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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】鞄用小物吊り下げ具
(51)【国際特許分類】
   A45C 13/30 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
A45C13/30 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020148793
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043494
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000142746
【氏名又は名称】株式会社ケントク
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】樅山 哲也
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3113296(JP,U)
【文献】登録実用新案第3203790(JP,U)
【文献】登録実用新案第3132042(JP,U)
【文献】特開2002-262910(JP,A)
【文献】特開平8-173304(JP,A)
【文献】登録実用新案第3100418(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円弧状に反り出すように湾曲させた縦長形状の板状体とし、略上半分を鞄の側部に水平に設けられている補助ベルトとの固着部とし、略下半分を鞄の側部との当板部とし、この板状体に取付環を回動自在に支持する支持部を一体に成形したものとし、
前記固着部には、上端に内向フランジを形成し、この内向フランジの下方を、鞄の側部に水平に設けられている補助ベルトの挿通空間としており、この補助ベルトにリベットにより固着するためのリベット孔を表面から裏面にかけて設けており、
前記当板部には、下部から両側端にかけて内向の補強フランジを形成したものとし、この補強フランジは、前記当板部を鞄の側部に当接させたとき、接触面が鞄の側部と密接するように、当板部の下部から両側端かけて徐々に高く張り出すようにしていることを特徴とする鞄用小物吊り下げ具。
【請求項2】
前記板状体は、縦断面を円弧状に反り出すように湾曲させたものとしていることを特徴とする請求項1に記載の鞄用小物吊り下げ具。
【請求項3】
前記板状体は、縦断面および横断面を円弧状に反り出すように湾曲させたものとしていることを特徴とする請求項1に記載の鞄用小物吊り下げ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランドセルなどの鞄において袋掛けなどとして用いられる鞄用小物吊り下げ具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の鞄用小物吊り下げ具としては、例えば図9に示したように、縦長形状とした偏平な当接板11の上部に補助ベルト12の設置スペース13を設け、この設置スペース13の下方にナス環14を保持するための掛止部15を設けたものとし、前記設置スペース13に補助ベルト12を固定カバー16によって保持するように構成されたものが存在する(特許文献1)。
【0003】
そして、前記当接板11は、下端側が丸みを帯びているとともに、上端側はフラットで偏平な縦長部材としており、さらにこの当接板11は合成樹脂を素材としており、これにより当接板11は、ランドセルなどの鞄の皮革の動きに対応して変形と復帰が可能な弾性を有するものになるとしている。
【0004】
このように構成された従来の鞄用小物吊り下げ具は、補助ベルト12の固定カバー16を当接板11と分割しているので、補助ベルト12への取付作業が従来に比べて格段に効率よく行えるとともに、この補助ベルトに様々な形態や大きさの備品を自由に取付けることができ、鞄に対する使用者の様々な要求に広く応えることが可能となるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-34628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載された鞄用小物吊り下げ具では、当接板11がフラットで偏平な縦長部材であるため、補助ベルト12に取り付けた場合に、鞄の側部との接触面から少し浮いたりして体裁が悪かったり、使用時にその浮いた個所に手指などが挟み込まれることがある。そのため、前記当接板11の下部に設けたリベット孔17にリベット18を通して鞄の側部にリベット止めしているので、この作業が面倒であると共に、このリベット止めによって鞄の側部を傷つけるという課題を有していた。
【0007】
さらに、前記特許文献1に記載された鞄用小物吊り下げ具では、補助ベルト12の固定カバー16を当接板11と分割しているといっても、補助ベルト12と鞄の間に当接板11の上端を通してから、この補助ベルト12に固定カバー16を被せ、固定カバー16に設けたリベット孔19にリベット18を通して、補助ベルト12にリベット止めするようにしているので、この作業が面倒であり、手間がかかるという課題を有していた。
【0008】
そこで、本発明は、従来の課題を解決するものであり、取付作業が簡単であると共に、鞄の側部から浮くようなことはなく、しかも鞄の側部を傷つけることのない鞄用小物吊り下げ具を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の鞄用小物吊り下げ具は、円弧状に反り出すように湾曲させた縦長形状の板状体1とし、略上半分を鞄Kの側部Kaに水平に設けられている補助ベルトBとの固着部2とし、略下半分を鞄Kの側部Kaとの当板部3とし、この板状体1に取付環Rを回動自在に支持する支持部4を一体に成形したものとし、前記固着部2は、上端に内向フランジ2aを形成し、この内向フランジ2aの下方を、鞄Kの側部Kaに水平に設けられている補助ベルトBの挿通空間Sとしており、この補助ベルトBにリベットVにより固着するためのリベット孔2bを表面から裏面にかけて設けており、前記当板部3には、下部3aから両側端にかけて内向の補強フランジ3bを形成したものとし、この補強フランジ3bは、前記当板部3を鞄Kの側部Kaに当接させたとき、接触面Fが鞄Kの側部Kaと密接するように、当板部3の下部3aから両側端かけて徐々に高く張り出すようにしている。
【0010】
本発明の鞄用小物吊り下げ具において、前記板状体1は、縦断面を円弧状に反り出すように湾曲させたものとしている。
【0011】
本発明の鞄用小物吊り下げ具において、前記板状体1は、縦断面および横断面を円弧状に反り出すように湾曲させたものとしている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の鞄用小物吊り下げ具は、円弧状に反り出すように湾曲させた縦長形状の板状体としているため、この板状体を補助ベルトに取り付けた場合に、板状体の上部を補助ベルトと鞄の側部の間に通したり、板状体の下部を鞄の側部にリベット止めしなくても、鞄の側部から浮いたりすることがないものとなるので、取付作業が簡単であり、手間のかからないものとなると共に、体裁が悪くなることもなく、学童等の使用者が使用時に手指などが挟み込まれたりすることもないものとなった。
【0014】
本発明の鞄用小物吊り下げ具は、円弧状に反り出すように湾曲させた縦長形状の板状体としており、しかも当板部の下部から両側端にかけて内向の補強フランジを形成したものとしているので、この板状体は丈夫なものとなり、学童等の使用者が机やテーブルなどに強く当てても、鞄の側部から浮いたり、破損したりすることがないものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の鞄用小物吊り下げ具を表側から見た状態を示す斜視図である。
図2】本発明の鞄用小物吊り下げ具を裏側から見た状態を示す斜視図である。
図3】本発明の鞄用小物吊り下げ具の側面図である。
図4】本発明の鞄用小物吊り下げ具の縦断面図である。
図5図3中のA―Aによる本発明の鞄用小物吊り下げ具の横断面図である。
図6】本発明の鞄用小物吊り下げ具にナス環を取り付けた状態を示す斜視図である。
図7】本発明の鞄用小物吊り下げ具の使用状態を示す説明図である。
図8】本発明の鞄用小物吊り下げ具の使用状態を示す断面図である。
図9】従来の鞄用小物吊り下げ具の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の鞄用小物吊り下げ具を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
本発明の鞄用小物吊り下げ具は、合成樹脂の成形品としており、図1~4に示したように、縦断面を円弧状に反り出すように湾曲させた縦長形状の板状体1としており、略上半分を図7、8に示したような鞄Kの側部Kaに水平に設けられている補助ベルトBとの固着部2とし、略下半分を鞄Kの側部Kaとの当板部3とし、この板状体1にナス環やD環などの取付環Rを回動自在に支持する支持部4を一体に成形したものとしている。なお、前記板状体1は、図5に示したように、縦断面に加え横断面も円弧状に反り出すように湾曲させたものとすることができる。
【0018】
前記板状体1は、長さを30~40mm、幅を15~25mmとしており、縦断面の円弧raの曲率半径を10~15cm、横断面の円弧rbの曲率半径を30~45cmとするのが、鞄Kの側部Kaに取り付けたときに出っ張りすぎることなく、取付環Rとのバランスもよいものとなる。
【0019】
固着部2は、上端に内向フランジ2aを形成し、この内向フランジ2aの下方を、鞄Kの側部Kaに水平に設けられている補助ベルトBの挿通空間Sとしており、この補助ベルトBにリベットVにより固着するためのリベット孔2bを表面から裏面にかけて設けている。そして、このリベット孔2bの周囲には、リベットVの頭部を位置合わせするための円周状リブ2cが形成されている。
【0020】
当板部3は、取付環Rの最大横幅とほぼ同一の横幅を有するものとしており、下部3aを半円形状に丸めたものとしており、この下部3aから両側端にかけて内向の補強フランジ3bを形成したものとしている。この補強フランジ3bは、当板部3を鞄Kの側部Kaに当接させたとき、接触面Fが鞄Kの側部Kaと密接するように、当板部3の下部3aから両側端かけて徐々に高く張り出すようにしている。なお、前記補強フランジ3bは、両側端のコーナ部Cにアールをつけることにより、板状体1に曲げモーメントが作用した場合に、その曲げ応力の集中による破損を起こさないようにしている。
【0021】
支持部4は、フック状に曲げて弾性を有するものとしており、図示したようなナス環などの取付環Rのリング状の取付部Raを遊嵌する取付空間4aを設けると共に、前記当板部3側に開口4bを設け、当板部3との間には、取付環Rの取付部Raを通すための隙間Pを形成している。さらに、この支持部4は、鉤状に曲げた両側面4cを前方から後方にかけて傾斜させたものとし、前方を後方より短くしている。このようにすることにより、前記取付空間4aに取付環Rの取付部Raを遊嵌させたときに、その取付環Rの両端が当板部3の両側端から大きく食み出さないものとなる。さらに、前記支持部4の取付空間4aの縦断面形状を縦長円にするなどしてその奥行きを浅くし、支持部4を平たくして嵩張らないようにすることができる。このようにすれば、携行物を吊り下げない場合には、前記支持部4が邪魔になりにくいものとなる。
【0022】
支持部4の隙間Pは、取付環Rの取付部Raの厚さより狭くしたものとしており、この隙間Pから不用意に取付環Rが外れないようにしている。さらに、前記取付環Rに所定の引張力以上の引張力が作用すると支持部4が弾性変形して、前記隙間Pが取付環Rの取付部Raの厚さよりも大きく広がり、その隙間Pから取付環Rの取付部Raが抜けて外れるようにしている。また、前記隙間Pに取付環Rの取付部Raを押し込んだときには支持部4が弾性変形して、隙間Pが取付環Rの取付部Raの厚さよりも大きく広がり、その隙間Pに取付環Rの取付部Raを通すことができるようにしている。
【0023】
なお、前記所定の引張力以上の引張力とは、鞄をランドセルとした場合には、小学生が自転車や自動車に引っ張られて、引き倒されたり、引きずられたりするのに耐えることができないと考えられる引張力、例えば8~20Kg程度の引張力に設定することができるが、ランドセル以外の鞄の場合には、その鞄の使用者に応じて、任意の引張力に設定することができる。
【0024】
取付環Rは、合成樹脂や金属などからなるものとすることができ、図6に示したようなナス環としたものでは、金属ダイカスト品としており、取付部Raとなる横長の丸形状とした上リング体と、吊下部Rbとなる縦長の丸形状とした下リング体とを連結したものとし、その連結部に突起5を設け、この突起5と対向する位置の吊下部Rbの下部に鉤部6を設けている。そして、前記突起5に、縦長の長方形状としたばね材7の基端を回動自在に取り付け、このばね材7の先端を前記鉤部6の先端内面に圧接するようにしている。さらに、前記吊下部Rbには、この吊下部Rbを左右に二等分するように補強枠8を設けたものとしている。
【0025】
このように構成された本発明の鞄用小物吊り下げ具は、ランドセルなどの鞄Kの側部Kaに取り付けられ、次のようにして使用される。
【0026】
本発明の鞄用小物吊り下げ具をランドセルなどの鞄Kに取り付けるには、図7、8に示すように、板状体1の固着部2の空間Sに、鞄Kの側部Kaに水平に設けられている補助ベルトBを挿入し、この固着部2に設けたリベット孔2bにリベットVを貫通させて、前記補助ベルトBにリベット止めして固着する。すると、前記板状体1は、円弧状に反り出すように湾曲させたものとしているので、この板状体1の当接部3の接触面Fが鞄Kの側部Kaと密接することになる。
【0027】
そして、前記鞄用小物吊り下げ具に取付環Rを取り付けるには、取付環Rの取付部Raを支持部4の隙間Pから押し込んで、さらに開口4bに通せば、この支持部4の取付空間4aに取付環Rの取付部Raが入り込む。
【0028】
したがって、本発明の鞄用小物吊り下げ具では、学童等の使用者が取付環Rに給食袋などの小物を吊り下げて、歩いたり走ったりした場合に、取付環Rが回動または揺動するが、取付環Rの取付部Raは隙間Pから抜けて外れるようなことはない。
【0029】
さらに、本発明の鞄用小物吊り下げ具は、円弧状に反り出すように湾曲させた縦長形状の板状体1としているため、この板状体1を補助ベルトBに取り付けた場合に、板状体1の上部を補助ベルトBと鞄Kの側部Kaの間に通したり、板状体1の下部を鞄Kの側部Kaにリベット止めしなくても、鞄Kの側部Kaから浮いたりすることがないものとなるので、取付作業が簡単であり、手間のかからないものとなると共に、体裁が悪くなることもなく、学童等の使用者が使用時に手指などが挟み込まれたりすることもない。
【0030】
また、本発明の鞄用小物吊り下げ具は、円弧状に反り出すように湾曲させた縦長形状の板状体としており、しかも当板部3の下部3aから両側端にかけて内向の補強フランジ3bを形成したものとしているので、この板状体1は丈夫なものとなり、学童等の使用者が机やテーブルなどに強く当てても、鞄の側部から浮いたり、破損したりすることもない。
【符号の説明】
【0031】
1 板状体
2 固着部
2a 内向フランジ
2b リベット孔
3 当接部
3a 下部
3b 補強フランジ
4 支持部
B 補助ベルト
F 接触面
K 鞄
Ka 側部
R 取付環
S 挿通空間
V リベット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9