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  • 特許-オゾン生成装置およびオゾン生成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】オゾン生成装置およびオゾン生成方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 13/10 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
C01B13/10 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023175564
(22)【出願日】2023-10-10
(62)【分割の表示】P 2019116825の分割
【原出願日】2019-06-25
(65)【公開番号】P2023171537
(43)【公開日】2023-12-01
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】金児 裕美
(72)【発明者】
【氏名】吉田 悠太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博明
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-095441(JP,A)
【文献】特開2002-316112(JP,A)
【文献】特表2008-511966(JP,A)
【文献】特開2017-043513(JP,A)
【文献】特開2019-064842(JP,A)
【文献】特開平03-238041(JP,A)
【文献】特開平02-129005(JP,A)
【文献】特開2005-245811(JP,A)
【文献】特開2006-096600(JP,A)
【文献】特開平09-036077(JP,A)
【文献】特開2018-061931(JP,A)
【文献】特開昭57-111206(JP,A)
【文献】特開2002-355551(JP,A)
【文献】特開2012-034771(JP,A)
【文献】特開平7-236684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 13/10-13/11
B01J 10/00-12/02
14/00-19/32
A61L 9/00- 9/22
H01J 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素を含む流体が流れる流路に配置され、オゾンを生成可能な波長を有する紫外線を照射するエキシマランプと、
前記エキシマランプに対し、高周波点灯と消灯とを繰り返す点灯制御を行う点灯制御部とを備え、
前記点灯制御部が、高周波点灯の開始から紫外線照度が最大に達した後、紫外線照度が低下して一定となる時間よりも前に、高周波点灯から消灯へ切り替えることを特徴とするオゾン生成装置。
【請求項2】
前記点灯制御部が、紫外線照度が最大に達した後、その90%まで低下する時間より前に、高周波点灯から消灯へ切り替えることを特徴とする請求項1に記載のオゾン生成装置。
【請求項3】
酸素を含む流体が流れる流路に配置され、オゾンを生成可能な波長を有する紫外線を照射するエキシマランプと、
前記エキシマランプに対し、高周波点灯と消灯とを繰り返す点灯制御を行う点灯制御部とを備え、
前記点灯制御部が、高周波点灯の開始からランプ表面温度が最大となる時間よりも前に、高周波点灯から消灯へ切り替えることを特徴とするオゾン生成装置。
【請求項4】
前記点灯制御部が、高周波点灯の開始からランプ表面温度が80℃に達する時間よりも前に、高周波点灯から消灯へ切り替えることを特徴とする請求項3に記載のオゾン生成装置。
【請求項5】
酸素を含む流体が流れる流路に配置され、オゾンを生成可能な波長を有する紫外線を照射するエキシマランプと、
前記エキシマランプに対し、高周波点灯と消灯とを繰り返す点灯制御を行う点灯制御部とを備え、
前記点灯制御部が、高周波点灯の開始から前記流体の温度が60℃に達する時間よりも前に、高周波点灯から消灯へ切り替えることを特徴とするオゾン生成装置。
【請求項6】
前記点灯制御部が、高周波点灯期間を1秒以下の範囲で一定とし、消灯期間を変更することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のオゾン生成装置。
【請求項7】
前記エキシマランプが、高周波点灯を維持し続けたときのオゾン生成量が3mg/h以上となるエキシマランプであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のオゾン生成装置。
【請求項8】
前記流体が、1m3/min以下で前記流路を流れることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のオゾン生成装置。
【請求項9】
オゾンを生成可能な波長を有する紫外線を照射するエキシマランプを、酸素を含む流体が流れる流路に配置し、
前記エキシマランプに対し、高周波点灯と消灯とを繰り返す点灯制御を行うオゾン生成方法であって、
高周波点灯の開始から紫外線照度が最大に達した後、紫外線照度が低下して一定となる時間よりも前に、高周波点灯から消灯へ切り替えることを特徴とするオゾン生成方法。
【請求項10】
オゾンを生成可能な波長を有する紫外線を照射するエキシマランプを、酸素を含む流体が流れる流路に配置し、
前記エキシマランプに対し、高周波点灯と消灯とを繰り返す点灯制御を行うオゾン生成方法であって、
高周波点灯の開始からランプ表面温度が最大となる時間よりも前に、高周波点灯から消灯へ切り替えることを特徴とするオゾン生成方法。
【請求項11】
オゾンを生成可能な波長を有する紫外線を照射するエキシマランプを、酸素を含む流体が流れる流路に配置し、
前記エキシマランプに対し、高周波点灯と消灯とを繰り返す点灯制御を行うオゾン生成方法であって、
高周波点灯の開始から前記流体の温度が60℃に達する時間よりも前に、高周波点灯から消灯へ切り替えることを特徴とするオゾン生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマランプを用いたオゾン生成装置に関し、特に、オゾン濃度の調整に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化力の強いオゾンを生成する方法として、大気など酸素を含む原料ガスに紫外線を照射することによってオゾンを生成させることができる。このように生成するオゾンの濃度を調整する方法としては、オゾン生成装置がオゾンを生成する時間を調整する方法と、オゾン生成装置に印加する電圧を変化させ、単位時間当たりのオゾン生成量を調整する方法と、オゾン生成装置が生成する単位時間当たりのオゾン生成量に対して、酸素を含む原料ガスの供給量を調整する方法とがある(特許文献1参照)。
【0003】
オゾンを生成させる紫外線を照射する光源としては、例えば、エキシマランプが用いられる。エキシマランプから放射される波長200nm以下の紫外線はオゾン生成効率がよく、オゾンを高濃度に含むガスを生成できる。しかし、高温や低流量で原料ガスが流れる領域にエキシマランプを配置した使用環境において、エキシマランプの表面温度が70℃以上となると、紫外線照度が低下する(特許文献2参照)。さらに、過熱状態となったエキシマランプによってオゾンを含むガスが40℃以上になると、オゾン分解が始まる(特許文献3参照)。
【0004】
このように、使用環境に応じてエキシマランプの過熱やオゾン分解による影響を受けるため、オゾン生成量が異なる複数のエキシマランプを使用環境に応じて使い分けることによって、オゾン生成量を調整していた(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-157412号公報
【文献】特開2006-096600号公報
【文献】特開昭37-17949号公報
【文献】特開2019-043786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オゾン濃度は、エキシマランプから放射される紫外線照度に応じたオゾン生成だけでなく、原料ガスの温度や流量等の使用環境に応じて、紫外線照度の低下やオゾン分解に影響を受ける。そのため、紫外線照射効率やオゾン生成効率の低下を抑制して、オゾン濃度を調整することが難しい。
【0007】
したがって、様々な使用環境でも紫外線照射効率やオゾン生成効率の低下を防ぐことのできるオゾン生成装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様であるオゾン生成装置は、酸素を含む流体が流れる流路に配置され、オゾンを生成可能な波長を有する紫外線を照射するエキシマランプと、エキシマランプに対し、高周波点灯と消灯とを繰り返す点灯制御を行う点灯制御部とを備え、点灯制御部が、高周波点灯の開始から紫外線照度が最大に達した後、紫外線照度が低下して一定となる時間よりも前に、高周波点灯から消灯へ切り替える。
【0009】
例えば、点灯制御部は、紫外線照度が最大に達した後、その90%まで低下する時間より前に、高周波点灯から消灯へ切り替える。
【0010】
本発明の他の一態様であるオゾン生成装置は、酸素を含む流体が流れる流路に配置され、オゾンを生成可能な波長を有する紫外線を照射するエキシマランプと、エキシマランプに対し、高周波点灯と消灯とを繰り返す点灯制御を行う点灯制御部とを備え、点灯制御部が、高周波点灯の開始からランプ表面温度が最大となる時間よりも前に、高周波点灯から消灯へ切り替える。
【0011】
例えば、点灯制御部は、高周波点灯の開始からランプ表面温度が80℃に達する時間よりも前に、高周波点灯から消灯へ切り替える。
【0012】
本発明の他の一態様であるオゾン生成装置は、酸素を含む流体が流れる流路に配置され、オゾンを生成可能な波長を有する紫外線を照射するエキシマランプと、エキシマランプに対し、高周波点灯と消灯とを繰り返す点灯制御を行う点灯制御部とを備え、点灯制御部が、高周波点灯の開始から流体の温度が60℃に達する時間よりも前に、高周波点灯から消灯へ切り替える。
【0013】
例えば、点灯制御部は、高周波点灯期間を1秒以下の範囲で一定とし、消灯期間を変更する。例えば、エキシマランプは、高周波点灯を維持し続けたときのオゾン生成量が3mg/h以上となるエキシマランプとして構成される。例えば流体は、1m3/min以下で流路を流れる。
【0014】
本発明の他の一態様であるオゾン生成方法は、オゾンを生成可能な波長を有する紫外線を照射するエキシマランプを、酸素を含む流体が流れる流路に配置し、エキシマランプに対し、高周波点灯と消灯とを繰り返す点灯制御を行うオゾン生成方法であって、高周波点灯の開始から紫外線照度が最大に達した後、紫外線照度が低下して一定となる時間よりも前に、高周波点灯から消灯へ切り替える。
【0015】
本発明の他の一態様であるオゾン生成方法は、オゾンを生成可能な波長を有する紫外線を照射するエキシマランプを、酸素を含む流体が流れる流路に配置し、エキシマランプに対し、高周波点灯と消灯とを繰り返す点灯制御を行うオゾン生成方法であって、高周波点灯の開始からランプ表面温度が最大となる時間よりも前に、高周波点灯から消灯へ切り替える。
【0016】
本発明の他の一態様であるオゾン生成方法は、オゾンを生成可能な波長を有する紫外線を照射するエキシマランプを、酸素を含む流体が流れる流路に配置し、エキシマランプに対し、高周波点灯と消灯とを繰り返す点灯制御を行うオゾン生成方法であって、高周波点灯の開始から流体の温度が60℃に達する時間よりも前に、高周波点灯から消灯へ切り替える。
【0017】
例えば本発明の一態様であるオゾン生成装置は、酸素を含む流体が流れ、エキシマランプの紫外線が照射されてオゾンを生成し、エキシマランプの点滅の開始と停止を繰り返すことでオゾン濃度を調整するオゾン生成装置であって、エキシマランプの点滅を開始してから表面温度の上昇により放射される紫外線の照度が低下して一定となるまでの時間より前に、エキシマランプの点滅を停止する。
【0018】
例えば本発明の一態様であるオゾン生成装置は、酸素を含む流体が流れ、エキシマランプの紫外線が照射されてオゾンを生成し、エキシマランプの点滅の開始と停止を繰り返すことでオゾン濃度を調整するオゾン生成装置であって、エキシマランプの点滅を開始してから放射される紫外線の照度が最大となった後に表面温度の上昇により紫外線の照度が90%まで低下するまでの時間より前に、エキシマランプの点滅を停止する。
【0019】
例えば本発明の一態様であるオゾン生成装置は、流体が流量1m3/min以下で流れる領域にエキシマランプが配置され、エキシマランプの点滅を持続したときのオゾン生成量が3mg/h以上であり、エキシマランプの点滅を開始してから表面温度が70℃となるまでの時間より前に、エキシマランプの点滅を停止する。
【0020】
例えば本発明の一態様であるオゾン生成装置は、エキシマランプから紫外線が照射される酸素を含む流体の流量が1m3/min以下で流れ、エキシマランプの点滅の開始と停止を繰り返すことでオゾン濃度を調整するオゾン生成装置であって、エキシマランプの点滅を開始してから放射される紫外線の照度が最大となった後に表面温度が最大となるまでの時間より前に、エキシマランプの点滅を停止する。
【0021】
例えば本発明の一態様であるオゾン生成装置は、酸素を含む流体が流れ、エキシマランプの点滅を持続したときのオゾン生成量が3mg/h以上で、エキシマランプの点滅の開始と停止を繰り返すことでオゾン濃度を調整するオゾン生成装置であって、エキシマランプの点滅を開始してから放射される紫外線の照度が最大となった後に表面温度が70℃となるまでの時間より前に、エキシマランプの点滅を停止する。
【0022】
例えば本発明の一態様であるオゾン生成方法は、点滅を持続したときのオゾン生成量が3mg/h以上のエキシマランプから紫外線が照射される酸素を含む流体を流量1m3/min以下で流し、エキシマランプの点滅の開始と停止とを繰り返すことでオゾン濃度を調整するオゾン生成方法であって、エキシマランプの点滅を開始してから表面温度が70℃となるまでの時間より前に、エキシマランプの点滅を停止する。
【0023】
例えば本発明の一態様であるオゾン生成方法は、オゾン生成手段が配置されたオゾン生成部を酸素が含まれる流体を流量1m3/min以下で流し、オゾン生成手段によるオゾン生成の開始と停止を繰り返すことでオゾン濃度を調整するオゾン生成方法であって、オゾン生成手段によるオゾン生成を開始してからオゾン生成部の温度が上昇してオゾン生成手段により生成されたオゾンを含む流体の温度が40℃となるまでの時間より前に、オゾン生成手段によるオゾン生成を停止して、停止の時間を変更することでオゾン濃度を調整する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、紫外線照射効率やオゾン生成効率の低下を防いだオゾン生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明によるオゾン生成装置の概略的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明によるオゾン生成装置の概略的構成図である。オゾン生成装置1は、管状流路2、軸流ファン3、エキシマランプ4とを備える。
【0027】
オゾン生成部を有する管状流路2は、原料ガス(被照射体)の流れる流路を形成する。原料ガスは、酸素を含むガスであり、ここでは空気が管状流路2内に流れ込むようになっている。
【0028】
軸流ファン3は、管状流路2の流入口2Aに対して同軸的に配置され、管状流路2(オゾン生成部)に沿った方向に移動する流体を供給する流体供給部である。軸流ファン3の運転を開始すると、周囲の空気が管状流路2に流れ込み、管状流路2に沿った方向に、原料ガスが流入口2Aから排出口2Bに向けて流れる。
【0029】
オゾン生成手段であるエキシマランプ4は、放電ガスが封入された管状の放電容器を有し、図示しない支持部材によって、放電容器の軸(ランプ軸)が管状流路2の軸と垂直となる向きで支持される。図示しない電源部による制御によって点灯し、紫外線(例えば172nm)を放射する。流入口2A側から流入した酸素を含む原料ガスに紫外線が照射されるとオゾンが生じ、生成されたオゾンは排出口2B側へ排出して、脱臭、殺菌処理などに用いられる。
【0030】
一般的に、エキシマランプの表面温度が約70℃以上では、紫外線照度低下の影響が大きく表れる。そのため、高温や低流量で原料ガスが流れる領域に、オゾン生成量が大きくて発熱が大きいエキシマランプを配置した使用環境では、エキシマランプの点灯開始後に紫外線照度が最大(100%)になった後に、エキシマランプの冷却が不十分となって過熱状態になると、紫外線照度が低下する。例えば、使用環境に応じた発熱と冷却のバランスによって、表面温度が80℃に上昇して一定になると、波長172nmの紫外線照度は90%に低下して一定となる。
【0031】
そのため、点灯を開始してから過熱状態となって照度低下が始まるまでの時間より前に、エキシマランプを消灯してオゾン濃度を調整することで、紫外線照射効率やオゾン生成効率の低下を防ぐとよい。更に好ましくは、過熱状態にならないとしても、点灯を開始してからエキシマランプの表面温度が最大となるまでの時間よりも前に、エキシマランプを消灯するとよい。
【0032】
例えば、エキシマランプの点灯開始後に紫外線照度が最大(100%)になった2分後に、点灯開始時に比べて90%の紫外線照度に低下して安定点灯するエキシマランプにおいては、5分間の点灯と5分間の消灯を繰り返すよりも、1分間の点灯と1分間の消灯を繰り返す点滅サイクルとするとよい。また、このような点滅サイクルで、複数のランプを交代で点滅させるようにしてもよい。
【0033】
エキシマランプから紫外線が照射される酸素を含む流体の流量が1m3/min以下となる低流量での使用環境であっても、点灯を開始してからエキシマランプの表面温度が最大となるまでの時間より前に、エキシマランプを消灯してオゾン濃度を調整することにより、紫外線照射効率やオゾン生成効率の低下を防ぐことができる。
【0034】
一般的に、紫外線照射によって生じたオゾンは、温度、相対湿度、流速が高くなると分解が促進され半減期は短くなる。温度によるオゾン分解は約40℃に達すると始まり、約60℃になると活発になる。
【0035】
特に、常時点灯としたときのオゾン生成量が3mg/h以上の高濃度オゾンを生成できるエキシマランプは、紫外線照度が高く、それに伴う発熱も大きい。このような使用環境において、点灯して過熱状態となってオゾン分解が活性となる前に、エキシマランプを消灯してオゾン濃度を調整することにより、オゾン生成効率の低下を防ぐことができる。
【0036】
エキシマランプを高周波で点灯開始すると、放射する紫外線の照度は瞬間的に最大となる。また、高周波点灯は、厳密には高周波で点滅している。このような短周期の点滅では、紫外線照射効率やオゾン生成効率の低下への影響が小さい。そのため、エキシマランプの点灯時間(点灯を開始してから消灯するまでの時間)は、点灯を開始してからエキシマランプが放射する紫外線照度が最大となる時間よりも長くするとよい。すなわち、エキシマランプの点灯を開始してから紫外線照度が最大となった一定時間の後に、エキシマランプを消灯することで、オゾン濃度を調整する。
【0037】
上記のように、エキシマランプの点灯時間によって、オゾン濃度を調整できる。しかしながら、高濃度のオゾンを生成できるエキシマランプを用いたオゾン生成装置において、オゾン濃度を環境基準値0.1ppm以下に調整するために、1s(秒)以下の範囲でエキシマランプの点灯時間を調節することは、エキシマランプの点滅や、オゾン生成量の調整が不安定となる。
【0038】
そこで、エキシマランプの点灯と消灯を繰り返すことで、生成されるオゾン濃度を調整するオゾン生成装置において、点灯の時間(点灯を持続する時間)は1秒以下で一定として、消灯の時間(消灯を持続する時間)を変更してオゾン濃度を調整することにより、低濃度のオゾン生成するときでも、オゾン濃度が安定した信頼性の高いオゾン生成装置とすることができる。
【0039】
エキシマランプの点灯と消灯とを繰り返すことでオゾン濃度を調整するオゾン生成方法において、酸素を含む流体が1m3/min以下となる低流量で流れる領域に、常時点灯としたときのオゾン生成量が3mg/h以上となるエキシマランプを配置したときには、エキシマランプによるオゾン生成の効率低下が開始する前に、エキシマランプを消灯してオゾン濃度を調整することで、エキシマランプの冷却が不十分となって過熱状態となって、紫外線照射効率やオゾン生成効率の低下を防いだオゾン生成方法とすることができる。
【0040】
また、オゾン生成手段によるオゾン生成の開始と停止を繰り返すことでオゾン濃度を調整するオゾン生成方法であって、オゾン生成手段が配置されたオゾン生成部を酸素が含まれる流体を流量1m3/min以下で流した状態で、オゾン生成部の温度が上昇してオゾン分解が活性となる前に、オゾン生成手段によるオゾン生成を停止して、その停止の時間を変更してオゾン濃度を調整するオゾン生成方法とすることで、オゾン生成効率の低下を防いだオゾン生成方法とすることができる。
【0041】
軸流ファンは、管状流路2の流出口2Bに対して同軸的に配置して、管状流路(オゾン生成部)に沿った方向に移動する流体を排出する流体排出部としてもよい。管状流路2には、複数のエキシマランプを配置しても良い。また、放電容器の軸(ランプ軸)が管状流路2の軸と平行となる向きで支持してもよい。
【0042】
このように高濃度のオゾンが生成できる波長200nm以下の紫外線を放射するエキシマランプ(紫外線照射手段)を比較的低流量で使用するときであっても、点灯時間を紫外線照度やオゾン分解の影響が顕著となる時間より短くすることで、紫外線照射効率やオゾン生成効率が低下することを抑制できる。また、点灯時間を一定とすることで、オゾン濃度の調整が安定し、信頼性の高いオゾン生成装置を提供できる。
【符号の説明】
【0043】
1 オゾン生成装置
2 管状流路(オゾン生成部)
3 軸流ファン(流体供給部)
4 エキシマランプ(オゾン生成手段)
図1