(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】半導体装置、光検出システム、発光システム、および移動体
(51)【国際特許分類】
H01L 31/10 20060101AFI20240508BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240508BHJP
H01L 33/08 20100101ALI20240508BHJP
H10K 30/60 20230101ALI20240508BHJP
H10K 30/80 20230101ALI20240508BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240508BHJP
H10K 50/80 20230101ALI20240508BHJP
【FI】
H01L31/10 A
H01L27/146 E
H01L33/08
H10K30/60
H10K30/80
H10K50/10
H10K50/80
(21)【出願番号】P 2019061556
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】矢島 孝博
(72)【発明者】
【氏名】角田 隆行
(72)【発明者】
【氏名】島津 晃
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-033972(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0294767(US,A1)
【文献】特開2009-081296(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0230865(US,A1)
【文献】特開2017-037952(JP,A)
【文献】特開2012-178429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/0392
H01L 31/08-31/173
H01L 27/14-27/15
H01L 33/00-33/64
H10K 30/00-30/89
H10K 39/00-39/38
H10K 50/00-50/88
H10K 59/00-59/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する基板と、
前記基板の上に配された上部電極と、
前記基板と前記上部電極との間に配された第1下部電極と、
前記基板と前記上部電極との間に配された第2下部電極と、
前記第1下部電極と前記第2下部電極との間に配された分離領域と、
前記第1下部電極と前記上部電極との間、および、前記第2下部電極と前記上部電極との間に配され、発光あるいは光電変換を行う機能層と、
前記第1下部電極と前記機能層の間に配された部分と、前記第2下部電極と前記機能層の間に配された部分とを有する界面層と、を有する半導体装置であって、
前記機能層は、前記第1下部電極と前記第2下部電極との間に配され、前記界面層の前記第1下部電極と前記機能層の間に配された部分の上面よりも前記主面から離れた位置に配された第1部分を有する、第1絶縁体部を有し、
前記第1絶縁体部は空隙であり、前記分離領域は空隙でなく、
前記主面に対する平面視において、前記第1下部電極と前記第2下部電極との間の領域に前記機能層が連続的に配されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1絶縁体部は、前記界面層の前記第1下部電極と前記機能層の間に配された部分の上面よりも前記主面の近くに位置する第2部分を有することを特徴とする請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1絶縁体部は、前記第1下部電極の上面よりも前記主面の近くに位置する第3部分を有することを特徴とする請求項1
または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1絶縁体部は前記第1下部電極の側面に接することを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記機能層は第2絶縁体部を更に有し、前記第2絶縁体部は、前記第1絶縁体部と前記第2下部電極との間に配され、前記界面層の前記第1下部電極と前記機能層の間に配された部分の上面よりも上に位置し、前記主面に平行な面に沿った平面視において前記機能層に囲まれる第1部分を有することを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2絶縁体部が空隙であることを特徴とする請求項
5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記分離領域の上面と前記主面との距離が、前記第1下部電極の上面と前記主面との距離と同じであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記分離領域の上面と前記主面との距離が、前記第1下部電極の上面と前記主面との距離より大きいことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
主面を有する基板と、
前記基板の上に配された上部電極と、
前記基板と前記上部電極との間に配された第1下部電極と、
前記基板と前記上部電極との間に配された第2下部電極と、
前記第1下部電極と前記第2下部電極との間に配された分離領域と、
前記第1下部電極と前記上部電極との間、および、前記第2下部電極と前記上部電極との間に配され、発光あるいは光電変換を行う機能層と、
前記第1下部電極の上面と前記機能層の間に少なくとも配された界面層と、を有する半導体装置であって、
前記機能層は、第1絶縁体部を有し、
前記第1絶縁体部は空隙であり、前記分離領域は空隙でなく、
前記第1下部電極と前記第1絶縁体部との間に前記界面層が位置し、
前記主面に対する平面視において、前記第1下部電極と前記第2下部電極との間の領域に前記機能層が連続的に配されることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
前記分離領域の上面と前記主面との距離が、前記第1下部電極の上面と前記主面との距離よりも大きいことを特徴とする請求項
9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記主面に対する平面視において、前記第1絶縁体部は、前記第1下部電極上に配されることを特徴とする請求項
9または10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記界面層は前記分離領域の上面と前記機能層との間に配され、
前記分離領域に配された前記界面層の上面と前記主面との距離は、前記第1絶縁体部の上面と前記主面との距離よりも大きいことを特徴とする請求項1
0に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記分離領域の一部は前記第1下部電極の一部の上および前記第2下部電極の一部の上に位置し、
前記第1絶縁体部と前記第1下部電極の上面との間、且つ前記第1絶縁体部と前記分離領域の一部との間に前記界面層が配されていることを特徴とする請求項1
0に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記空隙は、真空、空気、あるいは気化した前記機能層の構成要素の一部が含まれていることを特徴とする請求項1乃至1
3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記界面層は、前記第1下部電極と前記機能層との間で一方の電荷の受け渡しを制限することができるキャリア注入阻止層であることを特徴とする請求項1乃至
14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記基板は、前記第1下部電極と電気的に接続されたトランジスタを有することを特徴とする請求項1乃至1
5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記機能層は、有機材料からなる光電変換層であることを特徴とする請求項1乃至
16のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記機能層は、複数のナノ粒子の集合体を含む量子ドットからなる光電変換層であることを特徴とする請求項1乃至
17のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記複数のナノ粒子の集合体は、PbS、PbSe、PbTe、InP、InAs、CdS、CdSe、CdTeのいずれかを含むことを特徴とする請求項
18に記載の半導体装置。
【請求項20】
請求項1乃至
19のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記機能層は光電変換を行い、
前記半導体装置が取得した信号を処理する信号処理部と、を有する光検出システム。
【請求項21】
請求項1乃至
19のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記機能層は光電変換を行い、
前記半導体装置が取得した信号を処理する信号処理部と、を有する移動体。
【請求項22】
前記機能層は、有機材料からなり、発光を行うことを特徴とする請求項1乃至
16のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項23】
請求項2
2に記載の半導体装置と、
前記半導体装置を発光させるための制御信号を供給する制御部と、を有する発光システム。
【請求項24】
請求項2
2に記載の半導体装置と、
前記半導体装置を発光させるための制御信号を供給する制御部と、を有する移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、光検出システム、発光システム、および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの電極と光電変換層とを光電変換部として有する画素が配された光電変換装置が知られている。特許文献1の光電変換装置は、1つの電極の上に配された絶縁部材を、光電変換層が覆う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らの検討の結果、特許文献1の構成では、隣接画素との電気的な分離が十分ではない場合がある。そこで、本発明では、光電変換層などの機能層にて生じるクロストークの低減を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの側面は、主面を有する基板と、前記基板の上に配された上部電極と、前記基板と前記上部電極との間に配された第1下部電極と、前記基板と前記上部電極との間に配された第2下部電極と、前記第1下部電極と前記第2下部電極との間に配された分離領域と、前記第1下部電極と前記上部電極との間、および、前記第2下部電極と前記上部電極との間に配され、発光あるいは光電変換を行う機能層と、前記第1下部電極と前記機能層の間に配された部分と、前記第2下部電極と前記機能層の間に配された部分とを有する界面層と、を有し、前記機能層は、前記第1下部電極と前記第2下部電極との間に配され、前記界面層の前記第1下部電極と前記機能層の間に配された部分の上面よりも前記主面から離れた位置に配された第1部分を有する、第1絶縁体部を有し、前記第1絶縁体部は空隙であり、前記分離領域は空隙でなく、前記主面に対する平面視において、前記第1下部電極と前記第2下部電極との間の領域に前記機能層が連続的に配される。
【0006】
本発明の別の側面は、主面を有する基板と、前記基板の上に配された上部電極と、前記基板と前記上部電極との間に配された第1下部電極と、前記基板と前記上部電極との間に配された第2下部電極と、前記第1下部電極と前記第2下部電極との間に配された分離領域と、前記第1下部電極と前記上部電極との間、および、前記第2下部電極と前記上部電極との間に配され、発光あるいは光電変換を行う機能層と、前記第1下部電極の上面と前記機能層の間に少なくとも配された界面層と、を有し、前記機能層は、第1絶縁体部を有し、前記第1絶縁体部は空隙であり、前記分離領域は空隙でなく、前記第1下部電極と前記第1絶縁体部との間に前記界面層が位置し、前記主面に対する平面視において、前記第1下部電極と前記第2下部電極との間の領域に前記機能層が連続的に配される。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、光電変換層などの機能層にて生じるクロストークの低減を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態における半導体装置を示す断面模式図である。
【
図2】(a)第1実施形態における半導体装置を示す断面模式図である。(b)第1実施形態における半導体装置の変形例を示す断面模式図である。
【
図3】(a)第2実施形態における半導体装置を示す断面模式図である。(b)第2実施形態における半導体装置の変形例を示す断面模式図である。
【
図4】(a)第3実施形態における半導体装置を示す断面模式図である。(b)第3実施形態における半導体装置の変形例を示す断面模式図である。
【
図5】(a)第4実施形態における半導体装置を示す断面模式図である。(b)第4実施形態における半導体装置の変形例を示す断面模式図である。(c)第4実施形態における半導体装置の変形例を示す断面模式図である。
【
図6】(a)第5実施形態における半導体装置を示す断面模式図である。(b)第5実施形態における半導体装置の変形例を示す断面模式図である。(c)第5実施形態における半導体装置の変形例を示す断面模式図である。
【
図7】(a)第1実施形態における半導体装置を示す平面模式図である。(b)第3実施形態における半導体装置を示す平面模式図である。(c)第3実施形態における半導体装置の変形例を示す平面模式図である。
【
図8】第1実施形態における半導体装置の製造方法を示す断面模式図である。
【
図9】第4実施形態における半導体装置の製造方法を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明に係る半導体装置について説明する。各実施形態は、いずれも本発明の一例を示しており、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続などは、本発明を限定するものではない。例えば、各実施形態では、半導体装置として光電変換装置を用いているが、発光装置にも適用可能である。また、各実施形態においてトランジスタや半導体領域などの説明を行うが、その導電型は適宜変更可能である。
【0010】
各図面において同じ符号が付されている構成は、同等の構成を指すものとして説明を省略する。また、繰り返しパターンや同一の構成物と理解できるものについては、符号を省略する場合がある。
【0011】
(第1実施形態)
本発明に係る半導体装置として、本実施形態では光電変換装置を用いて説明する。
図1は、光電変換装置の3つの単位セル120を示す断面模式図である。ここで、
図1は上方向であるZ方向とX方向を含む面での断面である。単位セル120は画素や副画素とも称される。各単位セル120は等価な回路構成を有する。ここで、半導体装置が光電変換装置の場合には、単位セル120は少なくとも1つの光電変換素子を有する。半導体装置が発光装置の場合には、単位セル120は少なくとも1つの発光素子を有する。光電変換素子と発光素子は、後に説明する機能層の材料を適宜、選択することによって構成される。また、光電変換装置や発光装置の単位セルの回路構成については、適宜、設定される。次に、
図1の光電変換装置について詳細に説明する。
【0012】
図1において、基板100は主面P1を有する。基板100の材料は、ガラスやセラミックなどでもよく、本実施形態ではシリコン単結晶からなる半導体基板である。基板100は、トランジスタ101や素子分離部113を有する。トランジスタ101は、ソース・ドレイン領域102と、ゲート絶縁膜103と、ゲート電極104と、ソース・ドレイン領域105と、を含む。ゲート電極104は、主面P1の上に配される。ゲート絶縁膜103は、ゲート電極104と主面P1との間に位置する。ソース・ドレイン領域102とソース・ドレイン領域105は、基板100の内部に配される。
【0013】
基板100の主面P1の上には、配線構造体106が配されている。配線構造体106は、コンタクトプラグ107と、配線層108と、ビアプラグ109と、配線層110と、ビアプラグ111と、絶縁膜112とを有する。絶縁膜112は、
図1では詳細に示していないが多層膜であってもよい。これらの部材は、一般的な半導体材料を用いることができる。
【0014】
基板100の上には、上部電極134が配されている。本実施形態においては、上部電極134は、3つの単位セル120に渡って連続して設けられている。そして、上部電極134の上面と下面は平坦である。また、下部電極131は配線構造体106に含まれているともいえる。下部電極131は、基板100と上部電極134との間に配されている。下部電極131は、単位セル120ごとに少なくとも1つが含まれる。本実施形態では、単位セル120ごとに1つの下部電極131が配された構成を示している。複数の下部電極131の間には、分離領域130が配されている。分離領域130は、配線構造体106の絶縁膜112であってもよい。機能層133は、それぞれの下部電極131と上部電極134との間に配されている。機能層133は、発光あるいは光電変換を行う。機能層133が発光を行う場合には、下部電極131は発光と非発光の制御や発光強度を制御する制御信号を機能層133へ供給しうる。機能層133が光電変換を行う場合には、下部電極131は光電変換によって生じた電荷に基づく信号を読み出しうる。本実施形態では、機能層133は光電変換を行うものとして説明する。機能層133と複数の下部電極131との間に界面層132が配されている。
図1では、互いに分離された3つの界面層が示されている。ここで、界面層132は、例えば、機能層133と1つの下部電極131との間に配された部分と、機能層133と1つの下部電極131とは別の下部電極131との間に配された部分を有するとも言える。界面層132は、下部電極131と機能層133との間で一部のキャリアに関して電気的絶縁を確保するための層である。また、界面層132は、下部電極131と機能層133との間で別のキャリアに関しては導通を確保する層である。界面層132は、キャリア注入阻止層ともいえる。また、界面層132は、密着層としても機能することが可能であり、下部電極131と機能層133との濡れ性が悪いために起こる膜剥がれを抑制しうる。界面層132がない部分は、下部電極131と機能層133、あるいは分離領域130と機能層133のそれぞれの界面に絶縁体部135が形成されうる。界面層132は、正孔を捕集する電極(正極)には、電子をブロックして正孔のみ伝導する層(電子ブロック界面層)を、電子を捕集する電極(負極)には、正孔をブロックして電子のみ伝導する層(ホールブロック界面層)を適用することができる。
【0015】
図1において、上部電極134の上には、Z方向に沿って、絶縁層136と、カラーフィルタ層137と、平坦化層138と、マイクロレンズ層139とがこの順に配されている。絶縁層136は、保護層や封止層として機能しうる。カラーフィルタ層137は、複数の色に対応したカラーフィルタを有する。例えば、1つの単位セル120は、1つのカラーフィルタを含む。平坦化層138は、カラーフィルタ層137の上に配され、平坦な上面を有する。マイクロレンズ層139は、複数のマイクロレンズを有する。例えば、1つの単位セル120は、1つのマイクロレンズを含む。
【0016】
本実施形態の半導体装置は、2つの下部電極131の間に配された絶縁体部135を有する。絶縁体部135について、
図1と
図2(a)を用いて説明する。ここで、本実施形態においては、絶縁体部135は空隙であり、例えば空気や絶縁性のガスが含まれているものとする。
【0017】
図2(a)は、
図1の配線構造体106の一部からカラーフィルタ層137までを拡大した断面図である。絶縁体部135は、下部電極131の上に配された界面層132の上面よりも主面P1から離れた位置に配された部分201を有する。また、絶縁体部135は、主面P1に垂直な断面視において、機能層133に囲まれる部分201を有する。ここで、絶縁体部135と界面層132と下部電極131の位置関係について説明する。主面P1からZ方向に沿って高さH1、高さH2、高さH3を取る。この時、高さH1は、下部電極131の上面131Tと、界面層132の下面132Bと、絶縁体部135の下面135Bと、を含む。高さH2は、界面層132の上面132Tを含む。高さH3は、絶縁体部135の上面135Tを含む。ここで、絶縁体部135が有する部分201は、界面層132の上面132Tよりも主面P1から離れた位置に配されている。つまり、部分201は、高さH2と高さH3の間に位置する。このような絶縁体部135によって、上部電極134と下部電極131の間に電圧が印加される状態において、隣接する単位セル120方向への電界強度を緩和することができる。これは、部分201によって
図2(a)の点線で示す電界E1が弱められるためである。よって、下部電極131の上に生成したキャリアだけを、選択的にかつ有効に収集することが可能になる。
【0018】
更に、絶縁体部135は部分202を有する。部分202は、界面層132の上面132Tよりも主面P1の近くに位置する。また、部分202は、高さH1と高さH2の間に位置する。部分202は、主面P1に垂直な断面において、主面P1に平行な方向(例えばX方向)に沿って2つの界面層132の間に位置する。絶縁体部135によって、隣接する下部電極131の界面層132が分離され連続していない。このような構成によって、界面層132の電気伝導率が高い場合においても、隣接する単位セル120のキャリアが界面層132を介して混入することを低減することができる。界面層132は、膜厚方向、
図2(a)ではZ方向にはキャリア注入をブロックできるが、界面層132の水平方向、
図2(a)ではX方向には界面層132の電気伝導率が高いとキャリアが自由に動くことができる。つまり、界面層132の電気伝導率が高いと、単位セル間のリーク電流や単位セル間のクロストークが発生しうる。
【0019】
なお、本実施形態において、機能層133の一部は、主面P1に平行な面での平面視において、絶縁体部135で囲まれているとも言える。機能層133の一部は、下部電極131の上であって、高さH2と高さH3の間に位置する部分である。このような構成によって、単位セル120と、それに隣接する単位セル120との間のクロストークを低減することができる。
【0020】
更には、機能層133と絶縁体部135の材料として、それらの屈折率の差が大きくなる材料を選択すれば、絶縁体部135の側面に到達した光を絶縁体部135で反射し下部電極131の上に集光することができる。すなわち、絶縁体部135と機能層133の材料を選択することで、絶縁体部135に囲まれた機能層133が導光部として機能しうる。
【0021】
図7(a)は、下部電極131と界面層132と絶縁体部135の平面的な位置関係を説明する平面模式図である。下部電極131と界面層132は矩形を呈しており、下部電極131よりも界面層132の方が大きく、界面層132の外縁によって下部電極131は内包されている。単位セル120の境界部に絶縁体部135が配されており、単位セル120が2次元に配される場合には、絶縁体部135は格子状であり、各下部電極131を囲んでいる。なお、下部電極131の外縁と絶縁体部135の外縁が同一の位置にあってもよい。本実施形態では、下部電極131と絶縁体部135の製造時のばらつきを考慮し、下部電極131の外縁から離間した位置に絶縁体部135の外縁が位置している。離間距離は、単位セル120の大きさに応じて、0.01μm以上5.0μm以下の間に設定することができる。クロストークを低減させるためには、この離間距離を小さくすることが好ましく、0.01μm以上0.1μm以下が良い。また、絶縁体部135の面積が大きくなると、機能層133と界面層132とが接する面積が減るため、機能層133の膜剥がれが生じる可能性がある。機能層133と界面層132の材料などを考慮しつつ、単位セル120の面積に対する絶縁体部135や機能層133の面積比を設定することが好ましい。絶縁体部135の大きさは、0.1nm~20μmの範囲である。絶縁体部135は、機能層133より薄い場合もありうる。機能層133が量子ドットで構成される場合は、絶縁体部135の大きさが、ナノ粒子(平均粒子径が0.5nm以上100nm未満)と同程度の大きさであってもよい。また、
図7(a)に示すように絶縁体部135は、絶縁体部135は、格子状の1つの領域として示され、連続的な形状を有しているが、部分的に切断され、断続的に存在していてもよい。
【0022】
図2(b)は本実施形態の半導体装置の変形例を示す断面模式図である。
図2(b)では、絶縁体部135の幅が狭くなっている点と、絶縁体部135が部分203を有する点が異なる。まず、
図2(a)では絶縁体部135は幅W1を有する。しかし、
図2(b)では絶縁体部135は幅W1よりも小さい幅W2を有している。ここで、幅W1と幅W2はそれぞれの絶縁体部135の最大幅とする。絶縁体部135の幅が狭いことで、機能層133の面積が大きくなるため、感度を向上させることができる。次に、絶縁体部135が有する部分203は、高さH1よりも主面P1側に位置し、高さH1と主面P1との間に位置する。部分203を有することで、単位セル120の間の電気的分離を行うことが可能となる。なお、部分203の高さH1からの深さについては、適宜変更することができる。
【0023】
(第1実施形態の半導体装置の材料)
第1実施形態の半導体装置の材料について説明する。まず、機能層133について説明する。本実施形態における機能層133は、光電変換膜である。その材料としては、無機材料であっても有機材料であってもよい。例えば、光電変換膜は、非晶質(アモルファス)シリコン、有機半導体、又は化合物半導体材料のナノ粒子の集合体である量子ドット、等を用いることができる。有機半導体としては、例えばフラーレン(C60)、クマリン6(C6)、ローダミン6G(R6G)、キナクリドン、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系等が好適である。本実施形態では、化合物半導体材料のナノ粒子の集合体である量子ドットを例として説明する。
【0024】
機能層133を構成する量子ドットは、ナノ粒子(平均粒子径が0.5nm以上100nm未満)からなる。ナノ粒子の材料としては、例えば一般的な半導体結晶である、IV族半導体、III-V族、II-VI族の化合物半導体、II族、III族、IV族、V族、および、VI族元素の内3つ以上の組み合わせからなる化合物半導体などである。具体的には、PbS、PbSe、PbTe、InN、InAs、InP、InSb、InAs、InGaAs、CdS、CdSe、CdTe、Ge、CuInS、CuInSe、CuInGaSe、Siなどの比較的バンドギャップの狭い半導体材料が挙げられる。これらは、半導体量子ドットとも呼ばれる。量子ドットとしては、これらの半導体量子ドット材料を少なくとも1種類含んでいればよい。量子ドットは、半導体量子ドット材料を核(コア)とし、半導体量子ドット材料を被覆化合物で覆ったコアシェル構造であってもよい。半導体量子ドット材料は、以上の中でも、量子ドットの合成のし易さから、PbS、またはPbSeであることが望ましい。量子ドットの平均粒径は、2nm~15nmであることが望ましい。量子ドットの粒径の測定には、透過型電子顕微鏡を用いる。量子ドットの平均粒径が、15nm以下であれば、量子サイズ効果によるバンドギャップの制御が可能となる。量子ドットの平均粒径を2nm以上とすることで、量子ドットの合成において、量子ドットの結晶成長を制御し易くすることができる。量子ドットとしてナノ粒子の集合体を含んで構成される機能層133の製造方法は特に限定されない。機能層133の膜厚は、特に制限されないが、高い電気伝導性を得る観点から、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。また、製造し易さの観点から、機能層133の膜厚は、800nm以下であることが好ましい。
【0025】
次に、界面層132の材料について説明する。本実施形態では、界面層132は、下部電極131と機能層133、あるいは分離領域130と機能層133、の濡れ性が悪いために起こる機能層133の膜剥がれを抑制するためにも有効な膜でもある。界面層132がない部分は、下部電極131と機能層133、あるいは分離領域130と機能層133、それぞれの界面に絶縁体部135を設けることができる。界面層132の種類としては、電子をブロックして正孔のみ伝導する層(電子ブロック界面層)と、正孔をブロックして電子のみ伝導する層(ホールブロック界面層)がある。例えば、正孔を捕集する電極(正極)に対しては電子ブロック界面層を、電子を捕集する電極(負極)にはホールブロック界面層を設けることができる。以下、機能層133が光電変換を行う光電変換層であるとして説明する。
【0026】
電子ブロック界面層の場合について説明する。電子ブロック界面層の材料としては、光電変換層で生成した正孔を効率よく正極へ輸送できるものが好ましい。その材料は、正孔移動度が高いこと、電気伝導率が高いこと、正極との間の正孔注入障壁が小さいこと、光電変換層から電子ブロック界面層への正孔注入障壁が小さいこと、などの性質を有することが好ましい。さらに、電子ブロック界面層を通して光電変換層に光を取り込む場合には、電子ブロック界面層の材料として、透明性の高い材料を用いることが好ましい。可視光を光電変換層に取り込む場合には、透明な電子ブロック界面層材料としては、透過する可視光の透過率が、通常60%以上、中でも80%以上となるものを用いることが好ましい。このような観点から、電子ブロック界面層材料として、酸化モリブデンMoO3、酸化ニッケルNiO2等の無機半導体などのP型半導体材料が挙げられる。一方、ホールブロック界面層に求められる機能は、光電変換層から分離された正孔をブロックし、電子を負極に輸送することであるので、上記ホールブロック界面層の記載において、正極を負極に、P型半導体をN型半導体に、正孔を電子に置き換えたものである。また、負極側から光を照射する構成や負極側から反射した光を有効に利用することも考えられ、その場合には透過率も高い必要がある。このような観点から、ホールブロック界面層材料の好適な例を挙げると、酸化チタンTiO2、酸化亜鉛ZnO等の無機半導体などのN型半導体材料や、フラーレンC60などのN型半導体材料が挙げられる。
【0027】
界面層132の膜厚は1nm程度~100nm程度で形成される。界面層132は、膜厚方向に対する電界印加で電荷の注入が制御できるが、膜厚に対して水平方向には、電荷が自由に動くことが可能である。界面層132の膜としての電気伝導率が高い場合には、単位セル間のリーク電流やクロストークとして生じうる。
【0028】
次に、下部電極131と上部電極134の材料について説明する。下部電極131および上部電極134は、電極として、導電性を有する任意の材料により形成することが可能である。電極の構成材料の例を挙げると、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム等の金属あるいはそれらの合金、酸化インジウムや酸化錫等の金属酸化物、あるいはその複合酸化物(例えばITO、IZO)である。また、電極の構成材料としては、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン等の導電性粒子あるいはそれらをポリマーバインダー等のマトリクスに分散したような導電性の複合材料などが挙げられる。電極の構成材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。光電変換装置や発光装置において、少なくとも一対(2個)の電極が設けられ、この一対の電極の間に機能層133が設けられる。この際、一対の電極のうち、少なくとも一方は透明であることが好ましい。なぜなら、機能層133が吸収する光を透過させる、あるいは機能層133が発光する光を透過させるためである。電極は、機能層133の内部に生じた電子および正孔を捕集する機能を有するものである。従って、電極の構成材料としては、上述した材料のうち、電子および正孔を捕集するのに適した構成材料を用いることが好ましい。正孔の捕集に適した電極の材料を挙げると、例えば、Au、ITO等の高い仕事関数を有する材料が挙げられる。一方、電子の捕集に適した電極の材料を挙げると、例えば、Alのような低い仕事関数を有する材料が挙げられる。電極の厚さには特に制限はなく、用いた材料と、必要とされる導電性、透明性等を考慮して適宜決定されるが、通常10nm~10μm程度である。
【0029】
絶縁体部135の材料について説明する。絶縁体部135は、電気的な絶縁性を保つ材料からなる。また、絶縁体部135の材料は、光学的な屈折率を低くするため、周囲の材料よりも低い密度の材料であることが好ましい。屈折率が低い材料を用いることで、絶縁体部135が導光部の壁として機能しうる。絶縁体部135は、絶縁性のガスあるいは空気が含まれることが好ましいが、機能層が気化したものであってもよい。例えば、ナノ粒子が気化したもの、ナノ粒子を分散していた溶媒の気化したもの、が含まれていてもよい。また、絶縁体部135は、真空であってもよく、あるいは、窒素、水蒸気、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンなどの気体で満たされていてもよい。あるいは、絶縁体部135は、有機溶剤等の絶縁性を有する液体や電解液、イオン液体で満たされていてもよい。また、絶縁体部135は、これらの混合物であってもよい。
【0030】
(第1実施形態の半導体装置の製造方法)
第1実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。
図8(a)~
図8(d)は、半導体装置の製造方法を示す断面模式図である。
図8(a)~
図8(d)において、加工前の部材についても加工後である
図1の部材と同一の符号を付す場合がある。
【0031】
図8(a)に示す工程を説明する。まず、配線構造体106が形成された基板100を準備する。そして、配線構造体106の上に界面層132となる膜を形成する。まず、配線構造体106が形成された基板100を準備する工程について説明する。半導体基板である基板100に、素子分離部113と、トランジスタ101を形成する。素子分離部113は、例えばSTI構造(Shallow Trench Isolarion)を有する。トランジスタ101は、例えばN型のMOSトランジスタであり、ゲート電極104、ゲート絶縁膜103、ソース・ドレイン領域102、ソース・ドレイン領域105からなる。ソース・ドレイン領域102、105は、N型の半導体領域からなる。
【0032】
次に、基板100の上に配線構造体106を形成する。コンタクトプラグ107、ビアプラグ109、ビアプラグ111は、金属、例えばAl、Cu、W、Ti、TiN等から選ばれた材料からなり、本実施形態では、チタンと窒化チタンとタングステンの積層構造を有しうる。配線層108と配線層110は、金属、例えばAl、Cu、W、Ti、TiN等から選ばれた材料からなり、本実施形態では、タンタルと銅の積層構造を有しうる。絶縁膜112は、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどの膜からなる。次に、ビアプラグ111の上に、銅やアルミニウムからなる下部電極131を形成する。下部電極131は、10nm程度~500nm程度の厚みに形成される。下部電極131を形成後に、絶縁膜112を形成する構成を有していてもよい。その際には、絶縁膜112と下部電極131の上面が高さH1で一致するように平坦化処理が行われる。平坦化処理は、エッチングあるいはCMP(Chemical Mechanical Polishing)法で行われる。これらの製造方法については、一般的な半導体プロセスが適用できる。
【0033】
その後、絶縁膜112と下部電極131の上に界面層132となる膜を形成する。界面層132となる膜は、上述の材料からなり、例えば、蒸着法やスパッタ法により形成される。界面層132となる膜は、1nm程度~100nm程度の厚みになるよう堆積される。界面層132の膜厚が薄い場合には、機能層133に印加する電圧を下げることができる。しかし、界面層132の膜厚が厚い場合には、トンネル効果による電子又はホールが通過してしまうことを低減でき、また、ピンホールなどの膜欠陥を避けることができる。例えば、界面層132の膜厚は下部電極131の表面の凹凸よりも厚くすることで、界面層132の欠陥を低減することができる。これらの観点を考慮して、界面層132の膜厚は適宜、設定されうる。このようにして、
図8(a)の構成が出来上がる。
【0034】
次に、
図8(b)に示すように、界面層132の一部を除去する。界面層132となる膜の上に、フォトリソグラフィーによりレジストマスクを形成し、このレジストマスクを用いて絶縁膜112の表面の一部が露出するまでエッチングすることにより、界面層132を除去することができる。
【0035】
続いて、
図8(c)に示すように、機能層133を形成する。具体的には、化合物半導体のナノ粒子の集合体である量子ドットを、全面に堆積し、機能層133を形成する。機能層133は、分離領域130を構成する絶縁膜112と界面層132を覆うように形成される。機能層133は、下部電極131および下部電極131以外の分離領域130の上に形成されるが、下部電極131と一部の分離領域130では、界面層132の上に形成される。分離領域130の上では界面層132を除去したため、機能層133が一部設けられていない。このような機能層133がない領域については、上述したように、絶縁体部135が形成される。
【0036】
ここで、絶縁体部135の形成方法について詳細に説明する。上述したように、界面層132を除去することによって、絶縁体部135を形成することができる。界面層132の除去方法については、例えば、凸部を有する構造においては、界面層132を蒸着方法やスパッタ法を用いて形成すると、凸部の側面に界面層132の膜厚が薄い、あるいは界面層132が堆積しない部分を形成することができる。また、界面層132を成膜した後に、フォトリソグラフィーによりレジストマスクを形成し、このレジストマスクを用いて界面層132に対してエッチングを行うことで、界面層132を除去することができる。
【0037】
また、絶縁体部135は機能層133に対して熱処理を行うことで形成することもできる。更に、絶縁体部135は、機能層133に対してではなく、カラーフィルタ層137を形成する際の熱処理を行うことによって形成することもできる。これは、機能層133の加熱時の変形を利用する方法である。例えば、機能層133がナノ粒子の集合体で構成された量子ドット材料の場合、線膨張係数は約1x10-4/Kとなる。基板100のシリコンの線膨張係数は約4×10-6/Kであるので、機能層133の線膨張係数は25倍も大きい。基板100の上に機能層133が形成された状態で加熱処理を行うことで、機能層133の変形を利用し、絶縁体部135を形成することができる。
【0038】
その後、上部電極134を形成する。詳細には、ITO、IZO、又はZnO等を機能層133上に堆積し、上部電極134を形成する。そして、絶縁層136、カラーフィルタ層137、平坦化層138、マイクロレンズ層139を順次形成する。これらの製造方法は、一般の半導体装置の製造方法が適用できる。以上のようにして、
図1に示す半導体装置を製造することができる。
【0039】
以上のように本実施形態によれば、上部電極134と下部電極131の間に電圧が印加される状態において、隣接する単位セル120へ広がる電界を緩和することができる。そして、本実施形態によれば、下部電極131の上に生成したキャリアだけを、選択的にかつ有効に収集することが可能になる。また、隣接する下部電極131の間の界面層132の一部を除去する構成を有することで、隣接する単位セル120で生成したキャリアによるクロストークを低減することができる。隣接する下部電極131の間の機能層133の一部に絶縁体部135を有することで、隣接する単位セル120で生成したキャリアによるクロストークを低減することができる。このように、本実施形態の半導体装置によれば、クロストークを低減することが可能となる。また、機能層133と絶縁体部135との屈折率の差が大きい場合には、絶縁体部135の側面に到達した光を、絶縁体部135で反射させ、下部電極131の上に集光することができるため、感度の向上が可能である。
【0040】
(第2実施形態)
本実施形態の半導体装置の断面模式図を
図3(a)に示す。
図3(a)は、
図2(a)に対応する断面模式図である。本実施形態の半導体装置の
図3(a)に示していない部分は、
図1と同様の構成を有するものとする。以下、第1実施形態との違いを中心に説明を行う。
【0041】
図3(a)の構成において、
図2(a)の構成とは、絶縁体部135の幅が異なる点と、2つの下部電極131の間に2つの絶縁体部135が配されている点が異なる。また、
図3(a)においては、1つの下部電極131に対して2つの絶縁体部135が設けられているともいえる。具体的には、1つの下部電極131の両端にそれぞれ1つの絶縁体部135が配されている。このような構成によっても、
図2(a)と同様に、隣接する単位セル120の間におけるクロストークを低減することができる。
【0042】
また、本実施形態の変形例を
図3(b)に示す。こちらは、
図3(a)の構成において、絶縁体部135が
図2(b)に示したような部分203を有する点が異なる。このような構成によっても、
図2(b)と同様に、隣接する単位セル120の間におけるクロストークを低減することができる。
【0043】
(第3実施形態)
本実施形態の半導体装置の断面模式図を
図4(a)に示す。
図4(a)は、
図2(a)に対応する断面模式図である。本実施形態の半導体装置の
図4(a)に示していない部分は、
図2(a)と同様に
図1に記載の構成を有するものとする。本実施形態では、分離領域130の構造が第1実施形態と異なる。具体的には、本実施形態の分離領域130は2つの下部電極131の間に加えて下部電極131の一部の上に配されている。分離領域130の上面130Tは下部電極131の上面131Tよりも主面P1から離れた位置に設けられている。
図4(a)では、下部電極131の上面131Tは高さH1に位置し、界面層132の上面132Tは高さH6に位置し、絶縁体部135の上面135Tは高さH6に位置する。分離領域130の上面130Tは、高さH1と高さH6の間に位置する高さH5に位置する。つまり、下部電極131と分離領域130によって上面に凹凸が構成されている。
【0044】
界面層132は、下部電極131と分離領域130によって上面に凹凸が構成されている面に沿って設けられる。界面層132は、一様な厚みの膜、下地の形状と踏襲した膜、コンフォーマルな膜などとも言える。界面層132の上面132Tの凹凸があるため、アンカー効果によって、機能層133と界面層132との密着性が向上する。また、下部電極131の上に位置する機能層133の厚みを増大させることができるため、感度の向上が可能である。
【0045】
絶縁体部135は、2つの下部電極131の間に配され、下部電極131の上に配された界面層132の上面132Tよりも上に位置する部分201を有する。
図4(a)の構造であっても、第1実施形態と同様にクロストークを低減することができる。
【0046】
絶縁体部135は、下部電極131の上に設けられている。絶縁体部135と下部電極131との間に界面層132が配されている。下部電極131の上に配された界面層132の上に絶縁体部135が配されていることによって、電界の広がりを低減し、クロストークを低減することが可能となる。
【0047】
図4(a)の構成において、各部材の位置関係を説明する。下部電極131の上面131Tは高さH1に位置し、分離領域130の上面130Tと界面層132の下面132Bは高さH5に位置する。絶縁体部135の上面135Tと界面層132の上面132Tは高さH6に位置する。高さH5は高さH6と高さH1との間に位置する。
図4(a)の下部電極131と絶縁体部135と界面層132は、
図7(b)のような平面レイアウトとなる。絶縁体部135が下部電極131を囲み、界面層132が格子状である。なお、絶縁体部135は、下部電極131を囲む1つの領域として示され、連続的な形状を有しているが、部分的に切断され、断続的に存在していてもよい。
【0048】
次に、
図4(b)を用いて、本実施形態の変形例を説明する。
図4(b)の絶縁体部135は、部分401と、
図4(a)に示した絶縁体部135に相当する部分402の両方を有する構造である。部分401は2つの下部電極131の間に位置し、分離領域130に位置する界面層132の下面132Bよりも主面P1の近くまで位置し、分離領域130に位置する界面層132の上面132Tよりも主面P1から遠くまで位置する。このような構成によっても、クロストーク低減が可能である。つまり、部分401と部分402の少なくとも1つを有する構成によって、クロストーク低減が可能である。なお、
図4(b)の下部電極131と絶縁体部135と界面層132は、
図7(c)のような平面レイアウトとなる。部分402である絶縁体部135が下部電極131を囲み、部分401である絶縁体部135はY方向に複数の単位セル120に渡って延在し、界面層132は梯子状である。なお、絶縁体部135の一部は、Y方向に沿った1つの領域として示され、連続的な形状を有しているが、部分的に切断され、断続的に存在していてもよい。また、絶縁体部135の一部は、下部電極131を囲む1つの領域として示され、連続的な形状を有しているが、部分的に切断され、断続的に存在していてもよい。
【0049】
(第4実施形態)
本実施形態の半導体装置の断面模式図を
図5(a)に示す。
図5(a)は、
図4(a)に対応する断面模式図である。本実施形態の半導体装置の
図5(a)に示していない部分は、
図4(a)と同様に
図1に記載の構成を有するものとする。本実施形態では、第4実施形態と同様に分離領域130と下部電極131とで凹凸を有する面を構成するが、分離領域130で凸部を構成していた第4実施形態とは下部電極131が凸部を構成している点で異なる。具体的には、分離領域130の上面130Tと下部電極131の下面131Bは高さH501に位置し、下部電極131の上面131Tは高さH502に位置する。界面層132の下面132Bは、分離領域130の上に配された部分は高さH501に位置し、下部電極131の上に配された部分は高さH502に位置する。下部電極131の上に配された界面層132の上面132Tは、高さH503に位置する。
【0050】
絶縁体部135は分離領域130の上であって、下部電極131の側面に配される。絶縁体部135と下部電極131との間に界面層132が位置する。つまり、絶縁体部135は下部電極131の側面に沿って配され、より詳細には下部電極131の側面に沿った界面層132に沿って配されている。絶縁体部135は、下部電極131の側面に沿った方向、例えばZ方向に長手の形状を有する。絶縁体部135によって、下部電極131の側面から界面層132を介して生じる隣接する単位セル120へ広がる電界を低減することができるためクロストークを低減することができる。また、下部電極131の側面における界面層132に欠陥があったとしても、絶縁体部135で界面層132の側面を覆うことにより、下部電極131から機能層133へのリークを低減することができる。本実施形態において、絶縁体部135の幅は10nm~1μm程度であり、絶縁体部135の高さは10nm~1μm程度である。
【0051】
図9(a)および
図9(b)は、本実施形態の半導体装置の製造方法を説明する断面模式図である。以下の説明において、第1実施形態にて説明した製造方法と同様な工程については、説明を省略する。
【0052】
まず、
図9(a)に示す工程では、トランジスタなどの素子が形成された基板100の上に、配線構造体106が形成される。そして、下部電極131が絶縁膜112の上面に形成される。分離領域130と下部電極131とで構成される凹凸部を覆って、界面層132を一様な膜厚で形成する。下部電極131の厚さは、10nm以上10μm以下であればよい。ここで、下部電極131は、10nm以上500nm以下の厚みに形成することで、凹凸が小さくなり、界面層132の形成が容易となる。本実施形態では、100nm以上500nm以下の範囲の中から選択される。
【0053】
次に、
図9(b)に示すように、界面層132の上に機能層133を形成する。機能層133は、下部電極131の上、分離領域130の上に形成される。下部電極131の側面、且つ界面層132を介した位置には、絶縁体部135が形成されうる。絶縁体部135の形成は、界面層132が下部電極131の側面に形成されにくい特性を利用してもよい。また、加熱処理によって形成する方法であってもよい。本実施形態の凹凸部がある構造では、凸部の下部電極131の上に配された機能層133よりも、凹部となる下部電極131以外の上に配された機能層133の膜厚が大きくなる。このように機能層133の膜厚に変化がある構造においては、機能層133の熱膨張と熱収縮による変形量が大きく、絶縁体部135を形成することが容易である。また、絶縁体部135の大きさは、機能層133の加熱時の変形量と、下部電極131の高さで調整することができる。機能層133の加熱時の変形量が小さくなるように熱処理の条件を設定することで、絶縁体部135の幅を小さくすることができる。そして、機能層133の加熱時の変形量が大きくなるように熱処理の条件を設定することで、絶縁体部135の幅を大きくすることができる。
【0054】
また、機能層133の加熱時の変形量は、機能層133の膜厚にも依存する。機能層133の膜厚を小さくすることで絶縁体部135の幅を小さく、機能層133の膜厚を大きくすることで絶縁体部135の幅を大きくすることができる。つまり、下部電極131や分離領域130の膜厚や配置によって、絶縁体部135の幅を適宜設定することができる。また、絶縁体部135の高さは、下部電極131の側面の長さに依存し、下部電極131の高さを低くすることで、絶縁体部135の高さを低くすることができる。下部電極131の高さが高いと、絶縁体部135の高さも大きくなる。
【0055】
なお、絶縁体部135は、第1実施形態にて説明したような他の方法で形成してもよい。その後、第1実施形態で説明した製造方法を行うことで、本実施形態の半導体装置を形成することができる。
【0056】
次に、本実施形態の半導体装置の変形例を説明する。
図5(b)は本実施形態の半導体装置の変形例を示した断面模式図である。
図5(b)は、
図5(a)に対応する断面模式図である。本実施形態の半導体装置の
図5(b)に示していない部分は、
図5(a)と同様に
図1に記載の構成を有するものとする。
図5(b)の絶縁体部135は、
図5(a)に示す絶縁体部135に相当する部分504と、2つの部分504の間にX方向に沿って長手の形状を有する部分505を有している。部分505は、2つの下部電極131の間の分離領域130の上の界面層132と、機能層133との間に配されている。また、部分505は、ある単位セルの部分504と隣接する単位セルの部分504と連続して一体となるように構成されている。部分505を有することで、機能層133から配線構造体106へのリークを低減することができる。また、部分505を機能層133の屈折率よりも低い屈折率とすることで、機能層133で吸収されなかった漏れ光が部分505と機能層133との界面で反射され、配線構造体106から基板100への光混入によるノイズ、誤動作を抑制することができる。また、絶縁体部135によって、使用環境の温度変化における機能層133の熱変形を吸収することが可能となり、信頼性を向上することもできる。
【0057】
次に、本実施形態の半導体装置の変形例を説明する。
図5(c)は本実施形態の半導体装置の変形例を示した断面模式図である。
図5(c)は、
図5(b)に対応する断面模式図である。本実施形態の半導体装置の
図5(c)に示していない部分は、
図5(b)と同様に
図1に記載の構成を有するものとする。ここで、
図5(c)の絶縁体部135の部分504はその上面504Tが高さH503よりも上に位置する高さH506まで位置している。つまり、部分504は、下部電極131の上に位置する界面層132の上面132Tよりも主面P1から離れた位置に配されている。このような構成によって、機能層133まで分離が可能となり、クロストークをより低減することができる。
図5(c)では、絶縁体部135は部分505を有する構成であったが
図5(a)のように部分504のみの構成であってもよい。
【0058】
本実施形態によれば、下部電極131が凸部となるため、下部電極131の上の機能層133の膜厚は、分離領域130の上の機能層133の膜厚に比べて薄くなる。機能層133の膜厚が薄くなることで、下部電極131と上部電極134の間に印加される電圧が集中し、電界が強くなるため、下部電極131の上に生成したキャリアだけを、選択的にかつ早く収集することができる。下部電極131の側面に絶縁体部135を配置することで、隣接する単位セル120方向への電界強度を緩和することができる。界面層132あるいは機能層133の電気伝導率が高い場合でも、隣接する単位セル120で生成したキャリアを収集することなく、クロストークを低減することができる。また、下部電極131の側面に配置される界面層132に欠陥が生じる等が起こった場合にも、絶縁体部135によって下部電極131と機能層133が直接、接することがなくなり、機能層133へのリーク電流が低減可能である。
【0059】
(第5実施形態)
本実施形態の半導体装置の断面模式図を
図6(a)に示す。
図6(a)は、
図4(a)に対応する断面模式図である。本実施形態の半導体装置の
図6(a)に示していない部分は、
図4(a)と同様に
図1に記載の構成を有するものとする。
図6(a)では、
図4(a)と同様に、分離領域130で凸部を構成しているが、下部電極131の上に分離領域130が配されていない点が異なる。このような形態によっても、隣接する単位セル120へのクロストークの低減が可能である。
【0060】
本実施形態の半導体装置の変形例を、
図6(b)を用いて説明する。
図6(b)は、
図6(a)に対応する断面模式図である。本実施形態の半導体装置の
図6(b)に示していない部分は、
図6(a)と同様に
図1に記載の構成を有するものとする。
図6(b)の絶縁体部135は、
図6(a)に示した絶縁体部135に相当する部分601と、
図4(c)に示した部分401に相当する部分602の両方を有する構造である。このような構造であっても、クロストーク低減が可能である。
【0061】
本実施形態の半導体装置の変形例を、
図6(c)を用いて説明する。
図6(c)は、
図6(a)に対応する断面模式図である。本実施形態の半導体装置の
図6(c)に示していない部分は、
図6(a)と同様に
図1に記載の構成を有するものとする。
図6(c)の絶縁体部135は、分離領域130の上に配されている。界面層132は凸部を構成する分離領域130の上面130Tには形成されていないため、絶縁体部135が分離領域130に接している。下部電極131の上に配された界面層132の上面よりも上に絶縁体部135が配されている。また、絶縁体部135と下部電極131との間に界面層132が配されている。このような構成によっても、クロストークの低減は可能である。
【0062】
(第6実施形態)
上記のような半導体装置は、光検出システムや発光システムに適用されうる。半導体装置が光検出システムに適用される場合には、機能層は光電変換を行う。この場合の半導体装置は、光電変換装置や撮像装置ともいえる。半導体装置が光検出システムに適用される場合には、機能層は光電変換を行う。この場合の半導体装置は、光電変換装置や撮像装置ともいえる。光検出システムは、半導体装置と、半導体装置によって取得された信号を処理する信号処理部とを有する。また、半導体装置が発光システムに適用される場合には、機能層は電気信号によって発光を行う。この場合の半導体装置は、発光装置や表示装置ともいえる。発光システムは、半導体装置と、半導体装置を発光させるための制御信号を供給する制御部とを有する。
【0063】
光検出システムや発光システムは、例えば、電子機器でありうる。電子機器は、例えば、カメラ、コンピュータ、照明、灯具、携帯端末、ディスプレイ、車載表示装置等である。本実施形態では、光検出システムとしてカメラの撮像部分を、発光システムとしてカメラの表示部分を示す。
【0064】
図10を用いて、半導体装置をカメラに適用した例を説明する。半導体装置は、撮像装置1005と表示装置1012の少なくとも1つに適用される。レンズ部1001は被写体の光学像を撮像装置1005に結像させる撮像光学系であり、フォーカスレンズや変倍レンズ、絞りなどを有している。レンズ部1001におけるフォーカスレンズ位置、変倍レンズ位置、絞りの開口径などの駆動はレンズ駆動部1002を通じて制御部1009によって制御される。シャッタ1003は、レンズ部1001と撮像装置1005の間に配置されるメカニカルシャッタである。その駆動はシャッタ駆動部1004を通じて制御部1009によって制御される。撮像装置1005は複数の画素によってレンズ部1001で結像された光学像を画像信号に変換する。信号処理部1006は撮像装置1005から出力される画像信号にA/D変換、デモザイク処理、ホワイトバランス調整処理、符号化処理などの信号処理を行う。制御部1009は、例えばメモリ(ROM,RAM)とマイクロプロセッサ(CPU)を有し、ROMに記憶されたプログラムをRAMにロードしてCPUが実行して各部を制御することによって、カメラの各種機能を実現する。制御部1009が実現する機能には、自動焦点検出(AF)や自動露出制御(AE)が含まれる。
【0065】
メモリ部1008は制御部1009や信号処理部1006が画像データを一時的に記憶したり、作業領域として用いたりする。媒体I/F部1010は例えば着脱可能なメモリカードである記録媒体1011を読み書きするためのインタフェースである。表示装置1012は、撮影した画像やカメラの各種情報を表示する。表示装置1012は、制御部1009によって制御され、画像や各種情報を表示する。操作部1007は電源スイッチ、レリーズボタン、メニューボタンなど、ユーザがカメラに指示や設定を行うためのユーザインタフェースである。
【0066】
次いで、撮影時のカメラの動作について説明する。電源がオンされると、撮影スタンバイ状態となる。制御部1009は、表示装置1012を電子ビューファインダーとして動作させるための動画撮影処理および表示処理を開始する。撮影スタンバイ状態において撮影準備指示(例えば操作部1007のレリーズボタンの半押し)が入力されると、制御部1009は焦点検出処理を開始する。
【0067】
そして、制御部1009は得られたデフォーカス量と方向とから、レンズ部1001のフォーカスレンズの移動量および移動方向を求め、レンズ駆動部1002を通じてフォーカスレンズを駆動し、撮像光学系の焦点を調節する。駆動後、必要に応じてコントラスト評価値に基づく焦点検出をさらに行ってフォーカスレンズ位置を微調整しても良い。
【0068】
その後、撮影開始指示(例えばレリーズボタンの全押し)が入力されると、制御部1009は記録用の撮影動作を実行し、得られた画像データを信号処理部1006で処理し、メモリ部1008に記憶する。そして、制御部1009はメモリ部1008に記憶した画像データを、媒体制御I/F部1010を通じて記録媒体1011に記録する。また、このとき制御部1009は、撮影した画像を表示するように、表示装置1012を駆動してもよい。また、制御部1009は、図示しない外部I/F部から画像データをコンピュータ等の外部装置に出力してもよい。
【0069】
このようにして、各実施形態の半導体装置はカメラに搭載されうる。本実施形態では、光検出システムおよび発光システムの両方を有するカメラを例に挙げたが、いずれか1つであってもよい。
【0070】
(第7実施形態)
図11(a)、
図11(b)は、上述の半導体装置を車戴カメラに関する撮像システムに適用した例を示している。本実施形態において、撮像装置2010が上述の半導体装置に相当する。
【0071】
撮像システム2000は、撮像装置2010により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部2030と、撮像システム2000により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差算出部2040を有する。また、撮像システム2000は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離計測部2050と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部2060とを有する。ここで、視差算出部2040、距離計測部2050は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部2060はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0072】
撮像システム2000は車両情報取得装置2310と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、撮像システム2000は、衝突判定部2060での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU2410が接続されている。また、撮像システム2000は、衝突判定部2060での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置2420とも接続されている。例えば、衝突判定部2060の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU2410はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置2420は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトまたはステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。撮像システム2000は上述のように車両を制御する動作の制御を行う制御手段として機能する。
【0073】
本実施形態では車両の周囲、例えば前方または後方を撮像システム2000で撮像する。
図11(b)に、車両前方(撮像範囲2510)を撮像する場合の撮像システムを示す。撮像制御手段としての車両情報取得装置2310が、撮像システム2000ないしは撮像装置2010に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
【0074】
上述では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。さらに、撮像システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0075】
また、移動体は、上述の半導体装置による発光装置として、例えば、テールランプなどの灯具や車内の表示装置と、制御部とを有していてもよい。
【0076】
上述の実施形態において、半導体装置の基板は、単結晶シリコンウエハを用いたトランジスタの場合について説明を行ったが、それには限定されず、基板の絶縁性表面上に活性層を有する薄膜トランジスタでもよい。半導体基板として、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンなどの非単結晶シリコン、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物等の非単結晶酸化物半導体が挙げられる。尚、トランジスタは、薄膜トランジスタであってもよく、薄膜トランジスタはTFT素子とも呼ばれる。
【0077】
なお、上記の各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。本発明は、その技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0078】
100 基板
106 配線構造体
130 分離領域
131 下部電極
132 界面層
133 機能層
134 上部電極
135 絶縁体部