定する。
しかし、このような方法は、上側ラックと下側ラックとの位置決めが不確実であり、連結作業が煩雑である。
【0003】
特許文献1は、2つのキャビネットを横方向に連結させるための構造を開示している。この構造には、取付板部と連結板部とを有してL字形状を成す連結金具が用いられる。具体的には、2つのキャビネットのそれぞれのフレームの特定の箇所に連結金具の取付板部が固定され、2つの連結金具の連結板部同士が対面するように2つのキャビネットが位置決めされ、2つの連結金具の連結板部同士が固定される。
この構造では、耐振動性および耐衝撃性を確保するために多数の連結金具が必要となる。また、2つのキャビネットを位置決めするための各連結金具の位置決めが不確実であり、連結作業が煩雑である。また、L字形状の連結金具がキャビネットのフレームに外付けされるため、余分なスペースが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-78266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、2つのラックの位置決めを確実にし、省スペースでかつ強固な連結を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の収納ラックは、
第1ラックと、
前記第1ラックと並べられる第2ラックと、
を備える。
前記第1ラックは、外側に突き出た1つ以上の凸部が設けられ前記第1ラックの一つの面を構成する凸部板を備え、
前記第2ラックは、内側にへこんだ1つ以上の凹部が前記1つ以上の凸部と対応する位置に設けられ前記第2ラックの一つの面を構成する凹部板を備え、
前記第1ラックと前記第2ラックが前記凸部板と前記凹部板を対面させて並べられ、前記1つ以上の凸部と前記1つ以上の凹部が嵌り合う。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、第1ラックの凸部を第2ラックの凹部に嵌め合わせて2つのラックの位置決めを確実にすることができ、さらに省スペースで強固な連結を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1における収納ラック100の正面図。
図2】実施の形態1における収納ラック100の分解斜視図。
図3】実施の形態1における収納ラック100の破断斜視図。
図4】実施の形態1における接続部130と接続部140の断面図。
図5】実施の形態1における連結時の接続部130を示す図。
図6】実施の形態1における連結時の接続部130と接続部140の断面図。
図7】実施の形態1におけるハンドル取り付け時の上側ラック110の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
収納ラック100について、図1から図7に基づいて説明する。
収納ラック100は、例えば、各種の電子機器を収納するためのラックである。
【0010】
***構成の説明***
図1は、収納ラック100の正面図である。
収納ラック100は、互いに上下に並べられる個別の2つのラックを備える。
上側に配置されるラックを上側ラック110と称し、下側に配置されるラックを下側ラック120と称する。
【0011】
図2は、収納ラック100の分解斜視図であり、上側ラック110と下側ラック120とが分離され上側ラック110からフロントカバー119が外された状態を示している。
上側ラック110と下側ラック120とのそれぞれは、直方体の形状を成している。
【0012】
上側ラック110と下側ラック120とのそれぞれにおいて、上面を構成する板状の部材を上面板と称し、底面を構成する板状の部材を底面板と称し、側面を構成する板状の部材を側面板と称する。特に、前面を構成する側面板を前面板またはフロントカバーと称し、背面を構成する側面板を背面板と称する。
【0013】
底面板111は、上側ラック110の底面を構成する。底面板111(凸部板の一例)には、後述するように、外側に突き出た1つ以上の凸部が設けられている。
上面板121は、下側ラック120の上面を構成する。上面板121(凹部板の一例)には、後述するように、内側にへこんだ1つ以上の凹部が1つ以上の凸部と対応する位置に設けられている。
上側ラック110と下側ラック120は、底面板111と上面板121を対面させて上下に並べられる。そして、底面板111の1つ以上の凸部と上面板121の1つ以上の凹部が嵌り合う。
【0014】
上側ラック110には背面防振ユニット101が取り付けられる。背面防振ユニット101は、上側ラック110の背面板の上部に取り付けられる防振用のユニットである。
下側ラック120には底面防振ユニット102が取り付けられる。底面防振ユニット102は、下側ラック120の底面板に取り付けられる防振用のユニットである。
【0015】
上側ラック110において、底面板111と対向する上面板112には1つ以上の取付孔が設けられ、各取付孔にはアイボルト103が取り付けられる。
具体的には、上側ラック110の上面板112の四隅に取付孔が設けられアイボルト103が取り付けられる。
【0016】
図3は、収納ラック100の破断斜視図であり、上側ラック110の内部を示している。
上側ラック110の底面板111には、1つ以上の接続部130が設けられる。具体的には、底面板111の四隅において、上面板112のアイボルト103用の取付孔と対向する位置に接続部130が設けられる。
接続部130は、下側ラック120と接続される部分または部品である。
【0017】
下側ラック120の上面板121には、1つ以上の接続部140が設けられる。1つ以上の接続部140は、1つ以上の接続部130と対応する位置に設けられる。具体的には、上面板121の四隅において、上側ラック110のアイボルト103用の取付孔と対応する位置に接続部140が設けられる。
接続部140は、上側ラック110と接続される部分または部品である。
【0018】
上側ラック110と下側ラック120は、1つ以上のボルト104を用いて連結される。具体的には、底面板111と上面板121との四隅の接続部(130、140)がボルト104で固定される。
ボルト104は、雄ネジの一種である。
【0019】
図4は、接続部130と接続部140とを示す断面図である。
接続部130には、ホルダ131が設けられる。
ホルダ131は、上側ラック110の外側に突き出た「凸部」を形成する。凸部の平面の形状は円形であり、凸部は全体として略円筒形状を成す。
【0020】
ホルダ131は、上下に貫通する連結孔132を有する。
連結孔132は、ボルト104が通る孔である。
【0021】
ホルダ131は、テーパーを成す側部133を有する。
側部133は、上方に向かうほど広くなっていて下方に向かうほど狭くなっている。
【0022】
接続部140には、ホルダ141が設けられる。
ホルダ141は、下側ラック120の内側にへこんだ「凹部」を形成する。凹部の平面の形状は円形であり、凹部は全体として略円筒形状を成す。
【0023】
ホルダ141は、上下に貫通する連結孔142を有する。
連結孔142は、ボルト104が通る孔である。
【0024】
ホルダ141は、テーパーを成す側部143を有する。
側部143は、上方に向かうほど広くなっていて下方に向かうほど狭くなっている。
【0025】
ホルダ131の凸部の大きさ及び形状は、ホルダ141の凹部の大きさ及び形状と同等である。
【0026】
図5は、収納ラック100の部分拡大斜視図であり、上側ラック110と下側ラック120が連結された状態の接続部130を示している。
図6は、上側ラック110と下側ラック120が連結された状態の接続部130と接続部140とを示す断面図である。
接続部130と接続部140は、ボルト104とナット105とを用いて固定される。
ナット105は、雌ネジの一種である。
【0027】
図7は、ハンドル106が取り付けられた上側ラック110の斜視図である。ハンドル106は運搬用の取っ手である。
上側ラック110を運搬する場合、上面板112の取付孔は、アイボルト103の代わりにハンドル106を取り付けるために使用される。
具体的には、運搬者は、前側の2つの取付孔と後ろ側の2つの取付孔とのそれぞれにハンドル106を取り付け、取り付けたハンドル106を持って上側ラック110を運搬する。
【0028】
下側ラック120は、上側ラック110と分けて上側ラック110と同様に運搬される。
下側ラック120を運搬する場合、上面板121のホルダ141は、ハンドル106と同じ種類のハンドルを取り付けるために使用される。
具体的には、運搬者は、前側の2つのホルダ141と後ろ側の2つのホルダ141とのそれぞれにハンドル106と同じ大きさおよび形状を有するハンドルを取り付け、取り付けたハンドルを持って下側ラック120を運搬する。
【0029】
***実施例の説明***
収納ラック100は以下のような形態であってもよい。
上側ラック110の底面板111に凸部の代わりに凹部を設け、下側ラック120の上面板121に凹部の代わりに凸部を設けてもよい。
2つのラック(110、120)は、上下ではなく左右に並べて連結されてもよい。
凸部と凹部とのそれぞれの平面の形状は、円形ではなく、四角形または他の形状であってもよい。
【0030】
上側ラック110と下側ラック120との間に隙間を設けて、底面板111のネジの頭部が上面板121に当たらないように、また、上面板121のネジの頭部が底面板111に当たらないようにしてもよい。具体的には、凸部の高さを凹部の深さよりも高くして、隙間を設けてもよい。
【0031】
上記実施の形態では、接続部130に設けたホルダ131の連結孔132と接続部140に設けたホルダ141の連結孔142にボルト104を貫通し、これにナット105を締結する構成を示した。
但し、ホルダ141に雌ネジを形成し、これにボルト104を締結する構成であってもよく同様の効果を奏する。
【0032】
***実施の形態1の効果***
収納ラック100は上側ラック110と下側ラック120とに分割できる。そのため、上側ラック110と下側ラック120とを別々に搬入し、搬入後に上側ラック110と下側ラック120とを連結させて収納ラック100を組み立てることができる。これにより、船のハッチのような狭い入口からでも収納ラック100を搬入することができる。また、上側ラック110と下側ラック120とを分割して搬出することもできるため、収納ラック100の搬出および入れ替えも可能である。
上側ラック110の底面板111には凸部(ホルダ131)があり、下側ラック120の上面板121には凹部(ホルダ141)がある。そのため、上側ラック110を下側ラック120の上に置いた際に凸部を凹部に嵌め合わせれば、上側ラック110が下側ラック120に対して位置決めされる。また、凸部の側部133と凹部の側部143とのそれぞれにテーパーが形成されているため、凸部を凹部に嵌め合わせることが容易である。これにより、上側ラック110と下側ラック120との位置決めが容易であり確実となる。
さらに、凸部と凹部とのそれぞれにボルト104を通すための連結孔(132、142)がある。そのため、ボルト104とナット105とを用いて凸部と凹部とを固定することができる。これにより、上側ラック110と下側ラック120との連結作業が容易となる。また、位置決めと連結との両方が上側ラック110の一部である凸部と下側ラック120の一部である凹部とを利用して行うことができるため、収納ラック100の省スペース化が実現される。
下側ラック120の上面板121において、複数の凹部は、上側ラック110の上面板112に設けられるアイボルト103用の複数の取付孔と対応する位置に設けられる。そのため、上側ラック110の2つ以上の取付孔と下側ラック120の2つ以上の凹部とのそれぞれに同じハンドル106を取り付けることが可能である。これにより、同じハンドル106を使って上側ラック110と下側ラック120とのそれぞれを搬入または搬出することができる。
【0033】
***実施の形態1の補足***
実施の形態1は、好ましい形態の例示であり、本開示の技術的範囲を制限することを意図するものではない。実施の形態1は、部分的に実施してもよいし、他の形態と組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0034】
100 収納ラック、101 背面防振ユニット、102 底面防振ユニット、103 アイボルト、104 ボルト、105 ナット、106 ハンドル、110 上側ラック、111 底面板、112 上面板、119 フロントカバー、120 下側ラック、121 上面板、130 接続部、131 ホルダ、132 連結孔、133 側部、140 接続部、141 ホルダ、142 連結孔、143 側部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7