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特許7483221筋電計用プローブ、プローブ用外部機器連結具、筋電計用プローブと外部機器連結具の接続構造体、バイオフィードバック装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】筋電計用プローブ、プローブ用外部機器連結具、筋電計用プローブと外部機器連結具の接続構造体、バイオフィードバック装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/296 20210101AFI20240508BHJP
   A61B 5/256 20210101ALI20240508BHJP
【FI】
A61B5/296
A61B5/256
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019199791
(22)【出願日】2019-11-01
(65)【公開番号】P2020075122
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2018210667
(32)【優先日】2018-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510097747
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立がん研究センター
(73)【特許権者】
【識別番号】592100441
【氏名又は名称】株式会社ソフケン
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】西澤 祐吏
(72)【発明者】
【氏名】駒村 武夫
(72)【発明者】
【氏名】駒村 賢三
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/051775(WO,A2)
【文献】特表2009-538176(JP,A)
【文献】国際公開第2017/070746(WO,A1)
【文献】特表平09-510902(JP,A)
【文献】国際公開第01/35823(WO,A1)
【文献】特開昭57-211341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/25-5/297
A61B 5/389-5/397
A61N 1/04-1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋電計用プローブにおいて、
体内の括約筋からの生体信号を感知できる感知部位に挿入される挿入部(2)と、
前記挿入部(2)が前記感知部位に挿入された状態で体外に突出する突出部(3)を備えており、
前記挿入部(2)と突出部(3)は連続して棒状又は筒状となっている一体型であり、
前記挿入部(2)の外周面に直に電極(6Xa、6Ya)が、突出部(3)の外周面に直に電極(6Xb、6Yb)が設けられており、
前記挿入部(2)の電極(6Xa、6Ya)と突出部(3)の電極(6Xb、6Yb)は導通可能に連結しており、
前記挿入部(2)の電極(6Xa、6Ya)は、体内の括約筋からの生体信号を感知できる感知電極であり、挿入部(2)を前記感知部位に挿入すると体内の括約筋からの生体信号を感知できるように挿入部(2)の外周面に露出しており、
前記突出部(3)側の電極(6Xb、6Yb)は、外部機器(7)と接続される外部機器連結具(8)を連結、取り外し可能な外部機器装着部であり、外部機器連結具(8)を装着すると外部機器連結具(8)の連結具電極(31)と電気的に導通可能となるように突出部(3)の外周面に露出している、
ことを特徴とする筋電計用プローブ。
【請求項2】
筋電計用プローブにおいて、
体内の括約筋からの生体信号を感知できる感知部位に挿入される挿入部(2)と、
前記挿入部(2)が前記感知部位に挿入された状態で体外に突出する突出部(3)を備えており、
前記挿入部(2)と突出部(3)は棒状又は筒状であり、互いに脱着可能な分離型であり、
前記挿入部(2)の外周面には、直に、電極(6Xa、6Ya)が設けられており、前記突出部(3)の外周面には、直に、電極(6Xb、6Yb)が設けられており、
前記挿入部(2)の電極(6Xa、6Ya)と突出部(3)の電極(6Xb、6Yb)は、挿入部(2)と突出部(3)の連結時に導通可能に連結しており、
前記挿入部(2)の電極(6Xa、6Ya)は、体内の括約筋からの生体信号を感知できる感知電極であり、挿入部(2)を前記感知部位に挿入すると体内の括約筋からの生体信号を感知できるように挿入部(2)の外周面に露出しており、
前記突出部(3)側の電極(6Xb、6Yb)は、外部機器(7)と接続される外部機器連結具(8)を連結、取り外し可能な外部機器装着部であり、外部機器連結具(8)を装着すると外部機器連結具(8)の連結具電極(43X、43Y)と電気的に導通可能となるように突出部(3)の外周面に露出している、
ことを特徴とする筋電計用プローブ。
【請求項3】
請求項1記載の筋電計用プローブにおいて、
挿入部(2)と突出部(3)の双方が使い捨て可能な材質製である、
ことを特徴とする筋電計用プローブ。
【請求項4】
請求項2記載の筋電計用プローブにおいて、
挿入部(2)が使い捨て可能な材質製である、
ことを特徴とする筋電計用プローブ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の筋電計用プローブにおいて、
挿入部(2)よりも突出部(3)側の外周に隔離シート(50)を脱着可能とすることができ、
隔離シート(50)は、体内の括約筋からの生体信号を感知できる部位に挿入された挿入部(2)を伝って突出部(3)側に流れる体液を受け止めて、突出部(3)への付着を防止できるものである、
ことを特徴とする筋電計用プローブ。
【請求項6】
請求項5記載の筋電計用プローブにおいて、
隔離シート(50)が使い捨て可能な材質製である、
ことを特徴とする筋電計用プローブ。
【請求項7】
筋電計用プローブ(1)と、筋電計用プローブ(1)で感知された、体内の括約筋からの生体信号を電気的に処理する外部機器(7)を電気的に接続する外部機器連結具(8)であって、
前記筋電計用プローブが、請求項1又は請求項3又は請求項5又は請求項6記載の筋電計用プローブであり、
前記外部機器連結具(8)は、前記筋電計用プローブ(1)の突出部の電極に、その電極の外側から直に脱着可能な連結具本体(25)と、連結具本体(25)に脱着可能な押込み具(26)と、外部機器(7)と接続されるリード線(9)を備えており、
前記連結具本体(25)には前記筋電計用プローブ(1)の突出部(3)を差し込み可能な嵌合孔(27)と、前記押込み具(26)を嵌合可能な嵌合凹部(28)があり、
前記嵌合凹部(28)は前記押込み具(26)を往復スライド可能に嵌合することができ、
前記嵌合孔(27)の内側には連結具電極(31)があり、その連結具電極(31)は前記連結具本体(25)の嵌合孔(27)に前記筋電計用プローブ(1)の突出部(3)を差し込むと、筋電計用プローブ(1)の突出部(3)の電極(6Xb、6Yb)と導通可能に接触でき、
前記押込み具(26)は前記嵌合凹部(28)に嵌合された状態で前記嵌合孔(27)側にスライドされると、前記嵌合孔(27)内の連結具電極(31)と前記筋電計用プローブ(1)の突出部(3)の電極(6Xb、6Yb)との導通可能な接触が確保される、
ことを特徴とするプローブ用外部機器連結具。
【請求項8】
筋電計用プローブ(1)と外部機器(7)とを電気的に接続する外部機器連結具(8)との接続構造であって、
筋電計用プローブ(1)は請求項1又は請求項3又は請求項5又は請求項6記載の筋電計用プローブであり、
外部機器連結具(8)は請求項7記載のプローブ用外部機器連結具であり、
前記外部機器連結具(8)の連結具本体(25)の嵌合孔(27)に、前記筋電計用プローブ(1)の突出部(3)が脱着可能に嵌合され、嵌合時に嵌合孔(27)内の連結具電極(31)と突出部(3)の電極(6Xb、6Yb)が導通可能に接触し、連結具本体(25)の嵌合凹部(28)に往復スライド可能に嵌合された押込み具(26)が前記嵌合孔(27)側にスライドされると、前記突出部(3)の電極(6Xb、6Yb)と嵌合孔(27)内の連結具電極(31)との導通可能な接触が確保される、
ことを特徴とする筋電計用プローブと外部機器連結具の接続構造
【請求項9】
バイオフィードバック装置であって、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の筋電計用プローブと、
前記筋電計用プローブ(1)の突出部(3)の電極(6X6Y)と電気的に導通可能に接続された外部機器連結具(8)と、
前記外部機器連結具(8)と電気的に接続される外部機器(7)を備え、
前記外部機器(7)は、前記筋電計用プローブ(1)の挿入部(2)の電極(6Xa、6Ya)で感知した体内の括約筋からの生体信号に基づいて知覚可能な情報を生成する信号処理部(D)を備えた、
ことを特徴とするバイオフィードバック装置。
【請求項10】
請求項9記載のバイオフィードバック装置において、
信号処理部(D)は、筋電計用プローブ(1)の突出部(3)の電極(6X6Y)で感知された体内の括約筋からの生体信号を増幅する増幅器(AMP1、AMP2)と、前記生体信号から不要信号を除去するフィルタ(F1、F2、F3、F4)を備えた、
ことを特徴とするバイオフィードバック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肛門に挿入して、外肛門括約筋の筋力計測に使用される筋電計用プローブと、プローブと外部機器を電気的に接続(連結)できるプローブ用外部機器連結具と、筋電計用プローブと外部機器連結具の接続構造と、プローブで感知された生体信号に基づいて知覚可能な情報を生成するバイオフィードバック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
筋電計は、外肛門括約筋から生ずる生体信号(電気信号)を感知して、外肛門括約筋の筋力、括約筋の変化を計測し、計測した生体信号を確認しながら、筋力強化、尿漏れや失禁などの治療・予防をする装置(計測器)である。生体信号の感知には肛門に差し込む筋電計用プローブが使用されている。筋電計用プローブ(以下「プローブ」という。)は市販されており、各種形状のものがある(非特許技術文献1~7)。
【0003】
先行技術文献のプローブの主なものは、図15のように、肛門に挿入する挿入部Aがあり、挿入部Aの軸Bの外周面対向箇所に二枚の電極Cがあり、挿入部Aを肛門内に挿入すると、二枚の電極Cが外肛門括約筋に接触して外肛門括約筋の生体信号を感知できるようにしてある。二枚の電極Cで感知された生体信号は筋電計の信号処理部Dに送られて、身体の表面任意箇所に付着した基準電極との電位差が計測されるようになっている。
【0004】
プローブは、肛門内に挿入するため、衛生面から、使い捨てが原則であるが、一個数千円と高価であること、図15に示すように筋電計の信号処理部Dから引き出されているリード線(ケーブル)EがプローブのハンドルF内に直付け(固定)されていることから、使い捨てにすると経費が嵩む。また、挿入部A、電極C、リード線Eのいずれも、繰り返し使用可能な機械的強度があるため使い捨てにするのはもったいない。このため、使用後に消毒、滅菌して使い回しているのが実情である。しかし、それは衛生上問題があり、挿入される人にも抵抗がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】http://www.medicalexpo.com/ja/prod/thought-technology/product-70321-739531.html
【文献】https://www.biostim.no/produkt/rektal-sensor-u-control-bekkenbunnopptrener/
【文献】http://www.medicalexpo.it/prod/beacmed/product-67740-600829.html
【文献】https://beckenboden-trainer.de/sonden/vaginalsonden/32/vaginalsonde-bei-inkontinenz.-beckenbodenmuskulatur
【文献】https://ja.aliexpress.com/store/product/Super-Slim-Vaginal-or-Anal-Probe-for-EMG-STIM-EMS-Biofeedback-EMG-TENS-PELVIC-FLOOR-EXERCISERS/234181_32414048195.html
【文献】https://www.advantagemedical.com/products/pathway-rectal-sensor-for-emg-and-e-stim/
【文献】https://medicalquip.com/product/rectal-sensor-with-stim/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、肛門に挿入される挿入部を、又は挿入部と、肛門に挿入されない突出部の双方を使い捨てにすることができるプローブと、プローブに接続できるプローブ用外部機器接続具(連結具)と、筋電計用プローブと外部機器連結具の接続構造と、バイオフィードバック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のプローブは、肛門に挿入可能な挿入部と、挿入部が肛門に挿入されても肛門の外に突出する突出部(非挿入部)を備えている。挿入部と突出部は連続する一体型又は脱着可能な分離型である。挿入部と突出部は共に電極を備えており、一体型の場合は挿入部の電極と突出部の電極が連続しており、分離型の場合は挿入部の電極と突出部の電極は、挿入部と突出部の装着時に導通可能に連結する。一体型の場合も、分離型の場合も、突出部の電極には連結具により外部機器(例えば、筋電計の信号処理部)が連結される。連結された外部機器には、挿入部の電極で感知された肛門内の生体信号が突出部の電極を通して流れる。分離型の場合は挿入部を突出部から分離して使い捨てにすることができ、一体型の場合は突出部から前記連結具を取り外して挿入部と突出部を一体のまま使い捨てにすることができる。
【0008】
一体型の場合は挿入部と突出部の双方を安価な材質製として、使い捨てにしても経済的負担が軽減されるようにするのが望ましい。分離型の場合は挿入部も突出部も使い捨てに適する材質製とすることができるが、挿入部だけを使い捨てに適する材質製とし、突出部は使い回し可能な強度の材質製とすることもできる。挿入部と突出部の脱着は簡易な操作(ワンタッチ操作)で脱着可能な構成或いは機構とするのが望ましい。
【0009】
分離型の場合も一体型の場合も、プローブに隔離シートを設けることができる。隔離シートは挿入部を肛門内に挿入すると臀部に宛がうことができ、肛門からの排出物や漏出物が挿入部を伝わって突出部に付着しないようにするものである。隔離シートは例えば円盤状とすることができる。隔離シートはプローブと一体とすることも別体とすることもできる。別体の場合は使用時にプローブに装着し、使用後はプローブと共に又はプローブを取り外して使い捨てにすることができる。
【0010】
本発明の包装プローブは、前記プローブを隔離シートと共に包装容器に包装し、包装容器の一部を開封し、包装容器内から隔離シートを取り出し、その隔離シートに包装容器内のプローブの挿入部を差し込んで隔離シートをプローブに取り付け、その挿入部を肛門に挿入可能としたものである。
【0011】
本発明のプローブ用外部機器連結具は、前記プローブに、外部機器(例えば、筋電計)を電気的に接続するための機器であり、プローブの突出部に簡易な操作で脱着可能なものである。
【0012】
本発明のバイオフィードバック装置は、プローブの電極で感知された生体信号が、連結具(コネクタ)を通して筋電計やその他の外部機器に送られ、外部機器において知覚可能な情報に変換されて、例えば、モニター画面に画像が表示され、その画像を見ながらバイオフィードバック評価、治療に利用可能としてある。
【発明の効果】
【0013】
本発明のプローブは次のような効果がある。
1.分離型の場合は、挿入部を突出部から分離して使い捨てにすることができるので衛生的である。突出部は使い回しにすることができるので経済的負担が少ない。
2.一体型の場合は、挿入部のみならず突出部をも使い捨てにすることができるので衛生的である。
3.突出部に外部機器を連結具で連結した場合は、一体型の場合も分離型の場合も、使用後にプローブを連結具から外して使い捨てにすることができるので衛生的である。
4.プローブに隔離シートを取り付けた場合は、肛門からの漏出物が挿入部から突出部に伝わるのを防止できるので、突出部の汚れを防止でき、衛生的である。
5.隔離シートを使い捨てにすれば、より一層、衛生的になる。
【0014】
本発明の包装プローブは、包装容器の開封部から突出するプローブの挿入部に隔離シートを取り付け、包装容器を手に持って挿入部を肛門に挿入できる。使用後は肛門から抜き出した挿入部を、挿入時に取り出した包装容器に収容して廃棄処分(使い捨て)できるので、挿入前も使用後も挿入部に手が触れることがなく、衛生的である。
【0015】
本発明のプローブ用外部機器連結具は、プローブに外部機器を簡易な操作で脱着可能であるため、プローブの使用後にプローブから取り外して、プローブだけを使い捨てにすることができる。
【0016】
本発明のバイオフィードバック装置は、プローブの電極で感知された生体信号に基づいて知覚可能な情報を生成するので、その情報をモニター画面に表示できる画像にすれば、その画像を医師と患者が見ながら、バイオフィードバック評価、治療に有効活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は本発明のプローブの一例の斜視図、(b)はプローブの挿入部に隔離シートを装着した状態の斜視図。
図2】本発明のプローブを肛門に挿入して、隔離シートを臀部に宛がった状態の説明図。
図3】(a)~(d)は、本発明のプローブの突出部に筋電計を連結具で連結する場合の説明図。
図4】本発明のプローブに連結する連結具がクリップの場合の説明図。
図5】本発明のプローブと連結具の他例の説明図。
図6図5のプローブと連結具の取り付け説明図。
図7】規制突起を備えた連結具の一例を示す説明図。
図8】(a)は図5の連結具の平面図、(b)は図5の連結具にプローブを取り付けた場合の側面説明図、(c)は図5の拡張腕子の正面図、(d)は隔離シートの平面図。
図9】(a)は本発明のプローブ及び隔離シートを袋に包装した包装プローブの説明図、(b)は(a)の袋の上半部を開封した状態の説明図。
図10】(a)は本発明のプローブの他例の斜視図、(b)は(a)の挿入部と連結具の連結説明図。
図11】(a)はプローブを複数部材で構成する場合の一例を示す斜視図、(b)は(a)の異なる角度の斜視図。
図12図11(a)(b)のプローブを結合した状態を示す斜視図。
図13】筋電計の信号処理部のブロック説明図。
図14】(a)は本発明のバイオフィードバック装置の概要図、(b)はバイオフィードバック装置を使用した評価、治療の説明図。
図15】従来のプローブの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[一体型プローブの実施例1]
本発明の一例として図1(a)に示すプローブ1は、肛門に挿入する挿入部2と、挿入部2が肛門に挿入されても肛門の外に突出している突出部3が連続する一体型である。
【0019】
図1(a)のプローブ1は棒状又は筒状の一本の基体4の先端側を挿入部2、後端側を突出部3としてある。挿入部2は既存のプローブの挿入部と同様に、先端に膨出部5がある。膨出部5は先細りにして肛門に差し込み易くし、基体4よりも太くして、肛門から抜けにくくしてある。挿入部2の長さ、径、形状等は任意に設計可能であるが、既存のプローブと同じものであってもよい。突出部3の長さ、径、形状等も任意に設計可能であるが、少なくとも、挿入部2を肛門に挿入しても肛門の外に突出する長さにしてある。突出部3は軸径を挿入部2の軸径よりも太くして肛門に挿入されにくくすることもできる。図1(a)のプローブ1は挿入部2も突出部3も使い捨てにする一体型であるため、両者を使い捨てに適する安価な材質製、例えば、樹脂製、ゴム製、紙製等とする。
【0020】
[電極]
図1(a)の基体4の周方向対向箇所(二箇所)には電極6(以下、一方を「電極6X」、他方を「電極6Y」という。)がある。二枚の電極6X、6Yは導電性の金属薄板、金属フィルム、金属薄膜等であり、挿入部2を肛門に挿入すると肛門内の筋肉、例えば、外肛門括約筋に接触して、筋肉の生体信号を感知するものである。電極6X、6Yが金属薄板や金属フィルムの場合は基体4の外周面に固定することができる。固定手段は任意の方法でよい。薄膜の場合は基体4の外周面に貼り付け、吹き付け、コーティング等の手段で成膜することができる。二枚の電極6X、6Yの夫々は、挿入部2から突出部3まで連続する一枚ものであり、肛門内に挿入すると肛門内の筋肉に接触する長さ、広さにしてある。これら電極6X、6Yのうち突出部3の電極6b(以下、一方を「電極6Xb」、他方を「電極6Yb」という。)には外部機器、例えば筋電計7と接続する外部機器連結具(例えば、コネクタやクリップ等)8を接続できるようにしてある。外部機器連結具8はリード線9(以下、一方を「リード線9X」、他方を「リード線9Y」という。)で外部機器7の信号処理部10と電気的に接続されている。信号処理部10は肛門内に挿入した挿入部2の電極6X、6Yで感知した生体信号を処理するものである。
【0021】
[プローブ用外部機器連結具の実施例1]
本発明のプローブ1の突出部3と信号処理部10を接続する外部機器連結具(以下「連結具」又は「コネクタ」という。)8としては各種構造(機構)のものが考えられるが、一例として図3(a)~(d)に示す連結具8は雄連結具(雄コネクタ)11と雌連結具(雌コネクタ)12が脱着可能なものである。雄連結具11は二本の雄電極13(以下、一方を「雄電極13X」、他方を「雄電極13Y」という。)を備えており、雌連結具12は雄電極13X、13Yを差込み可能な二本の差込み孔14(以下、一方を「差込み孔14X」、他方を「差込み孔14Y」という。)を備えている。二本の雄電極13X、13Yは長手方向に平行であり、二本の差込み孔14X、14Yは入口側が平行であり、奥の方が互いに接近するようにしてある。この構造とすることにより、二本の雄電極13X、13Yを二本の差込み孔14X、14Y内に差し込むと、両雄電極13X、13Yが接近して突出部3の電極6Xb、6Ybに圧接して、プローブ1の電極6X(6Xb)、6Y(6Yb)-雄電極13X、13Y-リード線9X、9Y-信号処理部10と導通可能となって、挿入部2の電極6a(以下、一方を「電極6Xa」、他方を「電極6Ya」という。)で感知した生体信号が信号処理部10に送られるようにしてある。図3の雄連結具11、雌連結具12の内面には突起15があり、雄連結具11と雌連結具12が図3(c)のように突出部3の外周面に突き当たると、突起15が突出部3の外周面にある凹部16(図3(b)(d))内に差し込まれて、雄連結具11と雌連結具12が突出部3の軸廻り方向に回転しないようにしてある。
【0022】
[プローブ用外部機器連結具の実施例2]
プローブ1の突出部3と信号処理部10を接続する連結具8の他例を図4に示す。この連結具8はクリップである。クリップは汎用の洗濯バサミのように開閉操作できるものであり、先端部内面に挟着電極17(以下、一方を「挟着電極17X」、他方を「挟着電極17Y」という。)がある。この挟着電極17X、17Yで突出部3の電極6Xb、6Ybを挟着保持して、挿入部2の電極6Xa、6Ya-挟着電極17X、17Y-リード線9X、9Y-信号処理部10と導通可能となる。二つの操作部18X、18Yを矢印a方向に接近させると、先端側が矢印b方向に開いて前記挟着が開放されるようにしてある。
【0023】
[一体型プローブの実施例2]
本発明のプローブ1の他例として図5に示すものも、挿入部2と突出部3が連続している一体型である。このプローブ1も基体4の外周面の対向位置に二箇所に電極6X、6Yがある。電極6X、6Yの上部には二つの電極突起20(以下、一方を「電極突起20X」、他方を「電極突起20Y」という。)が突設されている。基体4の上端部は割溝21により二つに分割されて左右に開閉可能である。割溝21の下には上溝22と下溝23が基体4を横に貫通して開口されている。基体4の外周面には回転止め突起24が突設されている。
【0024】
図5のプローブ1に連結する連結具8は、図5図6に示すように、連結具本体25と拡張腕子26を備える。連結具本体25は横長楕円形の肉厚板状であり、その横方向中央部に上下に貫通している嵌合孔27があり、その先に横長の嵌合凹部28がある。嵌合凹部28の内側(左端)は嵌合孔27に連通し、先端側(右端)が連結具本体25の先端に開口しており、厚さ方向中央部に嵌合板29がある。嵌合板29の先端には抜け落ち防止突起30が上向きに突設されている。嵌合孔27の内周面対向位置の二箇所に電極突起31(以下、一方を「電極突起31X」、他方を「電極突起31Y」という。)がある。電極突起31X、31Yには外部機器のリード線9X、9Yが直付けされており、リード線9X、9Yは連結具本体25の後端から引き出されている。嵌合孔27の内周面には凹陥状の回転止め部32(図6)もある。回転止め部32は凸形状としてもよい。
【0025】
なお、プローブ1を嵌合孔27に間違った向きで差し込むのを防止するため、図7に示すように、嵌合孔27の内周面の一方の開口寄りの位置に規制突起27aを設けることができる。規制突起27aを設けた場合、プローブ1を一方側から差し込むことはできるが、他方側からは差し込むことができなくなる。これにより、プローブ1を嵌合孔27に間違った向きで差し込むのを防止することができる。プローブ1を正しい向きで差し込んだ際には、その先端が規制突起27aに突き当たることで、プローブ1の上溝22が所定位置に位置合わせされる。
【0026】
図5の拡張腕子26は上板33と下板34の間に嵌合溝35があり、嵌合溝35の左端部が開口して側面視横長U字状である。上板33の先端から先方には押込み突起36が突出しており、上板33の先端から下方にはストッパー37が下向きに突出している。この拡張腕子26は図6の矢印a-b方向に往復スライド可能であり、矢印a方向に押し込むと嵌合溝35が嵌合凹部28の嵌合板29に被さる。図6のように拡張腕子26を矢印b方向に引くと、ストッパー37が抜け落ち防止突起30に係止して、拡張腕子26が嵌合凹部28から抜け落ちないようになる。
【0027】
[プローブ部用外部機器連結具の実施例3]
図5の突出部3と連結具8は次のようにして連結される。図8(a)(b)のように連結具本体25の嵌合孔27内にプローブ1の突出部3を縦向きに差し込む。このとき、嵌合孔27の内周面の回転止め部32(図6)に、プローブ1の基体4の外周面の回転止め突起24(図6)が嵌合してプローブ1の空転が防止される。この状態で、連結具本体25の嵌合凹部28に拡張腕子26を押し込んで、プローブ1の基体4の周面の上溝22(図6)に拡張腕子26の押込み突起36を図8(a)のように差し込む。これにより、二つ割りに分割されている基体4の上端部が左右に押し広げられて、プローブ1の電極6X、6Yの電極突起20X、20Yが嵌合孔27の電極突起31X、31Yに押し付けられて接触する。このとき、図8(b)のように拡張腕子26の下板34が基体4の下溝23に差し込まれて、プローブ1の電極6X、6Yの電極突起20X、20Yと嵌合孔27の電極突起31X、31Yとの接触が確保される。このように連結することにより、プローブ1の電極6X、6Yの電極突起20X、20Y-嵌合孔27の電極突起31X、31Y-リード線9X、9Y-信号処理部10と導通可能となって、プローブ1の電極6X、6Yで感知された生体信号が信号処理部10に送られるようになる。
【0028】
[分離型プローブの実施例]
本発明のプローブ1の他例を図10(a)(b)に示す。このプローブ1は棒状又は筒状の基体4の長手方向任意箇所で挿入部2と突出部3を分離可能とした分離型である。挿入部2と突出部3の基本的形状は図1(a)の挿入部2、突出部3と同じである。挿入部2と突出部3の脱着構造(脱着機構)は、挿入部2に手を触れることなくワンタッチ操作で突出部3を挿入部2から分離できるものが望ましい。一例として図10(b)に示すものは突出部3の長手方向一端に細径部40があり、その細径部40を挿入部2の内孔41内に圧入連結できるようにしてある。挿入部2と突出部3が連結されると挿入部2の電極6Xa、6Yaと突出部3の電極6Xb、6Ybが互いに導通可能となる。
【0029】
図10(a)のプローブ1の突出部3の外周には連結具(コネクタ)8を嵌合、離脱可能である。図10(a)の連結具8は突出部3の外周に被せることのできるリング状であり、図10(b)に示すように下方に向けて細くなるテーパの内孔42を備え、内孔42の内面対向箇所に電極(連結具電極)43がある。
【0030】
[突出部への連結具の連結]
図10(a)(b)の連結具8の内孔42を突出部3の外周に嵌合すると、連結具8が突出部3に連結され、連結具電極43X、43Yがそれぞれ突出部3の電極6Xb、6Ybと電気的に導通可能となり、挿入部2の電極6Xa、6Ya-突出部3の電極6Xb、6Yb-連結具電極43X、43Y-リード線9X、9Y-信号処理部10と導通可能となり、挿入部2の電極6Xa、6Yaで感知した生体信号が信号処理部10に送られるようになる。
【0031】
図10(a)(b)では連結具8をプローブ1の突出部3に連結することにより、外部機器7と電気的に接続されるようにしてあるが、可能であれば、連結具8を省略し、リード線9X、9Yをプローブ1の突出部3の電極6Xb、6Ybに直付けしておくこともできる。この場合は、リード線9X、9Yが連結された突出部3を使い回しにして、挿入部2だけを使い捨てにすることができる。
【0032】
[プローブの他の実施例]
前記一体型プローブや分離型プローブは、生産性の観点から、図11(a)(b)に示すような複数部材で構成することができる。図11(a)(b)に示すプローブ1は、基体4と膨出部5を備えた本体部45と、本体部45に装着する二つの装着具46(以下、一方を「装着具46X」、他方を「装着具46Y」という。)を備えている。
【0033】
前記本体部45の基体4の外周には、縦長の嵌合溝45Xa、45Yaが対向する位置に二本設けられている。両嵌合溝45Xa、45Yaの間の中間部45bには、基体4の長手方向に間隔をあけて二つの結合部嵌合穴45c(図11(b))が設けられている。
【0034】
前記各装着具46X、46Yは、半円柱状の頭部46Xa、46Yaと頭部46Xa、46Yaから図中下向きに突設された軸状部46Xb、46Ybを備えている。頭部46Xa、46Yaのうち、他方の装着具46X、46Yと対向する側の面には横長方形状の凹陥部46Xc、46Ycが設けられている。各凹陥部46Xc、46Ycの上側には上窪み部46Xf、46Yfが、下側には下窪み部46Xg、46Ygが設けられている。頭部46Xa、46Yaの円弧状の面には、縦向きに電極配置部46Xd、46Ydが設けられている。
【0035】
前記軸状部46Xb、46Ybは本体部45の嵌合溝45Xa、45Yaに嵌合する棒状の部分であり、他方の装着具46X、46Yと対向する側の面には、他方の装着具46X、46Yと結合する結合部46Xe、46Yeが軸状部46Xb、46Ybの長手方向に間隔をあけて二つ突設されている。二つの結合部46Xe、46Yeの間隔は、本体部45の結合部嵌合穴45cと同じ間隔としてある。
【0036】
図11(a)(b)に示す例では、二つの装着具46X、46Yの形状を同一形状としてある。同一形状とすることで、一つの成形型で両装着具46X、46Yを製造できるため、製造コストを抑えることができる。図11(a)(b)の例では、結合部46Xe、46Yeを軸状部46Xb、46Ybの幅方向(短手方向)の半分よりも右側に寄せた位置に設けることによって、二つの装着具46X、46Yを対向させたときに、両結合部46Xe、46Yeの対向する内面同士が結合するようにしてある。
【0037】
前記軸状部46Xb、46Ybの外側には、断面視コ字状の電極6X、6Yが嵌合して保持されている。電極6X、6Yは軸状部46Xb、46Ybの下端側(頭部46Xa、46Yaとは反対側の端部)からスライドすることによって、軸状部46Xb、46Ybの外側に被せされるようにしてある。電極6X、6Yは、装着具46X、46Yを本体部45に装着したときに、外部に露出するようにしてある。
【0038】
本体部45と二つの装着具46X、46Yは、本体部45のそれぞれの嵌合溝45Xa、45Yaに装着具46X、46Yの軸状部46Xb、46Ybを嵌合し、両軸状部46Xb、46Ybに設けられた結合部46Xe、46Ye同士が結合部嵌合穴45cで結合することで図12のように一体になる。このとき、結合された装着具46X、46Yのうち凹陥部46Xc、46Yc同士が対向する位置には上溝22が、上窪み部46Xf、46Yf同士が対向する位置には上嵌合溝22aが、下窪み部46Xg、46Yg同士が対向する位置には下嵌合溝22bが形成される。上溝22は拡張腕子26の押込み突起36が嵌合する部分、上嵌合溝22a及び下嵌合溝22bは、回転止め部32(図5参照)を凸形状とした場合に当該回転止め部32が嵌合する部分である。凸形状の回転止め部32が上嵌合溝22aや下嵌合溝22bに嵌合することでプローブ1の空転が防止される。
【0039】
なお、図11(a)(b)の例では、電極6X、6Yが断面視コ字状の場合を一例としているが、軸状部46Xb、46Ybの外側に金属箔などの導電性フィルムを貼り付けるなどして電極6X、6Yとすることもできる。また、図11(a)(b)の例では、装着具46X、46Y同士が結合されることによって両装着具46X、46Yを本体部45に固定する場合を一例としているが、両装着具46X、46Yを個別に本体部45に固定する構成とすることもできる。また、図11(a)(b)の例では、本体部45が一つの部材で構成され、装着具46X、46Yが二つの部材で構成された場合を一例としているが、本体部45を二つ以上の部材で構成し、装着具46を一つあるいは三つ以上の部材で構成することもできる。
【0040】
[隔離シート]
本発明のプローブ1の基体4には、図1(b)、図5図6図8(b)、図9(a)(b)、図10(a)のように隔離シート50を取り付けることができる。一例として図5などに示す隔離シート50は円盤状であり、中心部に設けられた孔51内に基体4を差込み可能としてある。隔離シート50は円盤状以外であってもよい。隔離シート50は基体4の軸方向に位置ずれしたり基体4から抜け落ちたりしないように、任意の手段、例えば、接着テープや粘着剤等で基体4に固定するのが望ましい。隔離シート50は基体4の周囲外側に装着して連結具本体25と挿入部2とを隔離するシートであり、図2のように、挿入部2を肛門内に挿入すると、肛門の外側臀部に宛がうことができ、肛門から排出や漏出されて、挿入部2を伝って流れる体液(漏出物)を受け止めて、突出部3への付着を防止できるようにしてある。隔離シート50は臀部に宛がいやすい軟質な素材製のものとするのが好ましい。
【0041】
隔離シート50はプローブ1と別体にして、プローブ1の基体4に取り付け取り外し可能としてあるが、可能であれば基体4と一体とすることもできる。隔離シート50も使い捨て可能な安価な材質製であり、防水性のあるものが望ましい。
【0042】
[包装プローブ]
前記したプローブ1と隔離シート50は図9(a)(b)のように包装容器、例えば、包装袋52内に収容して包装しておくこともできる。図9(a)(b)の包装袋52は手又は鋏で開封できる材質製である。このプローブ1と隔離シート50を使用するには、図9(b)のように包装袋52の上部を切断して隔離シート50を取り出し、包装袋52に入れたままのプローブ1を隔離シート50の孔51に押し込んで、プローブ1に隔離シート50を取り付ける。次に、包装袋52に入れたままのプローブ1の突出部3に連結具8を(図5)を図8(b)のようにセットする。この場合、プローブ1の挿入部2に手を触れることなく、隔離シート50及び連結具8の取り付けができる。使用後は、プローブ1の突出部3から連結具8を外し、肛門から抜き取ったプローブ1を、挿入部2を下にして包装袋52内に戻し、挿入部2を包装袋52ごと廃棄処分(使い捨て)にする。包装容器は包装袋以外のものであってもよいが、使い捨てに適する材質、例えば、紙製、樹脂フィルム製等が望ましい。
【0043】
[信号処理部]
一体型の場合も、分離型の場合も、挿入部2の電極6Xa、6Yaで感知される生体信号は微弱であり、そのままでは、筋電計で処理困難である。生体信号を前記信号処理部10で増幅し、不要信号(主としてノイズ)を除去することにより、生体信号を抽出することができる。信号処理部10では抽出された生体信号と、身体表面の他の箇所、例えば、腹部表面に貼りつけた基準電極O(図13)との電位差を計測するようになっている。
【0044】
本発明のプローブ1と接続される外部機器7の一例は筋電計である。筋電計の信号処理部10の一例を図13に示す。図13の信号処理部10は汎用の筋電計の信号処理部と同じものである。プローブ1の二つの電極6X、6Yの夫々に接続されるハイパスフィルター(F1、F2)、夫々のフィルター(F1、F2)からの信号を増幅する増幅器(AMP1、AMP2)、両増幅器からの信号の差を取って増幅する差動増幅器(AMP3)、差動増幅器からの信号の特定周波数の信号は通さず、それ以外の周波数の信号を通すノッチフィルター(F3)、ノッチフィルター(F3)からの信号の低周波信号を通すローパスフィルター(F4)、アナログ/デジタルコンバーター(ADC)を備えている。
【0045】
本発明のバイオフィードバック装置は、図14(a)に示すように、プローブ1の電極と、身体表面の任意箇所に取り付けた基準電極(筋電計電極)Oを信号処理部10に接続し、信号処理部10をモニター60に接続してある。モニター60には信号処理部10で処理された生体信号に基づく画像が表示される。この画像信号と同じ画像信号を無線或いは有線で大型の補助モニター61に送信して画像を表示し、この画像を図14(b)のように医師と患者が確認しながら(見ながら)、バイオフィードバック評価、治療に利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
前記実施形態は本発明の一例であり、これに限定されるものではない。特に、分離型プローブの場合の挿入部2と突出部3の脱着構造、プローブ1の突出部3と信号処理部10を接続する連結具8の構造(機構)、形状、突出部3と連結具8の連結構造等は本発明の課題を達成可能な範囲で、他の構成(機構)とすることができる。また、図示したプローブ1は外肛門括約筋以外の生体信号の感知に使用することもできる。生体信号の感知のみならず、肛門内の各種筋肉への電気的刺激に使用することもできる。この場合は外部機器として、刺激信号を発生可能な機器を使用する。
【符号の説明】
【0047】
1 プローブ
2 挿入部
3 突出部
4 基体
5 膨出部
6、6X、6Y 電極
6a、6Xa、6Ya (挿入部の)電極
6b、6Xb、6Yb (突出部の)電極
7 外部機器(筋電計)
8 連結具
9、9X、9Y リード線
10 信号処理部
11 雄連結具
12 雌連結具
13、13X、13Y 雄電極
14、14X、14Y 差込み孔
15 突起
16 凹部
17、17X、17Y 挟着電極
18、18X、18Y 操作部
20、20X、20Y 電極突起
21 割溝
22 上溝
22a 上嵌合溝
22b 下嵌合溝
23 下溝
24 回転止め突起
25 連結具本体
26 拡張腕子(押込み具)
27 嵌合孔
27a 規制突起
28 嵌合凹部
29 嵌合板
30 抜け落ち防止突起
31、31X、31Y 電極突起(連結具電極)
32 回転止め部
33 上板
34 下板
35 嵌合溝
36 押込み突起
37 ストッパー
40 細径部
41 (挿入部の)内孔
42 (連結具の)内孔
43X、43Y 電極(連結具電極)
45 本体部
45Xa、45Ya 嵌合溝
45b 中間部
45c 結合部嵌合穴
46、46X、46Y 装着具
46Xa、46Ya 頭部
46Xb、46Yb 軸状部
46Xc、46Yc 凹陥部
46Xd、46Yd 電極配置部
46Xe、46Ye 結合部
46Xf、46Yf 上窪み部
46Xg、46Yg 下窪み部
50 隔離シート
51 (隔離シートの)孔
52 包装袋
60 モニター
61 補助モニター
A 挿入部
B 軸
C 電極
D 信号処理部
E リード線(ケーブル)
F ハンドル
O 基準電極
ADC アナログ/デジタルコンバーター
AMP1、AMP2 増幅器
AMP3 作動増幅器
F1、F2 ハイパスフィルター
F3 ノッチフィルター
F4 ローパスフィルター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15