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特許7483269エピタキシャル側方成長層上の表面を平らにする方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】エピタキシャル側方成長層上の表面を平らにする方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20240508BHJP
   C30B 25/04 20060101ALI20240508BHJP
   C30B 29/38 20060101ALI20240508BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20240508BHJP
   H01S 5/323 20060101ALI20240508BHJP
   H01S 5/343 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H01L21/205
C30B25/04
C30B29/38
H01L33/32
H01S5/323 610
H01S5/343 610
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021551540
(86)(22)【出願日】2020-03-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 US2020020647
(87)【国際公開番号】W WO2020180785
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】62/812,453
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】神川 剛
(72)【発明者】
【氏名】ガンドロトゥーラ, スリニヴァス
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-184504(JP,A)
【文献】特開2007-001857(JP,A)
【文献】特表2014-520405(JP,A)
【文献】特表2001-520169(JP,A)
【文献】特開2006-316307(JP,A)
【文献】特開2000-277437(JP,A)
【文献】特開2002-009004(JP,A)
【文献】特表2015-500573(JP,A)
【文献】ZHELEVA T S ET AL,Pendeo-epitaxy-a new approach for lateral growth of gallium nitride structures,M R S INTERNET JOURNAL OF NITRIDE SEMICONDUCTOR RESEARCH,米国,1999年,U282-U287
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C30B 25/04
C30B 29/38
H01L 33/32
H01S 5/323
H01S 5/343
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層を製造する方法であって、前記方法は、
基板上の成長制限マスクの上または上方に成長させられた複数のエピタキシャル側方成長(ELO)III族窒化物層を準備することであって、前記複数のELO III族窒化物層のうちの隣接したものは、互いに分離している、ことと、
前記成長制限マスクの少なくとも一部を除去することと、
前記複数のELO III族窒化物層および前記基板の上または上方に複数のIII族窒化物素子層を互いに分離している状態で成長させることと
を含み、
前記成長制限マスクは、前記複数のELO III族窒化物層を成長させた後、かつ前記複数のIII族窒化物素子層のうちの少なくともいくつかを成長させる前に除去される、方法。
【請求項2】
前記複数のIII族窒化物素子層は、p型層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
除去される前記成長制限マスクの前記少なくとも一部は、前記複数のELO III族窒化物層によって覆われていない前記成長制限マスクの少なくとも一部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のIII族窒化物素子層は、低温成長層、インジウム含有層、アルミニウム含有層、および/またはp型層を含み、前記成長制限マスクは、前記低温成長層、インジウム含有層、アルミニウム含有層、および/またはp型層を成長させる前に除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記成長制限マスクは、前記p型層を成長させる前に除去されることによって、前記成長制限マスクの分解に起因する前記p型層の補償を回避する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記成長制限マスクは、前記複数のIII族窒化物素子層の少なくとも活性層を成長させる前に除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記成長制限マスクは、前記複数のIII族窒化物素子層を成長させる前に除去され、前記複数のIII族窒化物素子層の成長は、前記成長制限マスクが除去された底層の成長をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のELO III族窒化物層と前記複数のIII族窒化物素子層とは、一緒に、複数の島状III族窒化物半導体層を形成し、前記底層は、前記複数の島状III族窒化物半導体層に接続していない、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のELO III族窒化物層は、前記底層が成長することを防止する高さ、または前記底層の成長を遅らせる高さを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の島状III族窒化物半導体層は、底部エリアによって前記底層から分離され、
前記底部エリアの幅は、各島状III族窒化物半導体層の側面ファセットの形状に依存する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記側面ファセットの縁は、隣接した島状III族窒化物半導体層に向けて突出し、それによって、前記側面ファセットの前記縁は、前記複数のIII族窒化物素子層の成長中、前記底層に対するガスの供給量を低減させ、それは、前記底部エリアの幅をより長くする、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、以下の同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された出願の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する:
Takeshi KamikawaおよびSrinivas Gandrothulaによる「METHOD FOR FLATTENING A SURFACE ON AN EPITAXIAL LATERAL GROWTH LAYER」と題され、2019年3月1日に出願された米国仮出願第62/812,453号(弁理士整理番号第G&C 30794.0720USP1(UC 2019-409-1)号)。
【0002】
上記出願は、参照することによって本明細書に組み込まれる。本願は、以下の同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された出願に関する:
【0003】
Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、 Hongjian Li、およびDaniel A. Cohenによる「METHOD OF REMOVING A SUBSTRATE」と題され、2019年10月24日に出願された米国実用特許出願第16/608,071号(弁理士整理番号第30794.0653WOU1(UC 2017-621-1)号)、上記出願は、Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、 Hongjian Li、およびDaniel A. Cohenによる「METHOD OF REMOVING A SUBSTRATE」と題され、2018年5月7日に出願された同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡されたPCT国際特許出願第PCT/US18/31393号(弁理士整理番号第30794.0653WOU1(UC 2017-621-2)号)の35 U.S.C. Section 365(c)(米国特許法第365条(c))下の利益を主張し、上記出願は、Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、Hongjian Li、およびDaniel A. Cohenによる「METHOD OF REMOVING A SUBSTRATE」と題され、2017年5月5日に出願された同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された米国仮特許出願第62/502,205号(弁理士整理番号第30794.0653USP1(UC 2017-621-1)号)の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する。
【0004】
Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、およびHongjian Liによる「METHOD OF REMOVING A SUBSTRATE WITH A CLEAVING TECHNIQUE」と題され、2018年9月17日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US18/51375号(弁理士整理番号第30794.0659WOU1(UC 2018-086-2)号)、上記出願は、Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、およびHongjian Liによる「METHOD OF REMOVING A SUBSTRATE WITH A CLEAVING TECHNIQUE」と題され、2017年9月15日に出願された同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された米国仮特許出願第62/559,378号(弁理士整理番号第30794.0659USP1(UC 2018-086-1)号)の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する。
【0005】
Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、およびHongjian Liによる「METHOD OF FABRICATING NONPOLAR AND SEMIPOLAR DEVICES USING EPITAXIAL LATERAL OVERGROWTH」と題され、2019年4月1日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US19/25187号(弁理士整理番号第30794.0680WOU1(UC 2018-427-2)号)、上記出願は、Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、およびHongjian Liによる「METHOD OF FABRICATING NONPOLAR AND SEMIPOLAR DEVICES BY USING LATERAL OVERGROWTH」と題され、2018年3月30日に出願された同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された米国仮特許出願第62/650,487号(弁理士整理番号第G&C 30794.0680USP1(UC 2018-427-1)号)の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する。
【0006】
Takeshi KamikawaおよびSrinivas Gandrothulaによる「METHOD FOR DIVIDING A BAR OF ONE OR MORE DEVICES」と題され、2019年5月17日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US19/32936号(弁理士整理番号第30794.0681WOU1(UC 2018-605-2)号)、上記出願は、Takeshi KamikawaおよびSrinivas Gandrothulaによる「METHOD FOR DIVIDING A BAR OF ONE OR MORE DEVICES」と題され、2018年5月17日に出願された同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された米国仮出願第62/672,913号(弁理士整理番号第G&C 30794.0681USP1(UC 2018-605-1)号)の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する。
【0007】
Srinivas GandrothulaおよびTakeshi Kamikawaによる「METHOD OF REMOVING SEMICONDUCTING LAYERS FROM A SEMICONDUCTING SUBSTRATE」と題され、2019年5月30日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US19/34686号(弁理士整理番号第30794.0682WOU1(UC 2018-614-2)号)、上記出願は、Srinivas GandrothulaおよびTakeshi Kamikawaによる「METHOD OF REMOVING SEMICONDUCTING LAYERS FROM A SEMICONDUCTING SUBSTRATE」と題され、2018年5月30日に出願された同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された米国仮出願第62/677,833号(弁理士整理番号第G&C 30794.0682USP1(UC 2018-614-1)号)の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する。
【0008】
Takeshi KamikawaおよびSrinivas Gandrothulaによる「METHOD OF OBTAINING A SMOOTH SURFACE WITH EPITAXIAL LATERAL OVERGROWTH」と題され、2019年10月31日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US19/59086号(弁理士整理番号第30794.0693WOU1(UC 2019-166-2)号)、上記出願は、Takeshi KamikawaおよびSrinivas Gandrothulaによる「METHOD OF OBTAINING A SMOOTH SURFACE WITH EPITAXIAL LATERAL OVERGROWTH」と題され、2018年10月31日に出願された同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された米国仮出願第62/753,225号(弁理士整理番号第G&C 30794.0693USP1(UC 2019-166-1)号)の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する。
【0009】
Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、およびMasahiro Arakiによる「METHOD FOR REMOVAL OF DEVICES USING A TRENCH」と題され、2020年1月16日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US20/13934号(弁理士整理番号第30794.0713WOU1(UC 2019-398-2)号)、上記出願は、Takeshi Kamikawa、Srinivas Gandrothula、およびMasahiro Arakiによる「METHOD FOR REMOVAL OF DEVICES USING A TRENCH」と題され、2019年1月16日に出願された同時係属中かつ本発明の譲受人に譲渡された米国仮出願第62/793,253号(弁理士整理番号第G&C 30794.0713USP1(UC 2019-398-1)号)の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する。
【0010】
それらの出願の全てが、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0011】
(発明の分野)
【0012】
本発明は、エピタキシャル側方成長層上の表面を平らにする方法に関する。
【背景技術】
【0013】
(関連技術の説明)
【0014】
現在、一部の素子製造業者は、GaNまたはAlN基板等のIII族窒化物系基板を使用し、照明、光学記憶等のためのレーザダイオード(LD)および発光ダイオード(LED)を生産する。しかしながら、III族窒化物系基板が非常に高価であることは周知である。
【0015】
以前の試行が、III族窒化物系基板からIII族窒化物系半導体層を除去し、基板を再生利用するために行われてきた。一例では、III族窒化物層が、最初に、成長制限マスクとエピタキシャル側方成長(epitaxial lateral overgrowth:ELO)を使用して、基板上に成長させられる。III族窒化物層の成長は、III族窒化物層が互いに合体する前に停止させられる。これは、島状III族窒化物半導体層上に隆起構造を作製する素子プロセスが実施された後、結果として生じる島状III族窒化物半導体層を除去することを容易にする。
【0016】
この方法を使用することは、金属有機化学蒸着(MOCVD)を使用して、別々のELO III族窒化物層上にIII族窒化物素子層を成長させることを可能にする。MOCVDを使用する従来のエピタキシャル成長では、成長は、平坦な基板またはテンプレート層を伴う平坦な基板上で実施されることができる。しかしながら、III族窒化物素子層は、別々のエピ層上で成長させられ、そのような成長は、別々のELO III族窒化物層を伴う基板上での平坦面エピ層を取得しない。
【0017】
表面粗度を悪化させることは、各層が厚さの面内分布を有することを意味する。素子の特性を改良するために、各層の厚さの面内分布は、減少する必要がある。例えば、厚さの面内分布が、p層におけるものである場合、光学閉じ込め因子は、各素子で異なる。表面粗度を改良することは、厚さの面内分布を減少させる。
【0018】
別の側面において、成長制限マスクは、典型的に、SiO、SiN等である。これらの場合、SiおよびOは、GaN層のためのn型ドーパントである。成長制限マスクが露出されている場合、また何らかによって覆われていない場合、p型層が成長している間にn型層を補償することが可能であり得る。
【0019】
本発明の目的は、III族窒化物素子層の成長後に平滑な表面を取得することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
上で説明される従来技術における限界を克服し、本明細書の熟読および理解に応じて明白となるであろう他の限界を克服するために、本発明は、別々のELO III族窒化物層を伴う平滑な表面を取得する方法を開示する。さらに、本発明は、別々のELO III族窒化物層上のIII族窒化物素子層の表面粗度を改良することに成功している。
【0021】
別の側面において、それらの上側を下に向けて素子を搭載するために、素子のバーの縁における縁成長を抑制することが重要である。材料ガスからの原子の非一様な供給が、この現象を引き起こす。本発明は、縁成長を抑制することに成功している。
【0022】
具体的に、本発明は、以下のステップを実施する:ELO III族窒化物層が、MOCVDまたは他の方法を介して、成長制限マスクを使用して基板上に成長させられる;ELO III族窒化物層は、互いに別個であり、別々のままである;基板が、成長制限マスクを除去するためにMOCVDリアクタから除去される;、成長制限マスクが、ウェットまたはドライエッチングによって除去される;III族窒化物素子層が、成長制限マスクの除去後にELO III族窒化物層および基板上で成長させられ、島状III族窒化物半導体層をもたらす;、素子が、島状III族窒化物半導体層を使用して製作される;および、素子のバーが、基板から除去され、素子のバーが、劈開方法を使用してチップまたは個々の素子に分割される。
【0023】
III族窒化物素子層を成長させた後、それらの表面を平らにすることは困難である。これは、特に、三元および四元化合物III族窒化物半導体層を含むIII族窒化物半導体層に当てはまる。
【0024】
研究は、成長の不均一が、ガスの非一様な供給によって引き起こされ、それが、表面の平坦性に影響を及ぼし、活性層に関して非一様な放出パターンをもたらすことを開示している。さらに、成長の不均一は、島状III族窒化物半導体層の縁の近傍の部分において発生し、それは、各部分における供給原子の量の差異によって引き起こされる。
【0025】
本発明では、この成長の不均一の問題は、縁の数を増加させる分離されているELO III族窒化物層によって向上される。さらに、平坦な表面領域の幅が、共通ウエハを使用する従来の成長と比較して狭いので、成長の不均一が、より生じやすい。さらに、ELO III族窒化物層を成長させた後、および、p型層等のIII族窒化物素子層を成長させる前の成長制限マスクの除去は、成長の不均一をより起こりやすくする。
【0026】
別の側面において、III族窒化物層は、700℃を上回る温度において成長させられ得、ある場合、成長温度は、結晶品質を改良するために1,000℃超である。この高成長温度は、SiO成長制限マスクを成長雰囲気の中に解放されるSi原子およびO原子に分解させる。この条件では、p型層の成長中の分解されたSi原子およびO原子は、n型ドーパントとしてのSiおよびOによるp型層の補償を引き起こす。残念ながら、この補償は、p型層の直列抵抗の増加を引き起こす。本発明は、p型層の成長の前に成長制限マスクを除去することによって、p型層のこの補償を回避する。
【0027】
概して、放出素子では、III族窒化物素子層は、n型層、活性層、電子遮断層(EBL)、およびp型層の順で成長させられる。好ましくは、成長制限マスクは、p型層を成長させる前に除去される。より好ましくは、成長制限マスクは、ELO III族窒化物層を成長させた後に除去される。こうすることによって、平滑な表面が、III族窒化物素子層を成長させた後に島状III族窒化物半導体層のために取得されることができる。
【0028】
したがって、素子プロセスの前に成長制限マスクを除去することに2つの利点が存在する。1つの利点は、平滑な表面を取得することである。別の利点は、成長制限マスクの分解に起因するp型層の補償を回避することである。本発明を採用することは、両方の問題を解決することができる。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
方法であって、前記方法は、
基板上の成長制限マスクの上または上方に1つ以上のエピタキシャル側方成長(ELO)III族窒化物層を成長させることと、
前記ELO III族窒化物層のうちの隣接したものが互いに合体する前に前記ELO III族窒化物層の成長を停止させることと、
前記成長制限マスクの少なくとも一部を除去することと、
前記ELO III族窒化物層および前記基板の上または上方に1つ以上のIII族窒化物素子層を成長させることと
を含み、
前記成長制限マスクは、前記ELO III族窒化物層を成長させた後、かつ前記III族窒化物素子層のうちの少なくともいくつかを成長させる前に除去される、方法。
(項目2)
前記III族窒化物素子層は、p型層を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
除去される前記成長制限マスクの前記少なくとも一部は、前記ELO III族窒化物層によって覆われていない前記成長制限マスクの少なくとも一部を含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記III族窒化物素子層は、低温成長層、インジウム含有層、アルミニウム含有層、および/またはp型層を含み、前記成長制限マスクは、前記低温成長層、インジウム含有層、アルミニウム含有層、および/またはp型層を成長させる前に除去される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記成長制限マスクは、前記p型層を成長させる前に除去されることによって、前記成長制限マスクの分解に起因する前記p型層の補償を回避する、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記成長制限マスクは、前記III族窒化物素子層の少なくとも活性層を成長させる前に除去される、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記成長制限マスクは、前記III族窒化物素子層を成長させる前に除去され、前記III族窒化物素子層の成長は、前記成長制限マスクが除去された底層の成長をもたらす、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記ELO III族窒化物層と前記III族窒化物素子層とは、一緒に、島状III族窒化物半導体層を備え、前記底層は、前記島状III族窒化物半導体層に接続していない、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記ELO III族窒化物層は、前記底層が成長することを防止する高さ、または前記底層の成長を遅らせる高さを有する、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記底層の幅は、前記ELO III族窒化物層および前記III族窒化物素子層の側面ファセットの形状に依存する、項目7に記載の方法。
(項目11)
前記側面ファセットの縁は、底縁線の外側に位置し、それによって、前記側面ファセットの前記縁は、成長中、ガスの供給を低減させ、それは、前記底層の幅をより長くする、項目10に記載の方法。
(項目12)
項目1に記載の方法によって製作される素子。
(項目13)
素子であって、前記素子は、
1つ以上のエピタキシャル側方成長(ELO)III族窒化物層上に成長させられた1つ以上のIII族窒化物素子層を備え、前記1つ以上のELO III族窒化物層は、前記素子の底部エリアを備え、前記1つ以上のIII族窒化物素子層は、縁成長を有していない、素子。
(項目14)
前記素子の側面ファセットは、底縁線の外側に位置している縁を有しておらず、それは、前記底部エリアの縁をより短くする、項目13に記載の素子。
【図面の簡単な説明】
【0029】
ここで、同様の参照番号が、全体を通して対応する部分を表す、図面を参照する。
【0030】
図1A図1(a)および1(b)は、本発明の実施形態による、基板、成長制限マスク、およびエピタキシャル層の概略図である。
図1B図1(a)および1(b)は、本発明の実施形態による、基板、成長制限マスク、およびエピタキシャル層の概略図である。
【0031】
図2A図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、および2(i)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有りで取得された結果と成長制限マスク無しで取得された結果とを比較する概略図および走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図2B図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、および2(i)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有りで取得された結果と成長制限マスク無しで取得された結果とを比較する概略図および走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図2C図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、および2(i)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有りで取得された結果と成長制限マスク無しで取得された結果とを比較する概略図および走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図2D図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、および2(i)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有りで取得された結果と成長制限マスク無しで取得された結果とを比較する概略図および走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図2E図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、および2(i)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有りで取得された結果と成長制限マスク無しで取得された結果とを比較する概略図および走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図2F図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、および2(i)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有りで取得された結果と成長制限マスク無しで取得された結果とを比較する概略図および走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図2G図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、および2(i)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有りで取得された結果と成長制限マスク無しで取得された結果とを比較する概略図および走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図2H図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、および2(i)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有りで取得された結果と成長制限マスク無しで取得された結果とを比較する概略図および走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図2I図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、および2(i)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有りで取得された結果と成長制限マスク無しで取得された結果とを比較する概略図および走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【0032】
図3A図3(a)、3(b)、3(c)、3(d)、3(e)、および3(f)は、本発明の一実施形態による、島状III族窒化物系半導体層の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図3B図3(a)、3(b)、3(c)、3(d)、3(e)、および3(f)は、本発明の一実施形態による、島状III族窒化物系半導体層の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図3C図3(a)、3(b)、3(c)、3(d)、3(e)、および3(f)は、本発明の一実施形態による、島状III族窒化物系半導体層の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図3D図3(a)、3(b)、3(c)、3(d)、3(e)、および3(f)は、本発明の一実施形態による、島状III族窒化物系半導体層の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図3E図3(a)、3(b)、3(c)、3(d)、3(e)、および3(f)は、本発明の一実施形態による、島状III族窒化物系半導体層の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図3F図3(a)、3(b)、3(c)、3(d)、3(e)、および3(f)は、本発明の一実施形態による、島状III族窒化物系半導体層の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【0033】
図4図4は、本発明の一実施形態による、島状III族窒化物系半導体層から形成されたレーザダイオード素子の断面図である。
【0034】
図5A図5(a)、5(b)、5(c)、および5(d)は、本発明の一実施形態による、分割支援領域が素子のバーに沿って周期的な長さにおいて形成される様子を図示する。
図5B図5(a)、5(b)、5(c)、および5(d)は、本発明の一実施形態による、分割支援領域が素子のバーに沿って周期的な長さにおいて形成される様子を図示する。
図5C図5(a)、5(b)、5(c)、および5(d)は、本発明の一実施形態による、分割支援領域が素子のバーに沿って周期的な長さにおいて形成される様子を図示する。
図5D図5(a)、5(b)、5(c)、および5(d)は、本発明の一実施形態による、分割支援領域が素子のバーに沿って周期的な長さにおいて形成される様子を図示する。
【0035】
図6図6(a)および6(b)も、本発明の一実施形態による、分割支援領域が素子のバーに沿って周期的な長さにおいて形成される様子を図示する。
【0036】
図7図7(a)および7(b)は、それぞれ、(1-100)ジャスト、(20-21)、および(20-2-1)面に関して、除去された後の素子のバーの裏側、および素子のバーを除去した後の基板の表面のSEM画像を示す。
【0037】
図8-1】図8(a)、8(b)、8(c)、8(d)、8(e)、8(f)、および8(g)は、本発明の一実施形態による、素子のバーを除去するための手順を図示する。
図8-2】図8(a)、8(b)、8(c)、8(d)、8(e)、8(f)、および8(g)は、本発明の一実施形態による、素子のバーを除去するための手順を図示する。
図8-3】図8(a)、8(b)、8(c)、8(d)、8(e)、8(f)、および8(g)は、本発明の一実施形態による、素子のバーを除去するための手順を図示する。
図8-4】図8(a)、8(b)、8(c)、8(d)、8(e)、8(f)、および8(g)は、本発明の一実施形態による、素子のバーを除去するための手順を図示する。
【0038】
図9図9(a)および9(b)は、異なる基板面からの素子のバーのSEM画像である。
【0039】
図10図10(a)、10(b)、10(c)、10(d)、および10(e)は、c面(0001)基板面からの素子のバーのSEM画像である。
【0040】
図11図11(a)および11(b)は、本発明の一実施形態による、複数の素子の複数のバーのために使用される成長制限マスクを図示する。
【0041】
図12図12(a)および12(b)は、素子のバーが除去された後のミスカット配向を伴わない(1-100)面のための非常に平滑な表面のSEM画像である。
【0042】
図13図13(a)および13(b)は、m面に向かって0.7度のミスカット配向を伴う(0001)面のための素子のバーを除去した後の基板の表面のSEM画像である。
【0043】
図14図14は、素子のバーを除去した後の(20-21)自立GaN基板の表面に関するSEM画像および材料特性を示す。
【0044】
図15A図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、本発明の一実施形態による、バーがポリマーテープを使用して基板から除去された後に素子のバーを分割するための手順を図示する。
図15B図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、本発明の一実施形態による、バーがポリマーテープを使用して基板から除去された後に素子のバーを分割するための手順を図示する。
図15C図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、本発明の一実施形態による、バーがポリマーテープを使用して基板から除去された後に素子のバーを分割するための手順を図示する。
図15D図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、本発明の一実施形態による、バーがポリマーテープを使用して基板から除去された後に素子のバーを分割するための手順を図示する。
図15E図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、本発明の一実施形態による、バーがポリマーテープを使用して基板から除去された後に素子のバーを分割するための手順を図示する。
図15F図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、および15(f)は、本発明の一実施形態による、バーがポリマーテープを使用して基板から除去された後に素子のバーを分割するための手順を図示する。
【0045】
図16図16は、本発明の一実施形態による、素子のファセットのためのコーティングプロセスを図示する。
【0046】
図17-1】図17(a)、17(b)、および17(c)は、本発明の一実施形態による、ワイヤボンドが素子に取り付けられ、ヒートシンクプレートが溝において分割される様子を図示する。
図17-2】図17(a)、17(b)、および17(c)は、本発明の一実施形態による、ワイヤボンドが素子に取り付けられ、ヒートシンクプレートが溝において分割される様子を図示する。
【0047】
図18図18(a)および18(b)は、本発明の一実施形態による、ヒートシンクプレートが別個の素子に分割される様子を図示する。
【0048】
図19図19(a)および19(b)は、本発明の一実施形態による、素子のための試験装置を図示する。
【0049】
図20図20は、本発明の一実施形態による、レーザダイオード素子のためのTO-canパッケージを図示する。
【0050】
図21図21は、本発明の一実施形態による、ヒートシンクプレートを含む素子のためのパッケージを図示する。
【0051】
図22A図22(a)および22(b)は、本発明の一実施形態による、層屈曲領域内の層のエッチングを図示する。
図22B図22(a)および22(b)は、本発明の一実施形態による、層屈曲領域内の層のエッチングを図示する。
【0052】
図23図23(a)および23(b)は、本発明の一実施形態による、ポリマー膜の構造を図示する。
【0053】
図24A図24(a)、24(b)、および24(c)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有無別の成長を図示する概略図である。
図24B図24(a)、24(b)、および24(c)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有無別の成長を図示する概略図である。
図24C図24(a)、24(b)、および24(c)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有無別の成長を図示する概略図である。
【0054】
図25A図25(a)、25(b)、25(c)、および25(d)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有無別の成長を図示する概略図である。
図25B図25(a)、25(b)、25(c)、および25(d)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有無別の成長を図示する概略図である。
図25C図25(a)、25(b)、25(c)、および25(d)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有無別の成長を図示する概略図である。
図25D図25(a)、25(b)、25(c)、および25(d)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有無別の成長を図示する概略図である。
【0055】
図26A図26(a)および26(b)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有無別の成長を図示する概略図である。
【0056】
図26B図26(a)および26(b)は、本発明の実施形態による、成長制限マスク有無別の成長を図示する概略図である。
図27図27(a)および27(b)は、発明の実施形態による、成長制限マスクの有無別のELO III族窒化物層およびIII族窒化物素子層を成長させた後の残りの空間の形状を図示するSEM画像および概略図である。
【0057】
図28図28は、発明の実施形態による、それらの上側を下に向けてヒートシンクプレートに搭載された素子を図示する。
【0058】
図29図29(a)および29(b)は、発明の実施形態による、III族窒化物素子層の表面を図示するSEM画像である。
【0059】
図30図30(a)および30(b)は、発明の実施形態による、成長制限マスクの除去後のIII族窒化物素子層の接続を図示するSEM画像である。
図31図31は、1つ以上の素子のバーを分割する方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下の好ましい実施形態の説明では、本発明が実践され得る具体的実施形態が、参照される。他の実施形態も、利用され得、構造的変更が、本発明の範囲から逸脱することなく成され得ることを理解されたい。
(素子構造)
【0061】
図1(a)および1(b)は、本発明の一実施形態に従って製作される素子構造を図示する断面図である。
【0062】
図1(a)の実施形態では、バルクGaN基板101等のIII族窒化物系基板101が、提供され、成長制限マスク102が、基板101の上または上方に形成される。縞状開放エリア103が、成長制限マスク102内に画定される。
【0063】
非成長領域104は、成長制限マスク102内の隣接した開放エリア103から成長させられるELO III族窒化物層105が成長制限マスク102の上で合体しないように作製されるとき、生じる。好ましくは、成長条件は、ELO III族窒化物層105がそのウィング領域上に20μmの横幅を有するように、最適化される。
【0064】
追加のIII族窒化物素子層106が、ELO III族窒化物層105の上または上方に堆積させられ、活性領域106a、電子遮断層(EBL)106b、およびクラッディング層106c、および他の層を含み得る。
【0065】
ELO III族窒化物層105の厚さは、それが1つ以上の平坦な表面領域107、および非成長領域104に隣接したそれらの縁における層屈曲領域108の幅を決定するので、重要である。平坦な表面領域107の幅は、好ましくは、少なくとも5μmであり、より好ましくは、10μm以上であり、最も好ましくは、20μm以上である。
【0066】
ELO III族窒化物層105および追加のIII族窒化物素子層106は、島状III族窒化物半導体層109と称され、隣接した島状III族窒化物半導体層109は、非成長領域104によって分離されている。
【0067】
非成長領域104の幅は、成長制限マスク102の分解の量を制御することができる。非成長領域104の幅が狭くなるほど、成長制限マスク102の分解の量が少なくなる。分解の量を低減させることは、成長制限マスク102の分解によるIII族窒化物素子層106のp型層の補償を軽減し得る。
【0068】
互いに隣接した島状III族窒化物半導体層109の間の距離は、非成長領域104の幅であり、それは、概して、20μm以下、好ましくは、5μm以下であるが、これらの値に限定されない。島状III族窒化物半導体層109の各々は、別個の素子110に処理され得る。LED、LD、ショットキー障壁ダイオード、または金属酸化膜半導体電界効果トランジスタであり得る素子110は、平坦な表面領域107および/または開放エリア103上で処理される。さらに、素子110の形状は、概して、バーを備えている。
【0069】
本発明では、基板101とELO III族窒化物層105との間の接合強度は、成長制限マスク102によって弱められる。この場合、基板101とELO III族窒化物層105との間の接合エリアは、開放エリア103である。開放エリア103の幅は、島状III族窒化物半導体層109の幅より狭い。成長制限マスク102と島状III族窒化物半導体層109との間の接合の強度は、弱い。さらに、島状III族窒化物半導体層109は、概して、開放エリア103のみにおいて基板101に接合する。その結果として、接合エリアは、この方法が島状III族窒化物半導体層109を除去するために好ましいように、成長制限マスク102によって縮小される。
【0070】
最後に、底層111が、存在し得、底層111は、島状III族窒化物半導体層109間の非成長領域104内に生じ得る。島状III族窒化物半導体層109が底層111に接続された場合、基板101から島状半導体層109を除去することは困難であり得る。
(素子製作)
【0071】
本発明を使用して素子110を製作するために使用されるステップが、下で説明される。
【0072】
ステップ1:複数の開放エリア103を伴う成長制限マスク102を直接または間接的に基板101上に形成し、基板101は、III族窒化物基板またはヘテロ基板である。
【0073】
ステップ2:成長制限マスク102を使用して、成長が成長制限マスク102の縞状開放エリア103と平行な方向に延びているように、基板101上にELO III族窒化物層105を成長させ、ELO III族窒化物層105は、合体しない。
【0074】
ステップ3:MOCVDリアクタからELO III族窒化物層105を伴う基板101を除去する。成長制限マスク102は、フッ化水素(HF)または緩衝HF(BHF)等のエッチング液を用いたウェットエッチング方法によって、基板101から除去される。
【0075】
ステップ4:成長制限マスク102が除去された後、III族窒化物素子層106を成長させる。III族窒化物素子層106は、成長制限マスク102の除去に起因して、ELO III族窒化物層105の上または上方に、およびELO III族窒化物層105間の基板101表面の上または上方に成長させられる。
【0076】
ステップ5:従来の方法を使用して、平坦な表面領域107において素子110を製作し、隆起構造、p電極、パッド電極等が、所定の位置において島状III族窒化物半導体層109上に配置される。
【0077】
ステップ6:素子110のバーの側面ファセットおよび平坦な表面領域107における劈開のための支援構造を形成する。
【0078】
ステップ7:基板101から素子110のバーを除去する。
【0079】
ステップ7.1:ポリマー膜を素子110のバーに取り付ける。
【0080】
ステップ7.2:圧力をポリマー膜および基板101に加える。
【0081】
ステップ7.3:圧力が加えられている間、膜および基板101の温度を低下させる。
【0082】
ステップ7.4:素子110のバーを除去するために、ポリマー膜と基板101の材料との間の熱係数の差異を利用する。
【0083】
ステップ8:素子110の別個のエリアにおいてn電極を製作する。
【0084】
ステップ9:バーを別個の素子110またはチップに切断する。
【0085】
ステップ10:ヒートシンクプレート上に素子110を搭載する。
【0086】
ステップ11:レーザダイオード素子110のファセットをコーティングする。
【0087】
ステップ12:ヒートシンクプレートを別個の素子110に分割する。
【0088】
ステップ13:素子110をスクリーニングする。
【0089】
ステップ14:素子110をパッケージの上または中に搭載する。
【0090】
これらのステップは、下でより詳細に解説される。
(ステップ1:成長制限マスクを形成する)
【0091】
パターン化されたSiOから成る成長制限マスク102が、m面GaN基板101等の基板101上に堆積させられる。一実施形態では、成長制限マスク102は、開放エリア103によって分離された縞から成り、縞は、50μmの幅と、50μmの間隔とを有し、<0001>軸に沿って向けられる。開放エリア103は、約2μm~180μm、より好ましくは、4μm~50μmの幅を伴って設計される。
【0092】
図1(b)は、代替実施形態を図示し、これらの技法が、ヘテロ基板101と2~10μmのGaN中間層または下層等のテンプレート層112と共に使用され、層112は、ヘテロ基板101上に成長させられる。しかしながら、ヘテロ基板101上にテンプレート層112を成長させることは必要ではなく、代わりに、成長制限マスク102のSiOが、ヘテロ基板101上に形成されることができ、次いで、ELO III族窒化物層105が、ヘテロ基板101上に形成された成長制限マスク102上に直接成長させられることができる。
(ステップ2:基板上でELO III族窒化物層を成長させる)
【0093】
図1(a)および1(b)に示されるように、ELO III族窒化物層105は、成長制限マスク102上に成長させられる。好ましくは、ELO III族窒化物層105は、成長制限マスク102の上で合体しない。
【0094】
一実施形態では、MOCVDが、ELO III族窒化物層105のエピタキシャル成長のために使用される。ELO III族窒化物層105は、好ましくは、平滑な表面を取得するために、GaNまたはAlGaN層である。トリメチルガリウム(TMGa)および/またはトリエチルアルミニウム(TMAl)が、III族元素源として使用され、アンモニア(NH)が、窒素を供給するために生ガスとして使用され、水素(H)および窒素(N)が、III族元素源のキャリアガスとして使用される。エピ層のための平滑な表面を取得するために、キャリアガスに水素を含むことが重要である。ELO III族窒化物層105の厚さは、約3μm~100μmである。
(ステップ3:ELO III族窒化物層を伴う基板がMOCVDリアクタから除去される)
【0095】
ELO III族窒化物層105が成長させられた後、成長制限マスク102を除去するために、基板101が、MOCVDリアクタから除去される。成長制限マスク102は、HFまたはBHF等を用いたウェットエッチングによって除去される。こうすることによって、成長制限マスク102によって覆われたエリアが、III族窒化物素子層106を成長させるために使用されることができる。これは、成長制限マスク102を除去する前と比較して、基板101上の成長エリアを増加させる。
(ステップ4:複数のIII族窒化物素子層を成長させる)
【0096】
成長制限マスク102の除去後、基板101は、III族窒化物素子層106のエピタキシャル成長のために、MOCVDリアクタの中に戻るように装填される。
【0097】
トリメチルガリウム(TMGa)、トリメチルインジウム(TMIn)、およびトリエチルアルミニウム(TMAl)が、III族元素源として使用され、アンモニア(NH)が、窒素を供給するために生ガスとして使用され、水素(H)および窒素(N)が、III族元素源のキャリアガスとして使用される。エピ層のための平滑な表面を取得するために、キャリアガスに水素を含むことが重要である。
【0098】
生理食塩水およびビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(CpMg)が、n型およびp型ドーパントとして使用される。圧力設定は、典型的に、50~760トルである。III族窒化物素子層106は、概して、700℃~1,250℃の温度範囲において成長させられる。
【0099】
例えば、成長パラメータは、以下を含む:TMGは、12sccmであり、NHは、8slmであり、キャリアガスは、3slmであり、SiHは、1.0sccmであり、V/III比は、約7,700である。これらの成長条件は、一例であり、条件は、層の各々のために変更および最適化されることができる。
(成長制限マスクの有する結果と成長制限マスクを有しない結果とを比較する)
【0100】
成長制限マスク102を有して取得された、および有しないで取得されたIII族窒化物素子層106が、図2(a)、2(b)、2(c)、2(d)、2(e)、2(f)、2(g)、2(h)、および2(i)に図示される。具体的に、これらの図は、成長制限マスク102の少なくとも一部を除去することによって取得された結果を図示する。
【0101】
図2(a)に示されるように、成長制限マスク102が、III族窒化物素子層106が成長させられるときに定位置に留まる場合、TMGa、TEGa、TMIn、TMAl、NH等の供給ガスは、成長制限マスク102の露出エリア201において消費されない。代わりに、大量の供給ガス202が、ELO III族窒化物層105の縁の近傍で見出される。これは、供給ガス202の非一様性をもたらす。
【0102】
図2(b)に示されるように、成長制限マスク102の除去後、供給ガス202は、成長制限マスク102が除去されたエリア203内で消費される。成長制限マスク102の除去は、ELO III族窒化物層105の縁の近傍の供給ガス202の量を減少させる。これは、供給ガス202のさらなる一様性をもたらす。
【0103】
上記の機構を確認するために、2つのサンプルが、調製された。2つのサンプルのELO III族窒化物層105が、同時に調製された。両方のサンプルは、平滑な表面を有した。第1のサンプルは、III族窒化物素子層106を成長させる前、成長制限マスク102を除去しなかったが、第2のサンプルは、III族窒化物素子層106を成長させる前、成長制限マスク102を除去した。2つのサンプルは、MOCVDチャンバの中に同時装填された。
【0104】
成長制限マスク102が除去されなかった場合、ELO III族窒化物層105の縁における過剰な供給ガス202は、ELO III族窒化物層105の表面において成長の非一様性を引き起こした。図2(c)の画像(1)に示されるように、ELO III族窒化物層105上の縁の領域は、時として、層の中心より厚くなった。これは、粗面形態をもたらした。
【0105】
成長制限マスク102が除去された場合、ELO III族窒化物層105の縁における過剰な供給ガス202は、成長制限マスク102を排除することによって低減させられた。成長制限マスク102の除去後のエリア203内の供給ガス202の消費は、ELO III族窒化物層105の縁における過剰な供給ガス202を軽減し得る。これは、図2(c)の画像(2)に示されるような平滑な表面を取得することをもたらす。
【0106】
さらに、フォトルミネセンス(PL)測定も、2つのサンプルに対して行われた。図2(d)に示されるように、表面形態が、PL画像に影響を及ぼした。図2(d)の画像(1)に示される成長制限マスク102を伴うサンプルは、PL画像に強い変動を有した。他方で、図2(d)の画像(2)に示される成長制限マスク102を伴わないサンプルは、PL画像に著しく低減させられた変動を有した。これは、この技法が素子110のために改良された特性をもたらし得ることを示す。
【0107】
上記のように、III族窒化物素子層106は、種々のタイプの層を含むことができる。1つのタイプは、低温成長層または活性層等のIn含有層である。別のタイプは、AlGaNクラッディング層および/またはEBL層等のAl含有層である。さらに別のタイプは、p-GaN層、p-InGaN接触層等のp型層である。これらの層は、供給ガスの非一様性による影響を受けやすい。これらの層を成長させるとき、本発明は、非常に効果的である。
(限定されたエリアエピタキシ(LAE))
【0108】
米国特許出願公開第US2017/0092810A1号によると、いくつかの錐体ヒロックが、エピ層を成長させた後のm面膜の表面上に観察された。さらに、波形表面および陥没部分が、成長表面上に出現し、それは、表面粗度を悪化させた。これは、LD構造が表面上に製作されるとき、非常に深刻な問題である。その理由により、無極性および半極性基板上にエピタキシャル層を成長させる方が良いが、それは、困難であることが周知である。
【0109】
例えば、いくつかの論文によると、平滑な表面が、基板の成長表面のオフ角度(>1度)を制御することによって取得されることができ、Nキャリアガス条件を使用することによっても取得されることができる。しかしながら、これらは、高い生産コストにより、大量生産のための非常に限定的な条件である。さらに、GaN基板は、それらの製作方法から、起源に対してオフ角度の大きな変動を有する。例えば、基板がオフ角度の広い面内分布を有する場合、基板は、ウエハにおいて、これらの点において異なる表面形態を有する。この場合、収率が、オフ角度の広い面内分布によって低減させられる。したがって、この技法がオフ角度面内分布に依存しないことが必要である。
【0110】
本発明は、これらの問題を下に記載されるように解決する。
【0111】
1.成長エリアは、基板の縁から、成長制限マスクエリアによって限定される。
【0112】
2.パターン化された基板は、m面からc面に向かって-16度~+30度に及ぶオフ角度配向を有する、無極性または半極性基板である。加えて、III族窒化物系半導体層を伴うヘテロ基板は、m面からc面に向かって+16度~-30度に及ぶオフ角度配向を有する。
【0113】
3.島状III族窒化物半導体層109は、III族窒化物系半導体結晶のa軸と垂直である長辺を有する。
【0114】
4.MOCVD成長中、水素雰囲気が、使用されることができる。
【0115】
5.島状III族窒化物半導体層109は、互いに合体しない。
【0116】
少なくとも上記の#1、#2、および#3を使用して、平滑な表面を伴うバーが、取得される。#1、#2、#3、#4、および#5のあらゆるものが行われることが、より好ましい。
【0117】
図3(a)、3(b)、3(c)、3(d)、3(e)、および3(f)に示されるように、本発明は、種々の面および種々のオフ角度を伴って、錐体ヒロックおよび陥没部分を伴わない平滑な上面を有する島状III族窒化物半導体層109を取得することができる。結果は、以下のように解説される。
【0118】
図3(a)は、c軸に向かって-1.0度ミスカットを伴うm面(1-100)上の島状III族窒化物半導体層109の画像を示す。
【0119】
図3(b)は、(1)0度、(2)-0.45度、(3)-0.6度、および(4)-1.0度を含むm面(1-100)の異なるミスカット配向を伴う島状III族窒化物半導体層109の画像を示す。
【0120】
図3(c)は、+c面に向かうm面(1-100)からの異なるオフ角度((1)0度における(10-10)面、(2)+10度における(30-31)面、および(3)+15度における(20-21)面を含む)を伴う島状III族窒化物半導体層109の画像を示す。
【0121】
図3(d)は、-c面(0001)に向かうm面(1-100)からの異なるオフ角度((1)0度における(10-10)面、(2)-15度における(20-2-1)面、および(3)-28度における(10-1-1)面を含む)を伴う島状III族窒化物半導体層109の画像を示す。
【0122】
図3(e)は、m面(1-100)に向かうc面(0001)からの異なるミスカット配向((1)0.2度ミスカットおよび(2)0.8度ミスカットを含む)を伴う島状III族窒化物半導体層109の画像を示す。
【0123】
図3(f)は、AlGaN層のAl組成が3%~5%である(1-100)、(20-21)、(20-2-1)、(1-100)、(20-21)、および(20-2-1)を含む種々の面上にAlGaN層を伴う島状III族窒化物半導体層109の画像を示す。図3(f)に示されるように、AlGaN層を使用して、平滑な表面が、島状III族窒化物半導体層109のために取得されることができる。
【0124】
それらの結果は、以下の成長条件によって取得された。
【0125】
一実施形態では、成長圧力は、島状III族窒化物半導体層109のために広い幅を取得するために、60~760トルに及ぶが、成長圧力は、好ましくは、100~300トルに及び;成長温度は、900℃~1,200℃に及び;V/III比は、1,000~30,000、より好ましくは、3,000~10,000に及び;TMGは、2~20sccmであり;NHは、3~10slmに及び;キャリアガスは、水素ガスのみ、または水素および窒素ガスの両方である。平滑な表面を取得するために、各面の成長条件は、従来の方法によって最適化される必要がある。
【0126】
約2~8時間にわたって成長した後、ELO III族窒化物層105は、約8~50μmの厚さと、約20~150μmのバー幅とを有し、バー幅は、島状III族窒化物半導体層109の幅を備えている。
【0127】
この方法は、種々の半極性および無極性面基板101、および極性c面基板101を使用して、ELO III族窒化物層105のために平滑な表面を取得することができる。したがって、本発明は、基板101のオフ角度に依存しない種々の面を採用することができる。
(III族窒化物素子層)
図4は、光学共振器と垂直な方向に沿って製作されたIII族窒化物半導体レーザダイオード素子110の断面側面図である。
【0128】
素子110は、従来の方法によって平坦な表面領域107上に製作され、隆起構造、p電極、n電極、パッド等が、所定の位置において島状III族窒化物半導体層109上に配置される。(図は、屈曲領域108を説明しない。)
【0129】
レーザダイオード素子110は、成長制限マスク102の上に堆積させられたELO GaN系層105の上に成長させられた、述べられた順に互いに重なり合って置かれた以下のIII族窒化物素子層106から成る:n-Al0.06GaNクラッディング層401、n-GaN導波管層402、InGaN/GaN多重量子井戸(MQW)活性層403、AlGaN EBL層404、p-GaN導波管層405、ITOクラッディング層406、SiO電流制限層407、およびp電極408。
【0130】
MOCVDは、III族窒化物素子層106のエピタキシャル成長のために使用される。トリメチルガリウム(TMGa)、トリエチルガリウム(TEG)、トリメチルインジウム(TMIn)、およびトリエチルアルミニウム(TMAl)が、III族元素源として使用され、アンモニア(NH)が、窒素を供給するために生ガスとして使用され、水素(H)および窒素(N)が、III族元素源のキャリアガスとして使用される。生理食塩水およびビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(CpMg)が、それぞれ、n型およびp型ドーパントとして使用される。圧力設定は、典型的に、50~760トルである。III族窒化物素子層106は、概して、700℃~1,250℃の温度範囲において成長させられる。他の成長パラメータは、以下を含む:TMGは、12sccmであり、NHは、8slmであり、キャリアガスは、3slmであり、SiHは、1.0sccmであり、V/III比は、約7,700である。これらの成長条件は、一例にすぎず、条件は、上で説明される層の各々のために変更および最適化されることができる。
【0131】
光学共振器は、隆起縞構造から成り、隆起縞構造は、ITOクラッディング層406、SiO電流制限層407、およびp電極408から成る。光学共振器は、水平方向に光閉じ込めを提供する。隆起縞構造の幅は、約1.0~30μmであり、典型的に、10μmである。
【0132】
フォトリソグラフィおよびドライエッチング等の従来の方法が、隆起縞構造を製作するために使用されることができる。(表面から隆起底部までの)隆起深度は、p-GaN導波管層405内にある。隆起深度は、シミュレーションまたは前の実験データに基づいて、ドライエッチングが実施される前に事前決定される。
【0133】
一実施形態では、p電極408は、以下の材料のうちの1つ以上のものから成り得る:Pd、Ni、Ti、Pt、Mo、W、Ag、Au等。例えば、p電極408は、Pd-Ni-Au(3-30-300nmの厚さを伴う)から成り得る。これらの材料は、電子ビーム蒸着、スパッタ、熱蒸着等によって堆積させられ得る。加えて、p電極408は、典型的に、ITOクラッディング層406上に堆積させられる。
(成長制限マスクおよびIII族窒化物素子層)
【0134】
成長制限マスク102がIII族窒化物素子層106の成長の前に除去される場合、懸念が存在する。懸念は、島状III族窒化物半導体層109が底層111と接続するときに生じる。2つの層109、111が、互いに接続する場合、島状III族窒化物半導体層109を除去することは困難である。しかしながら、図2(f)および2(g)は、2つの層109、111が互いに接続していない状況を図示し、図2(f)は、底部エリア204によって底層111から分離された島状III族窒化物半導体層109を図示し、図2(g)は、底部エリア204aおよび204bによって底層111から分離された島状III族窒化物半導体層109を示す。両方の事例において、底層111は、成長制限マスク102の縁において成長しないか、または、非常に遅い成長率を有する。この結果は、成長制限マスク102の縁が島状III族窒化物半導体層109の成長で使用される供給ガス202から底部エリア204を遮蔽するので生じる。
(ステップ5:素子プロセス)
【0135】
ステップ4の後、島状III族窒化物半導体層109は、互いに分離される。本発明は、成長制限マスク102を通してELO III族窒化物層105の成長を可能にする限り、III族窒化物基板101またはサファイア、SiC、LiAlO、Si等のヘテロ基板101のいずれかを使用することができる。III族窒化物基板101を使用する場合、本発明は、高品質ELO III族窒化物層105を取得し、ホモエピタキシャル成長に起因するエピタキシャル成長中の基板101の曲がりまたは湾曲を回避することができる。結果として、本発明は、転位およびスタッキング障害等の低減させられた欠陥密度を伴う素子110を容易に取得することもできる。
(ステップ6:平坦な表面領域および側面ファセットにおける劈開のための構造を形成する)
【0136】
図5(a)、5(b)、5(c)、および5(d)に示されるように、このステップの目標は、素子110のバー501が基板101から除去される前、素子110のバー501を分割する準備をすることである。分割支援領域502が、周期的な長さにおいて形成され、各周期は、素子110の長さによって決定される。例えば、レーザダイオード素子110の場合、1つの周期は、300~1,200μmであるように設定される。
【0137】
各分割支援領域502は、図5(a)に示されるように、ダイヤモンド先端付きスクライバまたはレーザスクライバによって彫られる線、または図5(b)に示されるように、RIE(反応性イオンエッチング)またはICP(誘導結合プラズマ)等のドライエッチングによって形成される溝であるが、それらの方法に限定されない。分割支援領域502は、バー501の両側に、またはバー501の片側に形成され得る。分割支援領域502の深度は、好ましくは、1μm以上である。
【0138】
分割支援領域502が、任意の他の部分より弱いので、両方の場合が、バー501を分割支援領域502において別個の素子110に分割することができる。分割支援領域502は、素子110の長さを精密に決定し得るように、意図的ではない位置でバー501を切断することを回避する。
【0139】
分割支援領域502は、隆起構造内にある電流注入領域503、p電極408、および層屈曲領域108を回避する様式で、平坦な表面領域107に生成されるが、SiO電流制限層407の少なくとも一部を包含し得る。
【0140】
図5(a)および5(b)に示されるように、分割支援領域502は、第1のファセット504、随意に、第2のファセット505に形成され、それらは、平らにされたエリアであるので処理することが容易である。第3のファセット506は、回避され得る。
【0141】
図5(c)に示されるように、分割支援領域502は、第2のファセット505のみに形成されることが好ましくあり得、その場合、島状III族窒化物半導体層109の小さい幅を使用しなければならない。この場合、それは、素子110のバー501を精密に分割することができる。
【0142】
さらに、図5(d)に示されるように、p電極408、誘電体層407、およびワイヤ接合のためのpパッド等が、分割支援領域502を回避することができる。こうすることによって、図6(a)は、図6(b)のように変更される。
【0143】
図7(a)のSEM画像に示されるように、バー501の裏側は、除去された後、2つの異なる部分を有し、1つは、2本の白色鎖線の間にある別個のエリアであり、もう1つは、別個のエリアの外側にあるウィング領域である。2つの異なる部分は、異なる表面形態を有し、それは、劈開線が真っ直ぐ進むことを防止する機会であり得る。それ以外に、マスクと島状III族窒化物半導体層109の裏側表面との間の相互作用に起因して、ウィング領域内にいくつかの変動が存在する。図7(b)は、バー501が除去された後の基板101の表面のSEM画像を示す。
【0144】
したがって、分割支援領域502が、図5(a)、5(b)、5(c)、および5(d)に示されるように、第1のファセット504および/または第2のファセット505上に形成されることが好ましい。こうすることによって、分割支援領域502の形状は、一様に形成される。バー501を切断するためのブレードがバー501の裏側に接触することが、非常に好ましい。こうすることによって、劈開は、バー501の上面において分割支援領域502から開始する。
(ステップ7:基板から素子のバーを除去する)
【0145】
バー501を除去するこのステップは、図8(a)、8(b)、8(c)、8(d)、8(e)、8(f)、および8(g)を使用して解説される。
【0146】
ステップ7.1は、図8(a)に示されるように、ポリマー膜801を素子110のバー501に取り付けることを含む。本実施形態では、ポリマー膜801は、基膜802と、接着剤803と、バッキング膜804とから成る。
【0147】
ステップ7.2は、図8(b)に示されるように、プレート806を使用して、圧力805をポリマー膜801および基板101に加えることを含む。圧力805を加えることの目標は、素子110のバー501の間にポリマー膜801を置くことである。ポリマー膜801は、素子110のバー501より軟質であるので、ポリマー層801は、素子110のバー501を容易に包囲することができる。好ましくは、ポリマー膜801は、それを軟化させるために加熱され、それは、ポリマー膜801が素子110のバー501を被覆することを容易にする。
【0148】
ステップ7.3は、加えられた圧力805を維持しながら、ポリマー膜801および基板101の温度を低下させることを含む。温度の変化中、圧力805を加えることは必要ではない。
【0149】
ステップ7.4は、素子110のバー501を除去するために、ポリマー膜801と基板101との間の熱係数の差異を利用することを含む。
【0150】
図8(c)に示されるように、ポリマー膜801は、温度が低下するにつれて収縮する。結果として、ポリマー膜801の底部は、図8(d)に示されるように、素子110のバー501の上部より低い。
【0151】
図8(c)に示されるように、ポリマー膜801は、素子110のバー501の側面ファセットにおいて水平方向に圧力805を加え、劈開点807を露出させ、素子110のバー501を下向きに斜めに808傾けることができる。側面ファセットから加えられるこの圧力805は、素子110のバー501が基板101から効果的に除去されることを可能にする。低温中、ポリマー膜801は、ポリマー膜801の上部から素子110のバー501まで加えられた圧力805を維持する。
【0152】
種々の方法が、温度を低下させるために使用され得る。例えば、基板101およびポリマー膜801は、圧力805を加えながら、同時に(例えば、77°Kにおける)液体Nの中に入れられることができる。基板101およびポリマー膜801の温度も、圧電トランスデューサを用いて制御されることができる。さらに、圧力805をポリマー膜801に加えるプレート806は、ポリマー膜801との接触の前および/または接触中に低温に冷やされることができる。こうすることによって、ポリマー膜801は、冷やされ、大きい熱膨張係数に起因して圧力805を素子110のバー501に加えることができる。
【0153】
温度を低下させるとき、基板101およびポリマー膜801は、大気中水分によって湿らされ得る。この場合、温度低下は、乾燥空気雰囲気または乾燥N雰囲気内で行われることができ、それは、基板101およびポリマー膜801が湿らせることを回避する。
【0154】
その後、温度は、例えば、室温まで上昇し、圧力805は、もはやポリマー膜801に加えられなくなる。その時点で、素子110のバー501は、基板101からすでに除去されており、ポリマー膜801は、次いで、基板101から分離される。図8(e)に示されるように、ポリマー膜801、特に、接着剤803を有するポリマー膜801を使用するとき、素子110のバー501は、容易かつ迅速な様式でポリマー膜801を使用して除去されることができる。
【0155】
図8(f)に示されるように、成長条件に応じて、素子110のバー501の間で異なる高さtを有する機会が存在し得る。この場合、ポリマー膜801を用いた除去方法は、図8(g)に示されるように、これらの膜801が可撓性かつ軟質であるので、素子110の異なる高さのバー501を除去することに長けている。
(バーを除去する方法)
【0156】
ポリマー膜801と素子110の半導体材料との間の異なる熱膨張係数を利用して、水平方向の圧力が、基板101全体に一様に加えられる。素子110のバー501は、素子110のバー501を切断することなく、基板101から除去されることができる。これは、バー501を除去することにおいて達成される高い収率によって証明されている。
【0157】
図9(a)、9(b)、10(a)、10(b)、10(c)、10(d)、および10(e)のSEM画像に示されるように、この方法は、(1-100)ジャスト、(20-21)、(20-2-1)、および(0001)等の多くの異なる基板101面から素子110のバー501を除去することができる。これらの例では、バー501の長さは、約1.2mmである。さらに、(20-21)および(20-2-1)面が、バルクGaN基板101の劈開ファセットではないにしても、この方法は、容易な様式でバー501を切断することなくバー501を除去することができる。換言すると、この方法の利点は、この方法が基板101面に依存しないので、バー501が同じ方法を用いて異なる基板101面から除去され得ることである。より好ましくは、それは、バー501を除去するとき、GaN結晶上のm面の劈開を利用することができる。基板101が、(20-21)、(20-2-1)、または(0001)等のm面基板101ではない場合、除去後の別個のエリアの表面は、その表面の一部としてm面を含み、バー501は、より少ない圧力によって除去されることができる。
【0158】
素子110のバー501は、図11(a)および11(b)に示されるように、長辺および短辺を伴う長方形である。圧力が、図8(c)に示されるように、垂直方向からバー501の長辺に対して水平方向にそのような形状を有する素子110のバー501に加えられる。こうすることによって、効果的な衝撃が、劈開点807に与えられることができ、それは、基板101から素子110のバー501を除去する。成長制限マスク102は、好ましくは、ポリマー膜801を素子110のバー501に取り付ける前、ウェットエッチング等によって基板101から排除される。成長制限マスク102を排除することは、素子110のバー501の下の劈開点807において圧力を加えるための空間を作製し、それは、図8(c)に示されるように、素子110のバー501斜めに下向きに808傾けることができる。
【0159】
ポリマー膜801を使用するこの方法は、広いエリアにわたり一様に、適切な量で、圧力805を素子110のバー501に加えることができる。ポリマー膜801の種類および/または温度と、温度の上昇および/または下降率とを選択することは、素子110のバー501に加えられる圧力805の量を制御することができる。加えて、本発明は、温度の上昇および/または下降率によって限定されず、熱硬化性樹脂膜が、温度を上昇させるときに素子110のバー501を除去するために使用され得る。再度、それは、バー501を除去するための高い収率をもたらす。
【0160】
大量生産では、場合によっては、基板101上の素子110の全てのバー501、特に、広いエリアを伴うものを除去することは困難である。時として、素子110のいくつかのバー501が、素子110の1つ以上のバー501の除去後に基板101上に留まる機会が存在する。上で説明される従来技術の方法では、ウエハと支持金属との間の金属接合プロセスに起因して、除去プロセスを繰り返すことは困難である。
【0161】
他方で、ポリマー膜801とELO III族窒化物層105を伴う基板101とを使用するこの除去方法は、何回も繰り返されることができる。素子110のいくつかのバー501が、基板101上に留まるとき、この方法を繰り返すことは、素子110の残りのバーが501完全に基板101から除去されることを可能にする。
【0162】
この除去方法が、金属接合等の壊滅的なプロセスを含まないので、それは、繰り返し可能なプロセスであり得る。この除去方法を繰り返すことによって、素子110のバー501の殆ど全てが、2インチ、4インチ、または他のウエハサイズ等の基板101を含む基板101から除去されることができる。
(m面の別個のエリアにおける劈開)
【0163】
m面ファセットを利用する劈開方法が、ここで解説される。図7(a)および7(b)は、それぞれ、(1-100)ジャスト、(20-21)、および(20-2-1)面に関して、除去された後の素子110のバーの裏側、および素子110のバー501を除去した後の基板101の表面のSEM画像を示す。(1-100)ジャストの面のためのバー501の裏側は、他の面と比較して、図7(b)に示されるような(1-100)面のためのバー501を除去した後の基板101の表面のように、図7(a)に示されるような比較的に平滑な表面であることが分かり得る。
【0164】
図12(a)の画像および図12(b)のその拡大に示されるように、素子110のバー501が除去された後のミスカット配向を伴わない(1-100)面に関して、非常に平滑な表面を取得することが可能であり、表面は、VCSELのためのファセットとして使用されるために十分に平滑である。図13(a)の画像および図13(b)のその拡大に示されるように、素子110のバー501を除去した後の基板101の表面は、m面に向かって0.7度のミスカット配向を伴う(0001)面に関して、くぼみがある。
【0165】
図7(b)に示されるように、半極性(20-21)および(20-2-1)面のための素子110のバー501の裏側は、周期的な凹面および凸面を有した。これらの結果では、劈開点における界面は、m面ファセットであった。劈開界面は、レーザ走査型共焦点顕微鏡(LSCM)を使用して測定された。
【0166】
LSCMによる測定を含む図14の画像は、素子110のバー501を除去した後の(20-21)自立GaN基板101の表面を示す。陥没領域の表面は、(20-21)基板101の表面から15度傾転され、(20-21)基板101の表面は、m面から15度傾転される。したがって、陥没領域の表面は、m面である。バルクGaNのm面は、高い劈開を伴うファセットとして周知であり、バー501を除去するためにm面の劈開を利用することは、非常に重要かつ有用である。バー501を除去する方法は、半極性(20-21)基板101が主要な表面としてm面を有していないとしても、m面の劈開を効果的に利用することができる。
【0167】
図14に示されるように、半極性III族窒化物系半導体層を備えているバー501は、基板101から除去された後に周期的な凹面および凸面形状を有することが好ましい。このように分離されることによって、バー501は、過剰かつ非一様な圧力を回避することができる。その結果として、バー501は、短いサイズに切断されることなく、基板101から分割されることができる。半極性III族窒化物系半導体層から成るバー501の裏側は、少なくとも裏面の一部としてm面を有することが、非常に好ましい。この方法は、同じ方法で異なる半極性面のために適用され得、それは、産業的に重要である。
(c面の別個のエリアにおける劈開)
【0168】
本発明は、図10(a)に示されるように、c面GaN基板101にもこの除去方法を試行した。
【0169】
図10(b)および10(c)に示されるように、成長制限マスク102および開放エリア103は、分離する領域を伴わずに、図11に示されるように設計される。開放エリア103の長辺の長さは、15mmであるように設定される。
【0170】
図10(e)で拡大される図10(d)の画像は、素子110のバー501を除去した後の基板101の表面を示す。c面は、バルクGaNにおける劈開面のうちの1つであるので、バー501の裏側の別個のエリアは、非常に平滑であった。これは、この除去方法が、c面GaN基板101と共にも使用され得ることを示す。
(底層と島状半導体層との接続を回避する)
【0171】
本発明では、成長制限マスク102は、III族窒化物素子層106を成長させる前に除去される。ELO III族窒化物層105の厚さは、少なくとも4μm超である。ELO III族窒化物層105の高さは、底層111が成長することを防止する。加えて、ELO III族窒化物層105の側面ファセットは、図2(e)の画像(1)、(2)、および(3)に示されるように、島状III族窒化物半導体層109と底部エリア204における底層111との間に間隙を作製する。このエリア204は、供給ガスの低減に起因して、非常に低い成長率を有する。図2(f)、2(g)、および2(h)は、底部エリア204a、204bの幅がELO III族窒化物層105の側面ファセットの形状に依存することを図示する。ELO III族窒化物層105の側面ファセットの種々の形状が、図2(i)に示される。
【0172】
しかしながら、図2(g)および2(h)に示されるように、III族窒化物素子層106は、概して、204aおよび204bによって図示される側面ファセットに関して、2つのタイプの形状を有する。
【0173】
一例では、204aによって図示されるように、側面ファセットの縁は、III族窒化物素子層106の底縁の外側に位置する。底縁と側面ファセットの縁との間の距離は、底部エリア204aである。
【0174】
別の例では、204bによって図示されるように、側面ファセットの縁は、III族窒化物素子層106の底縁に対して位置する。底縁と側面ファセットの縁との間の距離は、底部エリア204bである。
【0175】
追加の距離が、底層111と島状III族窒化物半導体層109との間の接続が回避される可能性を高くするので、第1の例が好ましくあり得る。
(ステップ8:素子の別個のエリアにおいてn電極を製作する)
【0176】
ステップ8、9、10、および11が、図15(a)、15(b)、15(c)、15(d)、15(e)、15(f)、および16によって図示される。
【0177】
基板101からバー501を除去した後、バー501は、ポリマー膜801に取り付けられたままであり、それは、図15(a)に示されるように、膜801上に上下逆の様式で位置付けられたバー501を伴って示される。
【0178】
図15(b)は、概略図およびSEM画像の両方として、バー501の裏側を示し、それは、分割支援領域502間に別個のエリア1501を有する。別個のエリア1501は、基板101または下層に直接接触するが、成長制限マスク102の上にはない。劈開ブレード1502が、分割支援領域502において使用される。
【0179】
次いで、図15(c)に示されるように、金属マスク1503が、素子110の裏側にn電極1504を配置するために使用されることができる。
【0180】
基板101からバー501を除去した後、バー501の裏側のn電極1504を形成する場合、n電極1504は、好ましくは、別個のエリア1501上に形成される。この別個のエリア1501は、n電極1504が低い接触抵抗率を取得するための良好な表面条件で保たれる。本発明は、島状III族窒化物半導体層109を除去するまで、このエリア1501を清浄に保つ。
【0181】
n電極1504は、p電極408のために作製される同じ表面である、バー501の上面上に配置されることもできる。
【0182】
典型的に、n電極1504は、以下の材料から成る:Ti、Hf、Cr、Al、Mo、W、Au。例えば、n電極は、Ti-Al-Pt-Au(30-100-30-500nmの厚さを伴う)から成り得るが、それらの材料に限定されない。これらの材料の堆積は、電子ビーム蒸着、スパッタ、熱蒸着等によって実施され得る。
(ステップ9:バーを別個の素子に切断する)
【0183】
ステップ8においてn電極1504を配置した後、各バー501が、図15(d)に示されるように、複数の素子110に分割される。分割支援領域502は、図15(b)に示されるように、バー501を素子110に分割することに役立つ。切断方法が使用されることができ、他の従来の方法も使用されることができるが、これらの方法に限定されない。劈開ブレード1502は、分割支援領域502の位置において、分割支援領域502によって形成されていないバー501の側面に接触することが好ましい。
【0184】
図15(d)に示されるように、側方に配置される複数のバー501が、分割支援領域502において別個の素子110に劈開されることおよび切断されることの両方が、可能である。さらに、側方および縦方向の両方に配置された複数のバー501が、分割支援領域502において劈開されることも、可能である。さらに、分割支援領域502は、バー501の両側または片側に配置され得る。
(ステップ10:ヒートシンクプレート上に素子を搭載する)
【0185】
ステップ9の後、分割されたバー501は、依然として、ポリマー膜801の上にある。一実施形態では、ポリマー膜801は、紫外線(UV)光感受性ダイシングテープであり、図15(e)に示されるように、それは、膜801の接着強度を低減させ得る紫外線光にさらされる。これは、膜801から素子110を除去することを容易にする。
【0186】
このステップでは、AlNから成るヒートシンクプレート1505が、調製される。Au-Snはんだ1506が、ヒートシンクプレート1505上に配置され、ヒートシンクプレート1505は、はんだ1506の融解温度を超えて加熱され、ポリマー膜801上の素子110は、Au-Snはんだ1506を使用してヒートシンクプレート1505に接合される。素子110は、2つの方法で、ヒートシンクプレート1505上に搭載されることができる:(1)n電極1504側を下にして、または、(2)p電極408側を下にして。図15(f)は、n電極1504側を下にしたはんだ1506を使用して、ヒートシンクプレート1505に搭載された素子110を示す。ヒートシンクプレート1505内の溝1507が、素子110を分離し、溝1507は、下記により詳細に説明されるように、ヒートシンクプレート1505を分割するために使用される。
(ステップ11:素子のファセットをコーティングする)
【0187】
ステップ11は、素子110のファセット504をコーティングすることを含む。レーザダイオード素子110が、レーザ発振している間、素子110の外側まで素子110のファセット504を貫通する素子110内の光は、ファセット504における非放射性再結合中心によって吸収され、それによって、ファセット温度が、連続的に上昇する。その結果として、温度上昇は、ファセット504の壊滅的な光学損傷(COD)につながり得る。
【0188】
ファセット504コーティングは、非放射性再結合中心を低減させ得る。CODを防止するとき、AlN、AlON、Al、SiN、SiON、SiO、ZrO、TiO2、Ta等の誘電体層を使用して、ファセットをコーティングすることが必要である。概して、コーティング膜は、上記の材料から成る多層構造である。層の構造および厚さは、所定の反射率によって決定される。
【0189】
本発明では、素子110のバー501は、複数の素子110のための劈開されたファセット504を取得するために、ステップ9で分割されていることもある。結果として、ファセット504をコーティングする方法は、容易な様式で、同時に複数の素子110上で実施される必要がある。一実施形態では、素子110は、図15(f)に示されるように、ヒートシンクプレート1505上に水平にオフセットされた様式で搭載される(例えば、ヒートシンクプレート1505の片側に向かって)。次いで、図16に示されるように、素子110およびヒートシンクプレート1505は、スペーサプレート1601上に設置され、複数のスペーサプレート1601が、コーティングホルダ1602内に格納される。
【0190】
常にスペーサプレート1601を使用することが必要であるわけではなく、ヒートシンクプレート1505が単独で使用され得ることに留意されたい。代替として、ヒートシンクプレート1505は、別のバーまたはプレート上に搭載され得、それは、次いで、スペーサプレート1601上に設置される。
【0191】
こうすることによって、いくつかの素子110のファセット504が、同時にコーティングされることができる。一実施形態では、ファセット504コーティングは、少なくとも2回行われる:素子110の前ファセット504に1回、素子110の後ファセット504に1回。ヒートシンクプレート1505の長さは、ほぼレーザダイオード素子110の空洞の長さであるように寸法を決定され得、それは、ファセット504コーティングを2回実施することを迅速かつ容易にする。
【0192】
スペーサプレート1601が、コーティングホルダ1602内に設定されると、素子110の両方のファセット504が、コーティングホルダ1602内にスペーサプレート1601を再び設定することなく、コーティングされることができる。一実施形態では、第1のコーティングが、レーザ光を放出する前ファセット504に実施され、第2のコーティングが、レーザ光を反射する後ファセット504に実施される。コーティングホルダ1602は、第2のコーティングの前にコーティング膜を堆積させる設備内で逆転される。これは、プロセスのリードタイムを実質的に短縮する。
(ステップ12:ヒートシンクプレートを分割する)
【0193】
このステップでは、図17(a)に示されるように、ワイヤボンド1701および1702が、素子110に取り付けられ、次いで、ヒートシンクプレート1505が、例えば、素子110のうちの1つ以上のものの間の溝1507において分割される。図17(b)は、素子110、溝1507、およびボンド1701、1702の相対設置および位置を示す図17(a)の上面図である。図17(c)は、素子110との別個のプローブ1703およびワイヤボンド1704の使用を示す。
【0194】
図18(a)および18(b)は、素子110を分離するためにヒートシンクプレート1505が分割される方法をさらに示し、それは、ワイヤボンド1701、1702の取り付けの前または後に生じ得る。こうすることによって、コーティングプロセスが完了した後、素子110を分離することが容易である。
(ステップ13:素子をスクリーニングする)
【0195】
このステップは、欠陥のある素子と欠陥のない素子110とを区別する。最初に、出力電力、電圧、電流、抵抗率、FFP(遠距離場パターン)、傾斜効率等の素子110の種々の特性が、所与の条件下でチェックされる。この時点で、素子110は、すでにヒートシンクプレート1505上に搭載されているので、これらの特性をチェックすることは容易である。
【0196】
試験装置1901が、図19(a)および19(b)に示され、p電極408およびはんだ1506(それらは、n電極1504への電気的導通を有する)は、プローブ1902、1903によって接触される。次いで、欠陥のない素子110が、老化試験(寿命試験)によって選択およびスクリーニングされることができる。
【0197】
一実施形態では、老化試験が乾燥空気または窒素雰囲気内にシールされる素子110を用いて行われ得るように、試験装置1901が、ボックスまたは他のコンテナを備えていることが好ましい。さらに、熱ステージ1904が、スクリーニング試験中の素子110の温度、例えば、60度、80度等を維持するために使用され得る。光検出器1905が、光出力電力1906を測定するために使用され得、光出力電力1906は、一定の出力電力を有する欠陥のない素子110を識別するか、または、それは、欠陥のある素子110を識別する。
【0198】
特に、III族窒化物系半導体レーザダイオード素子110の場合、レーザダイオードが湿気を含む雰囲気内で発振させられると、劣化することが公知である。この劣化が空気中の湿気およびシロキサンによって引き起こされるので、III族窒化物系半導体レーザダイオード素子110は、老化試験中に乾燥空気内でシールされる必要がある。
【0199】
その結果として、図20に示されるように、III族窒化物レーザダイオード素子2000が製造業者から出荷されるとき、チップ2001自体が、ステム2002上に搭載され、TO-canパッケージ2003を使用して、乾燥空気雰囲気内にシールされ、パッケージ2003は、発光のための窓2004を含む。
【0200】
一般的に言えば、スクリーニングまたは老化試験は、欠陥のある素子110を排除するために、出荷前に行われる。例えば、スクリーニング条件は、高温および高電力等のレーザダイオード素子110の仕様に従って行われる。
【0201】
さらに、老化試験は、素子110がパッケージ2000の上/中に搭載され、パッケージ2000がスクリーニングの前に乾燥空気および/または乾燥窒素内にシールされた状態で、行われ得る。この事実は、レーザ素子のパッケージ化および搭載の柔軟性を制限的にする。
【0202】
従来技術では、欠陥のある生産が起こった場合、欠陥のある製品は、TO-CANパッケージ2000全体で廃棄され、それは、生産に関して大きな損失である。これは、レーザダイオード素子110の生産コストを削減することを困難にする。初期のステップにおいて欠陥のある素子110を検出する必要性が存在する。
【0203】
本発明では、低い水平位置で複数の素子110が搭載され得るヒートシンクプレート1505を使用して、素子110のファセット504をコーティングし、次いで、コーティングプロセスの後、溝1507を使用して、ヒートシンクプレート1505および素子110を分割することは、素子110が、ヒートシンクプレート1505のサブマウントを伴って、乾燥空気または窒素雰囲気内のスクリーニング試験においてチェックされることを可能にする。
【0204】
スクリーニング試験を行うとき、素子110は、すでに2つの接点を有している。すなわち、p電極408とヒートシンクプレート1505上のはんだ1506とを有しているか、または、フリップチップ接合の場合、n電極1504とヒートシンクプレート1505上のはんだ1506とを有している。さらに、本発明は、素子110がチップおよびサブマウントのみから成ると、スクリーニング試験を使用して、欠陥のある製品を選択することができる。したがって、欠陥のある製品を破棄する場合、本発明は、従来技術よりさらに損失を低減させることができ、それは、大きな価値がある。
【0205】
高電力レーザダイオード素子110のスクリーニングの場合、ヒートシンクプレート1505が、電気的導通なしで配置されたはんだ1506の2つの部分を有することが好ましくあり得る。はんだ1506の1つの部分は、ワイヤ(図示せず)を用いてp電極408に接続され、はんだ1506の別の部分は、ワイヤ(図示せず)を用いてn電極1504に接続される。さらに、p電極408およびn電極1504は、例えば、2つ以上のワイヤ1704によってはんだ1506に接続されるp電極408を示す図17(c)に示されるように、2つ以上のワイヤによってはんだ部分1506に接続されることが、好ましくあり得る。このように、電流を素子110に加えるためのプローブ1703は、p電極808(またはn電極1504)に直接接触することを回避することができ、それは、高電力レーザダイオード素子110のスクリーニングの場合、重要である。具体的に、プローブ1703は、特に、高電流密度を加える場合、接触された部分を破損し得る。
(ステップ14:素子をパッケージの上/中に搭載する)
【0206】
このステップでは、図21に示されるように、素子110(ヒートシンクプレート1505を含む)は、パッケージ2101の底部において素子110を接合するように、はんだまたは別の金属を使用して、パッケージ2101内に搭載され得る。パッケージ2101のピン2102が、ワイヤ2103によって素子110に接続される。こうすることによって、外部電力供給源からの電流が、素子110に印加されることができる。
【0207】
これは、Au-Au、Au-In等の金属を使用するパッケージ2101とヒートシンクプレート1505との間の接合より好ましい。この方法は、パッケージ2101の表面およびヒートシンクプレート1505の裏側における平坦性を要求する。しかしながら、はんだなしに、この構成は、高い熱伝導率および低温接合を遂行し、それらは、素子プロセスのための大きな利点である。
【0208】
その後、蓋2104が、パッケージ2101を封入し得る。さらに、蛍光体2105が、パッケージ2101の外側および/または内側に設定されることができ、窓2106が、発光がパッケージ2101から出射することを可能にする。こうすることによって、パッケージ2101は、電球または自動車のヘッドライトとして使用されることができる。
【0209】
本明細書に記載されるように、これらのプロセスは、レーザダイオード素子110を取得するための改良された方法を提供する。加えて、素子110が基板101から除去されると、基板101は、数回、再生利用されることができる。これは、環境に優しい生産および低コストのモジュールという目標を遂行する。これらの素子110は、電球等の照明器具、データ記憶機器、Li-Fi等の光学通信機器等として利用され得る。
【0210】
1つのパッケージ2101内に複数の異なるタイプのレーザ素子110を伴ってパッケージ化することは、困難である。しかしながら、この方法は、パッケージ化することなく老化試験を実施することが可能であることに起因して、この問題を克服することができる。したがって、1つのパッケージ2101内に異なるタイプの素子110を搭載することは容易である。
(LED素子を製作する)
【0211】
LED素子を製作する場合、ステップ5まで、同じプロセスが使用され得る。この議論は、2つのタイプのLEDを作製する方法を簡潔に解説する。1型LEDは、チップの片側に2つの電極(p電極およびn電極)を有する一方、2型LEDは、チップの反対側に電極を有する。
【0212】
第1に、1型LEDの場合、p電極およびn電極が、ステップ5において素子の上面上に形成される。次いで、ステップ6-10は、同じプロセスであり、ステップ11-13は、省略される。ステップ14では、除去されたチップが、パッケージおよびヒートシンクプレート上に搭載される。チップの裏側表面、パッケージ、およびヒートシンクプレートが、Agペーストを使用して接合される。
【0213】
第2に、2型LEDの場合、殆ど同じプロセスが、ステップ5まで使用され、ITO電極が、p-GaN接触層上に形成される。この場合、バーを分割する方法は、同じである。さらに、層屈曲領域が排除されることが好ましい。
(用語の定義)
(III族窒化物系基板)
【0214】
III族窒化物系基板101は、III族窒化物系基板101が、成長制限マスク102を通してIII族窒化物半導体層105、106、109の成長を可能にする限り、任意のタイプのIII族窒化物系基板を備え得、{0001}、{11-22}、{1-100}、{20-21}、{20-2-1}、{10-11}、{10-1-1}面等または他の面上で、バルクGaNおよびAlN結晶からスライスされた任意のGaN基板101が、使用されることができる。
(ヘテロ基板)
【0215】
さらに、本発明は、ヘテロ基板101を使用することもできる。例えば、GaNテンプレート112または他のIII族窒化物系半導体層112が、成長制限マスク102に先立って、サファイア、Si、GaAs、SiC等のヘテロ基板101上に成長させられ得る。GaNテンプレート112または他のIII族窒化物系半導体層112は、典型的に、約2~6μmの厚さまでヘテロ基板101上に成長させられ、次いで、成長制限マスク102が、GaNテンプレート112または他のIII族窒化物系半導体層112上に配置される。
(成長制限マスク)
【0216】
成長制限マスク102は、SiO、SiN、SiON、Al、AlN、AlON、MgF、ZrO等の誘電体層、またはW、Mo、Ta、Nb、Rh、Ir、Ru、Os、Pt等の耐熱金属または貴金属を備えている。成長制限マスクは、上記の材料から選択される積層構造であり得る。それは、上記の材料から選定される多重スタッキング層構造でもあり得る。
【0217】
一実施形態では、成長制限マスクの厚さは、約0.05~3μmである。マスクの幅は、好ましくは、20μmより大きく、より好ましくは、幅は、40μmより大きい。成長制限マスクは、スパッタ、電子ビーム蒸着、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)、イオンビーム蒸着(IBD)等によって堆積させられるが、それらの方法に限定されない。
【0218】
m面自立GaN基板101上で、図11(a)および11(b)に示される成長制限マスク102は、基板101の11-20方向と平行な第1の方向および基板101の0001方向と平行な第2の方向に配置された複数の開放エリア103を備え、複数の開放エリア103は、それぞれ、間隔p1およびp2において周期的であり、第2の方向に延びている。開放エリア103の長さaは、例えば、200~35,000μmであり、幅bは、例えば、2~180μmであり、開放エリア102の間隔p1は、例えば、20~180μmであり、間隔p2は、例えば、200~35,000μmである。開放エリア103の幅bは、典型的に、第2の方向に一定であるが、必要に応じて、第2の方向に変更され得る。
【0219】
c面自立GaN基板101上で、開放エリア103は、基板101の11-20方向と平行な第1の方向および基板101の1-100方向と平行な第2の方向に配置される。
【0220】
半極性(20-21)または(20-2-1)GaN基板101上で、開放エリア103は、それぞれ、[-1014]および[10-14]と平行な方向に配置される。
【0221】
代替として、ヘテロ基板101が、使用されることができる。c面GaNテンプレート112が、c面サファイア基板101上に成長させられるとき、開放エリア103は、c面自立GaN基板と同じ方向にあり、m面GaNテンプレート112が、m面サファイア基板101上に成長させられるとき、開放エリア103は、m面自立GaN基板101と同じ方向にある。こうすることによって、m面劈開面が、c面GaNテンプレート112を伴う素子110のバー501を分割するために使用されることができ、c面劈開面が、m面GaNテンプレート112を伴う素子110のバー501を分割するために使用されることができ、それは、非常に好ましい。
(III族窒化物系半導体層)
【0222】
ELO III族窒化物層105、III族窒化物素子層106、および島状III族窒化物半導体層109は、In、Al、および/またはB、およびMg、Si、Zn、O、C、H等の他の不純物を含むことができる。
【0223】
III族窒化物素子層106は、概して、3つ以上の層を備え、それらは、n型層、ドープされていない層、およびp型層の中からの少なくとも1つの層を含む。III族窒化物素子層106は、具体的に、GaN層、AlGaN層、AlGaInN層、InGaN層等を備えている。素子が複数のIII族窒化物半導体層を有する場合、互いに隣接した島状III族窒化物系半導体層109の間の距離は、概して、30μm以下、好ましくは、10μm以下であるが、これらの数字に限定されない。半導体素子では、半導体素子のタイプによる、いくつかの電極が、所定の位置に配置される。
(エピタキシャル側方成長の利点)
【0224】
成長制限マスク102の縞状開放エリア103から成長制限マスク102上でエピタキシャル側方成長(ELO)を使用して成長させられる島状III族窒化物半導体層109の結晶化度は、非常に高い。
【0225】
さらに、2つの利点が、III族窒化物基板101を使用して、取得され得る。1つの利点は、高品質島状III族窒化物半導体層109が、サファイア基板101を使用することと比較して、非常に低い欠陥密度等を伴って取得され得ることである。
【0226】
エピ層105、106、109、および基板101の両方に類似した材料または同じ材料を使用することにおける別の利点は、それがエピ層105、106、109内の歪みを低減させ得ることである。類似した熱膨張または同じ熱膨張により、この方法は、エピタキシャル成長中の基板101の曲がりの量を低減させ得る。効果は、上記のように、生産収率が、温度の一様性を改良するために高くあり得ることである。
【0227】
エピ層105、106、109の成長のためのサファイア(m面、c面)、LiAlO、SiC、Si等のヘテロ基板101の使用は、これらの基板101が低コスト基板であることである。これは、大量生産のために重要な利点である。
【0228】
素子110の品質に関して言えば、自立III族窒化物系基板101の使用が、上記の理由に起因して、より好ましい。他方で、ヘテロ基板101の使用は、劈開点807におけるより弱い接合強度に起因して、III族窒化物系半導体層105、106、109を除去することを容易にする。
【0229】
複数の島状III族窒化物半導体層109が成長させられるとき、これらの層109は、互いに分離している(すなわち、孤立して形成される)ので、島状III族窒化物半導体層109の各々において発生させられる引張応力または圧縮応力も、層109内に限定され、引張応力または圧縮応力の効果は、他のIII族窒化物系半導体層に影響を及ぼさない。
【0230】
成長制限マスク102およびELO III族窒化物層105が、化学的に接合されないので、ELO III族窒化物層105内の応力は、成長制限マスク102とELO III族窒化物層105との間の界面において引き起こされるスライドによって緩和されることもできる。
【0231】
非成長領域104によって示される各島状III族窒化物半導体層109の間の間隙の存在は、複数の島状III族窒化物半導体層109の行を有する基板101をもたらし、それは、可撓性を提供し、基板101は、外部力が加えられると容易に変形され、曲げられることができる。
【0232】
したがって、基板101内にわずかな反り、湾曲、または変形が発生する場合でさえも、それは、小さい外部力によって容易に補正されることができ、亀裂の発生を回避する。結果として、真空チャックによる基板101の取り扱いが、可能であり、それは、半導体素子110の製造プロセスをより容易に実行されるようにする。
【0233】
解説されるように、高品質半導体結晶から作製される島状III族窒化物半導体層109は、基板101の湾曲を抑制することによって成長させられることができ、さらに、III族窒化物半導体層105、106、109が、非常に厚いときでさえも、亀裂等の発生は、抑制されることができ、それによって、大面積半導体素子110が、容易に実現されることができる。
(平坦な表面領域)
【0234】
平坦な表面領域107は、層屈曲領域108の間にある。さらに、平坦な表面領域107は、成長制限マスク102領域上にある。
【0235】
半導体素子の製作は、主に、平坦な表面領域107上で実施される。平坦な表面領域107の幅は、好ましくは、少なくとも5μmであり、より好ましくは、10μm以上である。平坦な表面領域107は、平坦な表面領域107内の半導体層の各々のために厚さの高い一様性を有する。
【0236】
半導体素子の製作が部分的に層屈曲領域108上で形成される場合、問題ではない。より好ましくは、屈曲層領域108における層が、エッチングによって除去される。例えば、層屈曲領域108内の活性層の少なくとも一部が、ドライエッチングまたはウェットエッチング等のエッチングプロセスを使用して除去されることが、より良好である。
【0237】
半導体素子が島状III族窒化物半導体層109から成る場合、互いに隣接した島状III族窒化物半導体層109の間の距離は、概して、20μm以下、好ましくは、5μm以下であるが、これらの値に限定されない。島状III族窒化物半導体層109の間の距離は、非成長領域104の幅である。
(層屈曲領域)
【0238】
図22(a)および22(b)は、屈曲された活性領域2201が素子110内に留まり得る様子を図示する。層屈曲領域108の定義は、屈曲された活性領域2201を含む屈曲された活性領域2201の外側の領域である。
【0239】
無極性または半極性基板が使用される場合、島状III族窒化物半導体層109は、島状III族窒化物半導体層109の片側に2つまたは3つのファセットを有する。第1のファセットが、隆起構造を形成するための主要なエリアである一方、第2および第3のファセットは、層屈曲領域108を含む。
【0240】
活性層を含む層屈曲領域108が、LEDチップ内に留まる場合、活性層からの放出された光の一部が、再吸収される。結果として、エッチングによって、層屈曲領域108内の活性層の少なくとも一部を除去することが好ましい。
【0241】
活性層を含む層屈曲領域108が、LDチップ内に留まる場合、レーザモードが、低い屈折率(例えば、InGaN層)に起因して、層屈曲領域108による影響を受け得る。結果として、エッチングによって、層屈曲領域108内の活性層の少なくとも一部を除去することが好ましい。2つのエッチングが、実施され得、基板101からエピ層を除去する前、第1のエッチングが、第2のファセット領域内の活性層を除去し、基板101からエピ層を除去した後、第2のエッチングが、第3のファセット領域内の活性層を除去する。
【0242】
放出領域は、電流注入領域である。レーザダイオードの場合、放出領域は、隆起構造である。LEDの場合、放出領域は、p接触電極を形成するための領域である。
【0243】
LDおよびLEDの両方に関して、放出領域の縁は、層屈曲領域の縁から少なくとも1μm以上、より好ましくは、5μmであるべきである。
【0244】
別の視点から、開放エリア103を除く平坦な表面107のエピタキシャル層は、開放エリア103のエピタキシャル層より少ない欠陥密度を有する。したがって、隆起縞構造が、ウィング領域上を含む平坦な表面領域107内に形成されるべきことが、より好ましい。
(半導体素子)
【0245】
半導体素子110は、例えば、発光ダイオード、レーザダイオード、ショットキーダイオード、フォトダイオード、トランジスタであるが、これらの素子に限定されない。本発明は、端面発光レーザおよび垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)等のマイクロLEDおよびレーザダイオードのために特に有用である。本発明は、特に、劈開されたファセットを有する半導体レーザのために有用である。
(ポリマー膜)
【0246】
ポリマー膜801は、III族窒化物系基板101またはヘテロ基板101と共に使用されるGaNテンプレート112から島状III族窒化物半導体層109を除去するために使用される。本発明では、市販されているUV感受性ダイシングテープを含むダイシングテープが、ポリマー膜801として使用されることができる。例えば、ポリマー膜801の構造は、図23(a)および23(b)に示されるように、三重層802、803、804または二重層803、804を備え得るが、それらの例に限定されない。例えば、約80μmの厚さを有する基膜802材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)から作製され得る。例えば、約38μmの厚さを有するバッキング膜804材料は、ポリエチレンテレフタレート(P.E.T.)から作製され得る。例えば、約15μmの厚さを有する接着剤層803は、アクリルUV感受性接着剤から作製され得る。
【0247】
ポリマー膜801が、UV感受性ダイシングテープであり、UV光にさらされると、膜801の粘着性は、著しく低減させられる。基板101から島状III族窒化物半導体層109を除去した後、ポリマー膜801は、UV光によって暴露され、それは、それを除去しやすくする。
(ヒートシンクプレート)
【0248】
上記のように、除去されたバー501は、AlN、SiC、Si、Cu、CuW等であり得るヒートシンクプレート1505に移され得る。図15(e)に示されるように、Au-Sn、Su-Ag-Cu、Agペースト等であり得る接合のためのはんだ1506は、ヒートシンクプレート1505上に配置される。次いで、n電極1504またはp電極408が、はんだ1506に接合される。素子110は、ヒートシンクプレート1505に接合されるフリップチップでもあり得る。
【0249】
LED素子110をヒートシンクプレート1505に接合する場合、ヒートシンクプレート1505のサイズは、問題にならず、所望に応じて設計されることができる。
【0250】
レーザダイオード素子110をヒートシンクプレート1505に接合する場合、ヒートシンクプレート1505の長さが、ファセット504コーティングプロセスのためにレーザダイオード素子110の長さと同じであるか、またはそれより短いことが好ましく、レーザダイオード素子110の長さは、レーザキャビティの長さとほぼ同じである。こうすることによって、レーザキャビティの両方のファセット504をコーティングすることは容易である。ヒートシンクプレート1505の長さが、レーザキャビティより長い場合、ヒートシンクプレート1505は、レーザファセット504の一様なコーティングを妨げ得る。
(長い幅のヒートシンクプレート)
【0251】
ヒートシンクプレート1505のための長い幅が、レーザ素子110を製作するプロセスをより生産的にする。図16に示されるように、ヒートシンクプレート1505は、スペーサプレート1601上に設置され、次いで、両方は、同時に複数の素子110をコーティングするためにコーティングホルダ1602内の他のヒートシンクプレート1505およびスペーサプレート1601とスタックされる。その結果として、単一のコーティングプロセスが、多数の素子110をコーティングすることができる。
(溝を伴うヒートシンクプレート)
【0252】
ヒートシンクプレート1505は、図15(e)および15(f)に示されるように、素子110を分割するための溝1507を有することが好ましい。この構造は、ファセット504コーティングプロセス後に有用であり、ヒートシンクプレート1505は、1つ以上の素子110、例えば、単一素子110または素子110のアレイに分割される。ヒートシンクプレート1505を分割した後、素子110は、照明モジュール等のパッケージまたはモジュールに製作されることができる。ヒートシンクプレート1505内の溝1507は、素子110への分割を誘導する。溝1507は、ウェットエッチング方法によって形成され、素子110がヒートシンクプレート1505上に搭載される前に機械的に処理されることができる。例えば、ヒートシンクプレート1505が、シリコンから作製される場合、ウェットエッチングが、溝1507を形成するために使用されることができる。このように溝1507を使用することは、プロセスのリードタイムを短縮する。
(はんだを伴うヒートシンクプレート)
【0253】
はんだ1506の長さは、図15(f)に示されるように、ヒートシンクプレート1505上の素子110長さより短いことが好ましい。これは、素子110特性の劣化を引き起こし得るファセット504へのはんだ1506の任意の巻きつきを防止する。特に、巻きつきは、フリップチップ搭載のために回避されるべきである。
【0254】
図17(b)に示されるように、コーティングプロセス後、ヒートシンクプレート1505は、鎖線によって包囲されるエリアである、巻きつきエリアを有する。巻きつきエリアは、約10~20μmの幅Wを有する。コーティング膜は、コーティングされたこれらの面積を有するであろう。コーティング膜ではんだ1506をコーティングすることを回避することも困難である。概して、コーティング膜は、1つ以上の誘電体材料から選択され、それは、このエリアが伝導性を有していない理由である。これは、ワイヤ1702がはんだ1506に接合されるとき、伝導性および接着性の両方に関して問題である。したがって、ワイヤ1702が巻きつきエリアを回避するように設置されることが好ましい。少なくとも、ワイヤボンド1702の場所は、ヒートシンクプレート1505の縁から約25μm離れているべきである。
(代替実施形態)
(第1の実施形態)
【0255】
第1の実施形態による、III族窒化物系半導体素子およびその製造のための方法が、図24(a)、24(b)、および24(c)に図示される。
【0256】
第1の実施形態では、ベース基板101が、最初に提供され、複数の縞状開放エリア103を有する成長制限マスク102が、基板101上に形成される。本実施形態では、ベース基板101は、III族窒化物系半導体から作製されるm面基板であり、m面基板は、-1.0度を伴うc軸に向かったミスカット配向を有する。
【0257】
ELO III族窒化物層105は、基板101および成長制限マスク102の上または上方に成長させられる。図3(a)および図3(b)の画像(4)に示されるように、ELO III族窒化物層105は、非常に平滑な表面を伴って大部分が一様である。
【0258】
ELO III族窒化物層105の成長後、層105を伴う基板101は、成長制限マスク102を除去するためにMOCVDリアクタから除去される。成長制限マスク102は、図24(b)に示されるように、HF、BHF等のエッチング液を使用して、ウェットエッチングによって除去される。
【0259】
次いで、III族窒化物素子層106が、図24(c)に示されるように、基板101上に成長させられる。本時点で、III族窒化物素子層106は、ELO III族窒化物層105と、基板101の露出された部分との両方の上に成長させられ、基板101の露出された部分において、成長制限マスク102が除去されており、底層111をもたらす。
【0260】
III族窒化物素子層106が成長させられた後、時として、図2(c)の画像(1)に示されるように、表面形態の劣化が存在する。概して、最適化された成長条件からの逸脱が、表面粗度の劣化を引き起こすことが考えられた。III族窒化物素子層106は、活性層または導波管層である多くの層から成り、成長条件を制御することが、困難である。着目すべきこととして、島状III族窒化物半導体層109の側面ファセットへの過剰な供給ガスは、最適化された条件からのこの逸脱を悪化させる。表面粗度の劣化を回避する成長条件の最適化は、側面ファセットからのガスに起因して困難である。
【0261】
したがって、本発明では、ELO III族窒化物層105の側面ファセットにおけるガスの影響を減少させるために、成長制限マスク102は、III族窒化物素子層106を成長させる前、少なくとも活性層の前に除去される。こうすることによって、ELO III族窒化物層105の側面ファセットにおけるガスは、成長制限マスク102がELO III族窒化物層105の側面ファセットに到達する前に除去されている場合、基板101の露出されたエリアにおいて消費され、それは、過剰なガスを側面ファセットに供給することを回避する。
【0262】
こうすることによって、p型層厚さの観点からの面内分布が、改善し、それは、大量生産の収率を増加させ得る。例えば、p型層の変動は、結果として生じるレーザダイオードの特性に影響を及ぼす。概して、レーザダイオードの隆起構造を形成するとき、p型層の一部は、ドライエッチング方法によって活性層の上方までエッチングされる。p型層の厚さに変動が存在する場合、ドライエッチング後の残りのp型層の厚さも、変動を有する。これは、レーザダイオードの特性に影響を及ぼす。p型層の厚さの変動を低減させることは、大量生産における収率を改良するために非常に重要である。
【0263】
さらに、少なくともp型層の成長を終了するまで、成長制限マスク102を除去することも、成長制限マスク102からのシリコンおよび酸素等の分解された原子の取り込み(それは、p型層のドーパントを補償する)を回避するという点で好ましい。
【0264】
その後、島状III族窒化物半導体層109は、レーザダイオード素子を取得するために、上記に記載されるようなステップ1-14のうちの残りのものによって処理されることができる。
(第2の実施形態)
【0265】
第2の実施形態は、成長制限マスク102のエッチングを除き、第1の実施形態とほぼ同じである。第1の実施形態では、成長制限マスク102は、図24(a)および24(b)に示されるように、完全に除去される。しかしながら、成長制限マスク102は、図25(a)、25(b)、25(c)、および25(d)、および図26(a)および26(b)に示されるように、少なくとも部分的に除去されることもできる。両方の場合、島状III族窒化物半導体層109の表面は、実質的に平らにされる。
【0266】
図25(a)、25(b)、および25(c)に示されるように、成長制限マスク102の少なくとも一部は、ウェットエッチングによって除去される。好ましくは、島状III族窒化物半導体層109によって覆われていない成長制限マスク102の一部が、除去される一方、島状III族窒化物半導体層109によって覆われた成長制限マスク102の一部は、残っている。第1の実施形態のように、成長制限マスク102の除去は、島状III族窒化物半導体層109の側面ファセットへの過剰なガス供給を減少させる。さらに、ELO III族窒化物層105の下に残っている成長制限マスク102の一部は、基板101から島状III族窒化物半導体層109を除去するときに有用である。図25(d)に示されるように、成長制限マスク102の残りの部分は、III族窒化物素子層106の成長後にウェットエッチングによって除去され得る。
【0267】
図26(a)および26(b)は、成長制限マスク102の少なくとも一部がウェットエッチングによって除去される代替実施形態を示す。しかしながら、これらの例では、島状III族窒化物半導体層109によって覆われていない成長制限マスク102の追加の部分が、エッチング後に残っている。図25(a)、25(b)、25(c)、および25(d)と同様、成長制限マスク102の除去は、島状III族窒化物半導体層109の側面ファセットへの過剰なガス供給を減少させる。さらに、ELO III族窒化物層105の下に残っている成長制限マスク102の一部は、基板101から島状III族窒化物半導体層109を除去するときに有用である。
【0268】
成長制限マスク102の除去の前、成長制限マスク102の縁における形状は、鋭い。したがって、マスク102の除去後の残りの空間は、同じ形状である。III族窒化物素子層106が成長させられるとき、残りの空間の形状は、図27(a)および27(b)に示されるように、MOCVDにおいて成長するときの高温条件に起因して、鋭いものから丸く変換される。変換が生じた場合でさえも、島状III族窒化物半導体層109を除去することが可能である。より好ましくは、残りの空間の形状は、切断点を精密に決定するために、および除去することが容易であるように鋭い。
【0269】
成長制限マスク102が、残っている場合、成長制限マスク102は、縁における形状が変換することを防止する。図25(c)に示されるように、III族窒化物素子層106が成長させられるとき、成長制限マスク102の一部は、依然として、基板101上に残っている。しかしながら、マスク101がELO III族窒化物層105の下にのみ残っているので、マスク102の分解は、極めて減少させられ、それは、p型層を補償する可能性を低減させる。ELO III族窒化物層105の下にある残っているマスク102は、島状III族窒化物半導体層109の除去の前に除去される。
(第3の実施形態)
【0270】
第3の実施形態では、GaN層が、種々のオフ角度基板101上でELO III族窒化物層105として成長させられる。図3(c)および3(d)の各々は、島状III族窒化物半導体層109と共に使用される種々のオフ角度基板101を伴う3つのSEM画像を含む。オフ角度配向は、m面からc面に向かって、図3(c)では0~+15度、図3(d)では0~-28度に及ぶ。本発明は、図9(a)および9(b)に示されるように、バーを切断することなく、種々のオフ角度基板101からバーを除去することができる。
【0271】
半極性基板101を使用するとき、それは、第1の実施形態と同じ効果を取得することができる。
(第4の実施形態)
【0272】
第4の実施形態では、GaN層が、2つの異なるミスカット配向を伴うc面基板101上でELO III族窒化物層105として成長させられる。図3(e)は、島状III族窒化物半導体層109に関する2つの異なるミスカット配向基板101のSEM画像を示す。島状III族窒化物半導体層109は、図8(a)-8(e)に示される方法を使用して除去されている。
【0273】
図5(a)-5(d)に示されるように、半極性基板101を使用するとき、それは、第1の実施形態と同じ効果を取得することができる。
(第5の実施形態)
【0274】
第5の実施形態では、サファイア基板が、ヘテロ基板101として使用される。図1(b)は、基板101上の島状III族窒化物半導体層109の構造を示す。この構造は、サファイア基板101および緩衝層112を使用することを除き、第1の実施形態構造とほぼ同じである。緩衝層112は、概して、サファイア基板101上に成長させられるIII族窒化物系半導体層と共に使用される。本実施形態では、緩衝層112は、核形成層およびn-GaN層の両方、またはドープされていないGaN層を含む。緩衝層112は、約500~700℃の低温において成長させられる。n-GaN層またはドープされていないGaN層は、約900~1,200℃のより高い温度において成長させられる。全体厚さは、約1~3μmである。次いで、成長制限マスク102は、n-GaN層またはドープされていないGaN層上に配置される。素子を完成させるためのプロセスの残りは、第1の実施形態と同じである。
【0275】
他方で、緩衝層112を使用することは必要ではない。例えば、成長制限マスク102は、ヘテロ基板101上に直接配置されることができる。その後、ELO III族窒化物層105および/またはIII族窒化物素子層106が、成長させられることができる。この場合、ヘテロ基板101表面とELO III族窒化物層105の底面との間の界面は、多くの欠陥を含むヘテロ界面に起因して、容易に分かれる。
(第6の実施形態)
【0276】
本実施形態は、図28に示されるように、それらの上側を下に向けて素子をヒートシンクプレート1505に搭載する。本実施形態は、図2(h)のバーに示されるような縁成長を伴わないバー501を取得することができる。
【0277】
図2(d)の画像(1)は、高さを有する縁成長を伴うバーを示す。好ましくは、高さは、0.3μm以下である。本発明では、縁成長が、以下に定義され、それは、バーの縁に位置し、0.3μmより多き高さhを有する。高さは、バー501の中心とバー501の縁との間の高さの差によって定義される。こうすることによって、バー501の上部は、平らにされることができる。図28に示されるようなジャンクションダウン搭載の場合、縁成長を有するバー501と比較して、ヒートシンクプレート1505に対するより広い接触面積が存在し得る。
【0278】
これは、熱伝導率を改良し得る。さらに、縁成長を抑制することがp型層厚さを一様にし得ることが、非常に好ましい。
(第7の実施形態)
【0279】
本実施形態では、マスク102エリアの幅が、変更される。図29(a)に示される画像では、開放エリア103の幅は、50μmであり、マスク102エリアの幅は、100μmである。他方で、図29(b)に示される画像では、開放エリア103の幅は、50μmであり、マスク102エリアの幅は、50μmである。
【0280】
図29(a)の画像では、このコントラストは、殆ど消滅する。バーの表面に対するコントラストは、縁成長である縞であることが分かり得る。
【0281】
マスク102エリアのより広い幅は、バーの側面ファセットへのガスの供給を増加させ、それは、縁成長を向上させる。図29(b)の画像は、この縁成長の証拠である。
【0282】
したがって、縁成長は、マスク102エリアの幅を設計することによって制御されることができる。マスク102エリアの幅は、100μm以下であることが、非常に好ましい。本発明を使用して、それは、縁成長の高さを低減させ得る。
(第8の実施形態)
【0283】
本実施形態の目標は、成長制限マスク102を除去した後、基板101とバー501の縁における島状III族窒化物半導体層109との間の接続を回避することである。III族窒化物素子層106の全体厚さが、より厚い、または成長制限層102の厚さが、より薄いとき、III族窒化物素子層106の一部が、図29(a)および29(b)に示されるように、基板101上で接続されることができる。p型ドーパントとしてのMgでドープされるp層は、バー上に側面ファセットを成長させる傾向がある。
【0284】
両方の部分が接続しているかどうかは、成長制限マスク102の除去後のIII族窒化物素子層106の厚さに依存する。したがって、III族窒化物素子層106の成長は、図30(a)の画像および図30(b)のその拡大に示されるように、2つの部分を接続する前に停止させられることができる。このようにバー501を除去することが、より好ましい。p型層の厚さは、好ましくは、1μm未満である。
(プロセスステップ)
【0285】
図31は、ELO III族窒化物層105上の表面を平らにし、島状III族窒化物半導体層109を伴う平滑な表面を取得することをもたらすための方法を図示するフローチャートである。島状III族窒化物半導体層109は、ELO III族窒化物層105が互いに合体する前にELO III族窒化物層105の成長を停止させ、次いで、ELO III族窒化物層106の上または上方に1つ以上のIII族窒化物素子層106を成長させることによって、形成される。成長制限マスク102は、島状III族窒化物半導体層109の側面ファセットへの過剰なガス供給を減少させるために、III族窒化物素子層106のうちの少なくともいくつかを成長させる前に除去される。この方法は、成長制限マスク102からの分解されたn型ドーパントによるIII族窒化物素子層106のp型層の補償を防止することをさらに含む。この方法のステップは、下記により詳細に説明される。
【0286】
ブロック3101は、ベース基板101を提供することを表す。一実施形態では、ベース基板101は、GaN系基板101等のIII族窒化物系基板101、またはサファイア基板101等のヘテロ基板101である。このステップは、基板101の上または上方にテンプレート層112を堆積させる随意のステップも含み得、テンプレート層11は、緩衝層またはGaN下層等の中間層を備え得る。
【0287】
ブロック3102は、基板101の上または上方に、すなわち、基板101自体の上またはテンプレート層112の上に、成長制限マスク102を形成することを表す。成長制限マスク102は、パターン化され、複数の縞状開放エリア103を含む。
【0288】
ブロック3103は、エピタキシャル側方成長(ELO)を使用して、成長制限マスク102の上または上方に1つ以上のIII族窒化物系層105を成長させることを表す。このステップは、ELO III族窒化物層105のうちの隣接したものが互いに合体する前、ELO III族窒化物層105の成長を停止させることを含む。
【0289】
ブロック3104は、ELO III族窒化物層105の上または上方に1つ以上の追加のIII族窒化物素子層106を成長させ、それによって、バー501を形成することを表す。これらの追加のIII族窒化物素子層106は、ELO III族窒化物層105とともに、島状III族窒化物半導体層109のうちの1つ以上のものを生成する。好ましくは、III族窒化物素子層106は、縁成長を有していない。
【0290】
このステップは、III族窒化物素子層106のための平滑な表面を取得するために、ELO III族窒化物層105を成長させた後、およびIII族窒化物素子層106のうちの少なくともいくつかを成長させる前、成長制限マスク102の少なくとも一部を除去することを含み得る。
【0291】
III族窒化物素子層106は、低温成長層、インジウム含有層、アルミニウム含有層、および/またはp型層を含み得、成長制限マスク102は、低温成長層、インジウム含有層、アルミニウム含有層、および/またはp型層を成長させる前に除去され得る。成長制限マスク102は、成長制限マスク102の分解に起因するp型層の補償を回避するために、p型層を成長させる前に除去され得る。成長制限マスク102は、III族窒化物素子層106の少なくとも活性層を成長させる前にも除去され得る。
【0292】
成長制限マスク102は、ELO III族窒化物層105の縁の近傍の供給ガスの量を減少させることによって、ELO III族窒化物層105の縁の近傍の供給ガスの非一様性を回避するように、III族窒化物素子層106を成長させる前に除去され得る。
【0293】
成長制限マスク102は、III族窒化物素子層106を成長させる前に除去され得、III族窒化物素子層106の成長は、成長制限マスク102が除去されている場合、底層111の成長をもたらす。好ましくは、底層111は、島状III族窒化物半導体層109に接続しない。底層111は、成長制限マスク102の縁のエリアにおいて成長しないか、または遅い成長率を有する。何故なら、成長制限マスク102の縁が、そのエリアを供給ガスから遮蔽するからである。加えて、ELO III族窒化物層105は、底層111が成長することを防止する高さ、または底層111の成長を遅らせる高さを有し得る。
【0294】
ELO III族窒化物層105の側面ファセットが、底層111への供給ガスを低減させる空間を底部エリアに作製し得、底部エリアの幅は、側面ファセットの形状に依存する。側面ファセットの縁は、側面ファセットの縁が供給ガスを低減させるように、底縁線の外側に位置し、それは、底部エリアの幅をより長くする。代替として、側面ファセットは、底縁線の外側に位置する縁を有しておらず、それは、底部エリアの幅をより短くする。側面ファセットにおける供給ガスは、島状III族窒化物半導体層109の側面ファセットに到達する前に成長エリアにおいて消費され、それは、過剰なガスを側面ファセットに供給することを回避する。
【0295】
ブロック3105は、バー501に沿って1つ以上の分割支援領域502を形成することを表す。分割支援領域502は、バー501の第1のファセット505および/または第2のファセット506上に形成され得る。加えて、分割支援領域502は、バー501の片側または両側に形成され得る。分割支援領域502は、周期的な長さにおいて形成され、各周期は、素子の長さによって決定され、分割支援領域502の各々は、スクライブ線を備えている。加えて、分割支援領域502は、電流注入領域503を回避する様式で平坦な表面領域107に生成される。
【0296】
ブロック3106は、基板101から素子110を除去することを表す。このステップは、ポリマー膜801をバー501に適用し、基板101の表面上で劈開技法を使用して、基板101からバー501を除去することを含み得、それは、基板101から島状III族窒化物半導体層109を機械的分離または剥離することを含む。ポリマー膜801は、プレート806を使用して、圧力を膜801および基板101に加えることによって、バー501に適用される。この方法は、圧力が加えられている間、膜801および基板101の温度を変化させ、それによって、基板101からバー501を除去するために膜801と基板101との間の熱係数の差異を利用することも含み得る。このステップは、バー501に沿って形成される分割支援領域502において劈開することによって、バー501を1つ以上の素子110に分割することを含み得る。このステップは、レーザダイオード素子110の各々の上の1つ以上のファセット504の生成も含み得る。
【0297】
ブロック3107は、劈開によって生成された素子110のファセット504のうちの1つ以上のものをコーティングするために、ヒートシンクプレート1505上に素子110の各々を搭載することを表す。このステップは、ヒートシンクプレート1505内の溝1507においてヒートシンクプレート1505を分割することによって、素子110を分離することも含む。ヒートシンクプレート1505は、ワイヤボンド1701、1702が素子110に取り付けられる前または後に分割され得る。
【0298】
ブロック3108は、この方法の結果として生じる製品、すなわち、この方法に従って製作される1つ以上のIII族窒化物系半導体素子110、および素子110から除去されており、再生利用および再使用のために利用可能である基板101を表す。
【0299】
素子110は、基板101上の成長制限マスク102の上または上方に成長させられた1つ以上のELO III族窒化物層105を備え得、ELO III族窒化物層105の成長は、ELO III族窒化物層105のうちの隣接したものが互いに合体する前に停止させられる。素子110は、ELO III族窒化物層105および基板101の上または上方に成長させられた1つ以上のIII族窒化物素子層106をさらに備え得、成長制限マスク102の少なくとも一部は、III族窒化物素子層106のための平滑な表面を取得するために、ELO III族窒化物層105が成長させられた後、およびIII族窒化物素子層106のうちの少なくともいくつかが成長させられる前に除去される。
(修正および代替物)
【0300】
いくつかの修正および代替案が、本発明の範囲から逸脱することなく、成されることができる。
【0301】
例えば、本発明は、c面(0001)、基礎無極性m面{10-10}族、および{20-2-1}面等の少なくとも2つのゼロではないh、i、またはkミラー指数と、ゼロではないlミラー指数とを有する半極性面族を含む種々の配向のIII族窒化物基板と共に使用され得る。(20-2-1)の半極性基板は、平らにされたELO成長の広いエリアにより、特に有用である。
【0302】
別の例では、本発明は、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)、ショットキー障壁ダイオード(SBD)、または金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)等の異なる光電子素子構造を製作するために使用されるものとして説明される。本発明は、マイクロLED、垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)、端面発光レーザダイオード(EELD)、および太陽電池等の他の光電子素子を製作するためにも使用され得る。
(結論)
【0303】
ここで、本発明の好ましい実施形態の説明を結論付ける。本発明の1つ以上の実施形態の前述の説明は、例証および説明の目的のために提示されている。包括的である、または本発明を開示される精密な形態に限定することは、意図されていない。多くの修正および変形例が、上記の教示に照らして可能である。本発明の範囲は、本発明を実施するための形態によってではなく、むしろ、本明細書に添付される請求項によって限定されることが意図される。
図1(a)】
図1(b)】
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図2(d)】
図2(e)】
図2(f)】
図2(g)】
図2(h)】
図2(i)】
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図5(d)】
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8(a)】
図8(b)】
図8(c)】
図8(d)】
図8(e)】
図8(f)】
図8(g)】
図9
図10(a)】
図10(b)】
図10(c)-10(e)】
図11(a)-11(b)】
図12(a)】
図12(b)】
図13(a)】
図13(b)】
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図16
図17(a)-17(b)】
図17(c)】
図18(a)-18(b)】
図19(a)】
図19(b)】
図20
図21
図22(a)】
図22(b)】
図23(a)】
図23(b)】
図24(a)】
図24(b)】
図24(c)】
図25(a)】
図25(b)】
図25(c)】
図25(d)】
図26(a)】
図26(b)】
図27(a)】
図27(b)】
図28
図29(a)】
図29(b)】
図30(a)-30(b)】
図31