(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】ゲームサーバ、プログラム、方法、ゲームシステムおよび情報処理端末
(51)【国際特許分類】
A63F 13/825 20140101AFI20240507BHJP
A63F 13/216 20140101ALI20240507BHJP
A63F 13/35 20140101ALI20240507BHJP
A63F 13/58 20140101ALI20240507BHJP
A63F 13/65 20140101ALI20240507BHJP
A63F 13/69 20140101ALI20240507BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20240507BHJP
G16H 20/00 20180101ALI20240507BHJP
【FI】
A63F13/825
A63F13/216
A63F13/35
A63F13/58
A63F13/65
A63F13/69
A63F13/79
G16H20/00
(21)【出願番号】P 2023079863
(22)【出願日】2023-05-15
(62)【分割の表示】P 2021112184の分割
【原出願日】2018-09-21
【審査請求日】2023-06-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504440133
【氏名又は名称】株式会社ポケモン
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】新藤 貴行
(72)【発明者】
【氏名】小川 慧
(72)【発明者】
【氏名】小杉 要
(72)【発明者】
【氏名】首藤 まり江
(72)【発明者】
【氏名】中畑 虎也
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/021235(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第2017-0047430(KR,A)
【文献】特開2016-049237(JP,A)
【文献】特開2019-111182(JP,A)
【文献】国際公開第2018/163558(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107493388(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98
A63F 9/24
G16H 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、メモリとを備え、睡眠情報を用いたゲームの進行を管理するコンピュータに実行させるためのゲームプログラムであって
前記ゲームプログラムは、前記プロセッサに、
ユーザの年齢に関する情報を取得するステップと、
前記ユーザの睡眠情報として前記ユーザが睡眠した時間の長さを取得するステップと、
年齢に応じて予め設定され、前記ユーザの年齢に関する情報に基づいて取得される、前記ユーザが確保すべき睡眠時間と、前記ユーザが睡眠した時間の長さとに基づいてパラメータを決定するステップと、
前記パラメータに応じて前記ゲームの進行を制御するステップと
を実行させ
、
年齢に応じて予め設定され、前記ユーザの年齢に関する情報に基づいて取得される、前記ユーザが確保すべき睡眠時間は、ゲームの運営側によって設定される睡眠時間であるゲームプログラム。
【請求項2】
プロセッサと、メモリとを備え、睡眠情報を用いたゲームの進行を管理するコンピュータに実行される方法であって、前記プロセッサが、
ユーザの年齢に関する情報を取得するステップと、
前記ユーザの睡眠情報として前記ユーザが睡眠した時間の長さを取得するステップと、
年齢に応じて予め設定され、前記ユーザの年齢に関する情報に基づいて取得される、前記ユーザが確保すべき睡眠時間と、前記ユーザが睡眠した時間の長さとに基づいてパラメータを決定するステップと、
前記パラメータに応じて前記ゲームの進行を制御するステップと
を実行
し、
年齢に応じて予め設定され、前記ユーザの年齢に関する情報に基づいて取得される、前記ユーザが確保すべき睡眠時間は、ゲームの運営側によって設定される睡眠時間である方法。
【請求項3】
制御部と、記憶部とを備え、睡眠情報を用いたゲームの進行を管理する情報処理装置であって、前記制御部が、
ユーザの年齢に関する情報を取得するステップと、
前記ユーザの睡眠情報として前記ユーザが睡眠した時間の長さを取得するステップと、
年齢に応じて予め設定され、前記ユーザの年齢に関する情報に基づいて取得される、前記ユーザが確保すべき睡眠時間と、前記ユーザが睡眠した時間の長さとに基づいてパラメータを決定するステップと、
前記パラメータに応じて前記ゲームの進行を制御するステップと
を実行
し、
年齢に応じて予め設定され、前記ユーザの年齢に関する情報に基づいて取得される、前記ユーザが確保すべき睡眠時間は、ゲームの運営側によって設定される睡眠時間である情報処理装置。
【請求項4】
ユーザの年齢に関する情報を取得する手段と、
前記ユーザの睡眠情報として前記ユーザが睡眠した時間の長さを取得する手段と、
年齢に応じて予め設定され、前記ユーザの年齢に関する情報に基づいて取得される、前記ユーザが確保すべき睡眠時間と、前記ユーザが睡眠した時間の長さとに基づいてパラメータを決定する手段と、
前記パラメータに応じて睡眠情報を用いたゲームの進行を制御する手段と
を備え
、
年齢に応じて予め設定され、前記ユーザの年齢に関する情報に基づいて取得される、前記ユーザが確保すべき睡眠時間は、ゲームの運営側によって設定される睡眠時間であるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゲームサーバ、プログラム、方法、ゲームシステムおよび情報処理端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、体の動きを検出する動き検出センサ等を用いることにより、人の行動や活動量を測定する活動測定機器が普及している。活動測定機器は、利用者に活動量等を提示することで、利用者の健康意識を高めるものであり、継続的に使用することが望まれる。例えば、特許文献1には、測定された生体情報により仮想生命体の育成ゲームを楽しむ過程で、ユーザの健康への意識付けを高める発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、自動的に取得された生体情報に基づいたパラメータをゲームに反映させるのみで、ユーザが規則正しい生活を継続的に送るよう習慣付けるきっかけとはなりにくい。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザが規則正しい生活を送る、特に、良い睡眠習慣を送ることで仮想生命体を育成し、ユーザが仮想生命体の育成を楽しみながら、良い睡眠習慣を送ることへのモチベーションを維持することができる育成ゲームの進行を管理するゲームサーバ、プログラム、方法、ゲームシステムおよび情報処理端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係るゲームサーバは、仮想生命体の育成ゲームの進行を管理するサーバであって、ユーザの就寝時間および起床時間を示す睡眠パターンを少なくとも含む睡眠情報を取得する取得部と、取得した睡眠情報を睡眠履歴として記憶する睡眠履歴記憶部と、睡眠履歴の睡眠パターンに基づいて、育成ゲームに関する処理を実行する処理部と、を備える。
【0007】
また、上記目的を達成するため、本開示に係るプログラムは、仮想生命体の育成ゲームの進行を管理するプログラムであって、コンピュータをユーザの就寝時間および起床時間を示す睡眠パターンを少なくとも含む睡眠情報を取得する取得部と、取得した睡眠情報を睡眠履歴として記憶する睡眠履歴記憶部と、睡眠履歴の睡眠パターンに基づいて、育成ゲームに関する処理を実行する処理部として、機能させる。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本開示に係る方法は、仮想生命体の育成ゲームの進行を管理する方法であって、ユーザの就寝時間および起床時間を示す睡眠パターンを少なくとも含む睡眠情報を取得するステップと、取得した睡眠情報を睡眠履歴として記憶するステップと、睡眠履歴の睡眠パターンに基づいて、育成ゲームに関する処理を実行するステップと、を備える。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本開示に係るゲームシステムは、仮想生命体の育成ゲームの進行を管理するゲームサーバと、ユーザ端末とが、ネットワークを介して接続されたシステムであって、ゲームサーバは、ユーザの就寝時間および起床時間を示す睡眠パターンを少なくとも含む睡眠情報を取得する取得部と、取得した睡眠情報を睡眠履歴として記憶する睡眠履歴記憶部と、睡眠履歴の睡眠パターンに基づいて、育成ゲームに関する処理を実行する処理部と、を含む。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本開示に係る情報処理端末は、仮想生命体の育成ゲームを実行する情報処理端末であって、ユーザの就寝時間および起床時間を示す睡眠パターンを少なくとも含む睡眠情報を取得する取得部と、取得した睡眠情報を睡眠履歴として記憶する睡眠履歴記憶部と、睡眠履歴の睡眠パターンに基づいて、育成ゲームに関する処理を実行する処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ユーザが規則正しい生活を送ることが仮想生命体の育成につながるため、ユーザが育成ゲームを楽しみながら、良い睡眠習慣を送ることへのモチベーションを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】ユーザ端末100の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】ゲームサーバ200の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】ユーザ端末100における処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】ゲームサーバ200における処理を示すフローチャートである。
【
図6】基準睡眠パターンの判断の一例を説明するための図である。
【
図11】ユーザ端末300の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図13】睡眠の質に関する情報の一例を説明する図である。
【
図14】ユーザ端末400の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。なお、以下の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。
【0014】
<実施形態1>
図1は、ゲームシステム1の構成図である。
図1を参照して、実施形態1に係るゲームシステム1の構成について説明する。
【0015】
ゲームシステム1は、ユーザ端末100と、ゲームサーバ200と、を備え、ネットワークNWを介して通信可能に接続される。ネットワークNWは、WAN(World Area Network)、LAN(Local Area Network)等から構成される。
【0016】
図1ではユーザ端末100を1つのみ示すが、本実施形態においては、ゲームシステム1は、ユーザ毎にそれぞれ設けられる複数のユーザ端末100を含んでいる。本実施形態におけるゲームシステムは、ユーザが仮想生命体の育成ゲームを楽しむ過程で良い睡眠習慣を送ることへのモチベーションを維持させるものである。
【0017】
ユーザ端末100は、ユーザの睡眠情報を検知し、ゲームサーバ200に送信する。睡眠情報には、ユーザの就寝時間および起床時間を示す睡眠パターンを少なくとも含む。なお、就寝時間とは、ユーザが眠りについた時刻を表し、例えば、ユーザが寝床に入った時刻でもよいし、ユーザの意識が覚醒した状態から睡眠の状態へ移行した時刻であってもよい。また、起床時間とは、ユーザが起きた時刻を表し、例えば、ユーザが寝床から起きだした時刻であってもよいし、睡眠の状態から意識が覚醒した状態へ移行した時刻であってもよい。本実施形態では、眠りについてから起きるまでの就寝時間と起床時間の対を睡眠パターンという。
【0018】
ゲームサーバ200は、仮想生命体の育成ゲームの進行を管理するゲームサーバであって、ユーザ端末100からの要求に応じて、仮想生命体を育成するゲームサービスを提供する。例えば、ゲームサーバ200は、ネットワークNWを介してアクセスしてきたユーザ端末100に対してゲームプログラムを配信し、ユーザ端末100においてゲームプログラムが実行される。ゲームプログラムを実行したユーザ端末100は、ユーザの睡眠情報をゲームサーバ200に送信する。
【0019】
ゲームサーバ200は、ユーザ端末100から睡眠情報を取得し、睡眠履歴として記憶する。そして、ゲームサーバ200は、睡眠履歴に基づく睡眠パターンおよび取得した睡眠情報の睡眠パターンに基づいて、育成ゲームに関する処理を実行し、育成ゲームの進行に関する情報をユーザ端末100に送信する。
【0020】
以上のように、本実施形態においては、ユーザ端末100は、ユーザの睡眠情報を検知し、睡眠情報をゲームサーバ200に送信する。また、ゲームサーバ200は、睡眠情報に基づいて、育成ゲームに関する処理を実行し、処理結果をユーザ端末100に送信する。すなわち、ユーザは、ユーザの睡眠情報をゲーム入力とする育成ゲームを楽しみながら、良い睡眠習慣を送ることへのモチベーションを維持することができる。
【0021】
図2は、ユーザ端末100の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態のユーザ端末100は、
図2の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0022】
ユーザ端末100は、情報処理装置であり、本実施形態においては、例えば、スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ、携帯ゲーム機、据置ゲーム機、ヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブル端末、又は、情報処理機能を備えた多機能型テレビジョン受像機(スマートテレビ)等の多機能デバイスである。
【0023】
すなわち、ユーザ端末100は、一般的な多機能デバイスが有する各種の機能(例えば、入力機能、出力(表示)機能、情報処理機能、ネットワーク通信機能、センサ機能、通話機能、カメラ機能等)を有している。
【0024】
なお、ネットワーク通信機能は、インターネット等を介した通信機能、および/または、モバイル通信網を介した通信機能である。ユーザ端末100は、既製の多機能デバイスに所定の機能をインストールすることで実現されてもよい。本実施形態において、ユーザ端末100は、上記多機能デバイスとして用いられることに加えて、上記睡眠情報を検知したり、上記育成ゲームを実行したりするために用いられる。
【0025】
ユーザ端末100は、通信部110と、入力部120と、出力部130と、記憶部140と、センサ部150と、処理部160と、を備える。
【0026】
通信部110は、ゲームサーバ200と、ネットワークNWを介した通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0027】
入力部120は、ユーザからの入力を受け付けるためのインターフェイスであり、ユーザの入力を処理部160に送る。入力部120は、例えば、タッチパネルやボタン、マイク、コントローラである。なお、後述するセンサ部150が検知したセンシングデータをユーザからの入力としてもよい。ユーザは、入力部120を介して、育成ゲームに関する入力を行うことができる。
【0028】
出力部130は、例えば、ディスプレイ等の表示装置やスピーカなどのオーディオ出力装置であり、入力部120に対する入力に応じてユーザ端末100において生成される各種の画像や音声を表示、出力したり、ゲームサーバ200から受信されたデータに基づく各種の画像や音声を表示、出力したりする。出力部130は、人工知能搭載型スピーカ(スマートスピーカ)を含む。
【0029】
また、出力部130は、音(アラーム等)や光、振動などによってユーザの起床を促す報知機能を備えてもよい。例えば、基準起床時間(
図6において詳述)になる、またはその時間が近付くと、仮想生命体の鳴き声や動き(振動)、その仮想生命体をイメージする光を出力するようにしてもよい。また、ユーザが育成中の仮想生命体とは異なる仮想生命体の鳴き声やアイテム等の音楽を出力し、ユーザにゲームの進行を期待させるようにしてもよい。これにより、ユーザに朝起きることへのモチベーションを与えることができる。
【0030】
記憶部140は、コンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶するための記憶装置である。記憶部140は、一時的な記憶領域や、ストレージを含んでもよい。
【0031】
センサ部150は、ユーザ端末100の種々の状態を検知する各種機器である。センサ部150は、例えば、端末自体の姿勢や傾きを検知する姿勢センサ(加速度センサやジャイロセンサ)、ユーザの視線方向を検知する注視センサや、周囲の明るさを検知する光センサ、ユーザの動作を検知する赤外線センサである。また、センサ部150は、ユーザ端末100の周囲の音を収集するマイクロフォンや、ユーザ端末100の周囲の湿度を検知する湿度センサや、ユーザ端末100の所在位置における磁場を検知する地磁気センサ等であってもよい。
【0032】
また、センサ部150は、上記のセンサ機能を用いて、種々の情報を検知するようにしてもよい。例えば、センサ部150は、加速度センサの機能を用いて、ユーザ端末100を保有するユーザの歩行数を検知してもよい。また、センサ部150は、加速度センサの機能を用いて、ユーザ端末100が動作しているか、静止しているか、などを示す動作情報を一定時間ごとや、ユーザ端末100が動作したタイミングごとに検知してもよい。センサ部150は、上述のように検知したセンシングデータを処理部160へ送る。
【0033】
また、センサ部150は、腕時計型、指輪型の端末のように、ユーザ端末100と通信可能に接続される、ユーザに装着可能な情報処理端末(いわゆるウェアラブル端末)であって、ユーザの生体情報を検知してもよい。センサ部150は、例えば、光電式容積脈波記録法などによりユーザの心拍数を決定し、センシングデータとして処理部160へ送る。なお、センサ部150が検知するセンシングデータはこれらに限られず、ユーザの睡眠に関する生体情報、例えば、呼吸、脈拍、体動などを検知してもよい。
【0034】
処理部160は、ユーザ端末100において実行される各種の情報処理を実行する。処理部160は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを有する。ユーザ端末100においては、CPUがメモリを用いて、記憶部140に記憶された情報処理プログラムを実行することによって上記各種の情報処理が実行される。本実施形態においては、処理部160は、上記情報処理として、睡眠情報を算出する処理や、ゲームサーバ200から受信した育成ゲームの進行に関する情報をユーザに提示する処理等を実行する。また、ユーザ端末100が多機能デバイスとして動作する場合、処理部160は、各機能を実現するための情報処理を実行する。また、処理部160は、システムクロックを利用して現在日時を取得する。
【0035】
処理部160は、センサ部150から送られたセンシングデータに基づいて、ユーザの就寝時間および起床時間を示す睡眠パターンを算出する。そして、処理部160は、通信部110に対し、睡眠情報としてゲームサーバ200へ送信するよう指示する。なお、睡眠パターンの算出は、上述したような一般的な多機能デバイスが備える睡眠を分析する機能を用いてもよく、また、就寝時間や起床時間をどのように算出するかは、育成ゲームの開発者等が設定するようにしてもよい。例えば、育成ゲームにおいて、ユーザが仮想生命体を寝かしつける操作を行った時間を就寝時間、仮想生命体を起こす操作を行った時間を起床時間と設定してもよい。仮想生命体を起こす操作として、例えば、ディスプレイに表示された仮想生命体をタップしたり、端末を振ったりしてもよい。また、処理部160は、センサ部150から送られたセンシングデータを、通信部110を介して、ゲームサーバ200に送信し、ゲームサーバ200において睡眠パターンを算出するように構成してもよい。
【0036】
図3は、ゲームサーバ200の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態のゲームサーバ200は、
図3の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0037】
ゲームサーバ200は、通信部210と、取得部220と、記憶部230と、処理部240と、を備える。
【0038】
通信部210は、ユーザ端末100と、ネットワークNWを介した通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0039】
取得部220は、通信部210がユーザ端末100から受信した睡眠情報を取得し、記憶部230へ送る。
【0040】
記憶部230は、コンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶するための記憶装置であって、睡眠履歴231と、ゲーム情報232と、を含む。
【0041】
睡眠履歴231は、睡眠履歴記憶部として機能し、取得部220が取得したユーザの睡眠情報、すなわち、ユーザの就寝時間および起床時間を示す睡眠パターンを蓄積する。ゲーム情報232は、仮想生命体の育成ゲームに関する情報が記憶されている。なお、記憶部230は、一時的な記憶領域や、ストレージを含んでもよい。また、記憶部230は、通信部210がユーザ端末100から受信したセンシングデータを記憶するよう構成されてもよい。
【0042】
処理部240は、ゲームサーバ200において実行される各種の情報処理を実行する。処理部240は、CPUおよびメモリを有し、CPUがメモリを用いて、記憶部230に記憶された情報処理プログラムを実行することによって各種の情報処理が実行される。本実施形態においては、処理部240は、上記情報処理として、睡眠履歴の睡眠パターンに基づいて、育成ゲームに関する処理を実行する。また、処理部240は、ユーザ端末100が検知した種々の情報に基づいて育成ゲームに関する処理を実行してもよい。育成ゲームに関する処理結果は、ユーザ端末100に送信される。なお、処理部240は、取得した睡眠情報に対応する乱数結果に応じて、育成ゲームの進行処理を行うようにしてもよい。また、処理部240は、システムクロックを利用して現在日時を取得する。
【0043】
なお、本実施形態では、「サーバ」とは、1つの情報処理装置(すなわち、サーバ装置)を指す他、サーバが複数のサーバ装置によって構成される場合にはサーバ装置群(すなわち、サーバシステム)全体を指す意味である。また、本実施形態においては、ゲームサーバ200を一体的な構成として説明するが、ゲームサーバ200は、機能および/または役割に応じて分けられた複数のサーバ装置を含む構成であってもよい。例えば、ゲームサーバ200は、ユーザ端末100から取得される睡眠情報を記憶するデータサーバと、睡眠情報に基づいてゲームサービスを提供するサービスサーバとを含む構成であってもよい。さらに、ゲームサーバ200は、上記ゲームサービスの一環としてアイテムを提供するサービスを行う場合、アイテムの提供と課金とを行うショップサーバを含む構成であってもよい。
【0044】
図4は、ユーザ端末100における処理の一例を示すフローチャートである。
図4を参照して、ユーザ端末100における処理の一例について説明する。なお、ユーザ端末100は、ユーザからの就寝する旨の入力操作を、処理を開始するトリガとしてもよい。就寝する旨の入力操作は、例えば、育成ゲームを中断する操作や仮想生命体を寝かしつける操作(仮想生命体をタッチパネルを介してなでる、仮想生命体の利用している電気を消す等)であってもよい。また、ユーザ端末100は、センサ部150によりセンシングを常に実行しており、センシングデータ(例えば、端末の動き、周囲の明るさや音声等)からユーザの就寝を検知することもできる。また、基準就寝時間(
図6において詳述)が近付くと、仮想生命体が眠そうな様子にしたり、ゲームの世界も夜にすることで、ユーザに就寝を促すようにしてもよい。
【0045】
ステップS401において、ユーザ端末100の処理部160は、センサ部150に対し、センシングを実行するよう指示する。具体的には、センサ部150は、ユーザ端末100の動きや、ユーザの心拍数などの生体情報をセンシングする。処理部160は、センサ部150からセンシングデータを取得する。
【0046】
ステップS402において、処理部160は、センサ部150から送られたセンシングデータに基づいて、就寝時間および起床時間を示す睡眠パターンが算出できるか否かを判定する。処理部160において睡眠パターンが算出できるほどセンシングデータが十分に取得できていないと判断されると(ステップS402において、N)、処理はステップS401に戻る。そうでない場合(ステップS402において、Y)、処理部160は睡眠パターンを算出し、処理はステップS403に進む。
【0047】
ステップS403において、処理部160は、通信部110に対し、算出した睡眠パターンを含む睡眠情報をゲームサーバ200に送信するよう指示する。
【0048】
ステップS404において、通信部110は、ステップS403において送信した睡眠情報に応じてゲームサーバ200から送信されたゲーム情報を受信し、処理部160へ送る。
【0049】
ステップS405において、処理部160は、出力部130に対し、ステップS404において受信したゲーム情報を出力するよう指示し、処理を終了する。
【0050】
図5は、ゲームサーバ200における処理を示すフローチャートである。
図5を参照して、ゲームサーバ200における処理の一例について説明する。
図5において、ゲームサーバ200は、ユーザ端末100から睡眠情報を受信したことを、処理を開始するトリガとする。
【0051】
ステップS501において、ゲームサーバ200の取得部220は、通信部210を介して、ユーザ端末100から送信された、ユーザの就寝時間および起床時間を示す睡眠パターンを含む睡眠情報を取得し、記憶部230へ送る。
【0052】
ステップS502において、記憶部230は、睡眠情報を睡眠履歴として、睡眠履歴231に記憶する。
【0053】
ステップS503において、処理部240は、睡眠履歴231に記憶された睡眠履歴に基づく睡眠パターンが基準睡眠パターンを満たすか判断する。基準睡眠パターンとは、ユーザや、育成ゲームのゲーム開発者等が設定した基準就寝時間と基準起床時間に基づく睡眠パターンである。
【0054】
また、処理部240が、睡眠履歴に基づいて、ユーザの規則的な睡眠パターンを認識し、認識した睡眠パターンを基準睡眠パターンとして設定してもよい。睡眠パターンは、個人差があるため、睡眠履歴に基づいて各人に応じた基準睡眠パターンを設定することにより、ユーザに対し、無理させることなく、自身の体質に合わせた睡眠習慣を送らせるようにすることができる。
【0055】
図6は、基準睡眠パターンの判断の一例を説明するための図である。
図6を参照して、睡眠パターンが基準睡眠パターンを満たすか否かの判断基準の一例について説明する。
【0056】
図6において、縦軸は時刻、横軸は日付を表しており、基準就寝時間は21時、基準起床時間は7時である。睡眠パターン10~14は、就寝時間および起床時間を示す睡眠パターンを線分で表している。
【0057】
基準睡眠パターンは、基準就寝時間および基準起床時間(以下、基準就寝時間および/または基準起床時間を、基準時間と記載する場合がある。)に基づいて設定され、最低睡眠時間が確保される範囲で時間帯の幅を持たせてもよい。
図6の例においては、基準時間の前30分、後15分の範囲で幅を持たせている。基準時間の幅は基準時間より前と後とで異ならせてもよい。例えば、早寝早起きを推奨する観点から、基準時間より前については時間帯の幅を時間帯の後よりも長く設定する。また、最低睡眠時間は、ユーザの年齢に応じて設定を変更してよい。例えば、成人は7時間、子供は10時間などユーザまたはゲームの開発者によって設定することができる。
【0058】
睡眠パターン10~12は、就寝時間が基準就寝時間(時間帯)に含まれており、起床時間も基準起床時間(時間帯)に含まれている。したがって、処理部240は、睡眠パターン10~12は、基準睡眠パターンを満たすと判断する。
【0059】
一方、睡眠パターン13は、就寝時間は21時であり基準就寝時間を満たすが、起床時間は7時15分以降であり、基準起床時間を満たさない。したがって、処理部240は、睡眠パターン13は、基準睡眠パターンを満たさないと判断する。
【0060】
睡眠パターン14は、起床時間は7時から7時15分の間であり基準起床時間を満たすが、就寝時間が21時15分以降であり、基準就寝時間を満たさない。したがって、処理部240は、睡眠パターン14は、基準睡眠パターンを満たさないと判断する。
【0061】
以上のようにして、処理部240は睡眠パターンが基準睡眠パターンを満たすか判断する。
【0062】
なお、処理部240は、ユーザ端末100から取得した睡眠情報から、睡眠時間が細切れである、睡眠時間が検知されていないなどの、ユーザ端末におけるセンシングに問題が生じていると考えられる場合は、昼間のユーザの歩数等の活動量に基づいて、睡眠パターンを想定してもよい。例えば、処理部240は、ユーザ端末のセンシングに問題が生じていると判断した場合、ユーザ端末100からユーザの活動量に関するセンシングデータを取得する。そして、その日のユーザの活動量が、ユーザの平均的な活動量であった場合は、ユーザのこれまでの睡眠履歴に基づいて算出された平均的な睡眠パターンであったと想定する。これにより、睡眠情報の検知に問題が生じていた場合でも、このような救済処置をとることにより、ユーザにとって育成ゲームの進行が不利にならないようにすることができる。
【0063】
図5に戻って、ステップS503において、処理部240が、睡眠履歴231に記憶された睡眠履歴に基づく睡眠パターンが基準睡眠パターンを満たすか否か、すなわち、ユーザ端末100から取得した睡眠情報の睡眠パターンが基準睡眠パターンを満たすか判断し、基準睡眠パターンを満たさないと判断した場合(ステップS503において、N)、ステップS504において、処理部240は、育成ゲームにおいてマイナスイベントを発生させる処理を行い、処理結果を記憶部230のゲーム情報232に記憶させる。なお、育成ゲーム内のイベントの詳細については後述する。
【0064】
一方、基準睡眠パターンを満たすと判断した場合(ステップS503において、Y)、ステップS505において、処理部240は、睡眠履歴に基づいて睡眠パターンが基準睡眠パターンを所定期間以上継続して満たすか否かを判断する。睡眠履歴に基づく睡眠パターンが基準睡眠パターンを所定期間以上満たさないと判断した場合(ステップS505において、N)、ステップS506において、処理部240は、育成ゲームにおいてプラスイベントを発生させる処理を行い、処理結果を記憶部230のゲーム情報232に記憶させる。睡眠履歴に基づく睡眠パターンが基準睡眠パターンを所定期間以上満たすと判断した場合(ステップS505において、Y)、ステップS507において、処理部240は、育成ゲームにおいて、プラスイベントとは異なるボーナスイベントを発生させる処理を行い、処理結果を記憶部230のゲーム情報232に記憶させる。
【0065】
なお、所定期間として、例えば、3日間や1週間など、ユーザが任意の日数を設定してもよい。ユーザがボーナスイベントを発生させるための所定期間を自ら設定することにより、良い睡眠習慣を継続させる努力目標とすることができ、ボーナスイベントが発生することで、ユーザに達成感を与えることができる。
【0066】
また、所定期間をゲームの開発者がゲームの内部パラメータとして設定してもよい。ユーザは、ボーナスイベントがいつ発生するのか期待しながら良い睡眠習慣を送るモチベーションを維持することができ、ボーナスイベントが発生することで、ユーザに驚きとともに、満足感を与えることができる。
【0067】
ステップS508において、処理部240は、ゲーム内の処理をゲーム情報として通信部210を介して、ユーザ端末100に送信し、処理を終了する。
【0068】
なお、処理部240は、上述した各イベントを発生させると共に、ミニゲームを発生させてもよい。ユーザにミニゲームをプレイさせることにより、ユーザの二度寝を防止することができる。ミニゲームは、何らかの作業をユーザに要求するものであって、例えば、端末自体を揺する、ディスプレイをタップやスワイプするなどして仮想生命体を起こす、遊ぶ、かわいがる、また、立ち上がって所定の歩数だけ歩くことにより、仮想生命体を捕まえるなど、実際に体を動かす操作が必要なゲームが好ましい。これにより、ユーザに確実に目を覚まさせる効果が期待できる。
【0069】
さらに、ミニゲームは、各イベントの発生時から所定時間以内にプレイさせるようにしてもよい。ミニゲームをクリアすると、ポイント(後述する)等を付与するなどしてインセンティブを与えることにより、二度寝しないことへの動機づけとすることができる。
【0070】
図7~
図9は、育成ゲームにおけるイベントの一例を説明する図である。
図7~
図9を参照して、育成ゲームにおけるプラスイベント、ボーナスイベント、マイナスイベントの一例を説明する。なお、処理部240は、取得した睡眠情報に対応する乱数結果に応じて、各イベントの内容を変化させるようにしてもよい。
【0071】
図7は、プラスイベントの一例を示す図である。プラスイベントとは、ユーザの睡眠パターンが基準睡眠パターンを満たすことによって生じる、育成ゲームを有利に進行させるためのイベントであって、例えば、仮想生命体を成長させるイベントや、仮想生命体に関するポイントを加算するイベント、育成ゲームにおけるアイテムや特典を与えるイベントである。
【0072】
仮想生命体を成長させるとは、例えば、外見的に大きくなる、強そうになる、容姿端麗になる、子供から大人になる、進化する、内面的に成熟する、などであるが、この例に限られない。
【0073】
また、ポイントは、仮想生命体の経験値であったり、ゲーム内のアイテムを購入するためのゲーム内通貨であったりしてもよい。ポイントの値によって、仮想生命体のレベルが決定されたり、さまざまな仮想生命体を出現させたりしてもよい。プラスイベントによって、ユーザに基準睡眠パターンを守るインセンティブを与えることができる。
【0074】
図7において、仮想生命体であるキャラAは、ユーザの睡眠パターンが基準睡眠パターンを満たしたことに応じて、経験値(ポイントに相当)を獲得し、レベルアップ(成長に相当)する。すなわち、キャラAは、ユーザの睡眠パターンが基準睡眠パターンを満たすと成長する。これにより、ユーザは、良い睡眠習慣を送ることで、キャラAが成長する過程を楽しみながら育成ゲームを進行させることができる。
【0075】
図8は、ボーナスイベントの一例を示す図である。ボーナスイベントとは、睡眠履歴に基づく睡眠パターンが、基準睡眠パターンを所定期間以上満たすことによって生じる、育成ゲームを特に有利に進行させるためのイベントであって、例えば、仮想生命体の成長を促進させるイベントや、仮想生命体に関するポイントをボーナスとして加算するイベント、育成ゲームの進行を有利にするアイテムや特典を与えるイベントであるが、この例に限られない。例えば、新たな仮想生命体を育成するよう、キャラクタが預けに来るイベントであってもよい。当該キャラクタにかわって仮想生命体を育てることにより、当該キャラクタから感謝のメッセージがもらえたり、ポイントなどをもらったりできる。
【0076】
また、ボーナスイベントの発生をユーザに予告してもよい。これにより、基準睡眠パターンを継続的に守る動機付けとすることができる。例えば、次の日曜日に新たな仮想生命体が出現する、ポイントが加算される、など予告し、ユーザにボーナスイベントの発生を期待させる。ボーナスイベントによって、ユーザに基準睡眠パターンを所定期間以上守るインセンティブを与えることができる。
【0077】
図8において、仮想生命体は、ユーザの睡眠パターンが基準睡眠パターンを所定期間以上満たしたことに応じて、経験値をプラスイベントで獲得する以上に獲得し、大幅にレベルアップする。また、育成ゲームの進行を有利にするアイテム(報酬)が与えられる。アイテムは、例えば、仮想生命体を寝かしつける際に使うと、仮想生命体のレベルを上がりやすくしたり、他の仮想生命体が現れたり、など、特別な演出が行われる。
【0078】
図9は、マイナスイベントの一例を示す図である。マイナスイベントとは、ユーザの睡眠パターンが基準睡眠パターンを満たさないことによって生じる、育成ゲームの進行を不利にするイベントであって、例えば、仮想生命体の成長を止める、退化させる、弱くさせる、仮想生命体に関するポイントを減算するなどであるが、この例に限られない。例えば、ユーザの睡眠時間(の長さ)が基準時間によって決められた時間よりも短い場合は、昼間に仮想生命体が眠そうにしている等して、育成のスピードを遅くするようにしてもよい。すなわち、ユーザが睡眠不足であれば、ユーザが起きている間は、仮想生命体を成長しにくくする。マイナスイベントによって、ユーザに、基準睡眠パターンを守り、良い睡眠習慣を送ることを意識させることができる。
【0079】
図9において、仮想生命体であるキャラAは、ユーザの睡眠パターンが基準睡眠パターンを満たさないことに応じて、経験値が取得できず、レベルがあがっていない。また、キャラAに関する健康度や元気度を示すポイントを消費させ(減算させ)、元気がない演出をしてもよい。
【0080】
上述したように、睡眠パターンに基づいて、例えば、
図7~
図9で示したような育成ゲームに関する処理が実行される。
【0081】
なお、育成ゲームにおいて、仮想生命体の寝かしつけに難易度を設定してもよい。例えば、育成ゲームの開始時には、寝かしつけの難易度が低い仮想生命体を育成させ、仮想生命体のレベルを上げやすく設定してもよい。これにより、育成ゲームが簡単に楽しめ、規則正しい睡眠パターンにつなげることができる。
【0082】
また、育成ゲームが進行するにつれ、仮想生命体の寝かしつけの難易度を上げてもよい。すなわち、仮想生命体のレベルが上げにくくなるので、レベル上げのためにプラスイベントやボーナスイベントが発生するように、ユーザを意識させ、規則正しい睡眠パターンを続けさせることができる。
【0083】
また、複数の仮想生命体を育成させ、一の仮想生命体の寝かしつけの難易度が、他の仮想生命体の寝かしつけに影響を及ぼすようにする、などしてゲーム性を高めるようにしてもよい。例えば、ユーザが基準就寝時間を超えて起きている場合は、寝かしつけの難易度が高い仮想生命体を登場させ、育成中の仮想生命体を眠りにくくする(すなわち、寝かしつけの難易度を高くする)。寝かしつけの難易度が高い仮想生命体が出現することにより、現在育成中の仮想生命体の寝かしつけの難易度が上がり、レベルが上げにくくなってしまうため、ユーザに対し、基準就寝時間を超えないように就寝することを意識させることができる。これにより、ユーザが、ゲームを継続的に楽しめるようにし、ひいては、ユーザが規則正しい睡眠パターンを続けるモチベーションにつなげることができる。
【0084】
(効果の説明)
本実施形態に係るゲームシステムは、ユーザの就寝時間および起床時間を示す睡眠パターンを含む睡眠情報に基づいて、育成ゲームに関する処理を実行する。ユーザが規則正しい生活を送ることが仮想生命体の育成につながるため、ユーザが育成ゲームを楽しみながら、良い睡眠習慣を送ることへのモチベーションを維持することができる。
【0085】
また、本実施形態に係るゲームシステムは、睡眠パターンに応じて育成ゲームにおいて各種のイベントを発生させる。異なるイベントを発生させることで、ユーザに飽きさせることなくゲームを楽しませると同時に、良い睡眠習慣を送ることへのインセンティブを与えることができる。
【0086】
<実施形態2>
実施形態2に係るゲームシステムは、睡眠情報から時差ぼけを検知した際に、ユーザの位置情報の履歴をさらに取得し、位置情報の履歴に基づいて、仮想生命体に対するポイントとして航空会社などのマイレージを付与するものである。
【0087】
人間の体内の器官は規則正しいリズムで働いているため、旅行や出張などによる長距離移動を短時間に行った際、このリズムが時差により乱され、体調に変化をもたらし、夜眠れないなどの体の不調が生じる場合がある。このような場合、時差ぼけのため、睡眠パターンが基準睡眠パターンから大きくずれてしまうため、育成ゲームではマイナスイベントが発生し、これまで良い睡眠習慣を送っていたユーザのモチベーションを奪ってしまう。本実施形態は、時差ぼけのあるユーザについても、育成ゲームを楽しめるようにすることができる。
【0088】
図10は、ゲームシステム2の構成図である。実施形態2に係るゲームシステム2は、ユーザ端末300と、ゲームサーバ200と、を備え、ネットワークNWを介して通信可能に接続される。
図10ではユーザ端末300を1つのみ示すが、本実施形態においては、ゲームシステム2は、ユーザ毎にそれぞれ設けられる複数のユーザ端末300を含んでいる。
【0089】
図11は、ユーザ端末300の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。実施形態2に係るユーザ端末300は、位置情報検出部155を備える点で、実施形態1に係るユーザ端末100と構成が異なる。なお、本実施形態のユーザ端末300は
図11の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0090】
位置情報検出部155は、ユーザ端末300の位置を検出する。本実施形態においては、位置情報検出部155は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いて位置を検出する。位置情報検出部155は、例えばGPS(Global Positioning System)センサ(例えば、GPSモジュール)である。なお、位置情報検出部155における位置検出方法は任意であり、位置情報検出部155は、例えば、ビーコンを用いて位置を検出してもよい。また、位置情報検出部155は、例えば、ユーザ端末300が駅改札や商店等で使用される非接触型ICカードと同等の機能を備えている場合(もしくは、ユーザ端末300が非接触型ICカードの履歴を読み取る機能を備えている場合)、ユーザ端末300によって駅での乗車料金の決済等が行われた情報とともに、使用された位置が記録される。位置情報検出部155は、この情報を検出し、位置情報として取得してもよい。また、位置情報検出部155は、例えば、ユーザ端末300が特定のアクセスポイントと通信を行う際に、アクセスポイントから取得可能な位置情報を検出してもよい。また、位置情報検出部155は、ユーザ端末300がインターネットに接続された際の識別情報(IPアドレス等)に基づいて、ユーザ端末300が所在すると推定される位置を検出してもよい。
【0091】
位置情報検出部155は、検出した位置情報を、通信部110を介してゲームサーバ200へ送信する。なお、位置情報は、ユーザ端末300において、所定期間蓄積させて、位置情報の履歴としてゲームサーバ200に送信してもよいし、位置情報が検出されるごとに送信してもよい。ゲームサーバ200では、ユーザ端末300から取得した位置情報を位置情報の履歴として記憶する。
【0092】
ゲームサーバ200の処理部240は、睡眠履歴231に記憶されているユーザ端末300から送信された睡眠情報の睡眠パターンに基づいて時差ぼけを検出する。
【0093】
図12は、時差ぼけの検出例を説明する図である。
図12において、睡眠パターン20~25が示されている。睡眠パターン20~23は、基準睡眠パターンを満たす睡眠パターンである。一方、睡眠パターン24は、就寝時間および起床時間ともに基準時間から大きく外れている。また、睡眠パターン25は、基準睡眠パターンを満たしていないうえに、就寝、起床が不連続に繰り返されている。
【0094】
このように、これまでの睡眠履歴の睡眠パターンと比較して、明らかにパターンが異なる睡眠パターンが検出された場合、処理部240は、時差ぼけが起きていると判断してよい。また、時差ぼけの判断基準となる睡眠パターンを予め記憶させておいてもよいし、ユーザから、時差のある長距離移動を行った旨の入力を受け付けてもよいし、ユーザ端末300から送信された位置情報の履歴から、長距離移動を検出し、時差ぼけが生じていると判断してもよい。
【0095】
ゲームサーバ200の処理部240は、時差ぼけを検出すると、ユーザ端末300から取得した位置情報の履歴に基づいて、ユーザ端末300の移動距離を算出する。そして、処理部240は、育成ゲームにおいて、移動距離(マイル)に応じたマイレージを仮想生命体に対するポイントとして付与する。マイレージとは、航空会社が実施しているポイントプログラムであって、マイルはそのポイント単位である。マイレージの概念を育成ゲームに取り入れることによって、時差ぼけで生じた睡眠習慣の乱れのためにマイナスイベントが発生したとしても、付与されたポイントでユーザに育成ゲームを有利に進行できるようにすることができ、また、良い睡眠習慣に戻そうとするモチベーションを与えることができる。
【0096】
また、処理部240は、ユーザの時差ぼけを早く改善させるように、時差ぼけが発生してから規則正しい睡眠パターンに戻るまでに時間に応じてポイントを付与するようにしてもよい。これにより、ユーザに良い睡眠習慣に戻そうとするモチベーションをさらに与えることができる。
【0097】
<実施形態3>
実施形態3に係るゲームシステムは、睡眠情報にユーザの睡眠の質に関する情報を含める。睡眠の質に関する情報を含めた睡眠情報に基づいて、育成ゲームを進行させることで、ユーザにより良い睡眠習慣を送ることへの意識を高めることができる。
【0098】
ここで、睡眠の質に関する情報とは、睡眠周期の各睡眠ステージの時間や、睡眠時間に対する各睡眠ステージの割合である。例えば、睡眠周期の各睡眠ステージである、「覚醒」、「浅い睡眠」、「深い睡眠」、「レム睡眠」の時間や割合である。
【0099】
実施形態3において、ユーザ端末は、センサ部によって検知したユーザの生体情報から、ユーザの睡眠に関する情報を算出する。ユーザの睡眠に関する情報は、ユーザ端末として機能する既存の多機能デバイスの睡眠を分析する公知の機能を採用して算出してもよい。
【0100】
図13は、睡眠の質に関する情報の一例を説明する図である。
図13において、睡眠パターン30に対し、睡眠結果31が表示されている。例えば、ユーザは、睡眠パターン30を選択すると、睡眠結果31を確認することができる。
【0101】
睡眠結果31は、睡眠パターン30から算出される睡眠時間や、睡眠時間に対する各睡眠ステージの割合を含む。(「その他」は、例えば、睡眠ステージの判断不能な状態や、寝床に入ったが覚醒している状態などを含めた時間である。)
【0102】
また、睡眠結果31には、睡眠ステージに基づいて、良い睡眠か否かが分かる指標である快眠スコアを含ませてもよい。快眠スコアは、各睡眠ステージを重み付けして、ゲーム開発者による任意のアルゴリズムから算出してもよい。また、快眠スコアは、ユーザの活動量や、食事、位置、湿度、ユーザ端末への操作時間、操作時間帯等に応じて算出してもよい。例えば、ユーザ端末の位置情報として、評価の高いホテル(5つ星ホテルなど)の場所を検知した場合、良い睡眠が得られるとして、快眠スコアを加点してもよい。また、例えば、基準就寝時間より後にユーザ端末を操作すると快眠スコアを減らすようにしてもよい。快眠スコアにより、ユーザは、良い睡眠であったかどうかが一目で分かり、良い睡眠習慣を送るモチベーションにつながる。
【0103】
ゲームサーバでは、快眠スコアを育成ゲームの進行に影響するパラメータとして採用してよい。例えば、快眠スコアに応じて、仮想生命体を変化させる、イベントを発生させる、ポイントや特典を付与する、などであるが、これらに限られない。
【0104】
快眠スコアを育成ゲームの進行に影響を与えるパラメータとすることで、ユーザに良い睡眠習慣をより意識させることができるとともに、ユーザには育成ゲームに積極的に関わる動機付けをさらに与えることができる。
【0105】
<実施形態4>
実施形態4に係るユーザ端末は、記憶部に記憶されたゲームプログラムを実行することで、ユーザの睡眠情報に基づく仮想生命体の育成ゲームをユーザにプレイさせるものである。なお、ユーザ端末が記憶するゲームプログラムは、ネットワークまたは記録媒体を介して、更新することができる構成であってもよい。
【0106】
図14は、ユーザ端末400の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。実施形態4に係るユーザ端末400は、情報処理端末に相当し、実施形態2に係るユーザ端末300(
図11参照)とは、記憶部440および処理部460を備える点で構成が異なる。ただし、その他の同一の符号が付された構成要素は機能が共通するので繰り返しの説明を省略する。なお、本実施形態のユーザ端末400は
図14の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0107】
記憶部440は、コンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶するための記憶装置であって、睡眠履歴441と、ゲーム情報442と、を含む。
【0108】
睡眠履歴441は、睡眠履歴記憶部として機能し、後述する処理部460が算出したユーザの睡眠情報、すなわち、ユーザの就寝時間および起床時間を示す睡眠パターンを蓄積する。ゲーム情報442は、仮想生命体の育成ゲームに関する情報が記憶されている。なお、記憶部440は、一時的な記憶領域や、ストレージを含んでもよい。また、記憶部440は、センサ部150が検知したセンシングデータを記憶するよう構成されてもよい。
【0109】
処理部460は、ユーザ端末400において実行される各種の情報処理を実行する。処理部460は、CPUおよびメモリを有し、CPUがメモリを用いて、記憶部440に記憶された情報処理プログラムを実行することによって各種の情報処理が実行される。本実施形態においては、処理部460は、上記情報処理として、睡眠パターンを算出する処理や、睡眠履歴の睡眠パターンに基づいて、育成ゲームに関する処理を実行する。また、処理部460は、センサ部150が検知した種々の情報に基づいて育成ゲームに関する処理を実行してもよい。育成ゲームに関する処理結果は、出力部130に出力される。なお、処理部460は、算出した睡眠情報に対応する乱数結果に応じて、育成ゲームの進行処理を行うようにしてもよい。また、処理部460は、システムクロックを利用して現在日時を取得する。
【0110】
上述したように、本実施形態に係るユーザ端末は、ユーザの睡眠情報に基づく仮想生命体の育成ゲームを提供することができる。これにより、ユーザは、ネットワークを介してゲームサーバと接続されない環境下であっても、育成ゲームを楽しむことができる。
【0111】
上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0112】
また、上記実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることができるプログラム(ソフトウエア手段)として、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、コンピュータに実行させるソフトウエア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)をコンピュータ内に構成させる設定プログラムをも含む。本サーバを実現するコンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウエア手段を構築し、このソフトウエア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、コンピュータ内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【符号の説明】
【0113】
1,2 ゲームシステム、100,300,400 ユーザ端末、110,210 通信部、120 入力部、130,430 出力部、140,230,440 記憶部、150 センサ部、155 位置情報検出部、160,240,460 処理部、200 ゲームサーバ、220 取得部、231,441 睡眠履歴、232,442 ゲーム情報