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特許7483306二次電池用電極スラリーコーティング装置およびそれを用いた電極スラリーコーティング方法
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  • 特許-二次電池用電極スラリーコーティング装置およびそれを用いた電極スラリーコーティング方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】二次電池用電極スラリーコーティング装置およびそれを用いた電極スラリーコーティング方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20240508BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20240508BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240508BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20240508BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240508BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20240508BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20240508BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20240508BHJP
【FI】
H01M4/04 A
B05C5/02
B05C11/10
B05D7/14 G
B05D7/24 301E
B05D1/26 Z
B05D3/00 D
B05D3/00 F
B05D3/00 B
H01M4/139
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023511655
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 KR2022012650
(87)【国際公開番号】W WO2023027505
(87)【国際公開日】2023-03-02
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0113571
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ピル・ク
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・フォン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ブン・アン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ウク・イ
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/145556(WO,A1)
【文献】特開2016-059907(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0092383(KR,A)
【文献】特開2015-020089(JP,A)
【文献】特開平10-012220(JP,A)
【文献】特開2000-028080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/04
H01M 4/139
B05C 5/02
B05C 11/10
B05D 7/14
B05D 7/24
B05D 1/26
B05D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極スラリーを貯蔵するスラリータンクと、
前記スラリータンクに貯蔵された電極スラリーを集電体に吐出するスロットダイと、
前記スラリータンクに貯蔵された電極スラリーを前記スロットダイに移送するスラリー移送管と、を含み、
前記スラリー移送管は、
前記スラリータンクおよび前記スロットダイと流体連結される第1管と、
前記第1管の外側壁に所定の間隔をおいて設けられ、前記第1管との間に真空空間を形成する第2管と、を含む、電極スラリーコーティング装置。
【請求項2】
前記スラリー移送管は、前記第1管の外周面を取り囲む断熱部材をさらに含む、請求項1に記載の電極スラリーコーティング装置。
【請求項3】
前記スラリー移送管は、前記第1管と前記第2管との間に位置し、前記第1管を取り囲む第3管をさらに含み、前記第1管と前記第3管との間に流体が流入する、請求項1に記載の電極スラリーコーティング装置。
【請求項4】
前記第3管と流体連結され、前記第1管と前記第3管との間に流体を供給する流体供給部と、
前記第1管と前記第3管との間に供給された流体の温度を制御する温度制御部と、をさらに含む請求項3に記載の電極スラリーコーティング装置。
【請求項5】
前記温度制御部は、前記第1管と前記第3管との間に流入した流体の温度を20℃~30℃の範囲内に制御する、請求項4に記載の電極スラリーコーティング装置。
【請求項6】
前記スロットダイは、前記スロットダイの内部に移送されたスラリーの温度または前記スロットダイから吐出される電極スラリーの温度を測定する温度センサーをさらに含む、請求項3に記載の電極スラリーコーティング装置。
【請求項7】
前記第2管は、一側に開閉可能な空気出入り口が形成された構造である、請求項1に記載の電極スラリーコーティング装置。
【請求項8】
前記集電体を支持および移送するコーティングロールと、
前記集電体に吐出された電極スラリーを乾燥させる乾燥チャンバーと、をさらに含む請求項1に記載の電極スラリーコーティング装置。
【請求項9】
前記スラリー移送管は、前記スラリータンクに貯蔵された電極スラリーを前記スロットダイに供給する供給ポンプをさらに含む、請求項1に記載の電極スラリーコーティング装置。
【請求項10】
請求項1に記載の電極スラリーコーティング装置を用いた電極スラリーコーティング方法であって、
コーティング方向(MD)に移動する集電体にスロットダイを通じて電極スラリーを吐出して、前記集電体に電極スラリーを塗布する段階と、
前記集電体に塗布した電極スラリーを乾燥させる段階と、を含み、
前記電極スラリーを塗布する段階において、集電体に塗布した電極スラリーの高さが、幅方向(TD)を基準として中心部と中心部両側の周辺部とに区分するとき、前記中心部の厚さと前記周辺部の厚さの差が5%以下であるようにする、電極スラリーコーティング方法。
【請求項11】
前記電極スラリーを塗布する段階は、前記スラリータンクに貯蔵された電極スラリーを前記スラリー移送管を通じて前記スロットダイに移送する過程を含み、
前記電極スラリーをスロットダイに移送する過程において、前記電極スラリーの温度を20℃~30℃の範囲内に制御する、請求項10に記載の電極スラリーコーティング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年8月27日付の韓国特許出願第10-2021-0113571号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、二次電池用電極スラリーコーティング装置およびこれを用いた電極スラリーコーティング方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するに伴い、エネルギー源としての二次電池の需要が急激に増加しており、そのような二次電池のうち、高いエネルギー密度と放電電圧を有するリチウム二次電池に関する多くの研究が行われており、また、商用化されて広く使用されている。
【0004】
現在広く使用される二次電池の種類には、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などがある。このような単位電池セル、すなわち、単位電池セルの作動電圧は、約2.5V~4.2Vである。したがって、これよりさらに高い出力電圧が要求される場合、複数個の電池セルを直列に連結して、電池パックを構成することがある。また、電池パックに要求される充放電容量によって多数の電池セルを並列連結して、電池パックを構成することがある。したがって、電池パックに含まれる電池セルの個数は、要求される出力電圧または充放電容量によって多様に設定することができる。
【0005】
このような二次電池としての電池セル、特に、リチウム二次電池としての電池セルは、一般的に、電極活物質としてリチウム遷移金属酸化物を含む正極と、カーボン系活物質を含む負極および分離膜からなる電極組立体にリチウム電解液を含浸した構造からなる。
【0006】
このような電池セルの電極は、一般的に、金属ホイルに電極スラリーをコーティングして製造される。電極スラリーは、電極活物質、導電材および電極ホイルに接着するためのバインダーで構成された電極合材を有機溶剤に混合して製造される。ここで、正極活物質としては、主にリチウムコバルト系酸化物、リチウムマンガン系酸化物、リチウムニッケル系酸化物およびリチウム複合酸化物などが使用され、負極活物質としては、主に炭素系物質が使用される。
【0007】
また、このような電池セルの電極は、一般的に、活物質、導電材およびバインダーなどを溶媒に分散させてスラリーを製造した後、スラリーを集電体に直接塗布して形成したり、または、スラリーを別途の支持体の上部に塗布させた後、支持体から剥離したフィルムを集電体上にラミネートして形成したりすることで製造される。その後、このような電極は、ロール形状に巻き取られた後、電極乾燥装置を用いて残留の溶剤および残留の水分などを除去する。
【0008】
このとき、スラリーを塗布する過程で、スラリーの温度が高ければ、塗布したスラリーが中央に密集し、スラリーの温度が低ければ、塗布したスラリーが両側に密集して塗布される。結局、スラリーの温度によって集電体に塗布したスラリーの量、すなわち、塗布したスラリーの高さが不均一になり、圧延率および圧延密度が不均一な電極が製造されるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述のような問題点を解決するためのものであって、その目的は、スラリーを塗布する過程で、電極スラリーの温度を一定に維持できる電極スラリーコーティング装置およびそれを用いた電極スラリーコーティング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、電極スラリーコーティング装置に関するものである。一例において、本発明に係る電極スラリーコーティング装置は、電極スラリーを貯蔵するスラリータンクと、スラリータンクに貯蔵された電極スラリーを集電体に吐出するスロットダイと、スラリータンクに貯蔵された電極スラリーをスロットダイに移送するスラリー移送管と、を含んで構成される。このとき、上記スラリー移送管は、スラリータンクおよびスロットダイと流体連結される第1管と、第1管の外側壁に所定の間隔をおいて設けられ、第1管との間に真空空間を形成する第2管と、を含む真空二重管構造であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述した電極スラリーコーティング装置を用いた電極スラリーコーティング方法を提供する。一例において、本発明に係る電極スラリーコーティング方法は、コーティング方向(MD)に移動する集電体にスロットダイを通じて電極スラリーを吐出して、集電体に電極スラリーを塗布する段階と、集電体に塗布した電極スラリーを乾燥させる段階と、を含む。このとき、上記電極スラリーを塗布する段階で集電体に塗布した電極スラリーの高さは、幅方向(TD)を基準として中心部と中心部両側の周辺部とに区分するとき、中心部と周辺部の厚さの差が5%以下であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る二次電池用電極スラリーコーティング装置および電極スラリーコーティング方法は、第1管および第2管からなる二重構造のスラリー移送管を含み、スラリータンクに貯蔵された電極スラリーをスロットダイに移送するとき、電極スラリーの温度を一定に維持することができる。
【0013】
これによって、電極スラリーを集電体に均一に塗布させて、電極製造の不良率を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るスラリー移送管を含む二次電池用電極スラリーコーティング装置の構成図である。
図2】スラリー移送管の断面図である。
図3】本発明に係るスラリー移送管を含む二次電池用電極スラリーコーティング装置の構成図である。
図4】スラリー移送管の断面図である。
図5】本発明に係るスラリー移送管を含む二次電池用電極スラリーコーティング装置の構成図である。
図6】スラリー移送管の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、電極スラリーコーティング装置に関するものである。一例において、本発明に係る電極スラリーコーティング装置は、電極スラリーを貯蔵するスラリータンクと、スラリータンクに貯蔵された電極スラリーを集電体に吐出するスロットダイと、スラリータンクに貯蔵された電極スラリーをスロットダイに移送するスラリー移送管と、を含んで構成される。このとき、上記スラリー移送管は、スラリータンクおよびスロットダイと流体連結される第1管と、第1管の外側壁に所定の間隔をおいて設けられ、第1管との間に真空空間を形成する第2管と、を含む真空二重管構造であることを特徴とする。
【0016】
他の一例において、スラリー移送管は、第1管の外周面を取り囲む断熱部材をさらに含んでもよい。
【0017】
別の一例において、上記スラリー移送管は、第1管と第2管との間に位置し、第1管を取り囲む第3管を含み、第1管と第3管との間に流体が流入する構造であってもよい。
【0018】
具体例において、上記スラリー移送管は、第3管と流体連結され、上記第1管と第3管との間に流体を供給する流体供給部と、上記第1管と第3管との間に供給された流体の温度を制御する温度制御部と、をさらに含んでもよい。
【0019】
また、上記温度制御部は、第1管と第3管との間に流入した流体の温度を20℃~30℃の範囲内に制御することができる。
【0020】
また、上記スロットダイは、スロットダイの内部に移送されたスラリーの温度またはスロットダイから吐出される電極スラリーの温度を測定する温度センサーをさらに含んでもよい。
【0021】
一方、上記スラリー移送管において、第2管は、一側に開閉可能な空気出入り口が形成された構造であってもよい。
【0022】
また、本発明に係る電極スラリーコーティング装置は、集電体を支持および移送するコーティングロールと、集電体に吐出された電極スラリーを乾燥させる乾燥チャンバーと、をさらに含んでもよい。
【0023】
しかも、上記スラリー移送管は、スラリータンクに貯蔵された電極スラリーをスロットダイに供給する供給ポンプをさらに含んでもよい。
【0024】
また、本発明は、上述した電極スラリーコーティング装置を用いた電極スラリーコーティング方法を提供する。一例において、本発明による電極スラリーコーティング方法は、コーティング方向(MD)に移動する集電体にスロットダイを通じて電極スラリーを吐出して、集電体に電極スラリーを塗布する段階と、集電体に塗布した電極スラリーを乾燥させる段階と、を含む。このとき、上記電極スラリーを塗布する段階で集電体に塗布した電極スラリーの高さは、幅方向(TD)を基準として中心部と中心部両側の周辺部とに区分するとき、中心部と周辺部の厚さの差が5%以下であってもよい。
【0025】
また、上記電極スラリーを塗布する段階は、スラリータンクに貯蔵された電極スラリーをスラリー移送管を通じてスロットダイに移送する過程を含む。一方、上記電極スラリーをスロットダイに移送する過程は、電極スラリーの温度を20℃~30℃の範囲内に制御することができる。
【0026】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施形態を有していてもよいところ、特定の実施形態を詳細に説明しようとする。
【0027】
しかしながら、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものとして理解すべきである。
【0028】
本発明において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないものとして理解すべきである。
【0029】
また、本発明において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あると記載された場合、これは、他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。反対に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あると記載された場合、これは、他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。また、本出願において「上に」配置されるというのは、上部のみならず、下部に配置される場合も含んでもよい。
【0030】
本発明において「真空二重管」は、スラリータンクに貯蔵された電極スラリーをスロットダイに移送するスラリー移送管を意味するものであって、第1管および第2管を含む構造を意味する。より詳細には、本発明において真空二重管は、スラリータンクおよびスロットダイと流体連結される第1管と、上記第1管の外側壁(外周面)に所定間隔をおいて設けられる第2管と、を含んで構成される。このとき、第1管と第2管との間に真空空間を形成して、本発明においてスラリー移送管は、真空二重管構造を成すことができる。
【0031】
一方、本発明のスラリー移送管は、第1管と第2管との間に真空空間を含んでいて、第1管の流路に移送される電極スラリーは、周辺温度の影響を受けない。これによって、本発明に係る電極スラリーコーティング装置は、スラリータンクに貯蔵された電極スラリーをスロットダイに移送するとき、電極スラリーの温度を一定に維持することができる。
【0032】
以下、図面に基づいて本発明に係る二次電池用電極スラリーコーティング装置およびそれを用いた電極スラリーコーティング方法を詳細に説明する。
【0033】
(第1実施形態)
本発明は、スラリー移送管を含む二次電池用電極スラリーコーティング装置を第1実施形態として提供する。
【0034】
<電極スラリーコーティング装置>
図1は、本発明によるスラリー移送管を含む二次電池用電極スラリーコーティング装置の構成図であり、図2は、スラリー移送管の断面図である。
【0035】
図1および図2を参照すると、本発明による電極スラリーコーティング装置100は、電極スラリーを貯蔵するスラリータンク110と、スラリータンク110に貯蔵された電極スラリーSを集電体Cに吐出するスロットダイ120と、スラリータンク110に貯蔵された電極スラリーSをスロットダイ120に移送するスラリー移送管130と、を含んで構成される。
【0036】
このとき、上記スラリー移送管130は、スラリータンク110およびスロットダイ120と流体連結される第1管131と、第1管131の外側壁に所定の間隔をおいて設けられ、第1管131との間に真空空間133を形成する第2管132と、を含む真空二重管構造を有する。
【0037】
本発明において、「真空二重管」は、スラリータンク110に貯蔵された電極スラリーをスロットダイ120に移送するスラリー移送管130を意味し、第1管131および第2管132を含む構造を意味する。より詳細には、本発明において真空二重管は、スラリータンク110およびスロットダイ120と流体連結される第1管131と、上記第1管131の外側壁(外周面)に所定間隔をおいて設けられる第2管132と、を含んで構成される。このとき、第1管131と第2管132との間に真空空間133を形成して、スラリー移送管130は、真空二重管構造を成すこととなる。
【0038】
一方、本発明のスラリー移送管130は、第1管131と第2管132との間に真空空間133を含んでいて、第1管131の流路に移送される電極スラリーSは、周辺温度の影響を受けない。これによって、本発明による電極スラリーコーティング装置100は、スラリータンク110に貯蔵された電極スラリーSをスロットダイ120に移送するとき、電極スラリーSの温度を一定に維持することができる。
【0039】
従来、電極スラリーSを集電体Cに塗布する過程で、電極スラリーSの温度が設定温度より高ければ、集電体Cに塗布した電極スラリーSが中央に密集し、電極スラリーSの温度が低ければ、塗布した電極スラリーSが両側に密集して塗布される。結局、電極スラリーSの温度によって集電体Cに塗布した電極スラリーSの量、すなわち、集電体Cに塗布した電極スラリーSの高さが不均一になり、圧延率および圧延密度が不均一な電極が製造されるという問題点があった。
【0040】
本発明では、上述したように、第1管131および第2管132からなる二重構造のスラリー移送管130を含んでいて、スラリータンク110に貯蔵された電極スラリーSをスロットダイ120に移送するとき、電極スラリーSの温度を一定に維持することができる。これによって、本発明は、電極スラリーSを集電体Cに均一に塗布させて、電極製造の不良率を減少させることができる。
【0041】
上記スラリー移送管130の第2管132は、第1管131の外側に所定間隔をおいて固定されることによって、第1管131との間に真空空間133を形成することとなる。
【0042】
特に、上記第2管132の一側には、開閉空気出入り口(不図示)が形成されていてもよい。特に、真空空間133は、空気出入り口を通じて別途の真空ポンプを用いて真空空間133内部の空気を外部に排出させ、空気出入り口を封止することによって、真空空間133を真空状態とすることができる。特に、上記空気出入り口を通じて真空領域に残留する空気を除去した後、空気出入り口を封止して、第1管131および第2管132の間の真空空間133の真空度を高めることができる。
【0043】
上記真空空間133は、第1管131が外部の空気に直接露出するのを防止し、外気との間に真空層を形成することによって、外部の温度による第1管131の温度が影響を少なく受けて一定の温度を維持することができ、これによって、第1管131内部の温度変化が少なくなる。
【0044】
一方、図示してはいないが、上記空気出入り口には、真空領域と流体連結される連結管をさらに含んでもよい。また、上記連結管は、真空領域内部の空気を一方向に移動させるチェック弁をさらに含んでもよい。上記チェック弁は、上記真空領域の空気を外部に排出させて、真空領域を真空化することができる。
【0045】
ここで、「流体連結」されるというのは、各管が互いに連通することを意味し、空気出入り口と連結管が物理的に連結されることを意味する。
【0046】
上記スロットダイ120の構造は、特に限定されない。例えば、スロットダイ120は、図示してはいないが、スラリー移送管130から移送された電極スラリーが供給されるスリットと、スリットを通過した電極スラリーSを集電体Cに向かって吐出する吐出口と、を含んでもよい。
【0047】
また、上記スラリー移送管130は、スラリータンク110に貯蔵された電極スラリーSをスロットダイ120に供給する供給ポンプ160をさらに含んでもよい。上記供給ポンプ160は、スラリータンク110と連結され、電極スラリーSをスロットダイ120に供給することができる。上記供給ポンプ160は、回転数によって電極スラリーSの供給量を調節することができる。
【0048】
また、本発明による電極スラリーコーティング装置100は、集電体Cを支持および移送するコーティングロール140と、集電体Cに塗布した電極スラリーSを乾燥させる乾燥チャンバー150と、をさらに含んでもよい。
【0049】
上記乾燥チャンバー150は、電極スラリーSがコートされている集電体Cを乾燥させて、電極板を完成することができる。上記乾燥チャンバー150は、移送装置により集電体Cが収容され、乾燥チャンバー150を通過する間に、電極スラリーSを完全に乾燥させることができる長さに形成されてもよい。
【0050】
上記集電体Cは、ガイドロール16により一定の張力で供給される。上記集電体Cは、一般的に、金属性シート、例えば、公知の金属箔が使用されてもよい。上記集電体Cは、正極電極板としてアルミニウム、またはニッケルなどが使用されてもよい。上記集電体Cは、負極電極板用に銅、ニッケル、またはステンレス鋼などが使用されてもよい。好ましくは、正極集電体としてアルミニウム箔、また、負極集電体として銅箔が使用されてもよい。
【0051】
本発明による電極スラリーコーティング装置100において、スラリータンク110は、電極スラリーを貯蔵する貯蔵タンク、移送タンクおよび供給タンクを含んでもよい。一例において、上記電極スラリーコーティング装置100は、ミキサーから混合された電極スラリーをポンプを用いて貯蔵タンクに供給し、上記貯蔵タンクに貯蔵された電極スラリーを移送タンクに供給することができる。また、上記移送タンクに移送された電極スラリーを集電体にコートするために、供給タンクに定量供給することができる。一方、各タンクは、電極スラリーの温度を制御するための温度制御装置などをさらに含んでもよい。
【0052】
このとき、各タンクは、互いに流体連結され、かつ、上述したスラリー移送管130により連結されてもよい。これによって、電極スラリーは、スロットダイ120に移送するとき、電極スラリーの温度を一定に維持することができる。
【0053】
このような構造によって、本発明による電極スラリーコーティング装置100は、スラリータンク110に貯蔵された電極スラリーSをスロットダイ120に移送するとき、電極スラリーSの温度を一定に維持することができる。
【0054】
これによって、本発明による電極スラリーコーティング装置100は、電極スラリーSを集電体Cに均一に塗布させて、電極製造の不良率を減少させることができる。
【0055】
(第2実施形態)
本発明は、スラリー移送管を含む二次電池用電極スラリーコーティング装置を第2実施形態として提供する。
【0056】
<電極スラリーコーティング装置>
図3は、本発明によるスラリー移送管を含む二次電池用電極スラリーコーティング装置の構成図であり、図4は、スラリー移送管の断面図である。
【0057】
図3および図4を参照すると、本発明による電極スラリーコーティング装置200は、電極スラリーを貯蔵するスラリータンク210と、スラリータンク210に貯蔵された電極スラリーSを集電体Cに吐出するスロットダイ220と、スラリータンク210に貯蔵された電極スラリーSをスロットダイ220に移送するスラリー移送管230と、を含んで構成される。
【0058】
このとき、上記スラリー移送管230は、スラリータンク210およびスロットダイ220と流体連結される第1管231と、第1管231の外側壁に所定の間隔をおいて設けられ、第1管231との間に真空空間233を形成する第2管232と、を含む真空二重管構造を有する。
【0059】
本発明において、上記真空空間233は、第1管231が外部の空気に直接露出するのを防止し、外気との間に真空層を形成することによって、外部の温度による第1管231の温度が影響を少なく受けて一定の温度を維持することができ、これによって、第1管231内部の温度変化が少なくなる。
【0060】
また、本発明による電極スラリーコーティング装置200のスラリー移送管230は、断熱部材234をさらに含む。より具体的には、上記スラリー移送管230は、第1管231の外周面を取り囲む断熱部材234をさらに含んでもよい。
【0061】
上記断熱部材234は、発泡樹脂材質であってもよく、第1管231の外周面を取り囲んで形成されてもよい。上記断熱部材234は、ポリウレタンフォームで形成されてもよい。
【0062】
このような構造によって、本発明による電極スラリーコーティング装置200は、スラリータンク210に貯蔵された電極スラリーSをスロットダイ220に移送するとき、電極スラリーSの温度を一定に維持することができる。
【0063】
これによって、本発明による電極スラリーコーティング装置200は、電極スラリーSを集電体Cに均一に塗布させて、電極製造の不良率を減少させることができる。
【0064】
(第3実施形態)
本発明は、スラリー移送管を含む二次電池用電極スラリーコーティング装置を第3実施形態として提供する。
【0065】
<電極スラリーコーティング装置>
図5は、本発明によるスラリー移送管を含む二次電池用電極スラリーコーティング装置の構成図であり、図6は、スラリー移送管の部分斜視図である。
【0066】
図5および図6を参照すると、本発明による電極スラリーコーティング装置300は、電極スラリーを貯蔵するスラリータンク310と、スラリータンク310に貯蔵された電極スラリーSを集電体Cに吐出するスロットダイ320と、スラリータンク310に貯蔵された電極スラリーSをスロットダイ320に移送するスラリー移送管330と、を含んで構成される。
【0067】
このとき、上記スラリー移送管330は、スラリータンク310およびスロットダイ320と流体連結される第1管331と、第1管331の外側壁に所定の間隔をおいて設けられ、第1管331との間に真空空間333を形成する第2管332と、を含む真空二重管構造を有する。
【0068】
本発明において、上記真空空間333は、第1管331が外部の空気に直接露出するのを防止し、外気との間に真空層を形成することによって、外部の温度による第1管331の温度が影響を少なく受けて一定の温度を維持することができ、これによって、第1管331内部の温度変化が少なくなる。
【0069】
本発明による電極スラリーコーティング装置300において、上記スラリー移送管330は、第1管331と第2管332との間に位置し、第1管331を取り囲む第3管335を含んでもよい。また、上記第1管331と第3管335との間)に流体が流入する構造であってもよい。
【0070】
また、本発明による電極スラリーコーティング装置300は、第3管335と流体連結され、上記第1管331と第3管335との間に流体を供給する流体供給部336と、上記第1管331と第3管335との間に供給された流体の温度を制御する温度制御部337と、をさらに含んでもよい。
【0071】
上記流体供給部336は、通常の流体ポンプであってもよい。しかも、図示してはいないが、第3管335と流体供給部336との間に流体制御弁(不図示)を含んでいて、上記第1管331と第3管335との間に流入する流体の流入量を制御することができる。
【0072】
上記温度制御部337は、ヒーターまたは冷却器であってもよく、スロットダイ320に温度センサーが取り付けられていて、スロットダイ320内部に移送された電極スラリーの温度をセンシングし、スラリー移送管330の内部に移送される電極スラリーの温度を容易に制御することができる。
【0073】
一方、図示してはいないが、上記第3管335と流体供給部336は、流体が循環するように互いに連結されてもよい。例えば、第3管335は、流体流入口および流体排出口が形成された構造であってもよく、上記流体供給部336は、上記流体流入口/排出口と循環するように流体連結されてもよい。
【0074】
一方、第1管331と第3管335との間に流入する流体は、液体またはゲル状態であってもよい。例えば、上記流体は、水または熱伝導流体(Heat transfer fluid)であってもよく、または水であってもよい。具体的な実施形態において、上記第1管331と第3管335との間に熱伝導流体または水を充填することによって、第1管331内部に移送される電極スラリーの温度を一定に維持することができる。上記第1管は、熱伝導性金属管であってもよい。
【0075】
特に、上記温度制御部337は、第1管331と第3管335との間に流入した流体の温度を20℃~30℃の範囲内に制御することができ、21℃~28℃の範囲内、23℃~27℃の範囲内、または24℃~26℃の範囲内に制御することができる。例えば、上記流体の温度を平均25℃に制御することができる。上記温度制御部337にて第1管331と第3管335の間の流体温度を制御して、第1管331内に移送される電極スラリーSの温度を制御することができる。特に、電極スラリーSの温度が非常に高い場合には、集電体Cに塗布した電極スラリーは、中央に密集し、電極スラリーSの温度が非常に低い場合には、集電体Cに塗布した電極スラリーが両側に密集して塗布される。したがって、電極スラリーの温度は、20℃~30℃の範囲内に制御することが好ましい。
【0076】
また、本発明による電極スラリーコーティング装置300は、温度センサー(不図示)をさらに含んでもよい。より具体的に、上記温度センサーは、スロットダイに含まれてもよい。例えば、上記スロットダイ320は、スロットダイ320内部に移送された電極スラリーの温度またはスロットダイから吐出される電極スラリーの温度を測定する温度センサーをさらに含んでもよい。
【0077】
温度センサーで測定した電極スラリーの温度が20℃~25℃を外れる場合、温度制御部337を用いて、流体の温度を制御することができる。
【0078】
このような構造によって、本発明による電極スラリーコーティング装置300は、スラリータンク310に貯蔵された電極スラリーSをスロットダイ320に移送するとき、電極スラリーSの温度を一定に維持することができる。
【0079】
これによって、本発明による電極スラリーコーティング装置300は、電極スラリーSを集電体Cに均一に塗布させて、電極製造の不良率を減少させることができる。
【0080】
(第4実施形態)
本発明は、電極スラリーコーティング装置を用いた電極スラリーコーティング方法を第4実施形態として提供する。
【0081】
<電極スラリーコーティング方法>
本発明は、電極スラリーコーティング装置を用いた電極スラリーコーティング方法を提供する。具体例において、本発明による電極スラリーコーティング方法は、コーティング方向(MD)に移動する集電体にスロットダイを通じて電極スラリーを吐出して、集電体に電極スラリーを塗布する段階と、集電体に塗布した電極スラリーを乾燥させる段階と、を含む。
【0082】
このとき、上記電極スラリーを塗布する段階で、集電体に塗布した電極スラリーの高さは、幅方向(TD)を基準として中心部と中心部両側の周辺部とに区分するとき、中心部と周辺部の厚さの差が5%以下であってもよい。これは、スラリータンクに貯蔵された電極スラリーSをスロットダイに移送するとき、電極スラリーSの温度を一定に維持したことを意味する。
【0083】
具体例において、電極スラリーを塗布する段階は、スラリータンクに貯蔵された電極スラリーをスラリー移送管を通じてスロットダイに移送する過程を含み、上記電極スラリーをスロットダイに移送する過程は、電極スラリーの温度を20℃~30℃の範囲内に制御することができ、21℃~28℃の範囲内、23℃~27℃の範囲内、または24℃~26℃の範囲内に制御することができる。
【0084】
例えば、上記電極スラリーの温度を平均25℃に制御することができる。上記温度制御部337にて流体の温度を制御して、第1管331内に移送される電極スラリーSの温度を制御することができる。特に、電極スラリーSの温度が非常に高い場合には、集電体Cに塗布した電極スラリーは、中央に密集し、電極スラリーSの温度が非常に低い場合には、集電体Cに塗布した電極スラリーが両側に密集して塗布される。したがって、電極スラリーの温度は、20℃~30℃の範囲内に制御することが好ましい。
【0085】
本発明による電極スラリーコーティング方法は、上述した電極スラリーコーティング装置を用いたものであり、スラリータンクに貯蔵された電極スラリーをスロットダイに移送するとき、電極スラリーの温度を一定に維持することができる。
【0086】
これによって、本発明による電極スラリーコーティング方法は、電極スラリーSを集電体Cに均一に塗布させて、電極製造の不良率を減少させることができる。
【0087】
以上、図面と実施形態などに基づいて本発明をより詳細に説明した。しかしながら、本明細書に記載された図面または実施形態などに記載された構成は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想を全部代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例がありえることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0088】
S 電極スラリー
C 集電体
100、200、300 電極スラリーコーティング装置
110、210、310 スラリータンク
120、220、320 スロットダイ
130、230、330 スラリー移送管
131、231、331 第1管
132、232、332 第2管
133、233、333 真空空間
234 断熱部材
335 第3管
336 流体供給部
337 温度制御部
140、240、340 コーティングロール
150、250、350 乾燥チャンバー
160、260、360 供給ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6