(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】ドライバの携帯電話の注意散漫の決定、スコアリング、およびレポート
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2021565896
(86)(22)【出願日】2020-05-04
(86)【国際出願番号】 US2020031320
(87)【国際公開番号】W WO2020227212
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-05-02
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517411036
【氏名又は名称】ケンブリッジ モバイル テレマティクス,インク.
【氏名又は名称原語表記】CAMBRIDGE MOBILE TELEMATICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】バラクリシュナン、ハリ
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー、ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】マッデン、サミュエル ロス
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン-グン
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0116463(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0071151(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0361999(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
1つまたは複数のプロセッサが、モバイルデバイスの1つまたは複数の検出器から受信された信号であって前記モバイルデバイスがトリップにある間に生成された信号に部分的に基づいて、前記トリップ中の前記モバイルデバイスのユーザの注意散漫を含む生じ得る注意散漫エピソードを決定する注意散漫エピソード決定工程であって、前記トリップは前記生じ得る注意散漫エピソードよりも長い期間に及ぶ、工程と、
前記トリップ後に、
1つまたは複数のプロセッサが、前記トリップに関する情報を前記モバイルデバイスの前記ユーザに対し提示する工程であって、前記トリップに関する前記情報は、前記生じ得る注意散漫エピソード
に関する情報を含む、工程と、
1つまたは複数のプロセッサが、前記トリップに関する前記情報を前記モバイルデバイスの前記ユーザに対し提示した後に、前記ユーザから前記トリップについてのフィードバックを受信する工程であって、前記フィードバックは、前記トリップ中の前記モバイルデバイスの前記ユーザの役割および前記トリップについての輸送方式のうちの1つ以上を含む、工程と、
1つまたは複数のプロセッサが、前記生じ得る注意散漫エピソードが
実際の注意散漫エピソードであったかを、前記トリップについての前記フィードバックに部分的に基づいて判定する工程と、を備える方法。
【請求項2】
前記モバイルデバイスの前記ユーザに対し提示された前記トリップに関する前記情報は、前記トリップについての前記フィードバック用のプロンプトもしくは前記生じ得る注意散漫エピソードについてのフィードバック用のプロンプト、またはその両方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モバイルデバイスの前記ユーザに対し提示された前記トリップに関する前記情報は、前記トリップについての軌跡および前記生じ得る注意散漫エピソード
に関する前記
情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記トリップについての前記フィードバックは、前記フィードバックが適用される前記トリップの前記軌跡の少なくとも一部の指示を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記トリップについての前記フィードバックは、前記フィードバックが適用される前記トリップ中の期間の指示を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記トリップについての前記フィードバックが、前記モバイルデバイスの前記ユーザの前記役割が前記トリップ中の車両のドライバであることを含むときに、前記生じ得る注意散漫エピソードが、
実際の注意散漫エピソードであったと
1つまたは複数のプロセッサが判定する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記トリップについての前記フィードバックが、前記モバイルデバイスの前記ユーザの前記役割が前記トリップ中の車両の同乗者であることを含むときに、前記生じ得る注意散漫エピソードが、
実際の注意散漫エピソードではなかったと
1つまたは複数のプロセッサが判定する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記トリップについての前記フィードバックが、前記トリップについての前記輸送方式が自動車でない方式であることを含むときに、前記生じ得る注意散漫エピソードが、
実際の注意散漫エピソードではなかったと
1つまたは複数のプロセッサが判定する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記トリップは第1のトリップを含み、前記方法は、
1つまたは複数のプロセッサが、前記第1のトリップとは異なる第2のトリップ中の前記モバイルデバイスの前記ユーザの注意散漫を含む第2の生じ得る注意散漫エピソードが
実際の注意散漫エピソードであったかを、前記第1のトリップについての前記ユーザからの前記フィードバックに部分的に基づいて判定する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
1つまたは複数のプロセッサが、受信された前記信号および前記トリップについての前記フィードバックに部分的に基づいて、前記トリップもしくは前記生じ得る注意散漫エピソードについてのスコア、またはその両方を生成する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記注意散漫エピソード決定工程は、
1つまたは複数のプロセッサが、受信された前記信号を1つまたは複数のパラメータと比較する工程を含み、前記方法は、
1つまたは複数のプロセッサが、前記トリップについての前記ユーザからの前記フィードバックに基づいて、前記1つまたは複数のパラメータのうちの1つ以上を調節する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記生じ得る注意散漫エピソードは、時間において分離された2つ以上の別個の注意散漫イベントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記別個の注意散漫イベントの各々は、前記モバイルデバイスの同時発生する動きと、前記ユーザによる前記モバイルデバイスとの対話と、を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記トリップは第1のトリップを含み、前記方法は、
1つまたは複数のプロセッサが、前記第1のトリップについての前記フィードバックを1つ以上の機械学習分類子により処理し、第2のトリップ中の第2の生じ得る注意散漫エピソードが
実際の注意散漫エピソードであったかを判定する第2注意散漫エピソード判定工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第2注意散漫エピソード判定工程は、
1つまたは複数のプロセッサが、前記モバイルデバイスの前記ユーザが前記第2のトリップ中のドライバまたは同乗者であったかを判定する工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2注意散漫エピソード判定工程は、
1つまたは複数のプロセッサが、前記モバイルデバイスが前記第2のトリップのドライバのものであるが、前記第2の生じ得る注意散漫エピソード中に同乗者によって用いられていたことを決定する工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
システムであって、
1つまたは複数のプロセッサと、
命令用のストレージと、を備え、前記命令は、前記1つまたは複数のプロセッサが、
モバイルデバイスの1つまたは複数の検出器から受信された信号であって前記モバイルデバイスがトリップにある間に生成された信号に部分的に基づいて、前記トリップ中の前記モバイルデバイスのユーザの注意散漫を含む生じ得る注意散漫エピソードを決定する工程であって、前記トリップは前記生じ得る注意散漫エピソードよりも長い期間に及ぶ、工程と、
前記トリップ後に、前記トリップに関する情報を前記モバイルデバイスの前記ユーザに対し提示する工程であって、前記トリップに関する前記情報は、前記生じ得る注意散漫エピソード
に関する情報を含む、工程と、
前記トリップに関する前記情報を前記モバイルデバイスの前記ユーザに対し提示した後に、前記ユーザから前記トリップについてのフィードバックを受信する工程であって、前記フィードバックは、前記トリップ中の前記モバイルデバイスの前記ユーザの役割および前記トリップについての輸送方式のうちの1つ以上を含む、工程と、
前記生じ得る注意散漫エピソードが
実際の注意散漫エピソードであったかを、前記トリップについての前記フィードバックに部分的に基づいて判定する工程と、を行うように実行可能である、システム。
【請求項18】
前記トリップについての前記フィードバックは、前記フィードバックが適用される前記トリップ中の期間の指示、または、前記フィードバックが適用される前記トリップの軌跡の少なくとも一部の指示を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記トリップについての前記フィードバックが、前記モバイルデバイスの前記ユーザの前記役割が前記トリップ中の車両のドライバであることを含むときに、前記生じ得る注意散漫エピソードが、
実際の注意散漫エピソードであったと判定する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記トリップについての前記フィードバックが、前記モバイルデバイスの前記ユーザの前記役割が前記トリップ中の車両の同乗者であること、または、前記トリップについての前記輸送方式が自動車でない方式であることを含むときに、前記生じ得る注意散漫エピソードが、
実際の注意散漫エピソードではなかったと判定する、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
命令を有する非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体であって、前記命令は、1つまたは複数のプロセッサによる実行時、前記1つまたは複数のプロセッサに、
モバイルデバイスの1つまたは複数の検出器から受信された信号であって前記モバイルデバイスがトリップにある間に生成された信号に部分的に基づいて、前記トリップ中の前記モバイルデバイスのユーザの注意散漫を含む生じ得る注意散漫エピソードを決定する工程であって、前記トリップは、前記生じ得る注意散漫エピソードよりも長い期間に及ぶ、工程と、
前記トリップ後に、前記トリップに関する情報を前記モバイルデバイスの前記ユーザに対し提示する工程であって、前記トリップに関する前記情報は、前記生じ得る注意散漫エピソード
に関する情報を含む、工程と、
前記トリップに関する前記情報を前記モバイルデバイスの前記ユーザに対し提示した後に、前記ユーザから前記トリップについてのフィードバックを受信する工程であって、前記フィードバックは、前記トリップ中の前記モバイルデバイスの前記ユーザの役割および前記トリップについての輸送方式のうちの1つ以上を含む、工程と、
前記生じ得る注意散漫エピソードが
実際の注意散漫エピソードであったかを、前記トリップについての前記フィードバックに部分的に基づいて判定する工程と、を備える動作を行わせる、非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項22】
前記トリップについての前記フィードバックが、前記モバイルデバイスの前記ユーザの前記役割が前記トリップ中の車両のドライバであることを含むときに、前記生じ得る注意散漫エピソードが、
実際の注意散漫エピソードであったと判定する工程を備える、請求項21に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項23】
前記トリップについての前記フィードバックが、前記モバイルデバイスの前記ユーザの前記役割が前記トリップ中の車両の同乗者であること、または、前記トリップについての前記輸送方式が自動車でない方式であることを含むときに、前記生じ得る注意散漫エピソードが、
実際の注意散漫エピソードではなかったと判定する工程を備える、請求項21に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項24】
方法であって、
1つまたは複数のプロセッサが、モバイルデバイスに収容された1つまたは複数の検出器から、前記モバイルデバイスが車両におけるトリップにある間、信号を受信する工程と、
1つまたは複数のプロセッサが、受信された前記信号に基づいて、前記モバイルデバイスのユーザの注意散漫を含む生じ得る注意散漫エピソードを決定する注意散漫エピソード決定工程と、
前記トリップ後に、
1つまたは複数のプロセッサが、前記生じ得る注意散漫エピソードに関する情報を、前記車両における前記トリップの参加者であったユーザに対し提示する、情報提示工程と、
1つまたは複数のプロセッサが、前記車両における前記トリップの参加者であった前記ユーザから、前記ユーザによってはっきりと入力された前記トリップの状況を示す情報を受信する工程であって、前記情報は、前記情報提示工程に応答して受信され、前記トリップの前記状況は、前記生じ得る注意散漫エピソード中の前記モバイルデバイスの前記ユーザが前記トリップ中に前記車両の同乗者であることを含む、工程と、
1つまたは複数のプロセッサが、前記生じ得る注意散漫エピソードが
実際の注意散漫エピソードであったかを、前記トリップの前記状況に基づいて決定する工程と、を備える方法。
【請求項25】
注意散漫エピソード決定工程は、
1つまたは複数のプロセッサが、生じ得る注意散漫エピソードがパラメータに基づいて決定されるレートを変更する工程と、
1つまたは複数のプロセッサが、生じ得る注意散漫エピソードが
実際の注意散漫エピソードであったかに関するユーザから受信された情報に基づいて前記パラメータを調節する工程と、を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
1つまたは複数のプロセッサが、受信された前記信号に基づいて2つ以上のそうした生じ得る注意散漫エピソードを決定する工程と、
1つまたは複数のプロセッサが、以下の要因、すなわち、生じ得る注意散漫エピソードの種類、生じ得る注意散漫エピソードに関連付けられた速度、道路の種類、進行したルートの頻度、および生じ得る注意散漫エピソードの長さ、のうちの1つ以上に基づいて、与えられたユーザについての前記生じ得る注意散漫エピソードを集約する工程と、を備える、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
1つまたは複数のプロセッサが、集約された前記生じ得る注意散漫エピソードに関する情報を前記ユーザに対しレポートする工程を備える、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、ドライバの携帯電話の注意散漫を決定しレポートすることに関する。
【背景技術】
【0002】
ドライバ(運転者)の携帯電話の注意散漫を決定しレポートすることは、他の理由の中でもとりわけ、ドライバの携帯電話の注意散漫が重大な衝突および事故の危険を引き起こすため、有用である。
【0003】
様々な安全運転モバイルアプリケーションを供給するケンブリッジモバイルテレマティクスによって開発された既存のシステムでは、個人のモバイルデバイス(例えば、スマートフォン)からのセンサデータ(いくつかの場合には、車両に対し取り付けられた任意のデバイスからのセンサデータにより拡張される)は、道路を安全にするようにドライバの運転を向上させる目的とともに、ドライバの運転の質を測定するように用いられている。この目的を達成するのに有用である携帯電話上にて利用可能なセンサは、位置センサ(例えば、グローバルポジショニングシステム、GPS)、3つの直交軸に沿って電話の加速を測定するための3軸加速度計、および3つの軸に沿って電話の角速度を測定するための3軸ジャイロスコープを含むが、これらに限定されない。
【0004】
用語「モバイルデバイス」は、例えば、通信リンクに対する有線接続を必要とすることなくユーザによって運ばれることが可能であり、またユーザが運転している間、運転することからユーザの注意散漫を生じ得るように用いられやすい、任意の種類の機器を含むように用いられる。モバイルデバイスは、例えば、携帯電話を含む。
【0005】
既存のシステムでは、ユーザは、モバイルアプリケーション(アプリ)を携帯電話にインストールし、そのアプリを伴って運転する。アプリはバックグラウンドにて実行し、iOSおよびアンドロイドオペレーティングシステムによって提供された位置および携帯電話アクティビティAPI(いくつかの場合には、電話の慣性センサからの情報により拡張される)からの情報を用いて、またはケンブリッジモバイルテレマティクスからのタグデバイス(特許文献1に記載され、参照により本明細書に組み込まれる)などの車載デバイスからの無線信号を用いて、各トリップの開始および停止を自動的に検出する。モバイルアプリは、次いで、ユーザ(電話の)が運転している時に、移動センサ、加速度計、およびジャイロスコープからセンサデータを集める。このセンサデータは、携帯電話上において解析され、最初に処理され、次いで「クラウド」におけるサーバに対し無線ネットワーク(例えば、Wi-Fi、セルラ、またはサーバに対する接続を提供する任意の他のネットワーク)を介して送信される。クラウドサーバにて、テレマティクスエンジンは、車両の動力学と車両内の携帯電話の移動パターンとの両方を正確に評価するように、携帯電話からのセンサデータのストリームを処理する。これらの計算は、携帯電話自身の上において、データがクラウドサーバに対し送信されることなく行われることが可能である。
【0006】
評価された車両の動力学は、マップに一致した位置(緯度/経度/高度)を含み、その態様は特許文献2に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。評価された車両の動力学は、車両の「長手方向」(車両の方向、例えば、前方加速および制動)および「側方方向」の加速(例えば、コーナリング)も含み、その態様は特許文献3に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。制動、加速、およびコーナリングでは、システムは、電話が3つの直交軸、(典型的には、電話の表面に対し並行な2つの軸と携帯電話の表面に対し垂直な1つの軸)に沿って体験する力を測定する、電話からの加速度計およびジャイロスコープデータを用い、電話の車両自体に対する移動が寄与しないことを保証しつつ、これらの信号を車両の加速度の評価へと変換する。この処理は、例えば、電話の配向がユーザによって変えられたため、車両から独立した参照フレームにおいて電話が動いている期間を評価しセグメント化することを含む。後に議論されるように、電話が車両内において大きく動かされている別個の期間へのトリップのこのセグメント化を行う処理は、電話の注意散漫の査定のために重要である。
【0007】
クラウドにおけるサーバはまた、急制動、危険な状態にある速度超過、粗暴な加速、粗暴なコーナリング、運転の量、運転の時間、およびユーザの電話の注意散漫のパターンなどの要因を考慮に入れて、ユーザの運転の態様についてのスコアを計算する。DriveWell(商標)プログラムと呼ばれるバージョンでは、サーバはまた、総合的なスコア(典型的には、1日、2週間、1ヶ月、1年等にわたってなどの、ローリング時間ウィンドウにわたって)と、パーソナライズされた運転警告、ユーザが自身のスコアを比較する(ユーザの家族、友人、隣人、同僚、町、州等と)ことが可能であるリーダボード、安全運転に対する賞金などの、ユーザを引きつけ、より安全な運転の動機を与えるためのフィーチャと、を提供する。スコアリングの重要な態様は、電話の注意散漫の査定である。
【0008】
サーバはまた、いくつかの分類子をモバイルデバイスからキャプチャされたセンサデータに対し適用する。1つのそうした分類子は、センサデータが車またはバス、電車、二輪車等などのいくつかの他の車両からのデータを表すかに関して確率または見込み評価を生成する。別の分類子は、車のトリップについて、デバイスのユーザが同乗者かドライバかを、センサデータとトリップの開始および終了位置などの他のコンテキスト情報との両方に基づいて評価する。
【0009】
「電話の移動」または「電話の注意散漫」分類子は、位置と、ユーザがトリップ中に自身の電話を使用していた時間とを決定する。典型的には、注意散漫イベントに関する位置情報は、道路セグメントのタイムスタップを付されたシーケンスとして、より一般的には、0またはより多くの中間地点(「ウェイポイント」とも呼ばれる)としての、開始および終了位置を接続するポリラインとともに<開始、終了>緯度/経度位置タプルとして提供される。システムの様々なバージョンでは、このフィーチャは、「電話の移動」、「電話の動き」、「電話の使用」、「電話の注意散漫」、または「注意散漫」と称されている。
【0010】
既存の方法は、特許文献3(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているアプローチにおいて構築され、特許文献3では、トリップから取得されたセンサデータが、電話が車両の参照のフレームに対して動かされていた(例えば、電話は、車両内においてユーザによってまたは他の理由により動かされた)と思われた期間の境界を定めるように、セグメント化される。この手続は、加速度計および/またはジャイロスコープデータの使用を伴い、これらのセンサの動力学が様々な閾値を超えているときに、電話が「動かされた」とみなされる。
【0011】
電話の移動は、それ自身によって「注意散漫」とみなされるのではない。しかしながら、電話の移動は注意散漫を示す要因であり、十分条件ではないが必要条件である。電話の移動を伴うトリップの特定の組のセグメントが注意散漫を示すかを分類するように、既存の方法は、電話の移動の推測を2つのさらなる要因、すなわち(i)電話の移動が行われた時にユーザがデバイスと対話していた可能性があった、(ii)車両が電話の移動のときに動いていた、により拡張する。ユーザが電話と対話していたかの特定の指示は、電話のスクリーン状態(「オン」は対話を示す)および/または電話の電話ロック状態を用いる。車両の移動に対して、既存の方法は、閾値以下では注意散漫が生じるとみなされない(例えば、ユーザが車を寄せて自身の電話を見ているまたはゆっくりと運転している場合がある)、閾値車両速度を考慮する。
【0012】
したがって、既存の方法では、3つの条件が、危険とみなされる注意散漫(および注意散漫エピソード)にすべて当てはまる必要がある。
A.ジャイロスコープおよび/または加速度計データから推測された電話の移動。
【0013】
B.特に電話スクリーン状態および電話ロック状態から推測されたユーザの電話との対話。
C.閾値を超えるセグメント中の車両速度。注意散漫の持続期間にわたる速度の様々な統計が用いられることが可能であり、平均値、中央値、または最大値を含む。
【0014】
ユーザは自身の携帯アプリのトリップのインタフェース上において、スコアリングされた電話の注意散漫エピソードを、軌跡の残りとは異なる色彩または陰影により示された道路セグメントによるマップ上のオーバーレイとして、またいくつかの追加の情報(例えば、注意散漫の持続、車両の速度)を含めて、見ることができる。これに加えて、トリップについてのすべての注意散漫エピソードを集約することによって、各トリップには、電話の注意散漫スコア(典型的には、1~5または1~10のスケールにおいて)が与えられる。集約注意散漫スコアはまた、ローリング期間(例えば、運転の過去2週間、または任意の期間)にわたって計算される。
図13は、既存のシステムにおけるこのインタフェースを示す。
【0015】
既存の方法は、したがって、エピソード、シビアリティ尺度、電話の動きの期間(特に、電話の動きの持続期間)、車両の速度、および注意散漫が生じたところの道路の種類のログをとることの概念を含む。既存の方法は、加速度、ジャイロの示度、およびモバイルデバイスのスクリーン状態と、電話の動きを検出するための外部デバイスからの加速度とに依存する。モバイルデバイスの移動を示すセンサの示度は、電話の動きのエピソードのログをとるように、少なくとも最小持続期間、集合的に続く必要がある。また、互いの設定された時間間隔内に検出された移動は、同一のエピソードへと組み込まれる。これらのエピソードは、個々に査定され、ユーザに対しレポートされるイベントに危険を割り当てる。エピソードはまた、ユーザに対し表示するための注意散漫スコアを生成する際に集合的に査定される。注意散漫スコアは、運転トリップごとに、また暦の期間ごとに査定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】米国特許出願公開第2015/312655号明細書
【文献】米国特許第8457880号明細書
【文献】米国特許第9228836号明細書
【発明の概要】
【0017】
これより、ケンブリッジモバイルテレマティクスによって開発された、既存の方法に対する改良を記載する。これらの向上は、とりわけ、以下のものを含む。1.トリップにおいて生じる電話の注意散漫を査定する、スコアリングする、およびユーザに通知するための「注意散漫エピソード」の構築および使用。2.ユーザによる電話スクリーンのタッピングなどの、スクリーン状態および電話ロック状態に加えて電話とのユーザの対話を識別するための「注意散漫コンテキスト」と称される、追加の要因の使用、ならびにこれらの追加の要因を測定するための処理。3.特定の注意散漫エピソードが関連したか否か、例えば、ユーザが同乗者であったか、またはユーザがドライバであったときにユーザの電話が車両における同乗者によって(例えば、子供によって)使用されたか、に関する情報を取得するためのユーザフィードバックの使用。4.各電話の注意散漫エピソードをスコアリングするための、また各トリップをスコアリングするための注意散漫コンテキストの使用。
【0018】
用語「トリップ」は、例えば、車または他の輸送機関内における運転の任意の連続した期間を含むように広く用いられる。トリップは、ある開始位置および時刻にて始まり、ある終了位置および時刻にて終了することが可能である。
【0019】
用語「注意散漫エピソード」は、例えば、トリップの軌跡のセグメント中またはトリップの期間中の、輸送機関を運転しているドライバのアクティビティの知覚的または他の中断、混乱、転換、または割込みの、任意の出来事を含むように用いられる。
【0020】
用語「注意散漫コンテキスト」は、例えば、注意散漫エピソードに関連付けられた1つまたは複数の状況または条件を含むように広く用いられる。
用語「輸送機関」は、例えば、任意の車両またはトリップ中に道路上において運転されることが可能である他の輸送デバイスを含むように広く用いられる。輸送機関は、2,3例を挙げると、自動車、トラック、荷車、オートバイ、および自転車を含むことが可能である。
【0021】
一般に、一態様では、モバイルデバイスがトリップにある間、モバイルデバイスに収容された1つまたは複数の検出器から信号が受信される。検出器から受信された信号は、トリップ中のモバイルデバイスの1つまたは複数の物理的状態を識別するように用いられる。識別された物理的状態に基づいて、時間において分離された別個のイベントが生成される。注意散漫エピソードは、トリップ中のイベントのうち2つ以上に及ぶと決定される。
【0022】
実装は、以下のフィーチャのうち1つまたは2つ以上の組合せを含んでよい。検出器は、加速度計を含む。検出器は、ジャイロスコープを含む。物理的状態は、トリップにおいて用いられる輸送機関に対するモバイルデバイスの動きを含む。物理的状態は、モバイルデバイスの動作状態を含む。動作状態は、モバイルデバイスのディスプレイスクリーンの状態を含む。物理的状態は、トリップの軌跡に沿ったモバイルデバイスの動きの速度を含む。動作状態は、モバイルデバイスのロックの状態を含む。動作状態は、通話の状態を含む。動作状態は、電力条件を含む。動作状態は、モバイルデバイス上において実行するフォアグラウンドアプリの態様を含む。別個のイベントのうちの1つ以上は、トリップ中の生じ得る別個の注意散漫イベントを含む。別個のイベントのうちの1つ以上は、モバイルデバイスが手に取られていることを含む。別個のイベントのうちの1つ以上は、モバイルデバイス上においてタップすることを含む。別個のイベントのうちの1つ以上は、モバイルデバイスが保持されているまたはドライバの方向に向いていることを含む。別個のイベントのうちの1つ以上は、モバイルデバイスが回転させられていることを含む。
【0023】
注意散漫エピソードを決定することは、注意散漫エピソードの開始を決定することを含む。注意散漫エピソードの開始を決定することは、第1の物理的状態が始まった後の閾値期間内に第2の物理的状態が第1の物理的状態と同時に生じれば、第1の物理的状態が始まった時を決定することを含む。注意散漫エピソードを決定することは、注意散漫エピソードの終了を決定することを含む。注意散漫エピソードの終了を決定することは、モバイルデバイスの物理的状態がユーザによる対話を含まないことを決定することを含む。注意散漫エピソードの終了を決定することは、モバイルデバイスの物理的状態がモバイルデバイスのさらなる動きを含まないことを決定することを含む。モバイルデバイスの物理的状態がモバイルデバイスのさらなる動きを含まないことを決定することは、加速度計またはジャイロスコープ値が閾値未満であると決定することを含む。その閾値は、注意散漫エピソードの開始におけるモバイルデバイスの動きを決定する際に用いられる閾値とは異なる。注意散漫エピソードの終了は、モバイルデバイスのさらなる移動がない扱いにくい期間が、継続される注意散漫を示さなくなった後まで決定されない。注意散漫エピソードの終了を決定することは、モバイルデバイスのコンテキストがさらなる注意散漫を示さないことを決定することを含む。注意散漫エピソードを決定することは、生じ得る注意散漫エピソードが真の注意散漫エピソード含むと決定する際に生じ得る注意散漫エピソードを決定することを含む。生じ得る注意散漫エピソードが真の注意散漫エピソードを含むと決定することは、生じ得る注意散漫エピソードが及ぶ期間が所定の長さよりも長いことを決定することを含む。
【0024】
決定された注意散漫エピソードは査定される。スコアが決定された注意散漫エピソードに割り当てられる。注意散漫エピソードに関する情報は、モバイルデバイスのユーザまたは別の者に対しレポートされる。
【0025】
一般に、一態様では、モバイルデバイスがトリップにある間、モバイルデバイスに収容された1つまたは複数の検出器から信号が受信される。検出器から受信された信号は、トリップ中のモバイルデバイスの1つまたは複数の物理的状態を識別するように用いられる。生じ得る注意散漫エピソードは、複数の物理的状態のうちの1つまたは複数に基づいて決定される。生じ得る注意散漫エピソードのコンテキストが決定される。
【0026】
実装は、以下のフィーチャのうち1つまたは2つ以上の組合せを含んでよい。生じ得る注意散漫エピソードのコンテキストの決定は、モバイルデバイスのオペレーティングシステムからまたはモバイルデバイス上において実行しているアプリから信号を受信することを含む。受信された信号に基づいて、モバイルデバイスがアクティブな通話中であると決定される。受信された信号に基づいて、モバイルデバイスが、ハンドセットスピーカ、内部スピーカ電話、または外部スピーカを用いたアクティブな通話中であるかが決定される。受信された信号に基づいて、モバイルデバイスに対するユーザの手の近接が決定される。受信された信号に基づいて、モバイルデバイスのディスプレイスクリーンがタップされているかが決定される。受信された信号に基づいて、モバイルデバイス上において実行するフォアグラウンドアプリが識別される。受信された信号に基づいて、トリップに用いられていた輸送機関の挙動が決定される。
【0027】
生じ得る注意散漫エピソードのコンテキストを決定することは、モバイルデバイスのディスプレイスクリーンの回転を検出することを含む。ディスプレイスクリーン上のタップが、回転のパラメータに基づいて決定される。受信された信号に基づいて、モバイルデバイスのディスプレイスクリーン上のタップの頻度が決定される。受信された信号に基づいて、モバイルデバイスのディスプレイスクリーン上のタップのシーケンスの一時的なパラメータが、モバイルデバイスのディスプレイスクリーン上のタップの既知のシーケンスの一時的なパラメータと比較される。タップイベントの発生が、シーケンスにおけるタップと連続するタップ間の期間とに基づくタップスコアに基づいて決定される。
【0028】
受信された信号に基づいて、生じ得る注意散漫エピソード中のモバイルデバイスまたはモバイルデバイスのディスプレイスクリーンの配向が決定される。モバイルデバイスまたはモバイルデバイスのディスプレイスクリーンの配向に基づいて、生じ得る注意散漫エピソードのコンテキストが識別される。モバイルデバイスの前記ディスプレイスクリーンがトリップに用いられる輸送機関の後方を向き、モバイルデバイスがほぼ垂直に配向され、前記モバイルデバイスが少なくとも閾値期間中にほぼ回転していなかったとき、生じ得る注意散漫エピソードのコンテキストはモバイルデバイスが輸送機関に搭載されていることを含む。モバイルデバイスのディスプレイスクリーンがトリップに用いられる輸送機関の後方を向き、モバイルデバイスが輸送機関の乗員によって正常な使用のための方向に配向されているとき、生じ得る注意散漫エピソードのコンテキストはモバイルデバイスが搭載されたことではない。モバイルデバイスのディスプレイスクリーンがトリップに用いられる輸送機関のほぼ側面を向き、ディスプレイスクリーンの頂端がほぼ上向きに配向されているとき、生じ得る注意散漫エピソードのコンテキストは、モバイルデバイスが輸送機関の乗員の耳に近接して保持されていることを含む。モバイルデバイスのディスプレイスクリーンはほぼ下向きに向いているとき、生じ得る注意散漫エピソードのコンテキストはモバイルデバイスが使用されていないことを含む。注意散漫コンテキストおよび生じ得る注意散漫エピソードが、モバイルデバイスのユーザに対しレポートされる。生じ得る注意散漫エピソードは注意散漫コンテキストを用いてスコアリングされる。ユーザには、電話の注意散漫エピソードが生じたとき、ユーザがどのくらい注意散漫であったかが示される。コンテキストは、注意散漫エピソードをスコアリングするための入力を提供する。
【0029】
一般に、一態様では、モバイルデバイスがトリップにある間、モバイルデバイスに収容された1つまたは複数の検出器から信号が受信される。生じ得る注意散漫エピソードは、受信された信号に基づいて決定される。情報が、トリップの状況を示す前記トリップの参加者であったユーザから受信される。トリップの状況に基づいて、生じ得る注意散漫エピソードが関連性のある注意散漫エピソードであったと決定される。
【0030】
実装は、以下のフィーチャのうち1つまたは2つ以上の組合せを含んでよい。トリップの状況は、生じ得る注意散漫エピソード中のモバイルデバイスのユーザがトリップのドライバではないことを含む。生じ得る注意散漫エピソードに関する情報がユーザに対し提示される。トリップの状況を示す情報が、生じ得る注意散漫エピソードに関する情報の提示に応答して、ユーザから受信される。
【0031】
ユーザがトリップのドライバではないことが自動的に決定される。ユーザがトリップのドライバではないことが、ユーザによって標識された以前のトリップに基づいて自動的に決定される。注意散漫エピソードを決定することは、生じ得る注意散漫エピソードがパラメータに基づいて決定されるレートを変更することと、生じ得る注意散漫エピソードが関連性のある注意散漫エピソードであったかに関するユーザから受信された情報に基づいてパラメータを調節することと、を含む。2つ以上のそうした生じ得る注意散漫エピソードは受信された信号に基づいて決定され、与えられたユーザについての生じ得る注意散漫エピソードは、以下の要因、すなわち、生じ得る注意散漫エピソードの種類、生じ得る注意散漫エピソードに関連付けられた速度、道路の種類、進行したルートの頻度、または生じ得る注意散漫エピソードの長さ、のうちの1つ以上に基づいて集約される。集約された生じ得る注意散漫エピソードに関する情報はユーザに対しレポートされる。
【0032】
一般に、一態様では、モバイルデバイスがトリップにある間、モバイルデバイスに収容された1つまたは複数の検出器から信号が受信される。受信された信号は、生じ得る注意散漫エピソードおよび生じ得る電話の注意散漫エピソードのコンテキストを示す。生じ得る注意散漫エピソードから関連性のある注意散漫エピソードが決定され、関連性のある注意散漫エピソードがスコアリングされる。
【0033】
実装は、以下のフィーチャのうち1つまたは2つ以上の組合せを含んでよい。スコアリングは、速度、日時、曜日、季節、道路の種類、天候条件、または動きの方向を含むコンテキストを考慮に入れることを含む。スコアリングは、モバイルデバイスの移動または配向、およびモバイルデバイスのディスプレイスクリーン上のタップ、のうちの1つ以上を含むコンテキストを考慮に入れる。スコアリングの結果がユーザに対しレポートされる。レポートすることは、ユーザにトリップの軌跡に沿った関連性のある注意散漫エピソードの位置を示すことを含む。レポートすることは、スコアリングから得られたスコアをユーザに示すことを含む。レポートすることは、第三者に対しレポートすることを含む。2つ以上のトリップについて関連性のある注意散漫エピソードについての位置情報が集約される。関連性のある注意散漫エピソードのコンテキストが集約される。集約されたコンテキストは、関連性のある注意散漫エピソード中の速度分布、関連性のある注意散漫エピソード中のモバイルデバイスの配向、および関連性のある注意散漫エピソード中のモバイルデバイスのアクティビティ状態分布、のうちの1つ以上に関してレポートされる。
【0034】
一般に、一態様では、モバイルデバイスのユーザに対し、ユーザが運転していた間に生じた注意散漫エピソード中のモバイルデバイスの使用によってユーザが注意散漫になっていたという推測のレポートがされる。推測が正しいかを示す情報がユーザから受信される。正しくない場合は、ユーザから推測がなぜ正しくないかを示す情報が受信される。
【0035】
一般に、一態様では、車両のドライバの注意散漫の程度が、トリップ中に生じた2つ以上の注意散漫エピソードの各々についてモバイルデバイスの使用によって決定される。トリップ中のドライバの注意散漫の程度が、決定された程度と注意散漫エピソードについての注意散漫コンテキストからの情報とに基づいてスコアリングされる。
【0036】
一般に、一態様では、携帯電話の動作は、運転中の携帯電話のユーザの電話の注意散漫の決定と関連して向上する。開始と終了とを有するトリップ中の期間では、携帯電話は、携帯電話の角速度もしくは加速度またはその両方を表す1組の測定値を生成し、トリップ中の期間について、測定値の各々についてタイムスタンプを生成する。携帯電話は、1組の電話の動作状態を生成し、もしくは電話の動作状態の変更をし、またはその両方を行い、電話の動作状態の各々についてタイムスタンプを生成し、または電話の動作状態の変更をする。トリップ中またはトリップ後、測定値の組のうちの1つ以上、電話の動作状態の組のうちの1つ以上、および対応するタイムスタンプは、トリップ中の1つ以上の電話の注意散漫エピソードを決定するように、携帯電話におけるもしくはサーバにおけるまたはそれらの組合せにおける解析のために提供される。
【0037】
実装は、以下のフィーチャのうち1つまたは2つ以上の組合せを含んでよい。電話の動作状態は、携帯電話のスクリーンがオンである、携帯電話がアンロック状態である、通話、およびユーザの携帯電話との生じ得る対話を示す別の状態、のうちの1つ以上を含む。期間は、トリップ全体を含む。期間は、トリップに対する時間ウィンドウを移動させることを含む。
【0038】
一般に、一態様では、携帯電話のセンサによって生成された、携帯電話の動きを示す情報と、携帯電話の動作状態を示す状態情報とをモニタすることが存在する。モニタすることに基づいて、車両のドライバである携帯電話のユーザによる注意散漫が決定される。
【0039】
実装は、以下のフィーチャのうち1つまたは2つ以上の組合せを含んでよい。モニタすることは、携帯電話の加速度もしくは角速度またはその両方をモニタすることを含む。情報をモニタすることは、携帯電話の移動を検出することを含む。情報をモニタすることは、電話の動作状態もしくは電話の動作状態の変更またはその両方を決定することを含む。注意散漫を決定することは、電話の注意散漫エピソードを生成することを含む。注意散漫を決定することは、携帯電話の動きが閾値よりも長く続いたと決定することを含む。
【0040】
一般に、一態様では、その注意散漫を決定することは、携帯電話の動きの大きさが閾値を超えていると決定することを含む。注意散漫を決定することは、電話の動きが終了していると決定することを含む。電話の動きが終わっていると決定することは、重力に対する携帯電話の配向の変化が閾値以下にあると決定すること、携帯電話の角回転が閾値以下にあると決定すること、携帯電話の加速度もしくは角速度またはその両方の不安定さを決定すること、および電話のスクリーン上におけるタップが終了していること、のうちの1つ以上を含む。
【0041】
一般に、一態様では、携帯電話の動きもしくは携帯電話の動作状態またはその両方に関する情報からの、携帯電話のユーザが車両の運転中に注意散漫であったという決定、および電話の配向、電話のディスプレイが向いている方向、および電話の動作状態のうちの1つ以上に関する情報、携帯電話のユーザが車両の運転中に注意散漫であったコンテキストに関する情報の決定が存在する。
【0042】
実装は、以下のフィーチャのうち1つまたは2つ以上の組合せを含んでよい。コンテキストは、携帯電話が自動車に搭載されていた、ユーザが携帯電話を保持しディスプレイがユーザに向いていた、および携帯電話がユーザによってユーザの耳の近くに保持されていた、のうちの1つ以上を含む。携帯電話の動作状態は、コンテキストを固有に指定する。
【0043】
一般に、一態様では、ユーザが車両を運転していた間の携帯電話の使用に関連付けられた注意散漫に関する情報が、携帯電話のユーザに対し携帯電話のユーザインタフェースを通じて提示される。情報は、注意散漫が生じたトリップの軌跡を示すマップ上に提示される。マップ上に提示された情報の精度に関するフィードバックが、ユーザから受信される。
【0044】
一般に、一態様では、モバイルデバイスの角速度に関する情報の時系列がモバイルデバイスから受信される。携帯電話に関する1つまたは複数の軸に沿った角速度のピークが決定される。ピークに基づいてモバイルデバイスのディスプレイスクリーン上においてタップが生じていると決定される。
【0045】
実装は、以下のフィーチャのうち1つまたは2つ以上の組合せを含んでよい。ピークは、2つの直交軸に沿って生じる関連するピークを含む。決定は、タップの頻度を解析することを含む。決定は、検出されたピークをタップに関連付けられることが知られた比較ピークと比較することを含む。携帯電話の動作状態は、動作状態に基づいて決定される。
【0046】
これらのおよび他の態様、特徴、および実装は、方法、装置、システム、コンポーネント、プログラム製品、営業方法、機能を行うための手段または工程、および他の手法により示されることが可能である。
【0047】
これらのおよび他の態様、特徴、および実装は、特許請求の範囲を含む以下の記載から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【発明を実施するための形態】
【0049】
本明細書に記載される技術の様々な実装の特徴および様々な実装によって達成される利点は、以下である。
1.注意散漫エピソード:本技術は、連続的には存在し得ない個々の注意散漫イベントからなる断続的なシーケンスを、例えば、電話が車両内において動かされたように決定され、速度が閾値を超え、スクリーンがオンであるおよび/または電話がロックされていない、および/またはいくつかの形態のユーザ対話が行われているときはいつでも、単一の別個の「注意散漫エピソード」へと集約する。
【0050】
2.注意散漫コンテキスト:本技術は、電話タッピングを識別するための工程を含む、ユーザが自身の電話と対話しているかを査定するための新たな手法を利用する。そうした要因は「注意散漫コンテキスト」を構築し、生じ得る注意散漫エピソードの重要性を査定するのに、またその危険度を正確にスコアリングするのに有用である。
【0051】
3.ユーザのフィードバックの組込み:注意散漫に対する対話およびフィードバックパターニングの2つ以上の追加の要素は、「同乗者」として、または異なる輸送モード(例えば、バス、電車等)としても、ユーザがトリップを標識する手法を提供することに加えて有用である。いくつかの実装では、第1は、ユーザが、注意散漫エピソードが特にハイライトされ、要求された時刻および位置において関連性のある注意散漫エピソードが存在したことをユーザが信用しなかったとシステムに通知するためのフィードバック用に「クリック可能」である、道順のマップオーバーレイと対話することによってフラグを立てられた注意散漫エピソードについて疑義を抱くことを可能にすることである。第2は、電話のユーザが実際にはドライバである一般的な場面であり、疑義は、生じ得る注意散漫エピソードの存在ではなく、自動車における同乗者であってドライバではないなどの注意散漫の源が与えられたとき、生じ得る注意散漫エピソードがドライバとしてのユーザにとって関連性のある注意散漫エピソードであるか、である。
【0052】
4.注意散漫コンテキストを用いた関連性のある注意散漫エピソードのスコアリング:注意散漫エピソードをスコアリングするときに注意散漫コンテキストを考慮に入れることによって、システムは、電話の注意散漫をスコアリングする先行のアプローチよりも衝突の危険をよりよくキャプチャするスコアを提供することができる。
【0053】
携帯電話、クラウドサーバ、および携帯電話からの情報を解析するシステムについての、本明細書に記載する技術向上のいくつかの実装は、とりわけ、携帯電話の使用に関連付けられたドライバの注意散漫(例えば、注意散漫エピソード)を決定し、その注意散漫に関する情報をドライバ(および、いくつかの場合には、他者)に対しレポートする。解析されレポートされる情報は、例えば、注意散漫エピソードがいつ、またどこで生じたか、および、速度、加速度または制動、コーナリングもしくは逸れることまたはターンすること、時刻、曜日、または月、トリップにおける前の運転の量、前の数時間または同日中の前の運転の量、および電話とのユーザの対話の性質を含む、注意散漫のコンテキストの態様を含むことが可能である。注意散漫コンテキストは、スコアを査定するのに有用であり、衝突または事故の危険を示す情報をキャプチャするように意図される。
【0054】
既存のシステムは、運転中に注意散漫になって過ごされた時間の合計量を評価することによって、注意散漫をスコアリングしたが、本明細書に記載する技術は、事故または衝突の危険をより良くキャプチャし得るアプローチを提供する。
【0055】
本明細書に記載する技術のいくつかの実装では、注意散漫は、携帯電話におけるセンサからのデータを用いて決定される。いくつかの場合には、本技術は、典型的にはアプリの特定の識別情報にかかわらず、電話を手に取って離す、電話を移動させることを伴うようにアプリを使用する、または電話のスクリーン上にてタップするなど、携帯電話を保持するまたは使用することに関連付けられた注意散漫に焦点を当てる。いくつかの例では、本技術は、携帯電話が固定位置に搭載された時、またはドライバが電話をハンズフリーにて使用している時に生じ得る特定の種類の注意散漫を、そうした発生を、ドライバに帰責し得る注意散漫スコアに向かって(またはその注意散漫スコアへのその発生の影響を減少させるべく)不利にカウントしないように、決定する。
【0056】
いくつかの場合には、本明細書に記載する技術の目的であるドライバの注意散漫の種類は、例えば、認知の影響を伴い得るが知覚的な注意散漫を必ずしも伴わない、ハンズフリーの通話により生じ得る注意散漫というよりはむしろ、ドライバに道路または運転の方向における視野にある他のフィーチャから自身の目を逸らさせる知覚的な注意散漫であってよい。
【0057】
本明細書に記載する技術のいくつかの実装では、運転中の電話の注意散漫(例えば、知覚的な注意散漫)を検出するための基本方法は、以下の通りに進行する。
図1に示されるように、トリップの開始からトリップの終了まで(完全なトリップ)または、いくつかの場合には、完全なトリップのうちの一部の間、携帯電話24の電話センサ測定20および動作の状態22(電話動作状態と呼ばれることもある)が集められる。その測定および状態は、例えば、以下のタイムスタンプデータのうちの1つまたは複数を含むことが可能である。3軸加速度計の示度(典型的には、10Hz以上のレートにて集められた);3軸ジャイロスコープの示度(典型的には、10Hz以上のレートにて集められた);速度測定値(GPS信号からの、典型的には1Hzのレートにて集められた、または場合によっては車両のOBDインタフェースからの)30;電話の気圧計測定値(典型的には、1Hz以上のレートにて集められた)27;電話の磁気計測定値(典型的には、10Hz以上のレートにて集められた);および電話の動作状態32、例えば、<時間,状態>または<時間,新しい状態>。電話の動作状態は、例えば、スクリーンのオン/オフ、デバイスのロック/アンロック、通話状態(例えば、「電話における」)、アプリイベントによって定められる「ユーザアクティビティ」(「アプリを起動」または「強制終了」のような)、現在実行しているフォアグラウンドアプリケーションの識別情報および/または性質(存在する場合)、電話がプラグインされているか否か、および注意散漫コンテキストを計算するのに有用である他の生データを示してよい。典型的には、電話の動作状態は、トリップの開始にて、また周期的または等時間隔の時系列としてよりは、むしろ電話動作状態が変わるときにいつでも、電話の動作イベント36として記録される。
【0058】
測定値を集める処理および動作状態は、現在のトリップの始まりからトリップの終了までのすべての測定値を記憶することが可能であり(これは好ましい場合がある)、またはある持続期間の移動ウィンドウ期間についての1組の直近の測定値を記憶するように、限定された容量を有する環状バッファを維持することが可能である。
【0059】
図3は、ジャイロスコープの3軸からの典型的なデータの一例を示し、電話のスクリーンがオンであるときの期間が明らかである。
図4は、GPS速度についての典型的なデータの一例である。灰色部90は、GPS速度が利用不可である範囲を示し、GPS速度が利用不可であるとき、システムは、車両が静止していてよいと想定することによって、ドライバが注意散漫になっていないほうを選ぶエラーを生じる。速度データが利用可能である領域に焦点を当てることによって、それらの期間中にドライバの電話によってドライバが注意散漫になっていたという決定が、またさらに信頼できるものとなる。
【0060】
とりわけ、本明細書に記載される技術は、(i)各注意散漫エピソードについて開始および終了を含む注意散漫エピソードを構築し、(ii)各注意散漫エピソードについての注意散漫コンテキストを構築し、(iii)注意散漫エピソードを表示しモバイルアプリにおけるユーザからのフィードバックを取得するためのインタフェースを提供し、(iv)各注意散漫エピソードをスコアリングし、トリップについての集約注意散漫スコアを提供する。
【0061】
注意散漫エピソード
注意散漫エピソードは、1つまたは複数の注意散漫イベントの集約に基づいて決定される。単一のトリップは、0またはより多くの注意散漫エピソードを有することがある。背景の欄に記載された条件Aと条件Bとの両方に当てはまるとき、本技術は潜在的な注意散漫イベントが生じたことを決定し、条件Cにも当てはまる場合、潜在的な注意散漫イベントは、関連性のある注意散漫イベントとなる。
【0062】
ユーザは運転している間、電話を断続的にしか移動させ得ないため、加速度計およびジャイロスコープセンサデータは、次々にあることが多い移動がない期間とともに、散在する移動の期間を示す。より一般には、3つの条件A、BおよびCのうちの1つまたは2つは、例えば、30秒間の間隔内において3つの条件が、ドライバの電話の使用が30秒の期間全体を通じて本質的に連続であったとしても断続的な期間中にしかすべて当てはまらない
図14に示されるように、ある程度の時間には当てはまらなくてよい。3つの条件が当てはまる断続的な期間の各々は、注意散漫イベントとみなされることが可能である。本技術は、それらの各々を別々の注意散漫エピソードとして扱うことを避けるものの、ドライバが、条件のうちすべてよりも少数が当てはまる介在期間を含む30秒の期間全体の間に事実上注意散漫エピソード中であったという事実と矛盾する扱い。
【0063】
本明細書に記載する技術は、そうした場面を考慮するように、注意散漫エピソードの開始および終了を定める手法を提供する。
本技術は、注意散漫エピソードを、スコアリングが行われ、フィードバックと情報目的との両方のために情報がユーザに対し提示される、微細な粒状場面として扱うように構成される。したがって、
図14に関して記載される場面では、本技術は、注意散漫イベントの各々をスコアリングせず、代わりに注意散漫エピソードのみをスコアリングする。この目的のため、本技術は、ある場面が注意散漫エピソードとみなされると決める際、またそうしたエピソードがいつ開始し終了したかを決定する際、センサ信号と様々な条件の発生のタイミングとを解析する、以下に議論される特定の原理を適用する。
【0064】
場合によっては、注意散漫エピソードの開始は、条件AおよびBが同時に当てはまる前に生じる。例えば、ユーザは、自身の電話をカップホルダまたはポケットから手に取り、数秒後に電話をオンにし得る。その場合、2つの条件のうち一方がまず当てはまった後、両方の条件が閾値期間内のいくらかの時間にて同時に当てはまれば、注意散漫エピソードの開始は、2つの条件AおよびBのうちの一方がまず当てはまったときに生じたとみなされる。対照的に、AまたはBのいずれかが当てはまり、両方は当てはまらず、かつ、AとBとのうちの他方が、続く閾値期間内にも当てはまらない場合、注意散漫エピソードは始まらなかったとみなされる。この閾値の典型的な値は、5~30秒の間である。
【0065】
同様に、与えられた注意散漫エピソードは、条件Aまたは条件Bがもはや当てはまっていないときに終了しなくてよい。代わりに、注意散漫エピソードの終了は、以下の条件のすべてが当てはまったときにしか生じていないとみなされることが可能である。
【0066】
(i)以下に記載される注意散漫コンテキスト決定は、さらなる注意散漫が存在しない(例えば、ユーザによる電話のタップがもう存在しない)ことを示す。
(ii)電話移動検出処理は、注意散漫エピソードの終了にて電話の移動の決定を生じる加速度計および/またはジャイロスコープ値についての閾値が、一般に、注意散漫エピソードの開始を決定するための値とは異なることが可能であれば、さらなる電話移動(条件A)が存在しないことを決定する。使用時、そうした閾値差は、通話しながら耳の近くにおいて電話を保持するなどのより小さい動きが、注意散漫エピソードを終了させるよりはむしろ注意散漫エピソードの終了を延長することを正当化し得るため、有用であり得る。
【0067】
(iii)上記の条件(i)または(ii)のいずれにも当てはまらない、扱いにくい期間が経過している。典型的な扱いにくい期間は、30~60秒の桁数にあってよい。扱いにくい期間は、ユーザに対し提供されたフィードバックインタフェースを用いて調節可能であり得る。
いくつかの実装では、第4の条件も必要とされる。
【0068】
(iv)条件Bがもはや当てはまっていない(すなわち、ユーザはもはや電話と対話していない)。
この点に対して議論される注意散漫エピソードは、生じ得る注意散漫エピソードとみなされ、その注意散漫エピソードが、スコアリングされる関連性のある注意散漫エピソードであるかを決定するようにさらなる解析を必要とし得る。
【0069】
いくつかの実装では、生じ得る注意散漫エピソードは、典型的には、関連性のある注意散漫エピソードとみなされるように少なくともある合計時間続く必要があり、非常に短い生じ得る注意散漫エピソードは、ユーザによって誘起されるものではないことが多く、例えば、電話スクリーンがオンであること、またポットホール上を運転し電話移動アルゴリズムに潜在的なイベントまたはエピソードを誘起させることによって、生じて得る。したがって、電話の移動を決定することは、この目的および他の目的にとって有用である。
【0070】
電話の移動を決定するため、本技術は、電話センサデータからの加速度104と角速度106とのうちの一方または両方をモニタし、電話の移動を決定するように以下の技術のうちの一方または両方を用いる。
【0071】
1.加速度計測定が利用可能である場合、方法は、電話の参照フレームにおける重力の変化110を測定することが可能である。これを行うため、方法は、t-aからt-bまで(ここで、a+b=w)のサンプルを含む、時刻t付近の幅wのスライディングウィンドウを維持する。方法は、サブウィンドウ[t-a,t]および[t,t-b]の各々から、各ウィンドウ内の加速度値を要約することによって、評価された重力の方向を表す2つのベクトルを計算する。加速度値を要約する2つの典型的な手法は、(i)平均値ベクトルを計算する、および(ii)(成分ごとの)中間値ベクトルを計算する、である。2つの「重力」ベクトル、すなわち、一方がサブウィンドウ[t-a,t]からのg_a、および他方がサブウィンドウ[t,t+b]からのg_bが与えられると、方法は、2つのベクトル間の角度を逆余弦(g_a・g_b/|g_a||g_b|)として計算する。角度がある閾値(例えば10度と30度との間であるが、他の値が機能することが可能である)を超えると、電話は、重力の方向に対して自身の配向を変えられたとみなされる。この概念は、一般的には特許文献3に記載されている。
【0072】
2.ジャイロスコープからの角速度測定値が利用可能である場合には、電話の瞬間的な回転数112の大きさが計算されることが可能である。いくつかの実施例では、角回転数の大きさは、M=√(w_x^2+w_y^2+w_z^2)と計算される。Mは、次いで、平滑化される(例えば、ハニングウィンドウにより畳み込む、またはローパスフィルタを適用することによって)。Mの平滑化された値がある閾値(真の注意散漫エピソード対真でない注意散漫エピソードに関するユーザからのフィードバックに基づく経験からまたは機械学習分類子を用いてその経験を学習することによって設定され得る)を超える場合には、電話は「著しく回転している」とみなされる。一般に、この閾値は、電話の型およびモデルならびにユーザ定義に依存し得る。この概念も、一般的には特許文献3に記載されている。
【0073】
注意散漫コンテキスト
先に述べた通り、また以下に詳細に述べる通り、関連性のある注意散漫エピソードのスコアリングは、注意散漫コンテキストに関する情報を考慮に入れる。ドライバによるアクティブな電話の使用が推測され得る1つの要因として電話の回転を記載したが、他の要因も、以下の電話(その電話上のセンサから得られるまたはその電話のオペレーティングシステム)のうちの1つまたは2つ以上の組合せを含むアクティブな電話の使用を検出するのに関連性があってよい。ユーザが現在通話中であるかを表す通話状態(アクティブな電話の使用を示し得る)、通話音声がハンドセットスピーカ、内部スピーカフォン、または別の外部スピーカにルーティングされているか(アクティブな電話の使用が知覚的な注意散漫を示唆するかを示し得る)、近接センサ(アンドロイド電話上に存在し得るなど)からのデータに基づく、電話に対するユーザの手の近さ、電話上において現在実行しているフォアグラウンドアプリ(存在する場合)の識別情報(これは他の要因よりもユーザのプライバシに対し侵入的であり得るが)、ユーザがスクリーン上においてタップした(例えば、タイピングまたはアプリケーションとの対話)のと一致して電話が移動したか、ドライバが注意散漫になっている可能性があること、例えば、ドリフト挙動(ジャイロスコープ信号から証拠が得られる)、または道路についての典型的な速度を大幅に下回って運転していることを示す車両の動きを示唆するように電話が移動したか。
【0074】
本明細書において、注意散漫コンテキストの2つの重要な例、すなわち(i)ユーザが自身の電話スクリーン上において対話的にタップしているかを確実に検出すること、(ii)注意散漫を特徴付けるように電話の配向と動作状態とを組み合わせること、を記載する。
【0075】
例示的な注意散漫コンテキスト:電話スクリーンのタップおよびタップ検出器
テキストメッセージを送信するためのタイピングおよびソーシャルメディアアプリにおけるタイピングは、運転中の電話の注意散漫の一般的な形態である。ユーザに対し自身の電話の注意散漫に関するより対象を絞ったフィードバックを提供することと、危険度(例えば、タイピングは、マップへとズームするようにナビゲーションアプリにおいて手短にスワイプすることよりも危険であり得る)を査定することとは、このタイピング挙動を検出するのに有用である。本明細書には、電話のセンサを用いて、フォアグラウンドにおいてどのアプリが実行しているか(利用不可であるまたはユーザのプライバシの期待を侵害し得る情報)をモニタすることなく、タイピング挙動を検出するためのシステムを記載する。
【0076】
モバイルデバイス上におけるタイピングは、典型的には、デバイスのディスプレイスクリーン上のタップを伴い、タップはあるパターンにより行われる。タップは、以下の処理によって認識されることが可能である。
【0077】
電話のユーザが電話を保持しスクリーンをタップするとき、電話はそのx-y平面周りの小さいがまだ目立つ回転を受けるが、電話のz軸周りの回転をあまり受けない(アンドロイド開発者ガイドから取られた
図9は、電話に対する3つの軸170の一例の配置を示す)。
【0078】
スクリーン上の単一のタップによって生じたx-y平面に置ける回転のレートは、小さく(例えば、0.2~0.7ラジアン/秒)、短期間(典型的には、数百ミリ秒未満)しか続かない。電話のジャイロスコープは、回転を、高サンプリングレート(例えば、100Hz)にてカーブとして、または低周波数(例えば、15Hz)にて単一のピークとして、キャプチャする。その回転にはまた通常、反対方向に戻る回転が続く。
【0079】
図10に示されるように、電話のスクリーンが4つの象限へと仕切られると、ユーザがタップしたところの象限は、xおよびy軸に沿った回転信号の合図を決定する。
例えば、ユーザがスクリーンのうちの右下の象限をタップすると、電話はx軸に沿って正の量、またy軸に沿って正の量回転する(右手座標系の場合)。ユーザが右下の象限を数回タップしたときに電話によってキャプチャされたジャイロスコープ信号の一例は、
図11に示される。
【0080】
示されるように、ユーザがスクリーン上においてタップしたとき、一方がx軸(実線)についておよび他方がy軸(破線)についてである、同期された1対のピークが現れ、直ちに反対方向における別のピークが続く。
【0081】
タッピングの別の例が
図12に示され、ここではユーザが左下の象限においてタップする。この場合、x軸およびy軸の符号は反対になる。
また、ソーシャルネットワーキングページにおける文字入力またはタイピングなどの典型的な電話の使用においてユーザが電話上においてタップしたとき、妥当なタップ頻度の範囲は1秒に5タップから1タップあたり数秒までである。
【0082】
いくつかの実装では、タッピング検出器は、電話におけるジャイロスコープから3軸の角速度測定ストリームが与えられると、以下のように機能する。
1.以下の可能性のうちの1つ以上を含み得る技術によって各タップイベントを検出:
a.入力角速度データストリームにおいて、片方がx軸についておよびもう片方がy軸についての、角速度のレートのピークの大きさが大きさ閾値の範囲(例えば、0.2~0.7ラジアン/秒)内である、1対のピークの発生を検出する。次いで、検出された各対のピークには、直後に(例えば、数十または数百ミリ秒以内、やはり閾値の範囲内)、別の対のピークが続く。
【0083】
i.「ソフトな」閾値処理バージョンのアルゴリズム(固定された所定の閾値におけるハードな閾値処理に代えて)では、複数のピークの対のうちの1つの対についてのピークの大きさが、タッピングについての典型的なピーク範囲からどのくらい逸脱しているかを評価する。
【0084】
ii.z軸(スクリーンに対し垂直な軸)についての追加の制約を随意で適用する、すなわち、z軸についての角速度がある閾値以下であるかを決定する。
b.独立して、また予め、試験ユーザおよび/または実際のユーザからの実際の(既知の)タップイベント(例えば、単一のタップの発生)の集合をキュレーションする。生じ得るタップイベントを表す入力一時信号が与えられると、スライディングウィンドウが信号に対し適用され、例えば、動的時間伸縮法を用いて、既知のタップイベントの集合の比較可能な時間セグメントに一致させられる。既知のタップイベントのうちのいずれかとの一致が存在する場合、ウィンドウにおける信号のその部分はタップイベントとみなされる。一致によって、入力信号と集合における信号のうちの1つまたは複数との間に動的時間伸縮法の小さい距離を有するように定められ、他の定めも可能である。
【0085】
c.いくつかの実装では、検出器は、電話の動作状態を用いてタップイベントの検出を拡張する。例えば、検出器は、スクリーンがアクティブな状態(例えば、「オン」もしくは「アンロック」またはその両方)にない限り、タップイベントの存在を決定しなくてよい。
【0086】
2.工程1から検出されたタップイベントのシーケンスが与えられると、検出器は、タップイベントのシーケンスがタップエピソードの発生を表す可能性を示す、タップスコアを計算する。
【0087】
a.スコアリングは、ゼロスコアS=0から開始する。
b.決定された各タップイベントについて、スコアラは、一方がタップイベント自身(E)からおよび他方が2つの連続するタップイベントのそれぞれの開始間の到達間隔(I)からである、2項の合計を加算する。S=S+(E+I).
i.タップイベントスコアEは、モデルタップイベントのフィーチャに対するタップイベントの近接をエンコードする正の数である。例えば、典型的なピークの大きさからのピークの大きさの絶対偏差(例えば、0.5ラジアン/秒)が用いられることが可能であり、例えば、E=exp(-|M-0.5|)である。または、イベントが自身の類似性を訓練セットのタップイベントに一致させることによって検出される場合、類似性の関数が用いられることが可能である。
【0088】
ii.到達間隔スコアIは、典型的なスクリーンタップを示さない短すぎるまたは長すぎる到達間隔を罰するように評価される。例えば、到達間隔が0.1秒未満であるまたは5秒を超える場合にはI=-1、そうでない場合にはI=0である。
【0089】
c.スコアが閾値を超えると、タップエピソードが発生していると決定される。
d.スコアが0未満になると、スコアをゼロに設定する。すなわち、S=max(0,S+(E+I))である。これは、タップエピソードの存在における蓄積された消極的証拠の効果の境界を定める。
【0090】
例示的な注意散漫コンテキスト:電話の配向および動作状態を組み合わせること
電話の配向、電話が向く方向、および電話の動作状態、ならびにそれらの組み合わせは、電話の注意散漫エピソードが発生した時に電話がどのように用いられていたかをシステムが推測することを可能にする。
【0091】
いくつかの電話の動作状態は、電話の注意散漫エピソードの時に存在したコンテキストを固有に指定する。例えば、1つの電話の動作状態は、ユーザが自身の電話を用いていたことを示す、「アクティブな通話」であってよい。
【0092】
そうした電話の動作状態が不十分であるまたはないとき、またその動作状態が利用可能であるときも、電話の配向は注意散漫のコンテキストに関する追加の情報を提供する。配向を決定するための方法は、特許文献3に記載されており、参照により組み込まれる。輸送機関(自動車など)に対する電話のスクリーンの配向は、電話の注意散漫の時における電話の使用のコンテキストに関する情報を特に示す。
【0093】
いくつかの実装では、電話の注意散漫エピソード中の電話が向いている方向および電話のディスプレイスクリーンの配向ならびにそれらの組合せは、電話の注意散漫コンテキストを決定するための基礎として、以下のグループ(状態)のうちの1つまたは複数および他へと編成されることが可能である。
【0094】
1.搭載:電話のスクリーンがほぼ自動車の後方を向き、電話が重力に対してほぼ垂直に傾けられ(配向され)ており、デバイスが数分またはより長い間に数度を超える回転を受けていない。
【0095】
2.スクリーンがドライバに向いた状態で保持:スクリーンがほぼ自動車の後方を向く場合、人が電話を通常使用する方向に電話が傾けられており、電話が搭載状態ではない。
3.耳に保持:スクリーンがほぼ自動車の側面を向き、スクリーンの頂端がほぼ上向き(重力方向とは反対)に向く。これは、ドライバが電話を自身の耳の近くに保持しながら通話していることを示唆し得る。
【0096】
4.他:他の配向は、例えば、ディスプレイスクリーンが下を向いている場合、ドライバがアクティブに電話に引きつけられていることを示唆し得る。
これらすべては、加速度計および随意でジャイロスコープベクトル(その軸が電話の参照フレームにある)の方向から推測される。
【0097】
各電話の注意散漫エピソードは、注意散漫エピソードの持続期間および注意散漫エピソードが生じた位置もしくは時刻(またはその両方)とともに、上記の注意散漫の種類をキャプチャする属性のベクトルを含む、推測された注意散漫コンテキストにより注釈を付される。
【0098】
推測された注意散漫コンテキストは、3つ以上の目的のために用いられることが可能である。第1に、コンテキストは、例えば、電話の注意散漫エピソードのどのような注意散漫コンテキストが衝突または異常接近の可能性と高く相関するのかを調べるように、電話の注意散漫エピソードのさらなる解析用の変数として用いられることが可能である。第2に、エンドユーザインタフェース(例えば、電話アプリ)は、推測された注意散漫コンテキストを電話の注意散漫エピソードとともに提示し、電話の注意散漫エピソードが生じたときにユーザがどのくらい注意散漫であったかをユーザに対し示すことが可能である。第3に、コンテキストは、注意散漫エピソードをスコアリングするための入力を提供する。
【0099】
例示的な注意散漫コンテキスト:天候および周囲条件
1つの例として、コンテキストは、雨が降っているか雪が降っているか、温度、空における太陽の位置などを含む、天候であってよい。ある天候条件(例えば、雪)は、遥かに高い事故の危険を有することが知られているため、そうした期間中の注意散漫はより危険であり得る。
【0100】
例示的な注意散漫コンテキスト:時間
別の例として、注意散漫コンテキストは、時刻、曜日、および季節の情報を含むことが可能である。特定の時刻はより高い事故リスクを有するため、この情報は危険スコアリング目的にとって重要であり得ることを理解されたい。これに加えて、このトリップ中および前の12時間または24時間の期間中にドライバがすでにどのくらいの時間運転したかなどの情報は、注意散漫スコアに対して関連性があるドライバの疲労および注意力の低下を示唆し得る。
【0101】
例示的な注意散漫コンテキスト:エピソード中の車両動力学
コンテキストの第3の例として、車両が注意散漫エピソード中にどのように移動していたか、例えば、車両が減速していたかもしくは加速していたか、車線においてドリフトしていたか、または逸れていたか、を含んでよい。これらの挙動は、注意散漫度およびドライバの不注意を示し得る。最後に、特定の運転挙動の相対頻度(例えば、粗暴な制動)は、注意散漫エピソードの相対的な危険を測定するように、与えられたユーザの注意散漫になった期間対注意散漫になっていない期間において比較されることが可能である。
【0102】
ユーザ提示およびユーザフィードバック
上記の特徴に加えて、本技術は、トリップまたは1つもしくは複数の注意散漫エピソードに関連付けられたユーザフィードバック64(
図1)を収集してこ入れすることも可能である。例えば、ユーザがトリップの軌跡をみてトリップの範囲または部分が注意散漫エピソードを有していることに気付いたとき、ユーザは、トリップのこの部分についてまたはトリップ全体について、電話が同乗者によって使用されていたことを示してよい。次いで、電話の注意散漫エピソードについてのマーカが、ユーザに対し表示された軌跡から取り除かれ、またはトリップ全体が「同乗者」のトリップとしてマークされ、ユーザは注意散漫エピソードに関連付けられなくなる(注意散漫エピソードによって罰せられなくなる)。
【0103】
ユーザがトリップにおけるドライバであるか同乗者であるかを自動的に検出できることも有用である。過去のユーザにより標識されたトリップは、同乗者のトリップの例のコーパスを提供することが可能であり、自動化されたドライバ対同乗者の分類の性能を評価し向上するように用いられることが可能である。したがって、前の段落に記載されたように集められたフィードバックは、同乗者の検出の精度をさらに向上させるように機械学習分類子において用いられてよい。
【0104】
これに加えて、ユーザフィードバックが、本技術の電話の注意散漫エピソードの自動検出を向上させるように用いられることが可能である。電話の注意散漫エピソード検出の処理の工程において用いられるパラメータ値は、固定値である必要はないが、範囲内において変化することが可能である。例えば、設定によって電話の注意散漫エピソードの報告しすぎになる場合、これは、電話の注意散漫エピソードが生じていないことを示すユーザフィードバックの上昇したレートによって検出されてよく、システムをより適切なパラメータ値に再び較正するように用いられてよい。
【0105】
電話の注意散漫エピソードを検出した後、システムは、ドライバが注意散漫エピソードを減少させるのに役立てるように、そのエピソードと電話の注意散漫コンテキストとに関する情報をドライバに対し提示してよい。電話の注意散漫エピソードの共有も、ユーザからのフィードバックを収集するための機会を提供し、システムと電話の注意散漫エピソードと電話の注意散漫エピソードによって生じる注意散漫コンテキストとを有効化するように用いられることが可能である。
【0106】
いくつかの実装では、単一のトリップ中に生じた電話の注意散漫エピソードに関する情報はレポートされる。システムは、単一のトリップの軌跡を表示することが可能であり、電話の注意散漫エピソードが生じた軌跡の部分に注釈を付すことが可能である。ユーザは、その部分上をタップすることによって、またはそのトリップにおけるすべてのエピソードのリストを通じてスクロールすることによって、個々のイベントを選択することが可能である。エピソードの選択は、電話の注意散漫コンテキスト、その注意散漫コンテキストが生じた時間、期間、および他の測定されたまたは推測されたコンテキスト情報などの、そのエピソードに関する情報を有するポップアップを提供する。
【0107】
一例としての電話の注意散漫エピソードは、軌跡142上のセグメント140およびエピソードの時間144が、軌跡のセグメントを呼び出すユーザによって誘起されたポップアップ上に示されるように、
図6に示される。
【0108】
図7に示されるように、ユーザは、次いで、例えば、自身がトリップにおいてドライバではなかったが同乗者であったことを示すためのフィードバックを提供する選択肢を有する。ユーザは、トリップが自動車ではなく、バス、電車、自転車または他の輸送方式によって行われたというフィードバックを提供してもよく、または、標識されたトリップデータの特定の部分が正しくなさそうである(すなわち、特定の位置にて速度超過していなかった)ことを示してよい。
【0109】
ユーザが「コンタクトサポート」(または、様々な手法により取得され得る「フィードバックの提供」などの等価物)と呼ばれるリンク150を選択した場合、
図8に示されるように、ユーザにはフィードバックを入力(または言い表す)ためのフィールド152が提供される。
【0110】
フィードバック機構によって、ユーザは電話の注意散漫エピソードおよび各エピソードの特性およびコンテキストを正すまたはそれらに疑義を抱くことが可能である。フィードバック機構は、ユーザがドライバであって(すなわち、電話はドライバのものであって、同乗者のものではない)、当該注意散漫エピソードのうちの1つまたは複数について、その注意散漫はドライバというよりは同乗者に起因したことを、ユーザが示すことを可能にする。
いくつかの実装では、システムは、単一のユーザのレベルの要約を提供するように、電話の注意散漫エピソードと電話の注意散漫コンテキストとを複数のトリップにわたって集約することが可能である。例えば、システムは、電話の注意散漫エピソードが、
1.電話の注意散漫エピソードの評価された種類(例えば、通話、文字入力、アンロック)、
2.電話の注意散漫エピソードの車両速度、
3.道路の種類(幹線道路対地方道)、
4.道順の頻度、
5.電話の注意散漫エピソードの長さ、
によってどのくらいの頻度または回数変わるかを測定することが可能である。
【0111】
ユーザのレベルの電話の注意散漫エピソードの傾向を解析することは、システムが、安全性向上のためユーザにカスタマイズされたコンテキストのヒント、例えば、「車での帰宅中は電話の使用を減らしなさい」または「速い速度では電話を使用するな」のような、ドライバ指定の助言を提供することを可能にする。
【0112】
ユーザフィードバックの収集は、ユーザが、システムに引きつけられるように感じ、またシステムによって生成された情報における潜在的なエラーを正すことを可能にする。ユーザからのフィードバックは、アルゴリズムの精度を有効にするのに有用でもあり得る。
【0113】
例えば、システムによって生成された特定の組の注意散漫パラメータは、対応する量のフィードバックを提供してよい。システムは、システムが電話の注意散漫エピソードをどのくらいの頻度で誤分類するかを評価するように、フィードバックのレートを用いることが可能である。
【0114】
ユーザにより異なるパラメータを試験することによって、またフィードバックの量の変化を測定することによって、システムはそれぞれのパラメータについて対応する誤分類性能を評価することが可能である。システムは、次いで、これらのパラメータについて偽陽性率または偽陰性率を減少させるように生成されたパラメータを修正する。
【0115】
異なるパラメータを試験するため、システムは、ユーザの集団全体について、集団のサブセットについて、個々のドライバについて、個々のトリップについて、またはこれらのアプローチのうちの2つ以上の組合せのパラメータを変更することが可能である。ドライバの大きい集団が与えられると、これはパラメータ空間を迅速に探査することを可能にする。
【0116】
この情報をドライバに対し提供することに代えて、またはこのことに加えて、その情報を第三者(例えば、保険会社)に提供することが可能である。
注意散漫エピソードのスコアリング
電話の注意散漫エピソードのスコアリングは、注意散漫コンテキストを考慮に入れることによって行われる。例えば、注意散漫スコアは、速度、時刻、曜日、季節、シーズン、道路の種類、天候条件、移動の方向などに依存し得る。これに加えて、注意散漫の種類が考慮に入れられ、電話の移動および軽い電話のタップがスコアリングの際に異なるように扱われてよい。耳へのハンドセットによる通話は、いくつかのタップを伴い得るハンズフリー動作とは異なるようにスコアリングされることが可能である。
【0117】
使用
電話の注意散漫エピソードの回数および持続期間は、典型的には、トリップが完了した後に決定される。上に議論された処理は、電話の注意散漫エピソードが生じたことを測定するように用いられ、エピソードのシビアリティは、注意散漫になっていた時間の量、速度、道路の種類、または時刻の関数であることが可能である。注意散漫エピソードもしくは注意散漫の尺度またはその両方は、次いで、少なくとも以下の手法(および他のもの)およびそれらの組合せにより用いられることが可能である。
【0118】
1.例えば、ユーザに自身のトリップの軌跡がオーバーレイされたマップを示すことによって、ユーザが注意散漫になっていたところをユーザに示す。軌跡の部分、すなわち、電話の注意散漫エピソードが検出されたセグメントは、電話の注意散漫エピソードに対応するようにマークされることが可能である。これらの部分は、軌跡オーバーレイにおいて異なる色彩によって示されることが可能である。これは既存の方法にて行われる。
【0119】
2.マップ上にオーバーレイされたマーカを用いて各電話の注意散漫エピソードを示す。マーカとともに、イベントの持続期間、車両速度、道路の種類、電話のアクティビティ状態、およびトリップのコンテキスト(例えば、帰宅中)など、電話の注意散漫エピソードのコンテキストが表示されることが可能である。これは既存の方法にて行われる。
【0120】
3.ユーザに注意散漫スコア54を提供する。システムは、ユーザの電話の注意散漫エピソードの数を短いウィンドウ(例えば、2週間)にわたって追跡することが可能である。この期間は、トリップ間のいくつかの平均化を含むのに十分長いように、しかし専用ドライバが数日の経過にわたる測定可能な向上を見て取るのに十分短く選ばれる。このスコアはドライバについての総合的なスコアに組み込まれ、この総合的なスコアは安全運転のための競争を奨励するように用いられることが可能である。例えば、総合的なスコアはリーダボード上においてソートされ表示されることが可能である。これは既存の方法にて行われる。
【0121】
4.第三者(例えば、保険会社、またはフリートマネージャ/オペレータ)に電話の注意散漫スコア56、例えば、ユーザが見たものと同一のスコア、または保険数理目的にとってより適切なより長いウィンドウ(例えば、6ヶ月)に基づくスコアを提供する。これは既存の方法にて行われる。
【0122】
5.複数のドライバ58にわたって電話の注意散漫エピソードの地理的な位置を集約する。この表示は、交差点または道路セグメントが都市において危険であり得ることの理解に役立てるのに有用であり得る。そうしたツールは都市計画者にとって役立つ。
図2は、マーカ60によって示されるマイアミにおける電話の注意散漫エピソードの地理的分布の一例であり、マーカの色彩(または別の視認可能な属性)は各位置における電話の注意散漫エピソードの数を示す。
【0123】
6.電話の注意散漫プロファイル。項目2に記載されたものを含む電話の注意散漫の様々なコンテキストが、延長された期間(例えば、1年、またはユーザが予定上にいた持続期間全体にわたって)集約され、また要約される。要約は、テキストの要約とともにグラフィカル表示(プロットおよびマップ)によって表されることが可能である。プロファイル要約における少数の可能性は、以下を含むことが可能である(しかしながら、以下に限定されない)。
【0124】
a.注意散漫になっている間の車両速度分布、ユーザが電話によって注意散漫になった時の車両速度のヒストグラム(または同等に確率密度プロット)。
b.電話の注意散漫エピソード中の電話の配向の分布、電話の配向の相対比率およびユーザが注意散漫であった間の使用(例えば、20%が搭載、35%が前方に保持、30%が耳に保持、15%が他)を示す円グラフ(または同等のもの)。
【0125】
c.電話のアクティビティ状態分布、様々な電話のアクティビティの相対比率(例えば、40%が通話、30%が文字入力、15%がナビゲーションソフトウェアの確認、15%が不明)を示す円グラフ(または同等のもの)。
【0126】
電話の注意散漫エピソードを決定するための処理(したがって、それらのイベントに関する情報のユーザまたは保険会社に対する表示)がトリップ後に行われる技術を記載した。少なくともそうした情報の表示を延期することは、ドライバの注意散漫への追加の機会を減少させる。しかしながら、いくつかの実装では、電話の注意散漫エピソードをリアルタイム(すなわち、トリップが進行中である間)に決定することが可能であり、電話の注意散漫エピソードの発生をユーザに対し電話上にリアルタイムに、視覚的通知(ポップアップメッセージなど)、音声、振動、またはそれらのインジケータのうちの2つ以上の組合せを通じて示すことが可能である。
【0127】
上記のいくつかの例では、処理のうちの1つまたは複数は、モバイルデバイスから離れたサーバ上またはモバイルデバイス上において実行されるが、処理はモバイルデバイス上、サーバ上、またはそれらの組合せにおいて実装されることが可能である。他の実装もまた、以下の特許請求の範囲内である。
[項目1]
方法であって、
モバイルデバイスの1つまたは複数の検出器から受信された信号であって前記モバイルデバイスがトリップにある間に生成された信号に部分的に基づいて、前記トリップ中の前記モバイルデバイスのユーザの注意散漫を含む生じ得る注意散漫エピソードを決定する注意散漫エピソード決定工程であって、前記トリップは前記生じ得る注意散漫エピソードよりも長い期間に及ぶ、工程と、
前記トリップ後に、前記トリップに関する情報を前記モバイルデバイスの前記ユーザに対し提示する工程であって、前記トリップに関する前記情報は、前記生じ得る注意散漫エピソードの指示を含む、工程と、
前記トリップに関する前記情報を前記モバイルデバイスの前記ユーザに対し提示した後に、前記ユーザから前記トリップについてのフィードバックを受信する工程であって、前記フィードバックは、前記トリップ中の前記モバイルデバイスの前記ユーザの役割および前記トリップについての輸送方式のうちの1つ以上を含む、工程と、
前記生じ得る注意散漫エピソードが関連性のある注意散漫エピソードであったかを、前記トリップについての前記フィードバックに部分的に基づいて判定する工程と、を備える方法。
[項目2]
前記モバイルデバイスの前記ユーザに対し提示された前記トリップに関する前記情報は、前記トリップについての前記フィードバック用のプロンプトもしくは前記生じ得る注意散漫エピソードについてのフィードバック用のプロンプト、またはその両方を含む、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記モバイルデバイスの前記ユーザに対し提示された前記トリップに関する前記情報は、前記トリップについての軌跡および前記生じ得る注意散漫エピソードの前記指示を含む、項目1に記載の方法。
[項目4]
前記トリップについての前記フィードバックは、前記フィードバックが適用される前記トリップの前記軌跡の少なくとも一部の指示を含む、項目3に記載の方法。
[項目5]
前記トリップについての前記フィードバックは、前記フィードバックが適用される前記トリップ中の期間の指示を含む、項目1に記載の方法。
[項目6]
前記トリップについての前記フィードバックが、前記モバイルデバイスの前記ユーザの前記役割が前記トリップ中の車両のドライバであることを含むときに、前記生じ得る注意散漫エピソードが、関連性のある注意散漫エピソードであったと判定する工程を備える、項目1に記載の方法。
[項目7]
前記トリップについての前記フィードバックが、前記モバイルデバイスの前記ユーザの前記役割が前記トリップ中の車両の同乗者であることを含むときに、前記生じ得る注意散漫エピソードが、関連性のある注意散漫エピソードではなかったと判定する工程を備える、項目1に記載の方法。
[項目8]
前記トリップについての前記フィードバックが、前記トリップについての前記輸送方式が自動車でない方式であることを含むときに、前記生じ得る注意散漫エピソードが、関連性のある注意散漫エピソードではなかったと判定する工程を備える、項目1に記載の方法。
[項目9]
前記トリップは第1のトリップを含み、前記方法は、
前記第1のトリップとは異なる第2のトリップ中の前記モバイルデバイスの前記ユーザの注意散漫を含む第2の生じ得る注意散漫エピソードが関連性のある注意散漫エピソードであったかを、前記第1のトリップについての前記ユーザからの前記フィードバックに部分的に基づいて判定する工程を備える、項目1に記載の方法。
[項目10]
受信された前記信号および前記トリップについての前記フィードバックに部分的に基づいて、前記トリップもしくは前記生じ得る注意散漫エピソードについてのスコア、またはその両方を生成する工程を備える、項目1に記載の方法。[項目11]
前記注意散漫エピソード決定工程は、受信された前記信号を1つまたは複数のパラメータと比較する工程を含み、前記方法は、前記トリップについての前記ユーザからの前記フィードバックに基づいて、前記1つまたは複数のパラメータのうちの1つ以上を調節する工程を備える、項目1に記載の方法。
[項目12]
前記生じ得る注意散漫エピソードは、時間において分離された2つ以上の別個の注意散漫イベントを含む、項目1に記載の方法。
[項目13]
前記別個の注意散漫イベントの各々は、前記モバイルデバイスの同時発生する動きと、前記ユーザによる前記モバイルデバイスとの対話と、を含む、項目1に記載の方法。
[項目14]
前記トリップは第1のトリップを含み、前記方法は、
前記第1のトリップについての前記フィードバックを1つ以上の機械学習分類子により処理し、第2のトリップ中の第2の生じ得る注意散漫エピソードが関連性のある注意散漫エピソードであったかを判定する第2注意散漫エピソード判定工程を備える、項目1に記載の方法。
[項目15]
前記第2注意散漫エピソード判定工程は、前記モバイルデバイスの前記ユーザが前記第2のトリップ中のドライバまたは同乗者であったかを判定する工程を含む、項目14に記載の方法。
[項目16]
前記第2注意散漫エピソード判定工程は、前記モバイルデバイスが前記第2のトリップのドライバのものであるが、前記第2の生じ得る注意散漫エピソード中に同乗者によって用いられていたことを決定する工程を含む、項目14に記載の方法。
[項目17]
システムであって、
1つまたは複数のプロセッサと、
命令用のストレージと、を備え、前記命令は、前記1つまたは複数のプロセッサが、
モバイルデバイスの1つまたは複数の検出器から受信された信号であって前記モバイルデバイスがトリップにある間に生成された信号に部分的に基づいて、前記トリップ中の前記モバイルデバイスのユーザの注意散漫を含む生じ得る注意散漫エピソードを決定する工程であって、前記トリップは前記生じ得る注意散漫エピソードよりも長い期間に及ぶ、工程と、
前記トリップ後に、前記トリップに関する情報を前記モバイルデバイスの前記ユーザに対し提示する工程であって、前記トリップに関する前記情報は、前記生じ得る注意散漫エピソードの指示を含む、工程と、
前記トリップに関する前記情報を前記モバイルデバイスの前記ユーザに対し提示した後に、前記ユーザから前記トリップについてのフィードバックを受信する工程であって、前記フィードバックは、前記トリップ中の前記モバイルデバイスの前記ユーザの役割および前記トリップについての輸送方式のうちの1つ以上を含む、工程と、
前記生じ得る注意散漫エピソードが関連性のある注意散漫エピソードであったかを、前記トリップについての前記フィードバックに部分的に基づいて判定する工程と、を行うように実行可能である、システム。
[項目18]
前記トリップについての前記フィードバックは、前記フィードバックが適用される前記トリップ中の期間の指示、または、前記フィードバックが適用される前記トリップの軌跡の少なくとも一部の指示を含む、項目17に記載のシステム。
[項目19]
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記トリップについての前記フィードバックが、前記モバイルデバイスの前記ユーザの前記役割が前記トリップ中の車両のドライバであることを含むときに、前記生じ得る注意散漫エピソードが、関連性のある注意散漫エピソードであったと判定する、項目17に記載のシステム。
[項目20]
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記トリップについての前記フィードバックが、前記モバイルデバイスの前記ユーザの前記役割が前記トリップ中の車両の同乗者であること、または、前記トリップについての前記輸送方式が自動車でない方式であることを含むときに、前記生じ得る注意散漫エピソードが、関連性のある注意散漫エピソードではなかったと判定する、項目17に記載のシステム。
[項目21]
命令を有する非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体であって、前記命令は、1つまたは複数のプロセッサによる実行時、前記1つまたは複数のプロセッサに、
モバイルデバイスの1つまたは複数の検出器から受信された信号であって前記モバイルデバイスがトリップにある間に生成された信号に部分的に基づいて、前記トリップ中の前記モバイルデバイスのユーザの注意散漫を含む生じ得る注意散漫エピソードを決定する工程であって、前記トリップは、前記生じ得る注意散漫エピソードよりも長い期間に及ぶ、工程と、
前記トリップ後に、前記トリップに関する情報を前記モバイルデバイスの前記ユーザに対し提示する工程であって、前記トリップに関する前記情報は、前記生じ得る注意散漫エピソードの指示を含む、工程と、
前記トリップに関する前記情報を前記モバイルデバイスの前記ユーザに対し提示した後に、前記ユーザから前記トリップについてのフィードバックを受信する工程であって、前記フィードバックは、前記トリップ中の前記モバイルデバイスの前記ユーザの役割および前記トリップについての輸送方式のうちの1つ以上を含む、工程と、
前記生じ得る注意散漫エピソードが関連性のある注意散漫エピソードであったかを、前記トリップについての前記フィードバックに部分的に基づいて判定する工程と、を備える動作を行わせる、非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体。
[項目22]
前記トリップについての前記フィードバックが、前記モバイルデバイスの前記ユーザの前記役割が前記トリップ中の車両のドライバであることを含むときに、前記生じ得る注意散漫エピソードが、関連性のある注意散漫エピソードであったと判定する工程を備える、項目21に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
[項目23]
前記トリップについての前記フィードバックが、前記モバイルデバイスの前記ユーザの前記役割が前記トリップ中の車両の同乗者であること、または、前記トリップについての前記輸送方式が自動車でない方式であることを含むときに、前記生じ得る注意散漫エピソードが、関連性のある注意散漫エピソードではなかったと判定する工程を備える、項目21に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
[項目24]
方法であって、
モバイルデバイスに収容された1つまたは複数の検出器から、前記モバイルデバイスが車両におけるトリップにある間、信号を受信する工程と、
受信された前記信号に基づいて、前記モバイルデバイスのユーザの注意散漫を含む生じ得る注意散漫エピソードを決定する注意散漫エピソード決定工程と、
前記トリップ後に、前記生じ得る注意散漫エピソードに関する情報を、前記車両における前記トリップの参加者であったユーザに対し提示する、情報提示工程と、
前記車両における前記トリップの参加者であった前記ユーザから、前記ユーザによってはっきりと入力された前記トリップの状況を示す情報を受信する工程であって、前記情報は、前記情報提示工程に応答して受信され、前記トリップの前記状況は、前記生じ得る注意散漫エピソード中の前記モバイルデバイスの前記ユーザが前記トリップ中に前記車両の同乗者であることを含む、工程と、
前記生じ得る注意散漫エピソードが関連性のある注意散漫エピソードであったかを、前記トリップの前記状況に基づいて決定する工程と、を備える方法。
[項目25]
注意散漫エピソード決定工程は、生じ得る注意散漫エピソードがパラメータに基づいて決定されるレートを変更する工程と、生じ得る注意散漫エピソードが関連性のある注意散漫エピソードであったかに関するユーザから受信された情報に基づいて前記パラメータを調節する工程と、を含む、項目24に記載の方法。
[項目26]
受信された前記信号に基づいて2つ以上のそうした生じ得る注意散漫エピソードを決定する工程と、以下の要因、すなわち、生じ得る注意散漫エピソードの種類、生じ得る注意散漫エピソードに関連付けられた速度、道路の種類、進行したルートの頻度、および生じ得る注意散漫エピソードの長さ、のうちの1つ以上に基づいて、与えられたユーザについての前記生じ得る注意散漫エピソードを集約する工程と、を備える、項目24に記載の方法。
[項目27]
集約された前記生じ得る注意散漫エピソードに関する情報を前記ユーザに対しレポートする工程を備える、項目26に記載の方法。
[項目28]
方法であって、
モバイルデバイスのユーザに対し、前記モバイルデバイスのユーザインタフェースを通じて、前記ユーザが車両を運転していた間の前記モバイルデバイスの使用に関連付けられた注意散漫に関する情報を提示する工程と、
前記情報が、前記注意散漫が生じたトリップの軌跡を示すマップ上に提示される工程と、
前記マップ上に提示された前記情報の精度に関する前記ユーザによってはっきりと入力されたフィードバックを受信する工程と、を備える方法。
[項目29]
前記ユーザが前記トリップにおいて前記車両を運転していた間、前記モバイルデバイスに収容された1つまたは複数の検出器から信号を受信する工程であって、受信された前記信号は生じ得る注意散漫エピソードおよび前記生じ得る注意散漫エピソードのコンテキストを示す、工程と、
前記生じ得る注意散漫エピソードから前記注意散漫エピソードを決定する工程と、
前記注意散漫をスコアリングする工程であって、前記スコアリングは前記コンテキストを考慮に入れる工程を含み、前記コンテキストは、速度、日時、曜日、季節、道路の種類、天候条件、動きの方向、前記モバイルデバイスの移動または配向、および前記モバイルデバイスのディスプレイスクリーン上のタップ、のうちの1つ以上を含む、工程と、を備える、項目28に記載の方法。
[項目30]
2つ以上のトリップについて注意散漫についての位置情報を集約する工程を備える、項目29に記載の方法。
[項目31]
注意散漫のコンテキストを集約する工程を備える、項目29に記載の方法。
[項目32]
注意散漫中の速度分布、注意散漫中のモバイルデバイスの配向、および注意散漫中のモバイルデバイスのアクティビティ状態分布、のうちの1つ以上に関する集約されたコンテキストをレポートする工程を備える、項目31に記載の方法。
[項目33]
前記ユーザから前記注意散漫が正しいかを示す前記ユーザによってはっきりと入力された情報を受信する工程と、正しくない場合は、前記注意散漫がなぜ正しくないかを示す前記ユーザによってはっきりと入力された情報を受信する工程と、を備える、項目28に記載の方法。
[項目34]
前記コンテキストは、前記モバイルデバイスが前記車両に搭載されていた、前記ユーザが前記モバイルデバイスを保持し前記ディスプレイが前記ユーザに向いていた、および、前記モバイルデバイスが前記ユーザによって前記ユーザの耳の近くに保持されていた、のうちの1つ以上を含む、項目29に記載の方法。
[項目35]
前記モバイルデバイスの動作状態は、前記コンテキストを固有に指定する、項目29に記載の方法。
[項目36]
前記軌跡を、注意散漫を指示するようにマークする工程を備える、項目28に記載の方法。
[項目37]
前記注意散漫の持続期間、車両速度、道路の種類、前記モバイルデバイスのアクティビティ状態、および前記運転のコンテキスト、のうちの1つ以上を含む前記注意散漫のコンテキストを表示する工程を備える、項目28に記載の方法。
[項目38]
方法であって、
モバイルデバイスから、前記モバイルデバイスの角速度に関する情報の時系列を受信する工程と、
前記モバイルデバイスに対する1つまたは複数の軸に沿った角速度のピークを検出する工程であって、前記ピークは少なくとも第1のピークと第2のピークとを含み、前記第1のピークおよび前記第2のピークは前記モバイルデバイスの軸に対して異なる方向において生じる、工程と、
タップが前記モバイルデバイスのスクリーン上において行われていることを前記ピークに基づいて決定する決定工程と、を備える方法。
[項目39]
前記ピークは、2つの直交軸に沿って生じる関連するピークを含む、項目38に記載の方法。
[項目40]
前記決定工程は、前記タップの頻度を解析する工程を含む、項目38に記載の方法。
[項目41]
前記決定工程は、検出された前記ピークを、タップに関連付けられることが知られている比較ピークと比較する工程を含む、項目38に記載の方法。
[項目42]
前記モバイルデバイスの動作状態を検出する工程を備え、前記決定工程は前記動作状態に基づく、項目38に記載の方法。
[項目43]
前記モバイルデバイスの前記スクリーン上のタップが終了していることを決定する工程を備える、項目38に記載の方法。
[項目44]
決定された前記タップに基づいて、生じ得る注意散漫エピソードの重要性を査定する工程を備える、項目38に記載の方法。
[項目45]
前記タップが行われているとき、前記スクリーンはアクティブな状態にあることを決定する工程を備える、項目38に記載の方法。