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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】ジャイロ運動フィードバック装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 19/08 20060101AFI20240507BHJP
   G01C 19/02 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G01C19/08
G01C19/02 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021531447
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 US2019043188
(87)【国際公開番号】W WO2020033145
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】16/059,145
(32)【優先日】2018-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521062321
【氏名又は名称】リアル シンプル アイディアズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ジェイ ドイチュ
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2002/073385(WO,A1)
【文献】特開2017-017807(JP,A)
【文献】特表2017-534500(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0258758(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0079178(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/08
G01C 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マウントと、
前記マウントに接続される第1のジャイロスコープモジュールであって、
第1の軸に沿って並べられ、当該第1の軸を中心に回転可能な第1の一対の質量体と、
それぞれが前記第1の一対の質量体のうち対応する一方に接続され、前記第1の一対の質量体のうち当該対応する一方を前記第1の軸を中心に可変回転速度で独立して回転させるように動作可能となっている第1の一対のモータと、を含む第1のジャイロスコープモジュールと、
前記マウントの動きを検出するように動作可能なセンサと、
前記第1のジャイロスコープモジュールおよび前記センサと信号通信状態にあり、前記センサによって検出された前記動きに応じて、前記第1の一対のモータの相対回転速度を変化させるためのプログラム指令により構成されるコントローラと、
前記第1のジャイロスコープモジュールと、前記センサと、前記コントローラとに電力を供給する電源とを備え、
前記マウントに接続される第2のジャイロスコープモジュールをさらに備え、
前記第2のジャイロスコープモジュールは、
前記第1の軸からオフセットした第2の軸に沿って並べられ、当該第2の軸を中心に回転可能な第2の一対の質量体と、
それぞれが前記第2の一対の質量体のうち対応する一方に接続され、前記第2の一対の質量体のうち当該対応する一方を前記第2の軸を中心に可変回転速度で独立して回転させるように動作可能となっている第2の一対のモータと、を含み、
前記コントローラは、前記センサによって検出された前記動きに応じて、前記第2の一対のモータの相対回転速度を変化させるためのプログラム指令によってさらに構成され、
前記電源は、前記第2のジャイロスコープモジュールにも電力を供給し、
前記第1の一対の質量体は、前記第1の軸に沿って互いに近接しており、
前記第2の一対の質量体は、前記第2の軸に沿って互いに近接しており、
前記マウントは、ユーザによって把持されるハンドルとして構成される、
ことを特徴とする、ジャイロ運動フィードバック装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記マウントに接続される第3のジャイロスコープモジュールをさらに備え、
前記第3のジャイロスコープモジュールは、
前記第1および第2の軸からオフセットした第3の軸に沿って並べられ、当該第3の軸を中心に回転可能な第3の一対の質量体と、
それぞれが前記第3の一対の質量体のうち対応する一方に接続され、前記第3の一対の質量体のうち当該対応する一方を前記第3の軸を中心に可変回転速度で独立して回転させるように動作可能となっている第3の一対のモータと、を含み、
前記コントローラは、前記センサによって検出された前記動きに応じて、前記第3の一対のモータの相対回転速度を変化させるためのプログラム指令によってさらに構成され、
前記電源は、前記第3のジャイロスコープモジュールにも電力を供給する、
ことを特徴とする、ジャイロ運動フィードバック装置。
【請求項3】
請求項において、
前記第1、第2、第3ジャイロスコープモジュールは前記ハンドルの内部に配置される、
ことを特徴とする、ジャイロ運動フィードバック装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記ハンドルは管状である、
ことを特徴とする、ジャイロ運動フィードバック装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記センサは前記マウントに接続される、
ことを特徴とする、ジャイロ運動フィードバック装置。
【請求項6】
請求項において、
前記センサは加速度計を含む、
ことを特徴とする、ジャイロ運動フィードバック装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記コントローラは、仮想環境において前記マウントによって制御される物体の相互作用を表す信号に応じて、前記第1の一対のモータの前記相対回転速度を変化させるためのプログラム指令によってさらに構成される、
ことを特徴とする、ジャイロ運動フィードバック装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記第1の一対のモータの前記相対回転速度を変化させるための前記プログラム指令は、前記第1の一対のモータの相対逆回転速度を変化させるためのプログラム指令を含む、
ことを特徴とする、ジャイロ運動フィードバック装置。
【請求項9】
請求項において、
前記第1の一対のモータの前記相対逆回転速度を変化させるための前記プログラム指令は、前記相対逆回転速度を、前記第1の一対の質量体の回転により生成されたジャイロ力が相殺されるニュートラル状態から、前記第1の一対の質量体の回転により生成されたジャイロ力が相殺されない不安定状態へと変化させるためのプログラム指令を含む、
ことを特徴とする、ジャイロ運動フィードバック装置。
【請求項10】
請求項において、
前記コントローラは、前記第1の一対のモータの少なくとも一方の回転方向を変化させるためのプログラム指令によってさらに構成される、
ことを特徴とする、ジャイロ運動フィードバック装置。
【請求項11】
第1の軸に沿って並べられ、当該第1の軸を中心に回転可能な第1の一対の質量体と、それぞれが前記第1の一対の質量体のうち対応する一方に接続され、前記第1の一対の質量体のうち当該対応する一方を前記第1の軸を中心に可変回転速度で独立して回転させるように動作可能となっている第1の一対のモータと、を含む第1のジャイロスコープモジュールが接続されたマウントの動きを検出し、
前記マウントの動きをコントローラに伝達し、
前記コントローラを介して、前記検出された動きに応じて前記第1の一対のモータの相対回転速度を変化させることにより、前記第1のジャイロスコープモジュールによって生成されるジャイロ力を変化させることを含む方法であって、
前記第1の軸からオフセットした第2の軸に沿って並べられ、当該第2の軸を中心に回転可能な第2の一対の質量体と、それぞれが前記第2の一対の質量体のうち対応する一方に接続され、前記第2の一対の質量体のうち当該対応する一方を前記第2の軸を中心に可変回転速度で独立して回転させるように動作可能となっている第2の一対のモータと、を含む第2のジャイロスコープモジュールも前記マウントに接続され、
前記方法は、前記コントローラを介して、前記検出された動きに応じて前記第2の一対のモータの相対回転速度を変化させることにより、前記第2のジャイロスコープモジュールによって生成されるジャイロ力を変化させることをさらに含み、
前記第1の一対の質量体は、前記第1の軸に沿って互いに近接しており、
前記第2の一対の質量体は、前記第2の軸に沿って互いに近接しており、
前記マウントは、ユーザによって把持されるハンドルとして構成される、
ことを特徴とする、触覚フィードバックを提供するための方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記マウントの前記動きは、仮想環境における物体の移動を制御するのに用いられ、
前記方法は、前記コントローラを介して、前記仮想環境内の前記物体の相互作用に応じて前記第1の一対のモータの前記相対回転速度を変化させることにより、前記第1のジャイロスコープモジュールによって生成されるジャイロ力を変化させることをさらに含む、
ことを特徴とする、触覚フィードバックを提供するための方法。
【請求項13】
請求項11において、
前記第1および第2の軸からオフセットした第3の軸に沿って並べられ、当該第3の軸を中心に回転可能な第3の一対の質量体と、それぞれが前記第3の一対の質量体のうち対応する一方に接続され、前記第3の一対の質量体のうち当該対応する一方を前記第3の軸を中心に可変回転速度で独立して回転させるように動作可能となっている第3の一対のモータと、を含む第3のジャイロスコープモジュールも前記マウントに接続され、
前記方法は、前記コントローラを介して、前記検出された動きに応じて前記第3の一対のモータの相対回転速度を変化させることにより、前記第3のジャイロスコープモジュールによって生成されるジャイロ力を変化させることをさらに含む、
ことを特徴とする、触覚フィードバックを提供するための方法。
【請求項14】
請求項11において、
前記第1の一対のモータの前記相対回転速度を変化させることにより前記第1のジャイロスコープモジュールによって生成されるジャイロ力を変化させることは、前記第1の一対のモータの相対逆回転速度を変化させることを含む、
ことを特徴とする、触覚フィードバックを提供するための方法。
【請求項15】
請求項11において、
前記方法は、前記コントローラを介して、前記検出された動きに応じて前記第1の一対のモータの少なくとも一方の回転方向を変化させることにより、前記第1のジャイロスコープモジュールによって生成されるジャイロ力を変化させることをさらに含む、
ことを特徴とする、触覚フィードバックを提供するための方法。
【請求項16】
マウントと、
前記マウントに接続される第1のジャイロスコープモジュールであって、
第1の軸に沿って並べられ、当該第1の軸を中心に回転可能な第1の一対の質量体と、
それぞれが前記第1の一対の質量体のうち対応する一方に接続され、前記第1の一対の質量体のうち当該対応する一方を前記第1の軸を中心に可変回転速度で独立して回転させるように動作可能となっている第1の一対のモータと、を含む第1のジャイロスコープモジュールと、
前記マウントの動きを検出するように動作可能なセンサと、
前記第1のジャイロスコープモジュールおよび前記センサと信号通信状態にあるコントローラであって、前記センサによって検出された前記動きに応じて、前記第1の一対のモータの相対逆回転速度を、前記第1の一対の質量体の回転により生成されたジャイロ力が相殺されるニュートラル状態から、前記第1の一対の質量体の回転により生成されたジャイロ力が相殺されない不安定状態へと変化させるためのプログラム指令により構成されるコントローラと、
前記第1のジャイロスコープモジュールと、前記センサと、前記コントローラとに電力を供給する電源とを備え、
前記マウントに接続される第2のジャイロスコープモジュールをさらに備え、
前記第2のジャイロスコープモジュールは、
前記第1の軸からオフセットした第2の軸に沿って並べられ、当該第2の軸を中心に回転可能な第2の一対の質量体と、
それぞれが前記第2の一対の質量体のうち対応する一方に接続され、前記第2の一対の質量体のうち当該対応する一方を前記第2の軸を中心に可変回転速度で独立して回転させるように動作可能となっている第2の一対のモータと、を含み、
前記コントローラは、前記センサによって検出された前記動きに応じて、前記第2の一対のモータの相対回転速度を変化させるためのプログラム指令によってさらに構成され、
前記電源は、前記第2のジャイロスコープモジュールにも電力を供給し、
前記第1の一対の質量体は、前記第1の軸に沿って互いに近接しており、
前記第2の一対の質量体は、前記第2の軸に沿って互いに近接しており、
前記マウントは、ユーザによって把持されるハンドルとして構成される、
ことを特徴とする、ジャイロ運動フィードバック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2016年9月15日に出願された米国特許仮出願第62/394,803号の利益を主張して2017年9月15日に出願された米国特許非仮出願第15/706,638号の継続出願であり、これらの出願の内容の全体を参照によりここに援用する。
【0002】
本発明は、ジャイロ力の利用に関し、より詳細には、モーションフィードバック(運動フィードバック)にジャイロ力を用いる装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
機械物理学において、加えられる力とは逆の減衰力(本明細書ではジャイロ力と呼ぶ)を生成するのに回転質量体を用いることはよく知られている。自転車は、おそらく最も広く知られている例であり、回転する車輪によって生成されるジャイロ力は、左右の転倒力に抵抗するのに役立つ。ジャイロ安定装置の概念は長年にわたりよく知られているが、そのような装置は一般に、ジャイロ力を用いて望ましくない運動を減衰または防止してきた。
【0004】
このようなやり方でジャイロ力を用いることを例示した簡易システムを図1に示す。安定化モジュール100は、
a)電源110と、
b)コントローラ112と、
c)回転電動モータ114と、
d)軸継手116と、
e)回転可能な特定の質量体120と、
f)システム用マウント122と、を備える。
【0005】
従来の安定化モジュールでは、モータは、コントローラおよび電源によって回転させられる。この回転は、外力が減衰されて(中和されて)安定化システムが外力に「抵抗する」ように、ジャイロ力を与える。さらに、この簡易システムは、図2に示されるように、互いに直交して配置された最大3つの安定化モジュールユニット200X、200Y、200Z(デカルト座標系のX、Y、およびZ軸のそれぞれに対して1つずつ)によって再現および配向されていてもよく、いかなるソースからの外力にも抵抗する完全なモーション安定化システム300が形成される。このようなシステムは有用ではあるが、さらなる改良が可能である。
【発明の概要】
【0006】
上記に鑑み、本発明は、改良されたジャイロ運動フィードバック装置および関連する方法を提供することを目的とする。本発明の一実施形態によれば、ジャイロ運動フィードバック装置は、マウントと、マウントに接続される第1のジャイロスコープモジュールと、マウントの動きを検出するように動作可能なセンサと、第1のジャイロスコープモジュールおよびセンサと信号通信状態にあるコントローラと、第1のジャイロスコープモジュールと、センサと、コントローラとに電力を供給する電源と、を含む。第1のジャイロスコープモジュールは、第1の軸に沿って並べられ、当該第1の軸を中心に回転可能な第1の一対の質量体と、それぞれが第1の一対の質量体のうち対応する一方に接続され、第1の一対の質量体のうち当該対応する一方を第1の軸を中心に可変回転速度で独立して回転させるように動作可能となっている第1の一対のモータと、を含む。コントローラは、センサによって検出された動きに応じて第1の一対のモータの相対回転速度を変化させるためのプログラム指令により構成される。
【0007】
本発明の一態様によれば、第2のジャイロスコープモジュールおよび/または第3のジャイロスコープモジュールも、マウントに接続され、異なる軸に沿って並べられ、コントローラによって作動される。本発明の他の態様によれば、マウントは、ジャイロスコープモジュールが内部に配置されたハンドルとして構成される。さらなる態様によれば、マウントは、仮想環境内の物体の位置を制御するために用いられ、コントローラは、仮想環境内の物体の相互作用に基づいてジャイロスコープモジュールを作動する。
【0008】
本発明のさらなる態様によれば、コントローラは、センサによって検出された動きに応じて、一対のモータの相対逆回転速度を、一対の質量体の回転により生成されたジャイロ力が相殺されるニュートラル状態から、一対の質量体の回転により生成されたジャイロ力が相殺されない不安定状態へと変化させるためのプログラム指令により構成される。さらに他の態様によれば、コントローラは、一対のモータの少なくとも一方の回転方向を変化させるように構成される。
【0009】
本発明の一態様によれば、触覚フィードバックを提供するための方法は、マウントの動きを検出し、マウントの動きをコントローラに伝達し、コントローラを介して、検出された動きに応じて一対のモータまたは一対以上のモータの相対回転速度を変化させることにより、ジャイロスコープモジュールによって生成されるジャイロ力を変化させる。
【0010】
本発明におけるこれらおよびその他の目的、態様および効果は、図面および以下の好ましい実施形態の詳細な説明に鑑みて、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】安定化モジュールの概略図である。
図2】3つの安定化モジュールを含む運動安定化システムの概略図である。
図3】本発明の一実施形態に係るジャイロ運動フィードバック装置の概略図である。
図4】本発明の他の実施形態に係るジャイロ運動フィードバック装置の概略図である。
図5】本発明のさらなる実施形態に係るジャイロ運動フィードバック装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記に鑑み、本発明は、ジャイロ運動フィードバック装置を提供することを目的とする。本発明に係るシステムは、電子機器の組合せによって制御されて、所望のフィードバックを生成するようにプログラムされた、1つ以上のジャイロスコープモジュールによって生成されるジャイロ力を用いる。特に、上記システムは、所望にシステムを不安定化させるようなやり方でジャイロ力を出力するために、ジャイロスコープモジュールの効果を変更するように動作可能である。
【0013】
図3を参照すると、本発明の一実施形態によれば、ジャイロ運動フィードバック装置10は、ジャイロスコープモジュール14に接続されたマウント12を含む。加速度計などのセンサ16は、マウント12の動きを検出するように動作可能である。コントローラ20は、センサ16およびジャイロスコープモジュール14と信号通信状態にある。電源22は、ジャイロスコープモジュール14と、センサ16と、コントローラ20とに電力を供給する。
【0014】
ジャイロスコープモジュール14は、共通の軸に沿って並べられ、当該軸を中心に回転可能な一対の質量体24、26と、第1の一対のモータ30、32とを備える。第1の一対のモータ30、32はそれぞれ、第1の一対の質量体24、26のうち対応する一方に接続され、第1の一対の質量体のうち当該対応する一方を第1の軸を中心に可変回転速度で独立して回転させるように動作可能である。
【0015】
コントローラ20(好ましくはプログラマブルロジックコントローラ、ゲームコントローラまたは他のプログラマブルコンピュータ)は、センサ16によって検出された動きに応じて、一対のモータ30、32の相対回転速度を変化させるためのプログラム指令により構成される。
【0016】
尚、逆回転質量体/モータが好適に用いられる。逆回転質量体の物理的性質としては、一方の質量体が時計回りに回転すると、他方の質量体が同等の相対速度でその逆方向に回転するようになっており、正味の効果としてジャイロ力が相殺される。例えば、上記装置の携帯版を保持するユーザは、実質上、ジャイロ力を知覚できない。
【0017】
これら2つの回転質量体間の差を制御することにより、ジャイロ力量を制御することができ、好適には、比較的迅速に変化させることができる。ジャイロスコープモジュールの極めて有利な点は、一般的な自由回転モータがジャイロ力を生成するために必要な高速で回転される際のこれらモータの機械的制限を活用および補正することである。すなわち、ある質量体をある速度から別の速度に瞬間的に加速することは機能的に不可能である。また、回転質量体の慣性と、モータロータ自体の慣性と、今日使用されているモータへの電流を整流するのに用いられる典型的な方法とが組み合わさることにより、回転質量体を極めて低速に減速することはさらに困難である。
【0018】
特定の事例では、永久磁石直流モータを用いることで、非常に高速な加速度が実現できる(無制限の電流入力の場合)が、減速にはより時間がかかる。この種のシステムを電気的に減速させるための一般的な方法としては、電流を減少させること(遅い)、「プラッギング」することで電流を連続的に流す(過熱を引き起こす)またはパルス状に流す(遅い)こと、または分流することで電流を除去し、モータリード線を互いに結合して短絡および制動能力を生じさせることが挙げられる。しかし、これは、モータ設計と、ロータ速度と組み合わされたロータ慣性とによって制限され、そのため変動し予測不能であることが多い。
【0019】
2つの質量体を1つの軸上に設置することによって、コントローラは、システムが即座に反応すると思われる必要な時間を考慮して、2つのユニットを同一方向に設定するか(力の増幅)、速度を低減するか、あるいは方向を変更するかさえも決定できる。さらに、コントローラは、逆方向に、ただし半分の速度のみでモータを用いること(ジャイロ力は無効)を決定してもよいが、素早い反応のためには、その後、一方のモータの速度をフルスピードまで増加させてもよい。これにより、速度を減少させたり逆回転させたりしなければならない場合よりも素早い応答が得られる。
【0020】
図4を参照すると、ジャイロ運動フィードバック装置10Aを用いて、仮想環境内の物体の移動に関するフィードバックを提供できる。例えば、センサ16A(または他の手段)によって検出されたマウント12Aの動きは、仮想環境における物体の位置を制御するのに用いられる。コントローラ20Aに供給される、速度指令などのさらなる入力34Aは、仮想環境内の物体の相互作用を表す。コントローラ20Aは、入力34Aに基づいて、モータ30A、32Aの相対速度、およびそれにより生成されるジャイロ力を変化させるためのプログラム指令によってさらに構成される。
【0021】
図5を参照すると、ジャイロ運動フィードバック装置10Bでは、複数のジャイロスコープモジュール14B1、14B2および14B3が、マウント12Bに共通接続され、それぞれ異なる軸に沿って配置される。共通マウント12Bは、ハンドル(管状のハンドルなど)として構成できる。ユーザは、そのハンドルを把持することが可能であり、装置の把持や移動に対する物理的応答や、外力を受けたとユーザに感じさせる「仮想衝撃」(実際の物理的接触はない)に対する物理的応答を体験できる。図5の配置は、例えば、剣、野球のバット、テニスラケット、ゴルフクラブなどを想起させるゲームコントローラに好適に組み込むことができる。
【0022】
装置の使用例
ここで「プレーヤー」と呼ぶユーザが、ある環境(この分野で用いられる大画面、プロジェクタまたはヘッドセットなど)に没入するようなビデオゲームまたは仮想現実シナリオの場合は、プレーヤーは本発明を剣やバット(または所望の他の物体)のように手にしてもよい。自由空間で剣を振り回すがごとくプレーヤーは剣を振り回すことができ、この場合、剣の全長は実在せず、ビデオゲームインターフェイスを介してプレーヤーに提示される。ただし装置は、プレーヤーが「ゲーム内」にいるように感じられるように、実際の力を用いてプレーヤーに応答してフィードバックを与える必要がある。
【0023】
装置は以下のように応答する。
a)加速度計および/または他のセンサは、装置が移動していること(プレーヤーによって与えられた外力)を判定し、それらのベクトル値(装置の移動量および移動方向)をコントローラに伝達し、
b)コントローラは、プログラムされたアルゴリズムを用いて、回転質量体をどのように制御すべきか(速度、方向、およびどれをどの程度制御するか)を計算して、装置に反力を与え、
c)コントローラからの出力に応じて、モータは状態を変更して、外部から加えられる力を直接的に増加させるか(加算)、外部から加えられる力を直接的に減少させるか(減算)、外力に力差を与えるか(反応)、またはまったく変化しなくてもよく(無効)、
d)さらに、コントローラは(ビデオゲーム自体からの)外部指令を用いて、プレーヤーの剣と「仮想的に衝突」する可能性のあるアイテムがあるかどうかを判定してもよく、この状況では、アルゴリズムが特定の反応プロファイルを合成することにより、プレーヤーは「何かにぶつかった」と感じることができる。
【0024】
この適用例において、本発明は「触覚フィードバック装置」と考えられ、そのような装置を開発および利用するための特定の分野が存在する。しかし、触覚技術(ハプティクス)の従来の形は、本質的に一般的である振動性または疑似刺激力(空気の吹付けや鳴動など)にとどまっており、特定の反応となるように合成されるものではない。さらに、今日一般的に用いられている触覚技術は、付加力を生み出さず、既存の接触に対する反応である。上述の本発明は、プレーヤーに与えられる任意ではあるが意図的な力ベクトルを生成することがでるため、この例に特有のものである。
【0025】
一般に、上述の説明は、例示を目的としており、本発明は必ずしもそれに限定されるものではない。むしろ当業者は、さらなる変更や特定の状況への適用が、本明細書において提示・説明される本発明の範囲内および本明細書に添付された特許請求の範囲内に含まれることを理解するであろう。

図1
図2
図3
図4
図5