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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】電気温水器システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20220101AFI20240508BHJP
   F24H 1/20 20220101ALI20240508BHJP
   F24H 15/132 20220101ALI20240508BHJP
   F24H 15/37 20220101ALI20240508BHJP
【FI】
F24H1/18 B
F24H1/20 F
F24H15/132
F24H15/37
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020141790
(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公開番号】P2022037578
(43)【公開日】2022-03-09
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 研太
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-295906(JP,A)
【文献】特開2001-324219(JP,A)
【文献】特開2017-067309(JP,A)
【文献】実開昭54-147748(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気温水器と、
複数の前記電気温水器の運転を管理するサーバと、を備え、
前記電気温水器は、
水を貯める貯水タンクと、
前記貯水タンク内の水を加熱する加熱部と、
前記電気温水器の空焚きの有無を検知する検知部と、
前記検知部が前記電気温水器の空焚きを検知したら、前記加熱部への通電を停止させる空焚き防止手段と、を有し、
前記サーバは、一つの前記電気温水器の前記検知部が検知した空焚きの有無を基に、他の前記電気温水器が該一つの前記電気温水器に沿って連動するように制御することを特徴とする電気温水器システム。
【請求項2】
前記検知機能は、
空焚きの検知情報もしくは、空焚き検知に用いる状態信号を前記サーバに送信する送信部と、
前記サーバからの運転信号を受信する受信部と、
を有し、
前記サーバは、少なくとも一つの前記電気温水器の空焚きの結果に対応した運転を行うように、複数の前記電気温水器のグループに対して、運転指示信号を前記送信部から送信するように制御することを特徴とする請求項1記載の電気温水器システム。
【請求項3】
前記サーバは、所定時間の間に、一つの前記電気温水器の空焚きの検知がされなかった際に、
他の前記電気温水器の前記加熱部の加熱を開始させる、もしくは、前記加熱部への加熱が可能であることを外部端末に報知させるように制御することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電気温水器システム。
【請求項4】
前記サーバは、少なくとも一つの前記電気温水器が空焚き検知をした際に、
他の前記電気温水器の前記加熱部の加熱を停止させる、もしくは、前記加熱部への加熱の停止を行うよう外部端末に報知させるように制御することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電気温水器システム。
【請求項5】
前記検知部は、前記加熱部の温度上昇の単位時間あたりの変化量が所定値以上の場合、空焚きになっていると判断することを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の電気温水器システム。
【請求項6】
前記空焚き防止手段は、熱膨張率の異なる2種類の金属板を貼り合わされたバイメタルを用いることで、前記加熱部の温度が所定以上になると前記バイメタルの湾曲により前記加熱部への通電が遮断されることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の電気温水器システム。
【請求項7】
前記空焚き防止手段は、前記加熱部の温度が所定温度以上になると溶断され、前記加熱部への通電を遮断する温度ヒューズを用いること特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の電気温水器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気温水器システムに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、電気温水器を用いた水栓装置では、貯水タンク内に水が入っていない状態で加熱部への通電を開始すると、所謂「空焚き」状態となり、加熱部等の温度が上昇してしまい、システム負担となり、故障の原因となる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-283024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の電気温水器を複数用いている電気温水器システムでは、メンテナンスや引き渡し等のイベントによる給水元栓の開弁忘れなどで、複数の電気温水器に水が入っていない状況において、システム管理者が電気温水器の加熱部を通電させた際に、複数の電気温水器に対して空焚きが生じ、複数の電気温水器に対して、空焚きによるシステム負担が生じてしまう。また、電気温水器は空焚きが生じると強制的に加熱部への通電を断つために、空焚き検知時に通電を停止するソフト、物理的に通電を断つバイメタル、空焚きの熱によって溶けることで加熱部への通電を断つ温度ヒューズを備えている。再び電気温水器を使用するためには、ソフトで通電を停止した場合、タンク給水ボタンを押しタンク内を満水にする必要があり、バイメタルが作動した場合、バイメタルを解除する必要があり、温度ヒューズが作動した場合、温度ヒューズを交換する必要があり、(以後、タンク給水ボタンを押すこと、バイメタルを解除すること、温度ヒューズを交換することを空焚きキャンセル操作と呼ぶ。)複数の電気温水器に空焚きが生じると、空焚きキャンセル操作によるシステム管理者の負担が多く生じてしまう。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ある一つの電気温水器の空焚きの有無を基に、他の電気温水器が該一つの電気温水器に沿って連動するように制御することで、少なくとも一つの電気温水器だけが空焚きとなり、その他多くの電気温水器は空焚きとならず、電気温水器のシステム負担を軽減できると共に、空焚きキャンセル操作によるシステム管理者への負担も軽減できるという実用上優れた電気温水器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本件発明によれば、複数の電気温水器と、複数の前記電気温水器の運転を管理するサーバと、を備え、前記電気温水器は、水を貯める貯水タンクと、前記貯水タンク内の水を加熱する加熱部と、前記電気温水器の空焚きの有無を検知する検知部と、前記検知部が空焚きと検知したら前記加熱部への通電を停止させる空焚き防止手段と、を有し、前記サーバは、一つの前記電気温水器の前記検知部が検知した空焚きの有無を基に、他の前記電気温水器が該一つの前記電気温水器に沿って連動するように制御することを特徴としている。
【0007】
従来のような電気温水器では、給水元栓の開弁忘れで、給水元栓が共通のフロアもしくはビル全体の複数の電気温水器の水を貯める貯水タンクに水が入っていない状況において、システム管理者が電気温水器のスイッチを入れた際に、電気温水器全てが、空焚きとなり、電気温水器の加熱部等への負担を与えてしまうという課題がある。その対策として、空焚き検知部によって空焚きを検知するとすぐに加熱部への通電を停止するものがあり、これによれば、加熱部等への致命的な負担を与えることは抑制できる。この発明は、一つの電気温水器の空焚きの有無を基に、他の電気温水器が連動して、空焚きの有無を検知した電気温水器の運転に沿うように運転させる、つまり空焚きの有無を検知した電気温水器の加熱部の動作に、他の複数の電気温水器の加熱部の動作を追従するように合わせる事で、少なくとも一つの電気温水器だけが空焚きとなり、その他多くの電気温水器は空焚きとならず、空焚きによるシステム負担を軽減できると共に、空焚きキャンセル操作を行う電気温水器も一台で済むことからシステム管理者への負担も軽減できるという実用上優れた効果を奏することができるものである。
【0008】
好ましくは、前記検知機能は、空焚きの検知情報もしくは、空焚き検知に用いる状態信号を前記サーバに送信する送信部と、前記サーバからの運転信号を受信する受信部と、を有し、前記サーバは、少なくとも一つの前記電気温水器の空焚きの結果に対応した運転を行うように、複数の前記電気温水器のグループに対して、運転指示信号を前記送信部から送信するように制御することを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、少なくとも一つの電気温水器の空焚きの結果に基づいて、給水元栓を共有するグループ内の全ての電気温水器の加熱部の動作を合わせる事が可能である。従来、一つの電気温水器に空焚きが生じた場合、給水元栓を共有するビル、階層、ブース等のグループ内の全ての電気温水器が空焚きになるが、それを未然に抑制でき、空焚きなしという検知であれば、給水元栓は開弁されていることが示唆されるため、給水元栓起因による空焚きが生じることはなく、その他多くの電気温水器を安全に起動させることができる。これによって、その他多くの電気温水器は空焚きとならず、空焚きによるシステム負担を軽減できると共に、空焚きキャンセル操作を行う電気温水器も一台で済むことからシステム管理者への負担も軽減できる。また、空焚きが生じていないグループでは電気温水器が正常に使用できるという実用上優れた効果を奏することができるものである。
【0010】
好ましくは、前記サーバは、少なくとも一つの前記電気温水器の空焚きがないという正常検知ができた際に、前記電気温水器の前記加熱部を動作させる、もしくは、動作可能の指示を管理者に行うように制御することを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、給水元栓の開弁忘れで空焚きとなる電気温水器を一つにでき、その他多くの電気温水器は空焚きが生じず、空焚きによるシステム負担を軽減することができると共に、空焚きキャンセル操作を行う電気温水器も一台で済むことからシステム管理者への負担も軽減できるという実用上優れた効果を奏することができるものである。
【0012】
好ましくは、前記サーバは、少なくとも一つの前記電気温水器が空焚き検知をした際に、前記電気温水器の前記加熱部を停止させる、もしくは、停止の指示を管理者に行うように制御することを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、給水元栓の開弁忘れで空焚きとなる電気温水器を一つにでき、その他多くの電気温水器は空焚きが生じず、空焚きによるシステム負担を軽減することができると共に、空焚きキャンセル操作を行う電気温水器も一台で済むことからシステム管理者への負担も軽減できる。また、全ての電気温水器に水が入っており複数の電気温水器の加熱部を動作させた場合、1つの電気温水器のみを給水元栓が開いているか確認するために試験的に運転させるやり方に比べ、全ての電気温水器において、運転させてから使用者が使えるようになるまで早いため、使い勝手が良くなるという実用上優れた効果を奏することができるものである。
【0014】
好ましくは、前記検知部は、前記加熱部の温度上昇において単位時間あたりの変化量が所定値以上の場合、空焚きになっていると判断することを特徴としている。
【0015】
このような構成によれば、空気は水等の熱媒体と比較し熱伝達率が小さいため、空焚き状態になっている場合、加熱装置による加熱が行なわれる所定期間における温度上昇量は、加熱装置が熱媒体で満たされ熱媒体を正常に加熱する状態と比較して大きくなる。従って、単位時間あたりの変化量が所定値以上の場合、空焚き状態であると判断できるものである。
【0016】
好ましくは、前記空焚き防止手段は、熱膨張率の異なる2種類以上の金属板を貼り合わされたバイメタルを用いることで、前記加熱部の温度が所定以上になると前記バイメタルの湾曲により前記加熱部への通電が遮断されることを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、前記電気温水器に空焚きが起こり、何らかの原因で前記加熱部が動作停止指示を受け取れなかった際、前記電気温水器の負担が増加してしまう前に、前記加熱部への通電を確実に遮断することができるものである。
【0018】
好ましくは、前記空焚き防止手段は、前記加熱部の温度が所定温度以上になると溶断され、前記加熱部への通電を遮断する温度ヒューズを用いること特徴としている。
【0019】
このような構成によれば、前記電気温水器に空焚きが起こり、何らかの原因で前記加熱部が動作停止指示を受け取れなかった際、前記電気温水器の負担が増加してしまう前に、前記加熱部への通電を確実に遮断することができるものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、空焚きによるシステムへの負担を軽減し、空焚きキャンセル操作というシステム管理者に与える負担も軽減することができる電気温水器の制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態による電気温水器本体の上から見た面断図である。
図2】本発明の一実施形態による電気温水器の正面図である。
図3】本発明の一実施形態による電気温水器を正面から見た断面図である。
図4】本発明の一実施形態による電気温水器システムの工程図である。
図5】本発明の第一実施例による電気温水器システムにおいて、空焚きを検知しない場合の各システムの動作を示すタイムチャートである。
図6】本発明の第一実施例による電気温水器システムにおいて、空焚きを検知した場合の各システムの動作を示すタイムチャートである。
図7】本発明の第二実施例による電気温水器システムにおいて、空焚きを検知しない場合の各システムの動作を示すタイムチャートである。
図8】本発明の第二実施例による電気温水器システムにおいて、空焚きを検知した場合の各システムの動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0023】
図1乃至図3に示すように、本発明の一実施形態による電気温水器1は、水を貯めるための貯水タンク2を有しており、貯水タンク2の内部には加熱部3が設けられており、貯水タンク2に貯められた水を温めることができる。また、電気温水器1は、貯水タンクに水が入っていない時に加熱部3が動作する空焚きを検知する検知部4と、検知部4が空焚きを検知した後、貯水タンク2に水を供給するためのタンク給水ボタン5を有している。
【0024】
検知部4は、前記加熱部3の温度上昇の単位時間あたりの変化量が所定値以上の場合、空焚きになっていると判断することを特徴としている。空気は水等の熱媒体と比較し熱伝達率が小さいため、空焚き状態になっている場合、加熱装置による加熱が行なわれる所定期間における温度上昇量は、加熱装置が熱媒体で満たされ熱媒体を正常に加熱する状態と比較して大きくなる。従って、所定期間における温度上昇量が所定値以上の場合、空焚き状態であると判断できるものである。
【0025】
次に、図4、乃至、図6を用いて、第一実施例の各システムの起動工程について説明する。第一実施例は集中管理室にあるような大型のサーバを使用する。初めに、電気温水器の電源投入工程について説明をする。目的は、電気温水器1号機10、乃至、電気温水器3号機34の電源を投入することである。電気温水器1号機10、乃至、電気温水器3号機34は、同じビル、又は同じ階層、又は同じブース内にあると想定しており、給水元栓48が共通している。これにより、電気温水器1号機10、乃至、電気温水器3号機34の加熱部の動作や停止等の、電気温水器の動作を合わせることが可能である。これにより、一つの電気温水器に空焚きが生じた場合、給水元栓を共有するビル、階層、ブース等のグループ内の全ての電気温水器が空焚きになることを未然に抑制できる。また、空焚きなしという検知であれば、給水元栓は開弁されていることが示唆されるため、給水元栓起因による空焚きが生じることはなく、その他多くの電気温水器を安全に起動させることができる。これによって、その他多くの電気温水器は空焚きとならず、空焚きによるシステム負担を軽減できると共に、空焚きキャンセル操作を行う電気温水器も一台で済むことからシステム管理者への負担も軽減できる。また、空焚きが生じていないグループでは電気温水器が正常に使用できる。
【0026】
管理者が管理者端末6を用いて、排水管路46と排水管路46への水をコントロールする給水元栓48が共通の電気温水器1号機10、乃至、電気温水器3号機34に電源を投入する指示をサーバ8に送信する。電源の投入指示をサーバ8が受け取り、サーバ8が電気温水器1号機10、乃至、電気温水器3号機34へ電源を投入する指示を行う。
【0027】
次に、電気温水器1号機10のシステムスタートについて説明する。目的は、給水元栓48の開閉状況を確認することである。サーバ8は電気温水器1号機10の加熱部18の動作指示を受信部12に向かって送信する。電気温水器1号機10の貯水タンク16内に所定時間空焚きが生じず、正常に沸かし上げが行われると、送信部14からサーバ8に正常に沸かし上げが完了した故を送信し、サーバ8は、給水元栓48が空いていると判断する。
【0028】
貯水タンク16に水が入っておらず、空焚きが生じた際は、送信部14から、サーバ8へ空焚きした故が送信され、サーバ8が管理者端末への報知を行うと同時に、サーバ8は受信部12に向かって加熱部の動作停止指示を送信する。報知の内容は、空焚きの発生、電気温水器1号機10の電源を落とす指示、給水元栓48の開閉状況確認、タンク給水ボタン5の操作指示である。図6に示してある通り、電気温水器1号機10に空焚きが生じると、加熱部18が動作停止を行うだけでなく、電気温水器2号機22、電気温水器3号機34の電源のみ入っている状態で、システムは動作しない。
【0029】
また、何らかの原因で加熱部18が動作停止指示を受け取れなかった場合に備え、電気温水器1号機10の負担が増加してしまう前に、加熱部18への通電を確実に遮断するために、熱膨張率の異なる2種類以上の金属板を貼り合わされたバイメタルを用いることで、加熱部18の温度が所定以上、約90度以上になるとバイメタルの湾曲により加熱部18への通電を遮断する。もしくは、加熱部18の温度が所定温度以上、例えば87度以上になると溶断され、加熱部18への通電を遮断する温度ヒューズを用いることで、加熱部18への通電を遮断する。
【0030】
次に、電気温水器2号機22、電気温水器3号機34のシステムスタートについて説明する。給水元栓48が空いていることを、電気温水器1号機10のシステムスタートで判断されていた場合、サーバ8は電気温水器2号機22の加熱部30と電気温水器3号機34の加熱部42の動作指示を受信部24と受信部36に向かって送信し、加熱部30と加熱部42は動作を開始する。もしくは、電気温水器2号機22の加熱部30と電気温水器3号機34の加熱部42への加熱が可能であることを外部端末に報知させる。図5に示してある通り、電気温水器1号機10の正常沸き上げをきっかけに、電気温水器2号機22と電気温水器3号機34が電気温水器1号10に沿って連動していることが分かる。沿って連動するとは、例えば、ある一つの電気温水器の運転と同様の動作を他の電気温水器が後追いで行うことである。
【0031】
次に、各システムの動作監視について説明する。漏水や配管詰まり等による異常時の動作監視を行うために、前工程に引き続き空焚き検知を行う。以上が第一実施例の各システムの起動工程についての説明である。
このような工程を踏むことで、少なくとも一つの電気温水器1号機10のみが空焚きとなり、電気温水器2号機22と電気温水器3号機34は空焚きとならず、空焚き検知までの時間が短縮、もしくは不要となるため電気温水器2号機22の加熱部30と電気温水器3号機34の加熱部42へのシステム負担を軽減できるだけでなく、空焚きキャンセル操作を行う電気温水器1が一つで良い事からシステム管理者への負担も大きく軽減できる。
なお、説明の都合上、電気温水器1が3台あると仮定していたが、電気温水器の数に制限はない。
【0032】
次に、図7及び図8を用いて、第二実施例の各システムの起動について説明する。第二実施例は電気温水器毎の動作をサーバ8が監視していない形態である。各フロアのシステム情報を有線や短波通信で得た情報を電気温水器1号機10に備えられたサーバ8がシステム管理者に通知する。また、サーバ8は、例えば電気温水器3号機が空焚きを検知したら、電気温水器1号機10は加熱部18の動作を停止し、電気温水器2の加熱部30の動作を停止させる指示を送る役割を担っている。もしくは、サーバ8は、電気温水器3号機が空焚きを検知したら、電気温水器1号機10の加熱部18と電気温水器2号機の加熱部30への加熱の停止を行うよう外部端末に報知させる役割を担っている。以下、詳しいシステム工程を説明する。
【0033】
初めに、電気温水器の電源投入工程について説明をする。目的は、電気温水器1号機10、乃至、電気温水器3号機34の電源を投入することである。システム管理者が管理者端末を用いて、排水管路46と排水管路46への水をコントロールする給水元栓48が共通の電気温水器1号機10、乃至、電気温水器3号機34に電源を投入する指示を電気温水器1号機10に備えられたサーバ8に送信する。サーバ8は電気温水器1号機10の電源を投入し、その後、電気温水器1号機10、乃至、電気温水器3号機34でシステム間通信を行い、電気温水器2号機22と電気温水器3号機34に電源投入指示を行う。
【0034】
次に、電気温水器1号機10、乃至、電気温水器3号機34のシステムスタートについて説明する。電気温水器1号機10に備えられたサーバ8は電気温水器1号機の加熱部18の動作開始指示を行う。その後、電気温水器1号機10と電気温水器、乃至、電気温水器3号機34でシステム間通信を行い、電気温水器2号機22の加熱部30と電気温水器3号機34の加熱部42に動作開始指示を行う。このとき、各加熱部への動作開始指示は電気温水器1号機10、乃至、電気温水器3号機34に空焚きが同時に生じないよう、時間を空けて行う。
【0035】
このような工程を踏むことで、給水元栓の開弁忘れで、空焚きとなる電気温水器を一つに抑えることができるためシステム負担を軽減することができ、空焚きキャンセル操作を行う電気温水器1が一つで良い事からシステム管理者への負担も大きく軽減でるのみにあらず、第一実施例の発明に比べ、全ての電気温水器において、運転させてから使用者が使えるようになるまで早いため、使い勝手が良い。
なお、説明の都合上、電気温水器1が3台あると仮定していたが、電気温水器の数に制限はない。
【符号の説明】
【0036】
1 電気温水器
2 貯水タンク
3 加熱部
4 検知部
5 タンク給水ボタン
6 管理者端末
7 バイメタル
8 サーバ
9 温度ヒューズ
10 電気温水器1号機
12 電気温水器1号機の受信部
13 電気温水器1号機の検知部
14 電気温水器1号機の送信部
15 電気温水器1号機のタンク給水ボタン
16 電気温水器1号機の貯水タンク
17 電気温水器1号機の止水栓
18 電気温水器1号機の加熱部
20 電気温水器1号機の吐水装置
22 電気温水器2号機
24 電気温水器2号機の受信部
25 電気温水器2号機の検知部
26 電気温水器2号機の送信部
27 電気温水器2号機のタンク給水ボタン
28 電気温水器2号機の貯水タンク
29 電気温水器2号機の止水栓
30 電気温水器2号機の加熱部
32 電気温水器2号機の吐水装置
34 電気温水器3号機
36 電気温水器3号機の受信部
37 電気温水器3号機の検知部
38 電気温水器3号機の送信部
39 電気温水器3号機のタンク給水ボタン
40 電気温水器3号機の貯水タンク
41 電気温水器3号機の止水栓
42 電気温水器3号機の加熱部
44 電気温水器3号機の吐水装置
46 排水管路
48 給水元栓
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8