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  • 特許-安定なコルチコステロイド組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】安定なコルチコステロイド組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/58 20060101AFI20240507BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240507BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A61K31/58
A61K31/375
A61K47/22
A61K47/36
A61P29/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020536545
(86)(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 US2019012965
(87)【国際公開番号】W WO2019140032
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】62/616,213
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521428491
【氏名又は名称】バイロファーマ バイオロジクス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
(72)【発明者】
【氏名】カシーナ,ラマリンゲスワル
【審査官】金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-192173(JP,A)
【文献】国際公開第2014/155397(WO,A1)
【文献】特表2006-507281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/58
A61K 31/375
A61K 47/22
A61K 47/36
A61P 29/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって、ブデソニド、デキストロース、および抗酸化剤を含み、前記抗酸化剤は、前記組成物に対して約0.05%~約0.25%w/wの量の、アスコルビン酸とアスコルビン酸の薬学的に許容される塩との組合せを含み、40℃および相対湿度75%での4ヶ月の保管後に該医薬組成物に含まれるブデソニドの酸化分解により形成される21-デヒドロブデソニドが0.3%未満である、医薬組成物。
【請求項2】
1ヶ月の保管後に、酸化分解により形成された21-デヒドロブデソニドを実質的に含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
1ヶ月の保管後に実質的に変色していない、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
2ヶ月の保管後に、酸化分解によって形成された21-デヒドロブデソニドを実質的に含まず、かつ実質的に変色していない、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
3ヶ月の保管後に、酸化分解によって形成された21-デヒドロブデソニドを実質的に含まず、かつ実質的に変色していない、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
2ヶ月の保管後に、酸化分解により形成された21-デヒドロブデソニドを0.2%未満しか含まない、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記抗酸化剤がアスコルビン酸とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せである、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
約4と約5.2の間のpHを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
保存剤をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記保存剤が安息香酸ナトリウムおよびソルビン酸カリウムから選択される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
必要とする対象における消化管の炎症性疾患または炎症状態処置、予防、または軽減するための医薬組成物であって、ブデソニド、デキストロース、および抗酸化剤を含み、前記抗酸化剤は、前記組成物に対して約0.05%~約0.25%w/wの量の、アスコルビン酸とアスコルビン酸の薬学的に許容される塩との組合せを含み、40℃および相対湿度75%での4ヶ月の保管後に該医薬組成物に含まれるブデソニドの酸化分解により形成される21-デヒドロブデソニドが0.3%未満である、医薬組成物。
【請求項12】
前記抗酸化剤がアスコルビン酸とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せである、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記対象が16歳未満である、請求項11または12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記対象が12歳未満である、請求項11または12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
食道の炎症性疾患または炎症状態処置するためのものである、請求項11~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
食道の炎症性疾患が好酸球性食道炎である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
必要とする対象における消化管の炎症性疾患または炎症状態処置、予防、または軽減するためのキットであって、ブデソニド、デキストロース、および抗酸化剤を含む医薬組成物を含み、前記抗酸化剤は、前記組成物に対して約0.05%~約0.25%w/wの量の、アスコルビン酸とアスコルビン酸の薬学的に許容される塩との組合せを含み、40℃および相対湿度75%での4ヶ月の保管後に前記医薬組成物に含まれるブデソニドの酸化分解により形成される21-デヒドロブデソニドが0.3%未満である、キット。
【請求項18】
前記抗酸化剤がアスコルビン酸とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せである、請求項17に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2018年1月11日出願の米国仮特許出願第62/616,213号の優先権を主張し、その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、コルチコステロイドおよび抗酸化剤を含む酸化的に安定な医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
食道の炎症性障害は、大人と子供の両方で認識が高まっている。1つの例は、好酸球性食道炎(EEまたはEoE)であり、これは、食道における高レベルの好酸球ならびに基底領域の過形成を特徴とする、新たに出現した急速に広がっている疾患である。EE(EoE)は、少なくとも一部の患者では、食物アレルギーまたは空気中アレルゲンへの曝露によって引き起こされると考えられている(1-5、44)。EE(EoE)の診断は、喘息、鼻炎、ならびに他の食物およびエアロアレルゲン(または空気アレルゲン)の吸入過敏症を含む他の過敏性障害と関連していることが多い(39-40)。診断は、多くの場合、例えば幼児で行われ、食道粘膜生検内の高倍率視野あたり15~20個以上または24個以上の好酸球(eos/hpf)の発見によって決まる(6~12)。
【0004】
他のアトピー性疾患と同様に、EE(EoE)の発生率は次第に増加していると思われる(15、35)。この疾患は、逆流様症状、痛みおよび嚥下障害、すなわち胃食道逆流症(「GERD」)の症状に似た臨床症状を伴うことがある(42)。EE(またはEoE)の症状には、例えば、腹痛、胸痛、窒息、嚥下困難、発育不全、吐き気、標準的なアンチフラックス(anti-flux)療法では緩和されない逆流、皮膚の発疹または蕁麻疹、嘔吐、体重減少などが含まれる。一連において、EE(EoE)患者の15%に同時発生の発達遅延があった(45)。
【0005】
EE(EoE)は発展途上国全体でより頻繁に診断されるようになっている(7、8、13-16)が、その病因、自然歴および最適な治療法など、疾患の多くの側面が不明のままである。EE(EoE)の症状は、GERDの症状によく似ていることが多く、嘔吐、嚥下障害、痛み、および食物の食道嵌頓(food impaction)などが含まれる(8、14、17-20)。しかしながら、EE(EoE)とGERDの処置は異なり、特に未処置のEE(EoE)は、症例の10~30%で食道狭窄と関連する可能性がある(14、18、20、21)ため、これらを区別することが重要である。GERDとEE(EoE)の症状の重複は一般的である;高PPI GERD処置に反応しないことは、EE(EoE)の診断ガイドラインの1つとなり得る(42)。EE(EoE)をGERDと誤診することの頻発により、EEの患者の処置が遅れることがよくある(42)。
【0006】
長期の全身ステロイド療法は、成長および骨の発達に重大な二次的副作用をもたらす可能性がある。抗IL-5モノクローナル抗体での処置がEEで成功していることが報告されているが、この治療法は現在、子供での使用が承認されていない(36)。
【0007】
現在の処置には、除去食(22、23)およびエレメンタルフォーミュラ(2、24)がある。真の誘発性食物アレルゲンを特定することは困難な場合があり、またエレメンタルフォーミュラは口に合わないことが多く、それにより食事療法を複雑にする(1、22)。即席パフおよび飲み込み法は、患者、特に小さな子供、特に発達遅延のある子供が効果的に行うのは困難な場合がある。これにより、局所ステロイドの有効用量よりも少ない量が食道に送達される可能性がある。
【0008】
EEの処置のためのコルチコステロイド組成物が最近開発された;特許文献1および2を参照のこと。これらの組成物は、食道への経口投与用に設計されており、いくつかの賦形剤とともに、治療的有効量のコルチコステロイドを含む。
【0009】
医薬品の酸化分解は、当業者によく知られている問題である。ブデソニドなどのコルチコステロイドは、酸素の存在下で分解する。具体的には、ブデソニドは、保管時に、望ましくない21-デヒドロブデソニド(21-DHB)種の形成を伴う酸化分解を受けることが知られている。したがって、酸化感受性コルチコステロイド活性薬物成分(単数または複数)が、長期保存に特有の酸化分解から保護される医薬製剤を提供することが非常に望ましい。酸化分解に対処する1つの方法は、抗酸化剤の使用によるものである。様々な医薬製剤で使用されるいくつかの抗酸化剤には、とりわけ、ビタミンE、アスコルビン酸、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)などが含まれる。
【0010】
医薬品の外観に見られる一般的な問題は、医薬組成物の変色(discoloration)である。この問題には多くの原因が考えられる。例えば、原材料の供給源および製造、組成物の製造プロセス、および保管プロセス/条件などである。保管中の組成物の変色は、活性な賦形剤と包装材料との間の相互作用を伴う場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第8,679,545号明細書
【文献】米国特許第9,050,368号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、保管時に実質的に分解および/または変色しないコルチコステロイド組成物を提供することが当技術分野において必要とされている。さらに、当技術分野では、口当たりが良く、苦味がなく、ほとんどの患者でアレルギー反応を引き起こさないコルチコステロイド組成物を提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の様々な非限定的な態様および実施形態を以下に説明する。
【0014】
一態様では、コルチコステロイドおよび抗酸化剤を含む医薬組成物を提供し、その医薬組成物は、酸素の存在下で実質的に分解しない。一実施形態では、医薬組成物は、1ヶ月の保管後、または2ヶ月の保管後、または3ヶ月の保管後、または4ヶ月の保管後、酸化分解の兆候を実質的に示さない。別の実施形態では、医薬組成物は、40℃で75%の湿度において、1ヶ月の保管後、または2ヶ月の保管後、または3ヶ月の保管後、または4ヶ月の保管後、酸化分解の兆候を実質的に示さない。別の実施形態では、コルチコステロイドはブデソニドである。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、アスコルビン酸とアスコルビン酸の薬学的に許容される塩(または薬学的に許容されるアスコルビン酸塩)との組合せを含む抗酸化剤を含む。さらに別の実施形態では、アスコルビン酸とアスコルビン酸の薬学的に許容される塩との組合せは、組成物の約0.01%~約0.5%w/w、または約0.05%~約0.25%w/wの量で存在する。
【0015】
さらに別の実施形態では、医薬組成物は、粘度調整剤、保存剤、香味剤、甘味料、少なくとも1つの追加の賦形剤、および薬学的に許容されるビヒクルをさらに含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、保管後、例えば、1ヶ月の保管後、または2ヶ月の保管後、または3ヶ月の保管後、または4ヶ月の保管後、変色することがある。他の実施形態では、医薬組成物は、保管後、例えば1ヶ月の保管後、または2ヶ月の保管後、または3ヶ月の保管後、または4ヶ月の保管後、実質的に変色しない。一実施形態では、医薬組成物は、約4と約5.2の間のpHを有する。別の実施形態では、医薬組成物は、安息香酸ナトリウムおよびソルビン酸カリウムなどの抗菌保存剤を含む。
【0016】
別の態様では、治療的有効量のコルチコステロイドおよび抗酸化剤を含む医薬組成物を投与することを含む、消化管(例えば食道)の炎症性疾患および状態の症状およびそれに関連する炎症を処置、予防、または軽減する方法を提供する。一実施形態では、投与される医薬組成物は、酸素の存在下で実質的に分解しない。一実施形態では、医薬組成物は経口投与される。別の実施形態では、消化管(gastrointestinal tract)の炎症は、食道の炎症である。
【0017】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物の投与は、好酸球性食道炎、食道に関与する炎症性腸疾患、クローン病、セリアック病、近位胃腸病態(例えば、機能低下性胆嚢を患う個体における)、好酸球性胃腸炎、好酸球性十二指腸炎、十二指腸好酸球増加症、機能性消化不良、中間食道炎(intermediate esophagitis)、腐食性/刺激性摂取に続発する食道炎、腐食性/刺激性摂取を含めて任意の原因の持続性/再発性食道狭窄、錠剤誘発性食道炎、全身性疾患、先天性疾患、術後炎症、中間食道炎、上皮過形成、基底細胞過形成、細長い乳頭(elongated papillae)、乳頭の拡張血管、真菌性食道炎(例えば、カンジダ、トルロプシス、ヒストプラスマ、アスペルギルスなど)、ウイルス性食道炎(例えば、HSV、CMV、V2V)、細菌性食道炎(例えば、結核、放線菌症、梅毒)、腐食性食道炎、放射線食道炎、化学療法食道炎、移植片対宿主病、食道病変を伴う皮膚疾患(例えば、水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、表皮水疱症、スティーブンス・ジョンソン症候群)、ベーチェット病、サルコイドーシス、特発性食道炎、好酸球性胃炎、メネトリエ病、寄生虫性胃炎、リンパ球性食道炎、炎症性腸疾患関連食道炎、寄生虫性胃炎、または胃腸炎と診断された個体に対するものである。ある実施形態では、個体は好酸球性食道炎を患っている。一部のある実施形態では、個体は、胃食道逆流症(GERD)、非びらん性逆流症(NERD)、またはびらん性食道炎と診断されている。いくつかの実施形態では、消化管の炎症は、胃および/または小腸の炎症、例えば胃腸炎である。一実施形態では、消化管の炎症は、好酸球性食道炎(EEまたはEoE)である。
【0018】
ある実施形態では、消化管の炎症に関連する炎症または症状の処置、予防または軽減のために医薬組成物を投与される個体は、子供または幼児である。様々な実施形態において、子供または幼児は、16歳未満、12歳未満、8歳未満、6歳未満、4歳未満または2歳未満である。
【0019】
いくつかの実施形態では、医薬剤形を提供し、その医薬剤形は、コルチコステロイドおよび抗酸化剤を含む医薬組成物(例えば、本明細書に記載される任意の医薬組成物)を含む。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は液体形態である。液体形態には、非限定的な例として、乳濁液(またはエマルジョン)、溶液、懸濁液、シロップ、スラリー、分散液、コロイドなどが含まれる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象への経口投与用の単位用量製剤である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、スティックパック(例えば、Unistick(登録商標))またはサシェなどの単位用量包装中にある。
【0020】
いくつかの実施形態では、多回投与容器(multiple unit container)と、コルチコステロイドおよび抗酸化剤を含む医薬組成物(例えば、本明細書に記載される任意の医薬組成物)の複数の単位用量とを含むキットを本明細書に提供する。
【0021】
本発明のこれらおよび他の態様は、添付の特許請求の範囲を含めて、本発明の以下の詳細な説明を読んだ後に当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】数か月の保管期間にわたる保管条件をシミュレートした40℃で相対湿度75%での2-デヒドロブデソニド(21-DHB)の形成に対する、さまざまな濃度のアスコルビン酸とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せの効果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の詳細な実施形態をここに開示する;しかしながら、開示された実施形態は、様々な形態で具現化され得る本発明の単なる例示であることを理解されたい。さらに、本発明の様々な実施形態に関連して与えられた例のそれぞれは例示であり、限定ではないことが意図されている。したがって、本明細書に記載の特定の構造的および機能的詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に、本発明を様々に使用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0024】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0025】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうではないことを指示しない限り、複数への言及を含む。したがって、例えば、「方法」への言及には、本明細書に記載されたタイプおよび/または本開示を読むと当業者に明らかになるタイプの1つまたは複数の方法、および/またはステップが含まれる。
【0026】
状況、障害または状態を「処置する(treat)」または「処置(treatment)」という用語には、1)その状況、障害または状態を患っているまたはその素因を有している可能性があるが、その状況、障害または状態の臨床的または無症候性症状をまだ経験または表示していない対象において、その状況、障害または状態の少なくとも1つの臨床症状または無症候性症状の出現の発生および/または可能性を予防、遅延または低減させる;または(2)その状況、障害または状態を阻害する、すなわち、疾患またはその再発、あるいはそれらの少なくとも1つの臨床症状または無症候性症状を停止、低減または遅延させる;または(3)疾患を緩和する、すなわち、状況、障害または状態あるいはそれらの臨床症状または無症候症状の少なくとも1つの後退を生じさせることが含まれる。処置される対象に対する利益は、統計的に有意であるか、あるいは少なくとも患者または医師に知覚可能であるかのいずれかである。
【0027】
本明細書で使用される「対象」または「患者」または「個体」または「動物」は、ヒト、獣医動物(例えば、猫、犬、牛、馬、羊、豚など)および疾患の実験動物モデル(例えば、マウス、ラット)を指す。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
【0028】
本明細書で使用される場合、用量または量に適用される「有効」という用語は、それを必要とする対象に投与した際に所望の活性をもたらすのに十分な化合物または医薬組成物の量を指す。活性成分の組合せを投与する場合、組合せの有効量は、個別に投与された場合に有効であった各成分の量を含んでも含まなくてもよいことに留意されたい。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢、および全身状態、治療される状態の重症度、使用される特定の薬物(単数または複数)、投与方法などに応じて、対象ごとに異なる。
【0029】
本発明の組成物に関連して使用される「薬学的に許容される」という語句は、生理学的に許容可能であり、かつ哺乳動物(例えば、ヒト)に投与した場合に通常は望ましくない反応を生じない、そのような組成物の分子種および他の成分を指す。好ましくは、本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、米国連邦政府または州政府の規制機関によって承認されている、または哺乳動物、より具体的にはヒトにおける使用のために米国薬局方または他の一般に認められた薬局方に掲載されていることを意味する。
【0030】
医薬組成物および剤形
本発明は、コルチコステロイドおよび抗酸化剤を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。これらの組成物は、製薬業界で周知の方法で調製することができ、さまざまな経路で投与することができる。本発明の医薬組成物は、局所投与または全身投与することができる。本明細書で使用される「全身」という用語には、非経口、局所(topical)、経皮、経口、吸入による/経肺、直腸、経鼻、口腔内、および舌下投与が含まれる。ある一態様では、経口投与用の医薬組成物が記載される。
【0031】
本発明のコルチコステロイドおよび抗酸化剤を含む医薬組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体と組み合わせて調製することができる。本発明の組成物の製造において、活性成分(または有効成分)は、典型的には、賦形剤と混合され、賦形剤によって希釈され、あるいは例えば、カプセル、サシェ、紙、または他の容器の形態のそのような担体内に封入される。賦形剤が希釈剤の役割を果たす場合、それは、活性成分のためのビヒクル、担体または媒体として働く、固体、半固体または液体材料であってよい。したがって、組成物は、錠剤、丸薬、粉末、ロゼンジ、サシェ、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁液、乳濁液、溶液、シロップ、エアロゾル(固体としてまたは液体媒体中)、軟膏、軟質および硬質ゼラチンカプセル、坐剤、無菌の注射液を含む注射液、および無菌の包装粉末の形態であってよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は液体形態である。液体形態には、非限定的な例として、乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ、スラリー、分散液、コロイドなどが含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、液体、半固体または固体(例えば、粉末)の形態である。ある実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、半固体形態、例えば、ゲル、ゲルマトリックス、クリーム、ペーストなどである。いくつかの実施形態では、半固体形態は液体ビヒクルを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含むことができる。本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」は、医薬投与に適合する、あらゆるすべての溶媒、賦形剤、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸着遅延剤などを含むことが意図される。医薬製剤は十分に確立された技術であり、例えば、Gennaro (ed.), Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th ed., Lippincott, Williams & Wilkins (2000) (ISBN: 0683306472); Ansel et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 7th Ed., Lippincott Williams & Wilkins Publishers (1999) (ISBN: 0683305727);およびKibbe (ed.), Handbook of Pharmaceutical Excipients American Pharmaceutical Association, 3rd ed. (2000) (ISBN: 091733096X)にさらに記載されている。従来の任意の媒体または薬剤は、それらが活性化合物と不適合である場合を除いて、本発明の組成物で使用することができる。補足的な活性化合物も組成物に組み込むことができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、組成物は、患者への経口投与または他の投与のための単位用量製剤である。「単位剤形(unit dosage form)」という用語は、ヒト対象および他の哺乳動物のための単位投薬量(unitary dosage)として適切な物理的に別個の単位を指し、各単位は、適切な医薬賦形剤と共に、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性物質を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、スティックパック(例えば、Unistick(登録商標))またはサシェなどの単位用量包装中にある。スティックパック(例えば、Unistick(登録商標))を使用すると、コルチコステロイド組成物で生じやすい変色の問題がさらに回避される。
【0035】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物または単位剤形は、乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ、スラリー、分散液、コロイド、カプセル、ゲルカプセル、半固体、固体形状のゲル、ゲルマトリックス、クリーム、ペースト、錠剤、顆粒、サシェ、粉末などとして投与される。ある態様では、一回投与当たり一日に約0.000001mg~約2000mg、約0.00001mg~約1000mg、または約0.0001mg~約500mg、約0.001mg~約100mg、約0.005mg~約20mg、約0.01mg~約10mg、約0.05mg~約5mg、または約0.1mg~約1mgのコルチコステロイドが個体に投与される。
【0036】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物または単位剤形は、0.001%~約5%w/wの抗酸化剤、または約0.005~約1%w/wの抗酸化剤、または約0.01~約0.5%w/wの抗酸化剤、または約0.05%~約0.25%w/wの抗酸化剤、または約0.1%w/wの抗酸化剤を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、保管時に酸素の存在下で実質的に分解および/または変色しない医薬組成物を提供し、この医薬組成物は以下を含む:
a.治療的有効量のコルチコステロイド、
b.アスコルビン酸と薬学的に許容されるアスコルビン酸塩との組合せ、
c.エデト酸塩、
d.クエン酸塩、
e.ポリソルベート80、
f.保存剤、
g.任意選択的な香味剤
h.任意選択的な甘味料、および
I.液体ビヒクル。
【0038】
いくつかの実施形態では、保管時に酸素の存在下で実質的に分解および/または変色しない医薬組成物を提供し、この医薬組成物は以下を含む:
a.約0.02mg/mL~約0.75mg/mLの量のブデソニド、
b.約0.01mg/mL~約2.5mg/mLの量の、アスコルビン酸と薬学的に許容されるアスコルビン酸塩との組合せ、
c.約0.05mg/mL~約25mg/mLの量のエデト酸塩、
d.約0.1mg/mL~約30mg/mLの量のクエン酸塩、
e.0.05mg/mL~約1mg/mLの量のポリソルベート80、
f.保存剤、
g.香味剤、甘味料、またはそれらの組合せ、および
h.水性液体ビヒクル。
【0039】
いくつかの実施形態では、保管時に酸素の存在下で実質的に分解および/または変色しない医薬組成物を提供し、この医薬組成物は以下を含む:
a.約0.001%~約0.1%w/wの量のブデソニド、
b.約0.005%~約0.25%w/wの量の、アスコルビン酸と薬学的に許容されるアスコルビン酸塩との組合せ、
c.約0.005%~約1%w/wの量のエデト酸塩、
d.約0.01%~約1%w/wの量のクエン酸塩、
e.0.001%~約0.01%w/wの量のポリソルベート80、
f.保存剤、
g.香味剤、甘味料、またはそれらの組合せ、および
h.水性液体ビヒクル。
【0040】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物の望ましい特性を達成するために特定のpHが求められる。組成物において保存剤の安息香酸ナトリウムが抗菌保存剤として使用される1つの非限定的な例において、組成物のpHが低いほど保存剤の効力が高くなることが観察されている。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は酸性pH、すなわち約7未満のpHを有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約3と約6の間、または約4と約5.2の間のpHを有する。
【0041】
本組成物に適した抗酸化剤の選択は熟考したものであり、本製剤、投与方法、および患者群に特有の多くの要因に依存する。例えば、食道などの消化管の炎症性疾患および症状を患っている多くの対象は、アレルギー反応を起こしやすい。患者においてアレルギー反応を引き起こす可能性のある抗酸化剤を避けるように注意を払う必要がある。さらに、特にブデソニドなどのコルチコステロイドは苦い味がするため、不快な味をマスキングし、口当たりの良い製剤になるように注意する必要がある。したがって、それ自体が不快な味を有する抗酸化剤は避けるべきである。アスコルビン酸とアスコルビン酸塩との組合せは、非アレルギー性であり、口当たりが良く、さらには製剤を酸化分解から保護する望ましい効果をもたらすことがわかっている。
【0042】
本出願はまた、治療的有効量のコルチコステロイドおよび抗酸化剤を含む医薬組成物を含む1つまたは複数の容器を含む、例えば、消化管(例えば食道)の炎症性疾患および状態の症状またはそれに関連する炎症の処置、予防または軽減に有用な医薬キットも包含する。そのようなキットは、当業者に容易に明らかとなるように、必要に応じて、例えば、1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含む容器、追加の容器など、1つまたは複数の様々な従来の医薬キットの構成要素をさらに含むことができる。添付文書(insert)またはラベルとして、投与される成分の量、投与のガイドライン、および/または成分を混合するためのガイドラインを示す説明書もキットに含めることができる。
【0043】
送達デバイスは、本発明の医薬組成物を送達するためだけでなく、保管のための適切な環境を提供するためにも重要である。これは、微生物汚染や化学分解からの保護を含む。潜在的な浸出または吸着を回避するために、デバイスと製剤は適合するものでなければならない。送達デバイス(またはその包装)は、任意選択で、例えば経口で組成物を使用すべきであることを示す、ラベルおよび/または使用説明書を備えていてもよい。
【0044】
処置方法
別の態様では、治療的有効量のコルチコステロイドおよび抗酸化剤を含む医薬組成物を投与することを含む、消化管(例えば食道)の炎症性疾患および状態の症状およびそれに関連する炎症を処置、予防、または軽減する方法を提供する。一実施形態では、投与される医薬組成物は、酸素の存在下で実質的に分解しない。一実施形態では、医薬組成物は経口投与される。別の実施形態では、消化管の炎症は食道の炎症である。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物の投与は、好酸球性食道炎、食道に関与する炎症性腸疾患、クローン病、セリアック病、近位胃腸病態(例えば、機能低下性胆嚢を患う個体における)、好酸球性胃腸炎、好酸球性十二指腸炎、十二指腸好酸球増加症、機能性消化不良、中間食道炎(intermediate esophagitis)、腐食性/刺激性摂取に続発する食道炎、腐食性/刺激性摂取を含めて任意の原因の持続性/再発性食道狭窄、錠剤誘発性食道炎、全身性疾患、先天性疾患、術後炎症、中間食道炎、上皮過形成、基底細胞過形成、細長い乳頭、乳頭の拡張血管、真菌性食道炎(例えば、カンジダ、トルロプシス、ヒストプラスマ、アスペルギルスなど)、ウイルス性食道炎(例えば、HSV、CMV、V2V)、細菌性食道炎(例えば、結核、放線菌症、梅毒)、腐食性食道炎、放射線食道炎、化学療法食道炎、移植片対宿主病、食道病変を伴う皮膚疾患(例えば、水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、表皮水疱症、スティーブンス・ジョンソン症候群)、ベーチェット病、サルコイドーシス、特発性食道炎、好酸球性胃炎、メネトリエ病、寄生虫性胃炎、リンパ球性食道炎、炎症性腸疾患関連食道炎、寄生虫性胃炎、または胃腸炎と診断された個体に対するものである。ある実施形態では、個体は好酸球性食道炎を患っている。一部のある実施形態では、個体は、胃食道逆流症(GERD)、非びらん性逆流症(NERD)、またはびらん性食道炎と診断されている。いくつかの実施形態では、消化管の炎症は、胃および/または小腸の炎症、例えば胃腸炎である。一実施形態では、消化管の炎症は、好酸球性食道炎(EEまたはEoE)である。
【0046】
ある実施形態では、消化管の炎症に関連する炎症または症状の処置、予防または軽減のために医薬組成物を投与される個体は、子供または幼児である。様々な実施形態において、子供または幼児は、16歳未満、12歳未満、8歳未満、6歳未満、4歳未満または2歳未満である。
【実施例
【0047】
実施例1:さまざまな濃度での抗酸化剤の効果の評価
アスコルビン酸塩の効果を、さまざまな濃度レベル(0.005%~0.25%w/w)で評価した。様々な量のアスコルビン酸塩を含むまたは含まない本明細書に記載の例示的な組成物の安定性データを表1および図1に示す。ブデソニド製剤(MB-9およびMB-9 w/アスコルビン酸塩)の比較を以下の表1に示す。
【表1】
【0048】
図1に示すように、製剤中の0.05%~0.25%w/wの間のアスコルビン酸とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せで、21-DHBの有意な減少が観察された。
【0049】
組成物の経時的な変色(観察された色の変化)があり、これは製剤中のアスコルビン酸の存在に起因する可能性がある。アスコルビン酸のレベルの増大および保管温度の上昇とともに、変色速度が高まる。21-DHBの出現率を有意に低減させることの要求と変色の程度を最小限に抑える必要性とに基づいて、アスコルビン酸とアスコルビン酸塩との組合せを0.1%w/wの濃度で含む製剤を選択し、さらなる研究のために使用した。
* * *
【0050】
本発明の範囲および精神から逸脱することなく上記の主題に様々な変更を加えることができるため、上記の説明に含まれる、または添付の特許請求の範囲に規定されるすべての主題は、本発明の説明および例示と解釈されることが意図されている。上記の教示を考慮して、本発明の多くの修正および変更が可能である。したがって、本説明は、添付の特許請求の範囲に含まれるそのようなすべての代替、修正、および変形を包含することが意図されている。
【0051】
本明細書で引用されるすべての特許、出願、出版物、試験方法、文献、および他の資料は、本明細書に物理的に存在するかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
最後に、本発明の好ましい実施態様を項分け記載する。
実施態様1]
コルチコステロイドおよび抗酸化剤を含む医薬組成物であって、前記抗酸化剤はアスコルビン酸とアスコルビン酸の薬学的に許容される塩との組合せを含み、酸素の存在下で実質的に分解しない医薬組成物。
[実施態様2]
1ヶ月の保管後に、酸化分解により形成された不純物を実質的に含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
[実施態様3]
1ヶ月の保管後に実質的に変色していない、請求項2に記載の医薬組成物。
[実施態様4]
2ヶ月の保管後に、酸化分解によって形成された不純物を実質的に含まず、かつ実質的に変色していない、請求項1~3のいずれかに記載の医薬組成物。
[実施態様5]
3ヶ月の保管後に、酸化分解によって形成された不純物を実質的に含まず、かつ実質的に変色していない、請求項1~4のいずれかに記載の医薬組成物。
[実施態様6]
2ヶ月の保管後に、酸化分解により形成された不純物を0.2%未満しか含まない、請求項1~5のいずれかに記載の医薬組成物。
[実施態様7]
前記コルチコステロイドがブデソニドである、請求項1~6のいずれかに記載の医薬組成物。
[実施態様8]
前記コルチコステロイドがブデソニドであり、前記抗酸化剤がアスコルビン酸とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せである、請求項1~7のいずれかに記載の医薬組成物。
[実施態様9]
前記コルチコステロイドがブデソニドであり、前記抗酸化剤がアスコルビン酸とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せであり、酸化分解により形成される不純物が21-デヒドロブデソニドを含む、請求項2~8のいずれかに記載の医薬組成物。
[実施態様10]
約4と約5.2の間のpHを有する、請求項1~9のいずれかに記載の医薬組成物。
[実施態様11]
保存剤をさらに含む、請求項1~10のいずれかに記載の医薬組成物。
[実施態様12]
前記保存剤が安息香酸ナトリウムおよびソルビン酸カリウムから選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
[実施態様13]
アスコルビン酸とアスコルビン酸塩との組合せが、組成物の約0.01%~約0.5%w/wの量で存在する、請求項1~12のいずれかに記載の医薬組成物。
[実施態様14]
必要とする対象における消化管の炎症性疾患および状態の症状およびそれに関連する炎症を処置、予防、または軽減する方法であって、コルチコステロイドおよび抗酸化剤を含む医薬組成物を前記対象に投与することを含み、前記抗酸化剤はアスコルビン酸とアスコルビン酸の薬学的に許容される塩との組合せを含む、方法。
[実施態様15]
前記コルチコステロイドがブデソニドである、請求項14に記載の方法。
[実施態様16]
前記コルチコステロイドがブデソニドであり、前記抗酸化剤がアスコルビン酸とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せである、請求項14または15に記載の方法。
[実施態様17]
前記対象が16歳未満である、請求項14~16のいずれかに記載の方法。
[実施態様18]
前記対象が12歳未満である、請求項14~17のいずれかに記載の方法。
[実施態様19]
消化管の炎症性疾患および状態の症状およびそれに関連する炎症を処置、予防または軽減する方法が、食道の炎症性疾患および状態の症状およびそれに関連する炎症を処置する方法である、請求項14~18のいずれかに記載の方法。
[実施態様20]
食道の炎症性疾患が好酸球性食道炎である、請求項14~19のいずれかに記載の方法。
[実施態様21]
必要とする対象における消化管の炎症性疾患および状態の症状およびそれに関連する炎症を処置、予防、または軽減するためのキットであって、コルチコステロイドおよび抗酸化剤を含む医薬組成物を含み、前記抗酸化剤はアスコルビン酸とアスコルビン酸の薬学的に許容される塩との組合せを含み、前記医薬組成物は酸素の存在下で実質的に分解しない、キット。
[実施態様22]
前記コルチコステロイドがブデソニドであり、前記抗酸化剤がアスコルビン酸とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せである、請求項21に記載のキット。
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図1