(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】店舗内監視システム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
H04N7/18 D
(21)【出願番号】P 2023141879
(22)【出願日】2023-08-31
【審査請求日】2024-01-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)2022年9月15日及び2023年2月20日、イオン九州株式会社にて販売(2)2023年3月13日、イオン北海道株式会社にて販売(3)2023年3月31日、エレベーターコミュニケーションズ株式会社にて販売(4)2022年12月6日、株式会社新生堂にて販売(5)2022年10月27日から2023年7月19日までの各日、株式会社ヤマダデンキにて販売(6)2022年9月7日から2023年7月6日までの各日、株式会社イズミにて販売(7)2023年6月5日及び7月3日、ロイヤルホームセンター株式会社にて販売(8)2023年3月28日、遠鉄システムサービス株式会社にて販売(9)2022年9月14日、株式会社エディオンにて販売(10)2023年2月22日、4月27日及び6月15日、株式会社コモディイイダにて販売(11)2022年11月25日及び2023年3月1日、株式会社シェルガーデンにて販売(12)2023年6月29日、株式会社トライアルカンパニーにて販売(13)2022年11月2日、株式会社ベルクにて販売(14)2023年3月8日、3月29日及び7月6日、株式会社ゆめマート北九州にて販売(15)2023年6月29日、株式会社トライアルカンパニーにて販売(16)2023年5月2日及び5月10日、株式会社上州屋にて販売(17)2022年10月27日、株式会社西鉄ストアにて販売(18)2022年9月26日、2023年4月28日、5月12日及び6月2日、株式会社大屋にて販売(19)2023年3月29日、株式会社天満屋ストアにて販売(20)2022年12月13日、株式会社明林堂書店にて販売
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000188571
【氏名又は名称】Matsuo Sangyoグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074125
【氏名又は名称】谷川 昌夫
(74)【代理人】
【識別番号】100129986
【氏名又は名称】森田 拓生
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 翔一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聖宜
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-286619(JP,A)
【文献】特開平5-300417(JP,A)
【文献】特開2002-132173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 23/00
H04N 5/64
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3要素以上のアーム式の什器用固定構造を備えた1台のマイク付きモニターと、
クリップ式の固定構造を備えた、複数台のマイク付きカメラと、
マイク付きモニター、マイク付きカメラの各音声データ及び画像データを処理するデータ処理部と、から構成され、各構成が店舗内の少なくとも一台の固定什器における複数の位置又は複数の指向範囲に設置される監視システムであって、
前記複数のマイク付きカメラによる取得データは、少なくとも映像、音、時刻の各データを含んだデータセットからなり、
前記マイク付きモニターによる取得データは、少なくとも音、時刻の各データを含んだデータセットからなり、
前記データ処理部において、前記1台のマイク付きモニターの親データに対する付属データとして、取得データに含まれる複数のデータそれぞれの共通要素に基づいて紐付け処理され、
前記マイク付きモニターは、前記データ処理部によって紐付け処理された各マイク付きカメラの取得データを、マイク付きモニターの取得データと同一表示範囲内に同時に表示し得ることを特徴とする、店舗内監視システム。
【請求項2】
3要素以上のアーム式の什器用固定構造を備えた1台のマイク付きモニターと、
クリップ式の固定構造を備えた、複数台のマイク付きカメラと、
マイク付きモニター、ないしマイク付きカメラの各音声データ及び画像データを処理するデータ処理部と、から構成され、各構成が店舗内の複数台の固定什器であって複数の位置又は複数の指向範囲に設置される監視システムであって、
前記データ処理部は、複数のマイク付きカメラによって取得された各音声データを、前記1台のマイク付きモニターによって取得された音声データに対する付属データとして、時刻の共通要素及び各データの映像又は音データの共通要素に基づいて紐付け処理され、
前記マイク付きモニターは、データ処理部によって紐付け処理された各マイク付きカメラの複数の附属データを、マイク付きモニターの紐付けされた取得データと同一表示範囲内に、時刻同期した状態で並出力または並表示し得ることを特徴とする、請求項1に記載の店舗内監視システム。
【請求項3】
前記データ処理部は、各音データの連続又は断続的な音データ変動性を識別して、モニターと各カメラとの音データ変動性の共通要素を検出し、この共通要素に基づいて付属データを紐付け処理し、親データと付属データとを結合させた結合データとして保存または表示することを特徴とする、請求項1に記載の店舗内監視システム。
【請求項4】
複数のマイク付きカメラのうちいずれか1台以上は、PAL方式、NTSC方式,赤外線方式のうち何れか異なるデータ方式を含む映像データを取得し、
前記データ処理部は、拡張スペース内に組み込まれたアドイン処理構造によって、前記異なるデータ方式の映像データ同士を、同一画像種の映像データとして統合処理(コーディング)することを特徴とする、請求項1に記載の店舗内監視システム。
【請求項5】
前記データ処理部は、各データの共通要素が検出できない場合、或いは動作エラーが生じた場合は、統合データを異常データとして結合すると共に、モニター上にアラート表示することを特徴とする、請求項3に記載の店舗内監視システム。
【請求項6】
前記什器用固定構造は、一店舗内に固定された一台の固定什器への挟み込み固定部とモニター取付け板との間に、第一アーム部、第一アーム部、アジャストアーム部の3要素を介して複数ヒンジのヒンジ角度の締付固定又はアジャスト接続長さの周着固定がなされることを特徴とする、請求項1に記載の店舗内監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一店舗内に複数カメラを設置する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数カメラを設置した監視システムが存在する。例えば、デジタル録画装置として、複数の監視カメラの映像データを録画可能であり、各映像データをモニターに分割表示可能なものが開示される(特許文献1参照)。このデジタル録画装置は、映像データと、不揮発メモリに記憶された表示設定情報とに基づいて、各分割画面の表示位置情報と各分割画面に対応する監視カメラ情報とを関連付けて設定する画面表示関連付け部と、
前記表示設定情報に基づいて分割表示された複数の映像データの内から任意の映像データをクリック選択した際のクリック情報と、前記画面表示関連付け部に設定された表示位置情報および監視カメラ情報とに基づいて、クリック選択した映像を特定するためのクリック映像一時情報を生成するクリック情報収集部と、
クリック選択する映像についての分割画面のレイアウト情報およびカメラ表示サイズ情報を確定する映像選択開始手段と、を備える。
【0003】
そして、前記クリック映像一時情報はクリックの順序情報および監視カメラ情報からなり、前記映像選択開始手段によって確定した分割画面のレイアウト情報およびカメラ表示サイズ情報と、前記クリックの順序情報および監視カメラ情報とを結合してこれを表示設定情報として揮発メモリに書き込み、当該揮発メモリに書き込んだ表示設定情報に基づいて、クリック選択した映像データをモニターに分割表示することを特徴とする、とされる。
【0004】
また、この従来のデジタル録画装置において、デコーダ2は、複数の監視カメラから出力された映像信号S1(たとえばNTSC方式の信号)をデコードして映像信号S2(たとえば「ITU-R
BT.656」規格の信号)を出力する。キャプチャ機構(キャプチャボード3)は、映像信号S2を任意の画像フォーマットの映像データS3に変換する、とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一店舗内のモニターと複数台カメラの同時監視を簡易かつ安価なシステム構成によって確実に行い、いたずら防止性、防犯性を効率的に高めることはなお困難であった。
【0007】
すなわち、店舗内に複数台のカメラを設置する場合は通常、各カメラの視認領域を区分して、夫々のカメラが別の領域を分担監視するように設定する。しかし、このように各カメラを別々の領域に設定すると、カメラ同士のデータの連携が時刻同期に頼るしかないため、統一性のある精密な時刻調整付きカメラと、各データの同期調整用端末を用いる必要があった。簡易なカメラをそろえるだけではこのようなシステム機能の条件を満たさず、一店舗で構築できる防犯システムの設置コスト、運転コストに制限が生じてしまっていた。
【0008】
また、監視モニターを設置するバックヤードスペースがない場合や、バックヤード監視員を設置できない場合など、バックヤード監視ができない店舗においては、モニターを店舗内に設置するため、監視内容が店舗内に露出してしまい、モニター位置を変えるといったいたずらや、モニター視認を妨害するなどのいたずらによって防犯性が損なわれることがあった。
【0009】
そこで本発明では、比較的簡易かつ安価なシステム構成によって店舗内のモニターと複数台カメラの同時監視を確実に行い、いたずら防止性、防犯性を効率的に高めることのできる店舗内監視システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく以下の手段を講じている。なお後述の各用語に続けて記載する数字又は数字とアルファベットの組合せ文字列は、実施例として示す図面を参酌するための便宜上の参照符号であり、これ自体で概念又は形態を限定するものではない。
【0011】
[1]
本発明の店舗内監視システムは、
3要素以上のアーム式の什器用固定構造を備えた1台のモニター(1D)と、
クリップ式の固定構造を備えた、複数台のカメラ(21C,22C,・・・)と、
マイク付きモニター、マイク付きカメラの各音声データ及び画像データを処理するデータ処理部と、から構成され、各構成が店舗内の少なくとも一台の固定什器における複数の位置又は複数の指向範囲に設置される監視システムであって、
前記データ処理部において、複数のマイク付きカメラ(21C,22C,)による取得データは、少なくとも映像、音、時刻の各データを含んだデータセットからなり、
前記マイク付きモニターによる取得データは、少なくとも音、時刻の各データを含んだデータセットからなり、
前記データ処理部において、前記1台のマイク付きモニターの親データに対する付属データとして、取得データに含まれる複数のデータ(例えば音、時刻の少なくともいずれか)それぞれの共通要素に基づいて紐付け処理され、
前記マイク付きモニターは、前記データ処理部によって紐付け処理された各マイク付きカメラの取得データを、マイク付きモニターの取得データと同一表示範囲内に同時に表示し得ることを特徴とする。
【0012】
上記手段は、少なくとも一台の店舗内固定什器にマイク付きモニターと少なくとも1つのマイク付きカメラを固定し、各取得データによって少なくとも音と時刻を含むデータセットを取得可能としている。そして、これらの取得データを、音と時刻を含む複数のデータの共通要素によって紐付け処理することで、防犯監視状態の維持性を高めるものである。特に、マイク付きモニターは3要素以上のアーム式の什器固定構造を備えることで、固定什器FPへの固定位置に拘わらず、モニターの視認角度を任意のものに調整でき、また、マイク付きカメラからの距離、角度、或いは位置関係を任意に調整できる。
【0013】
また、モニターカメラにおいて、紐付け処理された関連データを同時に並表示(
図4または
図5b)するものである。仮にいたずらによって固定位置を変えられたり各データの取得を遮断されたりするなどの状態異常が生じても、この並表示が乱れることで状態異常を容易に検知することができる。
【0014】
[2]
前記店舗内監視システムにおいては、
3要素以上のアーム式の什器用固定構造を備えた1台のマイク付きモニター(1D)と、
クリップ式の固定構造を備えた、複数台のマイク付きカメラ(21C,22C,・・・)と、
マイク付きモニター、マイク付きカメラの各音声データ及び画像データを処理するデータ処理部と、から構成され、各構成が店舗内の複数の位置又は複数の指向範囲に設置される監視システムであって、
前記データ処理部は、複数のマイク付きカメラ(21C,22C,)による取得データは、前記1台のマイク付きモニターの親データに対する付属データとして、各データの映像又は音データの共通要素に基づいて紐付け処理され、
前記マイク付きモニターは、データ処理部によって紐付け処理された各マイク付きカメラの取得データを、マイク付きモニターの紐付けされた取得データと同一表示範囲内に並表示し得ることを特徴とする。
【0015】
上記は、マイク付きカメラ(
図1)とマイク付きモニターによる紐付け処理を行うものである。例えば
図4では、モニターに最も近い1台のマイク付きカメラ21Cによる映像データをF;フロント表示枠内に親データとして表示すると共に、他の1台のマイク付きカメラ22Cによる映像データをB:バック表示枠内に付属データとして並表示している。親データを規定の表示枠として、付属データのカメラを切り替え選択表示可能としている。
【0016】
[3]
前記データ処理部は、各音データの連続又は断続的な音データ変動性を識別して、モニターと各カメラとの音データ変動性の共通要素を検出し、この共通要素に基づいて付属データを紐付け処理し、親データと付属データとを結合させた結合データとして保存または表示することを特徴とする。
【0017】
上記は、音データの共通要素による、関連データ同士の紐付け処理(
図4または
図5b))を行うものである。すなわち、モニターで取得した音データ内の周波数変動は、同じ店舗内のカメラで取得した音データでも一定の減衰を伴った共通変動として表れるはずである。一店舗内の近距離に設置されるという前提と前記変動性の共通原理に基づいて、音データによるデータの紐付けを行っている。上記手段によれば、時刻設定の同期ずれ、カメラデータ処理時間による同期ずれを解消するものとなっている。
【0018】
[4]
前記複数のカメラのうちいずれか1台以上は、PAL方式、NTSC方式,720P/Nor赤外線の何れか異なるデータ方式を含む映像データを取得し、
前記データ処理部は、拡張スペース内に組み込まれたアドイン処理構造によって、前記異なるデータ方式の映像データ同士を、モニターの映像データと同一画像種の映像データとして統合処理(コーディング)し、全ての映像データをモニターの音声データに紐付けたデータとして保存処理することを特徴とする。
【0019】
上記は、異なる映像データ種別同士の紐付け(
図4または
図5b))を行う処理である。例えば、PAL方式、NTSC方式,720P/Nor赤外線といった異なる表示方式を各カメラの方式として採用し、ことなる種類のカメラを組み合わせて使用する場合でも、前記[3]の音データによる紐付けを基準とすることにより同期処理が容易となる。なお実施例では(位置、種類)分類されるとともに同期制御している。音データの共通要素>画像データの共通要素>時刻データの共通要素 の順に紐付け要素を優先処理している。
【0020】
実施例では各データを映像データIM、音データSO識別情報ID,取り付け情報ATT,のデータに区分されるところ、全ての映像データを、モニターの映像データと紐付けた静止画データの集合データ群セットとしてグループ保存し、かつ、取得時の音声データを基準とした時刻で特定した音声データ構造として同期処理し、同期タグを附属させた関連データとして、モニターの親データに紐付け可能な状態で保存させている。
【0021】
[5]
前記データ処理部は、各データの共通要素が検出できない場合、或いは動作エラーが生じた場合は、統合データを異常データとして結合すると共に、モニター上にアラート表示することを特徴とする。
【0022】
上記は、紐付けエラーのアラート(
図5a)を行うものである。
【0023】
[6]
前記什器用固定構造は、什器FPへの挟み込み固定部1Jとモニター取付け板1PTとの間に、第一アーム部11A、第一アーム部11B、アジャストアーム部の3要素を介してヒンジ11AH,11BHのヒンジ角度の締付固定又はアジャスト接続長さの周着固定がなされることを特徴とする。さらに、接続状態のロック機構にスイッチを通電させ、接続の解除又は緩みを検知することを特徴とする。
【0024】
上記は、取付け構造・盗難防止用の取りつけ状態センサ(
図2,3)を特定するものである。
【発明の効果】
【0025】
上記手段によって、比較的簡易かつ安価なシステム構成によって店舗内のモニターと複数台カメラの同時監視を確実に行い、いたずら防止性、防犯性を効率的に高めることのできる店舗内監視システムを提供することとなった。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施例1の店舗内監視システムのシステム構成説明図
【
図2】
図1のうちモニターと什器用固定構造とカメラの側面図
【
図3】
図1の店舗内監視システムの、店舗什器FPへの設置状態の側面図
【
図4】本発明の店舗内監視システムのモニターの設置及び表示画面例
【
図5】モニターによる監視画面例(a)及び基本操作メニューの表示画面例(b)
【
図6】モニターによる動画データ操作画面例(a)及び動画データの選択画面例(b)
【
図7】モニターによる同期メニューの操作画面例(a)及び同期データの選択画面例(b)
【
図8】モニターによるデータ種の操作画面例(a)及び動画データ種の選択画面例(b)
【発明を実施するための形態】
【0027】
<システムの構成>
本発明は、各構成が1店舗内の複数の位置又は複数の指向範囲に設置される監視システムであって、3要素以上のアーム式の什器用固定構造を備えた1台のモニター(1D)と、
クリップ式の固定構造を備えた、複数台のカメラ(21C,22C,・・・)と、
マイク付きモニター、マイク付きカメラの各音声データ及び画像データを処理するデータ処理部と、から構成される。
【0028】
<システムの概要>
分離又は付属構成からなるシステム構成:
本発明の店舗内監視システムは、アーム固定式のマイク付きモニター1Dと、クリップ固定式の複数のマイク付きカメラ21,22,・・とからなり、複数のマイク付きカメラ21,22、・・・はそれぞれカメラによる取得画像データ21IM,22IM,・・・と同時に、自身のマイクによる取得音声データ21SO,22SO・・・を連続的又は断続的に取得する。
【0029】
さらにマイク付きモニター1Dも、自身のマイクによる取得音声データ1SOを連続的又は断続的に取得する。そしてモニター1Dによっていずれか一つ又は複数のカメラの取得画像データをモニター表示する。
【0030】
本発明の店舗内監視システムのモニター、カメラの各構成は、
図3又は
図4に示すように、アーム固定構造又はクリップ式固定構造によって、一店舗内の固定什器FPの複数の箇所に固定設置される。
【0031】
前記固定構造として、マイク付きモニターのアーム、マイク付きカメラのクリップのそれぞれが、店舗内の什器又は室内の壁又は床、天井といった固定部への可動部を含む固定構造からなり、それぞれの可動部に、盗難防止用のアタッチメントを追加付属させてなる。また、複数のマイク付きカメラの内の少なくとも1台のカメラクリップは、マイク付きモニター1Dに付属させて固定可能なモニター付属式のクリップ構造21Jからなり、
図2、
図3に示すように、マイク付きモニター1Dの表示枠の側端部にマイク付きカメラ21Cが付属した構成とすることができる。
【0032】
<各処理部の概要>
各カメラは、カメラの監視運転動作時には、設定単位時間ごとに連続又は断続的に取得した取得画像データ21M(又は22M、23M,・・)のデータ群と、設定単位時間ごとに連続又は断続的に取得した取得音声データ21SO(又は22SO、23SO,・・)のデータ群と、カメラ個体毎に個別設定された個体の識別子IDと、取りつけ時間又は/及び取付け位置のデータからなる取りつけ状態データATTと、からなるデータセット21DS,dd22DS,23DS,・・・を一定時間ごとに取得する(
図1)。このうち取得画像データと取得音声データとはデータ取得の時刻によってデータ同士が関連処理される。
【0033】
また取得画像データと取得音声データは設定時間ごとに複数の連続データからなるデータ群として差分処理によって圧縮処理されると共に、データ群に含まれる最も古いデータは新たにデータが取得されることで自動削除され、時間経過毎にデータ群が更新される。
【0034】
各カメラのデータセット21DS,22DS,・・・はデータ群の圧縮処理が行われるたびに、別の処理端末に設けられたデータ処理部のメモリ部へ有線又は無線送信される。
図1ではモニタ―に付属されたメモリ部へ自動送信され、モニターに内蔵又は付属したデータ処理部によって、表示データとして処理される。
【0035】
なお、
図2又は
図3のようにモニター側端部にカメラを直接付属させた場合には、モニター付属のカメラによるデータセットをモニターでのデータ処理用のデータセット12RDSとして、他のカメラによるデータセットとは別のメモリ構造としてメモリ保存される(
図1)。
【0036】
そして、複数のマイク付きカメラ(21C,22C,・・・)による取得データは、モニターに付属したデータ処理部によって、前記1台 のマイク付きモニターの親データに対する付属データとして、各データの映像、音、時刻といった要素のうち一つ以上の要素の共通性に基づいて紐付け処理される。
【0037】
そして、前記マイク付きモニターは、データ処理部によって紐付け処理された各マイク付きカメラの取得データを、マイク付きモニターの紐付けされた取得データと同一表示範囲内に並表示し得ることを特徴とする。
【0038】
(マイク付きカメラ(
図1))
3要素以上のアーム式の什器用固定構造を備えた1台のマイク付きモニター(1D)と、
クリップ式の固定構造を備えた、複数台のマイク付きカメラ(21C,22C,・・・)と、
マイク付きモニター、マイク付きカメラの各音声データ及び画像データを処理するデータ処理部と、からなる構成は、各構成が店舗内の複数の位置又は複数の指向範囲に設置される。
【0039】
前記1台のマイク付きモニターは、親データのデータセットとして、モニターに付属するか最もモニターに近い取得画像データ群を親画像データ1IMとして連続保存すると共に、モニターのマイクによって取得された音データ群を親音データ1SOとして連続保存する。さらにモニターの個別IDが予めメモリされると共に、店内への設置固定後にはモニターの取りつけ状態情報ATTがメモリされ、モニターの親データセット12RDSとしてデータ処理部のアクセス可能なメモリ構造に保存される。
【0040】
また、複数のマイク付きカメラ(21C,22C,)による取得データは、各データセットとしてモニター内蔵のデータ処理部に一定の時間経過毎に送信され、モニター内蔵のメモリ部に上書き保存される。このとき、親データのデータセット内の音データ、又は、音データと画像データからなる圧縮データとのデータ変動の共通性に基づいて、各カメラのデータセットを、前記1台のマイク付きモニターの親データに対する付属データとして紐付け処理する。
【0041】
例えば、各データ群の連続の画像データ内又は連続の音データ内に含まれる、識別可能なピーク音(高い音、又は音量が大きい音)のデータとその前後1又は2フレーム時間単位のデータのピーク音の特性を拾い、これを共通要素とする。店舗内で物の落下御や客の出入り、店内放送、防犯アラート音といった、識別可能な音が発生した場合には、この音データとその前後の音データとを含むデータセットのデータ特徴と変動量に基づいて紐付け処理される。
【0042】
また、前記マイク付きモニターは、データ処理部によって紐付け処理された各マイク付きカメラの取得データを、マイク付きモニターの紐付けされた取得データと同一表示範囲内に並表示し得ることを特徴とする。
【0043】
例えば
図4では、モニターに最も近い1台のマイク付きカメラ21Cによる映像データをF;フロント表示枠内に親データとして表示すると共に、他の1台のマイク付きカメラ22Cによる映像データをB:バック表示枠内に付属データとして並表示している。親データを規定の表示枠として、付属データのカメラを切り替え選択表示可能としている。
【0044】
また、例えば
図5では、表示部左側におけるフロントデータ12IDの表示部12Fにおいて、子データのひとつである指定されたマイク付きカメラであってモニターとは別位置に設置された一つのデータセットの連続画像データを再生表示すると共に、表示部右側におけるバックデータ12IDの表示部12Fにおいて、親データであるモニター付属のマイク付きカメラの連続画像データを同期処理したうえで再生表示する。
【0045】
(音データによる関連データの紐付け(
図4または
図5b))
前記データ処理部は、各音データの連続又は断続的な音データ変動性を識別して、モニターと各カメラとの音データ変動性の共通要素を検出し、この共通要素に基づいて付属データを紐付け処理し、親データと付属データとを結合させた結合データとして保存または表示することを特徴とする。
【0046】
モニターで取得した音データ内の周波数変動は、同じ店舗内のカメラで取得した音データでも一定の減衰を伴った共通変動として表れるはずである。一店舗内の近距離に設置されるという前提と前記変動性の共通原理に基づいて、音データによるデータの紐付けを行っている。
【0047】
時刻設定の同期ずれ、カメラデータ処理時間による同期ずれを解消するものとなっている。例えば、PAL方式、NTSC方式,720P/Nor赤外線といった複数の表示方式、又は複数の画像データの方式を、いずれか一つ以上のカメラにて種類を変えて併用する場合でも、この音データによる紐付けを基準とすることにより同期処理が容易となる。
【0048】
なお実施例では(位置、種類)分類されるとともに同期制御している。音データの共通要素>画像データの共通要素>時刻データの共通要素 の順に紐付け要素を優先処理している。
【0049】
(異なる映像データ同士の紐付け(
図4または
図5b))
複数のカメラのうちいずれか1台以上は、PAL方式、NTSC方式,720P/Nor赤外線の何れか異なるデータ方式を含む映像データを取得し、
前記データ処理部は、拡張スペース内に組み込まれたアドイン処理構造によって、前記異なるデータ方式の映像データ同士を、同一画像種の映像データとして統合処理(コーディング)することを特徴とする。
【0050】
例えば
図8(a)は、カメラの画像データ方式を切り替え設定する画面にて設定ボタンCIBを選択した画面であり、
図8(b)は、カメラの画像データ方式を720P,1080P,720N,1080Nの選択ダイアログから一つ選択する際のダイアログ画面である。データ処理部にて親データ、子データの紐付け処理を行う処理とは別に、各カメラにおける取得データのデータ方式を個別に設定することで、モニター画面への表示の際に処理データ方式のアドイン処理を行うことで、表示上の処理に置き換えている。
【0051】
(紐付けエラーのアラート(
図5a))
データ処理部は、各データの共通要素が検出できない場合、或いは動作エラーが生じた場合は、統合データを異常データとして結合すると共に、モニター上にアラート表示することを特徴とする。
【0052】
実施例では各データを映像データIM、音データSO識別情報ID,取り付け情報ATT,のデータ構造としている。
【0053】
(什器FPへの取付け構造・盗難防止(
図2,3))
前記什器用固定構造は、什器FPへの挟み込み固定部1Jとモニター取付け板1PTとの間に、第一アーム部11A、第一アーム部11B、アジャストアーム部の3要素を介してヒンジ11AH,11BHのヒンジ角度の締付固定又はアジャスト接続長さの周着固定がなされることを特徴とする。
【0054】
図1~4に示すように、マイク付きモニターの什器用固定構造は、什器FPへの挟み込み固定部1Jとモニター取付け板1PTとの間に、第一アーム部11A、第一アーム部11B、アジャストアーム部の3要素を介してヒンジ11AH,11BHのヒンジ角度の締付固定又はアジャスト接続長さの周着固定構造からなる。
【0055】
第一アーム部11A、第二アーム部11Bとはヒンジ11AHにて所定の挟角を固定され、第二アーム部11Bとアジャストアーム部11Cとは、アジャストアーム部の筒状の弾性周着部品とこの弾性周着部品の周着内部への第二アーム部11Bの挿入量の設定、及び、弾性周着部品の周着力を調整するハンドル11CHの締付けによって、アーム長さと球状ヒンジ11DHの突出角度が固定される。球状ヒンジ11DHは、球冠キャップ内に軸付きボールを内蔵し、キャップ溝から突出した軸付きボールの軸部を任意方向に設定するものである。
【0056】
球状ヒンジ11DHの先には固定プレート1PTがボールヒンジ接続される。これらのヒンジアームは、
図3又は
図4のように、基部ヒンジ11JHを介して締付ジョイント1Jによって店舗の什器の柱部FP又はテーフ゛ルFP1に締付固定される。そして、
図3、
図4のような接続状態のアームの向き、ヒンジの角度を取りつけ状態として記憶させるために、各アーム部には長円穴を設けると共に、この長円穴にジャイロセンサー11Rを取りつけてある。また、ロック機構にスイッチを通電させてある。
【0057】
これらにより、一旦設置した状態のアーム角度、アーム面の傾きを記憶させると共に、ダイヤル調整したヒンジ調整ハンドルの角度を記憶させ、取付け情報データATTとしてデータ化して記憶する。この取りつけ情報データATTは設置状態でデータセットすることでメモリされ、各カメラのデータセット21DS,22DS,・・・に含まれた状態で提示間隔毎にデータ送信される。また、再度データセットすることで以前のデータメモリとの相違を検知することができる。
【0058】
<システムの処理動作>
動作1:音声同期、分類:モニターとカメラそれぞれの各音声データが(位置、種類)分類されるとともに同期制御され、種類、位置の各分類に対応した形で統合データ化/動画出力する。
動作2:条件に応じて異常を検知した場合には、アラート信号を出力することで、カメラ又はモニターから音または光で出力する。
【0059】
図5aは、紐付け処理したメモリ内のデータの再生画面例として、2分割表示の全画面表示例を示すものである。之は表示画面全体を左右二分割し、フロント表示部12F,バック表示部12Bの表示画面内に、各カメラの取得画像をリアルタイム表示する。バック表示部12B内の右端にはホームボタンHBが常時表示され、その上部には画角の縮小拡大調整ボタンが常時表示される。警戒時にはこの2分割表示で、設定した2つのカメラの取得画像をリアルタイム表示することができる。
【0060】
図5bは、紐付け処理したメモリ内のデータの再生画面例を示すものである。画面左の時刻表示部14Tに表示される過去の時刻に遡って、画面左下部の再生ボタン14L、戻し又は進みボタン141を選択操作することで、動作再生を示すアニメアイコン14Sが所定のアニメーションアクションで動き、画面中央から右における表示部12内に再生される。
図5bでは、表示部12がフロント表示部12F、バック表示部12Bという左右の分割表示画面を有し、これらの分割表示画面同士で動機データが表示される。音声データのみの場合は表示部は表示されず、左側のアニメアイコン14Sのみが動作する。
【0061】
また、表示部12の下部には、親データであるマイク付きモニターの音データAIDの選択ボタンAIと、4つ設置した子データである第一~第四のマイク付きカメラの画像つき音データ1ID,2ID,3ID,4IDの選択ボタン121,122,123,124とが横に区分けされ、並んで表示される。選択設定操作によって、フロント表示部12Fとバック表示部12Bそれぞれに、いずれの連続画像を動画再生するのかを選択して、音声同期状態で連続画像データを表示する。
【0062】
<実施例を含めた発明の要旨>
本発明は、一店舗内で、1台のモニターと紐付けた複数台のカメラを分離設置したことを特徴とする。
【0063】
店舗内の一つの什器に固定されたマイク付きモニターとカメラ21,22(23,24)が同じ什器に固定されると共に分離構成(位置、種類など)され、識別処理を行う。
また、カメラ映像二つを利用した統合表示方法、切り替え方法、監視方法をアレンジした点を特徴とする。
【0064】
例えば、レジ店員の手元を含むレジ処理範囲とこの範囲を含む店舗内の広範囲との同期表示において、同期設定としてモニターの音声データを基準とした録画時刻調整を行っている。
【0065】
また、複数種類(方式、画角、機能)のカメラを複数台組み合わせて同期処理したことを特徴とする。
【0066】
さらに、カメラ2は別機能版に交換して組み合わせ可能としたことを特徴とする。例えば赤外線カメラ(暗視カメラ)、人感センサ付きカメラ(自動起動録画)、パノラマ(広角)カメラを組み合わせた場合でも、静止データの連続データセットとしてグループ保存し、親データへの紐付けタグを附属させて保存させる。これにより異なる画像データ種であっても紐付け処理が容易となる。
【0067】
また、他の映像方式へ切り替える(広角:PAL方式、NTSC方式,720P/Nor赤外線の表示用方式)/組み合わせ処理ユニット化の組み合わせによる処理方式の拡充、複数方式データのデータ統合、圧縮表示を施したことを特徴とする。
【0068】
さらに、異なる給電方式を組み合わせた場合に給電状態を管理・制御するようにしたことを特徴とする。
【0069】
例えば、一店舗の監視、防犯モニタリングシステムに汎用タブレット、ミニカメラ、アーム、クリップ、処理ユニットを組み合わせ式に選択搭載し、処理、表示上の機能拡充性を持たせたことを特徴とする。
【0070】
その他上述した実施例の構成に限定されず、種々の構成の組合せ、置換、一部構成の抽出が可能である。
【符号の説明】
【0071】
マイク付きモニター1D
マイク付きカメラ21C,22C,23C,24C
12F、F;フロント表示枠
12B,B:バック表示枠
HB ホームボタン
表示画面
12
映像データIM
音データSO
識別情報ID
取り付け情報ATT
什器FP
挟み込み固定部1J
モニター取付け板1PT
第一アーム部11A
第二アーム部11B
アジャストアーム部11C
ヒンジ11AH,11BH
【要約】 (修正有)
【課題】比較的簡易かつ安価なシステム構成によって店舗内のモニターと複数台カメラの同時監視を確実に行い、いたずら防止性及び防犯性を効率的に高める店舗内監視システムを提供する。
【解決手段】店舗内監視システムは、1台のマイク付きモニター1Dと、複数台のマイク付きカメラ21C~24Cと、マイク付きモニター及び各マイク付きカメラ夫々の音声データ及び画像データを処理するデータ処理部と、から構成される。データ処理部は、複数のマイク付きカメラ21C~24Cによる取得データを、1台のマイク付きモニター1Dの親データに対する付属データとして、各データの共通要素に基づいて紐付け処理する。マイク付きモニター1Dは、データ処理部によって紐付け処理された各マイク付きカメラの取得データを、マイク付きモニター1Dの紐付けされた取得データと同一表示範囲内に並表示する。
【選択図】
図1