(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】新規ケルセチンレドックス誘導体及びBET阻害剤としての用途
(51)【国際特許分類】
C07D 405/04 20060101AFI20240507BHJP
C07D 407/04 20060101ALI20240507BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20240507BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20240507BHJP
A61K 31/423 20060101ALI20240507BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20240507BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240507BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240507BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240507BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240507BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240507BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240507BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240507BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240507BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240507BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240507BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240507BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240507BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240507BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240507BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240507BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20240507BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240507BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240507BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240507BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240507BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240507BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240507BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20240507BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
C07D405/04 CSP
C07D407/04
A61K31/352
A61K31/4184
A61K31/423
A61K31/404
A61K31/506
A61P35/00
A61P37/02
A61P29/00
A61P3/00
A61P31/12
A61P35/02
A61P29/00 101
A61P3/10
A61P21/04
A61P17/06
A61P37/08
A61P19/02
A61P11/06
A61P11/00
A61P1/16
A61P17/04
A61P1/04
A61P3/04
A61P3/06
A61P9/10 101
A61P9/12
A61P27/02
A61P27/16
A61P31/22
(21)【出願番号】P 2022557632
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 KR2020017008
(87)【国際公開番号】W WO2021107656
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】10-2019-0152890
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522206951
【氏名又は名称】ベノビオ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100202603
【氏名又は名称】宮崎 智史
(72)【発明者】
【氏名】キム スン オグ
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジェ ヒュク
(72)【発明者】
【氏名】リ ジェ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク ユン シク
(72)【発明者】
【氏名】キム チャン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン ウデル ガッターマン
(72)【発明者】
【氏名】リ イン ヒュン
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0353462(US,A1)
【文献】国際公開第2013/186612(WO,A1)
【文献】特開昭61-137818(JP,A)
【文献】特開昭63-002925(JP,A)
【文献】特開2010-053067(JP,A)
【文献】特表2012-514631(JP,A)
【文献】特表2009-502970(JP,A)
【文献】Helvetica Chimica Acta,Vol.96,2013年,pp.1269-1272
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化合物からなる群から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩:
及び
。
【請求項2】
請求項
1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、BET(Bromodomain Extra-Terminal)タンパク質関連疾患を予防または治療するための薬学的組成物。
【請求項3】
前記BETタンパク質関連疾患が、癌と、自己免疫または炎症性疾患と、代謝性疾患と、ウイルス性疾患とからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項
2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記癌が、血液癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫、再生不良性貧血、胸腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、乳癌、大腸癌、肝臓癌、胃癌、膵臓癌、結腸癌、腹膜転移癌、皮膚癌、膀胱癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、骨肉腫、線維性腫瘍、及び脳腫瘍からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項
3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記自己免疫または炎症性疾患が、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、1型糖尿病、甲状腺機能亢進症、筋無力症、クローン病、強直性脊椎炎、乾癬、自己免疫性悪性貧血及びシェーグレン症候群、アレルギー、アレルギー性鼻炎、関節炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、変性関節疾患、皮膚炎、臓器拒絶、湿疹、肝炎、炎症性腸疾患、敗血症、敗血症症候群、敗血症ショック、及び非アルコール性脂肪肝炎からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項
3に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記代謝性疾患が、高トリグリセリド血症、肥満、高脂血症、過インスリン血症、過血糖症、動脈硬化症、高血圧、2型糖尿病、及びインスリン抵抗性疾患からなる群から選択されるいずれか1つ以上である、請求項
3に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記ウイルス性疾患が、ポリオ、急性出血性結膜炎、ウイルス性髄膜炎、手足口病、肝炎、筋肉炎、心筋炎、膵炎、流行性筋肉痛、脳炎、風邪、ヘルパンギナ、口蹄疫、喘息、毛細気管支炎、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、縮膿症、中耳炎、単純ヘルペス、帯状ヘルペス、口内炎、及び水痘からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項
3に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケルセチン誘導体またはその薬学的に許容される塩、並びにそれを有効成分として含むBET(Bromodomain Extra-Terminal)タンパク質関連疾患を予防または治療するための薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒストンの翻訳後修飾(post-translational modification;PTM)は、真核細胞における遺伝子の発現及び染色質系統化の調節に関与する。特定のリジン残基におけるヒストンアセチル化は、ヒストンアセチラーゼ及びヒストン脱アセチラーゼによって調節されるPTMである。ヒストンアセチル化は、ブロモドメインと呼ばれるよく保存されたタンパク質が、ヒストン及び他のタンパク質においてアセチル化リジンに直接結合してタンパク質複合体を動員することで、遺伝子発現を制御する。ヒトゲノムには、60個を超えるブロモドメイン含有タンパク質が存在する。
【0003】
ブロモドメイン含有タンパク質のうち、BET(Bromodomain Extra-Terminal)ファミリーには、BRD2、BRD3、BRD4、及びBRDTが含まれ、精巣に局在するBRDTを除く残りのタンパク質は、様々な組織で広く発現される。さらに、BETタンパク質ファミリーは、癌、代謝性疾患及び炎症を始めとする様々な疾患に関連していることが報告されている。
【0004】
例えば、染色体転位によって引き起こされるBRD4またはBRD3、及び精巣内核タンパク質(NUT)遺伝子の腫瘍原性融合は、NUT正中線癌と呼ばれる進行性の癌を誘発する(French et al.、J Clin Oncol、22(2004)、4135-9;French et al.、J Clin Pathol、63(2008)、492-6)。BRD3/4ブロモドメインは、これらの融合タンパク質で保存され、ノックダウン(knockdown)または選択的BETブロモドメイン阻害剤であるJQ1がインビトロ及び動物腫瘍モデルの両方においてこれらの癌細胞の死を誘発する(Filippakopoulos et al.、Nature、468(2010)、1067-73)。JQ1及び他の選択的BET阻害剤は、BETブロモドメインに結合してアセチル-リジン結合を防ぎ、これは、BETタンパク質が染色質と相互作用することを防ぎ、それによって転写を調節することを防ぐことが知られている。
【0005】
RNAiスクリーンによって、BRD4は、急性骨髄性白血病(AML)で標的として確認された(Zuber et al.、Nature、478(2011)、524-8)。このような発見は、インビトロ及びインビボでBET阻害剤JQ1及びI-BET151を用いることで検証された(Dawson et al.、Nature、478(2011)、529-33)。また、急性白血病、多発性骨髄腫及び他の血液悪性腫瘍において、BET阻害剤が広い抗癌活性を有することが知られている。複数の癌モデルにおいて、BETを阻害すると、腫瘍原性転写因子Mycの急激な下方制御が観察されている(Delmore et al.、Cell、146(2011)、904-17;Mertz et al.、Proc Natl Acad Sci US A、108(2011)、16669-74)。最近の研究によると、BET阻害剤を肺癌及び脳癌などの他の癌腫に適用することができる拡張可能性が示唆されている。
【0006】
化学構造及びBET結合方式において、JQ1と密接に関連する他のBET阻害剤であるI-BET762は、マウスモデルにおいて主な炎症性遺伝子の発現を調節し、内毒素ショック及び細菌誘発敗血症から人体を保護することが報告されている(Nicodeme et al.、Nature、468(2010)、1119-23)。さらに、これらの結果は、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈疾患、脂質異常症、糖尿病及び他の心血管疾患を患っている患者への臨床試験において、BET阻害剤RVX-208の臨床評価を支持するために用いられてきた(McNeill、Curr Opin Investig Drugs、3(2010)、357-64及びwww.clinicaltrials.gov)。
【0007】
RVX-208及びI-BET762は、いずれもコレステロールの組織レベルを低下させるのに重要なアポリポタンパク質A-Iを上方制御することが分かった。また、BETタンパク質は、複数のウイルスの増殖及び転写調節に関連しており、BET阻害剤は、抗ウイルス活性を有している可能性があると考えられている(Weidner-Glunde、Frontiers in Bioscience 15(2010)、537-549)。
【0008】
いくつかのブロモドメイン阻害剤が臨床及び前臨床で知られているが、質病の再発及び治療剤に対する耐性といった問題を解決でき、副作用を減らした新しいブロモドメイン阻害剤の開発が切望されている。
【0009】
なお、酸化還元反応は、多くの生理学的過程に存在し、酸素分子は生命に必要であるものの、質病につながる反応性分子を生成することがある。フリーラジカルを含む他の反応性化学種もまた、病理学的状態をもたらす。以前から、活性酸素腫(ROS)によって組織損傷に関連する好気性代謝が行われることが知られていた。ROS及び近年知られた反応性窒素腫(RNS)は、ホルモンと同様に、細胞シグナル伝達のメッセンジャーとして酵素の化学修飾などを誘発し、酸化剤レベルの変化を引き起こす。
【0010】
また、20個の必須アミノ酸のうち、システイン、メチオニン、チロシン及びトリプトファンは特に酸化されやすい。よって、人体内で代謝作用をするこのようなタンパク質性物質は、金属結合(metal binding)、ジスルフィド結合(disulfide bond)形成、メチル化(methylation)、アセチル化(acetylation)などの様々な修飾をもたらす。
【0011】
細胞のシグナル調節メカニズムに対する研究では、現在までリン酸化に注目しているが、本発明は、酸化及び硝酸化ストレスによって生じる質病に対して「レドックス状態(redox state)」による酸化(oxidation)、ニトロシル化(S-nitrosylation)などのレドックス調節メカニズムを考慮したレドックス化学(redox chemistry)技術を適用して完成した。すなわち、本発明者らは、BET阻害剤がヒストンタンパク質のリジン残基を認識する際に、レドックス状態に応じたシグナル伝達物質同士の結合の程度が変化することに基づいて、前記レドックス状態を考慮して新たなブロモドメイン阻害剤を研究し、開発するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、BETタンパク質阻害活性に優れた新規ケルセチン誘導体化合物を提供することを目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、前記化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、BETタンパク質関連疾患を予防または治療するための薬学的組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によれば、下記化学式1で表されるケルセチン誘導体化合物、またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【化1】
【0015】
式中、
環Xは、
;または置換または非置換のアリールであり、
ここで、A、B、C、及びDは、それぞれ独立して、C、C(=O)、N、O、Sまたは不在であり、
Yは、C、C(=O)、N、OまたはSであり、
Zは、CR
5またはNR
5であり、
----は、それぞれ不在または単結合であり、
R
1、R
2及びR
5は、それぞれ独立して、H、ハロ、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、-C(=O)Ra、-C(=O)N(Ra)(Rb)、-C(=O)ORa、-N(Ra)(Rb)、-N(Ra)C(=O)Rb、-N(Ra)S(=O)Rb、-N(Ra)S(=O)
2Rb、-NO
2、-ORa、-OC(=O)Ra、-SRa、-S(=O)Ra、-S(=O)N(Ra)(Rb)、-S(=O)
2Ra、-S(=O)
2N(Ra)(Rb)、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
R
3は、H、アルキル、及び-ORaからなる群から選択される同一または互いに異なる少なくとも1つであってもよく、
R
4は、H、アルキル、アルケニル、及びアルキニルからなる群から選択される同一または互いに異なる少なくとも1つであってもよく、
Ra及びRbは、それぞれ独立して、H、ハロ、シアノ、アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである。
【0016】
本発明の別の態様によれば、前記化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、BETタンパク質関連疾患を予防または治療するための薬学的組成物が提供される。
【0017】
前記BETタンパク質関連疾患が、癌と、自己免疫または炎症性疾患と、代謝性疾患と、ウイルス性疾患とからなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明で開示される化学式1で表されるケルセチン誘導体化合物は、BETタンパク質に対する阻害活性に優れており、前記BETに関連する様々な疾患の予防または治療剤として有用に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の化合物1(BBC0109)によるBRD2(BD1+BD2)タンパク質結合阻害活性を示すグラフである。
【
図2】比較例1の化合物(RVX-208)によるBRD2(BD1+BD2)タンパク質結合阻害活性を示すグラフである。
【
図3】本発明の化合物1(BBC0109)によるBRD4(BD1+BD2)タンパク質結合阻害活性を示すグラフである。
【
図4】比較例1の化合物(RVX-208)によるBRD4(BD1+BD2)タンパク質結合阻害活性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、新規ケルセチン誘導体化合物に関し、さらに詳しくは、BETタンパク質に対して阻害活性を有する新規ケルセチン誘導体化合物、及びそれを含むBET(Bromodomain Extra-Terminal)タンパク質関連疾患を予防または治療するための薬学的組成物に関する。
【0021】
特に断らない限り、本発明の説明及び特許請求の範囲に用いられる用語は、以下に開示される意味を有する。
【0022】
当業界で用いられる慣習に従い、本明細書における化学式中の
は、残基または置換基「R」が骨格構造に結合していることを示すために用いられる。
【0023】
「アルキル」は、第1級、第2級、第3級、及び/または第4級炭素原子を有する炭化水素であり、直鎖状、分岐状、または環状、あるいはそれらの組み合わせであってもよい飽和脂肪族基を含む。例えば、アルキル基は、1~20個の炭素原子(すなわち、C1~C20のアルキル)、1~10個の炭素原子(すなわち、C1~C10のアルキル)、または1~6個の炭素原子(すなわち、C1~C6のアルキル)を有してもよい。別段の定義がない限り、好ましい実施形態において、アルキルは、C1~C6のアルキルを指す。適切なアルキル基の例としては、メチル(Me、-CH3)、エチル(Et、-CH2CH3)、1-プロピル(n-Pr、n-プロピル、-CH2CH2CH3)、2-プロピル(i-Pr、i-プロピル、-CH(CH3)2)、1-ブチル(n-Bu、n-ブチル、-CH2CH2CH2CH3)、2-メチル-1-プロピル(i-Bu、i-ブチル、-CH2CH(CH3)2)、2-ブチル(s-Bu、s-ブチル、-CH(CH3)CH2CH3)、2-メチル-2-プロピル(t-Bu、t-ブチル、-C(CH3)3)、1-ペンチル(n-ペンチル、-CH2CH2CH2CH2CH3)、2-ペンチル(-CH(CH3)CH2CH2CH3)、3-ペンチル(-CH(CH2CH3)2)、2-メチル-2-ブチル(-C(CH3)2CH2CH3)、3-メチル-2-ブチル(-CH(CH3)CH(CH3)2)、3-メチル-1-ブチル(-CH2CH2CH(CH3)2)、2-メチル-1-ブチル(-CH2CH(CH3)CH2CH3)、1-ヘキシル(-CH2CH2CH2CH2CH2CH3)、2-ヘキシル(-CH(CH3)CH2CH2CH2CH3)、3-ヘキシル(-CH(CH2CH3)(CH2CH2CH3))、2-メチル-2-ペンチル(-C(CH3)2CH2CH2CH3)、3-メチル-2-ペンチル(-CH(CH3)CH(CH3)CH2CH3)、4-メチル-2-ペンチル(-CH(CH3)CH2CH(CH3)2)、3-メチル-3-ペンチル(-C(CH3)(CH2CH3)2)、2-メチル-3-ペンチル(-CH(CH2CH3)CH(CH3)2)、2,3-ジメチル-2-ブチル(-C(CH3)2CH(CH3)2)、3,3-ジメチル-2-ブチル(-CH(CH3)C(CH3)3)、及びオクチル(-(CH2)7CH3)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
さらに、明細書、実施例、及び特許請求の範囲の全般にわたって用いられる「アルキル」なる用語は、非置換及び置換のアルキル基の両方を含むことを意図し、それらのうち後者は、トリフルオロメチル及び2,2,2-トリフルオロエチルのようなハロアルキル基などを含む、炭化水素骨格の少なくとも1つの炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキル残基を指す。
【0025】
「Cx-y」または「Cx-Cy」なる用語は、アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシなどの化学的残基と組み合わせて用いられる場合、鎖内にxないしy個の炭素を含有する基を含むものとみなされる。C0のアルキルは、基が末端位置にある場合は水素を示し、内部にある場合は結合を示す。例えば、C1~C6のアルキル基は、鎖内に1~6個の炭素原子を含有する。
【0026】
「アルコキシ」は、前記定義のようなアルキル基が、酸素原子を介して親化合物に結合している、化学式-O-アルキルを有する基を指す。アルコキシ基のアルキル残基は、例えば、1~20個の炭素原子(すなわち、C1~C20のアルコキシ)、1~12個の炭素原子(すなわち、C1~C12のアルコキシ)、1~10個の炭素原子(すなわち、C1~C10のアルコキシ)、または1~6個の炭素原子(すなわち、C1~C6のアルコキシ)を有してもよい。適切なアルコキシ基の例としては、メトキシ(-O-CH3または-OMe)、エトキシ(-OCH2CH3または-OEt)、及びt-ブトキシ(-OC(CH3)3または-O-tBu)が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0027】
「アルケニル」は、第1級、第2級、第3級、及び/または第4級炭素原子を有し、直鎖状、分岐状、及び環状の基、またはそれらの組み合わせを含み、少なくとも1つの不飽和領域、すなわち、炭素-炭素sp2二重結合を有する炭化水素である。例えば、アルケニル基は、2~20個の炭素原子(すなわち、C2~C20のアルケニル)、2~12個の炭素原子(すなわち、C2~C12のアルケニル)、2~10個の炭素原子(すなわち、C2~C10のアルケニル)、または2~6個の炭素原子(すなわち、C2~C6のアルケニル)を有してもよい。適切なアルケニル基の例としては、ビニル(-CH=CH2)、アリル(-CH2CH=CH2)、シクロペンテニル(-C5H7)、及び5-ヘキセニル(-CH2CH2CH2CH2CH=CH2)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
「アルキニル」は、第1級、第2級、第3級、及び/または第4級炭素原子を有し、直鎖状、分岐状、及び環状の基、またはそれらの組み合わせを含み、少なくとも1つの炭素-炭素sp三重結合を有する炭化水素である。例えば、アルキニル基は、2~20個の炭素原子(すなわち、C2~C20のアルキニル)、2~12個の炭素原子(すなわち、C2~C12のアルキニル)、2~10個の炭素原子(すなわち、C2~C10のアルキニル)、または2~6個の炭素原子(すなわち、C2~C6のアルキニル)を有してもよい。適切なアルキニル基の例としては、アセチレン系(-C≡CH)及びプロパルギル(-CH2C≡CH)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本明細書中で使用される「アリール」なる用語は、環の各原子が炭素である、モノサイクリック(単環式)、ビサイクリック(二環式)、またはポリサイクリック(多環式)である、置換または非置換の、一価または二価の芳香族炭化水素基を含む。好ましくは、アリール環は、6~20員環、6~14員環、6~10員環、またより好ましくは6員環である。アリール基は、少なくとも2つの炭素が2つの隣接する環に共通であり、少なくとも2つのサイクリック環を有する多サイクリック環系であってもよく、ここで、環の少なくとも1つが芳香族であり、例えば、他のサイクリック環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/またはヘテロシクロアルキルであってもよい。アリール基としては、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、インデン、インダン、フェノール、アニリンなどが挙げられる。
【0030】
本明細書中で使用される「カルボシクリルアルキル」、または「シクロアルキルアルキル」、または「(シクロアルキル)アルキル」なる用語は、カルボサイクル基またはシクロアルキル基で置換されたアルキル基を指す。
【0031】
本明細書中で使用される「カルボサイクル(炭素環)」、「カルボシクリル」、「カルボサイクリック(炭素環式)」、または「シクロアルキル」なる用語は、モノサイクリック、ビサイクリック、またはポリサイクリックであってもよく、環の原子のそれぞれが炭素である、非芳香族飽和または不飽和、一価または二価環を指す。シクロアルキル基は、モノサイクルとして3~7個の炭素原子、ビサイクルとして7~12個の炭素原子、及びポリサイクルとして約20個以下の炭素原子を有してもよい。モノサイクリックシクロアルキルは、3~7個の環原子、より典型的には、5または6個の環原子を有する。ビサイクリックシクロアルキルは、7~12個の環原子を有してもよく、融合環系、スピロサイクリック環系、または架橋環系であってもよい。例示的なシクロアルキル基では、原子は、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、または[6,6]系に配列されてもよい。特定の実施形態において、シクロアルキルは、3~20個の原子、または3~10個の原子、またより好ましくは3~7個の原子を含有する。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。特に断らない限り、シクロアルキルは、本明細書に記載の少なくとも1つの置換基で置換されてもよい。
【0032】
本明細書中で使用される「ヘテロシクリルアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」なる用語は、ヘテロシクロアルキル基で置換されたアルキル基を指す。
【0033】
「ヘテロシクリル」、「ヘテロサイクル(複素環)」、「ヘテロサイクリック(複素環式)」、及び「ヘテロシクロアルキル」なる用語は、環構造が、少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは1~4つのヘテロ原子、より好ましくは1ないし2つのヘテロ原子を含む、置換または非置換の、一価または二価の、飽和または部分飽和の非芳香族環構造、好ましくは3~10員環、より好ましくは3~7員環を指す。「ヘテロシクリル」、「ヘテロサイクル」、「ヘテロサイクリック」、及び「ヘテロシクロアルキル」なる用語は、また、少なくとも2つの炭素が2つ以上の隣接する環に共通であり、少なくとも2つのサイクリック環を有する多サイクリック環系を含み、ここで、環のうち少なくとも1つがヘテロサイクリックであり、例えば、他のサイクリック環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/またはヘテロシクリルであってもよい。ビサイクリック及びポリサイクリックヘテロサイクリックの環系は、融合、架橋、またはスピロ環系であってもよい。置換されたヘテロサイクルは、例えば、カルボニル基を含み、本明細書に開示される任意の置換基で置換されたヘテロサイクリック環を含む。ヘテロシクリル基には、例えば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタムなどが含まれる。さらに例示的なヘテロサイクルには、ジヒドロピリジル、ジヒドロインドリル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、テトラヒドロチオフェニル、硫黄酸化テトラヒドロチオフェニル、インドレニル、ピペリジニル、4-ピペリジニル、ピロリジニル、2-ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ピラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル、2H-ピロリル、3H-インドリル、4H-キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シノリニル、プテリジニル、4aH-カルバゾリル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、キヌクリジニル、モルホリニル、及びオキサゾリジニル(それぞれは置換または非置換のものであってもよい)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
「ヘテロアリール」は、環内に少なくとも1つのヘテロ原子を含む、モノサイクリック、ビサイクリック、またはポリサイクリックである、置換または非置換の、一価または二価の芳香族基を指す。芳香環に含まれてもよい適切なヘテロ原子の非限定的な例としては、酸素、硫黄、及び窒素が挙げられる。ポリサイクリックヘテロアリール環系において、環系は、少なくとも2つの炭素が2つの隣接する環に共通であり、少なくとも2つのサイクリック環を有し、ここで、環の少なくとも1つがヘテロ芳香族であり、例えば、他のサイクリック環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/またはヘテロシクリルであってもよい。ヘテロアリール基には、例えば、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、インドール、イソインドール、イソキサゾール、イソチアゾール、オキサゾール、チアゾール、キノリン、イソキノリン、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、及びピリミジンなど(それぞれが置換または非置換のものであってもよい)が含まれる。
【0035】
「ヘテロシクリル」、「ヘテロサイクル(複素環)」、「ヘテロサイクリック(複素環式)」、及び「ヘテロシクロアルキル」なる用語は、環構造が、少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは1~4つのヘテロ原子、より好ましくは1ないし2つのヘテロ原子を含む、置換または非置換の、一価または二価の、飽和または部分飽和の非芳香族環構造、好ましくは3~10員環、より好ましくは3~7員環を指す。「ヘテロシクリル」、「ヘテロサイクル」、「ヘテロサイクリック」、及び「ヘテロシクロアルキル」なる用語は、また、少なくとも2つの炭素が2つ以上の隣接する環に共通であり、少なくとも2つのサイクリック環を有する多サイクリック環系を含み、ここで、環のうち少なくとも1つがヘテロサイクリックであり、例えば、他のサイクリック環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/またはヘテロシクリルであってもよい。ビサイクリック及びポリサイクリックヘテロサイクリックの環系は、融合、架橋、またはスピロ環系であってもよい。置換されたヘテロサイクルは、例えば、カルボニル基を含み、本明細書に開示される任意の置換基で置換されたヘテロサイクリック環を含む。ヘテロシクリル基には、例えば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタムなどが含まれる。さらに例示的なヘテロサイクルには、ジヒドロピリジル、ジヒドロインドリル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、テトラヒドロチオフェニル、硫黄酸化テトラヒドロチオフェニル、インドレニル、ピペリジニル、4-ピペリジニル、ピロリジニル、2-ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ピラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル、2H-ピロリル、3H-インドリル、4H-キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シノリニル、プテリジニル、4aH-カルバゾリル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、キヌクリジニル、モルホリニル、及びオキサゾリジニル(それぞれは置換または非置換のものであってもよい)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
本明細書中で使用される「ハロ」及び「ハロゲン」なる用語は、ハロゲンを意味し、クロロ、フルオロ、ブロモ、及びヨードを含む。
【0037】
「アミノ」は、-NH2基を示す。
【0038】
「シアノ」は、-CN基を示す。
【0039】
「ニトロ」は、-NO2基を示す。
【0040】
「カルボキシ」は、-C(O)OH基を示す。
【0041】
「アルデヒド」は、-CHO基を示す。
【0042】
「アルコキシカルボニル」は、-C(O)O(アルキル)または-C(O)O(シクロアルキル)基を示し、ここで、アルキル及びシクロアルキルは、以上で定義された通りである。
【0043】
「ハロゲン化アシル」は、-C(O)-ハロゲン基を含む化合物を示す。
【0044】
本発明は、下記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【化2】
【0045】
式中、
環Xは、
;または置換または非置換のアリールであり、
ここで、A、B、C、及びDは、それぞれ独立して、C、C(=O)、N、O、Sまたは不在であり、
Yは、C、C(=O)、N、OまたはSであり、
Zは、CR
5またはNR
5であり、
----は、それぞれ不在または単結合であり、
R
1、R
2及びR
5は、それぞれ独立して、H、ハロ、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、-C(=O)Ra、-C(=O)N(Ra)(Rb)、-C(=O)ORa、-N(Ra)(Rb)、-N(Ra)C(=O)Rb、-N(Ra)S(=O)Rb、-N(Ra)S(=O)
2Rb、-NO
2、-ORa、-OC(=O)Ra、-SRa、-S(=O)Ra、-S(=O)N(Ra)(Rb)、-S(=O)
2Ra、-S(=O)
2N(Ra)(Rb)、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
R
3は、H、アルキル、及び-ORaからなる群から選択される同一または互いに異なる少なくとも1つであってもよく、
R
4は、H、アルキル、アルケニル、及びアルキニルからなる群から選択される同一または互いに異なる少なくとも1つであってもよく、
Ra及びRbは、それぞれ独立して、H、ハロ、シアノ、アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである。
【0046】
一実施形態では、化学式1の化合物において、
前記環Xは、
または
であり、
R
3は、H、C
1~C
6のアルキル、及び-ORaからなる群から選択される同一または互いに異なる少なくとも1つであってもよく、ここで、Raは、H、C
1~C
6のアルキル、シクロアルキル、あるいはN、O、またはSから選択されるヘテロ原子を含む3~10員のヘテロシクロアルキルであり、
R
6及びR
7は、それぞれ独立して、H、またはC
1~C
6のアルキルであってもよい。
【0047】
一実施形態では、化学式1の化合物において、
Yは、NまたはOであり、
Zは、CR5またはNR5であり、
R1、R2及びR5は、それぞれ独立して、H、C1~C6のアルキル、OH、または-O-C1~C6のアルキルであってもよい。
【0048】
一実施形態では、化学式1の化合物において、
前記環Xは、
または
であり、
R
8は、H、またはC
1~C
6のアルキルであり、
R
9、R
10またはR
11は、それぞれ独立して、H、C
1~C
6のアルキル、または-ORaであり、ここで、Raは、H、C
1~C
6のアルキル、またはOのヘテロ原子を含む3~10員のヘテロシクロアルキルであってもよい。
【0049】
以下に本発明による好ましい例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【化3】
【0050】
本発明による化合物は、薬学的に許容される塩を形成してもよい。そのような薬学的に許容される塩は、薬学的に許容されるアニオンを含有する非毒性酸付加塩を形成する酸であれば、特に限定されるものではない。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸;酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸などの有機酸;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸などによって形成された酸付加塩が挙げられる。
【0051】
別の一態様では、本発明は、化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するBET(Bromodomain Extra-Terminal)タンパク質関連疾患を予防または治療するための薬学的組成物を提供する。
【0052】
本発明の薬学的組成物は、それに含まれる化学式1で表される化合物がBETタンパク質を阻害することで、それに関連する様々な疾患を予防または治療するのに有用である。BETタンパク質関連疾患は、癌;自己免疫または炎症性疾患;代謝性疾患;またはウイルス性疾患であってもよい。
【0053】
本発明の一実現例において、癌は、血液癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫、再生不良性貧血、胸腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、乳癌、大腸癌、肝臓癌、胃癌、膵臓癌、結腸癌、腹膜転移癌、皮膚癌、膀胱癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、骨肉腫、線維性腫瘍、及び脳腫瘍からなる群から選択される少なくとも1つであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0054】
本発明の一実現例において、自己免疫または炎症性疾患は、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、1型糖尿病、甲状腺機能亢進症、筋無力症、クローン病、強直性脊椎炎、乾癬、自己免疫性悪性貧血及びシェーグレン症候群、アレルギー、アレルギー性鼻炎、関節炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、変性関節疾患、皮膚炎、臓器拒絶、湿疹、肝炎、炎症性腸疾患、敗血症、敗血症症候群、敗血症ショック、及び非アルコール性脂肪肝炎からなる群から選択される少なくとも1つであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0055】
本発明の一実現例において、代謝性疾患は、高トリグリセリド血症、肥満、高脂血症、過インスリン血症、過血糖症、動脈硬化症、高血圧、2型糖尿病、及びインスリン抵抗性疾患からなる群から選択される少なくとも1つであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0056】
本発明の一実現例において、ウイルス性疾患は、ポリオ、急性出血性結膜炎、ウイルス性髄膜炎、手足口病、肝炎、筋肉炎、心筋炎、膵炎、流行性筋肉痛、脳炎、風邪、ヘルパンギナ、口蹄疫、喘息、毛細気管支炎、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、縮膿症、中耳炎、単純ヘルペス、帯状ヘルペス、口内炎、及び水痘からなる群から選択される少なくとも1つであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0057】
本発明の別の実現例によれば、薬学的組成物を含む薬学的製剤が提供される。
【0058】
本発明の薬学的製剤は、錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、シロップまたはエマルジョンなどの様々な経口投与形態、または注射剤などの筋肉内、静脈内または皮下投与などの非経口投与形態であってもよい。
【0059】
また、薬学的製剤は、有効成分の他に、通常の非毒性の薬学的に許容される添加剤であり、具体例としては、担体、添加剤及び賦形剤からなる群から選択される少なくとも1種が添加され、常法によって製剤化されてもよい。
【0060】
以下、実施例及び実験例を挙げ、本発明についてより詳細に説明する。但し、下記実施例及び実験例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の内容が下記実施例及び実験例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0061】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)及び質量分析法(MS)によって確認された。NMRは、Bruker Avance-400またはBruker Avance 300機器で測定した。測定のための溶媒は、重水素置換ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)、重水素置換クロロホルム(CDCl3)及び重水素置換メタノール(CD3OD)であり、内部標準は、テトラメチルシラン(TMS)であった。
【0062】
高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)は、フラッシュクロマトグラフィーまたはカラムクロマトグラフィーにより行われた。
【0063】
薄膜クロマトグラフィー(TLC)は、シリカゲルプレート上で行った。1000メッシュのシリカゲルを薄膜クロマトグラフィーに用いられた。また、TLCに用いられたシリカゲルプレートの寸法は20~25μmであり、生成物精製に用いられたシリカゲルプレートの寸法は40~45μmであった。
【0064】
可視化のために、水中で紫外線、ヨウ素、過マンガン酸カリウムを用いた。
【0065】
本発明の公知の出発物質は、当業界の通常の合成方法によって製造されてもよく、あるいはAlfa Aesar、Aldrichなどから購入してもよい。
【0066】
実施例1:化合物1(BBC0109)の合成
[反応式]
【0067】
ステップ1.
3-(1H-ベンゾジイミダゾール-5-イル)-1-(2-ヒドロキシ-4,6-ジメトキシフェニル)プロパ-2-エン-1-オンの調製
1-(2-ヒドロキシ-4,6-ジメトキシフェニルケテン(500mg、2.55mmol、1eq)をDMF(15mL)に溶かし、次いで0℃で水酸化ナトリウム(254.84mg、6.37mmol、60%の純度(purity)、2.5eq)と、1H-ベンゾジイミダゾール-5-カルボアルデヒド(409.69mg、2.80mmol、1.1eq)を加え、混合物を25℃で12時間にかけて撹拌した。反応が終了すると、蒸留水と酢酸エチルで抽出した。無水硫酸ナトリウムを用いて有機層を乾燥し、濃縮し、それからカラムクロマトグラフィーで精製して中間体3(300mg、924.98umol、36.30%の収率(yield))を得た。
LCMS:RT=0.821min、m/z:325.2(M+H)+
【0068】
ステップ2.
2-(1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-3-ヒドロキシ-5,7-ジメトキシ-4H-クロメン-4-ノンの合成
3-(1H-ベンゾジイミダゾール-5-イル)-1-(2-ヒドロキシ-4,6-ジメトキシフェニル)プロパ-2-エン-1-オン(270mg、832.49umol、1eq)をメタノール(60mg)/水(30mL)に溶かし、0℃で水酸化ナトリウム(170.09mg、4.25mmol、5.11eq)及び過酸化水素(288.00mg、2.54mmol、244.07uL、30%の純度、3.05eq)を加え、混合物を25℃で12時間にかけて撹拌した。反応が終了すると、蒸留水で希釈し、pH5に調整し、次いで酢酸エチルで抽出した。無水硫酸ナトリウムを用いて有機層を乾燥し、濃縮して中間体4(120mg)を得た。
LCMS:RT=0.650min、m/z:339.0(M+H)+
【0069】
ステップ3.
2-(1H-ベンゾジイミダゾール-5-イル)-3,5,7-トリヒドロキシ-4H-クロメン-4-オン(BBC0109)の調製
2-(1H-ベンゾイミダゾール-5-イル)-3-ヒドロキシ-5,7-ジメトキシ-4H-クロメン-4-オン(50mg、147.79umol、1当量)をジクロロエタン(3mL)に溶解し、次いで、ここに三臭化ホウ素(370.25mg、1.48mmol、142.40μL、10eq)を加え、それから60℃で12時間にかけて撹拌した。反応が終了すると、メタノールを加えて濃縮し、次いでprep-HPLCで精製して化合物1(3.23mg、9.67umol、3.27%の収率、92.9%の純度)を得た。
1H NMR(400MHz、メタノール-d4)δppm 8.60(1H、s)、8.33(1H、s)、8.15-8.22(1H、m)、7.77(1H、d、J=8.4Hz)、6.49(1H、d、J=2.0Hz)、6.24(1H、d、J=2.0Hz)
LCMS:RT=2.049min、m/z:311.0(M+H)+
【0070】
実施例2:化合物2(BBC0110)の合成
[反応式]
2-オキソ-1,3-ジヒドロベンズイミダゾール-5-カルボン酸1(196.0mg、1.1mmol、2.0eq)から5-(3,5,7-トリヒドロキシ-4-オキソ-クロメン-2-イル)-1,3-ジヒドロベンズイミダゾール-2-one(BBC0110)(2.64mg、7.3umol、3.6%の収率、90.5%の純度)を前記反応式から得た。
LCMS:RT=2.270min、m/z:327.0(M+H)+
1HNMR(400MHz、DMSO-d6)δppm 10.71-10.88(1H、m) 7.78-7.87(2H、m) 7.08(1H、d、J=8.4Hz) 6.39(1H、d、J=1.6Hz) 6.15(1H、d、J=2.0Hz)。
【0071】
実施例3:化合物3(BBC0111)の合成
[反応式1]
[反応式2]
[反応式3]
前記反応式1~3のうちいずれか1つの反応式でBBC0111の化合物を調製した。
【0072】
実施例4:化合物4(BBC0113)の合成
[反応式]
2-アミノ-5-ブロモ-フェノール1(1.0g、5.32mmol、1.0eq)から6-(3,5,7-トリヒドロキシ-4-オキソ-クロメン-2-イル)-3H-1,3-ベンズオキサゾール-2-オン(BBC0113)(4.6mg、12.8umol、18.2%の収率、91%の純度)を得た。
LCMS:RT=2.447min、m/z:328.0(M+H)+
1H NMR(400MHz、MeOD)δppm 8.11(2H、s)、7.22(1H、br d、J=8.0Hz)、6.44(1H、s)、6.20(1H、s)
【0073】
実施例5:化合物5(BBC0114)の合成
[反応式]
1H-インドール-5-カルボン酸1(92.2mg、572.0umol、2.0eq)から3,5,7-トリヒドロキシ-2-(1H-インドール-5-イル)クロメン-4-オン(BBC0114)(2.38mg、7.16umol、4.6%の収率、93%の純度)を得た。
LCMS:RT=2.666min、m/z:310.0(M+H)+
1H NMR(400MHz、MeOD)δppm 8.50(1H、d、J=1.2Hz) 7.99(1H、dd、J=8.8、1.6Hz) 7.50(1H、d、J=8.8Hz) 7.32(1H、d、J=3.2Hz) 6.58(1H、dd、J=3.2、0.8Hz)6.45(1H、d、J=2.0Hz) 6.20(1H、d、J=2.0Hz)
【0074】
実施例6:化合物6(BBC0115)の合成
[反応式]
1H-インドール-6-カルボン酸1(106.4mg、660.1umol、2.0eq)から3,5,7-トリヒドロキシ-2-(1H-インドール-6-イル)クロメン-4-オン(BBC0115)(4.73mg、13.8umol、8.0%の収率、90.4%の純度)を得た。
LCMS:RT=2.711min、m/z:310.0(M+H)+
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δppm 12.52(1H、s) 11.45(1H、br s) 10.81(1H、s) 9.48(1H、s) 8.39(1H、s) 7.82(1H、dd、J=8.4、1.6Hz) 7.69(1H、d、J=8.4Hz) 7.54(1H、t、J=2.8Hz) 6.45-6.54(2H、m) 6.21(1H、d、J=2.0Hz)
【0075】
実施例7:化合物7(BBC0116)の合成
[反応式1]
[反応式2]
[反応式3]
[反応式4]
前記反応式1~4のうちいずれか1つの方法で化合物7(BBC0116)を調製した。
【0076】
実施例8:化合物8(BBC0309)の合成
[反応式]
クロメン-6-カルボン酸1(55mg、308.67umol、2eq)から2-クロメン-6-イル-3,5,7-トリヒドロキシ-クロメン-4-オン(10.85mg、32.55umol、13.87%の収率、97.893%の純度)を得た。
LCMS:RT=2.857min、m/z:327.0(M+H)+
1H NMR(400MHz、DMSO):δ(ppm) 12.44(1H、s)、7.95-7.84(2H、m)、6.88(1H、d、J=8.40Hz)、6.43(1H、d、J=2.00Hz)、6.18(1H、d、J=2.00Hz)、4.32-4.12(2H、m)、2.82(2H、t、J=6.00Hz)、2.04-1.83(2H、m)
【0077】
実施例9:化合物9(BBC0310)の合成
[反応式]
ベンゾフラン-5-カルボン酸(143mg、881.94umol、2eq)と2-ベンジルオキシ-1-(2,4-ジベンジルオキシ-6-ヒドロキシフェニル)エタノン(200mg、440.0umol、1eq)から2-(ベンゾフラン-5-イル)-3,5,7-トリヒドロキシ-クロメン-4-オン(BBC0310)(19.45mg、61.51umol、14.88%の収率、98.112%の純度)を得た。
LCMS:RT=2.834min、m/z:311.0(M+H)+
1H NMR(400MHz、DMSO):δ(ppm)8.52(1H、s)、8.16(1H、d、J=8.8Hz)、8.10(1H、d、J=2.40Hz)、7.77(1H、d、J=8.80Hz)、7.12(1H、d、J=1.2Hz)、6.48(1H、d、J=2.0Hz)、6.20(1H、d、J=2.00Hz)。
【0078】
実施例10:化合物10(BBC0311)の合成
[反応式]
2-ベンジルオキシ-1-(2,4-ジベンジルオキシ-6-ヒドロキシ-フェニル)エタノン(200mg、440.03umol、1eq)と、2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボン酸(148.00mg、901.57umol、2.05eq)から2-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)-3,5,7-トリヒドロキシ-クロメン-4-オン(BBC0311)(41.24mg、126.61umol、36.88%の収率、95.867%の純度)を得た。
LCMS:RT=2.436min、m/z:313.0(M+H)+
1H NMR(400MHz、MeOD):δ(ppm) 8.09(1H、s)、8.01(1H、dd、J=8.8、1.6Hz)、6.85(1H、d、J=8.8Hz)、6.40(1H、d、J=2.0Hz)、6.18(1H、d、J=2.4Hz)、4.63(2H、t、J=8.8Hz)、3.27(2H、s)。
【0079】
実施例11:化合物11(BBC0312)の合成
[反応式]
ベンゾフラン-6-カルボン酸(300.0mg、1.85mmol、1.0eq)から2-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)-3,5,7-トリヒドロキシ-クロメン-4-オン(BBC0312)(29.12mg、88.7umol、36.9%の収率、95.1%の純度)を得た。
LCMS:RT=2.762min、m/z:313.1(M+H)+
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6)δppm 12.36(1H、s)10.85(1H、br s)9.61(1H、br s)7.67(1H、dd、J=8.0、1.2Hz)7.53(1H、d、J=1.2Hz)7.39(1H、d、J=8.0Hz)6.46(1H、d、J=2.0Hz)6.20(1 H、d、J=2.0Hz)4.58(2H、t、J=8.8)Hz)3.24(2H、t、J=8.8Hz)。
【0080】
実施例12:化合物12(BBC0313)の合成
[反応式]
2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3,5,7-トリヒドロキシ-クロメン-4-オン(15.0g、49.6mmol、1.0eq)から2-(ベンゾフラン-6-イル)-3,5,7-トリヒドロキシ-クロメン-4-オン(BBC0313)(13mg、40.7umol、26.3%の収率、97.1%の純度)を得た。
LCMS:RT=2.836min、m/z:97.1(M+H)+
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6)δppm 12.39(1H、s)8.43(1H、s)8.16(1H、d、J=2.0Hz)8.11(1H、dd、J=8.4、1.6Hz)7.82(1H、d、J=8.4Hz)7.07(1H、dd、J=2.0、0.8Hz)6.52(1H、d、J=2.0Hz)6.22(1H、d、J=2.0Hz)。
【0081】
実施例13:化合物13(BBC0406)の合成
[反応式]
2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボアルデヒド1(500mg、3.37mmol、1eq)から5,7-ジメトキシ-2-(7-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)-3H-キナゾリン-4-オン(BBC0406)(13mg、38.11umol、4.15%の収率、99.2%の純度)を得た。
LCMS:RT=2.200min、m/z:339.1(M+H)+
1H NMR(400MHz、クロロホルム-d)δppm 8.98(1H、br s)、7.71(1H、s)、7.60(1H、s)、6.80(1H、d、J=2.4Hz)6.44(1H、d、J=2.4Hz)、4.68(2H、t、J=8.8Hz)、3.98(3H、s)、3.92(3H、s)、3.30(2H、t、J=8.8Hz)、2.28(3H、s)。
【0082】
実施例14:化合物14(BBC0407)の合成
[反応式]
2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボアルデヒド(1g、6.75mmol、1eq)から5,7-ジメトキシ-2-(7-メチルベンゾフラン-5-イル)-3H-キナゾリン-4-オン(BBC0407)(6.77mg、19.14umol、43.17%の収率、95.070%の純度)を得た。
LCMS:RT=2.264min、m/z:337.1(M+H)+
1H NMR(400MHz、MeOD):δ(ppm) 8.15(1H、s)、7.91(1H、d、J=2.0Hz)、7.85(1H、s)、7.00(1H、d、J=2.0Hz)、6.86(1H、d、J=2.0Hz)、6.61(1H、d、J=2.0Hz)、3.96(6H、m)、2.64(3H、s)。
【0083】
実施例15:化合物15(BBC0301)の合成
[反応式]
3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(1.0g、7.24mmol、1.0eq)から3,5,7-トリヒドロキシ-2-[3-ヒドロキシ-4-(オキセタン-3-イルロキシ)フェニル]クロメン-4-オン(BBC0301)(5.57mg、15.3umol、19%の収率、98.3%の純度)を得た。
LCMS:RT=2.465min、m/z:359.0(M+H)+
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δppm 12.43(1H、s)10.82(1H、s)9.47-9.54(2H、m)7.72(1H、d、J=2.4Hz)7.58(1H、dd、J=8.8、2.4Hz)6.74(1H、d、J=8.8Hz)6.42(1H、d、J=2.0Hz)6.20(1H、d、J=2.0Hz)5.32(1H、t、J=5.6Hz)4.94(2H、t、J=6.8Hz)4.61(2H、dd、J=7.6、5.2Hz)。
【0084】
実施例16:化合物16(BBC0302)の合成
[反応式]
4-ヒドロキシベンズアルデヒド1(65mg、532.26umol、1.21eq)から3,5,7-トリヒドロキシ-2-[4-(オキセタン-3-イルオキシ)フェニル]クロメン-4-オン(1.69mg、4.49umol、46.95%の収率、91%の純度)を得た。
LCMS:RT=2.792min、m/z:343.1(M+H)+
1H NMR(400MHz、CD3OD)δ 8.19(2H、d、J=8.8Hz)、6.91(2H、d、J=8.8Hz)、6.41(1H、d、J=2.0Hz)、6.19(1H、d、J=2.0Hz)、5.41-5.35(1H、m)、5.08-5.04(2H、m)、6.74-4.69(2H、m)。
【0085】
実施例17:化合物17(BBC0303)の合成
[反応式]
3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(200.0mg、1.45mmol、1.0eq)から3,5,7-トリヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(オキセタン-3-イルロキシ))フェニル]クロメン-4-オン(BBC0303)(5.11mg、13.41umol、9.6%の収率、94%の純度)を得た。
LCMS:RT=2.471min、m/z:359.0(M+H)+
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δppm 10.79(1H、s)9.93(1H、s)9.46(1H、s)7.70(1H、dd、J=8.4、2.0Hz)7.45(1H、d、J=2.0Hz)6.99(1H、d、J=8.4Hz)6.48(1H、d、J=2.0Hz)6.19(1H、d、J=2.0Hz)5.29(1H、t、J=5.6Hz)4.91(2H、t、J=6.8Hz)4.66(2H、dd、J=7.6、5.6Hz)。
【0086】
実施例18:化合物18(BBC0305)の合成
[反応式]
3-ブロモ-4-ヒドロキシ-5-メトキシ-ベンズアルデヒド1(2.0g、8.66mmol、1.7mL、1.0eq)から3,5,7-トリヒドロキシ-2-[3-ヒドロキシ-5-メチル-4-(オキセタン-3-イルオキシ)フェニル]クロメン-4-オン(BBC0305)(6mg、15.79umol、98%の純度)を得た。
LCMS:RT=2.607min、m/z:373.1(M+H)+
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δppm 12.31-12.49(1H、m) 9.65-9.90(1H、m) 7.59(1H、d、J=2.0Hz) 7.45(1H、d、J=1.6Hz) 6.39(1H、d、J=2.0Hz) 6.18(1H、d、J=2.0Hz) 5.14(1H、t、J=5.6Hz) 4.73-4.81(2H、m) 4.64-4.71(2H、m) 2.24(3H、s)。
【0087】
実施例19:化合物19(BBC0306)の合成
[反応式]
4-ヒドロキシ-3,5-ジメチル-ベンズアルデヒド1(1g、6.66mmol、1eq)から2-[3,5-ジメチル-4-(オキセタン-3-イルオキシ)フェニル]-3,5,7-トリヒドロキシ-クロメン-4-オン(BBC0306)(23.28mg、61.68umol、15.81%の収率、98.128%の純度)を得た。
LCMS:RT=2.876min、m/z:371.0(M+H)+
1H NMR(400MHz、DMSO):δ(ppm) 7.85(2H、s)、6.44(1H、d、J=2.00Hz)、6.18(1H、d、J=2.00Hz)、4.94(1H、q、J=6.20Hz)、4.83(2H、t、J=6.40Hz)、4.80-4.76(2H、m)、2.23(6H、s)。
【0088】
実施例20:化合物20(BBC0307)の合成
[反応式]
3-ブロモ-4-ヒドロキシ-5-メトキシ-ベンズアルデヒド1(2.0g、8.66mmol、1.7mL、1.0eq)から3,5,7-トリメトキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-メチル-5-(オキセタン-3-イルオキシ)フェニル]クロメン-4-オン(BBC0307)(5.99mg、15.0umol、6.9%の収率、93.5%の純度)を得た。
LCMS:RT=2.654min、m/z:373.1(M+H)+
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δppm 12.44(1H、br d、J=1.6Hz) 7.62(1H、s) 7.31(1H、s) 6.47(1H、d、J=2.0Hz) 6.17(1H、d、J=2.0Hz) 5.30(1H、br t、J=5.6Hz) 4.91(2H、t、J=6.8Hz) 4.65-4.72(2H、m) 2.22(3H、s)。
【0089】
実施例21:化合物21(BBC0104)の合成
[反応式]
1-(2,6-ジヒドロキシフェニル)エタノン1(1.0g、6.57mmol、1.0eq)から2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3,5-ジヒドロキシ-クロメン-4-オン(BBC0104)(19mg、64.89umol、52.48%の収率、97.75%の純度)を得た。
LCMS:RT=0.735min、m/z:287(M+H)+
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δppm 12.41(1H、s)、9.60(2H、br s)、9.35(1H、br s)、7.74(1H、d、J=2.0Hz)、7.58-7.65(2H、m)、7.12(1H、d、J=8.0Hz)、6.91(1H、d、J=8.0Hz)、6.76(1H、d、J=8.0Hz)。
【0090】
実施例22:化合物22(BBC0105)の合成
1-(2,4-ジヒドロキシフェニル)エタノン1(1.0g、6.57mmol、847.5uL、1.0eq)から2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3,7-ジヒドロキシ-クロメン-4-オン(BBC0105)(12.0mg、39.95umol、40.4%の収率、95.3%の純度)を得た。
LCMS:RT=3.420min、m/z:287.0(M+H)+
1H NMR(400MHz、メタノール-d4)δppm 7.99(1H、d、J=9.2Hz) 7.77(1H、d、J=2.0Hz)7.67(1H、dd、J=8.4、2.00Hz) 6.88-6.95(3H、m)。
【0091】
[比較例]
比較例1~3の化合物をWUXI APPTEC(SHANGHAI)CO.LTDから購入し、本発明の新規ケルセチン化合物とBET阻害効果を比較した。
【化4】
【0092】
[試験例]
本発明による新規化合物のBETタンパク質ファミリーの一つであるBRD2(BD1、BD2、BD1+BD2)、BRD3(BD1、BD2、BD1+BD2)、BRD4(BD1、BD2、BD1+BD2)のブロモドメインとテトラアセチル化ヒストンH4のペプチドとの間の相互作用抑制能力を評価するために、以下の実験を行った。
【0093】
試験例1:BRD2タンパク質に対する結合抑制効果
BETタンパク質中のBRD2タンパク質に対する本発明の化合物及び比較例の化合物の結合抑制効果を確認するために、以下のような実験を行った。
【0094】
白色オプティプレート(OptiPlate)-384(パーキンエルマー(PerkinElmer))において、DMSO(100μMの開始濃度)中の10mMのストックからの分析バッファーで、化合物を1:5の段階希釈で希釈した。100nMのGST-BRD2(BD1、BD2、BD1+BD2)及び100nMのビオチン化アセチル-ヒストンH4(Lys5、8、12、16)ペプチドからなる混合物を分析バッファー(50mMのHEPES pH7.4;25mMのNaCl;0.05%のツイン(Tween)20;0.1%のウシ血清アルブミン(BSA);10mMのジチオトレイトール(DTT)で調製した。6μLの混合物を前記希釈液に加え、次いで、それぞれ10μg/mLの濃度の分析バッファー中のパーキンエルマーからの6μLの予備混合されたアルファライザ・グルタチオン・アクセプター・ビーズ(AlphaLISA Glutathione Acceptor Beads)及びアルファスクリーン・ストレプトアビジン・ドナー・ビーズ(AlphaScreen Streptavidin Donor Beads)を加え、サンプルを室温下、暗所で30分にかけて300rpmで振とう培養した。その後、パーキンエルマーのアルファスクリーンプロトコルを用いてパーキンエルマー・エンビジョンHTSマルチラベルリーダー(PerkinElmer Envision HTS Multilabel Reader)でシグナルを測定した。各プレートは、ビオチン化アセチル-ヒストンH4のペプチド及びGST-BRD2(BD1、BD2、BD1+BD2)が抜け出し、分析バッファーで置換された陰性対照群を含有した。
【0095】
計算用のソフトウェアとしてグラフパッド・プリズム(GraphPad Prism)を用いる場合、低い基準値として陰性対照群値を入力した。さらに、陽性対照群(タンパク質/ペプチド混合物を有するプローブ分子I-BET762)をピペットにかけた。IC50値の決定は、グラフパッド・プリズムの3.03ソフトウェア(またはその更新版)を用いて行われた。その結果を以下の表1、
図1及び2に示す。
【0096】
【0097】
表1に示すように、本発明の実施例の化合物は、比較例1の化合物と比較して、いずれもBRD2タンパク質に対する阻害活性に優れていることが確認された。特に、実施例1の化合物は、比較例1の化合物と比較して、BRD2(BD1)及びBRD2(BD1+BD2)のIC50値が約30%水準であることが分かる。さらに、実施例11及び19の化合物は、比較例1の化合物と比較してBRD2(BD1)のIC50値が10%未満であることが分かる。よって、本発明の化合物は、従来のBET阻害剤(RVX-208)よりも優れたBRD2タンパク質阻害効果を奏する。
【0098】
試験例2:BRD3タンパク質に対する結合抑制効果
試験例1と同様の方法でBRD3(BD1、BD2、BD1+BD2)タンパク質に対する本発明の化合物及び比較例の化合物の結合抑制効果を確認するための実験を行った。その結果を表2に示す。
【0099】
【0100】
表2に示すように、本発明の実施例の化合物は、比較例1の化合物と比較して、いずれもBRD3タンパク質に対する阻害活性に優れていることが確認された。特に、実施例1の化合物は、比較例1の化合物と比較して、BRD3(BD1+BD2)のIC50値がはるかに低いことが分かる。さらに、実施例12及び19の化合物は、比較例1の化合物と比較してBRD3(BD1)のIC50値が10%未満であることが分かる。よって、本発明の化合物は、従来のBET阻害剤(RVX-208)よりも優れたBRD3タンパク質阻害効果を奏する。
【0101】
試験例3:BRD4タンパク質に対する結合抑制効果
試験例1と同様の方法でBRD4(BD1、BD2、BD1+BD2)タンパク質に対する本発明の化合物及び比較例の化合物の結合抑制効果を確認するための実験を行った。その結果を表3、
図3及び4に示す。
【0102】
【0103】
表3に示すように、本発明の実施例の化合物は、比較例1の化合物と比較して、いずれもBRD4タンパク質に対する阻害活性に優れていることが確認された。特に、実施例1の化合物は、比較例1の化合物と比較して、BRD4(BD1+BD2)のIC50値がはるかに低いことが分かる。よって、本発明の化合物は、従来のBET阻害剤(RVX-208)よりも優れたBRD4タンパク質阻害効果を奏する。
【0104】
結局、本発明の化合物は、BRD2(BD1、BD2、BD1+BD2)、BRD3(BD1、BD2、BD1+BD2)、BRD4(BD1、BD2、BD1+BD2)のタンパク質に対して全て優れた抑制効果を奏するため、BET関連疾患を治療及び予防するために効果的に用いることができる。
本開示は以下の実施形態を含む。
<1>
下記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容される塩:
式中、
環Xは、
;または置換または非置換のアリールであり、
ここで、A、B、C、及びDは、それぞれ独立して、C、C(=O)、N、O、Sまたは不在であり、
Yは、C、C(=O)、N、OまたはSであり、
Zは、CR
5
またはNR
5
であり、
----は、それぞれ不在または単結合であり、
R
1
、R
2
及びR
5
は、それぞれ独立して、H、ハロ、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、-C(=O)Ra、-C(=O)N(Ra)(Rb)、-C(=O)ORa、-N(Ra)(Rb)、-N(Ra)C(=O)Rb、-N(Ra)S(=O)Rb、-N(Ra)S(=O)
2
Rb、-NO
2
、-ORa、-OC(=O)Ra、-SRa、-S(=O)Ra、-S(=O)N(Ra)(Rb)、-S(=O)
2
Ra、-S(=O)
2
N(Ra)(Rb)、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
R
3
は、H、アルキル、及び-ORaからなる群から選択される同一または互いに異なる少なくとも1つであってもよく、
R
4
は、H、アルキル、アルケニル、及びアルキニルからなる群から選択される同一または互いに異なる少なくとも1つであってもよく、
Ra及びRbは、それぞれ独立して、H、ハロ、シアノ、アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである。
<2>
前記環Xは、
または
であり、
R
3
は、H、C
1
~C
6
のアルキル、及び-ORaからなる群から選択される同一または互いに異なる少なくとも1つであってもよく、ここで、Raは、H、C
1
~C
6
のアルキル、シクロアルキル、あるいはN、O、またはSから選択されるヘテロ原子を含む3~10員のヘテロシクロアルキルであり、
R
6
及びR
7
は、それぞれ独立して、H、またはC
1
~C
6
のアルキルであることを特徴とする、<1>に記載の化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容される塩。
<3>
Yは、NまたはOであり、
Zは、CR
5
またはNR
5
であり、
R
1
、R
2
及びR
5
は、それぞれ独立して、H、C
1
~C
6
のアルキル、OH、または-O-C
1
~C
6
のアルキルであることを特徴とする、<2>に記載の化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容される塩。
<4>
前記環Xは、
または
であり、
R
8
は、H、またはC
1
~C
6
のアルキルであり、
R
9
、R
10
及びR
11
は、それぞれ独立して、H、C
1
~C
6
のアルキル、または-ORaであり、ここで、Raは、H、C
1
~C
6
のアルキル、またはOのヘテロ原子を含む3~10員のヘテロシクロアルキルであることを特徴とする、<3>に記載の化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容される塩。
<5>
下記化合物からなる群から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩:
及び
。
<6>
<1>ないし<5>のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、BET(Bromodomain Extra-Terminal)タンパク質関連疾患を予防または治療するための薬学的組成物。
<7>
前記BETタンパク質関連疾患が、癌と、自己免疫または炎症性疾患と、代謝性疾患と、ウイルス性疾患とからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、<6>に記載の薬学的組成物。
<8>
前記癌が、血液癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫、再生不良性貧血、胸腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、乳癌、大腸癌、肝臓癌、胃癌、膵臓癌、結腸癌、腹膜転移癌、皮膚癌、膀胱癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、骨肉腫、線維性腫瘍、及び脳腫瘍からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、<7>に記載の薬学的組成物。
<9>
前記自己免疫または炎症性疾患が、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、1型糖尿病、甲状腺機能亢進症、筋無力症、クローン病、強直性脊椎炎、乾癬、自己免疫性悪性貧血及びシェーグレン症候群、アレルギー、アレルギー性鼻炎、関節炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、変性関節疾患、皮膚炎、臓器拒絶、湿疹、肝炎、炎症性腸疾患、敗血症、敗血症症候群、敗血症ショック、及び非アルコール性脂肪肝炎からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、<7>に記載の薬学的組成物。
<10>
前記代謝性疾患が、高トリグリセリド血症、肥満、高脂血症、過インスリン血症、過血糖症、動脈硬化症、高血圧、2型糖尿病、及びインスリン抵抗性疾患からなる群から選択されるいずれか1つ以上である、<7>に記載の薬学的組成物。
<11>
前記ウイルス性疾患が、ポリオ、急性出血性結膜炎、ウイルス性髄膜炎、手足口病、肝炎、筋肉炎、心筋炎、膵炎、流行性筋肉痛、脳炎、風邪、ヘルパンギナ、口蹄疫、喘息、毛細気管支炎、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、縮膿症、中耳炎、単純ヘルペス、帯状ヘルペス、口内炎、及び水痘からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、<7>に記載の薬学的組成物。