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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】スプロケット替歯交換装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/00 20060101AFI20240508BHJP
   B65G 67/60 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B23P19/00 301L
B65G67/60 C
B65G67/60 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020186915
(22)【出願日】2020-11-10
(65)【公開番号】P2022076528
(43)【公開日】2022-05-20
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000132127
【氏名又は名称】株式会社スガテック
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】松本 隆義
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-347316(JP,A)
【文献】実開平07-025359(JP,U)
【文献】特開2016-007679(JP,A)
【文献】特開2014-231895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00-21/00
B65G 67/60
B62B 1/00- 5/08
F16H 55/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプロケットの替歯を交換する替歯交換装置であって、
前記替歯を支持する替歯受部と、
前記替歯受部を昇降させる昇降部と、
を有してなり、
前記替歯受部は、前記替歯受部と前記替歯とを締結する締結部材が挿通される挿通孔を備える、
ことを特徴とするスプロケット替歯交換装置。
【請求項2】
前記替歯受部を、前記スプロケットの回転方向に回動させる回動部、
を有してなる、
請求項1記載のスプロケット替歯交換装置。
【請求項3】
前記回動部は、
前記替歯受部を回動可能に支持する回動軸と、
前記回動軸を介して前記替歯受部に取り付けられるハンドルと、
を備え、
前記替歯受部は、前記ハンドルの操作に応じて回動する、
請求項2記載のスプロケット替歯交換装置。
【請求項4】
前記替歯受部は、複数の前記挿通孔を備え、
前記回動部は、複数の前記挿通孔のうち、1の前記挿通孔と、前記替歯が備える締結孔と、が連通する位置に、前記替歯受部を移動させる、
請求項2または3記載のスプロケット替歯交換装置。
【請求項5】
前記替歯受部は、
前記替歯を挟む一対の側板と、
前記各側板同士を連結する側板連結部材と、
を備える、
請求項1乃至4のいずれかに記載のスプロケット替歯交換装置。
【請求項6】
前記側板連結部材の数は、複数である、
請求項5記載のスプロケット替歯交換装置。
【請求項7】
前記各側板は、前記挿通孔を備え、
前記替歯は、前記一対の側板の間に配置され、
前記締結部材は、前記各側板の前記挿通孔と、前記替歯が備える締結孔と、に挿通される、
請求項5または6記載のスプロケット替歯交換装置。
【請求項8】
前記替歯は、前記各側板の前記挿通孔と、前記替歯が備える締結孔と、に前記締結部材が挿通されて締結されたとき、前記一対の側板に挟持されて、前記一対の側板による面圧を受けて前記替歯受部に固定される、
請求項7記載のスプロケット替歯交換装置。
【請求項9】
前記替歯受部は、略三日月状の形状を備える、
請求項1乃至8のいずれかに記載のスプロケット替歯交換装置。
【請求項10】
前記替歯受部は、複数の前記替歯を支持する、
請求項1乃至9のいずれかに記載のスプロケット替歯交換装置。
【請求項11】
前記替歯受部は、前記替歯受部が前記替歯を支持したときに前記替歯の回転を規制する回転規制部材が挿通される回転規制孔を備える、
請求項1乃至10のいずれかに記載のスプロケット替歯交換装置。
【請求項12】
前記替歯受部は、複数の前記回転規制孔を備え、
複数の前記回転規制孔を結ぶ仮想線は、前記スプロケットと同心円上に配置される、
請求項11記載のスプロケット替歯交換装置。
【請求項13】
前記替歯受部は、複数の前記挿通孔を備え、
複数の前記挿通孔を結ぶ仮想線は、前記スプロケットと同心円上に配置される、
請求項1乃至12のいずれかに記載のスプロケット替歯交換装置。
【請求項14】
前記替歯受部を回転させる回転部、
を有してなり、
前記回転部は、前記昇降部による前記替歯受部の昇降方向を回転軸方向として、前記替歯受部を回転させる、
請求項1乃至13のいずれかに記載のスプロケット替歯交換装置。
【請求項15】
前記替歯受部を前記スプロケットに対して進退させる運搬部、
を備える、
請求項1乃至14のいずれかに記載のスプロケット替歯交換装置。
【請求項16】
前記運搬部は、車輪を備え、
前記車輪は、前記スプロケットが配置されているケーシングに仮設されるレールの上を移動する、
請求項15記載のスプロケット替歯交換装置。
【請求項17】
前記運搬部は、2本の前記レールの上を移動し、
2本の前記レールの間には、作業者用の足場板が配置される、
請求項16記載のスプロケット替歯交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプロケット替歯交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
港湾の水上に停泊した船舶の船倉から石炭や鉄鉱石等のバラ物である荷を荷揚げする装置として、連続アンローダが用いられる。連続アンローダは、船舶に向けて延びるブームに支持されるバケットエレベータを有する。
【0003】
バケットエレベータは、バケットにより船倉内のバラ物を掻き取り、バラ物を荷揚げして、バラ物を船倉外へ搬出する。バケットエレベータは、上部と下部とに配置されたスプロケットと、このスプロケットに掛け回された、複数のバケットが取り付けられた無端状のチェーンと、を備える。
【0004】
スプロケットは、本体部分と、本体部分の周方向に配列された複数の歯と、を備える。スプロケットのうち、上部スプロケットは、ケーシングの内部に配置される。チェーンは、スプロケットの歯に掛け回される。上部スプロケットの回転によりチェーンは、循環する。すなわち、上部スプロケットは、駆動スプロケットとして機能する。
【0005】
バケットエレベータは、チェーンの循環によりバケットを牽引して、バケットにより掻き取られたバラ物を荷揚げして、船倉外へ搬出する。
【0006】
バケットが船倉内のバラ物を掻き取る際、バケットには掘削抵抗がかかる。バケットに掘削抵抗がかかると、チェーンにも抵抗がかかる。チェーンに抵抗がかかると、チェーンを循環させるためのスプロケットに負荷がかかる。スプロケットにチェーンからの負荷がかかると、スプロケットの歯は、摩耗する。
【0007】
スプロケットは、チェーンを安全に循環させる必要がある。そのため、スプロケットの歯が摩耗すると、スプロケットは、交換を必要とされる。その結果、複数の歯のうちの一部の歯の摩耗であっても、本体部分を含むスプロケット全体が交換されており、コスト増加の一因となっていた。
【0008】
このような問題を解決するため、スプロケットの歯の部分のみを交換できるスプロケットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】実開平7-25359号公報
【0010】
特許文献1に開示された技術では、スプロケットは、スプロケット本体と、スプロケット本体の外周に着脱自在に取り付けられた歯(替歯)と、を有する。特許文献1に開示されたスプロケットでは、スプロケット本体の外周に配置されたボルト孔と、替歯に配置されたボルト孔とに、ボルトが挿通されて締め付けられることにより、替歯がスプロケット本体に固定される。このような特許文献1に開示されたスプロケットは、替歯が摩耗しても、摩耗した替歯のみ新しい替歯に交換すればよいので、コストを抑制できる。
【0011】
ここで、従来の上部スプロケットの替歯の交換は、ケーシングの内部に足場が仮設されて、交換用の替歯を持った作業者と、替歯の取り外し作業と取り付け作業とを行う別の作業者と、がケーシングの内部に入り、仮設足場の上で2人の作業者により手作業で行われていた。しかし、連続アンローダに用いられるスプロケットの替歯は重く、また、ケーシングの内部は狭い。さらに、上部スプロケットが設置されているケーシングは、高所に位置する。しかも、交換用の替歯を持った作業者は、交換をするための替歯の位置や角度に合わせて、交換用の替歯を持たなくてはならない。そのため、仮設足場での作業は、作業者の負担となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、連続アンローダなどの大型の機械装置に用いられるスプロケットの替歯の容易な交換を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るスプロケット替歯交換装置は、スプロケットの替歯を交換する交換装置であって、替歯を支持する替歯受部と、替歯受部を昇降させる昇降部と、を有してなり、替歯受部は、替歯受部と替歯とを締結する締結部材が挿通される挿通孔を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スプロケットの替歯の容易な交換を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るスプロケット替歯交換装置が用いられる連続アンローダの模式図である。
図2図1のAで囲まれる領域で、連続アンローダのバケットエレベータが備えるケーシングの内部における、本発明に係るスプロケット替歯交換装置の使用の態様を示す模式図である。
図3図2のバケットエレベータ内で使用されるスプロケットの平面図である。
図4図3のスプロケットが備える替歯の斜視図である。
図5】本発明に係るスプロケット替歯交換装置の実施の形態を示す正面図である。
図6図5のスプロケット替歯交換装置が備える昇降部を上昇させた状態を示す正面図である。
図7図6のスプロケット替歯交換装置が備える回動部により、スプロケット替歯交換装置が備える替歯受部を回動させた状態を示す正面図である。
図8図6に示すスプロケット替歯交換装置の側面図である。
図9図6に示すスプロケット替歯交換装置の背面図である。
図10】スプロケットの替歯を支持する状態の図5のスプロケット替歯交換装置が備える替歯受部を示す模式図である。
図11図10のBB線断面図である。
図12図11の斜視図である。
図13図5のスプロケット替歯交換装置を移動させる仮設器具の斜視図である。
図14図13の仮設器具の分解斜視図である。
図15図12の仮設器具がバケットエレベータのケーシングに仮設されると共に、図5のスプロケット替歯交換装置がケーシングの外部で仮設器具の上に配置された状態を示す説明図である。
図16図15に示すスプロケット替歯交換装置がバケットエレベータのケーシングの外部から内部に移動した状態を示す説明図である。
図17図16に示すスプロケット替歯交換装置が水平方向に90度旋回した状態を示す説明図である。
図18図17のC矢視図である。
図19図17に示すスプロケット替歯交換装置が上昇して、スプロケットの替歯を支持する状態を示す説明図である。
図20図19に示すスプロケット替歯交換装置が下降して、スプロケット替歯交換装置が取り外された替歯を支持する状態を示す説明図である。
図21図20に示すスプロケット替歯交換装置が水平方向に90度旋回して、ケーシングの内部から外部に移動している状態を示す説明図である。
図22図21に示すスプロケット替歯交換装置が、ケーシングの外部に移動した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るスプロケット替歯交換装置は、以下の実施の形態と図面とにより説明される。本発明に係るスプロケット替歯交換装置(以下「本装置」という。)は、大型の機械装置のスプロケットの替歯を交換するために用いられる。
【0017】
●連続アンローダ●
先ず、本装置が用いられる大型の機械装置の一例である連続アンローダについて説明する。
【0018】
●連続アンローダの構成
図1は、連続アンローダの模式図である。
連続アンローダULは、港湾の水上に停泊した船舶の船倉から石炭や鉄鉱石等のバラ物である荷を荷揚げする。連続アンローダULは、船舶に向けて延びるブームBMと、ブームBMに支持されるバケットエレベータBEと、を有してなる。バケットエレベータBEは、上下方向(図1における紙面上下方向)に長い。
【0019】
●バケットエレベータの構成
【0020】
以下の説明において、特に断りがない限り、各図に示される相互に直交する3軸をそれぞれX軸、Y軸およびZ軸としたとき、「X軸方向」は、本実施の形態では左右方向である。「Y軸方向」は、本実施の形態では前後方向である。「Z軸方向」は、本実施の形態では上下方向である。「+X軸方向」(図1において紙面奥向き)は、本実施の形態では左方である。「-X軸方向」は、本実施の形態では右方である。「+Y軸方向」(図1において紙面左方)は、本実施の形態では前方である。「-Y軸方向」は、本実施の形態では後方である。「+Z軸方向」(図1において紙面上方)は、本実施の形態では上方である。「-Z軸方向」は、本実施の形態では下方である。
【0021】
図2は、図1のAで囲む領域の模式図であり、バケットエレベータBEが備えるケーシングCSの内部における、本装置1の使用の態様を示す模式図である。
同図は、バケットエレベータBEのケーシングCSの内部に仮設器具TAと本装置1とを設置した状態を示す。また、同図では、説明の便宜上、後述するチェーンCHとバケットBCとの図示が省略される。
【0022】
バケットエレベータBEは、バケットBCにより掻き取られた船倉内のバラ物を荷揚げして、バラ物を船倉外へ搬出する。バケットエレベータBEは、スプロケットSと、ケーシングCSと、スプロケットSに掛け回された、無端状のチェーンCH(図1参照)と、チェーンCHに取り付けられた複数のバケットBC(図1参照)と、保持部材HMと、を備える。
【0023】
バケットエレベータBEは、スプロケットSとして、バケットエレベータBEの上部側に配置された上部スプロケットSUと、バケットエレベータBEの下部側に配置された下部スプロケットSLと、を備える。
【0024】
ケーシングCSは、バケットエレベータBEを構成する外壁で、スプロケットS(後述する上部スプロケットSU)と、バケットBCと、チェーンCHと、を覆う。ケーシングCSは、開口OPを備える。
【0025】
開口OPは、ケーシングCSの内部と外部とを連通させる矩形状の通用口である。開口OPは、後述される上部スプロケットSUに対応して配置される。そのため、開口OPは、ケーシングCSの側壁SWに2つ配置される。開口OPには、後述される仮設器具TAが配置される。本装置1と作業者(不図示)とは、仮設器具TAを利用して、ケーシングCSの内部と外部とを移動する。開口OPは、本発明における作業用通用口の例である。本装置1と作業者とは、いずれの開口OPより、ケーシングCSの内部と外部とを移動できる。
【0026】
バケットBCは、船倉内のバラ物を掻き取る。バケットBCは、チェーンCHの全体に亘り、等間隔に複数個取り付けられる。
【0027】
チェーンCHは、上部スプロケットSUと下部スプロケットSL(図1参照)とに掛け回されて、バケットBCを牽引しながら、バケットエレベータBE内を上下に循環する。
【0028】
このように、バケットエレベータBEは、チェーンCHの循環によりバケットBCを牽引して、バケットBCにより掻き取られたバラ物を荷揚げして、船倉外へ搬出する。
【0029】
保持部材HMは、上部スプロケットSUを保持する。
【0030】
上部スプロケットSUは、回転軸(不図示)を中心に回転して、チェーンCHを循環させる。すなわち、上部スプロケットSUは、駆動スプロケットとして機能する。上部スプロケットSUは、ケーシングCSの左右の側壁SWに沿って配置される。
【0031】
下部スプロケットSLは、上部スプロケットSUの駆動に従動回転する。すなわち、下部スプロケットSLは、従動スプロケットとして機能する。
【0032】
上部スプロケットSUと下部スプロケットSLとは、それぞれ一対のスプロケットで構成される。すなわち、例えば、上部スプロケットSUは、第1上部スプロケットSU1と、第2上部スプロケットSU2と、で構成される。下部スプロケットSLは、第1下部スプロケット(不図示)と、第2下部スプロケット(不図示)と、で構成される。
【0033】
第1上部スプロケットSU1は右方の側壁SWに沿って配置され、第2上部スプロケットSU2は左方の側壁SWに沿って配置される。
【0034】
以下の説明において、第1上部スプロケットSU1と第2上部スプロケットSU2それぞれを区別して説明する必要がないとき、それぞれを「上部スプロケットSU」と総称する。第1下部スプロケットと第2下部スプロケットそれぞれを区別して説明する必要がないとき、それぞれを「下部スプロケットSL」と総称する。
【0035】
●スプロケットの構成
図3は、スプロケットSの平面図である。
【0036】
上部スプロケットSUの構成と、下部スプロケットSLの構成とは、共通する。また、本装置1により替歯が交換されるスプロケットは、上部スプロケットSUである。そのため、以下の説明は、全て上部スプロケットSUを例に説明される。すなわち、図3は、上部スプロケットSUの平面図である。
【0037】
上部スプロケットSUは、スプロケット本体SBと、複数の替歯STと、スプロケット本体SBと替歯STとを連結する連結部材(不図示)と、を備える。
【0038】
連結部材は、スプロケット本体SBと替歯STとを連結する。連結部材は、例えば、ボルトとナットとを備える、ハイテンションボルトである。
【0039】
スプロケット本体SBは、保持部材HM(図2参照)に保持される。スプロケット本体SBは、円形である。スプロケット本体SBは、替歯保持部SB1と本体側連結孔SB1hとを備える。
【0040】
替歯保持部SB1は、替歯STを保持する。替歯保持部SB1は、スプロケット本体SBの周方向に沿って連続的に配置される。替歯保持部SB1は、所定の深さを有する断面角型の溝(不図示)を備える。
【0041】
本体側連結孔SB1hは、連結部材が挿通される貫通孔である。本体側連結孔SB1hは、替歯保持部SB1の周方向に沿って複数配置される。本体側連結孔SB1hのそれぞれは、所定の間隔を空けて配置される。
【0042】
各替歯STは、チェーンCH(図1参照)が掛けられて、チェーンCHを循環させる。各替歯STは、替歯保持部SB1の溝に周方向に配置され、替歯保持部SB1に挟持される。替歯STの数は、例えば、「12」である。すなわち、例えば、上部スプロケットSUは、周方向に12の歯(替歯ST)を備える。
【0043】
なお、替歯の数は、「12」に限定されない。
【0044】
図4は、替歯STの斜視図である。
複数の替歯STのそれぞれの構成は、共通する。
【0045】
替歯STは、基部ST1と、替歯側連結孔ST1hと、歯部ST2と、締結孔ST2hと、段部ST3と、を備える。
【0046】
基部ST1は、スプロケット本体SBに挟持される部分であり、替歯保持部SB1の溝に配置される。
【0047】
替歯側連結孔ST1hは、連結部材が挿通される貫通孔である。替歯側連結孔ST1hは、基部ST1の周方向に沿って複数配置される。替歯側連結孔ST1hのそれぞれは、所定の間隔を空けて配置される。1の替歯STに配置される替歯側連結孔ST1hの数は、例えば、「4」である。替歯側連結孔ST1hのそれぞれには、本体側連結孔SB1hと連通した状態で連結部材が挿通される。これにより、替歯STは、スプロケット本体SBに固定される。
【0048】
歯部ST2は、チェーンCHに係合する。歯部ST2の厚み(図4における紙面手前側と奥側との方向)は、基部ST1の厚みよりも厚い。
【0049】
締結孔ST2hは、後述される締結部材70(図12参照)が挿通される貫通孔である。締結孔ST2hは、歯部ST2に配置される。締結孔ST2hの数は、「1」である。締結孔ST2hは、後述される挿通孔53h(図5参照)と連通した状態で締結部材70が挿通される。
【0050】
段部ST3は、基部ST1と歯部ST2との間の段であり、基部ST1の厚みと、歯部ST2の厚みと、の差により構成される。段部ST3は、後述される回転規制孔54h(図5参照)に挿通された回転規制部材80(図12参照)と当接する。
【0051】
●スプロケット替歯交換装置●
次に、本装置について説明する。
【0052】
●スプロケット替歯交換装置の構成
図5は、本装置1の実施の形態を示す正面図である。
図6は、本装置1の昇降部を上昇させた状態を示す正面図である。
【0053】
本装置1は、図2に示されるように、ケーシングCS内において、仮設器具TAの上を左右方向に移動する。
【0054】
本装置1は、スプロケットS(上部スプロケットSU)の替歯STの交換に用いられる。本装置1は、昇降部10と、本体部20と、回転部30と、回動部40と、替歯受部50と、運搬部60と、締結部材70(図12参照)と、回転規制部材80(図12参照)と、を有してなる。
【0055】
昇降部10は、替歯受部50を上下方向に移動させる。昇降部10は、例えば、油圧により替歯受部50を上昇または下降させる油圧リフターである。昇降部10による替歯受部50の上下方向の移動は、例えば、本装置1が備える操作レバー(不図示)に対する作業者の操作による。昇降部10は、運搬部60の上に載置される。昇降部10は、天板11を備える。
【0056】
天板11は、本体部20と回転部30とを支持する。天板11は、昇降部10の上部に配置される。
【0057】
本体部20は、回転部30により水平方向に回転(XY平面に沿って回転)すると共に、替歯受部50をスライドさせる。本体部20は、前後方向に延びるスライド軸(不図示)と、替歯受部50を支持する支持部21と、を備える。本体部20は、スライド軸の延在方向を軸心方向として、替歯受部50をスライドさせる。図5に示される本装置1の向きにあっては、本体部20は、替歯受部50を左右方向にスライドさせる。
【0058】
回転部30は、本体部20を回転させることにより、替歯受部50を水平方向に回転させる。回転部30の回転軸の軸心方向(回転軸方向)は、昇降部10による替歯受部50の昇降方向と同じである。すなわち、回転部30は、回転軸を中心に、本体部20と替歯受部50とを水平方向に回転させる。回転部30による回転は、例えば、「+X軸」-「-Y軸」方向に90度である。
【0059】
図7は、回動部40により、替歯受部50を回動させた状態を示す正面図である。
同図は、回動した替歯受部50の状態を実線で示し、回動する前の替歯受部50の状態を二点鎖線で示す。
【0060】
回動部40は、替歯受部50をスプロケットS(上部スプロケットSU)の周方向に回動(揺動)させる。回動部40は、替歯受部50に取り付けられると共に、支持部21に支持される。回動部40は、回動軸41(図8参照)とハンドル42とを備える。回動軸41は、替歯受部50の回動の軸である。回動軸41の軸方向は、スプロケットSの回転軸(不図示)の軸方向と平行である。ハンドル42は、回動軸41を介して替歯受部50に取り付けられる。作業者によるハンドル42の回転操作により、替歯受部50は、回動軸41を中心に、替歯ST(図3参照)の外周に沿って回動(揺動)する。換言すれば、替歯受部50は、スプロケットSの回転方向と同じ方向、もしくは、スプロケットSの回転方向と逆の方向に、回動軸41を中心に回動(揺動)する。
なお、替歯受部50が回動する範囲は、例えば、スプロケットSのスプロケット本体SBの下端(後述する図18における紙面下側の端部)を中心に所定の範囲である。所定の範囲は、例えば、替歯受部50の長手方向(図7における紙面左右方向)の長さなどにより規定される。
【0061】
図5図6とに戻る。
替歯受部50は、替歯ST(図3参照)を支持する。替歯受部50は、側板51と、側板連結孔52hと、挿通孔53hと、回転規制孔54hと、側板連結部材55(図8参照)と、を備える。替歯受部50の具体的構成は、後述される。
【0062】
運搬部60は、昇降部10を支持すると共に、替歯受部50を上部スプロケットSUに対して移動させる。すなわち、運搬部60は、ケーシングCSの外と内との間で、本装置1を上部スプロケットSUに対して前進と後退とをさせる移動手段である。つまり、替歯受部50は、上部スプロケットSUに対して進退可能である。運搬部60は、車輪61を備える。
【0063】
車輪61は、仮設器具TAの後述される2本のレールRA上を移動して、本装置1を進退可能にする。車輪61は、レールRA毎に2つずつ運搬部60に取り付けられる。すなわち、運搬部60が備える車輪61の数は、「4」である。
【0064】
●替歯受部の構成
図8は、図6に示す本装置1の側面図である。
図9は、図6に示す本装置1の背面図である。
【0065】
以下、替歯受部50の具体的構成は、図6図8図9とを参照して説明される。
【0066】
側板51は、前側板51aと後側板51bとを含む。前側板51aは、後側板51bと共に、替歯STを挟む。前側板51aと後側板51bとは、上部スプロケットSUと同心円状に湾曲する略三日月形状の板である。
【0067】
前側板51aは、支持部21に支持されると共に、回動部40(回動軸41)に取り付けられる。
【0068】
後側板51bは、支持部21に支持されると共に、側板連結部材55を介して前側板51aに連結される。
【0069】
側板連結孔52hは、側板連結部材55が挿通される貫通孔である。側板連結孔52hは、前側板51aと後側板51bそれぞれの下部の周方向に沿って複数配置される。側板連結孔52hのそれぞれは、所定の間隔を空けて配置される。前側板51aと後側板51bそれぞれに配置される側板連結孔52hの数は、例えば、「5」である。前側板51aに配置される各側板連結孔52hの位置は、後側板51bに配置される各側板連結孔52hの位置に対応する。ここで、説明の便宜上、前側板51aと後側板51bそれぞれの側板連通孔には、同じ符号が付されている。
【0070】
このように、前側板51aと後側板51bそれぞれの側板連結孔52hに側板連結部材55が挿通されることで、前側板51aと後側板51bとは連結される。すなわち、替歯受部50は、無底の略三日月形状である。
【0071】
なお、側板連結孔の数は、「5」に限定されない。
【0072】
挿通孔53hは、締結部材70(図12参照)が挿通される貫通孔である。挿通孔53hは、前側板51aと後側板51bそれぞれの上部の周方向に沿って複数配置される。挿通孔53hのそれぞれは、所定の間隔を空けて配置される。前側板51aと後側板51bそれぞれに配置される挿通孔53hの数は、例えば、「10」である。すなわち、前側板51aと後側板51bそれぞれには、挿通孔53h0,53h1,53h2,53h3,53h4,53h5,53h6,53h7,53h8,53h9が配置される。前側板51aと後側板51bそれぞれの挿通孔53h0-53h9を結ぶ仮想線(不図示)は、上部スプロケットSUと同心円上に配置される。前側板51aに配置される挿通孔53h0-53h9の位置は、後側板51bに配置される挿通孔53h0-53h9の位置に対応する。ここで、説明の便宜上、前側板51aと後側板51bそれぞれの対応する挿通孔には、同じ符号が付されている。
【0073】
回転規制孔54hは、回転規制部材80(図12参照)が挿通される貫通孔である。回転規制孔54hは、前側板51aの上部で、かつ、上端部と挿通孔53h0-53h9との間に周方向に沿って複数配置される。回転規制孔54hのそれぞれは、所定の間隔を空けて配置される。回転規制孔54hの数は、例えば、「10」である。すなわち、前側板51aには、回転規制孔54h0,54h1,54h2,54h3,54h4,54h5,54h6,54h7,54h8,54h9が配置される。回転規制孔54h0-54h9を結ぶ仮想線(不図示)は、上部スプロケットSUと挿通孔53h0-53h9それぞれと同心円上に配置される。回転規制孔は、後側板51bには配置されない。
【0074】
なお、挿通孔の数と、回転規制孔の数とは、「10」に限定されない。また、回転規制孔の数は、挿通孔の数と異なる数でもよい。
【0075】
側板連結部材55は、各側板連結孔52hに挿通され、前側板51aと後側板51bとを連結する。前側板51aと後側板51bとの間の寸法は、替歯STの歯部ST2の厚みよりも若干大きい。
【0076】
図10は、替歯STを支持する状態の替歯受部50を示す模式図である。
図11は、図10のBB線断面図である。
図12は、図11の斜視図である。
【0077】
図10は、複数の替歯STのうち、2つの替歯ST(第1替歯ST-1,第2替歯ST-2)が替歯受部50に支持されている状態を示す。
【0078】
以下の説明は、図6も合わせて参照される。
【0079】
締結部材70は、挿通孔53h0-53h9のうちの1の挿通孔53hと、締結孔ST2hと、に挿通される。図10は、締結部材70が挿通孔53h6と締結孔ST2hとに挿通されて、第1替歯ST-1と側板51とが締結されている様子を示す。また、同図は、締結部材70が挿通孔53h1と締結孔ST2hとに挿通されて、第2替歯ST-2と側板51とが締結されている様子を示す。締結部材70は、例えば、ボルトとナットとを備えるハイテンションボルトである。
【0080】
図11に示されるとおり、前側板51aの挿通孔53h(53h6)と、締結孔ST2hと、後側板51bの挿通孔53h(53h6)と、に締結部材70が挿通されて、締結部材70のナットにより締結部材70が締め付けられることで、替歯ST(第1替歯ST-1)は、前側板51aと後側板51bとに締結される。これにより、替歯STは、替歯受部50に支持される。このとき、替歯STは、前側板51aの内面と、後側板51bの内面と、に面で保持される。換言すれば、替歯STは、前側板51aと後側板51bとに挟持されて、前側板51aと後側板51bとによる面圧を受けて替歯受部50に固定(保持)される。
【0081】
回転規制部材80は、回転規制孔54hに挿通される。回転規制部材80は、段部ST3に当接する。回転規制部材80は、例えば、ボルトとナットである。
【0082】
ここで、替歯受部50が替歯STを支持しているとき、替歯STは、締結孔ST2hに挿通された締結部材70により側板51に締結されて替歯受部50に支持されているだけである。そのため、替歯受部50に支持されている姿勢によっては、替歯STは、自重により回転しやすい(傾きやすい)。すなわち、例えば、図10に示される例では、第1替歯ST-1は反時計回り方向に回転しやすく、第2替歯ST-2は時計回り方向に回転しやすい。
【0083】
そこで、第1替歯ST-1に対しては、回転規制部材80は、例えば、回転規制孔54h0-54h9のうちの回転規制孔54h8に挿通され、回転規制部材80の先端側がナットで締められる。回転規制部材80が挿通される回転規制孔54hは、例えば、回転規制孔54h0-54h9のうち、替歯受部50が支持する替歯STの端部側に位置する回転規制孔54hである。これにより、第1替歯ST-1が自重により反時計回り方向に回転しようとしても、段部ST3が回転規制部材80に当接する。その結果、第1替歯ST-1の回転は、回転規制部材80により規制される。
【0084】
一方、第2替歯ST-2に対しては、回転規制部材80は、例えば、回転規制孔54h0-54h9のうちの回転規制孔54h0に挿通されて、回転規制部材80の先端側がナットで締められる。第2替歯ST-2のように、替歯受部50の端部から替歯STの一部が突出している場合、回転規制部材80が挿通される回転規制孔54hは、例えば、回転規制孔54h0-54h9のうち、挿通孔53h1からなるべく離れた位置に位置する回転規制孔54h0である。これにより、第2替歯ST-2が自重により時計回り方向に回転しようとしても、段部ST3が回転規制部材80に当接する。その結果、第2替歯ST-2の回転は、回転規制部材80により規制される。
【0085】
●仮設器具●
●仮設器具の構成
図13は、本装置1を移動させる仮設器具TAの斜視図である。
図14は、図13の分解斜視図である。
【0086】
仮設器具TAは、上部スプロケットSUの替歯STを交換する際に、ケーシングCS(図2参照)に仮設される。本装置1と作業者とは、仮設器具TAの上を移動する。すなわち、仮設器具TAは、仮設足場として機能する。仮設器具TAは、足場固定台FBと、レールRAと、足場板SPと、養生板CPと、を備える。
【0087】
足場固定台FBは、レールRAと足場板SPとが取り付けられる。足場固定台FBは、ケーシングCSの開口OPの内枠に配置される。
【0088】
本装置1の車輪61(図5参照)は、レールRAの上を移動する。レールRAは、足場固定台FBの側部(前後方)にそれぞれ取り付けられる。すなわち、レールRAは、2本で構成される。レールRAの長さは、ケーシングCSの左右の側壁SW間の寸法よりも長い。すなわち、レールRAは、仮設器具TAをケーシングCSに架設したとき、ケーシングCSの側壁SW(開口OP)から突出する。
【0089】
足場板SPは、作業者が移動するための作業者用の足場である。足場板SPは、複数枚に分割されて、足場固定台FBの上部に取り付けられる。足場板SPは、2本のレールRAの間に配置される。分割された足場板SP同士は、所定の間隔を空けて足場固定台FB上に配置される。
【0090】
養生板CPは、足場を保護する。養生板CPは、分割された足場板SP同士の上に跨って配置されて、足場板SP同士の間の隙間を埋める。
【0091】
ここで、前述のとおり、本装置1と仮設器具TAとは、上部スプロケットSUの替歯STの交換の際に用いられる。本装置1は、仮設器具TA(レールRA)上に配置されて、本装置1の車輪61がレールRAの上を移動する。すなわち、本装置1と仮設器具TAとは、替歯交換ユニットを構成する。
【0092】
●スプロケット替歯交換装置の動作●
次に、本装置1の動作について、説明する。
【0093】
図15は、仮設器具TAがケーシングCSに仮設されると共に、本装置1がケーシングCSの外部で仮設器具TAの上に配置された状態を示す説明図である。
図16は、本装置1がケーシングCSの外部から内部に移動した状態を示す説明図である。
図17は、本装置1が水平方向に90度旋回した状態を示す説明図である。
図18は、図17のC矢視図である。
図19は、本装置1が上昇して、上部スプロケットSUの替歯STを支持する状態を示す説明図である。
図20は、本装置1が下降して、本装置1が取り外された替歯STを支持する状態を示す説明図である。
【0094】
以下の説明は、本装置1が右方の開口OPを通って本装置1により第1上部スプロケットSU1の替歯STを交換する場合を例とする説明である。また、以下の説明において、図6図12図13とは参照される。
【0095】
なお、各図では、説明の便宜上、チェーンCHとバケットBCとの図示が省略される(図21,22についても同じ)。
【0096】
先ず、仮設器具TAは、作業者により、ケーシングCSに仮設される。このとき、足場固定台FBが開口OPの内枠に配置される。次いで、足場固定台FBにレールRAと足場板SPと養生板CPとが取り付けられる。これにより、ケーシングCS内に、仮設の足場が設置される。
【0097】
次いで、ケーシングCSの外部において、仮設器具TA上に本装置1が設置される。このとき、昇降部10は、上昇していない。
【0098】
次いで、本装置1は、ケーシングCSの外部から開口OPを通って、ケーシングCSの内部に移動する。本装置1は、仮設器具TA(レールRA)上を車輪61が回転することにより移動する(前進する)。このとき、本装置1は、作業者により、押されて(または引かれて)ケーシングCSの外部から内部に移動する。本装置1は、上部スプロケットSU(第1上部スプロケットSU1)の下方付近まで移動する。
【0099】
次いで、本装置1は、回転部30により、本体部20の向きと、替歯受部50の向きと、を水平方向に90度回転させる。このとき、本体部20の回転は、作業者により行われる。また、作業者により、替歯受部50が上部スプロケットSUの替歯STの真下に位置するように、本装置1の左右方向の位置が調整される。
【0100】
次いで、本装置1は、昇降部10により替歯受部50を上昇させる。このとき、替歯受部50は、作業者による操作レバー(不図示)の操作等により、上昇される。
【0101】
次いで、本装置1は、上昇した替歯受部50で、替歯STを支持する。このとき、替歯受部50は、作業者により、本体部20のスライド軸に沿って前後方向にスライドされる。また、替歯受部50は、回動部40の回動により、締結孔ST2hの位置と、挿通孔53h(挿通孔53h0-53h9)のいずれの位置とが一致するように回動される。すなわち、回動部40は、替歯受部50を回動することで、締結孔ST2hに対する挿通孔53hの位置決めをする。すなわち、回動部40は、挿通孔53h(挿通孔53h0-53h9)のうち、1の挿通孔53hが締結孔ST2hと連結する位置に、替歯受部50を回動する。
【0102】
次いで、本装置1は、締結部材70が挿通孔53hと締結孔ST2hとに挿通されて、替歯STを保持する。このとき、締結部材70は、作業者により、前側板51aの挿通孔53hと、締結孔ST2hと、後側板51bの挿通孔53hと、に順に挿通されて、その先端側が締結部材70のナットにより締め付けられる。
【0103】
次いで、本装置1は、回転規制部材80が回転規制孔54hに挿通されて、替歯STが回転すること(傾くこと)を規制する。このとき、回転規制部材80は、作業者により、回転規制孔54hに挿通されて、先端側がナットにより締め付けられる。
【0104】
次いで、スプロケット本体SBから替歯受部50に支持された替歯STが取り外される。このとき、作業者により、スプロケット本体SBと替歯STとを連結する連結部材(不図示)が取り外される。これにより、スプロケット本体SBから摩耗した替歯STが取り外される。
【0105】
次いで、本装置1は、昇降部10により替歯受部50を下降する。このとき、替歯受部50は、作業者による操作レバー(不図示)の操作等により、下降される。
【0106】
図21は、本装置1が水平方向に90度旋回して、ケーシングCSの内部から外部に移動している状態を示す説明図である。
図22は、本装置1が、ケーシングCSの外部に移動された状態を示す説明図である。
【0107】
次いで、替歯受部50が下降した本装置1は、回転部30により、本体部20の向きと、替歯受部50の向きとが元の向きになるように、水平方向に90度回転させる。
【0108】
次いで、本装置1は、ケーシングCSの内部から開口OPに向けて移動する。本装置1は、仮設器具TA(レールRA)上を車輪61が回転することにより移動する(前進する)。このとき、本装置1は、作業者により、押されて(または引かれて)移動する。
【0109】
ここで、替歯STを支持した状態で本装置1が開口OPまで移動したとき、替歯受部50の一部が開口OPに上部に引っかかることがある。このとき、本装置1は、回動部40の回動により、替歯受部50の傾きを変える。
【0110】
次いで、本装置1は、開口OPを通って、ケーシングCSの外部に移動する。
【0111】
以上により、上部スプロケットSUから摩耗した替歯STが取り外される。
【0112】
一方、上部スプロケットSUに交換用の新しい替歯を取り付ける場合には、先ず、取り外された摩耗した替歯STを、本装置1から取り外して、交換用の新しい替歯を本装置1に支持させる。
【0113】
なお、以降の本装置をケーシングの外部から内部に移動させて、交換用の新しい替歯をスプロケット本体に取り付けるための本装置の動作は、図15図22を参照して説明された動作の反対の動作である。
【0114】
このように、本装置1は、上部スプロケットSUの替歯STの交換に用いられる。
【0115】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、昇降部10と、本体部20と、回転部30と、回動部40と、替歯受部50と、運搬部60と、締結部材70と、回転規制部材80と、を有してなる。そのため、本装置1が用いられることで、手作業の業務が減る。その結果、容易に替歯を交換できる。
【0116】
また、以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、昇降部10を有してなる。そのため、本装置1は、替歯受部50を交換対象の替歯STの高さまで上昇させたり、下降させたりできる。すなわち、作業者は、替歯STを持ち上げたり降ろしたりしない。そのため、作業者にかかる負担は、低減される。
【0117】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、回動部40を有してなる。そのため、本装置1は、替歯受部50を任意の傾き角度に回動できる。すなわち、本装置1は、替歯受部50を回動させて替歯受部50の角度(向き)を変えることで、スプロケットから取り外される替歯(摩耗した替歯)の位置や向きに、替歯受部50の位置や向きを合わせることができる。そのため、作業者は、替歯を取り外す際に、交換対象の替歯の位置や向きに合わせて、交換対象の替歯を支える必要がなくなる。同様に、本装置1は、替歯受部50を回動させて替歯受部50の角度(向き)を変えることで、替歯受部50に支持されてスプロケットに取り付けられる替歯(新しい替歯)の位置や向きを、スプロケットの所望の取り付け位置や向きに合わせることができる。そのため、作業者は、替歯を取り付ける際に、取り付け位置や向きに合わせて、交換用の替歯を支える必要がなくなる。このように、作業者は、容易に替歯を交換(取り外し・取り付け)できる。つまり、作業者にかかる負担は、低減される。
【0118】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、運搬部60を有してなる。そのため、本装置1が重い替歯STを支持していても容易に本装置1は移動できる。
【0119】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、締結部材70を有してなる。そのため、替歯受部50が替歯STを支持したとき、本装置1は、支持した替歯STを確実に保持できる。このとき、替歯STは、前側板51aと、後側板51bと、により面で保持される。しかも、締結部材70のナットによりボルトの先端が締め付けられることで、替歯STは、替歯受部50より面圧を受ける。つまり、替歯は、前側板51aと後側板51bとにより挟持されて、前側板51aと後側板51bとによる面圧を受けて替歯受部50に固定(保持)される。そのため、替歯受部50による替歯STの保持力は、高まる。
【0120】
また、締結部材70が挿通される替歯STの締結孔ST2hは、替歯STに施された既設の孔である。すなわち、この孔は、従来の手作業で替歯を交換するときに、替歯をスプロケット本体まで搬送するために作業者が持つ治具が通される孔である。つまり、締結孔ST2hは、本装置1を用いるために新たに施された孔ではない。そのため、本装置1を用いるために新しい替歯を創作する必要はなく、本装置1は、従来から使用されているスプロケットの替歯を交換するときに使用できる。
【0121】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、回転規制部材80を有してなる。そのため、替歯STが替歯受部50に支持された状態は、支持された替歯STは、回転規制部材80により動きが規制されるので、自重による回転(傾き)を規制できる。
【0122】
なお、本装置が用いられるのは、連続アンローダが備えるスプロケットの替歯交換に限定されない。すなわち、例えば、本装置は、連続アンローダ以外の大型の機械装置が備えるスプロケットの替歯交換に用いられてもよい。
【0123】
また、回転規制部材は、替歯の回転(傾き)を規制できればよく、ボルトとナットに限定されない。すなわち、例えば、回転規制部材は、ボルトのみでもよい。この場合、例えば、ボルトは雄ネジで、ボルトが挿通する回転規制孔の内部は雌ネジにすればよい。
【0124】
さらにまた、スプロケット替歯交換装置が交換するスプロケットの替歯は、上部スプロケットの替歯に限定されない。すなわち、例えば、スプロケット替歯交換装置は、下部スプロケットの替歯を交換するときに用いられてもよい。
【0125】
さらにまた、本装置は、締結部材と回転規制部材とを備えなくてもよい。すなわち、例えば、締結部材と回転規制部材とは、スプロケット替歯交換装置を用いるときに使用される替歯固定治具として、スプロケット替歯交換装置とは別の治具であってもよい。このとき、例えば、その治具は、締結部材と回転規制部材とが一体に構成された治具としてもよい。
【0126】
さらにまた、本装置は、締結部材と回転規制部材とのうち、締結部材のみを備えて、回転規制部材を備えなくてもよい。すなわち、例えば、替歯受部に支持された替歯が締結部材の締め付けにより、替歯受部からの面圧を受けることで、替歯が替歯受部に支持されている姿勢を維持できれば、回転規制部材は無くてもよい。この場合、替歯受部は、回転規制孔を備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1 スプロケット替歯交換装置
10 昇降部
11 天板
20 本体部
21 支持部
30 回転部
40 回動部
41 回動軸
42 ハンドル
50 替歯受部
51 側板
51a 前側板
51b 後側板
52h 側板連結孔
53h 挿通孔
54h 回転規制孔
55 側板連結部材
60 運搬部
61 車輪
70 締結部材
80 回転規制部材
UL 連続アンローダ
BE バケットエレベータ
CS ケーシング
OP 開口(作業用通用口)
BC バケット
CH チェーン
HM 保持部材
S スプロケット
SU 上部スプロケット
SL 下部スプロケット
SB スプロケット本体
SB1 替歯保持部
SB1h 本体側連結孔
ST 替歯
ST1 基部
ST1h 替歯側連結孔
ST2 歯部
ST2h 締結孔
ST3 段部
TA 仮設器具
FB 足場固定台
RA レール
SP 足場板
CP 養生板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22