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特許7483097反射率調整膜、積層体、及び反射率調整膜の製造方法
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  • 特許-反射率調整膜、積層体、及び反射率調整膜の製造方法 図1
  • 特許-反射率調整膜、積層体、及び反射率調整膜の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】反射率調整膜、積層体、及び反射率調整膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/023 20190101AFI20240507BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20240507BHJP
   G02B 1/115 20150101ALI20240507BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20240507BHJP
【FI】
B32B7/023
B32B9/00 A
G02B1/115
G02B1/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023075063
(22)【出願日】2023-04-28
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100227019
【弁理士】
【氏名又は名称】安 修央
(72)【発明者】
【氏名】小川 雄平
(72)【発明者】
【氏名】岸本 智子
【審査官】中西 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-34502(JP,A)
【文献】特開平5-11101(JP,A)
【文献】特開2006-284778(JP,A)
【文献】特開2006-215081(JP,A)
【文献】特開2018-173166(JP,A)
【文献】特開平3-162943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B、G02B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の反射率を調整する反射率調整膜であって、
複数の膜が積層されており、
前記複数の膜は、低屈折率膜と、前記低屈折率膜よりも屈折率が大きい高屈折率膜とを含み、
前記低屈折率膜は、二酸化ケイ素(SiO)及び酸化イットリウム(Y)を含む混合物により形成され、ただし、前記酸化イットリウム(Y)については、イットリウム(Y)原子の一部が4A族元素の原子に置換されており、
前記高屈折率膜と隣接する膜のうち、少なくとも一つの膜の屈折率は、前記高屈折率膜の屈折率よりも小さい、
反射率調整膜。
【請求項2】
前記酸化イットリウム(Y)については、さらに、酸素(O)原子の一部が窒素(N)原子に置換されている請求項1記載の反射率調整膜。
【請求項3】
前記低屈折率膜中における前記酸化イットリウムの含有率が1.0mol%以上である請求項1記載の反射率調整膜。
【請求項4】
前記低屈折率膜中における前記4A族元素の原子が、ジルコニウム(Zr)原子である請求項1記載の反射率調整膜。
【請求項5】
前記低屈折率膜の波長500nmの光に対する屈折率が1.47~1.58の範囲である請求項1記載の反射率調整膜。
【請求項6】
前記高屈折率膜が五酸化タンタル(Ta)により形成されている請求項1記載の反射率調整膜。
【請求項7】
光の反射を防止する反射防止膜である請求項1記載の反射率調整膜。
【請求項8】
基材の少なくとも一方の面上に、請求項1から7のいずれか一項に記載された反射率調整膜が形成されている、積層体。
【請求項9】
前記反射率調整膜における前記複数の膜の中で、前記基材から最も離れている膜が、前記低屈折率膜である、請求項8記載の積層体。
【請求項10】
前記低屈折率膜を形成する低屈折率膜形成工程と、前記高屈折率膜を形成する高屈折率膜形成工程とを含み、
前記低屈折率膜形成工程において、前記低屈折率膜をスパッタ法により形成し、かつ、前記高屈折率膜形成工程において、前記高屈折率膜をスパッタ法により形成する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の反射率調整膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、反射率調整膜、積層体、及び反射率調整膜の製造方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板等の面上には、光の反射率を調整する反射率調整膜が積層されて用いられることがある。例えば、特許文献1には、反射率調整膜として、光の反射を防止する反射防止膜が記載されている。特許文献1の反射防止膜は、例えば、ガラス基板上に低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層させて形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019-151321号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような構成の反射率調整膜は、硬度が低い(軟らかい)ため、使用時等において傷がつくおそれがある。このため、反射率調整膜の硬度を上げて耐擦傷性等を向上させる目的で、反射率調整膜とは別の層として、基材上にハードコート層を設けることができる。
【0005】
しかし、反射率調整膜とは別の膜としてハードコート層を設ける場合、その分工程数が多くなる。また、ハードコート層上に反射率調整膜を形成する場合に、反射率調整膜中に異物が混入するおそれがある。
【0006】
そこで、本開示の少なくとも一実施形態は、硬度が高い反射率調整膜、この反射率調整膜が形成された積層体、及び反射率調整膜の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本開示の少なくとも一実施形態に係る反射率調整膜は、
光の反射率を調整する反射率調整膜であって、
複数の膜が積層されており、
前記複数の膜は、低屈折率膜と、前記低屈折率膜よりも屈折率が大きい高屈折率膜とを含み、
前記低屈折率膜は、二酸化ケイ素(SiO)及び酸化イットリウム(Y)を含む混合物により形成され、ただし、前記酸化イットリウム(Y)については、イットリウム(Y)原子の一部が4A族元素の原子に置換されており、
前記高屈折率膜と隣接する膜のうち、少なくとも一つの膜の屈折率は、前記高屈折率膜の屈折率よりも小さい、
反射率調整膜である。
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態に係る積層体は、基材の少なくとも一方の面上に本開示の少なくとも一実施形態に係る反射率調整膜が形成されている積層体である。
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態に係る反射率調整膜の製造方法は、前記低屈折率膜を形成する低屈折率膜形成工程と、前記高屈折率膜を形成する高屈折率膜形成工程とを含み、前記低屈折率膜形成工程において、前記低屈折率膜をスパッタ法により形成し、かつ、前記高屈折率膜形成工程において、前記高屈折率膜をスパッタ法により形成する、本開示の少なくとも一実施形態に係る反射率調整膜の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、硬度が高い反射率調整膜、この反射率調整膜が形成された積層体、及び反射率調整膜の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施形態に係る反射率調整膜、及び本開示の実施形態に係る積層体の一例を示す断面図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係る、ハードコート層及び反射率調整膜を有する積層体の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示において、「上に」又は「面上に」は、上に、又は面上に直接接触した状態でもよいし、他の層等を介した状態でもよい。
【0013】
本開示において、何らかの現象の「抑制」という場合は、特に断らない限り、それらの現象の発生を小さく抑える場合に限定されず、それらの現象の発生をなくす場合も含むものとする。
【0014】
本開示において、「反射率調整膜」という場合は、特に断らない限り、入射した光の反射率を、膜厚、屈折率等を変更することで調整可能な膜状の構造物をいう。
【0015】
本開示において、「膜厚」という場合は、特に断らない限り、「物理膜厚」であってもよいし、「光学膜厚」であってもよい。
【0016】
以下、本開示の具体的な実施形態を、必要に応じて図面等を用いて説明する。各図は、説明の便宜のため、適宜省略、誇張等をして模式的に描いている。また、以下の実施形態及び実施例においてメカニズム及び原理について言及する場合、記載されたメカニズム及び原理はあくまで推定であり、記載されたメカニズム及び原理に限定されるものではない。
【0017】
[1.反射率調整膜及び積層体]
まず、本開示のいくつかの実施形態に係る反射率調整膜及び積層体について、例をあげて説明する。
【0018】
[1-1.反射率調整膜及び積層体の構成等]
図1の断面図に、本開示の実施形態に係る反射率調整膜及びそれを用いた本開示の実施形態に係る積層体の一例の構成を模式的に示す。図示のとおり、本開示の実施形態に係る積層体100は、基材20の一方の面上に本開示の実施形態に係る反射率調整膜10が形成されている。反射率調整膜10は、光が入射される複数の膜(後述する、低屈折率層11及び高屈折率層12)が積層されて形成された膜である。反射率調整膜10は、低屈折率膜11及び高屈折率膜12が交互に積層されて形成されている。同図では、基材20に隣接した膜及び基材20から最も遠い膜は、それぞれ低屈折率膜11である。
【0019】
低屈折率膜11及び高屈折率膜12の積層順序は特に限定されないが、反射率調整膜10を反射防止膜として用いる場合は、基材20から最も遠い膜は低屈折率膜11である。
【0020】
図1では、低屈折率膜11の数は3層で、高屈折率膜12の数は2層である、しかし、本開示の実施形態に係る反射率調整膜において、低屈折率膜及び高屈折率膜の数は限定されず、それぞれ少なくとも1層あればよい。本開示の実施形態に係る反射率調整膜において、低屈折率膜及び高屈折率膜の数の合計は、下限は、3層以上が好ましく、より好ましくは5層以上であり、上限は、特に限定されないが、例えば、30層以下、20層以下、15層以下、又は10層以下であってもよい。低屈折率膜及び高屈折率膜の数の合計が小さいほど(すなわち、低屈折率膜及び高屈折率膜の数の合計の層数が少ないほど)、本開示の実施形態に係る反射率調整膜の生産に要する時間を短縮できたり、あるいは生産に要するコストを低減することができたりするため好ましい。また、低屈折率膜及び高屈折率膜の数の合計が大きいほど(すなわち、低屈折率膜及び高屈折率膜の数の合計の層数が多いほど)、本開示の実施形態に係る反射率調整膜の、目的とする反射率等を得やすくなるため好ましい。
【0021】
基材20は特に限定されないが、例えば、板状の基材であってもよい。また、基材20の材質はガラス、樹脂等であってもよい。ガラスとしては、例えば、ガラス板、ガラスレンズ等があげられる。樹脂としては、例えば、樹脂板、樹脂レンズ等があげられる。樹脂の材質は、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、PC(ポリカーボネート)、アクリル樹脂等があげられる。前記ポリオレフィンとしては、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、COP(シクロオレフィンポリマー)等があげられる。前記ポリエステルとしては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)等があげられる。前記アクリル樹脂としては、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)等があげられる。また、図1では基材20は一層であるが、これに限定されず、複数の層の積層体であってもよく、その場合、各層は同一でも異なっていてもよい。積層体100は、例えば、反射率調整膜10を有するレンズ、窓ガラス等であってもよい。
【0022】
図1の反射率調整膜10は、低屈折率膜11及び高屈折率膜12のみを含む。しかし、本開示の実施形態に係る反射率調整膜はこれに限定されず、低屈折率膜及び高屈折率膜以外の他の層を含んでいてもよい。また、低屈折率膜11の数は3層であり、高屈折率膜12の数は2層であり、図1の反射率調整膜10は、低屈折率膜11と高屈折率膜12とが直接接触して積層されているが、本開示の実施形態に係る構成はこの構成に限定されず、例えば、低屈折率膜及び高屈折率膜以外の他の層を介して積層されていてもよい。さらに、図1では、基材20上に反射率調整膜10が直接接触して積層されている。しかし、本開示はこれに限定されず、例えば、基材20上に低屈折率膜11と高屈折率膜12以外の他の層を介して反射率調整膜10が積層されていてもよい。ただし、前記他の層等に由来する異物が反射率調整膜中に混入することを抑制する観点からは、本開示の実施形態に係る反射率調整膜及び本開示の実施形態に係る積層体は、低屈折率膜及び高屈折率膜以外の他の層を含まないことが好ましい。
【0023】
また、図2に、本開示の実施形態に係る、ハードコート層及び反射率調整膜を有する積層体の一例を示す。図示のとおり、この積層体100aは、基材20の一方の面上にハードコート層30が形成され、ハードコート層30における基材20とは反対側の面上に、反射率調整膜10aが形成されている。反射率調整膜10aは、低屈折率膜11a及び高屈折率膜12aが交互に積層されて形成されている。同図では、ハードコート層30に隣接した(基材20に最も近い)膜及び基材20から最も遠い膜は、それぞれ低屈折率膜11aである。
【0024】
図2のように反射率調整膜とは別の層としてハードコート層を用いると、例えば、反射率調整膜の硬度を上げて耐擦傷性等を向上させることができる。しかし、前述のとおり、ハードコート層を設ける分工程数が多くなる。また、ハードコート層上に反射率調整膜を形成する場合に異物が反射率調整膜中に混入するおそれがある。これに対し、図1の実施形態に係る反射率調整膜10は、ハードコート層が無くても硬度が高いため、このような課題を解決できる。
【0025】
本開示の実施形態に係る反射率調整膜は、前述のとおり、低屈折率膜は、二酸化ケイ素(SiO)及び酸化イットリウム(Y)を含む混合物により形成され、ただし、酸化イットリウム(Y)については、イットリウム(Y)原子の一部が4A族元素の原子に置換されている。酸化イットリウム(Y)については、さらに、酸素(O)原子の一部が窒素(N)原子に置換されていてもよい。酸化イットリウム(Y)の酸素(O)原子の一部が窒素(N)原子に置換されることにより、塩基性を有する物質に対する低い密着性、及びある種の物質に関する防汚性の付与が期待される。密着性及び防汚性が付与される原理は、例えば、酸素(O)原子の一部が窒素(N)原子に置換されることにより、反射率調整膜表面の活性基である水酸基が失活することによるものと考えられる。
【0026】
なお、酸化イットリウム(Y)は二酸化ケイ素(SiO)よりも硬度が高い。このため、酸化イットリウム(Y)及び二酸化ケイ素(SiO)を含む混合物により形成された膜は、二酸化ケイ素(SiO)のみから構成される低屈折率膜よりも硬度が高くなると考えられる。また、酸化イットリウム(Y)におけるイットリウム(Y)原子の一部が4A族元素の原子に置換されることで、例えば、低屈折率膜を構成する結晶の結合が強固になる。これによれば、低屈折率膜中のイットリウム(Y)原子の一部が4A族元素の原子に置換された場合は、置換されていない場合よりも硬度が高くなると考えられる。
【0027】
本開示の実施形態に係る反射率調整膜の硬度は特に限定されない。しかし、基材がガラスである場合、反射率調整膜の硬度は6.0GPa以上が好ましく、より好ましくは、6.1GPa以上である。上限値は、例えば、11GPa以下である。
【0028】
なお、本開示において、硬度は、後述する実施例記載の方法により測定した数値である。ただし、本開示において、硬度は、後述する測定方法以外で測定してもよい。
【0029】
本開示の実施形態に係る反射率調整膜は、反射防止膜であってもよいが、これに限定されない。例えば、本開示の実施形態に係る反射率調整膜は、光の透過率がほぼ0%であってもよい。このような反射率調整膜は、例えば、光の反射率がほぼ100%のミラーであってもよい。本開示の実施形態に係る反射率調整膜において、光の反射率、透過率等は、例えば、低屈折率膜及び高屈折率膜のそれぞれの数、膜厚、屈折率、積層順序等を適宜設定することにより調整できる。また、本開示の実施形態に係る反射率調整膜において、光の反射率、透過率等は、例えば、光の波長によって異なるように調整することもできる。
【0030】
本開示の実施形態に係る反射率調整膜は、例えば、つぎの方法によって反射率が調整される。本開示の実施形態に係る反射率調整膜は、前述のとおり、複数の膜が積層されて構成される。互いに隣接する複数の膜の屈折率は、隣接する膜同士で異なる屈折率を有する。ここで、一方の膜から他方の膜に光が入射した場合、隣接する2つの膜の屈折率が異なるとき、入射した光の一部が隣接する2つの膜の境界で反射する。隣接する2つの層の屈折率の差が大きいほど、反射した光の強度は大きくなる。また、積層された複数の膜の膜厚は、隣接する2つの膜の境界で起こる反射光の位相に影響を及ぼす。本開示の実施形態に係る反射率調整膜では、積層された複数の膜それぞれの境界において、光が反射する。したがって、積層された複数の膜の屈折率及び膜厚を調整することにより、本開示の実施形態に係る反射率調整膜の反射率を調整することができる。
【0031】
本開示の実施形態に係る反射率調整膜が反射防止膜である場合、光の反射率の上限値は、特に限定されないが、可視光(380nm-780nm)における平均反射率が、2.5%以下であることが好ましく、2.0%以下、1.5%以下、又は1.0%以下であることがより好ましい。前記反射率の下限値は、特に限定されないが、例えば、0又は0を超える数値である。
【0032】
なお、本開示において、光の反射率は、光の反射率を測定可能な装置を用いて測定してもよい。光の反射率を測定可能な装置としては、例えば、大塚電子株式会社製の反射分光膜厚計(商品名:FE-3000)があげられる。光の反射率は、入射光の波長、低屈折率膜及び高屈折率膜の膜厚、これらの膜の光学定数、及び基板の光学定数より測定した数値とすることができる。ただし、本開示において、光の反射率は、上記の測定方法以外で測定してもよい。また、本開示において、光の反射率は装置を用いた実測値であってもよく、光学シミュレーションソフト等により計算されたシミュレーション値であってもよい。
【0033】
[1-2.低屈折率膜]
以下、本開示の実施形態に係る反射率調整膜における低屈折率膜について、例をあげて説明する。
【0034】
前記低屈折率膜の屈折率は、特に限定されないが、例えば、波長500nmの光に対する屈折率が1.47~1.58の範囲である。
【0035】
なお、本開示において、屈折率は、例えば、屈折率を測定可能な装置を用いて測定した数値とすることができる。屈折率を測定可能な装置としては、例えば、大塚電子株式会社製の反射分光膜厚計(商品名:FE-3000)があげられる。ただし、本開示において、屈折率は、下記測定方法以外で測定してもよい。
【0036】
本開示の実施形態に係る反射率調整膜における低屈折率膜は、前述のとおり、二酸化ケイ素(SiO)及び酸化イットリウム(Y)を含む混合物により形成され、ただし、酸化イットリウム(Y)については、イットリウム(Y)原子の一部が4A族元素の原子に置換されている。酸化イットリウム(Y)については、さらに、酸素(O)原子の一部が窒素(N)原子に置換されていてもよい。低屈折率膜中における酸化イットリウムの含有率は、特に限定されないが、例えば、下限値は、1.0mol%以上が好ましく、1.1mol%以上がより好ましく、上限値は、反射防止性能向上の観点から、10mol%未満が好ましく、6mol%未満がより好ましい。
【0037】
なお、本開示において、膜中の原子の含有率は、例えば、X線光電子分光分析装置により測定した数値とすることができる。X線光電子分光分析装置としては、例えば、アルバック・ファイ株式会社製のX線光電子分光分析装置(商品名:PHI5000 VersaProbe2)があげられる。X線光電子分光分析装置によれば、試料にX線を照射し、試料表面から放出される光電子のエネルギーを測定することにより、表面の組成並びに化学結合状態に関する情報を得ることができるため、これにより、膜中の原子の含有率を測定可能である。なお、本開示において、膜中の原子の含有率は、下記測定方法以外で測定してもよい。
【0038】
また、本開示の実施形態に係る反射率調整膜における低屈折率膜は、二酸化ケイ素(SiO)及び酸化イットリウム(Y)以外の他の成分を含んでいても含んでいなくてもよい。他の成分としては、例えば、フッ化マグネシウム(MgF)等があげられる。
【0039】
本開示の実施形態に係る反射率調整膜において、低屈折率膜に含まれる酸化イットリウム(Y)については、イットリウム(Y)原子の一部が4A族元素の原子に置換されている。この4A族元素の原子は、特に限定されないが、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)及びハフニウム(Hf)からなる群から選択される少なくとも一種類であってもよく、ジルコニウム(Zr)及びハフニウム(Hf)の少なくとも一方であることが好ましく、ジルコニウム(Zr)であることが特に好ましい。これらの原子又はこれらの形成材料については単一で用いてもよいし、これらの原子及びこれらの形成材料中の複数を組み合わせてもよい。
【0040】
本開示の実施形態に係る反射率調整膜は、低屈折率膜に含まれる酸化イットリウム(Y)について、イットリウム(Y)原子の一部が4A族元素の原子に置換されていることで、例えば、高い硬度(耐擦傷性等)を得ることができる。この理由は、例えば、イットリウム(Y)原子の一部が4A族元素の原子(例えば、ジルコニウム(Zr))に置換されたものは、酸化イットリウム(Y)よりも硬度が高いためであると考えられる。
【0041】
また、本開示の実施形態に係る反射率調整膜における低屈折率膜は、例えば、結晶質であってもよい。低屈折率膜が結晶質であることは、例えば、X線回折法、電子線回折法、ラマン分光法等の一般的な結晶性評価方法により確認することができる。また、低屈折率膜に、窒素と4A族元素とを含有する酸化イットリウムが含まれていることは、例えば、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)によって特定することが可能である。
【0042】
前記低屈折率膜中において、酸化イットリウム(Y)中のイットリウム(Y)原子が4A族元素の原子に置換された置換率(4A族元素の原子の含有率)は、0を超えていれば特に限定されないが、上限値は、例えば、20mol%、15mol%、10mol%、又は5mol%であってもよい。
【0043】
前記低屈折率膜中において、酸化イットリウム(Y)について、酸素(O)原子の一部が窒素(N)原子に置換されている場合、酸化イットリウム(Y)中の酸素(O)原子が窒素(N)原子に置換された置換率(窒素原子の含有率)は、例えば、0を超えていれば特に限定されず、1atomic%以上であってもよく、上限値は、例えば、10atomic%、5atomic%、3atomic%、又は2atomic%であってもよい。
【0044】
また、前記低屈折率膜は、例えば、Hg、Ni、Cr、Co、Cu、Sn、Au、Pt、Pd、Sb、Ag、Fe又はZn等のアレルギー誘発成分となる金属元素や有害金属を含まなくてもよい。
【0045】
前記低屈折率膜の物理膜厚は、特に限定されず、目的とする光学特性に応じて適宜選択可能である。
【0046】
なお、本開示において、物理膜厚は、分光膜厚計により測定した数値とすることができる。分光膜厚計によれば、試料に光を照射し、照射した光に対する反射光の光路差に基づいて生じる位相のずれに起因する光干渉現象を測定することで、得られた反射スペクトルと屈折率から、膜厚を測定することができる。分光膜厚計としては、例えば、大塚電子株式会社製の反射分光膜厚計(商品名:FE-3000)があげられる。ただし、本開示において、物理膜厚は、上記の測定方法以外で測定してもよい。
【0047】
[1-3.高屈折率膜]
以下、本開示の実施形態に係る反射率調整膜における高屈折率膜について、例をあげて説明する。
【0048】
前記高屈折率膜の屈折率は、前記低屈折率膜の屈折率よりも高ければ特に限定されないが、例えば、波長500nmの光に対する屈折率は、下限値が、1.9以上であることが好ましく、上限値が、2.75以下、2.5以下、又は2.3以下であることが好ましい。
【0049】
本開示の実施形態に係る反射率調整膜において、前記高屈折率膜の形成材料は、特に限定されないが、例えば、五酸化タンタル(Ta)、五酸化ニオブ(Nb)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、及び酸化セリウム(CeO)から選択される少なくとも一つにより形成されていてもよいし、他の材料により形成されていてもよい。硬度及び屈折率の両立の観点からは、前記高屈折率膜は五酸化タンタルで形成されていることが好ましい。また、前記高屈折率膜が五酸化タンタルで形成されている場合、他の材料を含んでいてもよいし含んでいなくてもよい。これらの原子又はこれらの形成材料については単一で用いてもよいし、これらの原子及びこれらの形成材料中の複数を組み合わせてもよい。
【0050】
前記高屈折率膜の物理膜厚は、特に限定されず、目的の光学特性に応じて適宜選択可能である。
【0051】
[1-4.その他の膜]
本開示の実施形態に係る反射率調整膜は、例えば、その他の膜を含んでいてもよい。その他の膜としては、例えば、中屈折率膜があげられる。中屈折率膜は、前記低屈折率膜の屈折率よりも屈折率が高く、前記高屈折率膜の屈折率よりも屈折率が低ければ特に限定されない。前記中屈折率膜の形成材料は、特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウム(Al)により形成されていてもよいし、他の材料により形成されていてもよい。
【0052】
[2.反射率調整膜の製造方法及び積層体の製造方法]
本開示の実施形態に係る反射率調整膜及び本開示の実施形態に係る積層体を製造する方法は特に限定されないが、例えば、前記基材上に前記低屈折率膜及び前記高屈折率膜を順次形成すればよい。
【0053】
本開示の実施形態に係る反射率調整膜における前記低屈折率膜及び前記高屈折率膜を形成する方法は特に限定されないが、例えば、物理気相成長に分類される真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、又は、化学気相成長に分類される原子層堆積法、プラズマCVD法により行うことが好ましい。蒸着法は、膜の形成速度が速いが硬度が低い(軟らかい)膜になる傾向がある。スパッタ法は、膜の形成速度が遅いが硬度が高い(硬い)膜になる傾向がある。本開示の実施形態に係る反射率調整膜は、硬度の観点から、前記低屈折率膜及び前記高屈折率膜をそれぞれスパッタ法により形成することが好ましい。前記本開示の実施形態に係る反射率調整膜の製造方法及び本開示の実施形態に係る積層体の製造方法では、前述のとおり、前記低屈折率膜形成工程において、前記低屈折率膜をスパッタ法により形成し、かつ、前記高屈折率膜形成工程において、前記高屈折率膜をスパッタ法により形成する。
【0054】
なお、前記低屈折率膜を構成する酸化イットリウム(Y)について、さらに、酸素(O)原子の一部を窒素(N)原子に置換するために、例えば、アルゴン(Ar)に窒素(N)を加えた雰囲気下においてスパッタする方法(反応性スパッタ法)により膜形成を行ってもよい。
【0055】
前記本開示の実施形態に係る反射率調整膜の製造方法及び前記本開示の実施形態に係る積層体の製造方法における前記低屈折率膜形成工程及び前記高屈折率膜形成工程において、スパッタを実施する方法は特に限定されず、例えば、一般的なスパッタ法と同様又はそれに準じてもよい。
【0056】
前記低屈折率膜形成工程及び前記高屈折率膜形成工程において、製造効率の観点からは、スパッタ法による膜の形成速度が遅すぎないことが好ましく、膜の硬度の観点からは、スパッタ法による膜の形成速度が速すぎないことが好ましい。
【実施例
【0057】
以下、本開示の実施例について説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に限定されない。
【0058】
<使用材料>
低屈折率膜を形成するためのターゲットとして、二酸化ケイ素(SiO)、酸化イットリウム(Y)、及び酸化ジルコニウム(ZrO)を使用した。高屈折率膜を形成するためのターゲットとして、五酸化タンタル(Ta)を使用した。基材として、ガラスを使用した。
【0059】
<反射率調整膜が形成された積層体の製造>
スパッタ法により、実施例1~3及び比較例1の反射率調整膜が形成された積層体を製造した。なお、つぎに示す低屈折率膜及び高屈折率膜のスパッタは、すべて、アルゴン(Ar)に窒素(N)を加えた雰囲気下で行った。まず、前記低屈折率膜を形成するためのターゲットを、酸化イットリウム(Y)の組成が下記表1の組成となるよう、前記基材の一方の面上にスパッタし、低屈折率膜を形成した(1層目、物理膜厚250nm)。つぎに、前記高屈折率膜を形成するためのターゲットを、1層目の低屈折率膜の面上にスパッタし、高屈折率膜を形成した(2層目、物理膜厚15nm)。つぎに、前記低屈折率膜を形成するためのターゲットを、酸化イットリウム(Y)の組成が下記表1の組成となるよう、2層目の高屈折率膜の面上にスパッタし、低屈折率膜を形成した(3層目、物理膜厚30nm)。つぎに、前記高屈折率膜を形成するためのターゲットを、3層目の低屈折率膜の面上にスパッタし、高屈折率膜を形成した(4層目、物理膜厚115nm)。最後に、前記低屈折率膜を形成するためのターゲットを、酸化イットリウム(Y)の組成が下記表1の組成となるよう、4層目の高屈折率膜の面上にスパッタし、低屈折率膜を形成した(5層目、物理膜厚86nm)。このようにして得られた、ガラス基材に反射率調整膜が形成された積層体について、評価を行った。なお、前記の方法により形成した低屈折率膜は、酸化イットリウム(Y)のイットリウム(Y)原子の一部がジルコニウム(Zr)原子に置換され、かつ、酸化イットリウム(Y)の酸素(O)原子の一部が窒素(N)原子に置換されたものである。
【0060】
<評価方法>
上記のように形成した低屈折率膜について、下記の手順に従って、(1)屈折率を測定した。また、実施例1~3及び比較例1の反射率調整膜が形成された積層体について、下記の手順に従って、(2)硬度、及び(3)平均反射率を測定した。
【0061】
(1)屈折率
反射分光膜厚計(大塚電子株式会社製、商品名:FE-3000)を用いて、光の波長が500nmにおける低屈折率膜の屈折率を測定した。結果を下記表1に示す。
【0062】
(2)硬度
ナノインデンター(株式会社ELIONIX製、商品名:ENT-1100a)を用いて、製造した積層体における反射率調整膜の硬度を測定した。圧子としては、バーコビッチ(Berkovich)圧子を使用し、反射率調整膜を最大荷重1.5mNで押し込んだときのナノインデンテーション硬さ(硬度)を測定した。具体的には、まず、最大荷重になるまで一定の割合で負荷し、試料に圧子を押し込んだ。つぎに、荷重が0になるまで一定の割合で除荷し、試料から圧子を引き離した。負荷及び除荷の際の、圧子の変位を記録し、最大荷重を求めた。つぎに、圧子を押し込んだ時の接触部分の、接触投影面積(錐体の底面積)を求めた。求めた最大荷重を接触投影面積で除して、ナノインデンテーション硬さを求めた。結果を下記表1に示す。
【0063】
(3)平均反射率
光学シミュレーションソフト(TOHO TSUSHO INC.製、商品名:ThinFilmView)を用いて、可視光領域(380nm-780nm)における平均反射率のシミュレーション値を算出した。結果を下記表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
表1のとおり、実施例1~3は、比較例1よりも硬度が上昇した。また、低屈折率膜における酸化イットリウム(Y)の割合を増やすことで、硬度が上昇した。さらに、低屈折率膜における酸化イットリウム(Y)の割合を変更することで、平均反射率が変化することをシミュレーションにより算出した。
【0066】
また、実施例1~3の積層体は、紫外・可視・近赤外分光光度計(株式会社島津製作所製、商品名:SolidSpec-3700)で測定した全光線透過率が、いずれも95%であり透明性に優れる結果となった(表1において不記載)。さらに、実施例1~3の積層体は、いずれも鉛筆硬度(旧JIS K5400に準拠)が9H以上であり、高硬度であった(表1において不記載)。加えて、本実施例の方法により形成した低屈折率膜は、酸化イットリウム(Y)の酸素(O)原子の一部が窒素(N)原子に置換されたものであるが、酸化イットリウム(Y)の酸素(O)原子を窒素(N)原子に置換していない低屈折率膜においても、低屈折率膜における酸化イットリウム(Y)の割合を増やすことで、硬度が上昇した(表1において不記載)。
【0067】
さらに、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
【0068】
前記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載し得るが、以下には限定されない。
(付記1)
光の反射率を調整する反射率調整膜であって、
複数の膜が積層されており、
前記複数の膜は、低屈折率膜と、前記低屈折率膜よりも屈折率が大きい高屈折率膜とを含み、
前記低屈折率膜は、二酸化ケイ素(SiO)及び酸化イットリウム(Y)を含む混合物により形成され、ただし、前記酸化イットリウム(Y)については、イットリウム(Y)原子の一部が4A族元素の原子に置換されており、
前記高屈折率膜と隣接する膜のうち、少なくとも一つの膜の屈折率は、前記高屈折率膜の屈折率よりも小さい、
反射率調整膜。
(付記2)
前記酸化イットリウム(Y)については、さらに、酸素(O)原子の一部が窒素(N)原子に置換されている付記1記載の反射率調整膜。
(付記3)
前記低屈折率膜中における前記酸化イットリウム(Y)の含有率が1.0mol%以上である付記1又は2記載の反射率調整膜。
(付記4)
前記低屈折率膜中における前記4A族元素の原子が、ジルコニウム(Zr)原子である付記1から3のいずれかに記載の反射率調整膜。
(付記5)
光の反射率を調整する反射率調整膜であって、
複数の膜の積層膜であり、
前記複数の膜は、低屈折率膜と、前記低屈折率膜よりも屈折率が大きい高屈折率膜とを含み、
前記高屈折率膜と隣接する膜のうち、少なくとも一つの膜の屈折率は、前記高屈折率膜の屈折率よりも小さく、
前記反射率調整膜の硬度が6.0GPa以上である、
反射率調整膜。
(付記6)
前記低屈折率膜の波長500nmの光に対する屈折率が1.47~1.58の範囲である付記1から5のいずれかに記載の反射率調整膜。
(付記7)
前記複数の膜の数が3以上である付記1から6のいずれかに記載の反射率調整膜。
(付記8)
前記高屈折率膜が五酸化タンタル(Ta)、五酸化ニオブ(Nb)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、及び酸化セリウム(CeO)から選択される少なくとも一つにより形成されている付記1から7のいずれかに記載の反射率調整膜。
(付記9)
光の反射を防止する反射防止膜である付記1から8のいずれかに記載の反射率調整膜。
(付記10)
基材の少なくとも一方の面上に、付記1から9のいずれかに記載された反射率調整膜が形成されている、積層体。
(付記11)
前記反射率調整膜における前記複数の膜の中で、前記基材から最も離れている膜が、前記低屈折率膜である、付記10記載の積層体。
(付記12)
前記基材が、ガラス又は樹脂の少なくとも一方である付記10又は11記載の積層体。
(付記13)
前記低屈折率膜を形成する低屈折率膜形成工程と、前記高屈折率膜を形成する高屈折率膜形成工程とを含み、
前記低屈折率膜形成工程において、前記低屈折率膜をスパッタ法により形成し、かつ、前記高屈折率膜形成工程において、前記高屈折率膜をスパッタ法により形成する、
付記1から9のいずれかに記載の反射率調整膜の製造方法。
(付記14)
前記基材上に、付記13記載の製造方法によって前記反射率調整膜を製造する工程を含む、付記10から12のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【符号の説明】
【0069】
10、10a 反射率調整膜
11、11a 低屈折率膜
12、12a 高屈折率膜
20 基材
30 ハードコート層
100、100a 積層体
【要約】
【課題】 硬度が高い反射率調整膜を提供する。
【解決手段】 光の反射率を調整する反射率調整膜10であって、複数の膜が積層されており、前記複数の膜は、低屈折率膜11と、低屈折率膜11よりも屈折率が大きい高屈折率膜12とを含み、低屈折率膜11は、二酸化ケイ素(SiO)及び酸化イットリウム(Y)を含む混合物により形成され、ただし、前記酸化イットリウム(Y)については、イットリウム(Y)原子の一部が4A族元素の原子に置換されており、高屈折率膜12と隣接する膜のうち、少なくとも一つの膜の屈折率は、高屈折率膜12の屈折率よりも小さい、反射率調整膜10。
【選択図】 図1
図1
図2