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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】血管穿刺部を密封するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
A61B17/00 500
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020540759
(86)(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 US2019015170
(87)【国際公開番号】W WO2019147950
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-25
(31)【優先権主張番号】62/623,350
(32)【優先日】2018-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507343626
【氏名又は名称】アクセスクロージャー,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ジョー、 ウェスレー、 チュン
(72)【発明者】
【氏名】アヴス、 スラヴァンティ
(72)【発明者】
【氏名】ガイヤー、 カート、 ディー.
(72)【発明者】
【氏名】レップ、 リチャード
(72)【発明者】
【氏名】シュニッツァー、 マーティン
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-508618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿刺部を閉鎖するためのシステムであって、
密封材と、
前記密封材に対して軸方向に移動可能な密封材スリーブであって、前記密封材が密封材スリーブ内に配置されている密封材スリーブと、
前記密封材スリーブの近位セクションに連結されているプルラックと、
前記密封材スリーブ内で前記密封材の近位に配置されている支持部材と、
前記支持部材の近位セクションに連結されているプッシュラックと、
アームと、前記アームの端部にあるプッシュラック係合部とを含むプッシュラックロックであって、前記プッシュラック係合部が前記プッシュラックに接触して前記プッシュラックの遠位側への移動を防止するロック位置と、前記プッシュラック係合部が前記プッシュラックから横方向に離間して前記プッシュラックの遠位側への移動を可能にするロック解除位置とを有するプッシュラックロックと
を含み、
前記プッシュラックロックは、前記プルラックの近位側への移動時に、前記ロック位置から前記ロック解除位置に移動可能である、システム。
【請求項2】
前記プッシュラックロックを前記ロック位置から前記ロック解除位置に移動させても、前記プッシュラック及び前記支持部材は、前記密封材に向かって遠位側に自動的に移動しない、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ロック解除位置、部分作動位置、及び完全作動位置を有する配備アクチュエータをさらに含み、
前記配備アクチュエータは、前記プルラックを近位側に駆動するプルラック作動面と、前記プッシュラックを遠位側に駆動するプッシュラック作動面とを有し、
前記配備アクチュエータは、前記ロック解除位置から前記部分作動位置に移動するときに前記プルラックを近位側に移動させ、
前記配備アクチュエータは、前記ロック解除位置から前記部分作動位置に移動すると前記プッシュラック作動面で前記プッシュラックに接触し、
前記配備アクチュエータは、前記部分作動位置から前記完全作動位置に移動するときに前記プッシュラックを遠位側に移動させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プッシュラックは、前記配備アクチュエータが前記ロック解除位置及び前記部分作動位置にあるとき、実質的に同じ位置にある、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記プッシュラックは、前記配備アクチュエータが完全作動位置にあるときに、前記配備アクチュエータが部分作動位置にあるときのその位置と比較して遠位側に配置される、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは配備前形態、部分配備形態、及び完全配備形態を有し、
前記配備前形態において、前記密封材は前記密封材スリーブ内に配置され、前記プッシュラックロックは前記ロック位置にあり、
前記部分配備形態において、前記密封材スリーブは前記密封材から少なくとも部分的に後退し、前記プッシュラックロックは前記ロック解除位置にあり、
前記完全配備形態において、前記密封材スリーブは前記密封材から完全に後退し、前記プッシュラックは遠位側に移動することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プルラックの近位側への移動を防止するロック位置と、前記プルラックが近位側に移動可能なロック解除位置とを有するプルラックロックをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プッシュラック係合部がラッチを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記プッシュラックロックが前記ロック位置にあるときの前記プッシュラックの位置と前記プッシュラックロックが前記ロック解除位置にあるときの前記プッシュラックの位置とが同じである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記支持部材の内腔及び前記密封材の内腔を通って延びる細長い部材と、前記細長い部材の遠位セクションにあり、半径方向に拡張した形態と半径方向に収縮した形態との間で動かすことができる位置決め要素とをさらに含み、
前記半径方向に拡張した形態において、前記位置決め要素は前記システムを位置決めするために血管壁に接触し、
前記半径方向に収縮した形態において、前記位置決め要素は前記細長い部材を引き抜くことによって前記密封材を通して後退させることができる、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載されるデバイス及び方法は、プラグ又は密封材を用いて血管穿刺部を密封するために有用であり得る。
【0002】
関連出願への相互参照
本出願は、「血管穿刺部を密封するための装置及び方法」という発明の名称で2018年1月20日に出願された米国仮特許出願第62/623,350号の利益を主張するものであり、当該米国仮特許出願の全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
いくつかの診断的又は治療的処置は、患者の脈管構造へのアクセスを必要とする(例えば、画像撮影、血管形成、ステント送達、その他)。経皮的に患者の脈管構造にアクセスするために、患者の組織を貫通する穿刺部が形成されることがあり、すなわち、穿刺部が組織を貫通して形成されることがある。診断的又は治療的処置の完了後、穿刺部は、(例えば、手で及び/又は砂袋を用いて)外圧を加える、締め付ける、縫合する、及び/又は金属インプラント、プラグ、又は密封材を送達するなど、様々な機械的又は生物学的な解決法によって閉鎖することができる。しかしながら、これらの閉鎖処置の多くは、時間がかかり、費用がかかり、患者にとって不快であり、患者を長時間にわたって手術室、カテーテル室、又は待機場所で動かないようにする必要がする。さらに、これらの長時間にわたる閉鎖処置のいくつかは、止血前の出血による血腫のリスクを高める可能性がある。
【0004】
金属インプラント、プラグ、密封材、又は他の適切な密封部材を用いて穿刺部を閉鎖するとき、医療専門家は、血管閉鎖デバイスを使用して密封部材を配置及び配備することができる。デバイスは、シース及び支持部材を含むことができる。密封材は、シース又は他の保護部材の内部に配置することができる。シースは、穿刺部で密封材を露出するために近位側に移動することができる。支持部材は、密封材をタンピングするために遠位側に移動することができる。しかし、密封材を時期尚早にタンピングすると、密封材がシース内に詰まることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載されるデバイスは、穿刺部に密封材を配備するために使用され得る。これらのデバイスは、密封材スリーブと支持部材とを含むことができる。デバイスの通常の動作中、密封材は、初めは密封材スリーブのような保護部材内に配置され得る。密封材スリーブは、穿刺部で密封材を露出するために引き出すことができる。支持部材は、密封材を圧縮するために前進させることができる。密封材が詰まるのを防ぐために、支持部材を前進させる前に、密封材の少なくとも一部が穿刺部で露出することが好ましい。
【0006】
本明細書に記載されるデバイスは、プルラック及びプッシュラックを含むハンドルを含むことができる。密封材スリーブは、プルラックから遠位側に延びることができる。支持部材はチューブであることができ、プッシュラックから遠位側に延びることができる。プルラック及びプッシュラックは、密封材スリーブ及び支持部材の移動を制御するためにデバイスの他の構成要素と相互作用することができる。
【0007】
本明細書に記載されるデバイスは、密封材が少なくとも部分的に露出した後の支持部材の前進を可能にしながら、支持部材の早過ぎる前進を防ぐための解除可能なロックを含むことができる。支持部材に加えられた遠位側への力がロックを解除しないように、支持部材の遠位側への移動とロックの解除とを切り離すことが有益であり得る。例えば、いくつかの実施態様において、密封材スリーブの近位側への移動はロックを解除することができ、それにより支持部材が遠位側に移動することを可能にする。
【0008】
本明細書に記載されるデバイスの別の利点は、ロックが解除されるときに滑らかな力の推移を提供するそれらの能力である。ユーザがロックを外すときに突然の力の増加を経験した場合、ユーザは、単にプッシュラック及び/又は支持部材からロックを外すための作動力を経験しているだけかもしれないときに、密封材スリーブ及び/又は支持部材に関連するアクチュエータを完全に作動させたと誤って信じる可能性がある。
【0009】
本明細書に記載されるデバイスの別の利点は、ロックが解除される前に密封材の所望の割合を露出するようにデバイスを設計し、支持部材が前進して密封材をタンピングするときにスリーブが後退する追加の距離及び割合を制御し続ける能力である。
【0010】
本明細書に記載されるデバイスの別の利点は、支持部材及びプッシュラックが密封材に対して実質的に付勢されないことである。言い換えれば、デバイスは、プッシュラックを遠位側に付勢するためのばねを必要としない。したがって、プッシュラックロックを解除しても、プッシュラックが必ずしも密封材に向かって遠位側に移動しない。アクチュエータは、プッシュラックの遠位側への移動を制御することができ、これにより、ユーザは、プッシュラックの前進のタイミング及び速度をより制御することができる。さらに、プッシュラックがプッシュラックロックに向かって付勢されていなくても、プッシュラックロックはロック位置を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】密封材を送達するためのデバイスの斜視図である。
【0012】
図2A図1のデバイスのプルラック、密封材スリーブ、及びコネクタの斜視図である。
【0013】
図2B図2Aのプルラック、密封材スリーブ、及びコネクタの側面図である。
【0014】
図3図1のデバイスのプッシュラック及び支持部材の斜視図である。
【0015】
図4A図1のデバイスのフレームの斜視図である。
【0016】
図4B図4Aのフレームの上面図である。
【0017】
図4C図4Aのフレームの断面図である。
【0018】
図5A】位置決め形態にある図1のデバイスの上面図である(配備アクチュエータ、シースアダプタ、及び外側ハウジングの半分は示されていない)。
【0019】
図5B】位置決め形態にある図1のデバイスの側面図である(シースアダプタ及び外側ハウジングの半分は示されていない)。
【0020】
図5C】位置決め形態にある図1のデバイスの遠位セクションの断面図である。
【0021】
図5D】近位セクション及び遠位セクションを有する密封材の実施形態を示す、位置決め形態にある図1のデバイスの遠位セクションの断面図である。
【0022】
図6A】配備前形態にある図1のデバイスの上面図である(配備アクチュエータ、シースアダプタ、及び外側ハウジングの半分は示されていない)。
【0023】
図6B】配備前形態にある図1のデバイスの側面図である(シースアダプタ及び外側ハウジングの半分は示されていない)。
【0024】
図6C】配備前形態にある図1のデバイスの遠位セクションの断面図である。
【0025】
図7A】部分配備形態にある図1のデバイスの上面図である(配備アクチュエータ、シースアダプタ、及び外側ハウジングの半分は示されていない)。
【0026】
図7B】部分配備形態にある図1のデバイスの側面図である(シースアダプタ及び外側ハウジングの半分は示されていない)。
【0027】
図7C】部分配備形態にある図1のデバイスの遠位セクションの断面図である。
【0028】
図8A】完全配備形態にある図1のデバイスの上面図である(配備アクチュエータ、シースアダプタ、及び外側ハウジングの半分は示されていない)。
【0029】
図8B】完全配備形態にある図1のデバイスの側面図である(シースアダプタ及び外側ハウジングの半分は示されていない)。
【0030】
図8C】完全配備形態にある図1のデバイスの遠位セクションの断面図である。
【0031】
図9図1のデバイスの配備アクチュエータの斜視図である。
【0032】
図10図1のデバイスの斜視図である(外側ハウジングとフレームは示されていない)。
【発明を実施するための形態】
【0033】
閉鎖システム1は、図1及び図5A図8Cに示されている。閉鎖システム1は、密封材2と、密封材2を送達するためのデバイス100とを含むことができる。デバイス100は、外側ハウジング112(ハンドルとも呼ばれる)内にスライド可能に配置されているプルラック120及びプッシュラック140を含む。デバイス100はまた、外側ハウジング112内にスライド可能に配置されているフレーム114を含むことができる。密封材スリーブ130が、プルラック120から遠位側に延びることができる。支持部材150が、プッシュラック140から遠位側に延びることができる。支持部材150は、密封材スリーブ130内に挿入することができる。密封材2は、密封材スリーブ130内で支持部材150より遠位に配置することができる。デバイス100は、押し下げられるか又は他の方法で作動されると密封材2を露出及び/又はタンピングする配備アクチュエータ170を含むことができる。デバイス100は、デバイスが処置シースと連動することを可能にするシースアダプタ106を含むことができる。デバイス100は、密封材2を露出する前にデバイス100を位置決めするために細長い部材102及び位置決め要素104を含むことができる。デバイス100はまた、位置決め要素104及び細長い部材102を支持部材150に対して後退させ、密封材2を通して位置決め要素104及び細長い部材102を引き抜く後退アクチュエータ180を含むことができる。デバイス100は、外側ハウジング112、配備アクチュエータ170、後退アクチュエータ180、プルラック120、プッシュラック140、及び/又はフレーム114の互いに対する又はデバイス100内の他の構成要素に対する意図しない動きを防止するために様々な特徴(後述する)を含むことができる。
【0034】
デバイス100は、図2A図2Bに示すプルラック120及び密封材スリーブ130を含むことができる。密封材スリーブ130は、近位セクション131、遠位セクション132、及び内腔133を有する管状部材であることができる。密封材スリーブ130は、図1に示すように、デバイス100の縦軸3に沿って延びることができる。密封材2は、密封材スリーブ130の内腔133、好ましくは遠位セクション132に配置することができる。密封材スリーブ130の遠位セクション132は、密封材2を囲むように、遠位端において丸みを付けるか又は先細りにすることができる。密封材スリーブ130の近位セクション131は、プルラック120が密封材2から離れるように近位側に移動すると、密封材スリーブ130も近位側に移動し、それにより密封材2を露出するように、プルラック120に連結することができる。例示的な一実施形態において、図2A図2Bは、コネクタ138を用いてプルラック120に間接的に連結された密封材スリーブ130を示す。しかしながら、プルラック120及び密封材スリーブ130は、当技術分野で知られている様々な技術を用いて、一体的に形成するか、直接連結するか、又は間接的に連結することができる。プルラック120は、外側ハウジング112内にスライド可能に配置することができる。プルラック120は、配備アクチュエータ170(後述する)と係合可能な作動機構121(図2A図2Bに作動溝121として示す)と、プッシュラックロック160(後述する)と係合可能なプッシュラックロック解除機構123(図2A図2Bにプルラック120から突出する壁123として示す)とを有する。
【0035】
デバイス100は、図3に示すプッシュラック140及び支持部材150を含むことができる。支持部材150は、管状部材であることができる(またタンプチューブ又はタンピング部材と呼ぶことができる)。支持部材150は、近位セクション151と、遠位セクション152と、内腔153とを有する。支持部材150は、図1に示すように、デバイス100の縦軸3に沿って延びることができる。支持部材150の遠位セクション152は、密封材スリーブ130の内腔133内で、密封材2の近位にスライド可能に配置することができる。支持部材150は、密封材スリーブ130を引き抜くときに密封材2が近位側に移動するのを防ぐことができる。支持部材150の近位セクション151は、プッシュラック140が密封材2に向かって遠位側に移動するときに支持部材150も遠位側に移動し、それにより密封材2をタンピング又は圧縮するように、プッシュラック140に連結することができる。例示的な実施形態において、図3は、支持部材150に直接連結されているプッシュラック140を示す。しかしながら、プッシュラック140及び支持部材150は、当技術分野で知られている様々な技術を用いて、一体的に形成するか、直接連結するか、又は間接的に連結することができる。プッシュラック140は、外側ハウジング112内にスライド可能に配置することができる。プッシュラック140は、配備アクチュエータ170と係合可能な作動機構143(図3に作動傾斜面143として示す)と、プッシュラックロック160(後述する)と係合可能なプッシュラックロック係合機構144(図3にラッチ接触面144として示す)とを有することができる。プッシュラックロック係合機構144は、プッシュラックロック160と係合する遠位側面を有することができる。
【0036】
デバイス100は、図9に示す配備アクチュエータ170を含むことができる。配備アクチュエータ170は、プルラック120(及び密封材スリーブ130)を近位側に動かしかつ/又はプッシュラック140(及び支持部材150)を遠位側に動かすように作動可能であることができる。配備アクチュエータ170は、ロック位置、ロック解除位置、部分作動位置、及び完全作動位置を有することができる。配備アクチュエータ170は、外側ハウジング112の軸方向移動が配備アクチュエータ170の軸方向移動をもたらすように、外側ハウジング112に連結することができる。配備アクチュエータ170は、作動時に外側ハウジング112に対して移動可能であることができる。
【0037】
デバイス100は、図4A図4Cに示すように、フレーム114を含むことができる。フレーム114(内側フレームとも呼ばれる)は、外側ハウジングの内部に配置され、外側ハウジング112に対して軸方向に移動可能であることができる。フレーム114は、外側ハウジング112をフレーム114に対して近位側に移動することによって外側ハウジング112をプルラック120及びプッシュラック140に対しても近位側に移動するように、初めはプルラック120及びプッシュラック140と係合することができる。図5Bに示すばね101は、フレーム114を外側ハウジング112及び配備アクチュエータ170に対して近位側に付勢する付勢力を加えるためにデバイス100内に設けることができ、したがって、ばね101は、外側ハウジング112及び配備アクチュエータ170をフレーム114に対して遠位側に付勢する付勢力も加える。フレーム114は、配備アクチュエータ170の一部と係合可能であることができる配備機構115(例えば、スロット又は溝)を含むことができる。
【0038】
配備アクチュエータ170は、図9に押し下げ可能なボタンとして示されているが、代わりに、スライド可能なボタン、レバー、回転ノブ、ホイール、又はプルラック120を近位側に動かし、プッシュラック140を遠位側に動かすことができる他のあらゆるアクチュエータであることができる。配備アクチュエータ170は、配備アクチュエータ170の作動を選択的に防止する(又は可能にする)アクチュエータロック面171を有することができる。図9において、アクチュエータロック面171はピンとして示されているが、フレーム114の溝115と選択的に係合して配備アクチュエータ170の作動を選択的に可能にする(又は防止する)あらゆる突出部又は他の機構であることができる。配備アクチュエータ170は、プルラック120を近位側に駆動するプルラック作動面172を有することができる。図9において、プルラック作動面172は、プルラック120の溝121に選択的に係合してプルラック120を近位側に動かすピンとして示されている。配備アクチュエータ170は、プッシュラック140を遠位側に駆動するプッシュラック作動面173を有することができる。図9において、プッシュラック作動面173は、プッシュラック140の作動傾斜面143に選択的に係合してプッシュラック140を遠位側に動かす壁として示されている。
【0039】
配備アクチュエータ170は、図5Bに示すロック位置で提供することができ、ロック位置において、配備アクチュエータ170の作動は防止される。配備アクチュエータ170は、フレーム114に接触して作動を防止することができる。より具体的には、アクチュエータロック面171は、フレーム114の表面に載置することができ(言い換えれば、アクチュエータロック面171は、フレーム114の溝115からずらすことができ)、それによりユーザが配備アクチュエータ170を作動させるのを防ぐ。配備アクチュエータ170のプッシュラック作動面173は、プッシュラックの作動傾斜面143から離間することができる。
【0040】
配備アクチュエータ170が図6Bに示すロック解除位置にあるとき、配備アクチュエータ170は作動可能であることができる。配備アクチュエータ170は、フレーム114に対して移動可能であることができる。より具体的には、アクチュエータロック面171は、フレーム114の溝115の開口部に配置することができ、フレーム114の溝115と位置合わせされて、配備アクチュエータ170の作動を可能にすることができる。配備アクチュエータ170のプッシュラック作動面173は、プッシュラックの作動傾斜面143から離間することができる。配備アクチュエータ170がロック位置にあるときのそれぞれの位置と比較して、外側ハウジング112及び配備アクチュエータ170は、配備アクチュエータ170がロック解除位置にあるとき、フレーム114、プルラック120、及びプッシュラック140に対してわずかに近位側に配置され得る。
【0041】
配備アクチュエータ170が図7Bに示す部分作動位置(部分押し下げ位置とも呼ばれる)にあるとき、アクチュエータロック面171はフレーム114の溝115に配置され得る。配備アクチュエータ170のプッシュラック作動面173は、プッシュラック140の作動傾斜面143と接触することができる。配備アクチュエータ170が作動すると、アクチュエータロック面171は、フレーム114の溝115に沿って移動することができる。
【0042】
配備アクチュエータ170が図8Bに示す完全作動位置(完全押し下げ位置とも呼ばれる)にあるとき、アクチュエータロック面171はフレーム114の溝115に配置され得る。配備アクチュエータ170が完全作動位置にあるとき、アクチュエータロック面171は、配備アクチュエータ170が部分作動位置にあるときのその位置と比較して、フレーム114の溝115の開口部からより遠くに配置され得る。配備アクチュエータ170のプッシュラック作動面173は、プッシュラック140の作動傾斜面143と接触することができ、プッシュラック作動面173は、配備アクチュエータ170が部分作動位置にあるときのその位置と比較して、プッシュラック140の傾斜面143のさらに下に配置され得る。
【0043】
デバイス100は、ロック位置とロック解除位置との間で移動可能なプルラックロックを有することができる。ロック位置では、プルラックロックは、プルラック120と係合して、プルラック120の近位側への移動を防止することができる。ロック解除位置では、プルラックロックは、プルラック120から離間することができ、プルラック120及び密封材スリーブ130は、密封材2を露出するために、外側ハウジング112、フレーム114、及び/又はプルラックロックに対して近位側に移動可能であることができる。プルラックロックは、初めはロック位置で提供することができる。配備アクチュエータ170をロック位置からロック解除位置に移動することによって、プルラックロックもロック位置からロック解除位置に移動することができる。図9に示す実施形態において、配備アクチュエータ170がロック位置にあるとき、プルラック作動面172がプルラック120の近位側面に接触し、それによりプルラックの近位側への移動を防止するため、配備アクチュエータ170のプルラック作動面172はプルラックロックとしても機能し得る。
【0044】
デバイス100は、ロック位置とロック解除位置との間で撓むか又は他の方法で移動可能な、図4A図4Cに示すプッシュラックロック160を有することができる。プッシュラックロック160は、プッシュラック係合部164を有することができる。図5A図5Bに示すロック位置では、プッシュラックロック160は、プッシュラック140と係合して、プッシュラック140及び支持部材150の遠位側への移動を防止することができる。具体的には、プッシュラックロック160のプッシュラック係合部164は、プッシュラック140のラッチ接触面144に接触することができる。図7A図7Bに示すロック解除位置では、プッシュラックロック160は、プッシュラック140及び支持部材150がプッシュラックロック160に対して遠位側に移動可能であるように、プッシュラック140から離間することができる。
【0045】
プッシュラックロック160は、遠位側への力が時期尚早にプッシュラック140に加えられた場合に支持部材150の前進を防ぐために、初めはロック位置で提供することができる。例えば、プッシュラックロック160は、処置の前にデバイス100の出荷、取り扱い、及び準備中にロック位置にあることができる。プッシュラックロック160はまた、密封材2が穿刺部で少なくとも部分的に露出されるまで、処置の間、ロック位置にあることができる。プッシュラックロック160は、配備アクチュエータ170がロック位置とロック解除位置の両方にあるとき、ロック位置にあることができる。配備アクチュエータ170をロック解除位置から部分作動位置に移動することによって、プッシュラックロック160もロック位置からロック解除位置に移動することができる。プッシュラックロック160は、配備アクチュエータ170が部分作動位置にあるとき、ロック解除位置にあることができる。
【0046】
プッシュラックロック160がロック位置にあるとき、プッシュラックロック160は、好ましくは、プッシュラック140の軸方向の移動時に(又はプッシュラック140に軸方向の力を加えたときに)ロック位置に留まることができる。図2Aに示すプッシュラックロック解除機構123は、プッシュラックロック160をロック位置からロック解除位置に移動するために、プッシュラック140及びプッシュラックロック160に対して移動可能であることができる。プッシュラックロック解除機構123の軸方向(及び好ましくは近位側へ)の移動が、プッシュラックロック160の一部の横方向の動きを引き起こすことができる。プッシュラックロック160の一部の横方向の動きは、プッシュラックロック160のロックを解除することができ、それによりプッシュラック140の軸方向(及び好ましくは遠位へ)の移動を可能にする。図6A図7Bに示す実施形態において、プッシュラックロック解除機構123は、プルラック120の近位側への動きがプッシュラックロック160のロックを解除することができるように、プルラック120に含まれる。プッシュラックロック160がロック位置にあるとき、プルラック120は、プッシュラック140及びプッシュラックロック160に対して近位側に移動可能であることができる。プッシュラックロック160がロック解除位置にあるとき、プルラック120及びプッシュラック140は両方とも、プッシュラックロック160に対して軸方向に移動可能であることができる。プルラック120に含まれる代わりに、プッシュラックロック解除機構123は、配備アクチュエータ170、外側ハウジング112、及び/又はフレーム114を含む別の構成要素に含まれてもよい。プッシュラックロック160は、配備アクチュエータ170の作動及び/又はフレーム114の外側ハウジング112に対する移動時に、ロック位置からロック解除位置に移動することができる。デバイス100は、プッシュラックロック解除機構123の早過ぎる移動を防止又は制限する機構を含むことができる。例えば、プルラック120は、ロック位置に設けられたプルラックロックを有してもよく、配備アクチュエータ170は、ロック位置に設けられてもよく、及び/又はばね101は、フレーム114の外側ハウジング112に対する移動を制限してもよい。
【0047】
プッシュラック140及び支持部材150は、軸方向に実質的に付勢されないことができ、より具体的には、密封材2に対して実質的に付勢されないことができる。したがって、プッシュラックロック160をロック位置からロック解除位置に動かしても、プッシュラック140が密封材2に向かって遠位側に自動的に移動することはない。プッシュラック140は、配備アクチュエータ170が部分作動位置から完全作動位置に移動してプッシュラック140を前進させ始めるまで、プッシュラックロック160がロック解除される前後で同じ位置を維持することができる。プッシュラックロック160がロック位置からロック解除位置に移動した後、配備アクチュエータ170のさらなる移動がプッシュラック140を遠位側に移動することができる。
【0048】
プッシュラックロック160は、外側ハウジング112、フレーム114、配備アクチュエータ170、又はデバイス100の他の構成要素を含むがこれらに限定されない、デバイス100の様々な構成要素と一体的に形成する(又はデバイス100の様々な構成要素に連結する)ことができる。図4Aに示す一実施形態において、プッシュラックロック160は、フレーム114と一体的に形成される。
【0049】
図4A図4Cに示す実施形態において、プッシュラックロック160は、プルラック係合部163(図4A図4Cにアーム163として示す)と、プッシュラック係合部164(図4A~4Cにアーム163の一端の近くのラッチ164として示す)とを含むことができる。プッシュラック140のラッチ接触面144は、図3に示すように、突出部であることができる。図5A図5Bに示すように、プッシュラックロック160がロック位置にあるとき、プッシュラック140のラッチ接触面144は、ラッチ164と係合して、プッシュラック140の遠位側への移動を防止することができる。プッシュラックロック160は、ロック位置からロック解除位置に撓ませることができる。図7A図7Bに示すように、プッシュラックロック160がロック解除位置にあるとき、プッシュラック140のラッチ接触面144は、ラッチ164から離間又は係合解除することができ、プッシュラック140がラッチ164に対して遠位側に移動することを可能にする。プッシュラックロック160のロックを解除するために、プルラック120の壁123は、プッシュラックロック160のアーム163に沿ってスライドすることができ、これによりアーム163を撓ませ、ラッチ164を横方向に移動し、プッシュラック140のラッチ接触面144から離間又は係合解除させることができる。ラッチ164は、プッシュラック140のラッチ接触面144の少なくとも遠位側面に接触することができる。ラッチ164はまた、プッシュラック140の更なる面に接触することができる。例えば、ラッチ164はまた、プッシュラック140のラッチ接触面144の上向き面及び/又は下向き面に接触して、ラッチ164の動きを単一方向、好ましくはデバイス100の縦軸3に実質的に垂直な方向(半径方向又は横方向とも呼ばれる)にさらに制限することができる。図5Bに示す例示的な実施形態において、ラッチ164は、ラッチ164がラッチ接触面144と係合するときにラッチ164の移動が半径方向に制限されるように、スロットの近位端に開口部を有するU字形の溝又はスロットを含むことができる。
【0050】
使用中、配備アクチュエータ170を作動させると、プルラック120が近位側に移動し、プッシュラックロック160のロックを解除することができる。本明細書に記載されるデバイスの1つの利点は、プッシュラックロック160のロックを解除する間、配備アクチュエータ170の作動力が徐々に増加することである。プッシュラックロック160のアーム163の角度θ(図4B参照)は、作動力の漸進的な増加を保証することができる。アーム163の角度θは、縦軸3を通って延びる平面から測定することができ、約60°未満であることができる。別の実施形態において、角度θは、約45°未満、約40°未満、約35°未満、約30°未満、約25°未満、又は約20°未満であることができる。別の態様において、アーム163の角度θは、約10°と約60°との間、約20°と約45°との間、約25°と約40°との間、約30°と約40°との間、又は約32°と約36°との間であることができる。一実施形態において、プッシュラックロック160のアーム163の角度θは、約34°であることができる。
【0051】
アーム163の角度θが高すぎる場合、ユーザは、プルラック120が近位側に移動し、プッシュラックロック160がロック解除位置に移動するときに、配備アクチュエータ170の作動力の急激な増加を経験する可能性がある。しかしながら、アーム163の角度θが低すぎると、プルラック120に近位側への力が加えられた場合に、プッシュラック140の早過ぎる前進を防ぐのに十分な抵抗を提供しない可能性がある。したがって、デバイスは、(上述のように)プッシュラックロック解除機構123の早過ぎる移動を防止又は制限し、配備アクチュエータ170の過度に高い作動力を生成することなく、プッシュラックロック160の早過ぎる解除のリスクを最小限にする機能を含むことができる。例えば、プッシュラックロック解除機構123がプルラック120に設けられている場合、プルラックロックもまた、プッシュラックロック解除機構123の早過ぎる移動を制限又は防止する。配備アクチュエータ170の作動力は、約5Nから約40Nの間であり得る。別の態様において、作動力は、約10Nから約30Nの間、又は約15Nから約20Nの間であり得る。
【0052】
デバイス100はまた、密封材2を穿刺部に配置するための特徴を有することができる。例えば、デバイス100は、フレーム114に連結された細長い部材102を含むことができる。図5Cに示す細長い部材102は、図1に示すデバイス100の縦軸3に沿って延びることができる。細長い部材102は、支持部材150の内腔153及び密封材2の内腔を通って延びることができる。半径方向に拡張可能な位置決め要素104(例えば、バルーン、ワイヤーメッシュ又はフットプレートを含むが、これらに限定されない)を、細長い部材102の遠位セクションに設けることができる。図5Cに示すように、位置決め要素104の近位端は、細長い部材102に接続することができ、位置決め要素104の遠位端は、コアワイヤ103に接続することができる。コアワイヤ103は、デバイス100の縦軸3に沿って細長い部材102の内腔に延びることができ、位置決め要素104が半径方向に拡張した形態と半径方向に収縮した形態との間で動くときに軸方向に移動することができる。位置決め要素104は、半径方向に収縮した形態で血管内に挿入することができる。位置決め要素104が血管内にあるとき、位置決め要素104は、半径方向に拡張した形態に動かすことができ、デバイス100は、位置決め要素104が血管壁に接触するまで近位側に引き抜くことができ、デバイスが適切に位置決めされたことの触覚的な確認を提供することができる。位置決め要素104がバルーンである場合、バルーンを拡張させることによってバルーンを半径方向に拡張させた形態に動かすことができる。位置決め要素104を半径方向に拡張した形態に動かすことにより、コアワイヤ103を細長い部材102に対して近位側に移動することもできる。位置決め要素104が血管壁に接触すると、外側ハウジング112に近位側への力を加え続けることにより、ばね101を圧縮し、外側ハウジング112(及び配備アクチュエータ170)をフレーム114に対して近位側に移動し、フレーム114及び/又は細長い部材102に張力を加えることができる。配備アクチュエータ170をフレーム114に対して移動することにより、配備アクチュエータ170をロック解除位置に移動することができ、それにより密封材2の配備が可能になる。密封材2が配備された後、位置決め要素104は、半径方向に収縮した形態に動かすことができ、デバイス100は、穿刺部から引き抜くことができる。位置決め要素104がバルーンである場合、バルーンを収縮させることによってバルーンを半径方向に収縮させた形態に動かすことができる。
【0053】
デバイス100はまた、図10に示す位置決め要素インジケータ190を含むことができる。位置決め要素インジケータ190は、位置決め要素104が半径方向に収縮した形態にあることを視覚的に示す第1の位置を有することができる。位置決め要素インジケータ190は、位置決め要素104が半径方向に拡張した形態にあることを視覚的に示す第2の位置を有することができる。位置決め要素インジケータ190は、コアワイヤ103の軸方向の移動が位置決め要素インジケータ190も第1の位置と第2の位置との間で軸方向に動かすように、コアワイヤ103に連結することができる。
【0054】
密封材2の例示的な実施形態は、図5C図6C図7C、及び図8Cに示されており、コラーゲン、凍結乾燥ヒドロゲル、非架橋ヒドロゲル前駆体、キトサン、及びそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、穿刺部を密封するために使用される既知の材料を含むことができる。内腔は、密封材2を通って延びることができる。密封材2は、密封材スリーブ130の遠位セクション132に、細長い部材102と密封材スリーブ130との間で半径方向に配置することができる。例えば、細長い部材102は、密封材2の内腔を通って延びることができ、密封材スリーブ130は、密封材2を取り囲むことができる。支持部材150は、支持部材150の遠位表面が密封材2に接触することができるように、密封材2の近位にあることができる。図5Dは、密封材の代替的な実施形態を有する同じデバイスを示す。図5Dの密封材は、凍結乾燥ヒドロゲルから形成された近位セクション2aと、複数の非凍結乾燥及び/又は非架橋前駆体から形成された遠位セクション2bとを含むことができる。遠位セクション2bは、位置決め要素104に面するか又は接触することができる。
【0055】
図5A図8Cは、穿刺部に密封材2を配備するための例示的な方法を示す。デバイス100は、休止形態で提供することができる。デバイス100は、図5A図8Cにおいて休止形態では示されていない。しかしながら、デバイスが休止形態にあるときに位置決め要素104が半径方向に収縮した形態であり得ることを除いて、休止形態は図5A図5Cに示す位置決め形態と同様である。配備アクチュエータ170、プルラックロック及び/又はプッシュラックロック160は、それぞれのロック位置にあることができる。図9に示すプルラック作動面172は、プルラックロックとして機能することができ、プルラック120の近位側への移動を防止するために、図2Aに示すプルラック120の停止部122と接触することができ、かつ/又はプルラック120の溝121の開口部125からずらされ得る。プッシュラックロック160は、プッシュラック140の遠位側への移動を防止するために、プッシュラック140に係合することができる。プッシュラック140は、配備アクチュエータ170から離間又は係合解除することができる。デバイス100が休止形態にあるとき、位置決め要素インジケータ190は、位置決め要素104が半径方向に収縮した形態にあることを示す第1の位置にあることができる。
【0056】
デバイス100の遠位端は、デバイス100が休止形態にある間に穿刺部に挿入することができる。位置決め要素104が血管内にあるとき、位置決め要素104は、半径方向に拡張した形態に動かされ、デバイスを図5A図5Cに示す位置決め形態にすることができる。位置決め要素インジケータ190は、第2の位置に移動し、位置決め要素104が半径方向に拡張した形態にあることを示すことができる。デバイス100は、拡張した位置決め要素104が血管壁に接触するまで、近位側に引き抜くことができる。
【0057】
位置決め要素104が血管壁に接触すると、デバイス100を引き抜き続けることにより、デバイス100を位置決め形態から配備前形態に動かすことができる。図5B及び図6Bに示す実施形態において、外側ハウジング112を引き抜き続けると、ばね101を圧縮しかつフレーム114及び/又は細長い部材102に張力を加えることによって、デバイス100を位置決め形態から配備前形態に動かすことができる。張力は、血管壁がフレーム114及び細長い部材102に(位置決め要素104を介して)遠位側への力を加える一方で、ばね101がフレーム114及び細長い部材102に近位側への力を加えるときに加えられ得る。配備アクチュエータ170及び/又はプルラックロックは、それぞれのロック位置からそれぞれのロック解除位置に移動することができる。プッシュラックロック160は、ロック位置のままであることができる。配備アクチュエータ170は(外側ハウジング112と共に)、フレーム114、プルラック120、プッシュラック140に対して近位側に移動することができる。デバイス100は、適切な量の張力がフレーム114に加えられていることを示すことができ、デバイス100が配備前形態にあることを示すこともできる張力インジケータを含むことができる。図1に示す例示的な張力インジケータ105は、フレーム114に張力がかかっていることを示すために外側ハウジング112の窓に隣接するマーキングと整列するフレーム114上のマーキングを含むことができるが、同様の機能を提供する他のあらゆる適切な張力インジケータを使用することができる。したがって、フレーム114及び/又は細長い部材102が張力下にあり、配備アクチュエータ170が作動されていないため、図1のデバイス100は配備前形態にある。
【0058】
デバイス100が図6A図6Cに示す配備前形態にあるとき、配備アクチュエータ170及び/又はプルラックロックは、それぞれのロック解除位置にあることができる。プッシュラックロック160は、ロック位置にあることができる。配備アクチュエータ170のプルラック作動面172は、プルラック120の溝121の開口部125と整列し、プルラック120の近位側への移動を可能にすることができる。プッシュラック140は、配備アクチュエータ170から離間することができる。デバイスが休止形態及び位置決め形態にあるときのそれぞれの位置と比較して、外側ハウジング112及び配備アクチュエータ170は、デバイスが配備前形態にあるときに、フレーム114、プルラック120、及びプッシュラック140に対してわずかに近位側に配置することができる。フレーム114、プルラック120、及びプッシュラック140の互いに対する位置は、デバイス100が休止形態、位置決め形態、及び配備前形態にあるとき、実質的に同じであることができる。
【0059】
デバイス100は、好ましくは配備アクチュエータ170をロック解除位置から部分作動位置に動かすことによって、配備前形態から部分配備形態に動かすことができる。デバイス100を配備前形態から部分配備形態に動かすことにより、プルラック120及び密封材スリーブ130を近位側に移動し、密封材2の少なくとも一部を露出することができる。プルラック作動面172は、プルラック120の溝121の少なくとも一部に移動し、それに沿ってスライドすることができる。デバイス100を配備前形態から部分配備形態に動かすことにより、配備アクチュエータ170のプッシュラック作動面173をプッシュラック140に向けて移動することができ、プッシュラックロック160をロック位置からロック解除位置に動かすことができる。プッシュラック140及び支持部材150は、デバイス100が配備前形態から部分配備形態に動かされるとき、プッシュラックロック160に対して実質的に静止したままであることができる。支持部材150が密封材2の近位側への移動を防止し、密封材スリーブ130を後退させるときに密封材2の位置を維持し、それにより密封材2を露出するように、支持部材150の遠位表面が密封材2に接触することができる。
【0060】
デバイス100が図7A図7Cに示す部分配備形態にあるとき、密封材スリーブ130は少なくとも部分的に後退することができ、密封材2は少なくとも部分的に露出することができる。配備アクチュエータ170は、部分作動位置にあることができる。プルラック作動面172は、プルラック120の溝121に配置することができる。プルラック120は、プルラック120及び密封材スリーブ130が少なくとも部分的に後退するように、デバイス100が配備前形態にあるときのその位置と比較して、近位側に配置することができる。プッシュラックロック160は、プッシュラックロック160がプッシュラック140から離間するように、ロック解除位置にあることができる。ここで、配備アクチュエータ170は、プッシュラック140と係合することができるが、フレーム114及び/又はプッシュラックロック160に対するプッシュラック140の位置軸方向位置は、デバイス100が配備前形態及び部分配備形態にあるとき、実質的に同じであることができる。具体的には、配備アクチュエータ170のプッシュラック作動面173は、プッシュラック140の作動傾斜面143に接触することができる。
【0061】
次に、デバイス100は、好ましくは配備アクチュエータ170を部分作動位置から完全作動位置に動かすことによって、部分配備形態から完全配備形態に動かすことができる。プッシュラック140は遠位側に移動することができ、支持部材150は完全に前進した位置に移動することができる。具体的には、配備アクチュエータ170のプッシュラック作動面173は、作動傾斜面143に沿ってスライドし、プッシュラック140を遠位側に移動することができる。プルラック120及び密封材スリーブ130は完全に後退した位置まで近位側に移動することができ、又は部分配備形態でプルラック120及び密封材スリーブ130が完全に後退した場合は、プルラック120及び密封材スリーブ130は完全に後退した位置のままであることができる。
【0062】
デバイス100が、図8A図8Cに示す完全配備形態にあるとき、密封材2は、穿刺部において露出し、圧縮(又はタンピング)され得る。配備アクチュエータ170は、完全作動位置にあることができる。プルラック120は、プルラック120及び密封材スリーブ130が密封材2から後退し、密封材2が穿刺部で露出するように、デバイス100が部分配備形態にあるときと同じ位置又はその位置の近位に配置することができる。プッシュラック140及び支持部材150が密封材2に向かって前進し、密封材2がタンピングされるように、プッシュラック140は、フレーム114及び/又はプッシュラックロック160に対して、デバイス100が部分配備形態にあるときのそれらのそれぞれの位置と比較して遠位側に移動することができる。
【0063】
密封材2が露出し、圧縮された後、デバイス100を穿刺部から引き抜くことができる。図1及び図10に示す後退アクチュエータ180は、密封材2が近位側に移動するのを支持部材150が防止しながら、密封材2を通して位置決め要素104を引き抜くことができるように、位置決め要素104、細長い部材102、及びコアワイヤ103を支持部材150に対して後退させるように作動することができる。後退アクチュエータ180は、細長い部材102及びコアワイヤ103を近位側にスライドさせることができる。代替的に、後退アクチュエータ180は、細長い部材102及びコアワイヤ103を曲げ又は捩り、細長い部材102及びコアワイヤ103の遠位端を近位側に移動することができる。
【0064】
1つ以上のロックアウト機構は、ユーザが後退アクチュエータ180を時期尚早に押し下げるのを防ぐことができる。第一に、プッシュラック140は、密封材2がタンピングされる前に後退アクチュエータ180が作動することを防ぐ、図10に示す第1の後退アクチュエータロック面145を含むことができる。デバイス100が休止形態、位置決め形態、配備前形態、及び部分配備形態にあるとき、第1の後退アクチュエータロック面145は、後退アクチュエータ180の作動を防ぐために後退アクチュエータ180に接触することができる。プッシュラック140が遠位側に移動し、デバイス100が完全配備形態にあるとき、第1の後退アクチュエータロック面145は、後退アクチュエータ180の作動を可能にするために後退アクチュエータ180から離間することができる。第二に、位置決め要素インジケータ190は、同じく図10に示す第2の後退アクチュエータロック面191を含むことができる。位置決め要素インジケータ190が第2の位置にあり、位置決め要素104が半径方向に拡張した形態にあるとき、第2の後退アクチュエータロック面191は、後退アクチュエータ180の作動を防ぐために後退アクチュエータ180に接触することができる。位置決め要素インジケータ190が第1の位置にあり、位置決め要素104が半径方向に収縮した形態にあるとき、第2の後退アクチュエータロック面191は、後退アクチュエータ180の作動を可能にするために後退アクチュエータ180から離間することができる。したがって、後退アクチュエータ180は、密封材2がタンピングされ、位置決め要素104が半径方向に収縮した形態に戻された後に作動することができる。後退アクチュエータ180が作動し、位置決め要素104が密封材2を通って後退すると、デバイス100を穿刺部から引き抜くことができる。
【0065】
本明細書中で使用される場合、「近位」及び「遠位」という相対的な用語は、閉鎖システムの視点から定義されるものとする。したがって、近位は閉鎖システムのハンドルの方向を指し、遠位は閉鎖システムの遠位先端の方向を指す。「軸方向」という用語は、デバイスの縦軸に平行な方向を指す。「半径方向」及び「横方向」という用語は、デバイスの縦軸に垂直な平面内にある方向を指す。「後退する」及び「引き抜く」という用語は近位側への移動を示し、「前進する」という用語は遠位側への移動を示す。
【0066】
本明細書に開示されるいずれの方法も、記載される順序で実施する必要はない。本明細書に開示される方法は、施術者によって行われる特定のアクションを含む。しかしながら、方法は、明示的又は暗示的に、これらのアクションに関する第三者の指示も含むことができる。例えば、「密封材をタンピングする」などのアクションは「密封材のタンピングを指示すること」を含む。
【0067】
特定の実施形態及び実施例が本明細書で説明してきたが、本開示に示され、説明されている閉鎖システムの多くの態様は、さらに別の実施形態又は許容可能な実施例を形成するために異なるように組み合わされかつ/又は変更され得ることが、当業者には理解されるであろう。このような変更及び変形のすべてが、本開示の範囲内で本明細書に含まれることが意図される。多様なデザイン及びアプローチが可能である。本明細書に開示されている特徴、構造、又はステップは、絶対不可欠又は必須ではない。
【0068】
幾つかの実施形態が、添付の図面に関連して説明されている。しかしながら、図は縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。距離、角度などは単なる例示であり、図示したデバイスの実際の寸法及びレイアウトに対して必ずしも正確な関係を有していない。構成要素を追加、削除、及び/又は再配置することができる。また、様々な実施形態に関連するあらゆる特定の機能、態様、方法、特性、特徴、品質、属性、要素などの本明細書の開示は、本明細書に記載される他のすべての実施形態で使用することができる。更に、本明細書に記載したあらゆる方法は、記載したステップを実行するのに適したあらゆるデバイスを用いて実施され得ることが認識されるであろう。
【0069】
本開示のために、一部の態様、利点、及び新規の特徴が本明細書に記載されている。このような利点の全てが必ずしも特定の実施形態に従って達成されるとは限らないことを理解されたい。したがって、例えば、当業者は、本明細書で教示又は示唆され得る他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示された1つの利点又は一群の利点を達成するような方法で、開示を具現化又は実施することができることを認識するであろう。
【0070】
さらに、例示的な実施形態を本明細書で説明してきたが、ありとあらゆる実施形態の範囲は、本開示に基づいて当業者に理解されるような、同等の要素、修正、省略、(例えば、様々な実施形態にわたる態様の)組み合わせ、適合及び/又は変更を有する。特許請求の範囲における限定は、特許請求の範囲で使用されている言語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書に記載されている実施例に限定されるものではなく、出願の手続中、これらの実施例は非排他的であると解釈されるべきである。さらに、開示したプロセス及び方法のアクションは、アクションの順序変更及び/又は追加のアクションの挿入及び/又はアクションの削除を含む任意の方法で修正することができる。したがって、明細書及び実施例は、単なる例示とみなされ、真の範囲及び主旨は、特許請求の範囲及びそれらの均等物の全範囲によって示されることが意図されている。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9
図10