IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーイーエス グローバル ホールディングス, プライベート リミテッドの特許一覧

特許7482879変調プラズマシステムのためのプラズマ送達システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】変調プラズマシステムのためのプラズマ送達システム
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
H05H1/46 R
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021535648
(86)(22)【出願日】2019-09-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 US2019052391
(87)【国際公開番号】W WO2020131180
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】16/230,923
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519027693
【氏名又は名称】エーイーエス グローバル ホールディングス, プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バン ジル, ギデオン
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-152606(JP,A)
【文献】特開2018-011050(JP,A)
【文献】特開2014-044961(JP,A)
【文献】特開2008-019494(JP,A)
【文献】特開2011-082333(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0064194(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理システムであって、
高い周波数でプラズマチャンバに電力を送達するように構成される高周波数発生器と、
低い周波数で前記プラズマチャンバに電力を送達するように構成される低周波数発生器と、
前記プラズマチャンバと前記高周波数発生器との間に結合される水冷フィルタであって、前記水冷フィルタは、前記高周波数発生器の周波数の周囲の帯域幅の外側における電力を抑制するように構成され、前記水冷フィルタは、並列に接続された2つ以上のヘリカル共振器を備え、前記ヘリカル共振器の各々は、冷却のために水に前記ヘリカル共振器を通過させるための中空ヘリカルコイルを備える、水冷フィルタと
を備え、
前記高周波数発生器の周波数における前記電力の抑制は、最大2dBであり、
前記高い周波数に前記低い周波数を加えた周波数よりも大きい周波数における前記電力の抑制は、前記高周波数における前記電力の抑制より少なくとも2dB高い、プラズマ処理システム。
【請求項2】
前記フィルタの帯域幅は、前記高周波数発生器の周波数の2%以下である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記フィルタの帯域幅は、1.2MHz以下である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記フィルタは、1kW~30kWの電力範囲内で動作するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記フィルタは、少なくとも75%の効率であるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
固定または可変の時間遅延が、前記フィルタと前記プラズマチャンバとの間に挿入される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記高周波数発生器は、60MHzにおける電力を供給するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記低周波数発生器は、400kHzにおける電力を供給するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記フィルタは、製造公差を補償するように調整可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記フィルタは、前記フィルタの自己加熱に起因するドリフトを補償するように調整可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記フィルタの前記プラズマチャンバの側において広帯域電力測定システムをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
プラズマ処理システムであって、
プラズマチャンバに電力を送達するように構成される高周波数発生器と、
前記プラズマチャンバに電力を送達するように構成される低周波数発生器と、
前記プラズマチャンバと前記高周波数発生器との間に結合されるフィルタであって、前記フィルタは、並列に接続される2つ以上のヘリカル共振器を含む、フィルタと
を備え、前記フィルタは、前記フィルタの自己加熱に起因するドリフトを補償するように調整可能である、プラズマ処理システム。
【請求項13】
前記ヘリカル共振器は、円筒形エンクロージャ内に注封されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
固定または可変の時間遅延が、前記フィルタと前記プラズマチャンバとの間に挿入される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
プラズマ処理システム内の電力をフィルタリングするための方法であって、
高周波数発生器を用いてプラズマチャンバに電力を供給し、プラズマを点火し、前記プラズマを維持することと、
前記プラズマに接続される低周波数発生器を用いてプラズマチャンバに電力を供給することと、
フィルタを用いて電力混合生成物を抑制し、前記高周波数発生器にもたらされる時変負荷反射係数の変動を限定することと
前記プラズマチャンバによって前記フィルタにもたらされるインピーダンスを調節し、前記高周波数発生器から前記プラズマチャンバへの電力伝達の効率を最適化することと、
前記フィルタにもたらされる負荷反射係数の絶対値の時間平均を最小化することであって、前記負荷反射係数は、前記低周波数発生器の周波数以上の帯域幅を有する測定システムを用いて測定される、ことと
を含む、方法。
【請求項16】
接地接続水冷を使用して前記フィルタを冷却することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フィルタと前記プラズマチャンバとの間の電力信号を遅延させ、前記フィルタにもたらされるインピーダンスが、前記高周波数発生器を周波数調整することによって整合させられることを可能にすることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
インピーダンス整合のために前記高周波数発生器の周波数を調整することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
負荷反射係数の時間平均が、0+j0から離れて最適化される、請求項15に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、プラズマ処理システムに関し、より具体的には、変調プラズマを伴うプラズマ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エッチングおよび堆積のためのプラズマ処理システムが、数十年にわたって利用されているが、処理技法ならびに機器技術の進歩が、ますますより複雑なシステムを創出し続けている。これらのますます複雑なシステムは、同一のプラズマシステムを駆動する複数の発生器間におけるより問題となる相互作用につながる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
ある側面は、高周波数発生器と低周波数発生器とを含むプラズマ処理システムとして特徴付けられ得、高周波数発生器と低周波数発生器との両方が、プラズマチャンバに電力を送達する。システムのフィルタが、プラズマチャンバと高周波数発生器との間に結合され、フィルタは、高周波数発生器の周波数の周囲の帯域幅の外側における電力を抑制する。高周波数発生器の周波数における電力の抑制は、最大2dBであり、高周波数発生器の周波数からの、低周波数発生器の周波数よりも高い周波数における電力の抑制は、高周波数発生器の周波数における電力の抑制より少なくとも2dB高い。
【0004】
別の側面は、プラズマチャンバに電力を送達するように構成される高周波数発生器とプラズマチャンバに電力を送達するように構成される低周波数発生器とを含むプラズマ処理システムとして特徴付けられ得る。フィルタが、プラズマチャンバと高周波数発生器との間に結合され、フィルタは、並列に接続される2つ以上のヘリカル共振器を含む。
【0005】
さらに別の側面は、プラズマ処理システム内の電力をフィルタリングするための方法として特徴付けられ得る。方法は、高周波数発生器を用いてプラズマチャンバに電力を供給し、プラズマを点火し、それを維持することと、プラズマに接続される低周波数発生器を用いてプラズマチャンバに電力を供給することとを含む。混合生成物の電力が、フィルタを用いて抑制され、高周波数発生器にもたらされる時変負荷反射係数の変動を限定する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
プラズマ処理システムであって、
プラズマチャンバに電力を送達するように構成される高周波数発生器と、
前記プラズマチャンバに電力を送達するように構成される低周波数発生器と、
前記プラズマチャンバと前記高周波数発生器との間に結合されるフィルタであって、前記フィルタは、前記高周波数発生器の周波数の周囲の帯域幅の外側における電力を抑制するように構成される、フィルタと
を備え、
前記高周波数発生器の周波数における前記電力の抑制は、最大2dBであり、
前記高周波数発生器の周波数からの、前記低周波数発生器の周波数よりも高い周波数における前記電力の抑制は、前記高周波数発生器の周波数における前記電力の抑制より少なくとも2dB高い、プラズマ処理システム。
(項目2)
前記フィルタは、接地接続水冷のために構成される、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記フィルタの帯域幅は、前記高周波数発生器の周波数の2%以下である、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記フィルタの帯域幅は、1.2MHz以下である、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記フィルタは、1kW~30kWの電力範囲内で動作するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記フィルタは、少なくとも75%の効率であるように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目7)
固定または可変の時間遅延が、前記フィルタと前記プラズマチャンバとの間に挿入される、項目1に記載のシステム。
(項目8)
前記高周波数発生器は、60MHzにおける電力を供給するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目9)
前記低周波数発生器は、400kHzにおける電力を供給するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目10)
前記フィルタは、製造公差を補償するように調整可能である、項目1に記載のシステム。
(項目11)
前記フィルタは、前記フィルタの自己加熱に起因するドリフトを補償するように調整可能である、項目1に記載のシステム。
(項目12)
前記フィルタの前記プラズマチャンバの側において広帯域電力測定システムをさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目13)
プラズマ処理システムであって、
プラズマチャンバに電力を送達するように構成される高周波数発生器と、
前記プラズマチャンバに電力を送達するように構成される低周波数発生器と、
前記プラズマチャンバと前記高周波数発生器との間に結合されるフィルタであって、前記フィルタは、並列に接続される2つ以上のヘリカル共振器を含む、フィルタと
を備える、プラズマ処理システム。
(項目14)
前記フィルタは、接地接続水冷のために構成される、項目13に記載のシステム。
(項目15)
前記ヘリカル共振器が注封されている、項目13に記載のシステム。
(項目16)
前記ヘリカル共振器は、前記フィルタの残部に容量結合するように構成される、項目13に記載のシステム。
(項目17)
固定または可変の時間遅延が、前記フィルタと前記プラズマチャンバとの間に挿入される、項目13に記載のシステム。
(項目18)
プラズマ処理システム内の電力をフィルタリングするための方法であって、
高周波数発生器を用いてプラズマチャンバに電力を供給し、プラズマを点火し、前記プラズマを維持することと、
前記プラズマに接続される低周波数発生器を用いてプラズマチャンバに電力を供給することと、
フィルタを用いて電力混合生成物を抑制し、前記高周波数発生器にもたらされる時変負荷反射係数の変動を限定することと
を含む、方法。
(項目19)
接地接続水冷を使用して前記フィルタを冷却することを含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記フィルタと前記プラズマチャンバとの間の電力信号を遅延させ、前記フィルタにもたらされるインピーダンスが、前記高周波数発生器を周波数調整することによって整合させられることを可能にすることを含む、項目18に記載の方法。
(項目21)
インピーダンス整合のために前記高周波数発生器の周波数を調整することを含む、項目18に記載の方法。
(項目22)
前記プラズマチャンバによって前記フィルタにもたらされる前記インピーダンスを調節し、前記高周波数発生器から前記プラズマチャンバへの電力伝達の効率を最適化することを含む、項目18に記載の方法。
(項目23)
前記フィルタにもたらされる負荷反射係数の絶対値の時間平均を最小化することを含み、前記負荷反射係数は、少なくとも前記低周波数発生器の周波数に等しい帯域幅を有する測定システムを用いて測定される、項目22に記載の方法。
(項目24)
負荷反射係数の時間平均が、0+j0から離れて最適化される、項目22に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、プラズマ処理システムのブロック図である。
【0007】
図2図2は、電力が異なる測定システムフィルタ帯域幅を使用して電力を測定することによって知覚され得る様子を描写するグラフである。
【0008】
図3A図3Aおよび3Bは、負荷反射係数の変調を描写するグラフであり、図3Cは、図1に描写されるフィルタが利用されていないときに高周波数発生器によって被られ得る結果的な反射電力を描写するグラフである。
図3B図3Aおよび3Bは、負荷反射係数の変調を描写するグラフであり、図3Cは、図1に描写されるフィルタが利用されていないときに高周波数発生器によって被られ得る結果的な反射電力を描写するグラフである。
図3C図3Aおよび3Bは、負荷反射係数の変調を描写するグラフであり、図3Cは、図1に描写されるフィルタが利用されていないときに高周波数発生器によって被られ得る結果的な反射電力を描写するグラフである。
【0009】
図4A図4Aは、図1に描写されるフィルタの例示的設計に関する性能的側面を描写する2つのグラフを含み、図4Bは、図1に描写されるフィルタが利用されていないときに基本周波数および混合生成物周波数において高周波数発生器によってプラズマ負荷に送達され得る正味電力を描写するグラフである。
図4B図4Aは、図1に描写されるフィルタの例示的設計に関する性能的側面を描写する2つのグラフを含み、図4Bは、図1に描写されるフィルタが利用されていないときに基本周波数および混合生成物周波数において高周波数発生器によってプラズマ負荷に送達され得る、正味電力を描写するグラフである。
【0010】
図5A図5Aおよび5Bは、負荷反射係数の変調を描写するグラフであり、図5Cは、図1に描写されるフィルタが利用されているときに高周波数発生器によって被られ得る結果的な反射電力を描写するグラフである。
図5B図5Aおよび5Bは、負荷反射係数の変調を描写するグラフであり、図5Cは、図1に描写されるフィルタが利用されているときに高周波数発生器によって被られ得る結果的な反射電力を描写するグラフである。
図5C図5Aおよび5Bは、負荷反射係数の変調を描写するグラフであり、図5Cは、図1に描写されるフィルタが利用されているときに高周波数発生器によって被られ得る結果的な反射電力を描写するグラフである。
【0011】
図6A図6Aおよび6Bは、負荷反射係数の変調を描写するグラフであり、図6Cは、図1に描写されるフィルタによって被られ得る結果的な反射電力を描写するグラフである。
図6B図6Aおよび6Bは、負荷反射係数の変調を描写するグラフであり、図6Cは、図1に描写されるフィルタによって被られ得る結果的な反射電力を描写するグラフである。
図6C図6Aおよび6Bは、負荷反射係数の変調を描写するグラフであり、図6Cは、図1に描写されるフィルタによって被られ得る結果的な反射電力を描写するグラフである。
【0012】
図7図7は、本明細書に開示される実施形態に関連して進められ得る方法を描写するフローチャートである。
【0013】
図8A図8Aおよび8Bは、図1を参照して説明されるフィルタの実施形態の等価回路を描写する略図である。
図8B図8Aおよび8Bは、図1を参照して説明されるフィルタの実施形態の等価回路を描写する略図である。
【0014】
図9図9は、2つの並列なヘリカル共振器を有する例示的な水冷フィルタ設計の斜視図である。
【0015】
図10図10は、2つの並列なヘリカル共振器を有する水冷フィルタ設計の内部の図である。
【0016】
図11図11は、2つの並列なヘリカル共振器を有する水冷フィルタ設計の切取図である。
【0017】
図12図12は、2つの並列なヘリカル共振器を有する水冷フィルタ設計のコンデンサブロックの詳細図である。
【0018】
図13図13は、2つの並列なヘリカル共振器を有する水冷フィルタ設計の分解図である。
【0019】
図14図14は、フィルタを調整するための設備を含むフィルタの図である。
【0020】
図15図15は、本明細書に開示される実施形態に関連して進められ得る方法を描写するフローチャートである。
【0021】
図16図16は、本明細書に開示される実施形態に関連して利用され得るコンピューティングデバイスを描写するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発生器のうちの1つが別の発生器によって被られる負荷を変調させる同一のプラズマを駆動する発生器間の相互作用は、電力レベルが増大されるにつれて、ますます問題になりつつあり、したがって、この問題に対処するための新しい向上させられた方法およびシステムの必要性が存在する。
【0023】
単語「例示的な」は、「ある例、事例、または例証としての役割を果たす」を意味するために本明細書において使用される。「例示的」であるものとして本明細書に説明されるいかなる実施形態も、必ずしも、他の実施形態より好ましい、または有利であるものとして解釈されるべきではない。
【0024】
図1を参照すると、実施形態が実装され得るある例示的環境を描写するブロック図が示されている。示されるように、プラズマチャンバ100のプラズマ負荷が、フィルタ104および整合ネットワーク106を介して高周波数発生器102に結合される。加えて、低周波数発生器108もまた、整合部110を介してプラズマ負荷に結合される。多くの用途において、整合部106は、整合部110と組み合わせられ得る。また、随意の広帯域測定構成要素114、116、118、および120、ならびに随意の遅延構成要素112も示されている。随意の遅延要素112は、ある長さの同軸ケーブル、または固定もしくは可変RLCM回路(すなわち、レジスタと、インダクタと、コンデンサと、結合インダクタとを含有する回路)、または分散型回路要素を含有する回路(すなわち、伝送ライン回路)を使用して実現されることができる。また、随意の接続122および124も示されており、随意の接続122および124は、随意の遅延要素112が適切に特徴付けられる場合、随意の広帯域測定システム116、120のうちの一方が他方の機能性を引き継ぐことを可能にする。
【0025】
高周波数発生器102および低周波数発生器108は各々、ある範囲の周波数にわたって動作し得るが、概して、高周波数発生器102は、低周波数発生器108より高い周波数で動作する。多くの実施形態では、高周波数発生器102は、10MHz~200MHzの周波数範囲においてプラズマチャンバ100内のプラズマ負荷にRF電力を送達する発生器であり得、低周波数発生器108は、例えば、100kHz~2MHzの範囲内にあり得る。そのため、高周波数発生器102の周波数に対する低周波数発生器108の周波数の例示的周波数比は、0.0005~0.2である。多くの実施形態では、例えば、高周波数発生器102の周波数に対する低周波数発生器108の周波数の周波数比は、0.05未満であり、いくつかの実施形態では、高周波数発生器102に対する低周波数発生器108との周波数比は、0.01未満である。例えば、比率は、1:150、すなわち、約0.0067であってもよい。
【0026】
用途の観点から、高周波数発生器102は、プラズマチャンバ100内のプラズマ負荷を点火しそれを維持するために使用され得、低周波数発生器108は、プラズマチャンバ100の基板支持部に周期的電圧関数を印加して、プラズマチャンバ100内の基板の表面にイオンエネルギーの所望の分配を遂行するために利用され得る。
【0027】
電力レベルに関して、低周波数発生器108は、プラズマチャンバ100のプラズマ負荷に(例えば、10kW~30kWの範囲における)比較的大量の電力を印加し得る。低周波数においてプラズマに印加される大量の電力は、高周波数発生器102にもたらされるプラズマインピーダンスを変調させる。
【0028】
出願人は、プラズマ負荷を変調させる1つの発生器(例えば、低周波数発生器108)を有する既存のシステムでは、電力が、システムによって発生させられる十分な数の混合生成物において測定されないことを見出した。また、そうできないことは、電力測定における約100%以上の誤差につながる問題である。(プラズマを摂動させる低周波数電力が存在するときに)これまでにとられた典型的なアプローチは、低周波数において変調される負荷に高周波数電力を印加することから結果として生じる混合周波数成分を単にフィルタ除去すること(例えば、低発生器周波数が400kHzであり、高発生器周波数が60MHzであるとき、59.6MHzおよび60.4MHz成分をフィルタ除去すること)である。しかし、ローパスフィルタが利用されるとき、見かけの複素インピーダンス軌道は、ある点までで崩壊し、誤って導出されると、高周波数発生器102が50オームまでの電力を送達しているかのように見える。
【0029】
図2を参照すると、異なる測定システムフィルタ帯域幅を使用して電力を測定することによって電力が知覚され得る様子を描写するグラフが示されている。測定システムのフィルタリングは、測定される信号のダウンコンバージョンまたは復調の後に適用され、したがって、測定システムは、発生器出力周波数を中心とする周波数成分をフィルタリングする。例えば、60MHz出力を生み出す発生器に印加される100kHzの測定システム帯域幅は、59.9MHzを下回り60.1MHzを上回る周波数成分を抑制する。示されるように、測定システムのフィルタ帯域幅が、プラズマの変調周波数未満になるように選択されると、実際に存在するよりもはるかに少ない反射電力が存在するかのように見え(そのため、順方向電力のみが、プラズマ負荷に向かって進行しているかのように見え)るが、実際は、それは、起こっているものではない。
【0030】
対照的に、電力が、(例えば、広帯域測定システム116、120の一方または両方によって)十分な帯域幅を用いて測定されると、電力の一部のみ(例えば、電力の半分のみ)がプラズマ負荷に向かって進行していることが、明確となる。そのため、本開示のある側面は、そのフィルタ帯域幅が変調周波数を超過し、より高い周波数において混合生成物を捕捉するように、測定システムを調節することを含む。「System, Method, and Apparatus for Monitoring Power」と題された米国特許第7,970,562号(参照することによって本明細書に援用される)は、より高い周波数における混合生成物についての情報を捕捉することが可能であるフィルタ帯域幅を達成するために広帯域測定システム116、120によって利用され得るサンプリングおよび処理技法に加えて、センサ114、118を実現するために使用され得るセンサのタイプ(例えば、指向性結合器または電圧/電流(VI)センサ)を開示する。測定システム116、120が、フィルタ104と混同されるべきではない場合、フィルタ帯域幅に留意されたい。
【0031】
別の問題は、高周波数発生器102が、時間平均負荷反射係数の大きさが大きい時変負荷(変調プラズマ負荷)に電力を送達する必要があることである。例えば、図3Aおよび図3Bを参照すると、低周波数発生器108の1サイクルの時間周期にわたって高周波数発生器102によって被られる負荷反射係数を描写するグラフが示されており、図3Cは、図1に描写されるフィルタ104が利用されていないときに高周波数発生器102によって被られ得る結果的な反射電力を描写するグラフである。示されるように、高周波数発生器102によって被られるピークの負荷反射係数の大きさが、1に近接し得(さらに1を超過し、正味電力が、プラズマ負荷から高周波数発生器102に流動していることを意味し得)る一方、高周波数発生器102によって被られる平均負荷反射係数の大きさは、0.76であり得る。比較的大きい負荷反射係数の大きさは、概して、高周波数発生器102が、所望のレベルの電力を印加するために苦労し、より故障が生じやすくあり得ることを意味する。したがって、高周波数発生器102は、要求される電力量をプラズマチャンバ100に送達するために通常要求され得るものより多くの電力デバイス(バイポーラトランジスタ、MOSFETS等)を要求し得る。
【0032】
本明細書における開示の側面は、プラズマ変調の効果を除去または軽減するための解決策を対象とする。図1に描写される側面は、描写されるフィルタ104である。上記で議論されるように、描写されるフィルタ104がない状態では、変調プラズマ負荷は、高周波数発生器102に時変の非線形負荷をもたらし、これは、厄介な問題をもたらす。
【0033】
多くの実施形態では、図1に描写されるフィルタ104は、高周波数発生器102とプラズマチャンバ100との間に配置される極めて狭小な帯域幅の高電力フィルタとして実装され得る。フィルタ104は、高周波数発生器102の周波数において合理的に少ない損失を有し得、高電力の印加下で安定しながら、フィルタ104への入力において高周波数発生器102にもたらされる負荷反射係数の変動を限定するために十分に混合生成物を抑制し得る。実装されると、フィルタ104は、狭小な帯域幅を有し、側波帯周波数をフィルタリングし得る。本明細書で使用される場合、帯域幅は、より低いカットオフ周波数とより高いカットオフ周波数との間に存在する周波数範囲として定義され、カットオフ周波数の各々は、最大中心または共振ピークを3dB下回る一方、これらの2つの点の外側の他の周波数を3dB超減衰しもしくは弱める。
【0034】
いくつかの実施形態では、例えば、低周波数発生器108は、400kHzの発生器によって実現され、高周波数発生器102は、60MHzのRF発生器によって実現され、したがって、1対150の周波数比をもたらす。結果として、これらの実施形態では、フィルタ104は、中心周波数から1パーセント未満離れた周波数にある電力を抑制し得る。
【0035】
また、多くの実施形態では、高周波数発生器102の周波数における電力の抑制は、最大2dBであり、高周波数発生器102の周波数からの、低周波数発生器108の周波数より高い周波数における電力の抑制は、高周波数発生器102の周波数における電力の抑制より少なくとも2dB高い。いくつかの実装では、フィルタ104の帯域幅は、高周波数発生器102の周波数の2%(またはそれ未満)である。高周波数発生器102が、例えば、60MHzのRF発生器によって実現される場合、フィルタの帯域幅は、1.2MHz以下であり得る。
【0036】
図4Aを参照すると、フィルタ104の例示的設計に関する性能的側面を描写するグラフが示されている。図4Aでは、フィルタ104の帯域幅は、約60MHzの中心周波数を有し、中心周波数から1メガヘルツ離れたところでは、電力が、8dB抑制される。図4Bは、図1に描写されるフィルタが利用されていないときに高周波数発生器によってプラズマ負荷に送達され得る正味電力を示している。図4Bは、図4Aに示されるもの等の応答を伴うフィルタが、60MHzの基本周波数においてプラズマ負荷に送達される電力が、比較的高効率で高周波数発生器102からプラズマ負荷に通過し、プラズマ負荷から高周波数発生器102に戻るように反射される電力を抑制することを可能にするであろうことを示す。
【0037】
しかし、当業者は、図4Aのフィルタ特性に類似する特性を有するフィルタ104を実装するように導かれていない。プラズマ変調の根本的問題の認識の欠如が、1つの理由である。しかし、加えて、図4Aに描写される特性を有するフィルタを設計することも、(低電力レベルにおいてさえ)厄介である。しかし、多くの実施形態では、フィルタ104は、大量の電力(例えば、数kWの電力)を取り扱い、高電力および狭小帯域の組み合わせは、当業者が試行する可能性が高い組み合わせではない。
【0038】
上記で議論されるように、図3Aおよび図3Bは、フィルタ104が利用されていないときに高周波数発生器によって被られるような負荷反射係数を描写する。また、図5Aおよび図5Bは、例示的フィルタ104が実装されるときに高周波数発生器102によって被られるような負荷反射係数を描写する。図5Aに示されるように、フィルタ104が展開されると、反射係数が、プラズマの変調のサイクルにわたって(図3Aの負荷反射係数と比較して)グラフの中心にはるかにより近接して留まるように圧縮される。
【0039】
図3Bを参照すると、フィルタ104が利用されていない場合の時間ドメインにおける反射係数の大きさの描写が示されている。図3Cに描写される対応するレベルの順方向電力(100ワットに近接する)は、プラズマ処理の間に利用される電力よりはるかに低いが、図3Bに描写される反射係数、および、図3Cの順方向電力と反射電力との相対的な大きさは、教示的である。示されるように、順方向電力は、99.8ワットであり、反射電力は、63.4ワットである。対照的に、図5Cに示されるように、フィルタ104が定位置にある状態で、99.9ワットの順方向電力および3.4ワットの反射電力が存在し、したがって、高周波数発生器102は、はるかに低い応力下に置かれる。また、フィルタ104の負荷側において、図6Cに示されるように、フィルタ104は、平均順方向電力を増加させ得る。
【0040】
図7を参照すると、変調プラズマシステムにおけるプラズマ処理のための方法を描写するフローチャート700が示されている。示されるように、プラズマを点火しそれを維持するように、高周波数発生器102を用いて電力がプラズマチャンバ100に供給される(ブロック710)。加えて、電力が、低周波数発生器108を用いてプラズマチャンバ100に供給される(ブロック720)。高周波数発生器102とプラズマチャンバ100との間の電力伝達は、プラズマチャンバ100と高周波数発生器との間に配置されるフィルタ104を用いて、高周波数と低周波数との混合生成物に対応する周波数において抑制される(ブロック730)。整合ネットワーク106の調整が、高周波数発生器102に良好に整合されたインピーダンスを提供する要件とプラズマチャンバ100への電力伝達の効率とを平衡させるように調節(例えば、最適化)され得る(ブロック740)。
【0041】
少し図6Aに戻って参照すると、負荷反射係数の軌道が、図3Aの場合のように、起点の周囲で対称的ではないことに留意されたい。これは、ゼロに近い負荷反射係数にフィルタ104の入力を整合させて高周波数発生器102からプラズマ負荷への効率的な電力伝達を得るためにフィルタ104の負荷側において要求されるインピーダンスの特性である。フィルタ104の負荷側における平均負荷反射係数が、図6Aにおいて「+」で示されている。図6Aに示されるようなフィルタ104の負荷側における負荷反射係数の平均値は、約-0.23-j0.00である。図5Aに示されるようなフィルタ104の高周波数発生器102側における負荷反射係数の平均値は、約0.04-j0.02である。これは、このフィルタ104を使用する側面、すなわち、フィルタ104の負荷側における負荷反射係数が、整合された負荷(大部分のシステムでは、50オーム)に調整されないが、典型的に、広帯域測定システムによって測定されるような低い時間平均負荷反射係数の大きさを達成するように設定されることを例証している。結果として、多くの実装では、広帯域測定構成要素116または120が、少なくとも一次混合生成物を捕捉するために利用される。広帯域測定構成要素116または120は、整合ネットワーク106、高周波数発生器102の一体型構成要素として実装されることも、別個の構成要素として実装されることもある。したがって、ブロック740において整合ネットワークを調節するステップは、整合ネットワーク106の通常要求されるものと異なる。
【0042】
多くの実装では、プラズマチャンバ100によってフィルタ104にもたらされるインピーダンスは、高周波数発生器102からプラズマチャンバ100への電力伝達の効率を最適化するように調節される。例えば、フィルタにもたらされる負荷反射係数の絶対値の時間平均が、最小化にされ得、負荷反射係数は、少なくとも低周波数発生器108の周波数に等しい帯域幅を使用して(例えば、広帯域測定構成要素116または120によって)測定され得る。負荷反射係数の時間平均が0+j0から離れて最適化されることもまた、想定される。
【0043】
再び図7を参照すると、整合ネットワーク106とフィルタ104との間のケーブル長が、混合生成物が終端させられるインピーダンスを制御するように調節(例えば、最適化)され得る(ブロック750)。他のプラズマ処理システムでは、(整合ネットワークとプラズマ処理チャンバとの間の)ケーブル長が(例えば、安定性のために)調節されるが、フィルタ104が使用されると、このケーブル長を選定するときに、付加的な考慮点、すなわち、混合生成物の周波数においてフィルタ104によってプラズマシステムに提供される終端インピーダンス、フィルタ104を整合ネットワーク106に接続するケーブル、および整合ネットワーク106が、存在する。ケーブル長を変更することは、フィルタ104の負荷側における変調の性質を変化させる。このケーブル長はまた、多重状態用途における周波数調整に影響を及ぼし、したがって、このケーブル長の選定は、既存のプラズマ処理システムにおけるものよりも複雑であり得る。
【0044】
図8Aおよび図8Bは、図1を参照して説明されるフィルタ104の実施形態の等価回路である。図8Aは、無損失型プロトタイプの等価回路を示し、図8Bは、実現可能な損失型構成要素を使用して実用化させたときのフィルタ104の等価回路を示す。(例えば、大きいリング共振器または空洞を使用して)そのような狭帯域の高電力フィルタを実現する他の方法が存在するが、全ての場合において、慎重な配慮が、そのようなフィルタにおいて存在する高電圧、高電流、および高電力の消散に払われなければならない。
【0045】
次に図9を参照すると、2つの並列なヘリカル共振器を伴って設計された水冷フィルタ904の外部の斜視図が示されている。フィルタは、入力コネクタ930および出力コネクタ(この図では見えていない)を冷却するためにフィルタを通して水を通過させるための2つの水接続部910ならびに920を含有する。
【0046】
図10は、2つの並列なヘリカル共振器を伴うフィルタ904設計の内部の図である。示されるように、ヘリカル共振器の各々は、中空ヘリカルコイル1020を含み、各中空ヘリカルコイル1020は、銅ブロック1024に結合される。銅ブロック1024から延在しているものは、銅ストラップ1026であり、銅ブロック1024から銅ストラップ1026を絶縁しているものは、セラミック絶縁体1028である。この実装では、メタライゼーション1030が、セラミック1028上に配置され、入力コンデンサ810および出力コンデンサ820を形成する。加えて、各中空ヘリカルコイル1020は、接地端部1022を含む。フィルタ904はまた、中空ヘリカルコイル1020および銅ブロック1024を囲繞する注封された円筒形エンクロージャ1032(フィルタ104の内部構成要素を視認する目的のために、透明で表されている)を含む。
【0047】
図11は、フィルタ904の切取図を示す。この図は、銅ストラップ1026が入力コネクタ1110および出力コネクタ1140に接続し、セラミック絶縁体1120および1150上に形成されたコンデンサに接続している様子を示す。この図はまた、中空ヘリカルコイル1130および1160が銅ブロック1024に接続している様子も示す。
【0048】
図12は、銅ブロック1240(図10の1024)のさらなる詳細を示す。このアセンブリは、入力および出力からヘリカル共振器への要求される容量結合を提供する。要求されるコンデンサのわずかな値、コンデンサが耐えなければならない高電圧、およびコンデンサが消散しなければならない電力に起因して、セラミック基板上にコンデンサを実装することが、フィルタの設計において使用される。銅ブロックは、中に中空ヘリカルコイルが(例えば、はんだ付けによって)取り付けられる水チャネル1210を含む。したがって、セラミック絶縁体1220および1260上に形成されたコンデンサが、水冷される。セラミック絶縁体は、それぞれ、表メタライゼーション1280および裏メタライゼーション1250を有する。表メタライゼーション1280のサイズは、アセンブリによって実現される静電容量を制御する。セラミック絶縁体は、導電性エポキシを使用して銅ブロック1240に取り付けられ得る。ストラップ1270および1230は、表メタライゼーションならびにコネクタ1110および1140にはんだ付けされ得る。
【0049】
図13は、フィルタ904の分解図を示す。絶縁ブラケット1310が、中空ヘリカルコイルを定位置に保持し、アセンブリに機械的安定性を提供する。ブラケットは、好適な低損失誘電材料、例えば、PTFEプラスチックまたはセラミックから作製され、孔を含み、注封材料がそれを通って流動することを可能にする。この設計において遭遇され得る高電圧に起因して、フィルタの高電圧領域が、(例えば、シリコーン誘電ゲルを使用して)注封され、空気の分解に起因する破損のリスクを低減させる。代替として、アセンブリ全体が、高真空に真空化されることも、高品質の誘電性液体で充填されることもできる。
【0050】
当業者が、本開示に照らしてヘリカルコイル1020の側面(例えば、コイルの巻数、半径、長さ、ピッチ、内側および外側コイル直径、ならびに外径)を設計し、所望の帯域幅および熱放散を達成することが可能であることを認識されたい。また、図9図13に描写されるフィルタ904の設計の変形例が確実に想定されることも認識されたい。
【0051】
インダクタではなく共鳴の低周波数または誘導側における共鳴に近接するヘリカル共振器を使用することは、インダクタを使用した設計と比較して、類似の帯域幅を達成するが、インダクタを伴う設計と対照的に、ヘリカル共振器は、より低い実効インダクタンスを提供する。加えて、2つの並列の共振器を使用することは、水システムが接地されたままであり得るアセンブリ全体の接地接続水冷を可能にする。より具体的には、接地接続水システムから提供される水が、中空ヘリカルコイル1020を通して給送され、大量の熱が消散されることを可能にする。例えば、フィルタ904(およびフィルタ904の変形例)は、比較的高電力レベルにおいて(例えば、1kW~30kWの電力範囲内で)動作し得る。その設計によって、フィルタ904(およびその変形例)は、比較的高電力レベルにおいて動作しながら、少なくとも75%の効率で動作し得る。
【0052】
図14は、調整スラグを有するフィルタ1404を示す。調整は、構成要素の製造公差に起因してフィルタの帯域周波数を設定するために要求され得るが、また、例えば、フィルタ1404の自己加熱に起因する構成要素値の変化を補償するように能動的に調節されることもある。調整スラグ1420および1440は、例えば、中空ヘリカルコイル1020内の描写されるY軸に沿って移動させられ得るフェライトロッドであり得るが、より典型的には、調整スラグは、銅から作製され得る。好適な絶縁体(例えば、PTFEプラスチック)から作製されるカップ1420および1430は、中で調整スラグが移動させられ得る注封化合物のない領域を提供する。
【0053】
フィルタ104、804B、904、1404の使用は、(インピーダンス整合のための)周波数調整が行われ得る周波数範囲を、非常に小さい周波数範囲に圧縮する。これは、複数の電力レベル間で(発生器の多重状態動作を取り扱うための異なるアプローチを要求する。多重状態動作の例は、各電力レベルがある状態を表し、高周波数発生器102がプラズマ負荷の非線形性質に起因して各状態において異なる負荷インピーダンスを被る)切り替えていることもあり、高周波数発生器102は、その状態のためのインピーダンス整合または安定性を向上させるために、各状態において異なる周波数で動作し得る。フィルタ104を使用してシステム内の多状態動作を促進するために、異なる状態のためにフィルタ104の負荷側にもたらされるインピーダンスは、高周波数発生器102の周波数を周波数調整することによって整合され得るインピーダンスのラインに沿って、またはそれに近接して存在することを確実にする必要があり得る。これは、フィルタの負荷側において、遅延112等の固定または可変の時間遅延を追加することによって行われ得る。
【0054】
次に図15を参照すると、本明細書に開示される実施形態に関連して実行され得る方法を描写するフローチャート1500が示されている。示されるように、多状態波形を有する電力が、高周波数発生器102を用いてプラズマチャンバ100に印加され(ブロック1510)、電力はまた、低周波数発生器108を用いてプラズマチャンバ100に印加される(ブロック1520)。高周波数と低周波数との混合生成物が、フィルタ104を用いて抑制される(ブロック1530)。また、示されるように、フィルタ104とプラズマチャンバ100との間の電力信号は、遅延させられ(ブロック1540)、高周波数発生器102の周波数は、高周波数発生器にもたらされるインピーダンスを調節するように状態の各々の間調節される(ブロック1550)。
【0055】
正確な電力測定は、十分な数の混合生成物を捕捉するために十分な帯域幅を有するフィルタの負荷側において電力を測定することを要求し得る。これは、フィルタ104の効率が、フィルタ104にもたらされる負荷インピーダンスの軌道に依存するためである。フィルタ104の効率を考慮することは、不可能ではないにしても、困難であるため、フィルタ104の高周波数発生器102側における測定は、プラズマ負荷に送達される電力の正確な測度を提供しない場合がある。
【0056】
当業者は、情報および信号が、種々の異なる技術および技法のいずれかを使用して表され得ることを理解するであろう。例えば、上記の説明の全体を通して言及され得る、データ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは粒子、光学場もしくは粒子、またはそれらの任意の組み合わせによって表され得る。
【0057】
当業者はさらに、本明細書に開示される実施形態に関連して説明される種々の例証的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組み合わせとして実装され得ることを理解するであろう。本明細書に開示される実施形態に関連して説明される種々の例証的な論理ブロック、モジュール、および回路は、本明細書に説明される機能を実施するように設計された汎用目的プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブル論理デバイス、個別のゲートもしくはトランジスタ論理、個別のハードウェア構成要素、またはそれらの任意の組み合わせを用いて実装または実施され得る。汎用目的プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替として、プロセッサは、任意の従来型のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPおよびマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサの組み合わせ、DSPコアと併せた1つ以上のマイクロプロセッサの組み合わせ、または任意の他のそのような構成の組み合わせとしても実装され得る。
【0058】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアにおいて、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールにおいて、または2つのものの組み合わせにおいて直接具現化され得る。ソフトウェアモジュールは、当技術分野において公知である、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または任意の他の形態の記憶媒体の中に常駐し得る。例示的記憶媒体が、プロセッサに結合され、そのようなプロセッサは、記憶媒体から情報を読み取り、かつそれに情報を書き込み得る。代替として、記憶媒体は、プロセッサに組み込まれ得る。プロセッサおよび記憶媒体は、ASICの中に常駐し得る。ASICは、ユーザ端末の中に常駐し得る。代替として、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末の中の個別の構成要素として常駐し得る。
【0059】
図16を参照すると、本明細書に開示される実施形態に関連して利用され得るコンピューティングシステム1600のある例が示されている。示されるように、ディスプレイ部1612および不揮発性メモリ1620が、バス1622に結合され、バス1622はまた、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)1624、(N個の処理構成要素を含む)処理部1626、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)1627、およびN個の送受信機を含む送受信機構成要素628にも結合される。図16に描写される構成要素は、物理的構成要素を表すが、図16は、詳細なハードウェア図であることを意図しておらず、したがって、図16に描写される構成要素のうちの多くのものが、一般的な構築物によって実現され、または付加的な物理的構成要素の間で分散され得る。そのうえ、他の既存および未開発の物理的構成要素およびアーキテクチャが図16を参照して説明される機能的構成要素を実装するために利用され得ることが想定される。
【0060】
このディスプレイ部1612は、概して、ユーザのためのユーザインターフェースを提供するように動作し、いくつかの実装では、ディスプレイは、タッチスクリーンディスプレイによって実現される。概して、不揮発性メモリ1620は、データおよび機械可読(例えば、プロセッサ実行可能)コード(本明細書に説明される方法を遂行することと関連付けられる実行可能コードを含む)を記憶する(例えば、持続的に記憶する)ように機能する非一過性メモリである。いくつかの実施形態では、例えば、不揮発性メモリ1620は、ブートローダコードと、オペレーティングシステムコードと、ファイルシステムコードと、図4および5を参照して本明細書にさらに説明される方法の実行を促進するための非一過性プロセッサ実行可能コードとを含む。
【0061】
多くの実装では、不揮発性メモリ1620は、フラッシュメモリ(例えば、NANDメモリまたはONENANDメモリ)によって実現されるが、他のメモリタイプも同様に利用され得ることが、想定される。不揮発性メモリ1620からのコードを実行することが、可能性として考えられ得るが、不揮発性メモリの中の実行可能コードは、典型的に、RAM1624の中にロードされ、処理部1626の中のN個の処理構成要素のうちの1つ以上のものによって実行される。
【0062】
動作時、RAM1624に関連するN個の処理構成要素が、概して、不揮発性メモリ1620の中に記憶されている命令を実行するように動作して、広帯域測定システム116、120の側面を実現し、高周波数発生器102の側面(例えば、周波数調整側面)および整合部106の側面を制御し得る。例えば、図7および図15を参照して説明される方法の側面を遂行するための非一過性プロセッサ実行可能命令が、不揮発性メモリ1620の中に持続的に記憶され、RAM1624に関連するN個の処理構成要素によって実行され得る。当業者が、理解するように、処理部1626は、ビデオプロセッサと、デジタル信号プロセッサ(DSP)と、グラフィック処理ユニット(GPU)と、他の処理構成要素とを含み得る。
【0063】
加えて、または代替として、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)1627が、本明細書に説明される方法論(例えば、図7および図15を参照して説明される方法)のうちの1つ以上の側面を遂行するように構成され得る。例えば、非一過性FPGA構成命令が、不揮発性メモリ1620の中に持続的に記憶され、(例えば、ブートアップ中に)FPGA1627によってアクセスされ、FPGA627を構成し、広帯域測定システム116、120の側面を実現し、高周波数発生器102の側面(例えば、周波数調整側面)および整合部106の側面を制御し得る。
【0064】
入力構成要素は、電力の1つ以上の側面を示す(例えば、センサ114、118からの)信号を受信するように動作し得る。入力構成要素において受信される信号は、例えば、電圧、電流、順方向電力、反射電力、およびプラズマ負荷インピーダンスを含み得る。出力構成要素は、概して、発生器102、108、整合部106、および/または広帯域測定システム116、120の動作側面を遂行するための1つ以上のアナログ信号またはデジタル信号を提供するように動作する。例えば、出力部は、発生器102、108、整合部106、および/または広帯域測定システム116、120によって利用される制御信号を提供し得る。
【0065】
描写される送受信機構成要素628は、無線ネットワークまたは有線ネットワークを介して外部デバイスと通信するために使用され得るN個の送受信機チェーンを含む。N個の送受信機チェーンの各々は、特定の通信スキーム(例えば、WiFi、イーサネット(登録商標)、Profibus等)と関連付けられる送受信機を表し得る。
【0066】
開示される実施形態のこれまでの説明は、任意の当業者が本発明を作製または使用することを可能にするために提供される。これらの実施形態への種々の修正は、当業者に容易に明白であり、本明細書に定義される包括的原理は、本発明の意図または範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用され得る。したがって、本発明は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図せず、本明細書に開示される原理および新規の特徴に一貫した最も幅広い範囲に一致するものとする。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16