(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】外科ガイドの作成のための改良されたインプレッション要素
(51)【国際特許分類】
A61B 17/15 20060101AFI20240507BHJP
B29C 64/245 20170101ALI20240507BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240507BHJP
【FI】
A61B17/15
B29C64/245
B33Y30/00
(21)【出願番号】P 2021553305
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 GB2020050632
(87)【国際公開番号】W WO2020183186
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-12-20
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516151748
【氏名又は名称】プロメテウス サージカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】デソーター,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】デソーター,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】フェントン,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ブロック,クリストファー
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05037445(US,A)
【文献】特表2015-509810(JP,A)
【文献】特開平06-238710(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0236874(US,A1)
【文献】特開2005-035462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/15
B29C 64/245
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的構造の特定の部分のインプレッションを生成する際に可撓性シートと共に使用される成形可能材料キャリアであって、
ベースと、
固定部分と
、を含
み、
前記ベースは、
前記ベースの第1の側にある入口と
前記第1の側とは異なる前記ベースの第2の側にある出口との間で前記ベースを通じて進むチャネルを有し、
前記固定部分は、当該成形可能材料キャリアが
前記解剖学的構造の特定の部分に対して付勢されるときに、
前記可撓性シートと前記ベース
の前記第2の側とによって画定される容積内の成形可能材料が前記
解剖学的構造の特定の部分と接触せずに前記
解剖学的構造の特定の部分のインプレッションを形成するように、前記成形可能材料が前記入口を通じて付勢されるときに、前記成形可能材料が前記出口から押し出され、前記容積内に収容されるように、前記出口の周りで前記可撓性シートを前記ベース
の前記第2の側で前記ベースの周囲に固定して前記出口を覆うように構成される、
成形可能材料キャリア。
【請求項2】
前記固定部分は、前記可撓性シートと前記ベースとの間で前記ベースの周りにシールを形成するように構成される、請求項1に記載の成形可能材料キャリア。
【請求項3】
前記出口を覆うために前記ベースに固定される前記可撓性シートを更に含む、請求項1に記載の成形可能材料キャリア。
【請求項4】
前記可撓性シートは、弾力的である、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の成形可能材料キャリア。
【請求項5】
前記出口は、前記成形可能材料が前記容積内に押し込まれた後に、前記成形可能材料が前記チャネルを通じて前記容積から流出するのに抗するよう、前記チャネル
の直径よりも小さい直径を有する少なくとも1つの穴を含む、請求項1~4のうちのいずれか1項に記載の成形可能材料キャリア。
【請求項6】
前記少なくとも1つの穴は、前記出口で提供される格子を介して形成される複数の穴である、請求項5に記載の成形可能材料キャリア。
【請求項7】
前記複数の穴は、前記出口に亘って均一に分配される、請求項6に記載の成形可能材料キャリア。
【請求項8】
前記容積は、少なくとも部分的に、前記可撓性シートと、前記出口の周りで前記ベース内に形成されるキャビティと
、によって画定される、請求項1~7のうちのいずれか1項に記載の成形可能材料キャリア。
【請求項9】
前記ベースは、前記成形可能材料を当該成形可能材料キャリアに連結するのを
容易にし、且つ前記成形可能材料が前記キャビティ内に押し込まれた後に前記キャビティからの前記成形可能材料の除去に抗するのを
容易にするよう、
前記出口を取り囲む前記ベースの周壁から前記キャビティ
の中心に向かって径方向に突出する、少なくとも1つの突起を含む、請求項8に記載の成形可能材料キャリア。
【請求項10】
前記チャネルは、前記入口から前記出口までのその長さに沿って狭まる、請求項1~9のうちのいずれか1項に記載の成形可能材料キャリア。
【請求項11】
前記成形可能材料が前記容積内に押し込まれるときに、前記容積内の空気が少なくとも1つの空気穴を通じて前記容積から流出するように、少なくとも1つの空気穴が前記ベースを通じて形成される、請求項1~10のうちのいずれか1項に記載の成形可能材料キャリア。
【請求項12】
前記固定部分は、開口を含
む保持リングの形態にあり、前記可撓性シートは、インプレッションが前記可撓性シートを通じて取られることを可能にするよう固定されるときに、前記開口を通じて
突出する、請求項1~11のうちのいずれか1項に記載の成形可能材料キャリア。
【請求項13】
前記固定部分は、前記可撓性シート
が前記ベースの前記周囲に接触して固定される前記可撓性シートの部分として形成されるか、或いは前記可撓性シートの部分を形成する第1の部分と前記第1の部分と嵌合する又は前記第1の部分によって締め付けられる前記ベースの部分を形成する第2の部分とで形成
される、請求項1~12のうちのいずれか1項に記載の成形可能材料キャリア。
【請求項14】
前記固定部分は、前記可撓性シートを前記ベースに
取り外し可能に固定するように構成される、請求項1~13のうちのいずれか1項に記載の成形可能材料キャリア。
【請求項15】
前記固定部分は、ユーザが前記固定部分を
取り外して前記可撓性シートを前記ベースから分離するのを助けるための指解放タブを含む、請求項14に記載の成形可能材料キャリア。
【請求項16】
前記固定部分は、
プルタブを用いて前記ベースから分離可能であり、前記可撓性シートを前記ベースに
取り外し可能に固定するために
クランプ機構を用いて前記ベースの上に固定されるように構成される、請求項14又は15に記載の成形可能材料キャリア。
【請求項17】
前記ベースは、
前記解剖学的構造の特定の部分のインプレッションを取った後に、前記成形可能材料の表面の構成を既知の基準点に対して記録することができるように、所定の位置及び向きにおいて前記ベースを
前記解剖学的構造の特定の部分の前記インプレッションを修正する生成装置に連結するように構成される連結部分を更に含む、請求項1~16のうちのいずれか1項に記載の成形可能材料キャリア。
【請求項18】
当該成形可能材料キャリアによって支持される前記解剖学的構造の特定の部分の前記インプレッションは、前記解剖学的構造の特定の部分と相互作用するよう
切断アタッチメントを案内するための案内チャネルを含
む、請求項1~17のうちのいずれか1項に記載の成形可能材料キャリア。
【請求項19】
解剖学的構造の特定の部分のインプレッションを得る際に使用するための成形可能材料キャリアを生成するための部品のキットであって、
可撓性シートと、
ベースと、
固定部分と
、を含み、
前記ベースは、
前記ベースの第1の側にある入口と
前記第1の側とは異なる前記ベースの第2の側にある出口との間で前記ベースを通じて進むチャネルを有し、
前記固定部分は、成形可能材料キャリアが
前記解剖学的構造の特定の部分に対して付勢されるときに、可撓性シートと前記ベース
の前記第2の側とによって画定される容積内の成形可能材料が前記
解剖学的構造の特定の部分と接触せずに前記
解剖学的構造の特定の部分のインプレッションを形成するように、前記成形可能材料が前記入口を通じて付勢されるときに、前記成形可能材料が前記出口から押し出され、前記容積内に収容されるように、前記出口の周りで前記可撓性シートを前記ベース
の前記第2の側で前記ベースの周囲に固定して前記出口を覆うように構成される、
部品のキット。
【請求項20】
前記解剖学的構造の特定の部分のインプレッションを形成するために前記
解剖学的構造の特定の部分に対して配置されるための成形可能材料を更に含む、請求項19に記載の部品のキット。
【請求項21】
前記固定部分は、前記可撓性シート
が前記ベースの前記周囲に接触して固定される前記可撓性シートの部分として形成されるか、或いは前記可撓性シートの部分を形成する第1の部分と前記第1の部分と嵌合する又は前記第1の部分によって締め付けられる前記ベースの部分を形成する第2の部分とで形成
される、請求項19又は20に記載の部品のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、手術部位のインプレッション(印象)(impressions)を生成する際に使用する成形可能材料キャリア(mouldable material carriers)に関する。しかしながら、具体的には、限定されるものではないが、本開示は、手術部位のインプレッションから外科ガイド(surgical guide)を形成する際に使用する成形可能材料キャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
特に整形外科において、成功裡の手術計画が実行されるために、外科インプラント及び人工器官の正確な配置が重要である。外科医を誘導して正しい方向及び/又は平面に沿って切削する(cut)或いは穿孔する(drill)のを助けるために、外科ガイドが手術において使用される。例えば、股関節置換術及び膝関節置換術では、外科医を誘導して正しい軸に沿って正しい位置において手術部位に穴を穿けるのを助けるために、しばしば、外科ガイドは、ガイド穴を備える。これはインプラントが正確かつ確実に嵌合されるのを保証する。
【0003】
特に、医療分野、歯科、整形外科では、(例えば、付加製造(additive manufacturing)を介する)迅速製造(rapid manufacturing)及びプロトタイピング(prototyping)技術を用いて、特注の外科ガイドのような患者特有の器具が作られている。これらの特注の外科ガイドは、特有の患者の解剖学的構造(手術部位)の特定の部分に精密に適合するために必要とされる。何故ならば、適合における如何なる不正確性も、外科処置における不正確性を引き起こし得るからである。
【0004】
患者の解剖学的構造に正確に適合し、インプラントが挿入されるための正確なガイドを提供するために、製造及びプロトタイピングシステムは、最小限の誤差で、手術部位の信頼できる表面データを提供される必要がある。手術部位が手術中に手術的に露出される必要がある場合(すなわち、手術部位にアクセスするために切開が必要とされる場合)、このデータは、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン又は磁気共鳴映像法(MRI)スキャンのような患者の術前スキャンを介して提供されることができる。それでもやはり、付加製造のような従来的な迅速製造及びプロトタイピング技術は、外科ガイド製造の精度及びロジスティックスを妨げる複数の不利点に悩まされている。
【0005】
多くの迅速製造技術及びプロトタイピング技術は、特注の機器を必要とし、外科ガイドが外科手術前に現地外で製造される必要があるように製造するのに時間を要する。これは手術中の外科医の選択肢を限定し、外科医を予め定められた手術計画に制限する。最も重要なことには、そのような予め製造されたガイドは、しばしば、手術中に手術部位に正確に適合しない。これは、何故ならば、手術部位が患者の体内にある場合、それが手術中にのみ露出されるからである。従って、外科ガイドは、患者のスキャンから形成され、この場合、表面データは、手術中の手術部位の実際の表面を反映しないことがある。これは、何故ならば、(例えば、手術部位内で股関節骨のような骨の表面を示すスキャンに基づく)全ての軟組織が部位から除去されるという仮定の下で、ガイドが製造されることがあるからである。しかしながら、実際には、外科医は、全ての軟組織を除去しないことがある。例えば、CTスキャンは、インプレッション面に存在することがある軟骨を示すことができないことがある。更に、MRIスキャンは軟骨を示す一方で、CTスキャンにおけるような容積閾値ではなく、境界閾値が使用されなければならない故に、セグメンテーションプロセス(手術部位に関連するスキャンの関連部分を抽出するプロセス)はMRIスキャンにとって困難である。この場合、残りの軟組織は、予め製造される外科ガイドを手術部位内に不十分に適合させ、外科処置における不正確さを引き起こし得る。ある場合に、外科医は、手術中に外科ガイドを完全に破棄し、適合の不十分な質の故に、ガイドなしで手術することが知られている。
【0006】
手術部位のインプレッションから外科ガイドを形成することも可能である。シリコーンインプレッション材料又は熱可塑性材料のような成形可能材料が、インプレッションを取るために使用されることがある。インプレッションは、材料が(例えば、インプレッション内にガイド穴を穿孔することを通じて)外科ガイドを作成するためにセットされた後に、修正されることがある。これは効果的である。何故ならば、手術部位に連結する外科ガイドの部分は、手術部位の直接的なインプレッションであるからである。これは迅速製造及びプロトタイピングに関連する誤差及び不確実性を除去し、手術中に外科ガイドを形成されることを可能にし、追加的な速度及び柔軟性を提供する。しかしながら、手術部位の正確なモールド(型)(mould)を得ることに関連する問題がある。モールドは、表面データを抽出するのに十分な詳細さを備えるインプレッションを得るために、手術部位の周囲に緊密に適合することを必要とする。その上、成形可能材料の一部は、手術部位の上に望ましくなく堆積されることがある。これは手術部位の汚染を引き起こし得る。従って、外科ガイドを作成する際に使用するために手術部位のインプレッションを得るための改良された手段についての必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、外科ガイドの作成のための改良されたインプレッション要素(印象要素)を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様によれば、ベースと、固定部分とを含む、手術部位のインプレッションを生成する際に使用するための成形可能材料キャリアであって、ベースは、入口と出口との間でベースを通じて進むチャネルを有し、固定部分は、成形可能材料キャリアが手術部位に対して付勢されるときに、可撓性シート及びベースによって画定される容積内の成形可能材料が手術部位と接触しないで手術部位のインプレッションを形成するように、成形可能材料が入口を通じて付勢されるときに、成形可能材料が出口から押し出され且つ可撓性シートとベースとによって画定される容積内に収容されるように、出口の周りで可撓性シートをベースに固定して出口を覆うように構成される、成形可能材料キャリアが提供される。
【0009】
容積内の成形可能材料は、手術部位と接触せずに手術部位のインプレッションを形成するので、手術部位は、成形可能材料によって汚染されない。出口の周りに可撓性シートを有することは、インプレッションが取られた後に成形可能材料が手術部位に堆積しないことも保証する。更に、可撓性シートは、成形可能材料キャリア内に成形可能材料を収容するので、成形可能材料は、インプレッションが取られるときに、手術部位の近傍から流出することができない。従って、成形可能材料は、インプレッションが取られるときに圧縮され、それによって、より正確なインプレッションをもたらす。更に、可撓性シート内に成形可能材料を収容することは、成形可能材料キャリアの使用をより容易にする。何故ならば、ユーザは成形可能材料がキャリアから落下することを心配する必要がないからである。
【0010】
固定部分は、可撓性シートを解放可能又は解放不能に固定することがある。すなわち、可撓性シートは、成形可能材料キャリアの一体部分を形成してよく、或いは取り外し可能であってよい。固定部分が可撓性シートをベースに解放可能に固定する場合、可撓性シートはベースから分離されてよい。これは、インプレッションの表面がより正確にスキャン及び修正されることを可能にするために、インプレッションと手術部位との間のより正確で確実な嵌合を保証するために、インプレッションが取られた後に、可撓性シートが除去されることを可能にする。
【0011】
固定部分は、クリップ、クランプ、ネジ、又は可撓性シートがベースに固定されることを可能にする任意の他の適切な固定システムであってよい。
【0012】
可撓性シートは、ベースからの可撓性シートの除去を助けるプルタブ(引張りタブ)を含んでよい。可撓性シートは、膜(membrane)であってよい。プルタブを有することは、ベースからの可撓性シートの除去を補助することができる。これは外科的環境において特に有利なことがある。何故ならば、多くの医療従事者は、可撓性シートを除去する際に困難を生むことがある使い捨て手袋又は他の衣類を着用することを必要とするからである。
【0013】
ベースは、実質的に剛性であってよいが、完全に剛性である必要はない。ベースは、成形可能材料を収容し且つ手術部位のインプレッションが取られることを可能にするためのキャリアを提供する成形可能材料キャリアの主要機能を依然として達成しながら、ある程度の柔軟性を有してよい。
【0014】
成形可能材料は、インプレッションが取られることを可能にするように最初に成形可能であってよいが、成形可能材料は、インプレッションが取られた後にその形態を維持するために、硬化する(harden)或いは固まる(set)ように構成されてよい。
【0015】
有利には、固定部分は、可撓性シートとベースとの間で出口の周りにシールを形成するように構成されてよい。
【0016】
可撓性シートとベースとの間で出口の周りにシールを形成することは、成形可能材料が可撓性シートとベースとの間に流出し得ないことを保証する。これは容積内の成形可能材料のより緊密な閉じ込め(confinement)を提供する。
【0017】
出口の周りに形成されるシールは、シールが出口を囲む(encircles)或いは取り囲む(surrounds)連続的な経路に沿って形成されることを意味する。シールと出口との間の直接的な接触の必要はない。シールは、成形可能材料が可撓性シートとベースとの間を通るのを防止するのに十分であればよいが、シールは、液密又は気密である必要はない。シールは、可撓性シートをベースに対してクランプする固定部分を通じて形成されてよい。
【0018】
有利には、成形可能材料キャリアは、出口を覆うためにベースに固定される可撓性シートを更に含んでよい。すなわち、可撓性シートは、成形可能材料キャリアの一部を形成してよい。
【0019】
有利には、可撓性シートは、弾力的であってよい。可撓性シートは、0.1~0.01GPaのヤング率を有してよいが、他のレベルの弾力性が使用されてよい。弾力的な可撓性シートを有することは、成形可能材料が可撓性シートを伸張させるときに、可撓性シートが成形可能材料の挿入に対する反力を提供することを保証する。これは、より正確なインプレッションを取ることができるように、容積内の成形可能材料を圧縮するのに役立つ。
【0020】
可撓性シートは、生体適合性であってよい。可撓性シートが患者の手術部位に接触するようになるので、可撓性シートが患者への害を避けるために生体適合性であることは有利である。
【0021】
有利には、出口は、成形可能材料が容積内に押し込まれた後に、成形可能材料がチャネルを通じ容積から流出することからを抗するよう、チャネルに対して減少された寸法を有する少なくとも1つの穴を含んでよい。
【0022】
チャネルに対して減少された寸法の少なくとも1つの穴を出口に含めることは、成形可能材料が両方向において出口を通過するための圧力要求を増大させる。成形可能材料は、ユーザによって容積内に強制的に押し込まれる(付勢される)ことができるので、成形可能材料は、出口を通じて成形可能材料を容積内に付勢するために、ユーザからの十分な力を有する。しかしながら、成形可能材料が容積の内側にあるとき、可撓性シートからの(又はインプレッションを取る行為からの)圧縮力は、チャネルに対して減少された寸法を有する少なくとも1つの穴によって課される圧力要求を克服するのに十分でない。よって、出口は一方向弁として作用して、成形可能材料を容積内に入れることを可能にするが、成形可能材料の流出に抗するという、有利な効果を提供する。
【0023】
有利には、少なくとも1つの穴は、出口に設けられる格子を介して形成される複数の穴であってよい。複数の穴を備える格子を提供することは、成形可能材料がチャネルを通じて容積から流出することに依然として抗しながら、成形可能材料がより速い速度で容積内に押し込まれることを可能にする。
【0024】
有利には、複数の穴は、出口に亘って均等に分配されてよい。これは出口からの成形可能材料の均一に分配をもたらし、それは、ひいては、容積の内側での成形可能材料の均一な分配を提供するのに役立つ。成形可能材料の均一な分配は、手術部位のより正確なインプレッションをもたらすのに役立つ。
【0025】
有利には、容積は、少なくとも部分的に、可撓性シートと、出口の周りでベース内に形成されるキャビティとによって画定されてよい。すなわち、可撓性シートは、ベース内のキャビティの上に固定されてよい。キャビティは、成形可能材料を少なくとも部分的に収容することができる空間を提供することができる。加えて、キャビティは、特に成形可能材料が硬化した後に、成形可能材料を成形可能材料キャリアに少なくとも部分的に連結するのを助けることができる。例えば、キャビティは、成形可能材料が、(例えば、キャビティ内への横方向突起を介して)長手方向においてもでないとしても、少なくとも(例えば、側壁を介して)横方向において、成形可能材料キャリア内を移動するに抗することができる。成形可能材料が依然として成形可能でありながら、成形可能材料は、キャビティの周りを依然として移動可能であってよいが、キャビティの壁は、成形可能材料がキャビティから流出するのを防止し、それによって、成形可能材料を成形可能材料キャリアに少なくとも部分的に連結する。成形可能材料が固まると、成形可能材料は、キャビティの形状に適合し、固まった材料による形状の変化に対する抵抗は、固まった材料を成形可能材料キャリアに少なくとも部分的に連結する。
【0026】
成形可能材料が可撓性シートによっても収容されているとしても、成形可能材料が成形可能材料キャリアに効果的に連結されることが重要である。第1に、成形可能材料及びキャリアの相対的な動きは、インプレッションが生成装置に効果的に位置合わせされることができ、外科ガイドを生成するために正確に修正されることができるのを保証するために制限されることが重要である。更に、確実な連結は、手術部位のインプレッションを正確に取るのを助ける。
【0027】
キャビティは、成形可能材料が出口から押し出されるときに、成形可能材料がキャビティに入るように、チャネルと流体連通してよい。キャビティは、キャビティを取り囲む壁によって少なくとも部分的に画定されてよい。これはベースの周囲の隆起したリム又はフランジの形態にあってよい。出口の周りでベース内に形成されるキャビティは、容積内に成形可能材料の少なくとも一部を収容してよい。有利には、ベースは、成形可能材料を成形可能材料キャリアに連結するのを助け、成形可能材料がキャビティ内に押し込まれた後にキャビティからの成形可能材料の除去に抗するのを助けるために、キャビティ内への少なくとも1つの突起を含んでよい。
【0028】
少なくとも1つの突起は、キャビティを取り囲む壁(例えば、ベースの周囲の周りの隆起したリム又はフランジ)からキャビティ内に横方向に突出してよい。「横方向に突出する(protruding laterally)」とは、突起が、横方向にある成分を少なくとも有する方向に沿って突出することを意味する。少なくとも1つの突起をキャビティ内に横方向に突出させることは、キャビティの側面(壁)と相乗的に作用する。具体的には、キャビティの側面は、成形可能材料の横方向の動きに抗するように構成されてよく、キャビティ内に横方向に突出する少なくとも1つの突起は、成形可能材料の長手方向の動きに抗するように構成されてよい。
【0029】
有利には、チャネルは、入口から出口までのその長さに沿って狭まってよい。入口から出口までのその長さに沿うチャネルの狭化は、成形可能材料ディスペンサが過剰に挿入されるのを防止する。これは成形可能材料ディスペンサの過剰挿入によって損傷を受けやすいことがある出口を保護する。加えて、チャネルの狭化は、成形可能材料ディスペンサの周りにシールを提供して、成形可能材料がチャネルを下りて戻り、成形可能材料ディスペンサの先端を越え、入口から流出することを防止するのに役立ち得る。
【0030】
加えて、入口は成形可能材料ディスペンサを成形可能材料キャリア内に挿入する際にユーザを案内するために面取りされて(beveled)よい。これは、ユーザが成形可能材料ディスペンサを入口と整列させるのを助けることによって、システムの使用をより容易にする。入口の面取された部分は、成形可能材料ディスペンサがチャネル及び入口を損傷するリスクも低減する。これは成形可能材料ディスペンサの強制的な挿入によって起こり得る。成形可能材料キャリアの内部内の構造的な欠陥は、不正確な案内チャネルをもたらし得る。
【0031】
有利には、成形可能材料が容積内に押し込まれるときに、容積内の空気が少なくとも1つの空気穴を通じて容積から流出することがあるように、少なくとも1つの空気穴が、ベースを通じて形成されてよい。これはインプレッションの精度に影響を与え得る空気が容積内に閉じ込められないことを保証するのに役立つ。少なくとも1つの空気穴は、ベースの周り均等に分配されてよい。空気穴の均一な分布は、空気が成形可能材料キャリアの内側の容積の特定の領域に蓄積されるのを防止する。容積の特定の領域における空気の過剰蓄積は、可撓性シートによる成形可能材料の閉じ込めを妨げる。これは容積内の過剰な空気の追加的な寸法の故に手術部位の不正確なインプレッションにつながることがある。
【0032】
有利には、固定部分は開口を含み、可撓性シートは、可撓性シートが固定されるときに、開口を通じて露出されて、インプレッションが可撓性シートを通じて取られることを可能にする。例えば、固定部分は、ベースの周囲を覆って固定される一方で、インプレッションを取ることができるように、可撓性シートが露出されることを保証する、保持リングの形態にあってよい。成形可能材料が容積内に挿入されるとき、可撓性シート及び成形可能材料は、固定部分にある開口を通じて突出してよい。
【0033】
有利には、固定部分は、可撓性シート及びベースの一方又は両方の一部を形成してよい。
【0034】
例えば、固定部分は、可撓性シートの部分を形成するか、或いは可撓性シートに接続されてよく、ベースに解放可能に固定されるように構成されてよい。この点に関して、固定部分は、ベースを固定することがある開口を形成する可撓性シートの弾力的にされた区画であってよい。開口は、ベースよりも小さい(例えば、より小さい断面を有する)ので、固定部分は、可撓性シートをベースに固定するために、ベースの周囲の上で伸張されなければならない。
【0035】
代替的に又は追加的に、固定部分は、ベースの一部を形成してよく、或いはベースに接続されてよい。例えば、固定部分は、可撓性シートをベースにクランプするためのクランプを含んでよい。
【0036】
上記に加えて、固定部分は、2つの区画、すなわち、可撓性シートの一部を形成する第1の区画、及びベースの一部を形成する第2の区画で形成されてよい。これらの2つの部分は、可撓性シートをベースに固定するために相互作用してよい。例えば、可撓性シートをベースに固定するために、2つの区画の一方は、(例えば、干渉嵌めを介して)他方の区画内に嵌合してよい。
【0037】
有利には、固定部分は、ベースから分離可能であってよく、可撓性シートをベースに解放可能に固定するためにベース上に固定されるように構成されてよい。これは可撓性シートをベースにクランプするためのクランプ機構をもたらす。
【0038】
有利には、固定部分は、ユーザが固定部分を解放して可撓性シートをベースから分離するのを助けるための指解放タブを含んでよい。これは固定部分を解放するのを助けるための足掛かり(purchase)をユーザに提供することができる。
【0039】
有利には、固定部分は、可撓性シートをベースに解放可能に固定するように構成されてよい。これは可撓性シートが分離されることを可能にするので、インプレッションの表面を生成装置によってスキャンし且つ修正して外科ガイドを生成することができ、インプレッション/外科ガイドをより確実に手術部位に戻して嵌合させることができる。
【0040】
有利には、ベースは、手術部位のインプレッションが取られた後に、成形可能材料の表面の構成を既知の基準点に対して記録することができるよう、所定の位置及び向きにおいてベースを生成装置に連結するように構成される連結部分を更に含んでよい。これは、システムの再較正を繰り返すことを必要とせずに(インプレッションを生成装置と再位置合わせすることを必要とせずに)、生成装置によって自動的により正確に、インプレッションの表面がスキャンされること及びインプレッションが修正されることを可能にする。連結部分は、ベースが所定の位置、向き又は構成において生成装置に固定されることを保証する連結要素であってよい。
【0041】
成形可能材料キャリアは、穿孔又は切削を通じた成形可能材料キャリアの修正を通じて外科ガイドを生成する際の使用に適することがある。ベースは、外科ガイドのための(複数の)ガイド穴を形成するための切削又は穿孔に適した材料上に形成されてよい。
【0042】
有利には、成形可能材料キャリアは、手術部位と相互作用するように外科構成要素を案内するための案内チャネルを含むように修正されよい。成形可能材料キャリアは、外科ガイド自体として使用されてよい。成形可能材料キャリアは、手術部位のインプレッションを支持するので、成形可能材料キャリアは、高い精度でその案内チャネルを通じて外科構成要素を案内するために同じ手術部位に再位置決めされることができる。
【0043】
本発明の別の態様によれば、手術部位のインプレッションを得る際に使用するための成形可能材料キャリアを生成するための部品のキットであって、可撓性シートと、ベースと、固定部分とを含み、ベースは、入口と出口との間でベースを通じて進むチャネルを有し、固定部分は、成形可能材料キャリアが手術部位に対して付勢されるときに、可撓性シートとベースとによって画定される容積内の成形可能材料が手術部位と接触せずに手術部位のインプレッションを形成するように、成形可能材料が入口を通じて付勢されるときに、成形可能材料が出口から押し出され、可撓性シートとベースとによって画定される容積内に収容されるように、出口の周りで可撓性シートをベースに固定して出口を覆うように構成される、部品のキットが提供される。
【0044】
部品のキットは、手術部位のインプレッションを形成するために手術部位に対して配置されるための成形可能材料を更に含んでよい。
【0045】
部品のキットの固定部分は、可撓性シート及びベースの一方又は両方の一部を形成してよい。
【0046】
更なる態様によれば、手術部位のインプレッションを得る際の使用のための成形可能材料キャリアが提供され、成形可能材料キャリアは、ベースと、固定部分とを含み、固定部分は、成形可能材料キャリアが手術部位に対して付勢されるときに、可撓性シートとベースとによって画定される容積内の成形可能材料が手術部位と接触することなく手術部位のインプレッションを形成するように、可撓性シートをベースに固定して、可撓性シートとベースとによって画定される容積内に成形可能材料を収容するように構成される。有利には、固定部分は、可撓性シートをベースに解放可能に固定してよい。
【0047】
更なる態様によれば、手術部位のインプレッションを得る際の使用のための成形可能材料キャリアを生成するための部品のキットが提供され、部品のキットは、ベースと、固定部分を含む可撓性シートとを含み、固定部分は、成形可能材料キャリアが手術部位に対して付勢されるときに、可撓性シートとベースとによって画定される容積内の成形可能材料が手術部位と接触することなく手術部位のインプレッションを形成するように、可撓性シートをベースに固定して、可撓性シートとベースとによって画定される容積内に成形可能材料を収容するように構成される。ある実施形態によれば、可撓性シートの固定部分は、可撓性シートの開口であり、可撓性シートは、少なくとも開口で弾力的であり、可撓性シートがベースの上に固定されることを可能にする。ある実施形態によれば、可撓性シートは、入口を含み、成形可能材料は、入口を通じて、容積内に押し込まれてよい。
【0048】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して本明細書に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明のある実施形態と共に使用するための生成装置を示している。
【
図2】本発明のある実施形態に従った成形可能材料キャリアを示している。
【
図3】
図2の成形可能材料キャリアの断面図を示している。
【
図4】
図3の成形可能材料キャリアの入口チャネルの拡大図を示している。
【
図5】成形可能材料キャリアの斜視分解図を示している。
【
図7】
図6の成形可能材料キャリアのリムの拡大断面図を示している。
【
図8】シリンジと共に使用する際の成形可能材料キャリアの斜視図を示している。
【
図9】シリンジと共に使用する際の成形可能材料キャリアの断面図を示している。
【
図10】成形可能材料の挿入前の成形可能材料キャリアの斜視図を示している。
【
図11】成形可能材料の挿入後の成形可能材料キャリアの斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本明細書に記載する実施形態は、外科ガイドの作成のための手術部位のインプレッション(印象)(impression)を形成するための改良された成形可能材料キャリア(mouldable material carrier)を提供する。より具体的には、実施形態は、インプレッションが取られることがある可撓性シート(フレキシブルシート)の使用を通じて成形可能材料キャリア内の成形可能材料の保持を可能にすることによって、手術部位の正確なインプレッションを安全かつ効果的に提供する、インプレッション要素(印象要素)に関する。これは、特に周囲で、成形可能材料をコンパクト化(圧縮)して、手術部位との確実な嵌合(fit)を提供するのに役立つとともに、過剰な成形可能材料が手術部位に流出するのを回避する。
【0051】
図1は、本発明のある実施形態と共に使用するための生成装置100を示している。製造装置100は、外科ガイドを生成するために(本明細書に記載する成形可能材料キャリアを用いて取られる)手術部位のインプレッションを修正するように構成される。生成装置100は、手術室内で使用されて、手術台の隣に位置付けられることが意図される。
【0052】
生成装置100は、交換可能な切削アタッチメント110(cutting attachment)に連結するように構成された連結区画160と、外科ガイドキャリア150が取り付けられることがある取付点130とを含む。外科ガイドキャリア150は、外科ガイドのための取り外し可能な取付点である。外科ガイドキャリア150は、所定の位置及び向きにおいて手術部位のインプレッションを生成装置100に固定するように構成される。生成装置100は、インプレッションの表面をスキャン(走査)するためのスキャナ120を含む。
【0053】
生成装置100は、インプレッションの表面をスキャンし、これを患者の解剖学的構造の格納された医療スキャンと比較する、ように構成される。この医療スキャンは、MRIスキャン、CTスキャン、又は患者の解剖学的構造を記録できる任意の他のスキャンであってよい。インプレッションの表面のスキャンは、光学スキャン又はインプレッションの表面の幾何学的形状を測定することができる任意の他のスキャンであってよい。
【0054】
生成装置100は、インプレッションを患者の解剖学的構成に位置合わせする(レジストレーションする)(register)ように構成される。これは、生成装置100が、所定の手術計画に従って外科ガイドを製造するために、外科ガイド穴がインプレッションに穿孔される必要がある場所を決定することを可能にする。
【0055】
位置合わせプロセスは、ガイド穴が正しい位置に穿孔されることを保証するために、生成装置100がインプレッションに対してそれ自体を較正することを可能にする。
【0056】
切削アタッチメント110は、生成装置100の連結区画160で生成装置100に解放可能に取り付けられることができる。連結区画160は、切削アタッチメント110を駆動するためのモータに接続される。
【0057】
外科ガイドキャリア150は、生成装置100の取付点130に解放能に取り付けられることができる。取付点130は、生成装置100のジンバル140に取り付けられる。ジンバル140は、取付点を回転させるように構成されるモータと、外科ガイドキャリア150とを含む、(水平面に沿って)地面に対して平行に走る傾斜軸の周りの回転機構の一部を形成する。
【0058】
回転機構は、ジンバル上に配置されるヨー軸駆動部材を更に含む。ヨー軸駆動部材は、外科ガイドキャリア150にあるヨー軸キー溝と噛み合って、傾斜軸から径方向に走るヨー軸の周りで外科ガイドキャリアの回転可能区画を回転させるように構成される。
【0059】
従って、回転機構は、生成装置100が、傾斜軸の周りで外科ガイドキャリア150を回転させること及び手術部位のインプレッションをヨー軸の周りで回転させることを可能にして、インプレッションを正しい向きに移動させて、外科ガイド穴が正しいラインに沿って形成されることを可能にする。
【0060】
ジンバル140は、生成装置100が外科ガイドキャリア150を前方の向きに回転させることも可能にして、外科ガイドが生成装置100に連結されること及び生成装置100から分離されことを可能にし、生成装置100が外科ガイドキャリア150を後方の向きに回転させることも可能にして、生成装置100が手術部位のインプレッションの表面をスキャンしてインプレッションを修正するための計画を生成することを可能にする。
【0061】
連結区画160は、可動アームに配置される。生成装置は、可動アームを(
図1に示す)3つの直交方向x、y及びzに沿って移動させることができるように構成される。これは、生成装置100が、切削アタッチメント110を正しい位置に位置付けることを可能にし、切削アタッチメント110をインプレッション内に駆動して、所要の場所でインプレッション内に外科ガイド穴を生成することを可能にする。
【0062】
取付点130は、インプレッションが修正されているときに、インプレッションからの残骸(デブリ)が下向きに落下し、インプレッションから離れ、切削要素に向かうように、連結区画160の上方に配置される。
【0063】
生成装置を用いて手術部位のインプレッションをスキャンし修正する一般的なプロセスは、(その全文を参照により本明細書に援用する)特許文献1においてより詳細に議論されている。
【0064】
本明細書に記載する実施形態は、一般的には、(
図2~
図11に示す)成形可能材料キャリアに向けられており、具体的には、
図1に示す例のような生成装置と共に使用するための成形可能材料キャリアに向けられている。成形可能材料キャリアは、手術部位のインプレッションが取られることを可能にし、インプレッションが修正されるときに外科ガイドの一部を形成する。
【0065】
本明細書に記載する実施形態によれば、成形可能材料キャリアは、可撓性シートを介してキャリア内に成形可能材料を収容するように構成され、可撓性シートを通じてインプレッションが取られることがある。これは、成形可能材料が手術部位に接触することなく、手術部位のインプレッションが取られることを可能にする。これは成形可能材料が不必要に手術部位に堆積されるのを防止し、汚染を防止する。この可撓性シートを用いないならば、成形可能材料は、手術部位内に堆積されることがあり、手術を完し得る前に除去することを必要とする場合がある。
【0066】
更に、可撓性シートは、インプレッションが取られる間に、成形可能材料が圧縮されることを可能にする。これは、手術部位により正確に嵌合し且つ手術部位のスキャンにより効果的に位置合わせされることができるインプレッションが取られることを保証する。位置合わせソフトウェア(レジストレーションソフトウェア)は、しばしば、エッジ検出を利用して、インプレッションの向きを検出し、これを(手術部位の術前スキャンを介して)手術計画と一致させる。本発明者は、非拘束成形可能材料(一軸成形可能材料)(unconfined mouldable material)で取られたインプレッションが、インプレッションを取るときに、周囲に押し出される成形可能材料をもたらし得ることを見出した。これは乱雑でギザギザの外側形状をもたらし得る。これは生成装置がインプレッションを手術計画と位置合わせすることをより困難にするだけでなく、手術部位の周囲での確実な嵌合の低下も引き起こす。成形可能材料を可撓性シート内に拘束する(閉じ込める)ことによって、成形可能材料は、手術部位の直ぐ近傍から流出することが防止され、手術部位の周囲で圧縮されて、手術部位の周囲でより明確でより確実な嵌合を形成する。
【0067】
加えて、可撓性シートは、より成形可能な材料が効果的に使用されることを可能にする。可撓性シートは、成形可能材料キャリアの内側の容積内に成形可能材料を閉じ込める。従って、成形可能材料が使用中に成形可能キャリアから離れることなく、より成形可能な材料を使用することができる。より多量の成形可能材料が使用されることを可能にすることによって、これは、特にエッジ面のために、手術部位の周囲のより良い嵌合も提供する。
【0068】
デバイス内への成形可能材料の挿入を助けるために、(
図8及び
図9に示す)成形可能材料ディスペンサが、シリンジの一般的な形態で提供されてよい。これは、成形可能材料キャリアにある入口を通じて成形可能材料キャリア内に成形可能材料を計量分配(ディスペンス)するために使用されることができる。
【0069】
成形可能材料キャリア内に計量分配される成形可能材料を用いて手術部位のインプレッションを取ることができる。ひとたびインプレッションが取られると、外科ガイドキャリア150が生成装置100に取り付けられるときに、外科ガイドキャリア150を介して成形可能材料キャリアを生成装置100に連結することができる。次に、生成装置100は、手術部位のインプレッションをスキャンし、切削アタッチメント110を用いてインプレッションを修正することができる。
【0070】
滅菌された手術室看護師が生成装置100の調製を実行することができる。個々のアクセサリ(付属品)は、二重包装又はブリスタパック構成のいずれかで供給されることができる。次に、外回り看護師は、外側包装を開いて、特に手術室看護師による使用のために滅菌されたアクセサリを無菌で移すことができる。
【0071】
図2は、本発明のある実施形態に従った成形可能材料キャリア200を示している。成形可能材料キャリア200は、ベース210と、保持リング400と、可撓性シート300とを含む。保持リング400は、可撓性シート300をベース210に固定するように構成される。成形可能材料キャリア200は、(
図3に示す)入口を含み、成形可能材料は、入口を通じて、成形可能材料キャリア200内に注入されてよい。ひとたび注入されると、成形可能材料は、可撓性シート300とベース210との間に位置する。
【0072】
可撓性シート300は、手術部位の正確なインプレッションが取られることを可能にするように十分に可撓(フレキシブル)でありながら、インプレッションが取られる間に成形可能材料が手術部位に流出することを防止する、バリヤとして作用する。有利には、可撓性シート300は、成形可能材料をコンパクト化し、より正確なインプレッションを形成するのを助けるよう、弾力的(elastic)であってよい。可撓性シートは、0.1~0.01GPaのヤング率を有してよいが、他のレベルの弾力性が用いられてよい。
【0073】
保持リング400は、ベース210の周囲を取り囲むリングの形態にある。従って、保持リング400は、可撓性シート300をベース210のエッジの周りに固定する。保持リング400は、連続経路に沿って可撓性シート300を固定し、それによって、可撓性シート300とベース210との間のシールを形成する。シールとは、成形可能材料が可撓性シート300とベース210との間を通らないように、可撓性シート300がベース210に対して固定されることを意味する。シールは、気密又は水密である必要はない。
【0074】
保持リング400は、可撓性シート300がベース210から除去されることがあるように、可撓性シート300をベース210に解放可能に固定する。保持リング400は、ユーザが保持リング400をベース210から解放するのを助けるハンドル又はレバーを提供する指解放タブ412を含む。
【0075】
ベース210は、連結部分212を含む。本実施形態では、連結部分212は、ベース210の側壁に沿って進む2つのチャネルの形態にある。連結部分212は、所定の位置及び向きにおいて(この場合には、外科ガイドキャリア150にある対応する溝を介して)生成装置100と連結するように構成される。これは、ひとたび成形可能材料キャリア200が生成装置100に位置合わせされると、成形可能材料キャリア200がその後に分離され且つ生成装置100と再連結されるかどうかに拘わらず、成形可能材料キャリア200と生成装置100との間の位置合わせ(レジストレーション)が維持されることを保証する。
【0076】
図3は、
図2の成形可能材料キャリア200の断面図を示している。成形可能材料キャリア200は、可撓性シート300を成形可能材料キャリアのベース210に固定し、成形可能材料が可撓性シート300及びベース210によって画定される容積240内に閉じ込められるような方法において成形可能材料を受け入れる、ように構成される。
【0077】
チャネル220が、ベース210の中心に形成されて、入口222と出口224との間でベース210を通過する。入口222は、可撓性シート300が固定されるベース210の前側(front side)とは反対のベース210の後側(rear side)に配置される。出口224は、ベース210の前側に配置される。容積240は、ベース210の前側と可撓性シート300との間の空間によって画定される。
【0078】
ベース210は、出口224を取り囲む周壁(peripheral wall)を含む。周壁は、前側の周囲(periphery)に配置され、ベース210の前側内にキャビティ242(空洞)を画定する。キャビティ242は、ベース210の前側にある凹み(indent)であり、側壁及びキャビティの底によって形成されている。出口224は、キャビティの底に配置されている。
【0079】
リムがフランジ214の形態において周壁の外側の周りに形成されている。これはベース210の周りに延在する。フランジ214は、ベース210の前側に配置され、出口224から径方向に離れる方向に延びている。フランジ214は、周壁の頂端に配置されるので、フランジ214は、キャビティ242のベースの上方に高められている。
【0080】
アンダーカット(undercut)が周壁の内側に形成されている。アンダーカットは、キャビティ242の底と、周囲の内側からキャビティ242の中心に向かって径方向に突出するリップ215との間に画定される。従って、リップ215は、キャビティ242内に突出する突出部分を形成する。すなわち、突出の方向は、出口224に向かって収束する。リップ215は、ベースの前側と接触しないように、キャビティ242の底の上方に位置付けられる。アンダーカットは、成形可能材料とモールドとの間のキーを提供する。成形可能材料がキャビティ242を満たすためにキャビティ242内に押し込まれると、それはアンダーカットも満たす。従って、成形可能材料が硬化すると、リップ215は、成形可能材料に連結して、成形可能材料が成形可能材料キャリア200から分離するのを防止する。
【0081】
出口224は、出口224がキャビティ242内に突出するように、キャビティ242の底の上方に隆起する上向きに突出する台地(プラトー)内に配置されている。この上向きの突出は、材料が手術部位内に十分に嵌合するように成形されるように、材料をドーム形状に形成するのに役立つ。出口224の開口は、格子を介して提供される穴で構成される。穴は、ハニカム構成において均一に分配されている。これは成形可能材料の均一な分布を提供するのに役立つ。
【0082】
チャネル220に対して減少させられた寸法を有する穴は、成形可能材料が(例えば、シリンジを介して)キャビティ内に押し込まれることを可能にするが、成形可能材料がキャビティから流出することに抗する。従って、穴は、如何なる可動部品又はより複雑な機構を必要としない単純な一方向弁として作用する。これは、ベース210を単一ステップにおいて(例えば、射出成形又は付加製造を介して)容易に製造し得ることを意味する。更に、より複雑な弁機構の使用を回避することによって、ベース210は、より堅牢(ロバスト)であり、(例えば、ガイド穴又はガイドチャネルの穿孔又は切削を介して)外科ガイドを生成する修正に適する。可動部品を備える弁機構が提供されるならば、これは修正中に粉砕のリスクがあり、手術部位内に留まり(lodge)得る過剰な残骸を生じさせ得る。
【0083】
可撓性シート300は、ベース210のフランジ214の外周に固定される。可撓性シート300は、保持リング400の部分を形成する固定部分410によってフランジ214に固定される。固定部分410は、フランジ214に留まる(clip)ように構成される保持リング400の内向き面に溝を含む。(フランジ214上の)ベース210の外側エッジ上に保持リング400を留めることによって、可撓性シート300は、保持リング400とベース210との間にクランプされる。この構成において、可撓性シート300は、ベース210のフランジ214のエッジの周りに巻き付けられて、ベース210の前側に亘るシールを形成する。保持リング400は、可撓性シート300がベース210の前側全体を覆うように、可撓性シート300をフランジ214の側面及びエッジにクランプする。
【0084】
空気穴250が、フランジ214を通じてフランジの前側からフランジの後側に形成される。空気穴250は、フランジ214の全周に均等に分配される。空気穴250は、容積内の空気が空気穴250を通過することがあるように、フランジ214の全厚を通じて進む。これは、成形可能材料が容積240内に押し込まれる間に、空気が容積240から流出することを可能にする。ベース210の本体を通じてではなく、フランジ214に空気穴250を設けることによって、空気穴250は、ベース210の周囲に向かって配置される。ベース210の周囲に向かって空気穴250を設けることによって、空気は、成形可能材料が中央に配置されたチャネルから外向きに空気穴250に向かって移動するにつれて、より効果的に容積から押し出される。空気穴250は、出口224にある穴と同様の大きさであり、それらは空気が通過するのを可能にする程に十分に大きいが、成形可能材料が通るのに抗する程に十分に小さい。
【0085】
使用中、成形可能材料は、入口222を通じて容積240内に挿入されることがある。次に、成形可能材料は、チャネル220を下って進み、出口224を通じて放出され、容積240内に堆積される。
【0086】
より多くの成形可能材料が成形可能材料キャリア200の容積240内に挿入されるにつれて、成形可能材料は、ベース210及び可撓性シート300によって画定される容積240のより多くの空間を占める。成形可能材料は、可撓性シート内に含まれる。これは成形可能材料が成形可能材料キャリア200内に収容されることを意味する。これは成形可能材料が手術部位のような望まれない領域に広がることを防止する。
【0087】
この成形可能材料キャリアを使用してインプレッションを取るプロセスは、キャリアの容易な操作の故に、より少ないユーザスキルを必要とする。何故ならば、キャリアは、手術部位内で材料を広げないからである。更に、成形可能材料キャリアは、インプレッションに改良された品質のモールド表面を提供する。何故ならば、成形可能材料は、手術部位に接触せず、如何なる流体とも相互作用しないからである。これは、(手術部位内の下に位置する骨の表面のような)下に位置する手術部位をより良く表す、より一層滑らかな表面を提供する。
【0088】
その上、本実施形態において、可撓性シート300は、弾力的である。これは可撓性シート300が成形可能材料に圧縮力を提供することを意味する。周囲で、膜の表面圧力は、加えられる力(インプレッションが取られる方向)に対して垂直な力を提供して、エッジで表面をより正確に取り込む(キャプチャする)。これは、何故ならば、成形可能材料がエッジで保持され、圧縮されるからである。従って、インプレッションの本体から広がって、インプレッションの本体から潜在的に分離する代わりに、エッジにおける成形可能材料は、保持され、ある場合には、インプレッションが取られている身体部のエッジの周りに巻き付く。これは手術部位における身体部とのより正確な位置合わせを提供するのに役立つ。これはインプレッションの表面が患者のスキャンに整合されるのをより容易にして、インプレッションを修正するための修正計画が生成されるべき外科ガイドを作成するのを可能にするのみならず、インプレッションが手術部位とより確実な嵌合を形成することも保証する。
【0089】
上記に加えて、成形可能材料が可撓性シート300によって成形可能材料キャリア200内に収容されるので、成形可能材料キャリア200は、成形可能材料が成形可能材料キャリア200から分離するというリスクなしに、キャビティの底に対して様々な角度でインプレッションを取るために使用されることがある。すなわち、インプレッションは、成形可能材料キャリア200を成形可能材料キャリア200の前側に対して垂直な方向において手術部位に対して付勢することによって取られる必要がない。代わりに、インプレッションは、可撓性シート300が成形可能材料キャリア200内で成形可能材料を保持するように作用する間に、成形可能材料キャリア200を様々な角度において手術部位に対して付勢することによって取られてよい。
【0090】
可撓性シート300はベース210に固定されるので、ユーザは、使用中に成形可能材料を成形可能材料キャリアから分離するリスクなしに、より大量の成形可能材料を使用することができる。より多くの成形可能材料を使用することは、成形可能材料キャリア200が手術部位のより大きな部分の周りに巻き付くという利点を提供し、それはより多くの表面データが位置合わせされることを可能にする。それはより小さな手術部位のためにエッジ面のより正確なインプレッションを得るという利点も提供する。
【0091】
手術部位のインプレッションが成形可能材料キャリア200によって取られた後に、容積240の内側の成形可能材料は硬化させられて、手術部位の固められたインプレッション(set impression)を形成することがある。これは、インプレッションを有意に変形させないで、外科ガイドを作成するために、インプレッションが生成装置100によって修正されることを可能にする。次に、修正されたインプレッションは、手術部位に戻されて嵌合させられ、外科ガイドとして使用されることができる。
【0092】
本実施形態において、ベース210は、実質的に剛性であってよい。それはプラスチックのような剛性の生体適合性材料で形成されてよい。これにも拘わらず、ベース210は、完全に剛性である必要はない。ベース210は、成形可能材料を収容することと、材料を取り扱い且つ生成装置100に連結するためのキャリアを提供することという、成形可能材料キャリア200の主要機能を依然として達成しながら、ある程度の柔軟性を有することができる。ベース210は、成形可能材料キャリア200によって提供される手術部位のインプレッションを変更しない程に十分に剛性であってよいが、使用中に曲がるようある程度の柔軟性を依然として有してよい。
【0093】
可撓性シート300は、生体適合性材料で構成されてよい。特に、可撓性シート300は、手術部位内の組織に損傷を与える効果を生じさせない材料であってよい。具体的には、限定されるわけではないが、可撓性シートのための潜在的な材料の例は、ネオプレン、ラテックス、ポリシオプレン及びニトリルポリマを含む。
【0094】
図4は、
図3の成形可能材料キャリア200のチャネル220の拡大図を示している。チャネル220は、ベース210の中心内に形成され、入口222と出口224との間でベース210を通過する、円筒状チャネルである。入口222は、可撓性シート300が固定されるベース210の前側とは反対のベース210の後側に配置される。出口224は、ベース210の前側に配置される。
【0095】
出口224は、その表面に複数の出口穴226を含み、表面は、隆起部分228によって高められている。出口224は、ベース210の前側の上方で隆起表面に形成されている。出口穴226は、隆起表面にハニカム形状で均等に分配されている。入口222は、チャネル220を通じて流体連通して出口224に接続された穴である。入口222は、その周囲の周りで傾斜している。
【0096】
入口222と出口224とを接続するチャネル220は、出口224の直径が入口の直径よりも小さいように、その長さに沿って当接部223(アバットメント)を含む。当接部223は、チャネル220に沿って入口222から出口224へのチャネルの幅の減少である。
【0097】
当接部223は、出口224に接続する円筒状チャネルの端に形成される。この円筒状チャネルは、入口222を介して開口する円筒状チャネルよりも狭い。成形可能材料は、通常は(
図8及び
図9に示す)シリンジの一般的な形態において、成形可能材料ディスペンサを介して、成形可能材料キャリア200の容積240内に挿入されてよい。当接部223は、ユーザがそのような成形可能材料ディスペンサをチャネル220に過剰に挿入することを制限する。これは、出口穴226を形成する格子が成形可能材料ディスペンサの過剰挿入から損傷しがちであることがある、出口224を保護する。従って、当接部223は、入口222の直径と同様の直径を有するシリンジが、チャネル220を通じて最初から最後まで挿入されることを防止するように構成される。当接部223は、成形可能材料が入口222を通じて戻るのではなく出口224に向かって方向付けられることを保証するのにも役立つ。
【0098】
入口222の傾斜した部分は、成形可能材料ディスペンサが成形可能材料キャリア200を損傷するというリスクも低減する。入口222の傾斜した部分は、ユーザが成形可能材料ディスペンサをチャネル220内に案内するのを助ける。成形可能材料キャリア200は外科ガイド自体として使用されることがあるので、位置合わせ、修正又は外科ガイド配置の精度を妨げることがある成形可能材料キャリアに存在する構造的欠陥がないことが重要である。
【0099】
成形可能材料がチャネル220を通じて成形可能材料キャリア200の入口222に挿入されると、成形可能材料は出口穴226を通じて押し出される。十分な成形可能材料が(
図3に示す)容積240の内側に蓄積するならば、可撓性シート300は、容積240の内側にある成形可能材料に対して反力を及ぼす。結果的に、容積240の内側の成形可能材料は、出口224に対して付勢される。
【0100】
従って、出口穴226は、成形可能材料が容積240内に押し込まれた後に、成形可能材料がチャネルを通じて容積240から流出するのに抗するよう、チャネル220に対して減少させられた寸法を有する。これは成形可能材料が出口穴226の格子を通過するための高圧要求が生み、実質的に格子を一方向弁として作用させる。具体的には、高圧要件は、成形可能材料がユーザによって意図的に容積240内に押し込まれることを可能にするが、可撓性シート300からの反力からの低圧に効果的に抗するという利点を提供する。出口224の格子は、インプレッションがユーザによって取られるときに成形可能材料が容積240から流出するのに抗する。
【0101】
高圧要件は、成形可能材料キャリア200が手術部位に押し付けられてインプレッションを形成するときに、手術部位からの反力に抵抗するのに十分な程に大きい。出口224は、可動部品を備える機構を必要とせずに、一方向弁として作用する。これは成形可能材料キャリア200がより単純且つより安価なプロセスで製造されることを可能にする。成形可能材料キャリア200は、外科ガイドを形成するために生成装置100によって修正されるようにも構成される。成形可能材料キャリア200の単一のベース210に一体化された複数の構成を有することは、より安全且つより効果的な修正を提供する。可動部品の不存在は、修正中にベース210から分離する破片又は残骸のリスクを減少させる。
【0102】
有利には、出口穴226は、出口224に亘って均一な分布を有する。均一な分布は、成形可能材料が出口穴226を通じて押し出されるときに、キャビティ242内で成形可能材料の均一な分布をもたらす。
【0103】
図5は、成形可能材料キャリア200の斜視分解図を示している。分解図は、成形可能材料キャリア200の3つの分離可能な部分、すなわち、ベース210、可撓性シート300、及び保持リング400を示している。3つのコンパートメントの周囲は、それらが互いに整列するように構成されるように、類似の断面を有する。この特定の実施形態における断面は、長円形状である。成形可能材料キャリア200は、可撓性シート300をベースの前側の上に配置し、可撓性シート300をフランジ214の周りに巻き付けることによって、組み立てられる。次に、可撓性シート300は、保持リング400をフランジ214固定部分410の上に留めることによって固定される。
【0104】
固定部分410の保持リング400は、開口411を含み、可撓性シートを通じてインプレッションが取られることを可能にするために、可撓性シートが固定されるときに、可撓性シートは、開口411を通じて露出される。
【0105】
全ての図を参照して記載した成形可能材料キャリアは、可撓性シート300がベース210の周りに嵌合し、保持リング400が可撓性シート300の周りに嵌合するように、類似の断面を有する、ベース210、可撓性シート300、及び保持リング400を有する。3つの区画が一緒に組み立てられることを可能にすることができる多くの異なる構成がある。例えば、可撓性シート300が正方形又は円形の周囲を有するならば、成形可能材料キャリア200は、上述の全ての機能を依然として実行することができる。従って、成形可能材料キャリア200の形状、又は成形可能材料キャリア200の少なくとも断面は、特定の用途のために(例えば、手術部位の形状に適合するように)適合させられることができる。
【0106】
図6は、ベース210の平面図を示している。出口224は、キャビティ242内で、ベース210の前面の断面の中心に配置されている。フランジ214は、ベース210の周囲の周りにリングを形成する。空気穴は、フランジ214に沿って均等に分配されている。
【0107】
図7は、
図3の成形可能材料キャリア200のリム固定部分410の拡大断面図を示している。フランジ214は、中心から径方向に、キャビティ242の底の上方に、ベース210から横方向に延びている。フランジ214は、空気がキャビティ242から空気穴250を通じて流れ得るように、等しく離間した空気穴250を有する。ベース210は、フランジ214の内周から延びるリップ215を更に含む。リップ215は、キャビティ242内に突出した突出部分であり、突出の方向は、出口224に向かって収束する。リップ215は、リップがベースの前側に接触せず、代わりにアンダーカットを形成するように、キャビティ242の底の上方に位置付けられる。
【0108】
可撓性シート300は、固定部分410を介して保持リング400によってベース210のフランジ214に固定される。固定部分410は、フランジ214と類似の寸法の溝413(又はチャネル)の形態にあり、フランジ214の上に嵌合し、フランジ214と固定部分410との間に干渉嵌めを提供する、ように構成される。
【0109】
可撓性シート300は、フランジ214のエッジの周りに巻き付く。保持リング400は、可撓性シート300上でフランジ214のエッジに留まることによって、ベース210に固定される。保持リング400は、可撓性シート300をフランジ214の周囲の周りにクランプする溝413によって、フランジ214のエッジに留まる。これを達成するために、保持リング400は、弾性的に変形可能である。
【0110】
指解放タブ412が、保持リング400の周囲からの横方向突起として設けられる。これはハンドル又はレバーとして作用して、ユーザが固定部分410をベース210から解放するために保持リングで手がかり(purchase)を得ることを可能にする。従って、保持リング400は、可撓性シート300をベース210に解放可能に固定する。
【0111】
使用中、可撓性シート300は、手術部位のインプレッションが取られているときにベース210に固定され、可撓性シート300は、成形可能材料キャリア200が成形可能材料で満たされているときにベース210に固定される。
【0112】
固定部分410は、可撓性シート300をベース210から分離するために解放されてよい。可撓性シート300は、その表面が生成装置100によってより正確に位置合わせされることができるように、成形可能材料キャリア200から分離されてよい。更に、可撓性シート300の除去は、それがインプレッションの修正と干渉しないことを保証し、インプレッションと手術部位との間のより確実な嵌合を提供する。
【0113】
1つの実施形態において、可撓性シート300は、ユーザが可撓性シート300を成形可能材料キャリア200から分離するのを助けるよう、可撓性シート300のエッジで延びるプルタブ(図示せず)を含む。
【0114】
キャビティ242は、成形可能材料が成形可能材料キャリア200内に挿入される前に空気を含む。手術部位の正確なインプレッションを得るためには、十分な成形可能材料でキャビティ242を満たすことが重要であり、使用前に最初に存在していた空気を除去することも重要である。過剰の空気がキャビティ242内に存在するならば、インプレッションの位置合わせは、挿入される成形可能材料内に存在する初期的な空気及び/又は気泡の追加寸法に起因する誤差を含む。位置合わせは、寸法減少に起因する誤差も含み得る。例えば、ユーザはキャビティ242の内側の成形可能材料が硬化するのを待つ間に、初期的な過剰空気は、硬化プロセスの間に成形可能材料キャリアから流出することがある。これは可撓性シート300及びベース210によって画定される容積240を減少させ、手術部位のインプレッションを変化させ、手術部位のインプレッションの精度を妨げる。
【0115】
空気穴250は、成形可能材料キャリア200が成形可能材料で満たされている間に、並びにインプレッションが取られている間に、前述の空気がキャビティ242から流出するのを可能にする。成形可能材料が出口224を介してキャビティ242に入ると、成形可能材料は、ベース210及び可撓性シート300によって画定される容積240内のより多くの空間を占める。より多くの成形可能材料がキャビティ242に入ると、空気が空気穴250から押し出される。従って、空気は、成形可能材料が空気と置換するにつれて、成形可能材料キャリア200から出る。インプレッションが取られるときに、キャビティ242の内側の成形可能材料は圧縮され、外向きに膨張する。これは成形可能材料による空気の追加的な変位を引き起こすことができ、それは手術部位のより正確なインプレッションをもたらす。
【0116】
空気穴250は、インプレッションが取られている間に、成形可能材料が空気穴250を通じて容積240から流出するのに抗するために、チャネル220に対して減少された寸法を有する。これは成形可能材料が空気穴250を通過するための高圧要求を生み、実際には、空気穴250に空気を通過させるが、成形可能材料の通過を妨げる。
【0117】
空気穴250は、リムの周りに等しく離間されている。具体的には、空気穴250は、フランジ214の周囲に均等に分配される。これは空気穴250をベースの周囲に向かって配置して、空気が容積240の内側の特定の領域に蓄積されないことを保証し、空気が容積240から効果的に除去されることを保証する。それにも拘わらず、空気穴250は、フランジ214内に配置される必要はなく、フランジ214を通過することに加えて又はその代わりに、ベース210の本体を通過してよい。
【0118】
リップ215は、成形可能材料を成形可能材料キャリア200に連結するのを助け、成形可能材料がキャビティ242に押し込まれた後にキャビティからの成形可能材料の除去に抗するのを助ける。十分な成形可能材料がキャビティ242内に押し込まれた後に、成形可能材料は、(ベース210の前側によって画定される)キャビティの底及び(周壁によって画定される)キャビティの側面を覆う。手術部位のインプレッションは、可撓性シートを手術部位の上に配置することによって取られるので、成形可能材料キャリア200は、様々な向きにおいて使用されることがある。周壁は、成形可能材料がキャビティ242内に存在する間に、成形可能材料の横方向の移動に抗する。リップ215は、成形可能材料がキャビティ242内に存在する間に、成形可能材料の長手方向の動きに抗する。例えば、可撓性シート300が地面に面するように、成形可能材料キャリア200が方向付けられるとき、リップ215は、キャビティ242の内側の成形可能材料の重量に耐えて、成形可能材料が成形可能材料キャリア200から落下するのを防止する。
【0119】
成形可能材料を成形可能材料キャリアに連結する確実な手段を提供することが重要である。これは成形可能材料キャリア200の内側の成形可能材料の過度の移動に抗する。これは重要である。何故ならば、それは使用中に手術部位のインプレッションを変化させることができ、手術中に外科ガイドの望ましくない動き及び/又はインプレッションの不正確な修正を引き起こし得るからである。
【0120】
好ましくは、可撓性シート300は、成形可能材料に圧縮力を与え、容積240の内側で成形可能材料をしっかりと閉じ込めるのを助けるように、弾力的であってよい。加えて、可撓性シート300は、正確なインプレッションを可能にするよう、十分に可撓であることが重要である。これは、可撓性シートがインプレッションの修正と干渉しないよう、インプレッションが形成された後に(並びに成形可能材料が硬化した後に)、可撓性シート300が除去されることを可能にし、可撓性シート300を通じて取られるべき手術部位とインプレッションとの間のより確実な嵌合を提供することを可能にする。
【0121】
図8は、成形可能材料ディスペンサ500と共に使用する際の成形可能材料キャリア200の斜視図を示している。上記で議論したように、入口222は、成形可能材料キャリア200のベース210の後側に形成される。チャネル220によって接続された入口222及び出口224は、チャネル220が入口222から出口224に進むにつれてその直径が減少するような当接部223を有する。当接部223は、成形可能材料ディスペンサ500の先端がチャネル220内に確実に嵌合されることを可能にするが、材料ディスペンサが過剰に挿入されるのを防止する。これは先端の周りで干渉嵌めを提供して、成形可能材料が成形可能材料キャリア200内に押し込まれているときに、成形可能材料がチャネル220から流出するのを防止する。当接部223は、成形可能材料キャリア200内への成形可能材料の効果的な移送を保証するために、ユーザが成形可能材料ディスペンサ500を正確に位置決めするのも助ける。
【0122】
図9は、成形可能材料ディスペンサ500と共に使用する際の成形可能材料キャリア200の断面図を示している。成形可能材料ディスペンサ500は、入口222を通じてチャネル220内に嵌合する。当接部223は、成形可能材料ディスペンサ500の先端が、入口222を出口224に接続する長手方向に走るチャネル220に過剰に挿入されることを防止する。当接部223は、成形可能材料ディスペンサ500の先端の周りにシールも提供して、成形可能材料が成形可能材料キャリア200内に注入されているときに、成形可能材料が入口を通じて流出するのを防止する。
【0123】
成形可能材料が入口222に注入されるときに、それはチャネル220を通過し、成形可能材料キャリア200のキャビティ242の内側に分配されるように出口224から押し出される。
【0124】
図2~
図8を参照して記載した成形可能材料キャリア200は、1つの実施形態にすぎない。成形可能材料が成形可能材料ホルダ200のキャビティ242に亘って均等に分配されることを可能にすることができる多くの異なる構成がある。例えば、チャネル220は、その直径がその長さに沿って減少するようにテーパした壁を有する実質的に切頭円錐形であってよい。この構成は、成形可能材料ディスペンサ500の過剰挿入も防止する。
【0125】
図10は、成形可能材料の挿入前の成形可能材料キャリア200の斜視図を示している。使用に先立って、成形可能材料は容積240内に存在せず、可撓性シート300は、成形可能材料キャリアの前面を横切って平坦に位置する。
【0126】
図11は、成形可能材料の挿入後の成形可能材料キャリアの斜視図を示している。成形可能材料キャリア200は、可撓性シート300を変形させるために容積240の内側に十分な成形可能材料を有する。可撓性シート300に収容される成形可能材料は、保持リング400の開口111を通じて突出するので、手術部位のインプレッションが、可撓性シート300を通じて取られることがある。成形可能材料は、ドーム形状を形成する。任意的に、ユーザは、より大きな手術部位のインプレッションを取るために、追加的な成形可能材料を加えて、可撓性シート300の表面積を増加させてよい。
【0127】
上記実施形態は、成形可能材料キャリアのベースのリップ上に固定される保持リングの形態の固定部分を介して可撓性シートを固定することに関するが、代替的な実施形態において、可撓性シートは、可撓性シート自体の弾力性を通じてベース上に固定されるように構成される。例えば、可撓性シートは、ベースの断面よりも狭い開口を含んでよい。この実施形態における可撓性シートは弾力的であるので、可撓性シートは、ベース上で伸張され、可撓性シートのラン力性を介してベースに固定されることがある。これは可撓性シートをベースに固定するためのより簡単な構成を提供する。この場合、可撓性シートがその上に固定されるベースの周囲は、固定部分と考えられてよい。代替的に又は追加的に、可撓性シートの弾力的な開口は、固定部分と考えられてよい。
【0128】
(更なる実施形態)
以下の記述は、本発明の更なる実施形態に関する。上記記述は、固定部分がベース及び(例えば、ベースの周囲の周りを固定するリングの形態の)可撓性シートと別個である実施形態を含むが、固定部分は、代わりに、可撓性シート及び/又はベースの一部を形成してよい。
【0129】
例えば、固定部分は、可撓性シートの一部を形成してよい。
【0130】
ある例において、ベースの表面と可撓性シート自体との間の接触は、可撓性シート及びベースによって画定される容積内で成形可能材料をシールするのに十分な抵抗を提供する。
【0131】
例えば、可撓性シートは、可撓性シートがベース上に伸張されるときに、可撓性シートがベースの周りでシールを形成するように、ベースの断面よりも小さく、弾力性を有する、開口を含むことができる。この例において、可撓性シートの断面は、ベースの断面を覆うために伸張される必要がある。結果的に、開口の周囲は、ベースと接触し、可撓性シートの弾力性によって生成される反力によって互いに保持される。ベース上の反力は、成形可能材料が成形可能材料キャリアから流出するのを防止する可撓性シートの開口付近でのベースの表面と可撓性シートの表面との間のシールを形成する。
【0132】
可撓性シートの弾力性及びベースと可撓性シートの表面との間に存在する摩擦は、可撓性シートをベースに解放可能に固定する。従って、可撓性シートの除去は、可撓性シートをベースから単に引き離すことによって達成されることがある。可撓性シートの除去は、可撓性シートの断面の開口を伸張し、可撓性シートをベースから離れるように持ち上げることによって、達成されてもよい。ベースと可撓性シートの表面との間に存在する摩擦は、特に手術部位のインプレッションが取られているときに又は取られたときに、可撓性シートがベースから落下することを防止するための摩擦機構も提供する。
【0133】
更に、固定部分は、ベース及び可撓性シートの両方の一部を形成してよい。
【0134】
ある例において、固定部分は、ベース及び可撓性シートの一部を形成してよい。この場合、固定部分は、2つの区画、すなわち、可撓性シートの部分を形成する第1の部分と、ベースの部分を形成する第2の部分とで形成される。ベースの部分を形成する第2の部分は、例えば、溝を形成してよく、可撓性シートの部分を形成する第1の部分は、突出部分、例えば、リップ又はリムを含んでよい。第1の部分は、第2の部分内に嵌合してよく、それによって、干渉嵌めを形成してよい。この場合、突出部の接触は溝内に固定され、可撓性シート及びベースによって画定される容積内の成形可能材料をシールするように作用する。
【0135】
1つの実施形態において、溝は、ベースの周囲に沿って形成される。溝は、ベースの全周に沿ってよい。例えば、ベースが円形、長円形、又は楕円形の断面を有する場合、溝は、断面の全周(例えば、円周)に沿ってよい。幾つかの例において、溝は、ベースの周囲の1つ以上の部分に沿うことができ、可撓性シートは、1つ以上の対応する突出部分を有する。上記の代替として、ベースは、1つ以上の突出部分を有してよく、可撓性シートは、1つ以上の突出部分を受け入れるための1つ以上の対応する穴又はチャネルを形成してよい。
【0136】
突出部分は、可撓性シート内に存在することができ、或いは可撓性シートに取り付けられることができる。可撓性シートは、ベースの断面よりも小さく、溝の断面よりも小さい又は同じ開口かなることができる。突出部分は、開口内にあることができ、或いは開口に取り付けられることができる。可撓性シート、特に開口は、可撓性シートの開口がベース上で伸張されるときに、可撓性シートが突出部分と溝との間の接触によってシールを形成するように、弾力性を有する。
【0137】
シールは、出口の周りに並びに可撓性シートとベースの溝との間に形成され、これは成形可能材料が可撓性シート及びベースによって形成される容積から流出し得ないことを保証する。
【0138】
突出部分は、可撓性シートのロール状区画(rolled section)であってよい。例えば、突出部分は、可撓性シートの開口のロール状区画であることができる。突出部分は、可撓性シートへのアタッチメントであってよい。例えば、突出部分は、可撓性シートの開口の周りに取り付けられたリム又はフレームであることができる。
【0139】
溝及び突出部分は、可撓性シートをベースにロック(係止)するためのロック機構(係止機構)を提供する。溝と突出部分との間のロックは、特に手術部位のインプレッションが取られているとき又は取られたときに、可撓性シートがベースから落下するのを防止するためのクラッチを提供する。
【0140】
確実なロックを提供するために、溝の幅は、突出部分の進入を許容するのに十分であるが、突出部分のために弾性の当接部を提供し、それによって、干渉嵌めを形成するのに十分に狭くなければならない。例えば、溝の幅は、突出部分の厚さの少なくとも半分であってよい。場合によっては、溝の幅は、突出部分の厚さの半分よりも大きいが、突出部分の幅よりも依然として狭くてよい。溝の幅からの側壁によって提供される当接部は、容積の内が弯お成形可能材料のより緊密な閉じ込めを作り出す。
【0141】
別の例において、固定部分は、ベース及び可撓性シートの部分を形成してよく、ベースの部分は、ベースの周囲の周りを走る固定面(securing surface)を含み、可撓性シートの部分は、締付部分(tightening portion)を含む。締付部分は、バネ、又は可撓性シート内の又は可撓性シートに取り付けられるバンド又はクランプであってよい。締付部分は、可撓性シートを固定面に対して保持する。固定面と締付部分との間の接触は、可撓性シート及びベースによって画定される容積内で成形可能材料を封止(シール)する。
【0142】
締付部分と固定面との間で出口の周りにシールを形成することは、成形可能材料が締付部分固定面とによって形成される容積から流出し得ないことを保証する。締付部分によって固定面に対して加えられる力は、容積の内側の成形可能材料のより緊密な閉じ込めをもたらす。その上、締付部分は、ベースに沿う固定面の任意の高さに調節されてよく、それは可撓性シート及びベースによって形成される容積の変動(variability)を可能にする。
【0143】
締付部分は、固定面の区画に沿って配置される。締付部分は、固定面の全周囲に接触してよい。例えば、ベースが円筒形である場合、締付部分は、円筒形の円筒面(円周)の全周に接触してよい。場合によっては、締付部分は、例えば、クランプを介して、ベースの周囲の一部のみと接触することができる。
【0144】
固定面は、締付部分によって加えられる力を受けるベースの部分である。固定面は、ベースの任意の表面であることができる。固定面は、ベースが締付部分によって加えられる力によって恒久変形を生まないように、締付部分によって加えられる力に対して抵抗をもたらすのに十分な機械的な硬度又は弾性を有する。
【0145】
シールは、出口の周りに並びに締付部分と固定面との間に形成され、これは成形可能材料が可撓性シート及びベースによって形成される容積から流出し得ないことを保証する。
【0146】
締付部分は、可撓性シートがベースに解放可能に固定されることを可能にする。締付部分は、可撓性シートをベースから解放するように緩められてよい。締付部分は、可撓性シートがベースから分離されることがあるよう、締付部分によって加えられる力が可撓性シートから除去されるように、十分に伸張されてよい。
【0147】
締付部分は、可撓性シートをベースに対して保持するための締付機構を提供する。締付部分と固定面との間のグリップ(掴み)は、特に手術部位のインプレッションが取られているときに又は取ったときに、可撓性シートがベースから落下するのを防止するための保持を提供する。
【0148】
確実なグリップを提供するために、締付部分は、固定面を恒久的に歪ませることなく、大きな力を提供しなければならない。例えば、締付部分が可撓性シート内の又は可撓性シートに取り付けられるバネ又はバンドである場合、高い弾力性を有するバネ又はバンドが、シールを提供し且つ可撓性シートをベースに固定するのに十分な力を提供する。
【0149】
別の例において、固定部分は、ベース及び可撓性シートの部分を形成してよく、その場合には、上述の例に従って、ベースの部分は、溝及び固定面を含み、可撓性シートの部分は、締付部分を含む。
【0150】
別の例において、固定部分は、ベース及び可撓性シートの部分を形成してよく、その場合には、上述の例に従って、ベースの部分は、溝及び固定面を含み、可撓性シートの部分は、突出部分及び締付部分を含む。
【0151】
別の例において、固定部分は、ベース及び可撓性シートの部分を形成してよく、その場合、ベースの部分は、固定面であり、可撓性シートの部分は、膨張部分(expanding portion)である。ある例において、膨張部分は、コイルであってよい。ある例において、コイルは、可撓性シート内にあってよく、或いは可撓性シートに取り付けられてよい。ある例において、膨張部分は、成形可能材料を可撓性シート及びベースによって画定される容積内に収容するのに十分な弾性を有する可撓性シート自体の一部であってよい。
【0152】
成形可能材料は、固定面と膨張部分との間の接触によって封止(シール)される。固定面は、膨張部分の膨張力に耐えるのに十分な弾性を有する成形可能材料キャリアのキャビティの側壁であることができる。
【0153】
例えば、膨張部分がコイルである例において、コイルは、成形可能材料キャリアの内側に圧縮状態で配置されてよく、可撓性シートは、コイルの外面とキャビティの側壁との間に配置されてよい。可撓性シートをコイルの外面とキャビティとの間に配置した後に、コイルは、自然に膨張し、ベースのキャビティ上の可撓性シートに対して横方向の力を生成する。
【0154】
膨張部分が可撓性シート自体である場合又はコイルが可撓性シートの内側に存在する場合、可撓性シートは、ベースのキャビティの内側に圧縮状態で配置されてよく、可撓性シートの膨張力は、可撓性シートの外面及びベースのキャビティによって封止(シール)される、成形可能材料が位置付けられるべき容積を画定する。
【0155】
膨張部分は、膨張部分がキャビティを取り囲む壁からキャビティ内に横方向に突出する少なくとも1つの突起の下に位置するように、減少された寸法を有してよい。このようにして、キャビティの側面は、膨張部材の横方向の動きに抗するように構成されてよく、キャビティ内に横方向に突出する少なくとも1つの突起は、膨張する動きの長手方向の動きに抗するように構成されてよい。
【0156】
可撓性シートの弾力性は、固定部分に依存して、可撓性シートの領域に亘って異なることがある。
【0157】
例えば、固定部分がベースと可撓性シート自体との間の接触である例では、可撓性シートのエッジに向かう高い弾力性及び可撓性シートの中心に向かう低い弾力性を有することが有利なことがある。エッジに向かう高い弾力性は、可撓性シートのエッジの周りの高い弾力性によって提供される可撓性シートによるベースに対する力の増加の故に、可撓性シートとベースとによって形成される容積の内側の成形可能材料のためのより緊密な閉じ込めを提供することがある。何故ならば、可撓性シートのエッジは、可撓性シートとベースとの間の接点であるからである。可撓性シートの中心に向かうより低い弾力性は、その中心に向かうより低い弾力性によって提供される可撓性シート及びベースによって形成される容積を膨張させる成形可能材料のための下げられた力要求の故に、より多量の成形可能材料が成形可能材料キャリアに挿入されることを可能にすることがある。より多量の成形可能材料は、場合によっては、手術部位のより良いインプレッションが取られることを可能にすることがある。
【0158】
加えて、上記実施形態は、成形可能材料を容積内に提供するための入口を提供するためにベース内に形成されたチャネルを含むが、代替的な実施形態において、このチャネルは存在しなくてよい。代わりに、チャネルは、可撓性シート内に形成されてよい。代替的に、チャネルは設けられなくてよく、成形可能材料は、代わりに、可撓性シートが成形可能材料上に固定される前にベース上に配置されてよい。
【0159】
特定の構成を記載したが、構成は、ほんの一例として提示されており、保護の範囲を制限することを意図しない。本明細書に記載する発明的な概念は、様々な他の形態で実装されてよい。加えて、本明細書に記載する特定の実装に対する様々な省略、置換及び変更が、後続の特許請求の範囲に定義される保護の範囲から逸脱することなく行われてよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0160】