IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオアスターの特許一覧

特許7482865マルチプレックス結合実験のための方法及び試薬
<>
  • 特許-マルチプレックス結合実験のための方法及び試薬 図1
  • 特許-マルチプレックス結合実験のための方法及び試薬 図2
  • 特許-マルチプレックス結合実験のための方法及び試薬 図3
  • 特許-マルチプレックス結合実験のための方法及び試薬 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】マルチプレックス結合実験のための方法及び試薬
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/547 20060101AFI20240507BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20240507BHJP
   C07K 14/195 20060101ALN20240507BHJP
【FI】
G01N33/547 ZNA
G01N33/543 525E
G01N33/543 501D
C07K14/195
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021527205
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2019081692
(87)【国際公開番号】W WO2020104397
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】18306517.6
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518375786
【氏名又は名称】バイオアスター
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ルシーヌ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ヴェドリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン・ルガリ
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/031984(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/100584(WO,A1)
【文献】特表2013-514060(JP,A)
【文献】CONWAY, Jerry O. et al.,Llama Single Domain Antibodies Specific for the 7 Botulinum Neurotoxin Serotypes as Heptaplex Immunoreagents,PLoS ONE,2010年01月,Vol.5, Issue.1,pp.1-12
【文献】SHARMA, Preeti et al.,A Multiplex Assay for Detection of Staphylococcal and Streptococcal Exotoxins,PLOS ONE,2015年08月,Vol.10,No.8,pp.1-19
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その同族結合パートナーに高い親和性を有する少なくとも2つの異なるポリペプチドで機能化された、マルチプレックス結合実験のための支持体であって、少なくとも1つのポリペプチドが、配列番号28、配列番号29又は配列番号30の配列を含有するバクテリオシン又はその同族免疫タンパク質(Im)である、支持体。
【請求項2】
2つのポリペプチドが配列番号28、配列番号29又は配列番号30の配列を含有するバクテリオシン又はその同族免疫タンパク質(Im)である、請求項1に記載の支持体。
【請求項3】
全てのポリペプチドが、配列番号28、配列番号29又は配列番号30の配列を含有するバクテリオシン又はその同族免疫タンパク質(Im)である、請求項1又は2に記載の支持体。
【請求項4】
バクテリオシンが、配列番号1の残基254~386、配列番号2の残基254~386、配列番号3の残基251~383、配列番号4の残基251~383、配列番号9の残基255~390、配列番号10の残基255~388、配列番号11の残基255~383、配列番号12の残基261~394及び配列番号13の残基261~393の群において選ばれる配列を有する又は含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の支持体。
【請求項5】
免疫タンパク質が、配列番号5の残基329~413、配列番号6の残基329~414、配列番号7の残基329~412、配列番号8の残基329~407、配列番号14の残基333~423、配列番号15の残基333~420、配列番号16の残基333~423、配列番号17の残基347~430、及び配列番号18の残基347~429の群において選ばれる配列を有する又は含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の支持体。
【請求項6】
ポリペプチドが、配列番号1~配列番号27からなる群において選択される配列を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の支持体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に規定のポリペプチドの同族結合パートナーを含む反応混合物。
【請求項8】
同族結合パートナーが、分析物捕捉実体を更に含む、請求項7に記載の反応混合物。
【請求項9】
分析物捕捉実体が、ポリペプチドである、請求項8に記載の反応混合物。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載の支持体と、請求項7から9のいずれか一項に記載の反応混合物とを含むキット。
【請求項11】
同族結合パートナーが、分析物捕捉実体を更に含む、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
分析物捕捉実体がポリペプチドである、請求項11に記載のキット。
【請求項13】
標識された検出実体を更に含む、請求項10から12のいずれか一項に記載のキット。
【請求項14】
マルチプレックス結合実験を行うための、請求項1から6のいずれか一項に記載の支持体、及び請求項7から9のいずれか一項に記載の反応混合物、又は請求項10から13のいずれか一項に記載のキットの使用。
【請求項15】
マルチプレックス結合実験がイムノアッセイである、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
イムノアッセイが:酵素イムノアッセイ、ラテラルフローアッセイ及びバーティカルフローアッセイからなる群において選ばれる、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
(a)請求項1から6のいずれか一項に記載の支持体、請求項7から9のいずれか一項に記載の反応混合物、分析物又は前記分析物を含有する試料、及び請求項13に規定の標識された検出実体を接触させる工程;並びに
(b)標識化を試験し、それにより、分析物の存在を検出する工程
を含む、試料中に含有される可能性がある少なくとも2つの分析物を検出するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチプレックス結合実験のための方法及び試薬に関する。これは、対象となる分子を支持体表面に適切な方法でディスプレイすることができる、高親和性を有する異なるポリペプチドカップルを利用する。
【背景技術】
【0002】
イムノアッセイは、一般的に、結合剤、特に抗体及び/又は抗原の使用を通じて溶液中の高分子又は小分子の存在又は濃度を測定する生化学試験として定義される。イムノアッセイによって検出される分子は、しばしば分析物、多くの場合にタンパク質と呼ばれるが、当該分子は、アッセイに十分な特性を有する適当な抗体が開発される限り、異なるサイズ及び性質の他の種類の分子であってもよい。イムノアッセイの基本成分は、一般的に、分析物、抗体及び検出可能な標識を含み、検出可能な標識は、酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ又はHRP、アルカリホスファターゼ又はAP、グルコースオキシダーゼ、ルシフェラーゼ又はLuc)、放射性同位体(ラジオイムノアッセイ又はRIAで)、DNAレポーター(例えばリアルタイムイムノ定量ポリメラーゼ連鎖反応又はiqPCRで)、蛍光発生レポーター(例えばフィコエリトリン)、又は電気化学発光タグでありうる。
【0003】
マルチプレックスアッセイは、単一の試料中の複数の分析物の同時測定のために開発されている。マルチプレックス試験は、現代の臨床診断に不可欠になりつつある。発見される(バイオ)マーカーがますます増加しているので、意味のある又は決定的な情報を発生させるために、しばしば、いくつかの(バイオ)マーカーを同時に検出する必要がある。単一の(バイオ)マーカーが1つよりも多い疾患を統計的に不十分な適中度で指し示す場合があるので、これは、信頼できる疾患検出及びモニタリングのために重要である。加えて、単一の(バイオ)マーカー検出で偽陽性及び偽陰性が極めて頻繁に出現する場合があるが、(バイオ)マーカーパネルを検出することによってそれを最小限にすることができよう。したがって、マルチプレックス試験は、正確な診断を確実にし、患者のリスクを軽減する。マルチプレックス試験の別の利点は、単一の試験を複数回行うことと比較した、必要な試料量の低減のみならず、診断時間及び費用の低減である。
【0004】
多くのマルチプレックス試験法が診断学のために開発されている。通例使用される試験法には、マルチプレックスリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、マイクロアレイ、次世代シークエンシング、酵素イムノアッセイ(EIA)/酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、マルチプレックスラテラルフローバイオセンサー(LF)、バーティカルフローアッセイ(VFA)又はLuminex(登録商標)マルチプレックスアッセイが挙げられる。
【0005】
そのようなマルチプレックスアッセイについての十分に確立された形式は、フローベース技術及びリガンド(例えば抗体)でコーティングされたビーズを利用する。Luminex(商標)システムは、単一及びマルチプレックスのビーズベースイムノアッセイと組み合わせたxMAP(商標)(多分析物プロファイリング)技術をベースとする。xMAP(商標)イムノアッセイに使用されるビーズは、異なる濃度のフルオロフォアで染色されて、容易に識別できるビーズセットを発生させる。個別のビーズセットは、1つの特定の分析物に適格な捕捉抗体でコーティングされる。試料から捕捉された分析物は、分析物特異的ビオチン化抗体に加えて、ストレプトアビジンコンジュゲート型R-フィコエリトリン(S-RPE)を用いて検出され、この抗体は、固定化された分析物の適切なエピトープに結合する。イムノアッセイサンドイッチ複合体の検出のために、Luminex(商標)機器は、各蛍光ビーズの励起のための発光ダイオード(LED)をビーズ及び分析物の検出のためのCCDカメラと組み合わせたもの、又は赤色及び緑色レーザを使用するフローベース検出システムのいずれかを使用する。データを問い合わせるために高速デジタルシグナルプロセッサが使用される。各々の抗体コーティングビーズは、特定の分析物について個別に同定可能であるので、単一の試料中の生物学的干渉のため、複数のビーズを組み合わせて核酸について最大500種の標的、及び典型的にはタンパク質について50種以下の標的のレベルを同時に測定することができる。
【0006】
EIAは、通常、96ウェルプレート中で行われ、競合酵素イムノアッセイ原理をベースとする場合、キット中のマイクロプレートは、標的特異的抗体でコーティングされており、標的特異的抗体は、生体試料中の内因性ペプチドと、キット中に提供されるビオチン化ペプチドとの混合物によって競合的に結合され、ビオチン化ペプチドとHRP-ストレプトアビジンとの相互作用を通じて比色分析シグナルを産生する。それをベースとして、MSD(登録商標)(Meso Scale Discovery)技術は、電気化学発光(ECL)検出とパターンアレイとを組み合わせたマルチアレイ技術を提供する。分析物と結合することができる捕捉抗体を支持するために最大10個の作用電極(最大10個の分析物のマルチプレックス化を可能にする)のスポットがウェル内に設けられ、分析物は、例えばSULFO-TAG(商標)標識された、検出抗体を介して更に検出される。
【0007】
文書WO2014/164594は、固相マルチプレックス結合アッセイを行うための方法を開示している。実際に、別個のオリゴヌクレオチド配列がマルチアッセイプレートの別個の区域に位置付けられ、一方で、各捕捉抗体は、従来のカップリングプロトコルを用いて各個別のオリゴヌクレオチド配列相補体で標識される。プレートと共にインキュベーション後、捕捉抗体がマルチウェルプレートに固定化されて、複数の結合試薬複合体を形成する。次いで、複数の分析物を含む溶液のみならず、標識された検出抗体のセットが添加される。或いは、個別のオリゴヌクレオチド配列相補体がストレプトアビジン又はアビジンに結合され、一方で、抗体は、個別のビオチン化捕捉抗体/オリゴヌクレオチド-SA混合物のセットを調製するためにビオチン化される。
【0008】
ラテラルフロー免疫クロマトグラフィーアッセイに関して、文書WO03/062824は、複数の分析物を同時に定量化することができるラテラルフロー法及びストリップを開示している。この文書は、タンパク質AFP、CEA、CRP及びPSAの各々と特異的に反応するモノクローナル抗体の調製を説明している。前記捕捉抗体は、2mm間隔で試験ライン状に連続分注された。固定化された抗体とは異なるエピトープを有する他のモノクローナル抗体が、蛍光物質と反応された。この蛍光物質は、ガラス繊維パッド(抗体/蛍光コンジュゲートパッド)上に含浸されると検出器として使用されることになる。より大きな感度及び再現性を得るために、支持体上にアビジンを固定化し、捕捉抗体をビオチンとカップリングさせることが提案されている。しかし、マルチプレックスラテラルフローバイオセンサーの開発は、依然として感度及び特異性の問題に脅かされており、その一部の原因は、分析物の混合物の間で起こる交差反応である(Li et Macdonald、Biosensors and Bioelectronics 83(2016) 177~92頁)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】WO2014/164594
【文献】WO03/062824
【文献】米国特許第7,189,522号
【文献】WO2017/100584
【非特許文献】
【0010】
【文献】Li et Macdonald、Biosensors and Bioelectronics 83(2016) 177~92頁
【文献】Lowryら、1951. J Biol Chem 193: 265頁
【文献】Hartree 1972、Anal Biochem 48: 422~427頁
【文献】Sharpら、PLOS Computational Biology、2017、https://doi.org/10.1371/journal.pcbi.1005652
【文献】Joshiら、J Mol Biol.、2015、427(17)、2852~66頁
【文献】Walkerら、Nucleic Acid Research、2002、30(14)、3225~34頁
【文献】Li W.ら、2004、J Mol Biol.、337(3):743~59頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これを考慮して、効率的であり、簡単であり、安価であり、多価であり、かつ使用が容易な、さらなるマルチプレックス結合アッセイを開発する必要性が引き続き存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
広範囲にわたる実験及び試験を行って、本発明者らは、対象となる分子、特に分析物捕捉実体を提示するために支持体上に使用すべき、低い解離定数を有するポリペプチドカップルの形態の新しいリンカーを同定した。
【0013】
これは、マルチプレックス結合実験にとって特に関心が持たれる。抗原/抗体カップルの解離定数は、一般的にナノモル濃度範囲である一方で、本発明の枠内で使用されるポリペプチドカップルは、少なくともピコモル濃度範囲、又は更にはフェムトモル濃度範囲の解離定数を有し、増大した特異性及び/又は感受性をもたらす。
【0014】
定義
冠詞「a」及び「an」は、当該冠詞の1つ又は1つよりも多い(すなわち、少なくとも1つの)文法的対象物を指すために本明細書で使用される。例えば、「1つの(an)要素」は、1つの要素又は1つよりも多い要素を意味する。
【0015】
量、持続時間等の測定可能な値を指す場合に本明細書で使用される「約」は、特定の値から±20%又は±10%、より好ましくは±5%、いっそうより好ましくは±1%、更により好ましくは±0.1%の変動を、開示された方法を行うためにそのような変動が適切であるとして包含することが意味される。
【0016】
範囲:本開示全体にわたり、本発明の様々な態様は、範囲の形式で提示される場合がある。範囲の形式での記載は、単に便宜上及び簡潔さのためであり、本発明の範囲への不変の限定と解釈されるべきではないことを理解すべきである。したがって、範囲の記載は、すべての可能性のある部分範囲に加えて、その範囲内の個別の数値を具体的に開示したと見なすべきである。例えば、1~6等の範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等の部分範囲に加えて、その範囲内の個別の数、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6を具体的に開示したと見なされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「含んでいる(comprising)」、「含む(comprises)」及び「構成される(comprised of)」は、「含んでいる(including)」、「含む(includes)」又は「含有している(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、包括的又は非限定的であって、追加的な不記載のメンバー、要素又は方法の工程を排除するものではない。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」は互換的に使用され、ペプチド結合により共有結合的に連結されたアミノ酸残基から構成される化合物を指す。タンパク質又はペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有しなければならず、タンパク質又はペプチドの配列を含むことができるアミノ酸の最大数に課される制限はない。ポリペプチドは、互いにペプチド結合でつながった2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチド又はタンパク質を含む。この用語は、本明細書で使用される場合、通例、当技術分野において例えばペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマーとも称される短鎖と、一般的に当技術分野において多くのタイプがあるタンパク質と称される、より長い鎖との両方を指す。「ポリペプチド」には、数ある中で例えば、生物学的に活性な断片、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモマルチマー又はヘテロマルチマー、ポリペプチドのバリアント、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が挙げられる。ポリペプチドには、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、又はそれらの組合せが挙げられる。
【0019】
「相同な」又は「同一な」は、2つのポリペプチド間又は2つの核酸分子間の配列類似性又は配列同一性を指す。2つの比較される配列の両方におけるある位置が、同じ塩基又はアミノ酸モノマーサブユニットによって占められている場合、例えば、2つのDNA分子の各々におけるある位置がアデニンによって占められている場合、その分子はその位置で相同又は同一である。2つの配列間の相同性/同一性パーセントは、当該2つの配列によって共有される、合致又は相同位置の数を、比較された位置の数で割って100をかけたものの関数である。例えば、2つの配列における10個の位置のうち6個が合致する又は相同な場合、当該2つの配列は60%相同/同一である。一般的に、2つの配列を整列させて最大の相同性/同一性を与える場合に比較が行われる。
【0020】
特定の成分(例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド又はそれらの断片等)に関する用語「単離された」は、一般的に、そのような成分がその自然環境の1つ又は複数の他の成分から分離されて存在すること、例えば、他の成分から分離された又は別々に調製されたことを表す。例えば、単離されたヒト又は動物タンパク質、ポリペプチド、ペプチド又は断片は、それが自然に存在するヒト又は動物の体と別々に存在する。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「単離された」は、好ましくは修飾語句「精製された」も包含する場合がある。本明細書で使用される場合、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド及び/又はそれらの断片に関する用語「精製された」は、絶対的な純粋さを必要とするわけではない。その代わりに、本用語は、他のタンパク質と比べたそのようなタンパク質、ポリペプチド、ペプチド及び/又は断片の存在度(質量又は重量又は濃度により好都合に表現される)が生体試料中よりも大きい、別個の環境中にそれらがあることを表す。別個の環境は、例えば単一の溶液、ゲル、沈殿物、凍結乾燥物等のような単一の媒質を表す。精製されたペプチド、ポリペプチド又は断片は、例えば、実験室合成又は組換え合成、クロマトグラフィー、分取電気泳動、遠心分離、沈殿、親和性精製等を含む、公知の方法によって得られる場合がある。精製されたタンパク質、ポリペプチド、ペプチド及び/又は断片は、好ましくは、別個の環境のタンパク質含量の10質量%、より好ましくは50質量%、例えば60質量%、なおより好ましくは70質量%、例えば80質量%、更により好ましくは90質量%、例えば95質量%、96質量%、97質量%、98質量%、99質量%又は更には100質量%を構成する場合がある。タンパク質含量は、例えば、ローリー法(Lowryら、1951. J Biol Chem 193: 265頁)によって、場合によりHartree 1972(Anal Biochem 48: 422~427頁)によって記載されるように決定される場合がある。また、ペプチド又はポリペプチドの純度は、クマシーブルー又は好ましくは銀染色を用いて還元条件又は非還元条件下のSDS-PAGEによって決定される場合がある。
【0022】
用語「マーカー」又は「バイオマーカー」は、当技術分野において普及しており、対象における質的及び/又は量的評価が、対象の表現型及び/又は遺伝子型の1つ又は複数の局面に関する、例えば、所与の疾患又は状態についての対象の状況に関する情報を与える(例えば、予想、診断及び/又は予後判定する)、生体分子及び/又はその検出可能な部分を広く表す場合がある。
【0023】
用語「リスクを評価する」又は「リスク評価」、「検出すること」又は「検出」、「スクリーニングすること」、「診断すること」又は「診断」、「予後判定すること」又は「予後判定」、「予想すること」又は「予想」、及び「モニタリング」は、医療及び臨床診療の決まり文句であり、十分に理解されている。
【0024】
さらなる説明によって、限定することなく、「リスクを評価すること」又は「リスク評価」は、一般的に、疾患又は状態を(まだ)有しない対象における前記疾患又は状態の事前の告知、指摘又は予言を指す。例えば、対象における疾患又は状態のリスク評価は、対象が、例えばある特定の期間内又はある特定の年齢までに、前記疾患又は状態を発生する確率、おそれ又はリスクを表示する場合がある。前記確率、おそれ又はリスクは、とりわけ絶対値、範囲若しくは統計量として表示される場合があり、又は適切な対照対象若しくは対照の対象集団と比べて(例えば、一般、正常若しくは健康な対象若しくは対象集団と比べて)表示される場合がある。したがって、対象が疾患又は状態を発生する確率、おそれ又はリスクは、有利には、増加若しくは減少した、又は適切な対照対象若しくは対照の対象集団に対して何倍増加又は何倍減少したと表示される場合がある。本明細書で使用される場合、対象における用語「疾患のリスク評価」はまた、対象に前記疾患を有するリスクがある(例えば、当該リスクが対照対象又は対照の対象集団と比べて有意に増加している)ことを特に意味する場合もある。
【0025】
用語「診断すること」又は「診断」は、一般的に、症状及び徴候に基づき、並びに/又は様々な診断手順の結果から(例えば、診断された疾患又は状態の1つ又は複数のバイオマーカー特徴の存在、非存在及び/又は量を知ること等から)、対象における疾患又は状態に対する認識、決定又は結論のプロセス又は行為を指す。本明細書で使用される場合、対象における「疾患の診断」は、対象が前記疾患を有するゆえに、前記疾患を有すると診断されることを特に意味する場合がある。本明細書に教示されるように、対象は、前記疾患を思い出させる1つ又は複数の従来的な症状又は徴候を示すにもかかわらず、前記疾患を有しないと診断される場合がある。
【0026】
本発明の枠内で、用語「検出すること」又は「検出」は、一般に、疾患及び/又はその原因となる作用因子の存在を見出すことを意味し、リスク評価及び診断の両方を包含し、すなわち、疾患の症状を有する又は有しない対象、潜在的には任意の対象におけるバイオマーカーのレベルを測定するプロセスを指す。用語「スクリーニングすること」は、どちらかと言えば、疾患の症状を有しない対象における検出に関して使用される。
【0027】
用語「予後判定すること」又は「予後判定」は、一般的に、疾患又は状態の進行及び回復の見込み(例えば、確率、持続時間、及び/又は程度)に関する予想を指す。疾患の良好な予後は、一般的に、好ましくは許容される期間内の、前記疾患からの十分な部分回復又は完全回復の予想を包含する場合がある。前記疾患の良好な予後は、より一般に、好ましくは所与の期間内に状態が更に悪化も増悪もしないという予想を包含する場合がある。疾患の不良な予後は、一般的に、標準以下の回復及び/若しくは不十分に遅い回復、又は実質的に回復なし若しくは前記疾患のなおさらなる悪化の予想を包含する場合がある。
【0028】
用語「予測すること」又は「予測」は、一般的に、疾患又は状態の進行及び回復の見込み(例えば、確率、持続時間、及び/又は程度)に関する医学的又は外科的処置の有効性/効率に関する予想を指す。良好な予測は、一般的に、好ましくは許容される期間内の、処置に対する前記疾患からの十分な部分回復又は完全回復の予想を包含する。良好な予測は、より一般に、好ましくは所与の期間内に処置に対して状態が更に悪化も増悪もしない予想を包含する場合がある。不良な予測は、一般的に、標準以下の回復及び/若しくは不十分に遅い回復、又は実質的に回復なし若しくは処置に対する前記疾患のなおさらなる悪化の予想を包含する場合がある。
【0029】
用語「モニタリングする」又は「モニタリング」は、一般的に、対象における疾患又は状態の進行(例えば、病原体の存在)をある期間にわたり観察及びチェックして、例えば、処置に対する応答を調べる、又は疾患の再発を同定することを指す。
【0030】
分子若しくは分析物、又は2つ以上の分子若しくは分析物の群は、試料中の前記分子又は分析物の存在若しくは非存在及び/又は量が、好ましくは実質的に他の分子及び分析物を除外して検出又は決定される場合に、その試料において「測定される」。
【0031】
用語「量」、「数量」及び「レベル」は、同義であり、一般的に当技術分野において十分に理解されている。本明細書で使用される場合のこれらの用語は、特に、試料中の分子若しくは分析物の絶対定量化、又は試料中の分子若しくは分析物の相対定量化、すなわち、本明細書に教示される基準値と比べる等の別の値と比べた定量化、又はバイオマーカーのベースライン発現を指し示す値の範囲を指す場合がある。これらの値又は範囲は、単一の患者から又は患者の群から得ることができる。
【0032】
試料中の分子又は分析物の絶対量は、有利には、質量若しくはモル量として、又はより通常は濃度として、例えば、体積あたりの質量若しくは体積あたりのモルとして表現される場合がある。
【0033】
試料中の分子又は分析物の相対量は、有利には、増加若しくは減少として、又は前記の別の値に対する、例えば本明細書に教示される基準値に対する、増加倍率若しくは減少倍率として表現される場合がある。しかし、第1及び第2のパラメータ(例えば、第1及び第2の量)の間の相対比較を行うことは、前記第1及び第2のパラメータの絶対値を最初に決定することを必要としない場合がある。例えば、測定法は、前記第1及び第2のパラメータについて定量可能な読出し(例えば、シグナル強度等)を産生することができ、その際、前記読出しは、前記パラメータの値の関数であり、前記読出しを直接比較して、第1のパラメータに対する第2のパラメータについての相対値を産生することができ、これらの読出しをそれぞれのパラメータの絶対値に最初に変換することは実際に必要ではない。
【0034】
用語「患者」、「対象」、「個体」等は、本明細書において互換的に使用され、in vitroであろうとin situであろうと、本明細書に記載される方法に適する任意の動物又はその細胞を指す。本明細書で使用される場合、それらは典型的にはヒトを表すが、非ヒト動物、好ましくは温血動物、より好ましくは哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、げっ歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ブタ等への言及も包含する場合がある。
【0035】
「疾患」は、動物が恒常性を維持できない、動物の健康状態であって、その際、疾患が回復しないと動物の健康は増悪し続ける。対照的に、動物における「障害」は、動物が恒常性を維持できるが、その障害が存在しない場合よりも動物の健康状態が好ましくない、健康状態である。未処置のまま放置されると、障害は動物の健康状態のさらなる減退を必ずしも引き起こさない。疾患若しくは障害の症状の重症度、そのような症状が患者によって経験される頻度、又はその両方が低減している場合、疾患又は障害は「緩和している」。疾患若しくは障害の症状の重症度、そのような症状が患者によって経験される頻度、又はその両方が除去される場合、疾患又は障害は「治癒している」。
【0036】
本明細書で使用される場合、「疾患又は障害を処置すること」は、対象によって経験される疾患又は障害の少なくとも1つの徴候又は症状の頻度又は重症度を低減することを意味する。疾患及び障害は、処置に関連して本明細書において互換的に使用される。
【発明を実施するための形態】
【0037】
第1の態様により、本発明は、その同族結合パートナーに高い親和性を有する少なくとも2つの異なるポリペプチドで機能化された、マルチプレックス結合実験のための支持体に関する。
【0038】
特定の態様により、その同族結合パートナーに高い親和性を有する少なくとも2つの異なるポリペプチドは、マルチプレックス結合実験のための試薬として提供され、支持体に更に結合される。
【0039】
本発明の意味において、マルチプレックス結合実験は、実験の1回の実行/サイクル中に複数の種類の分子、及び一度に1種類だけではない分子の同時結合を可能にする。
【0040】
本発明の枠内で、支持体は、少なくとも2つのポリペプチドを保有することができる物理的実体として定義される。当業者に公知のように、マルチプレックス結合実験を行うために使用される技術に応じて、前記支持体の性質及び形態は変動する場合がある。
【0041】
EIAに関して、支持体は、プレート、有利にはマイクロプレートのウェルでありうる。マイクロタイタープレート、マイクロウェルプレート又はマルチウェルとも呼ばれるマイクロプレートは、例えばELISAアッセイにおいて複数のウェルが小さな試験管として使用される扁平なプレートである。
【0042】
マイクロプレートは、典型的には、2:3の矩形行列として配列された6、12、24、48、96、384又は1536個の試料ウェルを有する。マイクロプレートの各ウェルは、典型的には、数十ナノリットルから数ミリリットルの間のどれかの液体を収容する。ウェルは、円形又は四角形のいずれかでありうる。マイクロプレートは、様々な材料で製造される。最も一般にポリスチレンであり、ポリスチレンは、光学的吸収若しくは発光検出のために二酸化チタンの添加により白又は蛍光生物学的アッセイのために炭素の添加により黒に着色されている可能性がある。ポリプロピレン、ポリカーボネート、シクロオレフィン又はガラス及び石英の固体片も使用することができる。
【0043】
ラテラル及びバーティカルフローアッセイに関して、支持体は、メンブラン又はストリップである。この技術は、多孔性紙片、微細構造ポリマー片、又は焼結ポリマー片のような一連のキャピラリーベッドをベースとする。特定の実施形態により、支持体は、セルロース又はその誘導体、有利にはニトロセルロースで作られている。
【0044】
Luminex(商標)技術に関して、支持体は、マイクロキャリア又はマイクロビーズから作られている。
【0045】
「マイクロキャリア」によって、本明細書において顕微鏡的サイズの、典型的には最大寸法が100nm~300μm、好ましくは1μm~200μmの任意のタイプの粒子を指す。マイクロキャリアは、任意の形状の場合があるが、好ましくは球形(マイクロビーズ)又はウエハの形態、例えばディスク様形状を有する。
【0046】
マイクロキャリアは、ハイスループットスクリーニング技術及び診断法で日常的に使用される任意の材料、例えばポリスチレン又はシリカ製である又はそれを含む場合がある。
【0047】
特定の実施形態により、支持体はポリマー性であり、その際ポリマーは、有利には、炭水化物ベースのポリマー、ポリ脂肪族アルコール、ポリビニルポリマー、ポリアクリル酸、ポリ有機酸、ポリアミノ酸、コポリマー、ブロックコポリマー、ターポリマー、ポリエーテル、天然ポリマー、ポリイミド、界面活性剤、ポリエステル、分岐ポリマー、シクロポリマー、ポリアルデヒド及びそれらの混合物、臭素化ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクロレイン、ポリブタジエン、ポリカプロラクトン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリジメチルシロキサン、ポリイソプレン、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピリジン、ポリビニルベンジルクロリド、ポリビニルトルエン、ポリ塩化ビニリデン、ポリジビニルベンゼン、ポリメタクリル酸メチル、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリリン酸塩、ポリ-(スチレン-コ-ビニルベンジルクロリド-コ-アクリル酸)(85:10:5のモル比)、ポリ(スチレン-コ-アクリル酸)(99:1のモル比)、ポリ(スチレン-コ-メタクリル酸)(90:10のモル比)、ポリ(スチレン-コ-アクリル酸-コ-m及びp-ジビニルベンゼン)(89:10:1のモル比)、ポリ-(スチレン-コ-2-カルボキシエチルアクリレート)(90:10のモル比)、ポリ(メタクリル酸メチル-コ-アクリル酸)(70:30のモル比)及びポリ(スチレン-コ-アクリル酸ブチル-コ-メタクリル酸)(45:45:10の質量比)合成ポリマー、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ラテックス、及びそれらの任意の組合せ又は修飾物からなる群から選択される。
【0048】
一部の実施形態により、支持体は、プラスチック、セルロース、デキストラン、エピクロロヒドリンと架橋したデキストラン、アガロース、アクリルアミド、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、テフロン(登録商標)、又はナイロンを含みうる。
【0049】
本発明により、支持体は、少なくとも2つの異なるポリペプチドで機能化されている。「機能化されている」は、本明細書において、支持体とポリペプチドとの間の非共有(例えば静電若しくはイオン)結合又は共有(例えば化学)結合形成を指す。これは、吸着、特にチオール、カルボキシル又はアミン官能基を経由した、化学結合形成、及び紫外線(UV)照射による結合形成を包含する。
【0050】
特定の実施形態により、ポリペプチドは、支持体に高い親和性を有する実体、例えばセルロース結合ドメインを含む又はそれと融合している場合がある。当技術分野において公知のように、結果として生じる複合体(ポリペプチド+実体)は、化学合成によって又は化学コンジュゲーション法を通じて組換え入手することができる。有利には、実体は、前記ポリペプチドと融合したペプチド又はタンパク質である。
【0051】
別の実施形態により、本発明による支持体は、その2つの別個の部位で少なくとも2つの異なるポリペプチドにより機能化されている。「その2つの別個の部位で」は、本明細書において、ポリペプチドの各々が支持体上に個別化されている、すなわち物理的に識別可能であるという事実を指す。言い換えると、前記部位は、支持体上の別個の結合区域を構成する。
【0052】
その特定の場合に、及び支持体がマイクロキャリアのセットである場合、各々の異なるポリペプチドは、差次的に標識されたマイクロキャリア上に固定化することができる。例として、マイクロキャリアの同定を容易にするために、マイクロキャリアに更にコードされてもよい。好ましくは、本発明の枠内で使用すべきマイクロキャリアは、好ましくは光学的手段を使用してコードを読むことによって、その機能、すなわちその上に機能化されたポリペプチドを決定できるようにコードされている。
【0053】
ウェル又はメンブランに関して、異なるポリペプチドを別個のドット又はラインの形態で相互に十分な距離を空けて支持体上に固定化することができる。
【0054】
その上、本発明による支持体は、その同族結合パートナーに高い親和性を有する少なくとも2つの異なるポリペプチドを含み、好ましくは少なくとも1つのポリペプチド、より好ましくは両方は、その結合パートナーに対して10-10M以下、有利には10-11M以下、より有利には10-12M以下の解離定数(Kd)を有する。
【0055】
当技術分野において公知のように、結合親和性は、単一の生体分子、この場合はポリペプチドと、そのリガンド/結合パートナーとの間の結合相互作用の強度である。結合親和性は、典型的には、二分子相互作用の強度を調べる及び順位付けるために使用される平衡解離定数(Kd)によって測定及び報告される。Kd値が小さいほど、リガンドのその標的に対する結合親和性は強い。Kd値が大きいほど、標的分子とリガンドとは相互に弱く誘因及び結合される。
【0056】
結合親和性は、2つの分子の間の水素結合形成、静電相互作用、疎水性及びファンデルワールス力等の非共有結合的分子間相互作用によって影響される。加えて、リガンドとその標的分子との間の結合親和性は、他の分子の存在により影響される場合がある。
【0057】
速度論によって決定される場合の解離定数(Kd)の測定は、当業者にとって日常的である。結合親和性及び解離定数を測定するために利用可能な多くの技術、例えばELISA、ゲルシフトアッセイ、プルダウンアッセイ、平衡透析、分析用超遠心、表面プラズモン共鳴(SPR)、分光アッセイ及び等温滴定熱量測定(ITC)がある。
【0058】
Kd値は、文献に開示されたもの、又は標準条件で、すなわちポリペプチドとその結合パートナーを使用して、特に緩衝液、pH、温度に関してそれらの結合に最適な条件で決定されたものに対応しうる。好ましくは、本発明の枠内で、それは、不安定化試薬の非存在下及び結合アッセイに使用すべきすべての補助要因の存在下で決定された値に対応する。
【0059】
本発明の好ましい実施形態により、支持体は、その結合パートナーに対して10-12M以下、有利には10-13M以下、より有利に10-14M以下、又は更には10-15M以下の解離定数(Kd)を有する少なくとも1つのポリペプチドを含む。好ましい実施形態により、少なくとも1つ若しくは2つのポリペプチド、又は更にはすべてのポリペプチドは、そのそれぞれの同族結合パートナーに対して10-10M、10-11M又は10-12M以下、有利には10-13M以下、より有利には10-14M以下、又は更には10-15M以下の解離定数(Kd)を有する。
【0060】
他方、支持体は、その同族結合パートナーに高い親和性を有する少なくとも2つの異なるポリペプチドを含むので、各ポリペプチドが特異的にその同族パートナーに対して高い親和性を有することが好ましい。言い換えると、支持体上に存在する他のポリペプチド(非同族)の結合パートナーに対する所与のポリペプチドの解離定数(Kd)は、有利にはより高い、すなわち10-12Mよりも大きい、より有利には10-11M、10-10M、10-9M、又は更には10-8M、10-7M、10-6Mよりも大きい。
【0061】
さらなる一実施形態により、同じ実験条件で測定された、所与のポリペプチドのその同族結合パートナーに対するKd値の、前記ポリペプチドのその非同族結合パートナーに対するKd値に対する比が、10-2以下、有利には10-3以下、より有利には10-4以下、又は更には10-5以下であることが好ましい。例として、第1のポリペプチドとその同族パートナーとの間のKd値が10-14Mと等しい場合、第1のポリペプチドとその非同族パートナー、すなわち第2又はさらなるポリペプチドのパートナーとの間のKd値が、10-12M、有利には10-11M、より有利には10-10M、なおより有利には10-9Mに等しいように第2又はさらなるポリペプチドが選ばれる。
【0062】
そこに使用される場合、ポリペプチドは、結合ペア又はカップルに属し、すなわちそれらは、結合ペア又はカップルの第1のメンバーである。有利にはそれらは、高親和性複合体の、可能性があることにはタンパク質-タンパク質複合体の、メンバーである。
【0063】
特定の実施形態により、少なくとも1つのポリペプチドは、毒素-抗毒素カップル又はシステム、有利にはポリペプチド性毒素-抗毒素カップル又はシステムのメンバーである。
【0064】
一実施形態により、本発明は、その同族結合パートナーに高い親和性を有する少なくとも2つの異なるポリペプチドで機能化された、マルチプレックス結合実験のための支持体に関する。好ましい実施形態により、前記2つのポリペプチドの各々は、バクテリオシン又はその同族免疫タンパク質(Im)である。本出願では、「免疫タンパク質」又は「免疫ポリペプチド」は、同じ意味を有し、互換的に使用される。
【0065】
第1の実施形態により、支持体は、バクテリオシン、その断片又は変異体で機能化されている。
【0066】
バクテリオシン(又はタンパク質抗生物質)は、マルチドメインポリペプチド性毒素の大きく多種多様なファミリーである。好ましい実施形態により、本発明の枠内で使用すべきバクテリオシンは、ヌクレアーゼバクテリオシン(NB)、すなわち、細菌の細胞質中の核酸(DNA又はリボヌクレアーゼの場合RNA)を標的化する毒素であり、エンドヌクレアーゼとも呼ばれる。
【0067】
下記実施例又は以前の研究(Sharpら、PLOS Computational Biology、2017、https://doi.org/10.1371/journal.pcbi.1005652)に示されるように、バクテリオシンは、もっぱらγ-プロテオバクテリアの多数の細菌種から同定されており、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)及びシュードモナス科(Pseudomonadaceae)に特に豊富である。
【0068】
特定の実施形態により、本発明に関連して使用されるポリペプチドは、バクテリオシンの断片又は変異体、有利には同族免疫ポリペプチドと高い親和性で、より有利には上記に定義される解離定数(Kd)で、結合することができる断片又は変異体である。免疫タンパク質エキソサイトとも呼ばれる、この結合を担う領域は、バクテリオシンのC末端ドメインに位置することが示されている。
【0069】
例として、大腸菌(Escherichia coli)コリシンE2(ColE2と記載)に関係して、Joshiら(J Mol Biol.、2015、427(17)、2852~66頁)は、この結合を担う領域がColE2の残基520~553に対応すると報告した。この配列は、配列番号1の残基325~358に更に対応する。
【0070】
したがって、好ましい実施形態により、バクテリオシンの断片又は変異体は、免疫タンパク質エキソサイトを含有する。Joshiら(J Mol Biol.、2015、427(17)、2852~66頁)によって示されたように、任意のバクテリオシンにおいて配列アライメントにより関連ドメインを同定することができる。より一般的には、本発明の枠内で使用すべきバクテリシンの断片又は変異体は、そのC末端部分を含有する。
【0071】
当技術分野で公知のように、バクテリオシンのヌクレアーゼ活性部位(又は細胞傷害性ドメイン)は、そのC末端部分にも位置する。Sharpら(PLOS Computational Biology, 2017, https://doi.org/10.1371/journal.pcbi.1005652)の図S1に示されるように、細胞傷害性ドメインの複数の配列アライメントによって、すべてのタイプのヌクレアーゼ、すなわちHNH型DNアーゼ、非HNH型DNアーゼ、rRNアーゼ及びtRNアーゼの細胞傷害性ドメインにおいて同定可能な保存されたモチーフが同定された。
【0072】
好ましい実施形態により、バクテリオシンの断片又は変異体は、バクテリオシンの細胞傷害性ドメインに対応する又はそれを含有する。
【0073】
特定の実施形態により、HNH型DNアーゼに関係して、バクテリオシン又はその断片は、配列HH-XXXXXXXXXXXXXX-N-XXXXXXXX-H-XXX-H(配列番号28)の30残基モチーフ(ββα-Meモチーフとも称される)を含有する。
【0074】
さらなる実施形態により、HNH型DNアーゼに関係して、本発明の枠内で使用されるポリペプチドは、細胞傷害活性が欠乏するように変異している。Walkerら(Nucleic Acid Research、2002、30(14)、3225~34頁)によって報告されたように、大腸菌コリシンE9(ColE9と記載)に関係して、その酵素ドメインを、例えば、DNアーゼ活性を防止するために配列番号28のN部分のヒスチジンをアラニンに交換することによって不活性化することができる。結果として、バクテリオシンは、配列HA-XXXXXXXXXXXXXX-N-XXXXXXXX-H-XXX-H(配列番号29)又はAH-XXXXXXXXXXXXXX-N-XXXXXXXX-H-XXX-H(配列番号30)、有利にはHA-XXXXXXXXXXXXXX-N-XXXXXXXX-H-XXX-H(配列番号29)を含有しうる。
【0075】
エキソサイト及び触媒ドメインが共にバクテリオシンのC末端部分にあるが、別個であることにより、バクテリオシンが免疫タンパク質に結合する能力に影響せずに触媒部位を不活性化できるので、DNアーゼ、特にHNH型DNアーゼ、及びrRNアーゼに対応するバクテリオシンは、その同族免疫タンパク質と一緒に、本発明の枠内で有利に使用される。
【0076】
HNH型DNアーゼは、HNHモチーフをベースに容易に同定できるので、特に関心がもたれる。
【0077】
大腸菌コリシンのうち、エンドヌクレアーゼ(非特異的DNアーゼ)活性を有するもの、すなわち酵素E型コリシンColE2、ColE7、ColE8又はColE9が好ましい(Kdが10-15Mの範囲内)。好ましい実施形態により、コリシンE2、E7、E8又はE9のC末端部分からなる又はそれを含み、有利には細胞傷害活性が欠乏するように変異している、ポリペプチドが使用される。好ましい実施形態により、本発明の枠内で使用されるポリペプチドは、以下の群において選択される配列を有する又はそれを含む:
- 配列番号1のアミノ酸254~386に対応する配列(ColE2);
- 配列番号2のアミノ酸254~386に対応する配列(ColE7);
- 配列番号3のアミノ酸251~383に対応する配列(ColE8);
- 配列番号4のアミノ酸251~383に対応する配列(ColE9)。
【0078】
本発明に使用することができるバクテリオシンの非限定的なさらなる例は:
- 緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から単離されたもの、有利には、HNH型DNアーゼS1、S2、及びAP41等のピオシンと名付けられたバクテリオシン、より有利には本出願においてColAP41と名付けられたバクテリオシン;
- シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)から単離されたもの、有利にはシュードモナス・シリンガエB728Aからの、本出願においてColSyrと名付けられたバクテリオシン;
- ペクトバクテリウム・カロトボルム(Pectobacterium carotovorum)から単離されたもの、有利には本出願においてColErWと名付けられたバクテリオシン;
- シュードモナス・スピーシーズ(Pseudomonas sp)Leaf83から単離されたもの、有利には本出願においてColLeafと名付けられたバクテリオシン;及び/又は
- フォトラブダス・カニイ(Photorhabdus khanii)から単離されたもの、有利には本出願においてColKhanと名付けられたバクテリオシン
である。
【0079】
或いは、本発明の枠内で使用されるバクテリオシンは、以下の群において選択される配列を有する又は含みうる:
- 配列番号9のアミノ酸255~390に対応する配列(ColAP41);
- 配列番号10のアミノ酸255~388に対応する配列(ColSyr);
- 配列番号11のアミノ酸255~383に対応する配列(ColErw);
- 配列番号12のアミノ酸261~394に対応する配列(ColLeaf);
- 配列番号13のアミノ酸261~393に対応する配列(ColKhan)。
【0080】
前記の特定の配列は、細胞傷害性ドメインを含有するが、細胞傷害活性が欠乏するように更に変異している、アミノ酸129~136個の範囲のサイズの、天然バクテリオシンの断片(C末端部分)に対応する。
【0081】
或いは、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ、特にrRNアーゼ)活性を有する大腸菌コリシン、特にCol E3(10-12Mの範囲のKd)、E4、E5若しくはE6、又はその同族免疫タンパク質と高い親和性で、より有利には上記に開示されたような解離定数(Kd)で、結合することができるその断片を使用することができる。
【0082】
同様に、リボヌクレアーゼ活性を有する緑膿菌ピオシン、特にtRNアーゼ活性を有するSD1、SD2又はSD3が使用されうる。
【0083】
クレブシエラ・ニューモニアエ(Klebsiella_pneumoniae)によって産生されるクレビシンは、異なるタイプのバクテリオシンであり、これも使用することができる。
【0084】
以下の特徴を有する、天然バクテリオシン(約650aaの平均サイズを有する)の断片が、本発明の枠内で特に関心がもたれる:
- アミノ酸100~150個、好ましくはアミノ酸125~140個、より好ましくはアミノ酸130~135個の好ましいサイズを有する;
- そのC末端部分に対応し、かつ/又は免疫タンパク質結合部位及び/若しくは細胞傷害性ドメインを含有する;
- 1つ又は複数の変異のせいで細胞傷害活性が欠乏し、その一方で前記変異はその同族免疫ポリペプチドへのその結合に影響しない。
【0085】
特定の実施形態により、少なくとも2つのバクテリオシン、それらの断片又は変異体は、それらの免疫タンパク質エキソサイト又は結合部位にわたり70%、65%、60%、55%、50%、45%又は更には40%以下の同一性を共有するように、選ばれる。
【0086】
本発明の別の実施形態により、支持体は、バクテリオシンの同族免疫タンパク質(Im)、及び可能性があることにはその断片又は変異体で機能化されている。対象となる断片又は変異体は、対応するバクテリオシン(又はその変異体若しくは断片)と結合する能力を保っているものである。
【0087】
一般的な定義により、本発明に使用すべき免疫タンパク質は、上記に開示されたようなバクテリオシンの同族結合パートナーである。実際にそれらは、同じ細菌に由来し、対応する遺伝子は、有利にはゲノム中の500ヌクレオチド内に位置する。
【0088】
特定の実施形態により、本発明の枠内で使用すべき少なくとも2つの免疫ポリペプチドは、以下の群において選択される配列を有する又は含む:
- 配列番号5のアミノ酸329~413又は配列番号19の残基17~101に対応する配列(Im2);
- 配列番号6のアミノ酸329~414又は配列番号20の残基17~102に対応する配列(Im7);
- 配列番号7のアミノ酸329~412又は配列番号21の残基17~100に対応する配列(Im8);
- 配列番号8のアミノ酸329~407又は配列番号22の残基17~95に対応する配列(Im9);
- 配列番号14のアミノ酸333~423又は配列番号23の残基17~107に対応する配列(ImAP41);
- 配列番号15のアミノ酸333~420又は配列番号24の残基17~104に対応する配列(ImSyr);
- 配列番号16のアミノ酸333~423又は配列番号25の残基17~107に対応する配列(ImErw);
- 配列番号17のアミノ酸347~430又は配列番号26の残基45~128に対応する配列(ImLeaf);及び
- 配列番号18のアミノ酸347~429又は配列番号27の残基45~127に対応する配列(ImKahn)。
【0089】
前記の特定の配列は、アミノ酸101個の平均サイズを有する天然免疫タンパク質由来のアミノ酸79~91個の範囲のサイズの断片に対応する。
【0090】
特定の実施形態により、免疫タンパク質、その変異体又は断片は、対応するバクテリオシンへの結合に関与する配列、有利にはDNアーゼ結合領域を含有する。そのような領域は、Joshiら(J Mol Biol., 2015, 427(17), 2852~66頁)の図1Dに示されるような配列アライメントによって同定することができ、Sharpら(PLOS Computational Biology, 2017, https://doi.org/10.1371/journal.pcbi.1005652)の図1Cに示されるような提唱されたコンセンサス配列を有する。
【0091】
大腸菌免疫タンパク質2(Im2と記載)、ColE2の同族結合パートナーに関係して、この領域(DNアーゼ結合領域)は、Im2の残基29~58に対応する。この配列は、配列番号5の残基356~385又は配列番号19の残基44~73に更に対応する。
【0092】
特定の実施形態により、少なくとも2つの免疫タンパク質、それらの断片又は変異体は、そのDNアーゼ結合領域にわたり70%、65%、60%、55%又は更には50%以下の同一性を共有するように選ばれる。
【0093】
好ましい実施形態により、使用すべきバクテリオシン/免疫タンパク質の異なる(少なくとも2つの)カップルは、両方の基準、すなわち:
- バクテリオシン、その断片又は変異体が、その免疫タンパク質エキソサイトにわたり、70%、65%、60%、55%、50%、45%又は更には40%以下の同一性を共有する;及び
- 免疫タンパク質、その断片又は変異体が、そのDNアーゼ結合領域にわたり70%、65%、60%、55%又は更には50%以下の同一性を共有する
をベースに選択される。
【0094】
マルチプレックス結合実験におけるその使用のため、本発明の支持体は、少なくとも2つの異なるポリペプチドを含む。言い換えると、支持体は、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又は更にはそれよりも多いポリペプチドを含む場合があり、その中でそれらの少なくとも2つ、好ましくはすべてが異なる。本発明の枠内で、「異なる」は、それらが異なる同族結合パートナーと高い親和性を有する能力を指す。
【0095】
特定の実施形態により、支持体上のすべてのポリペプチドは、バクテリオシン及び/又はその同族免疫ポリペプチド(Im)である。
【0096】
或いは、前記支持体は、バクテリオシン又はその同族免疫タンパク質である少なくとも2つのポリペプチドだけでなく、上記に規定されるようなその同族結合パートナーに高い親和性を有するさらなるポリペプチドも含む。
【0097】
より一般的には、他のヌクレアーゼ-阻害剤複合体は、例えば、バルナーゼ-バルスター複合体(10-14Mの範囲のKd)又はリボヌクレアーゼ阻害剤(RI)結合性アンジオゲニンとして使用することができる。
【0098】
別のシステムは、セルロソームに関与するドッケリン/コヒーシン複合体である。
【0099】
さらなる実施形態により、1つのそのようなポリペプチドは、ビオチンの結合パートナー、有利にはアビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン(アビジンの脱グリコシル化バージョン)、又は抗ビオチン抗体である。当業者に公知のように、前記タンパク質のホモ四量体は、10-14又は10-15M程度の解離定数(Kd)でビオチンに対して高い親和性を有する。
【0100】
本出願で例証する場合、バクテリオシン、有利にはDNアーゼバクテリオシンの不活性化細胞傷害性ドメインと、その免疫ポリペプチドとの間の複合体の使用は、以下の理由から特に関心がもたれる:
- その同族結合パートナーと高い親和性を有するが、非同族結合パートナーと低い交差反応性を有する、同じファミリーのメンバーの大規模パネルが利用可能である;
- 前記ポリペプチドのサイズが小さいことにより、支持体の産生、カップリング及びコーティングの面で有利である;
- バクテリオシンがモノマー状態であることにより、バクテリオシンと他の分子とのカップリングを制御できる。
【0101】
有利には、支持体上のなくとも1つのポリペプチド、少なくとも2つのポリペプチド又は更にはすべてのポリペプチドは、配列番号1~配列番号27からなる群において選択される配列を有する。
【0102】
本発明により提供されるすべての可能性を単に例証するために、ColE2/E7/E8/E9カップルに関係して、本発明に記載の支持体は:
- 配列番号1(ColE2)及び配列番号2(ColE7);
- 配列番号1(ColE2)及び配列番号3(ColE8);
- 配列番号1(ColE2)及び配列番号4(ColE9);
- 配列番号2(ColE7)及び配列番号3(ColE8);
- 配列番号2(ColE7)及び配列番号4(ColE9);
- 配列番号3(ColE8)及び配列番号4(ColE9);
- 配列番号5(Im2)及び配列番号6(Im7);
- 配列番号5(Im2)及び配列番号7(Im8);
- 配列番号5(Im2)及び配列番号8(Im9);
- 配列番号6(Im7)及び配列番号7(Im8);
- 配列番号6(Im7)及び配列番号8(Im9);
- 配列番号7(Im8)及び配列番号8(Im9)
を含みうる。
【0103】
他の特定の実施形態により、本発明に記載の支持体は:
- 配列番号1(ColE2)及び配列番号2(ColE7)及び配列番号3(ColE8)及び配列番号4(ColE9);又は
- 配列番号5(Im2)及び配列番号6(Im7)及び配列番号7(Im8)及び配列番号8(Im9)
を含みうる。
【0104】
ラテラルフローアッセイに関連して使用される場合、以下の順序を採用することができる:
- 配列番号2(ColE7)に次いで配列番号1(ColE2)に次いで配列番号3(ColE8)に次いで配列番号4(ColE9)、若しくは配列番号6(Im7)に次いで配列番号5(Im2)に次いで配列番号7(Im8)に次いで配列番号8(Im9);又は
- 配列番号3(ColE8)に次いで配列番号1(ColE2)に次いで配列番号4(ColE9)に次いで配列番号2(ColE7)若しくは配列番号7(Im8)に次いで配列番号5(Im2)に次いで配列番号8(Im9)に次いで配列番号6(Im7)。
【0105】
本発明の特定の実施形態は、上記に定義されたようなカップルErW及びAP41、有利には他のバクテリオシン/免疫タンパク質カップルと組み合わせたもの、より有利には上記に開示されたものの使用をベースとする。
【0106】
任意の有用な目的、特に精製及び標識化(例えば蛍光又は生物発光による)のために、前記ポリペプチドは、タグとも名付けられる別の実体と連結又は融合すること(組換え的に、化学合成により、又は化学コンジュゲーション法を通じて)ができる。そのようなタグの例は:AviTag、カルモジュリン-タグ、ポリグルタメートタグ、E-タグ、FLAG-タグ、HA-タグ、His-タグ、MYC-タグ、NE-タグ、S-タグ、SBP-タグ、Softag 1、Softag 3、Spot-タグ、Strep-タグ、TCタグ、Tyタグ、V5タグ、VSV-タグ、Xpressタグ、Isopeptag、SpyTag、SnoopTag、SnoopTagJr、DogTag、ビオチンカルボキシル担体タンパク質(BCCP)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、HaloTag、マルトース結合タンパク質(MBP)、Nus、チオレドキシン、Fc、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼ(例えば、ウミシイタケ(Renilla)ルシフェラーゼについてRLuc8又はホタルルシフェラーゼについてFLuc)、mCherry、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、グルコースオキシダーゼである。放射性同位体、DNAレポーター、蛍光発生レポーター(例えばフィコエリトリン)、又は電気化学発光タグも使用することができる。
【0107】
注目すべきことに、マルチプレックス結合実験の化学量論は、本発明に記載の支持体上の異なるポリペプチドの分布の制御をベースとして、特に、前記ポリペプチド間の比を制御することによって、制御することができる。
【0108】
別の態様により、本発明は、上記に開示されるような支持体と一緒に使用すべき反応混合物に関する。言い換えると、前記反応混合物は、支持体上に固定化された少なくとも2つのポリペプチドの同族結合パートナーを含む。
【0109】
たとえ混合物を使用することができても、支持体上のポリペプチドがバクテリオシン(又はその断片若しくは変異体)に対応する場合、反応混合物が同族免疫タンパク質(又はその断片若しくは変異体)を含有することが好ましい。逆に、支持体上のポリペプチドが免疫タンパク質(又はその断片若しくは変異体)に対応する場合、反応混合物が同族バクテリオシン(又はその断片若しくは変異体)を含有する。
【0110】
そのような反応混合物は、すぐに使用することができ、又、マルチプレックス結合実験の直前に異なる結合パートナーを混合することによって即時調製することができることに留意されたい。そのような反応混合物は、液体形態、又は凍結乾燥されている場合がある。
【0111】
特定の実施形態により、少なくとも2つの結合パートナーのうち少なくとも1つはポリペプチドである。好ましくは、すべての結合パートナーがポリペプチドである。
【0112】
別の実施形態により、少なくとも2つの結合パートナーのうち少なくとも1つは、上記のような、精製及び/又は標識化目的のタグとして役立つことができる少なくとも別の実体を含むか、又はそれと融合している。
【0113】
特定の実施形態により、少なくとも2つの結合パートナーのうち少なくとも1つ、有利には少なくとも2つの結合パートナーは、結合実験に関係して対象となる分子を更に含む、又はそれと融合している。明確にするために、本明細書の残りで、対象となる分子は分析物捕捉実体と名付けられる。支持体上のポリペプチドの少なくとも2つの結合パートナーが同じ分析物捕捉実体を含みうるが、有利には異なる分析物捕捉実体を含みうることに留意されたい。
【0114】
インキュベーションの後、支持体及びマルチプレックス捕捉試薬を形成する反応混合物は、一連の適用を有しうる。
【0115】
本発明によるマルチプレックス捕捉試薬は、前記分析物捕捉実体の位置、配向及び化学量論を制御しながら、それを支持体上に固定化できるようにする。
【0116】
マルチプレックス捕捉試薬は、前記分析物捕捉実体の結合パートナーを検出、研究、又は更には単離、及び精製するために使用することができる。明確にするために、本明細書の残りで、分析物捕捉実体の結合パートナーは分析物と名付けられる。
【0117】
したがって、以前に言及したように、それは、試料中に含有される分析物の検出若しくは単離のために、又は前記分析物と対応する分析物捕捉実体との結合を研究するために、使用することができる。
【0118】
本発明の枠内で、分析物及び/又は分析物捕捉実体は、性質及び機能の面で任意のタイプの分子、特に化学化合物、ポリペプチド(例えばウイルスカプシドタンパク質、糖タンパク質、免疫グロブリン)、代謝物、ウイルス、バイオマーカー、脂質、核酸(RNA、miRNA、DNA、アプタマー、エキソソーム等)、インプリンティングされたポリマー、機能化ナノケージ(nanocage)又はナノ粒子でありうる。
【0119】
特定の実施形態により、分析物/分析物捕捉実体は、例えば受容体/リガンドカップル又は抗体/抗原カップルでありうる。より具体的な実施形態により、分析物捕捉実体は、抗原及び分析物であり、抗体又は分析物捕捉実体は抗体であり、分析物は抗原である。
【0120】
好ましい実施形態により、分析物は溶液の状態である。別の実施形態により、分析物は、試料又は生体試料から得られる。用語「試料」又は「生体試料」は、本明細書で使用される場合、対象から得られた任意の生物学的標本を含む。試料は、全血、血漿、血清、赤血球、白血球(例えば、末梢血単核球)、唾液、尿、便(すなわち、大便)、涙液、粘液、汗、皮脂、乳頭吸引液、乳管洗浄液、腫瘍滲出液、滑液、脳脊髄液、リンパ液、穿刺吸引液、羊水、任意の他の体液、細胞溶解物、細胞分泌産物、炎症液(inflammation fluid)、腟分泌物、胸水、髄液、胃液、汗、精液、潰瘍及び/若しくは他の表面発疹からの液、水疱、膿瘍、並びに/又は組織抽出物、例えば、正常、悪性、及び/若しくは疑いのある組織の生検を含みうるが、それに限定されるわけではない。
【0121】
特に診断目的のために、分析物捕捉実体は、好ましくは、使用される技術に応じて抗原又は抗体でありうるポリペプチドである。
【0122】
ある特定の実施形態では、分析物は、抗体の場合があり、分析物捕捉実体は、抗体分析物によって認識される抗原の場合がある。さらなる実施形態では、分析物は、ヒト抗体の場合があり;ある特定の実施形態では、分析物である抗体は、免疫グロブリン(Ig)群A、D、E、G又はMに属する場合がある。他の実施形態では、抗体は、非ヒト抗体である場合がある。加えて、抗体はキメラ抗体の場合がある。
【0123】
ある特定の態様では、病原体は、抗体の病原体抗原、例えば表面抗原又は分泌抗原への結合によって検出される場合がある。病原体抗原は、タンパク質、糖タンパク質、多糖、リポ多糖又は脂質でありうる。表面抗原は、病原体のコート、莢膜、細胞壁、鞭毛、線毛、毒素、ピリ線毛、細胞膜、外膜、ペプチドグリカン層、細胞周辺腔、S層、カプシド、タンパク質コート、又はエンベロープの成分に属する場合があるが、それに限定されるわけではない。前記抗原は、病原体表面に存在する、又は病原体によって分泌される場合がある。
【0124】
なお他の実施形態では、分析物は、病原体、特に細菌、ウイルス又は寄生虫でありうる。分析物は、ボルデテラ(Bordetella)(例えば、百日咳菌(Bordetella pertussis))、ボレリア(Borrelia)、ブルセラ(Brucella)、カンピロバクター(Campylobacter)、クラミジア(Chlamydia)、クラミドフィラ(Chlamydophila)、クロストリジウム(Clostridium)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、エンテロコッカス(Enterococcus)、エシェリキア(Escherichia)(例えば大腸菌)、フランシセラ(Francisella)、ヘモフィルス(Haemophilus)、ヘリコバクター(Helicobacter)、レジオネラ(Legionella)、レプトスピラ(Leptospira)、リステリア(Listeria)、ミコバクテリウム(Mycobacterium)(例えば、らい菌(Mycobacterium leprae)又はミコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans))、ミコプラスマ(Mycoplasma)、ナイセリア(Neisseria)、シュードモナス(Pseudomonas)、リケッチア(Rickettsia)、サルモネラ(Salmonella)、シゲラ(Shigella)(例えば、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae))、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)(例えば、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae))、トレポネーマ(Treponema)、ビブリオ(Vibrio)(例えばコレラ菌(Vibrio cholerae))、エルシニア(Yersinia)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)、四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)、二日熱マラリア原虫(Plasmodium knowlesi)、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)、日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)、ビルハルツ住血吸虫(Schistosoma haematobium)、トリパノソーマ・クルージ(Trypanosoma cruzi)、アルボウイルス、例えばデングウイルス、ジカウイルス、黄熱病ウイルス及びチクングニヤウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(例えばHIV1又はHIV2)、肝炎ウイルス(例えばHCV又はHBV)、ヒトT細胞白血病/リンパ腫ウイルス(HTLV)、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、又はエボラウイルスのリストから選択される場合があるが、それに限定されるわけではない。
【0125】
所与のマルチプレックス診断試験が抗原及び抗体の両方の組合せ検出をベースとしうることに留意されたい。その上、分析物は、同じ病原体又は異なる病原体に由来しうる。
【0126】
例えば迅速診断試験の形態の、マルチプレックス診断試験は、医学及び獣医学に、特にがん、感染症、代謝性疾患、心疾患の分野に、又はコンパニオン試験を行うために有用である。対象となる他の分野は、例えばプロセス制御(品質管理)又は環境制御に関する。
【0127】
感染症に関して、単に例証目的で、マルチプレックス診断試験は:
- 性行為感染症;
- HIV1、HIV2、HCV、HBV、HTLV等のウイルス感染症;
- アルボウイルス:デング、ジカ、黄熱病、チクングニヤによる感染症;
- 発熱/敗血症の原因となる病原体:マラリアに対する細菌感染症に対するウイルス感染症に対するレプトスピラ症に対する顧みられない熱帯病
の特異的検出専用でありうる。
【0128】
本発明により検出できる分析物は、例えば:
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)カプシドのp24成分;
- インフルエンザウイルス核タンパク質(NP);
- ノロウイルスカプシドタンパク質VP1;及び/又は
- エボラウイルス糖タンパク質
である。
【0129】
ある特定の実施形態では、本発明による支持体及び反応混合物は、マルチプレックス診断試験、有利には酵素イムノアッセイ(EIA)、ビーズベースのイムノアッセイ(例えばLuminex(登録商標))、又は例えば米国特許第7,189,522号に開示されるようなDual Path Platform(DPP(登録商標))を使用して行われるアッセイを含むバーティカルフロー(VF)若しくはラテラルフロー(LF)アッセイで使用される。
【0130】
前記イムノアッセイは、検出実体、有利には標識された検出実体を必要とする。特定の実施形態により、検出実体は、分析物捕捉実体へのその結合を妨害せずに分析物(すなわち抗原又は抗体)に結合することができる抗体又は抗原である。より一般的には、検出実体が標識部分を更に含むことを考慮して、それは、上記の分析物捕捉実体と定義される。
【0131】
支持体上に結合した分析物の存在及び/又は量は、シグナル評価、すなわち、いわゆる検出又は顕色工程の間に検出実体の標識化(蛍光、生物発光、電気化学発光、比色分析等による)を測定することを通じて調べられる。
【0132】
検出実体は、標識された抗体、有利にはモノクローナル抗体、より有利には、抗原結合性断片(Fab)、単鎖可変断片(scFv)、二重特異性抗体及びナノボディーの群において選ばれるものでありうる。前記抗体を標識化するための種々の選択肢は、当技術分野における常識である。前記抗体は、上記に開示されたようなタグと融合させることができる(組換え的に、化学合成により、又は化学コンジュゲーション法を通じて)。
【0133】
ある特定の実施形態では、限定することなく、検出実体は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼ、mCherry、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、グルコースオキシダーゼのリストから選択されうるが、それに限定されるわけではない、生物発光、蛍光、電気化学発光、又は比色分析レポーターを含むことができる。放射性同位体、DNAレポーター、蛍光発生レポーター(例えばフィコエリトリン)、又は電気化学発光タグも使用することができる。
【0134】
特定の実施形態により、検出実体は、ルシフェラーゼレポーターを含む場合がある。ルシフェラーゼレポーターは、ウミシイタケ、ガウシア(Gaussia)、フォチヌス(Photinus)、又はウミホタル(Cypridina)ルシフェラーゼを含む場合がある。他の実施形態では、ルシフェラーゼは、以下の生物のうち1つからのルシフェラーゼを含む場合がある:フォチヌス・ピラリス(Photinus pyralis)、ゲンジボタル(Luciola cruciata)、ルシオラ・イタリカ(Luciola italica)、ルシオラ・ラテラリス(Luciola lateralis)、ルシオラ・ミングレリカ(Luciola mingrelica)、フォツリス・ペンシルバニカ(Photuris pennsylvanica)、ピロホルス・プラジオフタラムス(Pyrophorus plagiophthalamus)、鉄道虫(Phrixothrix hirtus)、レニラ・レニホルミス(Renilla reniformis)、ガウシア・プリンセプス(Gaussia princeps)、メトリディア・ロンガ(Metridia longa)又はトゲオキヒオドシエビ(Oplophorus gracilirostris)。他の実施形態では、ルシフェラーゼは、北米型ホタルルシフェラーゼ、日本産ホタル(ゲンジボタル)ルシフェラーゼ、イタリア産ホタルルシフェラーゼ、日本産(ヘイケ)ホタルルシフェラーゼ、東欧ホタルルシフェラーゼ、ペンシルベニアホタルルシフェラーゼ、コメツキムシルシフェラーゼ、鉄道虫ルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、Rluc8(ウミシイタケルシフェラーゼの変異体)、緑色発光ウミシイタケルシフェラーゼ、ガウシアルシフェラーゼ、ガウシア-デュラ(Gaussia-Dura)ルシフェラーゼ、ウミホタル(Cypridina)ルシフェラーゼ、ウミホタル(Vargula)ルシフェラーゼ、メトリディアルシフェラーゼ、オプロフォルス(Oplophorus)ルシフェラーゼ(OLuc)又は細菌ルシフェラーゼでありうる。ある特定の実施形態で使用される基質は、ルシフェリン、セレンテラジン、バルグリン(Vargulin)又はこれらの基質をベースとする任意の化合物を含みうる。合成ルシフェラーゼ、例えば基質としてフリマジンを有するNanoLuc(登録商標)も使用することができる。
【0135】
特定の実施形態により、例えばLuminex(登録商標)等の抗原EIA試験又はビーズベースのイムノアッセイに関係して、可能性があることには試料から検出すべき分析物は、抗原である。
【0136】
その場合、好ましい実施形態により、分析物捕捉実体は、抗体(Ab)、有利にはモノクローナル抗体、より有利には、抗原結合性断片(Fab)、単鎖可変断片(scFv)、二重特異性抗体及びナノボディーの群において選ばれるものである。単一ドメイン抗体(sdAb)又はVHH断片とも名付けられるナノボディーは、1つの重鎖可変ドメインからなり、非常に安定であり、かつ抗原結合能を保っているアミノ酸約110個の比較的小さなペプチド鎖である。或いは、Affibodies、Adnectin、Affilin、Anticalin、アルファボディ (alphabody)又はDARPinのような非免疫グロブリン足場とも名付けられる合成結合剤を使用することができる。
【0137】
それに関連して、検出実体は通常、標識された抗体である。
【0138】
逆に、血清学的EIA試験では、分析物は通常、試料中に含有される可能性がある抗体、例えばIgM及び/又はIgGであり、その検出は、検出実体、すなわち標識された抗体(間接検出)又は前記抗体と更に結合することができる標識された抗原(サンドイッチ検出)を必要とする。
【0139】
また、血清学的EIA試験に関係して、分析物捕捉実体は、抗体又は抗原でありうる。
【0140】
基本的に特にEIA試験に関係して、診断手順は、顕色前の分析物の捕捉及び検出実体の添加を含む。顕色の前に、通常、洗浄工程が行われる。
【0141】
第1の実施形態により、ポリペプチド(例えばColEタンパク質又はその断片)で機能化された支持体は、分析物捕捉実体(例えば抗体又は抗原)と融合したその結合パートナー(例えば同族Imタンパク質)及び分析物又は前記分析物(例えば抗原又は抗体)を含有する試料と共に同時インキュベートされる。検出実体(例えば、標識された抗体又は抗原)は、同時に(1工程)又は洗浄後に(2工程)添加することができる。
【0142】
別の実施形態により、支持体及び反応混合物(すなわち、支持体上に固定化されたポリペプチドの同族結合パートナーが分析物捕捉実体と融合したもの)が予めインキュベートされ、次いで、予備機能化された支持体として提供され、そこに分析物又は前記分析物(例えば抗原又は抗体)を含有する試料が添加される。検出実体(例えば、標識された抗体又は抗原)を分析物と一緒に(1工程)又は洗浄後に(2工程)添加することができる。
【0143】
本発明による支持体及び反応混合物はまた、その原理が当業者に周知のラテラルフローアッセイ(LFA)又はバーティカルフローアッセイ(VFA)で使用することができる。
【0144】
それに関連して、支持体は、少なくとも2つのポリペプチドで機能化され、各ポリペプチドが試験ラインを形成するメンブラン又はストリップに対応する。
【0145】
その上、試験ライン状に固定化されたポリペプチドの同族結合パートナーが分析物捕捉実体、有利には分析物捕捉ポリペプチド、より有利には抗体と融合したものを含有する本発明の反応混合物は、いわゆる捕捉抗体に対応する。
【0146】
典型的には、対象となる分析物、有利には抗原を含有する試料は、捕捉抗体及び/又は検出抗体と一緒に試料パッド中に沈着される。或いは、捕捉抗体及び/又は検出抗体は、コンジュゲートパッド中に沈着される場合がある。
【0147】
検出抗体と結合することができる分子を含有する対照ラインが、有利には、ストリップの末端に存在して、検出抗体と一緒になった反応混合物が正しく泳動したことを保証する。
【0148】
したがって別の態様により、本発明は、試料中に含有される可能性がある少なくとも2つの分析物を検出するための方法であって:
(a)上記に開示されたような支持体、上記に開示されたような反応混合物、分析物又は前記分析物を含有する試料、及び上記に開示されたような標識された検出実体を接触させる工程;並びに
(b)標識化を試験し、それにより、分析物の存在を検出する工程
を含む、方法に関する。
【0149】
基本的に、そのような方法は、2つの工程、すなわち、その間に分析物の結合が起こる反応工程及び次いで分析物の結合について結論することが可能になる顕色工程を包含する。洗浄工程は、通常、それらの合間に行われる。
【0150】
実際に、第1の工程は、1つの工程で又は順次に行うことができる。順次に行う場合、好ましい実施形態により、検出実体は、分析物若しくは前記分析物を含有する試料と一緒に又はその後に添加される。
【0151】
特定の実施形態により、支持体、反応混合物及び分析物又は前記分析物を含有する試料は、すべて同時に接触される。別の特定の実施形態により、支持体及び反応混合物が最初に接触され、次いで、分析物又は前記分析物を含有する試料が添加される。或いは、反応混合物及び分析物又は前記分析物を含有する試料が最初に接触され、次いで、支持体に添加される。添加の前に、洗浄工程を行ってもよい。
【0152】
さらなる態様により、本発明は、本発明の方法を実施するためのキットに関する。最小限でも、そのようなキットは、支持体及び上記に開示されるような反応混合物を含有する。
【0153】
支持体及び反応混合物は、別々に提供することができ、又は支持体は、予備機能化することができ、すなわち、支持体上のポリペプチドが分析物捕捉実体と融合したその同族パートナーにすでに結合している。前記成分は、当業者に公知のように適切に標識される場合がある。
【0154】
前記キットは、対照、標準物質及び/又は検量用試料も含みうる。これは、対象から試料を収集するための手段も含みうる。
【0155】
さらなる実施形態により、本発明によるキットは、適切な検出実体、有利には標識された検出実体、例えば上に規定されたような標識された抗体及び/又は抗原を更に含有する。標識を検出及び測定するための手段もまた、提供することができる。
【0156】
別の実施形態により、前記キットは、使用説明書を更に含む。
【実施例
【0157】
本発明は、以下の実験実施例を参照することにより更に詳細に説明される。これらの実施例は、例証のためだけに提供されるのであって、特に定めのない限り限定する意図はない。
【0158】
さらなる説明なしに、当業者は前述の説明及び以下の例証的な実施例を用いて本発明の化合物を作製及び利用し、請求された方法を実施することができると考えられる。したがって、以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を具体的に指摘するものであって、本開示の残りを任意の方法で限定するものと解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0159】
図1】コリシン及び免疫タンパク質を用いたEIA、酵素イムノアッセイ(EIA)実験における交差反応性試験の結果、4プレックス。 各グラフの上部に表示するようにコリシン(E2、E7、E8及びE9)をMaxisorb 96ウェルプレートにコーティングした。次いで、各ウェルを、RLuc8と融合した、各棒線ペアの下に表示するような免疫タンパク質だけを含有する溶液と共にインキュベートした(薄い灰色の棒線)。別のウェル中で、RLuc8と融合した同じ免疫タンパク質(各棒線ペアの下に表示)を同じコリシン(各グラフの上部に表示)と共にインキュベートしたが、ルシフェラーゼ活性を欠如する3つの非同族免疫タンパク質の存在下で行った(濃い灰色の棒線)。すべてのタンパク質を100nMで使用した。速度論によって以前に決定されたような結合親和性定数(モル/L)を各棒線ペアの上に表示した(Li W.ら、2004、J Mol Biol.、337(3):743~59頁.)。
図2】対応するLFA試験の結果:生物発光画像(上)及び対応するプロファイルプロット(下)。 各カラムの上部に示すようにコリシンE2、E7、E8及びE9(10μM)をニトロセルロースメンブラン上に噴霧した。次いで、各グラフの左に示すようなRLuc8と融合した免疫タンパク質(100nM)だけを含有する溶液と共に各メンブランをインキュベートした(左の列)。別のメンブラン上で、同じ免疫タンパク質(RLuc8と融合、100nM)を同じコリシン(10μM)と共にインキュベートしたが、3つの非同族免疫タンパク質(ルシフェラーゼ活性を欠如する、100nM)の存在下でインキュベートした(右の列)。強度プロットを各メンブランの下に表す。
図3】コリシン及び免疫タンパク質を用いたEIA、酵素イムノアッセイ(EIA)実験における交差反応性試験の結果、8プレックス第1番。 各グラフの上部に表示するように、コリシンColE2、ColE7、ColE8、ColE9、ColAP41、ColSyr、ColErw、ColKhanを96ウェルプレートにコーティングした。「コーティングなし」のグラフは、「コリシンをコーティングせず、コーティング緩衝液だけを使用した」ことを表す。次いで、各棒線ペアの下部に表示するようなRLuc8と融合した免疫タンパク質だけを含有する溶液と共に各ウェルをインキュベートした(明るい灰色の棒線)(「ブランク」条件は、「免疫タンパク質なし」を表す)。別のウェルでは、同じRLuc8と融合した免疫タンパク質(各棒線ペアの下部に表示)を、同じコリシン(各グラフの上部に表示)と共にインキュベートしたが、ルシフェラーゼ活性を欠如する7つの非同族免疫タンパク質の存在下でインキュベートした(濃い灰色の棒線)。すべてのタンパク質を100nMで使用した。
図4】コリシン及び免疫タンパク質を用いたEIA、酵素イムノアッセイ(EIA)実験における交差反応性試験の結果、8プレックス2番。 各グラフの上部に表示するように、コリシンColE2、ColE8、ColE9、ColAP41、ColSyr、ColErw、ColLeaf、ColKhanを96ウェルプレートにコーティングした。「コーティングなし」のグラフは、コリシンをコーティングせず、コーティング緩衝液だけを使用したことを表す。次いで、各棒線ペアの下部に表示するようなRLuc8と融合した免疫タンパク質だけを含有する溶液と共に各ウェルをインキュベートした(薄い灰色の棒線)(「ブランク」条件は「免疫タンパク質なし」を表す)。別のウェルでは、同じRLuc8と融合した免疫タンパク質(各棒線ペアの下部に表示)を、同じコリシン(各グラフの上部に表示)と共にインキュベートしたが、ルシフェラーゼ活性を欠如する7つの非同族免疫タンパク質の存在下でインキュベートした(濃い灰色の棒線)。すべてのタンパク質を100nMで使用した。
【0160】
材料及び方法
プラスミド及び配列
プラスミド
pBA01は、大腸菌においてタンパク質を発現させるためのプラスミドである。プラスミド中に含まれる最も重要な機能的配列は:
- LacI - Lacリプレッサーコード部位
- T7プロモーター - T7ポリメラーゼ結合ドメイン
- cer - プラスミドの安定性のため
- kanR - カナマイシン耐性タンパク質をコードする配列
- colE1 - プラスミドの複製起点
- bom - 伝達基盤(basis of mobility)
- プラスミドのコピー数を調節するROPタンパク質コード配列
である。
【0161】
T7プロモーターとそのT7ターミネーター配列の間に、プラスミド中に異なる挿入部をクローニングするために使用されるBamHI及びXhoI等の多様な制限酵素を使用できるようにする多重クローニング部位がある。
【0162】
DNA配列
いくつかのコリシン(Col)及び対応する免疫タンパク質(Im)をコードするヌクレオチド配列は、すでに報告されている。例として、大腸菌ColE2、E7、E8及びE9についての配列は、WO2017/100584に開示されている。
【0163】
多数の毒素/抗毒素カップル(たとえまだ特徴付けされていなくとも、又はまだ単離もされていなくとも)を使用して本発明の実現可能性を証明するために、新規な候補バクテリオシン配列を回収するためにin silico自動スクリーニングアプローチを適用した。
【0164】
7つのバクテリオシン配列:
- ColE2(VCW48573);
- ColE7(WP_021530049);
- ColE8(WP_012766032);
- ColE9(WP_012644886);
- ColAP41緑膿菌AP41(WP_134294768);
- ColErWペクトバクテリウム・カロトボルム(WP_039472082);
- ColSyrシュードモナス・シリンガエB728A(WP_057415187);
の多重配列アライメント及び7つの免疫タンパク質:
- Im2(AAA23069);
- Im7(WP_001560791);
- Im8(WP_000421100);
- Im9(WP_012644887);
- ImAP41緑膿菌AP41(WP_017002173);
- ImErwペクトバクテリウム・カロトボルム(WP_103165271);
- ImSyrシュードモナス・シリンガエB728A(WP_003403237).
の別の多重配列アライメントをベースに、バクテリオシン及び免疫タンパク質の両方の保存された残基を捕捉するためのプロファイルを構築した。
【0165】
Muscleを用いてアライメントを行い、それを2つの別々のHMMER3プロファイルを構築するために使用した。両方のHMMER3プロファイルを使用して、NCBI RefSeqデータベースから72210個の細菌ゲノムの翻訳されたオープンリーディングフレームに対して相同バクテリオシン及びバクテリオシン免疫タンパク質を検索した(2019年3月29日にアクセス)。以下の基準にすべて適合した場合に候補カップルを維持した:
- バクテリオシン及びバクテリオシン免疫タンパク質の両方がゲノム中で500ヌクレオチド内に見出された;
- バクテリオシンが300~1000アミノ酸長を有し、「HH-14X-N-8X-H-3X-H」モチーフ(配列番号28)を含有した。
【0166】
そのようなスクリーニングをベースに、3935個の推定上の「バクテリオシン-バクテリオシン免疫タンパク質」カップルが同定された。
【0167】
その中で、下のTable 1(表1)に記載される9つのバクテリオシン/免疫タンパク質を、マルチプレックス(8プレックス)実験でのin vitro検証のために選択した。
【0168】
【表1】
【0169】
さらなる例証として、ただ別個の細菌種に由来するという理由で選択した追加的なカップルを下のTable 2(表2)に示す:
【0170】
【表2A】
【0171】
【表2B】
【0172】
【表2C】
【0173】
【表2D】
【0174】
【表2E】
【0175】
【表2F】
【0176】
【表2G】
【0177】
タンパク質の配列
プラスミドによってコードされるTable 1(表1)のコリシン及び免疫タンパク質に対応する配列を下に記載する。すべての融合タンパク質は、そのCOOH末端に6Hisタグを有する。すべてのコリシン融合タンパク質はNH2末端にFlagタグ(下線部)を含有し、場合によりコリシンのNH2末端(太字)と融合した蛍光タンパク質(斜体)が続いた。ColE2及びColE7は、EmGFPと同じフレーム内であるのに対し、他のコリシン(ColE8、ColE9、ColAP41、ColSyr、ColErw、ColLeaf、ColKhan)はすべて、mCherryと同じフレーム内である。すべての免疫タンパク質(太字)は、そのNH2末端で、Mycタグ又はAvitag(下線)を含むポリペプチドと同じフレーム内である。Imタンパク質の半数はRLuc8と融合している(下線及び斜体)。
【0178】
- 配列番号1は、いわゆるFlag-EmGFP-ColE2-6Hisに対応する:
【0179】
【化1】
【0180】
- 配列番号2は、いわゆるFlag-EmGFP-ColE7-6Hisに対応する:
【0181】
【化2】
【0182】
- 配列番号3は、いわゆるFlag-mCherry-ColE8-6Hisに対応する:
【0183】
【化3】
【0184】
- 配列番号4は、いわゆるFlag-mCherry-ColE9-6Hisに対応する:
【0185】
【化4】
【0186】
- 配列番号5は、いわゆるMyc-RLuc8-Im2-6Hisに対応する:
【0187】
【化5】
【0188】
- 配列番号6は、いわゆるMyc-RLuc8-Im7-6Hisに対応する:
【0189】
【化6】
【0190】
- 配列番号7は、いわゆるMyc-RLuc8-Im8-6Hisに対応する:
【0191】
【化7】
【0192】
- 配列番号8は、いわゆるMyc-RLuc8-Im9-6Hisに対応する:
【0193】
【化8】
【0194】
- 配列番号9は、いわゆるFlag-mCherry-ColAP41-Cys-6Hisに対応する:
【0195】
【化9】
【0196】
- 配列番号10は、いわゆるFlag-mCherry-ColSyr-Cys-6Hisに対応する
【0197】
【化10】
【0198】
- 配列番号11は、いわゆるFlag-mCherry-ColErw-Cys-6Hisに対応する:
【0199】
【化11】
【0200】
- 配列番号12は、いわゆるFlag-mCherry-ColLeaf-Cys-6Hisに対応する:
【0201】
【化12】
【0202】
- 配列番号13は、いわゆるFlag-mCherry-ColKhan-Cys-6Hisに対応する:
【0203】
【化13】
【0204】
- 配列番号14は、いわゆるMyc-RLuc8-ImAP41-Avitag-6Hisに対応する:
【0205】
【化14】
【0206】
- 配列番号15は、いわゆるMyc-RLuc8-ImSyr-Avitag-6Hisに対応する:
【0207】
【化15】
【0208】
- 配列番号16は、いわゆるMyc-RLuc8-ImErw-Avitag-6Hisに対応する:
【0209】
【化16】
【0210】
- 配列番号17は、いわゆるAvitag-RLuc8-ImLeaf-6Hisに対応する
【0211】
【化17】
【0212】
- 配列番号18は、いわゆるAvitag-RLuc8-ImKhan-6Hisに対応する:
【0213】
【化18】
【0214】
- 配列番号19は、いわゆるMyc-Im2-6Hisに対応する:
【0215】
【化19】
【0216】
- 配列番号20は、いわゆるMyc-Im7-6Hisに対応する:
【0217】
【化20】
【0218】
- 配列番号21は、いわゆるMyc-Im8-6Hisに対応する:
【0219】
【化21】
【0220】
- 配列番号22は、いわゆるMyc-Im9-6Hisに対応する:
【0221】
【化22】
【0222】
- 配列番号23は、いわゆるMyc-ImAP41-Avitag-6Hisに対応する:
【0223】
【化23】
【0224】
- 配列番号24は、いわゆるMyc-ImSyr-Avitag-6Hisに対応する:
【0225】
【化24】
【0226】
- 配列番号25は、いわゆるMyc-ImErw-Avitag-6Hisに対応する:
【0227】
【化25】
【0228】
- 配列番号26は、いわゆるAvitag-ImLeaf-6Hisに対応する:
【0229】
【化26】
【0230】
- 配列番号27は、いわゆるAvitag-ImKhan-6Hisに対応する:
【0231】
【化27】
【0232】
タンパク質の産生及び精製
各プラスミドを配列決定し、対応する配列を検証した。タンパク質産生について、製造プロトコールに従って各プラスミドを大腸菌細菌(BL21(DE3)株、NEB)に形質転換し、カナマイシンプレート上で細菌を選択した。翌日、1つのプレートからのすべての細菌を500mlのカナマイシン(50μg/ml)添加LB培地中で再懸濁し、220rpmで振盪しながら37℃でインキュベートした。培養物のOD600が0.6に近づいたとき、タンパク質の発現を0.1mM イソプロピル3-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)で誘導し、220rpmで振盪しながら20℃で一晩インキュベートした。次いで、細菌を4000相対遠心力(rcf)にて4℃で30分間遠心分離し、50mLのリン酸緩衝食塩水(PBS)中で洗浄した。次いで、ペレットを5mLの溶解緩衝液(50mMトリス pH7.5、150mM NaCl、10mMイミダゾール、1×コンプリート(complete)EDTA不含プロテアーゼ阻害剤含有、Roche社)中に再懸濁し、ウシ膵臓由来10μg/mLデオキシリボヌクレアーゼI(Sigma社)及び1mg/mLリゾチーム(Sigma社)を添加し、氷上で30分間インキュベートした。ガラス粒子を使用して細菌を溶解させた。或いは、細菌を10mlの溶解緩衝液中に再懸濁し、1分間超音波処理し、このプロセスを4回繰り返し、各超音波処理期間の合間に1分間停止した。他の選択肢は、OSシステム(Constant Systems Limited社)を用いて高圧(2,5Kbar)での細胞の破壊である。次いで、溶解液を4℃にて14000rcfで20分間遠心分離した。次いで、可溶性タンパク質を含有する上清を、室温(RT)でNi2+-NTA樹脂(QIAGEN社)カラム上に注いだ。20ベッド体積の50mMトリス pH7.5、150mM NaCl、10mMイミダゾールで樹脂を洗浄した。カラム上に注いだ50mMトリス pH7.5、150mM NaCl、250mMイミダゾールで溶出を行い、別々のエッペンドルフチューブに収集した。対象となるタンパク質を含有する溶出チューブを、Spectrum透析メンブランSpectra/Por 6(Thermo社)を使用して4Lの50mMトリス pH7.5、150mM NaCl中、4℃で一晩透析した。或いは、溶出したタンパク質を、同じ緩衝液(50mMトリス pH7.5、150mM NaCl)でゲル濾過(GF Hiload 16/600 Superdex 75μp、GE Healthcare社製)に挿入した。
【0233】
コリシン及び免疫タンパク質を用いた酵素イムノアッセイ(EIA)実験、4プレックス
炭酸塩緩衝液中に希釈した、選ばれたコリシンタンパク質(配列番号1~4)100μL(終濃度100nM)をNunc Maxisorp白色96ウェルプレート(ThermoFischer社)上、4℃で一晩個別にインキュベートした。各ウェルを200μLのPBS、0.05% Tween 20(PBST)で3回洗浄した。180rpmで振盪しながらPBST中の2%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA)と共にRTで1時間インキュベートすることによってウェルの飽和を達成した。各ウェルを200μLのPBSTで3回洗浄した。免疫タンパク質(配列番号19~22)溶液を有する又は有しない50μLの100nM RLuc8と融合した免疫タンパク質(配列番号5~8)(PBST 0.2% BSA(w/v)中に希釈)をウェルに導入し、180rpmで振盪しながらRTで20分間インキュベートした。各ウェルを200μLのPBSTで3回洗浄した。25mM HEPES pH7、1mM EDTA、0.5%(v/v)テルジトール(Tergitol)、50mM KI及び5mMチオ硫酸塩からなる40μLのRLuc8緩衝液を各ウェルに添加し、続いて、5μMセレンテラジンH(Sigma社)を含有する10μLの同じ緩衝液を添加した。180rpmで10秒間振盪後、生物発光シグナルを、Tecan Infinite 200 Proを用いて発光モードで1000ミリ秒の積分時間を使用して測定した。
【0234】
コリシン及び免疫タンパク質を用いた酵素イムノアッセイ(EIA)実験、8プレックス第1番
炭酸塩緩衝液中に希釈した、選ばれたコリシンタンパク質(配列番号1~4、9~11及び13)100μL(終濃度100nM)を、Costar High Binding白色96ウェルプレート(Corning社)上、室温(RT)で一晩個別にインキュベートした。各ウェルを250μLのPBS、0.05% Tween 20(PBST)で3回洗浄した。280rpmで振盪しながらPBST中の1%(w/v)カゼインと共にRTで2時間インキュベートすることによってウェルの飽和を達成した。各ウェルを250μLのPBSTで3回洗浄した。免疫タンパク質(配列番号19~25及び27)溶液を有する又は有しない100μLの100nM RLuc8と融合した免疫タンパク質(配列番号5~8、14~16及び18)(PBST 0.1%カゼイン(w/v)中に希釈)をウェルに導入し、280rpmで振盪しながらRTで15分間インキュベートした。各ウェルを250μLのPBSTで3回洗浄した。
25mM HEPES pH7、1mM EDTA、0.5%(v/v)テルジトール、50mM KI、5mMチオ硫酸塩及び1μMセレンテラジンHからなる100μLのRLuc8顕色緩衝液をそれぞれの中に添加した。手で振盪後、生物発光シグナルを、EnSight HH3400(Perkin Elmer社)リーダを用いて単一発光モードで0.2秒の積分時間を使用して測定した。
【0235】
コリシン及び免疫タンパク質を用いた酵素イムノアッセイ(EIA)実験、8プレックス第2番
炭酸塩緩衝液に希釈した、選ばれたコリシンタンパク質(配列番号1、3、4、9~13)100μL(終濃度100nM)を、Costar High Binding白色96ウェルプレート(Corning社)上、室温(RT)で一晩個別にインキュベートした。各ウェルを250μLのPBS、0.05% Tween 20(PBST)で3回洗浄した。280rpmで振盪しながらPBST中の1%(w/v)カゼインと共にRTで2時間インキュベートすることによってウェルの飽和を達成した。各ウェルを250μLのPBSTで3回洗浄した。免疫タンパク質(配列番号19及び21~27)溶液を有する又は有しない100μLの100nM RLuc8と融合した免疫タンパク質(配列番号5、7、8、14~18)(PBST 0.1%カゼイン(w/v)中に希釈)をウェルに導入し、280rpmで振盪しながらRTで15分間インキュベートした。各ウェルを250μLのPBSTで3回洗浄した。
25mM HEPES pH7、1mM EDTA、0.5%(v/v)テルジトール、50mM KI、5mMチオ硫酸塩及び1μMセレンテラジンHからなる100μLのRLuc8顕色緩衝液をそれぞれの中に添加した。手で振盪後、生物発光シグナルを、EnSight HH3400(Perkin Elmer社)リーダを用いて単一発光モードで積分時間0.2秒を使用して測定した。
【0236】
コリシン及び免疫タンパク質を用いたマルチプレックスLFA連結実験
ニトロセルロースメンブランに、10μMの異なるmCherry融合コリシンタンパク質又はEmGFP融合コリシンタンパク質(配列番号1~4)を噴霧した。コンジュゲーションパッド上に、0.2% BSA(w/v)を有するPBST中に希釈した10μLの100nM RLuc8融合免疫タンパク質(配列番号5~8)溶液(単独又は図2に示すような3つの他の免疫タンパク質の存在下)を沈着させ、続いて試料パッド上に0.2% BSA(w/v)及びTween 20 0.05%(v/v)を有する100μLのPBSを沈着させた。室温で10分の泳動後、メンブランをパッドから分離し、40μLのRLuc8緩衝液(25mM HEPES pH7、1mM EDTA、0.5%(v/v)テルジトール、50mM KI及び5μMセレンテラジンHを有する5mMチオ硫酸塩からなる)をメンブラン上に沈着させた。FusionFX Vilber Lourmat生物発光イメージャーを用いて画像を獲得した。10秒の露光時間の10個の獲得を記録し、各フォトの強度を以前のフォトと累算した。飽和に達する前の最終画像を分析のために選んだ。
【0237】
結果
A/ ColE2/E7/E8/E9カップルをベースとする概念実証
マルチプレックス分析を確立する目的で、DNアーゼコリシン(ColE)のその同族免疫タンパク質(Im)への非常に高い親和性(Kdが約10-14/-15M)を利用した。Imタンパク質は非同族コリシンタンパク質と10-6~10-10Mの範囲の親和性で結合することができるので、これらのタンパク質が顕著な交差反応性なしにマルチプレックスアッセイに使用できることを最初に調べた。実験を計画して、最初に、マルチプレックスアッセイを模倣する試験における交差反応性を、次にその潜在的使用を調べた。したがって、タンパク質の同族ペアの相互作用及び非同族ペアの相互作用の両方を各カップル別に試験して、相互作用を定量化及び比較した。レポーターとしてのRLuc8と融合した各Imタンパク質と共に個別にインキュベートしたコリシンタンパク質(E2、E7、E8及びE9)を用いて実験を行い、ルシフェラーゼ活性を調べた。EIA又はLFA形式を使用してこれらの実験を行った。
【0238】
1)イムノアッセイ(EIA)試験
EIA実験について、Maxisorb 96ウェルプレートのウェル上にコリシン(E2、E7、E8及びE9)を個別にコーティングし、RLuc8と融合した1つのImタンパク質(Im2又はIm7又はIm8又はIm9)を各ウェル中に添加した。室温で15分間のインキュベーション及び洗浄工程の後、基質の添加に続いてルシフェラーゼ活性をモニタリングした。結果を図1に薄い灰色の棒線として示す。これらの実験条件では、同族結合パートナー(RLUが400000を超える)の間の強い相互作用が観察されたのに対し、RLuc8と融合した非同族Imタンパク質の相互作用は非常に低かったが、相互作用するタンパク質のペアに依存してなお再現性があった(2000と35000RLUとの間)。それらは、RLuc8と融合したImタンパク質を非同族ColEと共に単独でインキュベートした場合、非同族複合体が形成されることを示し、カップルIm9-ColE2、Im2-ColE7、Im8-ColE7、Im2-ColE8、Im7-ColE8及びIm2-ColE9について最高の非同族相互作用が報告されている。この交差反応性が各ペアの親和性定数(Kd)と定量的に相関しなかったことに留意すると興味深い。例えば、Im7-RLuc8又はIm8-RLuc8又はIm9-RLuc8のColE2への結合は、ColE2へのそれらのそれぞれの親和性と独立して起こる(図1)。ColE2へのIm2及びIm9の結合は、それぞれ5000RLU及び20000RLUをもたらすのに対し、ColE2に対するそれらのKdは、ほとんど同じである(1.4×10-8Mに対して1.2×10-8M)(図1、第1のパネル、灰色棒線)。これはまた、ColE7とIm2-RLuc8及びIm9-RLuc8との相互作用についても当てはまり、Im2-RLuc8は、ColE7と実際に相互作用するのに対し、Im9-RLuc8の相互作用はかろうじて検出されるが、ColE7に対するKdは非常に近い(それぞれ1.8×10-8及び6.4×10-8)(図1、第3のパネル、灰色棒線)。
【0239】
次いで、Im-Rluc8融合タンパク質に加えて、ルシフェラーゼ活性を欠如する3つの他のImタンパク質(融合なしのImタンパク質)を含有するミックスと共に各ColEをインキュベートした(図1、濃い灰色の棒線)。この設定は、すべての結合パートナーが同じ緩衝液中で一緒にインキュベートされるマルチプレックスアッセイに似ている。予想外に、この実験計画を使用する場合、ColE2、ColE7及びColE8がプレート上にコーティングされたときに非同族パートナー間のどの交差反応性も完全に打ち消された(図1、左の3つのパネル、濃い灰色の棒線)。対照的に、ColE9は、Im2及びIm8(程度は低い)の両方となお交差反応性であった(図1、濃い灰色の棒線、右パネル)。注目すべきは、同族結合反応に影響がなく、このことは、将来的なマルチプレックスアッセイにこれらの結合パートナー、特にColE2、ColE7及びColE9を使用する概念を検証するものである。
【0240】
2)LFA試験
次に、非同族結合パートナーに向けたImタンパク質の交差反応性をラテラルフローアッセイで調べたが、そのアッセイでは、4つのColEタンパク質(10μMの各ColEを1μl)をニトロセルロースメンブラン上にライン状に以下の順序で噴霧した:ColE8、ColE2、ColE9、ColE7。試料パッドが左側、吸着剤パッドが右側である。Rluc8単独と融合した各Imタンパク質を試料パッドに最初に適用し(0.2% BSA、0.05% Tween-20の100μlのPBS中に希釈した10nM Im-RLuc8を7μl)、次いでメンブラン上のルシフェラーゼ活性をモニタリングした(図2、左のパネル)。この形式では、Im2-RLuc8とColE7との間に強い交差反応性が観察された、一方で、Im7-RLuc8及びIm8-RLuc8は、ColE8及びColE7とそれぞれ中等度で交差反応した(図2、左のパネル)。興味深いことに、観察された交差反応性は、これらの非同族結合についてのKd値(Im2及びColE2は3.6×10-10M、Im8及びColE7は3.7×10-10M、Im7及びColE8は1.0×10-9M)と一致する。Im9-RLuc8とColE9とのより弱い相互作用が観察されたが、これは予想外であった(図2、左のパネル)。同じ溶液中に4つのImタンパク質(1つだけがRLuc8と融合されている)を添加して実験を繰り返した(図2、右のパネル)。この設定は、すでにEIAで観察されたように非同族パートナーの交差反応性を完全に打ち消した。全体的なバンド強度も減少することにも留意されたい(図2、左パネルと右パネルとを比較)。
【0241】
3)結論
EIA形式及びLFA形式の両方で、1つのImタンパク質を非同族ColEとインキュベートした場合、非同族ペア間の交差反応結合が観察された。これは、LFAで使用した実験設定で、より強く出現する。4つのImタンパク質すべてを溶液中で一緒にしてインキュベーションを実行し、1つだけがRLuc8と融合している場合、EIA及びLFAの両方でこの交差反応性が完全に打ち消されたが、これは、このシステムがマルチプレックスアッセイで使用できることを実証している。
【0242】
B/ 大規模でのさらなるCol/Imカップルを用いた概念実証(8プレックス)
本発明によるマルチプレックス能力を更に例示しようとして、新たに同定された5つのDNアーゼコリシンのその同族免疫タンパク質(Im)への非常に高い親和性を利用した。8つのカップルをベースとするマルチプレックスアッセイを模倣する試験において交差反応性及びその潜在的使用を調べるために実験を計画した。タンパク質の同族ペアの相互作用及び非同族ペアの相互作用の両方を試験した。レポーターとしてのRLuc8と融合した、又は融合していない、Im2、Im7、Im8、Im9、ImAP41、ImSyr、ImErw、ImKhanタンパク質(8プレックス第1番について)又はIm2、Im8、Im9、ImAP41、ImSyr、ImErw、ImLeaf、ImKhanタンパク質(8プレックス第2番について)と共に個別にインキュベートした8プレックス第1番についてのコリシンタンパク質ColE2、ColE7、ColE8、ColE9、ColAP41、ColSyr、ColErw、ColKhan及び8プレックス第2番についてのColE2、ColE8、ColE9、ColAP41、ColSyr、ColErw、ColLeaf、ColKhanを用いて実験を行った。ルシフェラーゼ活性を調べた。これらの実験を、EIA形式を用いて行った。
【0243】
コリシン及び免疫タンパク質を用いた酵素イムノアッセイ(EIA)実験、8プレックス第1番
コリシン(ColE2、ColE7、ColE8、ColE9、ColAP41、ColSyr、ColErw、ColKhan)を、Maxisorb 96ウェルプレートのウェル上に個別にコーティングし、RLuc8と融合した1つのImタンパク質(Im2、Im7、Im8、Im9、ImAP41、ImSyr、ImErw、ImKhan)を各ウェル中に添加した。室温で15分間のインキュベーション及び洗浄工程の後、基質の添加に続いてルシフェラーゼ活性をモニタリングした。結果を図3に薄い灰色の棒線で示す。これらの実験条件で、同族結合パートナーの間で強い相互作用(RLUが2×106RLUを超える)が観察されたのに対し、RLuc8と融合した非同族Imタンパク質の相互作用は、相互作用タンパク質のペアに依存して低く、再現性があった(800と255000RLUとの間)。それらは、RLuc8と融合したImタンパク質を非同族ColEと共に単独でインキュベートした場合、非同族複合体が形成されることを示し、カップルIm8-ColE7、Im8-ColE9、Im8-ColErw、Im9-ColE7、Im9-ColAP41、Im9-ColSyr、Im9-ColKhan、ImSyr-ColE7、ImKhan-ColErwについて最高の非同族相互作用(105RLUを超える)が報告されている。
【0244】
次いで、各コリシンを、Im-Rluc8融合タンパク質に、ルシフェラーゼ活性を欠如する7つの他のImタンパク質(融合なしのImタンパク質)を加えたものを含有するミックスと共にインキュベートした(図3、濃い灰色の棒線)。この設定は、すべての結合パートナーが同じ緩衝液中で一緒にインキュベートされるマルチプレックスアッセイに近い。予想外に、この実験計画を使用する場合、Im2-Rluc8又はIm7-Rluc8又はImAP41-Rluc8又はImSyr-Rluc8又はImErw-Rluc8又はImKhan-Rluc8に、ルシフェラーゼ活性を欠如する7つの他のImタンパク質(融合なしのImタンパク質)を加えたものをウェル内に沈着させた場合、非同族パートナーの間のどの交差反応性も完全に打ち消された(図3、濃い灰色の棒線)。Im8-Rluc8又はIm9-Rluc8にルシフェラーゼ活性を欠如する7つの他のImタンパク質(融合なしのImタンパク質)を加えたものに関して、Im8-Rluc8又はIm9-Rluc8単独が各ウェルに添加された場合に測定されたシグナル(図3、薄い灰色の棒線)と比較して、交差反応が顕著に減少した(図3、濃い灰色の棒線)。
注目すべきは、同族結合反応に影響はなく、これは、将来的なマルチプレックスアッセイにこれらの結合パートナーを使用する概念を検証するものである。
【0245】
「コーティングなし」のグラフ(図3)は、96ウェルプレート材料に向けたIm9及びIm8の「粘着」挙動を例証している。実際、ウェルの表面にコーティングされたコリシンなしに、Im9及びIm8の場合に非特異的シグナルがより低い程度で発生する。興味深いことに、Im9-Rluc8又はIm8-Rluc8に7つの他のImタンパク質(ルシフェラーゼを欠如)を加えたものが使用される場合、非特異的シグナルは顕著に減少する。
【0246】
非結合仮説は、Im9及びIm8の96ウェルプレートの表面への非特異的結合が起こっているというものである。この非特異的結合を防止するために、追加的な飽和コーティング剤(タンパク質、ポリマー)を使用することができよう。
【0247】
コリシン及び免疫タンパク質を用いた酵素イムノアッセイ(EIA)実験、8プレックス第2番
コリシン(ColE2、ColE8、ColE9、ColAP41、ColSyr、ColErw、ColLeaf、ColKhan)をMaxisorb 96ウェルプレートのウェル上に個別にコーティングし、RLuc8と融合した1つのImタンパク質(Im2、Im8、Im9、ImAP41、ImSyr、ImErw、ImLeaf、ImKhan)を各ウェル中に添加した。室温で15分間のインキュベーション及び洗浄工程の後、基質の添加に続いてルシフェラーゼ活性をモニタリングした。結果を図4に薄い灰色の棒線で示す。これらの実験条件で、同族結合パートナーの間に強い相互作用(RLUが2.4×106RLUを超える)が観察されたのに対し、RLuc8と融合した非同族Imタンパク質の相互作用は、相互作用タンパク質のペアに依存して低く、再現性があった(1300と275000RLUとの間)。それらは、RLuc8と融合したImタンパク質を非同族ColEと共に単独でインキュベートした場合、非同族複合体が形成されることを示し、カップルIm8-ColLeaf、Im9-ColE8、Im9-ColAP41、Im9-ColErw、Im9-ColLeaf、Im9-ColKhan、ImKhan-ColErwについて最高の非同族相互作用(105RLUを超える)が報告されている。
【0248】
次いで、各コリシンを、Im-Rluc8融合タンパク質に、ルシフェラーゼ活性を欠如する7つの他のImタンパク質(融合なしのImタンパク質)を加えたものを含有するミックスと共にインキュベートした(図4、濃い灰色の棒線)。この設定は、すべての結合パートナーが同じ緩衝液中で一緒にインキュベートされるマルチプレックスアッセイに近い。予想外に、この実験計画を使用する場合、Im2-Rluc8又はImAP41-Rluc8又はImSyr-Rluc8又はImErw-Rluc8又はImLeaf-Rluc8又はImKhan-Rluc8に、ルシフェラーゼ活性を欠如する7つの他のImタンパク質(融合なしのImタンパク質)を加えたものをウェル内に沈着させた場合、非同族パートナー間のどの交差反応性も完全に打ち消された(図4、濃い灰色の棒線)。Im8-Rluc8又はIm9-Rluc8にルシフェラーゼ活性を欠如する7つの他のImタンパク質(融合なしのImタンパク質)を加えたものに関して、Im8-Rluc8又はIm9-Rluc8単独が各ウェルに添加された場合に測定されたシグナル(図4、薄い灰色の棒線)と比較して、交差反応が顕著に減少した(図4、濃い灰色の棒線)。
注目すべきは、同族結合反応に影響はなく、これは、将来的なマルチプレックスアッセイでこれらの結合パートナーを使用する概念を検証するものである。
【0249】
「コーティングなし」のグラフ(図4)は、96ウェルプレート材料に向けたIm9及びIm8の「粘着」挙動を例証している。実際、ウェルの表面にコーティングされたコリシンなしに、Im9及びIm8の場合、非特異的シグナルがより低い程度で発生する。興味深いことに、Im9-Rluc8又はIm8-Rluc8に7つの他のImタンパク質(ルシフェラーゼを欠如)を加えたものが使用される場合、非特異的シグナルが顕著に減少する。
【0250】
前と同じように、非結合仮説は、Im9及びIm8の96ウェルプレート表面への非特異的結合が起こっているというものである。この非特異的結合を防止するために、追加的な飽和コーティング剤(タンパク質、ポリマー等)を使用することができよう。
【0251】
3)結論
1つのImタンパク質を非同族コリシンと共にインキュベートした場合、非同族ペア間の交差反応性結合が観察された。インキュベーションが溶液中で8つのImタンパク質のすべてと一緒に実行され、1つだけがRLuc8と融合していた場合、この交差反応性は打ち消されたが、これは、大きなマルチプレックスアッセイでこのシステムを使用できることを実証している。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
0007482865000001.app