(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】電池パックおよびこれを含むデバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 50/367 20210101AFI20240507BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20240507BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20240507BHJP
【FI】
H01M50/367
H01M50/35 201
H01M50/342 201
(21)【出願番号】P 2022552349
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(86)【国際出願番号】 KR2021003761
(87)【国際公開番号】W WO2021210805
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0044968
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨンホ・チュン
(72)【発明者】
【氏名】ドンヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ビュン・ド・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンスク・イ
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/081137(WO,A1)
【文献】中国実用新案第209963101(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0074543(KR,A)
【文献】特開2012-212659(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110190212(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/392
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池モジュール、
前記複数の電池モジュールの周縁に沿って配置されるベンティングフレーム、および
前記複数の電池モジュールおよび前記ベンティングフレームを収容するハウジングを含む電池パックであって、
前記ベンティングフレームは、第1方向に平行に形成された一対の垂直ビーム(beam)、および前記第1方向と交差する第2方向に平行に形成された一対の水平ビーム(beam)を含み、
前記垂直ビームおよび前記水平ビームのそれぞれは、前記垂直ビームと前記水平ビームの長さ方向に沿って形成されたカバーと、前記カバーにより囲まれてガスが通過することができるように形成された通路とを含む管形状であ
り、
前記電池モジュールのそれぞれは、複数の電池セルが積層された電池セル積層体、前記電池セル積層体を収容するモジュールフレーム、および前記モジュールフレームの両端部に露出した前記電池セル積層体を覆うエンドプレートを含み、
前記エンドプレートは、前記電池パックの外側へ向かう方向に突出した管形状に形成されて前記電池モジュールの内部と連通する少なくとも一つのベンティングゲートを含み、
前記一対の水平ビームのそれぞれの前記カバーは、前記電池モジュールと対向する少なくとも一つの第1連結ホールを含み、
前記ベンティングゲートは、前記第1連結ホールと対向して前記ベンティングゲートの管形状と、前記水平ビームの管形状とが連通するように形成され、
前記垂直ビームと前記水平ビームが交差する部分で、前記垂直ビームと前記水平ビームのうちのいずれか一つのカバーには、前記垂直ビームと前記水平ビームのうちの他の一つの通路と連通する第2連結ホールが備えられ、
前記一対の水平ビームのうちのいずれか一つの外側に、前記通路と連結された少なくとも一つの破裂部をさらに含む、
電池パック。
【請求項2】
前記ベンティングゲート、前記第1連結ホール、前記水平ビームの前記通路、前記第2連結ホール、及び前記垂直ビームの前記通路は全て一つの経路で連結されている、
請求項
1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記複数の電池モジュールが配置される底面、および前記底面から上部に向かって延長された側壁を含む下部ハウジングと、前記下部ハウジングの上部の開口を覆う上部カバーとを含み、
前記破裂部は、前記下部ハウジングの側壁を間に置いて前記水平ビームまたは前記垂直ビームと結合している、
請求項
1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記破裂部は、前記水平ビームまたは前記垂直ビームの通路と連結されており、流入されるガスの圧力が一定圧力以上である場合に破裂されるように構成された破裂面を含む、
請求項
1から
3のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記垂直ビームの前記カバーは、前記第2方向で前記電池モジュールに隣接して配置された第1内側カバーと、前記第2方向で前記電池モジュールから離れる側に配置された第1外側カバーとを含み、
前記第1内側カバーおよび前記第1外側カバーのうちの少なくとも一つは、前記第1方向に沿って長く形成された溝を含む、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記第1内側カバーは、前記第2方向で前記電池モジュールと隣接する一面に、前記水平ビームと隣接する両端部に位置する二つの
前記第2連結ホールを含む、
請求項
5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記第1内側カバーと前記第1外側カバーが結合することによって前記第1方向に沿って長く形成された溝が前記通路を構成する、
請求項
5又は
6に記載の電池パック。
【請求項8】
前記水平ビームの前記カバーは、前記第1方向で前記電池モジュールに隣接して配置された第2内側カバーと、前記第1方向で前記電池モジュールから離れる側に配置された第2外側カバーとを含み、
前記第2内側カバーおよび前記第2外側カバーのうちの少なくとも一つは、前記第2方向に沿って長く形成された溝を含む、
請求項1から
7のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項9】
前記第2内側カバーは、前記第1方向で前記電池モジュールと隣接する一面に形成された少なくとも一つの
前記第1連結ホールを含む、
請求項
8に記載の電池パック。
【請求項10】
前記第1方向で前記第2外側カバーの外側に配置され、前記水平ビームの前記通路と連結される破裂部を含み、
前記第2外側カバーは、前記破裂部と連通するための少なくとも一つの第3連結ホールを含む、
請求項
8又は
9に記載の電池パック。
【請求項11】
前記第2内側カバーと前記第2外側カバーが結合することによって前記第2方向に沿って長く形成された溝が前記通路を構成する、
請求項
8から1
0のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項12】
請求項1から1
1のいずれか一項に記載の少なくとも一つの電池パックを含むデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2020年4月14日付韓国特許出願第10-2020-0044968号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み含まれる。
【0002】
本発明は、電池パックおよびこれを含むデバイスに関し、より具体的には安全性を向上させた電池パックおよびこれを含むデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
製品群に応じた適用容易性が高く、高いエネルギー密度などの電気的特性を有している二次電池は、携帯用機器だけでなく、電気的駆動源により駆動する電気自動車またはハイブリッド自動車、電力貯蔵装置などに普遍的に応用されている。このような二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減少させることができるという一次的な長所だけでなく、エネルギーの使用による副産物が全く発生しないという点から、環境にやさしく、エネルギー効率性の向上のための新しいエネルギー源として注目されている。
【0004】
現在商用化された二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあるが、このうちリチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由であり、自己放電率が非常に低く、エネルギー密度が高いという長所のため、脚光を浴びている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は、主にリチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板がセパレータを間に置いて配置された電極組立体と、電極組立体を電解液と共に密封収納する外装材、つまり、電池ケースとを備える。
【0006】
一般的にリチウム二次電池は、外装材の形状により、電極組立体が金属カンに内装されている角型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内装されているパウチ型二次電池とに分類され得る。
【0007】
小型機器に利用される二次電池の場合、2~3個の電池セルが配置されるが、自動車などのような中大型デバイスに利用される二次電池の場合は、多数の電池セルを電気的に連結した電池モジュール(Battery module)が利用される。このような電池モジュールは、多数の電池セルが互いに直列または並列に連結されてセル積層体を形成することによって容量および出力が向上する。また、複数の電池モジュールは、BMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に装着されて電池パックを形成することができる。
【0008】
電池パックは、多数の電池モジュールが組み合わされた構造からなっているため、一部の電池モジュールが過電圧、過電流または過発熱される場合には電池パックの安全性と作動効率が問題になり得る 。特に走行距離の向上のために電池パック容量は次第に増加する傾向にあり、それに伴ってパック内部エネルギーも増加する中で、強化される安全性基準を満足し、車両および運転者の安全性確保のための構造の設計が必要である。このために、特に内部の熱暴走などを未然に防止し、発生してもその被害を最小化することができるようにモジュール間転移を抑制することができる構造の必要性が台頭している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の実施形態は、電池内で一部の電池モジュールが過電圧、過電流または過発熱されても、その被害を最小化することができるようにモジュール間転移を抑制することができる電池パックの提供をその目的とする。
【0010】
ただし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は、前述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で多様に拡張され得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態による電池パックは、複数の電池モジュール、前記複数の電池モジュールの周縁に沿って配置されるベンティングフレーム、および前記複数の電池モジュールおよび前記ベンティングフレームを収容するハウジングを含み、前記ベンティングフレームは、第1方向に平行に形成された一対の垂直ビーム(beam)、および前記第1方向と交差する第2方向に平行に形成された一対の水平ビーム(beam)を含み、前記垂直ビームおよび前記水平ビームのそれぞれは、前記垂直ビームと前記水平ビームの長さ方向に沿って形成されたカバーと、前記カバーにより囲まれてガスが通過することができるように形成された通路とを含む管形状を有する。
【0012】
前記電池モジュールのそれぞれは、複数の電池セルが積層された電池セル積層体、前記電池セル積層体を収容するモジュールフレーム、および前記モジュールフレームの両端部に露出した前記電池セル積層体を覆うエンドプレートを含み、前記エンドプレートは、前記電池パックの外側へ向かう方向に突出した管形状に形成されて前記電池モジュール内部と連通する少なくとも一つのベンティングゲートを含むことができる。
【0013】
前記水平ビームの前記カバーは、前記電池モジュールと対向する少なくとも一つの第1連結ホールを含み、前記ベンティングゲートは、前記第1連結ホールと対向して前記ベンティングゲートの管形状と、前記水平ビームの管形状とが連通するように形成され得る。
【0014】
前記垂直ビームと前記水平ビームが交差する部分で、前記垂直ビームと前記水平ビームのうちのいずれか一つのカバーには、前記垂直ビームと前記水平ビームのうちの他の一つの通路と連通する第2連結ホールが備えられ得る。
【0015】
前記水平ビームおよび前記垂直ビームのうちのいずれか一つの外側に、前記通路と連結された少なくとも一つの破裂部をさらに含むことができる。
【0016】
前記ベンティングゲート、前記第1連結ホール、前記水平ビームの前記通路、前記第2連結ホール、前記垂直ビームの前記通路の全ては一つの経路で連結されていてもよい。
【0017】
前記ハウジングは、前記複数の電池モジュールが配置される底面、および前記底面から上部に向かって延長された側壁を含む下部ハウジングと、前記下部ハウジングの上部の開口を覆う上部カバーとを含み、前記破裂部は、前記下部ハウジングの側壁を間に置いて前記水平ビームまたは前記垂直ビームと結合していてもよい。
【0018】
前記破裂部は、前記水平ビームまたは前記垂直ビームの通路と連結されており、流入されるガスの圧力が一定圧力以上である場合に破裂されるように構成された破裂面を含むことができる。
【0019】
前記垂直ビームの前記カバーは、前記第2方向で前記電池モジュールに隣接して配置された第1内側カバーと、前記第2方向で前記電池モジュールから離れる側に配置された第1外側カバーとを含み、前記第1内側カバーおよび前記第1外側カバーのうちの少なくとも一つは、前記第1方向に沿って長く形成された溝を含むことができる。
【0020】
前記第1内側カバーは、前記第2方向で前記電池モジュールと隣接する一面に、前記水平ビームと隣接する両端部に位置する二つの第2連結ホールを含むことができる。
【0021】
前記第1内側カバーと前記第1外側カバーが結合することによって前記第1方向に沿って長く形成された溝が前記通路を構成することができる。
【0022】
前記水平ビームの前記カバーは、前記第1方向で前記電池モジュールに隣接して配置された第2内側カバーと、前記第1方向で前記電池モジュールから離れる側に配置された第2外側カバーとを含み、前記第2内側カバーおよび前記第2外側カバーのうちの少なくとも一つは、前記第2方向に沿って長く形成された溝を含むことができる。
【0023】
前記第2内側カバーは、前記第1方向で前記電池モジュールと隣接する一面に形成された少なくとも一つの第1連結ホールを含むことができる。
【0024】
前記第1方向で前記第2外側カバーの外側に配置され、前記水平ビームの前記通路と連結される破裂部を含み、前記第2外側カバーは、前記破裂部と連通するための少なくとも一つの第3連結ホールを含むことができる。
【0025】
前記第2内側カバーと前記第2外側カバーが結合することによって前記第2方向に沿って長く形成された溝が前記通路を構成することができる。
【0026】
本発明の他の一実施形態によるデバイスは、前記した少なくとも一つの電池パックを含むことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施形態によれば、電池内で一部の電池モジュールが過電圧、過電流または過発熱されても、火炎が不規則に伝播されず、ベントフレームに沿って移動して外部に放出することができるため、その被害を最小化することができるところ、電池パックの安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態による電池パックの分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による電池パックでベントフレームの分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による電池パックの一部のモジュールで熱暴走が発生した場合の伝達経路を模式化して示した図面である。
【
図4】
図3のIV部分を拡大して示した図面である。
【
図5a】
図3のV部分を拡大して示した図面である。
【
図5b】
図3のV部分を拡大して示した図面である。
【
図6a】本発明の一実施形態による電池パックで一部のモジュールに熱暴走が発生した場合の伝達経路を模式化して示した図面である。
【
図6b】本発明の比較例による電池パックで一部のモジュールに熱暴走が発生した場合の伝達経路を模式化して示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付した図面を参照して本発明の多様な実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。本発明は、多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0030】
本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。
【0031】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明が必ず図示されたところに限定されるのではない。図面において、複数の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0032】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるという時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直上」にあるという時には中間にまた他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分の「上」にあるということは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって「上」に位置することを意味するのではない。
【0033】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除外せず、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0034】
また、明細書全体において、「平面上」という時、これは対象部分を上方から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を側方から見た時を意味する。
【0035】
以下、本発明の一実施形態による電池パックについて説明する。
【0036】
図1は本発明の一実施形態による電池パックの分解斜視図である。
【0037】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態による電池パック10は、複数の電池モジュール100と、電池モジュール100の周縁に沿って配置されたベンティングフレーム300を含む。複数の電池モジュール100とベンティングフレーム300は、パックトレイ200上に装着されてハウジング400内に収納され得る。ハウジング400は、パックトレイ200を収容する下部ハウジング410と、下部ハウジング410に結合して電池モジュール100の上部を覆う上部カバー420を含むことができる。
【0038】
複数の電池モジュール100は、それぞれモジュールフレーム110内に配置された電池セル積層体(図示せず)を含み、モジュールフレーム110の両端部に露出した電池セル積層体を覆うエンドプレート120を含む。この時、両側エンドプレート120のうちのいずれか一方には、電池モジュール100内部と連通して内側で発生し得る火炎乃至熱を放出することができるベンティングゲート121を含む。電池パック10内で、このようなベンティングゲート121は、電池パック10の外側に向かうように配置され、好ましくは
図1に示されているように電池パック10で第1方向(x軸方向)の両端部に向かって外側を眺めるように配置され得る。
【0039】
複数の電池モジュール100全体の周縁に沿ってはベンティングフレーム300が配置され得る。ベンティングフレーム300は、電池パック10の各辺に沿って管形状に形成され、それぞれ第1方向(x軸方向)と第2方向(y軸方向)に沿って延長された一対の垂直ビーム310と一対の水平ビーム320を含むことができ、これらは全体として連通することができるように形成される。ベンティングフレーム300の詳細な構成は後述する。
【0040】
複数の電池モジュール100とベンティングフレーム300は、パックトレイ200上に装着され得、必要に応じて固定手段によりパックトレイ200に固定され得る。電池モジュール100、ベンティングフレーム300、およびパックトレイ200は、下部ハウジング410内に収容され得る。下部ハウジング410は、パックトレイ200が配置される底面と、底面の周縁から上部に向かって延長された側壁を含んで構成され得る。下部ハウジング410には電池モジュール100の上部を覆う上部カバー420が結合して内部の電装を保護することができる。この時、ハウジング400内部には電池モジュール100と共にBMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に装着され得る。
【0041】
下部ハウジング410の一側壁には、内部で発生した熱または火炎を外側に排出することができる少なくとも一つの破裂部500が形成され得る。破裂部500の詳細な構成は後述する。
【0042】
以下、本発明の一実施形態による電池パックのベントフレームについてより詳細に説明する。
【0043】
図2は本発明の一実施形態による電池パックにおけるベントフレームの分解斜視図である。
【0044】
図1および
図2を参照すれば、ベンティングフレーム300は、電池パック10の各辺に沿って管形状に形成され、それぞれ第1方向(x軸方向)と第2方向(y軸方向)に沿って延長された一対の垂直ビーム310と一対の水平ビーム320を含むことができ、これらは全体として連通することができるように形成される。
【0045】
垂直ビーム310は、第1方向(x軸方向)に沿って長く延長された管形状を有し、この時、管形状内部を定義するカバー311と、カバー内側に形成された通路312を含む。カバー311は、第2方向(y軸方向)で電池モジュール100に隣接して配置される第1内側カバー311aと、これと対向して第2方向(y軸方向)で電池モジュール100から離れる側に配置された第1外側カバー311bを含むことができる。第1内側カバー311aと第1外側カバー311bのうちの少なくともいずれか一つは、第1方向に沿って長く形成された溝を含む。つまり、断面がコ字形状を有するように形成(四角管形状のある一面が除去された形状に形成)され、ここに残り一つのカバーが結合することによって通路312を定義することができる。ただし、これに限定されるのではなく、カバー311により管形状が得られることができれば特に限定されるのではない。
【0046】
水平ビーム320は、第2方向(y軸方向)に沿って長く延長された管形状を有し、この時、管形状内部を定義するカバー321と、カバー内側に形成された通路322を含む。カバー321は、第1方向(x軸方向)で電池モジュール100に隣接して配置される第2内側カバー321aと、これと対向して第1方向(x軸方向)で電池モジュール100から離れる側に配置された第2外側カバー321bを含むことができる。第2内側カバー321aと第2外側カバー321bのうちの少なくともいずれか一つは、第2方向に沿って長く形成された溝を含む。つまり、断面がコ字形状を有するように形成(四角管形状のある一面が除去された形状に形成)され、ここに残り一つのカバーが結合することによって通路322を定義することができる。特に、本実施形態では
図2に示されているように第2内側カバー321aと第2外側カバー321bの全てが断面がコ字形状を有するように形成され得、これによって水平ビーム320が組立てられた時、強度を向上させることができる。ただし、これに限定されるのではなく、カバー321により管形状が得られることができれば特に限定されるのではない。
【0047】
水平ビーム320は、電池モジュール100と対向する面、つまり、第2内側カバー321aの一面に形成された第1連結ホール324を含む。第1連結ホール324は、前述した電池モジュール100のベンティングゲート121と連通するように配置される。また水平ビーム320は、電池モジュール100から第2方向に離れる方向に配置された面、つまり、第2外側カバー321bの一面に形成された第3連結ホール326をさらに含む。第3連結ホール326は、破裂部500と通路322が連通することができるように配置される。この時、ベンティングゲート121、水平ビーム320の通路322、および破裂部500が連通する経路をガイドすることができるようにベンティング経路ブラケット328を通じて結合することができる。
【0048】
垂直ビーム310は、水平ビーム320と隣接する両端部で、第1内側カバー311aに形成された第2連結ホール314を含む。第2連結ホール314により、水平ビーム320の通路322と、垂直ビーム310の通路312とが連通することができる。
【0049】
破裂部500は、水平ビーム320の通路322と連結されており、流入されるガスの圧力が一定圧力以上になる場合に破裂するように構成された破裂面510(
図5bに図示)を含む。また、破裂面510が形成された本体から突出して、下部ハウジング410の側壁と結合することができるように構成された翼部520(
図5bに図示)を含む。翼部520は、ねじなどの締結手段を通じて下部ハウジング410に固定され得る。本実施形態では、水平ビーム320の通路322と連結され、また水平ビーム320と下部ハウジング410を間に置いて破裂部500が固定されているが、これに限定されず、ベンティングフレーム300の通路と連通して外側に排出が可能なようにする構成であれば適切に採用され得る。また、本実施形態では、一対の水平ビーム320のいずれか一方にのみ二つの破裂部500が形成されたものを例示したが、これに限定されず、他方の水平ビーム320にも破裂部500が備えられるか、または垂直ビーム310に備えられてもよく、必要に応じて適切にその位置および個数を選択することができる。
【0050】
以上の構成により、垂直ビーム310と水平ビーム320からなる四角形状のベンティングフレーム300の内部で通路が全体に連通するように形成され、このような通路は、電池モジュール100のベンティングゲート121および破裂部500と連通して、電池モジュール100から熱暴走などが発生する場合、発熱および火炎を外側に誘導して周辺の電池モジュールへの影響を最小化することができる。この時、発生した高圧のベンティングガスに含まれている火炎は、ベンティングフレーム300内部の経路を通過しながら全部燃焼してより安全な状態で外部に排出され得る。また、このようなベンティングフレーム300は、熱暴走の発生時でない平常時には、電池モジュール100を安定的に支持する支持フレームとして作用することで、電池パック10の安定性を向上させることができる。
【0051】
以下、電池パック内の一部の電池モジュールで過電圧、過電流または過発熱などの問題が発生した場合、これを制御する経路について説明する。
【0052】
図3は本発明の一実施形態による電池パックの一部のモジュールで熱暴走が発生した場合の伝達経路を模式化して示した図面であり、
図4は
図3のIV部分を拡大して示した図面であり、
図5aおよび
図5bは
図3のV部分を拡大して示した図面である。
【0053】
図1乃至5を参照すれば、電池モジュール100内で過電圧、過電流または過発熱などの問題(熱問題)が発生する場合、電池モジュール100内部からベンティングゲート121を通じて高圧のベンティングガスが放出される。この時、熱問題が発生した電池モジュール100のベンティングゲート121と最も近く位置する第1連結ホール324に、高温、高圧のガスおよび火炎が誘導される。第1連結ホール324を通じて流入された高温、高圧のガスと火炎はベンティングフレーム300に形成された通路に沿って外側に放出され得る。
【0054】
例えば、
図3で1番位置に配置された電池モジュール100で熱問題が発生する場合、
図4に示されているように高圧のガスと火炎はベンティングゲート121を通じて放出され、水平ビーム320の通路322を経て破裂部500側に直接誘導されて外部に放出され得る。これによって、1番位置の電池モジュール100で発生した熱問題は周辺モジュールに影響を与えずに外側に放出され得る。
【0055】
また、
図3で2番位置に配置された電池モジュール100で熱問題が発生する場合、
図5aおよび
図5bに示されているように高温、高圧のガスと火炎はベンティングゲート121を通じて放出され、水平ビーム320の通路322に流入される。次に、第2連結ホール314を通じて垂直ビーム310の通路312に流入され、当該通路312に沿って移動した高温、高圧のガスと火炎は、当該垂直ビーム310の反対側端部に形成された第2連結ホール314を通じて、破裂部500が位置した側の水平ビーム320に誘導されて最終的に破裂部500を通じて外側に放出され得る。つまり、電池モジュール100で熱問題が発生すると、当該電池モジュール100のベンティングゲート121と最も近く位置する第1連結ホール324を通じてベンティングフレーム300の通路に高温、高圧のガスと火炎が誘導され、最終的に外側に放出され得る。
【0056】
このような構成によれば、
図6aに示されているように、破裂部500から遠く離れて位置した電池モジュール100で熱問題が発生しても、発生した熱と火炎が周辺モジュールに影響を与えずに、外側に誘導されて放出され得る。反面、このようなベンティングフレーム300の構造が適用されていない従来の電池パック10の場合、1番モジュールで発生したベンティングガス(高温、高圧のガスと火炎)が、無作為に2~4番モジュール全体に伝達され、結局、電池パック10内部の全てのモジュールの温度上昇および連鎖的な追加の熱暴走発生の危険に晒される結果を招く。
【0057】
このように、本発明の一実施形態によれば、ベンティングフレーム300を備えることによって、平常時には電池モジュール100を安定的に支持する支持フレームとして作用し、電池パック10内部で熱問題が発生する場合、発生した高圧のベンティングガス(高温、高圧のガスと火炎)をベンティングフレーム300内部の経路に誘導して安定的に電池パック10外部に排出させることができるところ、周辺モジュールへの拡散を防止することができる。
【0058】
前述した電池モジュールおよびこれを含む電池パックは、多様なデバイスに適用され得る。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用され得るが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールおよびこれを含む電池パックを使用することができる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する
【0059】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0060】
10:電池パック
100:電池モジュール
110:モジュールフレーム
120:エンドプレート
121:ベンティングゲート
200:パックトレイ
300:ベンティングフレーム
310:垂直ビーム
320:水平ビーム
311:垂直ビームのカバー
312:垂直ビームの通路
321:水平ビームのカバー
322:水平ビームの通路
324:第1連結ホール
314:第2連結ホール
326:第3連結ホール
400:ハウジング
410:下部ハウジング
420:上部カバー
500:破裂部