IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 杭州三花研究院有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-制御方法及び制御システム 図1
  • 特許-制御方法及び制御システム 図2
  • 特許-制御方法及び制御システム 図3
  • 特許-制御方法及び制御システム 図4
  • 特許-制御方法及び制御システム 図5
  • 特許-制御方法及び制御システム 図6
  • 特許-制御方法及び制御システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】制御方法及び制御システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240507BHJP
   F24F 11/86 20180101ALI20240507BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
F25B1/00 304L
F24F11/86
F25B1/00 371B
F25B13/00 S
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022534303
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 CN2020134227
(87)【国際公開番号】W WO2021115222
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】201911247970.0
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516071103
【氏名又は名称】杭州三花研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hangzhou Sanhua Research Institute Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.289-2, 12th Street, Economic & Technological Development Area, Hangzhou, Zhejiang 310018 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】袁 ▲シン▼
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/104892(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101603751(CN,A)
【文献】特開昭61-029666(JP,A)
【文献】特開2003-130426(JP,A)
【文献】特開平02-272261(JP,A)
【文献】特開昭61-175457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 41/34
F25B 13/00
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子膨張弁を制御できる制御方法であって、
電子膨張弁の出口の温度信号及び電子膨張弁の出口の圧力信号を取得することと、
前記電子膨張弁の出口の温度信号及び前記電子膨張弁の出口の圧力信号を入力信号の全部または一部として、第1の現在過熱度を決定することと、
処理ユニットが、上位機器の要求または設定条件の要求に基づき、電子膨張弁を制御して温度制御モード、過熱度制御モード及び開度制御モードのいずれかを選択して実行することと、を含み、
前記開度制御モードでは、前記上位機器は、前記電子膨張弁の出口の温度信号及び前記電子膨張弁の出口の圧力信号に基づいて、目標位置を前記電子膨張弁に送信し、前記電子膨張弁は、該目標位置に基づき、目標開度まで作動し、
前記過熱度制御モードでは、前記上位機器は、目標過熱度を前記電子膨張弁に送信し、電子膨張弁は、前記第1の現在過熱度及び前記目標過熱度に基づき、目標位置を決定し、前記電子膨張弁は、該目標位置に基づき、目標開度まで作動し、
前記温度制御モードでは、前記上位機器は、目標温度及び現在温度を送信して前記電子膨張弁に送信し、前記電子膨張弁は、前記目標温度及び前記現在温度に基づき、目標位置を決定し、前記電子膨張弁は、該目標位置に基づき、目標開度まで作動する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項2】
前記電子膨張弁は、第1の現在過熱度が第1の警告閾値よりも小さく第1の時間続いた場合、過熱度警報情報を上位機器に発信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記電子膨張弁が過熱度警報情報を送信している間、前記電子膨張弁は、第1の現在過熱度が第2の警告閾値よりも大きく第2の時間続いた場合、過熱度異常回復情報を上位機器に発信する、
ことを特徴とする請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
温度制御モードでは、上位機器が過熱度警報情報を受信した場合、上位機器は、電子膨張弁を制御して過熱度制御モードを実行するように前記処理ユニットに要求することができ、上位機器が過熱度異常回復情報を受信した場合、上位機器は、電子膨張弁を制御して温度制御モードの実行を回復するように前記処理ユニットに要求することができる、
ことを特徴とする請求項3に記載の制御方法。
【請求項5】
過熱度制御モードでは、温度信号及び/または圧力信号が異常であると判定される場合、前記処理ユニットは、電子膨張弁を制御して開度制御モードを実行し、電子膨張弁は、上位機器の要求に基づき、安全な位置まで作動する、
ことを特徴とする請求項3に記載の制御方法。
【請求項6】
電子膨張弁を制御できる制御システムであって、
処理ユニットと、第1の温度検出ユニットと、圧力検出ユニットとを含むコントローラーを含み、
前記第1の温度検出ユニットは、電子膨張弁の出口の温度信号を取得するために使用され、
前記圧力検出ユニットは、電子膨張弁の出口の圧力信号を取得するために使用され、
前記処理ユニットの第1の入力端は、前記第1の温度検出ユニットの出力端に電気的に接続され、前記処理ユニットの第2の入力端は、前記圧力検出ユニットの出力端に電気的に接続され、前記電子膨張弁の出口の温度信号及び前記電子膨張弁の出口の圧力信号を入力信号の全部または一部として、第1の現在過熱度を決定し、
前記コントローラーは、温度制御モード、過熱度制御モード及び開度制御モードを統合し、前記処理ユニットは、上位機器の要求または設定条件の要求に基づき、電子膨張弁を制御して温度制御モード、過熱度制御モード及び開度制御モードのいずれかを選択して実行し、
前記開度制御モードでは、上位機器は、前記電子膨張弁の出口の温度信号及び前記電子膨張弁の出口の圧力信号に基づいて、目標位置を電子膨張弁に送信し、前記電子膨張弁は、前記目標位置に基づき、目標開度まで作動し、
過熱度制御モードでは、上位機器は、目標過熱度を電子膨張弁に送信し、電子膨張弁は、前記第1の現在過熱度及び目標過熱度に基づき、目標位置を決定し、前記電子膨張弁は、前記目標位置に基づき、目標開度まで作動し、
温度制御モードでは、上位機器は、目標温度及び現在温度を送信して電子膨張弁に送信し、電子膨張弁は、目標温度及び現在温度に基づき、目標位置を決定し、前記電子膨張弁は、前記目標位置に基づき、目標開度まで作動し、
前記コントローラーは、電子膨張弁の一部である、
ことを特徴とする制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年12月09日に中国特許庁に提出された、出願番号が201911247970.0であって、発明の名称が「制御方法及び制御システム」である中国特許出願に基づく優先権を主張するものであり、その全内容を本出願に参照により援用する。
【0002】
本発明の実施例は、自動制御の技術分野に関し、特に、制御システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電子膨張弁は、絞り要素として、エアコン冷却システム及び電池水冷システムに適用され、電子膨張弁の開度を制御して冷媒の流量を制御することによって、冷凍効果を達成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子膨張弁は、上位機器により目標開度を取得し、電子膨張弁は、当該目標開度を実行して、電子膨張弁の作動制御を実現し、上位機器には複数のモードがあるが、電子膨張弁の作動モードは、比較的単一であるため、電子膨張弁の制御のリアルタイム性及び正確性をさらに向上させる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これに鑑みて、本発明の実施例は、電子膨張弁の制御システムのリアルタイム性及び正確性をさらに向上させる制御システム及び制御方法を提供する。
【0006】
第1の態様では、本発明の実施例は、電子膨張弁を制御できる制御方法であって、
電子膨張弁の出口の温度信号及び電子膨張弁の出口の圧力信号を取得することと、
前記電子膨張弁の出口の温度信号及び前記電子膨張弁の出口の圧力信号を入力信号の全部または一部として、第1の現在過熱度を決定することと、
前記処理ユニットが、上位機器の要求または設定条件の要求に基づき、電子膨張弁を制御して温度制御モード、過熱度制御モード及び開度制御モードのいずれかを実行することと、を含む、制御方法を提供する。
【0007】
第2の態様では、本発明の実施例は、電子膨張弁を制御できる制御システムであって、
処理ユニットと、第1の温度検出ユニットと、圧力検出ユニットとを含むコントローラーを含み、
前記第1の温度検出ユニットは、電子膨張弁の出口の温度信号を取得するために使用され、
前記圧力検出ユニットは、電子膨張弁の出口の圧力信号を取得するために使用され、
前記処理ユニットの第1の入力端は、前記第1の温度検出ユニットの出力端に電気的に接続され、前記処理ユニットの第2の入力端は、前記圧力検出ユニットの出力端に電気的に接続され、前記電子膨張弁の出口の温度信号及び前記電子膨張弁の出口の圧力信号を入力信号の全部または一部として、第1の現在過熱度を決定し、
前記コントローラーは、温度制御モード、過熱度制御モード及び開度制御モードを統合し、前記処理ユニットは、上位機器の要求または設定条件の要求に基づき、電子膨張弁を制御して温度制御モード、過熱度制御モード及び開度制御モードのいずれかを実行し、前記コントローラーは、電子膨張弁の一部分である、制御システムを提供する。
【0008】
本発明の実施例によって提供される技術案では、処理ユニットは、上位機器の要求または設定条件の要求に基づき、電子膨張弁を制御して温度制御モード、過熱度制御モード及び開度制御モードのいずれかを実行し、上位機器には複数のモードがある場合、電子膨張弁の作動モードの1つを要求に基づき選択できるため、電子膨張弁の制御のリアルタイム性及び正確性をさらに向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例による制御システムの構造概略図である。
図2】本発明の実施例による別の制御システムの構造概略図である。
図3】本発明の実施例による制御方法の概略フローチャートである。
図4】本発明の実施例による開度制御モードの概略フローチャートである。
図5】本発明の実施例による過熱度制御モードの概略フローチャートである。
図6】本発明の実施例による温度制御モードの概略フローチャートである。
図7】本発明の実施例による電子膨張弁の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について、図面及び実施例を結合しながらさらに詳しく説明する。ここで記載される具体的な実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明を解釈するためにのみ使用されることは理解すべきである。また、記載の便宜上、図面には、全ての構造ではなく、本発明に関連する部分だけが示される。
【0011】
本発明の実施例は、電子膨張弁の開度制御システムを提供する。図1は、本発明の実施例による制御システムの構造概略図を示す。図1を参照すると、当該制御システムは、コントローラー100を含み、コントローラー100は、処理ユニット101、温度検出ユニット102及び圧力検出ユニット103を含む。温度検出ユニット102は、電子膨張弁の出口の温度信号を取得するために使用され、圧力検出ユニット103は、電子膨張弁の出口の圧力信号を取得するために使用され、処理ユニット101の第1の入力端A1は、温度検出ユニット102の出力端B1に電気的に接続され、処理ユニット101の第2の入力端A2は、圧力検出ユニット103の出力端C1に電気的に接続され、電子膨張弁の出口の温度信号及び電子膨張弁の出口の圧力信号に基づいて第1の現在過熱度を決定し、コントローラーは、温度制御モード、過熱度制御モード及び開度制御モードを統合し、処理ユニット101は、上位機器の要求または設定条件の要求に基づき、電子膨張弁を制御して温度制御モード、過熱度制御モード及び開度制御モードのいずれかを実行し、コントローラー100は、電子膨張弁の一部分である。
【0012】
本実施例では、処理ユニット101は、例示的に、モーター制御モジュールを含み、モーター制御モジュールは、電子膨張弁のモーターを駆動して作動させ、モーターは、ローターアセンブリ及びステーターアセンブリを含む。温度検出ユニット102は、温度センサであってもよいし、温度検出回路であってもよい。温度センサは、熱電対または熱抵抗を選択できる。圧力検出ユニット103は、例示的に、圧力センサであってもよいし、圧力検出回路であってもよい。
【0013】
過熱度とは、冷凍サイクルにおける同じ蒸発圧力での冷媒の過熱温度と飽和温度との差である。飽和温度は、蒸発圧力に基づき照会することで取得することができる。冷媒は、蒸発中に環境の熱量を吸収して環境の温度を下げる。過熱度が大きいほど、冷媒の冷凍効果がよくなる。電子膨張弁の開度が大きいほど、冷媒の流量が大きくなり、冷凍効果がよくなる。
【0014】
第1の現在過熱度が第1の警告閾値よりも小さい場合、冷媒の冷凍効果が低くなる。電子膨張弁の開度を、第1の現在過熱度が予め設定された過熱度と等しくなるように制御する必要がある。電子膨張弁の出口温度は、電子膨張弁の出口の予め設定された温度と等しく、電子膨張弁の出口圧力は、電子膨張弁の出口の予め設定された圧力と等しいので、正確な第1の現在過熱度を算出できる。
【0015】
比較技術では、温度検出ユニット及び圧力検出ユニットは、弁本体にのみ設けられ、出力端は、上位機器に電気的に接続されるので、電子膨張弁の開度制御は、上位機器にのみ依存することができ、上位機器の作業負荷は、比較的大きいため、電子膨張弁の開度制御システムのリアルタイム性及び正確性が低くなる。
【0016】
本発明の実施例によって提供される技術案では、温度検出ユニット102及び圧力検出ユニット103は、電子膨張弁のコントローラー100に統合され、処理ユニット101は、電子膨張弁の出口の温度信号及び電子膨張弁の出口の圧力信号に基づいて第1の現在過熱度を決定することができ、電子膨張弁のコントローラーは、電子膨張弁の出口の温度と圧力の収集及び第1の現在過熱度の算出を完了し、処理ユニット101は、開度制御モードを実行して開度制御を行うことができ、電子膨張弁の知能程度を向上させ、上位機器の作業負荷を低減させ、電子膨張弁の開度制御システムのリアルタイム性及び正確性を向上させる。
【0017】
上記の技術案に基づいて、図2及び図4を結合すれば、上位機器200の通信端D1は、処理ユニット101の通信端A3と通信接続され、上位機器200は、処理ユニット101と通信接続され、例示的に、ローカル相互接続ネットワーク(Local Interconnect Network、LINバス)を介して通信接続を完了してもよい。電子膨張弁の出口の温度信号及び前記電子膨張弁の出口の圧力信号は、LINバスを介して上位機器にフィードバックし、上位機器は、電子膨張弁の出口の温度信号及び電子膨張弁の出口の圧力信号に基づいて目標位置を電子膨張弁のモーター制御モジュールに送信し、モーター制御モジュールは、モーターを駆動して作動させ、モーターは、目標位置に基づき、弁装置を駆動して目標開度まで作動させる。
【0018】
電子膨張弁は、第1の現在過熱度が第1の警告閾値よりも小さく第1の時間続いた場合、過熱度警報情報を上位機器に発信する。電子膨張弁が過熱度警報情報を送信している間、電子膨張弁は、第1の現在過熱度が第2の警告閾値よりも大きく第2の時間続いた場合、過熱度異常回復情報を上位機器に発信する。第1の警告閾値は、例示的に、約1ケルビン(K)であってもよく、第2の警告閾値は、例示的に、約6ケルビン(K)であってもよく、第1の時間及び第2の時間は、例示的に、30sであってもよい。
【0019】
上記の技術案に基づいて、図2及び図5を結合すれば、上位機器200の通信端D1は、処理ユニット101の通信端A3と通信接続され、上位機器は、処理ユニットと通信接続され、例示的に、ローカル相互接続ネットワーク(Local Interconnect Network、LINバス)を介して通信接続を完了してもよい。過熱度制御モードでは、電子膨張弁は、電子膨張弁の出口の温度信号及び前記電子膨張弁の出口の圧力信号に基づき、第1の現在過熱度を取得し、第1の現在過熱度は、LINバスを介して上位機器にフィードバックされ、上位機器は、LINバスを介して目標過熱度を電子膨張弁に送信し、電子膨張弁は、前記第1の現在過熱度及び目標過熱度に基づき、PI制御アルゴリズムによって目標位置を決定し、電子膨張弁のモーター制御モジュールは、目標位置に基づき、モーターを駆動し、モーターは、弁装置を駆動して目標開度まで作動させる。
【0020】
過熱度制御モードでは、温度信号及び/または圧力信号が異常であると判定される場合、処理ユニットは、電子膨張弁を制御して開度制御モードを実行し、電子膨張弁は、上位機器の要求に基づき、安全な位置まで作動する。
【0021】
電子膨張弁の出口の温度が電子膨張弁の出口の予め設定された温度よりも大きいか小さい場合、及び/または、電子膨張弁の出口の圧力が電子膨張弁の出口の予め設定された圧力よりも大きいか小さい場合、処理ユニットによって算出されたこのときの第1の現在過熱度も不正確であり、電子膨張弁が過熱度制御モードに従って作動することも不正確であり、このとき、処理ユニット101は、開度制御モードを実行し、開度制御モードとは、上位機器が前記電子膨張弁の出口の温度信号及び前記電子膨張弁の出口の圧力信号に基づいて目標位置を電子膨張弁に送信し、前記電子膨張弁が前記目標位置に基づき目標開度まで作動することであり、これにより、電子膨張弁は、上位機器の要求に基づき安全な位置まで作動し、システム及び電子膨張弁を保護することができる。
【0022】
上記の技術案に基づいて、図2及び図6を結合すれば、上位機器200の通信端D1は、処理ユニット101の通信端A3と通信接続され、上位機器200は、処理ユニット101と通信接続され、例示的に、ローカル相互接続ネットワーク(Local Interconnect Network、LINバス)を介して通信接続を完了してもよい。温度制御モードでは、上位機器は、LINバスを介して目標温度及び現在温度を電子膨張弁に送信し、電子膨張弁は、LINバスを介して現在過熱度を上位機器にフィードバックし、電子膨張弁は、目標温度及び現在温度に基づき、PI制御アルゴリズムによって目標位置を決定し、前記電子膨張弁は、前記目標位置に基づき目標開度まで作動し、電子膨張弁のモーター制御モジュールは、目標位置に基づきモーターを駆動し、モーターは、弁装置を駆動して目標開度まで作動させる。
【0023】
電子膨張弁は、第1の現在過熱度が第1の警告閾値よりも小さく第1の時間続いた場合、過熱度警報情報を上位機器に発信する。電子膨張弁が過熱度警報情報を送信している間、電子膨張弁は、第1の現在過熱度が第2の警告閾値よりも大きく第2の時間続いた場合、過熱度異常回復情報を上位機器に発信する。第1の警告閾値は、例示的に、約1ケルビン(K)であってもよく、第2の警告閾値は、例示的に、約6ケルビン(K)であってもよく、第1の時間及び第2の時間は、例示的に、30sであってもよい。
【0024】
温度制御モードでは、上位機器が過熱度警報情報を受信した場合、上位機器は、電子膨張弁を制御して過熱度制御モードを実行するように前記処理ユニットに要求することができ、過熱度制御モードとは、上位機器が目標過熱度を電子膨張弁に送信し、電子膨張弁が前記第1の現在過熱度及び目標過熱度に基づき目標位置を決定し、前記電子膨張弁が前記目標位置に基づき目標開度まで作動することであり、上位機器が過熱度異常回復情報を受信した場合、上位機器は、電子膨張弁を制御して温度制御モードの実行を回復するように前記処理ユニットに要求することができる。
【0025】
電子膨張弁の出口の温度は、電子膨張弁の出口の予め設定された温度と等しく、電子膨張弁の出口の圧力は、電子膨張弁の出口の予め設定された圧力と等しく、処理ユニットによって算出された第1の現在過熱度も正確であり、第1の現在過熱度が大きいほど、冷凍効果がよくなることを示し、第1の現在過熱度が第2の警告閾値よりも大きい場合、処理ユニット101が開度を制御することによって第1の現在過熱度と予め設定された過熱度との間の差を小さくする必要がないことを示す。従って、このとき、処理ユニット101は、現在の冷凍温度が予め設定された冷凍温度と等しくなるように、温度制御モードを実行して開度制御を行い、電子膨張弁の開度制御システムのリアルタイム性及び正確性を向上させることができる。
【0026】
制御システムは、現在水温信号を取得するための第2の温度検出ユニット201をさらに含み、上位機器200の入力端D2は、第2の温度検出ユニット201の出力端E1に電気的に接続され、現在水温信号に基づいて目標水温を決定し、現在水温は、電子膨張弁と直列に接続された熱交換器での熱交換後の水温であり、当該熱交換器は、熱管理システムの一部であり、当該熱管理システムは、電池と熱を交換し、電池温度を増減し、電池の性能を向上させることができ、温度制御モードでは、目標温度は上記の目標水温であってもよく、現在温度は、現在水温であってもよい。
【0027】
第2の温度検出ユニット201は例示的に温度センサであってもよいし、温度検出回路であってもよい。
【0028】
上記の技術案に基づいて、当該制御システムは、制御端F1が処理ユニット101の出力端A4に電気的に接続される駆動装置104と、一端が駆動装置の出力軸に回動可能に接続される弁ニードルと、をさらに含む。駆動装置104は、例示的に、ステッピングモーターであってもよい。処理ユニット101は、駆動装置104を制御して弁ニードルの動きを駆動することにより、電子膨張弁の開度を制御する目的を達成する。
【0029】
同じ発明構想に基づいて、本発明の実施例は、電子膨張弁の開度制御方法をさらに提供し、図3は、本発明の実施例による電子膨張弁の開度制御方法を示し、図3を参照すると、当該方法は以下のステップを含む。
【0030】
ステップ110、第1の温度検出ユニットは、電子膨張弁の出口の温度信号を取得する。
【0031】
ステップ120、圧力検出ユニットは、電子膨張弁の出口の圧力信号を取得する。
ステップ130、処理ユニットは、電子膨張弁の出口の温度信号及び電子膨張弁の出口の圧力信号に基づいて第1の現在過熱度を決定する。
【0032】
処理ユニットは例示的に、電子膨張弁の出口の温度信号及び電子膨張弁の出口の圧力信号に基づいて、比例積分微分制御(PID制御)アルゴリズムを用いて第1の現在過熱度を決定することができ、このアルゴリズムでは、各計算の比例係数、積分係数及び微分係数は、処理ユニットによって上位機器から取得することができる。
【0033】
ステップ140、前記処理ユニットは、上位機器の要求または設定条件の要求に基づき、電子膨張弁を制御して温度制御モード、過熱度制御モード及び開度制御モードのいずれかを実行する。
【0034】
本発明の実施例によって提供される技術案では、電子膨張弁のコントローラー100に第1の温度検出ユニット102及び圧力検出ユニット103が統合され、処理ユニット101は、電子膨張弁の出口の温度信号及び前記電子膨張弁の出口の圧力信号に基づいて第1の現在過熱度を決定することができ、処理ユニット101は、開度制御を行うことができ、電子膨張弁の知能程度を向上させ、上位機器の作業負荷を低減させ、電子膨張弁の開度制御システムのリアルタイム性及び正確性を向上させる。
【0035】
本発明の実施例は電動弁をさらに提供し、図7は、本発明の実施例による電子膨張弁の構造概略図である。図7に示すように、電子膨張弁100は、ハウジング60、ステーターアセンブリ601、ローターアセンブリ602、スプール弁603、センサ70及び配線板アセンブリ90を含み、センサ70は、電子膨張弁の出口の温度信号及び電子膨張弁の出口の圧力信号を検出でき、センサ70は、配線板アセンブリ90に電気的及び/または信号的に接続され、配線板アセンブリ90は、ハウジング60によって形成された内腔に設けられ、ステーターアセンブリ601は、ローターアセンブリ602の外周に設けられ、ローターアセンブリ602及びステーターアセンブリ601は、電動弁100におけるステッピングモーターを構成し、ステーターアセンブリ601は、コイルを含み、ローターアセンブリ602は、永久磁石を含み、コイルは、配線板アセンブリ90に電気的に接続され、コイルが通電された後に励起磁界が発生し、ローターアセンブリ602は、励起磁界で作動し、ステッピングモーターは、電動弁のスプール弁603を駆動して弁口604に対して移動し、これにより、弁口604は、対応する開度に達し、スプール弁603の位置は、電動弁の位置であり、配線板アセンブリ90に、上記の実施例の制御システムが成形される。配線板アセンブリ90は、上記の実施例の制御システムが統合されるので、上記の実施例の有益な効果も備え、ここでは贅言しない。
【0036】
上記は、本発明の好ましい実施例及び適用される技術的原理に過ぎないことに注意されたい。当業者は、本発明がここに記載される特定の実施例に限定されないことを理解することができる。当業者にとって、本発明の保護範囲から逸脱することなく、様々な顕著な変更、再調整、相互結合及び代替を行うことができる。従って、以上の実施例を通じて本発明について比較的詳細な説明を行ったが、本発明は、以上の実施例のみに限定されるものではなく、本発明の構想から逸脱することなくより多くの他の等価実施例をさらに含むことができ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7