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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】蓄勢式溶接機を用いた平編線接合方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/26 20060101AFI20240508BHJP
   B23K 11/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B23K11/26
B23K11/00 561
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020138935
(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公開番号】P2022034962
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】596008817
【氏名又は名称】ナグシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167977
【弁理士】
【氏名又は名称】大友 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】長嶺 秀政
(72)【発明者】
【氏名】和田 圭司
(72)【発明者】
【氏名】浅田 隆弘
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-041081(JP,A)
【文献】特開昭59-218284(JP,A)
【文献】特開2000-268893(JP,A)
【文献】特開2009-070769(JP,A)
【文献】特開平10-172710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/26
B23K 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の大容量蓄勢部品からなる蓄勢部を有し、各蓄勢部品を個別に充放電させ、ばらつきのある前記蓄勢部品の電圧を安定化させて当該安定した設定電圧および大電流からなる大容量電力による通電により、溶接電極間で被溶接物を加圧しながら、短時間かつ大電流で抵抗溶接す
+る蓄勢式溶接機を用いて、
被溶接物の平編線に対してその軸方向に延びる線端を、予め金属線で軸方向回りに巻回させて一体化した後に、前記抵抗溶接によって当該平編線を接合する、平編線接合方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記蓄勢式溶接機は、複数の大容量蓄勢部品を個別に充電させる個別充電回路と、各蓄勢部品を個別に放電させる個別放電回路と、各蓄勢部品の電圧を個別に監視する電圧監視回路と、性能にばらつきのある蓄勢部品に対してさらに個別充電し当該電圧を安定させて設定電圧を得るようにする個別電圧安定化制御部と、前記蓄勢部における個別充電による安定した設定電圧、および個別放電による大電流からなる大容量電力を出力させて、前記溶接電極間に通電させる出力回路とを備えている、平編線接合方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記平編線の線端と巻回させた金属線も一緒に接合する、平編線接合方法。
【請求項4】
請求項3において、
さらに、前記平編線の線端と端子板とを同時に接合する、平編線接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大容量電力を有する蓄勢式溶接機を使用した平編線接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、可撓性が必要な電気導体として、平編線が使用されることが多い。この平編線は、例えば素線として細い軟銅線を集合し、これを編組して平形に成型したものである。この平編線の接合は、図9のように、平編線20の線端20aがばらけやすく、この場合、ばらけ部20bの溶接が困難である。
【0003】
従来から、編目状に編みこまれた筒状の部材である編組線(平編線)を溶接する場合に、図10に示すように、平編線20の線端20aをアンビルAと溶接ホーンB間に挟んで超音波溶接を行うこと(例えば、特許文献1)または圧接で行うことが知られている。
【0004】
また、図11のように、平編線20の線端20aを挟む金型C、Dを使用して、または治具等を使用して超音波溶接または抵抗溶接をすることも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-169338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図10のように、超音波溶接で溶接する場合、超音波振動により強い力が加わるため平編線の線端の線切れが発生しやすい。または圧接の場合も強い力が加わるため線切れが発生しやすい。
【0007】
その一方、超音波溶接または抵抗溶接で溶接する場合でも、図11のように、金型または治具にて行うと、斜線部がつぶれて切れる、喰い切りが生じて、平編線の線端の線切れが発生して、製品不良となる。
【0008】
また、従来の抵抗溶接機では、平編線の導電量が良いので、溶接時の抵抗発熱が少なく溶融するまでにはかなりの電気量を必要とする。また、溶融部の面積を広範囲とする必要上、平編線が熱のために溶融部以外の部分も軟化し、機械的強度が劣り平編線の性質上好ましくなく、溶接品質が劣るという問題があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決して、大容量の蓄勢された電力を有する蓄勢式溶接機を使用した抵抗溶接により、平編線の線端の線切れの発生を抑止して溶接品質を保持して接合できる、蓄勢式溶接機を用いた平編線接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る蓄勢式溶接機を用いた平編線接合方法は、複数の大容量蓄勢部品からなる蓄勢部を有し、各蓄勢部品を個別に充放電させ、ばらつきのある前記蓄勢部品の電圧を安定化させて当該安定した設定電圧および大電流からなる大容量電力による通電により、溶接電極間で被溶接物を加圧しながら、短時間かつ大電流で抵抗溶接する蓄勢式溶接機を用いて、
被溶接物の平編線に対してその軸方向に延びる線端を、予め金属線で軸方向回りに巻回させて一体化した後に、前記抵抗溶接によって当該平編線を接合する。
【0011】
この構成によれば、大容量の蓄勢された電力を有する蓄勢式溶接機を使用して、大容量蓄勢部品の性能にばらつきがあっても安定した設定電圧および大電流からなる大容量電力による通電によって、被溶接物の平編線に対してその軸方向に延びる線端を、予め金属線で軸方向回りに巻回させて一体化した後に抵抗溶接するので、線端のばらけを防止しながら、線端の広範囲の溶接が可能となるとともに、平編線と巻回した金属線が一体化して線端が強固になって、当該線端のつぶれを抑止できるから、線端の線切れを生じることなく、溶接品質を保持して接合できる。
【0012】
本発明では、前記蓄勢式溶接機は、複数の大容量蓄勢部品を個別に充電させる個別充電回路と、各蓄勢部品を個別に放電させる個別放電回路と、各蓄勢部品の電圧を個別に監視する電圧監視回路と、ばらつきのある蓄勢部品に対してさらに個別充電し当該電圧を安定させて設定電圧を得るようにする個別電圧安定化制御部と、前記蓄勢部における個別充電による安定した設定電圧、および個別放電による大電流からなる大容量電力を出力させて、前記溶接電極間に通電させる出力回路と、を備えていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、各蓄勢部品の電圧を個別に監視し、個別充電および個別放電により各蓄勢部品で細分化して充電および放電するので、設定電圧に合わせやすくなるから設定電圧の誤差が小さくなるとともに、効率が良くなり、充放電時間の短縮化も可能となる。また、ばらつきのある蓄勢部品に対してさらに個別充電して、各電圧を安定させるので、効率よく蓄勢部品のばらつきに対応できる。さらに、個別放電により大容量の蓄勢された電力を高速に放電できるので、生産効率を向上することができる。これにより、複数の蓄勢部品における性能のばらつきに対応しながら、溶接時の設定電圧および大電流の大容量電力を効率よく出力させることができ、抵抗溶接を高速化し、生産効率を向上できる。
【0014】
本発明では、平編線の線端と巻回させた金属線も一緒に接合するようにしてもよい。この場合、平編線の線端をより強固に接合できる。
【0015】
本発明では、さらに平編線の線端と端子板とを同時に接合するようにしてもよい。この場合、平編線の線端と端子板の接合が可能となり、しかも作業効率が良くなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、大容量の蓄勢された電力を有する蓄勢式溶接機を使用して、大容量蓄勢部品の性能にばらつきがあっても安定した設定電圧および大電流からなる大容量電力による通電によって、被溶接物の平編線に対してその軸方向に延びる線端を、予め金属線で軸方向回りに巻回させて一体化した後に抵抗溶接するので、線端のばらけを防止しながら、線端の広範囲の溶接が可能となるとともに、平編線と巻回した金属線が一体化して線端が強固になって、当該線端のつぶれを抑止できるから、線端の線切れを生じることなく、溶接品質を保持して接合できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る平編線接合方法に使用される蓄勢式溶接機を示す概略構成図である。
図2図1の一部を具体的に示す回路図である。
図3】抵抗溶接の動作を示す説明図である。
図4】個別電圧安定化の動作を示す模式図である。
図5】(A)は本発明の一実施形態に係る平編線接合方法を示す正面図、(B)はその側面図である。
図6】強固になった線端を抵抗溶接する状態を示す図である。
図7】平編線と巻回させた金属線を一緒に接合する状態を示す図である。
図8】平編線と端子板とを同時に接合する状態を示す図である。
図9】平編線の線端のばらけを示す平面図である。
図10】従来の平編線接合方法を示す図である。
図11】従来の平編線接合方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る平編線接合方法に使用される蓄勢式溶接機1を示す概略構成図である。本溶接機1は、複数の大容量蓄勢部品Cからなる蓄勢部2を有し、大容量電力による通電により溶接電極間で被溶接物Wを加圧しながら抵抗溶接するものであり、各蓄勢部品Cの性能にばらつきがある場合や、短時間かつ大電流の通電、生産工程の高速化などが必要となる抵抗溶接に適している。
【0019】
本溶接機1は、例えばAC200Vの入力電源4と、複数の大容量蓄勢部品Cを個別に充電する個別充電回路5と、各蓄勢部品Cを個別に放電する個別放電回路6と、各蓄勢部品Cの電圧を個別に監視する個別電圧監視回路7と、出力回路8と、制御部3とを備えている。制御部3は、本溶接機1全体の制御を行うほかに、被溶接物Wの種類に応じた抵抗溶接に必要な大容量電力の電圧値および電流値の設定や、溶接電極11、12間の加圧制御などを行なう。
【0020】
制御部3は、ばらつきのある蓄勢部品に対してさらに個別充電して当該電圧を安定させて設定電圧を得るようにする電圧安定化制御部10を有する。そして、出力回路8は、蓄勢部2における個別充電による安定した設定電圧と、個別放電による大電流とによって大容量電力を出力させて、溶接電極11、12間に通電させる。
【0021】
図2は、図1の一部を具体的に示す回路図である。大容量蓄勢部品Cは、例えば電気二重層コンデンサであり、これが複数直列および並列に接続されて、蓄勢部2が構成されている。
【0022】
蓄勢部2に充電および放電する個別充電回路5および個別放電回路6は、それぞれ各蓄勢部品Cごとにユニット1~nを備えている。個別充電回路5は、各蓄勢部品Cごとに例えば0~2.5Vに電圧可変に設定できる。個別放電回路6は、それぞれ各蓄勢部品CごとにFET(Field Effect Transistor)のようなスイッチをもつ放電ユニット6aを有している。個別電圧監視回路7であるA/D入力のユニット1~nは、それぞれ個別充電回路5のユニット1~nと各蓄勢部品Cとの間に接続されている。出力回路8は、FETのようなスイッチをもつ出力ユニット8aを有し、制御部3からの図示しない出力信号により大容量電力を出力する。
【0023】
溶接電極11、12が被溶接物Wの金属材料W1、W2に当てられて加圧しながら通電されると、溶接電流Aが、上電極11から金属材料W1、W2を通って下電極12へ向かって流れる。この通電により、図3に示すように、金属材料W1とW2間で抵抗発熱を利用したナゲット(合金層)が形成されて溶融接合により抵抗溶接される。
【0024】
この抵抗溶接では、大容量の蓄勢部2を有した大容量電力を使用するので、短時間の通電時間中の電圧低下が小さく、通電時間中の設定電圧および大電流を保持できる。この被溶接物Wに応じた設定電圧および大電流を保持した状態でナゲット(合金層)15形成による溶融接合によって、短時間かつ大電流で抵抗溶接するので、効率的に溶接できるとともに、被溶接物Wに熱による影響を与えにくくできる。
【0025】
本溶接機1は、抵抗溶接の実施ごとにその都度、個別電圧監視回路7により各蓄勢部品Cの電圧を個別に監視し、個別充電回路5および個別放電回路6による個別充電および個別放電により、各蓄勢部品Cで細分化して充電および放電するので、設定電圧に合わせやすくなるから設定電圧の誤差が小さくなる。また、効率が良くなり、充放電時間の短縮化も可能となる。
【0026】
さらに、個別電圧安定化制御部10により、個別電圧監視回路7によって前記個別に充電される各蓄勢部品Cの電圧をそれぞれ監視し、そのうち性能のばらつきにより充電電圧が不足する蓄勢部品Cに対してさらに個別充電して不足分を解消させ、当該蓄勢部品の電圧を安定化させて設定電圧を得る。
【0027】
図4に示す模式図のように、例えば、10個の蓄勢部品C1~C10のうちC2、C5、C8の3個にばらつきがある場合、ばらつきのない7個の蓄勢部品C1、C3~C4、C6~C7、C9~C10の電圧は設定値に達して充電を終了し、ばらつきにより電圧が不足する各蓄勢部品C2、C5、C8に対してだけ集中、継続して短時間で充電する。これにより、ばらつきがあっても短い充電時間で設定値に達して安定化させ、ばらつきを解消するので、より生産効率を向上できる。
【0028】
個別放電回路6は、蓄勢部2の各蓄勢部品Cを個別に放電することにより、各蓄勢部品C間の電流の回り込みを抑止して大電流を保持させるとともに、大容量の蓄勢された電力を高速に放電でき、放電時間を大幅に短縮化させるので生産効率を向上することができる。また、従来のように蓄勢部全体で放電するのと比べて放電時間を大幅に短縮化できる。
【0029】
このように、本溶接機1では、被溶接物Wごとに、個別電圧監視回路7により各蓄勢部品Cの電圧を個別に監視し、個別充電回路5による個別充電および個別充電回路6による個別放電により各蓄勢部品Cで細分化して充電および放電し、かつ個別電圧安定化制御部10により性能にばらつきのある蓄勢部品Cに対してさらに個別充電して各電圧を安定させている。これにより、蓄勢部品Cに対してさらに個別充電して各電圧を安定させるので、複数の蓄勢部品のばらつきに対応しながら、溶接時の設定電圧および大電流の大容量電力を効率よく出力させることができ、抵抗溶接の生産工程を高速化し、生産効率を向上できる。したがって、被溶接物Wによって溶接条件が種々異なる場合にも迅速に対応できるので、作業時間の短縮化を図ることができ、種類の異なる被溶接物を頻繁に交換して生産する多品種少量生産にも対応可能となる。
【0030】
以下、本溶接機1を用いた被溶接物Wである平編線の接合方法について説明する。図5(A)は本発明の一実施形態に係る平編線接合方法を示す正面図、(B)はその側面図である。銅またはアルミニウム製の平編線20に対してその軸方向Xに延びる線端20aを、予め銅またはアルミニウムのような金属線21で軸方向回りRに複数回巻回させて一体化しておく。
【0031】
図6に示すように、溶接電極11、12が平編線20とこれを金属線21(図7)で巻回して一体化した被溶接物Wである線端20aに当てられて加圧しながら通電されると、溶接電流Aが、上電極11から線端20aを通って下電極12へ向かって流れる。この通電により、上記と同様に短時間かつ大電流により、図7に示すように、平編線20の線端20a内の各線同士αに抵抗発熱が発生して線端20a全体にナゲット(合金層)が形成されて溶融接合により広範囲に抵抗溶接される。
【0032】
図7のように、平編線20の線端20aは、平編線20と巻回させた金属線21と一体化されているので、図8の従来例のようにばらけ部20bがなくなり、線端20aのばらけを防止できるから、線端20aの溶接が可能となる。また、平編線20と巻回した金属線21が一体化して線端20aがその分強固となって、溶接電極11、12の加圧に対して当該線端20aのつぶれをより抑止できるから、線端20aに喰い切りが発生することなく接合できる。
【0033】
さらに、図8は、平編線20の線端20aと端子板23とを同時に接合する。この場合、前記した線端20a全体とともに線端20aと端子板23間にもナゲット(合金層)が形成される。これによって、平編線20の線端20aと端子板23の接合が可能となり、しかも接合の作業効率が良くなる。
【0034】
以上のとおり、本発明では、大容量の蓄勢された電力を有する蓄勢式溶接機を使用して、大容量蓄勢部品の性能にばらつきがあっても安定した設定電圧および大電流からなる大容量電力による通電によって、被溶接物の平編線に対してその軸方向に延びる線端を、予め金属線で軸方向回りに巻回させて一体化した後に抵抗溶接するので、線端のばらけを防止するから、線端の溶接が可能となる。また、平編線と巻回した金属線が一体化して線端が強固になって、当該線端のつぶれを抑止できるから、線端が切れることなく接合できる。
【0035】
また、本発明では、蓄勢式溶接機が、各蓄勢部品の電圧を個別に監視し、個別充電および個別放電により各蓄勢部品で細分化して充電および放電し、かつ性能にばらつきのある蓄勢部品に対してさらに個別充電して各電圧を安定させるので、複数の蓄勢部品のばらつきに対応しながら、溶接時の設定電圧および大電流の大容量電力を効率よく出力させることができ、抵抗溶接を高速化し、生産効率を向上できる。
【0036】
なお、この実施形態では、平編線として、銅またはアルミニウムのような導電性の高い金属を使用しているが、導電性の高い他の金属を使用してもよい。
【0037】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1:蓄勢式溶接機
2:蓄勢部
3:制御部
4:AC入力電源
5:個別充電回路
6:個別放電回路
7:個別電圧監視回路
8:出力回路
10:個別電圧安定化制御部
11、12:溶接電極(上、下)
20:平編線
20a:平編線の線端
21:金属線
23:端子板
W:被溶接物
X:軸方向
R:軸方向回り
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11