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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】電池パックおよびこれを含むデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/367 20210101AFI20240507BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20240507BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20240507BHJP
   H01M 10/613 20140101ALN20240507BHJP
   H01M 10/625 20140101ALN20240507BHJP
   H01M 10/647 20140101ALN20240507BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALN20240507BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALN20240507BHJP
   H01M 10/656 20140101ALN20240507BHJP
【FI】
H01M50/367
H01M50/342 101
H01M50/35 201
H01M50/342 201
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/6554
H01M10/6556
H01M10/656
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022519538
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 KR2021005271
(87)【国際公開番号】W WO2021221415
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0052260
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジュファン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンスク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドンヒュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ビュン・ド・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンホ・チュン
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-527704(JP,A)
【文献】国際公開第2016/132404(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/392
H01M10/52-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池モジュールと、
前記複数の電池モジュール全体の周縁に沿って配置される四角形状のベンティング誘導フレームであって、前記四角形状のベンティング誘導フレームの内部で通路が全体に連通するように管状に形成された、ベンティング誘導フレームと、
前記複数の電池モジュールおよび前記ベンティング誘導フレームを収納するハウジングとを含み、
前記電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、前記電池セル積層体を収納するモジュールフレームとを含み、
前記電池セルは、電極組立体と、前記電極組立体を収納するセルケースとを含み、前記セルケースの周縁にシーリング部が形成され、前記シーリング部には、前記シーリング部の平均幅に比べて小さい幅を有する少なくとも1つのベンティング誘導部が形成され
前記ベンティング誘導部から排出されたベンティングガスが前記ベンティング誘導フレームの内部の前記通路に流入するように構成された、電池パック。
【請求項2】
複数の電池モジュールと、
前記複数の電池モジュールの周縁に沿って配置されるベンティング誘導フレームと、
前記複数の電池モジュールおよび前記ベンティング誘導フレームを収納するハウジングとを含み、
前記電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、前記電池セル積層体を収納するモジュールフレームとを含み、
前記電池セルは、電極組立体と、前記電極組立体を収納するセルケースとを含み、前記セルケースの周縁にシーリング部が形成され、前記シーリング部には、前記シーリング部の平均幅に比べて小さい幅を有する少なくとも1つのベンティング誘導部が形成され、
前記電池モジュールは、
前記モジュールフレームの前後面に露出した前記電池セル積層体を覆うエンドプレートと、
前記エンドプレートに前記電池モジュールの内部と連通する少なくとも1つのベンティングゲートとをさらに含み、
前記ベンティング誘導部は、前記ベンティングゲートに隣接して形成され、前記ベンティングゲートは、前記ベンティング誘導フレームの内部に形成された通路と連通する、電池パック。
【請求項3】
前記ベンティング誘導フレームは、第1方向に平行に形成された一対の垂直ビーム(beam)と、前記第1方向と交差する第2方向に平行に形成された一対の水平ビーム(beam)とを含み、
前記垂直ビームおよび前記水平ビームはそれぞれ、前記垂直ビームおよび前記水平ビームの長手方向に沿って形成されたカバーと、前記カバーによって囲まれてガスが通れるように形成された通路とを含む管形状である、請求項に記載の電池パック。
【請求項4】
前記水平ビームの前記カバーは、前記電池モジュールに対向する少なくとも1つの第1連結ホールを含み、
前記ベンティングゲートは、前記第1連結ホールに対向して、前記ベンティングゲートの管形状と、前記水平ビームの管形状とが連通するように形成された、請求項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記垂直ビームと前記水平ビームとが交差する部分において、前記垂直ビームおよび前記水平ビームのうちのいずれか一方のカバーには、前記垂直ビームおよび前記水平ビームのうちの他方の通路と連通する第2連結ホールが備えられる、請求項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記水平ビームおよび前記垂直ビームのうちのいずれか一方の外側に、前記通路と連結された少なくとも1つの破裂部をさらに含む、請求項からのいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項7】
前記ベンティングゲート、前記第1連結ホール、前記水平ビームの前記通路、前記第2連結ホール、前記垂直ビームの前記通路は、すべて1つの経路で連結されている、請求項に記載の電池パック。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記複数の電池モジュールが配置される底面と、前記底面から上部に向かって延びた側壁とを含む下部ハウジングと、前記下部ハウジングの上部の開口を覆う上部カバーとを含み、
前記破裂部は、前記下部ハウジングの側壁を挟んで前記水平ビームまたは前記垂直ビームと結合している、請求項に記載の電池パック。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載の電池パックを含むデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2020年4月29日付の韓国特許出願第10-2020-0052260号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電池パックおよびこれを含むデバイスに関し、より具体的には、安全性が向上した電池パックおよびこれを含むデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
製品群による適用の容易性が高く、高いエネルギー密度などの電気的特性を有する二次電池は、携帯用機器だけでなく、電気的駆動源によって駆動する電気自動車またはハイブリッド自動車、電力貯蔵装置などに普遍的に応用されている。このような二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減少させることができるという一次的なメリットだけでなく、エネルギーの使用による副産物が全く発生しないという点から、環境にやさしくおよびエネルギー効率性アップのための新たなエネルギー源として注目されている。
【0004】
現在商用化された二次電池には、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあるが、なかでも、リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由であり、自己放電率が極めて低く、エネルギー密度が高いというメリットから脚光を浴びている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は、主にリチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板とがセパレータを挟んで配置された電極組立体と、電極組立体を電解液と共に密封収納する外装材、つまり、電池ケースとを備える。
【0006】
一般に、リチウム二次電池は、外装材の形状に応じて、電極組立体が金属缶に内蔵されている円筒型または角型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池とに分類される。
【0007】
最近、二次電池のエネルギー貯蔵源としての活用をはじめとして大容量二次電池構造に対する必要性が高まるにつれ、多数の二次電池が直列または並列に連結された電池モジュールを集合させた中大型モジュール構造の電池パックに対する需要が増加している。このような電池モジュールは、多数の電池セルが互いに直列または並列に連結されて電池セル積層体を形成することによって、容量および出力が向上する。また、複数の電池モジュールは、BMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に装着されて電池パックを形成することができる。
【0008】
電池パックは、多数の電池モジュールが組み合わされた構造からなっていて、一部の電池モジュールが過電圧、過電流または過発熱になる場合には、電池パックの安全性と作動効率が問題にされる。特に、走行距離向上のために、電池パックの容量は次第に増加する傾向にあり、それによってパック内部のエネルギーも増加する中で強化される安全性の基準を満足し、車両および運転者の安全性確保のための構造の設計が必要である。このために、特に、内部の熱暴走などを未然に防止し、発生してもその被害を最小化できる構造の必要性が台頭している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、安全性が向上した電池パックおよびこれを含むデバイスを提供することである。
【0010】
しかし、本発明の実施例が解決しようとする課題は上述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で多様に拡張可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施例による電池パックは、複数の電池モジュールと、前記複数の電池モジュールの周縁に沿って配置されるベンティング誘導フレームと、前記複数の電池モジュールおよび前記ベンティング誘導フレームを収納するハウジングとを含み、前記電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、前記電池セル積層体を収納するモジュールフレームとを含み、前記電池セルは、電極組立体と、前記電極組立体を収納するセルケースとを含み、前記セルケースの周縁にシーリング部が形成され、前記シーリング部には、前記シーリング部の平均幅に比べて小さい幅を有する少なくとも1つのベンティング誘導部が形成される。
【0012】
前記電池モジュールは、前記モジュールフレームの前後面に露出した前記電池セル積層体を覆うエンドプレートと、前記エンドプレートに前記電池モジュールの内部と連通する少なくとも1つのベンティングゲートとをさらに含むことができる。
【0013】
前記ベンティング誘導部は、前記ベンティングゲートに隣接して形成される。
【0014】
前記ベンティング誘導フレームは、第1方向に平行に形成された一対の垂直ビーム(beam)と、前記第1方向と交差する第2方向に平行に形成された一対の水平ビーム(beam)とを含み、前記垂直ビームおよび前記水平ビームそれぞれは、前記垂直ビームおよび前記水平ビームの長手方向に沿って形成されたカバーと、前記カバーによって囲まれてガスが通れるように形成された通路とを含む管形状であってもよい。
【0015】
前記水平ビームの前記カバーは、前記電池モジュールに対向する少なくとも1つの第1連結ホールを含み、前記ベンティングゲートは、前記第1連結ホールに対向して、前記ベンティングゲートの管形状と、前記水平ビームの管形状とが連通するように形成される。
【0016】
前記垂直ビームと前記水平ビームとが交差する部分において、前記垂直ビームおよび前記水平ビームのうちのいずれか一方のカバーには、前記垂直ビームおよび前記水平ビームのうちの他方の通路と連通する第2連結ホールが備えられる。
【0017】
前記電池パックは、前記水平ビームおよび前記垂直ビームのうちのいずれか一方の外側に、前記通路と連結された少なくとも1つの破裂部をさらに含むことができる。
【0018】
前記ベンティングゲート、前記第1連結ホール、前記水平ビームの前記通路、前記第2連結ホール、前記垂直ビームの前記通路は、すべて1つの経路で連結される。
【0019】
前記ハウジングは、前記複数の電池モジュールが配置される底面と、前記底面から上部に向かって延びた側壁とを含む下部ハウジングと、前記下部ハウジングの上部の開口を覆う上部カバーとを含み、前記破裂部は、前記下部ハウジングの側壁を挟んで前記水平ビームまたは前記垂直ビームと結合することができる。
【0020】
本発明の他の実施例によるデバイスは、前述した電池パックを含む。
【発明の効果】
【0021】
実施例によれば、電池パックの内部にベンティング誘導構造を形成することによって、電池セルの異常現象が発生した時、ベンティングガスを一定の方向に誘導して電池パックの安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例による電池パックを示す分解斜視図である。
図2図1の電池パックにおけるベンティング誘導フレームの分解斜視図である。
図3】本発明の一実施例による電池パックの一部のモジュールで熱暴走が発生した場合の伝達経路を模式化して示す図である。
図4図3のIV部分を拡大して示す図である。
図5A図3のV部分を拡大して示す図である。
図5B図3のV部分を拡大して示す図である。
図6図1の電池パックに含まれている電池モジュールを示す斜視図である。
図7図6の電池モジュールをz軸方向に下から上へ眺めた斜視図である。
図8図6の電池モジュールに含まれている電池セルに対する斜視図である。
図9】比較例による電池パックにおける異常現象発生時のベンティングガスの流れを示す概略図である。
図10】本発明の一実施例による電池パックにおける異常現象発生時のベンティングガスの流れを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して、本発明の様々な実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0024】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0025】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示のところに限定されない。図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0026】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする時、これは、他の部分の「直上に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。さらに、基準となる部分の「上に」あるというのは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力の反対方向に向かって「上に」位置することを意味するわけではない。
【0027】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0028】
さらに、明細書全体において、「平面上」とする時、これは、対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」とする時、これは、対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0029】
図1は、本発明の一実施例による電池パックを示す分解斜視図である。
【0030】
図1を参照すれば、本発明の一実施例による電池パック1000は、複数の電池モジュール100と、複数の電池モジュール100の周縁に沿って配置されたベンティング誘導フレーム300とを含む。複数の電池モジュール100とベンティング誘導フレーム300は、パックトレイ200上に装着されてパックハウジング400内に収納される。パックハウジング400は、パックトレイ200を収容する下部ハウジング410と、下部ハウジング410に結合して電池モジュール100の上部を覆う上部カバー420とを含むことができる。
【0031】
複数の電池モジュール100は、それぞれモジュールフレーム110内に配置された電池セル積層体(図示せず)を含み、モジュールフレーム110の両端部に露出した電池セル積層体をカバーするエンドプレート120を含む。この時、両側のエンドプレート120のうちのいずれか一方には、電池モジュール100の内部と連通して内側で発生しうる火炎乃至熱を放出できるベンティングゲート121を含む。電池パック1000内において、このようなベンティングゲート121は、電池パック1000の外側に向かうように配置され、好ましくは、図1に示されているように、電池パック1000において第1方向(x軸方向)の両端部に向かって外側を眺めるように配置される。
【0032】
複数の電池モジュール100全体の周縁に沿ってはベンティング誘導フレーム300が配置される。ベンティング誘導フレーム300は、電池パック1000の各辺に沿って管形状に形成され、それぞれ第1方向(x軸方向)と第2方向(y軸方向)に沿って延びた一対の垂直ビーム310と一対の水平ビーム320とを含むことができ、これらは全体として連通できるように形成される。ベンティング誘導フレーム300の詳細な構成は後述する。
【0033】
複数の電池モジュール100とベンティング誘導フレーム300は、パックトレイ200上に装着され、必要に応じて固定手段によってパックトレイ200に固定される。電池モジュール100、ベンティング誘導フレーム300、およびパックトレイ200は、下部ハウジング410内に収納される。下部ハウジング410は、パックトレイ200が配置される底面と、底面の周縁から上部に向かって延びた側壁とを含んで構成される。下部ハウジング410には、電池モジュール100の上部を覆う上部カバー420が結合されて内部の電装を保護することができる。この時、パックハウジング400の内部には、電池モジュール100と共に、BMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムが装着される。
【0034】
下部ハウジング410の一側壁には、内部で発生した熱または火炎を外側に排出可能な少なくとも1つの破裂部500が形成される。破裂部500の詳細な構成は後述する。
【0035】
以下、本発明の一実施例による電池パックのベンティング誘導フレームについてより詳しく説明する。
【0036】
図2は、図1の電池パックにおけるベンティング誘導フレームの分解斜視図である。
【0037】
図1および図2を参照すれば、ベンティング誘導フレーム300は、電池パック1000の各辺に沿って管形状に形成され、それぞれ第1方向(x軸方向)と第2方向(y軸方向)に沿って延びた一対の垂直ビーム310と一対の水平ビーム320とを含むことができ、これらは全体として連通できるように形成される。
【0038】
垂直ビーム310は、第1方向(x軸方向)に沿って長く延びた管形状を有し、この時、管形状の内部を定義するカバー311と、カバー311の内側に形成された通路312とを含む。カバー311は、第2方向(y軸方向)で電池モジュール100に隣接して配置される第1内側カバー311aと、これに対向して、第2方向(y軸方向)で電池モジュール100から遠くなる側に配置された第1外側カバー311bとを含むことができる。第1内側カバー311aおよび第1外側カバー311bの少なくともいずれか1つは、前記第1方向に沿って長く形成された溝を含む。つまり、断面が逆「コ」形状を有するように形成(四角管形状においていずれか一面が除去された形状に形成)されて、これに残りの1つのカバーが結合することによって通路312が定義される。ただし、これに限定されるものではなく、カバー311によって管形状が得られるならば、特に限定されるものではない。
【0039】
水平ビーム320は、第2方向(y軸方向)に沿って長く延びた管形状を有し、この時、管形状の内部を定義するカバー321と、カバー321の内側に形成された通路322とを含む。カバー321は、第1方向(x軸方向)で電池モジュール100に隣接して配置される第2内側カバー321aと、これに対向して、第1方向(x軸方向)で電池モジュール100から遠くなる側に配置された第2外側カバー321bとを含むことができる。第2内側カバー321aおよび第2外側カバー321bの少なくともいずれか1つは、第2方向に沿って長く形成された溝を含む。つまり、断面が逆「コ」形状を有するように形成(四角管形状においていずれか一面が除去された形状に形成)されて、これに残りの1つのカバーが結合することによって通路322を定義することができる。特に、本実施例では、図2に示されているように、第2内側カバー321aと第2外側カバー321bとも断面が逆「コ」形状を有するように形成され、これによって、水平ビーム320が組立てられた時、強度を向上させることができる。ただし、これに限定されるものではなく、カバー321によって管形状が得られるならば、特に限定されるものではない。
【0040】
水平ビーム320は、電池モジュール100に対向する面、つまり、第2内側カバー321aの一面に形成された第1連結ホール324を含む。第1連結ホール324は、先に説明した電池モジュール100のベンティングゲート121と連通するように配置される。また、水平ビーム320は、電池モジュール100から第2方向に遠くなる方向に配置された面、つまり、第2外側カバー321bの一面に形成された第3連結ホール326をさらに含む。第3連結ホール326は、破裂部500と通路322とが連通できるように配置される。この時、ベンティングゲート121、水平ビーム320の通路322、および破裂部500が連通する経路をガイドできるように、ベンティング経路ブラケット328が破裂部500を水平ビーム320に結合することができる。
【0041】
垂直ビーム310は、水平ビーム320に隣接する両端部で、第1内側カバー311aに形成された第2連結ホール314を含む。第2連結ホール314によって、水平ビーム320の通路322と、垂直ビーム310の通路312とが連通可能である。
【0042】
破裂部500は、水平ビーム320の通路322と連結されており、流入するガスの圧力が一定の圧力以上になる場合に破裂されるように構成された破裂面510(図5Bに示す)を含む。また、破裂面510が形成された本体から突出して、下部ハウジング410の側壁と結合できるように構成された翼部520(図5Bに示す)を含む。翼部520は、ねじなどの締結手段により下部ハウジング410に固定される。
【0043】
本実施例では、水平ビーム320の通路322と連結され、また、水平ビーム320と下部ハウジング410を挟んで破裂部500が固定されているが、これに限定されず、ベンティング誘導フレーム300の通路と連通して外側へ排出可能にする構成であれば適切に採用可能である。また、本実施例では、一対の水平ビーム320のうちのいずれか一方にのみ2つの破裂部500が形成されたことを例示したが、これに限定されず、他方の水平ビーム320にも破裂部500が備えられるか、または垂直ビーム310に備えられてもよいし、必要に応じて適切にその位置および個数を選択することができる。
【0044】
以上の構成により、垂直ビーム310と水平ビーム320とからなる四角形状のベンティング誘導フレーム300の内部で通路が全体に連通するように形成され、このような通路は、電池モジュール100のベンティングゲート121および破裂部500と連通して、電池モジュール100から熱暴走などが発生する場合、発熱および火炎を外側に誘導して周辺の電池モジュールへの影響を最小化できる。この時、発生した高圧のベンティングガスに含まれている火炎は、ベンティング誘導フレーム300内部の経路を通りながらすべて燃焼して、より安全な状態で外部に排出できる。また、このようなベンティング誘導フレーム300は、熱暴走発生時でない平常時には、電池モジュール100を安定的に支持する支持フレームとして作用して、電池パック1000の安定性を向上させることができる。
【0045】
以下、電池パック内の一部の電池モジュールにおいて過電圧、過電流または過発熱などの問題が発生した場合、これを制御する経路について説明する。
【0046】
図3は、本発明の一実施例による電池パックの一部のモジュールで熱暴走が発生した場合の伝達経路を模式化して示す図である。図4は、図3のIV部分を拡大して示す図である。図5Aおよび図5Bは、図3のV部分を拡大して示す図である。
【0047】
図1~5を参照すれば、電池モジュール100内で過電圧、過電流または過発熱などの異常現象(熱問題)が発生する場合、電池モジュール100の内部からベンティングゲート121を通して高圧のベンティングガスが放出される。この時、熱問題が発生した電池モジュール100のベンティングゲート121と最も近く位置する第1連結ホール324に、高温、高圧のガスおよび火炎が誘導される。第1連結ホール324を通して流入した高温、高圧のガスと火炎は、ベンティング誘導フレーム300に形成された通路に沿って外側に放出される。
【0048】
例えば、図3にて1番の位置に配置された電池モジュール100で熱問題が発生する場合、図4に示されているように、高圧のガスと火炎はベンティングゲート121を通して放出されて、水平ビーム320の通路322を経て破裂部500側に直接誘導されて外部に放出される。これによって、1番の位置の電池モジュール100で発生した熱問題は、周辺のモジュールに影響を与えずに外側に放出可能である。
【0049】
また、図3にて2番の位置に配置された電池モジュール100で熱問題が発生する場合、図5Aおよび図5Bに示されているように、高温、高圧のガスと火炎はベンティングゲート121を通して放出されて、水平ビーム320の通路322に流入する。次に、第2連結ホール314を通して垂直ビーム310の通路312に流入し、当該通路312に沿って移動した高温、高圧のガスと火炎は、当該垂直ビーム310の反対側端部に形成された第2連結ホール314を通して、破裂部500が位置した側の水平ビーム320に誘導されて、最終的に破裂部500を通して外側に放出される。つまり、電池モジュール100で熱問題が発生すると、当該電池モジュール100のベンティングゲート121と最も近く位置する第1連結ホール324を通してベンティング誘導フレーム300の通路に高温、高圧のガスと火炎が誘導され、最終的に外側に放出できるのである。
【0050】
図6は、図1の電池パックに含まれている電池モジュールを示す斜視図である。図7は、図6の電池モジュールをz軸方向に下から上へ眺めた斜視図である。図8は、図6の電池モジュールに含まれている電池セルに対する斜視図である。
【0051】
図6および図7を参照すれば、図1の電池パックに含まれている電池モジュール100は、複数の電池セル101が積層された電池セル積層体102と、電池セル積層体102を収納するモジュールフレーム108およびエンドプレート120とを含むことができる。複数の電池セル101は、相互電気的に連結できるように積層されて電池セル積層体102を形成する。特に、図6に示されているように、y軸と平行な方向に沿って複数の電池セル101が積層される。
【0052】
この時、本発明の一実施例による電池セル積層体102は、電池セル101の個数が従来より多くなる大面積モジュールであってもよい。一例として、電池モジュール100あたり48個の電池セル101が含まれる。このような大面積モジュールの場合、電池モジュールの水平方向の長さが長くなる。ここで、水平方向の長さとは、電池セル101が積層された方向、つまり、y軸と平行な方向への長さを意味することができる。
【0053】
電池セル積層体102を収納するモジュールフレーム108は、上部プレート112および下部フレーム111を含むことができる。下部フレーム111は、U字状フレームであってもよい。前記U字状フレームは、底部と、前記底部の両端部から上向延長された2つの側面部とを含むことができる。前記底部は、電池セル積層体102の下面(z軸の反対方向)をカバーすることができ、前記側面部は、電池セル積層体102の両側面(y軸方向とその反対方向)をカバーすることができる。
【0054】
上部プレート112は、前記U字状フレームによって囲まれる前記下面および前記両側面を除いた残りの上面(z軸方向)を囲む1つの板状型構造に形成される。上部プレート112と下部フレーム111とは、互いに対応する角部位が接触した状態で、溶接などによって結合されることによって、電池セル積層体102を上下左右にカバーする構造を形成することができる。上部プレート112と下部フレーム111により、電池セル積層体102を物理的に保護することができる。このために、上部プレート112と下部フレーム111は、所定の強度を有する金属材質を含むことができる。
【0055】
本実施例によるエンドプレート120には、前述したように、電池モジュール100の内部と連通して内側で発生しうる火炎乃至熱を放出できるベンティングゲート121が形成されている。ベンティングゲート121は、情報伝達のためのコネクタ連結部を考慮してエンドプレート120の下側に形成される。
【0056】
本実施例によるモジュールフレーム108は、モジュールフレーム108の底部が延びてエンドプレート120を通るように形成されたモジュールフレーム突出部131を含むことができる。この時、モジュールフレーム突出部131の上面部と連結される冷却ポート140によって流入および排出される冷媒が、モジュールフレーム突出部131を通してヒートシンク130に供給およびヒートシンク130から排出される。
【0057】
図8を参照すれば、電池セル101は、パウチ型電池セルであることが好ましく、長方形のシート状構造に形成される。例えば、本実施例による電池セル101は、2つの電極リード104、105が互いに対向して、セル本体113の一端部114aと他の一端部114bからそれぞれ突出している構造を有する。より詳しくは、電極リード104、105は、電極組立体(図示せず)と連結され、電極組立体(図示せず)から電池セル101の外部に突出する。
【0058】
一方、電池セル101は、セルケース114に電極組立体(図示せず)を収納した状態で、セルケース114の両端部114a、114bとこれらを連結する一側部114cとを接着することによって製造される。言い換えれば、本実施例による電池セル101は、セルケース114の周縁のうち計3箇所に形成されたシーリング部114sa、114sb、114scを有し、シーリング部114sa、114sb、114scは、熱融着などの方法でシーリングされる構造であり、残りの他の一側部は、連結部115からなる。セルケース114は、樹脂層と金属層とを含むラミネートシートからなる。
【0059】
また、連結部115は、電池セル101の一枠に沿って長く延びることができ、連結部115の端部には、バットイヤ(bat-ear)と呼ばれる電池セル101の突出部101pが形成される。
【0060】
このような電池セル101は、複数構成され、複数の電池セル101は、相互電気的に連結できるように積層されて電池セル積層体102を形成する。図6に示されているように、y軸と平行な方向に沿って複数の電池セル101が積層される。具体的には、長方形のシート状構造の電池セル101は、セル本体113同士で当接するように配列されて、y軸と平行な方向に沿って積層される。これによって、電極リード104、105は、電池セル101の積層方向と垂直な方向、つまり、x軸方向とその反対方向に突出できる。
【0061】
本実施例による電池セル101において、セルケース114の周縁に形成されたシーリング部114sa、114sb、114scは、シーリング部114sa、114sb、114scの平均幅に比べて小さい幅を有する少なくとも1つのベンティング誘導部114Vが形成される。従来の電池セルでは、シーリング部の幅を一定に形成して一定のシーリング力が確保されるように設計されていた。しかし、このようにすれば、異常現象が発生した時、確率的に同一の部分にベンティングガスが噴出されにくい。したがって、電池セルから出るベンティングガスが電池モジュール内から散発的に排出される。
【0062】
しかし、本実施例によれば、ベンティング誘導部114Vがシーリング力の最も弱い部分になり、このような部分からベンティングガスが噴出されるように誘導することができる。ただし、ベンティング誘導部114Vの幅は、シーリング力を最小限に保つための水準の値を有することができる。本実施例によるベンティング誘導部114Vは、図6の電池モジュール100に形成されたベンティングゲート121に隣接して形成される。この時、電池セル101で異常現象が発生した時、ベンティング誘導部114Vの前記配置によってベンティングゲート121にベンティングガスがより良く誘導されるようにできる。ベンティングゲート121に誘導されたベンティングガスは、図1および図2にて説明した電池パック1000単位のベンティング誘導フレーム300によって制御されることによって、電池パックの安全性を向上させることができる。
【0063】
図9は、比較例による電池パックにおける異常現象発生時のベンティングガスの流れを示す概略図である。図10は、本発明の一実施例による電池パックにおける異常現象発生時のベンティングガスの流れを示す概略図である。
【0064】
図9を参照すれば、従来の電池パック20では、本発明の実施例によるベンティング誘導部、ベンティングゲートおよびベンティング誘導フレームなどのシステムがなく、電池モジュール10で発生したベンティングガスが散発的に排出される。
【0065】
図10を参照すれば、本実施例による電池パック1000では、最初の電池セルで異常現象が発生すると、図8に示されたベンティング誘導部114Vによって電池セル101からベンティングガスが排出され、ベンティングゲート121を通して電池モジュール100内部のベンティングガスが電池モジュール100の外部に放出され、一対の垂直ビーム310と一対の水平ビーム320とを含むベンティング誘導フレーム300によって各単位で連係されてベンティングガスが誘導されるシステムによって、電池パック1000内部のベンティングガスが統制されて安全性が高められる。
【0066】
上述した電池モジュールおよびこれを含む電池パックは、多様なデバイスに適用可能である。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用できるが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールおよびこれを含む電池パックを使用できる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0068】
114V:ベンティング誘導部
121:ベンティングゲート
200:パックトレイ
300:ベンティング誘導フレーム
310:垂直ビーム
320:水平ビーム
311:垂直ビームのカバー
312:垂直ビームの通路
321:水平ビームのカバー
322:水平ビームの通路
324:第1連結ホール
314:第2連結ホール
326:第3連結ホール
400:ハウジング
500:破裂部
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10