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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 15/00 20060101AFI20240508BHJP
   H02P 5/74 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
F04D15/00 D
F04D15/00 Z
H02P5/74
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020107632
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022003233
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】実用新案登録第2538255(JP,Y2)
【文献】特開2019-134606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 15/00
H02P 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ部及びモータ部を有する複数の電動ポンプを備える給水装置において、
複数の前記電動ポンプそれぞれを制御する制御部であって、それら電動ポンプと同数設けられた複数の制御部と、
複数の前記制御部それぞれと通信可能な操作基板であって、稼働可能な前記電動ポンプの台数を認識する台数カウント機能を実行可能な操作基板と
前記操作基板に設けられ、自動モードを実行させる際に作業者により選択操作されるモード設定部と、
当該給水装置の吐出し圧力を検出する吐出し圧センサとを備え、
前記台数カウント機能は、複数の前記制御部それぞれと通信して、送受信ができた前記制御部の個数を計数し、その計数値を稼働可能な前記電動ポンプの台数として認識する機能であり、
前記自動モードは、少なくとも目標圧力制御機能、先発起動機能、及び増台機能が自動実行される運転モードであり、
前記目標圧力制御機能は、前記吐出し圧センサにより検出された圧力(以下、検出圧力という。)が、予め決められた所定の圧力範囲となるように前記モータ部の回転速度を制御する機能であり、
前記先発起動機能は、全ての前記電動ポンプが停止状態にある場合において、検出圧力が上記圧力範囲の下限値未満となったときに実行される機能であって、複数の電動ポンプのうち最初に起動する電動ポンプであることを示す情報(以下、先発フラグという。)が記憶されている前記制御部に対応する電動ポンプのみが起動し、先発フラグが記憶されていない前記制御部に対応する電動ポンプは停止状態が維持される機能であり、
前記増台機能は、現在稼働している前記電動ポンプの吐出し能力が予め決められた能力に到達したとき、停止中の前記電動ポンプを起動させる機能であり、
前記操作基板及び前記複数の制御部それぞれは、前記台数カウント機能により認識された前記電動ポンプの台数を利用して、少なくとも前記先発起動機能及び前記増台機能を実行し、
さらに、前記操作基板は、電源が投入された時に前記台数カウント機能を自動実行させるとともに、前記モード設定部が操作されて前記自動モードが起動した時に前記台数カウント機能を停止させる給水装置
【請求項2】
前記制御部は、前記モータ部を駆動するインバータ回路及び当該インバータ回路を制御するインバータ制御部を有して構成されており、
前記操作基板は、前記台数カウント機能の実行時には、複数の前記インバータ制御部それぞれと通信する請求項に記載の給水装置。
【請求項3】
前記操作基板は、前記台数カウント機能により認識された前記制御部に識別符号を付与する識別符号付与機能を実行可能である請求項1又は2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記識別符号付与機能では、送受信ができた前記制御部から順次、前記識別符号を付与する請求項に記載の給水装置。
【請求項5】
前記自動モードとして、第1の自動モード及び第2の自動モードがあり、
さらに、前記電動ポンプの吸引側圧力を検出する吸入圧センサを備え、
前記吸入圧センサの検出圧力が予め決められた基準圧力以上の場合には、前記第1の自動モードが実行可能となり、
前記吸入圧センサの検出圧力が前記基準圧力未満の場合には、前記第2の自動モードが実行可能となる請求項1ないしのいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項6】
前記第1の自動モードは、直結給水方式に適用される運転モードであり、
前記第2の自動モードは、受水槽方式に適用される運転モードである請求項1ないしいずれか1項に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給水装置は、例えば、特許文献1に記載されているように、ポンプ、電動モータ及び当該電動モータを制御する制御部等を有して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-145603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポンプ、電動モータ及び制御部それぞれが複数設けられている給水装置では、制御部の製造時に、作業者は、制御基板上に設けられた小型スイッチを、ポンプの台数分に合わせて設定する必要がある。そして、当該設定作業は、煩雑であった。
【0005】
本開示は、上記点に鑑み、上記の設定作業の煩雑を緩和することが可能な給水装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ポンプ部(Pp)及びモータ部(Pm)を有する複数の電動ポンプ(P)を備える給水装置は、複数の電動ポンプ(P)それぞれを制御する制御部(CTL)であって、それら電動ポンプ(P)と同数設けられた複数の制御部(CTL)と、複数の制御部(CTL)それぞれと通信可能な操作基板(10)であって、複数の電動ポンプ(P)の台数を認識する台数カウント機能を実行可能な操作基板(10)とを備え、台数カウント機能は、複数の制御部(CTL)それぞれと通信して、送受信ができた制御部(CTL)の個数を計数し、その計数値を電動ポンプ(P)の台数として認識する機能であることが望ましい。
【0007】
これにより、当該給水装置では、上記の設定作業の廃止又は上記の設定作業の煩雑が緩和され得る。
【0008】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
図2】第1実施形態に係る給水装置のブロック図である。
図3】台数カウント機能及び運転モード自動認識機能を実行する際のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0011】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0012】
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、例えば、マンションや商業ビル等の建物に適用される給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものである。図1及び図2に示されるように、本実施形態に係る給水装置1は、複数(例えば、3つ)の電動ポンプP1~P3及び制御部CTL1~CTL3、並びに操作基板10及び電源基板20等を少なくとも備える。
【0013】
各電動ポンプP1~P3は、全て同一構造である。具体的には、各電動ポンプP1~P3は、図2に示されるように、ポンプ部Pp及びモータ部Pmを有する電動式のポンプである。以下、電動ポンプP1~P3のうち任意の電動ポンプを意図する場合は電動ポンプPと記す。
【0014】
各電動ポンプPの吐出し口から吐出された水は、図1に示される連結管2A~2Cを介して合流管3に集合する。合流管3は建物の配水管(図示せず。)に接続される。各電動ポンプPの吸い込み側は、水道管(図示せず。)に連結されている。
【0015】
つまり、給水装置1は、水道管から水を吸い込んで配水管に水を供給する。このため、各電動ポンプPの吸い込み側は水道圧が作用している。なお、以下、「水道管から水を吸い込んで給水する方式」を直結給水方式という。
【0016】
なお、受水槽等のタンクに蓄えられた水を吸い込んで配水管に水を供給する方式を受水槽方式という。因みに、受水槽方式の給水装置では、電動ポンプPの吸い込み口と受水槽内の水位との差に相当する圧力が電動ポンプPの吸い込み側に作用する。
【0017】
各電動ポンプPは、図2に示されるように、制御部CTL1~CTL3により制御される。具体的には、制御部CTL1は電動ポンプP1のモータ部Pmを制御する。制御部CTL2は電動ポンプP2のモータ部Pmを制御する。制御部CTL3は電動ポンプP3のモータ部Pmを制御する。
【0018】
制御部CTL1~CTL3は、互いに情報を送受信可能である。各制御部CTL間の通信方法は不問である。本実施形態に係る各制御部CTLは、シリアル通信方法にて互いに情報を送受信する。なお、制御部CTL1~CTL3は全て同一である。以下、制御部CTL1~CTL3のうち任意の制御部を意図する場合は制御部CTLと記す。
【0019】
各制御部CTLは、モータ部Pmを駆動するための駆動回路(本実施形態では、インバータ方式の駆動回路)IC及び当該駆動回路を制御するインバータ制御部EC等を少なくとも有する。
【0020】
そして、本実施形態に係る制御部CTL、つまりインバータ制御部ECは、モータ部Pmを駆動する駆動周波数(出力周波数ともいう。)を制御することにより、電動ポンプPの吐出し流量や吐出し圧力等を制御する。
【0021】
制御部CTL1~CTL3それぞれには、流量センサFS1~FS3それぞれの検出値が入力されている。各流量センサFS1~FS3は、対応する電動ポンプPの吐出し流量を検出する。以下、流量センサFS1~FS3のうち任意の流量センサを意図する場合は流量センサFSと記す。
【0022】
吐出し圧センサPS1は、給水装置1の吐出し圧力を検出する。吐出し圧センサPS1の検出信号は、各制御部CTLに送信される。つまり、各制御部CTLには、通信回線を介して給水装置1の吐出し圧力が入力されている。
【0023】
操作基板10は、例えば、各制御部CTLの制御に必要なパラメータ等を作業者が設定する場合に利用されるものである。このため、操作基板10は、各制御部CTL(具体的には、インバータ制御部EC)と通信可能である。
【0024】
電源基板20は、各制御部CTL(具体的には、インバータ制御部EC)に電力を供給する。なお、各駆動回路ICには、電源基板20を介すことなく、他の電力供給部(例えば、商用電源)から電力が供給されている。
【0025】
<2.各制御部の制御概要>
制御部CTL1~CTL3、つまり、各制御部CTLの制御回路は、例えば、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータ等にて構成されている。各制御部CTLは、ROM等の不揮発性記憶部に予め記憶された制御用プログラムに従って駆動回路等を制御する。
【0026】
各制御部CTLは、目標圧力制御機能、先発起動機能、増台機能、流量停止機能、及並列運転制御を実行可能である。
【0027】
<目標圧力制御機能>
目標圧力制御機能は、吐出し圧センサPS1により検出された圧力(以下、検出圧力という。)が、予め決められた所定の圧力範囲となるようにポンプP、つまりモータ部Pmの回転速度を制御する機能である。
【0028】
なお、目標圧力制御機能は、モータ部Pmの稼働中においては、制御部CTLから停止指令がない限り、実行される機能である。つまり、目標圧力制御機能と相反する他の機能が実行されていない限り、モータ部Pmの稼働中は目標圧力制御機能が実行される。
【0029】
<先発起動機能>
先発起動機能は、全ての電動ポンプP1~P3が停止状態にある場合において、検出圧力が上記圧力範囲の下限値未満となったときに実行される機能の1つである。
【0030】
具体的には、検出圧力が上記圧力範囲の下限値未満となった時に各制御部CTLは、最初に起動する電動ポンプPであることを示す情報(以下、先発フラグという。)が記憶されているか否かを判断する。
【0031】
先発フラグは、制御部CTL1~CTL3のうちいずれか1つ制御部CTLのみに予め記憶されている。そして、制御部CTLは、当該情報が記憶されていると判断した場合に、当該制御部CTLが制御するモータ部Pmを起動する。
【0032】
このため、先発フラグが記憶されている電動ポンプPのみが起動し、先発フラグが記憶されていない電動ポンプPは停止状態を維持する。つまり、最初に給水を開始する電動ポンプPは1台のみである。
【0033】
なお、本実施形態では、例えば、操作基板10に設けられた監視制御部(図示せず。)又は制御部CTLが、先発フラグをいずれか制御部CTLに送信する。具体的には、例えば、先発起動機能により電動ポンプPが起動後、当該起動した電動ポンプPの制御部CTLは他の制御部CTLに先発フラグを送信する。
【0034】
起動した電動ポンプPの制御部CTLが故障した場合には、監視制御部が故障していない他の制御部CTLに先発フラグを送信する。これにより、最初に起動する電動ポンプPが、順次、変更される。
【0035】
<増台機能>
増台機能は、現在稼働しているポンプPの吐出し能力が予め決められた能力に到達したときに実行される機能である。つまり、増台機能は、稼働中の電動ポンプPの制御部CTLから停止中の電動ポンプPの制御部CTLに給水開始を指令する機能である。
【0036】
ポンプPの吐出し能力とは、ポンプPp及びモータ部Pmによって決まる給水能力であって、電動ポンプPの最大吐出し流量又は最大吐出し圧力等に基づく能力である。本実施形態に係る制御部CTLは、モータ部Pmの回転速度が予め決められた上限回転速度に到達したときに、吐出し能力が予め決められた能力に到達したと判断する。
【0037】
例えば、第1の電動ポンプP1のみで給水している際に、モータ部Pmの回転速度が予め決められた上限回転速度に到達すると、制御部CTL1は、例えば制御部CTL2に対して給水開始を指令する。これにより、第2の電動ポンプP2からも給水が開始される。
【0038】
同様に、第1の電動ポンプP1及び第2の電動ポンプP2のみで給水している際に、モータ部Pmの回転速度が予め決められた上限回転速度に到達すると、制御部CTL2は、例えば制御部CTL3に対して給水開始を指令する。これにより、第3の電動ポンプP3からも給水が開始される。
【0039】
<流量停止機能>
流量停止機能は、吐出し流量、つまり流量センサFSの検出流量が予め決められた流量(以下、停止流量という。)以下となったときにモータ部Pm、つまりポンプPを停止させる機能である。
【0040】
本実施形態では、給水装置1の稼働状態に応じて制御部CTLが予め決められた規則に従って停止流量を決定する。なお、全ての電動ポンプPが停止し、給水装置1が停止した場合には、アキュムレータ(図示せず。)により給水圧が保持される。
【0041】
<3.並列運転制御>
並列運転制御は、2台以上の電動ポンプPが稼働しているときに、稼働中の制御部CTLにて実行される制御である。具体的には、並列運転制御は、増台時制御機能、及び協働目標圧力制御機能等にて構成される。以下の説明では、増台指令を発信した制御部CTLを発信制御部CTOとし、増台指令を受信した制御部CTLを受信制御部CTRという。
【0042】
<3.1 増台時制御機能>
増台時制御機能は、増台指令を発信した時又は増台指令を受信した時(以下、増台指令時という。)から予め決められた条件(以下、同期開始条件という。)が満たされるまで実行される制御である。
【0043】
すなわち、増台指令時から同期開始条件が満たされるまで、発信制御部CTO及び受信制御部CTRのうちいずれか一方の制御部CTLは目標圧力制御機能を実行し続け、他方の制御部CTLは、目標圧力制御機能を停止させて増台時制御機能を実行する。
【0044】
本実施形態に係る増台時制御機能は、受信制御部CTRが予め決められた増速度にてポンプPの吐出し流量を増大させる制御である。そして、同期開始条件が満たされると、発信制御部CTO及び受信制御部CTRは、協働目標圧力制御機能を実行する。
【0045】
本実施形態に係る同期開始条件は、増台指令時から予め決められた時間が経過したか否かである。つまり、発信制御部CTO及び受信制御部CTRは、増台指令時から予め決められた時間が経過した時に条件が満たされた判断する。
【0046】
なお、本実施形態では、増台指令が発信された時から上記時間が経過した時に発信制御部CTOは同期開始条件が満たされたと判断する。そして、受信制御部CTRは、同期開始条件が満たされた旨の信号を発信制御部CTOから受信し時に同期開始条件が満たされたと判断する。
【0047】
<3.2 協働目標圧力制御機能>
協働目標圧力制御機能とは、吐出し圧センサPS1の検出圧力が予め決められた圧力となり、かつ、増台指令の発信元におけるポンプPの吐出し流量と増台指令の発信先におけるポンプPの吐出し流量とが等しくなるように協働制御する同期変速運転機能である。
【0048】
なお、「予め決められた圧力」とは、特定の圧力又は当該特定の圧力を基準として予め決められた所定の圧力範囲をいう。
【0049】
具体的には、協働目標圧力制御機能が実行されているときには、発信制御部CTO及び受信制御部CTRは、それぞれの出力周波数が同期するように、それぞれのインバータ制御部ECを制御する。
【0050】
本実施形態に係る協働目標圧力制御では、発信制御部CTOのインバータ制御部の出力周波数が受信制御部CTRに送信され、受信側のインバータ制御部は、その受信した出力周波数を駆動周波数として出力する。
【0051】
なお、第1の電動ポンプP1及び第2の電動ポンプP2で給水している状態から第3の電動ポンプP3からも給水が開始された場合においては、第1の電動ポンプP1又は第2の電動ポンプP2の制御部CTLが発信制御部CTOに相当し、第3の電動ポンプP3の制御部CTLが受信制御部CTRとなる。
【0052】
因みに、第1の電動ポンプP1及び第2の電動ポンプP2で給水している状態では、第1の電動ポンプP1の駆動周波数と第2の電動ポンプP2の駆動周波数とは同じであるので、いずれの制御部CTLを発信制御部CTOとしてもよい。
【0053】
<4.操作基板の機能>
操作基板10は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータで構成されている。そして、本実施形態に係る操作基板10は、台数カウント機能及び運転モード自動認識機能を実行可能である。
【0054】
<台数カウント機能>
操作基板10や各制御部CTLが先発起動機能や増台機能等を実行するには、稼働可能な電動ポンプPの台数を、少なくとも操作基板10が把握している必要がある。このため、本実施形態に係る操作基板10は、複数の電動ポンプPの台数を認識する台数カウント機能を実行可能である。
【0055】
台数カウント機能は、複数の制御部CTLそれぞれと通信して、送受信ができた制御部CTLの個数を計数し、その計数値を稼働可能な電動ポンプPの台数として認識する機能である。
【0056】
つまり、本実施形態に係る台数カウント機能では、複数のインバータ制御部ECそれぞれと通信して、送受信ができたインバータ制御部ECの個数を計数し、その計数値を稼働可能な電動ポンプPの台数として認識する。
【0057】
操作基板10は、電源が投入された時に台数カウント機能を実行開始する。そして、操作基板10は、自動モードが起動した時に台数カウント機能を停止させる。自動モードでは、目標圧力制御機能、先発起動機能、増台機能、流量停止機能、及並列運転制御等が少なくとも自動実行される。
【0058】
なお、「電源が投入された時」とは、給水装置1を起動させるため主電源スイッチ(図示せず。)が投入された時をいう。「自動モードが起動した時」とは、モード設定部11(図2参照)が作業員により操作されて自動モードが選択された時をいう。
【0059】
モード設定部11は、操作基板10に設けられた設定操作部である。作業者は、モード設定部11を操作することにより、自動モードや停止モード等の運転モードを手動選択することができる。
【0060】
また、操作基板10は、台数カウント機能により認識された制御部CTLに識別符号を付与する識別符号付与機能を実行可能である。当該識別符号付与機能では、送受信ができた制御部CTLから順次、識別符号が付与される。
【0061】
なお、本実施に係る識別符号(以下、通信局番という。)は、自然数(番号)である。このため、送受信ができた制御部CTLから順次、通信局番が大きくなる。したがって、最大の通信局番は、稼働可能な電動ポンプPの台数と一致する。
【0062】
<運転モード自動認識機能>
運転モード自動認識機能は、直結給水方式に適用される自動モード(以下、第1自動モードという。)と受水槽方式に適用される自動モード(以下、第2自動モードという。)とを自動的に認識する機能である。
【0063】
操作基板10には、図2に示されるように、吸込圧センサPS2の検出信号が入力されている。吸込圧センサPS2は、給水装置1の吸入側圧力、つまり各電動ポンプPの吸引側圧力を検出する。
【0064】
そして、操作基板10は、吸入圧センサPS2の検出圧力(以下、吸込圧力という。)が予め決められた基準圧力以上の場合には、各制御部CTLに対して自動モード時に第1自動モードを実行すべき旨の指令を発信する。
【0065】
操作基板10は、吸込圧力が基準圧力未満の場合には、各制御部CTLに対して自動モード時に第2自動モードを実行すべき旨の指令を発信する。つまり、本実施形態に係る各制御部CTL及び操作基板10は、直結給水方式及び受水槽方式のいずれにも対応可能である。
【0066】
本実施形態に係る第1自動モードでは、吸込圧力が予め決められた所定圧力以下となった場合に給水を停止する。本実施形態に係る第2自動モードでは、受水槽内の水位が予め決められた水位以下となった場合に給水を停止する。
【0067】
因みに、本実施形態に係る吸込圧センサPS2は、圧力の大きさに応じた電圧を出力する。したがって、操作基板10は、上記所定圧力、吸込圧力及び基準圧力を電圧値に置き換えて運転モード自動認識機能を実行する。
【0068】
<操作基板の機能の詳細>
図3は、台数カウント機能及び運転モード自動認識機能を実行する際の制御フローの一例である。当該制御フローを実行するためプログラムは、操作基板10に設けられたROM等の不揮発性記憶部に予め記憶されている。以下の括弧内に記載された「S1」等は、図3中の符合を示す。
【0069】
本実施形態に係る操作基板10及び各制御部CTLはシリアル通信方式にて通信を行う。そして、当該操作基板10は、最大6台の電動ポンプP、つまり6つの制御部CTLを接続可能である。このため、操作基板10は、制御部CTLと通信するための通信ポート(図示せず。)を6つ備えている。なお、1つの通信ポートには、1つの制御部CTLが接続される。
【0070】
給水装置1の主電源スイッチが投入されると、操作基板10は、通信ポートを通して制御部CTLとの通信を実行し、送受信ができたか否かを判断する(S1)。送受信ができた場合には(S1:YES)、全ての制御部CTLについての計数を完了したか否かを判断する(S3)。
【0071】
なお、操作基板10は、第1の通信ポート→第2の通信ポート→・・・・→第6の通信ポートの順にS1を実行する。そして、全ての通信ポートについてS1を実行し終えたときに、操作基板10は、全ての制御部CTLについての計数を完了したと判断する。
【0072】
全ての制御部CTLについての計数を完了していないと判断された場合には(S3:NO)、台数カウンタの値を1だけ増加させる(S5)。台数カウンタとは、制御部CTLの台数が記憶される記憶部の一例である。台数カウンタには、初期値として「0」が予め記憶されている。
【0073】
次に、操作基板10は、現時の台数カウンタの値を通信局番とするとともに、その通信局番を制御部CTLに送信した後(S7)、再び、S1を実行する。なお、制御部CTLは、受信した通信局番を記憶する。操作基板10は、通信局番と通信ポートとの対応関係を記憶する。
【0074】
S3にて、全ての制御部CTLについての計数を完了された判断した場合には(S3:YES)、操作基板10は、自動モードが起動されたか否かを判断し(S11)、自動モードが起動されたと判断された場合は(S11:YES)、操作基板10は、運転モード自動認識機能を実行する。
【0075】
すなわち、操作基板10は、吸込圧力が基準圧力以上であるか否かを判断する(S13)。具体的には、操作基板10は、吸込圧力を示す電圧が基準圧力に相当する電圧以上であるか否かを判断する。
【0076】
そして、操作基板10は、吸込圧力が基準圧力以上の場合には(S13:YES)、各制御部CTLに対して第1自動モードにて自動モードを実行すべき旨の指令を発信する(S15)。操作基板10は、吸込圧力が基準圧力未満の場合には(S13:NO)、各制御部CTLに対して第2自動モードにて自動モードを実行すべき旨の指令を発信する。
【0077】
<5.本実施形態に係る給水装置の特徴>
本実施形態に係る給水装置1では、複数の制御部CTLそれぞれと通信して、送受信ができた制御部CTLの個数を計数し、その計数値を電動ポンプPの台数として認識する機能を備える。これにより、当該給水装置1では、設定作業の廃止又は設定作業の煩雑が緩和され得る。
【0078】
操作基板10は、電源が投入された時に台数カウント機能を実行する。これにより、電源投入時に台数カウント機能が自動的に実行されるので、手動にて台数カウント機能を実行する場合に比べて、設定作業の煩雑が緩和され得る。
【0079】
操作基板10は、電源投入後、全ての制御部CTLについての計数を完了したと判断したときに、台数カウント機能を停止させる。これにより、操作基板10は、電動ポンプPの台数を確実に認識でき得る。
【0080】
台数カウント機能では、複数のインバータ制御部ECと通信して電動ポンプPの台数を認識する。これにより、操作基板10は、各制御部CTLが備える通信機能を利用して稼働可能な電動ポンプPの台数を認識でき得るので、台数カウント機能を実現するための通信機能が不要となり得る。
【0081】
操作基板10は、運転モード自動認識機能を実行可能である。これにより、当該給水装置1では、直結給水方式と受水槽方式との識別設定作業が不要となり得る。
【0082】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る各制御部CTL及び操作基板10は、直結給水方式及び受水槽方式のいずれにも対応可能である。このため、受水槽の水位を検出するために、アナログ電圧入力の電極検出回路が設けられている。
【0083】
そこで、逆流防止装置の排水口下部に一対の電極を取り付けるとともに、受水槽の水位を検出する閾値より、漏水の有無を検出する閾値にパラメータ変更することにより、漏水検出可能としてもよい。これにより、漏水電極の追加のみで、逆流防止装置の排水検出機能を付加することが可能となる。
【0084】
因みに、従来の直結給水装置においては、逆流防止装置の漏水検出機能については、オプション製品として、逆流防止装置の排水口下部に一対の電極を取り付けるとともに、制御盤本体より電源供給を受けた漏水検出専用の検出器を追加しており、高価なものとなっていた。
【0085】
上述の実施形態では、電源が投入された時に自動的に台数カウント機能が実行される構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、作業員が操作した時に台数カウント機能が実行される構成であってもよい。
【0086】
上述の実施形態では、運転モード自動認識機能を実行可能であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、運転モード自動認識機能が廃止された構成であってもよい。
【0087】
上述の実施形態では、識別符号付与機能を実行可能であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、識別符号付与機能が廃止された構成であってもよい。
【0088】
上述の実施形態に係る識別符号付与機能では、送受信ができた制御部CTLから順次、前記識別符号を付与した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、制御部CTLに識別符号を付与することなく、通信ポートに識別符号を付与してもよい。
【0089】
上述の実施形態では、台数カウント機能及び運転モード自動認識機能自動モードが起動されたか否かを判断した(S11)。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、S11が廃止された構成であってもよい。
【0090】
つまり、(1)台数カウント機能及び運転モード自動認識機能が終了するまでモード設定部11にて操作を受け付けない、若しくは自動モードが起動しない構成、(2)台数カウント機能及び運転モード自動認識機能が終了していない旨を作業者に報知する機能を備えた構成、又は(3)電源投入後、台数カウント機能及び運転モード自動認識機能が終了した後、自動的に停止モードから自動モードに移行する構成であってもよい。
【0091】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1… 給水装置
10… 操作基板
11… モード設定部
20… 電源基板
P1~P3… 電動ポンプ
CTL1~CTL3… 制御部
図1
図2
図3