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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023217417
(22)【出願日】2023-12-22
【審査請求日】2024-01-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511265154
【氏名又は名称】SPPテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】弁理士法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 亮平
(72)【発明者】
【氏名】稲田 照雄
(72)【発明者】
【氏名】後藤 拓也
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-16986(JP,A)
【文献】特開2006-245312(JP,A)
【文献】特開2002-324829(JP,A)
【文献】特開2010-73727(JP,A)
【文献】特開2022-70212(JP,A)
【文献】特開2022-111771(JP,A)
【文献】特開2003-7797(JP,A)
【文献】国際公開第2014/064944(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0120347(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を同時に処理するためのチャンバと、
基板を収納するためのロードロック室と、
前記チャンバ及び前記ロードロック室に連結された真空搬送室と、を備え、
前記真空搬送室には、
前記ロードロック室に収納された未処理基板を前記チャンバに搬送し、前記チャンバで処理された処理済基板を前記ロードロック室に搬送するための基板搬送機構と、
前記チャンバで処理され前記基板搬送機構で搬送された複数の処理済基板を収納して冷却可能であると共に、前記ロードロック室から前記基板搬送機構で搬送された複数の未処理基板を収納可能な基板収納部と、が設けられている、
基板処理装置。
【請求項2】
前記基板収納部は、
前記チャンバで処理され前記基板搬送機構で搬送された複数の処理済基板を密封下で収納して冷却可能な処理済基板冷却部と、
前記処理済基板冷却部と区画され、前記ロードロック室から前記基板搬送機構で搬送された複数の未処理基板を収納する未処理基板収納部と、を具備する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記基板搬送機構は、
前記チャンバに複数の未処理基板を搬送した後、前記チャンバでの前記複数の未処理基板の処理が終了し、得られた複数の処理済基板を前記チャンバから搬出するまでの間に、前記ロードロック室に収納された複数の未処理基板を前記ロードロック室から前記基板収納部に搬送し、
前記得られた複数の処理済基板を前記チャンバから搬出して、前記基板収納部に搬送する、
請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板搬送機構が前記複数の処理済基板を前記チャンバから前記基板収納部に搬送した後、前記チャンバにクリーニング処理が施され、
前記基板収納部は、前記チャンバにクリーニング処理が施されている間に、搬送された前記複数の処理済基板を冷却する、
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記真空搬送室には、基板を位置調整するアライメント部が設けられ、
前記基板搬送機構は、
前記チャンバに複数の未処理基板を搬送した後、前記チャンバでの前記複数の未処理基板の処理が終了し、得られた複数の処理済基板を前記チャンバから搬出するまでの間に、前記ロードロック室に収納された複数の未処理基板を前記ロードロック室から前記アライメント部に搬送し、前記アライメント部で位置調整された後の前記複数の未処理基板を前記基板収納部に搬送する、
請求項3に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基板(ウェハ)に同時に、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、エッチングなどの所定の処理を施す基板処理装置に関する。特に、本発明は、スループットの高い基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に記載のように、複数の基板を同時に処理するためのチャンバ(特許文献1では、処理モジュール6)と、基板を収納するためのロードロック室と、チャンバ及びロードロック室に連結された真空搬送室と、を備えた基板処理装置が知られている。
真空搬送室には、ロードロック室に収納された未処理基板を、真空搬送室を経由してチャンバに搬送し、チャンバで処理された処理済基板を、真空搬送室を経由してロードロック室に搬送するための基板搬送機構(特許文献1では、真空搬送アーム5)が設けられている。
【0003】
ここで、チャンバで処理された処理済基板は、高温になっていることがある。このため、上記のような基板処理装置の真空搬送室に、処理済基板を冷却するためのクーリングステージが設けられる場合がある。
また、真空搬送室に、チャンバで処理される前の未処理基板の位置を調整するためのアライメント部が設けられる場合がある。
【0004】
上記の構成の場合、未処理基板は、基板搬送機構によって、ロードロック室から真空搬送室のアライメント部に搬送され、アライメント部で位置調整された後にチャンバに搬送される。一方、処理済基板は、基板搬送機構によって、チャンバから、真空搬送室のクーリングステージに搬送され、クーリングステージで冷却された後にロードロック室に搬送される。
したがって、例えば、基板搬送機構が1枚の基板を搬送する構成の場合、1枚の未処理基板を、ロードロック室から、アライメント部を経由して、チャンバに搬送する動作(未処理基板搬送動作)を、チャンバで同時に処理する基板の枚数分繰り返し行う必要がある。また、1枚の処理済基板を、チャンバから、真空搬送室のクーリングステージを経由して、ロードロック室に搬送する動作(処理済基板搬送動作)を、チャンバで同時に処理する基板の枚数分繰り返し行う必要がある。さらに、未処理基板搬送動作と処理済基板搬送動作とを並行して行うことができない。このため、基板処理装置のスループットが低いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第7183635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、複数の基板を同時に処理する、スループットの高い基板処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、複数の基板を同時に処理するためのチャンバと、基板を収納するためのロードロック室と、前記チャンバ及び前記ロードロック室に連結された真空搬送室と、を備え、前記真空搬送室には、前記ロードロック室に収納された未処理基板を前記チャンバに搬送し、前記チャンバで処理された処理済基板を前記ロードロック室に搬送するための基板搬送機構と、前記チャンバで処理され前記基板搬送機構で搬送された複数の処理済基板を収納して冷却可能であると共に、前記ロードロック室から前記基板搬送機構で搬送された複数の未処理基板を収納可能な基板収納部と、が設けられている、基板処理装置を提供する。
【0008】
本発明において、「冷却」とは、Nガス等の冷却用ガスを用いた強制冷却に限らず、収納することで自然に冷却されるケースを含む概念である。
本発明によれば、真空搬送室に、チャンバで処理され基板搬送機構で搬送された複数の処理済基板を収納して冷却可能であると共に、ロードロック室から基板搬送機構で搬送された複数の未処理基板を収納可能な基板収納部が設けられる。
このため、複数の処理済基板を冷却するためにチャンバから基板収納部に搬送するのに先立って(例えば、これらの基板をチャンバで処理している間に)、別の未処理基板をロードロック室から基板収納部に予め搬送しておく動作を行うことが可能である。これにより、処理済基板を基板収納部に搬送した後には、未処理基板を基板収納部からチャンバに搬送するだけでよく、処理済基板の冷却が終了し、処理済基板がロードロック室に搬送されるまで待った後に、未処理基板をロードロック室からチャンバに搬送する場合に比べて、スループットを高めることができる。
【0009】
好ましくは、前記基板収納部は、前記チャンバで処理され前記基板搬送機構で搬送された複数の処理済基板を密封下で収納して冷却可能な処理済基板冷却部と、前記処理済基板冷却部と区画され、前記ロードロック室から前記基板搬送機構で搬送された複数の未処理基板を収納する未処理基板収納部と、を具備する。
【0010】
上記の好ましい構成において、「密封下」とは、処理済基板冷却部が、真空搬送室内の他の部分(処理済基板冷却部を除く他の部分であり、未処理基板収納部を含む)に対して密封されている状態であることを意味する。
上記の好ましい構成によれば、未処理基板を収納する未処理基板収納部とは区画された処理済基板冷却部によって、処理済基板を密封下で冷却できるため、チャンバでの処理等によって処理済基板に付着したパーティクルが、冷却時に雰囲気中に浮遊し、未処理基板に付着することを抑制可能である。
【0011】
好ましくは、前記基板搬送機構は、前記チャンバに複数の未処理基板を搬送した後、前記チャンバでの前記複数の未処理基板の処理が終了し、得られた複数の処理済基板を前記チャンバから搬出するまでの間に、前記ロードロック室に収納された複数の未処理基板を前記ロードロック室から前記基板収納部に搬送し、前記得られた複数の処理済基板を前記チャンバから搬出して、前記基板収納部に搬送する。
【0012】
上記の好ましい構成によれば、チャンバに複数の未処理基板を搬送した後、チャンバでの処理が終了して得られた複数の処理済基板をチャンバから搬出するまでの間に、ロードロック室に収納された複数の未処理基板をロードロック室から基板収納部に搬送する。このため、得られた複数の処理済基板をチャンバから搬出して、基板収納部に搬送した後には、未処理基板を基板収納部からチャンバに搬送するだけでよく、スループットを高めることができる。
【0013】
好ましくは、前記基板搬送機構が前記複数の処理済基板を前記チャンバから前記基板収納部に搬送した後、前記チャンバにクリーニング処理が施され、前記基板収納部は、前記チャンバにクリーニング処理が施されている間に、搬送された前記複数の処理済基板を冷却する。
【0014】
上記の好ましい構成によれば、チャンバのクリーニング処理と複数の処理済基板の冷却とを並行して行うため、スループットを高めることができる。
【0015】
好ましくは、前記真空搬送室には、基板を位置調整するアライメント部が設けられ、前記基板搬送機構は、前記チャンバに複数の未処理基板を搬送した後、前記チャンバでの前記複数の未処理基板の処理が終了し、得られた複数の処理済基板を前記チャンバから搬出するまでの間に、前記ロードロック室に収納された複数の未処理基板を前記ロードロック室から前記アライメント部に搬送し、前記アライメント部で位置調整された後の前記複数の未処理基板を前記基板収納部に搬送する。
【0016】
上記の好ましい構成によれば、真空搬送室に基板を位置調整するアライメント部が設けられる。そして、チャンバに複数の未処理基板を搬送した後、得られた複数の処理済基板をチャンバから搬出するまでの間に、ロードロック室に収納された複数の未処理基板をロードロック室からアライメント部に搬送し、アライメント部で位置調整された後の複数の未処理基板を基板収納部に搬送する。このため、得られた複数の処理済基板をチャンバから搬出して、基板収納部に搬送した後には、未処理基板を基板収納部からチャンバに搬送するだけでよく、スループットを高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の基板を同時に処理する、スループットの高い基板処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成を、内部を透視した状態で模式的に示す平面図である。
図2図1に示す基板収納部32の具体的な構成を模式的に示す断面図である。
図3図1に示す基板処理装置100の動作の概略手順を説明するフロー図である。
図4図1に示す基板処理装置100の動作の概略手順を説明するフロー図である。
図5図3及び図4に示す各ステップにおける基板Wの位置の変化を模式的に示す平面図である。
図6図4に示す各ステップにおける基板Wの位置の変化を模式的に示す平面図である。
図7図1に示す基板処理装置100による基板Wの搬送のタイミングチャートの一例と、参考例に係る基板処理装置による基板Wの搬送のタイミングチャートの一例とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態に係る基板処理装置について説明する。
図1は、本実施形態に係る基板処理装置の概略構成を、内部を透視した状態で模式的に示す平面図である。図1に示すように、本実施形態に係る基板処理装置100は、複数(本実施形態では4枚)の基板(ウェハ)Wを同時に処理するためのチャンバ1と、基板Wを収納するためのロードロック室2と、チャンバ1及びロードロック室2に連結された真空搬送室3と、を備える。
なお、本明細書では、チャンバ1で処理された処理済基板を、チャンバ1で処理する前の未処理基板と区別するために、適宜、「W’」など、参照符号の末尾に「’」を付す場合がある。
【0020】
チャンバ1は、複数(本実施形態では4枚)の基板Wを載置する1つの載置台11を具備する。チャンバ1内では、例えば、真空環境下での所定の処理ガスを用いたプラズマ処理によって、複数の基板Wに、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、エッチングなどの所定の処理が同時に施される。処理の内容については、公知の処理と同様であるため、ここではこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0021】
ロードロック室2は、内部を真空環境と大気環境とに切り替えることが可能である。ロードロック室2内には、上下方向に昇降可能なカセット21が設けられている。カセット21には、複数の基板Wが上下方向に並んでそれぞれ収納される。ロードロック室2の内部を真空環境と大気環境とに切り替える構成については、公知のものと同様であるため、ここではこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0022】
真空搬送室3は、真空環境下で基板Wを搬送する室であり、ゲートバルブ4を介してチャンバ1に連結されている。また、真空搬送室3は、ゲートバルブ5を介してロードロック室2に連結されている。
【0023】
真空搬送室3には、ロードロック室2(カセット21)に収納された未処理基板Wを、真空搬送室3を経由してチャンバ1に搬送し、チャンバ1で処理された処理済基板W’を、真空搬送室3を経由してロードロック室2に搬送するための基板搬送機構31が設けられている。本実施形態では、基板搬送機構31として、真空搬送室3に固定された旋回中心を中心として伸縮・旋回可能なシングルアームの2軸極座標型(r軸、θ軸)真空ロボットが用いられている。基板搬送機構31の基板保持部311には、1枚の基板Wが載置され保持される。基板保持部311は、一定の上下方向位置にある水平面内において任意に変位可能であり、チャンバ1、ロードロック室2及び真空搬送室3の何れにも変位可能である。基板搬送機構31としては、公知の真空ロボットを使用可能であるため、ここではこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0024】
また、真空搬送室3には、チャンバ1で処理され基板搬送機構31で搬送された複数(本実施形態では4枚)の処理済基板W’を収納して冷却可能であると共に、ロードロック室2から基板搬送機構31で搬送された複数(本実施形態では4枚)の未処理基板Wを収納可能な基板収納部32が設けられている。基板収納部32の具体的な構成については後述する。
【0025】
さらに、本実施形態では、好ましい態様として、真空搬送室3に、基板W(本実施形態では、未処理基板のみ)を位置調整するアライメント部33が設けられている。アライメント部33は、例えば、回動ステージ331と、回動ステージ331に載置された基板Wの位置を検出する透過型の光学式センサ(図示せず)とを具備する。回動ステージ331は、上下方向に昇降可能であると共に、上下方向回りに回動可能である。回動ステージ331に載置された基板Wは、所定の方法で保持される。そして、光学式センサが、回動ステージ331に載置された基板Wに設けられた切欠き部(オリエンテーションフラットやノッチ)の位置(回動方向及び水平方向の位置)を検出する。光学式センサで検出された基板の切欠き部の現在位置(回動方向の位置)と予め定めた基板の切欠き部の目標位置(回動方向の位置)とのずれ量に基づき、基板Wが予め定めた目標位置になるように、基板Wが載置された回動ステージ331が回動することにより、基板Wの回動方向の位置を調整することができる。また、光学式センサで検出された基板Wの切欠き部の現在位置(水平方向の位置)と、予め定めた基板Wの切欠き部の目標位置(水平方向の位置)とのずれ量に基づき、基板搬送機構31の基板保持部311の位置を、例えば、基板Wの中心に変位させることができる。以上のようにして、アライメント部33により基板Wの位置が調整される。
【0026】
以下、基板収納部32の具体的な構成について説明する。
図2は、基板収納部32の具体的な構成を模式的に示す断面図である。具体的には、図2は、図1に示す矢印A方向から見た基板収納部32の拡大断面図である。図2(a)は基板収納部32を構成する昇降部322が下降した状態(昇降部322が筐体321の外部に位置する状態)の一例を、図2(b)は昇降部322が最も上昇した状態(フランジ部32fが筐体321の下端に接触するまで上昇した状態)を示す。なお、図2に破線で示す直線PLは、基板保持部311の一定の上下方向位置(基板搬送高さ)を示す。
図2に示すように、基板収納部32は、下端に開口部32aが形成された筐体321と、筐体321の下方に配置され、上下方向に昇降可能な昇降部322と、を具備する。昇降部322を上下方向に昇降させる機構としては、これに限られるものではないが、例えば、ボールねじ(図示せず)が用いられる。
【0027】
図2(b)に示す状態において、筐体321内には、ガス供給源(図示せず)から配管32bを通じて冷却用ガスとしてのNガスが供給され、供給されたNガスは、真空ポンプ(図示せず)等によって、配管32cを通じて筐体321の外部に排気される。これにより、筐体321内には、処理済基板W’を冷却するためのNガスが循環することになる。なお、本実施形態のNガスの循環には、排気を停止した状態でNガスを筐体321内に供給した後、供給を停止した状態でNガスを筐体321の外部に排気する態様の他、Nガスの供給及び排気を同時に行う態様が含まれる。
【0028】
昇降部322は、内側に突出し、処理済基板W’の縁部(図2の左右に位置する縁部)を載置して、処理済基板W’を支持する複数(本実施形態では2×4組=8つ)の棚部32dを有する。各棚部32dは、同一の上下方向位置の左右に1組設けられ、この複数組が一定の隙間を隔てて上下方向に並んで設けられている。同様に、昇降部322は、内側に突出し、未処理基板Wの縁部(図2の左右に位置する縁部)を載置して、未処理基板Wを支持する複数(本実施形態では2×4組=8つ)の棚部32eを有する。各棚部32eは、棚部32dの下方において、同一の上下方向位置の左右に1組設けられ、この複数組が一定の隙間を隔てて上下方向に並んで設けられている。
昇降部322は、基板搬送機構31によって搬送された1枚の処理済基板W’を収納(棚部32dで縁部を支持)する際には、昇降部322が筐体321の外部に位置するように下降した状態(図2(a)に示すような状態)となる。具体的には、当該処理済基板W’の縁部を支持する予定の棚部32dの上下方向位置が、基板保持部311の上下方向位置PLよりもやや下方に位置するように、昇降部322が昇降する。そして、当該処理済基板W’が当該棚部32dの上方に位置するまで、基板保持部311が変位(図1に示す矢印A方向に変位)した後、当該棚部32dの上下方向位置が、基板保持部311の上下方向位置PLよりもやや上方に位置するように、昇降部322が上昇する。これにより、当該処理済基板W’は当該棚部32dに移し替えられ、当該棚部32dによって支持されることになる。そして、当該処理済基板W’が当該棚部32dに移し替えられた後、基板保持部311は、上記と逆向きに変位して、昇降部322から離れる。以上のような動作を複数回(本実施形態では、4回)繰り返すことで、複数の棚部32dによって、複数の処理済基板W’の縁部が支持されることになる。
同様に、昇降部322は、基板搬送機構31によって搬送された1枚の未処理基板Wを収納(棚部32eで縁部を支持)する際にも、昇降部322が筐体321の外部に位置するように下降した状態(図2(a)に示すような状態)となる。具体的には、当該未処理基板Wの縁部を支持する予定の棚部32eの上下方向位置が、基板保持部311の上下方向位置PLよりもやや下方に位置するように、昇降部322が昇降する。そして、当該未処理基板Wが当該棚部32eの上方に位置するまで、基板保持部311が変位(図1に示す矢印A方向に変位)した後、当該棚部32eの上下方向位置が、基板保持部311の上下方向位置PLよりもやや上方に位置するように、昇降部322が上昇する。これにより、当該未処理基板Wは当該棚部32eに移し替えられ、当該棚部32eによって支持されることになる。当該未処理基板Wが当該棚部32eに移し替えられた後、基板保持部311は、上記と逆向きに変位して、昇降部322から離れる。以上のような動作を複数回(本実施形態では、4回)繰り返すことで、複数の棚部32eによって、複数の未処理基板Wの縁部が支持されることになる。
【0029】
昇降部322は、筐体321に形成された開口部32aよりも水平方向の寸法が大きなフランジ部32fを具備する。フランジ部32fの周縁部には、OリングORが取り付けられている。これにより、図2(b)に示すように、フランジ部32fが筐体321の下端に接触するまで上昇することで、筐体321内は密封された状態となる。このため、図2(b)に示す状態において、筐体321内にNガスが循環することで、筐体321、フランジ部32f及びOリングORは、複数の処理済基板W’を密封下で収納して冷却可能な処理済基板冷却部3Aとして機能することになる。一方、昇降部322の残りの部分は、処理済基板冷却部3Aと区画され、複数の未処理基板Wを収納する未処理基板収納部3Bとして機能することになる。
【0030】
以上に説明した基板収納部32によれば、未処理基板Wを収納する未処理基板収納部3Bとは区画された処理済基板冷却部3Aによって、処理済基板W’を密封下で冷却できるため、チャンバ1での処理等によって処理済基板W’に付着したパーティクルが、冷却時に雰囲気中に浮遊し、未処理基板Wに付着することを抑制可能である。
ここで、基板処理装置100を構成する構成要素は、できる限りフットプリントを小さくすることが好ましい。本実施形態の基板収納部32は、処理済基板W’及び未処理基板Wを上下方向に並べて収納する構成であるため、例えば、水平方向に並べて収納する構成に比べて、水平面内のフットプリントを小さくすることができる。
なお、図2に示す構成は、基板収納部32の例示であり、処理済基板W’に付着したパーティクルが未処理基板Wに付着することを抑制できる限りにおいて、処理済基板冷却部3Aにおける密封の形態は種々採用可能である。
【0031】
以下、本実施形態に係る基板処理装置100の動作(主として基板搬送機構31の動作)について説明する。以下の説明では、便宜上、未処理基板Wを4枚毎に3回チャンバ1で処理(計12枚の未処理基板Wを処理)する場合を例に挙げて説明する。
【0032】
図3及び図4は、基板処理装置100の動作の概略手順を説明するフロー図である。図5は、図3及び図4に示す各ステップにおける基板Wの位置の変化を模式的に示す平面図である。図6は、図4に示す各ステップにおける基板Wの位置の変化を模式的に示す平面図である。図5及び図6に示す太線矢印が、基板Wの位置の変化を示している。なお、図5及び図6では、便宜上、基板搬送機構31の基板保持部311の位置を固定して図示しているが、実際には、基板Wが搬送される位置に応じて、基板保持部311は変位することになる。
図3及び図4に示すように、基板処理装置100は、ステップS1~S20を実行する。以下、各ステップS1~S20について説明する。
【0033】
<ステップS1>
図3に示すステップS1の初期状態では、図1に示すゲートバルブ5が閉じた大気環境下で、12枚の未処理基板W(W1~W12)がロードロック室2のカセット21に収納されている。次に、ステップS1では、ロードロック室2内が真空環境に切り替えられた後、ゲートバルブ5が開かれる。次に、基板搬送機構31の基板保持部311がロードロック室2に変位すると共に、カセット21における未処理基板W1を収納している箇所の上下方向位置が、未処理基板W1を基板保持部311に移し替えることのできる位置となるように、カセット21が上下方向に昇降する。次に、基板搬送機構31が、基板保持部311で未処理基板W1を載置して保持し、未処理基板W1をロードロック室2からアライメント部33に搬送する。次に、基板搬送機構31が、アライメント部33で位置調整された後の未処理基板W1を、再び基板保持部311で載置して保持し、ゲートバルブ4が開いた状態のチャンバ1に搬送する。具体的には、基板保持部311がチャンバ1の載置台11の上方における、未処理基板W1を載置する予定の位置に変位し、載置台11からリフトピン(図示せず)が上方に突出して、未処理基板W1を基板保持部311からリフトピンに移し替える。その後、基板保持部311がチャンバ1からロードロック室2に向けて再び変位すると共に、リフトピンが下降して未処理基板W1が載置台11に載置される。
ステップS1では、12枚の未処理基板W1~W12のうち、図5(a)に示すように、4枚の未処理基板W1~W4がチャンバ1に搬送されるまで、以上に説明したものと同様の動作が繰り返される。
【0034】
<ステップS2>
ステップS2では、ゲートバルブ4が閉じ、チャンバ1に搬送した未処理基板W1~W4に対して、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、エッチングなどの所定の処理が施される。
【0035】
<ステップS3>
ステップS3では、ステップS1においてチャンバ1に未処理基板W1~W4を搬送した後、ステップS2におけるチャンバ1での未処理基板W1~W4の処理が終了し、得られた処理済基板W1’~W4’を後述のステップS4においてチャンバ1から搬出するまでの間に、基板搬送機構31が、ステップS1と同様の手順で、ロードロック室2(カセット21)に収納された未処理基板W5をロードロック室2からアライメント部33に搬送する。次に、上記の間に、基板搬送機構31は、アライメント部33で位置調整された後の未処理基板W5を基板収納部32に搬送する。具体的には、この際、基板収納部32の昇降部322は、未処理基板W5の縁部を支持する予定の棚部32eの上下方向位置が、基板保持部311の上下方向位置PLよりもやや下方に位置するように昇降する。そして、未処理基板W5が当該棚部32eの上方に位置するまで、基板保持部311が変位した後、当該棚部32eの上下方向位置が、基板保持部の上下方向位置PLよりもやや上方に位置するように、昇降部322が上昇する。これにより、未処理基板W5は、基板保持部311から昇降部322の棚部32eに移し替えられ、基板収納部32に収納される。その後、基板保持部311が基板収納部32からロードロック室2に向けて再び変位する。
ステップS3では、図5(b)に示すように、4枚の未処理基板W5~W8が基板収納部32に搬送され収納されるまで、以上に説明したものと同様の動作が繰り返される。
なお、未処理基板W5~W8のロードロック室2から基板収納部32への搬送は、処理済基板W1’~W4’を後述のステップS4においてチャンバ1から搬出するまでの間に実行すれば良いが、スループットをより一層高める上では、ステップS2においてチャンバ1での未処理基板W1~W4の処理が終了するまでの間に実行することが好ましい。例えば、チャンバ1での未処理基板W1~W4の処理時間が短く、未処理基板W5~W8のロードロック室2から基板収納部32への搬送が、チャンバ1での未処理基板W1~W4の処理が終了するまでに終了しない場合、未処理基板W5~W8の基板収納部32への搬送が終了するまで、処理済基板W1’~W4’のチャンバ1からの搬出を待たなければならない(すなわち、未処理基板W1~W4の処理が終了した後に処理済基板W1’~W4’の搬出を待つ分だけスループットが悪くなる)。このため、上記のように、未処理基板W5~W8のロードロック室2から基板収納部32への搬送は、チャンバ1での未処理基板W1~W4の処理が終了するまでの間に実行することが好ましい。
【0036】
<ステップS4>
ステップS4では、ゲートバルブ4が開き、基板搬送機構31が、ステップS2におけるチャンバ1での未処理基板W1の処理によって得られた処理済基板W1’をチャンバ1から基板収納部32に搬送する。具体的には、この際、基板収納部32の昇降部322は、処理済基板W1’の縁部を支持する予定の棚部32dの上下方向位置が、基板保持部311の上下方向位置PLよりもやや下方に位置するように昇降する。そして、処理済基板W1’が当該棚部32dの上方に位置するまで、基板保持部311が変位した後、当該棚部32dの上下方向位置が、基板保持部の上下方向位置PLよりもやや上方に位置するように、昇降部322が上昇する。これにより、処理済基板W1’は、基板保持部311から昇降部322の棚部32dに移し替えられ、基板収納部32に収納される。その後、基板保持部311が基板収納部32からチャンバ1に向けて再び変位する。
ステップS4では、図5(c)に示すように、4枚の処理済基板W1’~W4’が基板収納部32に搬送され収納されるまで、以上に説明したものと同様の動作が繰り返される。
【0037】
<ステップS5>
ステップS5では、ステップS4において基板搬送機構31が処理済基板W1’~W4’をチャンバ1から基板収納部32に搬送した後、ゲートバルブ4が閉じ、チャンバ1にクリーニング処理が施される。クリーニング処理は、例えば、チャンバ1内を減圧状態にした後、O等のクリーニング用ガスをチャンバ1内に供給してプラズマ化し、生成されたプラズマ中に含まれるOラジカルがチャンバ1内に付着した膜組成物と反応することで、この膜組成物を除去する処理である。クリーニング処理の内容については、公知のものと同様であるため、ここではこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0038】
<ステップS6>
ステップS6では、ステップS5においてチャンバ1にクリーニング処理が施されている間に、基板収納部32が、搬送された処理済基板W1’~W4’を冷却する。チャンバ1のクリーニング処理の時間と、処理済基板W1’~W4’の冷却時間とは、完全に重複する必要はなく、少なくともその一部がオーバラップしていればよい。処理済基板W1’~W4’を冷却する際には、基板収納部32の昇降部322が、図2(b)に示すように、そのフランジ部32fが筐体321の下端に接触するまで上昇する。これにより、処理済基板W1’~W4’は、処理済基板冷却部3Aに密封下で収納されることになる。一方、ステップS3において搬送された未処理基板W5~W8は、処理済基板冷却部3Aと区画された未処理基板収納部3Bに収納されることになる。そして、この状態で、筐体321内にNガスを循環させることで、処理済基板W1’~W4’を冷却する。
このように、未処理基板W5~W8が収納された未処理基板収納部3Bとは区画された処理済基板冷却部3Aによって、処理済基板W1’~W4’を密封下で冷却できるため、チャンバ1での処理等によって処理済基板W1’~W4’に付着したパーティクルが、冷却時に雰囲気中に浮遊し、未処理基板W5~W8に付着することを抑制可能である。
【0039】
<ステップS7>
ステップS7では、ステップS5におけるチャンバ1のクリーニング処理、及び、ステップS6における処理済基板W1’~W4’の冷却が終了した後、ゲートバルブ4が開き、基板搬送機構31が、基板収納部32に収納された未処理基板W5をチャンバ1に搬送する。具体的には、この際、基板収納部32の昇降部322は、未処理基板W5の縁部を支持する棚部32eの上下方向位置が、基板保持部311の上下方向位置PLよりもやや上方に位置するように昇降する。そして、未処理基板W5の下方に位置するまで、基板保持部311が変位した後、未処理基板W5の縁部が当該棚部32eから離れるまで、昇降部322が下降する。これにより、未処理基板W5は、当該棚部32eから基板保持部311に移し替えられ、その後、未処理基板W5を保持する基板保持部311が基板収納部32からチャンバ1に向けて変位し、未処理基板W5が載置台11に載置される。
ステップS7では、図5(d)に示すように、4枚の未処理基板W5~W8がチャンバ1に搬送され載置台1に載置されるまで、以上に説明したものと同様の動作が繰り返される。
【0040】
<ステップS8>
ステップS8では、ゲートバルブ4が閉じ、チャンバ1に搬送した未処理基板W5~W8に対して、所定の処理が施される。
【0041】
<ステップS9>
ステップS9では、ステップS7においてチャンバ1に未処理基板W5~W8を搬送した後、ステップS8におけるチャンバ1での未処理基板W5~W8の処理が終了し、得られた処理済基板W5’~W8’を後述のステップS11においてチャンバ1から搬出するまでの間に、基板搬送機構31が、ステップS6における冷却後の処理済基板W1’を基板収納部32からロードロック室2に搬送する。具体的には、基板収納部32から処理済基板W1’を搬出する際、基板収納部32の昇降部322は、処理済基板W1’の縁部を保持する棚部32dの上下方向位置が、基板保持部311の上下方向位置PLよりもやや上方に位置するように昇降する。そして、処理済基板W1’の下方に位置するまで、基板保持部311が変位した後、処理済基板W1’の縁部が当該棚部32dから離れるまで、昇降部322が下降する。これにより、処理済基板W1’は、当該棚部32dから基板保持部311に移し替えられ、その後、処理済基板W1’を保持する基板保持部311が基板収納部32からロードロック室2に向けて変位する。また、処理済基板W1’をロードロック室2に搬入する際、カセット21における処理済基板W1’を収納する予定の箇所の上下方向位置が、処理済基板W1’を当該予定箇所に移し替えることのできる位置となるように、カセット21が上下方向に昇降し、基板搬送機構31が、処理済基板W1’を基板保持部311からカセット21に移し替える。これにより、処理済基板W1’は、カセット21に収納される。
ステップS9では、図5(e)に示すように、4枚の処理済基板W1’~W4’がロードロック室2に搬送されカセット21に収納されるまで、以上に説明したものと同様の動作が繰り返される。
【0042】
<ステップS10>
ステップS10では、ステップS7においてチャンバ1に未処理基板W5~W8を搬送した後、ステップS8におけるチャンバ1での未処理基板W5~W8の処理が終了し、得られた処理済基板W5’~W8’を後述のステップS11においてチャンバ1から搬出するまでの間に、基板搬送機構31が、ステップS3と同様の手順で、ロードロック室2(カセット21)に収納された未処理基板W9をロードロック室2からアライメント部33に搬送し、アライメント部33で位置調整された後の未処理基板W9を基板収納部32に搬送する。
ステップS10では、図5(f)に示すように、4枚の未処理基板W9~W12が基板収納部32に搬送され収納されるまで、以上に説明したものと同様の動作が繰り返される。
【0043】
<ステップS11>
ステップS11では、基板搬送機構31が、ステップS4と同様の手順で、ステップS8におけるチャンバ1での未処理基板W5の処理によって得られた処理済基板W5’をチャンバ1から基板収納部32に搬送する。
ステップS11では、図5(g)に示すように、4枚の処理済基板W5’~W8’が基板収納部32に搬送され収納されるまで、以上に説明したものと同様の動作が繰り返される。
【0044】
<ステップS12>
図4に示すステップS12では、ステップS5と同様に、ステップS11において基板搬送機構31が処理済基板W5’~W8’をチャンバ1から基板収納部32に搬送した後、ゲートバルブ4が閉じ、チャンバ1にクリーニング処理が施される。
【0045】
<ステップS13>
ステップS13では、ステップS6と同様に、ステップS12においてチャンバ1にクリーニング処理が施されている間に、基板収納部32が、搬送された処理済基板W5’~W8’を冷却する。
【0046】
<ステップS14>
ステップS14では、ステップS7と同様に、ステップS12におけるチャンバ1のクリーニング処理、及び、ステップS13における処理済基板W5’~W8’の冷却が終了した後、ゲートバルブ4が開き、基板搬送機構31が、基板収納部32に収納された未処理基板W9をチャンバ1に搬送する。
ステップS14では、図5(h)に示すように、4枚の未処理基板W9~W12がチャンバ1に搬送され載置台1に載置されるまで、以上に説明したものと同様の動作が繰り返される。
【0047】
<ステップS15>
ステップS15では、ステップS8と同様に、ゲートバルブ4が閉じ、チャンバ1に搬送した未処理基板W9~W12に対して、所定の処理が施される。
【0048】
<ステップS16>
ステップS16では、ステップS9と同様に、ステップS14においてチャンバ1に未処理基板W9~W12を搬送した後、ステップS15におけるチャンバ1での未処理基板W9~W12の処理が終了し、得られた処理済基板W9’~W12’を後述のステップS17においてチャンバ1から搬出するまでの間に、基板搬送機構31が、ステップS13における冷却後の処理済基板W5’を基板収納部32からロードロック室2に搬送する。
ステップS16では、図6(a)に示すように、4枚の処理済基板W5’~W8’がロードロック室2に搬送されカセット21に収納されるまで、以上に説明したものと同様の動作が繰り返される。
なお、前述のステップS9では、その後に、未処理基板W9~W12をロードロック室2からアライメント部33を経由して基板収納部32に搬送するステップS10を実行しているが、ステップS16を実行する段階ではロードロック室2に未処理基板Wが残っていないため(本実施形態では計12枚の未処理基板W1~W12を処理する場合を例に挙げているため)、ステップS16の後には、前述のステップS10と同様のステップは実行されない。本実施形態とは異なり、16枚、20枚など、12枚以上の未処理基板Wを処理する場合には、ステップS16の後に、前述のステップS10と同様のステップを実行することになる。
【0049】
<ステップS17>
ステップS17では、ステップS11と同様に、基板搬送機構31が、ステップS15におけるチャンバ1での未処理基板W9の処理によって得られた処理済基板W9’をチャンバ1から基板収納部32に搬送する。
ステップS17では、図6(b)に示すように、4枚の処理済基板W9’~W12’が基板収納部32に搬送され収納されるまで、以上に説明したものと同様の動作が繰り返される。
【0050】
<ステップS18>
ステップS18では、ステップS12と同様に、ステップS17において基板搬送機構31が処理済基板W9’~W12’をチャンバ1から基板収納部32に搬送した後、ゲートバルブ4が閉じ、チャンバ1にクリーニング処理が施される。
【0051】
<ステップS19>
ステップS19では、ステップS13と同様に、ステップS18においてチャンバ1にクリーニング処理が施されている間に、基板収納部32が、搬送された処理済基板W9’~W12’を冷却する。
【0052】
<ステップS20>
ステップS20では、ステップS16と同様に、基板搬送機構31が、ステップS19における冷却後の処理済基板W9’を基板収納部32からロードロック室2に搬送する。
ステップS20では、図6(c)に示すように、4枚の処理済基板W9’~W12’がロードロック室2に搬送されカセット21に収納されるまで、以上に説明したものと同様の動作が繰り返される。
【0053】
以上のようにして、基板処理装置100がステップS1~S20を実行することで、ロードロック室2のカセット21に収納されていた12枚の未処理基板W1~W12はチャンバ1で処理され、処理済基板W1’~W12’として再びロードロック室2のカセット21に収納される。
【0054】
図7は、以上に説明した本実施形態に係る基板処理装置100による基板Wの搬送のタイミングチャートの一例と、参考例に係る基板処理装置による基板Wの搬送のタイミングチャートの一例とを示す図である。図7(a)は本実施形態に係る基板処理装置100による基板Wの搬送のタイミングチャートの一例を、図7(b)は参考例に係る基板処理装置による基板Wの搬送のタイミングチャートの一例を示す。参考例に係る基板処理装置は、1枚の処理済基板W’を収納して冷却可能な構成(未処理基板Wは収納不可な構成)に基板収納部32を替えた点だけが本実施形態に係る基板処理装置100と異なる。図7に示すタイミングチャートは、チャンバ1において基板Wにある膜種Aを成膜する成膜処理を行った場合のタイミングチャートである。
図7において、横軸は経過時間を、縦軸は各基板Wの位置を示す。また、基板W1~W4(未処理基板W1~W4及び処理済基板W1’~W4’)の位置の変化を実線で、基板W5~W8(未処理基板W5~W8及び処理済基板W5’~W8’)の位置の変化を破線で、基板W9~W12(未処理基板W9~W12及び処理済基板W9’~W12’)の位置の変化を点線で示す。すなわち、縦軸のロードロック室2の枠内に線(実線、破線又は点線)が位置する場合には基板Wがロードロック室2に位置し、真空搬送室3の枠内に線が位置する場合には基板Wが真空搬送室3に位置し、チャンバ1の枠内に線が位置する場合には基板Wがチャンバ1に位置することを意味する。さらに、図7に示す横軸の原点(経過時間=0)は、大気環境下で未処理基板W1~W4をロードロック室2のカセット21に収納し終わった時点を示す。
なお、図7において、経過時間=0から基板W1をロードロック室2から搬出し始めるまでの時間は、ロードロック室2で搬送準備が完了するまでに要する時間(ロードロック室2内を真空環境に切り替える等に要する時間)である。また、図7において、ロードロック室2から真空搬送室3(基板収納部32)への搬送時間、及び、ロードロック室2から真空搬送室3を経由してのチャンバ1への搬送時間には、アライメント部33での基板Wの位置調整に要する時間が含まれている。
【0055】
本実施形態に係る基板処理装置100によれば、チャンバ1に複数の未処理基板Wを搬送した後、チャンバ1での処理が終了して得られた複数の処理済基板W’をチャンバ1から搬出するまでの間に、ロードロック室2に収納された複数の未処理基板Wをロードロック室2からアライメント部33を経由して基板収納部32に搬送する(ステップS3、S10)。図7(a)に示す例では、複数の処理済基板W1’~W4’をチャンバ1から搬出するまでの間に、ロードロック室2に収納された複数の未処理基板W5~W8をロードロック室2から真空搬送室3の基板収納部32に搬送している。同様に、複数の処理済基板W5’~W8’をチャンバ1から搬出するまでの間に、ロードロック室2に収納された複数の未処理基板W9~W12をロードロック室2から真空搬送室3の基板収納部32に搬送している。このため、得られた複数の処理済基板W’をチャンバ1から搬出して、基板収納部32に搬送した後には、未処理基板Wを基板収納部32からチャンバ1に搬送するだけでよく(ステップS7、S14)、図7(b)に示すような参考例に比べてスループットを高めることができる。
また、本実施形態に係る基板処理装置100によれば、基板搬送機構31が複数の処理済基板W’をチャンバ1から基板収納部32に搬送した後、チャンバ1にクリーニング処理が施され、基板収納部32は、チャンバ1にクリーニング処理が施されている間に、搬送された複数の処理済基板W’を冷却する。図7(a)に示す例では、チャンバ1にクリーニング処理が施されている間に、複数の処理済基板W1’~W4’を冷却している。同様に、チャンバ1にクリーニング処理が施されている間に、複数の処理済基板W5’~W8’を冷却している。さらに、チャンバ1にクリーニング処理が施されている間に、複数の処理済基板W9’~W12’を冷却している。すなわち、チャンバ1のクリーニング処理(ステップS5、S12、S18)と複数の処理済基板W’の冷却(ステップS6、S13、S19)とを並行して行うため、図7(b)に示すような参考例に比べてスループットを高めることができる。
【0056】
本実施形態に係る基板処理装置100について、未処理基板Wを4枚毎に6回チャンバ1で処理(計24枚の未処理基板Wを処理(膜種Aを成膜))する場合のスループットを評価したところ、10.29wphであった。「wph」は、wafers per hourの略語であり、1時間当たりの基板Wの処理枚数を意味する。
これに対し、参考例についても、未処理基板Wを4枚毎に6回チャンバ1で処理(計24枚の未処理基板Wを処理)する場合のスループットを評価したところ、6.16wphであった。
すなわち、本実施形態に係る基板処理装置100によれば、参考例に比べてスループットが67.0%向上することが分かった。
なお、チャンバ1において基板Wに膜種Aとは別の膜種Bを成膜する成膜処理を行った場合のスループットについても同様に評価したところ、本実施形態に係る基板処理装置100については7.06wphであり、参考例については4.93wphであった。すなわち、本実施形態に係る基板処理装置100によれば、参考例に比べてスループットが43.2%向上することが分かった。
【0057】
なお、本実施形態では、チャンバ1が、4枚の基板Wを載置する1つの載置台11を具備する構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではない。チャンバ1が複数の基板Wを同時に処理することができる限りにおいて、2枚、3枚又は5枚以上の基板Wを載置する1つの載置台11を具備する構成を採用することも可能である。また、チャンバ1が、1枚の基板Wを載置する載置台11を、同時に処理する基板Wの枚数分だけ複数具備する構成を採用することも可能である。
【0058】
また、本実施形態では、1枚の基板Wが載置され保持される基板保持部311を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではない。特許文献1に記載の真空搬送アームのように、基板保持部311に複数の基板Wが載置され保持される構成を採用することも可能である。
【0059】
また、本実施形態では、4枚の処理済基板W’及び4枚の未処理基板Wを収納可能な基板収納部32を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではない。基板収納部32は、処理済基板W’及び未処理基板Wを、それぞれチャンバ1で同時に処理する基板Wの枚数分だけ収納可能な構成であればよい。
【0060】
また、本実施形態では、好ましい態様として、真空搬送室3にアライメント部33が設けられている構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、アライメント部33が設けられていない構成を採用することも可能である。この場合、前述のステップS1では、基板搬送機構31が、未処理基板Wをロードロック室2からチャンバ1に直接搬送することになる。また、前述のステップS3、S10では、基板搬送機構31が、未処理基板Wをロードロック室2から基板収納部32に直接搬送することになる。
【0061】
さらに、本実施形態では、基板搬送機構31の基板保持部311が一定の上下方向位置にある水平面内において変位可能である場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではない。基板保持部311が水平面内に加えて上下方向にも変位可能な構成を採用することも可能である。この構成を採用する場合、基板保持部311と基板収納部32との間における基板Wの移し替えの際に、前述のような基板収納部32の昇降に替えて基板保持部311が昇降する態様や、基板収納部32の昇降に加えて基板保持部311も昇降する態様を採用することが考えられる。
【符号の説明】
【0062】
1・・・チャンバ
2・・・ロードロック室
3・・・真空搬送室
31・・・基板搬送機構
32・・・基板収納部
33・・・アライメント部
3A・・・処理済基板冷却部
3B・・・未処理基板収納部
100・・・基板処理装置
W・・・基板、未処理基板
W’・・・処理済基板
【要約】
【課題】複数の基板を同時に処理する、スループットの高い基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、複数の基板Wを同時に処理するためのチャンバ1と、基板を収納するためのロードロック室2と、チャンバ及びロードロック室に連結された真空搬送室3と、を備える。真空搬送室には、基板搬送機構31と、チャンバで処理され基板搬送機構で搬送された複数の処理済基板W’を収納して冷却可能であると共に、ロードロック室から基板搬送機構で搬送された複数の未処理基板を収納可能な基板収納部32と、が設けられている。基板収納部は、チャンバで処理され基板搬送機構で搬送された複数の処理済基板を密封下で収納して冷却可能な処理済基板冷却部3Aと、処理済基板冷却部と区画され、ロードロック室から基板搬送機構で搬送された複数の未処理基板を収納する未処理基板収納部3Bと、を具備する。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7