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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】締結部品
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/28 20060101AFI20240508BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B23C5/28
B23Q11/10 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023207113
(22)【出願日】2023-12-07
【審査請求日】2023-12-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000221144
【氏名又は名称】株式会社タンガロイ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】阿曽 孝洋
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111451562(CN,A)
【文献】特開2021-160043(JP,A)
【文献】特開2009-061548(JP,A)
【文献】特開2006-218549(JP,A)
【文献】特開2004-338000(JP,A)
【文献】特開2004-276136(JP,A)
【文献】特開2004-237401(JP,A)
【文献】特開平06-190681(JP,A)
【文献】特表2019-536643(JP,A)
【文献】特表2010-516483(JP,A)
【文献】特表2003-522038(JP,A)
【文献】実開平02-004714(JP,U)
【文献】登録実用新案第3026256(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0078851(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0226268(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02394767(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第10251922(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第109352054(CN,A)
【文献】特開2015-202563(JP,A)
【文献】国際公開第2021/125338(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 1/00-9/00
B23Q 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーバに締結されて回転切削工具を前記アーバに固定する締結部品であって、
前記アーバのめねじに螺合される軸部と、
前記アーバへの締結側と反対側の端面における軸中心に形成された係合穴と、
前記軸部の軸中心に形成され、前記軸部の前記アーバへの締結側の端面で開口する第一流路と、
前記アーバへの締結側と反対側の端部における前記軸中心から離れた位置で開口する第三流路と、
前記第一流路と前記第三流路をつなぐ第二流路と、
を有し、
前記第一流路は前記第二流路より大きな断面積を有し、
前記第二流路は前記第三流路より大きな断面積を有する、
締結部品。
【請求項2】
前記第二流路は、前記係合穴の最近傍位置に形成されている、
請求項1に記載の締結部品。
【請求項3】
前記第三流路は、前記アーバへの締結側と反対側の端部における側面で開口されている、
請求項1に記載の締結部品。
【請求項4】
アーバに締結されて回転切削工具を前記アーバに固定する締結部品であって、
前記アーバのめねじに螺合される軸部と、
前記アーバへの締結側と反対側の端面における軸中心に形成された係合穴と、
前記軸部の軸中心に形成され、前記軸部の前記アーバへの締結側の端面で開口する第一流路と、
前記アーバへの締結側と反対側の端部における前記軸中心から離れた位置で開口する第三流路と、
前記第一流路と前記第三流路をつなぐ第二流路と、
を有し、
前記第三流路は前記第二流路より本数が多く、前記第二流路は前記第一流路より本数が多い、
締結部品。
【請求項5】
アーバに締結されて回転切削工具を前記アーバに固定する締結部品であって、
前記アーバのめねじに螺合される軸部と、
前記アーバへの締結側と反対側の端面における軸中心に形成された係合穴と、
前記軸部の軸中心に形成され、前記軸部の前記アーバへの締結側の端面で開口する第一流路と、
前記アーバへの締結側と反対側の端部における前記軸中心から離れた位置で開口する第三流路と、
前記第一流路と前記第三流路をつなぐ第二流路と、
を有し、
前記第二流路と前記第三流路の総本数が偶数である、
締結部品。
【請求項6】
アーバに締結されて回転切削工具を前記アーバに固定する締結部品であって、
前記アーバのめねじに螺合される軸部と、
前記アーバへの締結側と反対側の端面における軸中心に形成された係合穴と、
前記軸部の軸中心に形成され、前記軸部の前記アーバへの締結側の端面で開口する第一流路と、
前記アーバへの締結側と反対側の端部における前記軸中心から離れた位置で開口する第三流路と、
前記第一流路と前記第三流路をつなぐ第二流路と、
を有し、
前記第三流路は少なくとも第三主流路と第三副流路とに分かれており、
上面視において、前記第三主流路は、前記第二流路と直線状に配置され、前記第三副流路は、前記第二流路に対して斜めに配置されている、
締結部品。
【請求項7】
隣り合う前記第三副流路は、それぞれの延長線が互いに交差するように配置されている、
請求項6に記載の締結部品。
【請求項8】
アーバに締結されて回転切削工具を前記アーバに固定する締結部品であって、
前記アーバのめねじに螺合される軸部と、
前記アーバへの締結側と反対側の端面における軸中心に形成された係合穴と、
前記軸部の軸中心に形成され、前記軸部の前記アーバへの締結側の端面で開口する第一流路と、
前記アーバへの締結側と反対側の端部における前記軸中心から離れた位置で開口する第三流路と、
前記第一流路と前記第三流路をつなぐ第二流路と、
を有し、
前記第二流路は、少なくとも一部が湾曲形状である、
締結部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結部品に関する。
【背景技術】
【0002】
正面フライス、シェルエンドミル、ボーリングカッタ、サイドカッタ等の回転切削工具をアーバに固定する締結部品に流路を形成し、この流路を通して回転切削工具による切削箇所へクーラントを供給することが知られている(特許文献1~4参照)。
【0003】
例えば、特許文献1には、軸部の外周に端面で開口する溝を軸方向に延設したボルトが示されている。また、特許文献2には、1つの流路から複数の流路に分岐する構造が示されている。さらに、特許文献3には、締結部品の頭部に蓋を取り付けて、頭部に形成した溝を塞ぐことにより、1つの流路から複数に分岐した流路と連通する噴射通路を形成することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-237401号公報
【文献】特開2004-276136号公報
【文献】実開平2-4714号公報
【文献】特表2003-522038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2では、1つから5つに分岐した流路を有しているものの、切削箇所へ満遍なく流体(クーラント)を吹き付けるには不十分であり、しかも、分岐した流路を形成するために頭部が厚くなってしまう。また、特許文献3に記載の締結部品は、噴射通路を形成するための別部材である蓋が必要であり、構造の複雑化及び部品点数の増大を招いてしまう。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、構造の複雑化及び部品点数を抑えつつ、切削箇所へ良好に流体を吹き付けることが可能な締結部品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る固定部材は、アーバに締結されて回転切削工具をアーバに固定する締結部品であって、アーバのめねじに螺合される軸部と、アーバへの締結側と反対側の端面における軸中心に形成された係合穴と、軸部の軸中心に形成され、軸部のアーバへの締結側の端面で開口する第一流路と、アーバへの締結側と反対側の端部における軸中心から離れた位置で開口する第三流路と、第一流路と第三流路をつなぐ第二流路と、を有する構成とされている。
【0008】
上記構造の締結部品では、第一流路に供給された流体が第二流路を介して第三流路へ導かれ、この第三流路から切削箇所へ吐出される構造を有している。これにより、切削箇所へ良好に流体を吹き付けることができ、しかも、蓋などの別部材を備えたものや複雑な機械加工を施したものと比べて構造の複雑化及び部品点数を抑えることができる。また、第一流路は、軸部の軸中心に形成されているので、流路を形成することによる強度低下を抑えることができる。
【0009】
第二流路は、係合穴の最近傍位置に形成されていてもよい。
【0010】
第一流路は第二流路より大きな断面積を有し、第二流路は第三流路より大きな断面積を有していてもよい。
【0011】
第三流路は第二流路より本数が多く、第二流路は第一流路より本数が多い構成でもよい。
【0012】
第二流路と第三流路の総本数が偶数であってもよい。
【0013】
第三流路は少なくとも第三主流路と第三副流路とに分かれており、上面視において、第三主流路は、第二流路と直線状に配置され、第三副流路は、第二流路に対して斜めに配置されていてもよい。
【0014】
隣り合う第三副流路は、それぞれの延長線が互いに交差するように配置されていてもよい。
【0015】
第二流路は、少なくとも一部が湾曲形状であってもよい。
【0016】
第三流路は、アーバへの締結側と反対側の端部における側面で開口されていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、構造の複雑化及び部品点数を抑えつつ、切削箇所へ良好に流体を吹き付けることが可能な締結部品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本実施形態に係る締結部品が用いられる切削工具の斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る締結部品が用いられる切削工具の分解斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係る締結部品の斜視図である。
図4図4は、締結部品に形成された流路を説明する斜視図である。
図5図5は、締結部品に形成された流路を説明する平面図である。
図6図6は、締結部品に形成された流路を説明する側面図である。
図7図7は、締結部品から切削箇所への流体の吐出状況を説明するカッタ及び締結部品の断面図である。
図8図8は、図5の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る締結部品100は、アーバ10に締結され、アーバ10にカッタ(回転切削工具)20を固定する固定用のボルトである。本例では、カッタ20をアーバ10に固定する場合を例示するが、回転切削工具としては、正面フライスに限らず、シェルエンドミル、ボーリングカッタ、サイドカッタ等の回転切削工具であってもよい。
【0020】
アーバ10は、例えば、マシニングセンタ等の工作機械に装着されるもので、主に、シャンク部11と、フランジ部12と、ボス部13とを有している。
【0021】
シャンク部11は、先細り形状とされており、工作機械の主軸のテーパ穴(図示略)に挿入される。これにより、アーバ10が工作機械の主軸に固定される。
【0022】
フランジ部12は、シャンク部11に対して工作機械の主軸への取付側と反対側に設けられている。このフランジ部12は、V溝12aと、キー溝12bとを有している。V溝12aは、工作機械の自動工具交換装置のマガジン内への収納時や工具交換アームによる工具交換時に把持される溝部であり、フランジ部12の周方向にわたって形成されている。キー溝12bは、工作機械のキー(図示略)が係止される溝部であり、キーに係止されることにより、工作機械の主軸に対してアーバ10が周方向に固定される。
【0023】
ボス部13は、フランジ部12よりもシャンク部11と反対側に設けられている。ボス部13は、その先端に、取付軸13aと、キー13bとを有している。取付軸13aは、内周面にめねじ13cを有する円筒状に形成されている。キー13bは、取付軸13aの周囲における2箇所に形成されている。
【0024】
カッタ20は、主に、ワークに対して面加工を行う用途に用いられる回転切削工具であり、アーバ10のボス部13に装着される。カッタ20は、複数(本例では6つ)のチップ座21と、取付穴22とを有している。チップ座21は、外周方向へ突設されており、これらのチップ座21には、それぞれ切削チップ23が取り付けられる。取付穴22は、カッタ20の中心に形成されており、この取付穴22には、アーバ10のボス部13に設けられた取付軸13aが挿し込まれる。また、カッタ20は、アーバ10のボス部13への装着側に、ボス部13に設けられたキー13bが係合される2つのキー穴(図示略)を有している。
【0025】
締結部品100は、アーバ10のボス部13にカッタ20を装着した状態で、アーバ10のボス部13の取付軸13aのめねじに螺合されて締結される。これにより、カッタ20がアーバ10のボス部13に固定される。また、締結部品100は、アーバ10を通して供給される流体(クーラント)をカッタ20の切削チップ23による切削箇所へ吐出する流路を備えた固定用のボルトである。なお、切削箇所へ供給する流体としては、クーラントに限らず、各種の潤滑剤や冷却剤が使用可能であり、また、ミストや空気を供給してもよい。
【0026】
次に、締結部品100について説明する。
図3に示すように、締結部品100は、軸部30と、係合穴40とを有している。軸部30は、一方の端部に頭部31を有している。頭部31は、軸部30よりも大径の円板状に形成されている。
【0027】
締結部品100は、例えば、金属粉末を用いて造形物を3次元造形する金属粉末焼結3Dプリンターによって造形される。金属粉末焼結3Dプリンターによる造形方法としは、例えば、粉末床溶融結合(Powder bed fusion)、電子ビームを用いて粉末を溶融させる電子ビーム溶融法(EBM:Electron Beam Melting)、あるいはレーザ光を用いて粉末を溶融させるレーザ溶融法(SLM:Selective Laser Melting)などが挙げられる。
【0028】
軸部30は、アーバ10のボス部13の取付軸13aに螺合される部分であり、外周におねじが形成されている。
【0029】
係合穴40は、締結部品100のアーバ10への締結側と反対側の端面における軸中心に形成されている。係合穴40は、六角レンチ等の工具が挿し込み可能な穴であり、この係合穴40には、締結部品100のアーバ10への締結及び締結解除時に工具が挿し込まれる。そして、工具を回動させることにより、締結部品100の締結及び締結解除が行われる。なお、この係合穴40は、六角穴に限らず、トルクス(登録商標)穴などの各種の工具が挿し込める形状に変更可能な穴である。
【0030】
図4図6に示すように、締結部品100は、第一流路50と、第二流路60と、第三流路70と、を有している。
【0031】
第一流路50は、軸部30の軸中心AXに形成されている。この第一流路50は、アーバ10への締結側の端面で開口しており、この開口部分が流入口51とされている。
【0032】
第二流路60は、第一流路50よりも多い本数(本例では8本)形成されている。第二流路60は、それぞれ係合穴40の最近傍位置に形成されている。つまり、これらの第二流路60は、第一流路50及び第三流路70よりも係合穴40の近くを通る位置に形成されている。第二流路60は、軸部30における頭部31側の端部近傍の位置と頭部31の内径側の位置との間に形成されており、軸部30側の端部が第一流路50に連通されている。これらの第二流路60は、それぞれ湾曲形状に形成されており、その中間部分が係合穴40の近傍に通されている。これらの第二流路60は、軸部30の軸中心AX回りに放射状に形成されている。
【0033】
第三流路70は、第二流路60よりも多い本数(本例では、24本)形成されている。第三流路70は、それぞれ頭部31に形成されている。第三流路70は、一端が、第二流路60に連通されている。本例では、1本の第二流路60に対して、それぞれ3本の第三流路70が連通されている。また、第三流路70は、他端が、締結部品100のアーバ10への締結側と反対側の端部における側面である頭部31の外周面31aで開口されている。そして、この頭部31の外周面31aでの開口部分が吐出口71とされている。なお、本例では、第三流路70が頭部31の外周面31aで開口されているが、第三流路70は、締結部品100の軸中心から離れる方向に開口していればよく、例えば、締結部品100の端面(頭部31の上面)や締結部品100の端面と側面とが交差する稜線部分(頭部31の角部)で開口されていてもよい。
【0034】
このように、締結部品100では、第一流路50と第三流路70とが、第二流路60によって繋がれている。これにより、図7に示すように、アーバ10を通して第一流路50の流入口51から流入した流体は(図7中矢印A参照)、第一流路50を流れて第二流路60に分流し、さらに、第二流路60を流れて第三流路70に分流する。そして、流体は、各第三流路70を流れて吐出口71から頭部31の径方向外方へ吐出し、カッタ20の切削チップ23による切削箇所へ向かって吐出される(図7中矢印B参照)。
【0035】
ここで、第一流路50は第二流路60より大きな断面積を有し、第二流路60は第三流路70より大きな断面積を有している。つまり、第一流路50、第二流路60及び第三流路70の順に断面積が小さくなっている。したがって、第一流路50から第二流路60及び第三流路70へ順に流体が流れる際に、流体の圧力損失を抑え、切削箇所へ良好に吹き付けることができる。
【0036】
また、第二流路60と第三流路70とは、その総本数が偶数とされている。本例では、8本の第二流路60と24本の第三流路70とを有し、これらの総本数が32本とされている。そして、締結部品100において、これらの第二流路60及び第三流路70は、点対称位置に配置されており、これにより、締結部品100の重量バランス及び動バランスが良好に維持される。
【0037】
また、図8に示すように、各第二流路60に連通された3本の第三流路70は、1本の第三主流路73と、2本の第三副流路75とされている。そして、締結部品100の上面視において、第三主流路73は、第二流路60と直線状に配置され、第三副流路75は、第二流路60に対して斜めに配置されている。これにより、第三副流路75は、第二流路60との連通箇所から頭部31の外周面13aへ向かって第三主流路73から次第に離間する方向へ延在されている。
【0038】
これにより、第二流路60から第三主流路73に導かれる流体は、第二流路60の延長線上へ吐出され、第二流路60から第三副流路75に導かれる流体は、第二流路60に対して斜め方向へ吐出される。これにより、切削箇所へ流体を満遍なく吹き付けることができる。
【0039】
また、頭部31において、互いに隣り合う第三副流路75は、それぞれの延長線Lが互いに交差するように配置されている。したがって、隣り合う第三副流路75から吐出される流体同士がぶつかり合うことで流量が補われることにより、切削箇所へ十分な流体を吹き付けることができる。
【0040】
以上、説明したように、本実施形態に係る締結部品100によれば、第一流路50に供給された流体が第二流路60を介して第三流路70へ導かれ、この第三流路70から切削箇所へ吐出される構造を有している。これにより、切削箇所へ良好に流体を吹き付けることができ、しかも、蓋などの別部材を備えたものや複雑な機械加工を施したものと比べて構造の複雑化及び部品点数を抑えることができる。また、第一流路50は、軸部30の軸中心AXに形成されているので、流路を形成することによる強度低下を抑えることができる。
【0041】
また、係合穴40の最近傍位置に第二流路60を形成したことにより、係合穴40を避けて小型化を図りつつ第一流路50と第三流路70とを繋げることができる。
【0042】
しかも、第二流路60が湾曲形状であるので、第二流路60を流れる流体の流速損失を抑えつつ、第二流路60を係合穴40へ近付けて締結部品100のコンパクト化を図ることができる。
【0043】
また、第三流路70が第二流路60より本数が多く、第二流路60が第一流路50より本数が多いので、第三流路70から吐出される流体を切削箇所へ満遍なく吹き付けることができる。また、第二流路60よりも本数の多い第三流路70を形成することにより、第二流路60の本数を抑えることができ、係合穴40の周辺の強度低下を抑えつつ切削箇所へ良好に流体を吹き付けることができる。
【符号の説明】
【0044】
10 アーバ
13c めねじ
20 カッタ(回転切削工具)
30 軸部
40 係合穴
50 第一流路
60 第二流路
70 第三流路
73 第三主流路
75 第三副流路
100 締結部品
AX 軸中心
【要約】
【課題】構造の複雑化及び部品点数を抑えつつ、切削箇所へ良好に流体を吹き付けることが可能な締結部品を提供する。
【解決手段】アーバ10に締結されて回転切削工具であるカッタ20をアーバ10に固定する締結部品100であって、アーバ10のめねじ13cに螺合される軸部30と、アーバ10への締結側と反対側の端面における軸中心に形成された係合穴40と、軸部30の軸中心AXに形成され、軸部30のアーバ10への締結側の端面で開口する第一流路50と、アーバ10への締結側と反対側の端部における軸中心から離れた位置で開口する第三流路70と、第一流路50と第三流路70をつなぐ第二流路60と、を有する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8