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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】鞄用ベルト
(51)【国際特許分類】
   A45C 13/30 20060101AFI20240508BHJP
   A45F 3/04 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
A45C13/30 C
A45F3/04 300
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023096087
(22)【出願日】2023-06-12
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】598108331
【氏名又は名称】株式会社由利
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】由利 昇三郎
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3011707(JP,U)
【文献】特開2003-310332(JP,A)
【文献】特開2014-104294(JP,A)
【文献】登録実用新案第3222935(JP,U)
【文献】実開平06-009519(JP,U)
【文献】実開平04-066923(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0288812(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0086523(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113802262(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111802770(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 13/30
A45F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ベルトの芯材が、
ガラス転移点を20℃~体温以下の温度とした形状記憶樹脂体と、
中軟質弾性樹脂体と、
使用者の身体の内寄りを高軟質弾性樹脂体とし、使用者の身体の外寄りを低軟質弾性樹脂体として、これらを隣り合うようにして接着した高軟質・低軟質弾性樹脂体とから構成され、
前記形状記憶樹脂体を使用者の身体に接触する側に配し、この形状記憶樹脂体から使用者の身体に接触しない側に、前記中軟質弾性樹脂体、前記高軟質・低軟質弾性樹脂体の順に配したことを特徴とする鞄用ベルト。
【請求項2】
本体ベルトの芯材が、
ガラス転移点を20℃~体温以下の温度とした形状記憶樹脂体と、
中軟質弾性樹脂体と、
使用者の身体の内寄りを高軟質弾性樹脂体とし、使用者の身体の外寄りを低軟質弾性樹脂体として、これらを隣り合うようにして接着した高軟質・低軟質弾性樹脂体と、
中軟質弾性樹脂体とから構成され、
前記形状記憶樹脂体を使用者の身体に接触する側に配し、この形状記憶樹脂体から使用者の身体に接触しない側に、前記中軟質弾性樹脂体、前記高軟質・低軟質弾性樹脂体、前記中軟質弾性樹脂体の順に配したことを特徴とする鞄用ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デイパック、ランドセル、ショルダーバッグ等の鞄用ベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の鞄用ベルトとしては、図7、8に示したような背負鞄用背負ベルトが存在する。この背負鞄用背負ベルトは、内側縁部において首の側部と対向する個所に切欠部11を設けた硬質で帯状の表皮12の裏面に、この表皮12と同形の裏布13を重ね合わせると共に、この表皮12と裏布13の間に弾性を有した柔軟なクッション材14を挟み込んで、このクッション材14の一部を切欠部11において露出するように配設したものとしている(特許文献1)。
【0003】
このようにした鞄用ベルトは、使用者の首の側部がベルトの内側縁部に接触することがあっても、使用者の首に、硬い表皮12が接触せずに、柔軟なクッション材14が接触することになるので、首が擦られて痛くなるといった問題が解決されるという効果があるとしている。
【0004】
さらに、この種の鞄用ベルトとしては、図9に示したようなリュックサック用肩紐が存在する。このリュックサック用肩紐は、肩紐21の上部接合部21a付近から所定の範囲にかけて、肩紐21の内側略半分の幅の表裏両面に、その他の部分の表生地より伸縮性の大きい素材で形成された伸縮性生地22が設けられたものとしている(特許文献2)。
【0005】
このようにした鞄用ベルトは、伸縮性生地22が最も荷重のかかる肩紐21の上部接合部21a付近の内側に設けられているため、リュックサックを背負ったときに荷物の重みに応じて伸縮性生地22側のみが引っ張られ、肩紐21の内側と外側にかかる荷重のバランスが均等になるところまで伸長し、その結果、肩紐21の外側の弛みが解消して内側と外側に均等に荷重がかかり、肩紐21全体が均等に肩に接することになるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開平4-120620号公報
【文献】特許第6445744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に記載された鞄用ベルトでは、使用者の首の側部が擦られて痛くなるという問題が解決されているだけであって、使用者の肩や、肩から胸、胸から脇腹にかけての部分への接触感を良くするという点については解決されていない。
【0008】
また、前記鞄用ベルトでは、表皮12と裏布13の間に弾性を有した柔軟なクッション材14が挟み込まれた状態では、このクッション材14が切欠部11において張力が働いた状態となっており、使用者の首の側部や肩にその張力が働いた状態で接触することになるので、使用者の肩への接触感を却って悪くしているともいえる。
【0009】
さらに、前記特許文献2に記載された鞄用ベルトでは、肩紐21全体が均等に肩に接することになり、使用者の肩への接触感を良くするという点については解決されているといえるが、伸縮性生地22が肩紐21の上部接合部21a付近にしか設けられていないので、使用者の肩から胸、胸から脇腹にかけての部分への接触感を良くするという点については解決されていない。
【0010】
また、前記鞄用ベルトでは、肩紐21の内側略半分の幅の表裏両面に伸縮性生地22が設けられているだけで、肩紐21の芯材は弾性を有した硬い芯材であるので、この芯材が間接的に肩に接触していることになり、使用者の肩への接触感を良くするという点については、完全には解決されていない。
【0011】
そこで、本発明は、従来の課題を解決するものであり、使用者の身体からズレることなく、使用者の肩のみならず、肩から胸、胸から脇腹にかけての部分への接触感を良くして、背負い心地をより改善した鞄用ベルトを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の鞄用ベルトは、本体ベルト2の芯材5が、ガラス転移点を20℃~体温以下の温度とした形状記憶樹脂体5aと、中軟質弾性樹脂体5bと、使用者の身体の内寄りを高軟質弾性樹脂体5cとし、使用者の身体の外寄りを低軟質弾性樹脂体5dとして、これらを隣り合うようにして接着した高軟質・低軟質弾性樹脂体5c・5dとから構成され、前記形状記憶樹脂体5aを使用者の身体に接触する側に配し、この形状記憶樹脂体5aから使用者の身体に接触しない側に、前記中軟質弾性樹脂体5b、前記高軟質・低軟質弾性樹脂体5c・5dの順に配したものとしている。
【0014】
さらに、本発明の鞄用ベルトは、本体ベルト2の芯材5が、ガラス転移点を20℃~体温以下の温度とした形状記憶樹脂体5aと、中軟質弾性樹脂体5bと、使用者の身体の内寄りを高軟質弾性樹脂体5cとし、使用者の身体の外寄りを低軟質弾性樹脂体5dとして、これらを隣り合うようにして接着した高軟質・低軟質弾性樹脂体5c・5dと、中軟質弾性樹脂体5bとから構成され、前記形状記憶樹脂体5aを使用者の身体に接触する側に配し、この形状記憶樹脂体5aから使用者の身体に接触しない側に、前記中軟質弾性樹脂体5b、前記高軟質・低軟質弾性樹脂体5c・5d、前記中軟質弾性樹脂体5bの順に配したものとしている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の鞄用ベルトは、ガラス転移点を20℃~体温以下の温度とした形状記憶樹脂体を、使用者の身体に接触する側に配することにより、使用者の体温によって形状変化して、その使用者の身体にピッタリと沿うようになる。
【0016】
さらに、本発明の鞄用ベルトは、高軟質弾性樹脂体を、使用者の身体に接触する内寄りに配することにより、使用者の身体との接触性が弱くなる。
【0017】
これらにより、本発明の鞄用ベルトは、使用者の身体からズレることなく、使用者の肩のみならず、肩から胸、胸から脇腹にかけての部分への接触感を非常に良くし、鞄の背負い心地をより改善することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の鞄用ベルトを備えたデイパックの背面図である。
図2】本発明の鞄用ベルトの表面図である。
図3】本発明の鞄用ベルトの裏面図である。
図4A図2中のAーA線による本発明の鞄用ベルトの第一実施形態の拡大断面図である。
図4B図4Aに示す鞄用ベルトの芯材のみの拡大断面図である。
図5A図2中のAーA線による本発明の鞄用ベルトの第二実施形態の拡大断面図である。
図5B図5Aに示す鞄用ベルトの芯材のみの拡大断面図である。
図6A図2中のAーA線による本発明の鞄用ベルトの第三実施形態の拡大断面図である。
図6B図6Aに示す鞄用ベルトの芯材のみの拡大断面図である。
図7】従来の鞄用ベルトの一例を示す表面図である。
図8図7に示す従来の鞄用ベルトの分解図である。
図9】従来の鞄用ベルトの他の例を備えたリュックサックの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の鞄用ベルトを実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
本発明の鞄用ベルトは、図1に示したように、デイパックなどの背負鞄1に左右一対として取り付けられている。すなわち、この鞄用ベルトは、本体ベルト2と補助ベルト3からなり、一方の本体ベルト2の上端が背負鞄1の背面1aの上部左側に、他方の本体ベルト2の上端が背負鞄1の背面1aの上部右側に、それぞれ縫着するなどして固定されており、前記一方の本体ベルト2の下端が背負鞄1の背面1aの下部左側に縫着するなどして固定された補助ベルト3に、前記他方の本体ベルト2の下端が背負鞄1の背面1aの下部右側に縫着するなどして固定された補助ベルト3に、それぞれバックル4を介在させるなどして、全体の長さを調節できるようにして取り付けられている。
【0021】
なお、前記鞄用ベルトは、本体ベルト2のみからなるものとしてもよい。この場合、本体ベルト2は、一方の本体ベルト2の上端が背負鞄1の背面1aの上部左側に、他方の本体ベルト2の上端が背負鞄1の背面1aの上部右側に、それぞれ縫着するなどして固定され、前記一方の本体ベルト2の下端が背負鞄1の背面1aの下部左側に、前記他方の本体ベルト2の下端が背負鞄1の背面1aの下部右側に、それぞれバックル4を介在させるなどして、長さを調節できるようにして取り付けたものとすることができる。
【0022】
前記本体ベルト2は、図2、3に示したように、上端から下端にかけて徐々に細くすると共に、上端から下端にかけて外側に湾曲した帯形状の芯材5の全体を、布地からなるカバー材6で被覆したものとしている。
【0023】
前記芯材5は、第一実施形態のものは、図4A、4Bに示したように、形状記憶樹脂体5aと、中軟質弾性樹脂体5bとから構成されている。そして、前記形状記憶樹脂体5aを使用者の身体に接触する側に配したものとしている。なお、前記形状記憶樹脂体5aと中軟質弾性樹脂体5bとは、接着または縫着したものとしている。
【0024】
また、前記芯材5は、第二実施形態のものは、図5A、5Bに示したように、形状記憶樹脂体5aと、中軟質弾性樹脂体5bと、使用者の身体の内寄り(好ましくは内寄り略半分)を高軟質弾性樹脂体5cとし、使用者の身体の外寄り(好ましくは外寄り略半分)を低軟質弾性樹脂体5dとして、これらを隣り合うようにして接着した高軟質・低軟質弾性樹脂体5c・5dとから構成されている。そして、前記形状記憶樹脂体5aを使用者の身体に接触する側に配し、この形状記憶樹脂体5aから使用者の身体に接触しない側に、前記中軟質弾性樹脂体5b、前記高軟質・低軟質弾性樹脂体5c・5dの順に配したものとしている。なお、前記形状記憶樹脂体5aと中軟質弾性樹脂体5b、および前記中軟質弾性樹脂体5bと前記高軟質・低軟質弾性樹脂体5c・5dとは、接着または縫着したものとしている。
【0025】
さらに、前記芯材5は、第三実施形態のものは、図6A、6Bに示したように、形状記憶樹脂体5aと、中軟質弾性樹脂体5bと、使用者の身体の内寄り(好ましくは内寄り略半分)を高軟質弾性樹脂体5cとし、使用者の身体の外寄り(好ましくは外寄り略半分)を低軟質弾性樹脂体5dとして、これらを隣り合うようにして接着した高軟質・低軟質弾性樹脂体5c・5dと、中軟質弾性樹脂体5bとから構成されている。そして、前記形状記憶樹脂体5aを使用者の身体に接触する側に配し、この形状記憶樹脂体5aから使用者の身体に接触しない側に、前記中軟質弾性樹脂体5b、前記高軟質・低軟質弾性樹脂体5c・5d、前記中軟質弾性樹脂体5bの順に配したものとしている。なお、前記形状記憶樹脂体5aと中軟質弾性樹脂体5b、および前記中軟質弾性樹脂体5bと前記高軟質・低軟質弾性樹脂体5c・5dとは、接着または縫着したものとしている。
【0026】
前記形状記憶樹脂体5aは、ガラス転移点を20℃~体温以下の温度としたものが用いられ、好ましくは23℃~28℃としたものが用いられる。前記形状記憶樹脂体5aのガラス転移点をこのような温度にすることにより、本体ベルト2が使用者の身体に接触すると、使用者の体温によって形状変化するものとなる。このような形状記憶樹脂体5aとしては、例えば「HUMOFIT」(三井化学株式会社の登録商標)が挙げられるが、ガラス転移点が前記温度範囲内のものであれば限定されることはない。
【0027】
前記中軟質弾性樹脂体5bの硬度は、JIS-C硬度で18~22度に設定するのが好ましく、前記高軟質弾性樹脂体5cの硬度は、JIS-C硬度で10~13度に設定するのが好ましく、前記低軟質弾性樹脂体5dの硬度は、JIS-C硬度で36~40度に設定するのが好ましい。前記中軟質弾性樹脂体5b、高軟質弾性樹脂体5cおよび低軟質弾性樹脂体5dをこれらの硬度に設定すると、本体ベルト2が使用者の肩から胸、胸から脇腹にかけて接触した場合に、肩、胸および脇腹の幅方向や長手方向に曲がり易くなり、これらの部分に沿い易くなる。
【0028】
そして、前記形状記憶樹脂体5aは、図示したものでは、長さを45~65cmとし、厚さTaを0.5~1mmとし、上部での幅Waを5~7cmとし、下部での幅Wbを3~5cmとしている。
【0029】
前記中軟質弾性樹脂体5bは、図示したものでは、長さを45~65cmとし、厚さTbを3~4mmとし、上部での幅Waを5~7cmとし、下部での幅Wbを3~5cmとしている。
【0030】
前記高軟質弾性樹脂体5cは、図示したものでは、長さを前記中軟質弾性樹脂体5bの上下端において少し短くなるように40~60cmとし、厚さTcを6~8mmとし、上部での幅Wcを2.5~3.5cmとし、下部での幅を1.5~2.5cmとしている。
【0031】
前記低軟質弾性樹脂体5dは、図示したものでは、長さを前記中軟質弾性樹脂体5bの上下端において少し短くなるように40~60cmとし、厚さTcを6~8mmとし、上部での幅Wdを2.5~3.5cmとし、下部での幅を1.5~2.5cmとしている。
【0032】
また、前記中軟質弾性樹脂体5bと高軟質・低軟質弾性樹脂体5c・5dとの間には、これらを接着させることなく、図5A、5Bに示したように、ナイロンなどの伸縮性樹脂体5eを介在させておくことができる。この伸縮性樹脂体5eを介在させることにより、芯材5が使用者の身体に沿って曲げられた場合に、高軟質弾性樹脂体5cと低軟質弾性樹脂体5dとの接着を剥がれにくくしている。なお、前記伸縮性樹脂体5eは、図6A、6Bには示していないが、この実施形態においても、前記中軟質弾性樹脂体5bと高軟質・低軟質弾性樹脂体5c・5dとの間に介在させておくことができる。
【0033】
前記伸縮性樹脂体5eは、図示したものでは、長さを前記中軟質弾性樹脂体5bの上下端において少し短くなるように40~60cmとし、厚さTdを0.5~1mmとし、上部での幅Waを5~7cmとし、下部での幅Wbを3~5cmとしている。
【0034】
なお、前記形状記憶樹脂体5a、中軟質弾性樹脂体5b、高軟質弾性樹脂体5c、低軟質弾性樹脂体5d、伸縮性樹脂体5eの各寸法は、使用者が大人である場合の標準的なものであり、これらの寸法に限定されるものではない。
【0035】
前記カバー材6は、天然繊維(例えば、綿、麻)、合成繊維(例えば、ポリエステル、ナイロン)、半合成繊維(例えば、アセテート)、再生繊維(例えば、レーヨン)などの布地からなり、細長の袋状に形成したものの上端開口から前記芯材5を差し込んで、その上端を背負鞄1の背面1aの上部に縫着することにより上端開口を塞ぐなどして、前記芯材5の全体を被覆したものとしている。このカバー材6は、裏面6a(使用者に接する面)をメッシュ生地として、通気性を良くしたり、表面6b(使用者に接しない面)を防水性の生地として、雨などに濡れてもその雨などが浸み込まないようにしている。なお、前記カバー材6の裏面6aと形状記憶樹脂体5aとは、フィルム状ホットメルト接着剤を用いて加熱圧着しておくのが好ましい。このようなフィルム状ホットメルト接着剤としては、例えば「エルファン」(日本マタイ株式会社の登録商標)が挙げられる。このようにすることにより、前記カバー材6の裏面6aと形状記憶樹脂体5aとが均一に接着され、使用者の体温がこの形状記憶樹脂体5aに均一に伝わる。
【0036】
また、前記補助ベルト3は、全体が天然繊維、合成繊維、半合成繊維、再生繊維などの布地からなる細長の帯状に形成したものとしており、鞄用ベルトの全体の長さを調節するものであり、本体ベルト2自体が長い場合などは不要である。
【0037】
さらに、前記バックル4は、合成樹脂や金属などから構成されており、図示したものは前記本体ベルト2の下端と補助ベルト3の上端の間に取り付けられており、この補助ベルト3を折り返して、鞄用ベルトの全体の長さを調節できるようにしている。
【0038】
本発明の鞄用ベルトは、以上に述べたように構成されているので、この鞄用ベルトを取り付けた鞄を背負うと、本体ベルト2が使用者の肩から胸、胸から脇腹にかけての部分に接触する。
【0039】
すると、前記本体ベルト2の芯材5は、ガラス転移点が20℃~体温以下の温度とした形状記憶樹脂体5aを、使用者の身体に接触する側に配しているので、使用者の体温によって形状変化して、その使用者の身体にピッタリと沿うようになり、使用者の身体からズレないものとなる。
【0040】
さらに、前記本体ベルト2の芯材5は、高軟質弾性樹脂体5cを、使用者の身体に接触する内寄りに配しているので、使用者の身体との接触性が弱くなり、使用者の肩のみならず、肩から胸、胸から脇腹にかけての部分への接触感を非常に良くし、鞄の背負い心地をより改善することができるものとなる。
【符号の説明】
【0041】
2 本体ベルト
5 芯材
5a 形状記憶樹脂体
5b 中軟質弾性樹脂体
5c 高軟質弾性樹脂体
5d 低軟質弾性樹脂体
【要約】
【課題】使用者の身体からズレることなく、使用者の肩のみならず、肩から胸、胸から脇腹にかけての部分への接触感を良くして、背負い心地をより改善した鞄用ベルトを提供する。
【解決手段】本体ベルト2の芯材5が、ガラス転移点を20℃~体温以下の温度とした形状記憶樹脂体5aと、中軟質弾性樹脂体5bとから構成され、前記形状記憶樹脂体5aを使用者の身体に接触する側に配したものとしている。
【選択図】図4B
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9