(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】エレベーター巻上機及びエレベーター装置
(51)【国際特許分類】
B66B 11/08 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
B66B11/08 A
(21)【出願番号】P 2023565416
(86)(22)【出願日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 JP2023024713
【審査請求日】2023-10-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】位田 紘一
(72)【発明者】
【氏名】木谷 宏己
(72)【発明者】
【氏名】谷 佳典
(72)【発明者】
【氏名】西田 誠二
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-040676(JP,A)
【文献】特許第7256977(JP,B1)
【文献】国際公開第2006/129338(WO,A1)
【文献】特開2018-002419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング、
駆動シーブを有しており、前記ハウジングに対して回転可能な回転体、及び
前記ハウジングに装着されているモータ固定子と、前記回転体に装着されているモータ回転子とを有している巻上機モータ
を備え、
前記ハウジングには、主軸部と、前記主軸部に繋がっている接続部と、前記接続部に繋がっている平板状の底板部と、前記底板部に繋がっている筒状の固定子装着部とが形成されており、
前記回転体は、
軸受を介して、前記主軸部の軸心を中心として回転可能に前記主軸部に装着されており、
前記接続部は、筒状であり、
前記主軸部は、前記主軸部の軸方向における前記主軸部の一端である第1主軸端と、前記主軸部の軸方向における前記主軸部の他端である第2主軸端とを有しており、
前記主軸部の軸方向における前記接続部の一端は、前記第2主軸端に直接繋がっており、
前記底板部には、開口が設けられており、
前記主軸部の軸方向における前記接続部の他端は、前記開口の縁部に直接繋がっており、
前記接続部の径は、前記主軸部から前記底板部へ向けて連続して徐々に大きくなっており、
前記モータ固定子は、前記固定子装着部の内周面に装着されており、
前記モータ固定子及び前記モータ回転子は、前記軸受に対して、前記主軸部の軸方向に離れて配置されており、
前記接続部は、前記モータ固定子及び前記モータ回転子の内側に位置しているエレベーター巻上機。
【請求項2】
ハウジング、
駆動シーブを有しており、前記ハウジングに対して回転可能な回転体、及び
前記ハウジングに装着されているモータ固定子と、前記回転体に装着されているモータ回転子とを有している巻上機モータ
を備え、
前記ハウジングには、主軸部と、前記主軸部に繋がっている接続部と、前記接続部に繋がっている平板状の底板部と、前記底板部に繋がっている筒状の固定子装着部とが形成されており、
前記回転体は、前記主軸部の軸心を中心として回転可能に前記主軸部に装着されており、
前記接続部は、筒状であり、
前記主軸部は、前記主軸部の軸方向における前記主軸部の一端である第1主軸端と、前記主軸部の軸方向における前記主軸部の他端である第2主軸端とを有しており、
前記主軸部の軸方向における前記接続部の一端は、前記第2主軸端に直接繋がっており、
前記底板部には、開口が設けられており、
前記主軸部の軸方向における前記接続部の他端は、前記開口の縁部に直接繋がっており、
前記接続部の径は、前記主軸部から前記底板部へ向けて連続して徐々に大きくなっており、
前記軸心を含む前記ハウジングの水平断面において、前記接続部の肉厚は、前記底板部の肉厚よりも薄
いエレベーター巻上機。
【請求項3】
ハウジング、
駆動シーブを有しており、前記ハウジングに対して回転可能な回転体、及び
前記ハウジングに装着されているモータ固定子と、前記回転体に装着されているモータ回転子とを有している巻上機モータ
を備え、
前記ハウジングには、主軸部と、前記主軸部に繋がっている接続部と、前記接続部に繋がっている平板状の底板部と、前記底板部に繋がっている筒状の固定子装着部とが形成されており、
前記回転体は、前記主軸部の軸心を中心として回転可能に前記主軸部に装着されており、
前記接続部は、筒状であり、
前記主軸部は、前記主軸部の軸方向における前記主軸部の一端である第1主軸端と、前記主軸部の軸方向における前記主軸部の他端である第2主軸端とを有しており、
前記主軸部の軸方向における前記接続部の一端は、前記第2主軸端に直接繋がっており、
前記底板部には、開口が設けられており、
前記主軸部の軸方向における前記接続部の他端は、前記開口の縁部に直接繋がっており、
前記接続部の径は、前記主軸部から前記底板部へ向けて連続して徐々に大きくなっており、
前記軸心を含む前記ハウジングの垂直断面において、前記接続部の肉厚は、前記底板部へ向けて徐々に厚くなってい
るエレベーター巻上機。
【請求項4】
ハウジング、
駆動シーブを有しており、前記ハウジングに対して回転可能な回転体、及び
前記ハウジングに装着されているモータ固定子と、前記回転体に装着されているモータ回転子とを有している巻上機モータ
を備え、
前記ハウジングには、主軸部と、前記主軸部に繋がっている接続部と、前記接続部に繋がっている平板状の底板部と、前記底板部に繋がっている筒状の固定子装着部とが形成されており、
前記回転体は、前記主軸部の軸心を中心として回転可能に前記主軸部に装着されており、
前記接続部は、筒状であり、
前記主軸部は、前記主軸部の軸方向における前記主軸部の一端である第1主軸端と、前記主軸部の軸方向における前記主軸部の他端である第2主軸端とを有しており、
前記主軸部の軸方向における前記接続部の一端は、前記第2主軸端に直接繋がっており、
前記底板部には、開口が設けられており、
前記主軸部の軸方向における前記接続部の他端は、前記開口の縁部に直接繋がっており、
前記接続部の径は、前記主軸部から前記底板部へ向けて連続して徐々に大きくなっており、
前記軸心を含む前記ハウジングの水平断面における前記底板部の肉厚は、前記主軸部の軸心を含む前記ハウジングの垂直断面における前記底板部の肉厚よりも薄
いエレベーター巻上機。
【請求項5】
前記接続部は、前記接続部の内側へ凸となるように湾曲している請求項1
から請求項4までのいずれか1項に記載のエレベーター巻上機。
【請求項6】
請求項1
から請求項4までのいずれか1項に記載のエレベーター巻上機
を備えているエレベーター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーター巻上機及びエレベーター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベーター巻上機では、円筒状の固定主軸と、円板部と、固定子装着部とが、固定枠体に形成されている。固定子装着部は、固定主軸の径方向外側に位置している。円板部は、固定主軸と固定子装着部との間に設けられている。また、円板部は、固定主軸から径方向外側へ突出している。
【0003】
円板部には、一対の傾斜部が部分的に設けられている。各傾斜部は、固定主軸の軸線に直交する面に対して傾斜している。各傾斜部には、ファンが取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来のエレベーター巻上機では、エレベーター装置の運転時に固定主軸に大きな荷重が作用するため、固定主軸に繋がる円板部にも大きな力が作用する。このため、円板部の肉厚を厚くする必要があり、固定枠体の重量が大きくなる。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ハウジングをより軽量化することができるエレベーター巻上機及びエレベーター装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るエレベーター巻上機は、ハウジング、駆動シーブを有しており、ハウジングに対して回転可能な回転体、及びハウジングに装着されているモータ固定子と、回転体に装着されているモータ回転子とを有している巻上機モータを備え、ハウジングには、主軸部と、主軸部に繋がっている接続部と、接続部に繋がっている平板状の底板部と、底板部に繋がっている筒状の固定子装着部とが形成されており、回転体は、主軸部の軸心を中心として回転可能に主軸部に装着されており、接続部は、筒状であり、接続部の径は、主軸部から底板部へ向けて徐々に大きくなっており、底板部には、開口が設けられており、接続部は、開口の縁部に繋がっている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、エレベーター巻上機のハウジングをより軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1によるエレベーター装置を示す概略の構成図である。
【
図2】
図1のエレベーター巻上機を示す背面図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿う断面図である。
【
図7】実施の形態2によるエレベーター巻上機のハウジングを示す背面斜視図である。
【
図8】実施の形態3によるエレベーター巻上機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1によるエレベーター装置を示す概略の構成図である。図において、昇降路1の頂部には、機械台2が設置されている。機械台2には、エレベーター巻上機3が設置されている。
【0011】
エレベーター巻上機3には、懸架体4が巻き掛けられている。懸架体4としては、複数本のロープが用いられている。
【0012】
昇降路1の頂部には、第1綱止め5と第2綱止め6とが設けられている。懸架体4は、第1端部4aと第2端部4bとを有している。第1端部4aは、第1綱止め5に接続されている。第2端部4bは、第2綱止め6に接続されている。
【0013】
かご7及び釣合おもり8は、懸架体4によって昇降路1内に吊り下げられている。かご7の下部には、第1かご吊り車9a及び第2かご吊り車9bが設けられている。釣合おもり8の上部には、釣合おもり吊り車10が設けられている。
【0014】
懸架体4は、第1綱止め5側から順に、第1かご吊り車9a、第2かご吊り車9b、エレベーター巻上機3、及び釣合おもり吊り車10に巻き掛けられている。即ち、実施の形態1のエレベーター装置のローピング方式は、2:1ローピング方式である。
【0015】
図2は、
図1のエレベーター巻上機3を示す背面図である。
図3は、
図2のIII-III線に沿う断面図である。
図4は、
図2のIV-IV線に沿う断面図である。
図5は、
図2のハウジングを示す正面斜視図である。
図6は、
図2のハウジングを示す背面斜視図である。
【0016】
エレベーター巻上機3は、ハウジング11、回転体12、軸受13、及び巻上機モータ14を備えている。
【0017】
ハウジング11は、機械台2上に固定されている。また、ハウジング11には、円筒状の主軸部11aと、筒状の接続部11bと、平板状の底板部11cと、円筒状の固定子装着部11dと、脚部11eとが一体に形成されている。
【0018】
接続部11bは、主軸部11aに繋がっている。底板部11cは、接続部11bに繋がっている。固定子装着部11dは、底板部11cに繋がっている。
【0019】
ハウジング11の全体は、同一の材料により構成されている。ハウジング11の材料としては、鉄鋼が用いられている。また、鉄鋼として、合金鋼、鋳鉄等を用いることにより、ハウジング11の強度を高くすることができる。
【0020】
エレベーター巻上機3が機械台2に設置された状態において、主軸部11aの軸心Cは、水平である。なお、
図3は、軸心Cを含むエレベーター巻上機3の垂直断面を示している。また、
図4は、軸心Cを含むエレベーター巻上機3の水平断面を示している。
【0021】
主軸部11aの中心には、軸心Cに沿って貫通孔11fが設けられている。主軸部11aは、第1主軸端11gと、第2主軸端11hとを有している。第1主軸端11gは、主軸部11aの軸方向における主軸部11aの一端である。第2主軸端11hは、主軸部11aの軸方向における主軸部11aの他端である。主軸部11aの軸方向は、軸心Cに沿う方向である。
【0022】
主軸部11aの軸方向における接続部11bの一端は、第2主軸端11hに直接繋がっている。底板部11cには、円形の開口11iが設けられている。主軸部11aの軸方向における接続部11bの他端は、開口11iの縁部に直接繋がっている。これにより、底板部11cは、接続部11bを介して、主軸部11aに繋がっている。
【0023】
接続部11bの径は、主軸部11aから底板部11cへ向けて徐々に大きくなっている。実施の形態1の接続部11bの外形は、直円錐から頂部を取り除いた形状である。また、軸心Cを含む断面において、軸心Cに対する接続部11bの外周面の傾斜角度は、42度から48度までの範囲が好適であり、45度が特に好適である。
【0024】
図3に示すように、軸心Cを含むハウジング11の垂直断面において、接続部11bの肉厚は、底板部11cへ向けて徐々に厚くなっている。また、軸心Cを含むハウジング11の垂直断面における接続部11bの肉厚は、軸心Cを含むハウジング11の水平断面における接続部11bの肉厚よりも厚くなっている。
【0025】
図4では、接続部11bの肉厚は、底板部11cの肉厚と同じである。しかし、軸心Cを含むハウジング11の水平断面において、接続部11bの肉厚は、底板部11cの肉厚よりも薄くされてもよい。
【0026】
底板部11cは、軸心Cに直交する平面に平行である。固定子装着部11dは、底板部11cを介して、接続部11bに繋がっている。脚部11eは、固定子装着部11dの下端に形成されている。また、脚部11eは、機械台2に固定されている。
【0027】
回転体12は、回転部材15と、駆動シーブ16とを有している。回転部材15は、軸受13を介して、軸心Cを中心として回転可能に主軸部11aに装着されている。即ち、回転体12は、主軸部11aに支持されており、かつハウジング11に対して回転可能である。
【0028】
回転部材15には、円筒状の軸受保持部15aと、円筒状のシーブ固定部15bと、円板状の被制動部15cと、円筒状の回転子装着部15dとが一体に形成されている。
【0029】
軸受13は、軸受保持部15aの内側に保持されている。シーブ固定部15bは、軸受保持部15aから、底板部11cと接続部11bとは反対側へ、軸心Cに平行に突出している。
【0030】
被制動部15cは、軸受保持部15aの外周面から、軸受保持部15aの径方向外側へ突出している。軸受保持部15aの径方向は、軸心Cに直交する方向である。被制動部15cには、図示しない巻上機ブレーキのブレーキシューが押し当てられる。これにより、回転体12の静止状態が保持される。
【0031】
回転子装着部15dは、被制動部15cから、底板部11c側へ、軸心Cに平行に突出している。
【0032】
駆動シーブ16は、シーブ固定部15bに嵌め込まれて固定されている。これにより、駆動シーブ16は、回転部材15とともに回転する。懸架体4は、駆動シーブ16に巻き掛けられている。かご7及び釣合おもり8は、駆動シーブ16を回転させることによって、昇降路1内を昇降する。
【0033】
巻上機モータ14は、回転体12を回転させる。また、巻上機モータ14は、モータ固定子17と、モータ回転子18とを有している。
【0034】
モータ固定子17は、固定子装着部11dの内周面に装着されている。また、モータ固定子17は、複数のコイルを有している。
図3及び
図4では、モータ固定子17の具体的な構成は省略されている。
【0035】
モータ回転子18は、回転子装着部15dに装着されている。また、モータ回転子18は、モータ固定子17に対向している。また、モータ回転子18は、複数の磁石を有している。
【0036】
このようなエレベーター巻上機3及びエレベーター装置では、ハウジング11に、主軸部11aと、接続部11bと、底板部11cと、固定子装着部11dとが形成されている。このため、ハウジングとは別部材である主軸をハウジングに取り付ける構成に比べて、部品点数が少なく、組立工数を削減することができる。
【0037】
また、主軸をハウジングに嵌め込む負荷もかからず、嵌め込み部に応力が集中することもない。このため、ハウジング11の肉厚を特に厚くする必要がなく、ハウジング11を軽量化することができる。これにより、エレベーター巻上機3の軽量化を図ることができる。
【0038】
また、接続部11bは、底板部11cの開口11iの縁部に繋がっている。また、底板部11cは、接続部11bを介して、主軸部11aに繋がっている。そして、接続部11bは筒状であり、接続部11bの径は、主軸部11aから底板部11cへ向けて徐々に大きくなっている。
【0039】
これにより、主軸部11aにかかる曲げ荷重を、ハウジング11全体で効率的かつ効果的に分散して受けることができる。このため、ハウジング11の薄肉化を図ることができ、ハウジング11をより軽量化することができる。
【0040】
また、ハウジング11を高剛性化することができ、ハウジング11の各部の撓みを抑制することができる。これにより、ハウジング11に装着されている部品、即ち、モータ固定子17、軸受13、及び回転体12の撓み及び変形を抑制することができる。従って、エレベーター巻上機3における損失を低減することができ、エレベーター巻上機3の性能を向上させることができる。
【0041】
また、接続部11bの外形は直円錐状であるため、ハウジング11に発生する応力をより効率的に分散し低減することができる。
【0042】
また、軸心Cに対する接続部11bの外周面の傾斜角度を、42度から48度までの範囲内とすることにより、ハウジング11に発生する応力をより確実に低減し、ハウジング11をより軽量化することができる。特に、傾斜角度を45度とすることにより、ハウジング11に発生する応力を最も低減することができる。
【0043】
また、軸心Cを含むハウジング11の水平断面において、接続部11bの肉厚を底板部11cの肉厚よりも薄くすることにより、ハウジング11をさらに軽量化することができる。また、主軸部11aに作用する負荷に対して、より効率的かつ効果的に断面係数、断面2次モーメント等を維持することができ、主軸部11aに作用する負荷を、ハウジング11全体として効率的に支持することができる。
【0044】
また、軸心Cを含むハウジング11の垂直断面において、接続部11bの肉厚は、底板部11cへ向けて徐々に厚くなっている。これにより、ハウジング11の強度を高めつつ、ハウジング11を軽量化することができる。
【0045】
実施の形態2.
次に、
図7は、実施の形態2によるエレベーター巻上機3のハウジング11を示す背面斜視図である。実施の形態2では、底板部11cに一対の凹部11jが設けられている。一対の凹部11jは、底板部11cの外面のうち、軸心Cに平行な方向における底板部11cの端面に設けられている。また、一対の凹部11jは、接続部11bの左右両側において、底板部11cに設けられている。
【0046】
これにより、軸心Cを含むハウジング11の水平断面における底板部11cの肉厚は、軸心Cを含むハウジング11の垂直断面における底板部11cの肉厚よりも薄くなっている。即ち、底板部11cの肉厚は、接続部11bの上下よりも接続部11bの左右において薄くなっている。
【0047】
実施の形態2における他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0048】
このような構成によっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、接続部11bの左右において、底板部11cの肉厚が薄くされているため、ハウジング11をより軽量化することができる。
【0049】
また、接続部11bの上下において、底板部11cの肉厚が厚くなっているため、底板部11cにおける接続部11bの上下の部分がリブとして機能する。これにより、主軸部11aに作用する負荷に対して、より効率的かつ効果的に断面係数、断面2次モーメント等を維持することができ、主軸部11aに作用する負荷を、ハウジング11全体として効率的に支持することができる。
【0050】
実施の形態3.
次に、
図8は、実施の形態3によるエレベーター巻上機3の断面図であり、軸心Cを含むエレベーター巻上機3の垂直断面を示している。実施の形態3では、接続部11bが、接続部11bの内側へ凸となるように、均等な曲率で湾曲している。
【0051】
実施の形態3における他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0052】
このような構成によっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、主軸部11aに作用する負荷を、より効率的かつ効果的にハウジング11全体に分散させることができ、十分な強度を保持しつつ、ハウジング11をより軽量化することができる。
【0053】
なお、実施の形態3におけるハウジング11に、実施の形態2と同様の凹部11jが形成されてもよい。
【0054】
また、実施の形態1~3において、懸架体4は、複数本のベルトであってもよい。
【0055】
また、エレベーター装置のタイプは、
図1のタイプに限定されるものではなく、例えば1:1ローピング方式であってもよい。また、エレベーター巻上機3は、昇降路1における頂部以外の位置に設置されてもよい。
【0056】
また、エレベーター装置は、機械室を有するエレベーター装置、ダブルデッキエレベーター、ワンシャフトマルチカー方式のエレベーター等であってもよい。ワンシャフトマルチカー方式は、上かごと、上かごの真下に配置された下かごとが、それぞれ独立して共通の昇降路を昇降する方式である。
【符号の説明】
【0057】
3 エレベーター巻上機、11 ハウジング、11a 主軸部、11b 接続部、11c 底板部、11d 固定子装着部、11i 開口、12 回転体、14 巻上機モータ、16 駆動シーブ、17 モータ固定子、18 モータ回転子。
【要約】
エレベーター巻上機において、ハウジングには、主軸部と、主軸部に繋がっている筒状の接続部と、接続部に繋がっている平板状の底板部と、底板部に繋がっている筒状の固定子装着部とが形成されている。回転体は、主軸部の軸心を中心として回転可能に主軸部に装着されている。接続部の径は、主軸部から底板部へ向けて徐々に大きくなっている。底板部には、開口が設けられている。接続部は、開口の縁部に繋がっている。