(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置、エレベータシステム、エレベータ制御方法、及びエレベータ制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B66B 13/14 20060101AFI20240507BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B66B13/14 N
B66B3/00 L
(21)【出願番号】P 2023541825
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 JP2021046510
(87)【国際公開番号】W WO2023112253
(87)【国際公開日】2023-06-22
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100203677
【氏名又は名称】山口 力
(72)【発明者】
【氏名】寺島 英明
(72)【発明者】
【氏名】小林 翔一
(72)【発明者】
【氏名】安部 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】宮野 一輝
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-201635(JP,A)
【文献】特開2009-263073(JP,A)
【文献】特開2015-035118(JP,A)
【文献】特表2019-503950(JP,A)
【文献】特開2009-084019(JP,A)
【文献】特開2007-001758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 3/02
B66B 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータかごと、前記エレベータかごのドアを開閉するドア駆動装置と、前記ドアが開状態であるか閉状態であるかを検出する開閉検出器と、音
波の強度を検出する
マイクとを有するエレベータ、を制御するエレベータ制御装置であって、
前記開閉検出器によって前記ドアの開状態が検出されているときに、前記
マイクによって検出された前記強度の時間変化を示す
音波強度データを取得する取得部と、
前記音波強度データの二乗平均平方根を算出し、前記二乗平均平方根の平滑化処理を実施し、前記平滑化処理が実施された信号の極大値と極小値とを求め、前記極大値と前記極小値との信号レベルの差分を算出し、前記差分に基づいて前記エレベータかごに乗降する乗降者の属性を判定する判定部と、
前記属性に基づいて前記ドア駆動装置の制御を行う制御部と、
を有することを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記
音波強度データに基づいて、前記乗降者が、車両を使用していない車両不使用者であるか、前記車両を使用している車両使用者であるかを判定する属性判定処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記属性判定処理に際し、前記乗降者が、前記車両不使用者であるか、前記車両として車いすを使用している車いす使用者であるかを判定する
ことを特徴とする請求項2に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記属性判定処理に際し、前記乗降者が、前記車両不使用者であるか、前記車両として台車を使用している台車使用者であるかを判定する
ことを特徴とする請求項2に記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記属性判定処理に際し、前記乗降者が、前記車両不使用者であるか、前記車両として車いすを使用している車いす使用者であるか、前記車両として台車を使用している台車使用者であるかを判定する
ことを特徴とする請求項2に記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記乗降者が前記車いす使用者であると判定された場合における前記開状態の時間を、前記乗降者が前記車両不使用者であると判定された場合における前記開状態の時間よりも長くする
ことを特徴とする請求項3又は5に記載のエレベータ制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記乗降者が前記台車使用者であると判定された場合、前記ドアを前記開状態に固定する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のエレベータ制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記乗降者が前記車いす使用者であると判定された場合における前記開状態の時間を、前記乗降者が前記車両不使用者であると判定された場合における前記開状態の時間よりも長くし、
前記乗降者が前記台車使用者であると判定された場合、前記ドアを前記開状態に固定する
ことを特徴とする請求項5に記載のエレベータ制御装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記差分が予め定められた閾値よりも大きい箇所が存在しない場合に、前記乗降者は、前記車両不使用者であると判定する
ことを特徴とする請求項
2に記載のエレベータ制御装置。
【請求項10】
前記判定部は、
前記差分が予め定められた閾値よりも大きい箇所が存在しない場合に、前記乗降者は、前記車両不使用者であると判定し、
前記差分が予め定められた閾値よりも大きい箇所が1箇所である場合に、前記乗降者は、車いす使用者を含むと判定し、
前記差分が予め定められた閾値よりも大きい箇所が2箇所以上であり且つ前記差分が予め定められた閾値よりも大きい箇所のうちの隣接する2つの箇所の時間差のいずれか1つ以上が、予め定められた時間範囲内である場合、前記乗降者は、台車使用者を含むと判定し、
前記差分が予め定められた閾値よりも大きい箇所が2箇所以上であり且つ前記差分が予め定められた閾値よりも大きい箇所のうちの隣接する2つの箇所の時間差のいずれもが、前記時間範囲から外れる場合、前記乗降者は、前記車いす使用者を含むと判定する
ことを特徴とする請求項
2に記載のエレベータ制御装置。
【請求項11】
エレベータかごと、
前記エレベータかごのドアを開閉するドア駆動装置と、
前記ドアが開状態であるか閉状態であるかを検出する開閉検出器と、
音
波の強度を検出する
マイクと、
エレベータ制御装置と、
を有し、
前記エレベータ制御装置は、
前記開閉検出器によって前記ドアの開状態が検出されているときに、前記
マイクによって検出された前記強度の時間変化を示す
音波強度データを取得する取得部と、
前記音波強度データの二乗平均平方根を算出し、前記二乗平均平方根の平滑化処理を実施し、前記平滑化処理が実施された信号の極大値と極小値とを求め、前記極大値と前記極小値との信号レベルの差分を算出し、前記差分に基づいて前記エレベータかごに乗降する乗降者の属性を判定する判定部と、
前記属性に基づいて前記ドア駆動装置の制御を行う制御部と、
を有することを特徴とするエレベータシステム。
【請求項12】
エレベータかごと、前記エレベータかごのドアを開閉するドア駆動装置と、前記ドアが開状態であるか閉状態であるかを検出する開閉検出器と、音波の強度を
検出する
マイクとを有するエレベータ、を制御するエレベータ制御装置によって実行されるエレベータ制御方法であって、
前記開閉検出器によって前記ドアの開状態が検出されているときに、前記
マイクによって検出された前記強度の時間変化を示す
音波強度データを取得するステップと、
前記音波強度データの二乗平均平方根を算出し、前記二乗平均平方根の平滑化処理を実施し、前記平滑化処理が実施された信号の極大値と極小値とを求め、前記極大値と前記極小値との信号レベルの差分を算出し、前記差分に基づいて前記エレベータかごに乗降する乗降者の属性を判定するステップと、
前記属性に基づいて前記ドア駆動装置の制御を行うステップと、
を有する
ことを特徴とするエレベータ制御方法。
【請求項13】
エレベータかごと、前記エレベータかごのドアを開閉するドア駆動装置と、前記ドアが開状態であるか閉状態であるかを検出する開閉検出器と、音波の強度を
検出する
マイクとを有するエレベータ、を制御するコンピュータに、
前記開閉検出器によって前記ドアの開状態が検出されているときに、前記
マイクによって検出された前記強度の時間変化を示す
音波強度データを取得するステップと、
前記音波強度データの二乗平均平方根を算出し、前記二乗平均平方根の平滑化処理を実施し、前記平滑化処理が実施された信号の極大値と極小値とを求め、前記極大値と前記極小値との信号レベルの差分を算出し、前記差分に基づいて前記エレベータかごに乗降する乗降者の属性を判定するステップと、
前記属性に基づいて前記ドア駆動装置の制御を行うステップと、
を実行させることを特徴とするエレベータ制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベータ制御装置、エレベータシステム、エレベータ制御方法、及びエレベータ制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、データベースに記憶された乗客(すなわち、ユーザ)の属性(例えば、タグ)に基づいてエレベータを制御するエレベータ制御装置を提案している。このエレベータ制御装置は、カメラ撮影で取得された画像、重量センサで取得された重量、マイクで収集された音声、又はこれらの組み合わせに基づいて、エレベータの乗客を個々に識別し、識別された乗客の属性をデータベースから取得している。また、このエレベータ制御装置は、乗客の行動状態(例えば、ステータス)を判定し、例えば、「ステータスが降車中を示し、かつ、タグが車いすのユーザを示す」場合に、エレベータのドアの開状態の時間の制御などを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のエレベータ制御装置では、エレベータの乗客を個々に識別し、識別された乗客の属性をデータベースから取得し、識別された乗客の行動状態と属性とに基づいてエレベータの制御を行っている。しかし、カメラが設置されていないエレベータでは、乗客を個々に識別することができず、識別された乗客の属性をデータベースから取得することができないので、乗客の属性に基づくエレベータの制御ができなかった。
【0005】
本開示は、音波及びエレベータかごの振動の少なくとも一方に基づいて乗降者に適したドアの開閉制御を行うことを可能にするエレベータ制御装置、エレベータシステム、エレベータ制御方法、及びエレベータ制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のエレベータ制御装置は、エレベータかごと、前記エレベータかごのドアを開閉するドア駆動装置と、前記ドアが開状態であるか閉状態であるかを検出する開閉検出器と、音波の強度を検出するマイクとを有するエレベータ、を制御するエレベータ制御装置であって、前記開閉検出器によって前記ドアの開状態が検出されているときに、前記マイクによって検出された前記強度の時間変化を示す音波強度データを取得する取得部と、前記音波強度データの二乗平均平方根を算出し、前記二乗平均平方根の平滑化処理を実施し、前記平滑化処理が実施された信号の極大値と極小値とを求め、前記極大値と前記極小値との信号レベルの差分を算出し、前記差分に基づいて前記エレベータかごに乗降する乗降者の属性を判定する判定部と、前記属性に基づいて前記ドア駆動装置の制御を行う制御部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本開示のエレベータシステムは、エレベータかごと、前記エレベータかごのドアを開閉するドア駆動装置と、前記ドアが開状態であるか閉状態であるかを検出する開閉検出器と、音波の強度を検出するマイクと、エレベータ制御装置と、を有し、前記エレベータ制御装置は、前記開閉検出器によって前記ドアの開状態が検出されているときに、前記マイクによって検出された前記強度の時間変化を示す音波強度データを取得する取得部と、前記音波強度データの二乗平均平方根を算出し、前記二乗平均平方根の平滑化処理を実施し、前記平滑化処理が実施された信号の極大値と極小値とを求め、前記極大値と前記極小値との信号レベルの差分を算出し、前記差分に基づいて前記エレベータかごに乗降する乗降者の属性を判定する判定部と、前記属性に基づいて前記ドア駆動装置の制御を行う制御部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本開示のエレベータ制御方法は、エレベータかごと、前記エレベータかごのドアを開閉するドア駆動装置と、前記ドアが開状態であるか閉状態であるかを検出する開閉検出器と、音波の強度を検出するマイクとを有するエレベータ、を制御するエレベータ制御装置によって実行されるエレベータ制御方法であって、前記開閉検出器によって前記ドアの開状態が検出されているときに、前記マイクによって検出された前記強度の時間変化を示す音波強度データを取得するステップと、前記音波強度データの二乗平均平方根を算出し、前記二乗平均平方根の平滑化処理を実施し、前記平滑化処理が実施された信号の極大値と極小値とを求め、前記極大値と前記極小値との信号レベルの差分を算出し、前記差分に基づいて前記エレベータかごに乗降する乗降者の属性を判定するステップと、前記属性に基づいて前記ドア駆動装置の制御を行うステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、音波及びエレベータかごの振動の少なくとも一方に基づいて乗降者に適したドアの開閉制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係るエレベータシステム及びエレベータ制御装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係るエレベータシステムの構成を示す概略図である。
【
図3】実施の形態1に係るエレベータ制御装置の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図4】実施の形態1に係るエレベータ制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態2に係るエレベータ制御装置の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図6】(A)から(D)は、実施の形態2に係るエレベータ制御装置の信号処理部の動作を示す波形図である。
【
図7】(A)及び(B)は、実施の形態2に係るエレベータ制御装置の極大値・極小値算出部の動作を示す波形図である。
【
図8】
図7(B)における極大値、極小値、及びこれらの差分を表形式で示す図である。
【
図9】実施の形態2に係るエレベータ制御装置の判定部の動作を示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態3に係るエレベータ制御装置の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図11】実施の形態3に係るエレベータ制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図12】実施の形態4に係るエレベータ制御装置の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図13】実施の形態4に係るエレベータ制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図14】実施の形態5に係るエレベータ制御装置の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図15】実施の形態5に係るエレベータ制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施の形態に係るエレベータ制御装置、エレベータシステム、エレベータ制御方法、及びエレベータ制御プログラムを、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、実施の形態を適宜組み合わせること及び各実施の形態を適宜変更することが可能である。
【0012】
《実施の形態1》
図1は、実施の形態1に係るエレベータシステム及びエレベータ制御装置10のハードウェア構成の例を示す図である。また、
図2は、実施の形態1に係るエレベータシステムの構成を示す概略図である。なお、
図1及び
図2に示される構成は、後述される実施の形態2から5に係るエレベータシステム及びエレベータ制御装置20、30、40、50の構成でもある。
【0013】
実施の形態1に係るエレベータシステムは、エレベータと、エレベータを制御するエレベータ制御装置10とを有している。エレベータ制御装置10は、1台又は複数台のエレベータを制御する。エレベータは、エレベータかご601と、エレベータかご601を昇降させる昇降装置600と、エレベータかご601のドア602を開閉するドア駆動装置500と、ドア602が開状態であるか閉状態であるかを検出する開閉検出器501と、音波及びエレベータかご601の振動の少なくとも一方の強度を検出するセンサ200とを有している。また、エレベータは、ユーザ操作部である入力装置300と、出力装置としての表示装置400とを有している。
【0014】
センサ200は、音波(すなわち、音)を収集して音波の強度を検出するマイク201、又はエレベータかご601の振動(例えば、床又は壁の振動)の強度を検出する振動センサ202、又はマイク201及び振動センサ202の両方、を有している。マイク201及び振動センサ202は、乗降者の属性の判定に専用のものであってもよい。ただし、マイク201及び振動センサ202は、エレベータの昇降装置600の動作時における異常音又は異常振動の検出用として搭載されているもの(すなわち、エレベータ周辺機器の診断用のマイク及び振動センサ)を利用してもよい。エレベータの昇降動作が停止しており、エレベータのドア602が開状態である期間は、昇降装置600の異常音又は異常振動の検出が不要であり、マイク201及び振動センサ202を乗降者の属性の判定用に用いても、問題は生じない。
【0015】
入力装置300は、例えば、エレベータの乗降者(「ユーザ」ともいう。)によって操作される操作部としてのボタンなどであり、エレベータ制御装置10を制御するためのユーザインタフェースである。乗降者は、エレベータかご601に乗車する人、又はエレベータかご601から降車する人、又は乗車する人及び降車する人の両方である。
【0016】
表示装置400は、エレベータの乗降者に情報を提示する出力装置である。表示装置400は、乗場700の壁面などに備えられ、エレベータの現在階などを表示するディスプレイ、又はエレベータかご601内に備えられたディスプレイなどである。
【0017】
エレベータ制御装置10は、例えば、エレベータの動作を制御する処理回路によって構成される。処理回路は、エレベータかご601の運行(すなわち、昇降)及びドア602の開閉動作の制御などを行う。処理回路は、プロセッサ11、主記憶装置12、及び補助記憶装置13を有してもよい。処理回路は、他の装置と通信を行う通信装置14を有してもよい。プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などである。主記憶装置12は、例えば、RAM(Random Access Memory)などのメモリである。補助記憶装置13は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)、などの情報を記憶する記憶媒体を有する装置である。主記憶装置12と補助記憶装置13は、様々なデータ及びソフトウェアプログラム(例えば、エレベータ制御プログラム)を記憶する。
【0018】
図3は、実施の形態1に係るエレベータ制御装置10の構成を概略的に示す機能ブロック図である。エレベータ制御装置10は、実施の形態1に係るエレベータ制御方法を実施することができる装置である。エレベータ制御装置10は、開閉検出器501によってドア602の開状態が検出されているときに、センサ200によって検出された強度(例えば、音波強度又は振動強度)の時間変化を示す強度データを取得する取得部120と、強度データに基づいてエレベータかご601に乗降する乗降者の属性を判定する判定部130と、乗降者の属性に基づいてドア駆動装置500の制御を行う制御部140とを有している。エレベータ制御装置10は、例えば、コンピュータである。エレベータ制御装置10は、電流の検出によってドア602の開閉を検出する判定回路である開閉検出器501を有してもよい。取得部120、判定部130、及び制御部140、の一部又は全部は、処理回路によって実現されてもよい。センサ200で取得したセンサデータ(例えば、音波強度データ又は振動強度データ又はこれらの両方)は、主記憶装置12又は補助記憶装置13に記録される。
【0019】
開閉検出器501は、エレベータかご601に備えられているドア602の開閉を判定する装置である。開閉検出器501は、例えば、ドア602に備えられ、ドア602の開状態と閉状態とを検出する装置であってもよい。開閉検出器501は、例えば、スイッチと検出回路とを有している。開閉検出器501は、電流センサからなる装置であってもよい。この場合、開閉検出器501は、ドア602の開閉のための制御信号を送信するケーブルの電流を検知し、この電流によってドア602が開状態であるか閉状態であるかを判定する。
【0020】
実施の形態1では、取得部120は、開閉検出器501によってドア602の開状態が検出されているときに、センサ200としてのマイク201によって検出された音波に対応する音信号の強度の時間変化を示す強度データ(実施の形態1では、音波強度データ)を取得する。
【0021】
判定部130は、取得部120で取得された音波強度データに基づいてエレベータかご601に乗降する乗降者の属性を判定する。
【0022】
判定部130は、取得部120で取得された音波強度データに基づいて、乗降者が、車両を使用していない車両不使用者であるか、車両を使用している車両使用者であるかを判定する属性判定処理を行う。実施の形態1では、車両は、車いす及び台車である。台車は、例えば、4輪である。ただし。車両は、車いすのみであってもよい。或いは、車両は、台車のみあってもよい。
【0023】
例えば、判定部130は、属性判定処理に際し、エレベータの乗降者が、車両不使用者であるか、車両として車いすを使用している車いす使用者であるかを判定する。また、判定部130は、属性判定処理に際し、乗降者が、車両不使用者であるか、車両として台車を使用している台車使用者であるかを判定する。また、判定部130は、属性判定処理に際し、乗降者が、車両不使用者であるか、又は車両として車いすを使用している車いす使用者であるか、又は車両として台車を使用している台車使用者であるかを判定する。
【0024】
判定部130は、属性判定処理を、例えば、以下の方法を用いて行う。判定部130は、エレベータのドア602が開状態である期間に入力された音波強度データの最大信号レベルを求める。このとき、音波強度データに対してデジタルフィルタを適用し特定の周波数帯域のみ抽出してもよい。或いは、判定部130は、時間窓長と、その時間窓を適用する時間を予め設定しておき、二乗平均平方根(すなわち、実効値)などの信号レベルを算出する手段から時間窓ごとに信号レベルを求めてもよい。判定部130は、音波強度データから求めた最大信号レベルが予め定めた閾値以上の場合に、乗降者が車いす使用者又は台車使用者であると判定し、この閾値未満の場合は、乗降者を車両不使用者であると判定する。
【0025】
或いは、判定部130は、機械学習によって生成された学習済モデルを用いて乗降者の属性を推定する推定装置であってもよい。この場合、判定部130は、車両不使用者が歩いてエレベータかご601に乗り降りした場合の作動音、車いす使用者がエレベータかご601に乗り降りした場合の作動音、台車使用者がエレベータかご601に乗り降りした場合の作動音を予め取得し、機械学習によってこれらの作動音の特徴を学習し、学習済モデルを予め生成する。機械学習のアルゴリズムには、SVM(Support Vector Machine)又は、GMM(Gaussian Mixture Model)を利用したクラス分類器を用いることができる。また、機械学習のアルゴリズムには、他の深層学習によるクラス分類器を用いてもよい。
【0026】
制御部140は、判定部130の判定結果である属性に基づいてドア駆動装置500の制御を行う。例えば、判定部130は、乗降者が車両不使用者であると判定した場合は、ドアの開状態の時間を通常のドア開閉時間(予め設定された標準の開時間)のままとし、乗降者が車いす使用者又は台車使用者であると判定した場合は、ドアの開時間を、標準の開時間よりも長い時間に延長する。ドア開状態を延長する場合は、標準の開時間よりも長い時間、ドアを開状態に保つ場合と、ドアを閉状態にするための閉ボタンなどが押下されるまでドア開状態を維持し続ける場合とがある。
【0027】
記憶部141には、ドアの制御結果、乗降者の属性、及び乗降者が車両使用者のときに入力装置300で入力された降車階が記録される。これによって、乗降者が車両使用者であるときには、対象となる降車階に到達した場合に、ドアの開閉速度を通常から変更することができる。降車時も、乗車時と同様に、乗降者の属性を判定し、台車使用者又は車いす使用者を検知した場合、それらが降車したとみなし、記憶部141の記録内容を消去する。記憶部141は、
図1における主記憶装置12又は補助記憶装置13又は通信装置14を介して通信可能な装置の記憶装置である。にドア制御結果、乗降者の属性及び入力装置300で入力された降車階を記録する。
【0028】
また、ドア制御とともに表示装置400に現在のドア制御状態を表示する。例えば、乗降者が車両使用者であることを検出した場合、ドア開時間を通常よりも長くしていることを乗場700側又はエレベータかご601内のディスプレイに表示する。
【0029】
図4は、実施の形態1に係るエレベータ制御装置10の動作を示すフローチャートである。先ず、開閉検出器501は、エレベータのドア602の開動作及び閉動作を検出することで、ドア602が開状態であるか否かを検出する(ステップS101)。ドア602が開状態である場合(ステップS101においてYES)、処理はステップS102に進み、ドア602が閉状態である場合(ステップS101においてNO)、処理は終了する。
【0030】
ドア602が開状態である場合(ステップS101においてYES)、取得部120は、マイク201から音波強度データを取得し(ステップS102)、判定部130は、エレベータの乗降者の属性を判定する属性判定処理を行う(ステップS103)。
【0031】
判定部130での乗降者の属性の判定結果に基づいて、処理は分岐される(ステップS104)。エレベータの乗降者が車両不使用者である場合、処理はステップS105へ進み、制御部140は、通常のドア開時間でドア602の開閉制御を行う(ステップS105)。エレベータの乗降者が車いす使用者であると判定された場合、処理はステップS106へ進み、制御部140は、ドア開時間を延長するようドア602の開閉制御を行う(ステップS106)。乗降者が台車使用者であると判定された場合、処理はステップS107へ進み、制御部140は、ドア閉操作が行われるまで(例えば、ドア閉ボタンが押されるまで)、ドア602を開状態に固定する(ステップS107)。
【0032】
その後、制御部140は、ドア602の制御結果、乗降者の属性、及び乗降者が車両使用者であるときに入力装置300で入力された降車階などを記憶部141に記録する(ステップ108)。
【0033】
実施の形態1では、マイク201によって収集された音波に基づいて、乗降者が、乗降に比較的長い時間を要する車いす使用者又は台車使用者であるか、車両を使用せず歩行して乗降する車両不使用者であるかを判定し、判定結果に応じてドア602の開時間が乗降者に適した時間になるようにドア602の開閉制御を行うことができる。これによってエレベータの利用者は、より安心してエレベータを利用することができる。
【0034】
《実施の形態2》
図5は、実施の形態2に係るエレベータ制御装置20の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図5において、
図3に示される構成と同一又は対応する構成には、
図3に示される符号と同じ符号が付されている。エレベータ制御装置20は、実施の形態2に係るエレベータ制御方法を実施することができる装置である。実施の形態2に係るエレベータ制御装置20は、判定部150が、信号処理部151、極大値・極小値算出部152、差分判定部153、及び時間差判定部154を有する点において、実施の形態1に係るエレベータ制御装置10と相違する。この点以外に関し、実施の形態2に係るエレベータ制御装置20の構成は、実施の形態1に係るエレベータ制御装置10の構成と同じである。
【0035】
図6(A)から(D)は、実施の形態2に係るエレベータ制御装置20の信号処理部151の動作を示す波形図である。
図6(A)は、信号処理部151に入力する信号処理未適用の音波強度データ1001を示す。
図6(B)は、信号処理部151の帯域フィルタによる処理が適用され、台車使用者、車いす使用者、及び車両不使用者の足音、の周波数成分が抽出された音波強度データ1002を示す。
図6(C)は、信号処理部151によって
図6(B)の音波強度データ1002に対し、時間窓ごとに算出された二乗平均平方根の値1003を示す。
図6(D)は、
図6(C)に示される値1003を平滑化フィルタによって平滑化した値1004を示す。平滑化フィルタは、例えば、ガウシアンフィルタである。
【0036】
図7(A)及び(B)は、実施の形態2に係るエレベータ制御装置20の極大値・極小値算出部152の動作を示す波形図である。極大値・極小値算出部152は、信号処理部151にて平滑化まで適用した値1004に対して、極大値と極小値を算出する。
図7(B)は、値1004に対して極大値、極小値を算出した結果1005を示す。
図7(B)において、白丸は、極大値を示し、黒丸は、極小値を示している。求められた極大値及び極小値は、対応する時間ごとに記憶部141にテーブルとして格納される。
【0037】
図8は、
図7(B)における極大値、極小値、時間[s]、信号レベル[dB]、及び隣接する極大値と極小値との間の差分[dB]を表形式で示す図である。
【0038】
差分判定部153では、
図8のテーブルの差分[dB]に基づいて、乗降者が台車使用者であるか否かの判定を行う。信号レベル差の閾値THを予め定めておき、極小値から極大値への変化したときの差分が、この閾値THを超えている箇所が2か所以上ある場合、時間差判定部154にてさらに処理を行う。閾値THを超えている箇所が1か所の場合、乗降者が車いす使用者であると判定する。閾値THを超えている箇所が無い場合、乗降者が車両不使用者(すなわち、歩いて乗降する人)であると判定する。車いすと台車では、車輪の数は、いずれも4つであり、同じであるが、一般に、車いすの場合は、車輪の直径が前輪と後輪で大きく異なる(すなわち、前輪に比べ後輪が大きい)。そのため、例えば、エレベータかご601に車いす使用者が乗車するときに、車いすの前輪を浮かせずに乗車した場合、車いすの前輪がエレベータかご601と乗場700との間の間隙を通過する際のみに、極小値と極大値の差分が大きくなるような音が発生する。一方、車いすの前輪を浮かせた場合は、車いすの後輪に全体重が乗るため、後輪がエレベータかご601と乗場700との間の間隙を通過する際のみに、極小値と極大値の差が大きくなるような音が発生する。これに対し、エレベータかご601に台車使用者が乗車するときには、少なくとも、台車の前輪がエレベータかご601と乗場700との間の間隙を通過する際と、台車の前輪がエレベータかご601と乗場700との間の間隙を通過する際と、の2回、極小値と極大値の差分が大きくなるような音が発生する。
【0039】
時間差判定部154は、差分判定部153で予め定められた信号レベル差の閾値THを超える箇所が2か所以上ある場合、その時間差Δtを求める。時間差判定部154は、その時間差Δtが予め定められた範囲、すなわち、Y秒以上Z秒以下(Z>Y)となった場合、乗降者が台車使用者であると判定する。台車の前輪と後輪がある程度離れており、それぞれがエレベータかご601と乗場700との間の間隙を通過する際の音は、台車を動かす時間だけかかるため、Y秒とZ秒を適切に設定することで台車使用者の検知を行う。
【0040】
制御部140は、実施の形態1の場合と同様に、判定部150にて判定した乗降者の属性に応じて、ドア開状態の時間を変更する。例えば、判定部150が、乗降者は車両不使用者であると判定した場合、制御部140は、通常どおりのドア開状態の継続時間を採用し、乗降者が車いす使用者であると判定した場合は、通常よりも長いドア開状態の継続時間を適用する。また、乗降者が台車使用者であると判定した場合は、制御部140は、例えば、ドア閉ボタンが押されるまでドア開状態を持続する開延長状態に切り替える。
【0041】
図9は、実施の形態2に係るエレベータ制御装置20の判定部150の動作を示すフローチャートである。まず、信号処理部151は、取得部120から提供された音波強度データに帯域フィルタによる処理を適用する(ステップS201)。次に、信号処理部151は、帯域フィルタを通過した信号に対し、時間窓ごとに音波強度データの二乗平均平方根を算出する(ステップS202)。次に、信号処理部151は、二乗平均平方根の平滑化処理を適用する(ステップS203)。
【0042】
次に、極大値・極小値算出部152は、平滑化処理された値に対して、極大値及び極小値を算出する(ステップS204)。次に、極大値・極小値算出部152は、時系列上で隣接する極大値と極小値との差分を算出する(ステップS205)。
【0043】
次に、差分判定部153は、ステップS205で算出した差分が、閾値THすなわち+X[dB]以上となる箇所が2か所以上存在するかどうかを判定する(ステップS206)。ステップS206にて、差分が+X[dB]以上となる箇所が2か所未満の場合、差分判定部153は、差分が+X[dB]以上となる箇所が1箇所かどうかを判定する(ステップS207)。差分が、+X[dB]以上となる箇所が0箇所である場合、差分判定部153は、乗降者が台車不使用者であると判定する(ステップS211)。差分が、+X[dB]以上となる箇所が1箇所である場合は、差分判定部153は、乗降者が車いす使用車であると判定する(ステップS210)。
【0044】
ステップS206において、差分が+X[dB]以上となる箇所が2箇所以上存在する場合、時間差判定部154は、それぞれの箇所について、極大値の時刻と極小値の時刻との時間差を算出する(ステップS208)。時間差判定部154は、算出された2つ以上の時間差のうちの、少なくとも1つの時間差が、予め定められた時間範囲(すなわち、Y秒以上Z秒以下の範囲)なっている場合、乗降者が台車使用者であると判定する(ステップS209)。時間差判定部154は、算出された2つ以上の時間差のいずれもが、予め定められた時間範囲(すなわち、Y秒以上Z秒以下の範囲)から外れている場合、乗降者が車いす使用者であると判定する(ステップS210)。
【0045】
要約すれば、実施の形態2では、判定部150は、差分が予め定められた閾値THよりも大きい箇所が存在しない場合に、乗降者は車両不使用者であると判定する。また、判定部150は、差分が予め定められた閾値THよりも大きい箇所が1箇所である場合に、乗降者は車いす使用者を含むと判定する。また、判定部150は、差分が予め定められた閾値THよりも大きい箇所が2箇所以上であり且つ差分が予め定められた閾値よりも大きい箇所のうちの隣接する2つの箇所の時間差のいずれか1つ以上が、予め定められた時間範囲内である場合、乗降者は台車使用者を含むと判定する。また、判定部150は、差分が予め定められた閾値THよりも大きい箇所が2箇所以上であり且つ差分が予め定められた閾値よりも大きい箇所のうちの隣接する2つの箇所の時間差のいずれもが、予めさだめられた前記時間範囲から外れる場合、乗降者は車いす用者を含むと判定する。
【0046】
以上に説明したように、実施の形態2では、判定部150が信号処理部151、極大値・極小値算出部152、差分判定部153、及び時間差判定部154を備えているため、予め特定の閾値を設定しておくことで、機械学習を用いていない場合であっても、乗降者の属性を判定することができる。このため、乗降者に適したドアの開閉制御を行うことができる。
【0047】
《実施の形態3》
図10は、実施の形態3に係るエレベータ制御装置30の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図10において、
図3に示される構成と同一又は対応する構成には、
図3に示される符号と同じ符号が付されている。エレベータ制御装置30は、実施の形態3に係るエレベータ制御方法を実施することができる装置である。実施の形態3に係るエレベータ制御装置30は、取得部120が、センサ200としての振動センサ202によって検出されたエレベータかご601の振動に対応する振動強度データを取得する点、及び判定部160が振動強度データに基づいてエレベータかご601の乗降者の属性を判定する点において、実施の形態1に係るエレベータ制御装置10と相違する。この点以外に関し、実施の形態3に係るエレベータ制御装置30の構成は、実施の形態1に係るエレベータ制御装置10の構成と同じである。
【0048】
判定部160は、振動強度データからエレベータかご601の乗降者の属性を判定する。例えば、判定部160は、時間窓ごとに振動強度データにFFT(Fast Fourier Transform)を適用することで、縦軸が周波数、横軸が時間、濃淡が信号レベルを示すスペクトログラムを算出する。或いは、判定部160は、ウェーブレット解析によってスペクトログラムと同様の算出値を取得する。その後、判定部160は、予め定められた周波数帯域ごとに、信号レベルが予め定められた閾値以上となっているか否かを確認する。判定部160は、例えば、7Hz~12Hzの周波数帯域に信号レベルのピークがある場合は、乗降者が車両不使用者であると判定する。判定部160は、例えば、周波数が約40Hz前後の予め決められた範囲内に信号レベルのピークがある場合は、乗降者が台車使用者であると判定する。また、判定部160は、例えば、周波数が10Hz付近に信号レベルの極大値があり、かつ信号レベルが予め定められた時間以上の間、予め定められた閾値以上である場合は、乗降者が車いす使用者であると判定する。
【0049】
判定部160は、乗降者の属性の判定に際し、予め機械学習によって生成された学習済モデルを用いた判定を行ってもよい。
【0050】
図11は、実施の形態3に係るエレベータ制御装置30の動作を示すフローチャートである。
図11において、
図4に示される処理と同一又は対応する処理には、
図4に示される符号と同じ符号が付されている。実施の形態3に係るエレベータ制御装置30の動作は、ステップS301、S302の処理の点が、実施の形態1に係るエレベータ制御装置10の動作と相違する。この点以外に関し、実施の形態3に係るエレベータ制御装置30の動作は、実施の形態1に係るエレベータ制御装置10の動作と同じである。
【0051】
図11に示されるように、実施の形態3では、ステップS301において、取得部120は、振動強度データを取得する。次のステップS302において、判定部150は、振動強度データに基づいてエレベータかご601の乗降者の属性を判定する。
【0052】
以上に説明したように、実施の形態3では、振動強度データに基づく乗降者の属性の判定結果を用いている。実施の形態1及び2では、マイク201によって収集された音波強度データに基づいて乗降者の属性の判定を行っていたが、音波強度データは周囲環境からの外乱の影響を受けやすい。一方、振動強度データは、周囲環境からの外乱の影響を受けにくい。このように、実施の形態3では、比較的高精度で乗降者の属性を判定することができる。このため、乗降者に適したドアの開閉制御を行うことができる。
【0053】
《実施の形態4》
図12は、実施の形態4に係るエレベータ制御装置40の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図12において、
図3又は
図10に示される構成と同一又は対応する構成には、
図3又は
図10に示される符号と同じ符号が付されている。エレベータ制御装置40は、実施の形態4に係るエレベータ制御方法を実施することができる装置である。実施の形態4に係るエレベータ制御装置40は、判定部170が音判定部171と振動判定部172と判定結果統合部173とを有する点において、実施の形態1又は3に係るエレベータ制御装置10又は30と相違する。音判定部171は、
図3の判定部130と同様に、音波強度データに基づいてエレベータかご601の乗降者の属性を判定する。振動判定部172は、
図10の判定部160と同様に、振動強度データに基づいてエレベータかご601の乗降者の属性を判定する。判定結果統合部173は、音判定部171による判定結果と振動判定部172による判定結果とに基づいて判定結果を統合し、統合された判定結果を出力する。この点以外に関し、実施の形態4に係るエレベータ制御装置40の構成は、実施の形態1又は3に係るエレベータ制御装置10又は30の構成と同じである。
【0054】
音判定部171は、音波強度データに基づいてエレベータかご601の乗降者が、車両不使用者、又は車いす使用者、又は台車使用者のいずれであるかを判定する。例えば、判定結果は、車両不使用者である可能性、又は車いす使用者である可能性、又は台車使用者である可能性を示すスコア(すなわち、数値)で提供される。
【0055】
振動判定部172は、振動強度データに基づいてエレベータかご601の乗降者が、車両不使用者、又は車いす使用者、又は台車使用者のいずれであるかを判定する。例えば、判定結果は、車両不使用者である可能性、又は車いす使用者である可能性、又は台車使用者である可能性を示すスコア(すなわち、数値)で提供される。
【0056】
判定結果統合部173は、例えば、音判定部171から提供されたスコアと、振動判定部172から提供されたスコアとの平均を算出することで、判定結果を統合する。平均は、音判定部171から提供されたスコアと振動判定部172から提供されたスコアとの加重平均であってもよい。
【0057】
判定部170は、乗降者の属性の判定に際し、予め機械学習によって生成された学習済モデルを用いた判定を行ってもよい。
【0058】
図13は、実施の形態4に係るエレベータ制御装置40の動作を示すフローチャートである。
図13において、
図4又は
図11に示される処理と同一又は対応する処理には、
図4又は
図11に示される符号と同じ符号が付されている。実施の形態4に係るエレベータ制御装置40の動作は、ステップS401~S403の処理の点が、実施の形態1又は3に係るエレベータ制御装置10又は30の動作と相違する。この点以外に関し、実施の形態4に係るエレベータ制御装置40の動作は、実施の形態1又は3に係るエレベータ制御装置10又は30の動作と同じである。
【0059】
図13に示されるように、実施の形態4では、ステップS401において、取得部120は、音波強度データと振動強度データとを取得する。次のステップS402において、音判定部171は、音波強度データに基づいてエレベータかご601の乗降者の属性を判定する。次のステップS403において、振動判定部172は、振動強度データに基づいてエレベータかご601の乗降者の属性を判定する。次のステップS404において、判定結果統合部173は、音判定部171による判定結果と振動判定部172による判定結果とを統合し、統合された判定結果を出力する。
【0060】
要約すると、判定部170は、音波強度データに基づいて乗降者の属性を第1の属性と判定し、振動強度データに基づいて乗降者の属性を第2の属性と判定し、制御部140は、第1の属性と第2の属性とを統合して得られた判定結果に基づいてドア駆動装置500の制御を行う。
【0061】
以上に説明したように、実施の形態4では、音波強度データに基づく乗降者の属性の判定結果と振動強度データに基づく乗降者の属性の判定結果とを統合した統合判定結果を用いているので、音波強度データ及び振動強度データの一方のみを用いる場合に比べ、乗降者の属性の判定精度を向上させることができる。このため、乗降者に適したドアの開閉制御を行うことができる。
【0062】
《実施の形態5》
図14は、実施の形態5に係るエレベータ制御装置50の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図14において、
図12に示される構成と同一又は対応する構成には、
図12に示される符号と同じ符号が付されている。エレベータ制御装置50は、実施の形態5に係るエレベータ制御方法を実施することができる装置である。実施の形態5に係るエレベータ制御装置50は、判定部180がデータ統合部181と統合データ判定部182とを有する点において、実施の形態4に係るエレベータ制御装置40と相違する。データ統合部181は、取得部120によって取得された音波強度データと振動強度データとを統合して統合データを生成する。統合データ判定部182は、データ統合部181によって生成された統合データに基づいてエレベータかご601の乗降者の属性を判定する。この点以外に関し、実施の形態5に係るエレベータ制御装置50の構成は、実施の形態4に係るエレベータ制御装置40の構成と同じである。
【0063】
データ統合部181は、例えば、音波強度データから抽出した周波数スペクトルと、振動強度データから抽出した周波数スペクトルとを、統合する。具体的には、データ統合部181は、先ず、音波強度データから抽出した周波数スペクトルにおける周波数チャンネル(すなわち、横軸)の数及び強度(すなわち、縦軸)と、振動強度データから抽出した周波数チャンネル(すなわち、横軸)の数及び強度(すなわち、縦軸)とを、予め決められた比率(例えば、1)になるように調整する。次に、データ統合部181は、奇数チャンネルに音波強度データの周波数スペクトルを配置し、偶数チャンネルに振動強度データの周波数スペクトルを配置し、統合された周波数スペクトルを生成することによって、データ統合を行う。ただし、データ統合の方法は、上記例に限定されない。例えば、データ統合部181は、音波強度データから抽出した特徴量(例えば、最大値及び最小値と、それらの周波数チャンネル)と振動強度データから抽出した特徴量例えば、最大値及び最小値と、それらの周波数チャンネル)を、共通の周波数軸上に配置することによって、データ統合を行ってもよい。
【0064】
統合データ判定部182は、データ統合部181で統合された統合データを用いて乗降者の属性を判定する。この判定には、予め機械学習によって生成された学習済モデルを用いた判定であってもよい。
【0065】
図15は、実施の形態5に係るエレベータ制御装置50の動作を示すフローチャートである。
図15において、
図12に示される処理と同一又は対応する処理には、
図12に示される符号と同じ符号が付されている。実施の形態5に係るエレベータ制御装置50の動作は、ステップS501~S503の処理の点が、実施の形態4に係るエレベータ制御装置40の動作と相違する。この点以外に関し、実施の形態5に係るエレベータ制御装置50の動作は、実施の形態4に係るエレベータ制御装置40の動作と同じである。
【0066】
図15に示されるように、実施の形態5では、ステップS501において、取得部120は、音波強度データと振動強度データとを取得する。次のステップS502において、データ統合部181は、取得部120によって取得された音波強度データと振動強度データとをデータ統合する。次のステップS503において、統合データ判定部182は、統合データに基づいて乗降者の属性を判定する。
【0067】
以上に説明したように、実施の形態5では、音波強度データと振動強度データを統合して得られた統合データに基づいて乗降者の属性の判定を行っているので、音波強度データ及び振動強度データの一方のみを用いる場合に比べ、乗降者の属性の判定精度を向上させることができる。このため、乗降者に適したドアの開閉制御を行うことができる。
【符号の説明】
【0068】
10、20、30、40、50 エレベータ制御装置、 11 プロセッサ、 12 主記憶装置、 13 補助副記憶装置、 14 通信装置、 120 取得部、 130、150、160、170、180 判定部、 140 制御部、 151 信号処理部、 152 極大値・極小値算出部、 153 差分判定部、 154 時間差判定部、 171 音判定部、 172 振動判定部、 173 判定結果統合部、 181 データ統合部、 182 統合データ判定部、 141 記憶部、 200 センサ、 201 マイク、 202 振動センサ、 300 入力装置、 400 表示装置、 500 ドア駆動装置、 501 開閉検出器、 600 昇降装置、 601 エレベータかご、 602 ドア。