IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インパクト エスアーの特許一覧

特許7483240単結晶成長装置およびIII-V族半導体単結晶の製造方法
<>
  • 特許-単結晶成長装置およびIII-V族半導体単結晶の製造方法 図1
  • 特許-単結晶成長装置およびIII-V族半導体単結晶の製造方法 図2
  • 特許-単結晶成長装置およびIII-V族半導体単結晶の製造方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】単結晶成長装置およびIII-V族半導体単結晶の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/40 20060101AFI20240508BHJP
   C30B 15/12 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
C30B29/40 501A
C30B15/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019030158
(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公開番号】P2020132491
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】519062856
【氏名又は名称】インパクト エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087723
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 修
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】ジャキエ クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】小田 修
【審査官】西田 彩乃
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-073294(JP,A)
【文献】特開昭63-307193(JP,A)
【文献】特開昭63-274691(JP,A)
【文献】特許第2830437(JP,B2)
【文献】特公平05-071559(JP,B2)
【文献】特開平03-054187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 29/40
C30B 15/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
種結晶を保持するための上軸と、
InPの原材料を直接収容するための第1の領域と、前記原材料とは異なる液体封止剤を直接収容するための第2の領域とを有する下側容器と、
前記上軸のまわりを囲む上側容器と、
前記下側容器を加熱する第1のヒーターと、
を有し、
前記上側容器は、
前記上軸の立設方向に沿った大径部と、前記上軸の立設方向に沿うと共に前記大径部よりも直径が小さい小径部と、前記大径部と前記小径部とを連結する連結部と、を有し、
前記小径部の内周面と前記上軸との間には、前記連結部の内側空間及び前記大径部の内側空間と繋がる内側空間が形成されており、
前記下側容器は、
内側壁と、前記内側壁よりも外側に位置する外側壁と、前記内側壁の内側の空間領域である前記第1の領域と、前記内側壁と前記外側壁との間の空間領域である前記第2の領域と、を有し、
前記大径部と前記連結部と前記小径部とが、
前記下側容器に近いほうからこの順序で配置されており、
前記大径部の外径は、
前記外側壁の内径よりも小さく、
前記大径部の内径は、
前記内側壁の外径よりも大きく、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、前記内側壁を介して隣接しており、
前記第2の領域の外周側に、前記ヒーターが配置されており、
前記大径部の少なくとも一部は、
前記内側壁と前記外側壁との間の位置に配置されており、
前記小径部の内側には、リンを保持する材料保持部が設けてあり、
前記小径部の外周側には、前記小径部を加熱する線ヒーターが設けてあり、
前記線ヒーターは、前記第1のヒーターとは別々に出力を設定でき、
単結晶を成長させる際に、
前記下側容器の前記第1の領域には、前記原材料が直接収容され、
前記下側容器の前記第2の領域には、B23又はKClからなる前記液体封止剤が直接収容され、
前記材料保持部には、リンが保持され、
前記大径部の下端部は、
前記液体封止剤に浸かっており、
前記下側容器と前記上側容器と前記液体封止剤とが、
前記単結晶の周囲の空間を密閉するよう構成されている、
単結晶成長装置。
【請求項2】
請求項1に記載の単結晶成長装置において、
前記線ヒーターは、前記上軸の立設方向における少なくとも前記材料保持部と同じ位置に配置されている、単結晶成長装置。
【請求項3】
請求項2に記載の単結晶成長装置において、
前記線ヒーターは、前記第1のヒーターの内周端よりも内周側に配置されている、
単結晶成長装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の単結晶成長装置において、
前記下側容器を支持すると共に外周側から覆うサセプターを備え、
前記サセプターは、前記第1の領域の下側と前記第2の領域の下側とにわたり、同じ高さ位置に下面を有する、
単結晶成長装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の単結晶成長装置を用いてIII-V 族半導体単結晶を製造する方法であって、
前記下側容器における前記第1の領域に前記原材料および第1の液体封止剤を直接供給し、
前記下側容器の前記第2の領域に第2の液体封止剤を直接供給し、
前記上側容器の一部が前記第2の領域の前記第2の液体封止剤に浸かるようにして前記下側容器と前記上側容器と前記第2の液体封止剤とにより前記第1の領域の周囲の空間を密閉し、
前記第1の領域の前記原材料を溶融させて融液とし、
前記種結晶を融液に浸漬させることにより半導体単結晶を成長させること
を含むIII-V族半導体単結晶の製造方法。
【請求項6】
請求項に記載のIII-V 族半導体単結晶の製造方法において、
前記第1の液体封止剤における引き上げ軸方向の温度勾配を、前記半導体単結晶の引き上げの開始から徐々に小さくすること
を含むIII-V 族半導体単結晶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、単結晶成長装置およびIII-V 族半導体単結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GaP、InP、GaAs、InAsなどのIII-V 族化合物半導体は、Siなどの単元素半導体にはない光学的特性、電気的特性を備えている。そのため、これらのIII-V 族化合物半導体は、HEMT、HBTなどの電子デバイスやLEDなどの光デバイスに用いられている。特に、InPは、高周波電子デバイスや光ファイバー通信用半導体素子の基板に用いられている。
【0003】
GaP、InP、GaAs、InAsなどのIII-V 族化合物半導体の単結晶を製造するために、液体封止チョクラルスキー法(LEC法)や垂直グラディエントフリージング法(VGF法)が用いられることがある。その原料であるAs、P等のV 族元素は高い蒸気圧を持ち、原料融液や結晶表面から解離しやすい。また、半導体を成長させる成長装置の内側容器に低温部があると、その低温部からV 族元素が析出してしまう。つまり蒸気圧制御が困難である。
【0004】
そのため、温度勾配を抑制し、高い精度で蒸気圧を制御する技術が研究開発されてきている。例えば、特許文献1では、成長装置の内側容器の温度勾配を小さくするために、線ヒーターを備えるとともに石英からなる内側容器上部2aを用いる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】平01-242489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LEC法では、引き上げ軸方向の温度勾配が大きいため、熱応力が大きくなってしまう。熱応力が大きいと、単結晶の転位密度が高くなる。そのため、LEC法により転位密度の低い結晶を成長させることは困難である。また、VGF法では、温度勾配は小さいが、単結晶化の歩留りが低い。そのため、VGF法では、大口径の単結晶を成長させることが困難である。
【0007】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、大口径で結晶性に優れた半導体単結晶を成長させる単結晶成長装置およびIII-V 族半導体単結晶の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様における単結晶成長装置は、種結晶を保持するための上軸と、
InPの原材料を直接収容するための第1の領域と、前記原材料とは異なる液体封止剤を直接収容するための第2の領域とを有する下側容器と、
前記上軸のまわりを囲む上側容器と、
前記下側容器を加熱する第1のヒーターと、
を有し、
前記上側容器は、
前記上軸の立設方向に沿った大径部と、前記上軸の立設方向に沿うと共に前記大径部よりも直径が小さい小径部と、前記大径部と前記小径部とを連結する連結部と、を有し、
前記小径部の内周面と前記上軸との間には、前記連結部の内側空間及び前記大径部の内側空間と繋がる内側空間が形成されており、
前記下側容器は、
内側壁と、前記内側壁よりも外側に位置する外側壁と、前記内側壁の内側の空間領域である前記第1の領域と、前記内側壁と前記外側壁との間の空間領域である前記第2の領域と、を有し、
前記大径部と前記連結部と前記小径部とが、
前記下側容器に近いほうからこの順序で配置されており、
前記大径部の外径は、
前記外側壁の内径よりも小さく、
前記大径部の内径は、
前記内側壁の外径よりも大きく、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、前記内側壁を介して隣接しており、
前記第2の領域の外周側に、前記ヒーターが配置されており、
前記大径部の少なくとも一部は、
前記内側壁と前記外側壁との間の位置に配置されており、
前記小径部の内側には、リンを保持する材料保持部が設けてあり、
前記小径部の外周側には、前記小径部を加熱する線ヒーターが設けてあり、
前記線ヒーターは、前記第1のヒーターとは別々に出力を設定でき、
単結晶を成長させる際に、
前記下側容器の前記第1の領域には、前記原材料が直接収容され、
前記下側容器の前記第2の領域には、B23又はKClからなる前記液体封止剤が直接収容され、
前記材料保持部には、リンが保持され、
前記大径部の下端部は、
前記液体封止剤に浸かっており、
前記下側容器と前記上側容器と前記液体封止剤とが、
前記単結晶の周囲の空間を密閉するよう構成されている。
【0009】
この単結晶成長装置では、下側容器と上側容器と液体とにより、種結晶のまわりの空間を密閉することができる。また、種結晶のまわりの空間の体積を小さくとることができる。そのため、原材料の融液の温度勾配を十分に小さくすることができる。熱応力を小さくできるため、半導体単結晶の転位密度は低い。また、大口径の半導体単結晶を製造することができる。このように、この単結晶成長装置は、大口径で結晶性に優れた半導体単結晶を成長させることができる。また、下側容器および上側容器の内部と外部との圧力制御を容易に実施しやすい。
【発明の効果】
【0010】
本明細書では、大口径で結晶性に優れた半導体単結晶を成長させる単結晶成長装置およびIII-V 族半導体単結晶の製造方法が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態におけるInP単結晶の形状を示す図である。
図2】第1の実施形態における半導体単結晶を成長させる単結晶成長装置の概略構成を示す図である。
図3】第1の実施形態における単結晶成長装置の使用時を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施形態について、単結晶成長装置およびIII-V 族半導体単結晶の製造方法を例に挙げて図を参照しつつ説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
1.半導体単結晶
図1は、第1の実施形態におけるInP単結晶SC1の形状を示す図である。InP単結晶SC1は、種結晶S1と一体となっている。InP単結晶SC1は、円柱形状に近い形状である。InP単結晶SC1は、上部SC1aと中央部SC1bと底部SC1cとを有する。種結晶S1から近い順に、上部SC1a、中央部SC1b、底部SC1cがある。上部SC1aは、種結晶S1と結合している。上部SC1aの直径は、種結晶S1から遠ざかるにつれて大きくなっている。中央部SC1bの直径は、ほぼ一定である。底部SC1cの直径は、種結晶S1から遠ざかるにつれて小さくなっている。
【0014】
InP単結晶SC1のうち中央部SC1bが、半導体ウエハとして利用される。この半導体ウエハは、高周波電子デバイスや光ファイバー通信用半導体素子の基板に用いられる。
【0015】
第1の実施形態のInP単結晶SC1においては、上部SC1aの転位密度D1と底部SC1cの転位密度D2とがほぼ等しい。上部SC1aの転位密度D1と底部SC1cの転位密度D2とは、次式を満たす。
|D2-D1|/D2 ≦ 0.1
また、次式を満たすとさらによい。
|D2-D1|/D2 ≦ 0.06
【0016】
2.単結晶成長装置
図2は、第1の実施形態における半導体単結晶を成長させる成長装置1000の概略構成を示す図である。成長装置1000は、III-V 族化合物半導体をエピタキシャル成長させるための装置である。成長装置1000が成長させるIII-V 族化合物半導体の単結晶は、GaP、InP、GaAs、InAsなどの高解離圧化合物半導体の単結晶である。
【0017】
図2に示すように、成長装置1000は、外部容器1100と、サセプター1200と、下側容器1300と、上側容器1400と、上軸1500と、下軸1600と、メインヒーター1710と、サブヒーター1720と、線ヒーター1730、1735と、材料保持部1810と、上軸封止部1910と、を有する。また、成長装置1000が小さい場合には、サブヒーター1720はなくてもよい。
【0018】
外部容器1100は、耐圧性を備える容器である。外部容器1100は100気圧以上の高圧に耐えることができる。外部容器1100は例えばステンレス製である。また、一部にMoなどの耐熱金属を有してもよい。外部容器1100は、サセプター1200と、下側容器1300と、上側容器1400と、上軸1500の一部と、下軸1600の一部と、上軸封止部1910と、材料保持部1810と、メインヒーター1710と、サブヒーター1720と、線ヒーター1730、1735と、を収容している。
【0019】
サセプター1200は、下側容器1300を支持するためのものである。サセプター1200の材質は、例えば、グラファイトである。サセプター1200の材質は、熱伝導性に優れたものであれば、他の材料であってもよい。サセプター1200は、下軸1600に支持されている。サセプター1200は、下軸1600の動きに応じて下軸1600の軸のまわりに回転することができる。また、サセプター1200は、下軸1600の動きに応じて下軸1600の軸方向に移動することができる。
【0020】
下側容器1300は、原材料を収容するとともにIII-V 族化合物半導体を成長させるための容器である。下側容器1300は、内側壁1310と外側壁1320とを有する。外側壁1320は、内側壁1310よりも外側に位置している。内側壁1310の内部の領域は第1の領域R1である。内側壁1310と外側壁1320との間の領域は第2の領域R2である。つまり、下側容器1300は、第1の領域R1と第2の領域R2とを有する。
【0021】
下側容器1300は、サセプター1200とともに下軸1600の動きに応じて移動することができる。つまり、下側容器1300は、下軸1600の軸のまわりに回転することができ、下軸1600の軸方向に移動することができる。
【0022】
上側容器1400は、上軸1500の周囲を囲む部材である。上側容器1400は、上軸1500の周囲の空間を狭くし、上軸1500の周囲の温度勾配を小さくするためのものである。上側容器1400は、外部容器1100に対して固定されている。上軸1500が回転運動または往復運動しても、上側容器1500は、上軸1500の運動にともなって動くことはない。また、上側容器1400の周囲の線ヒーター1730、1735が、上軸1500および半導体単結晶の周囲を加熱することができる。
【0023】
上側容器1400は、大径部1410と、連結部1420と、小径部1430と、を有する。連結部1420は、大径部1410と小径部1430との間の位置にあり、大径部1410と小径部1430とを連結している。大径部1410と連結部1420と小径部1430とが、下側容器1300に近いほうからこの順序で配置されている。上側容器1400は、円筒形状に近い形状である。大径部1410の内径は、小径部1430の内径よりも大きい。連結部1420においては、内径が小径部1430から大径部1410にむかうにつれて広がっている。小径部1430は、上軸1500の周囲を覆っている。大径部1410は、後述するように、下側容器1300の第2の領域R2に入っている。
【0024】
上軸1500は、種結晶を保持するとともに半導体単結晶を引き上げるための軸である。上軸1500は、軸のまわりに回転することができる。また、上軸1500は、軸方向に往復運動することができる。上軸1500は、種結晶を保持する種結晶保持部1500aを有する。この上軸1500が下側容器1300から遠ざかることにより、上軸1500は種結晶および成長させた半導体単結晶を引き上げることができる。
【0025】
下軸1600は、サセプター1200および下側容器1300を支持する。下軸1600は、軸のまわりに回転することができる。また、下軸1600は、軸方向に往復運動することができる。この下軸1600の移動により、サセプター1200および下側容器1300は回転または軸方向への往復運動をすることができる。下軸1600の中心軸の延長線上には、上軸1500の中心軸がある。
【0026】
メインヒーター1710は、サセプター1200の側面側からサセプター1200および下側容器1300を加熱する。サブヒーター1720は、サセプター1200の底面側からサセプター1200および下側容器1300を加熱する。線ヒーター1730は、上側容器1400の連結部1420を加熱する。線ヒーター1735は、上側容器1400の小径部1430を加熱する。メインヒーター1710、サブヒーター1720、線ヒーター1730、1735は、これらの容器の内側の液体および気体をも加熱する。メインヒーター1710、サブヒーター1720、線ヒーター1730、1735のそれぞれの出力の設定を別々に行うことができる。メインヒーター1710は、下側容器1300の第1の領域R1および第2の領域R2を加熱する第1のヒーターである。サブヒーター1720は、下側容器1300の第1の領域R1および第2の領域R2を加熱する第1のヒーターであってもよい。成長装置1000は、複数のメインヒーター1710、複数のサブヒーター1720、複数の線ヒーター1730、1735を有してもよい。
【0027】
材料保持部1810は、下側容器1300の外部で材料を保持する。材料保持部1810は、例えば、リンを保持する。材料保持部1810は、上側容器1400の上部、すなわち、下側容器1300の側でない位置に配置されている。
【0028】
上軸封止部1910は、上側容器1400と上軸1500との間の隙間を封止するためのものである。
【0029】
また、図示されたもの以外に、成長装置1000は、ガス導入口と圧力調整バルブと排気装置を有している。また、成長装置1000は、上軸1500および下軸1600に回転運動、往復運動を与えるためのモーターおよびアクチュエーターを有する。また、メインヒーター1710等の外側に保温部材を設けてもよい。また、上軸1500は、重量センターを有していてもよい。
【0030】
3.使用時における単結晶成長装置
図3は、第1の実施形態における成長装置1000の使用時を説明するための図である。図3に示すように、使用時においては、内側壁1310の内側の第1の領域R1には、融液M1と液体封止剤E1とが収容されている。融液M1は、例えば、InPが溶融している液体である。融液M1は、InP単結晶の原材料である。液体封止剤E1は、融液M1を封止するための液体である。液体封止剤E1は、融液M1の上に存在する。そのため、融液M1は、下側容器1300と液体封止剤E1に閉じ込められており、気体に接触していない。
【0031】
また、内側壁1310と外側壁1320との間の第2の領域R2には、液体封止剤E2が収容されている。そして、後述するように、上側容器1400の大径部1410が第2の領域R2の内部の液体封止剤E2に浸かっている。
【0032】
4.下側容器と上側容器との間の関係
4-1.構造
図2に示すように、下側容器1300は、内側壁1310に囲まれた第1の領域R1と、内側壁1310と外側壁1320とに囲まれた第2の領域と、を有する。また、上側容器1400の大径部1410は、第2の領域R2の内部に位置している。つまり、上側容器1400の大径部1410の少なくとも一部は、内側壁1310と外側壁1320との間の位置に配置されている。
【0033】
ここで、大径部1410の外径は、外側壁1320の内径よりも小さい。大径部1410の内径は、内側壁1310の外径よりも大きい。
【0034】
下側容器1300の内側壁1310は、端部1310aを有している。下側容器1300の外側壁1320は、端部1320aを有している。上側容器1400の大径部1410は、端部1410aを有している。大径部1410の端部1410aは、内側壁1310の端部1310aおよび外側壁1320の端部1320aよりも低い位置に位置している。大径部1410の端部1410aは、内側壁1310と外側壁1320との間の位置に位置している。
【0035】
4-2.使用時
図3に示すように、半導体単結晶を成長させる際には、内側壁1310と外側壁1320との間の第2の領域R2に液体封止剤E2が収容されている。上側容器1400の大径部1410は、第2の領域R2の内部の液体封止剤E2に浸かっている。そのため、下側容器1300と上側容器1400と液体封止剤E2とは、融液M1を含む領域を密閉している。融液M1を含む領域は、単結晶の周囲の空間である。
【0036】
上側容器1400は、固定されているため移動しない。これに対して、下側容器1300は、下軸1600の回転運動にともなって回転する。その場合、下側容器1300と上側容器1400とが液体封止剤E2により封止された状態で、下側容器1300が回転する。
【0037】
また、材料保持部1810は、リンを保持している。
【0038】
5.単結晶成長装置の製造条件
成長装置1000における製造条件を表1に示す。表1で挙げた数値範囲は、あくまで目安であり、必ずしもこの数値範囲である必要はない。炉内温度は、例えば、400℃以上800℃以下の範囲内である。成長装置1000の炉内圧力は、例えば、30気圧以上80気圧以下の範囲内である。また、メインヒーター1710の電力は、例えば、20kW以上30kW以下である。サブヒーター1720の電力は、例えば、500W以上2000W以下である。
【0039】
第1の領域R1の温度は、例えば、InPの融点(1062℃)以上1300℃以下である。メインヒーター1710は、至近距離にあるサセプター1200を局所的に加熱し、サセプター1200の熱は下側容器1300に伝わる。このため、下側容器1300の第1の領域R1の内部の温度を他の領域の温度、例えば、炉内温度よりも高くすることができる。
【0040】
[表1]
第1の領域の温度 1062℃以上 1300℃以下
炉内温度 400℃以上 800℃以下
炉内圧力 30気圧以上 80気圧以下
【0041】
6.半導体単結晶の製造方法
ここで、成長装置1000を用いるInP単結晶を製造する場合について説明する。
【0042】
6-1.準備工程
まず、InPからなる多結晶を準備する。InP多結晶を下側容器1300の第1の領域R1に直接入れる。次に、液体封止剤E1をInP多結晶の上に置く。液体封止剤E1として例えば、B2 3 などの酸化物、KClなどの塩化物が挙げられる。また、下側容器1300の第2の領域R2に液体封止剤E2を入れる。液体封止剤E2として例えば、B2 3 などの酸化物、KClなどの塩化物が挙げられる。
【0043】
なお、原材料であるInP多結晶および液体封止剤E1については、適当な大きさに破砕しておくとよい。液体封止剤E1の供給量は、液体封止剤E1が溶融したときの厚みが15mm以上30mm以下となる量であるとよい。液体封止剤E1の厚みが15mmより薄いと、V 族元素が成長させる半導体単結晶から抜けやすい。液体封止剤E1の厚みが30mmより厚いと、成長させる半導体が双結晶または多結晶になりやすい。
【0044】
6-2.加圧昇温工程
次に、外部容器1100の内部を加圧しながら、サセプター1200および下側容器1300を加熱する。外部容器1100を加圧するために、Arガスや窒素ガス等の不活性ガスを供給する。サセプター1200および下側容器1300を加熱するために、メインヒーター1710、サブヒーター1720を用いる。上側容器1400を加熱するために、線ヒーター1730、1735を用いる。まず、下側容器1300の温度を液体封止剤E1が融解する温度まで上昇させた後に一定時間保持する。この段階で、図3に示すように、下側容器1300の内部で融液M1の上に液体封止剤E1が存在する状態になる。また、第2の領域R2の液体封止剤E2も溶融する。
【0045】
下側容器1300の第2の領域R2の液体封止剤E2が溶融したところで、上側容器1400の大径部1410を第2の領域R2の液体封止剤E2に浸す。実際には、下軸1600により、下側容器1300を上側容器1400に向かって移動させる。これにより、下側容器1300と上側容器1400と液体封止剤E2とにより、融液M1の周囲の空間が密閉される。そして、再び下側容器1300の温度を上昇させてInP多結晶を溶解させる。下側容器1300と上側容器1400とが密閉された後には、材料保持部1810のリンが蒸発する。
【0046】
6-3.種付け工程
次に、種結晶S1を有する上軸1500を融液M1に向けて下降させる。そして、種結晶S1を融液M1に浸漬させる。そして、種結晶S1を融液M1に浸漬させた状態で一定時間保持する。これにより、種結晶S1を起点にしてInP単結晶が成長しはじめる。つまり、InP単結晶SC1の上部SC1aが成長しはじめる。
【0047】
6-4.引き上げ工程
次に、上軸1500を上昇させることにより、種結晶S1から成長したInP単結晶SC1を引き上げる。InP単結晶SC1の引き上げを開始した後に、InP単結晶SC1を引き上げつつ、下側容器1300の温度を所定の降下速度で低下させる。これにより、InP単結晶SC1の上部SC1aの直径が大きくなる。InP単結晶SC1の直径が所望の大きさになったところで下側容器1300の温度を一定にする。そして、下側容器1300の温度を一定に保持しつつ、InP単結晶SC1を引き上げる。これにより、直径が一定なInP単結晶SC1の中央部SC1bを成長させることができる。そして、ある程度の長さのInP単結晶SC1を引き上げたところで、下側容器1300の温度を上昇させる。これにより、InP単結晶SC1を融液M1から分離させる。この分離の際に、InP単結晶SC1の底部SC1cが形成される。
【0048】
なお、引き上げ速度は、3mm/hr以上30mm/hr以下である。好ましくは、5mm/hr以上12mm/hr以下である。また、InP単結晶SC1を融液M1から分離させるために、下側容器1300の温度を上昇させる代わりに、引き上げ速度を速くしてもよい。
【0049】
6-5.冷却工程
次に、InP単結晶SC1を途中まで引き上げている状態で炉内温度を下降させる。このように下側容器1300と上側容器1400と液体封止剤E1とにより密閉されている領域の温度を下降させることにより、InP単結晶SC1は冷却される。このため、InP単結晶SC1は熱応力により破損するおそれがない。
【0050】
このように、InP単結晶SC1の製造方法においては、内側壁1310と外側壁1320とを有する下側容器1300における内側壁1310の内部の第1の領域R1に原材料および液体封止剤E1を供給する。次に、下側容器1300の内側壁1310と外側壁1320との間の第2の領域R2に液体封止剤E2を供給する。次に、上側容器1400の一部が第2の領域R2の液体封止剤E2に浸かるようにして下側容器1300と上側容器1400と液体封止剤E2とにより第1の領域R1の周囲の空間を密閉する。次に、第1の領域R1の原材料を溶融させて融液M1とする。そして、種結晶S1を融液M1に浸漬させることにより半導体単結晶を成長させる。
【0051】
7.第1の実施形態の効果
7-1.密閉性および圧力制御性
第1の実施形態の成長装置1000は、下側容器1300と上側容器1400とを有する。下側容器1300は、内側壁1310に囲まれた第1の領域R1と、内側壁1310と外側壁1320とに囲まれた第2の領域R2と、を有する。このように下側容器1300では、半導体単結晶を成長させる第1の領域R1と、第1の領域R1を密閉するための第2の領域R2とが、一体になっている。そのため、成長装置1000は、半導体単結晶を成長させる空間を容易に密閉することができる。また、下側容器1300と上側容器1400とを液体封止剤E2を用いて密閉しているため、密閉空間の内外の圧力制御が比較的容易である。つまり、成長装置1000は、単結晶成長中に単結晶の表面からV 族元素が分解すること抑制しつつ、単結晶を成長させることができる。
【0052】
第1の実施形態では、下側容器1300は下軸1600とともに回転可能であるのに対し、上側容器1400は、上軸1500とともに回転しない。上側容器1400は、外部容器1100に対して固定されているのに対し、下側容器1300は、外部容器1100に対して固定されておらず、下軸1600のまわりの回転運動および下軸1600の軸方向への往復運動をすることができる。このように、成長装置1000は、固定された上側容器1400と回転可能な下側容器1300とを封止することができる。
【0053】
また、前述のように、大径部1410の内径は、小径部1430の内径よりも大きい。連結部1420においては、内径が小径部1430から大径部1410にむかうにつれて広がっている。小径部1430は、上軸1500の周囲を覆っている。この構造のため、上側容器1400の容積は、特許文献1に比べて十分に小さい。そのため、上側容器1400の内部の温度制御性が向上している。その結果、結晶性に優れた単結晶を製造することができる。
【0054】
7-2.温度制御性
単結晶成長時には、下側容器1300と上側容器1400と第2の領域R2の液体封止剤E2とによりInPの融液M1を密閉する。そのため、前述のように、InP単結晶SC1は、好適に密閉された領域内で成長する。上側容器1400は小径部1430を有する。そのため、種結晶のまわりの空間、すなわち密閉体積は比較的小さい。このため、半導体単結晶のまわりの温度勾配は小さい。また、メインヒーター1710、サブヒーター1720、線ヒーター1730、1735があるため、半導体単結晶のまわりの温度勾配は十分に小さい。したがって、成長時または冷却時における半導体単結晶の内部の熱応力を小さくすることができる。このため、半導体単結晶の転位密度は低い。つまり、半導体単結晶の結晶性はよい。
【0055】
成長装置1000では、液体封止剤E1内の引き上げ軸方向の温度勾配は100℃/cm以下である。温度勾配が小さいため、転位密度を5×104 cm-2未満とすることができる。従来のLEC法の成長装置では、液体封止剤E1内の引き上げ軸方向の温度勾配は130℃/cm以上である。温度勾配が大きいため、転位密度が8×104 cm-2以上となってしまう。
【0056】
7-3.融液の状態
また、上側容器1400の大径部1410が第1の領域R1の融液M1に接触していない。つまり、上側容器1400を用いて密閉した場合に、融液M1の状態に悪影響を与えない。このように、封止する箇所を有する下側容器1300および上側容器1400が、InP単結晶SC1を成長させる上で障害になることがない。
【0057】
7-4.大口径の半導体単結晶
また、この半導体単結晶の製造方法においては、大口径の半導体単結晶を成長させることができる。
【0058】
8.変形例
8-1.III-V 族化合物半導体
第1の実施形態の半導体単結晶の製造方法はInP単結晶の製造方法である。成長装置1000は、InP単結晶以外にGaP単結晶、GaAs単結晶、InAs単結晶を製造することもできる。
【0059】
8-2.2つの下側容器
第1の領域R1および第2の領域R2は、一体の下側容器1300が収容する空間である。しかし、第1の下側容器が第1の領域R1を有し、第2の下側容器が第2の領域R2を有してもよい。
【0063】
8-6.引き上げ軸方向の温度勾配
第1の液体封止剤E1における引き上げ軸方向の温度勾配を、半導体単結晶の引き上げの開始から徐々に小さくする。これにより、InP単結晶SC1における上部と下部との転位密度の差が小さくなる。
【0064】
8-7.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
【0065】
(実験)
A.実験1
1.準備
InP多結晶を原材料として準備した。InP多結晶を適当な大きさに破砕し、ブロームエタノールで表面をエッチングして純水で洗浄し、乾燥させた。p-BN製の坩堝にInP多結晶を充填した。液体封止剤としてB2 3 を準備した。B2 3 を適当な大きさに破砕した。B2 3 が溶融したときにその厚さが多結晶原料からリンが分解揮発しにくい量をInP多結晶の上に置いた。
【0066】
また、第2の領域R2にB2 3 を充填した。B2 3 が溶融したときに30mmの厚みとなる量を第2の領域R2に供給した。
【0067】
2.加圧昇温
炉内に不活性ガスとして窒素ガスを供給した。炉内の圧力は25気圧まで上昇させるとともに下側容器1300を加熱した。まず、液体封止剤を溶融させるために600℃まで昇温して60分保持した。この温度での炉内圧力は35気圧である。この状態で、上側容器1400の大径部1410を第2の領域R2のB2 3 に浸した。この段階で、下側容器1300および上側容器1400の内部の領域は封止された。封止された後には、材料保持部1810のリンが蒸発する。その後、InP多結晶を溶融させるために1250℃まで昇温して60分保持した。この温度での炉内圧力は45気圧である。この状態で加熱を続け、下側容器1300の内部で上軸1500の軸方向に温度勾配をつけた。上側容器1400の連結部1420で500℃、小径部1430で500℃であった。
【0068】
3.種付け
InPが十分に溶解した後に、InPの温度をInPの融点近傍の1125℃程度まで下げた。InPの温度を調整し、引き上げ開始温度を決定した。
【0069】
4.引き上げ
上軸1500の種結晶S1を降下させてInP融液に浸漬させた。このとき、種結晶S1は、5rpmで時計回りに回転させた。種結晶S1のInP融液への浸漬の開始から10分経過した後に、10mm/hrの速度でInP単結晶SC1の引き上げを開始した。InP単結晶SC1を引き上げ始めてから坩堝の温度を2℃/hrから10℃/hrで低下させて単結晶のコーン部を形成した。これにより、InP単結晶SC1の直径が大きくなる。InP単結晶SC1の直径が110mm程度になったところで、InP単結晶SC1の直径がほぼ一定となるように坩堝の冷却温度を調整した。InP単結晶SC1における一定の直径の部分の長さが50mmとなったところで坩堝の温度を上昇させてInP単結晶SC1をInP融液から切り離した。
【0070】
5.冷却
InP単結晶SC1をInP融液から分離させた状態で、炉内の温度を100℃/hr程度で冷却した。また、坩堝の温度が600℃程度まで冷却したところで、上側容器1400の大径部1410を第2の領域R2の液体封止剤から離脱させた。液体封止剤の固化により、下側容器1300と上側容器1400とが固着することを防止するためである。
【0071】
6.結果
InP単結晶が得られた。InP単結晶SC1の頂部におけるInP単結晶SC1の転位密度は、3.2×104 cm-2であった。InP単結晶SC1の底部におけるInP単結晶SC1の転位密度は、3.4×104 cm-2であった。このとき、|D2-D1|/D2 = 0.059である。
【0072】
B.実験2(比較例)
1.実験方法
実験2の実験方法が実験1の実験方法と異なる点は、通常のLEC法を用いたことである。つまり、上側容器1400を設けず、リン蒸気圧を印加しないでInP結晶を成長させた。この場合には、液体封止剤E1内の引き上げ軸方向の温度勾配は130℃/cm以上である。
【0073】
2.結果
InP単結晶が得られた。InP単結晶SC1の頂部におけるInP単結晶SC1の転位密度は、8×104 cm-2であった。InP単結晶SC1の底部におけるInP単結晶SC1の転位密度は、1.5×105 cm-2であった。液体封止剤E1内の引き上げ軸方向の温度勾配が、実験1の場合よりも大きいためである。
【0074】
(付記)
第1の態様における単結晶成長装置は、種結晶を保持するための上軸と、原材料または坩堝を収容するための下側容器と、上軸のまわりを囲む上側容器と、を有する。上側容器は、大径部と、小径部と、大径部と小径部とを連結する連結部と、を有する。下側容器は、内側壁と、内側壁よりも外側に位置する外側壁と、を有する。大径部と連結部と小径部とが、下側容器に近いほうからこの順序で配置されている。大径部の外径は、外側壁の内径よりも小さい。大径部の内径は、内側壁の外径よりも大きい。
【0075】
第2の態様における単結晶成長装置においては、大径部の少なくとも一部は、内側壁と外側壁との間の位置に配置されている。
【0076】
第3の態様における単結晶成長装置においては、単結晶を成長させる際に、内側壁と外側壁との間の領域に液体が収容されている。大径部は、液体に浸かっている。下側容器と上側容器と液体とが、単結晶の周囲の空間を密閉する。
【0077】
第4の態様における単結晶成長装置は、下側容器を加熱する第1のヒーターと、上側容器の小径部および連結部を加熱する線ヒーターと、を有する。下側容器は、内側壁に囲まれた第1の領域と、内側壁と外側壁とに囲まれた第2の領域と、を有する。第1のヒーターは、第1の領域および第2の領域を加熱する。
【0078】
第5の態様における単結晶成長装置は、複数の第1のヒーターを有する。
【0079】
第6の態様における単結晶成長装置は、下側容器を支持する下軸を有する。
【0080】
第7の態様におけるIII-V 族半導体単結晶の製造方法においては、内側壁と外側壁とを有する下側容器における内側壁の内部の第1の領域に原材料および第1の液体封止剤を供給する。次に、下側容器の内側壁と外側壁との間の第2の領域に第2の液体封止剤を供給する。次に、上側容器の一部が第2の領域の第2の液体封止剤に浸かるようにして下側容器と上側容器と第2の液体封止剤とにより第1の領域の周囲の空間を密閉する。次に、第1の領域の原材料を溶融させて融液とする。そして、種結晶を融液に浸漬させることにより半導体単結晶を成長させる。
【0081】
第8の態様におけるIII-V 族半導体単結晶の製造方法においては、第1の液体封止剤における引き上げ軸方向の温度勾配を、半導体単結晶の引き上げの開始から徐々に小さくする。
【0082】
第9の態様におけるIII-V 族半導体単結晶の製造方法においては、半導体単結晶の上部の転位密度D1と半導体単結晶の底部の転位密度D2とは、次式 |D2-D1|/D2 ≦ 0.1 を満たす。
【符号の説明】
【0083】
1000…成長装置
1100…外部容器
1200…サセプター
1300…下側容器
1400…上側容器
1410…大径部
1420…連結部
1430…小径部
1500…上軸
1600…下軸
1710…メインヒーター
1720…サブヒーター
1730…線ヒーター
図1
図2
図3