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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】サトウキビ収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 45/10 20060101AFI20240507BHJP
   A01D 67/00 20060101ALI20240507BHJP
   A01D 69/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A01D45/10
A01D67/00 G
A01D69/00 303
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020215615
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022101181
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】奥 貴雅
(72)【発明者】
【氏名】西尾 達也
(72)【発明者】
【氏名】串田 吉広
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 雅行
(72)【発明者】
【氏名】籔中 歩荷
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-099316(JP,A)
【文献】特開2005-245359(JP,A)
【文献】特開2012-090597(JP,A)
【文献】特開昭59-028414(JP,A)
【文献】国際公開第2014/167878(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0337232(US,A1)
【文献】国際公開第2017/094587(WO,A1)
【文献】特開2017-099315(JP,A)
【文献】特開2017-100523(JP,A)
【文献】特開2019-180316(JP,A)
【文献】特開昭58-190308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 45/10
A01D 67/00
A01D 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の作物を刈り取って機体の後方に向けて搬送する刈取搬送装置と、
前記刈取搬送装置の後部に接続され、前記刈取搬送装置によって搬送された作物から屑を分離する分離装置と、
前記分離装置の下方箇所から上方に向けて延出され、前記分離装置により屑が分離された作物を搬送するコンベアと、
前記刈取搬送装置の上方に設けられ、運転座席と前記運転座席の左右方向の側方に設けられたサイドパネルとを有する運転部とが備えられ、
人為的に操作されることにより前記刈取搬送装置を操作可能な刈取搬送装置操作具と、人為的に操作されることにより前記コンベアを操作可能なコンベア操作具と、人為的に操作されることにより前記刈取搬送装置操作具及び前記コンベア操作具の作動を許容及び禁止可能な主操作具とが、前記サイドパネルの操作面の前部に形成された前部領域に備えられ、
前記主操作具と前記刈取搬送装置操作具と前記コンベア操作具とが、平面視で前記運転座席に対して横外側ほど後側に位置する第1仮想傾斜線に沿って横並び状態で配置されているサトウキビ収穫機。
【請求項2】
走行用の変速装置が備えられ、
人為的に操作されることにより前記変速装置を操作可能な変速レバーが、前記サイドパネルの操作面において、前記前部領域に対して前記運転座席の側に隣接する領域に備えられ、
前記主操作具と、前記刈取搬送装置操作具及び前記コンベア操作具とは、操作形態が互いに異なるように構成され、
前記変速レバーと、前記主操作具と、前記刈取搬送装置操作具及び前記コンベア操作具とが、この順序で左右方向に沿った横並び状態で配置されている請求項1に記載のサトウキビ収穫機。
【請求項3】
前記主操作具と前記刈取搬送装置操作具と前記コンベア操作具のうちの少なくとも一つが、平面視で前記第1仮想傾斜線と直交する第2仮想傾斜線に沿って操作される操作形態に構成されている請求項2に記載のサトウキビ収穫機。
【請求項4】
前記変速レバーの後方に配置され且つ前記サイドパネルの操作面よりも高い位置に配置されたアームレストが備えられ、
人為的に操作される調節具が、前記サイドパネルの操作面において、前記前部領域に対して後側で且つ前記アームレストに対して前記運転座席の反対側の領域に備えられている請求項2又は3に記載のサトウキビ収穫機。
【請求項5】
前記主操作具と前記刈取搬送装置操作具と前記コンベア操作具とは異なるもので、人為的に操作される別操作具が、前記サイドパネルの操作面における前記前部領域に対して後側の領域に備えられ、
前記別操作具が、平面視で前記運転座席に対して横外側ほど前側に位置する仮想線に沿って操作される操作形態に構成されている請求項1~4のうちのいずれか一項に記載のサトウキビ収穫機。
【請求項6】
走行用の変速装置が備えられ、
人為的に操作されることにより前記変速装置を操作可能な変速レバーが、前記サイドパネルの操作面において、前記前部領域に対して前記運転座席の側に隣接する領域に備えられ、
人為的に操作される複数の操作具が、前記変速レバーの握り部における前記運転座席に向く部分に備えられ、
人為的に操作されることによりホーンを操作可能なホーン操作具が、前記変速レバーの握り部において、前記操作具よりも低い部分で且つ前記運転座席の反対側に向く部分に備えられている請求項1~5のうちのいずれか一項に記載のサトウキビ収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場のサトウキビを収穫するサトウキビ収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
サトウキビ収穫機としては、特許文献1に開示されているように、刈取搬送装置、分離装置及びコンベアが設けられ、刈取搬送装置の上方に運転部が設けられたものがある。
機体の進行に伴って、圃場の作物が刈取搬送装置により刈り取られて搬送され、分離装置において作物から屑が分離されるのであり、屑が取り除かれた作物がコンベアにより搬送されて、サトウキビ収穫機に伴走する運搬車に、コンベアから作物が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-5715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サトウキビ収穫機では、走行しながら作物を刈り取るので、刈取搬送装置等の操作性の向上が要望されている。
本発明は、サトウキビ収穫機において、刈取搬送装置等の操作性の向上を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のサトウキビ収穫機は、圃場の作物を刈り取って機体の後方に向けて搬送する刈取搬送装置と、前記刈取搬送装置の後部に接続され、前記刈取搬送装置によって搬送された作物から屑を分離する分離装置と、前記分離装置の下方箇所から上方に向けて延出され、前記分離装置により屑が分離された作物を搬送するコンベアと、前記刈取搬送装置の上方に設けられ、運転座席と前記運転座席の左右方向の側方に設けられたサイドパネルとを有する運転部とが備えられ、人為的に操作されることにより前記刈取搬送装置を操作可能な刈取搬送装置操作具と、人為的に操作されることにより前記コンベアを操作可能なコンベア操作具と、人為的に操作されることにより前記刈取搬送装置操作具及び前記コンベア操作具の作動を許容及び禁止可能な主操作具とが、前記サイドパネルの操作面の前部に形成された前部領域に備えられ、前記主操作具と前記刈取搬送装置操作具と前記コンベア操作具とが、平面視で前記運転座席に対して横外側ほど後側に位置する第1仮想傾斜線に沿って横並び状態で配置されている。
【0006】
サトウキビ収穫機では、操縦ハンドル等による機体の操向操作や変速レバー等による機体の走行速度の操作とは別に、刈取搬送装置及びコンベアの操作頻度が高いものとなっている。同様に、刈取搬送装置操作具及びコンベア操作具の作動を許容及び禁止可能な主操作具の操作頻度も高いものとなっている。
【0007】
運転部において、イドパネルが運転座席の左右方向の側方に設けられた状態で、運転座席に着座する作業者が、右腕(左腕)を前方に延ばした自然な姿勢をとると、作業者の右手(左手)が、サイドパネルの操作面の前部付近に位置することが多い。
【0008】
本発明によると、刈取搬送装置を操作可能な刈取搬送装置操作具と、コンベアを操作可能なコンベア操作具と、刈取搬送装置操作具及びコンベア操作具の作動を許容及び禁止可能な主操作具とが、サイドパネルの操作面の前部に形成された前部領域に備えられる。
これによって、運転座席に着座する作業者が自然な姿勢をとると、作業者の右手(左手)の近くに、主操作具、刈取搬送装置操作具及びコンベア操作具が位置することになるので、作業者は右手(左手)により、主操作具、刈取搬送装置操作具及びコンベア操作具を無理なく操作することができて、操作性が向上する。
【0009】
本発明において、走行用の変速装置が備えられ、人為的に操作されることにより前記変速装置を操作可能な変速レバーが、前記サイドパネルの操作面において、前記前部領域に対して前記運転座席の側に隣接する領域に備えられ、前記主操作具と、前記刈取搬送装置操作具及び前記コンベア操作具とは、操作形態が互いに異なるように構成され、前記変速レバーと、前記主操作具と、前記刈取搬送装置操作具及び前記コンベア操作具とが、この順序で左右方向に沿った横並び状態で配置されていると好適である。
【0010】
サトウキビ収穫機では、変速レバーによる機体の走行速度の操作頻度が高いものとなっている。
本発明によると、走行用の変速装置を操作可能な変速レバーが、サイドパネルの操作面において、前部領域に対して運転座席の側に隣接する領域に備えられているので、運転座席に着座する作業者が自然な姿勢をとると、作業者の右手(左手)の近くに、変速レバーが位置することになり、作業者は右手(左手)により変速レバーを無理なく操作することができて、操作性が向上する。
【0011】
運転座席に着座する作業者が、変速レバーを持った状態から右手(左手)を少し外側に移動させることにより、作業者は右手(左手)により、主操作具、刈取搬送装置操作具及びコンベア操作具を無理なく操作することができるので、操作性が向上する。
【0012】
本発明によると、主操作具と、刈取搬送装置操作具及びコンベア操作具とは、操作形態が互いに異なるように構成されている。主操作具が、刈取搬送装置操作具及びコンベア操作具よりも変速レバーに近い位置に配置されており、刈取搬送装置操作具及びコンベア操作具が、主操作具よりも変速レバーから少し離れた位置に配置されている。
これにより、運転座席に着座する作業者が、右手(左手)を変速レバーから少し外側に移動させた場合、主操作具と、刈取搬送装置操作具及びコンベア操作具とを無理なく判別することができるので、操作性が向上する。
【0013】
本発明において、前記主操作具と前記刈取搬送装置操作具と前記コンベア操作具のうちの少なくとも一つが、平面視で前記第1仮想傾斜線と直交する第2仮想傾斜線に沿って操作される操作形態に構成されていると好適である。
【0016】
本発明によると、主操作具と刈取搬送装置操作具とコンベア操作具のうちの少なくとも一つが、平面視で第1仮想傾斜線と直交する第2仮想傾斜線に沿って操作される操作形態に構成されている。
これにより、運転座席に着座する作業者が、変速レバーを持った状態から、前述のように右手(左手)を少し外側に移動させた場合、主操作具と刈取搬送装置操作具とコンベア操作具のうちの少なくとも一つの操作が、作業者の右手(左手)の延びる方向に沿うことになるので、主操作具と刈取搬送装置操作具とコンベア操作具のうちの少なくとも一つの操作性が向上する。
【0017】
本発明において、前記変速レバーの後方に配置され且つ前記サイドパネルの操作面よりも高い位置に配置されたアームレストが備えられ、人為的に操作される調節具が、前記サイドパネルの操作面において、前記前部領域に対して後側で且つ前記アームレストに対して前記運転座席の反対側の領域に備えられていると好適である。
【0018】
本発明によると、アームレストが、変速レバーの後方でサイドパネルの操作面よりも高い位置に配置されており、運転座席に着座する作業者にとって、右手(左手)をアームレストに乗せ易い状態となっている。
【0019】
サトウキビ収穫機では、各種の調節を行う為の調節具が備えられることがあり、調節具の操作頻度は、主操作具、刈取搬送装置操作具及びコンベア操作具の操作頻度に比べて低い。
【0020】
本発明によると、調節具が、サイドパネルの操作面において、前部領域に対して後側で且つアームレストに対して運転座席の反対側の領域に備えられているので、運転座席に着座する作業者にとって、調節具がアームレストに隠れたような状態となっている。
これにより、サイドパネルの操作面において、操作頻度が低い調節具が、前述のような領域に備えられることにより、操作頻度の高い主操作具、刈取搬送装置操作具及びコンベア操作具を、前部領域に無理なく配置することができる。
【0021】
本発明において、前記主操作具と前記刈取搬送装置操作具と前記コンベア操作具とは異なるもので、人為的に操作される別操作具が、前記サイドパネルの操作面における前記前部領域に対して後側の領域に備えられ、前記別操作具が、平面視で前記運転座席に対して横外側ほど前側に位置する仮想線に沿って操作される操作形態に構成されていると好適である。
【0022】
本発明によると、主操作具、刈取搬送装置操作具及びコンベア操作具とは異なる別操作具をサイドパネルの操作面に備える場合、別操作具が、サイドパネルの前部領域に対して後側の領域に備えられている。
【0023】
運転座席に着座する作業者が自然な姿勢をとった場合、平面視で、作業者の身体を中心として右手(左手)が斜め側方(放射状)に延びることがある。
本発明によると、平面視で運転座席に対して横外側ほど前側に位置する仮想線が想定されており、別操作具が仮想線に沿って操作される操作形態に構成されている。
これにより、運転座席に着座する作業者が自然な姿勢をとった場合に、別操作具の操作が作業者の右手(左手)の延びる方向に沿うことになるので、別操作具の操作性が向上する。
【0024】
本発明において、走行用の変速装置が備えられ、人為的に操作されることにより前記変速装置を操作可能な変速レバーが、前記サイドパネルの操作面において、前記前部領域に対して前記運転座席の側に隣接する領域に備えられ、人為的に操作される複数の操作具が、前記変速レバーの握り部における前記運転座席に向く部分に備えられ、人為的に操作されることによりホーンを操作可能なホーン操作具が、前記変速レバーの握り部において、前記操作具よりも低い部分で且つ前記運転座席の反対側に向く部分に備えられていると好適である。
【0025】
サトウキビ収穫機では、変速レバーによる機体の走行速度の操作頻度が高いものとなっている。
本発明によると、走行用の変速装置を操作可能な変速レバーが、サイドパネルの操作面において、前部領域に対して運転座席の側に隣接する領域に備えられているので、運転座席に着座する作業者が自然な姿勢をとると、作業者の右手(左手)の近くに、変速レバーが位置することになり、作業者は右手(左手)により変速レバーを無理なく操作することができて、操作性が向上する。
【0026】
本発明によると、複数の操作具が変速レバーの握り部における運転座席に向く部分に備えられているので、運転座席に着座する作業者は、変速レバーの握り部を持った右手(左手)により複数の操作具を操作することができる点、並びに、運転座席に着座する作業者にとって、変速レバーの握り部の複数の操作具を目視することが容易に行える点により、操作性が向上する。
【0027】
本発明によると、人為的に操作されることによりホーンを操作可能なホーン操作具が、変速レバーの握り部において、複数の操作具よりも低い部分で、運転座席の反対側に向く部分に備えられている。
【0028】
本発明によると、複数の操作具が変速レバーの握り部における運転座席に向く部分に備えられた状態において、ホーン操作具が操作具よりも低い部分に備えられている点、並びに、ホーン操作具が操作具の反対側に備えられている点により、変速レバーの握り部を持つ作業者にとって、変速レバーの握り部に備えられた操作具とホーン操作具とが区別し易くなるのであり、操作具及びホーン操作具の誤操作が抑えられて、操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】サトウキビ収穫機の左側面図である。
図2】サトウキビ収穫機の平面図である。
図3】運転部の横断平面図である。
図4】サイドパネルの付近の背面図である。
図5】サイドパネルの付近の正面図である。
図6】サイドパネルの付近の平面図である。
図7】サイドパネル及び運転座席の付近の平面図である。
図8】旋回ペダル及び規制状態のロック具の付近の縦断左側面図である。
図9】旋回ペダル及び規制状態のロック具の付近の背面図である。
図10】旋回ペダル及び規制状態のロック具の付近の平面図である。
図11】旋回ペダル及び非規制状態のロック具の付近の背面図である。
図12】右に踏み操作された旋回ペダル及び非規制状態のロック具の付近の背面図である。
図13】左に踏み操作された旋回ペダル及び非規制状態のロック具の付近の背面図である。
図14】制御装置と刈取部、搬送装置、分離装置及びコンベアとの関係を示す概略図である。
図15】制御装置と運転部、エンジン、静油圧式無段変速装置、副変速装置及び前輪との関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1図15にサトウキビ収穫機が示されており、図1図15において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0031】
(サトウキビ収穫機の全体構成)
図1及び図2に示すように、左右の前輪1と左右の後輪2とにより、サトウキビ収穫機の全体である機体が支持されている。刈取搬送装置である刈取部3、刈取部3から後上がり傾斜姿勢に設けられた刈取搬送装置である搬送装置4、搬送装置4の後部に接続された分離装置5、分離装置5の下方箇所から傾斜姿勢で上方に向けて延出されたコンベア6、刈取部3及び搬送装置4の上方に設けられた運転部7及びエンジン8が、機体に設けられている。
【0032】
以上の構成により、機体の進行に伴い、刈取部3により圃場の作物の株元が切断されて作物が刈り取られ、刈取部3により刈り取られた作物が、搬送装置4により後方に向けて搬送される。
【0033】
作物が搬送装置4の搬送終端部に達すると、作物は搬送装置4の搬送終端部で細断されて分離装置5に供給されるのであり、細断された作物は分離装置5の内部を下方に通過しながら、コンベア6の前部のホッパー6bに落下する。分離装置5の内部において選別風が作物に供給されて、屑が分離され飛ばされて排出される。
【0034】
コンベア6のホッパー6bに落下した作物は、コンベア6により後方の上方に向けて搬送され、コンベア6の後部の上部の排出部6aから、伴走するトラック等の運搬車(図示せず)の荷台に放出されて回収される。
【0035】
(刈取部の構成)
図1,2,14に示すように、刈取部3は、左右のスクリュー9、倒し装置10、切断装置11及び上部切断装置87等を有している。
【0036】
右の内側及び外側のスクリュー9と、左の内側及び外側のスクリュー9とが設けられており、スクリュー9は、細長い円筒状の本体部の外周部に、螺旋体が取り付けられた形状に構成されている。
【0037】
油圧モータ12がスクリュー9の上部に設けられ、油圧モータ12に作動油を給排操作する電磁操作型式の制御弁62が設けられており、油圧モータ12によりスクリュー9が上下方向に沿った軸芯周りに回転駆動される。
左右のスクリュー9の高さを変更可能な左右の油圧シリンダ13が設けられており、油圧シリンダ13に作動油を給排操作する電磁操作型式の制御弁63が設けられている。
【0038】
2組の倒し装置10は、スクリュー9の後方に設けられており、円筒状の本体部(図示せず)の外周部に、端部が凹凸形状に形成された複数の倒し板(図示せず)が、放射状に取り付けられて構成されている。油圧モータ14により倒し装置10が左右方向に沿った軸芯周りに回転駆動されるのであり、油圧モータ14に作動油を給排操作する電磁操作型式の制御弁64が設けられている。
【0039】
左右の切断装置11は、倒し装置10の後方に設けられており、上下方向に沿った軸芯周りに回転可能に支持された回転刃を有している。油圧モータ15により回転刃が回転駆動されるのであり、油圧モータ15に作動油を給排操作する電磁操作型式の制御弁65が設けられている。
【0040】
上部切断装置87は、スクリュー9の上方に支持されており、上下方向に沿った軸芯周りに回転可能に支持された回転刃を有している。油圧モータ16により回転刃が回転駆動されるのであり、油圧モータ16に作動油を給排操作する電磁操作型式の制御弁66が設けられている。上部切断装置87の高さを変更可能な油圧シリンダ101が設けられており、油圧シリンダ101に作動油を給排操作する電磁操作型式の制御弁102が設けられている。
【0041】
以上の構成により、機体の進行に伴い、左右のスクリュー9により、刈り取る作物と圃場に残す作物とが分けられながら、刈り取る作物の上部の葉部が上部切断装置87により切断されて、刈り取る作物が左右のスクリュー9の間に導入される。左右のスクリュー9の間に導入された作物は、倒し装置10により前方に倒されながら、切断装置11により株元が切断されて、作物の株元から搬送装置4に供給される。
【0042】
(搬送装置の構成)
図1,2,14に示すように、搬送装置4に、左右の側板(図示せず)が、後上がり傾斜姿勢で前後方向に沿って設けられており、上側の回転体(図示せず)及び下側の回転体(図示せず)が、作物の搬送方向に沿って間隔を開けて側板に支持されている。
【0043】
上側及び下側の回転体が、左右方向に沿った軸芯周りに互いに逆向きに回転駆動されることより、作物が上側及び下側の回転体との間に挟まれながら、作物の上部に対して作物の株元が先行するように後方に搬送される。
【0044】
搬送装置4の搬送終端部に位置する上側及び下側の回転体に、細断刃(図示せず)が設けられており、作物が搬送装置4の搬送終端部に達すると、作物が細断刃により所定の長さに切断されて、分離装置5に供給される。上側及び下側の回転体を回転駆動する油圧モータ17が設けられており、油圧モータ17に作動油を給排操作する電磁操作型式の制御弁67が設けられている。
【0045】
(分離装置の構成)
図1,2,14に示すように、分離装置5は、搬送装置4の後部に接続されて上下方向に沿って配置された円筒状の本体部18と、上下方向に沿った軸芯周りに回転可能に本体部18の内部に支持されたファン状のブロア19とを有している。油圧モータ20によりブロア19が回転駆動されるのであり、油圧モータ20に作動油を給排操作する電磁操作型式の制御弁70が設けられている。
【0046】
搬送装置4から細断された作物が本体部18に供給されると、作物は本体部18の内部を下方に通過しながら、コンベア6のホッパー6bに落下する。ブロア19により本体部18の下部から上部に向けて選別風が発生しており、選別風により作物から屑が分離され上方に飛ばされて、本体部18の上部の排出口18aから排出される。
【0047】
(コンベアの構成)
図1,2,14に示すように、コンベア6は、左右のフレーム(図示せず)が後上がり傾斜姿勢に配置され、搬送ベルト(図示せず)が左右のフレームの間に回転可能に支持されている。搬送ベルトを回転駆動する油圧モータ21が設けられており、油圧モータ21に作動油を給排操作する電磁操作型式の制御弁71が設けられている。
【0048】
コンベア6の前部にホッパー6bが設けられており、分離装置5からの作物をホッパー6bで受け止めて貯留可能である。コンベア6の後端部に排出部6aが設けられ、案内部材23がコンベア6の排出部6aに設けられており、電動モータ24により案内部材23の向きが上下に変更される。案内部材23の向きを上下に変更することにより、コンベア6の排出部6aから排出される作物の向きを上下に変更することができる。
【0049】
コンベア6は、コンベア6の前部を上下方向に沿って通る縦軸芯P1周りに左右に揺動可能に支持され、コンベア6の前部を支点として上下に揺動可能に支持されている。コンベア6を左右に揺動操作可能な油圧シリンダ22、及び、コンベア6を上下に揺動操作可能な油圧シリンダ33が設けられており、油圧シリンダ22,33に作動油を給排操作する電磁操作型式の制御弁72,73が設けられている。
【0050】
コンベア6を左右に揺動操作することにより、コンベア6の向き及びコンベア6の排出部6aの位置を左右に変更することができるのであり、コンベア6を上下に揺動操作することにより、コンベア6の排出部6aの位置を上下に変更することができる。
【0051】
(後輪への伝動系の構成)
図15に示すように、エンジン8と副変速装置25とに亘って、走行用の変速装置である静油圧式無段変速装置26が設けられている。静油圧式無段変速装置26は、エンジン8に連結された油圧ポンプ26aと、副変速装置25に連結された油圧モータ26bと、油圧ポンプ26a及び油圧モータ26bに亘って接続された油圧ホース26cとを有している。静油圧式無段変速装置26は、油圧ポンプ26aの斜板の角度を変更することにより、中立位置から前進側及び後進側に無段階に変速可能に構成されている。
【0052】
副変速装置25は、ギヤ変速型式に構成されて高速及び低速の2段に変速可能である。副変速装置25を操作する油圧シリンダ27が設けられており、油圧シリンダ27に作動油を給排操作する電磁操作型式の制御弁77が設けられている。
【0053】
以上の構成により、エンジン8により静油圧式無段変速装置26の油圧ポンプ26aが駆動され、油圧ポンプ26aの作動油が油圧ホース26cを介して油圧モータ26bに供給されて、油圧モータ26bが駆動される。静油圧式無段変速装置26の油圧モータ26bの動力が、副変速装置25に伝達されて左右の後輪2に伝達される。左右の後輪2を制動可能な左右のブレーキ28が設けられている。
【0054】
(前輪の支持の構成)
図15に示すように、左右の油圧シリンダ29が、機体の前部の右部及び左部に上下方向に沿って配置されて、油圧シリンダ29のピストン29bが機体に接続されている。上下に揺動可能に機体に支持された支持アーム31に、油圧シリンダ29の本体部29aが油圧シリンダ29の軸芯周りに回転可能に支持されている。
【0055】
油圧シリンダ29のピストン29bに対して、油圧シリンダ29の本体部29aを回転操作する油圧シリンダ30が設けられており、前輪1が油圧シリンダ29の本体部29aに回転可能に支持されている。油圧シリンダ29に作動油を給排操作する電磁操作型式の制御弁79が設けられており、油圧シリンダ30に作動油を給排操作する機械操作型式の制御弁80が設けられている。
【0056】
油圧シリンダ29により前輪1を機体に対して昇降操作することによって、圃場に接地する後輪2を支点として機体の前部を昇降させることができる。油圧シリンダ30により油圧シリンダ29の本体部29aを回転操作することによって、前輪1の操向操作を行うことができる。
【0057】
(運転部の構成)
図1,2,3に示すように、運転部7は、キャビン41により覆われている。運転部7に、運転座席42、運転座席42に対して前側に設けられたハンドルポスト43、ハンドルポスト43の上部に支持され人為的に操作される手動操作具である操縦ハンドル44、運転座席42の左右方向の側方である右方に配置された操作ボックス45、操作ボックス45の上部に設けられたサイドパネル54、キャビン41の左右のピラー32のうち右のピラー32に支持された液晶モニター34等が設けられている。
【0058】
運転部7のフロア46において、旋回ペダル50及びロック具61(後述の(旋回ペダルの構成)及び(ロック具の構成)を参照)が、平面視で、運転座席42の左右中心CLに対して左右一方である左方に偏移して配置されており、ハンドルポスト43に対して左側に配置されている。
【0059】
運転部7のフロア46において、アクセルペダル47、ブレーキペダル48及びロックレバー49が、平面視で、運転座席42の左右中心CLに対して左右他方である右方に偏移して配置されており、ハンドルポスト43に対して右側に配置されている。アクセルペダル47は、平面視で運転座席42から右の斜め前方に向けて延出された仮想線である第10仮想傾斜線L10に沿って前後に操作される操作形態に構成されている。
【0060】
図15に示すように、アクセルペダル47は、バネ(図示せず)により戻り側に付勢され、アクセルペダル47の操作位置が、機体に設けられた制御装置100に入力されている。エンジン8の燃料噴射量を制御する電子制御型式のアクセル部88が設けられて、アクセルペダル47の操作位置に基づいて、制御装置100によりアクセル部88が操作される。
【0061】
操縦ハンドル44と制御弁80とが機械的に接続されている。運転座席42に着座する作業者が、操縦ハンドル44を操作して制御弁80を操作することによって、油圧シリンダ30により前輪1が操向操作される。
【0062】
ブレーキペダル48とブレーキ28とが、連係機構60を介して機械的に接続されている。運転座席42に着座する作業者は、ブレーキペダル48を踏み操作することにより、ブレーキ28を制動状態に操作することができる。
【0063】
図3に示すように、運転座席42に着座する作業者は、ブレーキペダル48を踏み操作した状態で、ロックレバー49をブレーキペダル48に掛けることにより、ブレーキペダル48を踏み操作した状態で保持することができる。これにより、ブレーキ28が制動状態に保持されるので、ブレーキ28を駐車用として使用することができる。
【0064】
(サイドパネルの構成)
図3図6に示すように、サイドパネル54に、運転座席42に近い側の内側の操作面55と、内側の操作面55に対して運転座席42の反対側(運転座席42から遠い側)の外側の操作面56とが設けられている。
【0065】
内側及び外側の操作面55,56は、前後方向に沿った縦長状に形成されており、内側の操作面55は、フロア46と略平行(略水平)な面に形成されている。
外側の操作面56は、内側の操作面55よりも高い位置に配置されており、外側の操作面56における運転座席42に近い部分よりも、外側の操作面56における運転座席42から遠い部分が高くなるように、運転座席42に向いた傾斜面に形成されている。
【0066】
図6に示すように、サイドパネル54の外側の操作面56において、外側の操作面56の前部に形成された前部領域である第1領域56a、第1領域56aに対して後側に形成された第2領域56b、第2領域56bに対して後側に形成された第3領域56c、第3領域56cに対して後側でアームレスト68に近い側に形成された第4領域56d、第3領域56cに対して後側でアームレスト68から遠い側に形成された第5領域56eが設けられている。
【0067】
図3図6に示すように、操作ボックス45における運転座席42に近い部分から、支持フレーム69が上方に延出されており、アームレスト68が支持フレーム69の上部に支持されている。
【0068】
アームレスト68は、変速レバー51(後述の(静油圧式無段変速装置を操作可能な変速レバーの構成)を参照)の後方に配置され、且つ、サイドパネル54の内側の操作面55の上方に前後方向に沿って配置されている。アームレスト68は、変速レバー51の握り部51aの上端部よりも低い位置に配置され、サイドパネル54の内側及び外側の操作面55,56よりも高い位置に配置されている。
【0069】
図3及び図6に示すように、後部サイドパネル57が、サイドパネル54に対して後側に設けられている。後部サイドパネル57は、後部サイドパネル57の前部より、後部サイドパネル57に後部が高くの後部が高くなるように傾斜面に形成されている。後部サイドパネル57に、カップホルダ58と小物入れ部59とが設けられている。
【0070】
(静油圧式無段変速装置を操作可能な変速レバーの構成)
図4,5,6に示すように、静油圧式無段変速装置26を操作可能で人為的に操作される手動操作具である変速レバー51が、サイドパネル54の内側の操作面55の前部に設けられている。これにより、変速レバー51が、サイドパネル54の内側及び外側の操作面55,56において、サイドパネル54の外側の操作面56の第1領域56a(前部領域)に対して、運転座席42の側に隣接する領域に備えられた状態となっている。
【0071】
図15に示すように、変速レバー51と、静油圧式無段変速装置26の油圧ポンプ26aとが、連係機構78を介して機械的に接続されている。図6に示すように、サイドパネル54の内側の操作面55に、左右方向に沿った中立経路38、中立経路38の左部から前方に向けて延びた前進経路39、中立経路38の右部から後方に向けて延びた後進経路40が設けられている。
【0072】
運転座席42に着座する作業者は、右手で変速レバー51の握り部51aを持って、変速レバー51を中立経路38、前進経路39及び後進経路40に人為的に操作する。この場合、変速レバー51の握り部51aが、サイドパネル54の外側の操作面56及びアームレスト68よりも少し高い位置に配置されている。
【0073】
変速レバー51が中立経路38に操作されると、静油圧式無段変速装置26の油圧ポンプ26aが中立位置に操作されて、機体は停止する。変速レバー51が前進経路39に操作されると、静油圧式無段変速装置26の油圧ポンプ26aが前進の高速側に操作されるのであり、変速レバー51が後進経路40に操作されると、静油圧式無段変速装置26の油圧ポンプ26aが後進の高速側に操作される。
【0074】
(サイドパネルの外側の操作面における第1領域に関する構成)
図6に示すように、主操作具35と、刈取搬送装置操作具36と、コンベア操作具37とが、サイドパネル54の外側の操作面56の第1領域56aに備えられている。
【0075】
主操作具35は、ダイヤルスイッチ型式に構成され、人為的に回転操作されることにより作動位置及び停止位置に操作されるのであり、主操作具35の操作位置が図15に示す制御装置100に入力されている。主操作具35が作動位置に操作されると、本項の(サイドパネルの外側の操作面における第1領域に関する構成)~後述の(旋回ペダルの操作状態)に記載の操作が許容される。
【0076】
主操作具35が停止位置に操作されると、図14に示す油圧シリンダ13,22,33,101及び油圧モータ12,14,15,16,17,20,21、電動モータ24が強制的に停止操作されるので、本項の(サイドパネルの外側の操作面における第1領域に関する構成)~後述の(旋回ペダルの操作状態)に記載の操作が禁止される。
【0077】
刈取搬送装置操作具36は、人為的に前部及び後部を押し操作可能なシーソースイッチ型式に構成され、停止位置、正転位置及び逆転位置に操作可能である。刈取搬送装置操作具36の操作位置が図15に示す制御装置100に入力されており、刈取搬送装置操作具36により、図14に示す制御弁62,64,65,67が操作されて、油圧モータ12,14,15,17が作動する。
【0078】
刈取搬送装置操作具36が正転位置に操作されると、油圧モータ12,14,15,17は正転作動し、刈取搬送装置操作具36が逆転位置に操作されると、油圧モータ12,14,15,17は逆転作動するのであり、刈取搬送装置操作具36が停止位置に操作されると、油圧モータ12,14,15,17は停止する。
【0079】
通常の作業状態では、刈取搬送装置操作具36を正転位置に操作しておく。作物等が刈取部3や搬送装置4に詰まる等の異常が発生した場合、刈取搬送装置操作具36を逆転位置に操作して、刈取部3や搬送装置4の詰まり等を解消する。
【0080】
コンベア操作具37は、人為的に前部及び後部を押し操作可能なシーソースイッチ型式に構成され、停止位置、正転位置及び逆転位置に操作可能である。コンベア操作具37の操作位置が図15に示す制御装置100に入力されており、コンベア操作具37により、図14に示す制御弁71が操作されて、油圧モータ21が作動する。
【0081】
コンベア操作具37が正転位置に操作されると、油圧モータ21は正転作動し、コンベア操作具37が逆転位置に操作されると、油圧モータ21は逆転作動するのであり、コンベア操作具37が停止位置に操作されると、油圧モータ21は停止する。
【0082】
通常の作業状態では、コンベア操作具37を正転位置に操作しておく。作物等がコンベア6に詰まる等の異常が発生した場合、コンベア操作具37を逆転位置に操作して、コンベア6の詰まり等を解消する。
【0083】
(サイドパネルの外側の操作面の第1領域における主操作具、刈取搬送装置操作具及びコンベア操作具の配置状態)
図6及び図7に示すように、ダイヤルスイッチ型式の主操作具35と、シーソースイッチ型式の刈取搬送装置操作具36及びコンベア操作具37とは、操作形態が互いに異なるものに構成されている。
【0084】
サイドパネル54の内側及び外側の操作面55,56において、変速レバー51と、主操作具35と、刈取搬送装置操作具36及びコンベア操作具37とが、この順序で左右方向に沿った横並び状態で配置されている。
【0085】
サイドパネル54の外側の操作面56の第1領域56aにおいて、平面視で運転座席42に対して横外側ほど後側に位置する第1仮想傾斜線L1を想定した場合、主操作具35と刈取搬送装置操作具36とコンベア操作具37とが、平面視で第1仮想傾斜線L1に沿って横並び状態で配置されている。
【0086】
平面視で第1仮想傾斜線L1と直交する第2仮想傾斜線L2を想定した場合、刈取搬送装置操作具36とコンベア操作具37とが、第2仮想傾斜線L2に沿って操作される操作形態(シーソースイッチ型式)に構成されている。
【0087】
第2仮想傾斜線L2を、平面視で刈取搬送装置操作具36とコンベア操作具37との間から後方に向けて延出すると、アームレスト68と交差し、運転座席42の後部の右部に達する。
【0088】
このことについて言い換えると、第2仮想傾斜線L2は、平面視で運転座席42から、サイドパネル54の外側の操作面56の第1領域56aに向けて、斜め側方に延出された状態となっている。第2仮想傾斜線L2は、平面視で運転座席42に対して横外側ほど前側に位置するように傾斜している。
【0089】
(サイドパネルの外側の操作面における第2領域に関する構成)
図6に示すように、分離装置操作具74と、上部切断装置操作具75とが、サイドパネル54の外側の操作面56の第2領域56bに備えられている。
【0090】
分離装置操作具74は、ダイヤルスイッチ型式に構成され、人為的に回転操作されることにより作動位置及び停止位置に操作される。分離装置操作具74の操作位置が図15に示す制御装置100に入力されており、分離装置操作具74により、図14に示す制御弁70が操作されて、油圧モータ20が作動及び停止する。
【0091】
上部切断装置操作具75は、人為的に右部及び左部を押し操作可能なシーソースイッチ型式に構成され、停止位置、正転位置及び逆転位置に操作可能である。上部切断装置操作具75の操作位置が図15に示す制御装置100に入力されており、上部切断装置操作具75により、図14に示す制御弁66が操作されて、油圧モータ16が作動する。
【0092】
上部切断装置操作具75が正転位置に操作されると、油圧モータ16は正転作動し、上部切断装置操作具75が逆転位置に操作されると、油圧モータ16は逆転作動するのであり、上部切断装置操作具75が停止位置に操作されると、油圧モータ16は停止する。
【0093】
通常の作業状態では、上部切断装置操作具75を正転位置に操作しておく。作物等が上部切断装置87に詰まる等の異常が発生した場合、上部切断装置操作具75を逆転位置に操作して、上部切断装置87の詰まり等を解消する。
【0094】
(サイドパネルの外側の操作面の第2領域における分離装置操作具及び上部切断装置操作具の配置状態)
図6及び図7に示すように、ダイヤルスイッチ型式の分離装置操作具74と、シーソースイッチ型式の上部切断装置操作具75とは、操作形態が互いに異なるものに構成されている。
【0095】
サイドパネル54の外側の操作面56の第2領域56bにおいて、平面視で運転座席42に対して横外側ほど後側に位置する第3仮想傾斜線L3を想定した場合、上部切断装置操作具75が、第3仮想傾斜線L3に沿って操作される操作形態(シーソースイッチ型式)に構成されている。
【0096】
分離装置操作具74と上部切断装置操作具75とが、この順序において平面視で第3仮想傾斜線L3に沿って横並び状態で配置されている。この場合、第3仮想傾斜線L3は、第1仮想傾斜線L1と略平行である。
【0097】
サイドパネル54の外側の操作面56とは異なる色(例えば黄色や赤色、オレンジ色)の識別線76が、サイドパネル54の外側の操作面56の第1領域56a及び第2領域56bの外周部を囲むように描かれている。主操作具35と、刈取搬送装置操作具36、コンベア操作具37、分離装置操作具74、上部切断装置操作具75が、識別線76の内側に配置されている。
【0098】
(サイドパネルの外側の操作面における第3領域に関する構成)
図6に示すように、刈り高さ制御操作具81と、コンベア昇降操作具82と、自動溜め込み操作具83とが、サイドパネル54の外側の操作面56の第3領域56cに備えられている。
【0099】
刈り高さ制御操作具81は、ダイヤルスイッチ型式に構成され、人為的に回転操作されることにより作動位置及び停止位置に操作される。刈り高さ制御操作具81の操作位置が図15に示す制御装置100に入力されており、刈り高さ制御(後述の(刈り高さ制御)を参照)が作動及び停止する。
【0100】
コンベア昇降操作具82は、人為的に前部及び後部を押し操作可能なシーソースイッチ型式に構成され、停止位置、上昇位置及び下降位置に操作可能である。コンベア昇降操作具82の操作位置が図15に示す制御装置100に入力されており、コンベア昇降操作具82により、図14に示す制御弁73が操作されて、油圧シリンダ33によりコンベア6の昇降操作が行われる。
【0101】
自動溜め込み操作具83は、ダイヤルスイッチ型式に構成され、人為的に回転操作されることにより作動位置及び停止位置に操作される。自動溜め込み操作具83の操作位置が図15に示す制御装置100に入力されており、自動溜め込み制御(後述の(自動溜め込み制御)を参照)が作動及び停止する。
【0102】
(サイドパネルの外側の操作面の第3領域における刈り高さ制御操作具、コンベア昇降操作具及び自動溜め込み操作具の配置状態)
図6及び図7に示すように、ダイヤルスイッチ型式の刈り高さ制御操作具81及び自動溜め込み操作具83と、シーソースイッチ型式のコンベア昇降操作具82とは、操作形態が互いに異なるものに構成されている。
【0103】
サイドパネル54の外側の操作面56の第3領域56cにおいて、平面視で運転座席42に対して横外側ほど後側に位置する第4仮想傾斜線L4を想定した場合、刈り高さ制御操作具81とコンベア昇降操作具82とが、平面視で第4仮想傾斜線L4に沿って横並び状態で配置されている。この場合、第4仮想傾斜線L4は、第1仮想傾斜線L1及び第3仮想傾斜線L3と略平行である。
【0104】
平面視で第4仮想傾斜線L4と直交する第5仮想傾斜線L5を想定した場合、コンベア昇降操作具82が、第5仮想傾斜線L5に沿って操作される操作形態(シーソースイッチ型式)に構成されている。第5仮想傾斜線L5を、平面視でコンベア昇降操作具82から後方に向けて延出すると、アームレスト68と交差し、運転座席42の後部の右部付近に達する。
【0105】
このことについて言い換えると、第5仮想傾斜線L5は、平面視で運転座席42から、サイドパネル54の外側の操作面56の第3領域56cに向けて、斜め側方に延出された状態となっている。第5仮想傾斜線L5は、平面視で運転座席42に対して横外側ほど前側に位置するように傾斜している。
【0106】
自動溜め込み操作具83は、刈り高さ制御操作具81の後方に配置されており、コンベア昇降操作具82よりも少し後側に配置されている。主操作具35と、分離装置操作具74と、刈り高さ制御操作具81と、自動溜め込み操作具83とが、前後方向に沿った第1仮想前後線LL1に沿って、この順序で前側から一直線状に配置されている。
【0107】
(刈り高さ制御)
刈り高さ制御において、以下の説明のような操作が行われる。
前述の(前輪の支持の構成)及び図15に示すように、油圧シリンダ29により前輪1を機体に対して昇降操作することによって、圃場に接地する後輪2を支点として機体の前部(刈取部3)を昇降させることができる。
【0108】
刈取部3において、切断装置11は作物の株元における圃場面の近傍の部分を切断するので、作物の状態や圃場の状態、刈取部3の高さ等により切断装置11に掛かる負荷が変化する。
【0109】
切断装置11の油圧モータ15に掛かる負荷を検出する負荷センサー(図示せず)が備えられ、負荷センサーの検出値が基準負荷よりも大きくなると(切断装置11に掛かる負荷が大きくなると)、油圧シリンダ29により機体の前部(刈取部3)を上昇させて、切断装置11に掛かる負荷を抑える。
負荷センサーの検出値が基準負荷に戻ると(切断装置11に掛かる負荷が基準負荷に戻ると)、油圧シリンダ29により機体の前部(刈取部3)を下降させる。
【0110】
(自動溜め込み制御)
自動溜め込み制御において、以下の説明のような操作が行われる。
前述の(サトウキビ収穫機の全体構成)に記載のように、作業の進行に伴って、伴走する運搬車の荷台が満杯になると、運搬車はサトウキビ収穫機から離れることになる。
【0111】
この場合、運転部7の作業者は、作業を一時中断し、コンベア6に残る全ての作物を運搬車に供給して、コンベア6に作物が無い状態とし、コンベア操作具37を停止位置に操作して、次の運搬車がサトウキビ収穫機に伴走する状態となるのを待つ。
【0112】
次の運搬車がサトウキビ収穫機に伴走する状態となるまでの間、運転部7の作業者は、コンベア6を停止させた状態で作業を再開することがある。作業の再開により、コンベア6のホッパー6bに作物が貯留されるのであり、コンベア6のホッパー6bにおける作物の貯留状態が、カメラ(図示せず)により撮影されて、液晶モニター34に表示される。
【0113】
コンベア6のホッパー6bが満杯になると、運転部7の作業者は、自動溜め込み操作具83を作動位置に操作する。これにより、コンベア6が作動を開始して、コンベア6のホッパー6bの作物がコンベア6により搬送されるのであり、この間も作業を続行することができる。作物がコンベア6の排出部6aの直前に達すると、コンベア6が自動的に停止するので、運転部7の作業者は作業を一時中断する。
【0114】
この場合、自動溜め込み操作具83が作動位置に操作されてコンベア6が作動を開始してからの作動時間が、タイマー(図示せず)により検出され、タイマーの検出時間が設定時間に達すると、作物がコンベア6の排出部6aの直前に達したと判断される。
タイマーに代えて、油圧モータ21等のコンベア6の駆動系の回転数を検出して、作物がコンベア6の排出部6aの直前に達したと判断してもよい。
【0115】
(サイドパネルの外側の操作面における第4領域に関する構成)
図6に示すように、調節具であるブロア回転数調節具84と、調節具である基準高さ調節具85と、調節具である基準負荷調節具86とが、サイドパネル54の外側の操作面56の第4領域56dに備えられている。
【0116】
ブロア回転数調節具84は、ダイヤルスイッチ型式に構成されて、人為的に回転操作される。ブロア回転数調節具84の操作位置が図15に示す制御装置100に入力されており、図14に示す制御弁70が操作されて、油圧モータ20(ブロア19)の回転数が高低に変更される。
【0117】
基準高さ調節具85は、ダイヤルスイッチ型式に構成されて、人為的に回転操作されるのであり、基準高さ調節具85の操作位置が図15に示す制御装置100に入力されている。基準高さ調節具85により、刈り高さ制御(前述の(刈り高さ制御)を参照)における基準高さを設定することができ、基準高さを高低に変更することができる。
【0118】
前述の(刈り高さ制御)に記載のように、負荷センサーの検出値が基準負荷に戻ることによって、油圧シリンダ29により機体の前部(刈取部3)の下降操作が行われる場合、機体の前部(刈取部3)の下降操作が止められる限界値が、前述の基準高さである。
【0119】
基準負荷調節具86は、ダイヤルスイッチ型式に構成されて、人為的に回転操作されるのであり、基準負荷調節具86の操作位置が図15に示す制御装置100に入力されている。基準高さ調節具85により、刈り高さ制御における基準負荷(前述の(刈り高さ制御)を参照)を設定することができ、基準負荷を高低に変更することができる。
【0120】
(サイドパネルの外側の操作面の第4領域におけるブロア回転数調節具、基準高さ調節具及び基準負荷調節具の配置状態)
図6及び図7に示すように、ダイヤルスイッチ型式のブロア回転数調節具84と、基準高さ調節具85と、基準負荷調節具86とは、操作形態が同じものに構成されている。
【0121】
ブロア回転数調節具84と、基準高さ調節具85と、基準負荷調節具86とが、前後方向に沿った第2仮想前後線LL2に沿って、この順序で前側から一直線状に配置されている。
【0122】
ブロア回転数調節具84と、基準高さ調節具85と、基準負荷調節具86とが、サイドパネル54の外側の操作面56において、第1領域56a(前部領域)に対して後側で、且つ、アームレスト68に対して運転座席42の反対側(右側)の第4領域56dに備えられている。
【0123】
ブロア回転数調節具84、基準高さ調節具85及び基準負荷調節具86の第2仮想前後線LL2は、主操作具35、分離装置操作具74、刈り高さ制御操作具81及び自動溜め込み操作具83の第1仮想前後線LL1に対して、平面視で少しアームレスト68側(運転座席42側)に配置されている。
【0124】
(サイドパネルの外側の操作面における第5領域に関する構成)
図6に示すように、別操作具であるアクセルレバー52と、別操作具である副変速レバー53とが、サイドパネル54の外側の操作面56の第5領域56eに備えられている。
【0125】
アクセルレバー52は摩擦により任意の位置に保持可能に構成されており、図15に示すように、アクセルレバー52の操作位置が制御装置100に入力されている。アクセルペダル47及びアクセルレバー52のうち高速側に操作されている操作位置に基づいて、制御装置100によりアクセル部88が操作される。
【0126】
通常の作業時のように一定の速度で走行する場合、運転座席42に着座する作業者は、右手でアクセルレバー52を持ってアクセルレバー52を人為的に操作することにより、アクセル部88を操作すればよい。この状態で一時的にアクセル部88を高速側に操作する場合、運転座席42に着座する作業者はアクセルペダル47を踏み操作すればよい。
【0127】
図15に示すように、副変速レバー53の操作位置が、制御装置100に入力されている。副変速レバー53の操作位置に基づいて、制御装置100により制御弁77が操作され、油圧シリンダ27により副変速装置25が低速位置及び高速位置に操作される。
【0128】
(サイドパネルの外側の操作面の第5領域におけるアクセルレバー及び副変速レバーの配置状態)
図6及び図7に示すように、サイドパネル54の外側の操作面56の第5領域56eにおいて、アクセルレバー52が前側で、副変速レバー53が後側となるように、アクセルレバー52と副変速レバー53とが、前後方向に沿って一直線状に配置されている。
【0129】
図4及び図5に示すように、アクセルレバー52と副変速レバー53とは、主操作具35、刈取搬送装置操作具36、コンベア操作具37、分離装置操作具74、上部切断装置操作具75、刈り高さ制御操作具81、コンベア昇降操作具82、自動溜め込み操作具83、ブロア回転数調節具84、基準高さ調節具85、基準負荷調節具86よりも、上側に出ている。アクセルレバー52の上端部と副変速レバー53の上端部とは、アームレスト68と略同じ高さとなっている。
【0130】
図6及び図7に示すように、サイドパネル54の外側の操作面56の第5領域56eにおいて、平面視で運転座席42に対して横外側ほど前側に位置する仮想線である第6仮想傾斜線L6及び第7仮想傾斜線L7を想定した場合、アクセルレバー52が第6仮想傾斜線L6に沿って操作される操作形態に構成され、副変速レバー53が第7仮想傾斜線L7に沿って操作される操作形態に構成されている。この場合、第6仮想傾斜線L6と第7仮想傾斜線L7とは、略平行である。
【0131】
このことについて言い換えると、サイドパネル54の外側の操作面56の第5領域56eにおいて、平面視で運転座席42からサイドパネルの第5領域56eに向けて斜め側方に延出された仮想線である第8仮想傾斜線L8及び第9仮想傾斜線L9を想定した場合、アクセルレバー52が第8仮想傾斜線L8に沿って操作される操作形態に構成され、副変速レバー53が第9仮想傾斜線L9に沿って操作される操作形態に構成されている。
【0132】
(変速レバーの握り部の構成)
図4及び図5に示すように、変速レバー51の上部に、幅広の握り部51aが設けられており、運転座席42に着座する作業者は、右手で変速レバー51の握り部51aを持って変速レバー51を操作する。
【0133】
変速レバー51の握り部51aの上部における運転座席42に向く部分である後面部51bに、操作具である上昇操作具89,91,93,95及び下降操作具90,92,94,96が備えられている。変速レバー51の握り部51aの上部における運転座席42の反対側に向く部分である前面部51cに、上昇操作具97及び下降操作具98が備えられている。
【0134】
上昇操作具89,91,93,95,97及び下降操作具90,92,94,96,98は、復帰型式の押しボタンであり、上昇操作具89,91,93,95,97及び下降操作具90,92,94,96,98の操作位置が、図15に示す制御装置100に入力されている。
【0135】
人為的に操作されることによりホーン(図示せず)を操作可能なホーン操作具99が、変速レバー51の握り部51aにおいて、上昇操作具89,91,93,95,97及び下降操作具90,92,94,96,98よりも低い部分で、且つ、運転座席42の反対側に向く部分51dに備えられている。
【0136】
ホーン操作具99は、復帰型式の押しボタンであり、ホーン操作具99の操作位置が、図15に示す制御装置100に入力されている。ホーン操作具99が押し操作されると、ホーンが作動し、ホーン操作具99が押し操作されなくなると、ホーンが停止する。
【0137】
(変速レバーの握り部における上昇操作具及び下降操作具に関する構成)
図4及び図5に示す上昇操作具89,91,93,95,97及び下降操作具90,92,94,96,98の操作位置に基づいて、制御装置100により図14及び図15に示す制御弁63,79,102が操作され、以下の説明のように油圧シリンダ13,29,101及び電動モータ24が操作される。
【0138】
図4及び図5に示すように、刈り高さ制御操作具81が停止位置に操作された状態において、上昇操作具89が押し操作されると、油圧シリンダ29により機体の前部が上昇操作される。下降操作具90が押し操作されると、油圧シリンダ29により機体の前部が下降操作される。上昇操作具89及び下降操作具90が押し操作されないと、油圧シリンダ29が停止する。
【0139】
上昇操作具91が押し操作されると、油圧シリンダ101により上部切断装置87が上昇操作される。下降操作具92が押し操作されると、油圧シリンダ101により上部切断装置87が下降操作される。上昇操作具91及び下降操作具92が押し操作されないと、油圧シリンダ101が停止する。
【0140】
上昇操作具93が押し操作されると、左の油圧シリンダ13により、左のスクリュー9が上昇操作される。下降操作具94が押し操作されると、左の油圧シリンダ13により、左のスクリュー9が下降操作される。上昇操作具93及び下降操作具94が押し操作されないと、左の油圧シリンダ13が停止する。
【0141】
上昇操作具95が押し操作されると、電動モータ24により、案内部材23が上昇操作される。下降操作具96が押し操作されると、電動モータ24により、案内部材23が下降操作される。上昇操作具95及び下降操作具96が押し操作されないと、電動モータ24が停止する。
【0142】
上昇操作具97が押し操作されると、右の油圧シリンダ13により、右のスクリュー9が上昇操作される。下降操作具98が押し操作されると、右の油圧シリンダ13により、右のスクリュー9が下降操作される。上昇操作具97及び下降操作具98が押し操作されないと、右の油圧シリンダ13が停止する。
【0143】
(旋回ペダルの構成)
前述の(運転部の構成)及び図3に示すように、旋回ペダル50及びロック具61が、運転部7のフロア46に備えられている。
【0144】
図8,9,10に示すように、支持ブラケット103がフロア46に連結されている。支持ブラケット103は、前及び後の支持板103a,103bを有し、ピン状の左右のストッパー部103cが、支持板103a,103bに連結されている。
【0145】
図3に示すように、平面視で、運転座席42から左の斜め前方に向けて延出された仮想線である第11仮想傾斜線L11を想定した場合、図8,9,10に示すように、支点軸104が、第11仮想傾斜線L11に沿った横軸芯P2に沿うように、支持ブラケット103の支持板103a,103bに連結されている。
【0146】
ボス部105が、横軸芯P2周りに回転可能に支点軸104に支持されている。操作板106がボス部105と一体で回転可能にボス部105に連結されており、支持ブラケット103の左右のストッパー部103cの間に、操作板106が配置されている。操作板106が、フロア46の開口部46aを通りフロア46に対して下側に入り込んでおり、操作板106の下部に操作ピン106aが連結されている。
【0147】
踏み板107が、操作板106の上部に連結されている。踏み板107は、平面状の踏み面部107aが設けられ、踏み面部107aの左右の端部107bが上向きに形成されており、左右の凹部107cが踏み面部107aに形成されている。
【0148】
以上のように、ボス部105、操作板106及び操作ピン106a、踏み板107(踏み面部107a及び端部107b)を有する旋回ペダル50が設けられている。
図3に示すように、旋回ペダル50は、平面視で、運転座席42の左右中心CLに対して左右一方に偏移して配置され、且つ、運転座席42からの斜め前方に向けて延出された第11仮想傾斜線L11に沿った横軸芯P2周りに揺動可能に構成されており、運転座席42に着座する作業者が左足で旋回ペダル50を人為的に左右に踏み操作することができる。
【0149】
図8及び図9に示すように、受け部材108が、支点軸104の端部に連結され、フロア46の開口部46aを通ってフロア46に対して下側に入り込んでいる。コイル状の中立バネ109がボス部105に取り付けられ、中立バネ109の右端部109a及び左端部109bが、フロア46の開口部46aを通ってフロア46に対して下側に入り込んでおり、右端部109a及び左端部109bの間に、操作板106(旋回ペダル50)の操作ピン106a及び受け部材108が入り込んでいる。
【0150】
チャンネル状の支持ブラケット110が、フロア46の下面部に連結されており、ポテンショメータ型式の位置センサー111が支持ブラケット110に取り付けられている。横軸芯P2と平行な軸芯P3周りに揺動可能な検出アーム111aが、位置センサー111に設けられており、位置センサー111の内部に設けられたバネ(図示せず)により、検出アーム111aが図9の反時計方向に付勢されて、検出アーム111aが操作板106(旋回ペダル50)の操作ピン106aに当たっている。位置センサー111の検出値が図15に示す制御装置100に入力されている。
【0151】
(ロック具の構成)
図8,9,10に示すように、ロック具61が、横軸芯P2と直交する軸芯P4周りに揺動可能に、支持ブラケット103の上部に支持されている。
【0152】
ロック具61は、平板状の踏み面部61aと、踏み面部61aの下面部に軸芯P4に沿って形成された横長状で下方に向けて突出する凸部61bと、軸芯P4周りに揺動可能に支持ブラケット103の上部に支持される左右の支点部61cとを有して、硬質ゴムにより一体的に形成されている。
【0153】
図3に示すように、ロック具61は、平面視で運転座席42から右の斜め前方に向けて延出された仮想線である第11仮想傾斜線L11に沿って前後に操作される操作形態に構成されており、規制状態A1と非規制状態A2とに切換可能である。
【0154】
図8,9,10に示す状態は、ロック具61が規制状態A1に操作された状態である。ロック具61が規制状態A1に操作された状態において、ロック具61の踏み面部61aが旋回ペダル50(踏み板107)の左右の端部107bの間に入り、ロック具61の凸部61bが旋回ペダル50(踏み板107)の踏み面部107aに対して上側から接触する。ロック具61の支点部61cが、旋回ペダル50(踏み板107)の凹部107cに入り込む。
【0155】
これにより、ロック具61の凸部61bが旋回ペダル50(踏み板107)の踏み面部107aに対して上側から接触する点、及び、ロック具61の支点部61cが旋回ペダル50(踏み板107)の凹部107cに入り込む点により、旋回ペダル50が中立位置に保持され、旋回ペダル50の踏み操作が規制される。運転座席42に着座する作業者は、左足をロック具61に置くことができ、ロック具61はフットレストとして機能する。
【0156】
ロック具61を非規制状態A2に切り換える場合、ロック具61を軸芯P4周りに上方に揺動操作するのであり、ロック具61の支点部61cの端部61dが、支持ブラケット103の支持板103bの上端部に当たる位置まで揺動操作する。これにより、ロック具61の重心が軸芯P4を旋回ペダル50の反対側に越えるので、ロック具61が非規制状態A2に保持される。
【0157】
図8及び図10に示すように、規制状態A1において、ロック具61の踏み面部61a後端部が、旋回ペダル50(踏み板107)よりも後方(運転座席42側)に出ているので、運転座席42に着座する作業者は、左足のつま先でロック具61の踏み面部61aの後端部を上方に持ち上げることにより、ロック具61を非規制状態A2に切り換えることができる。
【0158】
ロック具61が非規制状態A2に切り換えられることにより、ロック具61の凸部61bが旋回ペダル50(踏み板107)の踏み面部107aから上方に離れ、ロック具61の支点部61cが、旋回ペダル50(踏み板107)の凹部107cから上方に離れて、旋回ペダル50の踏み操作が許容される。
【0159】
(旋回ペダルの操作状態)
図11に示す状態は、ロック具61が非規制状態A2に切り換えられて、中立バネ109により、旋回ペダル50が中立位置に保持された状態である。位置センサー111により旋回ペダル50の操作位置が検出されており、旋回ペダル50が中立位置に操作されていると、コンベア6の揺動操作が停止される。
【0160】
図11に示す状態から図12に示すように、旋回ペダル50が右に踏み操作されると、操作板106が図12の時計方向に揺動する。中立バネ109の右端部109aが受け部材108に止められた状態で、操作板106の操作ピン106aが、中立バネ109の左端部109bを図12の時計方向に押し操作するのであり、位置センサー111の検出アーム111aが操作板106の操作ピン106aに追従するように、図12の反時計方向に揺動する。操作板106が支持ブラケット103のストッパー部103cに当たることにより、旋回ペダル50の右への踏み操作が止められる。
【0161】
旋回ペダル50の右への踏み操作が位置センサー111により検出され、図15に示す制御装置100により図14に示す制御弁72が操作され、図2に示すように、油圧シリンダ22によりコンベア6が平面視で反時計方向B1に揺動操作される。
旋回ペダル50の右への踏み操作を止めると、中立バネ109の付勢力によって、旋回ペダル50が図11に示す中立位置に戻り、コンベア6の揺動操作が停止される。
【0162】
図11に示す状態から図13に示すように、旋回ペダル50が左に踏み操作されると、操作板106が図13の反時計方向に揺動する。中立バネ109の左端部109bが受け部材108に止められた状態で、操作板106の操作ピン106aが、中立バネ109の右端部109aを図13の反時計方向に押し操作するのであり、位置センサー111の検出アーム111aが操作板106の操作ピン106aにより、図13の時計方向に揺動操作される。操作板106が支持ブラケット103のストッパー部103cに当たることにより、旋回ペダル50の左への踏み操作が止められる。
【0163】
旋回ペダル50の左への踏み操作が位置センサー111により検出され、図15に示す制御装置100により図14に示す制御弁72が操作され、図2に示すように、油圧シリンダ22によりコンベア6が平面視で時計方向B2に揺動操作される。
旋回ペダル50の左への踏み操作を止めると、中立バネ109の付勢力によって、旋回ペダル50が図11に示す中立位置に戻り、コンベア6の揺動操作が停止される。
【0164】
サトウキビ収穫機では、圃場の一辺に沿って作業を行い、圃場の端部に達すると、圃場の端部で180度の旋回を行い、圃場の一辺に沿って逆向きに走行して作業を行うという操作を繰り返す。
【0165】
この場合、圃場の一辺に沿って作業を行う際に、例えば運搬車がサトウキビ収穫機に対して右側を走行し、コンベア6を右に向けていれば、次にサトウキビ収穫機が圃場の端部で旋回を行い圃場の一辺に沿って逆向きに走行すると、運搬車がサトウキビ収穫機に対して左側を走行するので、コンベア6を左に向ける必要がある。
【0166】
前述のような作業形態において、圃場の端部での旋回時に、旋回ペダル50によりコンベア6の向きを変更するのであり、コンベア昇降操作具82(前述の(サイドパネルの外側の操作面における第3領域に関する構成)及び図6を参照)により、コンベア6の昇降操作を行って、コンベア6の排出部6aの高さを運搬車に合わせる。
【0167】
(発明の実施の第1別形態)
前述の(旋回ペダルの操作状態)に記載の機能に加えて、以下に説明するコンベア6の自動旋回及び自動昇降の機能が備えられてもよい。
【0168】
コンベア6が真後ろに向いた中央位置(図2参照)、コンベア6が平面視で中央位置から所定角度(例えば45度)だけ右に旋回した右向き位置、コンベア6が平面視で中央位置から所定角度(例えば45度)だけ左に旋回した左向き位置の3位置を設定して、中央位置、右向き位置及び左向き位置を選択可能な向き選択操作具(図示せず)を備える。
【0169】
コンベア6の排出部6aに対する運搬車の高さを検出する超音波型式等の高さセンサー(図示せず)を備え、格納位置及び作業位置を選択可能な高さ選択操作具(図示せず)を備える。
【0170】
作業者が向き選択操作具を操作して、右向き位置(左向き位置)(中立位置)を選択すると、コンベア6が、自動的に旋回操作されて、右向き位置(左向き位置)(中立位置)で自動的に停止する。
【0171】
作業者が高さ選択操作具を操作して、作業位置を選択すると、高さセンサーの検出値に基づいてコンベア6が自動的に昇降操作され、コンベア6の排出部6aが運搬車に合致する高さで、コンベア6が自動的に停止する。
作業者が高さ選択操作具を操作して、格納位置を選択すると、コンベア6が自動的に上昇操作されて上限位置で自動的に停止する。この状態は、一つの圃場から次の圃場に移動する際に設定すればよい。
【0172】
(発明の実施の第2別形態)
運転部7において、操作ボックス45及びサイドパネル54、アームレスト68が、運転座席42に対して左側に配置されてもよい。
【0173】
旋回ペダル50及びロック具61が、平面視で、運転座席42の左右中心CLに対して左右一方である右側に偏移して配置されてもよい。この構成では、旋回ペダル50及びロック具61を、アクセルペダル47に対して右横側に配置すればよい。
【0174】
(発明の実施の第3別形態)
サイドパネル54の内側及び外側の操作面55,56において、刈取搬送装置操作具36及びコンベア操作具37の位置を左右方向で逆転して、変速レバー51と、主操作具35と、コンベア操作具37及び刈取搬送装置操作具36とが、この順序で左右方向に沿った横並び状態で配置されるように構成してもよい。
【0175】
サイドパネル54の外側の操作面56において、第1領域56a及び第2領域56bを前部領域としてもよい。
【0176】
(発明の実施の第4別形態)
主操作具35が、人為的に押し操作可能な作動位置ボタンと、人為的に押し操作可能な停止位置ボタンとの、2個の押しボタンを備えた操作形態に構成されてもよい。
この構成において、作動位置ボタン及び停止位置ボタンを、第2仮想傾斜線L2に沿って配置してもよい。
【0177】
(発明の実施の第5別形態)
刈取搬送装置操作具36及びコンベア操作具37が、人為的に押し操作可能な停止位置ボタンと、人為的に押し操作可能な正転位置ボタンと、人為的に押し操作可能な逆転位置ボタンとの、3個の押しボタンを備えた操作形態に構成されてもよい。
この構成において、停止位置ボタン、正転位置ボタン及び逆転位置ボタンを、第2仮想傾斜線L2に沿って配置してもよい。
【0178】
(発明の実施の第6別形態)
主操作具35と刈取搬送装置操作具36とコンベア操作具37の全てが、第2仮想傾斜線L2に沿って操作される操作形態に構成されてもよい。
【0179】
主操作具35と刈取搬送装置操作具36とコンベア操作具37において、主操作具35だけ、又は刈取搬送装置操作具36だけ、又はコンベア操作具37だけが、第2仮想傾斜線L2に沿って操作される操作形態に構成されてもよい。
【0180】
主操作具35と刈取搬送装置操作具36とコンベア操作具37において、主操作具35及び刈取搬送装置操作具36が、第2仮想傾斜線L2に沿って操作される操作形態に構成されてもよい。
【0181】
主操作具35と刈取搬送装置操作具36とコンベア操作具37において、主操作具35及びコンベア操作具37が、第2仮想傾斜線L2に沿って操作される操作形態に構成されてもよい。
【0182】
(発明の実施の第7別形態)
静油圧式無段変速装置26に代えて、複数段に変速可能なギヤ変速型式の変速装置(図示せず)や、ベルト式無段変速装置(図示せず)を、走行用の変速装置として設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0183】
本発明は、サトウキビ収穫機に適用できる。
【符号の説明】
【0184】
3 刈取部(刈取搬送装置)
4 搬送装置(刈取搬送装置)
5 分離装置
6 コンベア
7 運転部
26 静油圧式無段変速装置(変速装置)
35 主操作具
36 刈取搬送装置操作具
37 コンベア操作具
42 運転座席
51 変速レバー
51a 握り部
51b 後面部(部分)
51d 部分
52 アクセルレバー(別操作具)
53 副変速レバー(別操作具)
54 サイドパネル
55 操作面
56 操作面
56a 第1領域(前部領域)
56d 第4領域(領域)
56e 第5領域(領域)
68 アームレスト
84 ブロア回転数調節具(調節具)
85 基準高さ調節具(調節具)
86 基準負荷調節具(調節具)
89 上昇操作具(操作具)
90 下降操作具(操作具)
91 上昇操作具(操作具)
92 下降操作具(操作具)
93 上昇操作具(操作具)
94 下降操作具(操作具)
95 上昇操作具(操作具)
96 下降操作具(操作具)
99 ホーン操作具
L1 第1仮想傾斜線
L2 第2仮想傾斜線
L6 第6仮想傾斜線(仮想線)
L7 第7仮想傾斜線(仮想線)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15