(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】感知システム
(51)【国際特許分類】
C12M 1/40 20060101AFI20240507BHJP
C12Q 1/00 20060101ALI20240507BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20240507BHJP
G01N 27/327 20060101ALI20240507BHJP
G01N 27/414 20060101ALI20240507BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
C12M1/40 B
C12Q1/00 B
G01N27/00 Z
G01N27/327 353F
G01N27/414 301L
G01N27/416 336A
(21)【出願番号】P 2020572941
(86)(22)【出願日】2019-12-03
(86)【国際出願番号】 US2019064189
(87)【国際公開番号】W WO2020131352
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-11-28
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(72)【発明者】
【氏名】ボイヤン・ボヤノフ
(72)【発明者】
【氏名】セルジョ・ペイサジョビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ジー・マンデル
【審査官】菅原 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-521082(JP,A)
【文献】特表2015-501934(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179514(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
C12Q 1/00-3/00
G01N
Google Scholar
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの電極、および
前記2つの電極を連結する1つの導電性チャネル
を含む荷電センサー;
第1のテザーを介して前記導電性チャネルに結合した
ポリメラーゼ、
前記ポリメラーゼは、配列決定される鋳型ポリヌクレオチド鎖を保持し;および
前記ポリメラーゼとは個別および別々の荷電分子、前記荷電分子は、i)前記導電性チャネルに直接的に、または第2のテザーを介して前記導電性チャネルに間接的に、およびii)前記ポリメラーゼの約5nm~約50nmの距離内で結合される、
を含む、感知システムであって、
前記荷電分子は、
前記鋳型ポリヌクレオチド鎖に組み込まれる標識されたヌクレオチドの標識を可逆的に結合するための認識部位を含み、
前記標識は、抗生物質、アミノ酸、およびテオフィリン、ドーパミン、スルホローダミンおよびセロビオースよりなる群から選択される低分子よりなる群から選択され、
非結合荷電配置と会合する非結合優先構造を有し
、
前記認識部位が標識に結合する場合に荷電配置と会合する優先構造を有し、前記荷電配置は非結合荷電配置とは異なり;ならびに
DNAアプタマー、RNAアプタマーおよびそのアナログよりなる群から選択される荷電したアプタマーである、前記感知システム
。
【請求項2】
前記荷電分子が、
さらに、第2の標識されたヌクレオチドの第2の標識を可逆的に結合する第2の認識部位を含み、前記第2の認識部位が第2の標識に結合する場合に第2の荷電配置と会合する第2の優先構造を有し;
さらに、第3の標識されたヌクレオチドの第3の標識を可逆的に結合する第3の認識部位を含み、前記第3の認識部位が第3の標識に結合する場合に第3の荷電配置と会合する第3の優先構造を有し;
さらに、第4の標識されたヌクレオチドの第4の標識を可逆的に結合する第4の認識部位を含み、前記第4の認識部位が第4の標識に結合する場合に第4の荷電配置と会合する第4の優先構造を有し;および、
前記認識部位、第2の認識部位、第3の認識部位および第4の認識部位の各々が未結合である場合に非結合荷電配置と会合した非結合優先構造が生じる、請求項1記載の感知システム。
【請求項3】
さらに、前記導電性チャネルに結合した第2の荷電分子を含み、
前記第2の荷電分子は、
第2の標識されたヌクレオチドの第2の標識を可逆的に結合する第2の認識部位を含み;
第2の荷電分子非結合荷電配置と会合する第2の荷電分子非結合優先構造を有し;かつ
前記第2の認識部位が第2の標識に結合する場合に第2の荷電分子荷電配置と会合した第2の荷電分子優先構造を有する、請求項1記載の感知システム。
【請求項4】
さらに、前記導電性チャネルに結合した第3の荷電分子、
前記第3の荷電分子は、
第3の標識されたヌクレオチドの第3の標識を可逆的に結合する第3の認識部位を含み、第3の荷電分子非結合荷電配置と会合する第3の荷電分子非結合優先構造を有し;および
前記第3の認識部位が第3の標識に結合する場合に第3の荷電分子荷電配置と会合する第3の荷電分子優先構造を有し;および
前記導電性チャネルに結合した第4の荷電分子、
前記第4の荷電分子は、
第4の標識されたヌクレオチドの第4の標識を可逆的に結合する第4の認識部位を含み、
第4の荷電分子非結合荷電配置と会合する第4の荷電分子非結合優先構造を有し;および、
前記第4の認識部位が第4の標識に結合する場合に第4の荷電分子荷電配置と会合する第4の荷電分子優先構造を有する
を含む、請求項
3記載の感知システム。
【請求項5】
前記荷電分子が、さらに、第2の標識されたヌクレオチドの第2の標識を可逆的に結合する第2の認識部位を含み、前記第2の認識部位が第2の標識に結合する場合に第2の荷電配置と会合する第2の優先構造を有し;および
前記感知システムが、さらに、導電性チャネルに結合した第2の荷電分子を含み、
前記第2の荷電分子は、
第3の標識されたヌクレオチドの第3の標識を可逆的に結合する第3の認識部位;および
第4の標識されたヌクレオチドの第4の標識を可逆的に結合する第4の認識部位を含み;
第2の荷電分子非結合荷電配置と会合した第2の荷電分子非結合優先構造を有し;
第3の認識部位が第3の標識に結合する場合に第3の荷電配置と会合する第3の優先構造を有し;および
第4の認識部位が第4の標識に結合する場合に第4の荷電配置と会合する第4の優先構造を有する、請求項1記載の感知システム。
【請求項6】
前記荷電分子が、さらに、標識されたヌクレオチドの第2の標識を可逆的に結合する第2の認識部位を含む、請求項1記載の感知システム
。
【請求項7】
フローセルおよび
前記フローセルに統合された感知システムを含む感知装置であって、前記感知システムは、
導電性チャネルを含む荷電センサー;
第1のテザーを介して前記導電性チャネルに結合した
ポリメラーゼ、
前記ポリメラーゼは、配列決定される鋳型ポリヌクレオチド鎖を保持し;および
前記ポリメラーゼとは個別および別々の荷電分子、前記荷電分子は、i)前記導電性チャネルに直接的に、または第2のテザーを介して前記導電性チャネルに間接的に、およびii)前記ポリメラーゼの約5nm~約50nmの距離内で結合される、を含み、
前記荷電分子は、
非結合荷電配置と会合する非結合優先構造を有し;および
前記荷電分子の認識部位
が前記鋳型ポリヌクレオチド鎖に組み込まれる標識されたヌクレオチドの標識に結合する場合に荷電配置と会合する優先構造を有し、前記荷電配置は非結合荷電配置とは異なり、
および前記標識は、抗生物質、アミノ酸、およびテオフィリン、ドーパミン、スルホローダミン、セロビオースよりなる群から選択される低分子よりなる群から選択され;ならびに
DNAアプタマー、RNAアプタマーおよびそのアナログよりなる群から選択される荷電したアプタマーである、前記装置。
【請求項8】
さらに、フローセルの流入口に試薬
を導入するための試薬送達システムを含む、請求項
7記載の感知装置。
【請求項9】
試薬が、サンプル容器内にあり、前記試薬が、
ヌクレオチド;
ヌクレオチドのリン酸基に結合した連結分子;および
連結分子に結合した
前記標識
を含む標識されたヌクレオチドを含む、請求項
7記載の感知装置。
【請求項10】
さらに、前記荷電センサーからの応答を検知するための検知器を含む、請求項
7記載の感知装置
。
【請求項11】
2つの電極および
前記2つの電極を連結する導電性チャネル
を含む荷電センサー;
第1のテザーを介して導電性チャネルに結合した
ポリメラーゼ;および
前記ポリメラーゼとは個別および別々の荷電分子、前記荷電分子は、i)前記導電性チャネルに直接的に、または第2のテザーを介して前記導電性チャネルに間接的に、およびii)前記ポリメラーゼの約5nm~約50nmの距離内で結合され、前記荷電分子は認識部位を含み、前記荷電分子は、DNAアプタマー、RNAアプタマーおよびそのアナログよりなる群から選択される荷電したアプタマーであり、それにより、前記ポリメラーゼは、配列決定される鋳型ポリヌクレオチド鎖を保持する、
を含む感知システムに鋳型ポリヌクレオチド鎖を導入すること、
前記感知システムに標識されたヌクレオチドを含む試薬を導入し、それにより、
前記ポリメラーゼは、標識されたヌクレオチドの1つのヌクレオチド
を前記鋳型ポリヌクレオチド鎖に組み込み、
前記ヌクレオチドが組み込まれつつ、標識されたヌクレオチドの1つの認識部位特異的標識が、認識部位と
可逆的に結合して、荷電分子の構造変化を誘導すること
、ここに、前記認識部位特異的標識は、抗生物質、アミノ酸、およびテオフィリン、ドーパミン、スルホローダミン、セロビオースよりなる群から選択される低分子よりなる群から選択され;および
前記荷電分子の構造変化に応じて、荷電センサーの応答を検知すること
を含む、方法。
【請求項12】
さらに、前記荷電センサーの応答を会合した認識部位特異的標識に関連させること;および
前記会合した認識部位特異的標識に基づいて、標識されたヌクレオチドの1つのヌクレオチドを識別することを含む、請求項
11記載の方法。
【請求項13】
前記荷電分子が複数の異なる認識部位を含み、その各々が、別々の速度で異なる標識されたヌクレオチドの異なる標識を可逆的に結合するためのものである、請求項
11記載の方法。
【請求項14】
.
さらに、異なる標識されたヌクレオチドがそれぞれポリメラーゼと会合し、異なる標識されたヌクレオチドの異なる認識部位特異的標識がそれぞれ複数の異なる認識部位の一つに結合する場合に、前記荷電分子の異なる構造変化に応じて、荷電センサーの複数の応答を検知すること;および
別々の速度によってそれぞれ会合した異なる標識されたヌクレオチドを識別することを含む、請求項
13記載の方法。
【請求項15】
前記認識部位が、複数の別々の速度にて複数の異なる標識されたヌクレオチドの複数の異なる標識を可逆的に結合するためのものである請求項
11記載の方法であって、
さらに、
異なる標識されたヌクレオチドの少なくともいくつかがそれぞれポリメラーゼと会合し、かつ、異なる標識の少なくともいくつかがそれぞれ認識部位に結合する場合に、荷電分子の異なる構造変化に応じて、荷電センサーの複数の応答を検知すること:および
別々の速度によってそれぞれ会合した異なる標識されたヌクレオチドを識別することを含む、前記方法。
【請求項16】
前記認識部位が4以下の異なる標識されたヌクレオチドを可逆的に結合するためのものである、請求項
11記載の方法であって、さらに、
4以下の異なる標識されたヌクレオチドがそれぞれ、ポリメラーゼおよび認識部位と会合する場合に、荷電分子の異なる構造変化に応じて、荷電センサーの4以下の異なる応答を検知すること、前記4以下の異なる応答の各々が、別々の大きさを有し;および
別々の大きさによってそれぞれ会合した異なる標識されたヌクレオチドを識別すること
を含む、前記方法。
【請求項17】
前記荷電分子がDNAアプタマーまたはRNAアプタマーであり;
前記DNAアプタマーまたは前記RNAアプタマーがチオール化されたアプタマーであり;および
前記導電性チャネルが、チオール化されたアプタマーに結合するアミン末端シランを含む、請求項1記載の感知システム。
【請求項18】
前記第1のテザーおよび第2のテザーが、個別のポリ(エチレングリコール)鎖である、請求項1記載の感知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年12月21日付けで出願された米国仮出願第62/783,951号の優先権を主張し、ここに出典明示してその内容のすべてを本願明細書の一部とみなす。
【背景技術】
【0002】
(背景)
生物学的または化学的研究の種々のプロトコールは、局所的支持体表面上または所定の反応チャンバ内の多数の制御反応を行なうことを含む。次いで、指定の反応を観察または検知してもよく、後の分析は、反応に関与する化学物質の特性を識別または明らかにするのを助け得る。いくつかの例において、制御反応は蛍光を生成し、かくして、光学系を検知に用いてもよい。他の例において、制御反応は荷電、伝導性(conductivity)またはいくつかの他の電気的特性を改変し、かくして、電子システムを検知に用いてもよい。
【発明の概要】
【0003】
(緒言)
本明細書に開示した第1の態様は、2つの電極、および前記2つの電極を連結する1つの導電性(electrically conductive)チャネルを含む荷電センサー;前記導電性チャネルに結合した(または付着した、attached)荷電分子、前記荷電分子は、標識されたヌクレオチドの標識を可逆的に結合するための認識部位を含み、非結合荷電配置(unbound charge configuration)と会合する非結合優先構造(favored conformation)を有し、かつ認識部位が標識に結合する場合に荷電配置と会合する優先構造を有し、ここに、前記荷電配置は非結合荷電配置とは異なり;ならびに導電性チャネルまたは荷電分子に結合したポリメラーゼを含む感知システムである。
【0004】
本第1の態様の例において、荷電分子は荷電したアプタマーである。本例において、荷電したアプタマーは、DNAアプタマー、RNAアプタマーおよびそのアナログよりなる群から選択される。
【0005】
本第1の態様のある例において、荷電分子は、荷電したタンパク質および荷電したペプチドよりなる群から選択される。
【0006】
本第1の態様において、荷電分子は、さらに、第2の標識されたヌクレオチドの第2の標識を可逆的に結合する第2の認識部位を含み、第2の認識部位が第2の標識に結合する場合に第2の荷電配置と会合する第2の優先構造を有し;さらに、第3の標識されたヌクレオチドの第3の標識を可逆的に結合する第3の認識部位を含み、かつ第3の認識部位が第3の標識に結合する場合に第3の荷電配置と会合する第3の優先構造を有し;さらに、第4の標識されたヌクレオチドの第4の標識を可逆的に結合する第4の認識部位を含み、第4の認識部位が第4の標識に結合する場合に第4の荷電配置と会合する第4の優先構造を有し;および、認識部位、第2の認識部位、第3の認識部位および第4の認識部位の各々が未結合である場合に非結合荷電配置と会合した非結合優先構造が生じる。
【0007】
本第1の態様の例において、感知システムは、さらに、導電性チャネルに結合した第2の荷電分子を含み、第2の荷電分子は、第2の標識されたヌクレオチドの第2の標識を可逆的に結合する第2の認識部位を含み;第2の荷電分子非結合荷電配置と会合する第2の荷電分子非結合優先構造を有し;かつ第2の認識部位が第2の標識に結合する場合に第2の荷電分子荷電配置と会合した第2の荷電分子優先構造を有する。本例において、また、感知システムは、さらに、導電性チャネルに結合した第3の荷電分子、ここに、第3の荷電分子は、第3の標識されたヌクレオチドの第3の標識を可逆的に結合する第3の認識部位を含み;第3の認識部位が第3の標識に結合する場合に第3の荷電分子荷電配置と会合する第3の荷電分子優先構造を有し;および導電性チャネルに結合した第4の荷電分子、ここに、第4の荷電分子は、第4の標識されたヌクレオチドの第4の標識を可逆的に結合する第4の認識部位を含み;第4の荷電分子非結合荷電配置と会合する第4の荷電分子非結合優先構造を有し;かつ、第4の認識部位が第4の標識に結合する場合に第4の荷電分子荷電配置と会合する第4の荷電分子優先構造を有する、を含む。
【0008】
本第1の態様の例において、荷電分子は、さらに、第2の標識されたヌクレオチドの第2の標識を可逆的に結合する第2の認識部位を含み、第2の認識部位が第2の標識に結合する場合に第2の荷電配置と会合する第2の優先構造を有し;かつ、感知システムが、さらに、導電性チャネルに結合した第2の荷電分子を含み、第2の荷電分子は、第3の標識されたヌクレオチドの第3の標識を可逆的に結合する第3の認識部位および第4の標識されたヌクレオチドの第4の標識を可逆的に結合する第4の認識部位を含み;第2の荷電分子非結合荷電配置と会合した第2の荷電分子非結合優先構造を有し;第3の認識部位が第3の標識に結合する場合に第3の荷電配置と会合する第3の優先構造を有し;かつ、第4の認識部位が第4の標識に結合する場合に第4の荷電配置と会合する第4の優先構造を有する。
【0009】
本第1の態様のある例において、荷電分子は、さらに、標識されたヌクレオチドの第2の標識を可逆的に結合する第2の認識部位を含む。
【0010】
本明細書に開示した感知システムのいずれの特徴もいずれかの望ましい方法および/または配置で一緒に組み合わせてもよいと理解されるべきである。
【0011】
本明細書に開示した第2の態様は、フローセルおよび前記フローセルに統合された感知システムを含む感知装置であり、感知システムは、導電性チャネルを含む荷電センサー;および導電性チャネルに結合した荷電分子を含み、ここに、荷電分子は、非結合荷電配置と会合する非結合優先構造を有し;荷電分子の認識部位が標識されたヌクレオチドの標識に結合する場合に荷電配置と会合する優先構造を有し、荷電配置は非結合荷電配置とは異なり;ならびに導電性チャネルまたは荷電分子に結合したポリメラーゼを含む。
【0012】
本第2の態様のある例において、感知装置は、さらに、フローセルの流入口(input)に試薬を選択的に導入するための試薬送達システムを含む。いくつかの例において、試薬は、サンプル容器内にあり、試薬は、ヌクレオチド;ヌクレオチドのリン酸基に結合した連結分子;および連結分子に結合した認識部位特異的標識を含む標識されたヌクレオチドを含む。
【0013】
本第2の態様の例において、感知装置は、さらに、荷電センサーからの応答を検知するための検知器を含む。
【0014】
感知装置のいずれかの特徴もいずれかの望ましい方法で一緒に組み合わせてもよいと理解されるべきである。さらに、感知システムおよび/または感知装置の特徴のいずれの組み合わせも、本明細書に開示した例のいずれとも一緒に用いても、または組み合わせてよいと理解されるべきである。
【0015】
本明細書に開示した第3の態様は、2つの電極および2つの電極を連結する1つの導電性チャネルを含む荷電センサー;導電性チャネルに結合した荷電分子、ここに、荷電分子は認識部位を含み;および導電性チャネルまたは荷電分子に結合したポリメラーゼを含む感知システムに、鋳型ポリヌクレオチド鎖を導入すること;感知システムに標識されたヌクレオチドを含む試薬を導入し、それにより、標識されたヌクレオチドの1つのヌクレオチドがポリメラーゼと会合し、標識されたヌクレオチドの1つの認識部位特異的標識が、認識部位と会合して、荷電分子の構造変化を誘導すること;および荷電分子の構造変化に応じて、荷電センサーの応答を検知することを含む方法である。
【0016】
本第3の態様の例において、方法は、さらに、荷電センサーの応答を、会合した認識部位特異的標識に関連させること;および、会合した認識部位特異的標識に基づいて、標識されたヌクレオチドの1つのヌクレオチドを識別することを含む。
【0017】
本第3の態様の例において、荷電分子は複数の異なる認識部位を含み、その各々は、別々の速度で異なる標識されたヌクレオチドの異なる標識を可逆的に結合するためのものである。いくつかの例において、方法は、異なる標識されたヌクレオチドがそれぞれポリメラーゼと会合し、異なる標識されたヌクレオチドの異なる認識部位特異的標識が複数の異なる認識部位の一つに結合する場合に荷電分子の異なる構造変化に応じて、荷電センサーの複数の応答を検知すること;および、別々の速度によってそれぞれ会合した異なる標識されたヌクレオチドを識別することをさらに含む。
【0018】
本第3の態様の例において、認識部位は、複数の別々の速度にて複数の異なる標識されたヌクレオチドの複数の異なる標識を可逆的に結合し、ここに、方法は、さらに、異なる標識されたヌクレオチドの少なくともいくつかがそれぞれポリメラーゼと会合し、かつ、異なる標識の少なくともいくつかがそれぞれ認識部位に結合する場合に、荷電分子の異なる構造変化に応じて、荷電センサーの複数の応答を検知すること;および別々の速度によってそれぞれ会合した異なる標識されたヌクレオチドを識別することを含む。
【0019】
本第3の態様の例において、認識部位は、4以下の異なる標識されたヌクレオチド可逆的に結合するためのものであり、ここに、方法は、さらに、4以下の異なる標識されたヌクレオチドがそれぞれ、ポリメラーゼおよび認識部位と会合する場合に、荷電分子の異なる構造変化に応じて、荷電センサーの4以下の異なる応答を検知すること、ここに、4以下の異なる応答の各々は別々の大きさを有し;および、別々の大きさによってそれぞれ会合した異なる標識されたヌクレオチドを識別することを含む。
【0020】
方法のいずれの特徴もいずれかの望ましい方法で一緒に組み合わせてもよいと理解されるべきである。さらに、方法および/または感知システムおよび/または感知装置の特徴のいずれの組合せも、本明細書に開示した例のいずれかと一緒に用いても、および/または組み合わせてもよいと理解されるべきである。
【0021】
本明細書に開示した第4の態様は、2つの電極および2つの電極を連結する1つの導電性チャネル;導電性チャネルに結合した荷電分子、ここに、荷電分子は、標識されたヌクレオチドの標識を可逆的に結合するための認識部位を含み;非結合荷電配置と会合する非結合優先構造;および、認識部位が標識に結合する場合に荷電配置と会合する優先構造を有し、荷電配置は非結合荷電配置とは異なり;および2つの電極の少なくとも1つ、または荷電センサーが位置する基板に結合したポリメラーゼを含む荷電センサーを含む感知システムである。
【0022】
第4の態様の1例において、基板は、パターン化(patterned)基板であり、荷電センサーはパターン化基板のくぼみ(depression)に位置し、ポリメラーゼはくばみ表面に結合する。
【0023】
本感知システムのいずれかの特徴もいずれかの望ましい方法で一緒に組み合わせてもよいと理解されるべきである。さらに、本感知システムおよび/または方法および/または他の感知システムおよび/または感知装置の特徴のいずれかの組合せも、本明細書に開示した例のいずれかと一緒に用いてもならびに/あるいは組み合わせてもよいと理解されるべきである。
【0024】
本明細書に開示した第5の態様は、フローセル;およびフローセルに統合された感知システムを含む感知装置であり、感知システムは、導電性チャネルを含む荷電センサー;導電性チャネルに結合した荷電分子、ここに、荷電分子は、非結合荷電配置と会合する非結合優先構造を有し、かつ荷電分子の認識部位が標識されたヌクレオチドの標識に結合する場合に荷電配置と会合する優先構造を有し、ここに、荷電配置は非結合荷電配置とは異なり;かつ2つの電極の少なくとも1つまたはフローセルの基板に結合したポリメラーゼを含む。
【0025】
第5の態様の1つの例において、基板はパターン化基板であり、荷電センサーは、パターン化基板のくぼみに位置し、ポリメラーゼはくぼみの表面に結合している。
【0026】
本感知装置のいずれかの特徴もいずれかの望ましい方法で一緒に組み合わせてもよいと理解されるべきである。さらに、本感知装置および/または方法および/または感知システムおよび/または他の感知装置の特徴のいずれの組合せも、本明細書に開示した例のいずれとも一緒に用いても、および/または組み合わせてもよいと理解されるべきである。
【0027】
依然としてさらに、方法のいずれかおよび/または感知システムのいずれかおよび/または感知装置のいずれかの特徴も、いずれかの望ましい方法で一緒に組み合わせても、および/または本明細書に開示した例のいずれかと組み合わせてもよいと理解されるべきである。
【0028】
本開示の例の特徴は、参照数字のごとく、同様であるが、恐らく同一ではない成分に対応する以下の詳細な記載および図面への参照により明らかになるであろう。簡潔さのために、以前に記載された機能を有する参照数字または特徴は、それらが現われる他の図面に関連して記載されても記載されなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】
図1Aは、本明細書に開示されたセンサーのある例の模式図であり、双方は、荷電分子がその非結合優先構造中(「(i)」にて示される)およびその優先構造中(「(ii)」にて示される)にある場合である;
【
図1B】
図1Bは、本明細書に開示されたセンサーのもう一つの例の模式図であり、双方は、荷電分子がその非結合優先構造中(「(i)」にて示される)およびその優先構造(示される「(ii)」にて示される)にある場合である;
【
図2】
図2は、本明細書に開示したセンサーのもう一つの例の模式図である;
【
図3】
図3A~
図3Eは、4つの異なる認識部位を有する荷電分子を含むセンサーのもう一つの例を示す模式図である;
【
図4】
図4は、本明細書に開示されたフローセルおよびセンサーの例を含む、感知システムの例の透視模式図である;
【
図5】
図5は、本明細書に開示した方法のある例を模式的に示す;
【
図6】
図6Aおよび6Bは、本明細書に開示したセンサーの有望な(potential)応答を示すグラフである;
【
図7A】
図7Aは、フローセルのもう一つの例の上面図である;および
【
図7B】
図7Bは、
図7Aのフローセルの構造に位置したセンサーの例についての拡大された部分切取図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(詳細な記載)
核酸配列決定手順において単一分子検知に用い得る感知システムを本明細書に開示する。感知システムは、荷電センサーの導電性チャネルに結合した荷電部位(または荷電基、charged moiety)を含む。荷電部位は、荷電センサーによって検知可能な荷電部位を再形成する事象(例えば、標的標識の結合)が生じるまで、それが検知されないように導電性チャネルに結合する。より詳細には、荷電部位は、ポリメラーゼによって組込むことができるヌクレオチドに結合した標的標識との可逆的結合を受けることができる。標的標識が荷電部位に結合する結果、結合した荷電部位は、荷電の空間的分布を改変する構成変更を受ける。荷電センサー中の導電性チャネルに関しての荷電部位の接近により、荷電センサーは新たに示された荷電に応答し、検知可能なシグナルを生成する。デバイ(Debye)遮蔽長が典型的には1nm未満である場合、検知可能なシグナルは、塩イオンの生物学的に関連するかまたは生理的濃度でさえ生成される。例として、導電性チャネルにより接近して負の荷電部位を移動させる構造は、トランスコンダクタンスを減少させることができるが、一方で導電性チャネルから離れて負の荷電部位を移動させる構造は、トランスコンダクタンスを増加することができる。かくして、異なる荷電部位構造の結果として、別々の検知可能なシグナルを生じる。検知可能な荷電が荷電部位上に存在するため、荷電は標的標識上に存在する必要はなく、これは有利になりことができる。
【0031】
本明細書に開示した例において、標的標識は、ポリメラーゼによって組み込むことができる特別のヌクレオチドにカスタマイズすることができる。標的標識が荷電部位における所望の構造変化を誘導するため、得られたシグナルは特別のヌクレオチドを識別するために用いることができる。さらに、荷電の大きさに加えて、標的標識および1以上の荷電部位間のオン・オフ速度を用いて、ユニークな頻度で示すユニークな指紋シグナルを生成でき、これを用いて標的標識に連結されたそれぞれのヌクレオチドを識別することができる。
【0032】
図1Aおよび1Bを今や参照すると、感知システム10、10’の2つの例がそれぞれ示されている。感知システム10、10’の各々は荷電センサー11、11’を含み、これらは2つの電極12、14、および2つの電極12および14を連結する導電性チャネル16を含む。また、感知システム10、10’は、荷電センサー11、11’の導電性チャネル16に結合した荷電分子18または18’、および導電性チャネル16(
図1A)または荷電分子18’(
図1B)に結合したポリメラーゼ20を含む。
【0033】
感知システムの他の例において、ポリメラーゼ20は、感知システム10、10’の他の成分に(例えば、電極12または14に)および/または感知システム10、10’が統合されるフローセルの他の成分に結合されてもよい。組み込まれるヌクレオチドの標識をポリメラーゼ20によって荷電分子18または18’に可逆的に結合することができる限りは、ポリメラーゼ20は、荷電センサー11、11’に隣接するいずれの領域に結合してもよい。いくつかの例において、ポリメラーゼ20は、荷電分子18または18’の約5nm~約50nmの距離内で結合される。
【0034】
荷電センサー11、11’は、電界効果トランジスター(FET)、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)ベースのFET、および単層カーボンナノチューブ(SWNT)ベースのFET、シリコン・ナノワイヤー(SiNW)FET、シリコン・ナノチューブFET、ポリマー・ナノワイヤーFET、グラフェン・ナノリボンFET(およびMoS2、シリコーン(silicene)のごとき2D材料から作製された関連するナノリボンFET)、金属酸化物半導体FET(MOSFET)、トンネルFET(TFET)、または外部場によって調整することができるコンダクタンスを持つ他のデバイス、例えば、金属性CNTまたは多層CNTであってもよい。FETにおいて、電極12、14はソース(source)およびでドレイン端子であり、導電性チャネル16はゲート端子である。電界効果トランジスターは、n型基板中のp型ソースおよびドレイン端子を有するPMOSまたはp-チャネルであっても、あるいは、p型基板中のn型ソースおよびドレイン端子を有するNMOS、またはn-チャネルであってもよい。
【0035】
電極12、14はいずれの適当な導電材料も含んでもよい。適当なソースおよびドレイン端子の例には、コバルト、ケイ化コバルト、ニッケル、ケイ化ニッケル、アルミニウム、タングステン、銅、チタン、モリブデン、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛(indium zin)酸化物、金、プラチナ、炭素などが含まれる。
【0036】
導電性チャネル16は、ナノスケール(1nm~1μm未満の範囲)の少なくとも1つの寸法を有するナノ構造体であってもよい。1例において、少なくとも1つの寸法は最大の寸法をいう。
【0037】
また、導電性チャネル16は、いずれかの適当な幾何学、例えば、管状構造、ワイヤー構造、平面構造などを有してもよく、いずれかの適当な半導電性または導電性材料であってもよい。例として、導電性チャネル16は、半導体ナノ構造体、グラフェン・ナノ構造体、金属ナノ構造体、導電性高分子ナノ構造体または分子ワイヤーよりなる群から選択してもよい。いくつかの例において、ナノ構造体は、多層または単層ナノチューブ、ナノワイヤー、ナノリボンなどであってもよい。特定の例として、ナノ構造体は、カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、シリコン・ナノワイヤー、シリコン・ナノチューブ、ポリマー・ナノワイヤー、グラフェン・ナノリボン、MoS2ナノリボン、シリコン・ナノリボンなどであってもよい。
【0038】
システム10、10’において、荷電分子18、18’が、荷電センサー11、11’の導電性チャネル16に共有結合または非共有結合で結合される。荷電分子18、18’は、導電性チャネル16へ直接結合してよく、または繋留(またはテザー、tether)を介して導電性チャネル16へ間接的に結合してもよい。荷電分子18、18’の結合は、導電性チャネル16の付近(vicinity)内の、例えば、少数のデバイ長内に荷電分子18、18’を維持する。標識されたヌクレオチド26の標的標識24との可逆的結合を受けることができるいずれの適当な荷電分子18、18’も用いてもよい。より詳しくは、荷電分子18、18’は、標識24に可逆的に結合することができる認識部位28を含み、非結合荷電配置と会合した非結合優先構造Aを有し(
図1Aおよび
図1Bの各々における頂部部分((i)で標識)を参照)、認識部位28が標識24に結合する場合に荷電配置と会合した優先構造Bを有する(
図1Aおよび
図1Bの各々における底部部分((ii)で標識)を参照)。
【0039】
用語「非結合優先構造」とは、標識24がそれに結合されない場合に荷電分子18、18’によって優先的に示される1つの空間的配置をいう。標識24が結合されない場合に、荷電分子18、18’は、ダイナミックにいくつかの異なる構造間で移動することができる。しかしながら、荷電分子18、18’は、標的標識24が結合されない場合に他の空間的配置よりしばしば示される好ましい空間的配置を有する。本例において、この好ましい空間的配置(または優先的に示された空間的配置)は、例えば、分子安定性および/またはその最低のエネルギー状態であることにより最も好ましい配置であり、かくして、非結合優先構造Aである。非結合優先構造Aは、いくつかの例において、最も安定な構造および/または最低のエネルギー構造であってもよい。
【0040】
非結合優先構造Aは非結合荷電配置と会合する。非結合優先構造A内にある場合に、非結合荷電配置は、荷電分子18、18’の荷電分布である。
【0041】
用語「優先構造」は、標識24がそれに可逆的に結合される場合に、荷電分子18、18’によって優先的に示される1つの空間的配置をいう。荷電分子18、18’の優先構造Bは、非結合優先構造Aとは異なる。標的分子が荷電分子18、18’に結合する場合、荷電分子18、18’は、標的標識が結合する場合に他の空間的配置よりしばしば示される好ましい空間的配置に移動する。本例において、この好ましい空間的配置は、標的標識が結合する場合に、例えば、分子安定性により最も好ましい配置であり、かくして優先構造である。1例において、荷電分子18、18’は、平衡において多数の構造を有し、標識24は、構造の1つを安定化させることができる。
【0042】
優先構造Bは荷電配置と会合する。荷電配置は、その優先構造B中にある場合に、荷電分子18、18’の荷電分布である。優先構造Bと会合した荷電配置は、非結合荷電配置とは検知可能に異なる。荷電配置は、増減した大きさ、または頻度の変化などとして、(荷電センサーによって)検知可能である。
【0043】
記載のごとく、標識されたヌクレオチド26の標識24は、認識部位28に可逆的に結合することができる。かくして、認識部位28は、標識24についての一時的な受容体である。
【0044】
図1Aおよび
図1Bの頂部部分((i)と標識された)は、非結合優先構造A中の荷電分子18、18’を示す。本明細書に言及のごとく、非結合優先構造Aは、認識部位28がそれに結合した標識24を有する場合に、荷電分子18、18’の好ましい配向または空間的配置をいう。非結合構造A(
図1Aおよび
図1Bの(i)に示される)は、非結合荷電配置と会合する。非結合荷電配置は、その非結合優先構造Aにある場合に、荷電分子18、18’の荷電分布である。
図1Aおよび
図1Bにおいて、荷電分布の重心(centroid)は「・」として示され、荷電重心および導電性チャネル16の表面の間の距離は、「δ
18A」(
図1A)および「δ
18’A」(
図1B)として示される。これらの図に示すごとく、荷電分布、重心および距離δ
18A、δ
18’Aは、各荷電分子18、18’について異なり、荷電分子18、18’が標的標識24に結合する場合に変更することができる。
【0045】
図1Aおよび
図1Bの底部部分((ii)と標識された)は、優先構造Bにおいて、すなわち、標的標識24が、認識部位28に結合する場合に荷電分子18、18’を示す。本明細書に言及のごとく、優先構造B(
図1Aおよび
図1Bにおいて(ii)で示される)は、標識24が認識部位28に結合する場合に、荷電分子18、18’の好ましい配向または空間的配置をいう。優先構造Bは荷電配置と会合する。荷電配置は、その優先構造Bにある場合に、荷電分子18、18’の荷電分布である。
図1A(ii)において、荷電分子18の優先構造Bは、非結合優先構造Aと比較される場合に、導電性チャネル16の表面により近接して荷電分子18を移動させる。優先構造Bの本例において、δ
18Bはδ
18Aより小さく、荷電分子18の負または正の荷電は、導電性チャネル16への接近において接近している。
図1B(ii)において、荷電分子18’の優先構造Bは、非結合優先構造Aと比較される場合に、導電性チャネル16の表面から離れて荷電分子18’を移動させる。優先構造Bの本例において、δ
18’Bはδ
18’Aより大きく、荷電分子18の負または正の荷電は導電性チャネル16からさらに離れている。荷電分子18、18’の荷電の運動に応じて、導電性チャネル16の導電性は変化する。本明細書に開示された例において、移動の2つの方向の変化のサインは、相互に反対であり;実際のサインは、感知システム10、10’の性質に依存する。例として、応答および反発または退縮(retraction)のサインは、荷電センサー11、11’がFETであるかどうか、またはそれがFETであるならば、消耗または転換モードにあるかどうか、そのチャネル・キャリアーが電子およびホールであるならば、に依存する。
【0046】
荷電分子18、18’は、荷電したアプタマー、荷電したタンパク質または荷電したペプチドであってもよい。本明細書に用いた用語「荷電したアプタマー」は、
1)標識に可逆的に結合でき、2)その優先構造を変更させることができ、それにより、標識に可逆的に結合する際に、荷電分布を改変することができる構造化して荷電した核酸をいい:用語「荷電したタンパク質」は、1)標識に可逆的に結合でき、2)その優先構造を変更させることができ、それにより、標識に可逆的に結合する際に、荷電分布を改変することができる構造化して荷電した高分子をいい;また、用語「荷電したペプチド」は、1)標識に可逆的に結合でき、2)その優先構造を変更させることができ、それにより、標識に可逆的に結合する際に、荷電分布を改変することができるペプチド(アミド)結合によって連結したアミノ酸モノマーの構造化して荷電した短鎖をいう。
【0047】
いくつかの例において、荷電分子18、18’は負に荷電している。適当な負の荷電分子18、18’の例は、負に荷電したアプタマー、負に荷電したタンパク質、負に荷電したペプチドおよび他の負の荷電分子を含む。負に荷電したアプタマーのいくつかの特定の例は、DNAアプタマー、RNAアプタマーまたはそのアナログを含む。負に荷電したタンパク質のいくつかの特定の例は、HSF1(-17)、SHFM1(-21)、NFKBIA(-25)、RBBP4(-26)、APP(-55)、PJA2(-87)および多数の他のものを含む。負に荷電したペプチドの例は、ポリグルタマートおよびポリアスパルタート、ならびにより構造化したペプチド、例えば、負に荷電した表面を持つコイルドコイルを含む。
【0048】
いくつかの例において、荷電分子は正に荷電している。適当な正の荷電分子18、18’の例は、正に荷電したアプタマー、正に荷電したタンパク質、正に荷電したペプチドおよび他の正の荷電分子を含む。正に荷電したタンパク質のいくつかの特定例には、H2AFX(+17)、PARP1(+21)、ELN(+40)、TERT(+98)および多数の他のものを含む。正に荷電したペプチドの例は、ポリリシンおよびポリアルギニンならびにより構造化したペプチド、例えば、正に荷電した表面を持つコイルドコイルを含む。
【0049】
一例において、荷電分子18、18’はポリメラーゼではない。
【0050】
荷電分子18、18’は、荷電センサー11、11’の導電性チャネル16へ直接的もしくは間接的におよび/または共有結合または非共有結合を介して結合されてもよい。荷電分子18、18’および導電性チャネル16間で形成された結合のタイプは、用いられる分子18、18’およびチャネル16に依存するであろう。アプタマーが荷電分子18、18’として用いられる場合には、導電性チャネル16はシラン化されて(silanized)アミン末端シランを生成してもよく、これはチオール化されたアプタマーと結合することができる。荷電分子18、18’を結合するために用い得る適当な界面化学の他の例には、(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、ジアリールシクロオクチン(DBCO)、銅触媒クリック反応を受けることができるアジ化物を含み得る。他の例において、テザーを用いて、導電性チャネル16に荷電分子18、18’を結合させてもよい。このテザーはテザー22について本明細書に記載された例のいずれかであってもよい。
【0051】
図1Aに示される例において、ポリメラーゼ20は、荷電センサー11、11’の導電性チャネル16上で固定化される。
図1Bに示される例において、ポリメラーゼ20は荷電分子18’上で固定化される。他の例において、ポリメラーゼ20は電極12または14の1つの上で固定化される(
図7Bを参照)。依然として他の例において、ポリメラーゼ20は、例えば、荷電センサー11、11’を支持する基板上で固定化される(
図7Bを参照)。いずれの例においても、ポリメラーゼ20はテザー22を介して固定化してもよい。テザー22はポリメラーゼ20についてのアンカーとして用いられる。適当なテザー22の一例は、ポリエチレングリコール(PEG)を含む。いくつかの例において、テザー22はポリメラーゼ20を導電性チャネル16から、または荷電分子18から少なくとも10nm離れて保持する。これは望ましいかもしれず、その結果、例えば、ポリメラーゼ20へのコンフォーマル(conformal)変更、ポリメラーゼ20の荷電、および/またはポリメラーゼ20により保持された標的/鋳型ポリヌクレオチド鎖の荷電は、荷電センサー11、11’の感知オペレーションを妨げない。
【0052】
いずれの適当なポリメラーゼ20も用いられてもよい。例には、ファミリーAからのポリメラーゼ、例えば、Bsuポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、T7ポリメラーゼおよび多数の他のものを含み;ファミリーBからのポリメラーゼ、例えば、Phi29ポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼ、KODポリメラーゼおよび多数の他のもの;ファミリーCからのポリメラーゼ、例えば、大腸菌DNA Pol IIIおよび多数の他のもの、ファミリーDからのポリメラーゼ、例えば、ピロコッカスフリオサス(Pyrococcus furiosus) DNA Pol IIおよび多数の他のもの;ファミリーXからのポリメラーゼ、例えば、DNA Polμ、DNA Polβ、DNA Polσおよび多数の他のものが含まれる。
【0053】
ポリメラーゼ20が、荷電分子18、18’と結合する標的標識24の結果として遊離されないと理解されるべきである。むしろ、ポリメラーゼ20は、結合事象が行なわれたとき、および結合事象が行なわれた後に、例えば、チャネル16、または荷電分子18、18’へ、または他のあるフローセル成分につながれたままである。
【0054】
本明細書に開示されたいくつかの例において、荷電分子18、18’およびポリメラーゼ20は、異なる役割/機能を有する異なる(個別および別々の)存在物(entities)であり、それは単一分子感知を一緒に可能にする。単一分子感知の例において、ヌクレオチドが鋳型鎖に沿って形成される新生鎖に組み込まれるので、シグナルは荷電センサー11、11’にて検知される。1つの例のヌクレオチド組込みの事象中に、ポリメラーゼ20は鋳型ポリヌクレオチド鎖を保持し、鋳型に沿ったヌクレオチドに相補的な新生鎖に1つのヌクレオチドを組み込み、一方、荷電分子18、18’は、標識(組み込またヌクレオチドに結合される)を可逆的に結合し、荷電センサー11、11’にて識別可能なシグナルを生じさせる構造変化を受ける。本明細書に言及のごとく、いくつかの例において、ポリメラーゼ20のいずれの構造変化も荷電分子18、18’の構造変化によって生成されたシグナルを妨げないように、ポリメラーゼ20(例えば、テザー22の長さの調整による)を構成することは望ましいかもしれない。
【0055】
図1A(ii)および1B(ii)に示されるごとく、標識されたヌクレオチド26は、感知システム10、10’に導入される。標識されたヌクレオチド26は、ヌクレオチド30、ヌクレオチド30のリン酸基に結合した連結分子32、および連結分子32に結合した認識部位特異的標識24(標識24または標的標識24とも呼ばれる)を含む。標識されたヌクレオチド26は、それが天然のヌクレオチドとは構造上または化学上異なるため、非天然または合成ヌクレオチドと考えられてもよい。
【0056】
標識されたヌクレオチド26のヌクレオチド30は、天然のヌクレオチドであってもよい。天然のヌクレオチドは、窒素含有複素環塩基、糖および1以上のリン酸基を含む。天然のヌクレオチドの例は、例えば、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含む。リボヌクレオチドにおいて、糖はリボースであり、デオキシリボヌクレオチドにおいて、糖はデオキシリボース(すなわち、リボース中の2’位に存在する水酸基を欠く糖)である。一例において、ヌクレオチド30は、いくつかのリン酸基(例えば、三リン酸(すなわち、ガンマ・リン酸塩)、四リン酸、五リン酸、六リン酸など(
図5に示されるごとく))を含むため、ポリリン酸形態である。複素環塩基(すなわち、核酸塩基)はプリン塩基またはピリミジン塩基または他の核酸塩基アナログであってもよい。プリン塩基は、アデニン(A)およびグアニン(G)ならびにその修飾された誘導体またはアナログを含む。ピリミジン塩基は、シトシン(C)、チミン(T)およびウラシル(U)およびその修飾された誘導体またはアナログを含む。デオキシリボースのC-1原子は、ピリミジンのN-1またはプリンのN-9に結合する。
【0057】
また、標識されたヌクレオチド26は連結分子32を含む。連結分子32は、一つの末端(end)にて、ヌクレオチド30のリン酸基に化学結合でき、かつ、他方の末端にて、標識24に化学結合できるいずれかの長鎖分子であってもよい。また、連結分子32は、それがポリメラーゼ20と相互作用しないように、選択されてもよい。連結分子32は、標識24が荷電分子18、18’の認識部位28と会合することを可能にするのに十分に長く、例えば、ヌクレオチド30がポリメラーゼ20によって保持されているように、選択されてもよい。
【0058】
例として、連結分子32は、アルキル鎖、ポリ(エチレングリコール)鎖、アミド基、リン酸基、トリアゾールのごとき複素環、ヌクレオチドまたはその組合せを含んでもよい。アルキル鎖の例は、少なくとも6つの炭素原子を含んでもよく、ポリ(エチレングリコール)鎖の例は、少なくとも3つのエチレングリコール単位を含んでもよい。
【0059】
以下の例は、連結分子32がアルキル鎖、アミド基、ポリ(エチレングリコール)鎖およびトリアゾールを含む場合の標識されたヌクレオチド26の例を示す:
【0060】
【0061】
以下の例は、連結分子32がアルキル鎖、アミド基、ポリ(エチレングリコール)鎖、トリアゾールおよびリン酸基を含む場合の標識されたヌクレオチド26のもう一つの例を示す:
【0062】
【0063】
以下の例は、連結分子32がアルキル鎖、アミド基、ポリ(エチレングリコール)鎖、トリアゾールおよびリン酸基を含む場合の標識されたヌクレオチド26のさらにもう一つの例を示す:
【0064】
【0065】
以下の例は、依然として、連結分子32がアルキル鎖、アミド基、ポリ(エチレングリコール)鎖、トリアゾール、リン酸基およびポリヌクレオチド鎖含む場合の標識されたヌクレオチド26のさらなる例を示す:
【0066】
【0067】
いくつかの例の連結分子32が記載されているが、他の連結分子32が用いられてもよいと理解されるべきである。
【0068】
認識部位特異的標識24は、荷電分子18、18’によって認識することができ、認識部位28にて荷電分子18および18と可逆的に結合することができる分子である。適当な認識部位特異的標識24の例は、抗生物質、例えば、カナマイシン、リビドマイシン、トブラマイシン、ネオマイシン、バイオマイシン、ストレプトマイシンなど;酵素共同因子、例えば、FMN、NAD、ビタミンB12、キサンテンなど;アミノ酸、例えば、アルギニン、シトルリン(citrulin)、アルギニンアミド、バリン、イソロイシン、トリプトファンなど;および多数の様々な低分子(テオフィリン、ドーパミン、スルホローダミン、セロビオースなどを含む。
【0069】
図1Aおよび
図1Bは、1つの標識されたヌクレオチド26の1つの標的標識24に結合することができる荷電分子18、18’の例を示す。他の例において、1つの標識されたヌクレオチド26は、単一荷電分子18、18’と結合することができる複数の標識24を含んでもよく(
図2)、または、1つの荷電分子18、18’は、その各々がそれぞれのヌクレオチドのそれぞれの標識24に結合することができる複数の認識部位28を含んでもよい(
図3Eによる
図3A~
図3E)。
【0070】
図2において、荷電分子18’は、標識されたヌクレオチド26’の第1の標識を可逆的に結合するための第1の認識部位28Aを含み、さらに、標識されたヌクレオチド26’の第2の標識24’に可逆的に結合するための第2の認識部位28Bを含む。本例は、3つの異なる構造変化-第1の標識単独が結合する場合のもの、第2の標識24’単独が結合する場合のもの、および標記24、24’の双方が同時に結合する場合のものを含む。
図2において、荷電分子18’の特定の構造変化は、2つの異なる認識部位28A、28Bに2つの異なる標識24、24’を結合させることにより達成される。示されるように、その1つの標識されたヌクレオチド26’は、標識24、24’双方を含み、これらの標識24、24は、それぞれの連結分子32、32’によって1つのヌクレオチド30に結合される。標識24および連結分子32のいずれかの例は、標識24、24’が相互に異なり、かつ荷電分子18’の認識部位28Aおよび28Bによって別々にまたは同時に認識することができる限りは、標識されたヌクレオチド26’の本例に用いてもよい。示された例において、標識24、24’が双方が結合する場合に、荷電分子18’は、その改変された構造Bおよび検知可能なシグナル結果のものである。
【0071】
結合したポリメラーゼ20を持つ荷電分子18’が、
図2に示されているが、荷電分子18および別々に結合したポリメラーゼ20が
図2に示される例に用いられてもよいと理解されるべきである。
【0072】
図面において示されない依然としてもう一つの例において、荷電分子18、18’は、2つの認識部位(例えば、28A、28B)を含み、そのいずれかは、ヌクレオチド30に結合される単一の標識24に結合することができる。本例は、2つの異なる優先構造変化-標識24が第1の認識部位28Aに結合するもの、および標識24が第2の認識部位28Bに結合する場合の他方を含む。
【0073】
図3A~
図3Eにおいて、荷電分子18’は4つの異なる認識部位28A、28B、28C、28Dを含み、その各々は、異なる標識されたヌクレオチド26A、26B、26C、26Dの異なる標的標識24A、24B、24C、24Dに可逆的に結合することができる。それに結合したポリメラーゼ20を持つ荷電分子が
図3A~3Eに示されるが、荷電分子18および別々に結合したポリメラーゼ20は、
図3A~
図3Eに示される例に用いてもよいと理解されるべきである。
【0074】
本例において、
図3Aに示されるごとく、荷電分子18’は、第1の標識されたヌクレオチド26Aの第1の標識24Aを可逆的に結合するための第1の認識部位28Aを含み、第1の認識部位28Aが第1の標識24Aに結合する場合に、第1の荷電配置と会合する第1の優先構造B
1を有する。
図3Bに示されるごとく、荷電分子18’は、さらに、第2の標識されたヌクレオチド26Bの第2の標識24Bを可逆的に結合するための第2の認識部位28Bを含み、第2の認識部位28Bが第2の標識24Bに結合する場合に、第2の荷電配置と会合する第2の優先構造B
2を有する。
図3Cに示されるごとく、荷電分子18’は、第3の標識されたヌクレオチド26Cの第3の標識24Cに可逆的に結合するための第3の認識部位28Cをさらに含み、第3の認識部位28Cが第3の標識24Cに結合する場合に、第3の荷電配置と会合する第3の優先構造B
3を有する。
図3Dに示されるごとく、荷電分子18’は、第4の標識されたヌクレオチド26Dの第4の標識24Dを可逆的に結合するための第4の認識部位28Dをさらに含み、第4の認識部位28Dが第4の標識24Dに結合する場合に、第4の荷電配置と会合する第4の優先構造B
4を有する。
【0075】
荷電分子18’の非結合優先構造Aは、
図3Eに示される。示されるごとく、第1の認識部位28A、第2の認識部位28B、第3の認識部位28Cおよび第4の認識部位28Cの各々が未結合である場合に(すなわち、部位28A~28Dに結合する標識されたヌクレオチド26A~26Dはない)、本例(非結合荷電配置と会合する)の非結合優先構造Aが生じる。非結合優先構造Aについての荷電分布の重心は、導電性チャネル16の表面からのセット距離δ
0を有する。この距離δ
0は、荷電分子18’に可逆的に結合する標識されたヌクレオチド26A~26Dに依存して変更される。
【0076】
図3Aに示される例において、標識されたヌクレオチド26Aは、ヌクレオチド30A、リンカー32Aおよびユニークな標識24Aとしてグアニン・ポリホスファートを含む。ポリメラーゼ20がヌクレオチド30Aを組み込む場合に、標識24Aの有効濃度は、荷電分子18’(これは標識24Aのための認識部位24Aを有する)の接近内で有効に増加され、荷電分子18’が標識24Aを結合させる。
図3Aに示される例において、結合は、「δ
++」によって表示されるごとく、荷電重心およびチャネル表面の間の距離δ
0を増加させる。
【0077】
図3Bに示される例において、標識されたヌクレオチド26Bは、ヌクレオチド30B、リンカー32Bおよびユニークな標識24Bとしてアデニン・ポリホスファートを含む。ポリメラーゼ20がヌクレオチド30Bを組み込む場合に、標識24Bの有効濃度は、荷電分子18’(標識24Aのための認識部位24Bを有する)の接近内で有効に増加され、荷電分子18’に標識24Bを結合させる。
図3Bに示される例において、結合は、「δ
+」によって表示されるごとく、荷電重心およびチャネル表面の間の距離δ
0を増加させる。
図3Aおよび
図3Bに示された優先構造変化の結果、距離δ
++およびδ
+が増加し、距離δ
++およびδ
+は異なり、かくして、別々の測定可能なシグナルを生じるであろう。
【0078】
図3Cに示される例において、標識されたヌクレオチド26Cは、ヌクレオチド30C、リンカー32Cおよびユニークな標識24Cとしてシトシン・ポリホスファートを含む。ポリメラーゼ20がヌクレオチド30Cを組み込む場合に、標識24Cの有効濃度は、荷電分子18’(標識24Cのための認識部位24Cを有する)の接近内で有効に増加され、荷電分子18’に24C標識を結合させる。
図3Cに示される例において、結合は、「δ
-」によって表示されるごとく、荷電重心およびチャネル表面の間の距離δ
0を減少させる。
【0079】
図3Dに示される例において、標識されたヌクレオチド26Dは、ヌクレオチド30D、リンカー32Dおよびユニークな標識24Dとしてチミン・ポリホスファートを含む。ポリメラーゼ20がヌクレオチド30Dを組み込む場合に、標識24Dの有効濃度は、荷電分子18’(標識24Dのための認識部位24Dを有する)の接近内で有効に増加され、荷電分子18’に標識24Dを結合させる。
図3Dに示される例において、結合は、「δ
--」によって表示されるごとく、荷電重心およびチャネル表面の間の距離δ
0を減少させる。
図3Cおよび
図3Dに示される優先構造変化の双方の結果、減少した距離δ
-およびδ
--を生じ、距離δ
-およびδ
--は異なり、かくして、別々の測定可能なシグナルを生じるであろう。
【0080】
図3A~
図3Eに示される例において、1つの荷電分子18’は4つの異なる認識部位28A~28Dを有し、かくして、4つの異なり別々の測定可能なシグナルを生じる4つの異なる改変された配置を有する。これらの異なり別々のシグナルは、4つの異なるヌクレオチド30A~30Dが、それらが鋳型鎖にそれぞれ組み込まれると識別されるのを可能にする。
【0081】
多重認識部位荷電分子の他の変化も考えられる。例えば、各々が2つの異なる認識部位28を有する2つの荷電分子18、18’を荷電センサー11、11’の導電性チャネル16に結合できる。これらの荷電分子18、18’の各々については、2つの異なる認識部位が未結合のままである場合に、非結合優先構造Aは示されるであろう。本例において、第1の2つの荷電分子18、18’は、第1の標識されたヌクレオチド(例えば、
図3Aの26A)の第1の標識(例えば、
図3A中の24A)を可逆的に結合するための第1の認識部位(例えば、
図3A中の28A)を含み、第1の認識部位が第1の標識に結合される場合に第1の荷電配置と会合する第1の優先構造(例えば、
図3AのB
1)を有し、さらに、第2の標識されたヌクレオチド(例えば、
図3A~3Eの26B)の第2の標識(例えば、
図3A~
図3E中の28B)を可逆的に結合するための第2の認識部位(例えば、
図3B中の28B)を含み、第2の認識部位が第2の標識に結合される場合に第2の荷電配置と会合する第2の優先構造(例えば、
図3BのB
2)を有する。本例において、第2の2つの荷電分子18、18’は、第3の標識されたヌクレオチド(例えば、
図3C中の26C)の第3の標識(例えば、
図3C中の24C)を可逆的に結合する第3の認識部位(例えば、
図3C中の28C)および第4の標識されたヌクレオチド(例えば、
図3D中の26D)の第4の標識(例えば、
図3D中の24D)を可逆的に結合する第4の認識部位(例えば、
図3D中の28D)を含み、また、第3の認識部位が第3の標識に結合される場合に第3の荷電配置と会合する第3の優先構造を有し、第4の認識部位が第4の標識に結合する場合に第4の荷電配置と会合する第4の優先構造を有する。本例において、2つの異なる荷電分子18、18’を用いて、4つの異なる標識されたヌクレオチド26A~26Dを識別してもよい。
【0082】
依然として他の例において、感知システム10、10’は、荷電センサー11、11’の導電性チャネル16に結合したいくつかの荷電分子18、18’を含んでもよい。一例において、荷電分子18、18’の各々が、異なる標識されたヌクレオチド26に可逆的に結合することができる。本感知システム10’’の一例が
図4に示される。
【0083】
本例において、4つの異なる荷電分子18A、18B、18C、18Dは、荷電センサー11’’の導電性チャネル16に結合されている。本例において、荷電分子18A、18B、18C、18Dの各々はそれ自身の認識部位、非結合優先構造、他の荷電分子18A、18B、18C、18Dの各々に依存しない優先構造(標識結合中に)を有する。より詳細には、導電性チャネル16に結合した第1の荷電分子18Aは、第1の標識されたヌクレオチドの第1の標識を可逆的に結合するための第1の認識部位、第1の認識部位が未結合である場合の非結合優先構造、および第1の認識部位が第1の標識に結合する場合の荷電配置を持つ優先構造を含む。本例において、導電性チャネル16に結合した第2の荷電分子18Bは、第2の標識されたヌクレオチドの第2の標識を可逆的に結合する第2の認識部位、第2の荷電分子非結合優先構造、および第2の認識部位が第2の標識に結合する場合の第2の荷電分子荷電配置を含む第2の荷電分子優先構造を含む。また、本例において、導電性チャネル16に結合した第3の荷電分子18Cは、第3の標識されたヌクレオチドの第3の標識を可逆的に結合する第3の認識部位、第3の荷電分子非結合優先構造、および第3の認識部位が第3の標識に結合する場合の第3の荷電分子荷電配置を持つ第3の荷電分子優先構造を含む。また、本例において、導電性チャネル16に結合した第4の荷電分子18Dは、第4の標識されたヌクレオチドの第4の標識を可逆的に結合する第4の認識部位、第4の荷電分子優先構造および第4の認識部位が第4の標識に結合する場合の第4の荷電分子荷電配置を持つ第4の荷電分子優先構造を含む。
【0084】
図4に示されるごとく、単一ポリメラーゼ20は導電性チャネル16に結合してもよい。本例において、それぞれのヌクレオチド30がポリメラーゼ20によって保持される場合に、それぞれの標識24は、その対応する荷電分子18A、18B、18C、18Dと結合することができ、隣接した荷電分子18A、18B、18C、18Dと結合できないように、それぞれの標識されたヌクレオチド26の各連結分子32の長さを選択してもよい。
【0085】
また、
図4は、感知装置40の例を示す。
図4に示される、感知装置40の例は、フローセル41およびフローセル41に統合された感知システム10’’を含む。感知システム10、10’、10’’のいずれの例も、感知装置40に用いられてもよいと理解されるべきである。
【0086】
フローセル41は感知システム10’’を含む容器である。他の容器、例えば、ウェル、チューブ、チャネル、キュベット、シャーレ(Petri plate)、ボトルなどが、感知システム10’’を代替的に含んでもよいと理解されるべきである。循環プロセス、例えば、核酸配列決定反応は、フローセル41に特によく適している。
【0087】
例のフローセル41は、基板/支持体13、およびそれに直接的または間接的に結合した、またはそれと統合して形成されたふた(lid)43を含む。フローセル41は、フローセル41内に含まれる1つの感知システム10’’または感知システム10’’のアレイにバルク試薬を送達できる流動体入口45および流動体出口47を含んでもよい。いずれかの個々のフローセル41は、何十、何百、何千、何百万または何十億でさえの個々にアドレス可能で判読可能な感知システム10、10’、10’’を含んでもよい。
【0088】
図7Aおよび7Bに示される例は、感知システム10、10’、10’’のアレイを含むフローセル41’の1つの例である。そのアレイはいくつかの感知システム10、10’、10’’を含んでもよく、その各々は、基板上に配置され、それが個々にアドレス可能で判読可能なように、電子回路で構成される。一例において、アレイの各感知システム10、10’、10’’は、個々のくぼみにおいて基板上に位置してもよい。そのくぼみは、感知システム10、10’、10’’の各々を物理的に分離する。
【0089】
図7Aの例において、フローセル41’はフロー・チャネル52を含む。いくつかのフロー・チャネル52が示されるが、いずれかの数のチャネル52がフローセル41’に含まれてもよい(例えば、単一のチャネル52、4つのチャネル52など)と理解されるべきである。各フロー・チャネル52は、2つの結合した成分(例えば、基板およびふたまたは2つの基板)間で規定された領域であり、これは流体(例えば、本明細書に記載されるもの)をそれに導入し、除去することができる。フロー・チャネル52は、それぞれ互いから分離されてもよい、いずれかの特定のフロー・チャネル52に導入された流体がいずれかの隣接するフロー・チャネル52に流れ込まないように、相互にフロー・チャネル52を分離してもよい。フロー・チャネル52に導入された流体のいくつかの例は、反応成分(例えば、標識されたヌクレオチド26など)、洗浄溶液などを導入してもよい。
【0090】
フローセル41’のフロー・チャネル52内の構造の一例は、
図7Bを示される。
図7Bに示される例において、フローセル41’は、支持54、および支持体54上に位置したパターン化材料(patterned material)56を含む基板13を含む。パターン化材料56は、隙間領域60によって分離されたくぼみ58を規定する。本例において、支持体54の表面は、くぼみ58の各々に露出され、感知システム’10、10、10’’は、各くぼみ58内に位置する。
【0091】
図7B中の支持体54は、フローセル41’の他の成分の支持を提供する。支持体54は、一般的に剛直であり、水性液体において不溶性である。適当な支持体54の例は、エポキシシロキサン、ガラス、改質ガラス、プラスチック、ナイロン、セラミックス/セラミック酸化物、ケイ酸(シリコン酸化物(SiO
2))、溶融シリカ、シリカベースの材料、ケイ酸アルミニウム、シリコン、改質シリコン(例えば、ホウ素ドープしたp+シリコン)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、五酸化タンタル(TaO
5)または他のタンタル酸化物(TaOx)、ハフニウム酸化物(HaO
2)、無機ガラスなどを含む。支持体54に適当なプラスチックのいくつかの例は、アクリル、ポリスチレン、スチレンおよび他の材料の共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(ChemoursからのTEFLON(登録商標)のごとき)、環状オレフィン/環状オレフィン・ポリマー(COP)(ZeonからのZEONOR(登録商標)のごとき)、ポリイミドなどを含む。支持体54は、表面でのタンタル酸化物またはもう一つのセラミック酸化物のコーティング層を持つガラスまたはシリコンであってもよい。
【0092】
支持体54の形態は、ウエハー、パネル、矩形シート、ダイまたはいずれかの他の適当な形状であってもよい。一例において、支持体54は、約2mm~約300mmの範囲の直径を有する円形ウエハーまたはパネルであってもよい。より特定の例として、支持体54は、約200mmから約300mmの範囲の直径を有する円形ウエハーである。もう一つの例において、支持体54は、約10フィート(約3メートル)以下のその最大の寸法を有する矩形のシートまたはパネルであってもよい。特定の例として、支持体54は、約0.1mmから約10mmの範囲の幅を有するダイである。例の寸法は提供されているが、いずれかの適当な寸法を持つ支持体54が用いられてもよいと理解されるべきである。
【0093】
図7Bに示される例において、パターン化材料56は、支持体54に位置する。いずれの材料も選択的に沈着し、または沈着およびパターン化して、くぼみ58を形成でき、隙間領域60をパターン化材料56のために用いてもよいと理解されるべきである。
【0094】
一例として、無機酸化物は、蒸着、エアゾール印刷またはインクジェット印刷によって支持体66に選択的に適用されてもよい。適当な無機の酸化物の例は、タンタル酸化物(例えば、Ta2O5)、酸化アルミニウム(例えば、Al2O3)、シリコン酸化物(例えば、SiO2)、ハフニウム酸化物など(例えば、HfO2)を含む。
【0095】
もう一つの例として、樹脂は支持体54に適用して、次いで、パターン化されてもよい。適当な沈着技術は、化学蒸着、ディップコーティング、浸漬コーティング、スピンコーティング、スプレー・コーティング、パドル分配(puddle dispensing)、超音波スプレー・コーティング、ドクターブレードコーティング、エアゾール印刷、スクリーン印刷、マイクロコンタクト印刷などを含む。適当なパターン化技術は、フォトリソグラフィ、ナノインプリント・リソグラフィ(NIL)、スタンピング技術、エンボス技術、成形技術、マイクロエッチング技術、印刷技術などを含む。適当な樹脂のいくつかの例は、多面体オリゴマーシルセスキオキサン樹脂(POSS)ベースの樹脂、非POSSエポキシ樹脂、ポリ(エチレングリコール)樹脂、ポリエーテル樹脂(例えば、開環エポキシ)、アクリル樹脂、アクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、無定形フッ素重合体樹脂(例えば、BellexからのCYTOP(登録商標))およびその組合せを含む。
【0096】
本明細書に用いた用語「多面体オリゴマーシルセスキオキサン」(POSS)は、シリカのもの(SiO2)およびシリコーン(R2SiO)間でのハイブリッド中間体(例えば、RSiO1.5)である化学組成物をいう。POSSの一例は、KehagiasらMicroelectronic Engineering 86 (2009), pp. 776-778(ここに出典明示してその全体を本明細書の一部とみなす)に記載されたものであってもよい。一例において、組成物は、化学式[RSiO3/2]n(R基が同一または異なることができる)を持つ有機ケイ素化合物である。POSSのための例のR基は、エポキシ、アジ化物/アジド、チオール、ポリ(エチレングリコール)、ノルボルネン、テトラジン、アクリレート、および/またはメタクリレート、または例えば、さらに、アルキル基、アリル基、アルコキシル基、またはハロアルキル基を含む。本明細書に開示した樹脂組成物は、単量体単位として1以上の異なるケージまたはコア構造を含んでもよい。多面体構造は、
【0097】
【0098】
【化6】
により表されてもよい。この単量体単位は、典型的には官能基R1~R8の8つのアームを有する。
【0099】
単量体単位は、
【0100】
【化7】
のごときT10という、10個のシリコン原子および10個のR基を持つケージ構造を有しても:または
【0101】
【化8】
のごときT12という、12個のシリコン原子および12個のR基を持つケージ構造を有してもよい。POSSベースの材料は、代替的にT
6、T
14またはT
16ケージ構造を含んでもよい。平均ケージ含量は合成中に調整するおよび/または精製方法によってコントロールすることができ、単量体単位のケージサイズの分布は本明細書に開示した例に用いられてもよい。
【0102】
図7Bに示されるごとく、パターン化材料56は本明細書に規定されたくぼみ58、および隣接するくぼみ58を分離する隙間領域60を含む。くぼみ58の多数の異なるレイアウトが規則的パターン、反復パターンおよび非規則的パターンを含めて考えられてもよい。ある例において、くぼみ58は、最密充填および密度の改善のために六角形グリッドに配置される。他のレイアウトは、例えば、直線(矩形)レイアウト、三角形レイアウトなどを含んでもよい。いくつかの例において、レイアウトまたはパターンは、列および行で存在するくぼみ58のx-yフォーマットであることができる。他のいくつかの例において、レイアウトまたはパターンは、くぼみ58および/または隙間領域60の繰り返し配置であってもよい。依然として他の例において、レイアウトまたはパターンは、くぼみ58および/または隙間領域60のランダム配置であってもよい。パターンは、スポット、パッド、ウェル、ポスト、ストリップ、渦巻き、線、三角形、矩形、円、弧、チェック、格子じま、対角線、矢印、正方形、またはクロスハッチを含んでもよい。
【0103】
くぼみ58のレイアウトまたはパターンは、規定された領域におけるくぼみ58の密度(くぼみ58の数)に関して特徴付けられてもよい。例えば、くぼみ58は、1mm2当たりおよそ200万の密度で存在してもよい。密度は、例えば、1mm2当たり約100、1mm2当たり約1,000、1mm2当たり約10万、1mm2当たり約100万、1mm2当たり約200万、1mm2当たり約500万、1mm2当たり約1000万、1mm2当たり約5000万またはより多いかまたは少ない密度を含めた種々の密度に合わせてもよい。パターン化材料56中のくぼみ58の密度は、上記の範囲から選択されたより低値のものおよびより高値のものの間であることができる。例として、高密度アレイは、約100nm未満によりくぼみ58を分離する、中密度アレイは、約400nm~約1μmにより分離する、低密度アレイは約1μm以上によりくぼみ58を分離することであると特徴付けてもよい。例の密度が提供されているが、いずれの適当な密度も用いられてもよいと理解されるべきである。
【0104】
くぼみ58のレイアウトまたはパターンは、平均ピッチ、またはくぼみ58の中心から隣接するくぼみ58の中心(中心-中心間隔)、または一つのくぼみ58の端から隣接するくぼみ58の端までの間隔(端-端間隔)の点でさらにまたは別法として特徴付けられてもよい。パターンは、平均ピッチ周囲の変動係数が小さいように規則的であってもよいか、または、パターンは非規則的にあってもよく、この場合には、変動係数は比較的大きくなることができる。いずれの場合にも、平均ピッチは、例えば、約50nm、約0.1μm、約0.5μm、約1μm、約5μm、約10μm、約100μmまたはより大きいかもしくは少なくてもよい。特定のパターンのくぼみ58についての平均ピッチは、上記の範囲から選択されたより低値のものおよびより高値のものの間にあることができる。ある例において、くぼみ58は、約1.5μmのピッチ(中心-中心間隔)を有する。例の平均ピッチ値が提供されているが、他の平均ピッチ値が用いられてもよいと理解されるべきである。
【0105】
各くぼみ58のサイズはその体積、深さおよび/または直径により特徴付けてもよい。
【0106】
各くぼみ58は、流体を閉じ込めることができるいずれかの体積を有することができる。最小または最大の体積は、例えば、処理能力(例えば、多重度)、分解能、標識されたヌクレオチド26、またはフローセル41’の下流の使用のために期待された分析物反応性を提供するために選択することができる。例えば、体積は、少なくとも約1×10-3μm3、少なくとも約1×10-2μm3、少なくとも約0.1μm3、少なくとも約1μm3、少なくとも約10μm3、少なくとも約100μm3、またはそれを超えてもよい。別法としてまたは加えて、体積は、多くとも約1×104μm3、多くとも約1×103μm3、多くとも約100μm3、多くとも約10μm3、多くとも約1μm3、多くとも約0.1μm3、またはそれより少なくてもよい。
【0107】
各くぼみ58の深さは、1つの感知システム10、10’、10’’を収容するために十分に大きくできる。ある例において、深さは、少なくとも約1μm、少なくとも約10μm、少なくとも約100μm、またはそれを超えてもよい。別法としてまたは加えて、深さは、多くとも約1×103μm、多くとも約100μm、多くとも約10μm、多くとも100μm、またはそれより小さくてもよい。各くぼみ58の深さは、前記に特定された値より大きい、より小さいまたはその間であることができる。
【0108】
いくつかの例において、各くぼみ58の直径または長さおよび幅は、少なくとも約50nm、少なくとも約0.1μm、少なくとも約0.5μm、少なくとも約1μm、少なくとも約10μm、少なくとも約100μm、またはそれを超えることができる。別法としてまたは加えて、直径または長さおよび幅は、多くとも約1×103μm、多くとも約100μm、多くとも約10μm、多くとも約1μm、多くとも約0.5μm、多くとも約0.1μm、またはそれより小さく(例えば、約50nm)てもよい。各くぼみ58の直径または長さおよび幅は、前記に特定された値より大きくても、小さくても、またはその間であることができる。
【0109】
図7Bに示されるごとく、アレイ中のくぼみ58の各々は、それぞれの荷電センサー11、11’、11’’を含む。各くぼみ58中の各荷電センサー11、11’、11’’が、それに結合した一つの荷電分子18、18’を有し、およびその接近内に結合した1つのポリメラーゼ20を有することが望ましい。いくつかの例において、くぼみ58は各々、1つの荷電センサー11、11’、11’’、1つの荷電分子18、18’およびその中の1つのポリメラーゼ20を有する。他の例において、いくつかのくぼみ58は、1つの荷電センサー11、11’、11’’、1つの荷電分子18、18’および1つのそのポリメラーゼ20を有するが;他のくぼみ58は、1つの荷電センサー11、11’、11’’、1つの荷電分子18、18’、および1を超えるその中のポリメラーゼ20を有し;依然として他のくぼみ58は、1つの荷電センサー11、11’、11’’、1つの荷電分子18、18’を有し、その中のポリメラーゼ20を有しない。これらの例において、いずれかの所与のくぼみ58内に結合するポリメラーゼ20の数は、ランダムであっても、ポアソン分布によって決定されてもよい。
【0110】
いくつかの例において、それに結合した荷電分子18、18’を含む荷電センサー11、11’、11’’は、くぼみ58に予め組み立てられてもよい。それぞれのくぼみ58内でポリメラーゼ20を結合するために、ポリメラーゼ20を含む流体は、フローセル41’の各レーン52に導入されてもよい。ポリメラーゼ20は、くぼみ58内に結語するテザー22を含んでいてもよく、またはリンカー22は、くぼみ58内に予め結合していてもよく、また、ポリメラーゼ20はリンカー22に結合できる。望ましい時間および望ましい温度が、ポリメラーゼ20が結合することを可能にするようにインキュベートさせてもよい。
【0111】
図7Bに示されるごとく、ポリメラーゼ20は、フローセル41’内のいずれかの成分および/またはいずれかの表面に結合してもよい。いくつかの例において、ポリメラーゼ20は、電極12または14、基板13の表面(例えば、くぼみ58の底部、くぼみ58の側壁など)、導電性チャネル16上、荷電分子18、18’上などに結合する。
【0112】
荷電センサー11、11’、11’’の各々は、個々に電気的にアドレス可能で判読可能である。かくして、各くぼみ58内で起こる荷電分子構造変化に起因するシグナルは、個々に検知し分析してもよい。
【0113】
また、感知装置40のいずれの例も、感知システム10、10’、10’’に関して、フローセル41またはフローセル41’のレーン52の流入口(例えば、流体入口45)に、次いで、流体出口47に試薬を選択的に導入するための試薬送達システム49を含んでもよい。試薬送達システム49は、流体入口45に永続的にまたは移動可能に結合することができる管材料(tubing)または他の流体物(fluidic)を含んでもよい。試薬送達システム49はサンプル容器51を含んでもよい。試薬(感知システムに10’’導入される、標識されたヌクレオチド26のいずれの例も含む)は、サンプル容器に格納されるか、または調製されてもよく、使用の直前にサンプル容器に導入されてもよい。また、試薬送達システム49は、サンプル容器51から試薬を回収し、流体入口45にそれを送達するためのポンプまたは他の適当な機器を含んでもよい。他の例において、試薬が流体入口45に、感知システム10’’を越えて、流体出口47外に重力によって流れることができるように、サンプル容器51は配置される。
【0114】
また、フローセル41、41’中の荷電センサー11、11’、11’’は、感知システム10、10、10’’および感知装置40が用いられる場合に、荷電センサー11、11’、11’’のコンダクタンス変化を検知するための検知器15に作動可能に接続されてもよい。
【0115】
本明細書に開示された感知システム10、10’、10’’が、感知方法に用いられてもよい。方法の一例は、
図5に模式的に示されている。その方法は、2つの電極12、14および2つの電極12、14を連結する導電性チャネル16;導電性チャネル16に結合した荷電分子18、18’、ここに、荷電分子18、18’は認識部位28を含み;および導電性チャネル16または荷電分子18、18’に結合したポリメラーゼ20を含む感知システム10、10’、10’’に鋳型ポリヌクレオチド鎖48を導入すること、
標識されたヌクレオチド26を含む試薬を感知システム10、10’、10’’に導入し、それにより標識されたヌクレオチド26の1つのヌクレオチド30は、ポリメラーゼ20と会合し、標識されたヌクレオチド26の1つの認識部位特異的標識24は、荷電分子18、18’の構造変化を誘導するために認識部位28と会合し、および
荷電分子18、18’の構造変化に応じて、荷電センサー11、11’、11’’の応答を検知することを含む。
【0116】
鋳型ポリヌクレオチド鎖48は、配列決定されるいずれかのサンプルであっても、DNA、RNAまたはそのアナログ(例えば、ペプチド核酸)を含んでいてもよい。鋳型(または標的)ポリヌクレオチド鎖48のソースは、ネイティブソースからのゲノムDNA、メッセンジャーRNAまたは他の核酸であることができる。いくらかの場合には、かかるソースに由来する鋳型ポリヌクレオチド鎖48は、本明細書の方法またはシステム40の使用に先立ち増幅することができる。限定されるものではないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、多重置換増幅(MDA)またはリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)を含めた、様々な公知の増幅技術のいずれかを用いることができる。本明細書に記載の方法またはシステム40の使用に先立つ鋳型ポリヌクレオチド鎖48の増幅は、オプションであると理解されるべきである。かくして、鋳型ポリヌクレオチド鎖48は、いくつかの例での使用に先立ち増幅されないであろう。鋳型/標的ポリヌクレオチド鎖48は、所望により合成ライブラリーに由来することができる。合成核酸はネイティブDNAまたはRNAの構成を有することができるか、またはそのアナログであることができる。
【0117】
鋳型ポリヌクレオチド鎖48が由来することができる生物学的サンプルは、例えば、げっ歯動物、マウス、ネズミ、ウサギ、モルモット、有蹄動物、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、雌ウシ、ネコ、イヌ、霊長動物、ヒトまたは非ヒト霊長動物のごとき哺乳動物;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、トウモロコシ、モロコシ、オート麦、小麦、米、キャノーラまたは大豆のごとき植物;クラミドモナス(Chlamydomonas reinhardtii)のごとき藻類;カエノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)のごとき線虫;キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、蚊、ミバエ、ミツバチまたはクモのごとき昆虫;ゼブラフィッシュのごとき魚;爬虫類;カエルまたはツメガエル(Xenopus laevis)のごとき両生動物;細胞性粘菌(Dictyostelium discoideum);ニューモシスチス・カリニ(pneumocystis carinii)、トラフグ(Takifugu rubripes)、酵母、サッカロミケス・セレビシエ(Saccharamoyces cerevisiae)または分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)のごとき菌類;または熱帯熱マラリア原虫(plasmodium falciparum)からのものを含む。また、鋳型ポリヌクレオチド鎖48は、バクテリア、大腸菌、ブドウ球菌またはマイコプラズマ・ニューモニエ(mycoplasma pneumoniae)のごとき原核生物;古細菌;C型肝炎ウイルス、エボラウイルスまたはヒト免疫不全ウイルスのごときウイルス;またはウイロイドから由来することができる。鋳型ポリヌクレオチド鎖48は、前記の有機体の均一培養物または集団から、または別法として、例えば、コミュニティーまたは生態系におけるいくつかの異なる有機体の収集物から由来することができる。
【0118】
さらに、鋳型ポリヌクレオチド鎖48は、天然ソースに由来しなくてもよいが、公知の技術を用いて、むしろ合成することができる。例えば、遺伝子発現プローブまたは遺伝子型決定プローブを合成し、本明細書に記載された例において用いることができる。
【0119】
いくつかの例において、鋳型ポリヌクレオチド鎖48は、1以上のより大きな核酸の断片として得ることができる。断片化は、例えば、噴霧化、超音波処理、化学的切断、酵素的切断または物理的剪断(shearing)を含めた、当該技術分野において知られた様々な技術のいずれかを用いて実行することができる。また、断片化は、より大きな核酸鎖の一部だけのコピーにより、アンプリコンを生成する特定の増幅技術の使用に起因してもよい。例えば、PCR増幅は、フランキングプライマーが増幅中にハイブリダイズする位置の間にあるオリジナルの鋳型上の核酸配列の長さにより規定されるサイズを有する断片を生成する。鋳型ポリヌクレオチド鎖48の長さは、ヌクレオチド数、またはメートルの長さ(例えば、ナノメートル)の点からあってもよい。
【0120】
鋳型/標的ポリヌクレオチド鎖48の集団、またはそのアンプリコンは、本明細書に記載の方法またはシステム40の特定の適用のために望ましくいかまたは適当である平均鎖長を有することができる。例えば、平均鎖長は、約100,000ヌクレオチド未満、約50,000ヌクレオチド未満、約10,000ヌクレオチド未満、約5,000ヌクレオチド未満、約1,000ヌクレオチド未満、約500ヌクレオチド未満、約100ヌクレオチド未満、または約50ヌクレオチド未満であることができる。別法としてまたは加えて、平均鎖長は、約10ヌクレオチド、約50ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、約500ヌクレオチド、約1,000ヌクレオチド、約5,000ヌクレオチド、約10,000ヌクレオチド、約50,000ヌクレオチド、または約100,000ヌクレオチドを超えることができる。標的ポリヌクレオチド鎖48の集団またはそのアンプリコンについての平均鎖長は、前記の最大および最小値の間の範囲にあることができる。
【0121】
いくつかの場合には、鋳型/標的ポリヌクレオチド鎖48の集団は、そのメンバーについて最大長を有するような条件下で生成または構成することができる。例えば、メンバーについての最大長は、約100,000ヌクレオチド未満、約50,000ヌクレオチド未満、約10,000ヌクレオチド未満、約5,000ヌクレオチド未満、約1,000ヌクレオチド未満、約500ヌクレオチド未満、約100ヌクレオチド未満、または約50ヌクレオチド未満であることができる。別法としてまたは加えて、鋳型ポリヌクレオチド鎖48の集団またはそのアンプリコンは、そのメンバーについて最小の長さを有するような条件下で生成または構成することができる。例えば、メンバーについての最小の長さは、約10ヌクレオチドを超える、約50ヌクレオチドを超える、約100ヌクレオチドを超える、約500ヌクレオチドを超える、約1,000ヌクレオチドを超える、約5,000ヌクレオチドを超える、約10,000ヌクレオチドを超える、約50,000ヌクレオチドを超える、または約100,000ヌクレオチドを超えることができる。集団中の鋳型ポリヌクレオチド鎖48についての最大および最小の鎖長は、前記の最大値および最小値の間の範囲にあることができる。
【0122】
図5に示されるごとく、感知システム10(または10’、10’’)に導入される鋳型ポリヌクレオチド鎖48は、ポリメラーゼ20によって適所に保持されてもよく、それは、本例において、導電性チャネル16に繋留される(tethered)。
図5に示される鋳型ポリヌクレオチド鎖48は、DNAの鋳型鎖である。鋳型ポリヌクレオチド鎖48は、標識されたヌクレオチド26のごとき試薬と共に、生物学的に安定な溶液に導入されてもよい。生物学的に安定な溶液は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または線形増幅のごときポリメラーゼベースの組込み反応に適するいずれの緩衝液であってもよい。ある例として、生物学的に安定な溶液は、7付近のpH、いくらかのミリモルを超える塩濃度、およびMg
2+イオンを有する緩衝液を含んでもよい。
【0123】
また、
図5に示されるごとく、標識されたヌクレオチド26は鋳型ポリヌクレオチド鎖48の標的核酸に相補的な塩基を含んでもよい。標識されたヌクレオチド26は、部分的に、鋳型ポリヌクレオチド鎖48に結合されるポリメラーゼ20によって、適所に保持されるであろう。ある例として、ポリメラーゼ20は、特定のヌクレオチド30を組込んでもよく、ヌクレオチド30は、数(例えば、2)ミリ秒から数百ミリ秒の範囲の期間保持されてもよい。
【0124】
標識されたヌクレオチド26およびポリメラーゼ20間の相互作用および連結分子32の長さは、標的標識24が荷電分子18の接近内で会合するのを可能にする。感知システム10、10’、10’’がアレイ中に存在し、個々にアドレス可能で、個々に判読可能な荷電センサー11、11’、11’’を含む場合に、連結分子32の長さも、一旦標識されたヌクレオチド26が特定の感知システム10、10’、10’’のポリメラーゼ20と相互作用すれば、隣接する感知システム10、10’、10’’との会合からいずれの個々の標的標識24も妨げる。
【0125】
いくつかの例において、標的標識24の会合は、標識24の有効濃度を増加させ、標的標識24に荷電分子18を結合させる。荷電分子18は、平衡でのその構造をダイナミックに変更し、標的標識24の不存在下で、1つの特定の構造(すなわち、非結合優先構造)中の大部分の時間を消費してもよい。標的標識24の結合は、(非結合優先構造から)異なる優先構造に荷電分子18を移動させるであろう。結合の間の優先構造は、非結合優先構造(例えば、結合した標識24の不存在下、荷電分子18によって最も示された構造)とは異なる。非結合優先構造中の荷電分布は、優先構造中の荷電分布とは異なる(例えば、荷電分子18が標識24に結合する場合)。荷電分子18の荷電分布の変化は、今度は、チャネル16のコンダクタンスを変更する。
【0126】
荷電センサー11、11’、11’’の応答は、標的標識24がヌクレオチド特異的である(すなわち、特異的標識24が特定の塩基のために選択される)ため、および荷電分子18の認識部位28が標識に特異的であるため、標識されたヌクレオチド26の組み込まれた塩基を示し得る。かくして、また、方法は、会合した認識部位特異的標識24(すなわち、荷電分子18の構造を変更した標識24)と荷電センサー11、11’、11’’の応答を関連させること、および会合した認識部位特異的標識24に基づいて、会合した標識されたヌクレオチド26(すなわち、ポリメラーゼ20および認識部位28と会合した標識されたヌクレオチド26)のヌクレオチド(例えば、塩基)を識別することを含み得る。
【0127】
ユニークな指紋シグナルが生成されるように、荷電分子18、18’および標識24の間のオン速度およびオフ速度を調整することができると理解されるべきである。
【0128】
遅いオフ速度を持つ標識24については、標識24は、例えば、全ヌクレオチド組込みサイクル中に、かなりの持続時間で結合されたままであろう。この伸長された結合は、荷電センサー11、11’のチャネル16を介して電流のDCレベルにおける変化を生成するであろう。これは、遅いオフ速度を持つ異なる標識24が4つの異なるヌクレオチドに用いられ、4つの異なり別々の検知可能なシグナルを生じる場合の
図6Aにおいて模式的に示される。これらのシグナルは、4つの異なる認識部位28を持つ単一荷電分子18、18’を介して、または各々が標識特異的認識部位28を持つ4以下の異なる荷電分子18、18’を介して、または別々の遅いオフ速度で4以下の異なるヌクレオチドを結合することができる単一認識部位28を持つ単一荷電分子18を介して検知できる。
【0129】
速いオン速度およびオフ速度を持つ標識24については、標識24は全ヌクレオチド組込みサイクル中に荷電分子18、18’から多数回に会合/分離することができる。この迅速なオンおよびオフ結合は、荷電センサー11、11’からチャッター(chatter)様のシグナル(例えば、DCレベル、振幅、周波数、百分位数レベル、特徴的分布など)を生成するであろう。これは、速いオン速度およびオフ速度を持つ異なる標識24が、4つの異なるヌクレオチドに用いられ、4つの異なり別々の検知可能なシグナルを生じる
図6Bにおいて模式的に示される。これらのシグナルは、4つの異なる認識部位28を持つ単一荷電分子18、18’を介して、または各々標識特異的認識部位28を持つ4以下の異なる荷電分子18、18’を介して、または別々のオン速度およびオフ速度にて1~4以下の異なるヌクレオチドを結合することができる単一荷電分子18、18’を介して検知することができる。
【0130】
また、荷電分子18、18’の構造状態が変更される頻度は、モニターされてもよい。
【0131】
また、荷電センサー応答の大きさは別々であってもよい。いくつかの例において、認識部位28は4以下の異なる標識されたヌクレオチド26を可逆的に結合するためのものである。4つの異なる標識されたヌクレオチド26の1つがポリメラーゼ20および認識部位28と会合する場合、荷電センサー11、11’、11’’の応答は、4つの異なる標識されたヌクレオチド26の1つを識別するために用いることができる別々の大きさ(または振幅、magnitude)を有する。また、4つの異なる標識されたヌクレオチド26の各々は、別々の大きさ(例えば、他の4つの異なる標識されたヌクレオチド26の各々と会合した大きさとは異なる大きさ)を有してもよい。
【0132】
他の例において、
図6Aおよび6Bからのモダリティ(modalities)は、いくつかの形態で組み合わせてもよい。例えば、感知システム10、10’、10’’に曝される複数の標識されたヌクレオチド26において、遅いオン速度およびオフ速度を有するいくつかの標識24が用いられてもよく、速いオン速度およびオフ速度を有する他の標識24が用いられてもよい。
【0133】
本明細書に記載された組込みサイクルの結果として、会合した標識されたヌクレオチド26の塩基は、鋳型ポリヌクレオチド鎖48にハイブリダイズされる新生鎖50に組み込まれるであろう。塩基が十分に組込まれ、新生鎖50の糖骨格が伸長される場合、ヌクレオチド30および標識24間のリンカー32は、自然に分割される。この結果、背景レベルへの標識24の有効濃度の低下が生じる。標的標識24は分離し、荷電分子18、18’は、それは優先非結合構造を優先的に示すその非結合(時々「野生型」という)構造に戻る。
【0134】
本明細書に開示した方法は、配列決定サイクルの所望の数のために繰り返されてもよい。
【0135】
本明細書に開示された標識されたヌクレオチド26および感知システム10、10’、10’’は、様々な適用のいずれに用いられてもよい。
図5への参照で記載されるごとく、特に有用な適用は、シーケンシング・バイ・シンセシス(sequencing-by-synthesis、SBS)のごとき核酸配列である。SBSにおいて、鋳型核酸48に沿った核酸配列決定プライマーの伸長は、鋳型中のヌクレオチドの配列を決定するためにモニターされる。基礎をなす化学プロセスは、重合(例えば、本明細書に記載されるごときポリメラーゼ酵素20によって触媒される)であってもよい。特定のポリメラーゼベースのSBSの例において、新生鎖を形成するためにプライマーに加えられたヌクレオチドの順序およびタイプの検知を用いて、鋳型の配列を決定できるように、ヌクレオチド(例えば、塩基)は、配列決定プライマーに加えられる(それにより、配列決定プライマーを伸長する)。アレイの異なる感知システム10、10’、10’’での複数の異なる鋳型48は、SBS技術に付してもよい。異なる鋳型48で生じる事象は、アレイにおける特定の感知システム10、10’、10’’の位置のために、部分的に識別することができる。アレイ中の各感知システム10、10’、10’’の荷電センサー11、11’は、個々にアドレス可能で判読可能であってもよく、かくして、各センサー11、11’のシグナルを検知することができる。
【0136】
本明細書に開示された標識されたヌクレオチド26および感知システム10、10’、10’’についての他の適当な適用は、シーケーシング・バイ・ライゲーション(sequencing-by-ligation)およびシーケーシング・バイ・ハイブリダイゼーション(sequencing-by-hybridization)を含む。
【0137】
後記により大きく詳細に言及される先の概念およびさらなる概念(但し、かかる概念が相互に矛盾しなくはない)のすべての組合せが、本明細書に開示した発明の主題の一部であるとして考えられると認識されるべきである。特に、本開示の終わりに現われる、特許請求された主題のすべての組合せは、本明細書に開示した発明の主題の一部であると考えられる。また、参照によって組み込まれるいずれかの開示にさらに現われ得る本明細書に明示的に使用された用語が、本明細書に開示された特定の概念と最も一致する意味を与えられるべきであると認識されるであろう。
【0138】
「一例(one example)」、「もう一つの例」、「ある例(an example)」などへの明細書の全体にわたる参照は、例に関して記載された特定の要素(例えば、特徴、構造および/または特性)が、本明細書に記載された少なくとも1つの例に含まれ、他の例において存在してもしなくてもよいことを意味する。加えて、文脈が明らかに他の方法で指示しない限りは、いずれかの例について記載された要素を様々な例においていずれかの適当な方法で組み合わせてもよいと理解されるべきである。
【0139】
本開示の全体にわたって用いた用語「実質的に」および「約」を用いて、例えば、処理(processing)における変化のための小さな変動を記載または説明する。例えば、それらは、±5%以下、例えば、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.2%以下、±0.1%以下、±0.05%以下をいうことができる。
【0140】
さらに、本明細書に提供された範囲は、それらが明示的に記載されたように、記載された範囲、および記載された範囲内のいずれかの値または副範囲を含むと理解されるべきである。例えば、1nm~1μm未満により表わされる範囲は、1nm~1μm未満の明示された範囲だけではなく、約15nm、22.5nm、45nmなどのごとき個々の値、および約20nm~約48nmなどのごとき副範囲も含むと解釈されるべきである。
【0141】
いくつかの例が詳細に記載されているが、開示した例が変更されてもよいと理解されるべきである。したがって、先の記載は、非限定的であると考えられるべきである。