(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】エネルギ管理システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20240507BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20240507BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/00 130
H02J3/00 180
H02J3/46
H02J13/00 311R
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023068948
(22)【出願日】2023-04-20
(62)【分割の表示】P 2020510156の分割
【原出願日】2018-04-27
【審査請求日】2023-04-24
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519385098
【氏名又は名称】グリッド エッジ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】スコット ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ライト ダニエル
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/062896(WO,A1)
【文献】特開2017-005912(JP,A)
【文献】特開2008-141925(JP,A)
【文献】特開2015-177628(JP,A)
【文献】特開2015-177623(JP,A)
【文献】特開平08-140285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 3/46
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペースを換気、暖房および/または冷房するのに使用される、エネルギ消費および蓄積システムにおける、エネルギを管理する方
法であって、
前記システムは、電源供給に接続され、
かつ、換気、暖房および/または冷房の資源を備え、前記資源は、熱交換器と、前記熱交換器との間で流体伝送を行う1つ以上の流体貯蔵タンクを備えるエネルギ蓄積とを有し、
前記方法は、
前記電源供給のパラメータ
をモニタするステップと、
前記システムの時間に対するエネルギ消費を、ある時間にわたって測定し、取得した測定値を蓄積するステップと、
前記システムにおいて時間に対して蓄積されたエネルギを、ある期間にわたり測定し、前記取得した測定値を蓄積するステップと、
前記エネルギ消費および蓄積したエネルギの測定値を用いて、前記システムに関する正味エネルギ需要を導出するステップと、
予測される、より低い全体エネルギコストの時間に、
前記電源供給からのエネルギを要求するための正味エネルギ需要を用いて、予測される、より高い全体エネルギコストの時間に、前記システムにエネルギを供給するた
めに要求されるエネル
ギを前記資源の前記エネルギ蓄積に蓄積するステップと、
前記供給のパラメータが、消費できる
前記電源供給に、より多くのエネルギがあることを示す、所定の最大値を超えるとき、
前記電源供給から取得されたエネルギを増加させ、かつ前記増加されたエネルギを
前記資源の前記エネルギ蓄積に合意された最大値まで蓄積し、前記供給の前記パラメータが
、エネルギの高い要求を示す、所定の最小値を下回るとき、前記電源供給からエネルギを採取することを低減するステップと、
を備え
、
前記電源供給は、前記資源の前記エネルギ蓄積における蓄積容量が前記合意された最大値まで保証されており、前記合意された最大値は、前記エネルギ蓄積の入力容量の割合に対応し、前記エネルギ蓄積の前記入力容量の残りの割合は、予測される、より高い全体エネルギコストの時間に、前記システムにエネルギを供給するために前記電源供給から要求される前記エネルギを蓄積するのに利用可能である、方法。
【請求項2】
前記資源は、通常の需要を介して、入力容量の50%の最大値を受信するように制限され、他の50%は、前記システムにより測定された前記パラメータが、
前記所定の最大値を超えるとき、過剰電力をオフロードするために、前
記電源供給に利用可能である、請求
項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パラメータは、周波数である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の最大値は、前記電源供給の公称周波数より1%高い、請求
項3に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の最小値は、前記電源供給の公称周波数より1%低い、請求項
3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記パラメータは、電圧である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記合意された最大値は、1日以上および/または1週間以上の期間に渡って設定され、前記電源供給は、前記資源の前記エネルギ蓄積における前記蓄積容量が前記1日以上および/または1週間以上の期間に渡って前記合意された最大値まで保証されている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
スペースを換気、暖房および/または冷房するのに使用される、エネルギ消費および蓄積システムにおける、エネルギを管理する方法であって、
前記システムは、電源供給に接続され、かつ、換気、暖房および/または冷房の資源を備え、前記資源は、熱交換器と、前記熱交換器との間で流体伝送を行う1つ以上の流体貯蔵タンクを備えるエネルギ蓄積とを有し、
前記方法は、
前記電源供給のパラメータをモニタするステップと、
前記システムの時間に対するエネルギ消費を、ある時間にわたって測定し、取得した測定値を蓄積するステップと、
前記システムにおいて時間に対して蓄積されたエネルギを、ある期間にわたり測定し、前記取得した測定値を蓄積するステップと、
前記エネルギ消費および蓄積したエネルギの測定値を用いて、前記システムに関する正味エネルギ需要を導出するステップと、
予測される、より低い全体エネルギコストの時間に、前記電源供給からのエネルギを要求するための正味エネルギ需要を用いて、予測される、より高い全体エネルギコストの時間に、前記システムにエネルギを供給するために要求されるエネルギを前記資源の前記エネルギ蓄積に蓄積するステップと、
前記供給のパラメータが、消費できる前記電源供給に、より多くのエネルギがあることを示す、所定の最大値を超えるとき、前記電源供給から取得されたエネルギを増加させ、かつ前記増加されたエネルギを前記資源の前記エネルギ蓄積に蓄積し、前記供給の前記パラメータが、エネルギの高い要求を示す、所定の最小値を下回るとき、前記電源供給からエネルギを採取することを低減するステップと、
を備え、
前記資源は、通常の需要を介して、入力容量の第1の割合を受信するように制限され、前記入力容量の残りの第2の割合は、前記システムにより測定された前記パラメータが、前記所定の最大値を超えるとき、過剰電力をオフロードするために、前記電源供給に利用可能である、方法。
【請求項9】
前記資源は、通常の需要を介して、入力容量の50%の最大値を受信するように制限され、他の50%は、前記システムにより測定された前記パラメータが、前記所定の最大値を超えるとき、過剰電力をオフロードするために、前記電源供給に利用可能である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記パラメータは、周波数である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記所定の最大値は、前記電源供給の公称周波数より1%高い、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記所定の最小値は、前記電源供給の公称周波数より1%低い、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記パラメータは、電圧である、請求項8または9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エネルギのユーザコストを最適化し、電力需要をより良く調整するように電力供給者を支援するためのビルエネルギ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
既存のビルエネルギ管理システムは、ビル技術サービス(HVAC、照明等)およびビルにより使用されるデバイスのエネルギ消費を管理し、制御し、モニタするのを助けるコンピュータベースシステムであるという意味において一般的には、受動的である。ビルエネルギ管理システムは、ビルシステム管理者が、ビルのエネルギ利用を理解し、ビルのエネルギ性能を制御し、改善することの両方を必要とする情報とツールを提供する。これらのレガシシステム(legacy systems)は、システムを制御するために自動的に人口知能を使用せず、むしろ、エネルギ消費をより良く制御するためのツールと情報を人間の管理者に提供する。
【0003】
最近、BuildingIQ(登録商標)のような限定的な人口知能システムは、ローカルな気象情報、ビルの占有率、エネルギ価格、料金(tariff)および需要の応答信号を継続的に取得する。これらの入力に基づいて、そのようなシステムは、数千のシミュレーションを実行して、次の24時間の最も効率的な運用戦略に到達する。次にそのようなシステムは、ビル管理システムと通信して、ビルの加熱、冷却および換気を変更して、設定を最適化する。
【0004】
従来システムは、いずれも、エネルギ供給側の問題について注意を払っていない。エネルギ発生システムは、需要が低いとき、過度のエネルギを生成し、需要が高いとき不十分なエネルギを生成する傾向がある。その結果、余分な需要を満たすために、高価な予備の発電システムを、稼働させる必要がある。
【0005】
過度の供給は、需要の少ないときや、エネルギの過剰供給時に電力を消費する魅力的な料金を消費者に提供する発電会社を通じて処理される。したがって、一定期間にわたって需要を円滑にし、予備の発電能力の必要性を最小限に抑えることができるエネルギ管理システムの要求がある。
【発明の概要】
【0006】
この発明によれば、空間を換気、加熱および/または冷却するのに使用されるエネルギ消費および蓄積システムにおけるエネルギを管理する方法であって、前記システムは、電源に接続され、電源のパラメータを測定するステップと、一定期間にわたってシステム時間に対するエネルギ消費を測定し、得られた測定値を蓄積するステップと、一定期間にわたってシステム内の時間に対して蓄積されたエネルギを測定し、得られた測定値を蓄積するステップと、エネルギ消費と蓄積されたエネルギの測定値を用いて、システムに必要な正味エネルギ需要を導き出すステップと、予測された、より低い全体エネルギコストの時間に、電力供給から、エネルギを要求する必要がある、基本となる正味エネルギを使用し、予測されたより高い、全体のエネルギコストの時間に、システムにエネルギを供給するように要求されたエネルギを蓄積するステップと、電力供給において、消費し得るより多くのエネルギがあることを示す、あらかじめ設定された最大値を、電源供給のパラメータが超えるとき、電源供給から取るエネルギを増加させ、蓄積し、電源供給のパラメータが、電力量に関する高需要を示すあらかじめ設定された最小値を下回るとき、電源供給からエネルギを取るのを低減するステップと、を備える、方法が提供される。
【0007】
前記パラメータは、通常、周波数であるが、電圧もまた使用することができる。この発明において、「全体のエネルギコスト」は、所定の期間にわたって、場所(site)内のシステムが負担する総費用を意味する。所定の期間は、相対的な短い期間か、または関心のある場所で使用される蓄積システムの性質に応じて数日の長い期間であり得る。この発明の他の特徴は、添付図面と特許請求の範囲から確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、この発明の方法を用いるビルの例示制御システムの概略図である。
【
図2】
図2は、冷却資源(air cooling asset)の概略図である。
【
図3A】
図3Aは、
図2の冷却システム上での
図3Dの発明の使用を含む、種々のエネルギ管理方法の使用を説明する。
【
図3B】
図3Bは、
図2の冷却システム上での
図3Dの発明の使用を含む、種々のエネルギ管理方法の使用を説明する。
【
図3C】
図3Cは、
図2の冷却システム上での
図3Dの発明の使用を含む、種々のエネルギ管理方法の使用を説明する。
【
図3D】
図3Dは、
図2の冷却システム上での
図3Dの発明の使用を含む、種々のエネルギ管理方法の使用を説明する。
【
図3E】
図3Eは、
図2の冷却システム上での
図3Dの発明の使用を含む、種々のエネルギ管理方法の使用を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1において、ビルまたはビル群102は、ビルまたはビル群101の個々の部屋またはエリアに展開する多数の換気、加熱および/または冷却デバイス資源1、資源2、資源3・・・資源Nを含む。資源1、2、3・・・Nは、単独でまたは集合的にエネルギを蓄積する能力を有する。エネルギ蓄積は、例えば、ヒートシンク、バッテリ、フライホイール、アップヒルポンピングデバイス(up-hill pumping device)その他であり得る。ビルまたはビル群101の換気、加熱および/または冷却は、資源1、2、3・・・Nをオンおよびオフしてエネルギを蓄積させるビルエネルギ管理システム103により制御される。資源1、2、3、・・・Nは、送電網105から電力141を引き出す。各々の引き出された電力は、イーサネットまたはWi-Fi接続(各資源への個々の電力接続は、明確さのために省略される)を使用するビルエネルギ管理システム103により制御される。
【0010】
ブロードバンド接続131は、ビルエネルギ管理システム103を、ビルまたはビル群102から遠隔の、または同じ場所にあるサーバまたはサーバ群107に接続する。サーバは、ビルエネルギ管理システム103を介してこれらの資源から得られる資源1、2、3・・・Nの既知の消費パターンに基づいてエネルギ要件に関して、時間に対する予測情報115を発生するための人口知能ネットワークを提供する。この情報は、日ごとに代わり得る、利用パターンを反映させるために週の各曜日毎の各資源1、2、3・・・Nに関するプロファイル113として蓄積される。予測されたおよびスポットエネルギコスト情報109は、電力供給者から取得され、資源に関するコストモデルに供給される。気象情報111、特に、ビルまたはビル群101の地域における近い将来の温度および湿度予測が、サーバ(複数の場合もある)107にダウンロードされる。
【0011】
サーバ107上のニューラルネットワークは、経験に基づいてプロファイル113を継続的に更新する回帰ベースの予測学習プログラムであり、このようにして、プロファイルは、時間の経過とともに、「より賢くなり」または、より現実を反映するようになる。気象情報111を資源プロファイル113と組み合わせることにより、資源の来るべきエネルギ需要の時間毎/分毎の予測を得ることができる。これをコスト情報109と組み合わせることにより、エネルギコストが最も低いときに送電網105から電力を引き出すようにエネルギ引き出しファイル(energy draw-down profile)を用意するために、ビルエネルギ管理システムに対するコストとプログラムを予測し、エネルギコストが高いときに、使用するのに十分過度なエネルギを、資源1、2、3・・・Nに蓄積させ、資源1、2、・・・Nが予測されるより高いコストの時間に、送電網105からエネルギを引き出す必要が無いようにすることが可能である。
【0012】
しかしながら、
図1に示す実施形態は、これよりもさらに進んでいる。リンク151を介して、サーバ107上のニューラルネットワークは、送電網の周波数が例えば、通常の周波数(英国では50Hz)を1%上回って増加するために、送電網105内の過度の電力がある時を識別する。その時点で、サーバ107は、資産1、2、3・・・Nにあらかじめ設定された最大値までエネルギを取り込んで蓄積させるようにビルエネルギ管理システムを切り替える。その引き出し(draw down)に加えて、特定の時間に、エネルギプロファイルに従って引き出されるものが、利用可能な容量を超える資産を取得する場合、(事前設定されたプロファイルに従うのではなく)送電網から余分なエネルギを引き出すことが優先されるので、管理システムは、常に、電力供給者に、合意された最大値までの過剰エネルギを吸収する能力の利用可能性を保証する。過度のエネルギを最大値まで吸収する能力は、時間ベースでエネルギ供給者と合意することができるので、記載される容量は、その日または週のある時間における送電網にのみ、利用可能である。
【0013】
図2は、
図1のシステムが適用される資源の1つであり得る、冷却ユニットの概略図を示す。ユニットは、部屋のような閉じられた空間から熱交換機203を介して、空気を冷却装置へ送り込むファン202が取り付けられるダクト201を備える。冷却装置からの温かい空気は、熱交換機203を通過し、液体貯蔵タンク211の基部からの冷ダクト212から熱交換器を通過する流体に熱を与え、暖められた流体を、流体貯蔵タンクの上部に運ぶ。暖められた流体は、温かい流体ダクト224を介してタンク211の上部から電気冷却装置221または吸収冷却装置222に運ばれる。冷却装置では、流体は、冷却されて冷却流体ダクト223を介して、タンク211の底部に戻される。電気冷却装置221および吸収冷却装置222の両方とも、冷却装置内のポンピングプロセスでエネルギが消費される。
【0014】
タンク211の使用は、ユニットに冷却された流体のためのかなりの蓄積容量を与える。したがって、冷却装置221または222が、熱交換器203において即時の需要を満たすために、より多くの流体を冷却可能にすることにより、冷却された流体の蓄積は、後の使用のために構築される。ある意味、タンク211は、システム内のエネルギバッテリとして動作する。低エネルギコストの時間に、冷却装置を動作させ、後の使用のために、冷却した流体を蓄積することにより、冷却装置が、熱交換器203からの即時の需要に適合するために動作されるシステムに対して、かなりのコスト削減を達成することができる。
【0015】
簡単な公知のシステムにおいて、熱交換機203は、タンク211なしで、冷却装置221または222に直接接続される。この場合、冷却装置に対する最大需要は、外気温が最高であり、おそらく、他の場所にある同様の機器がエネルギ資源を要求していて、おそらく、送電網の供給が不足している日の時間帯に生じる。この発明を採用することにより、エネルギは、低コストおよび/または過度の供給の時間帯に送電網から取り出すことができ、供給不足および/またはコストが高いときには、取らないことができる。冷却するのではなく、加熱するために、ライン212、213、223、224の流れを逆にし、冷却装置を流体加熱器として機能させる。
【0016】
図3A乃至3Eは、
図2に示された資産に使用されたこの発明のエネルギ管理システムの有益な影響を説明する。
図3Aにおいて、商業施設への電力供給の一般的な価格設定構造が示される。06:30から17:30の間、また20:30から03:30の間には、標準料金が適用される。03:30から06:30の間は、価格302が低く、標準料金の約半分である。17:30と20:30の間は、価格は303であり、この時点でのエネルギに対する高い需要を反映している。
【0017】
図3Bは、
図2のバー310の資産エネルギ需要と、主にタンク内の流体貯蔵の結果としての資産バー311からのエネルギ損失を示す。このモードの
図2の資産は、従来の要件のパターン、気象情報、すなわち外気温の予測に基づいて資産へのエネルギ供給を制御する従来のビルのエネルギ管理システムで動作している。従って、システムは、短期的な予測とニーズを満たすために、送電網からエネルギを引き出す傾向がある。送電網から随時取得される電気エネルギは、バー322で示され、ライン321は、蓄積されたエネルギを示す(
図2の資産の場合)。これは、タンク211内の冷却流体の形である。消費されるエネルギと要求されるエネルギを一致させることにより、システムは、タンク内のエネルギ貯蔵を容量の約50%に維持し、貯蔵エネルギは、ライン324で表される。システムのエネルギ貯蔵容量には、約50%の冗長性があるが、システムは、17:30~20:30のピーク期間に、送電網からかなりの量のエネルギを消費する。
【0018】
図3Cは、同じシステムを示すが、現在は、エネルギ価格情報を使用する。このモデルでは、価格が最も低いときに、予測される将来の需要を考慮して、システムが総容量までエネルギを消費する。このモデルのエネルギ消費のパターン310は、既存の標準的なビルのエネルギ管理システムによるモデル制御のパターンと同じである。資産は、料金が最低のとき、03:30と06:30との間の送電網からエネルギを取り、そのエネルギを、冷却された流体として蓄積し、蓄積されたエネルギが、およそ11:30の蓄積されたエネルギの約10%に低減するまで、システムからさらなるエネルギを取らないことを優先させる。その時点での料金は、標準的な料金であるため、蓄積を、容量の10%に維持するのに十分なエネルギを引き出すが、当面は、過剰に引き出さない。例示された資産の場合、需要が高い時間は、電力供給料金が最高になったときの17:30と20:30の間である。最高の料金の支払いを回避するために、システムは、高い需要を予測し、標準料金が適用されるときに、その需要を満たすのに十分なエネルギを蓄積する(標準料金は、ピーク料金の約半分である)。蓄積されたエネルギは、ライン331により示される。ライン331は、電力が相対的に安いとき、蓄積するために、送電網からエネルギが引き出された後ピークに上昇し、エネルギが相対的に高価な期間に、エネルがタンク211から取り出され、使用されると、降下するように見ることができる。図示するように、ライン331は、蓄積が需要に単純に一致している場合、容量の10%に低下する。エネルギ貯蔵パターンが、
図3Bのパターンから変化すると、ライン311で表される資産からのエネルギ損失が変化する。損失は、エネルギ再充電直後の
図3Bの損失よりも大きくなるが、エネルギ貯蔵が、容量の10%に減少すると、減少する。全体の損失は、
図3Bの従来のビルのエネルギ管理システムと比較して、以前の値から44%減少し、ランニングコストは、17.6%減少した。
【0019】
発電会社は、生成された過剰エネルギを吸収するか、エネルギ需要が発電能力を超えた場合に、短時間、供給を停止する必要があるため、発電会社は、過剰エネルギを取得するために支払う料金を有する。
図3Dにおいて、システムは、どの時点においても入力容量の50%を超えて要求しないように構成され、残りの50%の容量は、送電網のエネルギに利用可能である。これは、
図1を参照して記載したように、送電網の周波数をモニタすることにより制御され、短時間利用可能な容量まで電力を流し、タンク211に蓄積することを可能にする。モニタリングシステムは、また送電網の周波数の低下により、送電網上の発電能力の不足を識別する。システムは、資産が電力を取るのを停止する。この後者の能力は、電力供給会社が、主要な商業消費者のスポット価格に、増加的に移行すると、さらに重要になる。この場合、価格は、いつでも実際の需要に関連する。
【0020】
図3Dは、
図2に示すエネルギ消費資源に関連して、
図1に記載した、エネルギ管理システムの使用の効果を説明する。
図3Dにおいて、エネルギ管理システムは、バー342により表される、資源の電力採取を、容量の50%に制限し、バー343により示される他の50%は、過剰電力のオフロード(off-load)のために送電網に利用可能である。バー310により表される、任意の時刻における資産の出力は、変わらないが、タンク211(
図2)に蓄積されたエネルギの補充の割合は、長期間にわたって広がる。しかし、これらの期間は、エネルギコストが、ピークコストを下回る期間なので、供給される合計エネルギに対するコストに関する、
図3Cのモデルと相違はない。しかしながら、資源の50%の合計容量まで、過剰エネルギをオフロード(off-load)するための、送電網の容量があるので、この施設に対する、エネルギ会社からのさらなる支払いがある。さらに、資産は、送電網の需要が高い場合、短期間の供給の撤回に耐える弾力性があり、これは、送電網の周波数が、現在のレベル、例えば公称周波数より1%低下したことが検出された場合に実行可能である(英国では50Hz)。
【0021】
図3Dにおいて、システムの損失が、バー311で示される。これらは、
図3Cのモデルよりも少し高くなるが、
図3Bのモデルよりも依然としてかなり低い。しかしながら、
図3Bの標準ビルエネルギモデルに対して、消費者のコストを削減する。下記表1は、
図3B、3C、および3Dのモデルの影響を説明する。
【表1】
この発明を用いると達成可能な節約が、かなりのものであることがわかる。
図3Eは、2つの別の連続する夏日についてのコストを示す。1日目は、例3B、3Cおよび3Dが作成された日である。2日目は、暖かった次の日である。暖かな天気の結果として、より多くのエネルギが、2日目に消費されたが、従来技術のビル管理システムのバー351(1日目)と361(2日目)からの相対的なコスト削減は、一般的なビル管理制御を用いたコストを示し、バー371と372は、エネルギコストによって管理する1日目と2日目のコストを示し、バー381と382は、この発明によるビルエネルギ管理システムを用いた1日目と2日目のコストを示す。ライン391は、従来のビル管理システムを使用した1日目と2日目の累積コストを示し、ライン392は、同様であるが、コストに基づいて制御するビル管理システムを使用し、ライン303は、ビル管理システムを使用した、1日目と2日目の累積コストを示す。
【0022】
ビルの資産は、スペース冷暖房システムの例として記載したが、原理は、ビル内のあらゆる暖房、冷房、または暖房資産に適用可能であり、実際には、機械および他の動力デバイスが提供され、それらは、関連するエネルギ蓄積を有する。記載したエネルギ蓄積体は、流体タンクであるが、バッテリやフライホイールのような他のエネルギ蓄積体を使用することができる。そのような蓄積体の他の主たる基準は、それらが蓄積するための十分な容量を有し、電力が遮断可能な期間に、関係する資産にエネルギを供給することである。
【0023】
システムのさらなる開発では、ビルのエネルギ制御システムによって開発された予測需要情報を、エネルギ供給会社に転送(export)して、その情報を使用して、ビル管理にアプローチし、予測需要制御システムを変更して、予想される電力供給不足に適合させることができる。支払い協定は、不足をカバーするために、スポットマーケットで、会社が支払わなければならない価格に比べて、電力供給会社に対する節約を表す電力供給者と、ビル管理との間で合意することができる。説明した例では、周波数は、供給または不足における過度のエネルギを決定するために使用された電力供給のパラメータである。しかしながら、供給における電圧の測定も、代替として使用することができる。