(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】沸騰水型原子炉のブレードガイド・交換ツール
(51)【国際特許分類】
G21C 19/02 20060101AFI20240507BHJP
G21C 19/19 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G21C19/02 050
G21C19/19 130
(21)【出願番号】P 2021563652
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(86)【国際出願番号】 US2020030730
(87)【国際公開番号】W WO2020231639
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-02-01
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508177046
【氏名又は名称】ジーイー-ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GE-HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】オストランダー,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ウィットリング,ロバート ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ブライアン ジェイ.
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-072289(JP,A)
【文献】米国特許第05377239(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 19/02
G21C 19/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレードガイド・交換の複合ツール(10)であって、
下端部および上端部を有するブレードガイドツール(12)と、同ブレードガイドツール(12)の前記下端部で一対のコレットハウジング(30)を支持する複数のフレームレール(34a,34b,36a,36b)と、前記複数のフレームレールの間に支持される一対の燃料支持体グラップル作動棒(44)であって、同燃料支持体グラップル作動棒(44)が、前記一対のコレットハウジング(30)内の一対のコレットに係合する第1の端部と、前記ブレードガイドツール(12)の前記上端部に配置されている第2の端部とを有する、燃料支持体グラップル作動棒(44)と、
前記一対の燃料支持体グラップル作動棒(44)に係合するための一対の上部コレット(90)を含むとともに前記ブレードガイドツール(12)の前記上端部に解放可能に取り付けられるブレード交換ツール(14)であって、摺動部(80)およびフックアセンブリ(82)をさらに含み、同摺動部(80)およびフックアセンブリ(82)が、前記ブレード交換ツール(14)によって案内されるケーブル(76)に取り付けられ、また、制御棒(20)に係合して同制御棒(20)を持ち上げるように構成されている、ブレード交換ツール(14)と、
を備える、ブレードガイド・交換の複合ツール(10)。
【請求項2】
前記一対の上部コレット(90)のうちの対応するものに接続された一対のエアシリンダー(60)をさらに備える、請求項1に記載のブレードガイド・交換の複合ツール(10)。
【請求項3】
炉心支持体(18)上のピン(52)に係合するように構成された燃料支持体ピン作動棒(48)であって、同燃料支持体ピン作動棒(48)は、前記ブレード交換ツール(14)の気中開閉器作動アセンブリ(54)に係合可能であり、前記気中開閉器作動アセンブリ(54)は、前記ブレード交換ツール(14)の気中開閉器(104)に係合可能であり、前記気中開閉器(104)は、前記一対の上部コレット(90)のエアシリンダー(60)の格納側への気流を防止するように作動される、燃料支持体ピン作動棒(48)をさらに備える、請求項2に記載のブレードガイド・交換の複合ツール(10)。
【請求項4】
前記摺動部(80)およびフックアセンブリ(82)がフックアクチュエーターシリンダ(84)を含む、請求項1に記載のブレードガイド・交換の複合ツール(10)。
【請求項5】
前記ブレード交換ツール(14)は、前記ブレード交換ツール(14)を前記ブレードガイドツール(12)に解放可能に接続するための接続装置を含む、請求項1に記載のブレードガイド・交換の複合ツール(10)。
【請求項6】
前記ブレードガイドツール(12)は、前記ブレードガイドツール(12)の前記上端部にトッププレート(38)を含み、前記ブレード交換ツール(14)は、前記ブレード交換ツール(14)が前記ブレードガイドツール(12)に係合しているときに前記トッププレート(38)の上に支持されるベースプレート(56)を含む、請求項1に記載のブレードガイド・交換の複合ツール(10)。
【請求項7】
前記一対の上部コレット(90)の各々は、対応する上部コレットハウジング(58)内に配置されている、請求項1に記載のブレードガイド・交換の複合ツール(10)。
【請求項8】
沸騰水型原子炉のセルから制御棒(20)および燃料支持体(16)を取り外す方法であって、
一対のコレットハウジング(30)が前記燃料支持体(16)の対応する燃料バンドルポケット(26)に受承されるように、ブレードガイドツール(12)の下端部に一対のコレットハウジング(30)を有する前記ブレードガイドツール(12)を前記セルに挿入するステップであって、前記ブレードガイドツール(12)は、それぞれが、前記一対のコレットハウジング(30)内の一対の
下部コレット(32)の対応するものに係合する第1の端部と、前記ブレードガイドツール(12)の上端部に配置された第2の端部とを有する一対の燃料支持体グラップル作動棒(44)を含む、挿入するステップと、
前記ブレードガイドツール(12)の前記上端部にブレード交換ツール(14)を組み付けるステップであって、前記ブレード交換ツール(14)は、前記一対の燃料支持体グラップル作動棒(44)に係合するための一対の上部コレット(90)を含み、前記ブレード交換ツール(14)は、前記ブレード交換ツール(14)によって案内されるケーブル(76)に取り付けられた摺動部(80)およびフックアセンブリ(82)をさらに含む、組み付けるステップと、
前記燃料支持体グラップル作動棒(44)を前進させることにより、前記一対の上部コレット(90)を前記一対の下部コレット(32)に係合させるように作動させ、前記一対の下部コレット(32)を前記燃料支持体(16)の前記燃料バンドルポケット(26)に係合させる、作動させるステップと、
前記フックアセンブリ(82)を制御棒(20)に係合させて、前記ブレードガイドツール(12)、前記ブレード交換ツール(14)、前記制御棒(20)、および前記燃料支持体(16)を前記セルから持ち上げる、係合させるステップと、
を含む、沸騰水型原子炉のセルから制御棒(20)および燃料支持体(16)を取り外す方法。
【請求項9】
一対のエアシリンダー(60)が前記一対の上部コレット(90)のうちの対応するものに接続されており、前記一対の上部コレット(90)を作動させるステップは、前記一対のエアシリンダー(60)を作動させるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記挿入するステップは、燃料支持体ピン作動棒(48)を炉心支持体(18)上のピン(52)に係合させるステップを含み、前記燃料支持体ピン作動棒(48)は、前記ブレード交換ツール(14)の気中開閉器作動アセンブリ(54)に係合可能であり、前記気中開閉器作動アセンブリ(54)は、前記ブレード交換ツール(14)の気中開閉器(104)に係合可能であり、前記気中開閉器(104)は、前記一対の上部コレット(90)の前記エアシリンダー(60)の格納側への気流を防止するように作動される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記摺動部(80)およびフックアセンブリ(82)がフックアクチュエーターシリンダー(84)を含み、前記フックアセンブリ(82)を制御棒(20)に係合させるステップが、前記フックアクチュエーターシリンダー(84)を作動させるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記組み付けるステップは、前記ブレード交換ツール(14)を前記ブレードガイドツール(12)に解放可能に接続するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記組み付けるステップにおいて、前記ブレードガイドツール(12)は、前記ブレードガイドツール(12)の前記上端部にトッププレート(38)を有し、前記ブレード交換ツール(14)は、前記ブレード交換ツール(14)が前記ブレードガイドツール(12)と係合しているときに前記トッププレート(38)の上に支持されるベースプレート(56)を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記一対の上部コレット(90)の各々は、対応する上部コレットハウジング(58)内に配置されている、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、沸騰水型原子炉のブレードガイド・交換ツールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
このセクションでは、必ずしも先行技術ではない、本開示に関連する背景情報を提供する。
【0003】
沸騰水型原子炉の制御棒には吸収材が入っており、これを炉心に配置することで核燃料の核分裂速度を遅らせることができる。しかしながら、吸収材は長時間使用すると劣化してしまう。そのため、定期的に制御棒を交換する必要がある。制御棒を炉心の位置すなわちセルから取り外すためには、取り外す制御棒に付随する燃料および燃料支持体を取り外すことで、制御棒へのアクセスを確保する必要がある。また、制御棒を駆動部から切り離す必要がある。燃料を取り出すためのツールとしては、燃料グラップル、および4本の燃料バンドルのうちの2本を取り出している間に制御棒を支持するブレードガイドなどがよく使用される。制御棒を駆動部から切り離すには、制御棒取り外しツールを使用する。制御棒の取り外しおよび/または交換に使用するツールには、燃料支持体を持ち上げるためのグラップル、および制御棒を持ち上げるためのグラップルが挙げられる。これらは個別のツールであったり、それらの機能を1つのツールにまとめたものであったりする。燃料支持体および制御棒をセルから持ち上げて取り出し、新しい制御棒および同じ燃料支持体をセルに戻す。新しい制御棒は、ツールを使わずに駆動部に再接続される。ブレードガイドをセル内に設置し、続いて制御棒を挿入することで燃料の設置が可能になる。そうして、2本の燃料バンドルをブレードガイドの横のセルに配置する。その後、ブレードガイドを取り外し、空いたブレードガイドの位置にさらに2本の燃料バンドルを設置して、そのセルの制御棒および燃料の交換を完了する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
このセクションは、開示内容の一般的な概要を示すものであり、その全容や特徴のすべてを包括的に開示するものではない。
【0005】
本開示は、ブレードガイドツールとブレード交換ツールという2つの個別のツールで構成され、それらを組み合わせることでブレードガイド・交換ツールを形成するブレードガイドツールおよびブレード交換ツールを提供する。ブレードガイドツールは、燃料支持体に着座し、頂部ガイドを通って上に延びる。ブレードガイドツールは、燃料をセルに出し入れする際に制御棒を支持するために使用する。ブレードガイドツールには、ガイド機能に加えて、グラップルからブレードガイドツールの頂部まで延びる棒を介して作動する燃料支持体グラップルが含まれている。この棒は、ブレードガイドツールに嵌め込まれた後に、ブレード交換ツールによって作動する。また、ブレードガイドツールには、炉心支持体のアライメントピン、通称315ピンに合わせて、ツールの全長にわたって延びるバネ式の延長棒が設置されている。ブレードガイドが燃料支持体に着座すると、この延長棒が315ピンに接触して棒が持ち上がる仕組みになっている。持ち上げられた棒は、ブレード交換ツール上の機構に噛み合い、これにより、2つの気中開閉器が開く。開放気中開閉器は、燃料支持体グラップルのシリンダーに気流を作り、燃料支持体グラップルの動作を可能にする。燃料支持体を炉心プレートから持ち上げると、バネ式の延長棒が315ピンと接触しなくなり、下に移動する。棒が下がると、ブレード交換ツール上の機構から外れて弁が閉じ、燃料支持体グラップルの作動が不能となる。
【0006】
まず、交換する制御棒のセル内にある4本の燃料バンドルのうちの2本を、燃料グラップルを使って取り外す。続いて、残りの2本の燃料バンドルをセルから取り外す際に、ブレードガイドを取り外した燃料の位置に取り付け、挿入された制御棒を支持する。これで、セル内に燃料が残っていないため、制御棒を完全に後退させて、後部の着座位置に戻すことができる。ブレード交換ツールは、空気供給ホースと、制御棒グラップルに取り付けられた12フィート(約3.6576メートル)のケーブルを介してホイストに接続される。続いて、ブレード交換ツールをブレードガイドツールの上に降ろし、これに接続する。ブレード交換ツールには、ハンドルラッチ、燃料支持体グラップルアクチュエーター、制御棒グラップル、燃料支持体グラップルアクチュエーターへの気流を制御する気中開閉器などが含まれている。ブレードガイドおよびブレード交換ツールを連結して一体的に組み付けた場合、そのツールをブレードガイド・交換ツールと呼ぶ。
【0007】
2つのツールの接続が完了すると、制御棒グラップルがブレードガイドツールの中央配管に係合する。この配管は、約10フィート(約3.048メートル)下降して制御棒のハンドルに係合すると、グラップルがセル内で中心を保つためのガイドとして機能する。ブレードガイドが燃料支持体と315ピンとに着座した状態で、制御棒グラップルを制御棒ハンドルに降ろす。その後、ツールに空気を供給して、制御棒および燃料支持部を把持する。ホイストを上昇させ、制御棒グラップルがブレードガイドハンドルの下側に接触するまで制御棒をツール内に持ち上げる。このとき、ホイストをさらに上げると、ブレードガイド、交換ツール、および燃料支持体なども持ち上がる。ツールおよび構成要素は、ホイストを使ってセルから持ち上げられ、交換領域に搬送される。その後、制御棒を下げて交換容器に収める。交換ツールの係合解除される(または開放)側に空気を供給して、制御棒グラップルを係合解除する。制御棒グラップルの空気供給(係合および係合解除)は、気中開閉器をバイパスするため、315ピンのオンオフに関わらず常に動作する。ブレードガイドツールが315ピンに噛み合っていないため、係合解除動作は燃料支持体グラップルを作動させない。315ピンが外れているときは、気中開閉器が閉じているため、燃料支持体グラップルへの空気の流れが防止される。この時点では、制御棒は容器内に収まっており、制御棒グラップルは制御棒ハンドルから外れ、燃料支持体はツールに把持されたままである。燃料支持体は、ホイストを上げて使用済み制御棒から外し、別の収納容器にある新しい制御棒に載せることができる。新しい制御棒はフックでつかまれ、ツール内に持ち上げられ、続いて収納容器から取り出される。制御棒および燃料支持体は炉心に戻され、セルに再設置される。燃料支持体および制御棒がガイドチューブに収まり、かつ燃料支持体が315ピンに係合した後に、燃料支持体および制御棒の両者を解放することができる。ブレード交換ツールは、ブレードガイドツールから持ち上げることができる。ブレードガイドツールが残っているので、ブレードの挿入および2つの燃料バンドルのセルへの装填が可能である。このステップの後に、燃料グラップルを介してブレードガイドを取り外し、代わりに2つの追加燃料バンドルを装填することができる。
【0008】
本開示の一態様によれば、ブレードガイド・交換の複合ツールは、下端部および上端部を有するブレードガイドツールと、ブレードガイドツールの下端部で一対のコレットハウジングを支持する複数のフレームレールとを備える。一対の燃料支持体グラップル作動棒は、複数のフレームレール間に支持され、一対のコレットハウジング内の一対のコレットに係合する第1の端部と、ブレードガイドツールの上端部に配置される第2の端部とを有する。ブレード交換ツールは、ブレードガイドツールの上端部に解放可能に取り付けられており、一対の燃料支持体グラップル作動棒に係合するための一対の上部コレットを含む。ブレード交換ツールは、ブレード交換ツールによって案内されるケーブルに取り付けられるとともに制御棒に係合して同制御棒を持ち上げるように構成されたトロリーおよびフックアセンブリをさらに含む。
【0009】
また、本明細書に記載されている説明から、さらなる応用分野が明らかになるであろう。本概要の説明および具体的な例は、例示のみを目的とすることを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の原理による、燃料支持体上に組み立てられ、また、制御棒が完全に格納された状態のブレードガイド・交換ツールを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、燃料支持体上に組み立てられ、また、制御棒を完全に延ばした状態のブレードガイド・交換ツールを示す斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、燃料支持体上に組み付けられたブレードガイド・交換ツールの底面を示す拡大斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、ブレードガイド・交換ツールの頂部を示す拡大斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、フックが延伸位置で制御棒のハンドルに係合している状態の、ブレードガイド・交換ツールの頂部を示す拡大斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、フックが格納位置で制御棒のハンドルに係合している状態の、ブレードガイド・交換ツールの底面を示す拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、本開示の原理によるブレードガイドツールを示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本開示の原理によるブレードガイドツールの頂部を示す一部切断図である。
【
図7】
図7は、炉心支持体ピン作動棒が格納位置に示されている、本開示の原理によるブレードガイドツールの頂部を示す一部切断図である。
【
図8】
図8は、本開示の原理によるブレード交換ツールを示す正面斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示したブレード交換ツールを示す背面斜視図である。
【
図11】
図11は、本開示の原理によるブレード交換ツールをブレードガイドツールに組み付けた状態を示す頂部斜視図である。
【
図12】
図12は、本開示の原理によるブレード交換ツールをブレードガイドツールに組み付けた状態を示す側面斜視図である。
【
図13】
図13は、本開示の原理によるブレードガイドツールに完全に組み立てられたブレード交換ツールを示す側面斜視図である。
【
図14】
図14は、本開示の原理によるブレード交換ツールの摺動部をブレードガイドツールに組み付ける際の間隙を示す頂部斜視図である。
【
図15】
図15は、ブレードガイド・交換ツールの頂部を示す側面平面図である。
【
図16】
図16は、ブレードガイド・交換ツールの気中開閉器アクチュエーターアセンブリおよび気中開閉器を示す詳細図である。
【
図17】
図17は、燃料支持体の係合に使用されるコレットハウジングおよびコレットアセンブリを示す部分切断図である。
【
図18】
図18は、燃料支持体との係合中のコレットハウジングおよびコレットアセンブリを示す部分切断図である。
【
図19】
図19は、燃料支持体と完全に係合した後のコレットハウジングおよびコレットアセンブリを示す部分切断図である。
【
図20】
図20は、本開示の原理による上部コレットハウジングを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載されている図面は、選択された実施形態の説明のみを目的としており、すべての可能な実施形態ではなく、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0012】
対応する参照符号は、図面の複数の図全体にわたって対応する部品を示している。
【0013】
以下、添付の図面を参照しながら、例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【0014】
例示された実施形態は、この開示が徹底され、当業者に範囲を十分に伝えることができるように提供されている。本開示の実施形態を完全に理解できるように、特定の構成要素、装置、および方法の例など、複数の具体的な詳細が記載されている。具体的な詳細を採用する必要がないこと、例示的な実施形態が多くの異なる形態で具現化されてもよいこと、そしていずれも本開示の範囲を制限するものと解釈してはならないことは、当業者には明らかであろう。いくつかの例示的な実施形態では、周知のプロセス、周知の装置構造、および周知技術は詳細に説明されていない。
【0015】
本明細書で使用されている用語は、特定の例示的な実施形態を説明するためのものであり、例示された実施形態を限定することを意図していない。本明細書では、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに他を示す場合を除き、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用されている「comprises」、「comprising」、「including」、および「having」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/またはコンポーネントの存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、コンポーネント、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。本明細書に記載されている方法ステップ、プロセス、および操作は、実行順序として明確に特定されていない限り、議論または図示された特定の順序で実行することが必ずしも必要であると解釈されるものではない。また、追加または代替のステップを採用してもよいことを理解すべきである。
【0016】
ある要素や層が、他の要素や層に対して「on」、「engaged to」、「connected to」、または「coupled to」と呼ばれる場合、他の要素や層の上に直接設けられても、他の要素や層に直接接続していても、または結合していてもよいし、あるいは介在する要素や層が存在していてもよい。一方、ある要素が他の要素または層に「directly on」、「directly engaged to」、「directly connected to」、または「directly coupled to」などと表現される場合、そこには介在する要素または層は存在しない。要素間の関係を表すその他の用語も同様に解釈されるべきである(例えば、「between」と「directly between」、および「adjacent」と「directly adjacent」など)。本明細書では、「および/または」という用語には、関連付けられるリストの項目の1つまたは複数の任意およびすべての組み合わせが含まれる。
【0017】
本明細書では、様々な要素、コンポーネント、領域、層、および/またはセクションを説明するために、第1、第2、第3などの用語が使用されることがあるが、これらの要素、コンポーネント、領域、層、および/またはセクションは、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素、コンポーネント、領域、層、あるいはセクションを、他の領域、層、あるいはセクションと区別するためにのみ使用されてもよい。本明細書で使用されている「第1」、「第2」などの数値用語は、文脈上明確に示されない限り、順序や順番を意味するものではない。したがって、以下で説明する第1の要素、コンポーネント、領域、層、またはセクションは、例示の実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、コンポーネント、領域、層、またはセクションと呼ぶことができる。
【0018】
本明細書では、説明を容易にするために、例えば、「inner」、「outer」、「beneath」、「below」、「lower」、「above」、「upper」などの空間的に相対的な用語を使用して、図示のように、ある要素または特徴の、他の1つ以上の要素または1つ以上の特徴との関係を説明することができる。空間的に相対的な用語は、図に描かれている配向に加えて、使用時や操作時における装置の様々な配向を包含することを意図している。例えば、図の装置を裏返すと、他の要素や特徴の「below」または「beneath」と記載された要素は、他の要素や特徴の「above」に配向されたものといえる。このように、「below」という例示的な用語は、上および下の両者の配向を包含し得る。装置は他の配向(90度回転させたり、他の配向にしたり)でもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
【0019】
図1乃至4を参照すると、ブレードガイドツール12と、ブレードガイドツール12に着脱可能に組み付けられたブレード交換ツール14とを含むブレードガイド・交換ツール10が示されている。
図1、
図2、
図3A、および
図4Bでは、ブレードガイド12の基部12aが、炉心支持体18の隣に配置された燃料支持体16に係合している態様が示されている。
図3Aおよび
図3Bに最もよく示すように、制御棒20は、十字形状に形成されるとともに燃料支持体16の十字形状の通路24を通って延びる複数のブレード22A乃至22Dを含む。当該技術分野で周知のように、制御棒20は、炉心に配置されたときに核燃料の核分裂速度を遅らせるために使用することができる吸収材を含んでいる。燃料支持体16は、燃料バンドル(図示しない)の基部を受承するための4つのポケット26をそれぞれ含む。
【0020】
図17乃至19に最もよく示すように、ブレードガイドツール12の基部12aは、それぞれがコレットアセンブリ32を収容する一対のコレットハウジング30を含む。一対のコレットハウジング30は、一対の外側フレームレール34a,34bと、一対の内側フレームレール36a,36bとに接続されている。外側フレームレール34a,34bおよび内側フレームレール36a,36bの頂面には、トッププレート38が取り付けられている。複数のブレースプレート40は、外側フレームレール34a,34bおよび内側フレームレール36a,36bの対応するものの間に配置されている。ブレースプレート40には、それぞれ貫通するガイド穴42が設けられている。一対の燃料支持体グラップル作動棒44は、ブレースプレート40のガイド穴42のそれぞれを通って延び、一対のコレットハウジング30内のコレットアセンブリ32に係合する下端部を有し、トッププレート38の下方に延びる対応するガイドハウジング46内に配置される上端部を有している。ガイドハウジング46には、燃料支持体グラップル作動棒44を上方向に付勢するためのスプリング47が配置されている。
【0021】
炉心支持体ピン作動棒48は、外側フレームレール34aの1つの長さに沿って、内部に配置され、延びている。炉心支持体ピン作動棒48は、ガイドハウジング50内に案内される下端部であって、ブレードガイドツール12が燃料支持体16に適切に着座したときに炉心支持体ピン52(
図17乃至19に最もよく示す)によって係合される下端部を有する。炉心支持体ピン52は、炉心支持体18から上方に延びており、炉心支持体ピン作動棒48によって係合されると、本明細書でさらに詳細に説明するように、ブレード交換ツール14の気中開閉器アクチュエーターアセンブリ54の作動を引き起こすために、炉心支持体ピン作動棒48を上方に移動させる。
【0022】
図8に最もよく示すように、ブレード交換ツール14は、一対の上部コレットハウジング58とともに気中開閉器アクチュエーターアセンブリ54が取り付けられたベースプレート56を含む。コレットハウジング58の各々には、一対のエアシリンダー60が取り付けられている。ベースプレート56は、その中に、ブレードガイドツール12のトッププレート38から延びるU字状ハンドル64を受承するための開口部62(
図8に最もよく示す)を含む。上部コレットハウジング58は、それぞれベースプレート56の追加の穴に取り付けられ、ベースプレート56の下に延び、ブレードガイドツール12のトッププレート38の対応する穴66(
図11乃至13に示す)に受承されるように構成されている。
【0023】
図8および
図9に示すように、取付構造体68は、開口部62に隣接してベースプレート56に取り付けられており、これに取り付けられたハンドル係合ブラケット70を含む。ハンドル係合ブラケット70は、ブレードガイドツール12のハンドル64を受承するためのスロット72を含み、また、そこを通るケーブル76を受承して案内するためのケーブルガイド74を形成する。ケーブル76は、係合フック82および空気圧式フックアクチュエーターアセンブリ84を支持する摺動部80に取り付けられている。摺動部80は、内側レール36a,36bの長さに沿って横断するように内側レール36a,36bと係合可能である。摺動部80は、ケーブル76によって内側レール36a,36bに沿って下降し、フック82を制御棒20の上部ハンドル20aに係合させることができる。フック82は、フックアクチュエーターアセンブリ84のシリンダーによって空気的に係合することができ、ケーブル76は、制御棒20を上昇させるために利用することができる。
図9に最もよく示すように、一対の下向きに突出したガイドプレート88は、ブレード交換ツール14のベースプレート56の下に延びており、摺動部80を内側レール36a,36bの間のその移行部に案内する。
【0024】
図10の部分切断図に最もよく示すように、上部コレットハウジング58のそれぞれは、ハウジング内に配置されるとともに駆動のためにエアシリンダー60と係合する上部コレット90を含む。
図17乃至19に順次示すように、上部コレット90は、燃料支持体グラップル作動棒44の上端部と係合可能であり、作動棒44上にラッチして、作動棒44を下部コレットハウジング30内に下向きに押し込み、下部コレット32に係合して横断方向外側に広がって、各コレット部32の両端部のフック部94によって燃料支持体16の燃料バンドルポケット26を包囲する内向きに延びるリップ部92に係合する。したがって、下部コレット32は、制御棒20とともに燃料支持体16を炉心から持ち上げるために、燃料支持体16と係合可能である。
【0025】
上述したように、炉心支持体18は、ブレード交換ツール14の気中開閉器アクチュエーターアセンブリ54の駆動を引き起こすために、炉心支持体ピン作動棒48を上方に移動させる炉心支持体ピン52を含む。気中開閉器アクチュエーターアセンブリ54は、炉心支持体ピンフラグ102を支持するハウジング100を含む。炉心支持体ピンフラグ102は、炉心支持体ピン作動棒48の上端部に係合しており、これにより、ブレードガイドツールが燃料支持体16に適切に係合しているときに、炉心支持体ピン作動棒48が炉心支持体ピン52と係合して上方に押し上げられると、炉心支持体ピンフラグ102を上方に押し上げる。
図16に示すように、気中開閉器104は、気中開閉器アクチュエーターアセンブリ54に取り付けられており、炉心支持体ピンフラグ102のカム面108に係合するカム従動子106およびスイッチアーム107を含む。炉心支持体ピンフラグ102が上方に押し上げられると、気中開閉器104のスイッチアーム107が作動して、ブレード交換ツール14をブレードガイドツール12にラッチするラッチへの空気圧の供給を可能にし、作動していないときには、コレットエアシリンダー60の解放側への空気圧の供給を防止する。
図10に最もよく示すように、ハンドル係合ブラケット70をブレードガイドツール12のハンドル64に固定してそこからの分離を防止するために、ブレードガイドフック110が取付構造体68に取り付けられている。ブレードガイドフック110は、手動または空気圧式アクチュエーターによって作動させることができる。
【0026】
ケーブル76を下降させて、摺動部80およびフック82を炉心20のハンドル20aに対して相対的に配置できるようにすると、フックアクチュエーターアセンブリ84のシリンダーを作動させてフック82をハンドル20aに係合させることができる。
【0027】
作動時には、ブレードガイド・交換ツール10は、ブレードガイドツール12およびブレード交換ツール14の2つの個別のツールで構成されており、これらを組み合わせることでブレードガイド・交換ツール10が形成される。燃料バンドルのうちの2つが取り外された状態で、ブレードガイドツール12は燃料支持体16に着座し、セルのトップガイドを通って上に延びる。ブレードガイドツール12は、燃料をセルに出し入れしながら制御棒20を支持するために使用される。ガイド機能に加えて、ブレードガイドツール12は、燃料支持体グラップル下部コレット32を含み、これは、コレット32からブレードガイドツール12の頂部まで延びる作動棒44を介して作動する。作動棒44は、ブレード交換ツール14がブレードガイドツール12に嵌合した後に、ブレード交換ツール14によって作動される。また、ブレードガイドツール12は、炉心支持体アライメントピン52と一直線上にあるとともにブレードガイドツール12の全長にわたって延びる、バネ式のピン作動棒48を含んでいる。ピン作動棒48は、ピン作動棒48がアライメントピン52に係合しているか、係合していないかのいずれかであるときに、ブレード交換ツール14の気中開閉器104を操作して、燃料支持体グラップルコレット32への気流を制御するために使用される。
【0028】
ブレードガイドツール12は、まず、取り外すべき制御棒20のセルに取り付けられる。ブレードガイドツール12は、残りの2つの燃料バンドルがセルから取り外される際に、挿入された制御棒20を支持し、制御棒20が後部の着座位置まで完全に格納される際に、制御棒20を支持する。ブレード交換ツール14は、制御棒グラップル20aに取り付けられた12フィート(約3.6576メートル)のケーブルを介して、空気供給ホースおよびホイストに接続されている。ブレード交換ツール14は、続いてブレードガイドツール12の上に降ろされる。ブレード交換ツール14には、ブレードガイドツール12とブレード交換ツール14とを一体的に結合するための接続フック110と、燃料支持体グラップルコレット32のための一対のエアアクチュエーター60とが含まれている。ブレードガイドツール12およびブレード交換ツール14が一体的に接続されて把持されている場合、ツール10はブレードガイド・交換ツール10と呼ばれる。2つのツール12,14の接続後に、上部コレット58は、ブレードガイドツール12の燃料支持体グラップル作動棒44にロックして、ブレード交換ツール14が制御棒ハンドル20a上に下降したときに案内する。ツール14に空気を供給して、フック82を介して制御棒20を把持し、下部コレット32を介して燃料支持体16を把持する。制御棒20は、続いて制御棒摺動部80がブレードガイド・交換ツール10の頂部に接触するまでツール10内に持ち上げられ、この時点で、制御棒20および燃料支持体16とともにブレードガイド・交換ツール10も持ち上げられる。
【0029】
ツール10、制御棒20、および燃料支持体16は、セルから取り外されて、交換領域に搬送される。制御棒20は、交換容器に下降して着座する。ツール10が炉心支持体アライメントピン52に係合していないので、燃料支持体グラップルコレット32は解放されず、したがって、気中開閉器104は燃料支持体グラップルコレット32の格納側への気流を防止するために閉じられている。これで、燃料支持体16は、使用済みの制御棒20から持ち上げられ、別の収納容器に配置された新しい制御棒20に載せることができる。新しい制御棒20は、フック82によってつかまれ、ツール10内に持ち上げられ、続いてセルに再設置される。燃料支持体16および制御棒20がガイドチューブに着座した後に、両者を解放し、ブレード交換ツール14をブレードガイドツール12から持ち上げることができる。ブレードガイドツール12は、ブレードの挿入および2つの燃料バンドルの装填を可能にするために残っている。炉心支持体ピン作動棒48は、炉心支持体ピン52と係合して、気中開閉器アクチュエーターアセンブリ54を介して、上部コレット90のエアシリンダー60への空気解放を可能にする。これにより、コレット32の解放によってブレードガイドツール12が取り外され、燃料バンドルの追加装填が可能となる。
【0030】
本開示では、ブレードガイド機能および制御棒交換機能が1つのツールに統合されているため、ブレードガイドの取り外しおよび再取り付けの炉心内の2つの変更ステップが必要となる。
【0031】
また、本開示では、検証チェック(315ピンの係合および燃料支持体の把持)をツールの頂部に配置し(ツールの底面で検証を行う他のツールとは対照的に)、水中カメラで容易に視認して検証できるようにしている。検証チェックが容易なため、交換作業全体の時間を大幅に短縮できる。
【0032】
グリッドガイドは、他の制御棒交換ツールと組み合わせて使用される別体のツールであるが、本開示のブレードガイド・交換ツールでは、ツールのブレードガイド部がグリッドガイドの機能を果たすため、必要ない。これにより、このツールの設定および設置が不要になるため、時間および作業者の放射線被ばく量を削減することができる。
【0033】
前述の実施形態の説明は、例示および説明のために提供されている。網羅的ではなく、また開示内容を限定するものではない。特定の実施形態の個別の要素または特徴は、一般的にその特定の実施形態に限定されるものではなく、該当する場合には、具体的に示されていないか、または記載されていない場合であっても、交換可能であり、選択された実施形態で使用することができる。また、同じものでも、様々な変形がある。このような変形は、本開示から逸脱するものとはみなされず、すべてのこのような変更は、以下の本開示の範囲内に含まれることが意図されている。