(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】フロントエンドシステム、チャージポンプ電圧を生成する方法、及びチャージポンプ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/07 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
H02M3/07
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021000633
(22)【出願日】2021-01-06
【審査請求日】2023-12-28
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503031330
【氏名又は名称】スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYWORKS SOLUTIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ラム、 ルイ
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0091045(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0074481(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0149328(US,A1)
【文献】国際公開第2014/062832(WO,A2)
【文献】特表2005-515657(JP,A)
【文献】特開2011-223829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントエンドシステムであって、
無線周波数スイッチと、
スイッチ有効信号の第1状態においてチャージポンプ電圧により前記無線周波数スイッチにバイアスを与えるべく構成されたスイッチコントローラと、
チャージポンプ出力端子において前記チャージポンプ電圧を生成するべく構成されたチャージポンプと
を含み、
前記チャージポンプは、
一のスイッチトキャパシタと、
前記スイッチトキャパシタの第1端に電気的に接続された出力部を有する反転器と、
前記チャージポンプの充電動作の間に前記スイッチトキャパシタを充電するべく、及び前記チャージポンプの放電動作の間に前記スイッチトキャパシタを前記チャージポンプ出力端子に接続するべく構成された複数のスイッチと
を含み、
前記複数のスイッチは、前記充電動作と前記放電動作とが非重畳となるように動作するべく構成され
、
前記複数のスイッチは、
前記スイッチトキャパシタの第2端と基準電圧との間に接続された一対の充電スイッチと、
前記スイッチトキャパシタの第2端と前記チャージポンプ出力端子との間に接続された一対の放電スイッチと
を含み、
前記一対の充電スイッチの第1充電スイッチが第1クロック位相信号により制御され、
前記反転器の入力部が、前記第1クロック位相信号よりも遅延した第2クロック位相信号を受信し、
前記一対の充電スイッチの第2充電スイッチが、前記第2クロック位相信号よりも遅延した第3クロック位相信号により制御される、フロントエンドシステム。
【請求項2】
前記チャージポンプは、電力高供給電圧及び接地電圧によって電力供給を受け、前記チャージポンプ電圧は前記接地電圧よりも低い、請求項1のフロントエンドシステム。
【請求項3】
前記一対の充電スイッチは前記充電動作の間に閉であり前記放電動作の間に開であり、
前記一対の放電スイッチは前記放電動作の間に閉であり前記充電動作の間に開である、請求項
1のフロントエンドシステム。
【請求項4】
前記一対の放電スイッチのうち第1放電スイッチが、前記第1クロック位相信号の反転バージョンにより制御され、
前記一対の放電スイッチのうち第2放電スイッチが、前記第3クロック位相信号の反転バージョンにより制御される、請求項
1のフロントエンドシステム。
【請求項5】
前記チャージポンプはさらに、
第1複数のクロック信号位相を生成するべく構成された発振器と、
前記第1複数のクロック信号位相を処理して第2複数のクロック信号位相を生成するべく構成された組み合わせ論理と
を含み、
前記スイッチの少なくとも一部分は前記第2複数のクロック信号位相によって制御される、請求項1のフロントエンドシステム。
【請求項6】
前記チャージポンプは、第1段及び第2段を含む複数の段を含み、
前記第1段は前記複数のスイッチ及び前記スイッチトキャパシタを含む、請求項1のフロントエンドシステム。
【請求項7】
前記複数のスイッチは一部が、前記第2段からのクロック信号によって制御される、請求項
6のフロントエンドシステム。
【請求項8】
フロントエンドシステムであって、
スイッチ有効信号の第1状態においてチャージポンプ電圧により無線周波数スイッチにバイアスを与えるべく構成されたスイッチコントローラと、
チャージポンプ出力端子において前記チャージポンプ電圧を生成するべく構成されたチャージポンプと
を含み、
前記チャージポンプは、
一のスイッチトキャパシタと、
前記スイッチトキャパシタの第1端に電気的に接続された出力部を有する反転器と、
前記チャージポンプの充電動作の間に前記スイッチトキャパシタを充電するべく、及び前記チャージポンプの放電動作の間に前記スイッチトキャパシタを前記チャージポンプ出力端子に接続するべく構成された複数のスイッチと
を含み、
前記複数のスイッチは、前記充電動作と前記放電動作とが非重畳となるように動作するべく構成され、
前記複数のスイッチは、
前記スイッチトキャパシタの第2端と基準電圧との間に接続された一対の充電スイッチと、
前記スイッチトキャパシタの第2端と前記チャージポンプ出力端子との間に接続された一対の放電スイッチと
を含み、
前記一対の充電スイッチは、前記充電動作の間に閉にされて前記放電動作の間に開にされ、
前記一対の充電スイッチはさらに、前記充電動作から前記放電動作への遷移の間に前記一対の充電スイッチのうち一方の充電スイッチが開にされて前記一対の充電スイッチのうち他方の充電スイッチが閉にされるように構成される、フロントエンドシステム。
【請求項9】
前記充電動作から前記放電動作への遷移の間に、前記一対の放電スイッチのうち一方の放電スイッチが開にされて前記一対の放電スイッチのうち他方の放電スイッチが閉にされる、請求項8のフロントエンドシステム。
【請求項10】
チャージポンプ電圧を生成する方法であって、
チャージポンプの充電動作の間に複数のスイッチを使用して一のスイッチトキャパシタを充電することと、
前記チャージポンプを前記充電動作から非重畳の放電動作へと遷移させることと、
前記放電動作の間に前記スイッチトキャパシタをチャージポンプ出力端子に接続することと
、
反転器の出力を使用して前記スイッチトキャパシタの第1端を制御し、前記複数のスイッチを使用して前記スイッチトキャパシタの第2端を制御することと、
前記充電動作の間に前記複数のスイッチのうち一対の充電スイッチを閉にし、前記充電動作の間に前記複数のスイッチのうち一対の放電スイッチを開にし、前記放電動作の間に前記一対の充電スイッチを開にし、前記放電動作の間に前記一対の放電スイッチを閉にすることと、
前記一対の充電スイッチのうち一方の充電スイッチを開にすることと、
前記充電動作から前記放電動作への遷移の間に前記一対の充電スイッチのうち他方の充電スイッチを閉にすることと
を含む、方法。
【請求項11】
前記一対の放電スイッチのうち一方の放電スイッチを開にすることと、
前記充電動作から前記放電動作への遷移の間に前記一対の放電スイッチのうち他方の放電スイッチを閉にすることと
をさらに含む、請求項
10の方法。
【請求項12】
電力高供給電圧及び接地電圧を使用して前記反転器に電力供給を与えることをさらに含み、
前記チャージポンプ電圧は前記接地電圧よりも低い、請求項10の方法。
【請求項13】
前記充電動作の間に前記一対の充電スイッチを閉にすることと、
前記放電動作の間に前記一対の充電スイッチを開にすることと
をさらに含む、請求項10の方法。
【請求項14】
前記放電動作の間に前記一対の放電スイッチを閉にすることと、
前記充電動作の間に前記一対の放電スイッチを開にすることと
をさらに含む、請求項10の方法。
【請求項15】
発振器を使用して第1複数のクロック信号位相を生成することと、
組み合わせ論理を使用して前記第1複数のクロック信号位相を処理することにより、第2複数のクロック信号位相を生成することと、
前記第2複数のクロック信号位相を使用して前記複数のスイッチの少なくとも一部分を制御することと
をさらに含む、請求項10の方法。
【請求項16】
チャージポンプであって、
チャージポンプ電圧を与えるべく構成されたチャージポンプ出力端子と、
一のスイッチトキャパシタと、
前記スイッチトキャパシタの第1端に電気的に接続された出力部を有する反転器と、前記スイッチトキャパシタの第2端に電気的に接続された複数のスイッチであって、前記チャージポンプの充電動作の間に前記スイッチトキャパシタを充電するべく、及び前記チャージポンプの放電動作の間に前記スイッチトキャパシタを前記チャージポンプ出力端子に接続するべく構成された複数のスイッチと
を含み、
前記複数のスイッチは、前記充電動作と前記放電動作とが非重畳となるように動作するべく構成され
、
前記複数のスイッチは、
前記充電動作の間に閉にされて前記放電動作の間に開にされる一対の充電スイッチと、
前記放電動作の間に閉にされて前記充電動作の間に開にされる一対の放電スイッチと
を含み、
前記一対の充電スイッチは、前記充電動作から前記放電動作への遷移の間に前記一対の充電スイッチのうち一方の充電スイッチが開にされて前記一対の充電スイッチのうち他方の充電スイッチが閉にされるように構成される、チャージポンプ。
【請求項17】
前記反転器は、電力高供給電圧及び接地電圧によって電力供給を受け、
前記チャージポンプ電圧は前記接地電圧よりも低い、請求項16のチャージポンプ。
【請求項18】
前記一対の充電スイッチは、前記充電動作の間に閉にされて前記放電動作の間に開にされる、請求項16のチャージポンプ。
【請求項19】
前記一対の放電スイッチは、前記放電動作の間に閉にされて前記充電動作の間に開にされる、請求項16のチャージポンプ。
【請求項20】
第1複数のクロック信号位相を生成するべく構成された発振器と、
前記第1複数のクロック信号位相を処理して第2複数のクロック信号位相を生成するべく構成された組み合わせ論理と
をさらに含み、
前記スイッチの少なくとも一部分は前記第2複数のクロック信号位相によって制御される、請求項16のチャージポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は電子システムに関し、詳しくは無線周波数電子機器のためのチャージポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数(RF)通信システムは、DC-DC電力変換を利用して動作性能を向上させることができる。しばしば、電池電圧を超える電圧が必要又は所望とされる一方、他の状況において、電池電圧よりも著しく低い電圧が利用される。チャージポンプとは、入力電圧を受け、当該入力電圧に基づいて高い電圧又は低い電圧を生成するDC-DC電力変換器の一種である。例えば、チャージポンプはキャパシタを、入力電圧を高い電圧又は低い電圧に変換するためのエネルギー蓄積要素として使用し得る。
【0003】
一以上のチャージポンプを有するRF通信システムの例は、携帯電話機、タブレット、基地局、ネットワークアクセスポイント、ラップトップ、及びウェアラブル電子機器を含むが、これらに限られない。電力増幅器は、約30kHzから300GHzまでの範囲の、例えば周波数レンジ1(FR1)における第5世代(5G)セルラー通信の約410MHzから約7.125GHzまでの範囲の、周波数を有し得るRF信号への増幅を与える。
【発明の概要】
【0004】
所定の実施形態において、本開示はフロントエンドシステムに関する。フロントエンドシステムは、無線周波数スイッチと、スイッチ有効信号の第1状態においてチャージポンプ電圧により当該無線周波数スイッチにバイアスを与えるべく構成されたスイッチコントローラと、チャージポンプ出力端子において当該チャージポンプ電圧を生成するべく構成されたチャージポンプとを含む。チャージポンプは、一のスイッチトキャパシタと、当該チャージポンプの充電動作中に当該スイッチトキャパシタを充電するべく、及び当該チャージポンプの放電動作中に当該スイッチトキャパシタをチャージポンプ出力端子に接続するべく構成された複数のスイッチとを含む。複数のスイッチは、充電動作と放電動作とが非重畳で動作するように構成される。
【0005】
様々な実施形態において、チャージポンプは、電力高供給電圧及び接地電圧によって電力供給を受け、チャージポンプ電圧は当該接地電圧よりも低い。
【0006】
いくつかの実施形態において、チャージポンプは、スイッチトキャパシタの第1端に電気的に接続された出力部を有する反転器を含む。いくつかの実施形態によれば、複数のスイッチは、スイッチトキャパシタの第2端と基準電圧との間に接続された一対の充電スイッチと、当該スイッチトキャパシタの第2端とチャージポンプ出力端子との間に接続された一対の放電スイッチとを含む。一定数の実施形態によれば、一対の充電スイッチは充電動作中に閉であり放電動作中に開であり、一対の放電スイッチは放電動作中に閉であり充電動作中に開である。様々な実施形態によれば、充電動作から放電動作への遷移中、一対の充電スイッチのうち一方の充電スイッチが開であり、当該充電スイッチのうち他方の充電スイッチが閉である。いくつかの実施形態によれば、充電動作から放電動作への遷移中、一対の放電スイッチのうちの一方の放電スイッチが開であり、当該放電スイッチのうちの他方の放電スイッチは閉である。一定数の実施形態によれば、一対の充電スイッチのうち第1充電スイッチが、第1クロック位相信号により制御され、反転器の入力部が、第1クロック位相信号よりも遅延した第2クロック位相信号を受信し、当該一対の充電スイッチのうち第2充電スイッチが、第2クロック位相信号よりも遅延した第3クロック信号位相により制御される。様々な実施形態によれば、一対の放電スイッチのうち第1放電スイッチが、第1クロック位相信号の反転バージョンにより制御され、当該一対の放電スイッチのうち第2放電スイッチが、第3クロック位相信号の反転バージョンにより制御される。いくつかの実施形態によれば、反転器は、電力高供給電圧及び接地電圧によって電力供給を受ける。
【0007】
いくつかの実施形態において、チャージポンプはさらに、第1複数のクロック信号位相を生成するべく構成された発振器と、第1複数のクロック信号位相を処理して第2複数のクロック信号位相を生成するべく構成された組み合わせ論理とを含み、当該スイッチの少なくとも一部分は第2複数のクロック信号位相によって制御される。
【0008】
様々な実施形態において、チャージポンプは、第1段及び第2段を含む複数の段を含み、第1段は当該複数のスイッチ及び当該一のスイッチトキャパシタを含む。一定数の実施形態によれば、複数のスイッチは一部が、第2段からのクロック信号によって制御される。
【0009】
所定の実施形態において、本開示は、チャージポンプ電圧を生成する方法に関する。方法は、チャージポンプの充電動作中に複数のスイッチを使用してスイッチトキャパシタを充電することと、当該チャージポンプを当該充電動作から放電動作へと非重畳で遷移させることと、当該放電動作中に当該スイッチトキャパシタをチャージポンプ出力端子に接続することとを含む。
【0010】
様々な実施形態において、方法はさらに、電力高供給電圧及び接地電圧を使用してチャージポンプに電力供給を与えることと、接地電圧よりも低いチャージポンプ出力電圧をチャージポンプ出力端子に与えることとを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、反転器の出力を使用してスイッチトキャパシタの第1端を制御することを含む。一定数の実施形態によれば、方法はさらに、複数のスイッチを使用してスイッチトキャパシタの第2端を制御することを含む。いくつかの実施形態によれば、複数のスイッチは、スイッチトキャパシタの第2端と基準電圧との間に接続された一対の充電スイッチと、当該スイッチトキャパシタの第2端とチャージポンプ出力端子との間に接続された一対の放電スイッチとを含む。いくつかの実施形態によれば、方法はさらに、充電動作中に一対の充電スイッチを閉にすることと、当該充電動作中に一対の放電スイッチを開にすることと、放電動作中に当該一対の充電スイッチを開にすることと、当該放電動作中に当該一対の放電スイッチを閉にすることとを含む。一定数の実施形態によれば、方法はさらに、一対の充電スイッチのうち一方の充電スイッチを開にすることと、充電動作から放電動作への遷移中に当該一対の充電スイッチのうち他方の充電スイッチを閉にすることとを含む。いくつかの実施形態によれば、方法はさらに、一対の放電スイッチのうち一方の放電スイッチを開にすることと、充電動作から放電動作への遷移中に当該一対の放電スイッチのうち他方の放電スイッチを閉にすることとを含む。いくつかの実施形態によれば、方法はさらに、一対の充電スイッチのうち第1充電スイッチを第1クロック位相信号により制御することと、第1クロック位相信号よりも遅延した第2クロック位相信号を反転器の入力部に与えることと、当該一対の充電スイッチのうち第2充電スイッチを第2クロック位相信号よりも遅延した第3クロック信号位相により制御することとを含む。一定数の実施形態によれば、方法はさらに、一対の放電スイッチのうち第1放電スイッチを、第1クロック位相信号の反転バージョンによって制御することと、当該一対の放電スイッチのうち第2放電スイッチを、第3クロック位相信号の反転バージョンによって制御することとを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、発振器を使用して第1複数のクロック信号位相を生成することと、組み合わせ論理を使用して第2複数のクロック信号位相を生成するべく第1複数のクロック信号位相を処理することと、第2複数のクロック信号位相を使用して当該スイッチの少なくとも一部分を制御することとを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、チャージポンプは、第1段及び第2段を含む複数の段を含み、第1段は複数のスイッチ及び一のスイッチトキャパシタを含み、当該方法はさらに、第2段からのクロック信号によって複数のスイッチの一部を制御することを含む。
【0014】
所定の実施形態において、本開示は、チャージポンプに関する。チャージポンプは、チャージポンプ電圧を与えるべく構成されたチャージポンプ出力端子と、一のスイッチトキャパシタと、当該チャージポンプの充電動作中に当該スイッチトキャパシタを充電するべく、及び当該チャージポンプの放電動作中に当該スイッチトキャパシタをチャージポンプ出力端子に接続するべく構成された複数のスイッチとを含む。複数のスイッチは、充電動作と放電動作とが非重畳で動作するように構成される。
【0015】
様々な実施形態において、チャージポンプ電圧は接地電圧より低い。
【0016】
いくつかの実施形態において、チャージポンプはさらに、スイッチトキャパシタの第1端に電気的に接続された出力部を有する反転器を含む。一定数の実施形態によれば、複数のスイッチは、スイッチトキャパシタの第2端と基準電圧との間に接続された一対の充電スイッチと、当該スイッチトキャパシタの第2端とチャージポンプ出力端子との間に接続された一対の放電スイッチとを含む。様々な実施形態によれば、一対の充電スイッチは充電動作中に閉であり放電動作中に開であり、一対の放電スイッチは放電動作中に閉であり充電動作中に開である。いくつかの実施形態によれば、充電動作から放電動作への遷移中、一対の充電スイッチのうち一方の充電スイッチが開であり、当該充電スイッチのうち他方の充電スイッチが閉である。一定数の実施形態によれば、充電動作から放電動作への遷移中、一対の放電スイッチのうちの一方の放電スイッチが開であり、当該放電スイッチのうちの他方の放電スイッチは閉である。様々な実施形態によれば、一対の充電スイッチのうち第1充電スイッチが、第1クロック位相信号により制御され、反転器の入力部が、第1クロック位相信号よりも遅延した第2クロック位相信号を受信し、当該一対の充電スイッチのうち第2充電スイッチが、第2クロック位相信号よりも遅延した第3クロック信号位相により制御される。いくつかの実施形態によれば、一対の放電スイッチのうち第1放電スイッチが、第1クロック位相信号の反転バージョンにより制御され、当該一対の放電スイッチのうち第2放電スイッチが、第3クロック位相信号の反転バージョンにより制御される。一定数の実施形態によれば、反転器は、電力高供給電圧及び接地電圧によって電力供給を受ける。
【0017】
いくつかの実施形態において、チャージポンプはさらに、第1複数のクロック信号位相を生成するべく構成された発振器と、第1複数のクロック信号位相を処理して第2複数のクロック信号位相を生成するべく構成された組み合わせ論理とを含み、当該スイッチの少なくとも一部分は第2複数のクロック信号位相によって制御される。
【0018】
様々な実施形態において、チャージポンプは、第1段及び第2段を含む複数の段を含み、第1段は当該複数のスイッチ及び当該一のスイッチトキャパシタを含む。一定数の実施形態によれば、複数のスイッチは一部が、第2段からのクロック信号によって制御される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】通信ネットワークの一例の模式的な図である。
【
図2】集積回路(IC)の一実施形態の模式的な図である。
【
図3】電力増幅器システムの一実施形態の模式的な図である。
【
図4A】チャージポンプの一実施形態の模式的な図である。
【
図4B】重畳があるチャージポンプのタイミング図の一例である。
【
図4C】非重畳のチャージポンプのタイミング図の一例である。
【
図5A】チャージポンプの他実施形態の模式的な図である。
【
図5B】チャージポンプ段の一実施形態の模式的な図である。
【
図6A】
図5Bのチャージポンプ段の動作を例示する第1の模式的な図である。
【
図6B】
図5Bのチャージポンプ段の動作を例示する第2の模式的な図である。
【
図6C】
図5Bのチャージポンプ段の動作を例示する第3の模式的な図である。
【
図6D】
図5Bのチャージポンプ段の動作を例示する第4の模式的な図である。
【
図6E】
図5Bのチャージポンプ段の動作を例示する第5の模式的な図である。
【
図6F】
図5Bのチャージポンプ段の動作を例示する第6の模式的な図である。
【
図6G】
図5Bのチャージポンプ段の動作を例示する第7の模式的な図である。
【
図7】一実施形態に係るチャージポンプ電圧を生成する方法のフローチャートである。
【
図8】携帯デバイスの一実施形態の模式的な図である。
【
図9】一実施形態に係るフロントエンドシステムの模式的な図である。
【
図10A】パッケージ状モジュールの一実施形態の模式的な図である。
【
図10B】
図10Aの10B-10B線に沿ったパッケージ状モジュールの断面の模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここに与えられる見出しは、たとえあったとしても、便宜のみのためであって、必ずしも請求項に係る発明の範囲又は意味に影響するわけではない。
【0021】
国際電気通信連合(ITU)は、国際的な無線スペクトルの使用を含む情報通信技術に関する世界的な問題に責任を負う国連(UN)の専門機関である。
【0022】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)は、電波産業協会(ARIB)、電気通信技術委員会(TTC)、中国通信規格協会(CCSA)、米国電気通信業界ソリューション協会(ATIS)、電気通信技術協会(TTA)、欧州電気通信標準化機構(ETSI)、インド電気通信標準化協会(TSDSI)のような、世界中の電気通信標準化団体のグループ間の共同作業である。
【0023】
3GPPは、ITUの範囲内で作業をすることにより、例えば、第2世代(2G)技術(例えば、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(GSM(登録商標)及びエンハンスドデータレートフォーGSMエボリューション(EDGE)を含む)、第3世代(3G)技術(例えばユニバーサル移動体通信システム(UMTS)及び高速パケットアクセス(HSPA))、及び第4世代(4G)技術(例えばロングタームエボリューション(LTE)及びLTEアドバンスト)を含む様々な移動体通信技術に関する技術仕様を開発及び維持する。
【0024】
3GPPにより管理される技術仕様は、仕様リリースによって拡張及び改訂され得る。仕様リリースは多数年にわたることがあり、幅広い新機能及び進化の仕様を定め得る。
【0025】
一例において、3GPPは、リリース10においてLTEのためのキャリアアグリゲーション(CA)を導入した。最初は2つのダウンリンクキャリアが導入されたが、3GPPは、リリース14において5つまでのダウンリンクキャリアと3つまでのアップリンクキャリアとを含むようにキャリアアグリゲーションを拡張した。3GPPのリリースが与えた新機能及び進化の他例は、ライセンスアシスタントアクセス(LAA)、拡張LAA(eLAA)、狭帯域インターネットオブシングス(NB-IOT)、ビークルトゥエブリシング(V2X)、及びハイパワーユーザー機器(HPUE)を含むがこれらに限られない。
【0026】
3GPPは、リリース15において第5世代(5G)技術のフェーズ1を導入し終え、リリース16において5G技術のフェーズ2を導入することを計画している(2019年が目標)。その後の3GPPリリースは、5Gテクノロジをさらに進化及び拡張してゆく。5G技術はまた、ここでは5Gニューラジオ(NR)とも称する。
【0027】
5G NRは、ミリ波スペクトルによる通信、ビームフォーミング能力、高スペクトル効率波形、低レイテンシ通信、多重ラジオヌメロロジ、及び/又は非直交多重アクセス(NOMA)のような様々な機能をサポートしており、又はサポートする計画である。かかるRF機能はネットワークに柔軟性を与えてユーザデータレートを高めるにもかかわらず、当該機能をサポートすることにより、一定数の技術的な困難性が提起され得る。
【0028】
ここでの教示は、LTEアドバンスト、LTEアドバンストプロ及び/又は5G NRのようなアドバンストセルラー技術を使用する通信システムを含むがこれらに限られない多種多様な通信システムに適用可能である。
【0029】
図1は、通信ネットワーク10の一例の模式的な図である。通信ネットワーク10は、マクロセル基地局1、スモールセル基地局3、並びに、第1携帯デバイス2a、無線接続車2b、ラップトップ2c、静止無線デバイス2d、無線接続列車2e、第2携帯デバイス2f、及び第3携帯デバイス2gを含むユーザ機器(UE)の様々な例を含む。
【0030】
基地局及びユーザ機器の特定例が
図1に示されるにもかかわらず、通信ネットワークは、多種多様なタイプ及び/又は数の基地局及びユーザ機器を含み得る。
【0031】
例えば、図示の例において、通信ネットワーク10は、マクロセル基地局1及びスモールセル基地局3を含む。スモールセル基地局3は、マクロセル基地局1と比べ、相対的に低電力、短範囲及び/又は数少ない同時ユーザにより動作することができる。スモールセル基地局3はまた、フェムトセル、ピコセル又はマイクロセルと称してもよい。通信ネットワーク10が2つの基地局を含むように示されるにもかかわらず、通信ネットワーク10は、これよりも多い又は少ない基地局及び/又は他タイプの基地局を含むように実装してよい。
【0032】
ユーザ機器の様々な例が示されるにもかかわらず、ここでの教示は、例えば携帯電話、タブレット、ラップトップ、IoTデバイス、ウェアラブル電子機器、顧客宅内機器(CPE)、無線接続車両、無線リレー、及び/又は多種多様な他の通信デバイスを含む多種多様なユーザ機器に適用可能である。さらに、ユーザ機器は、セルラーネットワークにおいて動作する現在利用可能な通信デバイスだけではなく、ここに記載されて請求される本発明のシステム、プロセス、方法及びデバイスとともに容易に実装可能な、引き続いて開発される通信デバイスも含む。
【0033】
図1の例示の通信ネットワーク10は、例えば4G LTE及び5G NRを含む様々なセルラー技術を使用する通信をサポートする。所定の実装例において、通信ネットワーク10はさらに、WiFiのような無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を与えるべく適合される。通信技術の様々な例が与えられているにもかかわらず、通信ネットワーク10は、多種多様な通信技術をサポートするべく適合することができる。
【0034】
通信ネットワーク10の様々な通信リンクが、
図1に描かれている。通信リンクは、例えば周波数分割デュプレクシング(FDD)及び/又は時分割デュプレクシング(TDD)を含む多種多様な方法で二重化することができる。FDDは、信号送信と信号受信とで異なる周波数を使用するタイプの無線周波数通信である。FDDは、高データレート及び低レイテンシのような一定数の利点を与えることができる。これとは対照的に、TDDは、信号送信と信号受信とでほぼ同じ周波数を使用して送信と受信とが時間で切り替わるタイプの無線周波数通信である。TDDは、スペクトルの効率的な使用、及び送信方向と受信方向との間でのスループットの可変配分のような一定数の利点を与えることができる。
【0035】
所定の実装例において、ユーザ機器は、4G LTE技術、5G NR技術及びWiFi技術の一つ以上を使用して基地局と通信することができる。所定の実装例において、拡張ライセンスアシストアクセス(eLAA)が、一つ以上のライセンスされた周波数キャリア(例えばライセンスされた4G LTE周波数及び/又は5G NR周波数)を、一つ以上のライセンスされていないキャリア(例えばライセンスされていないWiFi周波数)と集約するべく使用される。
【0036】
図1に示されるように、通信リンクは、ユーザ機器(UE)及び基地局間の通信リンクだけでなく、UEからUEへの通信、及び基地局から基地局への通信も含む。例えば、通信ネットワーク10は、(例えば携帯デバイス2g及び携帯デバイス2f間のような)自己フロントホール及び/又は自己バックホールをサポートするべく実装することができる。
【0037】
通信リンクは、多種多様な周波数にわたって動作することができる。所定の実装例において、通信は、6ギガヘルツ(GHz)未満の一つ以上の周波数帯域にわたって、及び/又は6GHzを超える一つ以上周波数帯域にわたって、5G NR技術を使用してサポートされる。例えば、通信リンクは、周波数レンジ1(FR1)、周波数レンジ2(FR2)、又はこれらの組み合わせに対応することができる。一実施形態において、携帯デバイスの一つ以上が、HPUE電力クラス仕様をサポートする。
【0038】
所定の実装例において、基地局及び/又はユーザ機器は、ビームフォーミングを使用して通信する。例えば、ビームフォーミングは、高信号周波数にわたる通信に関連付けられた高損失のような経路損失を克服するべく、信号強度を集中させるために使用することができる。所定の実施形態において、一つ以上の携帯電話機のようなユーザ機器は、30GHzから300GHzの範囲にあるミリメートル波周波数帯域、及び/又は6GHzから30GHz、さらに詳しくは24GHzから30GHzの範囲にある上限センチメートル波周波数についての、ビームフォーミングを使用して通信する。
【0039】
通信ネットワーク10の異なるユーザは、利用可能な周波数スペクトルのような利用可能なネットワークリソースを、多種多様な方法で共有することができる。
【0040】
一例において、周波数分割多元接続(FDMA)が、周波数帯域を多数の周波数キャリアに分割するべく使用される。付加的に、一つ以上のキャリアが、特定のユーザに割り当てられる。FDMAの例は、シングルキャリアFDMA(SC-FDMA)及び直交FDMA(OFDMA)を含むがこれらに限られない。OFDMは、利用可能な帯域幅を、多数の相互直交狭帯域サブキャリアに細分化するマルチキャリア技術であり、これは異なるユーザに別個に割り当てることができる。
【0041】
共有アクセスの他の例は、周波数リソースを使用する特定のタイムスロットにユーザが割り当てられる時分割多重アクセス(TDMA)、各ユーザに一意の符号を割り当てることにより周波数リソースが異なるユーザ間で共有される符号分割多重アクセス(CDMA)、空間分割により共有アクセスを与えるべくビームフォーミングが使用される空間分割多元接続(SDMA)、及び多重アクセスを目的として電力ドメインが使用される非直交多元接続(NOMA)を含むが、これらに限定されない。例えば、NOMAは、同じ周波数、時間及び/又は符号ではあるが異なる電力レベルに多数のユーザを与えるように使用することができる。
【0042】
拡張モバイルブロードバンド(eMBB)は、LTEネットワークの増大するシステム容量のための技術を言及する。例えば、eMBBは、少なくとも10Gbpsの、各ユーザが最小100Mbpsのピークデータレートでの通信を言及することができる。超高信頼性低レイテンシ通信(uRLLC)は、例えば2ミリ秒未満の非常に低いレイテンシで通信する技術を言及する。uRLLCは、自律運転アプリケーション及び/又は遠隔手術アプリケーションのようなミッションクリティカルな通信を目的として使用され得る.大規模機械型通信(mMTC)は、インターネットオブシングス(IoT)アプリケーションに関連付けられるもののような、日常的なオブジェクトへの無線接続に関連付けられる低コストかつ低データレートの通信を言及する。
【0043】
図1の通信ネットワーク10は、eMBB、uRLLC及び/又はmMTCを含むがこれらに限られない多種多様なアドバンスト通信機能をサポートするべく使用することができる。
【0044】
図2は、集積回路(IC)20の一実施形態の模式的な図である。例示のIC20は、電力低供給電圧V1(例えばグランド)を受信する第1ピン15aと、電力高供給電圧V2を受信する第2ピン15bとを含む。付加的に、例示のIC20はさらに、RFスイッチ21、チャージポンプ22及びスイッチコントローラ23を含む。図面の明確性を目的として
図2には示されないが、IC20は典型的に、付加的なピン及び回路を含む。
【0045】
チャージポンプ22は、電力低供給電圧V1よりも低い電圧レベルを有するチャージポンプ電圧を生成するべく使用することができる。スイッチコントローラ23は、RFスイッチ21を制御するべく一部が使用され得るチャージポンプ電圧を受信する。
【0046】
例えば、例示のIC20はフロントエンドモジュール(FEM)を表し得る。RFスイッチ21は、オフ状態にある場合にチャージポンプ電圧の電圧レベルまでバイアスされるゲートを含むn型金属酸化物半導体(NMOS)スイッチトランジスタを含み得る。NMOSスイッチトランジスタのゲート電圧を、オフ状態において電力低供給電圧を下回る電圧にまで制御することにより、オフ状態インピーダンスを増加させることができる。これにより、マルチバンドアプリケーションにおいてアイソレーションを向上させることができる。
【0047】
NMOSスイッチトランジスタがオン状態において動作するとき、当該NMOSスイッチトランジスタは、電力高供給電圧V2の電圧レベルのような任意の適切な電圧レベルまでバイアスされ得る。所定の構成において、電力高供給電圧V2は、オンチップ又はオフチップレギュレータにより生成される調整電圧に対応し得る。レギュレータを使用して電力高供給電圧V2を生成することは、NMOSスイッチトランジスタを制御して、オン状態において温度、電池電圧レベル及び/又は電流負荷に対して比較的一定の電圧レベルで動作させる補助となり得る。
【0048】
所定の構成において、IC20は、シリコンオンインシュレータ(SOI)プロセスを使用して製造され、RFスイッチ21はSOIトランジスタを含み得る。しかしながら、他の構成も可能である。
【0049】
図3は、電力増幅器システム40の一実施形態の模式的な図である。例示の電力増幅器システム40はRFスイッチング回路27を含む。RFスイッチング回路27は、直列スイッチトランジスタ25及びシャントスイッチトランジスタ26を含む。例示の電力増幅器システム40はさらに、チャージポンプ22、スイッチコントローラ23、方向性結合器24、電力増幅器バイアス回路30、電力増幅器32及び送信器33を含む。例示の送信器33は、ベース帯域プロセッサ34、I/Q変調器37、混合器38、及びアナログ-デジタル変換器(ADC)39を含む。
【0050】
ベース帯域信号プロセッサ34は、所望の振幅、周波数及び位相の正弦波又は正弦信号を表すのに使用可能な同相(I)信号及び直角位相(Q)信号を生成するべく使用することができる。例えば、I信号は、正弦波の同相成分を表すべく使用され、Q信号は、正弦波の直交成分を表すべく使用される。これらは、正弦波の等価表現とすることができる。所定の実装例において、I信号及びQ信号は、デジタルフォーマットでI/Q変調器37に与えられる。ベース帯域プロセッサ34は、ベース帯域信号を処理するべく構成された任意の適切なプロセッサとしてよい。例えば、ベース帯域プロセッサ34は、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサ、プログラム可能コア、又はこれらの任意の組み合わせを含んでよい。さらに、いくつかの実装において、電力増幅器システム40には、2つ以上のベース帯域プロセッサ34を含めることができる。
【0051】
I/Q変調器37は、ベース帯域プロセッサ34からのI信号及びQ信号を受信し、当該I信号及びQ信号を処理してRF信号を生成するべく構成することができる。例えば、I/Q変調器37は、I信号及びQ信号をアナログフォーマットに変換するべく構成されたDACと、I信号及びQ信号を無線周波数にアップコンバートする混合器と、アップコンバートされたI信号及びQ信号を結合して電力増幅器32による増幅にとって適切なRF信号にする信号結合器とを含んでよい。所定の実装例において、I/Q変調器37は、処理される信号の周波数内容をフィルタリングするべく構成された一つ以上のフィルタを含み得る。
【0052】
電力増幅器バイアス回路30は、有効信号ENABLEをベース帯域プロセッサ34から受信することができ、有効信号ENABLEを使用して電力増幅器32のための一以上のバイアス信号を生成することができる。電力増幅器32は、RF信号をI/Q変調器37から受信することができる。
【0053】
スイッチコントローラ23は、直列スイッチトランジスタ25及びシャントスイッチトランジスタ26を補償態様でオン及びオフにすることができる。例えば、スイッチコントローラ23を、電力増幅器32が直列スイッチトランジスタ25を介してアンテナ14に増幅RF信号を与えるように直列スイッチトランジスタ25をオンにしてシャントスイッチトランジスタ26をオフにするべく使用することができる。付加的に、スイッチコントローラ23は、電力増幅器32の出力部とアンテナ14との間に高インピーダンス経路を与える一方で当該電力増幅器の出力部に終端を与えるべく、直列スイッチトランジスタ25をオフにしてシャントスイッチトランジスタ26をオンにするように使用してもよい。RFスイッチング回路27の状態を制御するべく、スイッチコントローラ23は、スイッチ有効信号を受信することができる。
【0054】
方向性結合器24は、電力増幅器32の出力と直列スイッチトランジスタ25のソースとの間に配置することができるので、直列スイッチトランジスタ25の挿入損失を含まない電力増幅器32の出力電力測定が許容される。方向性結合器24からのセンスされた出力信号は、混合器38へと与えられる。混合器38は、センスされた出力信号に、制御された周波数の基準信号を乗ずることができる。それにより、センスされた出力信号の周波数内容をダウンシフトさせてダウンシフト信号を生成することができる。ダウンシフト信号はADC39に与えられる。ADC39は、ダウンシフト信号を、ベース帯域プロセッサ34による処理に適したデジタルフォーマットに変換することができる。
【0055】
電力増幅器32の出力とベース帯域プロセッサ34との間にフィードバック経路を含むことにより、ベース帯域プロセッサ34は、I信号及びQ信号を動的に調整して電力増幅器システム40の動作を最適化するべく構成することができる。例えば、電力増幅器システム40をこの態様で構成することにより、電力増幅器32の電力付加効率(PAE)及び/又は線形性の制御を支援することができる。
【0056】
例示の構成において、チャージポンプ22は、直列スイッチトランジスタ25及びシャントスイッチトランジスタ26を制御するべく使用されるスイッチコントローラ23にチャージポンプ電圧を与える。所定の構成において、チャージポンプ電圧は、直列スイッチトランジスタ25及び/又はシャントスイッチトランジスタ26がオフにされたときに直列スイッチトランジスタ25及び/又はシャントスイッチトランジスタ26のゲート電圧にバイアスを与えるべく使用される。例えば、チャージポンプ22は、直列スイッチトランジスタ25及び/又はシャントスイッチトランジスタ26をオフにするべく負のチャージポンプ電圧を生成することができる。
【0057】
スイッチコントローラ23が2つのトランジスタのためのスイッチ制御信号を生成するように示されるにもかかわらず、スイッチコントローラ23は、これよりも多い又は少ないスイッチ制御トランジスタ及び/又は他のスイッチデバイスを制御するように適合してよい。例えば、スイッチコントローラは、多数のスイッチ有効信号を受信し、異なるRFスイッチング回路を制御するための多数のスイッチ制御信号を生成することができる。
【0058】
図4Aは、チャージポンプ50の一実施形態の模式的な図である。チャージポンプは、非重畳スイッチ制御生成器41及び負電圧生成器(NVG)段42を含む。一つのNVG段42を含むように示されるにもかかわらず、チャージポンプ50は、付加的な段を含むように適合することができる。さらに、負電圧生成の文脈において示されるにもかかわらず、チャージポンプ50は、正電圧生成器(PVG)として動作するように適合してよい。
【0059】
NVG段42は、フライングキャパシタ45を選択的に充電及び放電することにより負電圧NVGを生成するべく使用されるスイッチ44を含む。フライングキャパシタ45は、ここではスイッチトキャパシタとも称する。スイッチ44は、電界効果トランジスタ(例えばn型、p型又はこれらの組み合わせとなり得る金属酸化物半導体(MOS)トランジスタ)、バイポーラトランジスタ、ダイオード、微小電気機械(MEMs)デバイス、及び/又は他のタイプのスイッチを使用することを含むがこれらに限られない多種多様な方法で実装することができる。
【0060】
図4Aに示されるように、非重畳スイッチ制御生成器41は、生成スイッチ44のそれぞれを開閉するためのスイッチ制御を生成するべく(例えば発振器により与えられる)クロック信号位相を処理する組み合わせ論理43を含む。これにより、NVG段42が、フライングキャパシタ45の充電及び放電に関連付けられる様々な位相で動作する。
【0061】
非重畳スイッチ制御生成器41は、スイッチ44の遷移中に貫通電流を防止するべく、例えばグランドと負電圧NVGとの間の電流を防止するべく、非重畳のスイッチ制御信号を生成する。
【0062】
貫通電流を防止することにより、グランドの雑音スパイク及び/又は負電圧NVGの漏洩が低減される。
【0063】
図4Bは、重畳があるチャージポンプのタイミング図の一例である。この図は、フライングキャパシタの充電を制御する充電制御信号と、フライングキャパシタの放電を制御する放電制御信号とを描く。
図4Bに示されるように、チャージポンプは、充電から放電への遷移時、及び放電から充電への遷移時、重畳47の周期を有するように動作する。重畳47により、雑音を増加させ、及び/又はチャージポンプの性能を劣化させる貫通電流が引き起こされる。
【0064】
図4Cは、非重畳のチャージポンプのタイミング図の一例である。
図4Cに示されるように、チャージポンプの組み合わせ論理は、クロック信号位相を処理して、フライングキャパシタの充電を制御する充電制御信号、及びフライングキャパシタの放電を制御する放電制御信号を生成する。
【0065】
図4Bのタイミング図とは対照的に、
図4Cのタイミング図は、充電制御波形の遷移と放電制御波形の遷移とが非重畳で動作する。この態様で非重畳を与えることにより、貫通電流が防止され、これにより、雑音スパイクが低減し、及び/又は負電圧の漏洩が低下する。
【0066】
図5Aは、チャージポンプ60の他実施形態の模式的な図である。チャージポンプ60は、発振器51と、一群のチャージポンプ段53とを含む。この一群のチャージポンプ段53は、負電圧NVGを生成するべく互いに組み合わせられて動作する第1NVG段52a、第2NVG段52b及び第3NVG段52cを含む。3段を備える実装例が示されるにもかかわらず、チャージポンプ60は、これよりも多い又は少ない段を含むように適合することができる。
【0067】
図5Aに示されるように、発振器51は、それぞれが異なる位相の第1クロック信号位相P1、第2クロック信号位相P2及び第3クロック信号位相P3を生成する。詳しくは、第2クロック信号位相P2は第1クロック信号位相P1よりも遅延され、第3クロック信号位相P3は第2クロック信号位相P2よりも遅延される。
【0068】
第1NVG段52aは、第1クロック信号位相P1を受信して当該第1クロック信号位相P1を反転させ、第1反転クロック信号位相P1bを生成するように動作する。所定の実装例において、第1NVG段52aが生成する第1反転クロック信号位相P1bは、論理反転を備えるだけでなく、第1クロック信号位相P1に対する電圧シフトも備える。例えば、第1NVG段52aをこの態様で実装することにより、スイッチを制御するのに適切な電圧レベルを備える第1反転クロック信号位相P1bを生成することが補助される。
【0069】
引き続き
図5Aを参照すると、第2NVG段52bは、第2クロック信号位相P2を受信して当該第2クロック信号位相P2を反転させ、第2反転クロック信号位相P2bを生成するように動作する。付加的に、第3NVG段52cは、第3クロック信号位相P3を受信して当該第3クロック信号位相P3を反転させ、第3反転クロック信号位相P3bを生成するように動作する。所定の実装例において、第2NVG段52b及び第3NVG段52cは、論理反転に加えての電圧レベルシフトを与える。
【0070】
第1NVG段52a、第2NVG段52b及び第3NVG段52cはまた、フライングキャパシタの充電及び放電の動作を制御する様々なクロック信号位相も受信する。それらのクロック信号位相は、ここでの教示に係る非重畳の充電及び放電を与える。
【0071】
所定の実施形態において、第1NVG段52aは、充電を制御するべく第3クロック信号位相P3及び第2クロック信号位相P2を受信し、放電を制御するべく第2反転クロック信号P2b及び第3反転クロック信号P3bを受信する。付加的に、第2NVG段52bは、充電を制御するべく第1クロック信号位相P1及び第3クロック信号位相P3を受信し、放電を制御するべく第3反転クロック信号位相P3b及び第1反転クロック信号位相P1bを受信する。さらに、第3NVG段52cは、充電を制御するべく第2クロック信号位相P2及び第1クロック信号位相P1を受信し、放電を制御するべく第1反転クロック信号位相P1b及び第2クロック信号位相P2bを受信する。
【0072】
図5Bは、チャージポンプ段80の一実施形態の模式的な図である。チャージポンプ段80は、反転器61、フライングキャパシタ62、第1放電スイッチ71、第2放電スイッチ72、第1充電スイッチ73及び第2充電スイッチ74を含む。
【0073】
図5Bのチャージポンプ段80は、(第2NVG段52bに対応するクロック信号位相が描かれる)
図5Aのチャージポンプ60のためのNVG段の一実施形態を例示する。チャージポンプ段の一実施形態が描かれるにもかかわらず、ここでの教示は、多種多様な方法で実装されるチャージポンプ段に適用可能である。
【0074】
図5Bに示されるように、反転器61は、調整電力供給電圧V
REG、及びここではグランド又はGNDとも称する接地電圧により電力供給を受ける。反転器61はさらに、第2クロック信号位相P2を受信する入力部、及びフライングキャパシタ62の第1端に接続される出力部も含む。フライングキャパシタ62はさらに、第2クロック信号位相P2に対して論理反転及びレベルシフト双方がなされた第2反転クロック信号位相P2bを生成する第2端も含む。
【0075】
引き続き
図5Bを参照すると、第1充電スイッチ73及び第2充電スイッチ74が、グランドとフライングキャパシタ62の第2端との間に直列に接続される。第1充電スイッチ73が第1クロック信号位相P1によって制御される一方、第2充電スイッチ74は第3クロック信号位相P3によって制御される。付加的に、第1放電スイッチ71及び第2放電スイッチ72が、負電圧NVGとフライングキャパシタ62の第2端との間に直列に接続される。第1放電スイッチ71が第1反転クロック信号位相P1bによって制御され、第2放電スイッチ72が第3反転クロック信号位相P3bによって制御される。
【0076】
図5Bのチャージポンプ段80は、フライングキャパシタ62の充電動作と放電動作とが非重畳となるように実装される。例えば、フライングキャパシタ62は、第1充電スイッチ73及び第2充電スイッチ74双方がオンのときに充電されるが、第1充電スイッチ73及び第2充電スイッチ74のいずれか一方又はその双方がオンのときは充電されない。例えば、フライングキャパシタ62は、第1放電スイッチ71及び第2放電スイッチ72双方がオンのときに放電されるが、第1放電スイッチ71及び第2放電スイッチ72のいずれか一方又はその双方がオンのときは放電されない。付加的に、描かれたスイッチは、充電動作と放電動作との間の遷移中に非重畳を防止するようにタイミング調整される。かかる非重畳を与えることにより、貫通電流の防止、及び雑音の低下がもたらされる。
【0077】
図6A~6Gは、
図5Bのチャージポンプ段80の動作の位相を例示する模式的な図である。
【0078】
図6Aは、チャージポンプ段80の動作の第1位相を描く。ここで、フライングキャパシタ62の第1端は調整電圧V
REGにより制御され、フライングキャパシタ62の第2端はグランドにより制御される。
図6Aに示されるように、第1充電スイッチ73及び第2充電スイッチ74双方がオン(ON)にされる一方で第1放電スイッチ71及び第2放電スイッチ72双方がオフ(OFF)にされる。
【0079】
図6Bは、チャージポンプ段80の動作の第2位相を描く。ここで、第1充電スイッチ73はオン状態からオフ状態へ遷移し、第1放電スイッチ71はオフ状態からオン状態へ遷移する。
図6Bに示されるように、フライングキャパシタ62の第1端は調整電圧V
REGに接続されたままであるが、フライングキャパシタ62の第2端は、第1充電スイッチ73がオフにされることによりグランドから接続解除される。
図6Bに示されるように、一つのみの充電スイッチ及び一つのみの放電スイッチがオンにされる。
【0080】
図6Cは、チャージポンプ段80の動作の第3位相を描く。ここで、第2クロック信号位相P2は、低(この例では0V)から高(この例では2.5V)へ遷移する。フライングキャパシタ62の第2端が電気的に浮遊しているので、フライングキャパシタ62の第2端は、フライングキャパシタ62の第1端における電圧レベルを高から低へと変化させる反転器61の出力への応答として、負電圧(この例では-2.5V)へと遷移する。
【0081】
図6Dは、チャージポンプ段80の動作の第4位相を描く。ここで、第2充電スイッチ74はオン状態からオフ状態へ遷移し、第2放電スイッチ72はオフ状態からオン状態へ遷移する。
図6Dに示されるように、第4位相において、フライングキャパシタ62の第2端は、負電圧NVGを与える出力端子に接続される。
図6Dに示されるように、双方の放電スイッチがオンにされ、双方の充電スイッチがオフにされる。
【0082】
図6Eは、チャージポンプ段80の動作の第5位相を描く。ここで、第1充電スイッチ73はオフ状態からオン状態へ遷移し、第1放電スイッチ71はオン状態からオフ状態へ遷移する。
図6Eに示されるように、一つのみの充電スイッチ及び一つのみの放電スイッチがオンにされる。
【0083】
図6Fは、チャージポンプ段80の動作の第6位相を描く。ここで、第2クロック信号位相P2は、高(この例では2.5V)から低(この例では0V)へ遷移する。フライングキャパシタ62の第2端は、第6位相においてグランドから接続解除される。
【0084】
図6Gは、チャージポンプ段80の動作が第1位相へ戻ることを描く。チャージポンプ段80は、第2充電スイッチ74のオフ状態からオン状態への遷移と、第2放電スイッチ72のオン状態からオフ状態への遷移とによって、第1位相に戻る。
【0085】
図7は、一実施形態に係るチャージポンプ電圧を生成する方法190のフローチャートである。方法190は、ここでの教示に従って実装される一以上のチャージポンプ段を含むチャージポンプによって行うことができる。
【0086】
方法190は、ステップ191から開始する。ここで、チャージポンプのキャパシタの第1端が第1電圧(例えばVREG)に接続され、当該キャパシタの第2端が第2電圧(例えばグランド)に接続される。方法190は、キャパシタの第2端が第2電圧から接続解除されるステップ192へと続く。
【0087】
引き続き
図7を参照すると、方法190は、キャパシタの第1端が第2電圧に接続されるステップ193へと続く。キャパシタ192の第2端がステップ192において第2電圧から接続解除されたので、キャパシタ192の第2端は、ステップ193の間、電気的に浮遊しているので、当該キャパシタの第1端を第2電圧に接続することに応答して電圧がスイングする。
【0088】
方法190は、キャパシタの第2端がチャージポンプの出力部に接続されるステップ194へと続く。キャパシタをこの態様で接続することにより、キャパシタに蓄積された電荷を、チャージポンプによって駆動される負荷に放電することができる。
【0089】
引き続き
図7を参照すると、方法190は、キャパシタの第2端が当該出力部から接続解除されるステップ195へと続く。方法190は、キャパシタの第1端が第1電圧に接続されるステップ196へと続く。方法190は、キャパシタの第2端が第2電圧に接続されるステップ191まで戻る。
【0090】
図8は、携帯デバイス800の一実施形態の模式的な図である。携帯デバイス800は、ベース帯域システム801、送受信器802、フロントエンドシステム803、アンテナ804、電力管理システム805、メモリ806、ユーザインタフェイス807、及び電池808を含む。
【0091】
携帯デバイス800は、2G、3G、4G(LTE、LTEアドバンスト及びLTEアドバンストプロを含む)、5G NR、WLAN(例えばWiFi)、WPAN(例えばブルートゥース(登録商標)及びZigBee(登録商標))、WMAN(例えばWiMax)、及び/又はGPS技術を含むがこれらに限られない多種多様な通信技術を使用して通信するべく使用することができる。
【0092】
送受信器802は、送信のためのRF信号を生成し、アンテナ804から受信した入来RF信号を処理する。理解されることだが、RF信号の送信及び受信に関連付けられた様々な機能は、送受信器802として
図8にまとめて表される一以上のコンポーネントによって達成することができる。一例において、所定タイプのRF信号を扱うべく別個のコンポーネント(例えば別個の回路又はダイ)を設けることができる。
【0093】
フロントエンドシステム803は、アンテナ804に送信され及び/又はアンテナ804から受信される信号のコンディショニングを支援する。図示の実施形態において、フロントエンドシステム803は、チャージポンプ810、電力増幅器(PA)811、低雑音増幅器(LNA)812、フィルタ813、スイッチ814、及び信号分割/結合回路815を含む。しかしながら、他の実装例も可能である。
【0094】
例えば、フロントエンドシステム803は、送信のための信号増幅、受信信号の増幅、信号のフィルタリング、異なる帯域間のスイッチング、異なる電力モード間のスイッチング、送信モード及び受信モード間のスイッチング、信号のデュプレクシング、信号のマルチプレクシング(例えばダイプレクシング又はトライプレクシング)、又はこれらの何らかの組み合わせを含むがこれらに限られない一定数の機能を与えることができる。
【0095】
所定の実装例において、携帯デバイス800はキャリアアグリゲーションをサポートするので、ピークデータレートを増加させる柔軟性が得られる。キャリアアグリゲーションは、周波数分割デュプレクシング(FDD)及び時分割デュプレクシング(TDD)の双方に使用することができ、複数のキャリア又はチャネルを集約するべく使用され得る。キャリアアグリゲーションは、同じ動作周波数帯域内の隣接キャリアが集約される隣接集約を含む。キャリアアグリゲーションはまた、不連続であってもよく、共通の帯域内の又は異なる帯域における周波数が分離されたキャリアを含んでよい。
【0096】
アンテナ804は、多種多様なタイプの通信のために使用されるアンテナを含み得る。例えば、アンテナアレイ804は、多種多様な周波数及び通信規格に関連付けられた信号を送信及び/又は受信するアンテナを含み得る。
【0097】
所定の実装例において、アンテナ804は、MIMO通信及び/又はスイッチトダイバーシティ通信をサポートする。例えば、MIMO通信は、単数の無線周波数チャネルを経由して多数のデータストリームを通信するべく多数のアンテナを使用する。MIMO通信は、高い信号対雑音比、符号化の改善、及び/又は無線環境の空間的なマルチプレクシング差異に起因する信号干渉の低減により利益を受ける。スイッチトダイバーシティとは、特定のアンテナが特定の時刻に動作するべく選択される通信を称する。例えば、観測されたビットエラーレート及び/又は信号強度インジケータのような様々な因子に基づいて一群のアンテナから特定のアンテナを選択するべく、スイッチを使用することができる。
【0098】
携帯デバイス800は、所定の実装例において、ビームフォーミングとともに動作する。例えば、フロントエンドシステム803は、アンテナ804を使用した信号の送信及び/又は受信を目的としてビームのフォーメーション及び指向性を与えるべく、制御可能利得を有する増幅器、及び制御可能位相を有する位相シフタを含む。例えば、信号送信の文脈において、アンテナ804に与えられる送信信号の振幅及び位相は、アンテナ804から放射された信号が、建設的及び破壊的干渉を使用して組み合わされ、所与の方向に伝播する信号強度のビーム状の品質を示す集約送信信号を生成するように制御される。信号受信の文脈において、振幅及び位相は、信号が特定の方向からアンテナ804に到着しているときに多くの信号エネルギーが受信されるように制御される。所定の実装例において、アンテナ804は、ビームフォーミングを向上させるべく複数のアンテナ素子の一以上のアレイを含む。
【0099】
ベース帯域システム801は、音声及びデータのような様々なユーザ入力及び出力(I/O)の処理を容易にするべくユーザインタフェイス807に結合される。ベース帯域モデム801は、送受信器802が送信のためにRF信号を生成する送信信号のデジタル表現を送受信器802に与える。ベース帯域システム801はまた、送受信器802により与えられる受信信号のデジタル表現を処理する。
図8に示されるように、ベース帯域システム801は、携帯デバイス800の動作を容易にするべくメモリ806に結合される。
【0100】
メモリ806は、携帯デバイス800の動作を容易にするべく、及び/又はユーザ情報の格納を与えるべく、データ及び/又は命令を格納することのような、多種多様な目的のために使用することができる。
【0101】
電力管理システム805は、携帯デバイス800の一定数の電力管理機能を与える。所定の実装例において、電力管理システム805は811の供給電圧を制御するPA供給制御回路を含む。例えば、電力管理システム805は、電力付加効率(PAE)のような効率を改善するべく、当該電力増幅器の一つ以上に与えられる供給電圧を変化させるように構成することができる。
図8に示されるように、電力管理システム805は、電池808から電池電圧を受信する。電池808は、携帯デバイス800において使用される任意の適切な電池であってよく、例えばリチウムイオン電池を含む。
【0102】
図9は、一実施形態に係るフロントエンドシステム900の模式的な図である。フロントエンドシステム900は、チャージポンプ22、第1RFスイッチ901a、第2RFスイッチ901b、第3RFスイッチ901c及びスイッチコントローラ903を含む。フロントエンドシステム900が3つのRFスイッチを含むように例示されるにもかかわらず、フロントエンドシステム900は、これよりも多い又は少ないRFスイッチを含むように適合されてよい。
【0103】
チャージポンプ22は、システム有効信号ENを受信し、有効にされたときにチャージポンプ電圧VCPを生成する。チャージポンプ22は、システム有効信号ENの第1状態において有効にされ、システム有効信号ENの第2状態において無効にされる。例えば、第1状態はフロントエンドシステム900の通常動作モードを示すことができ、第2状態はフロントエンドシステム900のスタンバイモードを示すことができる。
【0104】
図示の実施形態において、スイッチコントローラ903は、システム有効信号EN、第1スイッチ有効信号SWEN1、第2スイッチ有効信号SWEN2及び第3スイッチ有効信号SWEN3を受信する。付加的に、スイッチコントローラ903は、第1RFスイッチ901aを制御する第1スイッチ制御信号SWCTL1、第2RFスイッチ901bを制御する第2スイッチ制御信号SWCTL2、及び第3RFスイッチ901cを制御する第3スイッチ制御信号SWCTL3を生成する。
【0105】
図9に示されるように、スイッチコントローラ903は、第1レベルシフタ951a、第2レベルシフタ951b、第3レベルシフタ951c、及びレベルシフタ951a~951cのためのバイアス電圧V
BIASを生成するレベルシフタ制御回路952を含む。レベルシフタ951a~951cは、電力高供給電圧V
2及びチャージポンプ電圧V
CPによって電力供給を受ける。例示のスイッチコントローラが3つのレベルシフタを含むにもかかわらず、スイッチコントローラはこれよりも多い又は少ないレベルシフタを含んでよい。
【0106】
レベルシフタ951a~951cは、第1スイッチ制御信号SWCTL1、第2スイッチ制御信号SWCTL2及び第3スイッチ制御信号SWCTL3の電圧レベルを、第1スイッチ有効信号SWEN1、第2スイッチ有効信号SWEN2及び第3スイッチ有効信号SWEN3それぞれの状態に基づいて制御する。例えば、第1レベルシフタ951aは、電力高供給電圧V2が第1スイッチ有効信号SWEN1の第1状態にあるように、かつ、チャージポンプ電圧VCPが第1スイッチ有効信号SWEN1の第2状態にあるように、第1スイッチ制御信号SWCTL1を制御することができる。
【0107】
フロントエンドシステム900の付加的な詳細は、最初の方で記載したものと同様としてよい。
【0108】
図10Aは、パッケージ状モジュール1000の一実施形態の模式的な図である。
図10Bは、
図10Aの10B-10B線に沿ったパッケージ状モジュール1000の断面の模式的な図である。
【0109】
パッケージ状モジュール1000は、IC又は半導体ダイ1001、表面実装コンポーネント1003、ワイヤボンド1008、パッケージ基板1020及び封入構造物1040を含む。パッケージ基板1020は、そこに配置された導体から形成されるパッド1006を含む。付加的に、ダイ1001はパッド1004を含み、ワイヤボンド1008は、ダイ1001のパッド1004をパッケージ基板1001のパッド1006に電気的に接続するべく使用されている。
【0110】
図10A及び10Bに示されるように、ダイ1001は、最初の方で記載したものと同様としてよいRFスイッチ21、チャージポンプ22及びスイッチコントローラ23を含む。チャージポンプ22が、ここの実施形態のいずれかに従って実装され得る。
【0111】
パッケージ基板1020は、ダイ1001、並びに、例えば表面実装キャパシタ及び/又はインダクタを含み得る表面実装コンポーネント1003のような複数のコンポーネントを受容するべく構成され得る。
【0112】
図10Bに示されるように、パッケージ状モジュール1000は、パッケージ状モジュール1000の、ダイ1001を取り付けるべく使用される側に対向する側に配置された複数のコンタクトパッド1032を含むように示される。パッケージ状モジュール1000をこの態様で構成することにより、パッケージ状モジュール1000を、無線デバイスの電話機基板のような回路基板に接続することが支援される。コンタクトパッド1032の例は、RF信号、バイアス信号、電力低電圧及び/又は電力高電圧をダイ1001及び/又は表面実装コンポーネント1003に与えるべく構成され得る。
図10Bに示されるように、コンタクトパッド1032とダイ1001との電気的接続は、パッケージ基板1020を通る接続1033によって容易にされ得る。接続1033は、多層積層材パッケージ基板のビア及び導体に関連付けられる接続のような、パッケージ基板1020を通るように形成された電気経路を表し得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、パッケージ状モジュール1000はまた、例えば、パッケージ状モジュール1000の保護を与え及び/又は扱いを容易にする一以上のパッケージ構造を含み得る。かかるパッケージ構造は、パッケージ基板1020並びにその上に配置されたコンポーネント及びダイを覆うように形成されたオーバーモールド又は封入構造物1040を含み得る。
【0114】
理解されることだが、パッケージ状モジュール1000が、ワイヤボンドに基づく電気接続の文脈で記載されるにもかかわらず、本開示の一以上の特徴はまた、例えばフリップチップ構成を含む他のパッケージ構成に実装することもできる。
【0115】
アプリケーション
【0116】
上述された実施形態のいくつかは、無線デバイス又は携帯電話機に関連する例を与えてきた。しかしながら、それらの実施形態の原理及び利点は、低雑音のチャージポンプを必要とする任意の他のシステム又は装置に使用することができる。
【0117】
かかるチャージポンプは、様々な電子デバイスに実装することができる。電子デバイスの例は、消費者用電子製品、当該消費者用電子製品の部品、電子試験機器等を含み得るが、これらに限られない。電子デバイスの例はまた、メモリチップ、メモリモジュール、光ネットワーク又は他の通信ネットワークの回路、及びディスクドライバ回路も含み得るが、これらに限られない。消費者用電子製品は、携帯電話機、電話機、テレビジョン、コンピュータモニタ、コンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、パーソナルディジタルアシスタント(PDA)、電子レンジ、冷蔵庫、自動車、ステレオシステム、カセットレコーダ又はプレーヤ、DVDプレーヤ、CDプレーヤ、VCR、MP3プレーヤ、ラジオ、ビデオカメラ、カメラ、デジタルカメラ、携帯型メモリチップ、洗濯機、乾燥機、洗濯/乾燥機、複写機、ファクシミリ機、スキャナ、多機能周辺デバイス、腕時計、置き時計等を含み得るが、これらに限られない。さらに、電子デバイスは未完成の製品も含んでよい。
【0118】
まとめ
【0119】
本明細書及び特許請求の範囲全体にわたり、文脈上そうでないことが明らかでない限り、「含む」等の用語は、排他的又は網羅的な意味とは反対の包括的意味に、すなわち「~を含むがこれらに限られない」との意味に解釈すべきである。ここで一般に使用される用語「結合」は、直接接続されるか又は一つ以上の中間要素を介して接続されるかいずれかとなり得る2以上の要素を言及する。同様に、ここで一般に使用される単語「接続」は、直接接続されるか又は一つ以上の中間要素を介して接続されるかのいずれかとなり得る2つ以上の要素を言及する。加えて、単語「ここ」、「上」、「下」及び同様の趣旨の単語は、本願において使用される場合、本願全体を言及し、本願の任意の固有部分を言及するわけではない。文脈が許容する場合、単数又は複数を使用する上述の詳細な説明における用語はそれぞれ、複数又は単数をも含み得る。2以上の項目のリストを参照する用語「又は」及び「若しくは」について、当該用語は以下の解釈のすべてをカバーする。すなわち、当該リストの任意の項目、当該リストのすべての項目、及び当該リストの項目の任意の組み合わせである。
【0120】
さらに、とりわけ「できる」、「し得る」、「してよい」、「かもしれない」、「例えば」、「のような」等のようなここに記載の条件付き言語は一般に、特にそうでないことが述べられ、又は使用の文脈上そうでないことが理解される場合を除き、所定の実施形態が所定の特徴、要素及び/又は状態を含む一方で他の実施形態がこれらを含まないことを伝えるように意図される。すなわち、かかる条件的言語は、特徴、要素及び/若しくは状態が一以上の実施形態にとって必要な任意の態様にあること、又は一以上の実施形態が必ず、筆者のインプット若しくは促しありで若しくはなしで、これらの特徴、要素及び/若しくは状態が任意の固有実施形態に含まれ若しくは当該実施形態で行われるか否かを決定する論理を含むこと、を示唆することを一般には意図しない。
【0121】
本発明の実施形態の上記詳細な説明は、排他的であることすなわち本発明を上記開示の正確な形態に制限することを意図しない。本発明の及びその例の特定の実施形態が例示を目的として上述されたが、当業者が認識するように、本発明の範囲において様々な均等の修正も可能である。例えば、プロセス又はブロックが所与の順序で提示されるが、代替実施形態は、異なる順序でステップを有するルーチンを行うこと又はブロックを有するシステムを用いることができ、いくつかのプロセス又はブロックは削除、移動、追加、細分化、結合、及び/又は修正することができる。これらのプロセス又はブロックはそれぞれが、様々な異なる態様で実装することができる。また、プロセス又はブロックが直列的に行われるように示されることがあるが、これらのプロセス又はブロックは、その代わりに、並列して行い又は異なる時に行うこともできる。
【0122】
ここに与えられた本発明の教示は、必ずしも上述のシステムに限られることがなく、他のシステムにも適用することができる。上述の様々な実施形態要素及び行為は、さらなる実施形態を与えるべく組み合わせることができる。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態が記載されたが、これらの実施形態は、例のみとして提示されており、本開示の範囲を制限することを意図しない。実際のところ、ここに記載される新規な方法及びシステムは、様々な他の形態で具体化することができる。さらに、ここに記載される方法及びシステムの形態における様々な省略、置換及び変更が、本開示の要旨から逸脱することなくなし得る。添付の特許請求の範囲及びその均等物が、本開示の範囲及び要旨に収まるかかる形態又は修正をカバーすることが意図される。