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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】発光装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20240507BHJP
【FI】
H01L33/60
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2024514475
(86)(22)【出願日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 JP2023044390
【審査請求日】2024-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2023002592
(32)【優先日】2023-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 清一
(72)【発明者】
【氏名】青嶋 克弥
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-186264(JP,A)
【文献】特開2021-170631(JP,A)
【文献】国際公開第2012/133587(WO,A1)
【文献】特開2011-60961(JP,A)
【文献】特開2017-17176(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0133610(US,A1)
【文献】特開2020-136528(JP,A)
【文献】特開2014-187081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に実装されたLED素子と、
前記LED素子の周囲に配置されたダム材と、
前記ダム材の内側に配置され、前記LED素子を封止する封止材と、を有し、
前記ダム材は、ベース樹脂、第1粒径フィラー、及び、第2粒径フィラーを含み、
前記ダム材は、前記ベース樹脂に対して、10~50wt%の前記第1粒径フィラーを含有し、
前記第1粒径フィラーの平均粒径は1~100μmであり、
前記ダム材は、前記ベース樹脂に対して、4~15wt%の前記第2粒径フィラーを含有し、
前記第2粒径フィラーの平均粒径は1~500nmであり、
前記ダム材はダイシングされた側面を有し
前記ダム材の前記LED素子に対向する面は、前記LED素子に向かって湾曲凸形状である、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記ダム材は、前記ダム材の高さに対する底面幅の比が0.6~4.0である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記ダム材の硬度は、ショアD65~D74である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記ダム材は、更に酸化チタンを含み、
前記ダム材は、前記ベース樹脂に対して、10~70wt%の前記酸化チタンを含有する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記ダム材は、第1枠部と、前記第1枠部の上面に配置された第2枠部と、を更に有し、
前記第1枠部と前記第2枠部は、高さと底面幅の比が同一である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記LED素子に電力を供給するためのワイヤーを更に有し、
前記ワイヤーの一部は前記ダム材で覆われている、請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
前記ダム材は、光透過性を有する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記基板は、二対の辺を有する矩形状の平面形状を有し、
前記ダム材は、
前記二対の辺の一方の辺に沿って配置される一対の第1枠部と、
前記一対の第1枠部のそれぞれの上面に配置される一対の第2枠部と、
前記二対の辺の他方に沿って配置される一対の第3枠部と、
を有する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
前記基板は、一対の長辺、及び前記一対の長辺よりも短い一対の短辺を有する矩形状の平面形状を有し、
前記一対の第1枠部及び一対の第2枠部は、前記一対の長辺に沿って配置され、
前記一対の第3枠部は、前記一対の短辺に沿って配置される、請求項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記基板の上面において前記ダム材に囲まれるように配置される導電性の配線パターンを更に有し、
前記LED素子は、前記配線パターンの上面に配置され、
前記ダム材は、前記配線パターンの外周部を被覆する、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項11】
前記ダム材は、前記基板の上面を覆うように配置され且つ前記LED素子から出射された光の波長を変換する蛍光体を更に含む、請求項1に記載の発光装置。
【請求項12】
前記ダム材は、前記基板上に配置され且つ前記蛍光体を含む第1枠部と、前記第1枠部の上面に配置され且つ前記第1粒径フィラー及び前記第2粒径フィラーを含む第2枠部と、を更に有する、請求項11に記載の発光装置。
【請求項13】
前記ダム材と基板との間に前記基板の上面を覆うように配置され且つ前記LED素子から出射された光の波長を変換する蛍光体を含有する蛍光体層を更に含む、請求項1に記載の発光装置。
【請求項14】
前記基板は、底面及び前記底面を囲むように配置される側面を有する凹部が形成され、
前記LED素子は前記凹部の底面に配置され、前記ダム材は前記凹部の周囲を囲むように配置される、請求項1に記載の発光装置。
【請求項15】
集合基板の表面上にLED素子を実装する工程と、
ディスペンサーから前記LED素子の周囲にダム材を配置する工程と、
前記ダム材の内側に、前記LED素子を封止する封止材を配置する工程と、
硬化後のダム材をダイシングする工程と、を有し、
前記ダム材は、ベース樹脂、第1粒径フィラー、及び、第2粒径フィラーを含み、
前記ダム材は、前記ベース樹脂に対して、10~50wt%の前記第1粒径フィラーを含有し、
前記第1粒径フィラーの平均粒径は1~100μmであり、
前記ダム材は、前記ベース樹脂に対して、4~15wt%の前記第2粒径フィラーを含有し、
前記第2粒径フィラーの平均粒径は1~500nmであり
前記ダム材の前記LED素子に対向する面は、前記LED素子に向かって湾曲凸形状である、
ことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項16】
前記ダム材の切断工程では、前記集合基板の前記LED素子が実装されていない面側からダイシングを行う、請求項15に記載の発光装置の製造方法。
【請求項17】
前記発光装置は、前記LED素子に電力を供給するためのワイヤーを更に有し、
前記ダム材の形成工程では、前記ワイヤーの一部を覆うようにダム材を形成する、請求項15に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光装置におけるダム材は、形状保持特性が悪化することを防ぐ観点から、ある程度の粘度を有することが好ましく、その為にチキソ性を付加する無機粒子を活用することが知られている(例えば、特開2009-135485号公報を参照)。
【発明の概要】
【0003】
しかしながら、特開2009-135485号公報には、ダム材の形状保持特性、及び、ダム材のダイシング性の両方に良好なダム材の含有物に関する記載はなされていない。
【0004】
本開示は、2種類の無機粒子を添加することで、ダム材の形状保持特性、及び、ダム材のダイシング性の両方の特性が良好な発光装置を提供する事を目的とする。
【0005】
本開示に係る発光装置は、基板と、基板上に実装されたLED素子と、LED素子の周囲に配置されたダム材と、ダム材の内側に配置され且つLED素子を封止する封止材と、を有し、ダム材はベース樹脂、第1粒径フィラー及び第2粒径フィラーを含み、ダム材はベース樹脂に対して10~50wt%の第1粒径フィラーを含有し、第1粒径フィラーの平均粒径は1~100μmであり、ダム材はベース樹脂に対して4~15wt%の第2粒径フィラーを含有し、第2粒径フィラーの平均粒径は1~500nmであり、ダム材はダイシングされた側面を有する。
【0006】
本開示に係る発光装置では、ダム材は、ダム材の高さに対する底面幅の比が0.6~4.0である、ことが好ましい。
【0007】
本開示に係る発光装置では、ダム材のLED素子に対向する面は、LED素子に向かって湾曲凸形状である、ことが好ましい。
【0008】
本開示に係る発光装置では、ダム材の硬度は、ショアD65~D74である、ことが好ましい。
【0009】
本開示に係る発光装置では、ダム材は更に酸化チタンを含み、ダム材はベース樹脂に対して10~70wt%の酸化チタンを含有する、ことが好ましい。
【0010】
本開示に係る発光装置では、ダム材は第1枠部と第1枠部の上面に配置された第2枠部と、を有し、第1枠部と第2枠部は、高さと底面幅の比が同一である、ことが好ましい。
【0011】
本開示に係る発光装置では、LED素子に電力を供給するためのワイヤーを更に有し、ワイヤーの一部はダム材で覆われている、ことが好ましい。
【0012】
本開示に係る発光装置では、ダム材は、光透過性を有する、ことが好ましい。
【0013】
本開示に係る発光装置では、基板は、二対の辺を有する矩形状の平面形状を有し、ダム材は、二対の辺の一方の辺に沿って配置される一対の第1枠部と、一対の第1枠部のそれぞれの上面に配置される一対の第2枠部と、二対の辺の他方に沿って配置される一対の第3枠部とを有する、ことが好ましい。
【0014】
本開示に係る発光装置では、基板は、一対の長辺、及び一対の長辺よりも短い一対の短辺を有する矩形状の平面形状を有し、一対の第1枠部及び一対の第2枠部は、一対の長辺に沿って配置され、一対の第3枠部は、一対の短辺に沿って配置される、ことが好ましい。
【0015】
本開示に係る発光装置では、一対の第3枠部のそれぞれの両端は一対の第1枠部の両端の上面に配置され、一対の第2枠部のそれぞれの両端は一対の第3枠部の両端の上面に配置される、ことが好ましい。
【0016】
本開示に係る発光装置では、基板の上面においてダム材に囲まれるように配置される導電性の配線パターンを更に有し、LED素子は、配線パターンの上面に配置され、ダム材は、配線パターンの外周部を被覆する、ことが好ましい。
【0017】
本開示に係る発光装置では、ダム材は、基板の上面を覆うように配置され且つLED素子14から出射された光の波長を変換する蛍光体を更に含む、ことが好ましい。
【0018】
本開示に係る発光装置では、ダム材は、基板上に配置され且つ蛍光体を含む第1枠部と、第1枠部の上面に配置され且つ第1粒径フィラー及び第2粒径フィラーを含む第2枠部と、を更に有する、ことが好ましい。
【0019】
本開示に係る発光装置は、ダム材と基板との間に基板の上面を覆うように配置され且つLED素子から出射された光の波長を変換する蛍光体を含有する蛍光体層を更に含む、ことが好ましい。
【0020】
本開示に係る発光装置では、基板は、底面及び底面を囲むように配置される側面を有する凹部が形成され、LED素子は凹部の底面に配置され、ダム材は凹部の周囲を囲むように配置される、ことが好ましい。
【0021】
本開示に係る発光装置の製造方法は、集合基板の表面上にLED素子を実装する工程と、ディスペンサーからLED素子の周囲にダム材を配置する工程と、ダム材の内側にLED素子を封止する封止材を配置する工程と、硬化後のダム材をダイシングする工程と、を有し、ダム材はベース樹脂、第1粒径フィラー及び第2粒径フィラーを含み、ダム材はベース樹脂に対して10~50wt%の第1粒径フィラーを含有し、第1粒径フィラーの平均粒径は1~100μmであり、ダム材はベース樹脂に対して4~15wt%の第2粒径フィラーを含有し、第2粒径フィラーの平均粒径は1~500nmである。
【0022】
本開示に係る発光装置の製造方法では、ダム材の切断工程では、集合基板のLED素子が実装されていない面側からダイシングを行う、ことが好ましい。
【0023】
本開示に係る発光装置の製造方法では、発光装置はLED素子に電力を供給するためのワイヤーを更に有し、ダム材の形成工程ではワイヤーの一部を覆うようにダム材を形成する、ことが好ましい。
【0024】
本開示に係る発光装置及びその製造方法では、2種類の無機粒子を添加することで、ダム材の形状保持特性、及び、ダム材のダイシング性の両方の特性が良好な発光装置を提供する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施形態に係る発光装置1の平面図である。
図2図1のAA´線に沿う断面図である。
図3図2のB部分の拡大図である。
図4】発光装置1の製造方法の流れの例を示すフロー図である
図5】(A)~(E)は発光装置1の製造方法の各工程について説明するための模式図である。
図6】発光装置1´の製造方法に用いられる集合基板の一例を示す図である。
図7】(A)~(C)は発光装置1´の製造方法の各工程について説明するための模式図である。
図8】第2の実施形態に係る発光装置2の断面図である。
図9】第3の実施形態に係る発光装置3の平面図である。
図10図9のC部分の断面図である。
図11】第4の実施形態に係る発光装置4の平面図である。
図12図11のCC´線に沿う断面図である。
図13図11のDD´線に沿う断面図である。
図14】第5の実施形態に係る発光装置5の断面図である。
図15】第6の実施形態に係る発光装置6の断面図である。
図16】第7の実施形態に係る発光装置7の断面図である。
図17】第1粒径フィラーの配合量と硬度の関係について説明するための図である。
図18】第2粒径フィラーの配合量と粘度の関係について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。また、図面が示す部材の大きさ、繰り返しの数や位置関係等は、説明を容易にするため、誇張もしくは省略していることがある。
【0027】
図1は第1の実施形態に係る発光装置1の平面図であり、図2図1のAA´線に沿う断面図であり、図3図2のB部分の拡大図である。
【0028】
発光装置1は、基板11、配線パターン12、電極13、単一のLED素子14、ダム材15、封止材16、ボンディングワイヤ17及び18等を有する。
【0029】
基板11は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はポリエステル樹脂等の電気絶縁性の樹脂により、一対の長辺111及び112並びに一対の長辺111及び112よりも短い一対の短辺113及び114を有する矩形の平板状に形成される。基板11の厚さは、例えば200μmである。基板11はアルミナや窒化アルミ等のセラミック材料であっても良い。
【0030】
配線パターン12は、基板11の上面に相互に離隔してダム材15に囲まれるように配置される平板状の第1配線121及び第2配線122を有する。第1配線121及び第2配線122は、矩形の平面形状を有し、銀で形成される。第1配線121及び第2配線122は、LED素子14との間で電気的に接続可能なボンディングワイヤ17及び18が配置可能な面積を有する。また、第1配線121と第2配線122との間の離隔距離は、十分な絶縁が保たれる距離以上の長さを有する。第1配線121及び第2配線122がボンディングワイヤ配置可能な面積を確保し、且つ、第1配線121と第2配線122との間を絶縁距離以上に離隔することで、基板11は、第1配線121及び第2配線122の配列方向を長手方向とする矩形の平面形状を有する。図1に示す例では、第1配線121及び第2配線122は、基板11の長手方向に沿って並べて配列されている。第1配線121及び第2配線122の厚さは、例えば、50μmである。なお、配線パターン12は、金、銅又はアルミニウムを含む、LED素子14からの光を反射する他の導電性を有する材料で形成されてもよい。
【0031】
電極13は、基板11の下面に相互に離隔して設けられる第1電極131及び第2電極132を有する。第1電極131及び第2電極132は、金又は銅等の導電体で形成される。第1電極131は、基板11を上下に貫通する貫通孔(図1では破線で示す)を介して第1配線121と電気的に接続される。同様に、第2電極132は、基板11を上下に貫通する貫通孔(図1では破線で示す)を介して第2配線122と電気的に接続される。第1電極131及び第2電極132は、図示しない外部電源と接続され、配線パターン12を介してLED素子14に電力を供給するために用いられる。
【0032】
LED素子14は、第2配線122の上面に、樹脂ペースト、銀ペーストやはんだ等の接合材を用い、ダイボンド(不図示)により固着されて、第2配線122の上面に配置される。LED素子14は、例えば、440-455nmの波長の光を発する、InGaN系化合物半導体からなる青色LEDである。LED素子14の上面141には一対の素子電極が設けられ、第1の素子電極はボンディングワイヤ17を介して第1配線121と接続され、第2の素子電極はボンディングワイヤ18を介して第2配線122と接続される。接合材は、LED素子14よりわずかにはみ出すことがある。
【0033】
LED素子14は、例えば、縦横の各辺が650μm、高さが260μmの略直方体形状を有する。LED素子14は、第1配線121と第2配線122との間に、外部電源から電流が供給されることに応じて発光する。LED素子14は、青色LEDに限らず、例えば紫色LEDまたは近紫外LEDまたは赤外LEDであってもよく、その発光波長帯域は、紫外域を含む200-440nm程度の範囲内、又は、赤外域を含む780-5000nm程度の範囲内であってもよい。
【0034】
ダム材15は、LED素子14並びに第1配線121及び第2配線122を囲むように、基板11の上面に、基板11の外周に沿って矩形状に配置される。ダム材15は、シリコン樹脂又はエポキシ樹脂等のベース樹脂に酸化チタン(TiO)の微粒子を分散させることにより形成される白色樹脂であり、LED素子14からの光を反射させる機能の有する。また、ダム材15は、図3に示すように、更に第1粒径フィラー19と、第2粒径フィラー20を含んでいる。また、ダム材15の左右の側面は、後述するようにダイシングされた側面21である。なお、ダム材15には、酸化チタン(TiO)の微粒子は必ずしも含まなくても良い。
【0035】
なお、第1配線121及び第2配線122の表面を、プラズマなどを照射して、粗面化しても良い。第1配線121及び第2配線122の表面が粗面化されると、意図せずにダム材15が第1配線121及び第2配線122の表面に這い上がって広がる事を抑制できる。
【0036】
第1粒径フィラー19は、二酸化珪素、酸化鉄、酸化アルミニウム等の無機粒子であり、その平均粒径は、1~100μmである。完成した発光装置1における硬化後のダム材15は、ベース樹脂に対して、10~50wt%の第1粒径フィラー19を含有する。ダム材に第1粒径フィラー19を含有させると、硬化後のダム材15の硬度が増加する。ダム材が10wt%未満の第1粒径フィラー19しか含まない場合、ダム材の硬度が充分ではなく、ダイシング等の切断時にバリ等が発生して製品の外観を良好に保つことが難しくなる。一方、ダム材が50wt%より多い第1粒径フィラー19を含む場合、粒子のベアリング効果のため、ダム材の形状を所定の形状に維持することが難しくなる。したがって、発光装置1では、良好なダイシング側面を有することができる様に、完成した発光装置1における硬化後のダム材15は、ベース樹脂に対して、10~50wt%の第1粒径フィラー19を含有することとした。詳しくは後述する。
【0037】
第2粒径フィラー20は、シリカ、二酸化珪素、酸化鉄、酸化アルミニウム等の無機粒子であり、その平均粒径は1~500nmである。完成した発光装置1における硬化後のダム材15は、ベース樹脂に対して、4~15wt%の第2粒径フィラー20を含有する。ダム材15に第2粒径フィラー20を含有させると、製造時に粘度が高くなり、粒子間を高粘度で維持でき、形状を高さ方向に高く、幅方向に小さく保つことが可能となる。ダム材が4wt%未満の第2粒径フィラー20しか含まない場合、硬化前のダム材の粘度が充分高くなく、所望の形状を維持することが難しくなる。一方、ダム材が15wt%より多い第2粒径フィラー20を含む場合、粘度が高くなりすぎて、塗布用のノズルにつまりを起こし、ダム材を形成するための樹脂を塗布する事が難しくなる。したがって、発光装置1では、所望の形状のダム材が形成できる様に、完成した発光装置1における硬化後のダム材15は、ベース樹脂に対して、4~15wt%の第2粒径フィラー20を含有することとした。詳しくは後述する。なお、第2粒径フィラー20は、50~500m2/gの比表面積を有することが好ましい。
【0038】
上述した第1粒径フィラー19及び第2粒径フィラー20の平均粒径は、以下の方法により測定されたものである。第1粒径フィラー19については、最初にダム材15を切断して切断面を電子顕微鏡で観察する。その際、500μm2の範囲で50個の第1粒径フィラーを特定し、第1粒径フィラーの長径の平均値を平均粒径とした。同様に、第2粒径フィラー20のついても、最初にダム材15を切断して切断面を電子顕微鏡で観察する。その際、100μm2の範囲で50個の第2粒径フィラーを特定し、第2粒径フィラーの長径の平均値を平均粒径とした。
【0039】
封止材16は、エポキシ樹脂又はシリコン樹脂等の透光性の樹脂である。封止材16は、ダム材15によって囲まれる領域に、少なくともLED素子14の上面141が露出しない高さまで充填されることにより、LED素子14を封止する。封止材16には、LED素子14からの光の波長を変換する蛍光体が混入されている。封止材16には、このような蛍光体として、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)などの黄色蛍光体が混入される。発光装置1は、青色LEDであるLED素子14からの青色光と、青色光が黄色蛍光体を励起させて得られる黄色光とが混合されることで得られる白色光を出射する。なお、図1図3では、封止材16が透明であるものとして図示されており、以降も同様とする。
【0040】
前述した黄色蛍光体は一例であって、封止材16は、他の蛍光体を含有してもよい。例えば、封止材16は、緑色蛍光体と赤色蛍光体の2種類を含有してもよい。この場合、発光装置1は、青色LEDであるLED素子14からの青色光と、それによって緑色蛍光体および赤色蛍光体を励起させて得られる緑色光および赤色光とを混合させることで得られる白色光を出射する。緑色蛍光体としては、LED素子14が出射した青色光を吸収して緑色光に波長変換する、(BaSr)SiO:Eu2+などの粒子状の蛍光体材料を用いることができる。赤色蛍光体としては、LED素子14が出射した青色光を吸収して赤色光に波長変換する、CaAlSiN:Eu22+どの粒子状の蛍光体材料を用いることができる。また赤色蛍光体はKSFであっても良い。
【0041】
前述した緑色蛍光体及び赤色蛍光体は一例であって、封止材16は、前述した黄色蛍光体に少量の緑色蛍光体や少量の赤色蛍光体を添加しても良い。この場合、発光装置1は、青色LEDであるLED素子14からの青色光と、それによって黄色蛍光体を励起させて得られる黄色光とが混合されることで得られる白色光を基本とし、同じく励起された緑色光や赤色光も混合されることで、前述の組み合わせほどではないが、演色性を高めた白色光を出射することができる。
【0042】
また、封止材16にフィラーが含有されても良い。フィラーを入れると光を散乱させることができる。そのため、指向性の広い発光特性が得られる。フィラーがない、もしくは少ない時、指向性が狭くて発光素子の直上に強い光を出す発光特性が得られるので好ましい。また、蛍光体は沈降させ基板面に接触していても良く、それにより色度の調整が容易になる。さらに、封止材16は、下層に蛍光体を沈降させた層を設け、上層に蛍光体含有量の少ないフィラー層の2層構造にしても良い。2層構造にすることによって、封止材16の見た目の蛍光体の有色を薄くさせることができる。
【0043】
図4は発光装置1の製造方法の流れの例を示すフロー図であり、図5(A)~図5(E)は発光装置1の製造方法の各工程について説明するための模式図である。図4及び5では、複数の発光装置1が同時に製造されることを前提にして説明しているが、一個の発光装置1の製造するようにしても良い。
【0044】
最初に、集合基板・配線準備工程において、図5(A)に示すように、あらかじめ複数の配線パターン12及び電極13が配置された集合基板110が準備される(ステップS101)。配線パターン12及び電極13は、例えば、無電解銀めっきにより基板11aの上面及び下面の所定の位置にそれぞれ配置され、相互に電気的に接続される。なお、集合基板とは、複数の基板11の切断前の一体化されているときの状態のことである。
【0045】
次に、LED素子配置工程において、図5(B)に示すように、集合基板110のそれぞれの第2配線122の上面に、ダイボンド等によりLED素子14が実装される(ステップS102)。また、LED素子配置工程において、ボンディングワイヤ17がLED素子14の第1の素子電極と第1配線121とを接続し、ボンディングワイヤ18がLED素子14の第2の素子電極と第2配線122とを接続するように配置される。LED素子14は、ダム材15を配置する前に配線パターン12に実装されるので、発光装置1のサイズが小さくなり、隣接するLED素子14の間隔が狭くなったとしても容易に実装できる。
【0046】
次に、ダム材配置工程において、図5(C)に示すように、集合基板110の上面に、それぞれの配線パターン12及びLED素子14を囲むようにダム材15が配置される(ステップS103)。まず、シリコン樹脂等の熱硬化性のベース樹脂に、酸化チタンの微粒子、第1粒径フィラー19及び第2粒径フィラー20が分散された白色の樹脂液滴が準備される。次に、白色の樹脂液滴を、ノズル(不図示)から、配線パターン12及びLED素子14を囲むように集合基板110上に塗布する。次に、塗布された樹脂液滴を加熱して硬化させることにより、ダム材15が形成される。硬化前のダム材15は、軟質であるから、ボンディングワイヤ17又はボンディングワイヤ18を覆うことができ、ボンディングワイヤ17又はボンディングワイヤ18があったとしても、LED素子14に近接させて配置することができる。なお、ダム材15の高さはLED素子14よりも高いことが好ましい。このような構成により、発光装置1の指向性を狭くすることができる。
【0047】
加熱によって、ダム材15のベース樹脂が揮発して、ベース樹脂の質量が硬化前に比べて0~10%減少する。このとき、ダム材15の内周面は、樹脂液滴の表面張力により曲面となる(図3参照)。ダム材15が硬化している間、又は、硬化した後に、ダム材15の上面を押圧することにより、ダム材15の上面を平坦に形成しても良い。更に、押圧する治具に凸形状を設けると、押圧面に凹みを作る事ができる。この凹みは極性マークとして使用する事ができる。また、硬化した時の、ダイシング前におけるダム材15の高さに対する底面幅のアスペクト比は0.6~1.1の範囲が好ましく、一例では、0.83である。
【0048】
次に、封止材充填工程において、図5(D)に示すように、ダム材15によって囲まれるそれぞれの領域に、LED素子14の上面141が露出しない高さまで封止材16が配置される(ステップS104)。配置(又は充填)された封止材16は、加熱して硬化される。
【0049】
最後に、ダイシング工程において、図5(E)に示すように、それぞれのダム材15の略中心部(D1の位置)で、集合基板110が個片に切断されることにより、発光装置1が製造される(ステップS105)。これにより、ダム材15の外側側面には、ダイシングされた側面21が形成されることとなる。ダイシング後のダム材15の高さに対する底面幅のアスペクト比は1.0~2.4の範囲が好ましく、1.6~2.0の範囲がさらに好ましい。一例では1.94である。
【0050】
ダイシング工程は、集合基板110のLED素子14が実装されていない面からダイシングする事が好ましい。後述する様に、ダム材15の硬度をショアD65~74とすると、封止材16を潰すことなく、集合基板110の裏面からダイシングすることができる。集合基板110のLED素子14が実装されていない面からダイシングする事で、基板11のバリの発生を抑制する事が可能となる。基板11のバリは発光装置1をヒートシンク等に実装する際に傾きを発生させ、熱引き性を悪化させ、発光効率の低下につながる。ダム材15が通常より硬いショアD硬度を保つ事で、集合基板110のLED素子14が実装されていない面からダイシングしても樹脂の剥がれ等を引き起こすことがない。
【0051】
図6は、発光装置1の変形例である発光装置1´を製造するための集合基板110の一例を示す平面図である。発光装置1´において、発光装置1との差異は、ダム材15´の幅が異なる点のみであり、他の構成は発光装置1と同一であるので同じ番号を付して説明を省略する。さらに、ダム材15´を構成する材料等も、全てダム材15と同一である。集合基板110自体は、発光装置1の為の集合基板110と同一であって、あらかじめ複数の第1配線121及び第2配線122が配置されている。
【0052】
図7(A)~図7(C)は発光装置1´の製造方法の各工程について説明するための模式図である。発光装置1´の製造方法の初期は、図5(A)及び図5(B)と同一であるので、説明を省略する。
【0053】
ダム材配置工程において、図7(A)に示すように、集合基板110の上面に、図6の矢印201及び202に沿って、ダム材15´が配置される。ダム材15´は、配線パターンと配線パターンの間に配置されるように描かれ、それによりダム材15が蛇行しないように形成でき、それぞれのLED素子14を囲むようにダム材15´が配置される。
【0054】
次に、封止材充填工程において、図7(B)に示すように、ダム材15´によって囲まれるそれぞれの領域に、LED素子14の上面141が露出しない高さまで封止材16が配置される。配置(又は充填)された封止材16は、加熱して硬化される。
【0055】
最後に、ダイシング工程において、図7(C)に示すように、それぞれのダム材15´の略中心部(D1´の位置)で、集合基板110が個片に切断されることにより、発光装置1´が製造される。これにより、ダム材15´の外側側面には、ダイシングされた側面21が形成されることとなる。発光装置1´では、ダム材15´の幅が異なるため、ダム材15´の端部が第1配線121及び第2配線122の一部と接触するように形成されている。図7(C)に記載される様に、発光装置1の変形例である発光装置1´では、ダム材15´の幅が広いので、ダム材15´の端部が第1配線121及び第2配線122と接触している。配線パターン12と電極13はお互いにずれが少なく、位置精度よく配置することができる。ダム材15は配線パターン12を基準に配置しているが、ダイシングする時に電極13を基準にすることで、ダム材15の中心を切断する事ができる。
【0056】
図8は、第2の実施形態に係る発光装置2の断面図である。図8において、図1~3に示す発光装置1と同じ構成は同じ番号を付してその説明を省略する。発光装置2において、発光装置1と異なる点は、ダム材15aの形状のみである。
【0057】
発光装置2のダム材15aに含有される、ベース樹脂、酸化チタンの微粒子、第1粒径フィラー19及び第2粒径フィラー20は、ダム材15と同様であるが、第1枠部151と第2枠部152から形成されている点が異なる。最初に、ダム材15の場合と同じ白色の樹脂液滴を塗布して第1枠部151を形成し、第1枠部151の上部が平坦になるように処理した後に加熱して硬化させる。次に、平坦に形成された第1枠部151の上面に白色の樹脂液滴をさらに塗布し、塗布された樹脂液滴を加熱して硬化させることにより、第2枠部152を形成する。このとき、第2枠部152の内周面は、樹脂液滴の表面張力により曲面となる。また、1段目のダム部の第1枠部151の上面が平坦に形成されているため、樹脂液滴が第1枠部151の側面に沿って流れ落ちることが防止される。このようにして、基板11の上面に2段のダム材15aが配置される。ダム材15において、第1枠部151と第2枠部152との接続部を特別に形成する必要が無いので、ダム材15aは簡易に製造可能である。
【0058】
第2枠部152が硬化している間、又は硬化した後に、第2枠部152の上面を押圧することにより、第2枠部152の上面を平坦に形成しても良い。第2枠部152の上面が平坦に形成されている場合、個辺化のためのダイシングを行う切断位置が、多少ずれた場合でも、切断後のダム材15の高さに影響することはなく、均一な品質の発光装置2が製造される。押圧によって、第1枠部151と第2枠部152の内周面の湾曲形状を調整できる。例えば、押圧を強くすると、湾曲の中心が基板表面よりダムの頂点方向に移動でき、LED素子14の側方かつ高さの範囲のダム材の幅が増えるから、側方から光が漏れない。
【0059】
上述したように、ダム材15aにおいて複数の枠部を積み重ねた構造を採用することによって、製品の高さの調整が可能となる。第2枠部152の底面幅は、第1枠部151の上面の平坦部の幅と同一になる。第1枠部151と第2枠部152の高さに対する底面幅のアスペクト比を同一にすると、第1枠部151上面の平坦部の幅で第2枠部152のダムの高さをコントロールすることができる。第1枠部151と第2枠部152高さの合計は、ダム材15の高さと同一にしてもよい。また、第1枠部151の幅はダム材15の幅と同一にしてもよい。
【0060】
第1枠部151の内周曲面と第2枠部152の内周曲面とに接する接平面と基板11とがなす傾斜角(θ)は、65度以上且つ75度以下であることが好ましく、70度以上且つ75度以下であることがより好ましい。接平面の傾斜角(θ)を65度以上且つ75度以下にすることにより、LED素子14から水平方向に出射される光の多くがダム材15において鉛直上方に反射されるため、発光装置1の光の取出し効率が改善するとともに、発光装置1から外部に出射される光束の広がりが抑えられる。また、接平面の傾斜角(θ)を65度以上且つ75度以下にすることにより、LED素子14から水平方向に出射される光の多くがダム材15において鉛直上方に反射されるため、発光装置2の光の取出し効率が改善するとともに、発光装置1から外部に出 射される光束の広がりが抑えられ、発光装置2の光学特性が改善する。
【0061】
図9は、第3の実施形態に係る発光装置3の平面図であり、図10図9のC部分の断面図である。図7及び図10において、図1~3に示す発光装置1と同じ構成は同じ番号を付してその説明を省略する。発光装置3において、発光装置1と異なる点は、ダム材15bの形状が異なることによって、ボンディングワイヤ17及び第1配線121がダム材15bで覆われている点のみである。なお、ダム材15bを構成する成分は、発光装置1におけるダム材15と同じである。
【0062】
発光装置3において、ダム材15bは、LED素子14に近接して配置され、図10に示される様に内側に凸になった形状をしているので、ボンディングワイヤ17の一部がダム材15bに覆われている。ワイヤボンディングの後にダム材15bを配置するので、ダム材15bは、ボンディングワイヤ17又は18の一部を覆うことができる。それにより、発光装置3は、より小型の構造にする事ができる。さらに、ボンディングワイヤ17又は18はダム材15bと封止材16の両方に覆われることとなるが、ダム材15bと封止材16が同じ硬度をもつ事で、硬化時の応力によるワイヤー断線を防ぐことができる。
【0063】
上述した様に、ボンディングワイヤ17又は18の一部をダム材15bで覆うことで、ダム材15bをLED素子14にさらに近づける事ができ、それにより発光装置3の指向性を狭くする事が可能となる。
【0064】
図11は第4の実施形態に係る発光装置4の平面図であり、図12図11のCC´線に沿う断面図であり、図13図11のDD´線に沿う断面図である。図11~13において、図1~3に示す発光装置1と同じ構成は同じ番号を付してその説明を省略する。発光装置4において、発光装置1と異なる点は、ダム材15cの形状のみである。
【0065】
発光装置4のダム材15cに含有される、ベース樹脂、酸化チタンの微粒子、第1粒径フィラー19及び第2粒径フィラー20は、ダム材15と同様であるが、一対の第1枠部153、一対の第2枠部154及び一対の第3枠部155から形成されている点が異なる。一対の第1枠部153は、基板11の一対の長辺111及び112に沿って配置される。一対の第2枠部154は、一対の長辺111及び112のそれぞれの上面に配置される。一対の第3枠部155は、基板11の一対の短辺113及び114に沿って配置される。一対の第3枠部155のそれぞれの両端は一対の第1枠部153の両端の上面に配置され、一対の第2枠部154のそれぞれの両端は一対の第3枠部155の両端の上面に配置される。
【0066】
発光装置4を平面視したとき、第3枠部155の幅は、第1枠部153の幅よりも太い。第3枠部155の幅は、第1枠部153の幅の150%以上であり且つ200%以下であることが好ましい。第3枠部155の幅が第1枠部153の幅の150%未満であると、第3枠部155の高さを高くすることが難しくなる。また、第3枠部155の幅が第1枠部153の幅の200%より大きいと、第3枠部155の塗布量が多くなり、製造コストが増加する。
【0067】
最初に、ダム材15の場合と同じ白色の樹脂液滴を塗布して一対の第1枠部153を基板11の一対の長辺111及び112に沿って形成し、第1枠部153の上部が平坦になるように処理した後に加熱して硬化させる。次に、ダム材15の場合と同じ白色の樹脂液滴を塗布して一対の第3枠部155を基板11の一対の短辺113及び114に沿って形成し、第3枠部155の上部が平坦になるように処理した後に加熱して硬化させる。次に、平坦に形成された第1枠部153の上面に白色の樹脂液滴をさらに塗布し、第2枠部154及び第3枠部155の上部が平坦になるように処理した後に加熱して硬化させることにより、第2枠部154を形成する。このとき、第2枠部152の内周面及び外周面は、樹脂液滴の表面張力により曲面となる。また、第1枠部153及び第3枠部155の上面が平坦に形成されているため、樹脂液滴が第1枠部151の側面に沿って流れ落ちることが防止される。さらに、第2枠部154及び第3枠部155の上部が平坦になるように処理した後に加熱して硬化させることにより、基板11の一対の長辺111及び112に沿って配置される第1枠部153及び第2枠部154の高さは、基板11の一対の短辺113及び114に沿って配置される第3枠部の高さと等しくなる。
【0068】
一対の第3枠部155の一方は第1配線121の外周部を被覆するように配置され、一対の第3枠部155の他方は第2配線122の外周部を被覆するように配置される。一対の第3枠部155のそれぞれは、第1配線121及び第2配線122の外周から100μmの版を被覆するように形成されることが好ましい。なお、ダム材15cは、第1配線121及び第2配線122の外周を被覆しなくてもよい。
【0069】
発光装置4は、基板11の一対の短辺113及び114に沿って配置されるダム材を第3枠部155のみで形成することで、発光装置2よりも枠部の段数を減らすことができる。発光装置4は、発光装置2よりも枠部の段数を減らすことで、枠部同士の交差回数が削減され、枠部が重畳されることでダム材の角が高くなることを抑制することができる。発光装置4は、ダム材の角が高くなることを抑制することで、枠部同士の干渉が減少し、枠部同士が干渉することに起因する製造ばらつきが抑制される。また、発光装置4は、発光装置2よりも枠部の段数を減らすことで、製造工程が簡略化され、製造コストを抑制することができる。
【0070】
また、発光装置4は、発光装置2よりも枠部の段数を減らすことで、後に枠部を配置するときに、先に配置された枠部の形状が崩れることを抑制できる。発光装置4では、第2枠部154の塗布に応じて一対の第3枠部155から突出する一対の突出部155aが形成される。第2枠部154を塗布するときに塗布速度を抑制することで、一対の突出部155aは、小さくすることができる。なお、一対の突出部155aは、極性判定に利用してもよい。
【0071】
発光装置4では、基板11の一対の短辺113及び114に沿って配置される第3枠部155の幅が太くなることで、発光面が狭くなる。発光装置4は、狭い発光面を有するので、レンズを使用するバックライト用の光源等の発光面積を狭くすることが望ましい発光装置として適用することが好ましい。
【0072】
発光装置4では、一対の第3枠部155が第1配線121及び第2配線122の外周部を被覆することにより、第1配線121及び第2配線122の外周部に到達した光は硫化ガスの影響を受けない一対の第3枠部155で反射される。第1配線121及び第2配線122の外周部に到達した光が一対の第3枠部155で反射することにより、発光装置4は、硫化ガスの影響による光の取出し効率の低下の度合いを抑えることを可能とする。一対の第3枠部155は、第1配線121及び第2配線122の外周から100μmの範囲を被覆することで、光の取出し効率が低下する度合いを抑制できる。
【0073】
発光装置4では、一対の長辺111及び112に沿って2段の第1枠部153及び第2枠部154が配置され、一対の短辺113及び114に沿って1段の第3枠部155が配置される。しかしながら、実施形態に係る発光装置では、一対の短辺113及び114に沿って配置される枠部の段数は、一対の長辺111及び112に沿って配置される枠部の段数よりも1段以上少なければよい。
【0074】
また、発光装置4では、一対の長辺111及び112に沿って2段の第1枠部153及び第2枠部154が配置され、一対の短辺113及び114に沿って1段の第3枠部155が配置されるが、第1枠部153~第3枠部155の配置は他の配置であってもよい。実施形態に係る発光装置では、一対の第1枠部は二対の辺を有する矩形状の平面形状を有する基板上に、二対の辺の一方の辺に沿って配置され、一対の第2枠部は一対の第1枠部のそれぞれの上面に配置される。また、一対の第3枠部は、二対の辺の他方に沿って配置される。例えば、発光素子が一対の長辺及び一対の短辺を有する矩形状の平面形状を有するとき、一対の第1枠部及び一対の第2枠部は発光素子の一対の長辺に対向するように配置され、一対の第3枠部は発光素子の一対の短辺に対向するように配置される。
【0075】
図14は、第5の実施形態に係る発光装置5の断面図である。図14において、図1~3に示す発光装置1と同じ構成は同じ番号を付してその説明を省略する。発光装置5において、発光装置1と異なる点は、ダム材15dの形状のみである。
【0076】
発光装置5のダム材15dは、蛍光体層156と、枠部157とを有する。蛍光体層156は、基板11の上面を覆うように配置され且つLED素子14から出射された光の波長を変換する蛍光体により形成される。蛍光体層156を形成する蛍光体は、CaAlSiN:Eu22+どの粒子状の蛍光体材料、及びKSF等の赤色蛍光体であることが好ましい。なお、第1枠部156に含まれる蛍光体は、(BaSr)SiO:Eu2+などの粒子状の蛍光体材料等の緑色蛍光体であってもよい。蛍光体層156は、蛍光体をスプレー等の噴射装置によってダム材15dが配置される領域に塗布することで形成される。
【0077】
枠部157は、ベース樹脂、第1粒径フィラー19及び第2粒径フィラー20を含み、酸化チタンの微粒子等の反射材を含まない。枠部157は、反射材を含まないので、LED素子14から出射された光、及び蛍光体から放射された光を透過する透明な部材であり、光透過性を有する。なお、枠部157は、反射材を含んでもよい。
【0078】
発光装置5は、蛍光体層156を形成する蛍光体を基板11の上面を覆うように配置することで、第1枠部156に入射した波長が短い青色光を波長が長い赤色光又は緑色光に変換して基板11の表面に照射させることができる。発光装置5は、LED素子14から出射された波長が短い光を波長が高い光に変換して基板11の表面に照射することで、LED素子14から出射された光が入射することによる基板11の表面の劣化を抑制することができる。発光装置5は、基板11の表面の劣化を抑制できるので、基板11の表面の劣化によりダム材15dが基板11から剥離するおそれを低くなり、信頼性を高くすることができる。
【0079】
図15は、第6の実施形態に係る発光装置6の断面図である。図15において、図1~3に示す発光装置1と同じ構成は同じ番号を付してその説明を省略する。発光装置6において、発光装置1と異なる点は、ダム材15eの形状のみである。
【0080】
発光装置6のダム材15eは、第1枠部158と、第2枠部159とを有する。第1枠部158は、ベース樹脂に加えて、基板11の上面を覆うように配置され且つLED素子14から出射された光の波長を変換する蛍光体を含む。第1枠部158に含まれる蛍光体は、CaAlSiN:Eu22+どの粒子状の蛍光体材料、及びKSF等の赤色蛍光体であることが好ましい。なお、第1枠部158に含まれる蛍光体は、(BaSr)SiO:Eu2+などの粒子状の蛍光体材料等の緑色蛍光体であってもよい。また、第1枠部158は、反射材を含んでもよい。
【0081】
第2枠部159は、ベース樹脂、第1粒径フィラー19及び第2粒径フィラー20を含み、酸化チタンの微粒子等の反射材を含まない。第2枠部159は、反射材を含まないので、LED素子14から出射された光、及び蛍光体から放射された光を透過する透明な部材であり、光透過性を有する。なお、第2枠部159は、反射材を含んでもよい。
【0082】
ダム材15eは、第1枠部158及び第2枠部159の原材料のそれぞれをディスペンサーによって塗布することで形成される。なお、ダム材15eは、第1枠部158に対応する蛍光体シートを配置した後に、ベース樹脂、第1粒径フィラー19及び第2粒径フィラー20を含む第2枠部159の原材料をディスペンサーによって塗布することで形成されてもよい。また、ダム材15eは、第1枠部158に対応する蛍光体シートを配置した後に、ベース樹脂、第1粒径フィラー19及び第2粒径フィラー20を含む第2枠部159に対応する樹脂シートを蛍光体シート上に配置することで形成されてもよい。
【0083】
発光装置6は、第1枠部158を基板11の上面を覆うように配置することで、発光装置5と同様に、第1枠部158に入射した波長が短い青色光を波長が長い赤色光又は緑色光に変換して基板11の表面に照射させることができる。発光装置6は、LED素子14から出射された波長が短い光を波長が高い光に変換して基板11の表面に照射することで、LED素子14から出射された光が入射することによる基板11の表面の劣化を抑制することができる。発光装置6は、基板11の表面の劣化を抑制できるので、基板11の表面の劣化によりダム材15eが基板11から剥離するおそれを低くなり、信頼性を高くすることができる。
【0084】
発光装置6は、第1枠部158及び第2枠部159を有するダム材15eを有する。しかしながら、実施形態に係る発光装置は、ダム材15及びダム材15と基板10との間に基板10の上面を覆うように配置され且つ発光素子14から出射された光の波長を変換する蛍光体を含有する蛍光体層をダム材15eの代わりに有してもよい。
【0085】
図16は、第7の実施形態に係る発光装置7断面図である。図16において、図1~3に示す発光装置1と同じ構成は同じ番号を付してその説明を省略する。発光装置7において、発光装置1と異なる点は、基板11aの構造及びダム材15fの形状のみである。
【0086】
基板11aは、例えばガラスエポキシ基板であり、LED素子14が収容される凹部11bを形成するパッド11cが中央部に配置される。凹部11bは、キャビティ―とも称され、LED素子14が配置される凹部底面11d、及び底面を囲むように配置される凹部側面11eを有する。凹部底面11dcの裏面には、ヒートシンクが配置可能である。
【0087】
発光装置7のダム材15fに含有される、ベース樹脂、酸化チタンの微粒子、第1粒径フィラー19及び第2粒径フィラー20は、ダム材15と同様であるが、第1配線121及び第2配線122を全面に亘って被覆し且つ先端が凹部11bの近傍に配置される点が異なる。発光装置7を平面視したとき、ダム材15fは、凹部11bの周囲を囲むように配置される。
【0088】
発光装置7は、裏面にヒートシンクが配置可能である凹部底面11dにLED素子14が配置されるので、放熱効率を高くすることができ、LED素子14に流す電流を大電流化して輝度が高くすることができる。
【0089】
また、発光装置7は、ダム材15fを凹部11bの周囲を囲むように配置することで、発光面が狭くして、レンズを使用するバックライト用の光源等の発光面積を狭くすることが望ましい発光装置として適用することができる。
【0090】
また、発光装置7は、ガラスエポキシ基板である基板11aを有するので、アルミニウム基板等の金属基板を使用する発光装置よりも高い設計自由度を実現することができる。
【0091】
実施形態に係る発光装置は、赤外線(IR)光を出射するLED素子をLED素子14の代わりに有してもよい。また、発光装置6は、青色光を出射する単一のLED素子14を有するが、実施形態に係る発光装置は、赤色光、緑色光及び青色光をそれぞれが出射する複数のLED素子をLED素子14の代わりに有してもよい。
【0092】
実施形態に係る発光装置は、赤色光、緑色光及び青色光をそれぞれが出射する3個のLED素子を有するとき、3個のツェナーダイオードを3個のLED素子に隣接して配置してもよい。実施形態に係る発光装置は、3個のツェナーダイオードを3個のLED素子に隣接して配置することで、LED素子から出射された光を吸収する光吸収部材として3個のツェナーダイオードを機能させることができる。実施形態に係る発光装置は、光吸収部材として3個のツェナーダイオードを機能させることで、3個のLED素子のそれぞれから出射される赤色光、緑色光及び青色光の光度を調整して所望の色温度を有する光を出射することができる。
【0093】
図17は、ダム材15における第1粒径フィラー19の配合量とダム材15の硬度との関係を示す図である。配合量は、完成した発光装置1における硬化後のダム材15において、ベース樹脂に対する第1粒径フィラー19の質量比(wt%)を示している。硬度は、ショアD硬度を示している。図17は、ダム材15に含まれる第1粒径フィラー19の配合量を変化させて、その際のダム材15のショアD硬度を測定した結果である。
【0094】
図18に示す様に、ダム材に第1粒径フィラー19を含有させると、硬化後のダム材15の硬度が増加する。一般に、ショアD硬度が65以上あれば、ダイシング等の切断時に、外観に目立つバリ、欠けが見られず、良好な外観を有する発光装置を製造する事ができる。また、第1粒径フィラー19を含有させると、ダム材15の粘度が低下する事があり、ショアD硬度が74より大きいと、粒子のベアリング効果のため、ダム材の形状を所定の形状に維持することが難しくなる。以上より、完成した発光装置1における硬化後のダム材15において、ベース樹脂に対する第1粒径フィラー19の質量比(wt%)の好ましい範囲を10~50wt%とした。第1粒径フィラー19の含有量を増やし、ショアD硬度が74より大きくなると、塗布用のノズルにつまりを起こし、ダム材を形成するための樹脂を塗布する事が難しくなる。
【0095】
図18は、ダム材15における第2粒径フィラー20の配合量と粘度との関係を示す図である。配合量は、完成した発光装置1における硬化後のダム材15において、ベース樹脂に対する第2粒径フィラー20の質量比(wt%)を示している。粘度は、硬化前の白色の樹脂液滴の粘度(Pa・S)を示している。図18は、ダム材15用に作成された硬化前の白色の樹脂液滴に含まれる第2粒径フィラー20の配合量を変化させて、その粘度を測定した結果である。
【0096】
図18に示す様に、硬化前の白色の樹脂液滴に第2粒径フィラー20を含有させると、粘度が増加する。一般に、粘度が200(Pa・S)以上あれば、製造時に粘度が高くなり、粒子間を高粘度で維持でき、形状を高さ方向に高く、幅方向に小さく保つことが可能となる。また、粘度が1200(Pa・S)より大きくなると、粘度が高くなりすぎて、塗布用のノズルにつまりを起こし、ダム材を形成するための樹脂を塗布する事が難しくなる。以上より、完成した発光装置1における硬化後のダム材15において、ベース樹脂に対する第2粒径フィラー20の質量比(wt%)の好ましい範囲を4~15wt%とした。なお、図80における第2粒径フィラー20の質量比(wt%)は、ダム材15が硬化後に0~10%質量が減少することを考慮して計算している。
【0097】
ダム材15を形成する為の硬化前の白色の樹脂液滴の粘度が低いと、ダム材15の高さに対する底面幅のアスペクト比を高く維持することができなくなり、ダム形状が垂れた形状になってしまう。そのため、ダム材15がLED素子14に触れてしまい発光効率の減少を引き起こし、小型の発光装置を得る事が困難となる。
【0098】
ダム材15の形状は、発光装置1の発光効率の減少を防止する上で重要な要素であり、ダム材15の第1配線121からの高さ(H1)に対する底面幅(第1配線121の上面と平行なダム材15の位置から側面21までの幅:W1)の比が0.6~4.0であることが好ましい(図3参照)。ダム材15の高さ(H1)に対する底面幅(W1)の比が0.6~4.0である場合には、発光装置1の発光効率の減少を防止できると共に、光の漏れを防ぐためにダム材15の幅が薄くならない構成となっている。
【0099】
また、ダム材15の第1配線121からの高さ(H1)に対する底面幅(W1)の比が0.6~4.0である場合には、ダム材のLED素子14に対向する側面が、LED素子14に向かって湾曲凸形状となる(図3参照)。この場合、ダム材15は、内側に傾斜した形状になっており、傾斜面は素子に向かって内側に凸の形状をしている。ダム材15は、発光素子の高さの範囲内に、ダム材15の湾曲凸形状の頂点(P)があり、内側に向かって突出する事で頂点より上側では反射した光の立ち上げが良くなり、光の取出し効率が向上する。またダム材15は、配線パターンを含んだ基板の上に配置され、ダム材15の断面形状は図3に示すように、ダム材15の底面幅(W1)はダム材15の最も素子側に突出している部分の幅(W2)よりも狭い(図3参照)。ダム材15の底面幅(W1)が狭く、奥行きのある構造になる事により、光を複数回反射させる事が可能となり、混色性が高くなる。LED素子14の横のダム材15の幅が薄くなると光が抜けやすくなるので、LED素子14の高さの範囲内に、ダム材15の湾曲凸形状の頂点(P)、すなわちダム材15の最長幅、を設けることによって、発光装置1の光取出し効率を向上させている。
【0100】
また、発光装置2における第1枠部151の第1配線121からの高さ(H2)に対する底面幅(第1配線121の上面と平行なダム材15aの位置から側面21までの幅:W3)の比は(図8参照)、1.2~2.0であることが好ましく、その場合、第2枠部152を形成するのに適した形状となる。
【0101】
前述した様に、ダム材15は酸化チタンを有しているが、酸化チタンのベース樹脂に対する質量比(wt%)は、ベース樹脂に対して、10~70wt%の範囲が好ましく、その場合、光を効率よく反射する。前述したように、ダム材15の高さ(H1)に対する底面幅(W1)の比が0.6~4.0であることが好ましいが、その場合、ダム材15の幅が薄くなる可能性があり、通常より多い質量比の酸化チタンが必要となる。ダム材15において、酸化チタンのベース樹脂に対する質量比(wt%)が10~70wt%であれば、ダム材15の幅が、例えば、0.1mm以下であっても、LED素子14からの光が抜けずに、効率よく反射させることができる。
【0102】
前述した様に、ダム材15は酸化チタンを含有しなくても良い。すなわち、ダム材15は透明であっても良い。ダム材15を透明にすることで光の指向性を広げることができる。また、ダム材15は黒色や青色であっても良い。ダム材15を黒色にすることで、イエローリングの発生を抑制できる。更に、ダム材15は蛍光体が含まれても良い。ダム材15に蛍光体が含まれる事で、色温度、色度の指向性を調整できる。ダム材15aの場合、第1枠部151と第2枠部152の何れか一方のみが、透明、黒色、青色、又は、蛍光体を含んでいても良い。
【0103】
発光装置2の各辺は、第1枠部151のみ、第1枠部151に第2枠部152を積み重ねた構造と、複数の組合せの辺にて構成されても良い。発光装置2の長辺に2段の枠部を配置した後に、短辺に1段の枠部を配置しても良い。長辺側に配置した枠部の中心のピッチが1.5mm以下になると、2段ダムの上に配置されたダム材が2段ダムの間に入り込むから、短辺側を1段ダムとしても2段ダムと同じ高さにすることができ、工数が削減できる。短辺側のダムを縦に重ねずに、横に並べる事で、ワイヤーと配線の接続部を保護する事ができるとともに、長辺の指向性を狭くする事ができる。
【0104】
ダム材15は、発光装置1を平面視したときに4つの角のRのサイズを変えても良い。たとえば、隣接した2つの角のRを他の2つより大きくすると、方向を認識できるマークとして使用する事もできる。また、発光装置2において、Rを大きくする角を第1枠部151と第2枠部152で変えても良い。これにより認識マークが見やすくなる。
【0105】
発光装置2において、封止材16に含有される蛍光体を沈降させた時、第1枠部151の上部であって、第2枠部152との境目に蛍光体を積むことができる。蛍光体を沈降させた際に、LED素子14の側面が蛍光体の沈降層より露出することがある。そうすると側方へ向かう青色の光が強く出てしまうから、第1枠部151と第2枠部152との境目の蛍光体で黄色を補う事で、側方へ向かう青色の光を減少させることが可能となる。
【0106】
当業者は、本発明の範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【要約】
発光装置は、LED素子の周囲に配置されたダム材を有し、ダム材はベース樹脂、第1粒径フィラー及び第2粒径フィラーを含み、ダム材はベース樹脂に対して10~50wt%の第1粒径フィラーを含有し、第1粒径フィラーの平均粒径は1~100μmであり、ダム材はベース樹脂に対して4~15wt%の第2粒径フィラーを含有し、第2粒径フィラーの平均粒径は1~500nmであり、ダム材はダイシングされた側面を有する。
図1
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図6
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図18