(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】可変剛性連結体
(51)【国際特許分類】
B25J 17/00 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
B25J17/00 L
(21)【出願番号】P 2020090977
(22)【出願日】2020-05-25
【審査請求日】2023-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100143834
【氏名又は名称】楠 修二
(72)【発明者】
【氏名】多田隈 建二郎
(72)【発明者】
【氏名】向出 陸央
(72)【発明者】
【氏名】恩田 一生
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 将広
(72)【発明者】
【氏名】昆陽 雅司
(72)【発明者】
【氏名】田所 諭
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-096485(JP,A)
【文献】特開2019-202376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に並べて連結された複数の連結部材を有し、隣り合う連結部材が所定の方向に伸びる回転軸を中心として互いに回転可能に設けられた連結体と、
各連結部材の前記回転軸に対応して設けられ、対応する前記回転軸と同軸で回転するよう、前記連結体の同じ側に配置された複数のプーリーと、
先端部が前記連結体の最も一端側のプーリーに固定され、前記連結体の一端側から他端側に向かって、各プーリーに
同じ巻き付け方向で少なくとも1回転ずつ巻き付けられて伸びる回転用紐体とを有し、
前記連結体は、前記回転軸を中心として回転しないよう各連結部材を固定する固定状態と、前記回転軸を中心として回転可能に各連結部材を解放する回転状態とを切替可能に設けられ
ており、先端部が最も一端側の連結部材に固定され、後端部を前記他端側に向かって引くことにより、各連結部材を前記回転状態から前記固定状態に切替可能に、前記一端側から前記他端側に向かって伸びる切替用紐体を有し、
各プーリーは、対応する前記回転軸を中心として回転する隣り合う連結部材のうち、一端側の連結部材または他端側の連結部材と共に回転するよう設けられており、
前記回転状態のとき、前記回転用紐体の後端部を前記他端側に向かって引くことにより、各プーリーと共に各連結部材を回転可能に構成されていることを
特徴とする可変剛性連結体。
【請求項2】
前記回転用紐体を前記他端側に引く操作と、前記回転用紐体を緩める操作と、前記切替用紐体を前記他端側に引く操作と、前記切替用紐体を前記他端側に引いた状態を保持する操作と、前記切替用紐体を緩める操作とを実行可能であり、前記回転用紐体と前記切替用紐体とを同時または選択的に操作可能に設けられた操作手段を有することを特徴とする請求項
1記載の可変剛性連結体。
【請求項3】
各プーリーに対応して、各プーリーと同軸で回転可能に設けられた複数の反転用プーリーと、
先端部が前記連結体の最も一端側の反転用プーリーに固定され、前記連結体の一端側から他端側に向かって、各反転用プーリーに少なくとも1回転ずつ、前記回転用紐体とは反対向きに巻き付けられて伸びる反転用紐体とを、
有することを特徴とする請求項1
または2記載の可変剛性連結体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変剛性連結体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外力を与えたときに変形しやすい柔軟な状態と、接触時に外部に力を伝えることが可能な高剛性の状態とを切り替える機構を利用して、例えば、柔軟時に対象物に押し付けてその形状になじませ、その状態で高剛性に切り替えることにより、対象物を把持するグリッパなどが提案されている。特に、可動範囲が広いものとして、ワイヤに通して一列に並べられた数珠から成るグリッパに対し、ワイヤに張力を加えることにより、剛性を高める機構が開発されている(例えば、特許文献1、非特許文献1または2参照)。
【0003】
また、複数の連結部材を一列に並べて互いに回転可能に連結して成るグリッパであって、各連結部材の連結部分(間接部分)が、厚み方向に所定の間隔をあけて櫛状に積層した複数の薄板を有し、隣り合う連結部材が、その薄板同士を噛み合わせて連結されており、その薄板の厚み方向に荷重を加えることにより、関節部分の剛性を高めるものも開発されている(例えば、非特許文献3または4参照)。また、同様に、複数の連結部材を一列に並べて互いに回転可能に連結して成るグリッパであって、各連結部材の連結部分(間接部分)が、径方向に所定の間隔をあけて同心円状に積層した複数の円筒を有し、連結部材の各円筒に噛み合う同心円状の複数の円筒を2組有するジョイントにより各連結部材が連結されており、あるいは、隣り合う連結部材の各円筒を噛み合わせて連結されており、各円筒の径方向に荷重を加えることにより、関節部分の剛性を高めるものも開発されている(例えば、非特許文献3または4参照)。
【0004】
また、複数の連結部材を一列に並べて互いに回転可能に連結して成るグリッパであって、対象物の形状になじませるために、各連結部材の連結位置(間接部分)を回転操作可能に構成されたものとして、各関節部分の回転軸と同軸で回転するようプーリーを設け、ワイヤを先端側から後端側まで各プーリーに1回転ずつ巻き付けて張ったものがある(例えば、非特許文献5参照)。このグリッパは、ワイヤを後端側に引くことにより、プーリーと共に各連結部材を各関節部分で回転させることができるため、任意の形状の対象物に巻き付けてその形状になじませることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Amir Degani and Howie Choset, “Highly Articulated Robotic Probe for Minimally Invasive Surgery”, IEEE International Conference on Robotics and Automation Orlando, May 2006, p.4167-4172
【文献】藤本敏彰、清水杜織、藤田政宏、高根英里、林聡輔、渡辺将広、多田隈建二郎、昆陽雅司、田所諭、「1次元柔剛切替メカニズムを活用したトーラスグリッパ機構 ― 線状ジャミング転移機構を基軸とした構造例」、第36回日本ロボット学会学術講演会、2018年、RSJ2018A C3K1-01
【文献】向出陸央、清水杜織、小澤悠、高橋知也、渡辺将広、多田隈建二郎、昆陽雅司、田所諭、「径方向層状ジャミング機構」、2019年、第37回日本ロボット学会学術講演会予稿集、1I1-06
【文献】Rio Mukaide, Masahiro Watanabe, Kenjiro Tadakuma, Yu Ozawa, Tomoya Takahashi, Masashi Konyo, and Satoshi Tadokoro, “Radial-Layer Jamming Mechanism for String Configuration”, IEEE Robotics and Automation Letters, [online], 30 March 2020, DOI: 10.1109/LRA.2020.2983679
【文献】Shigeo Hirose and Yoji Umetani, “The Development of Soft Gripper for the Versatile Robot Hand”, Mechanism and Machine Theory, 1978, Vol. 13, p.351-359
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、非特許文献1および2に記載の数珠を一列に並べた可変剛性機構では、長尺化すると、数珠とワイヤとの接触面積が増えるため、摩擦による力の損失が大きくなり、高剛性状態にするのが困難になるという課題があった。また、自ら形状を変化させることができないという課題もあった。また、非特許文献3または4に記載の複数の薄板や複数の円筒を噛み合わせて関節部分の剛性を高める可変剛性機構では、比較的弱い力で高剛性状態を保持することができるが、自ら形状を変化させることができないという課題があった。自ら形状を変化させることができないと、例えば、グリッパとして用いたとき、対象物を把持する際に、対象物の形状や位置によっては把持するのが困難である。また、非特許文献5に記載のプーリーを利用して関節部分を回転操作可能な可変剛性機構では、自ら形状を変化させることはできるものの、高剛性状態にするために、比較的強い力でワイヤを引く必要があり、高剛性状態を保持し続けるが困難であるという課題があった。
【0008】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、自ら形状を変化させることができると共に、比較的小さい力で高剛性状態を保持することができる可変剛性連結体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る可変剛性連結体は、一列に並べて連結された複数の連結部材を有し、隣り合う連結部材が所定の方向に伸びる回転軸を中心として互いに回転可能に設けられた連結体と、各連結部材の前記回転軸に対応して設けられ、対応する前記回転軸と同軸で回転するよう、前記連結体の同じ側に配置された複数のプーリーと、先端部が前記連結体の最も一端側のプーリーに固定され、前記連結体の一端側から他端側に向かって、各プーリーに少なくとも1回転ずつ巻き付けられて伸びる回転用紐体とを有し、前記連結体は、前記回転軸を中心として回転しないよう各連結部材を固定する固定状態と、前記回転軸を中心として回転可能に各連結部材を解放する回転状態とを切替可能に設けられ、各プーリーは、対応する前記回転軸を中心として回転する隣り合う連結部材のうち、一端側の連結部材または他端側の連結部材と共に回転するよう設けられており、前記回転状態のとき、前記回転用紐体の後端部を前記他端側に向かって引くことにより、各プーリーと共に各連結部材を回転可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る可変剛性連結体は、回転用紐体が各プーリーに少なくとも1回転ずつ巻き付けられているため、連結体が回転状態のとき、回転用紐体の後端部を他端側に向かって引くことにより、各プーリーを回転させることができる。また、各プーリーが、対応する回転軸を中心として回転する隣り合う連結部材のうち、一端側の連結部材または他端側の連結部材と共に回転するよう設けられているため、各プーリーと共に各連結部材を回転させることができる。このように、本発明に係る可変剛性連結体は、回転用紐体を引いて各連結部材を回転させることにより、連結体の形状を自ら変化させることができる。このため、例えば、グリッパとして用いたとき、任意の形状の対象物に巻き付けて、対象物を容易に把持することができる。
【0011】
また、本発明に係る可変剛性連結体は、連結体の固定状態と回転状態とを切り替える機構が、回転状態のときに連結体の形状を変化させる機構とは異なるため、これらを同じ機構で行う従来の構成と比べて、連結体を固定状態にして高剛性状態を保持するための力を小さくすることができる。このため、例えば、グリッパとして用いたとき、比較的小さい力で対象物を把持し続けることができる。
【0012】
本発明に係る可変剛性連結体で、前記回転用紐体は、各プーリーに同じ巻き付け方向で巻き付けられていることが好ましい。この場合、回転用紐体を引くことにより、各連結部材を同じ方向に回転させることができる。また、各プーリーは、半径が異なっていてもよい。この場合、その半径に応じたトルクを、対応する連結部材に及ぼすことができる。また、各プーリーに対応して、各プーリーと同軸で回転可能に設けられた複数の反転用プーリーと、先端部が連結体の最も一端側の反転用プーリーに固定され、連結体の一端側から他端側に向かって、各反転用プーリーに少なくとも1回転ずつ、回転用紐体とは反対向きに巻き付けられて伸びる反転用紐体とを有していてもよい。この場合、回転用紐体を緩めて反転用紐体を引くことにより、各連結部材を逆方向に回転させることができ、例えば、グリッパとして用いたとき、把持した対象物を解放することができる。
【0013】
本発明に係る可変剛性連結体で、連結体は、いかなる構成で固定状態と回転状態とを切替可能になっていてもよい。例えば、前記連結体は、先端部が最も一端側の連結部材に固定され、後端部を前記他端側に向かって引くことにより、各連結部材を前記回転状態から前記固定状態に切替可能に、前記一端側から前記他端側に向かって伸びる切替用紐体を有していてもよい。この場合、例えば、各連結部材の連結部分が、厚み方向に所定の間隔をあけて櫛状に積層した複数の薄板を有し、隣り合う連結部材が、その薄板同士を噛み合わせて連結されており、切替用紐体を引くことにより、その薄板の厚み方向に荷重を加えるよう構成されていてもよい。また、例えば、各連結部材の連結部分が、径方向に所定の間隔をあけて同心円状に積層した複数の円筒を有し、連結部材の各円筒に噛み合う同心円状の複数の円筒を2組有するジョイントにより各連結部材が連結されており、あるいは、隣り合う連結部材の各円筒を噛み合わせて連結されており、切替用紐体を引くことにより、各円筒の径方向に荷重を加えるよう構成されていてもよい。
【0014】
また、この切替用紐体を有する場合、前記回転用紐体を前記他端側に引く操作と、前記回転用紐体を緩める操作と、前記切替用紐体を前記他端側に引く操作と、前記切替用紐体を前記他端側に引いた状態を保持する操作と、前記切替用紐体を緩める操作とを実行可能であり、前記回転用紐体と前記切替用紐体とを同時または選択的に操作可能に設けられた操作手段を有していてもよい。また、反転用紐体を有する場合には、操作手段は、反転用紐体を他端側に引く操作と、反転用紐体を緩める操作とをさらに実行可能であり、回転用紐体と反転用紐体と切替用紐体とを同時または選択的に操作可能であってもよい。これらのとき、操作手段により、連結体の固定状態と回転状態とを切り替える操作、および、回転状態のときに連結体の形状を変化させる操作を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、自ら形状を変化させることができると共に、比較的小さい力で高剛性状態を保持することができる可変剛性連結体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態の可変剛性連結体の、上方からの斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態の可変剛性連結体の側面図である。
【
図3】本発明の実施の形態の可変剛性連結体の、下方からの斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態の可変剛性連結体の、反転用プーリーおよび反転用紐体を有する変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至
図4は、本発明の実施の形態の可変剛性連結体を示している。
図1乃至
図3に示すように、可変剛性連結体10は、連結体11と複数のプーリー12と回転用紐体13と操作手段14とを有している。
【0018】
連結体11は、複数の連結部材21と切替用紐体22とを有している。各連結部材21は、直方体の対向する1つの面を外側に鈍角で突出させた六角柱形状を成し、その鈍角で突出させた1対の端部を、隣り合う連結部材21の端部と対向させるようにして、一列に並べて連結されている。各連結部材21は、一方の端部に、中心角が180度より大きい円柱状に突出した突出部21aを有している。その突出部21aは、一方の端部の鈍角の角を中心軸として設けられ、その中心軸から径方向に所定の間隔をあけて同心円状に積層した複数の円筒21bを有している。各円筒21bは、中心軸に対して180度以上の範囲で設けられている。また、各連結部材21は、他方の端部が、その鈍角の角を中心軸として、その中心軸から径方向に所定の間隔をあけて同心円状に積層した複数の円筒21cを有している。各円筒21cは、中心軸に対して180度以下の範囲で設けられている。各円筒21cは、各円筒21bの間にそれぞれ挿入して、互いに噛み合うよう設けられている。
【0019】
各連結部材21は、隣り合う連結部材21のうち、連結体11の一端側の連結部材21の他方の端部の各円筒21cと、他端側の連結部材21の一方の端部の各円筒21bとを噛み合わせて連結されている。各連結部材21は、隣り合う連結部材21のうち、他端側の連結部材21の一方の端部の各円筒21bの中心角の方が、一端側の連結部材21の他方の端部の各円筒21cの中心角より大きいため、その中心角の差の分だけ、互いに噛み合った各円筒21b、21cの中心軸周りに回転可能になっている。これにより、連結体11は、隣り合う連結部材21が、その連結部分(関節部分)で、所定の方向に伸びる回転軸を中心として互いに回転可能になっている。
【0020】
また、各連結部材21は、一方の端部から他方の端部に伸びる中心線に沿って貫通した貫通孔21dを有している。貫通孔21dは、その貫通方向に対して垂直な断面で、関節部分の回転軸に対して垂直方向に広くなるよう形成されている。また、貫通孔21dは、各円筒21b、21cも貫通している。
【0021】
切替用紐体22は、連結体11の一端側から他端側まで、連結された各連結部材21の貫通孔21dを通って伸びている。切替用紐体22は、先端部が最も一端側の連結部材21に固定されており、後端部を他端側に向かって引くことにより、関節部分で各円筒21bの径方向に荷重を加えるよう構成されている。これにより、連結体11は、回転軸を中心として回転しないよう、切替用紐体22を他端側に引いて各連結部材21を固定する固定状態と、回転軸を中心として回転可能に、切替用紐体22を緩めて各連結部材21を解放する回転状態とを切替可能に構成されている。
【0022】
各プーリー12は、それぞれ各連結部材21の関節部分の回転軸に対応して設けられている。各プーリー12は、対応する回転軸と同軸で回転するよう設けられ、連結体11の同じ側に配置されている。また、各プーリー12は、対応する回転軸を中心として回転する隣り合う連結部材21のうち、一端側の連結部材21と共に回転するよう設けられている。なお、各プーリー12は、他端側の連結部材21と共に回転するよう設けられていてもよい。
【0023】
回転用紐体13は、連結体11の一端側から他端側まで、各プーリー12に同じ巻き付け方向で1回転ずつ巻き付けられて伸びている。回転用紐体13は、先端部が連結体11の最も一端側のプーリー12に固定されている。これにより、可変剛性連結体10は、連結体11が回転状態のとき、回転用紐体13の後端部を他端側に向かって引くことにより、各プーリー12と共に各連結部材21を同じ方向に回転可能に構成されている。
【0024】
操作手段14は、1対のモータ(図示せず)を有し、一方のモータにより、回転用紐体13を他端側に引く操作と、回転用紐体13を緩める操作を行い、他方のモータにより、切替用紐体22を他端側に引く操作と、切替用紐体22を他端側に引いた状態を保持する操作と、切替用紐体22を緩める操作とを行うよう構成されている。操作手段14は、各モータを操作することにより、回転用紐体13と切替用紐体22とを同時または選択的に操作可能になっている。
【0025】
次に、作用について説明する。
可変剛性連結体10は、回転用紐体13が各プーリー12に1回転ずつ巻き付けられているため、連結体11が回転状態のとき、回転用紐体13の後端部を他端側に向かって引くことにより、各プーリー12を回転させることができる。また、各プーリー12が、対応する回転軸を中心として回転する隣り合う連結部材21のうち、一端側の連結部材21と共に回転するよう設けられているため、各プーリー12と共に各連結部材21を回転させることができる。このように、可変剛性連結体10は、回転用紐体13を引いて各連結部材21を回転させることにより、連結体11の形状を自ら変化させることができる。このため、例えば、グリッパとして用いたとき、任意の形状の対象物に巻き付けて、対象物を容易に把持することができる。
【0026】
また、可変剛性連結体10は、連結体11の固定状態と回転状態との切り替えを切替用紐体22により行い、回転状態のときに連結体11の形状の変化を回転用紐体13により行うよう構成されており、これらの機構が異なっている。このため、これらを同じ機構で行う従来の構成と比べて、連結体11を固定状態にして高剛性状態を保持するための力を小さくすることができる。このため、例えば、グリッパとして用いたとき、比較的小さい力で対象物を把持し続けることができる。可変剛性連結体10は、グリッパとしての利用に限らず、移動装置やロボットアーム等としても利用することができる。
【0027】
なお、可変剛性連結体10で、連結体11は、隣り合う連結部材21の一端側の連結部材21の他方の端部の各円筒21cと、他端側の連結部材21の一方の端部の各円筒21bとにそれぞれ噛み合う、同心円状の複数の円筒を2組有するジョイントを有し、そのジョイントの各円筒を、隣り合う連結部材21の各円筒21b、21cに噛み合わせることにより、各連結部材21が連結されていてもよい。この場合にも、切替用紐体22を引くことにより、各円筒21bの径方向に荷重を加えることができ、連結体11の固定状態と回転状態とを切り替えることができる。
【0028】
また、連結体11は、各連結部材21の両端部が、厚み方向に所定の間隔をあけて櫛状に積層した複数の薄板を有し、隣り合う連結部材21の薄板同士を噛み合わせることにより、各連結部材21が連結されていてもよい。この場合、噛み合った各薄板を貫通する回転軸により、各関節部分で、各連結部材21を回転可能に構成し、さらに、例えば、各関節部分の回転軸の両端を通って伸びるよう切替用紐体22を設けることにより、その回転軸に沿って各薄板に荷重を印加可能に構成する。これにより、切替用紐体22を引くことにより、その薄板の厚み方向に荷重を加えることができ、連結体11の固定状態と回転状態とを切り替えることができる。
【0029】
また、可変剛性連結体10で、各プーリー12は、半径が異なっていてもよい。この場合、その半径に応じたトルクを、対応する連結部材21の関節部分に及ぼすことができる。
【0030】
また、
図4に示すように、可変剛性連結体10は、各プーリー12に対応して、各プーリー12と同軸で回転可能に設けられた複数の反転用プーリー31と、先端部が連結体11の最も一端側の反転用プーリー31に固定され、連結体11の一端側から他端側に向かって、各反転用プーリー31に少なくとも1回転ずつ、回転用紐体13とは反対向きに巻き付けられて伸びる反転用紐体32とを有していてもよい。この場合、回転用紐体13を緩めて反転用紐体32を引くことにより、各連結部材21を逆方向に回転させることができる。これにより、例えば、グリッパとして用いたとき、把持した対象物を解放することができる。また、この場合、操作手段14が、反転用紐体32を他端側に引く操作と、反転用紐体32を緩める操作とをさらに実行可能であり、回転用紐体13と反転用紐体32と切替用紐体22とを同時または選択的に操作可能であってもよい。
【符号の説明】
【0031】
10 可変剛性連結体
11 連結体
21 連結部材
21a 突出部
21b、21c 円筒
21d 貫通孔
22 切替用紐体
12 プーリー
13 回転用紐体
14 操作手段
31 反転用プーリー
32 反転用紐体