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特許7483232情報処理装置、検出方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、検出方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20240508BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20240508BHJP
   G06T 7/73 20170101ALI20240508BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
G01C15/00 104Z
G01B11/00 H
G06T7/73
E04G21/12 105Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020207222
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2022094386
(43)【公開日】2022-06-27
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】598121341
【氏名又は名称】慶應義塾
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】戸倉 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】春山 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】大田 航起
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-139713(JP,A)
【文献】特開2006-038669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01C 15/00-15/14
G06T 7/00-7/90
E04G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元点群データのうちの任意の3つの点を用いて形成された面に対する法線ベクトルを用いて、ガウス球を生成する生成部と、
前記生成部が生成したガウス球の大円に応じた領域に存在する点の数をカウントする第1のカウント部と、
前記第1のカウント部がカウントした点の数が最大となる前記法線ベクトルの角度を算出する角度算出部と、
前記角度算出部が算出した角度に応じた方向に前記三次元点群データを射影して二次元散布データを作成する二次元散布データ作成部と、
前記二次元散布データ作成部が作成した二次元散布データにおける任意の点を中心とした所定の半径の円に含まれる点の数をカウントする第2のカウント部と、
前記第2のカウント部がカウントした点の数に基づいて、検出対象物である鉄筋の配置を検出する検出部とを有する情報処理装置。
【請求項2】
前記角度算出部が算出した角度に応じた、前記三次元点群データのうちの2つの点を結ぶ直線から所定の距離範囲に存在する点の数をカウントする第3のカウント部を有し、
前記検出部は、前記第3のカウント部がカウントした点の数に基づいて、前記鉄筋を検出する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記検出した鉄筋に対して主成分分析を行い、該主成分分析の結果、前記点の分散が最大となる方向を、該鉄筋の長さ方向として検出する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記検出部が検出した前記長さ方向と垂直となる平面における点に基づいて、円の近似を行い、該近似を行った円の半径を前記検出した鉄筋の半径として算出する半径算出部を有する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記半径算出部は、前記円を近似したときに用いた点の、該円の中心からの距離が、前記円の中心から点群それぞれまでの距離の平均値から該平均値に標準偏差を加算した値までの範囲に存在する点から近似された円を選択し、該選択した円の半径の平均値を前記検出した鉄筋の半径として算出する請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記半径算出部は、さらに前記円の中心から該円の近似に用いたすべての点までの距離の標準偏差を前記平均値で除算した値が所定の閾値以下である点から近似された円を選択する請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記半径算出部は、前記長さ方向として検出された主成分方向の中心と前記点との間の距離の平均値を2倍して呼び径を算出する請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記半径算出部は、前記平面において最小二乗法を用いて、前記円の近似を行う請求項4から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記検出部が検出する鉄筋の形状は、直線状である請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
三次元点群データのうちの任意の3つの点を用いて形成された面に対する法線ベクトルを用いて、ガウス球を生成する処理と、
前記生成したガウス球の大円に応じた領域に存在する点の数をカウントする第1のカウント処理と、
前記第1のカウント処理でカウントした点の数が最大となる前記法線ベクトルの角度を算出する処理と、
前記算出した角度に応じた方向に前記三次元点群データを射影して二次元散布データを作成する処理と、
前記作成した二次元散布データにおける任意の点を中心とした所定の半径の円に含まれる点の数をカウントする第2のカウント処理と、
前記第2のカウント処理でカウントした点の数に基づいて、検出対象物である鉄筋の配置を検出する処理とを行う検出方法。
【請求項11】
コンピュータに、
三次元点群データのうちの任意の3つの点を用いて形成された面に対する法線ベクトルを用いて、ガウス球を生成する手順と、
前記生成したガウス球の大円に応じた領域に存在する点の数をカウントする第1のカウント手順と、
前記第1のカウント手順でカウントした点の数が最大となる前記法線ベクトルの角度を算出する手順と、
前記算出した角度に応じた方向に前記三次元点群データを射影して二次元散布データを作成する手順と、
前記作成した二次元散布データにおける任意の点を中心とした所定の半径の円に含まれる点の数をカウントする第2のカウント手順と、
前記第2のカウント手順でカウントした点の数に基づいて、検出対象物である鉄筋の配置を検出する手順とを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、検出方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、構造物に対して、レーザスキャナ等を用いて出射した光線を三次元センサが受信することで、構造物内部の鉄筋を検査する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-188797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような三次元計測を用いた技術においては、計測に必要な機材の確保や計測作業自体について、膨大なコストや時間、手間がかかってしまうという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、検出対象物である鉄筋の配置を容易に検出することができる情報処理装置、検出方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、
三次元点群データのうちの任意の3つの点を用いて形成された面に対する法線ベクトルを用いて、ガウス球を生成する生成部と、
前記生成部が生成したガウス球の大円に応じた領域に存在する点の数をカウントする第1のカウント部と、
前記第1のカウント部がカウントした点の数が最大となる前記法線ベクトルの角度を算出する角度算出部と、
前記角度算出部が算出した角度に応じた方向に前記三次元点群データを射影して二次元散布データを作成する二次元散布データ作成部と、
前記二次元散布データ作成部が作成した二次元散布データにおける任意の点を中心とした所定の半径の円に含まれる点の数をカウントする第2のカウント部と、
前記第2のカウント部がカウントした点の数に基づいて、検出対象物である鉄筋の配置を検出する検出部とを有する。
【0007】
また、本発明の検出方法は、
三次元点群データのうちの任意の3つの点を用いて形成された面に対する法線ベクトルを用いて、ガウス球を生成する処理と、
前記生成したガウス球の大円に応じた領域に存在する点の数をカウントする第1のカウント処理と、
前記第1のカウント処理でカウントした点の数が最大となる前記法線ベクトルの角度を算出する処理と、
前記算出した角度に応じた方向に前記三次元点群データを射影して二次元散布データを作成する処理と、
前記作成した二次元散布データにおける任意の点を中心とした所定の半径の円に含まれる点の数をカウントする第2のカウント処理と、
前記第2のカウント処理でカウントした点の数に基づいて、検出対象物である鉄筋の配置を検出する処理とを行う。
【0008】
また、本発明のプログラムは、
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
コンピュータに、
三次元点群データのうちの任意の3つの点を用いて形成された面に対する法線ベクトルを用いて、ガウス球を生成する手順と、
前記生成したガウス球の大円に応じた領域に存在する点の数をカウントする第1のカウント手順と、
前記第1のカウント手順でカウントした点の数が最大となる前記法線ベクトルの角度を算出する手順と、
前記算出した角度に応じた方向に前記三次元点群データを射影して二次元散布データを作成する手順と、
前記作成した二次元散布データにおける任意の点を中心とした所定の半径の円に含まれる点の数をカウントする第2のカウント手順と、
前記第2のカウント手順でカウントした点の数に基づいて、検出対象物である鉄筋の配置を検出する手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、検出対象物である鉄筋の配置を容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の情報処理装置の第1の実施の形態を示す図である。
図2図1に示した生成部が生成したガウス球の一例を示す図である。
図3図1に示した生成部が生成したガウス球において、法線ベクトルが生成したガウス球の大円の一例を示す図である。
図4】ガウス球を回転させたときの任意の点の移動の様子の一例を示す図である。
図5図1に示した二次元散布データ作成部が三次元点群データから二次元散布データを作成する様子の一例を示す図である。
図6図1に示した情報処理装置における検出方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図7】本発明の情報処理装置の第2の実施の形態を示す図である。
図8図7に示したカウント部が三次元点群データのうちの2つの点を結ぶ直線と、その周辺に存在する点との一例を示す図である。
図9図7に示した検出部が主成分分析を行った三次元点群データの一例を示す図である。
図10図9に示した第2の主成分と第3の主成分とから構成される平面に射影された点群データの一例を示す図である。
図11図7に示した情報処理装置における検出方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0012】
図1は、本発明の情報処理装置の第1の実施の形態を示す図である。本形態における情報処理装置100は図1に示すように、生成部110と、カウント部120,150と、角度算出部130と、二次元散布データ作成部140と、検出部160とを有する。なお、図1には、本形態における情報処理装置100が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0013】
生成部110は、三次元点群データのうちの任意の3つの点を抽出する。生成部110が抽出する3つの点は、互いに近接するものに限らない。生成部110は、抽出した3つの点を用いて形成された三角形の面に対する法線ベクトルを用いて、ガウス球を生成する。この三次元点群データの取得方法は、例えば、カメラ等の撮像装置を用いて撮像した画像を解析して取得するものであっても良く、ここでは特に限定しない。また、三次元点群データを構成する各点を、以下の説明においては「点」と称する。生成部110は、三次元点群データの中から互いに近接する任意の3つの点を抽出し、抽出した3つの点それぞれを頂点とする三角形の面の法線を推定して法線ベクトルを生成する。このようにして、生成部110は、3つの点からなる複数の組について法線ベクトルを生成する。生成部110は、生成した複数の法線ベクトルの長さおよび始点を互いにそろえて、ガウス球を生成する。
【0014】
図2は、図1に示した生成部110が生成したガウス球の一例を示す図である。図2に示すように、図1に示した生成部110によって複数の法線ベクトル200が収集されてガウス球210が生成される。図2に示した法線ベクトル200と垂直となる、極座標が(θ,φ)であるベクトルnが所定の円柱の柱方向の軸の向きのベクトルとなる。また、それぞれの法線ベクトル200がその円柱の側面における法線ベクトルとなる。
【0015】
図3は、図1に示した生成部110が生成したガウス球の表面において、法線ベクトルが生成したガウス球の大円の一例を示す図である。図3に示すように、円柱の側面における法線ベクトルは、円柱の軸方向と垂直な大円の円周方向を向くベクトルとなる。
【0016】
生成部110は、生成したガウス球の表面において、任意の点を選択し、選択した点の極座標の角度が「0」となるように、ガウス球全体を回転させる。図4は、ガウス球を回転させたときの任意の点の移動の様子の一例を示す図である。図4に示すように、ガウス球上の任意の点Aの極座標の角度の値が「0」となるようにガウス球を回転させる。すると、ガウス球の大円がxy平面上へ移動する。生成部110は、xy平面からz軸上の正方向および負方向に所定の領域(図4に示した例では、zが-δから+δまでの斜線で示す範囲)を指定する。
【0017】
カウント部120は、生成部110が生成したガウス球の大円に応じた領域に存在する点の数をカウントする第1のカウント部である。この領域は、図4に示した例では、z=-δから+δまでの範囲である。
【0018】
生成部110およびカウント部120は、このような処理をあらかじめ設定された回数、繰り返す。つまり、生成部110はガウス球上の任意の点を変更させて、変更した点毎に上述したガウス球の回転および領域の指定を行い、カウント部120がその領域に存在する点の数をカウントするといった処理を繰り返す。
【0019】
角度算出部130は、繰り返し行ったカウント部120がカウントした点の数の中で、領域内の数が最多となる法線ベクトルの角度を算出する。この算出される角度は、法線ベクトルの極座標の角度要素である。
【0020】
二次元散布データ作成部140は、角度算出部130が算出した角度に応じた方向に三次元点群データを射影して二次元散布データを作成する。具体的には、二次元散布データ作成部140は、角度算出部130が算出した角度が示す方向に対して垂直方向に三次元点群データを射影して二次元散布データを作成する。これは、角度算出部130が算出した角度が示す方向に対する垂直方向が、検出対象である鉄筋の方向であると推定されるからである。
【0021】
カウント部150は、二次元散布データ作成部140が作成した二次元散布データにおける任意の点を中心とした所定の半径の円に含まれる点の数をカウントする第2のカウント部である。カウント部150は、二次元散布データにおいて、複数の点をランダムに選択して、それぞれの点を中心とした所定の半径の円に含まれる点の数をそれぞれカウントする。
【0022】
図5は、図1に示した二次元散布データ作成部140が三次元点群データから二次元散布データを作成する様子の一例を示す図である。図5(a)に示すような三次元点群データを取得した場合、二次元散布データ作成部140は、Aの方向に三次元点群データを射影して、図5(b)に示すような二次元散布データを作成する。そして、カウント部150は、図5(b)に示した円の内部に存在する点の数をカウントする。
【0023】
検出部160は、カウント部150がカウントした点の数に基づいて、検出対象物である鉄筋の配置を検出する。検出対象となる鉄筋の形状は、直線状である。このとき、検出部160は、カウント部150が円ごとにカウントした点の数が最多となる円を選択する。このような角度算出部130、二次元散布データ作成部140、カウント部150および検出部160の処理を、繰り返し行ったカウント部120がカウントした点の数が次に多い法線ベクトルの角度について行う。このような処理を鉄筋の向く角度の数分、繰り返す。そして、その結果に基づいて、検出部160は、どの角度に向いてどのように鉄筋が配置されているのかを検出する。
【0024】
以下に、図1に示した情報処理装置100における検出方法について説明する。図6は、図1に示した情報処理装置100における検出方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0025】
まず、生成部110は、取得した三次元点群データの中から互いに近接する任意の3つの点を抽出する。生成部110は、抽出した3つの点それぞれを頂点とする三角形の面の法線を推定して法線ベクトルを生成する。生成部110は、このようにして、3つの点の複数の組について法線ベクトルを生成する。生成部110は、生成した複数の法線ベクトルの長さおよび始点を互いにそろえて、ガウス球を生成する(ステップS1)。生成部110は、生成したガウス球の表面において、任意の点を選択する。生成部110は、選択した点の極座標の角度が「0」となるように、ガウス球全体を回転させる。回転したガウス球の大円がxy平面上へ移動すると、生成部110は、xy平面からz軸上の正方向および負方向に所定の領域を指定する。続いて、カウント部120が、生成部110が生成したガウス球の大円に応じた領域に存在する点の数をカウントする(ステップS2)。生成部110およびカウント部120は、任意の点を変えて、ステップS1およびステップS2の処理をあらかじめ設定された回数、繰り返す。
【0026】
続いて、角度算出部130は、繰り返し行ったカウント部120がカウントした点の数の中で、領域内の数が最多となる法線ベクトルの角度を算出する(ステップS3)。ここで算出される角度は、法線ベクトルの極座標の角度要素である。すると、二次元散布データ作成部140が、角度算出部130が算出した角度が示す方向に対して垂直方向に三次元点群データを射影して二次元散布データを作成する(ステップS4)。続いて、カウント部150は、二次元散布データ作成部140が作成した二次元散布データにおける任意の点を中心とした所定の半径の円に含まれる点の数をカウントする(ステップS5)。カウント部150は、二次元散布データから複数の点をランダムに選択して、それぞれの点を中心とした所定の半径の円に含まれる点の数をそれぞれカウントする。
【0027】
そして、鉄筋の向く角度の数だけ、ステップS2~S5の処理を繰り返し行い、検出部160は、カウント部150がカウントした点の数に基づいて、検出対象物である鉄筋の配置を検出する(ステップS6)。
【0028】
このように、本形態においては、三次元点群データから抽出された3つの点から構成される面の法線ベクトルを用いてガウス球を生成する。生成したガウス球の大円に応じた領域に存在する点の数が最大となる法線ベクトルの角度に応じた方向に三次元点群データを射影した二次元散布データを作成する。作成した二次元散布データにおける任意の円に含まれる点の数に応じて、鉄筋の配置を検出する。これにより、検出対象物である鉄筋の配置を容易に検出することができる。
(第2の実施の形態)
【0029】
図7は、本発明の情報処理装置の第2の実施の形態を示す図である。本形態における情報処理装置101は図7に示すように、生成部110と、カウント部120,150,171と、角度算出部130と、二次元散布データ作成部140と、検出部161と、半径算出部181とを有する。なお、図7には、本形態における情報処理装置101が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。生成部110、カウント部120,150、角度算出部130および二次元散布データ作成部140それぞれは、第1の実施の形態におけるものと同じである。
【0030】
カウント部171は、角度算出部130が算出した角度に応じた、三次元点群データのうちの任意の2つの点を結ぶ直線から所定の距離範囲に存在する点の数をカウントする第3のカウント部である。図8は、図7に示したカウント部171が三次元点群データのうちの任意の2つの点を結ぶ直線と、その周辺に存在する点との一例を示す図である。図8に示すように、黒く塗りつぶした2つの点を結ぶ直線から距離δの範囲に存在する点の数をカウント部171はカウントする。カウント部171は、ほかの2つの点についても同様に直線で結び、その直線からの距離δの範囲に存在する点の数をカウントする。カウント部171は、この処理を複数の点について繰り返す。
【0031】
検出部161は、第1の実施の形態における検出部160が具備する機能に加えて、以下の機能を有する。検出部161は、カウント部171がカウントした点の数が最大となる2つの点を結んだ直線からの距離δの範囲内に存在する点群と、第1の実施の形態において検出した鉄筋の配置とに基づいて、1本の鉄筋を検出する。検出部161は、検出した鉄筋に対して主成分分析を行う。検出部161は、主成分分析の結果、点の分散が最大となる方向を、鉄筋の長さ方向として検出する。図9は、図7に示した検出部161が主成分分析を行った三次元点群データの一例を示す図である。図9に示すように、検出部161が主成分分析を行った結果、互いに直交する第1主成分、第2主成分および第3主成分が決定され、鉄筋の主成分(長さ方向)となる第1主成分が検出される。
【0032】
半径算出部181は、検出部161が検出した長さ方向と垂直となる平面における点に基づいて、円の近似を行い、近似を行った円の半径を、検出した鉄筋の半径として算出する。このとき、半径算出部181は、図9に示した第1の主成分の方向に鉄筋を微小区間にスライスする。これにより、三次元点群データは、図9に示した第2主成分と第3主成分とからなる平面に射影される。
【0033】
図10は、図9に示した第2主成分と第3主成分とから構成される平面に射影された三次元点群データの一例を示す図である。図10に示すように、三次元点群データは第2主成分と第3主成分とからなる平面に射影される。図10(a)に示した、射影された三次元点群データの配置においては、三次元点群データの配置が円の形状に近い。そのため、半径算出部181は、図10(a)に示した、射影された三次元点群データに対して円の近似を行う。図10(b)に示した、射影された三次元点群データの配置においては、三次元点群データの配置が大きな円の円弧の一部となる曲線に近い。図10(c)に示した、射影された三次元点群データの配置においては、三次元点群データの配置が円の形状に近い。そのため、半径算出部181は、図10(c)に示した、射影された三次元点群データに対して円の近似を行う。半径算出部181は、第2主成分と第3主成分とからなる平面において最小二乗法を用いて、円の近似を行う。半径算出部181は、近似した円の中から、円を近似したときに用いた点の、円の中心からの距離が、円の中心から点群それぞれまでの距離の平均値から平均値に標準偏差を加算した値までの範囲に存在する点から近似された円を選択する。また、半径算出部181は、円の中心から円の近似に用いたすべての点までの距離の標準偏差を平均値で除算した値が所定の閾値以下である点から近似された円を選択する。この所定の閾値は、例えば、0.1である。また、半径算出部181は、円の半径が、鉄筋の配置から抽出した直線間の幅以下である点から近似された円を選択するものであっても良い。
【0034】
半径算出部181は、選択した円の半径を算出する。そして、半径算出部181は、選択した円の半径の平均値を、検出した鉄筋の半径として算出する。ここで、半径算出部181は、第1の主成分の中心と各点との間の距離の平均値を2倍することで「呼び径」を算出する。ここで半径算出部181が算出した「呼び径」の半分の値が半径となる。こうすることで、半径の算出対象としている鉄筋以外の鉄筋(例えば、当該鉄筋に直交する方向に配置されている鉄筋等)の一部の点が円の近似や選択の処理に用いられてしまった場合であっても、当該部分が削除され、当該鉄筋の「呼び径」を算出することができる。
【0035】
以下に、図7に示した情報処理装置101における検出方法について説明する。図11は、図7に示した情報処理装置101における検出方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0036】
図11に示したフローチャートにおけるステップS11~S15それぞれの処理は、第1の実施の形態におけるステップS1~S5それぞれの処理と同じである。鉄筋の向く角度の数だけ、ステップS12~S15の処理を繰り返し行い、検出部161は、カウント部150がカウントした点の数に基づいて、検出対象物である鉄筋の配置を検出する(ステップS16)。
【0037】
続いて、カウント部171は、角度算出部130が算出した角度に応じた、三次元点群データのうちの任意の2つの点を結ぶ直線から所定の距離範囲に存在する点の数をカウントする(ステップS17)。続いて、検出部161は、カウント部171がカウントした点の数が最大となる2つの点を結んだ直線からの所定の距離範囲に存在する点群と、ステップS16にて検出された鉄筋の配置とに基づいて、1本の鉄筋を検出する(ステップS18)。検出部161は、検出した鉄筋に対して主成分分析を行い、主成分分析の結果、点の分散が最大となる方向を、鉄筋の長さ方向として検出する(ステップS19)。すると、半径算出部181は、検出部161が検出した長さ方向と垂直となる平面における点に基づいて、円の近似を行う(ステップS20)。半径算出部181は、近似した円の中から所定の条件を満たすものを選択する。そして、半径算出部181は、選択した円の半径の平均値を算出し、算出した平均値を検出した鉄筋の半径として算出する(ステップS21)。
【0038】
このように、本形態においては、三次元点群データから抽出された3つの点から構成される面の法線ベクトルを用いてガウス球を生成する。生成したガウス球の大円に応じた領域に存在する点の数が最大となる法線ベクトルの角度に応じた方向に三次元点群データを射影した二次元散布データを作成する。作成した二次元散布データにおける任意の円に含まれる点の数に応じて、鉄筋の配置を検出する。さらに、三次元点群データのうちの2つの点を結ぶ直線から所定の距離範囲に存在する点の数が最大となる2つの点を結んだ直線からの所定の距離範囲に存在する点群と、鉄筋の配置とに基づいて、1本の鉄筋を検出する。そして、検出した鉄筋に対して主成分分析を行い、鉄筋の長さ方向を検出し、検出した長さ方向と垂直となる平面における点に基づいて、円の近似を行って、所定の条件を満たす円の半径の平均値を算出し、算出した平均値を検出した鉄筋の半径として算出する。これにより、検出対象物である鉄筋の配置を容易に検出することができる。また、検出対象の鉄筋が多少の凹凸のある鉄筋であっても、1本の鉄筋のあらゆる箇所の半径を平均して鉄筋の径を算出するため、鉄筋のサイズを識別する「呼び径」を決定することができる。
【0039】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。
【0040】
上述した情報処理装置100,101が行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を情報処理装置100,101にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを情報処理装置100,101に読み込ませ、実行するものであっても良い。情報処理装置100,101にて読取可能な記録媒体とは、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、Blu-ray(登録商標) Disc、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの移設可能な記録媒体の他、情報処理装置100,101に内蔵されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやHDD(Hard Disc Drive)等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、情報処理装置100,101に設けられたCPUにて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【符号の説明】
【0041】
100 ,101 情報処理装置
110 生成部
120,150,171 カウント部
130 角度算出部
140 二次元散布データ作成部
160,161 検出部
181 半径算出部
200 法線ベクトル
210 ガウス球
図1
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図3
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図6
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図8
図9
図10
図11