(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】ビデオ復号方法、ビデオ符号化方法、装置、媒体、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 19/103 20140101AFI20240507BHJP
H04N 19/18 20140101ALI20240507BHJP
H04N 19/467 20140101ALI20240507BHJP
H04N 19/60 20140101ALI20240507BHJP
【FI】
H04N19/103
H04N19/18
H04N19/467
H04N19/60
(21)【出願番号】P 2022556027
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 CN2021112359
(87)【国際公開番号】W WO2022037478
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】202010855625.1
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514187420
【氏名又は名称】テンセント・テクノロジー・(シェンジェン)・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ワン,リーチャン
(72)【発明者】
【氏名】シュー,シャオジョン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シャン
【審査官】久保 光宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/244586(WO,A1)
【文献】村上 篤道(外2名)編,「高効率映像符号化技術 HEVC/H.265とその応用」,第1版,日本,株式会社オーム社,2013年02月25日,第69~73及び145頁,ISBN: 978-4-274-21329-8.
【文献】Liqiang Wang, et al.,"Enhanced Implicit Selection of Transform Skip in AVS3",Proceedings of 2021 IEEE International Conference on Multimedia and Expo (ICME),IEEE,2021年06月09日,Pages 1-6,ISBN: 978-1-6654-3864-3, <DOI: 10.1109/ICME51207.2021.9428251>.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N19/00-19/98
CSDB(日本国特許庁)
学術文献等データベース(日本国特許庁)
IEEEXplore(IEEE)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器が実行するビデオ復号方法であって、
ビデオ画像フレームの符号化ブロックに対してエントロピー復号処理を行って、前記符号化ブロックに対応する残差データの量子化係数ブロックを得るステップと、
前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計して、量子化係数統計値を得るステップと、
前記量子化係数統計値に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定するステップと、
を含
み、前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計して、量子化係数統計値を得るステップは、前記量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定した場合に、前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計するステップを含む、ビデオ復号方法。
【請求項2】
1つのビデオ画像フレームシーケンスに対応する第1の符号化データのシーケンスヘッダに、所定のインデックス識別子が含まれている場合、前記第1の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定するか、又は、
1つのビデオ画像フレームに対応する第2の符号化データの画像ヘッダに、所定のインデックス識別子が含まれている場合、前記第2の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定するか、又は、
ビデオ画像フレームの1つのスライスに対応する第3の符号化データのスライスヘッダに、所定のインデックス識別子が含まれている場合、前記第3の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定するか、又は、
ビデオ画像フレームの1つの最大符号化ユニットLCUに対応する第4の符号化データのLCUヘッダに、所定のインデックス識別子が含まれている場合、前記第4の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定するか、又は、
前記符号化ブロックのサイズと参照閾値範囲との間の関係に応じて、前記符号化ブロックについて、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定することの要否を判定するステップをさらに含む、請求項
1に記載のビデオ復号方法。
【請求項3】
1つのビデオ画像フレームシーケンスに対応する第1の符号化データのシーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第1の値である場合、前記第1の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないと判定するステップをさらに含む、請求項
1に記載のビデオ復号方法。
【請求項4】
1つのビデオ画像フレームシーケンスに対応する第1の符号化データのシーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記ビデオ画像フレームシーケンス中の1つのビデオ画像フレームに対応する第2の符号化データの画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が第1の値である場合、前記第2の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないと判定するステップをさらに含む、請求項
1に記載のビデオ復号方法。
【請求項5】
前記シーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値である場合、前記第2の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定するステップをさらに含む、請求項
4に記載のビデオ復号方法。
【請求項6】
前記シーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記ビデオ画像フレームの1つのスライスに対応する第3の符号化データのスライスヘッダに含まれるインデックス識別子が第1の値である場合、前記第3の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないと判定するステップをさらに含む、請求項
4に記載のビデオ復号方法。
【請求項7】
前記シーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記スライスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値である場合、前記第3の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定するステップをさらに含む、請求項
6に記載のビデオ復号方法。
【請求項8】
前記シーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記スライスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記スライスの1つのLCUに対応する第4の符号化データのLCUヘッダに含まれるインデックス識別子が第1の値である場合、前記第4の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないと判定するステップをさらに含む、請求項
6に記載のビデオ復号方法。
【請求項9】
前記シーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記スライスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記LCUヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値である場合、前記第4の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定するステップをさらに含む、請求項
8に記載のビデオ復号方法。
【請求項10】
前記シーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記スライスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記LCUヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値である場合、前記LCU内の符号化ブロックのサイズと参照閾値範囲との間の関係に応じて、前記符号化ブロックについて、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定することの要否を判定するステップをさらに含む、請求項
8に記載のビデオ復号方法。
【請求項11】
前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計して、量子化係数統計値を得る前記ステップは、
前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の量子化係数を統計して統計結果を得、前記統計結果を前記量子化係数統計値とするか、又は、
前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の量子化係数を統計して統計結果を得、設定値に対する前記統計結果の余りを算出し、前記余りを前記量子化係数統計値とするステップを含む、請求項1に記載のビデオ復号方法。
【請求項12】
前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の量子化係数を統計して統計結果を得る前記ステップは、
前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の量子化係数の数値の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするか、又は、
前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の量子化係数の絶対値の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするか、又は、
前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数値を第1の数値に変換し、数値が偶数である量子化係数の数値を第2の数値に変換し、前記所定領域内の量子化係数の数値変換後の数値の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とし、ここで、前記第1の数値と前記第2の数値との一方が奇数で、他方が偶数であるステップを含む、請求項
11に記載のビデオ復号方法。
【請求項13】
前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の量子化係数を統計して統計結果を得る前記ステップは、
前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が奇数である量子化係数の個数の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするか、又は、
前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数値の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするか、又は、
前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が奇数である量子化係数の絶対値の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするか、又は、
前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数値を第1の数値に変換し、数値が偶数である量子化係数の数値を第2の数値に変換し、前記所定領域内の量子化係数の数値変換後の奇数値の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とし、ここで、前記第1の数値と前記第2の数値との一方が奇数で、他方が偶数であるステップを含む、請求項
11に記載のビデオ復号方法。
【請求項14】
前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の量子化係数を統計して統計結果を得る前記ステップは、
前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が偶数である量子化係数の個数の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするか、又は、
前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が偶数である量子化係数の数値の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするか、又は、
前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が偶数である量子化係数の絶対値の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするか、又は、
前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数値を第1の数値に変換し、数値が偶数である量子化係数の数値を第2の数値に変換し、前記所定領域内の量子化係数の数値変換後の偶数値の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とし、ここで、前記第1の数値と前記第2の数値との一方が奇数で、他方が偶数であるステップを含む、請求項
11に記載のビデオ復号方法。
【請求項15】
前記所定領域は、
前記量子化係数ブロックにおける全領域と、
前記量子化係数ブロックにおける所定の1つの位置又は複数の位置と、
前記量子化係数ブロックにおける所定の少なくとも1行と、
前記量子化係数ブロックにおける所定の少なくとも1列と、
前記量子化係数ブロックにおける所定の少なくとも1行及び所定の少なくとも1列と、
前記量子化係数ブロックにおける少なくとも1本の斜線上の位置と、のうちのいずれか1つを含む、請求項1から
14のいずれか1項に記載のビデオ復号方法。
【請求項16】
前記所定領域は、
前記量子化係数ブロックにおけるスキャン領域係数符号化SRCC領域と、
前記SRCC領域内の所定の1つの位置又は複数の位置と、
前記SRCC領域内の所定の少なくとも1行と、
前記SRCC領域内の所定の少なくとも1列と、
前記SRCC領域内の所定の少なくとも1行及び所定の少なくとも1列と、
前記SRCC領域内の少なくとも1本の斜線上の位置と、のうちのいずれか1つを含む、請求項1から
14のいずれか1項に記載のビデオ復号方法。
【請求項17】
前記SRCC領域内の所定の1つの位置又は複数の位置は、スキャン順での最初のN個の位置を含み、Nは0でない自然数である、請求項
16に記載のビデオ復号方法。
【請求項18】
前記量子化係数統計値に基づいて、前記逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する前記ステップは、
前記量子化係数統計値が奇数であれば、前記逆変換処理過程をスキップすると決定し、前記量子化係数統計値が偶数であれば、前記逆変換処理過程を実行すると決定するか、又は、
前記量子化係数統計値が奇数であれば、前記逆変換処理過程を実行すると決定し、前記量子化係数統計値が偶数であれば、前記逆変換処理過程をスキップすると決定するステップを含む、請求項1から
14のいずれか1項に記載のビデオ復号方法。
【請求項19】
前記量子化係数統計値に基づいて、前記逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する前記ステップは、
前記量子化係数統計値が第1の数値の集合に属すれば、前記逆変換処理過程をスキップすると決定し、前記量子化係数統計値が前記第1の数値の集合に属さなければ、前記逆変換処理過程を実行すると決定するか、又は、
前記量子化係数統計値が前記第1の数値の集合に属すれば、前記逆変換処理過程を実行すると決定し、前記量子化係数統計値が前記第1の数値の集合に属さなければ、前記逆変換処理過程をスキップすると決定するステップを含む、請求項1から
14のいずれか1項に記載のビデオ復号方法。
【請求項20】
電子機器が実行するビデオ符号化方法であって、
ビデオ画像フレームの符号化ブロックを取得するために必要な残差データに対して、変換処理をスキップして直接量子化処理を行い、前記残差データの第1の量子化係数ブロックを得、前記残差データに対して、変換処理及び量子化処理を順次行って、前記残差データの第2の量子化係数ブロックを得るステップと、
前記第1の量子化係数ブロックに基づいて、第3の量子化係数ブロックを取得するステップであって、前記第3の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値は、逆変換処理過程をスキップすることを示すためのものであって、前記第3の量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計することにより得られる、ステップと、
前記第2の量子化係数ブロックに基づいて、第4の量子化係数ブロックを取得するステップであって、前記第4の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値は、前記逆変換処理過程を実行することを示すためのものであって、前記第4の量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計することにより得られる、ステップと、
前記第3の量子化係数ブロックと前記第4の量子化係数ブロックとのうち、選択条件を満たす量子化係数ブロックに対してエントロピー符号化処理を行って、前記ビデオ画像フレームの符号化ブロックを得るステップと、
を含むビデオ符号化方法。
【請求項21】
ビデオ画像フレームの符号化ブロックに対してエントロピー復号処理を行って、前記符号化ブロックに対応する残差データの量子化係数ブロックを得るように構成される復号ユニットと、
前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計して、量子化係数統計値を得るように構成される統計ユニットと、
前記量子化係数統計値に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定するように構成される決定ユニットと、
を備える
、前記統計ユニットは、前記量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定した場合に、前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計する、ビデオ復号装置。
【請求項22】
ビデオ画像フレームの符号化ブロックを取得するために必要な残差データに対して、変換処理をスキップして直接量子化処理を行い、前記残差データの第1の量子化係数ブロックを得、前記残差データに対して、変換処理及び量子化処理を順次行って、前記残差データの第2の量子化係数ブロックを得るように構成される処理ユニットと、
前記第1の量子化係数ブロックに基づいて、第3の量子化係数ブロックを取得し、前記第2の量子化係数ブロックに基づいて、第4の量子化係数ブロックを取得するように構成される取得ユニットであって、前記第3の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値は、逆変換処理過程をスキップすることを示すためのものであって、前記第3の量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計することにより得られ、前記第4の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値は、前記逆変換処理過程を実行することを示すためのものであって、前記第4の量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計することにより得られる、取得ユニットと、を備え、
前記処理ユニットは、さらに、前記第3の量子化係数ブロックと前記第4の量子化係数ブロックとのうち、選択条件を満たす量子化係数ブロックに対してエントロピー符号化処理を行って、前記ビデオ画像フレームの符号化ブロックを得るように構成されるビデオ符号化装置。
【請求項23】
請求項
20に記載のビデオ符号化方法を実行するためのビデオ符号化装置と、請求項1から
19のいずれか1項に記載のビデオ復号方法を実行するためのビデオ復号装置と、を備えるビデオ処理システム。
【請求項24】
コンピュータプログラムを記憶した非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、請求項1から
19のいずれか1項に記載のビデオ復号方法又は請求項
20に記載のビデオ符号化方法を実現させるように、プロセッサによって実行される、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項25】
1つ又は複数のプロセッサと、
1つ又は複数のプログラムを記憶するための記憶装置と、を備える電子機器であって、
前記1つ又は複数のプログラムは、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、請求項1から
19のいずれか1項に記載のビデオ復号方法又は請求項
20に記載のビデオ符号化方法を前記電子機器に実現させる電子機器。
【請求項26】
コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されるコンピュータ命令を含むコンピュータプログラムであって、
コンピュータ機器のプロセッサは、前記コンピュータ読取可能な記憶媒体から前記コンピュータ命令を読み取り、前記プロセッサは、前記コンピュータ機器に、請求項1から
19のいずれか1項に記載のビデオ復号方法又は請求項
20に記載のビデオ符号化方法を実現させるように、前記コンピュータ命令を実行するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年08月21日に出願された出願番号が202010855625.1、発明の名称が「ビデオ復号方法、装置、コンピュータ読取可能な媒体、及び電子機器」である中国特許出願に基づく優先権を主張しており、その内容をすべて参照により本願に組み込むものとする。
【0002】
本願は、コンピュータ及び通信技術の分野に関し、特に、ビデオ復号方法、ビデオ符号化方法、装置、媒体、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
ビデオ符号化の過程において、符号化側は、通常、原ビデオデータと予測ビデオデータとの間の残差データに対して変換、量子化及びエントロピー符号化処理を行った後に復号側に送信する必要がある。残差データの多様性により、単一のDCT(Discrete Cosine Transform、離散コサイン変換)変換カーネルがすべての残差特性に適応できないため、1つの残差ブロックについて、複数のDCT変換カーネルを変換行列の組合せとして選択する必要があるかもしれない。一部の残差ブロックは相関性が弱く、変換処理過程をスキップして直接量子化処理を行うと、かえって符号化効率が向上するが、この方式では、変換処理過程をスキップするか否かを示すために、符号化ユニット(Coding Unit、CUと略称)ごとに変換スキップフラグを符号化する必要があり、変換スキップフラグの追加の符号化はビデオ符号化効率に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施形態は、ビデオ復号方法、ビデオ符号化方法、装置、媒体、及び電子機器を提供し、さらに、ビデオ符号化効率を少なくともある程度効果的に向上させることができる。
【0005】
本願の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明によって明らかになるか、又は本願の実施によって部分的に習得されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の実施形態の一態様によれば、ビデオ画像フレームの符号化ブロックに対してエントロピー復号処理を行って、前記符号化ブロックに対応する残差データの量子化係数ブロックを得るステップと、前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計して、量子化係数統計値を得るステップと、前記量子化係数統計値に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定するステップと、を含むビデオ復号方法が提供される。
【0007】
本願の実施形態の一態様によれば、ビデオ画像フレームの符号化ブロックを取得するために必要な残差データに対して、変換処理をスキップして直接量子化処理を行い、前記残差データの第1の量子化係数ブロックを得、前記残差データに対して、変換処理及び量子化処理を順次行って、前記残差データの第2の量子化係数ブロックを得るステップと、前記第1の量子化係数ブロックに基づいて、第3の量子化係数ブロックを取得するステップであって、前記第3の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値は、逆変換処理過程をスキップすることを示すためのものであって、前記第3の量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計することにより得られる、ステップと、前記第2の量子化係数ブロックに基づいて、第4の量子化係数ブロックを取得するステップであって、前記第4の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値は、前記逆変換処理過程を実行することを示すためのものであって、前記第4の量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計することにより得られる、ステップと、前記第3の量子化係数ブロックと前記第4の量子化係数ブロックとのうち、選択条件を満たす量子化係数ブロックに対してエントロピー符号化処理を行って、前記ビデオ画像フレームの符号化ブロックを得るステップと、を含むビデオ符号化方法が提供される。
【0008】
本願の実施形態の一態様によれば、ビデオ画像フレームの符号化ブロックに対してエントロピー復号処理を行って、前記符号化ブロックに対応する残差データの量子化係数ブロックを得るように構成される復号ユニットと、前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計して、量子化係数統計値を得るように構成される統計ユニットと、前記量子化係数統計値に基づいて、前記逆変換処理過程をスキップするか否かを決定するように構成される決定ユニットと、を備えるビデオ復号装置が提供される。
【0009】
本願の実施形態の一態様によれば、ビデオ画像フレームの符号化ブロックを取得するために必要な残差データに対して、変換処理をスキップして直接量子化処理を行い、前記残差データの第1の量子化係数ブロックを得、前記残差データに対して、変換処理及び量子化処理を順次行って、前記残差データの第2の量子化係数ブロックを得るように構成される処理ユニットと、前記第1の量子化係数ブロックに基づいて、第3の量子化係数ブロックを取得し、前記第2の量子化係数ブロックに基づいて、第4の量子化係数ブロックを取得するように構成される取得ユニットであって、前記第3の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値は、逆変換処理過程をスキップすることを示すためのものであって、前記第3の量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計することにより得られ、前記第4の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値は、前記逆変換処理過程を実行することを示すためのものであって、前記第4の量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計することにより得られる、取得ユニットと、を備え、前記処理ユニットは、さらに、前記第3の量子化係数ブロックと前記第4の量子化係数ブロックとのうち、選択条件を満たす量子化係数ブロックに対してエントロピー符号化処理を行って、前記ビデオ画像フレームの符号化ブロックを得るように構成されるビデオ符号化装置が提供される。
【0010】
本願の実施形態の一態様によれば、上述した実施形態に記載のビデオ符号化方法を実行するためのビデオ符号化装置と、上述した実施形態に記載のビデオ復号方法を実行するためのビデオ復号装置と、を備えるビデオ処理システムが提供される。
【0011】
本願の実施形態の一態様によれば、コンピュータプログラムを記憶した非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、上述した実施形態に記載のビデオ復号方法又は上述した実施形態に記載のビデオ符号化方法を実現させるように、プロセッサによって実行される、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体が提供される。
【0012】
本願の実施形態の一態様によれば、1つ又は複数のプロセッサと、1つ又は複数のプログラムを記憶するための記憶装置と、を備える電子機器であって、前記1つ又は複数のプログラムは、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、上述した実施形態に記載のビデオ復号方法又は上述した実施形態に記載のビデオ符号化方法を前記電子機器に実現させる電子機器が提供される。
【0013】
本願の実施形態の一態様によれば、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されるコンピュータ命令を含むコンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムが提供される。コンピュータ機器のプロセッサは、コンピュータ読取可能な記憶媒体から該コンピュータ命令を読み取り、プロセッサは、該コンピュータ機器に、上述した各選択可能な実施形態によるビデオ復号方法又は上述した各選択可能な実施形態によるビデオ符号化方法を実現させるように、該コンピュータ命令を実行する。
【発明の効果】
【0014】
本願の一部の実施形態による技術案では、量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計することにより量子化係数統計値を得、そして、量子化係数統計値に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する。このようにすれば、量子化係数ブロックにおける量子化係数によって、符号化側が変換処理過程をスキップしたか否かを暗黙的に示すことを可能にし、さらに、復号側は逆変換処理過程を行うか否かを決定することができ、符号化側が符号化ユニットごとに変換スキップフラグを符号化することを回避し、そのうえ、ビデオ符号化効率を効果的に向上させることができる。
【0015】
以上の一般的な説明及び後の詳細な説明は、あくまでも例示的及び説明的なものであり、本願を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本願の実施形態の技術案が適用され得る例示的なシステムアーキテクチャの概略図を示している。
【
図2】ストリーミングシステムにおけるビデオ符号化装置及びビデオ復号装置の配置形態の概略図を示している。
【
図3】ビデオエンコーダの基本的なフローチャートを示している。
【
図4】SRCC技術によってマークされたスキャン領域を示している。
【
図5】マークされたスキャン領域をスキャンする順序の概略図を示している。
【
図6】本願の一実施形態によるビデオ復号方法のフローチャートを示している。
【
図7】本願の一実施形態による所定領域の分割方法の概略図を示している。
【
図8】本願の一実施形態による所定領域の分割方法の概略図を示している。
【
図9】本願の一実施形態による所定領域の分割方法の概略図を示している。
【
図10】本願の一実施形態によるビデオ符号化方法のフローチャートを示している。
【
図11】本願の一実施形態によるビデオ復号装置のブロック図を示している。
【
図12】本願の一実施形態によるビデオ符号化装置のブロック図を示している。
【
図13】本願の実施形態に係る電子機器を実現するのに適したコンピュータシステムの概略構成図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら例示的な実施形態をより全面的に説明する。しかしながら、例示的な実施形態は、様々な態様で実施することができ、ここで説明された例に限定されるものとして理解されるべきではない。むしろ、これらの実施形態を提供することにより、本願はより包括的かつ完全なものとなり、例示的な実施形態の発想を当業者に完全に伝達することができる。
【0018】
また、説明された特徴、構造、又は特性は、任意の適切な形態で1つ又は複数の実施形態に組み込むことができる。以下の説明では、本願の実施形態を十分に理解するために、多くの具体的な詳細が提供される。しかしながら、当業者であれば、本願の技術案を特定の詳細のうちの1つ又は複数なしに実施することができるか、又は他の方法、要素、装置、ステップ等を採用することができることを認識するであろう。他の場合、本願の様々な態様を不明瞭にすることを避けるために、公知の方法、装置、実現、又は操作は、詳細に示されないか、又は説明されない。
【0019】
図面に示されたブロック図は、単なる機能的なエンティティであり、必ずしも物理的に独立したエンティティに対応する必要はない。すなわち、これらの機能的なエンティティを、ソフトウェアの形態で実現したり、1つ又は複数のハードウェアモジュール又は集積回路内で実現したり、異なるネットワーク及び/又はプロセッサ装置及び/又はマイクロコントローラ装置内で実現したりすることができる。
【0020】
図面に示されたフローチャートは、例示的な説明にすぎず、すべての内容及び操作/ステップを含む必要があるわけではなく、また、記載された順序で実行されなければならないわけではない。例えば、これらの操作/ステップは、分解可能なものもあれば、マージ又は部分マージ可能なものもあるため、実際に実行される順序は状況に応じて変わる可能性がある。
【0021】
本明細書に言及された「複数」とは、2つ又は2つ以上を意味することは、理解されるべきである。「及び/又は」は、関連対象の関連付けを記述し、3つの関係が可能であることを表し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独に存在するか、A及びBが同時に存在するか、Bが同時に存在するという3つの場合を表すことができる。キャラクタ「/」は、一般的には、関連付けられている対象が「又は」の関係にあることを表す。
【0022】
図1は、本願の実施形態の技術案が適用され得る例示的なシステムアーキテクチャの概略図を示している。
【0023】
図1に示すように、システムアーキテクチャ100は、例えばネットワーク150を介して互いに通信可能な複数の端末装置を備える。例を挙げると、システムアーキテクチャ100は、ネットワーク150を介して相互接続された第1の端末装置110及び第2の端末装置120を備えてもよい。
図1の実施形態では、第1の端末装置110及び第2の端末装置120は、単方向のデータ伝送を行う。
【0024】
例を挙げると、第1の端末装置110は、ビデオデータ(例えば、第1の端末装置110で収集したビデオピクチャストリーム)を符号化して、ネットワーク150を介して第2の端末装置120に伝送することができる。符号化されたビデオデータは、1つ又は複数の符号化されたビデオコードストリームの形で伝送され、第2の端末装置120は、ネットワーク150から、符号化されたビデオデータを受信し、符号化されたビデオデータを復号してビデオデータを復元し、復元されたビデオデータに基づいてビデオピクチャを表示することができる。
【0025】
本願の一実施形態では、システムアーキテクチャ100は、符号化されたビデオデータの双方向伝送を実行する第3の端末装置130及び第4の端末装置140を備えてもよい。この双方向伝送は、例えばビデオ会議中に行われてもよい。双方向データ伝送の場合、第3の端末装置130及び第4の端末装置140の各々は、ビデオデータ(例えば、端末装置で収集したビデオピクチャストリーム)を符号化して、ネットワーク150を介して、第3の端末装置130及び第4の端末装置140のうちの他方の端末装置に伝送することができる。第3の端末装置130及び第4の端末装置140の各々は、第3の端末装置130及び第4の端末装置140のうちの他方の端末装置が伝送する符号化されたビデオデータを受信することもでき、また、符号化されたビデオデータを復号してビデオデータを復元し、復元されたビデオデータに基づいて、アクセス可能な表示装置上にビデオピクチャを表示することができる。
【0026】
図1の実施形態では、第1の端末装置110、第2の端末装置120、第3の端末装置130、及び第4の端末装置140は、サーバ、パーソナルコンピュータ、及びスマートフォンであってもよいが、本願に開示される原理はこれに限定されない。本願に開示される実施形態は、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、メディアプレーヤ、及び/又は専用のビデオ会議デバイスに適用可能である。ネットワーク150は、第1の端末装置110、第2の端末装置120、第3の端末装置130、及び第4の端末装置140の間で、符号化されたビデオデータを転送する任意の種類のネットワークを表し、例えば、有線及び/又は無線通信ネットワークを含む。通信ネットワーク150は、回線交換及び/又はパケット交換チャネルでデータをやりとりすることができる。このネットワーク150は、電気通信ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、及び/又はインターネットを含んでもよい。本願の目的のために、ネットワーク150のアーキテクチャ及びトポロジーは、以下で説明されない限り、本願に開示される操作にとって重要でないかもしれない。
【0027】
本願の一実施形態では、
図2は、ストリーミング環境におけるビデオ符号化装置及びビデオ復号装置の配置形態を示している。本願に開示された主題は、例えばビデオ会議、デジタルTV(television、テレビ)、CD(Compact Disk、コンパクトディスク)、DVD(Digital Video Disc、デジタルビデオディスク)、記憶スティックなどのデジタル媒体への圧縮ビデオの記憶などを含む、他のビデオ対応アプリケーションに同等に適用可能である。
【0028】
ストリーミングシステムは、非圧縮のビデオピクチャストリーム202を作成するデジタルカメラなどのビデオソース201を含み得る収集サブシステム213を含んでもよい。実施形態では、ビデオピクチャストリーム202は、デジタルカメラによって撮影されたサンプルを含む。ビデオピクチャストリーム202は、符号化されたビデオデータ204(又は符号化されたビデオコードストリーム204)と比較して、高いデータ量のビデオピクチャストリームを強調するために太い線として描かれ、ビデオピクチャストリーム202は、ビデオソース201に結合されたビデオ符号化装置203を含む電子装置220によって処理されることができる。ビデオ符号化装置203は、以下でより詳細に説明される開示された主題の各態様を実現又は実施するために、ハードウェア、ソフトウェア、又はソフトウェアとハードウェアとの組合せを含むことができる。ビデオピクチャストリーム202と比較して、符号化されたビデオデータ204(又は符号化されたビデオコードストリーム204)は、より低いデータ量の符号化されたビデオデータ204(又は符号化されたビデオコードストリーム204)を強調するために細い線として描かれ、符号化されたビデオデータ204(又は符号化されたビデオコードストリーム204)は、将来使うためにストリーミングサーバ205上に記憶されることができる。
【0029】
図2のクライアントサブシステム206及びクライアントサブシステム208のような1つ又は複数のストリーミングクライアントサブシステムは、ストリーミングサーバ205にアクセスして、符号化されたビデオデータ204のコピー207及びコピー209を検索することができる。クライアントサブシステム206は、例えば、電子装置230におけるビデオ復号装置210を含んでもよい。ビデオ復号装置210は、符号化されたビデオデータの入り方向のコピー207を復号し、ディスプレイ212(例えば、表示画面)又は他のレンダリング装置上で提示されることができる出力ビデオピクチャストリーム211を生成する。一部のストリーミングシステムでは、符号化されたビデオデータ204、ビデオデータ204のコピー207、及びビデオデータ204のコピー209(例えば、ビデオコードストリーム)を、何らかのビデオ符号化/圧縮規格に従って符号化してもよい。このような規格の実施例は、ITU-T H.265を含む。実施形態では、開発中のビデオ符号化規格は、非公式に、次世代ビデオ符号化(Versatile Video Coding、VVC)と呼ばれ、本願は、VVC規格のコンテキストで使用されることができる。
【0030】
なお、電子装置220及び電子装置230は、図示されていない他のコンポーネントを含んでもよい。例を挙げると、電子装置220は、ビデオ復号装置を含んでもよく、また、電子装置230は、ビデオ符号化装置をさらに含んでもよい。
【0031】
本願の一実施形態では、国際ビデオ符号化規格HEVC(High Efficiency Video Coding、高効率のビデオコーディング)、VVC、及び中国の国家ビデオ符号化規格AVS(Audio Video coding Standard、情報源コーディング規格)を例として、1つのビデオ画像フレームが入力されると、ビデオ画像フレームを、1つのブロックサイズに応じて、何らかの重ならない処理ユニットに分割し、各処理ユニットに対して類似した圧縮操作を行う。この処理ユニットは、CTU(Coding Tree Unit、コーディングツリーユニット)、又はLCUと呼ばれる。CTUをさらに細かく分割して、1つ又は複数の基本的な符号化ユニットCUを得ることができ、CUは、符号化の一環における最も基本的な要素である。以下、CUを符号化する際の一部の概念を説明する。
【0032】
予測符号化(Predictive Coding):予測符号化は、フレーム内予測とフレーム間予測などの方式を含み、原ビデオ信号に対して、選択した再構成ビデオ信号による予測を行った後、残差ビデオ信号を得る。符号化側は、現在のCUについてどの予測符号化モードを選択するかを決定し、復号側に知らせる必要がある。ここで、フレーム内予測とは、予測される信号が、同一の画像内の符号化され再構成された領域からのものであることを意味する。また、フレーム間予測とは、予測される信号が、符号化された、現在の画像とは異なる他の画像(参照画像と呼ばれる)からのものであることを意味する。
【0033】
変換及び量子化(Transform & Quantization):残差ビデオ信号に対してDFT(Discrete Fourier Transform、離散フーリエ変換)、DCTなどの変換操作を行った後、信号を変換領域に変換し、変換係数を得る。変換係数は、さらに非可逆な量子化操作が行われ、一定の情報が失われるため、量子化された信号が圧縮表現に有利になる。何らかのビデオ符号化規格では、選択できる変換方式が複数存在し得るため、符号化側は、現在のCUについてそのうちの1つの変換方式を選択し、復号側に知らせる必要がある。量子化のきめ細かさは、通常、量子化パラメータ(Quantization Parameter、QPと略称)によって決められ、QPの取り得る値が大きいほど、取り得る値の範囲がより大きい係数が、同一の出力に量子化されることを示すため、通常、より大きな歪み及びより低いビットレートをもたらす。逆に、QPの取り得る値が小さいほど、取り得る値の範囲がより小さい係数が、同一の出力に量子化されることを示すため、通常、より高いビットレートに対応しながら、より小さい歪みをもたらす。
【0034】
エントロピー符号化(Entropy Coding)又は統計的符号化:量子化された変換領域信号は、各値が出現する頻度に応じて統計的に圧縮符号化され、最後に2値化(0又は1)された圧縮コードストリームが出力される。同時に、符号化により、例えば選択された符号化モード、動きベクトルデータなどの他の情報が生成され、ビットレートを低減するためにエントロピー符号化が必要となる。統計的符号化は可逆的な符号化方式であり、同様な信号を表現するのに必要なビットレートを効果的に下げることができ、一般的な統計的符号化方式は、可変長符号化(Variable Length Coding、VLCと略称)又はコンテキスト適応型2値算術符号化(Content Adaptive Binary Arithmetic Coding、CABACと略称)がある。
【0035】
ループフィルタリング(Loop Filtering):変換及び量子化された信号に対して、逆量子化、逆変換及び予測補償の操作によって、再構成画像が得られる。再構成画像は原画像と比べて、量子化の影響があるため、一部の情報は原画像と異なり、すなわち、再構成画像に歪み(Distortion)が生じる。そのため、再構成画像に対してフィルタリング操作を行うことができ、例えばデブロックフィルタリング(Deblocking filter、DBと略称)、SAO(Sample Adaptive Offset、サンプルアダプティブオフセット)又はALF(Adaptive Loop Filter、適応ループフィルタ)などのフィルタは、量子化によって生じた歪みの程度を効果的に低減することができる。これらのフィルタリングされた再構成画像は、将来の画像信号を予測するために、後で画像を符号化するための参照として使用されるため、上述のフィルタリング操作は、符号化ループ内のフィルタリング操作であるループフィルタリングとも呼ばれる。
【0036】
本願の一実施形態では、
図3は、ビデオエンコーダの基本的なフローチャートを示しており、そのフローでは、フレーム内予測を例として説明する。原画像信号s
k[x,y]と予測画像信号s
k
^[x,y]との差分演算を行って、残差信号u
k[x,y]を得、残差信号u
k[x,y]に対して変換及び量子化処理を行って量子化係数を得る。量子化係数は、エントロピー符号化により、符号化されたビットストリームが得られる一方、逆量子化及び逆変換処理により、再構成残差信号u
k
’[x,y]が得られ、予測画像信号s
k
^[x,y]と再構成残差信号u
k
’[x,y]とが重畳されて画像信号s
k
*[x,y]が生成される。画像信号s
k
*[x,y]は、フレーム内モード決定モジュール及びフレーム内予測モジュールに入力されてフレーム内予測処理が行われる一方、ループフィルタリングによって、再構成画像信号s
k
’[x,y]が出力され、再構成画像信号s
k
’[x,y]は、次のフレームの参照画像として動き推定及び動き補償予測が行われることができる。その後、動き補償予測の結果s
r
’[x+m
x,y+m
y]とフレーム内予測の結果f(s
k
*[x,y])とに基づいて次のフレームの予測画像信号s
k
^[x,y]を得、符号化が完了するまで上記過程を繰り返す。
【0037】
また、残差信号に対して変換及び量子化処理を行って得られた量子化係数ブロックでは、非ゼロ係数がブロックの左側及び上部の領域に集中する確率が高く、ブロックの右側及び下部の領域は0になる傾向があるため、SRCC技術が提案された。SRCC技術により、各量子化係数ブロック(サイズW×H)に含まれる非ゼロ係数の左上の領域のサイズSRx×SRyをマークすることができ、ここで、SRxは、量子化係数ブロックにおける最も右の非ゼロ係数の横座標であり、SRyは、量子化係数ブロックにおける最も下の非ゼロ係数の縦座標であり、1≦SRx≦W、1≦SRy≦Hであり、この領域外の係数はすべて0である。SRCC技術は、(SRx,SRy)を利用して、1つの量子化係数ブロック内のスキャンする必要のある量子化係数領域を決め、
図4に示すように、(SRx,SRy)でマークされたスキャン領域内の量子化係数のみを符号化する必要がある。例示的には、
図5に示すように、符号化のスキャン順は、右下隅から左上隅への逆Z字形スキャンとすることができる。
【0038】
上記の符号化の過程に基づいて、復号側では、CUごとに、圧縮コードストリーム(すなわち、ビットストリーム)を取得した後、エントロピー復号を行って、様々なモード情報及び量子化係数を得る。その後、量子化係数に対して逆量子化及び逆変換処理を行って残差信号を得る。一方、既知の符号化モード情報から、このCUに対応する予測信号を得ることができ、そして、残差信号と予測信号とを加算した後、再構成信号を得ることができ、再構成信号に対してループフィルタリングなどの操作を行って、最終的な出力信号を生成する。
【0039】
上記の符号化及び復号の過程では、残差信号の変換処理により、残差信号のエネルギーが、少数の低周波数係数に集中し、つまり、ほとんどの係数の値が小さくなる。その後、後続の量子化モジュールを経た後、小さい方の係数の値はゼロになり、残差信号を符号化するコストが大幅に低減される。しかし、残差分布の多様性により、単一のDCT変換がすべての残差特性に適応できないため、DST7(Discrete Sine Transform 7、離散サイン変換7)及びDCT8(Discrete Cosine Transform 8、離散コサイン変換8)のような変換カーネルが変換処理過程に導入され、残差信号に対する水平変換及び垂直変換では異なる変換カーネルを用いることができる。AMT(Adaptive Multiple core Transform、適応的マルチプルコア変換)技術を例として、1つの残差信号に対する変換処理のために選択可能な変換の組合せは、(DCT2,DCT2)、(DCT8,DCT8)、(DCT8,DST7)、(DST7,DCT8)及び(DST7,DST7)である。
【0040】
残差信号に対して具体的にはどの変換の組合せを選択するかは、符号化側でRDO(Rate-Distortion Optimization、レート歪み最適化)を用いて決定する必要がある。同時に、一部の残差ブロックは相関性が弱いため、変換処理過程をスキップして直接量子化処理を行うと、かえって符号化効率が向上する。一方、変換処理過程をスキップするか否かも、符号化側でRDOを用いて決定する必要があるが、このようにすれば、変換処理過程をスキップするか否かを示すために、符号化ユニットごとに変換スキップフラグを符号化する必要があるため、ビデオ符号化効率の低下を招く。
【0041】
上記の問題に対して、本願の実施形態は、量子化係数ブロックにおける量子化係数によって、残差データの変換処理過程がスキップされたか否かを暗黙的に示すことを提案し、さらに、変換スキップフラグの符号化を省くことができ、ビデオ符号化効率を効果的に向上させる。
【0042】
以下、本願の実施形態の技術案の実現の詳細について説明する。
【0043】
図6は、本願の一実施形態によるビデオ復号方法のフローチャートを示している。このビデオ復号方法は、計算処理機能を備えた機器である電子機器によって実行されることができ、例えば、端末機器又はサーバによって実行されてもよい。
図6に示すように、このビデオ復号方法は、少なくとも、ステップS610~ステップS630を含み、以下に詳細に説明する。
【0044】
ステップS610では、ビデオ画像フレームの符号化ブロックに対してエントロピー復号処理を行って、符号化ブロックに対応する残差データの量子化係数ブロックを得る。
【0045】
本願の一実施形態では、ビデオ画像フレームシーケンスは、一連のビデオ画像フレームを含み、各ビデオ画像フレームは、さらに、スライス(Slice)に分割され、スライスは、さらに、若干のCUを含む一連のLCU(又はCTU)に分割されてもよい。ビデオ画像フレームは、符号化時に、ブロック単位で符号化処理が行われるが、何らかの新しいビデオ符号化規格では、例えばH.264規格ではマクロブロック(macroblock、MB)があり、マクロブロックは、さらに、予測符号化に使用可能な複数の予測ブロック(prediction)に分割されてもよい。HEVC規格では、符号化ユニットCU、予測ユニット(prediction unit、PU)及び変換ユニット(transform unit、TU)などの基本概念が採用され、機能的には、複数種のブロックユニットが分割され、新しいツリーベースの構造で記述されている。例えば、CUは、クアッドツリーに従ってより小さなCUに分割されてもよく、また、より小さなCUはさらに分割されて、クアッドツリー構造を形成することができる。本願の実施形態における符号化ブロックは、CUを符号化したブロックであってもよいし、CUよりも小さなブロック(例えば、CUを分割して得られたより小さなブロック)を符号化したブロックであってもよい。
【0046】
ビデオ画像フレームの符号化ブロックは、符号化ブロックに対応する残差データをビデオ符号化することによって得られたものであり、ビデオ符号化の最後の処理過程は、残差データの量子化係数ブロックに対してエントロピー符号化処理を行うことであるため、ビデオ復号の過程では、最初にビデオ画像フレームの符号化ブロックに対してエントロピー復号処理を行う必要があり、エントロピー復号処理後に、符号化ブロックに対応する残差データの量子化係数ブロックを得る。
【0047】
ステップS620では、量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計して、量子化係数統計値を得る。
【0048】
本願の一実施形態では、残差データの量子化係数ブロックを得た後、量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を直接統計する。本願の他の実施形態では、量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定した場合、量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計する。
【0049】
本願の一実施形態では、1つのビデオ画像フレームシーケンスに対応する第1の符号化データのシーケンスヘッダに含まれる所定のインデックス識別子によって、第1の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があることを示すことができる。本実施形態の技術案によれば、ビデオ画像フレームシーケンスに対応する第1の符号化データのシーケンスヘッダ内の1つのインデックス識別子によって、ビデオ画像フレームシーケンス全体に対応するすべての符号化ブロックの指示を可能にし、さらに、インデックス識別子によって占有されるビットを効果的に低減することができ、ビデオ符号化効率を向上させる。
【0050】
本願の一実施形態では、1つのビデオ画像フレームに対応する第2の符号化データの画像ヘッダに含まれる所定のインデックス識別子によって、第2の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があることを示すことができる。本実施形態の技術案によれば、ビデオ画像フレームに対応する第2の符号化データの画像ヘッダ内の1つのインデックス識別子によって、ビデオ画像フレーム全体に対応するすべての符号化ブロックの指示を可能にし、同様に、インデックス識別子によって占有されるビットを低減することができ、ビデオ符号化効率を向上させる。
【0051】
本願の一実施形態では、ビデオ画像フレームの1つのスライスに対応する第3の符号化データのスライスヘッダに含まれる所定のインデックス識別子によって、第3の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があることを示すことができる。本実施形態の技術案によれば、ビデオ画像フレームの1つのスライスに対応する第3の符号化データのスライスヘッダ内の1つのインデックス識別子によって、スライス全体に対応するすべての符号化ブロックの指示を可能にし、同様に、インデックス識別子によって占有されるビットを低減することができ、ビデオ符号化効率を向上させる。
【0052】
本願の一実施形態では、ビデオ画像フレームの1つのLCUに対応する第4の符号化データのLCUヘッダに含まれる所定のインデックス識別子によって、第4の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があることを示すことができる。本実施形態の技術案によれば、ビデオ画像フレームの1つのLCUに対応する第4の符号化データのLCUヘッダ内の1つのインデックス識別子によって、LCU全体に対応するすべての符号化ブロックの指示を可能にし、同様に、インデックス識別子によって占有されるビットを低減することができ、ビデオ符号化効率を向上させる。
【0053】
本願の一実施形態では、符号化ブロックのサイズと参照閾値範囲との間の関係に応じて、符号化ブロックについて、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定することの要否を判定することができる。例示的には、符号化ブロックのサイズと参照閾値範囲との間の関係が参照条件を満たす場合、符号化ブロックがエントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定する。また、符号化ブロックのサイズと参照閾値範囲との間の関係が参照条件を満たさない場合、符号化ブロックがエントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないと判定する。参照条件を満たすことは、経験によって設定されるか、又は適用場面に応じて柔軟に調整されるが、本願の実施形態ではこれを限定しない。
【0054】
例示的には、参照条件を満たすことは、符号化ブロックのサイズが参照閾値範囲内にあることを意味する。例示的には、参照閾値範囲は、下限閾値及び上限閾値からなる範囲を指してもよいし、ある閾値よりも小さい範囲を指してもよいし、ある閾値よりも大きい範囲を指してもよいが、本願の実施形態ではこれを限定しない。例えば、参照閾値範囲がある閾値よりも小さい範囲を指す場合、符号化ブロックのサイズが小さければ(例えば、ある閾値よりも小さければ)、この符号化ブロックについて、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定することができる。逆に、符号化ブロックのサイズが大きければ(例えば、ある閾値よりも大きければ)、この符号化ブロックについて、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないと判定することができる。本実施形態の技術案によれば、符号化ブロックのサイズに応じて、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定することの要否を暗黙的に示すことができ、追加のビットを必要としないため、これによってもビデオ符号化効率を向上させることができる。
【0055】
本願の一実施形態では、1つのビデオ画像フレームシーケンスに対応する第1の符号化データのシーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第1の値(例えば、0であってもよい)である場合、第1の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないと判定する。このシーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値(例えば、1であってもよい)である場合、さらに、ビデオ画像フレームシーケンスにおけるビデオ画像フレームに対応する第2の符号化データの画像ヘッダに含まれるインデックス識別子に基づいて決定することができる。
【0056】
本願の一実施形態では、前述のシーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値(例えば、1であってもよい)であり、かつ前述の画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が第1の値(例えば、0であってもよい)である場合、第2の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないと判定することができる。前述のシーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子及び前述の画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が、いずれも第2の値(例えば、1であってもよい)である場合、第2の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定することができ、この場合、スライスヘッダ、LCUヘッダ、及び符号化ブロックのサイズによって決定しなくなることができる。
【0057】
もちろん、本願の一実施形態では、前述のシーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子及び前述の画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が、いずれも第2の値(例えば、1であってもよい)である場合、さらに、ビデオ画像フレームのスライスに対応する第3の符号化データのスライスヘッダに含まれるインデックス識別子に基づいて決定することができる。例えば、前述のシーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子、前述の画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が、いずれも第2の値であるが、1つのスライスに対応する第3の符号化データのスライスヘッダに含まれるインデックス識別子が第1の値(例えば、0であってもよい)である場合、第3の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないと判定することができる。前述のシーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子、前述の画像ヘッダに含まれるインデックス識別子、及び前述のスライスヘッダに含まれるインデックス識別子が、いずれも第2の値(例えば、1であってもよい)である場合、第3の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定することができ、この場合、LCUヘッダ及び符号化ブロックのサイズによって決定しなくなることができる。
【0058】
もちろん、本願の一実施形態では、前述のシーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子、前述の画像ヘッダに含まれるインデックス識別子、及び前述のスライスヘッダに含まれるインデックス識別子が、いずれも第2の値(例えば、1であってもよい)である場合、さらに、スライスにおけるLCUに対応する第4の符号化データのLCUヘッダに含まれるインデックス識別子に基づいて決定することができる。例えば、前述のシーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子、前述の画像ヘッダに含まれるインデックス識別子、及び前述のスライスヘッダに含まれるインデックス識別子が、いずれも第2の値であるが、1つのLCUに対応する第4の符号化データのLCUヘッダに含まれるインデックス識別子が第1の値(例えば、0であってもよい)である場合、第4の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないと判定することができる。前述のシーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子、前述の画像ヘッダに含まれるインデックス識別子、前述のスライスヘッダに含まれるインデックス識別子、及び前述のLCUヘッダに含まれるインデックス識別子が、いずれも第2の値(例えば、1であってもよい)である場合、第4の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定することができ、この場合、符号化ブロックのサイズによって決定しなくなることができる。
【0059】
もちろん、本願の一実施形態では、前述のシーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子、前述の画像ヘッダに含まれるインデックス識別子、前述のスライスヘッダに含まれるインデックス識別子、及び前述のLCUヘッダに含まれるインデックス識別子が、いずれも第2の値(例えば、1であってもよい)である場合、さらに、符号化ブロックのサイズに基づいて決定することができる。例えば、前述のシーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子、前述の画像ヘッダに含まれるインデックス識別子、前述のスライスヘッダに含まれるインデックス識別子、及び前述のLCUヘッダに含まれるインデックス識別子が、いずれも第2の値であるが、1つの符号化ブロックのサイズが小さい(例えば、ある閾値よりも小さい)場合、この符号化ブロックについて、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定する。逆に、符号化ブロックのサイズが大きい(例えば、ある閾値よりも大きい)場合、この符号化ブロックについて、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないと判定することができる。
【0060】
上述のように、量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて逆変換処理過程をスキップするか否かを決定することの要否を判定する際に、以下の方法がある。
【0061】
1.前述のシーケンスヘッダにおけるインデックス識別子のみによって示し、画像ヘッダ、スライスヘッダ、LCUヘッダ、及び符号化ブロックのサイズによって決定しなくなる。例示的には、シーケンスヘッダにおけるインデックス識別子が1(数値は一例にすぎない)であることは、ビデオ画像フレームシーケンスに対応する第1の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があることを表す。
【0062】
2.前述の画像ヘッダにおけるインデックス識別子のみによって示し、シーケンスヘッダ、スライスヘッダ、LCUヘッダ、及び符号化ブロックのサイズによって決定しなくなる。例示的には、画像ヘッダにおけるインデックス識別子が1(数値は一例にすぎない)であることは、ビデオ画像フレームに対応する第2の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があることを表す。
【0063】
3.前述のスライスヘッダにおけるインデックス識別子のみによって示し、シーケンスヘッダ、画像ヘッダ、LCUヘッダ、及び符号化ブロックのサイズによって決定しなくなる。例示的には、スライスヘッダにおけるインデックス識別子が1(数値は一例にすぎない)であることは、スライスに対応する第3の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があることを表す。
【0064】
4.前述のLCUヘッダにおけるインデックス識別子のみによって示し、シーケンスヘッダ、画像ヘッダ、スライスヘッダ、及び符号化ブロックのサイズによって決定しなくなる。例示的には、LCUヘッダにおけるインデックス識別子が1(数値は一例にすぎない)であることは、LCUに対応する第4の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があることを表す。
【0065】
5.符号化ブロックのサイズのみによって暗黙的に示し、シーケンスヘッダ、画像ヘッダ、スライスヘッダ、及びLCUヘッダによって決定しなくなる。例示的には、符号化ブロックのサイズが小さい(例えば、ある閾値よりも小さい)場合、この符号化ブロックについて、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定することができる。逆に、符号化ブロックのサイズが大きい(例えば、ある閾値よりも大きい)場合、この符号化ブロックについて、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないと判定することができる。
【0066】
6.前述のシーケンスヘッダにおけるインデックス識別子及び画像ヘッダにおけるインデックス識別子によって示し、スライスヘッダ、LCUヘッダ、及び符号化ブロックのサイズによって決定しなくなる。例示的には、シーケンスヘッダにおけるインデックス識別子及び画像ヘッダにおけるインデックス識別子が、いずれも1(数値は一例にすぎない)である場合、ビデオ画像フレームに対応する第2の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があることを表す。シーケンスヘッダにおけるインデックス識別子が1であり、画像ヘッダにおけるインデックス識別子が0(数値は一例にすぎない)である場合、このビデオ画像フレームに対応する第2の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないことを表す。
【0067】
7.前述のシーケンスヘッダにおけるインデックス識別子、画像ヘッダにおけるインデックス識別子、及びスライスヘッダにおけるインデックス識別子によって示し、LCUヘッダ及び符号化ブロックのサイズによって決定しなくなる。例示的には、シーケンスヘッダにおけるインデックス識別子、画像ヘッダにおけるインデックス識別子、及びスライスヘッダにおけるインデックス識別子が、いずれも1(数値は一例にすぎない)である場合、スライスに対応する第3の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があることを表す。シーケンスヘッダにおけるインデックス識別子及び画像ヘッダにおけるインデックス識別子が1であり、スライスヘッダにおけるインデックス識別子が0(数値は一例にすぎない)である場合、このスライスに対応する第3の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないことを表す。
【0068】
8.前述のシーケンスヘッダにおけるインデックス識別子、画像ヘッダにおけるインデックス識別子、スライスヘッダにおけるインデックス識別子、及びLCUヘッダにおけるインデックス識別子によって示し、符号化ブロックのサイズによって決定しなくなる。例示的には、シーケンスヘッダにおけるインデックス識別子、画像ヘッダにおけるインデックス識別子、スライスヘッダにおけるインデックス識別子、及びLCUヘッダにおけるインデックス識別子が、いずれも1(数値は一例にすぎない)である場合、LCUに対応する第4の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があることを表す。シーケンスヘッダにおけるインデックス識別子、画像ヘッダにおけるインデックス識別子、及びスライスヘッダにおけるインデックス識別子が1であり、LCUヘッダにおけるインデックス識別子が0(数値は一例にすぎない)である場合、このLCUに対応する第4の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないことを表す。
【0069】
9.前述のシーケンスヘッダにおけるインデックス識別子、画像ヘッダにおけるインデックス識別子、スライスヘッダにおけるインデックス識別子、LCUヘッダにおけるインデックス識別子、及び符号化ブロックのサイズによって判定する。例示的には、シーケンスヘッダにおけるインデックス識別子、画像ヘッダにおけるインデックス識別子、スライスヘッダにおけるインデックス識別子、LCUヘッダにおけるインデックス識別子が、いずれも1(数値は一例にすぎない)であり、かつ符号化ブロックのサイズが設定された閾値よりも小さい場合、この符号化ブロックがエントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があることを表す。シーケンスヘッダにおけるインデックス識別子、画像ヘッダにおけるインデックス識別子、スライスヘッダにおけるインデックス識別子、及びLCUヘッダにおけるインデックス識別子が、いずれも1であるが、符号化ブロックのサイズが設定された閾値よりも大きい場合、この符号化ブロックがエントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないことを表す。
【0070】
もちろん、次の方法もある。
【0071】
10.前述の画像ヘッダにおけるインデックス識別子及びスライスヘッダにおけるインデックス識別子によって示し、シーケンスヘッダ、LCUヘッダ、及び符号化ブロックのサイズによって決定しなくなる。例示的には、画像ヘッダにおけるインデックス識別子及びスライスヘッダにおけるインデックス識別子が、いずれも1(数値は一例にすぎない)である場合、スライスに対応する第3の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があることを表す。画像ヘッダにおけるインデックス識別子が1であり、スライスヘッダにおけるインデックス識別子が0(数値は一例にすぎない)である場合、このスライスに対応する第3の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないことを表す。
【0072】
11.前述の画像ヘッダにおけるインデックス識別子、スライスヘッダにおけるインデックス識別子、及びLCUヘッダにおけるインデックス識別子によって示し、シーケンスヘッダ、符号化ブロックのサイズによって決定しなくなる。例示的には、画像ヘッダにおけるインデックス識別子、スライスヘッダにおけるインデックス識別子、及びLCUヘッダにおけるインデックス識別子が、いずれも1(数値は一例にすぎない)である場合、LCUに対応する第4の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があることを表す。画像ヘッダにおけるインデックス識別子及びスライスヘッダにおけるインデックス識別子が1であり、LCUヘッダにおけるインデックス識別子が0(数値は一例にすぎない)である場合、このLCUに対応する第4の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないことを表す。
【0073】
12.前述の画像ヘッダにおけるインデックス識別子、スライスヘッダにおけるインデックス識別子、LCUヘッダにおけるインデックス識別子、及び符号化ブロックのサイズによって決定し、シーケンスヘッダによって決定しなくなる。このとき、画像ヘッダにおけるインデックス識別子、スライスヘッダにおけるインデックス識別子、LCUヘッダにおけるインデックス識別子が、いずれも1(数値は一例にすぎない)であり、かつ符号化ブロックのサイズが設定された閾値よりも小さい場合、この符号化ブロックがエントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があることを表す。画像ヘッダにおけるインデックス識別子、スライスヘッダにおけるインデックス識別子、及びLCUヘッダにおけるインデックス識別子が、いずれも1であるが、符号化ブロックのサイズが設定された閾値よりも大きい場合、この符号化ブロックがエントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないことを表す。
【0074】
また、本願の実施形態では、他のより多くの指示方法もあるが、その詳細な説明を省略する。
【0075】
本願の一実施形態では、量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計する際に、量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、所定領域内の量子化係数を統計して統計結果を得、そして、この統計結果をそのまま量子化係数統計値としてもよい。又は、統計結果が得られた後、設定値に対する統計結果の余りを算出し、その余りを量子化係数統計値としてもよい。例示的には、この設定値は、ゼロでない任意の数値であってもよく、例えば、2、3、4などであってもよい。
【0076】
本願の一実施形態では、量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、所定領域内の量子化係数を統計する際に、所定領域内の量子化係数の数値の和を算出し、得られた和の値を統計結果としてもよい。又は、所定領域内の量子化係数の絶対値の和を算出し、得られた和の値を統計結果としてもよい。又は、まず、所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数値を第1の数値に変換し、数値が偶数である量子化係数の数値を第2の数値に変換し、そして、所定領域内の量子化係数の数値変換後の数値の和を算出し、得られた和の値を統計結果としてもよい。ここで、第1の数値と第2の数値との一方が奇数で、他方が偶数である。
【0077】
例えば、所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数値を1に変換し、数値が偶数である量子化係数の数値を0に変換する。又は、所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数値を0に変換し、数値が偶数である量子化係数の数値を1に変換する。又は、所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数値を3に変換し、数値が偶数である量子化係数の数値を2に変換する。又は、所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数値を2に変換し、数値が偶数である量子化係数の数値を3に変換する。
【0078】
本願の一実施形態では、量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、所定領域内の量子化係数を統計する際に、所定領域内の数値が奇数である量子化係数の個数の和を算出し、得られた和の値を統計結果とするか、又は、所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数値の和を算出し、得られた和の値を統計結果とするか、又は、所定領域内の数値が奇数である量子化係数の絶対値の和を算出し、得られた和の値を統計結果とするか、又は、所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数値を第1の数値に変換し、数値が偶数である量子化係数の数値を第2の数値に変換し、そして、所定領域内の量子化係数の数値変換後の奇数値の和を算出し、得られた和の値を統計結果とすることができ、ここで、第1の数値と第2の数値との一方が奇数で、他方が偶数である。
【0079】
本願の一実施形態では、量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、所定領域内の量子化係数を統計する際に、所定領域内の数値が偶数である量子化係数の個数の和を算出し、得られた和の値を統計結果とするか、又は、所定領域内の数値が偶数である量子化係数の数値の和を算出し、得られた和の値を統計結果とするか、又は、所定領域内の数値が偶数である量子化係数の絶対値の和を算出し、得られた和の値を統計結果とするか、又は、所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数値を第1の数値に変換し、数値が偶数である量子化係数の数値を第2の数値に変換し、そして、所定領域内の量子化係数の数値変換後の偶数値の和を算出し、得られた和の値を統計結果とすることができ、ここで、第1の数値と第2の数値との一方が奇数で、他方が偶数である。
【0080】
上述のように、本願の実施形態では、量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、所定領域内の量子化係数を統計する際に、以下のようにすることができる。
【0081】
1.所定領域内の量子化係数の数値を直接合計する。
【0082】
2.所定領域内の量子化係数について、数値の絶対値の和を求める。
【0083】
3.まず、所定領域内の量子化係数の偶奇性に応じて奇数及び偶数を変換し、その後、所定領域内の変換後のすべての数値を合計する。
【0084】
4.所定領域内の数値が奇数である量子化係数の個数を計算する。
【0085】
5.所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数値を合計する。
【0086】
6.所定領域内の数値が奇数である量子化係数について、数値の絶対値の和を求める。
【0087】
7.まず、所定領域内の量子化係数の偶奇性に応じて奇数及び偶数を変換し、その後、所定領域内の変換後のすべての数値のうち奇数を合計する。
【0088】
8.所定領域内の数値が偶数である量子化係数の個数を計算する。
【0089】
9.所定領域内の数値が偶数である量子化係数の数値を合計する。
【0090】
10.所定領域内の数値が偶数である量子化係数について、数値の絶対値の和を求める。
【0091】
11.まず、所定領域内の量子化係数の偶奇性に応じて奇数及び偶数を変換し、その後、所定領域内の変換後のすべての数値のうち偶数を合計する。
【0092】
本願の一実施形態では、上記の所定領域は、量子化係数ブロックにおける全領域であってもよい。
【0093】
本願の一実施形態では、上記の所定領域は、量子化係数ブロックにおける所定の1つの位置又は複数の位置であってもよい。
【0094】
本願の一実施形態では、上記の所定領域は、量子化係数ブロックにおける所定の少なくとも1行であってもよい。
図7に示すように、量子化係数ブロックを4×4の係数ブロックとし、各ブロックが1つの量子化係数を表すとすると、
図7の(a)に示すように、灰色領域の1行を所定領域とすることができる。又は、
図7の(b)に示すように、灰色領域の2行を所定領域とすることもできる。任意選択で、この少なくとも1行は、量子化係数ブロック内のより上方の行であってもよい。
【0095】
本願の一実施形態では、上記の所定領域は、量子化係数ブロックにおける所定の少なくとも1列であってもよい。
図7に示すように、量子化係数ブロックを4×4の係数ブロックとし、各ブロックが1つの量子化係数を表すとすると、
図7の(c)に示すように、灰色領域の1列を所定領域とすることができる。又は、
図7の(d)に示すように、灰色領域の2列を所定領域とすることもできる。任意選択で、この少なくとも1列は、量子化係数ブロックの左寄りの列であってもよい。
【0096】
本願の一実施形態では、上記の所定領域は、量子化係数ブロックにおける所定の少なくとも1行及び所定の少なくとも1列であってもよい。
図8に示すように、量子化係数ブロックを4×4の係数ブロックとし、各ブロックが1つの量子化係数を表すとすると、
図8の(a)に示すように、下方の1行と右側の1列(すなわち、その中の灰色領域)を所定領域とすることができる。又は、
図8の(b)に示すように、下方の2行と右側の2列(すなわち、その中の灰色領域)を所定領域とすることもできる。又は、
図8の(c)に示すように、上方の1行と左側の1列(すなわち、その中の灰色領域)を所定領域とすることもできる。又は、
図8の(d)に示すように、上方の2行と左側の2列(すなわち、その中の灰色領域)を所定領域とすることもできる。
【0097】
本願の一実施形態では、上記の所定領域は、量子化係数ブロックにおける少なくとも1本の斜線上の位置であってもよい。
図9に示すように、量子化係数ブロックを4×4の係数ブロックとし、各ブロックが1つの量子化係数を表すとすると、
図9の(a)及び(b)に示すように、1本の斜線上の位置を所定領域とすることができる。又は、
図9の(c)と(d)に示すように、2本の斜線上の位置を所定領域とする。
【0098】
本願の一実施形態では、上記の所定領域は、量子化係数ブロックにおけるSRCC領域であってもよい。ここで、SRCC領域は、SRCC技術によってマークされたスキャン領域である。
【0099】
本願の一実施形態では、上記の所定領域は、SRCC領域内の所定の1つの位置又は複数の位置であってもよい。任意選択で、SRCC領域内の所定の1つの位置又は複数の位置は、スキャン順での最初のN個の位置を含んでもよく、Nは0でない自然数である。
【0100】
本願の一実施形態では、上記の所定領域は、SRCC領域内の所定の少なくとも1行であってもよい。
図7に示すように、SRCC領域を4×4の係数ブロックとし、各ブロックが1つの量子化係数を表すとすると、
図7の(a)に示すように、灰色領域の1行を所定領域とすることができる。又は、
図7の(b)に示すように、灰色領域の2行を所定領域とすることもできる。任意選択で、この少なくとも1行は、量子化係数ブロックにおけるSRCC領域内のより上方の行であってもよい。
【0101】
本願の一実施形態では、上記の所定領域は、SRCC領域内の所定の少なくとも1列であってもよい。
図7に示すように、SRCC領域を4×4の係数ブロックとし、各ブロックが1つの量子化係数を表すとすると、
図7の(c)に示すように、灰色領域の1列を所定領域とすることができる。又は、
図7の(d)に示すように、灰色領域の2列を所定領域とすることもできる。任意選択で、この少なくとも1列は、量子化係数ブロックにおけるSRCC領域内の左寄りの列であってもよい。
【0102】
本願の一実施形態では、上記の所定領域は、SRCC領域内の所定の少なくとも1行及び所定の少なくとも1列であってもよい。
図8に示すように、SRCC領域を4×4の係数ブロックとし、各ブロックが1つの量子化係数を表すとすると、
図8の(a)に示すように、下方の1行と右側の1列(すなわち、その中の灰色領域)を所定領域とすることができる。又は、
図8の(b)に示すように、下方の2行と右側の2列(すなわち、その中の灰色領域)を所定領域とすることもできる。又は、
図8の(c)に示すように、上方の1行と左側の1列(すなわち、その中の灰色領域)を所定領域とすることもできる。又は、
図8の(d)に示すように、上方の2行と左側の2列(即ち、その中の灰色領域)を所定領域とすることもできる。
【0103】
本願の一実施形態では、上記の所定領域は、SRCC領域における少なくとも1本の斜線上の位置であってもよい。
図9に示すように、SRCC領域を4×4の係数ブロックとし、各ブロックが1つの量子化係数を表すとすると、
図9の(a)及び(b)に示すように、1本の斜線上の位置を所定領域とすることができる。又は、
図9の(c)と(d)に示すように、2本の斜線上の位置を所定領域とする。
【0104】
本願の他の実施形態では、上記実施形態における所定領域の分割方式を組み合わせ、組み合わせた領域を所定領域とするようにしてもよい。
【0105】
引き続き
図6を参照して、ステップS630では、量子化係数統計値に基づいて、前記逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する。
【0106】
本願の一実施形態では、量子化係数統計値の偶奇性に応じて、前記逆変換処理過程をスキップするか否かを決定することができる。例えば、量子化係数統計値が奇数であれば、逆変換処理過程をスキップすると決定し、量子化係数統計値が偶数であれば、逆変換処理過程を実行すると決定する。又は、量子化係数統計値が奇数であれば、逆変換処理過程を実行すると決定し、量子化係数統計値が偶数であれば、逆変換処理過程をスキップすると決定する。
【0107】
本願の一実施形態では、量子化係数統計値の数値に応じて、前記逆変換処理過程をスキップするか否かを決定することができる。例えば、量子化係数統計値が第1の数値の集合に属すれば、逆変換処理過程をスキップすると決定し、量子化係数統計値が第1の数値の集合に属さなければ、逆変換処理過程を実行すると決定する。又は、量子化係数統計値が第1の数値の集合に属すれば、逆変換処理過程を実行すると決定し、量子化係数統計値が第1の数値の集合に属さなければ、逆変換処理過程をスキップすると決定する。第1の数値の集合は、経験によって設定されるか、又は適用場面に応じて柔軟に調整される。例えば、第1の数値の集合は、(0、2、4、6、8、10)である。
【0108】
本願の1つの具体例では、量子化係数統計値が第1の数値の集合に属する場合、逆変換処理過程をスキップすると決定し、属さない場合、逆変換処理過程を実行すると決定することを仮定する。同時に、量子化係数統計値が4(数値は一例にすぎない)に対する量子化係数の統計結果の余りであり、第1の数値の集合が(0,1,2)であると仮定すると、量子化係数統計値が2である場合、逆変換処理過程をスキップすると決定し、量子化係数統計値が3である場合、逆変換処理過程を実行すると決定する。
【0109】
同様に、量子化係数統計値が第1の数値の集合に属する場合、逆変換処理過程を実行すると決定し、属さない場合、逆変換処理過程をスキップすると決定することを仮定する。同時に、量子化係数統計値が4(数値は一例にすぎない)に対する量子化係数の統計結果の余りであり、第1の数値の集合が(0,1,2)であると仮定すると、量子化係数統計値が2である場合、逆変換処理過程を実行すると決定し、量子化係数統計値が3である場合、逆変換処理過程をスキップすると決定する。
【0110】
本願の一実施形態では、逆変換処理過程をスキップすると決定していれば、直接量子化係数ブロックに対して逆量子化処理を行い、逆量子化処理の結果を再構成された残差データとする。逆変換処理過程を実行すると決定していれば、まず、量子化係数ブロックに対して逆量子化処理を行い、その後、符号化過程で符号化ブロックに用いられる変換行列の組合せに基づいて、逆量子化結果に対して逆変換処理を行って、再構成された残差データを得る。任意選択で、逆変換処理を行う際に選択される変換行列の組合せは、(DCT2,DCT2)、(DCT8,DCT8)、(DCT8,DST7)、(DST7,DCT8)及び(DST7,DST7)のいずれか1つであってもよい。
【0111】
本願の上述した実施形態の技術案によれば、量子化係数ブロックにおける量子化係数によって、符号化側が変換過程をスキップしたか否かを暗黙的に示すことを可能にし、さらに、復号側は逆変換処理過程を行うか否かを決定することができ、符号化側が符号化ユニットごとに変換スキップフラグを符号化することを回避し、そのうえ、ビデオ符号化効率を効果的に向上させることができる。
【0112】
図10は、本願の一実施形態によるビデオ符号化方法のフローチャートを示しており、このビデオ符号化方法は、計算処理機能を備えた機器である電子機器によって実行され、例えば、端末機器又はサーバによって実行されてもよい。
図10に示すように、このビデオ符号化方法は、少なくとも、ステップS810~ステップS830を含み、以下に詳細に説明する。
【0113】
ステップS810では、ビデオ画像フレームの符号化ブロックを取得するために必要な残差データに対して、変換処理をスキップして直接量子化処理を行い、残差データの第1の量子化係数ブロックを得、残差データに対して変換処理及び量子化処理を順次行って、残差データの第2の量子化係数ブロックを得る。
【0114】
ビデオ符号化の過程では、変換処理をスキップする方式と変換処理をスキップしない方式とをそれぞれ利用して、残差データの量子化係数ブロックを取得する必要があり、その後、最終的な量子化係数ブロックを取得する方式として適切な方式を選択する。本願の実施形態では、変換処理をスキップする方式(すなわち、変換処理をスキップして直接量子化処理を行う方式)を利用して残差データを処理し、残差データの第1の量子化係数ブロックを得、変換処理をスキップしない方式(すなわち、変換処理と量子化処理とを順次行う方式)を利用して残差データを処理し、残差データの第2の量子化係数ブロックを得る。
【0115】
ステップS820では、第1の量子化係数ブロックに基づいて、第3の量子化係数ブロックを取得し、第3の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値は、逆変換処理過程をスキップすることを示すためのものであって、第3の量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計することにより得られる。また、第2の量子化係数ブロックに基づいて、第4の量子化係数ブロックを取得し、第4の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値は、逆変換処理過程を実行することを示すためのものであって、第4の量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計することにより得られる。
【0116】
量子化係数ブロックにおける量子化係数によって、変換処理過程をスキップしたか否かを暗黙的に示す目的を達成するには、変換処理をスキップする方式で得られた量子化係数ブロック、及び、変換処理をスキップしない方式で得られた量子化係数ブロックに対して異なる特性を付与する必要がある。本願の実施形態では、変換処理をスキップする方式で得られた量子化係数ブロックに付与された特性は、量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値が、逆変換処理過程をスキップすることを示すことである。また、変換処理をスキップしない方式で得られた量子化係数ブロックに付与された特性は、量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値が、逆変換処理過程を実行することを示すことである。量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値を取得する手段、及び、量子化係数統計値が逆変換処理過程をスキップすることを示すか否かを判断する手段については、
図6に示す実施形態を参照すればよく、ここではその詳細な説明を省略する。
【0117】
一部の実施形態では、第1の量子化係数ブロックに基づいて、第3の量子化係数ブロックを取得するプロセスは、第1の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値が逆変換処理過程をスキップすることを示すことに応じて、第1の量子化係数ブロックを第3の量子化係数ブロックとし、第1の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値が逆変換処理過程を実行することを示すことに応じて、調整された量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値が逆変換処理過程をスキップすることを示すものとなるように、第1の量子化係数ブロックにおける1つ又は複数の量子化係数を調整し、調整して得られた量子化係数ブロックを第3の量子化係数ブロックとするように行われる。調整された量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値が逆変換処理過程をスキップすることを示すものとなるように、第1の量子化係数ブロックにおける1つ又は複数の量子化係数を調整する手段は、経験によって設定されるか、又は適用場面に応じて柔軟に調整される。
【0118】
例示的には、量子化係数統計値が逆変換処理過程をスキップすることを示すことは、量子化係数統計値が奇数であることを意味すると仮定すると、第1の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値が偶数である場合、調整された量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値が逆変換処理過程をスキップすることを示すものとなるように、第1の量子化係数ブロックにおける1つ又は複数の量子化係数を調整する手段は、第1の量子化係数ブロックにおけるいずれか1つの量子化係数の数値を1だけ増加又は1だけ減少させることであってもよい。
【0119】
一部の実施形態では、第2の量子化係数ブロックに基づいて、第4の量子化係数ブロックを取得するプロセスは、第2の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値が逆変換処理過程を実行することを示すことに応じて、第2の量子化係数ブロックを第4の量子化係数ブロックとし、第2の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値が逆変換処理過程をスキップすることを示すことに応じて、調整された量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値が逆変換処理過程を実行することを示すものとなるように、第2の量子化係数ブロックにおける1つ又は複数の量子化係数を調整し、調整して得られた量子化係数ブロックを第4の量子化係数ブロックとするように行われる。調整された量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値が逆変換処理過程を実行することを示すものとなるように、第2の量子化係数ブロックにおける1つ又は複数の量子化係数を調整する手段は、経験によって設定されるか、又は適用場面に応じて柔軟に調整される。
【0120】
例示的には、量子化係数統計値が逆変換処理過程をスキップすることを示すことは、量子化係数統計値が奇数であることを意味すると仮定すると、第2の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値が奇数である場合、調整された量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値が逆変換処理過程を実行することを示すものとなるように、第2の量子化係数ブロックにおける1つ又は複数の量子化係数を調整する手段は、第2の量子化係数ブロックにおけるいずれか1つの量子化係数の数値を1だけ増加又は1だけ減少させることであってもよい。
【0121】
ステップS830では、第3の量子化係数ブロック及び第4の量子化係数ブロックのうち、選択条件を満たす量子化係数ブロックに対してエントロピー符号化処理を行って、ビデオ画像フレームの符号化ブロックを得る。
【0122】
第3の量子化係数ブロック及び第4の量子化係数ブロックを得た後、第3の量子化係数ブロック及び第4の量子化係数ブロックのうち、選択条件を満たす量子化係数ブロックに対してエントロピー符号化処理を行う。例示的には、第3の量子化係数ブロック及び第4の量子化係数ブロックのうち、どの量子化係数ブロックが選択条件を満たすかは、RDOを用いて決定される。例示的には、第3の量子化係数ブロック及び第4の量子化係数ブロックのうち、符号化コストが小さい量子化係数ブロックを、選択条件を満たす量子化係数ブロックとする。
【0123】
選択条件を満たす量子化係数ブロックに対してエントロピー符号化処理を行った後、ビデオ画像フレームの符号化ブロックを得る。
【0124】
例示的には、第3の量子化係数ブロック及び第4の量子化係数ブロックは、いずれも量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて逆変換処理過程をスキップするか否かを決定することができるため、選択条件を満たす量子化係数ブロックが第3の量子化係数ブロックである場合でも第4の量子化係数ブロックである場合でも、得られた符号化ブロックは、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると考えられる。例示的には、符号化側では、符号化ブロックについて、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定することの要否を判断するための決定方式を確立し、この決定方式を復号側に同期させ、これにより、復号側は、符号化ブロックについて、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定することの要否を判断することができるようになる。符号化ブロックがエントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定することの要否を判断するための決定方式については、
図6に示す実施形態を参照すればよいが、ここではその詳細な説明を省略する。
【0125】
本願の実施形態による態様に基づいて、符号化ブロックをエントロピー復号して得られた量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値が、逆変換処理過程をスキップすることを示す場合、選択条件を満たす量子化係数ブロックが第3の量子化係数ブロックであることを表し、第3の量子化係数ブロックは、変換処理をスキップする方式で得られた第1の量子化係数ブロックに基づいて得られるため、量子化係数ブロックの復号中に、逆変換処理過程をスキップする必要があると判定することができる。また、符号化ブロックをエントロピー復号して得られた量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値が、逆変換処理過程を実行することを示す場合、選択条件を満たす量子化係数ブロックが第4の量子化係数ブロックであることを表し、第4の量子化係数ブロックは、変換処理をスキップしない方式で得られた第2の量子化係数ブロックに基づいて得られるため、量子化係数ブロックの復号中に、逆変換処理過程をスキップする必要がないと判定することができる。
【0126】
本願の上述した実施形態の技術案によれば、量子化係数ブロックにおける量子化係数によって、符号化側が変換処理過程をスキップしたか否かを暗黙的に示すことを可能にし、符号化側が符号化ユニットごとに変換スキップフラグを符号化することを回避し、そのうえ、ビデオ符号化効率を効果的に向上させることができる。
【0127】
本願の実施形態は、ビデオ処理システムを提供し、このビデオ処理システムは、
図10に示す実施形態におけるビデオ符号化方法を実行するためのビデオ符号化装置と、
図6に示す実施形態におけるビデオ復号方法を実行するためのビデオ復号装置と、を備える。
【0128】
以下、本願の上述した実施形態におけるビデオ復号方法及びビデオ符号化方法を実行可能な本願の装置の実施形態について説明する。本願の装置の実施形態に開示されていない詳細については、本願の上述したビデオ復号方法及びビデオ符号化方法の実施形態を参照されたい。
【0129】
図11は、本願の一実施形態によるビデオ復号装置のブロック図を示しており、該ビデオ復号装置は、計算処理機能を備えた機器内に設けられることができ、例えば、端末機器又はサーバに設けられてもよい。
【0130】
図11に示すように、本願の一実施形態によるビデオ復号装置1000は、復号ユニット1002と、統計ユニット1004と、決定ユニット1006とを備える。
【0131】
復号ユニット1002は、ビデオ画像フレームの符号化ブロックに対してエントロピー復号処理を行って、前記符号化ブロックに対応する残差データの量子化係数ブロックを得るように構成される。統計ユニット1004は、前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計して、量子化係数統計値を得るように構成される。決定ユニット1006は、前記量子化係数統計値に基づいて、前記逆変換処理過程をスキップするか否かを決定するように構成される。
【0132】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、前記統計ユニット1004は、前述量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定された場合、前述量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計するように構成される。
【0133】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、前記ビデオ復号装置1000は、1つのビデオ画像フレームシーケンスに対応する第1の符号化データのシーケンスヘッダに、所定のインデックス識別子が含まれている場合、前記第1の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定するように構成される第1の判定ユニットをさらに備える。
【0134】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、前記ビデオ復号装置1000は、1つのビデオ画像フレームに対応する第2の符号化データの画像ヘッダに、所定のインデックス識別子が含まれている場合、前記第2の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定するように構成される第2の判定ユニットをさらに備える。
【0135】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、前記ビデオ復号装置1000は、ビデオ画像フレームの1つのスライスに対応する第3の符号化データのスライスヘッダに、所定のインデックス識別子が含まれている場合、前記第3の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定するように構成される第3の判定ユニットをさらに備える。
【0136】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、前記ビデオ復号装置1000は、ビデオ画像フレームの1つのLCUに対応する第4の符号化データのLCUヘッダに、所定のインデックス識別子が含まれている場合、前記第4の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定するように構成される第4の判定ユニットをさらに備える。
【0137】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、前記ビデオ復号装置1000は、前記符号化ブロックのサイズと参照閾値範囲との間の関係に応じて、前記符号化ブロックについて、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定することの要否を判定するように構成される第5の判定ユニットをさらに備える。
【0138】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、前記ビデオ復号装置1000は、1つのビデオ画像フレームシーケンスに対応する第1の符号化データのシーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第1の値である場合、前記第1の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないと判定するように構成される第6の判定ユニットをさらに備える。
【0139】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、前記第6の判定ユニットは、さらに、1つのビデオ画像フレームシーケンスに対応する第1の符号化データのシーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記ビデオ画像フレームシーケンスにおける1つのビデオ画像フレームに対応する第2の符号化データの画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が第1の値である場合、前記第2の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないと判定するように構成される。
【0140】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、前記第6の判定ユニットは、さらに、前記シーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値である場合、前記第2の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定するように構成される。
【0141】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、前記第6の判定ユニットは、さらに、前記シーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記ビデオ画像フレームの1つのスライスに対応する第3の符号化データのスライスヘッダに含まれるインデックス識別子が第1の値である場合、前記第3の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないと判定するように構成される。
【0142】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、前記第6の判定ユニットは、さらに、前記シーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記スライスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値である場合、前記第3の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定するように構成される。
【0143】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、前記第6の判定ユニットは、さらに、前記シーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記スライスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記スライスの1つのLCUに対応する第4の符号化データのLCUヘッダに含まれるインデックス識別子が第1の値である場合、前記第4の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要がないと判定するように構成される。
【0144】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、前記第6の判定ユニットは、さらに、前記シーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記スライスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記LCUヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値である場合、前記第4の符号化データ中のいずれの符号化ブロックも、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定する必要があると判定するように構成される。
【0145】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、前記第6の判定ユニットは、さらに、前記シーケンスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記画像ヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記スライスヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値であり、前記LCUヘッダに含まれるインデックス識別子が第2の値である場合、前記LCU内の符号化ブロックのサイズと参照閾値範囲との間の関係に応じて、前記符号化ブロックについて、エントロピー復号によって得られた量子化係数ブロックにおける量子化係数に基づいて、逆変換処理過程をスキップするか否かを決定することの要否を判定するように構成される。
【0146】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、統計ユニット1004は、前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の量子化係数を統計して統計結果を得、前記統計結果を前記量子化係数統計値とするか、又は、
前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の量子化係数を統計して統計結果を得、設定値に対する前記統計結果の余りを算出し、前記余りを前記量子化係数統計値とするように構成される。
【0147】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、統計ユニット1004は、前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の量子化係数の数値の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするか、又は、
前記量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の量子化係数の絶対値の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするか、又は、
前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数値を第1の数値に変換し、数値が偶数である量子化係数の数値を第2の数値に変換し、前記所定領域内の量子化係数の数値変換後の数値の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするように構成され、ここで、前記第1の数値と前記第2の数値との一方が奇数で、他方が偶数である。
【0148】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、統計ユニット1004は、前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするか、又は、
前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数値の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするか、又は、
前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が奇数である量子化係数の絶対値の和を算出し、得られた和の値を統計結果とするか、又は、
前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数値を第1の数値に変換し、数値が偶数である量子化係数の数値を第2の数値に変換し、前記所定領域内の量子化係数の数値変換後の奇数値の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするように構成され、ここで、前記第1の数値と前記第2の数値との一方が奇数で、他方が偶数である。
【0149】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、統計ユニット1004は、前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が偶数である量子化係数の数の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするか、又は、
前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が偶数である量子化係数の数値の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするか、又は、
前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が偶数である量子化係数の絶対値の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするか、又は、
前記所定領域内の量子化係数の数値に基づいて、前記所定領域内の数値が奇数である量子化係数の数値を第1の数値に変換し、数値が偶数である量子化係数の数値を第2の数値に変換し、前記所定領域内の量子化係数の数値変換後の偶数値の和を算出し、得られた和の値を前記統計結果とするように構成され、ここで、前記第1の数値と前記第2の数値との一方が奇数で、他方が偶数である。
【0150】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、前記所定領域は、
前記量子化係数ブロックにおける全領域と、
前記量子化係数ブロックにおける所定の1つの位置又は複数の位置と、
前記量子化係数ブロックにおける所定の少なくとも1行と、
前記量子化係数ブロックにおける所定の少なくとも1列と、
前記量子化係数ブロックにおける所定の少なくとも1行及び所定の少なくとも1列と、
前記量子化係数ブロックにおける少なくとも1本の斜線上の位置と、のうちのいずれか1つを含む。
【0151】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、前記所定領域は、
前記量子化係数ブロックにおけるSRCC領域と、
前記SRCC領域内の所定の1つの位置又は複数の位置と、
前記SRCC領域内の所定の少なくとも1行と、
前記SRCC領域内の所定の少なくとも1列と、
前記SRCC領域内の所定の少なくとも1行及び所定の少なくとも1列と、
前記SRCC領域内の少なくとも1本の斜線上の位置と、のうちのいずれか1つを含む。
【0152】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、前記SRCC領域内の所定の1つの位置又は複数の位置は、スキャン順での最初のN個の位置を含み、Nは0でない自然数である。
【0153】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、決定ユニット1006は、前記量子化係数統計値が奇数であれば、前記逆変換処理過程をスキップすると決定し、前記量子化係数統計値が偶数であれば、前記逆変換処理過程を実行すると決定するか、又は、
前記量子化係数統計値が奇数であれば、前記逆変換処理過程を実行すると決定し、前記量子化係数統計値が偶数であれば、前記逆変換処理過程をスキップすると決定するように構成される。
【0154】
本願の一部の実施形態では、前述の態様に基づいて、決定ユニット1006は、前記量子化係数統計値が第1の数値の集合に属すれば、前記逆変換処理過程をスキップすると決定し、前記量子化係数統計値が前記第1の数値の集合に属さなければ、前記逆変換処理過程を実行すると決定するか、又は、
前記量子化係数統計値が前記第1の数値の集合に属すれば、前記逆変換処理過程を実行すると決定し、前記量子化係数統計値が前記第1の数値の集合に属さなければ、前記逆変換処理過程をスキップすると決定するように構成される。
【0155】
図12は、本願の一実施形態によるビデオ符号化装置のブロック図を示しており、該ビデオ符号化装置は、計算処理機能を備えた電子機器内に設けられることができ、例えば端末機器又はサーバに設けられてもよい。
【0156】
図12に示すように、本願の一実施形態によるビデオ符号化装置1200は、処理ユニット1202と、取得ユニット1204とを備える。
【0157】
処理ユニット1202は、ビデオ画像フレームの符号化ブロックを取得するために必要な残差データに対して、変換処理をスキップして直接量子化処理を行い、前記残差データの第1の量子化係数ブロックを得、前記残差データに対して変換処理及び量子化処理を順次行って、前記残差データの第2の量子化係数ブロックを得るように構成される。
【0158】
取得ユニット1204は、前記第1の量子化係数ブロックに基づいて、第3の量子化係数ブロックを取得し、前記第2の量子化係数ブロックに基づいて、第4の量子化係数ブロックを取得するように構成され、前記第3の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値は、逆変換処理過程をスキップすることを示すためのものであって、前記第3の量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計することにより得られ、前記第4の量子化係数ブロックに対応する量子化係数統計値は、逆変換処理過程を実行することを示すためのものであって、前記第4の量子化係数ブロックにおける所定領域内の量子化係数を統計することにより得られる。
【0159】
前記処理ユニット1202は、さらに、前記第3の量子化係数ブロックと前記第4の量子化係数ブロックとのうち、選択条件を満たす量子化係数ブロックに対してエントロピー符号化処理を行って、前記ビデオ画像フレームの符号化ブロックを得るように構成される。
【0160】
図13は、本願の実施形態に係る電子機器を実現するのに適したコンピュータシステムの概略構成図を示している。
【0161】
なお、
図13に示された電子機器のコンピュータシステム1100は一例にすぎず、本願の実施形態の機能及び適用範囲を何ら制限するものではない。
【0162】
図13に示すように、コンピュータシステム1100は、リードオンリーメモリ(Read-Only Memory、ROM)1102に記憶されたプログラム、又は記憶部1108からランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)1103にロードされたプログラムに従って、様々な適切な動作及び処理を実行することができる中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)1101を備える。RAM1103には、システムの操作に必要な各種プログラム及びデータも記憶されている。CPU1101、ROM1102、及びRAM1103は、バス1104を介して互いに接続されている。バス1104には、入力/出力(Input/Output、I/O)インタフェース1105も接続されている。
【0163】
I/Oインタフェース1105には、キーボード、マウス等を含む入力部1106と、陰極線管(Cathode Ray Tube、CRT)、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)等及びスピーカ等を含む出力部1107と、ハードディスク等を含む記憶部1108と、LAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)カード、モデム等のネットワークインタフェースカードを含む通信部1109と、が接続されている。通信部1109は、インターネット等のネットワークを介して通信処理を行う。ドライブ1110も、必要に応じてI/Oインタフェース1105に接続されている。ドライブ1110には、必要に応じて磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブルメディア1111がインストールされることで、そこから読み出されたコンピュータプログラムが必要に応じて記憶部1108にインストールされることが容易になる。
【0164】
例示的には、本願の実施形態によれば、以上でフローチャートを参照して説明された過程は、コンピュータソフトウェアプログラムとして実現されてもよい。例えば、本願の実施形態は、コンピュータ読取可能な媒体上に担持されたコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を含み、該コンピュータプログラムは、フローチャートに示された方法を実行するためのプログラムコードを含む。このような実施形態では、該コンピュータプログラムは、通信部1109を介してネットワークからダウンロードされインストールされること、及び/又は、リムーバブルメディア1111からインストールされることができる。このコンピュータプログラムが中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)1101によって実行されると、本願のシステムに限定された種々の機能が実行される。
【0165】
なお、本願の実施形態に示されたコンピュータ読取可能な媒体は、コンピュータ読取可能な信号媒体、コンピュータ読取可能な記憶媒体、又は両方の任意の組み合わせであってもよい。コンピュータ読取可能な記憶媒体は、例えば、電気、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体のシステム、装置、又はデバイス、又は以上の任意の組み合わせとすることができるが、これらに限られない。コンピュータ読取可能な記憶媒体のより具体的な例は、1つ又は複数の導線を有する電気的接続、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(Erasable Programmable Read Only Memory、EPROM)、フラッシュメモリ、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(Compact Disc Read-Only Memory、CD-ROM)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又は上記の任意の適切な組み合わせを含み得るが、これらに限られない。
【0166】
本願では、コンピュータ読取可能な記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれらと組み合わせて使用されることができるプログラムを含む又は記憶する任意の有形媒体とすることができる。一方、本願例では、コンピュータ読取可能な信号媒体は、ベースバンド中又は搬送波の一部として伝播され、読取可能なプログラムコードが付加されたデータ信号を含み得る。このように伝播されるデータ信号は、様々な形態をとることができ、電磁信号、光信号、又は上記の任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限られない。コンピュータ読取可能な信号媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれらと組み合わせて使用されるプログラムを送信、伝播、又は伝送することができるコンピュータ読取可能な記憶媒体以外の任意のコンピュータ読取可能な媒体であってもよい。コンピュータ読取可能な媒体に含まれるプログラムコードは、無線、有線など、又は上記の任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限られない任意の適切な媒体で伝送されることができる。
【0167】
図面のフローチャート及びブロック図は、本願の様々な実施形態に従ったシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の実現可能なシステムアーキテクチャ、機能、及び操作を示している。ここで、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、所定の論理機能を実現するための1つ又は複数の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、又はコードの一部を表すことができる。代替手段である実現には、ブロックに示された機能が、図面に示された順序とは異なる順序で発生し得るものがあるにも留意されたい。例えば、2つの連続して表現されたブロックは、実際には、実質的に並列に実行されてもよく、関連する機能に応じて、時には逆の順序で実行されてもよい。ブロック図又はフローチャートの各ブロック、及びブロック図又はフローチャートのブロックの組み合わせは、所定の機能又は操作を実行する専用のハードウェアベースのシステム、又は専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせで実現されてもよいことにも留意されたい。
【0168】
本願の実施形態で説明されたユニットは、ソフトウェアによって実現されてもよいし、ハードウェアによって実現されてもよく、また、説明されたユニットはプロセッサ内に配置されてもよい。これらのユニットの名称は、場合によってはそのユニットそのものを限定するものではない。
【0169】
別の態様として、本願は、コンピュータ読取可能な媒体をさらに提供し、このコンピュータ読取可能な媒体は、上記実施形態に説明された電子機器に含まれていてもよいし、この電子機器に組み込まれていない別個の存在であってもよい。上記コンピュータ読取可能な媒体には、1つの電子機器によって実行されると、上記実施形態で説明された方法を電子機器に実現させる1つ又は複数のプログラムが搭載されている。
【0170】
以上の詳細な説明では、動作を実行するための装置の何らかのモジュール又はユニットが言及されているが、このような区分は必須ではないことに留意されたい。実際に、本願の実施形態によれば、以上で説明した2つ以上のモジュール又はユニットの特徴及び機能は、1つのモジュール又はユニット内で具体化されることができる。逆に、以上で説明した1つのモジュール又はユニットの特徴及び機能は、さらに複数のモジュール又はユニットに分割されて具体化されてもよい。
【0171】
以上の実施形態の説明により、ここに説明された例示的な実施形態は、ソフトウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアと必要なハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよいことが当業者には容易に理解される。したがって、本願の実施形態による技術案は、ソフトウェア製品の形で具現化されることができ、このソフトウェア製品は、不揮発性記憶媒体(CD-ROM、USBフラッシュディスク、携帯型ハードディスクなどであってもよい)又はネットワークに記憶されることができ、計算機器(パーソナルコンピュータ、サーバ、タッチ端末、又はネットワークデバイスなどであってもよい)に本願の実施形態による方法を実行させるための何らかの命令を含む。
【0172】
当業者は、明細書を検討し、ここに開示された実施形態を実施した後に、本願の他の実施態様を容易に想到するであろう。本願は、本願の一般的原理に従うとともに、本願に開示されていない本分野における公知常識又は一般的な技術的手段を含む、如何なる変形、用途又は適応的な変更をカバーすることを意図している。
【0173】
本願は、以上で説明され、図面に示された正確な構造に限定されるものではなく、その範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更が可能であることが理解されるであろう。