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特許7483298モジュール式バイオ処理ユニットおよび複数のユニットを用いるバイオ処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】モジュール式バイオ処理ユニットおよび複数のユニットを用いるバイオ処理システム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240508BHJP
   C12M 1/12 20060101ALI20240508BHJP
   C12M 3/06 20060101ALI20240508BHJP
   C07K 1/16 20060101ALI20240508BHJP
   C07K 1/36 20060101ALI20240508BHJP
   C12N 7/00 20060101ALI20240508BHJP
   C12N 1/02 20060101ALI20240508BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240508BHJP
   C12M 1/26 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/12
C12M3/06
C07K1/16
C07K1/36
C12N7/00
C12N1/02
C12N5/10
C12M1/26
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022150420
(22)【出願日】2022-09-21
(62)【分割の表示】P 2019546896の分割
【原出願日】2018-02-27
(65)【公開番号】P2022173326
(43)【公開日】2022-11-18
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】1703233.5
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】トゥオモ・ヴァルッテリ・フリガルド
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・マグヌソン
(72)【発明者】
【氏名】マッツ・ルンドクヴィスト
(72)【発明者】
【氏名】カール・アクセル・ヤーコブ・リーデルフェルト
(72)【発明者】
【氏名】ヘレーナ・ノルドヴァルグ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・トールビョルン・ルンディーン
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル・アーネ・レッフネル
【審査官】田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/081840(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0106289(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0116121(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオ処理システムを提供するように同様のユニットとともに動作可能なモジュール式バイオ処理ユニット(100)であって、
1つまたは複数の内部流体経路(101)を有する筐体(110)であって、前記筐体(110)が少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口(5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70)を有し、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口のそれぞれが前記内部流体経路あるいは前記内部流体経路のうちの1つまたは複数に流体連通する、筐体(110)と、
前記内部流体経路(101)またはそれぞれの内部流体経路(101)に動作可能に関連付けられた1つまたは複数のセンサ要素(120、150、170、190)であって、流量もしくは流れ方向のセンサ、伝導度センサ、圧力センサ、pHセンサ、および吸光センサのうちの1つまたは複数の要素を含む、1つまたは複数のセンサ要素(120、150、170、190)と、
前記内部流体経路(101)またはそれぞれの内部流体経路(101)に動作可能に関連付けられた1つまたは複数の流体流れ誘発構成要素(140)であって、空気圧によって動作可能な1つまたは複数の流体流れ誘発構成要素(140)と、
前記内部流体経路(101)内またはそれぞれの内部流体経路(101)内の流れを防止または低減するための複数の弁(180)と
を備え、
前記筐体、前記入口、前記出口、前記流れ誘発構成要素、および前記弁が、前記筐体内で、バイオ処理ユニットとして一緒に動作するように構成され、
前記内部流体経路(101)またはそれぞれの内部流体経路(101)が、3つのプレート(112、114、116)によって提供されていることを特徴とする、モジュール式バイオ処理ユニット。
【請求項2】
複数のソースからの前記内部流体経路への投入を選択するための選択弁(130)を含む、請求項1に記載のモジュール式バイオ処理ユニット。
【請求項3】
前記流れ誘発構成要素が、当該モジュール式バイオ処理ユニット内に意図された流れ方向を提供し、前記選択弁が、前記流れ誘発構成要素の上流にあり、前記センサ要素および前記複数の弁が、前記選択弁の下流にある、請求項2に記載のモジュール式バイオ処理ユニット。
【請求項4】
前記入口および前記出口は前記筐体の両方の側面に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のモジュール式バイオ処理ユニット。
【請求項5】
前記少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口(5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70)のうちの少なくとも1つは、迅速継手により終端処理されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のモジュール式バイオ処理ユニット。
【請求項6】
前記3つのプレート中の後部プレート(116)が、電力および信号をそれぞれのセンサに運ぶための導電体(111)を担持する前面(116f)を有している、請求項1から5のいずれか一項に記載のモジュール式バイオ処理ユニット。
【請求項7】
前記後部プレート(116)が、ポンプモータ(144)を保持するための開口を有し、および/または、ホルダ(200)の中に位置する相補的コネクタを介して前記導電体(111)を外部制御部(220)に連結するためのコネクタブロック(113)を担持している、請求項6に記載のモジュール式バイオ処理ユニット。
【請求項8】
バイオ処理システムを形成するように同様のユニットとともに動作可能なモジュール式バイオ処理ユニットであって、
1つまたは複数の内部流体経路(101)を有する筐体(110)であって、複数の入口(5、10、15、20、25、30、35)を有する、筐体(110)と、
入口を選択するための選択弁(130)と、
前記内部流体経路(101)またはそれぞれの内部流体経路(101)に動作可能に関連付けられた1つまたは複数の流体流れ誘発構成要素(140)であって、空気圧によって動作可能な1つまたは複数の流体流れ誘発構成要素(140)と、
前記1つまたは複数の内部流体経路(101)内の意図された流れの下流にある複数の追加ポート(40、45、50、55、60、65、70)と、
前記内部流体経路(101)またはそれぞれの内部流体経路(101)に動作可能に関連付けられた1つまたは複数のセンサ要素(120、150、170、190)であって、流れセンサ、伝導度センサ、圧力センサ、pHセンサ、および吸光センサのうちの1つまたは複数の要素を含む、1つまたは複数のセンサ要素(120、150、170、190)と、
前記内部流体経路(101)内またはそれぞれの内部流体経路(101)内の流れを防止または低減するため、ならびに、前記複数の追加ポートおよび前記センサ要素に対する流れを選択的に迂回させるための複数の弁(180)と
を備え、
前記内部流体経路(101)またはそれぞれの内部流体経路(101)が、3つのプレート(112、114、116)によって提供されていることを特徴とする、モジュール式バイオ処理ユニット。
【請求項9】
前記筐体が、カセットホルダ(200)内で、または前記カセットホルダ(200)に隣接して嵌合するように構成された外部カセット構成を有している、請求項1から8のいずれか一項に記載のモジュール式バイオ処理ユニット。
【請求項10】
2つ以上の、請求項1から9のいずれか一項に記載のモジュール式バイオ処理ユニットを含むバイオ処理システムであって、2つ以上のモジュール式バイオ処理ユニットは、それぞれの内部流体経路の断面積が異なり、および/またはそれぞれのポンプ能力を変えることによって、異なるバイオ処理能力を有している、バイオ処理システム。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項にそれぞれ記載の複数のモジュール式バイオ処理ユニットと、カセットの形態である前記モジュール式バイオ処理ユニットを受容するカセットホルダ(200)であって、使用に際してカセットを層状の前記モジュール式バイオ処理ユニットに支持するように構成されているカセットホルダ(200)とを含んでなる、バイオ処理システム。
【請求項12】
前記カセットホルダおよびそれぞれのカセットが、使用に際して前記モジュール式バイオ処理ユニットに動力を供給するため、ならびに各ユニットへのおよび/または各ユニットからの信号経路を提供するための相互協働構成を有している、請求項11に記載のバイオ処理システム。
【請求項13】
前記カセットホルダの相互協働構成が、各ユニットに、電気および/または空気圧の動力、ならびに信号経路を供給している、請求項12に記載のバイオ処理システム。
【請求項14】
次のステップ、すなわち、
a)組み換え治療用タンパク質を含む液体培養培地のろ過による細胞除去ステップ、
b)クロマトグラフィーカラムまたは分離膜などの追加の装置を使用して、細胞、ウイルス、または組み換え治療用タンパク質を液体培養培地から捕捉するためのクロマトグラフィー捕捉ステップ、
c)ウイルス不活性化ステップ、
d)溶液調整ステップ、
e)クロマトグラフィーカラムまたは膜を通過する流れによる1つまたは複数の精製(純化)ステップ、
f)クロマトグラフィー精製後の限外ろ過または透析ろ過ステップ、
g)試料または溶液の調整ステップ、および
h)クロマトグラフィーカラムを切り替えるステップ
のうちのいずれか1つまたは複数の、複数の場合には、任意の適切な順序での実行ステップを含む、請求項11、12、および13のいずれか一項に記載のバイオ処理システムの使用方法。
【請求項15】
処理能力を高めた1つのバイオ処理ユニットまたは複数のバイオ処理ユニットを用いて前記ステップa)~h)のうちのいずれかを再度行うことによって、システムの処理能力を高めるステップをさらに含む、請求項14に記載のバイオ処理システムの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合細胞、単細胞、抗体もしくは他のタンパク質などの細胞産物、ウイルス、細菌、分子など、バイオ材料、または液体などの流体中にすべて懸濁する他の類似材料の処理に使用するためのモジュール式バイオ処理ユニット、たとえばカセットに関する。詳細には、限定するものではないが、本発明は、低コストの統合型バイオ処理ハードウェアを提供する使い捨てまたは制限付き再使用ユニットに関する。本発明は、複数のバイオ処理ユニットから形成されたバイオ処理システム、およびそのようなハードウェアに関する動作の方法にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、バイオ処理は、概ね認められ、検証された処理方法論による成熟技術である。各工程は、一般に、固有の関連機器を有する。しかしながら、その機器のコスト、および認められているそれらの慣例の柔軟性欠如は、当産業への参入に対する障壁である。加えて、検証済みの工程への普通のルートは、パイロット規模の工程から始まって増産へと拡大することである。従来の拡大方式は、用いられる機器のサイズ(およびコスト)を増大させることであり、そのことは、次いで拡大された工程を検証し直す必要があり、ひいてはパイロット規模の機器が余剰になることを意味している。
【0003】
従来、技術的に熟達したオペレータが、バイオ処理のすべての段階において必要であり、それは、コストに上乗せされ、発展しつつある経済が当産業に参入する障壁になっている。従来、バイオ処理機器は、流体ラインによって使用の際に相互連結される個別のハードウェア構成要素を備える。そのハードウェアの個々の要素を簡略化しようとする取組みは多々あるが、ほぼ完全なバイオ処理ハードウェアをパイロット段階および拡大段階において統合する技術的解決策はめったになく、有意な技術上のかつ商用上の利点をもたらすことになろう。
【0004】
使用されるハードウェアのうちの一部は、変更の必要がある前に一定の量しか処理することができないので、ほとんどのバイオ処理は、バッチで行われる。バッチが処理されるたびに、機器を安定化させる必要があり、それは追加のコストにつながる。
【0005】
生物学的工程を統合しようとするいくつかの試みが、微小流体レベルにおいて行われてきたが、結果として得られる装置は、たとえば数ml以上、数十ml、またはリットルの、バイオ処理における有用な量の材料の処理においてはまったく用をなさない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際特許出願第PCT/EP2016/076149号
【文献】米国特許出願公開第2014/071405号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の目的は、モジュール式バイオ処理ユニットを提供することであり、このモジュール式バイオ処理ユニットは、複数のハードウェア機能を概ね封止された単一の筐体に組み合わせて、単独で(ユニット)、または他の同一もしくは類似のユニットに相互連結された場合には複合で(システム)、複数のバイオ処理機能に使用され得る。したがって、流体リザーバ、クロマトグラフィーカラム、バイオリアクタ、フィルタまたは膜など、バイオ処理システムの不可避な大型の部品以外、バイオ処理に関連するハードウェアのすべてまたはほとんどが、1つのモジュール式ユニットに形成され得、ここで、「モジュール式ユニット(modular unit)」という用語は、1つまたは複数の同様のユニットとともに動作するようになされているユニットを意味するように意図され、たとえばここでは、各ユニットは、そのような協働的動作をもたらす相補的物理機能を有する。低コストの製造およびモジュール化を容易にするために、そのようなユニットは、同一または類似の外形寸法を有し、たとえば外部フレームの中に、またはユニットの相補的側面または縁部に隣接する関係で連結されて、それらを共同に組み立てることによって全体を形成することが可能になり、および/あるいはここでは、ユニットの入口および出口は、ユニット間の直接隣接した接触部が、ユニット間の流体通路を提供するように構成されている。代替として、または加えて、流体相互連結部は、いくつかの例では、中間チューブを介して作製され得る。外部フレームを使用すると、システムを形成するユニットに電気および/または空気圧の動力ならびに電気的信号通信を提供することができる。
【0008】
複数のユニットが一緒に使用される場合、より詳細に後述するように、特定の段階が順番におよび/または並行して行われる継続的統合型バイオ処理システムを形成することが可能である。具体的には、一方のユニットは、もう一方のユニットが補充され、洗浄されている間、使用可能であり、またはそうでなければ、一方のユニットが処理中である間、もう一方のユニットは、さらなるバイオ処理に向けて準備され得る。
【0009】
本発明の実施形態は、本明細書に付随の独立請求項に提示され、好ましい特徴は、従属請求項に提示されている。しかしながら、本発明は、本明細書に説明し、特許請求し、または例示されている何らかの新規特徴にまで及び、そのような新規特徴は、新規特徴についてその具体的な実施形態にのみ関連して述べている場合でも、より具体的な実施形態の分割できない部分を形成するように意図するものではない。
【0010】
本明細書においては、「モジュール式(modular)」という用語は、層状、行、列、配列、または他のパターンで、他の類似のハードウェアに直接、または隣接して連結できるハードウェアを包含するように意図され、好ましくは、それにより、組み合わせられたハードウェアは、たとえば順番にまたは並行してシステムとして一緒に機能するが、ここでは、連結されていない単一のハードウェアピースは、必要に応じて、ユニットとして独立して機能することができる。異なるハードウェアを備え、特定の固有の機能を行うが、多くの方式で一緒にまとめることができる、システムのいわゆるモジュール式構成要素とは、本発明は異なる。そのような既知のモジュール式構成要素は、バイオ処理ユニットとして独立して使用することはできず、むしろそのようなシステムを作製するために、他の異なる複数の構成要素と一緒にまとめる必要がある。
【0011】
本発明のより多くの利点および便益は、下の詳細な説明を考慮すれば当業者には容易に明らかになるであろう。
【0012】
次に、本発明について、添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の範囲内に入るバイオ処理ユニットの概略図である。
図2】バイオ処理ユニットの詳細分解組立図である。
図3図2に示されているユニットの別の分解組立図である。
図4a図2および図3に示されているユニットの構成要素を示す図である。
図4b図2および図3に示されているユニットの構成要素を示す図である。
図4c図2および図3に示されているユニットの構成要素を示す図である。
図4d図2および図3に示されているユニットの構成要素を示す図である。
図5】バイオ処理ユニットのさらなる概略図である。
図6】バイオ処理用途に用いられる図5のバイオ処理ユニットを示す図である。
図7】一バイオ処理システムに用いられる複数のユニットを示す図である。
図8】一バイオ処理システムに用いられる複数のユニットを示す図である。
図9】一バイオ処理システムに用いられる複数のユニットを示す図である。
図10】バイオ処理ユニットの代替の構造体の層を示す図である。
図11図10の実施形態の分解透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、バイオ処理ユニット100を概略的に示し、バイオ処理ユニット100は、より詳細に後述する様々な入口および出口を含むカセットの形態でモジュール式筐体110を含む。要約すれば、このユニットは、一体式構成要素を有し、一体式構成要素は、投入流体(液体または気体)、典型的には、緩衝剤流体を選択するのに使用される選択弁130、流体流れ誘発構成要素、この場合にはポンプ140、流量計150、典型的には、試料流体を緩衝剤流体に取り込むのに使用される試料流体入口160、共同の構造体を有し、より詳細に後述するが、ここに列挙された構成要素間の流体の流入もしくは流出を可能にする機能を有する様々な二方向弁180、pHセンサ170、伝導度(Cond´)センサ190、およびカセットの中の流体の吸光特性を決定するためのUVフローセル分光光度計120、または空気トラップ(参照せず)を備える、あるいはそれらから構成されている。これらの構成要素のそれぞれの構造体は、概ね知られているが、後述するように、この用途に合うように適合され得る。ユニット100の構成要素は、1つの流体経路または複数の流体経路101によってカセットの内部に相互連結されて、複数の用途に使用され得るほぼ完全なバイオ処理ユニットを提供する。示されている構成要素の順序が実用上の理由で好ましいが、順序は、有用性を大きく損なうことなく変更可能な場合もある。
【0015】
複数のユニットを一緒にしてバイオ処理システムを形成することを可能にするために、カセットホルダ200が図1aに示され、カセットホルダ200は、複数のユニット100を横並びに保持することができ、それにより、それらの入口および出口は、可能であれば、直接的にか、または迅速継手(quick couplings)などに嵌合されるチューブなど、流体経路を相互連結することによるかのいずれかで連結可能になる。ユニットが直接的に連結される場合には、側面の入口および出口、たとえば5、10、15、・・・、70(ただし、「側面(side)」は、図1で見て側面を意味し、反対の側面は、図1では見えない)を一緒にすることができ、それにより、ユニットは、弁および外部制御部220の助けを得て、要求されるバイオ処理機能に合うように、ともに一つずつ順次にか、または並行してかのいずれかで選択的に使用することが可能になる。単純な環状シールが、ユニットを、たとえば図1aに示されているように層状に一緒に連結する入口/出口の周りに使用できる。その場合、層状のユニットは、3次元構成の流体経路101をもたらし、ここでは、入口および出口は、カセットの両方の側面に配置され、弁は、隣接して層状化されたカセットへのおよびカセットからの流れを制御するのに使用され得る。補足的な入口および出口が必要である場合、たとえば、クロマトグラフィーカラムが流体流れに介挿される場合には、そのような入口および出口は、ユニットの縁部、たとえば、図1aに露出して示されている層状化されたユニットの縁部に形成され得る。縁部と縁部との隣接部もまた、実用可能な構成になり、相互連結チューブ類を用いた流体相互連結部に、より多くのアクセスがもたらされることが明らかになろう。その場合、中間のチューブ類は、オプションで、たとえばMedinstill Development LLCによる商標名INTACT Connectorsの下で商用に提供されている無菌連結部を使用して、システムへと形成される複数のユニット間の相互連結部に使用可能になる。
【0016】
図2および図3は、ユニット100を作製するのに採用可能な場合がある構造体の一例を示している。図2は、使用される3つの主要部品の分解図を示し、図3は、分解されているが、別の角度から見た同じ部品を示している。主要部品は、前部プレート112、中央プレート114、および後部プレート116であり、それぞれは、ポリプロピレンまたはポリカーボネートなどのプラスチック材料から形成されている。使用に際して、各プレートは、穴118を用いて、その隣り合うプレートと流体密に封止接触して、流体密に組み立てられたユニット100を形成し、この穴118により、締め具(図示せず)は、プレートを圧縮して前記封止接触することが可能になる。
【0017】
前部プレート112は、様々な選択可能な入口5、10、15、20、25、30、35と、オリフィス40、45、50、55、60、65、70によって形成されたさらなるポート(入口または出口)とを含む前面112fを有する。これらのポートは、単純な貫通開口部として示されているが、実際には、外部バイオ工程構成要素との、またはシステムの中の他のユニット100との流体連結に適している既知の構造体の迅速継手により終端処理される可能性がある。加えて、プレート112の前面112fは、弁180の露出したステム182を有し、これらのステムは、弁180の位置を示すスロット184を含む。選択弁130のステム132もまた、面112fにおいて露出され、やはり、選択弁130の経路付け位置を表す印を含む。面112fにおいて示されている残りの特徴は、入口、出口と弁との間の内部相互連結部、および用いられている内部センサを表す印である。
【0018】
プレート122(図3)の背面122rは、入口およびポートがプレートを貫通して背面に延びていることを示し、弁ステム182も同様である。
【0019】
中央プレート114は、使用に際して、前部プレート112を貫通して中央プレートの前表面114fに到達するように延びる入口/出口を介して、液体流れを受け取り、または放出する。前表面114f内に形成されるチャネル101は、ユニット100の構成要素と様々なポート40、45、50、55、60、65、70とを相互連結することにより、1つまたは複数の流体経路を形成する。ユニットの流れを逆にしてもよいが、好ましい流れ方向は、チャネル101内に示されている矢印によって示されている通りである。弁ステム132は、選択弁入口5~35のうちの1つを選択して、流体を受け入れるように回転され得る。ポンプ140、この場合は、電気モータ144によって駆動する歯車のうちの1つを備える可撓性歯車ポンプが、流れを誘発させるように動作可能である。そのような歯車ポンプについては、2016年10月28日に出願された同時係属特許出願第PCT/EP2016/076149号に記載されており、その開示は、本明細書に参照することによって組み込まれている。流量計150は、ポンプ140のすぐ下流に位置決めされる。流量計は、既知の構造体、たとえば、光学流量計であり、ここでは、粒子が第1の光線を横切ると、光が散乱し、検出用光学系が光検出器上の散乱光を収集し、次いで光検出器がパルス信号を生成する。同じ粒子が第2の光線を横切ると、検出用光学系が第2の光検出器上の散乱光を収集し、第2の光検出器が入射光を第2の電気パルスに変換する。これらのパルス間の時間間隔を測定することによって、流体速度がV=D/tと計算され、ただし、Dは、レーザ光線間の距離であり、tは、時間間隔である。流れ経路101の既知の横断面積、および流体の既知の密度については、質量流量率が計算され得る。
【0020】
入口40は、追加の試料流体が流れ経路101内に注入される経路を提供する。2つの一方向弁165は、試料注入が入口40の下流のみに方向付けられることを可能にする。使用に際して、流体流れは、次に、既知の構造体、たとえば、流体経路における差分圧力によって引張される弾性要素の圧力センサ136に当たることになり、この圧力センサ136は、前記弾性要素により屈折可能な光学要素に連結され、それによって、光学要素の特性が変化すると前記圧力を定量化するのに使用される。圧力センサの後、流体の流れは、そのステム182を断面で示した図2に示されている弁180のうちの1つに当たることになり、それによってステムを貫通し、その弁ステムの回転によって、3つの流れ位置のうちの1つに位置決めし直すように迂回され得る弓形経路(188、図4a)が示されている。それによって、流体は、示されているように、カセット100の残りの構成要素に向かって、またはオリフィス45につながる隣接経路を通って外に流れることができる。上述の弁のすぐ下流の他の2つの弁にも同じ説明が当てはまる。加圧された流れは、オリフィス45、50、またもちろん55にも入ることになり、次いで、弁180によって方向付け可能になる。
【0021】
さらに下流には、別の圧力センサ136、pHセンサ170、伝導度センサ190、流体の吸光度を測定するためのUV光分光光度フローセルがあり、これらはすべて、既知の構造体を有する。さらなる2つの弁180により、流体流れは、たとえば前述のセンサの出力に応答して、使用に際して迂回することが可能になる。
【0022】
後部プレート116は、前面116fを有し、前面116fは、電力および信号をそれぞれのセンサに運ぶための導電体111を担持し、ポンプモータ144を保持するための開口を有する。プレート116はまた、ホルダ200の中に位置する相補的コネクタ(図示せず)を介して前記導電体を外部制御部220(図1)に連結するためのコネクタブロック113を担持する。導電体は、プレート116、114、および112を組み立てるときに、中央プレート114の背面114r上の相補的導電要素と接触する。また、モータ144のステムは、ポンプ140の駆動歯車に、組立時に係合する。
【0023】
図4aおよび図4bは、弁ステム182のうちの1つの拡大図を示し、ここでは、ステムにおける弓形ダクト188と位置合わせするスロット184がより明瞭に示され、その各側に、前部プレートおよび中央プレートの中のそれぞれのステムオリフィスに対して封止するためのシール186がある。
【0024】
図4cは、代替のポンプ構造体140´を概略的に示し、ここでは、アクチュエータ142´が、チャンバ146´内でピストン144´を往復する形で駆動させ、2つの一方向弁145´が、矢印Fによって示されている一方向への流れ経路Fに流れを制限している。その構造により、より低コストの解決策が上述の歯車ポンプ140にもたらされる。アクチュエータは、たとえば、電気によってまたは空気圧によって駆動可能になる。
【0025】
図4dは、選択弁ステム132の拡大図を示し、ここでは、ステムの背面(図3の面112rにおいて見ることができる)は、最上にあり、流体流れを所望の入口から面114f内に形成された内部流体流れ経路に迂回させるための、この場合には、ステム132の回転の中心に位置決めされた選択弁チャネル136を含む。環状シール133が、弁の漏れを抑制する。
【0026】
センサ120、136、170、および190のうちの1つまたは複数が、弁180の有無にかかわらず、いずれの流体流れをもリモートセンサに迂回させるように構成された入口および出口によって置き換え可能であり、このリモートセンサが、置き換えられたセンサと均等な機能を備えていることに留意されたい。その場合、ユニット100の残りを処分後、そのようなリモートセンサを再利用することが可能になる。
【0027】
本発明は、上述の実施形態によって限定されるものと見なすべきではなく、当業者には容易に明らかになるように、付随の特許請求の範囲内で変更可能である。例として、手動で動作可能な弁130および180について説明し、示しているが、同様に低コストの、それによって使い捨てのユニットに向いている他の弁構造体が使用可能になることが想定される。そのような1つの弁構造体は、たとえば同時係属中の米国特許出願公開第2014/071405号に記載のタイプの空気圧によって動作可能なダイヤフラム弁であり、ここでは、空気圧制御を用いて、弁を開閉し、それによって弁180の代わりに流体流れが方向付けられる。その場合、弁を駆動させるのに使用される空気圧供給部は、ポンプ140´を駆動させるのにも使用可能になる。空気圧動力および/または弁信号が用いられた場合、コネクタブロック113に類似のコネクタブロックが使用されることになる。上述したように、手動で弁動作を制御することは可能であるが、たとえばコントローラ220を介する自動制御が好ましい。その例では、空気圧弁またはモータ式弁が、示されている手動で選択可能な弁180および130の代わりに使用可能になる。加えて、上述の特定の実施形態は、示されている構造体以外の様々な方式で構築可能であることに留意されたい。たとえば、電力接続部111は、省略可能な場合もあり、センサは、たとえばバッテリを用いて、内部電力供給可能とする場合もあり、それによって、信号接続部だけが必要になる。センサは、RF起動可能とする場合もあり、そのとき、関連センサからのセンサ応答を誘発するのに使用されるRFエネルギーによってもたらされるもの以外の電力を必要としなくなる。それによって、ポンプ140への動力/空気圧の供給部以外、信号接続部と動力接続部はともに省略可能になる。ユニットは、全体または大部分がプラスチック材料から形成され、実質的に滅菌された密封式パッケージングに使用するために供給され得るので、その場合、単回使用デバイスとして適している。
【0028】
低コストに関しては、単一の汎用カセット100が作製可能になるが、スループットは異なり、たとえば、チャネル101の断面積は異なり、ポンプ能力は異なる。そのようにして、工程を再検証する必要なく、システムの拡大が可能である。別の代替形態では、カセットは、あらかじめ定義されたバイオ処理機能に合うように最適化可能になり、たとえば、カセットは、具体的には、クロマトグラフィーもしくはろ過、またはウイルス不活性化などに設計され、それによって、そのような専用のカセットは、その具体的な用途に使用されないセンサまたはポンプを省略することができる。しかしながら、カセットの外部構成は、万能形を維持することができ、それにより、すべてのカセットは、ホルダ200など、共同の外部ホルダに嵌合する。
【0029】
図5は、ユニット100を機能的概略図として示し、ここでは、ユニット構成要素は、線系列で示されている。この変形形態では、UV吸光計は、伝導度センサおよびpHセンサの上流にあるが、これは、単に、構成要素の正確な順序が、図1図3に示されている順序とは異なることがあり得ることを示しているにすぎない。
【0030】
図6は、クロマトグラフィーカラム、フィルタ、膜、または他の外部構成要素300とともに用いられる図5のユニットを示している。使用される流れの方向は、様々な矢印によって示され、具体的には、流れは、弁180によって外部構成要素300を通って迂回される。最初に、選択弁130を使用して、たとえば細胞培養容器など(図示せず)から流体を入口5において取り込み、それらの流体を処理し、所望の流体が出口70において利用できることをセンサが示す限り、それらを出口70に送り出すことができる。その期間の前および/または後、望ましくない流体が、廃棄物などとして、出口65に送出され得る。次いで、洗浄用流体または二次流体が入口10に取り込まれ、必要に応じて、廃棄物出口65に送出され得る。
【0031】
図7は、この例では、第2のユニット100´とともに使用して、ろ過デバイス400および保持タンク500と併せてバイオ処理システムを形成するユニット100の第2の用途を示している。この構成の場合、調整段階、たとえばクロマトグラフィー段階間のろ過または液体調整を行うことができる。限外ろ過、もしくは透析ろ過、もしくは十字流ろ過、および/または液体調整による試料処理も、選択的に行われてもよい。
【0032】
図8は、ウイルス不活性化のための第2のユニット100´と一緒に、ユニット100を示し、ここでは、タンパク質(この場合、タンパク質Aと呼ぶ)がクロマトグラフィー装置から、または培養液量がポート15からの基剤とともにポート160に取り入れられ、保持タンク500に迂回されて、ウイルスを不活性化させることができる。タンクのpHは、ポート10からの酸を加えることにより調整され得る。保持タンク500の中の流体は、十字流フィルタ600´内へと弁180c´を介して外へと流れを迂回させることによって、タンク500の中での一定時間後、第2のユニット100´において処理され得る。このウイルス不活性化段階は、流体を経路102に沿って弁180cに向かって第2のユニット100´内に迂回させて、フィルタ600´においてろ過することによって省略することができる。
【0033】
図9は、試料S、たとえば、濃縮されることになる対象のタンパク質を含んでいる試料流体のクロマトグラフバイオ処理の3つの段階にともに使用され、3つのクロマトグラフィーカラム300、300´、および300″を含む、3つのユニット100、100´、および100″を示している。動作は、順次に、すなわち、カラムを次から次へと使用して、産出部Eにおける溶出産物をより濃縮するように行われることが可能になり、または連続的に、すなわち、1つのユニットは、そのクロマトグラフィー媒体が飽和する、もしくは完全に化合されるまで動作可能であり、ブレイクスルーは、流れが次のユニットに切り替えられるそのときまで第2のカラムにおいて獲得される、等々であり、または継続的に、すなわち、その連続的な形ではあるが、静止カラムの浄化段階を加えて、必要に応じてさらなる動作の準備を行うようにする。それに応じてその都度、使用される弁は、取り換えることができ、廃棄物は、産出部Eではなく廃棄物経路Wに迂回され得る。
【0034】
図10および図11は、上述のバイオ処理ユニットと同じ形で機能することができるバイオ処理ユニット700の別の実施形態を示している。ここには、2つの主要層である流体層714と空気圧層710が、支持層711および可撓性エラストマー層712によって分離されて示されている。流体層714は、そのうちの一部のみ参照される流体導管701を有し、そのうちの2つ705~745のみ参照される上述の入口および出口が設けられている。前記経路内の接合部730における流れ方向は、そのうちの1つ、たとえば接合部730の各脚部において形成されているもののみ参照される続行/停止の膜弁780によって制御される。所望の流体流れ経路に対応する接合部の所望の脚部における1対の弁を開放することによって、次いで、それに対応して、それらの開放脚部に沿ってのみ、流体が方向付けられ得る。流れは、3つ以上の膜弁を開放することによって分流され得る。流れは、空気圧チャネル内に分画気体圧力(fractional gas pressure)または真空を提供することによって部分的に制限され得る。パルス化圧力または真空もまた、部分的に流れを制限するために利用可能な場合もある。気体圧力/真空パルス幅変調もまた、流れを可変的に制限するのに使用可能である。空気圧層710および支持層711はともに、空気圧チャネル716を介して気体圧力および/または真空を方向付けて、膜712の関連部分を偏向させ、それによって、それぞれの流体経路701の開放または閉鎖をもたらして、すぐ上で述べたように弁調節する。各空気圧チャネルは、適切な加圧気体供給部および/または真空連結部のためのそれぞれのニップル715を有する。
【0035】
流体チャネル701内の流体流れを誘発させるためには、ポンプ720が、この場合には、圧縮可能または膨張可能な3つのチャンバから形成されて設けられている。好ましくは、各チャンバは、入口および出口、ならびにそのそれぞれの入口および出口における一方向弁を有し、したがって、各チャンバの構成は、図4cに示されているポンプ140に類似する。しかしながら、このポンプは、1つまたは複数のチャンバに働く1対の一方向弁だけとともに動作することになる。ポンプは、ソレノイドを介して電気によって、または弁を動作させることになる同じ加圧気体供給部を使用して空気圧によって、動力供給され得る。
【0036】
上記例は、限定と見なすべきではない。次のバイオ処理段階:組み換え治療用タンパク質などを含む液体培養培地のろ過による細胞除去;クロマトグラフィーカラムまたは分離膜などの追加の装置を使用して、細胞、ウイルス、または組み換え治療用タンパク質を液体培養培地から捕捉するためのクロマトグラフィー捕捉;ウイルス不活性化;溶液調整;クロマトグラフィーカラムまたは膜による1つまたは複数の研磨段階;クロマトグラフィー精製後の限外ろ過/透析ろ過;試料/溶液調整;および/あるいはクロマトグラフィーを切り替えるカラムの提供手段のいずれも、単独で動作するか、またはシステムとして複数のユニットと一緒に動作するかのいずれかで、上述のユニットとともに行われることが可能であり得ることが想定される。複数のユニットを使用してシステムを形成する場合、コントローラ220は、必要な場合には、センサ読取り値を示すデータによって修正されるあらかじめ定義されたプログラムに従って、使用される弁およびポンプの動作順序を制御するように動作可能である。各ユニットが、それ自体を制御し、ユニットが、通信するように、たとえば、1つのユニットが、マスタユニットとして指定され、残りのユニットは、スレーブユニットとしての機能を果たすように、通信バスを介して連結可能であることはさらに可能である。
【0037】
説明した実施形態の利点は、小型設計に起因する小さい占有面積;処理のすべての段階において機能的に閉鎖されているシステム;統合型の継続的または半継続的な工程のためのより単純なソフトウェアをイネーブルする単一の制御部を含む、様々なニーズに対して容易に再構成可能な構成;並行ユニットを使用して、50mlを越える産物バッチ、たとえば、数百ml、またはさらにはリットルの産物をもたらす追加のバイオ処理容量を提供することができる容易に拡大可能なシステム;および容易に輸送できるシステムを含む。これらの実施形態は、培養哺乳類細胞によって発現した組み換えタンパク質などの治療用タンパク質薬物原料の生産、および実施形態の低コストの性質上、単回使用の後の処分を商用的に可能にすることができる単回使用の用途に特に適している。プラスチック材料および拡散接合とも呼ばれる熱接合により実質的に説明されたユニットの筐体部を形成することによって、低コストを促進させることができる。ユニットの層間の封止は、低コストのガスケットまたは拡散接合の継続的運転を用いて行うことができる。剥離式シールが流体入口/出口にわたって使用可能な場合、ユニットの周辺縁部を接合して、使用前に滅菌を維持することになる密封式ユニットを提供することが可能である。
【0038】
[第1項]
バイオ処理システムを提供するように同様のユニットとともに動作可能なモジュール式バイオ処理ユニット(100)であって、
1つまたは複数の内部流体経路(101)を有する筐体(110)であって、前記筐体(110)が少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口(5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70)を有し、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口のそれぞれが前記流体経路あるいは前記流体経路のうちの1つまたは複数に流体連通する、筐体(110)と、
前記経路または各経路に動作可能に関連付けられた1つまたは複数のセンサ要素(120、150、170、190)であって、流量もしくは流れ方向のセンサ、伝導度センサ、圧力センサ、pHセンサ、空気トラップ、およびUV吸光センサなどの吸光センサのうちの1つまたは複数の要素を含む、1つまたは複数のセンサ要素(120、150、170、190)と、
前記流体経路または前記各流体経路に動作可能に関連付けられた1つまたは複数の流体流れ誘発構成要素(140)と、
前記経路または前記各経路内の流れを防止または低減するための複数の弁(180)と
を備え、
前記筐体、前記入口、前記出口、前記流れ誘発構成要素、および前記弁が、前記筐体内またはほぼ前記筐体内で、バイオ処理ユニットとして一緒に動作するように構成されている、
モジュール式バイオ処理ユニット。
[第2項]
複数のソースからの前記経路への投入を選択するための選択弁(130)を含む、第1項に記載のモジュール式バイオ処理ユニット。
[第3項]
前記流れ誘発構成要素が、前記ユニット内に意図された流れ方向を提供し、前記選択弁が、前記流れ誘発構成要素および前記センサおよび前記複数の弁の上流にあり、前記選択弁の下流にある、第2項に記載のモジュール式バイオ処理ユニット。
[第4項]
バイオ処理システムを形成するように同様のユニットとともに動作可能なモジュール式バイオ処理ユニットであって、
1つまたは複数の内部流体経路(101)を有する筐体(110)であって、複数の入口(5、10、15、20、25、30、35)を有する、筐体(110)と、
入口を選択するための選択弁(130)と、
前記流体経路または各流体経路に動作可能に関連付けられた1つまたは複数の流体流れ誘発構成要素(140)と、
前記筐体経路(101)内の意図された流れの下流にある複数の追加のポート(40、45、50、55、60、65、70)と、
前記経路または前記各経路に動作可能に関連付けられた1つまたは複数のセンサ要素(120、150、170、190)であって、流れセンサ、伝導度センサ、圧力センサ、pHセンサ、およびUV分光濃度センサなどの吸光センサのうちの1つまたは複数の要素を含む、1つまたは複数のセンサ要素(120、150、170、190)と、
前記経路または前記各経路内の流れを防止または低減するため、ならびに前記入口/出口、および前記センサに対する流れを選択的に迂回させるための複数の弁(180)と
を備える、モジュール式バイオ処理ユニット。
[第5項]
前記筐体が、カセットホルダ(200)内で、または前記カセットホルダ(200)に隣接して嵌合するように構成された外部カセット構成(110)を有する、第1項から第4項のいずれか一項に記載のモジュール式バイオ処理ユニット。
[第6項]
たとえば、それぞれの内部流体経路の断面積が異なり、および/またはそれぞれのポンプ能力を変えることによって、異なるバイオ処理能力を有する、2つ以上の、第1項から第5項のいずれか一項に記載のモジュール式バイオ処理ユニット。
[第7項]
第1項から第6項のいずれか一項にそれぞれ記載の複数のバイオ処理ユニットと、カセットホルダ(200)とを含み、前記カセットホルダ(200)が、前記カセットまたは前記各カセットを受け入れて、使用に際して前記カセットをたとえば層状の前記ユニットに支持するように構成されている、バイオ処理システム。
[第8項]
前記カセットホルダおよび前記各カセットが、使用に際して前記ユニットに動力を供給するため、ならびに各ユニットへのおよび/または各ユニットからの信号経路を提供するための相補的構成を有する、第7項に記載のバイオ処理システム。
[第9項]
前記ホルダの相補的構成が、各ユニットに、電気および/または空気圧の動力、ならびに信号経路を供給する、第8項に記載のバイオ処理システム。
[第10項]
次の段階、すなわち、
a)組み換え治療用タンパク質などを含む液体培養培地のろ過による細胞除去、
b)クロマトグラフィーカラムまたは分離膜などの追加の装置を使用して、細胞、ウイルス、または組み換え治療用タンパク質を液体培養培地から捕捉するためのクロマトグラフィー捕捉、
c)ウイルス不活性化、
d)溶液調整、
e)クロマトグラフィーカラムまたは膜を通過する流れによる1つまたは複数の研磨段階、
f)クロマトグラフィー精製後の限外ろ過/透析ろ過、
g)試料/溶液の調整、および
h)クロマトグラフィーを切り替えるカラム
のうちのいずれか1つまたは複数の、複数の場合には、任意の適切な順序での実行における、第7項~第9項のいずれか一項に記載のバイオ処理システムの使用。
[第11項]
能力を高めた1つのバイオ処理ユニットまたは複数のバイオ処理ユニットを用いて前記段階a~hのうちのいずれかを再度行うことによって、前記システムの能力を高める段階を含む、第10項に記載のバイオ処理システムの使用。
[第12項]
前記1つのバイオ処理ユニットまたは前記複数のバイオ処理ユニットは、全体または大部分がプラスチック材料から形成され、実質的に滅菌された密封式パッケージングに使用するために供給され、単回使用に意図されている、第1から4のいずれか一項に記載のバイオ処理ユニット、第6項から第9項のいずれか一項に記載のバイオ処理システム、あるいは第10項または第11項に記載のバイオ処理システムの使用方法。
【符号の説明】
【0039】
5、10、15、20、25、30、35 選択弁入口
40、45、50、55、60、65、70 オリフィス、ポート
40 入口
65、70 出口
100 バイオ処理ユニット、カセット
100、100´、100″ ユニット
101 流体経路、チャネル
102 経路
110 筐体
111 導電体、電力接続部
112 前部プレート
112f 前面
112r 面
113 コネクタブロック
114 中央プレート
114f 前表面
116 後部プレート
116f 前面
118 穴
120 UVフローセル分光光度計
130 選択弁
132 弁ステム
133 環状シール
136 圧力センサ、選択弁チャネル
140 流体流れ誘発構成要素、ポンプ、歯車ポンプ
140´ ポンプ構造体
142´ アクチュエータ
144 電気モータ、ポンプモータ
144´ ピストン
145´ 一方向弁
146´ チャンバ
150 流量計
160 試料流体入口、ポート
165 一方向弁
170 pHセンサ
180 二方向弁
180c 弁
182 弁ステム
184 スロット
186 シール
188 弓形経路、ダクト
190 伝導度(Cond´)センサ
200 カセットホルダ
220 外部制御部、コントローラ
300 外部構成要素
300、300´、300″ クロマトグラフィーカラム
400 ろ過デバイス
500 保持タンク
600´ フィルタ
700 バイオ処理ユニット
701 流体導管、流体経路、流体チャネル
705、745 入口および出口
710 空気圧層
711 支持層
712 エラストマー層、膜
714 流体層
716 空気圧チャネル
720 ポンプ
730 接合部
780 膜弁
D レーザ光線間の距離
E 産出部
S 試料
W 廃棄物経路
t 時間間隔
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11