(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】電池セル及びその製造方法並びに製造システム、電池及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20240507BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20240507BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20240507BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20240507BHJP
H01M 50/474 20210101ALI20240507BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240507BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20240507BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20240507BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/058
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/474
H01M50/55 101
H01M50/586
H01M50/593
(21)【出願番号】P 2022563181
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 CN2020137356
(87)【国際公開番号】W WO2022126547
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 文▲偉▼
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-048966(JP,A)
【文献】特開2011-082162(JP,A)
【文献】特開2013-168283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/00- 10/39
H01M 50/00- 50/198
H01M 50/40- 50/497
H01M 50/50- 50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの第1の電極シート及び少なくとも一つの第2の電極シートを含み、前記第1の電極シートの少なくとも一部と前記第2の電極シートとが積層して設置されて
おり、第1の側板に面する第1の面を含む、電極アセンブリと、
開口及び前記電極アセンブリを収容するための収容キャビティを有し、
前記第1の側板を含むケースと、
前記開口を閉塞し、かつ前記第1の側板に垂直であるカバープレートと、
少なくとも一部が前記第1の側板と前記電極アセンブリとの間に設置されており、前記電極アセンブリを支持することで、前記第1の電極シートにおける前記第1の側板に面する端部と前記第1の側板との前記第1の側板に垂直な方向である第1の方向における間隔を所定値より大きくする支持部材と、
前記支持部材を前記電極アセンブリに接続するための接着部材と、
前記電極アセンブリと前記ケースとを隔離するための第2の絶縁部材と、
を含
み、
前記電池セルにおいて、前記電極アセンブリから前記ケースへの方向で、前記第1の面、前記支持部材、前記接着部材、前記第2の絶縁部材、前記第1の側板の順番で配置されている、電池セル。
【請求項2】
前記ケースは、前記第1の側板及び前記カバープレートに垂直な第2の側板をさらに含み、前記第1の側板と前記第2の側板との間に遷移板を備え、前記遷移板の内面は円弧面であり、
前記所定値をHと定義し、前記遷移板の内面の半径をRと定義すると、前記所定値Hと前記半径Rは、H≧0.8Rを満たす、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記所定値Hと前記半径Rは、R≦H≦2Rを満たす、請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記半径Rの値は、0.5mm~2mmである、請求項2又は3に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第2の側板の面積は、前記第1の側板の面積より大きい、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項6】
前記カバープレートの前記電極アセンブリに面する一側に設けられた第1の絶縁部材をさらに含み、
前記第1の絶縁部材は、前記カバープレートと前記電極アセンブリとを隔離しており、
前記支持部材と前記第1の絶縁部材とは、前記カバープレートに垂直な方向である第2の方向に沿って離間して設置されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項7】
前記ケースは、前記電極アセンブリの前記カバープレートから離れた一側に設置された底板をさらに含み、前記底板は、前記第1の側板に垂直であり、
前記支持部材と前記底板とは、前記カバープレートに垂直な方向である第2の方向に沿って離間して設置されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項8】
前記第1の側板は、二つであり、かつ、それぞれ前記電極アセンブリの前記第1の方向に沿った両側に位置し、前記電極アセンブリと各前記第1の側板との間にいずれも前記支持部材が設置されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項9】
前記支持部材は、前記第1の面と前記第1の側板との間に位置する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項10】
前記第1の面の第2の方向に沿った二つの縁部は、それぞれ、前記支持部材の前記第2の方向に沿った二つの縁部を超えており、
前記第1の面の第3の方向に沿った二つの縁部は、それぞれ、前記支持部材の前記第3の方向に沿った二つの縁部を超えており、
前記第2の方向は、前記カバープレートに垂直な方向であり、前記第3の方向は、前記第1の方向および前記第2の方向に垂直である、請求項9に記載の電池セル。
【請求項11】
前記第2の絶縁部材は、前記第1の側板と前記第1の面との間に設置された第1の絶縁部を含む、請求項9又は10に記載の電池セル。
【請求項12】
前記第2の絶縁部材は、第2の絶縁部及び二つの第3の絶縁部をさらに含み、前記第2の絶縁部は前記電極アセンブリの第2の方向に沿って前記カバープレートから離れた一側に位置し、かつ前記第3の絶縁部に接続されており、二つの前記第3の絶縁部は、それぞれ、前記電極アセンブリの前記第3の方向に沿った両側に設置されており、
前記電極アセンブリの前記第1の方向に沿った両側にはいずれも前記第3の絶縁部に接続された前記第1の絶縁部が設置されており、少なくとも一つの前記第1の絶縁部は、二つの前記第3の絶縁部を接続する、請求項11に記載の電池セル。
【請求項13】
前記第2の絶縁部は、二つであり、かつ、それぞれ二つの前記第3の絶縁部に接続されており、二つの前記第2の絶縁部は、前記第2の方向において少なくとも部分的に重なっており、
前記電極アセンブリの前記第1の方向に沿った一側には二つの前記第1の絶縁部が設置されており、二つの前記第1の絶縁部は、それぞれ二つの前記第3の絶縁部に接続されており、かつ前記第1の方向において少なくとも部分的に重なっている、請求項12に記載の電池セル。
【請求項14】
前記支持部材は、前記第1の絶縁部と前記第1の面との間に設けられている、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項15】
前記電極アセンブリは、前記第1の側板に面する第1の面及び前記第1の面に接続された第2の面を含み、前記第2の面は、前記第1の側板及び前記カバープレートに垂直であり、
前記接着部材は、第1の接着部及び第2の接着部を含み、前記第1の接着部は、前記支持部材の前記第1の面から離れた表面に接着されており、前記第2の接着部は、前記第1の接着部に接続され、かつ前記第2の面に接着されている、請求項
1に記載の電池セル。
【請求項16】
前記接着部材は、非連続的な複数であり、複数の前記接着部材は、前記カバープレートに垂直な方向である第2の方向に沿って離間して設置されている、請求項
1又は
15に記載の電池セル。
【請求項17】
筐体及び少なくとも一つの請求項1乃至
16のいずれか一項に記載の電池セルを含み、前記電池セルが前記筐体内に収容されている、電池。
【請求項18】
前記電池セルにおいて、前記第1の側板は、前記電極アセンブリの垂直方向に沿った下側に位置する、請求項
17に記載の電池。
【請求項19】
請求項
17又は
18に記載の電池から供給された電気エネルギーを受信するための電力消費装置。
【請求項20】
少なくとも一つの第1の電極シート及び少なくとも一つの第2の電極シートを含み、前記第1の電極シートの少なくとも一部と前記第2の電極シートとが積層して設置されて
おり、第1の側板に面する第1の面を含む、電極アセンブリを供給するステップと、
カバープレートと前記カバープレートに設置された電極端子とを含み、前記電極アセンブリと前記電極端子とを接続するエンドカバーアセンブリを供給するステップと、
支持部材を供給し、かつ前記支持部材を前記電極アセンブリに接続するステップと、
前記支持部材を前記電極アセンブリに接続するための接着部材提供するステップと、
前記電極アセンブリと前記ケースとを隔離するための第2の絶縁部材を提供するステップと、
開口及び前記電極アセンブリを収容するための収容キャビティを有し、第1の側板を含むケースを供給するステップと、
前記電極アセンブリ及び前記電極アセンブリに接続された支持部材を前記収容キャビティ内に配置し、次に、前記カバープレートと前記ケースとを接続することにより、カバープレートが前記開口を閉塞しかつ前記第1の側板に垂直になるようにし、かつ、前記支持部材の少なくとも一部が前記第1の側板と前記電極アセンブリとの間に設置され、前記支持部材が前記電極アセンブリを支持することで、前記第1の電極シートの前記第1の側板に面する端部と前記第1の側板との前記第1の側板に垂直な方向である第1の方向における間隔を所定値より大きく
し、前記電池セルにおいて、前記電極アセンブリから前記ケースへの方向で、前記第1の面、前記支持部材、前記接着部材、前記第2の絶縁部材、前記第1の側板の順番で配置するステップと、を含む電池セルの製造方法。
【請求項21】
少なくとも一つの第1の電極シート及び少なくとも一つの第2の電極シートを含み、前記第1の電極シートの少なくとも一部と前記第2の電極シートとが積層して設置されて
おり、第1の側板に面する第1の面を含む、電極アセンブリを供給するための第1の供給装置と、
カバープレートと前記カバープレートに設置された電極端子とを含むエンドカバーアセンブリを供給するための第2の供給装置と、
前記電極アセンブリ及び前記電極端子を接続するための第1の組立装置と、
支持部材を供給するための第3の供給装置と、
接着部材で前記支持部材を前記電極アセンブリに接続するための第2の組立装置と、
開口及び前記電極アセンブリを収容するための収容キャビティを有し、第1の側板を含むケースを供給するための第4の供給装置と、
電極アセンブリと前記ケースとを隔離するための第2の絶縁部材を供給するための第5の供給装置と、
前記電極アセンブリ及び前記電極アセンブリに接続された支持部材を前記収容キャビティ内に配置し、次に、前記カバープレートと前記ケースとを接続することにより、カバープレートが前記開口を閉塞しかつ前記第1の側板に垂直になるようにし、ここで、前記支持部材の少なくとも一部が前記第1の側板と前記電極アセンブリとの間に設置され、前記支持部材が前記電極アセンブリを支持することで、前記第1の電極シートの前記第1の側板に面する端部と前記第1の側板との前記第1の側板に垂直な方向である第1の方向における間隔を所定値より大きく
し、前記電池セルにおいて、前記電極アセンブリから前記ケースへの方向で、前記第1の面、前記支持部材、前記接着部材、前記第2の絶縁部材、前記第1の側板の順番で配置するための第3の組立装置と、を含む電池セルの製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池技術分野に関し、さらに具体的には、電池セル及びその製造方法並びに製造システム、電池及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充電式電池は、二次電池とも呼ばれ、電池が放電した後に充電で活物質を活性化させて使用し続けることができる電池を言う。充電式電池は、例えば、携帯電話、ノートパソコン、電動スクーター、電気自動車、電気飛行機、電動船舶、電動玩具自動車、電動玩具船舶、電動玩具飛行機及び電動ツール等のような電子機器に広く用いられている。
【0003】
充電式電池は、カドミウムニッケル電池、水素ニッケル電池、リチウムイオン電池及び二次アルカリ亜鉛マンガン電池等を含むことができる。
【0004】
現在、自動車で多く使用される電池は一般的にリチウムイオン電池であり、リチウムイオン電池は充電式電池として、体積が小さく、エネルギー密度が高く、電力密度が高く、サイクル使用回数が多くかつ記憶時間が長いなどの利点を有する。
【0005】
充電式電池は、電極アセンブリ及び電解質溶液を含み、電極アセンブリは、正極シート、負極シート及び正極シートと負極シートとの間に位置するセパレータを含む。正極シートは、陰極シートと呼ばれてもよく、正極シートの二つの表面にはいずれも正極活物質層を有し、例えば、正極活物質層の正極活物質は、マンガン酸リチウム、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム又はニッケルコバルトマンガン酸リチウムであってもよい。負極シートは、陽極シートと呼ばれてもよく、負極シートの二つの表面にはいずれも負極活物質層を有し、例えば、負極活物質層の負極活物質は、黒鉛又はケイ素であってもよい。
【0006】
リチウム析出は、リチウム電池の一般的な異常現象であり、リチウムイオンの充電効率及びエネルギー密度に影響を与え、リチウム析出が深刻である場合にリチウム結晶を形成することもでき、リチウム結晶は、セパレータを突き破るため、内部短絡熱暴走を引き起こし、電池の安全を深刻に損なうことができる。
【0007】
したがって、リチウムの析出をどのように低減するか又は回避して、電池の安全を向上させるかが、業界の一つの難題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願は、リチウム析出のリスクを低減し、電池の安全性を向上させることができる電池セル及びその製造方法並びに製造システム、電池及び電力消費装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、本願の実施例は、電池セルを提供し、電池セルは、少なくとも一つの第1の電極シート及び少なくとも一つの第2の電極シートを含み、前記第1の電極シートの少なくとも一部と前記第2の電極シートとが積層して設置されている電極アセンブリと、開口及び前記電極アセンブリを収容するための収容キャビティを有し、第1の側板を含むケースと、前記開口を閉塞し、かつ前記第1の側板に垂直であるカバープレートと、少なくとも一部が第1の側板と電極アセンブリとの間に設置されており、電極アセンブリを支持することで、第1の電極シートにおける第1の側板に面する端部と第1の側板との第1の側板に垂直な方向である第1の方向における間隔を所定値より大きくする支持部材と、を含む。
【0010】
本願の実施例に係る電池セルでは、支持部材が電極アセンブリを支持することで、電池セルが振動する時に電極アセンブリの揺れ幅を低減させ、第1の側板が電極アセンブリに印加する作用力を減少させ、タブが裂けるリスクを低減させることができる。また、支持部材を設置することにより、第1の電極シートの第1の側板に面する端部と第1の側板との第1の方向における間隔を所定値より大きくし、さらに、第1の電極シートの端部に伝達された作用力を減少させ、第1の電極シートの活物質が脱落するリスクを低減させ、リチウム析出を低減させることができる。
【0011】
いくつかの実施例において、ケースは、第1の側板及びカバープレートに垂直な第2の側板をさらに含み、第1の側板と第2の側板との間に遷移板を備え、遷移板の内面は円弧面である。所定値をHと定義し、遷移板の内面の半径をRと定義すると、所定値Hと半径Rは、H≧0.8Rを満たす。この時、本願は、遷移板における第1の電極シートを押圧する可能性がある領域の面積を減少させ、遷移板が第1の電極シートに印加する作用力を低減させ、活物質の脱落のリスクを低減させることができる。
【0012】
いくつかの実施例において、所定値Hと半径Rは、R≦H≦2Rを満たす。
【0013】
いくつかの実施例において、半径Rの値は、0.5mm~2mmである。
【0014】
いくつかの実施例において、第2の側板の面積は、第1の側板の面積より大きい。電極アセンブリが第2の側板を押圧する時、電極アセンブリの受力面積が大きく、かつ受けた反力が均一であるため、第2の側板からの作用力を受けた時、シートの活物質が脱落しにくい。
【0015】
いくつかの実施例において、電池セルは、カバープレートの電極アセンブリに面する一側に設けられた第1の絶縁部材をさらに含み、第1の絶縁部材はカバープレートと電極アセンブリとを隔離している。支持部材と第1の絶縁部材とは、第2の方向に沿って離間して設置されており、第2の方向はカバープレートに垂直な方向である。これにより、第1の絶縁部材が支持部材と干渉することを回避することができる。
【0016】
いくつかの実施例において、ケースは、電極アセンブリのカバープレートから離れた一側に設置された底板をさらに含み、底板は第1の側板に垂直である。支持部材と底板とは第2の方向に沿って離間して設置されており、第2の方向はカバープレートに垂直な方向である。これにより、底板が支持部材と干渉することを回避することができる。
【0017】
いくつかの実施例において、第1の側板は、二つであり、かつ、それぞれ電極アセンブリの第1の方向に沿った両側に位置し、電極アセンブリと各第1の側板との間にいずれも支持部材が設置されている。各支持部材は、電池セルが振動する時に、対応する第1の側板が電極アセンブリに印加する作用力を減少させ、活物質が脱落するリスクを低減させることができる。
【0018】
いくつかの実施例において、電極アセンブリは、第1の側板に面する第1の面を含み、支持部材は第1の面と第1の側板との間に位置する。
【0019】
いくつかの実施例において、第1の面の第2の方向に沿った二つの縁部は、それぞれ、支持部材の第2の方向に沿った二つの縁部を超えており、第1の面の第3の方向に沿った二つの縁部は、それぞれ、支持部材の第3の方向に沿った二つの縁部を超えており、第2の方向は、カバープレートに垂直な方向であり、第3の方向は、第1の方向および第2の方向に垂直である。
【0020】
いくつかの実施例において、電池セルは、電極アセンブリとケースとを隔離するための第2の絶縁部材をさらに含み、第2の絶縁部材は、第1の側板と第1の面との間に設置された第1の絶縁部を含む。第1の絶縁部は、第1の側板と電極アセンブリとを絶縁して隔離することができるだけでなく、支持部材とともに電極アセンブリを支持することができる。
【0021】
いくつかの実施例において、第2の絶縁部材は、第2の絶縁部及び二つの第3の絶縁部をさらに含み、第2の絶縁部は電極アセンブリの第2の方向に沿ってカバープレートから離れた一側に位置し、かつ第3の絶縁部に接続されており、二つの第3の絶縁部は、それぞれ、電極アセンブリの第3の方向に沿った両側に設置されている。電極アセンブリの第1の方向に沿った両側にはいずれも第3の絶縁部に接続された第1の絶縁部が設置されており、少なくとも一つの第1の絶縁部は、二つの第3の絶縁部を接続する。
【0022】
いくつかの実施例において、第2の絶縁部は、二つであり、かつ、それぞれ二つの第3の絶縁部に接続されており、二つの第2の絶縁部は、第2の方向において少なくとも部分的に重なっている。電極アセンブリの第1の方向に沿った一側には二つの第1の絶縁部が設置されており、二つの第1の絶縁部は、それぞれ二つの第3の絶縁部に接続されており、かつ第1の方向において少なくとも部分的に重なっている。
【0023】
いくつかの実施例において、支持部材は、第1の絶縁部と第1の面との間に設置されている。電極アセンブリをケースに入れるプロセスにおいて、第1の絶縁部は、支持部材を保護しかつ支持部材がケースに入るようにガイドすることができ、支持部材がケースにより傷つけられることを回避することができる。
【0024】
いくつかの実施例において、電池セルは、支持部材を電極アセンブリに接続するための接着部材をさらに含む。接着部材は、支持部材を電極アセンブリに固定することで、電池セルが振動する時、支持部材と電極アセンブリとの相対移動を減少させるか又は回避させ、支持部材がケース内で設定位置からずれるリスクを低減させることができる。
【0025】
いくつかの実施例において、電極アセンブリは、第1の側板に面する第1の面及び第1の面に接続された第2の面を含み、第2の面は、第1の側板及びカバープレートに垂直である。接着部材は、第1の接着部及び第2の接着部を含み、第1の接着部は、支持部材の第1の面から離れた表面に接着されており、第2の接着部は、第1の接着部に接続され、かつ第2の面に接着されている。接着部材は外側から第1の面と第2の面との接続箇所の少なくとも一部を被覆することができ、かつ該接続箇所と遷移板とを離間させ、さらに、電極シートが受ける作用力を減少させ、活物質の脱落のリスクを低減させることができる。
【0026】
いくつかの実施例において、接着部材は、非連続的な複数であり、複数の接着部材は、第2の方向に沿って離間して設置されており、第2の方向はカバープレートに垂直な方向である。複数の接着部材は、支持部材と電極アセンブリとの間の接続強度を向上させることができる。
【0027】
第2の態様において、本願の実施例は、電池をさらに提供し、電池は、筐体及び少なくとも一つの第1の態様の電池セルを含み、電池セルが筐体内に収容されている。
【0028】
いくつかの実施例において、電池セルにおいて、第1の側板は電極アセンブリの垂直方向に沿った下側に位置する。
【0029】
第3の態様において、本願の実施例は、電力消費装置をさらに提供し、電力消費装置は第2の態様の電池から供給された電気エネルギーを受信するために用いられる。
【0030】
第4の態様において、本願の実施例は、電池セルの製造方法をさらに提供し、電池セルの製造方法は、少なくとも一つの第1の電極シート及び少なくとも一つの第2の電極シートを含み、第1の電極シートの少なくとも一部と第2の電極シートとが積層して設置されている電極アセンブリを供給するステップと、カバープレートとカバープレートに設置された電極端子とを含み、電極アセンブリと電極端子とを接続するエンドカバーアセンブリを供給するステップと、支持部材を供給し、かつ支持部材を電極アセンブリに接続するステップと、開口及び電極アセンブリを収容するための収容キャビティを有し、第1の側板を含むケースを供給するステップと、電極アセンブリ及び電極アセンブリに接続された支持部材を収容キャビティ内に配置し、次に、カバープレートとケースとを接続することにより、カバープレートが開口を閉塞し、かつ第1の側板に垂直になるようにし、かつ、支持部材の少なくとも一部が第1の側板と電極アセンブリとの間に設置され、支持部材が電極アセンブリを支持することで、第1の電極シートの第1の側板に面する端部と第1の側板との第1の側板に垂直な方向である第1の方向における間隔を所定値より大きくするステップと、を含む。
【0031】
第5の態様において、本願の実施例は、電池セルの製造システムをさらに提供し、当該製造システムは、少なくとも一つの第1の電極シート及び少なくとも一つの第2の電極シートを含み、第1の電極シートの少なくとも一部と第2の電極シートとが積層して設置されている電極アセンブリを供給するための第1の供給装置と、カバープレートとカバープレートに設置された電極端子とを含むエンドカバーアセンブリを供給するための第2の供給装置と、電極アセンブリ及び電極端子を接続するための第1の組立装置と、支持部材を供給するための第3の供給装置と、支持部材を電極アセンブリに接続するための第2の組立装置と、開口及び電極アセンブリを収容するための収容キャビティを有し、第1の側板を含むケースを供給するための第4の供給装置と、電極アセンブリ及び電極アセンブリに接続された支持部材を収容キャビティ内に配置し、次に、カバープレートとケースとを接続することにより、カバープレートが開口を閉塞しかつ第1の側板に垂直になるようにし、ここで、支持部材の少なくとも一部が第1の側板と電極アセンブリとの間に設置され、支持部材が電極アセンブリを支持することで、第1の電極シートの第1の側板に面する端部と第1の側板との第1の側板に垂直な方向である第1の方向における間隔を所定値より大きくするための第3の組立装置と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下は本願の実施例に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明された図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、さらに添付された図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【0033】
【
図1】本願の一つの実施例に係る車両の構造概略図である。
【
図2】本願の一つの実施例に係る電池の構造概略図である。
【
図3】本願の一つの実施例に係る電池モジュールの構造概略図である。
【
図4】本願の一つの実施例に係る電池セルの構造概略図である。
【
図6】
図5に示す電池セルのA-A線に沿った断面概略図である。
【
図7】本願の一つの実施例に係る電極アセンブリの断面概略図である。
【
図8】本願の他の実施例に係る電極アセンブリの断面概略図である。
【
図9】本願の一つの実施例に係る電極アセンブリの一部の構造概略図である。
【
図10】本願の一つの実施例に係る電池セルの構造概略図である。
【
図11】
図10に示す電池セルの線B-Bに沿った断面模式図である。
【
図13】
図6に示す電池セルの円枠Dでの拡大概略図である。
【
図14】
図6に示す電池セルの円枠Eでの拡大概略図である。
【
図15】本願の一つの実施例に係る電池セルの分解概略図である。
【
図16】本願の一つの実施例に係る電池セルの第2の絶縁部材の構造概略図である。
【
図17】本願の一つの実施例に係る電池セルの第2の絶縁部材の展開状態での概略図である。
【
図18】本願の一つの実施例に係る電池セルの製造方法の概略的なフローチャートである。
【
図19】本願の一つの実施例に係る電池セルの製造システムの概略ブロック図である。
【0034】
添付図面において、図面は、実際の比率に応じて描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下は本願の実施例における図面を参照して、本願の実施例における技術的解決手段を明確に説明するが、説明された実施例は本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではないことは明らかである。本願における実施例に基づいて、当業者の創造的な労力を要せず得られた全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0036】
別の定義がない限り、本願で使用する全ての技術及び科学的用語は、本願の技術分野に属する技術者が一般的に理解する意味と同じである。本願において出願の明細書に使用された用語は具体的な実施例を説明するための目的のみに利用され、本願を限定するものではない。本願の明細書及び特許請求の範囲及び上記図面の説明における用語「含む」及び「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。本願の明細書及び特許請求の範囲又は上記図面における用語「第1の」、「第2の」等は異なる対象を区別するために用いられ、特定の順序又は主従関係を説明するために用いられるものではない。
【0037】
本願において「実施例」とは、実施例を参照して説明した特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも一つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書における各位置に該フレーズが出現したことは、必ずしも同じ実施例を意味するものではなく、他の実施例と互いに排他的である独立した又は候補の実施例でもない。当業者が明示的かつ暗示的に理解すべきことは、本願に記載された実施例が他の実施例と組み合わせることができることである。
【0038】
本願の説明において、説明すべきことは、明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」、「装着」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続でもよく、又は一体的に接続されてもよい。直接接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、二つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に基づいて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0039】
本願における用語「及び/又は」は、関連対象を説明する関連関係に過ぎず、三種類の関係が存在してもよく、例えば、A及び/又はBは、単独でAが存在すること、同時にAとBが存在すること、Bが単独で存在することの三種類の状況が存在することを表すことができる。また、本願における文字「/」は、一般的に前後関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0040】
本願において現れた「複数」は、二つ以上(二つを含む)を指し、同様に、「複数組」は、二組以上(二組を含む)を指し、「複数枚」は、二枚以上(二枚を含む)を指す。
【0041】
本願において、「平行」という用語は、絶対的に平行である場合だけでなく、工学的に通常認識される実質的に平行である場合も含み、一方、「垂直」という用語は、絶対的に垂直である場合だけでなく、工学的に通常認識される実質的に垂直である場合も含む。
【0042】
本願において、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を含むことができるが、本願の実施例は、これに限定されない。電池セルは、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状等を呈することができるが、本願の実施例は、これに限定されない。
【0043】
本願の実施例に言及された電池とは、一つ又は複数の電池セルを含むことにより、より高い電圧及び容量を提供する単一の物理的モジュールを指す。例えば、本願において言及された電池は、電池モジュール又は電池パック等を含むことができる。電池は、一般的に一つ又は複数の電池セルを封止するための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを回避することができる。
【0044】
電池セルは、電極アセンブリ及び電解液を含み、電極アセンブリは、正極シート、負極シート及びセパレータで構成される。電池セルは、主に、正極シートと負極シートとの間の金属イオンの移動に依存して動作する。正極シートは、正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は、正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は、正極活物質層が塗布された集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない集電体を正極タブとする。リチウムイオン電池を例にすると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極シートは、負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布された集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体を負極タブとする。負極集電体の材料は、銅であってもよく、負極活物質は炭素又はケイ素等であってもよい。大電流により溶断されないことを保証するために、正極タブの数は複数でありかつお互いに積層されており、負極タブの数は複数でありかつお互いに積層されている。セパレータは、大量の貫通する細孔を有し、電解質イオンが自由に通過することを保証することができ、リチウムイオンに対して高い透過性を有する。セパレータの材質はPPやPE等であってもよい。また、電極アセンブリは巻回式構造であってもよく、積層式構造であってもよいが、本願の実施例はこれに限定されない。電池技術の発展は、複数の設計要因、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電倍率などの性能パラメータを同時に考慮する必要があり、また、電池の安全性を考慮する必要もある。
【0045】
リチウムイオン電池が充電される際に、リチウムイオンが正極シートから脱離されかつ負極シートに挿入されるが、いくつかの異常事態が発生する可能性があり、例えば、負極のリチウム挿入空間が不足であるか、リチウムイオンが負極へ挿入する際の抵抗が大きすぎるか、又は、リチウムイオンの正極からの脱離が速すぎて、脱離されたリチウムイオンが負極シートの負極活物質層に等量に挿入されず、負極シートに挿入できないリチウムイオンが負極表面で電子を得ることしかできず、それにより、銀白色の金属リチウム単体を形成することになるが、これがリチウム析出現象である。リチウム析出は、リチウムイオン電池の性能を低下させるだけでなく、サイクル寿命を大幅に短縮し、さらにリチウムイオン電池の急速充電容量を制限する。それ以外に、リチウムイオン電池にリチウム析出が発生した場合、析出したリチウム金属は非常に活性であり、比較的に低い温度で電解液と反応することができ、電池の自己発熱開始温度(Tonset)の低下及び自己発熱速度の増大を引き起こし、電池の安全を深刻に損なう。さらに、リチウム析出が深刻である場合、脱離されたリチウムイオンは負極シートの表面にリチウム結晶を形成することができ、リチウム結晶がセパレータを突き破りやすく、隣接する正極シートと負極シートとを短絡させるリスクがある。
【0046】
発明者は、研究開発過程において、電極アセンブリが振動又は押圧される場合、正極シートの活物質又は負極シートの活物質が脱落することをもたらし、これは粉落ち現象と呼ばれる。活物質の脱落、特に負極シート上の活物質の脱落により、該負極シートの負極活物質層のリチウム挿入位置がそれに隣接する正極シートの正極活物質層が供給できるリチウムイオンの数より少なくなるため、リチウム電池が充電される際に、リチウム析出現象が発生しやすい。
【0047】
これに鑑み、本願の実施例は、電池セルに支持部材を設置することにより、活物質の脱落を低減し、リチウム析出のリスクを低減し、電池の安全性を向上させる技術的解決手段を提供する。
【0048】
本願の実施例に記載された技術的解決手段はいずれも電池を使用する様々な装置に適用され、例えば、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、電動スクーター、電動玩具、電動ツール、電動車両、船舶及び航宙機等であり、航宙機は、例えば、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船等を含む。
【0049】
理解すべきことは、本願の実施例に記載の技術的解決手段は、上記記述された装置のみに限定されるものではなく、電池を使用する全ての装置に適用することができるが、説明を簡潔にするために、下記実施例はいずれも電動車両を例として説明する。
【0050】
例えば、
図1に示すように、
図1は本願の一つの実施例に係る車両1の構造概略図であり、車両1はエンジン駆動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー型自動車等であってもよい。車両1の内部には、電池10、コントローラ20及びモータ30が設置されてもよく、コントローラ20は電池10がモータ30に給電するように制御するために用いられる。例えば、車両1の底部又は前部又は後部に電池10を設置することができる。電池10は車両1の給電に用いられ、例えば、電池10は車両1の操作電源として、車両1の回路システムに用いられることができ、例えば、車両1の起動、ナビゲーション及び運転時の作業用電力消費需要に用いられる。本願の他の実施例において、電池10は車両1の操作電源とするだけでなく、車両1の駆動電源としてもよく、燃料油又は天然ガスに代えて又は部分的に代えて車両1に駆動力を供給する。
【0051】
異なる使用電力需要を満たすために、電池10は、複数の電池セルを含むことができ、ここで、複数の電池セルの間は直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続は直列接続及び並列接続の混合を指す。電池10は、電池パックと称されてもよい。好ましくは、複数の電池セルがまず直列接続されるか又は並列接続されるか又は直並列接続されて電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールがさらに直列接続されるか又は並列接続されるか又は直並列接続されて電池10を構成する。すなわち、複数の電池セルは電池10を直接構成してもよく、まず電池モジュールを構成してから、電池モジュールがさらに電池10を構成してもよい。
【0052】
例えば、
図2に示すように、
図2は、本願の一つの実施例に係る電池10の構造概略図であり、電池10は複数の電池セル40を含むことができる。電池10はさらに筐体(又はカバー体と呼ばれる)を含み、筐体内部は中空構造であり、複数の電池セル40が筐体内に収容されている。
図2に示すように、筐体は二つの部分を含むことができ、ここでそれぞれ第1の部分111と第2の部分112と呼ばれ、第1の部分111と第2の部分112が係合されている。第1の部分111及び第2の部分112の形状は複数の電池セル40の組み合わせの形状に応じて決定することができ、第1の部分111及び第2の部分112はいずれも一つの開口を有する。例えば、第1の部分111と第2の部分112はいずれも中空直方体であり、かつそれぞれ一つの面が開口面であり、第1の部分111の開口と第2の部分112の開口とが対向して設置され、かつ第1の部分111と第2の部分112とを互いに係合して密封キャビティを有する筐体を形成する。複数の電池セル40は、互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続されて組み合わせられた後に、第1の部分111と第2の部分112とが係合されて形成された筐体内に配置される。
【0053】
選択可能に、電池10は他の構造をさらに含むことができ、ここで重複して説明しない。例えば、該電池10はバス部材をさらに含むことができ、バス部材は複数の電池セル40の間の電気的接続、例えば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するために用いられる。具体的には、バス部材は、電池セル40の電極端子を接続することにより、電池セル40の間の電気的接続を実現することができる。さらに、バス部材は、溶接により電池セル40の電極端子に固定される。複数の電池セル40の電気エネルギーは、さらに導電機構を介して筐体を通して引き出されてもよい。選択可能に、導電機構もバス部材に属することができる。
【0054】
異なる電力需要に応じて、電池セル40の数は、任意の数値に設定することができる。複数の電池セル40は、直列接続又は並列接続又は直並列接続で接続されて比較的に大きな容量又は電力を実現することができる。各電池10に含まれる電池セル40の数が多い可能性があるため、容易に取り付けるために、電池セル40をグループ分けして設置することができ、各グループの電池セル40が電池モジュールを構成する。電池モジュールに含まれる電池セル40の数は限定されず、需要に応じて設定することができる。例えば、
図3は電池モジュールの一例である。電池10は複数の電池モジュールを含むことができ、これらの電池モジュールは、直列接続又は並列接続又は直並列接続で接続されてもよい。
【0055】
図4は、本願の一つの実施例に係る電池セル40の構造概略図である。
図5は、
図4に示す電池セル40の側面概略図である。
図6は
図5に示す電池セル40の線A-Aに沿った断面概略図である。
【0056】
図4~
図6に示すように、本願の実施例の電池セル40は、電極アセンブリ410、ケース420及びエンドカバーアセンブリ430を含み、ケース420は収容キャビティ及び開口を有し、電極アセンブリ410は収容キャビティ内に収容される。いくつかの例において、ケース420が中空の直方体又は立方体である場合、ケース420のそのうちの一つの平面が開口面であり、すなわち該平面は壁体を有さずケース420の内外を連通する。エンドカバーアセンブリ430はカバープレート431を含み、カバープレート431は開口を覆いかつケース420に接続されて、ケース420の開口を密閉することにより、電極アセンブリ410が密閉されたキャビティ内に配置されるようにする。ケース420内には、電解質、例えば電解液が充填されている。
【0057】
該エンドカバーアセンブリ430は、二つの電極端子432をさらに含み、二つの電極端子432がカバープレート431に設置されてもよい。カバープレート431は一般的に平板形状であり、二つの電極端子432はカバープレート431の平板面に固定され、二つの電極端子432はそれぞれ正極端子及び負極端子432である。各電極端子432に接続部材440がそれぞれ対応して設けられ、接続部材440は集電部材とも呼ばれ、接続部材440はカバープレート431と電極アセンブリ410との間に位置し、電極アセンブリ410と電極端子432とを電気的に接続するために用いられる。
【0058】
各電極アセンブリ410は、第1のタブ410aと第2のタブ410bとを有している。第1のタブ410aと第2のタブ410bとは、極性が逆である。例えば、第1のタブ410aが正極タブである場合、第2のタブ410bは負極タブである。一つ又は複数の電極アセンブリ410の第1のタブ410aは、接続部材440により一つの電極端子432に接続され、一つ又は複数の電極アセンブリ410の第2のタブ410bは、別の接続部材440により他の電極端子432に接続される。例えば、正極端子は接続部材440により正極タブに接続され、負極端子は別の接続部材440により負極タブに接続される。
【0059】
該電池セル40において、実際の使用需要に応じて、電極アセンブリ410は、1つ又は複数設置されてもよい。例えば、図示の実施例において、電池セル40内に一つの電極アセンブリ410が設置されている。
【0060】
いくつかの実施例において、該エンドカバーアセンブリ430は、第1の絶縁部材433をさらに含み、第1の絶縁部材433はカバープレート431における電極アセンブリ410に面する一側に設置され、第1の絶縁部材433は、カバープレート431と接続部材440とを隔離し、カバープレート431と電極アセンブリ410とを隔離することで、短絡のリスクを低減することができる。第1の絶縁部材433の材質は、プラスチックであってもよく、例えば、第1の絶縁部材433の材質は、ポリプロピレンである。
【0061】
いくつかの実施例において、ケース420は大体中空の直方体である。具体的には、ケース420は互いに対向する二つの第1の側板421と互いに対向する二つの第2の側板422とを含み、第1の側板421は第2の側板422に接続されて、収容キャビティ及び開口を画定するために用いられる。第1の側板421と第2の側板422とは、平板状でありかつ互いに直交している。二つの第1の側板421は互いに平行に設置され、二つの第2の側板422は互いに平行に設置されている。
【0062】
カバープレート431は、第1の側板421と第2の側板422とに接続され、それにより、ケース420の開口を密閉する。例えば、カバープレート431は、第1の側板421と第2の側板422に溶接されてもよい。電池セル40において、カバープレート431は、第1の側板421及び第2の側板422に垂直である。
【0063】
二つの第1の側板421は、それぞれ電極アセンブリ410の第1の方向Xに沿った両側に位置し、ここで、第1の方向Xは、第1の側板421に垂直な方向である。第1の方向Xは、第1の側板421の厚み方向と平行である。選択可能に、第1の側板421は、ほぼ矩形平板である。カバープレート431は電極アセンブリ410の第2の方向Yに沿った一側に位置し、ここで、第2の方向Yはカバープレート431に垂直な方向である。第2の方向Yは、カバープレート431の厚み方向と平行である。選択可能に、カバープレート431はほぼ矩形板である。二つの第2の側板422はそれぞれ電極アセンブリ410の第3の方向Zに沿った両側に位置し、ここで、第3の方向Zは第2の側板422に垂直な方向である。第3の方向Zは、第2の側板422の厚み方向と平行である。選択可能に、第2の側板422は、ほぼ矩形平板である。いくつかの例において、第1の側板421の厚さは第2の側板422の厚さに等しい。
【0064】
いくつかの実施例において、ケース420は、電極アセンブリ410のカバープレート431から離れた一側に設置された底板423をさらに含み、すなわち、底板423とカバープレート431とはそれぞれ電極アセンブリ410の第2の方向Yに沿った両側に位置する。底板423は、第1の側板421と第2の側板422に垂直である。底板423は、略矩形平板である。いくつかの例において、底板423、第1の側板421及び第2の側板422は一体成形されている。別の例において、底板423は溶接等で第1の側板421と第2の側板422とに接続されてもよい。
【0065】
いくつかの実施例において、電池セル40の第2の方向Yに沿った寸法は、電池セル40の第1の方向Xに沿った寸法及び電池セル40の第3の方向Zに沿った寸法より大きい。車両1において、電池10の垂直方向における空間が限られているので、電池10の垂直方向における高さを減少させるために、第2の方向Yを水平方向に平行にすることができ、このようにすると、電池10の垂直方向における最大寸法を減少させることができる。
【0066】
いくつかの実施例において、電池セル40の第1の方向Xに沿った寸法は、電池セル40の第3の方向Zに沿った寸法より大きい。選択可能に、電池10において、電池セル40を横方向に配置することができる。電池セル40が横方向に配置される場合、第1の方向Xは垂直方向と平行である。
【0067】
図7は、本願の一つの実施例に係る電極アセンブリ410の断面概略図である。
図8は本願の他の実施例に係る電極アセンブリ410の断面概略図である。
図9は本願の一つの実施例に係る電極アセンブリ410の一部の構造概略図である。
【0068】
本願の実施例に係る電極アセンブリ410は、少なくとも一つの第1の電極シート411及び少なくとも一つの第2の電極シート412を含み、第1の電極シート411の極性と第2の電極シート412の極性とが逆である。例えば、第1の電極シート411が負極シートである場合、第2の電極シート412は正極シートである。第1の電極シート411が正極シートである場合、第2の電極シート412は負極シートである。電極アセンブリ410は、第1の電極シート411と第2の電極シート412とを隔離するセパレータ413をさらに含む。
【0069】
第1の電極シート411の少なくとも一部と第2の電極シート412が積層して設置され、積層方向は第2の電極シート412の厚さ方向と平行である。本願の実施例に係る電極アセンブリ410は積層構造であり、複数の積層して設置された第2の電極シート412を含む。各第2の電極シート412は、略平板状であり、互いに離間している。隣接する第2の電極シート412の間に、少なくとも第1の電極シート411の一部が設置されている。
【0070】
いくつかの実施例において、
図7に示すように、電極アセンブリ410は、複数の第1の電極シート411及び複数の第2の電極シート412を含み、複数の第1の電極シート411と複数の第2の電極シート412とは交互に積層されている。第1の電極シート411と第2の電極シート412との積層方向は、第1の電極シート411の厚さ方向及び第2の電極シート412の厚さ方向と平行である。いくつかの例において、第1の電極シート411及び第2の電極シート412はいずれも矩形の平板でありかつ互いに平行に設置されている。
【0071】
電池セル40において、第1の電極シート411及び第2の電極シート412は、カバープレート431に垂直である。いくつかの例において、第1の電極シート411と第2の電極シート412との積層方向は第3の方向Zに平行であり、すなわち、第1の電極シート411及び第2の電極シート412は、第1の方向X及び第2の方向Yに平行である。
【0072】
電極アセンブリ410は、互いに対向する二つの第1の面414と、互いに対向する二つの第2の面415とを有する。第1の面414及び第2の面415は、電極アセンブリ410が露出する面である。各第1の面414の第3の方向Zに沿った両端は二つの第2の面415にそれぞれ接続されている。いくつかの例において、二つの第1の面414は、第1の方向Xに沿って互いに対向し、二つの第2の面415は第3の方向Zに沿って互いに対向している。
【0073】
いくつかの例において、電極アセンブリ410の最も外側がセパレータ413であるため、第1の面414及び第2の面415はセパレータ413の露出した表面である。具体的には、セパレータ413は二つであり、各セパレータ413は多層に往復して折り曲げられかつ複数の隔離層及び複数の折り曲げ層を含み、各折り曲げ層は隣接する二つの隔離層に接続されている。各隔離層は、隣り合う第1の電極シート411と第2の電極シート412とを隔離する。電極アセンブリ410における第3の方向Zに沿った両端は二つの隔離層であり、この二つの隔離層の外表面が二つの第2の面415である。第1の面414は、複数の折り曲げ層の露出した面を含む。折り曲げ層の外表面は円弧面であるが、折り曲げ層の半径が比較的に小さいため、第1の面414はほぼ平面である。すなわち、電極アセンブリ410は、略直方体である。
【0074】
別の例において、電極アセンブリ410におけるセパレータ413は、省略されてもよく、絶縁を実現するために、第1の電極シート411の表面又は第2の電極シート412の表面に絶縁層を形成することができる。選択可能に、電極アセンブリ410の第3の方向Zに沿った両端が第1の電極シート411であり、第1の電極シート411の露出した表面が第2の面415である。第1の電極シート411の第1の方向Xに沿った端部は、第2の電極シート412を超えており、複数の第1の電極シート411の端部が積層されて第1の面414をほぼ形成している。
【0075】
他の実施例において、
図8に示すように、電極アセンブリ410は、少なくとも一つの第1の電極シート411及び複数の第2の電極シート412を含む。第1の電極シート411は複数の積層して設けられた第1の積層セグメント411a及び複数の折り曲げセグメント411bを含み、各折り曲げセグメント411bは、隣接する二つの第1の積層セグメント411aを接続する。各第2の電極シート412は、隣接する二つの第1の積層セグメント411aの間に設けられている。第1の積層セグメント411aは平板状であり、かつ第2の電極シート412と略平行であり、折り曲げセグメント411bは少なくとも一部的に折り曲げられている。いくつかの例において、第1の積層セグメント411aと第2の電極シート412は第3の方向Zに沿って交互に積層され、折り曲げセグメント411bは第2の電極シート412の第1の方向Xに沿った一側に位置する。電極アセンブリ410は、略直方体に形成されている。
【0076】
図9に示すように、電極アセンブリ410は、二つの第3の面416をさらに含み、各第3の面416は第1の面414及び第2の面415に接続されている。いくつかの例において、二つの第3の面416は第2の方向Yに沿って互いに対向し、すなわち、電池セル40において、一つの第3の面416はカバープレート431に面し、もう一つの第3の面416は底板423に面している。第2の方向Yにおいて、セパレータ413の二つの端部が第1の電極シート411及び第2の電極シート412を超えるため、セパレータ413の二つの端部は二つの面、すなわち、二つの第3の面416をほぼ形成している。選択可能に、第1のタブ410a及び第2のタブ410bは、一つの第3の面416から延出している。
【0077】
図10は、本願の一つの実施例に係る電池セル40の構造概略図である。
図11は、
図10に示す電池セル40の線B-Bに沿った断面概略図である。
図12は、
図11に示す電池セル40の円枠Cでの拡大図である。
【0078】
発明者は、使用過程で振動した場合、電極アセンブリがケース内で揺れるため、電極アセンブリがケースを押圧するリスクを引き起こすことをさらに発見した。電極アセンブリがケースを押圧する場合、電極シートにおける活物質が脱落し、さらにリチウム析出のリスクを引き起こしてしまう。同時に、電極アセンブリが揺れる場合、タブの引き裂きのリスクも引き起こしやすい。
【0079】
これらに鑑みて、
図10~
図12に示すように、本願の提供する電池セル40は、支持部材450をさらに含み、支持部材450の少なくとも一部が第1の側板421と電極アセンブリ410との間に設置されており、支持部材450が電極アセンブリ410を支持することで、第1の電極シート411における第1の側板421に面する端部と第1の側板421との第1の方向Xにおける間隔を所定値よりも大きくするが、第1の方向Xは第1の側板421に垂直な方向である。
【0080】
支持部材450は、第1の方向Xにおいて、電極アセンブリ410と第1の側板421とを離間している。いくつかの例において、第1の方向Xにおいて、支持部材450全体が電極アセンブリ410と第1の側板421との間に位置する。支持部材450は、電極アセンブリ410と直接的に接触して電極アセンブリ410を支持してもよいし、他の部材によって間接的に電極アセンブリ410を支持してもよい。第1の電極シート411における第1の側板421に面する端部と第1の側板421との第1の方向Xにおける間隔は、第1の電極シート411と第1の側板421との第1の方向Xにおける最小間隔である。所定値は、設計のニーズに応じて異なる。この所定値は、ケース420の形状寸法と電極アセンブリ410の形状寸法とを総合的に考慮する必要がある。
【0081】
本願の実施例に係る電池セル40において、支持部材450は、電極アセンブリ410を支持することで、電池セル40が振動する時に電極アセンブリ410の揺れ幅を低減し、第1の側板421が電極アセンブリ410に印加する作用力を減少させ、タブを引き裂くリスクを低減することができる。また、支持部材450を設置することにより、第1の電極シート411における第1の側板421に面する端部と第1の側板421との第1の方向Xにおける間隔を所定値より大きくし、さらに第1の電極シート411の端部に伝達された作用力を減少させ、第1の電極シート411の活物質が脱落するリスクを低減させ、リチウム析出を減少させる。
【0082】
いくつかの実施例において、支持部材450は、さらに、第2の電極シート412の第1の側板421に面する端部と第1の側板421との第1の方向Xにおける間隔を所定値よりも大きくすることができ、さらに、電池セル40が振動する時に第2の電極シート412の端部に伝達された作用力を減少させ、第2の電極シート412の活物質が脱落するリスクを低減させ、リチウム析出を減少させる。
【0083】
いくつかの実施例において、第1の側板421と第2の側板422との間に遷移板424を備え、遷移板424の内面は円弧面である。遷移板424は、ケース420が成形過程で形成されたフィレットである。遷移板424を設置することにより、ケース420の鋭角を除去し、応力集中を低減し、ケース420の強度を向上させることができる。第1の側板421における電極アセンブリ410に面する内面は平面でありかつ遷移板424の内面に接し、第2の側板422における電極アセンブリ410に面する内面は平面でありかつ遷移板424の内面に接する。遷移板424は、第1の側板421の第3の方向Zに沿った端部に接続されている。遷移板424は、四つであり、各遷移板424は一つの第1の側板421と一つの第2の側板422とを接続する。
【0084】
発明者は、電池セルが横方向に配置される場合、一つの第1の側板が電極アセンブリの垂直方向に沿った下側に位置することをさらに発見した。電極アセンブリは、重力の作用下で遷移板の内面を押圧する可能性があり、遷移板の内面が円弧面であるため、振動衝撃の作業条件で、遷移板の内面はシートを押圧しやすく、それにより、電極シートの活物質が脱落することをもたらす。
【0085】
これらに鑑みて、いくつかの実施例において、所定値をHと定義し、遷移板424の内面の半径をRと定義すると、所定値Hと半径Rは、H≧0.8Rを満たす。この時、本願は、遷移板424における第1の電極シート411を押圧する可能性のある領域の面積を減少させ、遷移板424が第1の電極シート411に印加する作用力を低減させ、活物質の脱落のリスクを減少させることができる。
【0086】
Hの値が大きくなるほど、遷移板424による第1の電極シート411の端部の押圧力が小さくなると同時に、電極アセンブリ410のサイズも小さくなる。第1の電極シート411が受ける押圧力と電池セル40の容量を総合的に考慮すると、いくつかの実施例において、所定値Hと半径Rは、R≦H≦2Rを満たす。
【0087】
Rの値が小さくなるほど、遷移板424に応力集中が発生しやすく、ケース420の強度が低くなる。Rの値が大きくなるほど、Hの値も大きくなり、電極アセンブリ410のサイズが小さくなるほど、電池セル40の容量が低くなる。ケース420の強度と電池セル40の容量を総合的に考慮すると、いくつかの実施例において、半径Rの値は0.5mm~2mmである。
【0088】
第2の側板422の面積は、第1の側板421の面積より大きい。第1の側板421と第2の側板422は第2の方向Yに平行であり、かつ両者の第2の方向Yにおける寸法は等しい。第1の側板421の第3の方向Zに沿った寸法は、第2の側板422の第1の方向Xに沿った寸法より小さい。第2の電極シート412は、第2の側板422に大体平行であり、すなわち、複数の第2の電極シート412の積層方向は第2の側板422に垂直である。
【0089】
充放電の過程において、電極アセンブリ410は膨張する。具体的には、第1の電極シート411及び第2の電極シート412の自体の厚さ方向での膨張が最大であり、これにより、電極アセンブリ410の第3の方向Zでの膨張量が最大になる。膨張した後の電極アセンブリ410が第2の側板422に圧着されるため、第3の方向Zにおいて、電極アセンブリ410に揺れが生じにくい。また、電極アセンブリ410の第2の面415はほぼ平面であり、電極アセンブリ410が第2の側板422を押圧する時、電極アセンブリ410の受力面積が大きく、かつ受けた反力が均一であるため、第2の側板422からの作用力を受ける時、電極シートの活物質が脱落しにくい。
【0090】
電極アセンブリ410と各第1の側板421との間には、いずれも支持部材450が設けられている。具体的には、いくつかの例において、支持部材450は二つであり、一つの支持部材450は電極アセンブリ410と一つの第1の側板421との間に位置し、もう一つの支持部材450は電極アセンブリ410ともう一つの第1の側板421との間に位置する。各支持部材450は、電池セル40が振動する時に、対応した第1の側板421が電極アセンブリ410に印加する作用力を減少させ、活物質が脱落するリスクを低減することができる。
【0091】
電池セル40が横方向に配置された電池10において、電池セル40の二つの第1の側板421はいずれも下向きに配置される可能性があり、電池セル40のどの第1の側板421が下向きに配置されても、支持部材450は下側から電極アセンブリ410を支持することができる。
【0092】
図13は、
図6に示す電池セル40の円枠Dでの拡大概略図である。
図13に示すように、いくつかの実施例において、第1の絶縁部材433の電極アセンブリ410に面する表面は電極アセンブリ410の第3の面416に貼り付けられて、第2の方向Yにおいて電極アセンブリ410の揺れを制限する。
【0093】
いくつかの実施例において、支持部材450と第1の絶縁部材433とは第2の方向Yに沿って離間して設置されている。第2の方向Yにおいて、支持部材450は第1の絶縁部材433と設定距離を隔てて、両者が互いに干渉することを回避する。電池セル40を横方向に配置する時、支持部材450が電極アセンブリ410の作用下で下へ移動する可能性があるが、移動する過程において、第1の絶縁部材433は支持部材450に干渉しない。
【0094】
図14は、
図6に示す電池セル40の円枠Eでの拡大概略図である。
図14に示すように、いくつかの実施例において、支持部材450と底板423とは第2の方向Yに沿って離間して設置されている。第2の方向Yにおいて、支持部材450と底板423とは設定距離を隔てて、両者が互いに干渉することを回避する。
【0095】
図15は、本願の一つの実施例に係る電池セル40の分解概略図である。
図15に示すように、いくつかの実施例において、支持部材450は第1の面414と第1の側板421との間に位置する。選択可能に、支持部材450は平板状でありかつ第1の側板421に平行である。平板状の支持部材450は、電極アセンブリ410と支持部材450との間の作用力をより均一にすることができる。
【0096】
いくつかの実施例において、第1の面414の第2の方向Yに沿った二つの縁部は、それぞれ支持部材450の第2の方向Yに沿った二つの縁部を超えている。第1の面414の第2の方向Yに沿った寸法は、支持部材450の第2の方向Yに沿った寸法より大きい。このように、第2の方向Yにおいて、支持部材450の第1の絶縁部材433に近い縁部は、第1の絶縁部材433と一定の距離を隔てており、支持部材450の底板423に近い縁部は、底板423と一定の距離を隔てている。
【0097】
ケース420の内部空間を十分に利用し、電極アセンブリ410の容量を保証するために、第1の面414の第3の方向Zに沿った寸法は、一般的に、第1の側板421の第3の方向Zに沿った寸法より大きい。遷移板424が支持部材450に干渉することを回避するために、支持部材450の第3の方向Zに沿った寸法は、一般的に、第1の側板421の第3の方向Zに沿った寸法以下である。すなわち、第1の面414の第3の方向Zに沿った寸法は、支持部材450の第3の方向Zに沿った寸法より大きい。いくつかの実施例において、第1の面414の第3の方向Zに沿った二つの縁部はそれぞれ支持部材450の第3の方向Zに沿った二つの縁部を超えている。
【0098】
いくつかの実施例において、電池セル40は、電極アセンブリ410とケース420とを隔離するための第2の絶縁部材460をさらに含む。第2の絶縁部材460は、電極アセンブリ410とケース420とが導通されるリスクを低減することができる。第2の絶縁部材460の材質は、ポリプロピレンであってもよい。
【0099】
具体的には、いくつかの例において、第2の絶縁部材460は、第1の絶縁部461を含み、第1の絶縁部461は、第1の側板421と第1の面414との間に設置されている。第1の絶縁部461は、第1の側板421と電極アセンブリ410を絶縁して隔離することができるだけでなく、支持部材450とともに電極アセンブリ410を支持することができる。第1の絶縁部461の位置は需要に応じて設定することができ、いくつかの例において、第1の絶縁部461は第1の面414と支持部材450との間に位置してもよく、別の例において、第1の絶縁部461は支持部材450と第1の側板421との間に位置してもよい。第2の絶縁部材460は外側から電極アセンブリ410を被覆し、他の部分をさらに含むことができる。第2の絶縁部材460の具体的な構成については、後に詳述する。
【0100】
いくつかの実施例において、電池セル40は、接着部材470をさらに含み、接着部材470は支持部材450を電極アセンブリ410に接続するために用いられる。接着部材470は支持部材450を電極アセンブリ410に固定し、このようにすると、電池セル40が振動する時、支持部材450と電極アセンブリ410との相対移動を減少させるか又は回避させ、支持部材450がケース420内で設定位置からずれるリスクを低減することができる。また、電極アセンブリ410をケース420内に配置する工程において、支持部材450は電極アセンブリ410と共にケース420内に入ることができるため、電池セル40の組立プロセスを簡略化することができる。いくつかの例において、接着部材470は接着テープである。別の例において、支持部材450の表面にコロイドを塗布し、次に、支持部材450を第1の面414に接着し、コロイドが硬化した後に接着部材470を形成してもよい。
【0101】
いくつかの実施例において、第2の面415は第1の面414に接続され、かつ第1の側板421及びカバープレート431に垂直である。接着部材470は、第1の接着部471と第2の接着部472とを含み、第1の接着部471は、支持部材450における第1の面414から離れた表面に接着され、第2の接着部472は第1の接着部471に接続され、かつ第2の面415に接着されている。第1の接着部471は、電極アセンブリ410を支持する役割も果たすことができる。
【0102】
第1の面414と第2の面415との接続箇所は、遷移板424の作用力を最も受けやすいため、該接続箇所に近い電極シートで活物質の脱落がより生じやすい。接着部材470は該接続箇所の少なくとも一部を外側から被覆することができ、かつ該接続箇所と遷移板424とを離間させ、さらに電極シートが受ける作用力を減少させ、活物質の脱落のリスクを低減することができる。
【0103】
いくつかの実施例において、接着部材470の第2の接着部472は二つであり、かつそれぞれ第1の接着部471の第3の方向Zに沿った両端に接続されている。二つの第2の接着部472は、それぞれ二つの第2の面415に接着されている。接着部材470は、U字状に折り曲げられている。
【0104】
いくつかの実施例において、接着部材470は、非連続的な複数であり、複数の接着部材470は第2の方向Yに沿って離間して設置されている。支持部材450は第2の方向Yで大きい寸法を有し、複数の接着部材470は支持部材450と電極アセンブリ410との間の接続強度を向上させることができる。接着部材470の間の隙間は、電解液を収容するために用いられてもよい。
【0105】
いくつかの実施例において、支持部材450は、第1の絶縁部461と第1の面414との間に設置される。電池セル40を組み立てる時、まず、接着部材470により支持部材450を電極アセンブリ410に固定し、次に、電極アセンブリ410及び支持部材450の外側に第2の絶縁部材460を被覆することができる。電極アセンブリ410をケース420に入れるプロセスにおいて、第2の絶縁部材460は支持部材450を保護しかつ支持部材450がケースに入るようにガイドすることができ、支持部材450がケース420により傷つけられることを回避することができる。
【0106】
図16は、本願の一つの実施例に係る電池セル40の第2の絶縁部材460の構造概略図である。
図17は、本願の一つの実施例に係る電池セル40の第2の絶縁部材460の展開状態での概略図である。
【0107】
図16及び
図17に示すように、いくつかの実施例において、第2の絶縁部材460は、第2の絶縁部462及び二つの第3の絶縁部463をさらに含み、第2の絶縁部462は、電極アセンブリ410の第2の方向Yに沿ってカバープレート431から離れた一側に位置し、かつ第3の絶縁部463に接続され、二つの第3の絶縁部463は、それぞれ電極アセンブリ410の第3の方向Zに沿った両側に設置されている。第2の絶縁部462は、電極アセンブリ410と底板423との間に位置し、電極アセンブリ410と底板423とを隔離する。一つの第3の絶縁部463は一つの第2の面415と一つの第2の側板422との間に位置し、もう一つの第3の絶縁部463はもう一つの第2の面415ともう一つの第2の側板422との間に位置する。二つの第3の絶縁部463は二つの第2の側板422と電極アセンブリ410とを隔離する。第3の絶縁部463は平板状であり、かつ第2の側板422に平行であり、第2の絶縁部462は、第3の絶縁部463の第2の方向Yに沿った端部から延出し、かつ第3の絶縁部463に対して折り曲げられている。
【0108】
電極アセンブリ410の第1の方向Xに沿った両側には、何れも第3の絶縁部463に接続された第1の絶縁部461が設けられている。具体的には、一つの第1の側板421と一つの第1の面414との間に少なくとも一つの第1の絶縁部461が設置され、もう一つの第1の側板421ともう一つの第1の面414との間に少なくとも一つの第1の絶縁部461が設置されている。いくつかの実施例において、少なくとも一つの第1の絶縁部461は二つの第3の絶縁部463を接続する。
【0109】
いくつかの実施例において、第2の絶縁部462は、二つでありかつそれぞれ二つの第3の絶縁部463に接続され、かつ二つの第2の絶縁部462は第2の方向Yにおいて少なくとも部分的に重なっている。いくつかの例において、底板423は第1の側板421と第2の側板422に溶接されかつ溶接痕跡を形成し、積層して設置された二つの第2の絶縁部462は電極アセンブリ410と溶接痕跡とを隔離して、溶接痕跡がセパレータ413を突き破るリスクを低減することができる。いくつかの例において、二つの第2の絶縁部462は互いに溶接されている。
【0110】
いくつかの実施例において、電極アセンブリ410の第1の方向Xに沿った一側に二つの第1の絶縁部461が設置されており、二つの第1の絶縁部461はそれぞれ二つの第3の絶縁部463に接続され、かつ第1の方向Xにおいて少なくとも部分的に重なっている。この二つの第1の絶縁部461は一つの第1の面414と一つの第1の側板421との間に位置し、かつ第1の方向Xで電極アセンブリ410を支持することができる。いくつかの例において、この二つの第1の絶縁部461は互いに溶接されている。
【0111】
第2の絶縁部材460は、一つの平板状の絶縁シートが折り曲げられてなるものであってもよい。絶縁シートは、第1の絶縁部461と第3の絶縁部463との接続箇所には貫通孔が設けられており、第2の絶縁部462と第3の絶縁部463との接続箇所に貫通孔が設けられている。貫通孔を設けることにより、絶縁シートの折り曲げをガイドすることができる。また、電解液がさらに貫通孔を通過することで、電極アセンブリ410の濡れ性を向上させる。折り曲げ成形した後、第1の絶縁部461及び第3の絶縁部463は第1の絶縁部材433の外側を取り囲み、かつ溶接により第1の絶縁部材433に固定されている。
【0112】
図18は、本願の一つの実施例に係る電池セルの製造方法の概略的なフローチャートである。
図18に示すように、該製造方法は以下のステップを含む。
【0113】
S510において、少なくとも一つの第1の電極シート及び少なくとも一つの第2の電極シートを含み、第1の電極シートの少なくとも一部と第2の電極シートとが積層して設置されている電極アセンブリを供給する。
【0114】
S520において、カバープレートとカバープレートに設置された電極端子とを含み、電極アセンブリ及び電極端子を接続するエンドカバーアセンブリを供給する。
【0115】
S530において、支持部材を供給し、かつ支持部材を電極アセンブリに接続する。
【0116】
S540において、開口及び電極アセンブリを収容するための収容キャビティを有し、第1の側板を含むケースを供給する。
【0117】
S550において、電極アセンブリ及び電極アセンブリに接続された支持部材を収容キャビティ内に配置し、次に、カバープレートとケースとを接続することにより、カバープレートが開口を閉塞しかつ第1の側板に垂直になるようにし、かつ、支持部材の少なくとも一部が第1の側板と電極アセンブリとの間に設置され、支持部材が電極アセンブリを支持することで、第1の電極シートの第1の側板に面する端部と第1の側板との第1の方向における間隔を所定値より大きくし、ここで、第1の方向は第1の側板に垂直な方向である。
【0118】
本実施例の製造方法により製造された電池セルの関連構造は、前述の
図1~17に対応する実施例に記載された電池セルの関連内容を参照することができるため、ここでは説明を省略する。
【0119】
図19は、本発明の一実施例に係る電池セルの製造システムの概略ブロック図である。
図19に示すように、該製造システム600は、第1の供給装置610、第2の供給装置620、第1の組立装置630、第3の供給装置640、第2の組立装置650、第4の供給装置660及び第3の組立装置670を含む。第1の供給装置610は、電極アセンブリを供給するために用いられ、電極アセンブリは、少なくとも一つの第1の電極シート及び少なくとも一つの第2の電極シートを含み、第1の電極シートの少なくとも一部と第2の電極シートとが積層して設置されている。第2の供給装置620は、エンドカバーアセンブリを供給するために用いられ、エンドカバーアセンブリはカバープレート及びカバープレートに設けられた電極端子を含む。第1の組立装置630は、電極アセンブリと電極端子とを接続するために用いられる。第3の供給装置640は、支持部材を供給するために用いられる。第2の組立装置650は、電極アセンブリに支持部材を接続するために用いられる。第4の供給装置660は、ケースを供給するために用いられ、ケースは開口及び電極アセンブリを収容するための収容キャビティを有し、かつ第1の側板を含む。第3の組立装置670は、電極アセンブリ及び電極アセンブリに接続された支持部材を収容キャビティ内に配置し、次に、カバープレートとケースとを接続することにより、カバープレートが開口を閉塞しかつ第1の側板に垂直になるようにし、ここで、支持部材の少なくとも一部が第1の側板と電極アセンブリとの間に設置され、支持部材が電極アセンブリを支持することで、第1の電極シートの第1の側板に面する端部と第1の側板との第1の方向における間隔を所定値より大きくし、ここで、第1の方向は第1の側板に垂直な方向である。
【0120】
本実施例の製造システムにより製造された電池セルの関連構造は、前述の
図1~17に対応する実施例に記載の電池セルの関連内容を参照することができるため、ここでは説明を省略する。
【0121】
最後に説明すべきことは、以上の実施例は本願の技術的解決手段に対する説明に過ぎず、それに対する限定ではない。前述の実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者であれば理解すべきことは、依然として前述の各実施例に記載の技術的解決手段を修正するか、又はそのうちの一部の技術的特徴に対して同等置換を行うことができるが、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を本願の各実施例の技術的解決手段の精神及び範囲から逸脱させない。