IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水樹脂株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-センサシステム 図1
  • 特許-センサシステム 図2
  • 特許-センサシステム 図3
  • 特許-センサシステム 図4
  • 特許-センサシステム 図5
  • 特許-センサシステム 図6
  • 特許-センサシステム 図7
  • 特許-センサシステム 図8
  • 特許-センサシステム 図9
  • 特許-センサシステム 図10
  • 特許-センサシステム 図11
  • 特許-センサシステム 図12
  • 特許-センサシステム 図13
  • 特許-センサシステム 図14
  • 特許-センサシステム 図15
  • 特許-センサシステム 図16
  • 特許-センサシステム 図17
  • 特許-センサシステム 図18
  • 特許-センサシステム 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】センサシステム
(51)【国際特許分類】
   G01C 13/00 20060101AFI20240508BHJP
   G01S 15/08 20060101ALI20240508BHJP
   G01F 23/2962 20220101ALI20240508BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
G01C13/00 D
G01S15/08
G01F23/2962
G08C17/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019113165
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2020204578
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古田 兼三
(72)【発明者】
【氏名】出来 信久
(72)【発明者】
【氏名】世継 和也
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 大悟
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-196637(JP,A)
【文献】特開2002-356834(JP,A)
【文献】特開昭57-184986(JP,A)
【文献】特開2002-050490(JP,A)
【文献】特開2015-021884(JP,A)
【文献】特開2006-045914(JP,A)
【文献】特開2002-316141(JP,A)
【文献】特開2013-108870(JP,A)
【文献】特開平03-113388(JP,A)
【文献】特開2002-071349(JP,A)
【文献】特開平03-233800(JP,A)
【文献】特開昭51-047450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 13/00
G01S 15/08
G01F 23/2962
G08B 25/00
G08C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川の水位を観測するために使用される超音波センサを備えるセンサシステムであって、
前記河川の水位を特定可能な値を示す情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が情報を取得するたびに、当該情報に基づき前記河川の状態が通常か異常かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果が変わったときに、前記超音波センサの作動条件を切り替えるための処理を行う切替部とを備え、
前記超音波センサは、電池から電力が供給されることで作動するものであって、超音波を発信してから水面で反射された超音波の反射波を受信するまでの時間を計測することや、当該時間に基づき河川の水位を特定可能な値を示す情報を取得することや、当該情報を管理サーバーに送信することが可能であり、
前記情報取得部は、前記河川の水位を特定可能な値を示す情報として、一の前記超音波センサが超音波を発信してから前記河川の水面で反射した超音波の反射波を受信するまでの時間を示す情報、或いは、前記一の超音波センサと前記河川の水面との間の距離を示す情報を取得するものであり、
前記判定部は、前記情報取得部が取得した情報に示される値が閾値よりも大きい場合には、河川の状態が通常と判定し、前記情報取得部が取得した情報に示される値が閾値以下である場合には、河川の状態が異常と判定し、
前記切替部は、前記一の超音波センサの作動条件を切り替えるための処理として、以下の(1),(2)の一方又は双方の処理を行う、センサシステム。
(1)前記判定部による判定結果が前記通常から前記異常に変わったときに、前記一の超音波センサが超音波を発信する時間間隔を通常時の値よりも短くし、前記判定部による判定結果が前記異常から前記通常に変わったときに、前記一の超音波センサが超音波を発信する時間間隔を前記通常時の値に戻すための処理。
(2)前記判定部による判定結果が前記通常から前記異常に変わったときに、前記一の超音波センサが管理サーバーに情報を送信する時間間隔を、通常時の値よりも短くし、前記判定部による判定結果が前記異常から前記通常に変わったときに、前記一の超音波センサが管理サーバーに情報を送信する時間間隔を、通常時の値に戻すための処理。
【請求項2】
前記超音波センサは、電圧の印加による圧電素子の振動で生じた超音波を前記河川の水面に向けて発信することや、超音波を発信してから水面で反射された反射波を受信するまでの時間を計測することや、当該時間に基づき河川の水位を特定可能な値を示す情報を取得することや、当該情報を管理サーバーに送信することが可能であり、
前記切替部は、前記判定部による判定結果が前記通常から前記異常に変わったときに、作動条件の切り替え対象とされた前記一の超音波センサに設けられている前記圧電素子に印加される電圧の値を、通常時の値よりも小さくし、前記判定部による判定結果が前記異常から前記通常に変わったときに、前記圧電素子に印加される電圧の値を、通常時の値に戻すための処理を行う請求項に記載のセンサシステム。
【請求項3】
河川の水位を観測するために使用される超音波センサを備えるセンサシステムであって、
前記河川の水位を特定可能な値を示す情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が情報を取得するたびに、当該情報に基づき前記河川の状態が通常か異常かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果が変わったときに、前記超音波センサの作動条件を切り替えるための処理を行う切替部とを備え、
前記超音波センサは、電池から電力が供給されることで作動するものであって、超音波を発信してから水面で反射された超音波の反射波を受信するまでの時間を計測することや、当該時間に基づき河川の水位を特定可能な値を示す情報を取得することや、当該情報を管理サーバーに送信することが可能であり、
前記情報取得部は、前記河川の水位を特定可能な値を示す情報として、一の前記超音波センサが超音波を発信してから前記河川の水面で反射した超音波の反射波を受信するまでの時間を示す情報、或いは、前記一の超音波センサと前記河川の水面との間の距離を示す情報を取得するものであり、
前記判定部は、前記情報取得部が取得した情報に示される値が閾値よりも大きい場合には、河川の状態が通常と判定し、前記情報取得部が取得した情報に示される値が閾値以下である場合には、河川の状態が異常と判定し、
前記切替部は、前記一の超音波センサの作動条件を切り替えるための処理として、以下の(1),(2)の双方の処理を行う、センサシステム。
(1)前記判定部による判定結果が前記通常から前記異常に変わったときに、前記一の超音波センサが超音波を発信する時間間隔を通常時の値よりも短くし、前記判定部による判定結果が前記異常から前記通常に変わったときに、前記一の超音波センサが超音波を発信する時間間隔を前記通常時の値に戻すための処理。(2)前記判定部による判定結果が前記通常から前記異常に変わったときに、前記一の超音波センサが管理サーバーに情報を送信する時間間隔を、通常時の値よりも短くし、前記判定部による判定結果が前記異常から前記通常に変わったときに、前記一の超音波センサが管理サーバーに情報を送信する時間間隔を、前記一の超音波センサが超音波を発信する時間間隔よりも長い通常時の値に戻すための処理。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川の水位を観測するために使用される超音波センサの駆動を制御するセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、河川の水位を観測するために超音波センサを使用する技術が提案されている。この種の技術として、特許文献1には、超音波センサが、水面に向けて超音波を送信してから、水面で反射した反射波(超音波の反射波)を受信するまでの経過時間を計測するとともに、当該経過時間に基づき取得された情報(具体的にはセンサと水面との間の距離を示す情報)を超音波センサから管理端末に無線送信することが開示されている。この特許文献1では、超音波センサが設けられる端末に電池が搭載されて、当該電池から超音波センサに電力が供給されることで、超音波センサが作動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-060747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1のように、電池から超音波センサに電力を供給する場合には、電池容量が少なくなった際に、作業者が、超音波センサの設置場所に出向いて、電池容量を増やす作業(電池の充電作業や電池の交換作業)を行う必要がある。電池容量が短期間で少なくなる場合には、上記の作業が多発することで、多大な手間を要することになる。
【0005】
ここで電池容量が短期間で少なくなることを防止する措置として、例えば、超音波センサによる水位観測の全期間中において、超音波センサが情報を無線送信する時間間隔を長くし、無線送信で消費される電力を小さく抑えることが考えられる。しかしながらこの場合には、超音波センサがサーバーに情報を送信する時間間隔が長くなるため、河川の水位が急激に上昇する異常時に、河川が危険水位に到達する時点を正確に特定できなくなる虞がある。
【0006】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであって、その目的は、河川の水位を観測するために使用される超音波センサの作動を制御するセンサシステムであって、手間を抑えつつ超音波センサを長期間継続して作動させることが可能であり、且つ、超音波センサから送信される情報に基づき、異常時における河川の水位を正確に特定可能なセンサシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、次の項に記載の主題を包含する。
【0008】
項1.河川の水位を観測するために使用される超音波センサを備えるセンサシステムであって、
前記河川の水位を特定可能な値を示す情報、或いは、前記河川の領域における降雨量に関する情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が情報を取得するたびに、当該情報に基づき前記河川の状態が通常か異常かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果が変わったときに、前記超音波センサの作動条件を切り替えるための処理を行う切替部とを備え、
前記超音波センサは、電池から電力が供給されることで作動するものであって、超音波を発信してから水面で反射された超音波の反射波を受信するまでの時間を計測することや、当該時間に基づき河川の水位を特定可能な値を示す情報を取得することや、当該情報を管理サーバーに送信することが可能であり、
前記切替部は、超音波センサの作動条件を切り替えるための処理として、以下の(1),(2)の一方又は双方の処理を行う、センサシステム。
(1)前記判定部による判定結果が前記通常から前記異常に変わったときに、前記超音波センサが超音波を発信する時間間隔を通常時の値よりも短くし、前記判定部による判定結果が前記異常から前記通常に変わったときに、前記超音波センサが超音波を発信する時間間隔を前記通常時の値に戻すための処理。
(2)前記判定部による判定結果が前記通常から前記異常に変わったときに、前記超音波センサが管理サーバーに情報を送信する時間間隔を、通常時の値よりも短くし、前記判定部による判定結果が前記異常から前記通常に変わったときに、前記超音波センサが管理サーバーに情報を送信する時間間隔を、通常時の値に戻すための処理。
【0009】
項2.前記情報取得部は、前記河川の水位を特定可能な値を示す情報として、前記超音波センサが超音波を発信してから前記河川の水面で反射した超音波の反射波を受信するまでの時間を示す情報、或いは、前記超音波センサと前記河川の水面との間の距離を示す情報を取得するものであり、
前記判定部は、前記情報取得部が取得した情報に示される値が閾値よりも大きい場合には、河川の状態が通常と判定し、前記情報取得部が取得した情報に示される値が閾値以下である場合には、河川の状態が異常と判定する項1に記載のセンサシステム。
【0010】
項3.前記超音波センサとして、一の超音波センサと、当該一の超音波センサよりも河川の上流側に配置される二の超音波センサとが設けられ、
前記情報取得部は、前記二の超音波センサから送信された前記河川の水位を特定可能な値を示す情報を取得し、
前記判定部は、前記情報取得部が情報を取得するたびに、当該情報に基づき河川の状態が通常か異常かを判定し、
前記切替部は、前記判定部による判定結果が変わったときに、前記一の超音波センサの作動条件を切り替えるための処理として、前記(1),(2)の処理の一方又は双方の処理を行う、項1又は2に記載のセンサシステム。
【0011】
項4.前記超音波センサとして、一の超音波センサと、当該一の超音波センサよりも河川の下流側に配置される二の超音波センサとが設けられ、
前記情報取得部は、前記二の超音波センサから送信された前記河川の水位を特定可能な値を示す情報を取得し、
前記判定部は、前記情報取得部が情報を取得するたびに、当該情報に基づき河川の状態が通常か異常かを判定し、
前記切替部は、前記判定部による判定結果が変わったときに、前記一の超音波センサの作動条件を切り替えるための処理として、前記(1),(2)の処理の一方又は双方の処理を行う、項1又は2に記載のセンサシステム。
【0012】
項5.前記超音波センサとして、一の超音波センサと、当該一の超音波センサよりも河川の上流側に配置される二の超音波センサとが設けられ、
前記情報取得部は、前記二の超音波センサから送信された前記河川の水位を特定可能な値を示す情報を取得し、
前記判定部は、前記情報取得部が情報を取得するたびに、当該情報に基づき河川の状態が通常か異常かを判定し、
前記切替部は、前記判定部による判定結果が変わったときに、前記一の超音波センサの作動条件を切り替えるための処理として、前記(1),(2)の処理の一方又は双方の処理を行う、項1又は2に記載のセンサシステム。
【0013】
項6.前記超音波センサとして、第一河川に配置される一の超音波センサと、前記第一河川が合流する第二河川に配置される二の超音波センサとが設けられ、
前記情報取得部は、前記二の超音波センサから送信された前記第二河川の水位を特定可能な値を示す情報を取得し、
前記判定部は、前記情報取得部が情報を取得するたびに、当該情報に基づき前記第二河川の状態が通常か異常かを判定し、
前記切替部は、前記判定部による判定結果が変わったときに、前記一の超音波センサの作動条件を切り替えるための処理として、前記(1),(2)の処理の一方又は双方の処理を行う、項1又は2に記載のセンサシステム。
【0014】
項7.前記情報取得部は、前記河川の領域における降雨量に関する情報として、前記超音波センサの設置位置よりも前記河川の上流側の領域における降雨量を示す情報を取得し、
前記判定部は、前記情報取得部が取得した情報に示される降雨量が閾値よりも小さい場合に、河川の状態が通常と判定し、前記情報取得部が取得した情報に示される値が閾値以上である場合には、河川の状態が異常と判定する項1に記載のセンサシステム。
【0015】
項8.前記情報取得部は、前記河川の領域における降雨量に関する情報として、前記超音波センサの設置位置よりも前記河川の上流側における降雨量の予想値を示す情報を取得し、
前記判定部は、前記情報取得部が取得した情報に示される予想値が閾値よりも小さい場合に、河川の状態が通常と判定し、前記情報取得部が取得した情報に示される降雨予想量が閾値以上である場合には、河川の状態が異常と判定する項1に記載のセンサシステム。
【0016】
項9. 前記超音波センサは、電圧の印加による圧電素子の振動で生じた超音波を前記河川の水面に向けて発信することや、超音波を発信してから水面で反射された反射波を受信するまでの時間を計測することや、当該時間に基づき河川の水位を特定可能な値を示す情報を取得することや、当該情報を管理サーバーに送信することが可能であり、
前記切替部は、前記判定部による判定結果が前記通常から前記異常に変わったときに、作動条件の切り替え対象とされた前記超音波センサに設けられている前記圧電素子に印加される電圧の値を、通常時の値よりも小さくし、前記判定部による判定結果が前記異常から前記通常に変わったときに、前記圧電素子に印加される電圧の値を、通常時の値に戻すための処理を行う項1乃至8のいずれかに記載のセンサシステム。
【発明の効果】
【0017】
本発明のセンサシステムによれば、電池の容量が短期間で少なくなることを防止できるので、センサを長期間継続して作動させることが可能であり、作業員がセンサの設置場所に幾度も出向く手間を抑制することができる。
【0018】
また本発明のセンサシステムによれば、河川が異常の期間中において、多数の「河川の水位値を特定可能な情報」を管理サーバーに受信させることができる。したがって異常時における河川の水位を正確に特定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係るセンサシステムを構成する装置を示す概略図である。
図2】超音波センサの作動条件を切り替えるために構成される手段を示すブロック図である。
図3】超音波センサが、河川の上方に配置された状態を示す概略図である。
図4】超音波センサが、河川の上方に配置された状態を示す概略図である。
図5】超音波センサを河川の上方に配置するために使用される器具を示す斜視図である。
図6図2に示す情報取得部・判定部・切替部によって実行される処理を示すフロチャートである。
図7】超音波センサの作動条件を切り替えるために構成される手段を示すブロック図である。
図8】超音波センサの作動条件を切り替えるために構成される手段を示すブロック図である。
図9図8に示す情報取得部・判定部によって実行される処理を示すフロチャートである。
図10】本発明の第2実施形態に係るセンサシステムを構成する機器を示す概略図である。
図11】超音波センサの作動条件を切り替えるために構成される手段を示すブロック図である。
図12図11に示す情報取得部・判定部・切替部によって実行される処理を示すフロチャートである。
図13】本発明の第2実施形態の変形例に係るセンサシステムを構成する機器を示す概略図である。
図14】本発明の第3実施形態に係るセンサシステムを構成する機器を示す概略図である。
図15】超音波センサの作動条件を切り替えるために構成される手段を示すブロック図である。
図16図15に示す情報取得部・判定部・切替部によって実行される処理の一例を示すフロチャートである。
図17図15に示す情報取得部・判定部・切替部によって行われる処理の他例を示すフロチャートである。
図18】超音波センサの作動条件を切り替えるために構成される手段を示すブロック図である。
図19図18に示す情報取得部・判定部によって行われる処理の他例を示すフロチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るセンサシステム1を構成する装置を示す概略図である。図2は、第1実施形態のセンサシステム1で使用される超音波センサTを構成する要素や、超音波センサTの作動条件を切り替えるために管理サーバーSに構成される手段を示すブロック図である。図3及び図4は、河川Kの上方に超音波センサTが配置された状態を示す概略図である。図5は、超音波センサTを河川Kの上方に配置するために使用される器具を示す斜視図である。
【0021】
第1実施形態のセンサシステム1では、河川の水位を観測するために、超音波を発信する超音波センサTが使用される。当該センサシステム1では、基地局Bと超音波センサTとが無線通信可能とされ、無線又は有線のネットワークNを介して基地局Bと管理サーバーSとが通信可能とされることで、超音波センサTと管理サーバーSとの間で情報の送受信が可能である。
【0022】
管理サーバーSには、河川Kの通常時と異常時とで超音波センサTの作動条件を切り替えるための手段(後述の情報取得部25・判定部26・切替部27)が構成される(図3は河川Kの状態が異常である場合の例を示し、図4は河川Kの状態が通常である場合の例を示している)。
【0023】
本発明において、「河川Kの状態が異常である」とは、例えば図3に示すように、河川Kの水位が危険水位近傍に達していることを意味する。危険水位とは、例えば、気象庁が指定する氾濫危険水位、避難判断水位、氾濫注意水位、水防団待機水位のいずれかである。或いは「河川Kの状態が異常である」とは、現在の降雨量が多いことや、降雨量が多くなることが現在予報されていることで、河川Kの水位が急上昇する可能性が高いことを意味する。
【0024】
本発明において、「河川Kの状態が通常である」とは、例えば図4に示すように、河川Kの水位が、通常水位にあって、危険水位近傍に達していないことを意味する。或いは「河川Kの状態が通常である」とは、現在の降雨量が少ないことや、降雨量が多くなることが現在予報されていないことで、河川Kの水位が急上昇する可能性が低いことを意味する。
【0025】
超音波センサTは、箱状の筐体3に保持される(図3図5)。本実施形態では、橋梁Rに吊り下げられる支持体4に上記の筐体3が取り付けられることで、超音波センサTは、河川Kの上方に配置される。
【0026】
支持体4の構造は特に限定されないが、図示例では、支持体4は、上下方向に延びるポール7と、水平方向に延びるアーム8とを備える。ポール7は、樹脂、FRP、カーボン又は、アルミ等の防錆力に優れた金属、或いは塗装や樹脂被覆等の防錆処理を施した金属等によって形成される。ポール7は、橋梁GのガードレールRに取り付けられる。この取り付けは、例えば、防護柵や標識等にポールを取り付けるために使用される公知の手段を用いることで実現され得る。
【0027】
アーム8は、樹脂、FRP、カーボン又は、アルミ等の防錆力に優れた金属、或いは塗装や樹脂被覆等の防錆処理を施した金属等によって形成される。アーム8の一端側は、ポール7に固定される。図示例では、金属製のU字クランプ9の内側にポール7を通した状態で、ボルト10を用いてU字クランプ9の両端部をアーム8の一端側に締結することで、アーム8の一端側がポール7に固定されている。なおU字クランプ9以外の公知の手段によって、アーム8の一端側がポール7に固定されてもよい。また図示例では、ポール7の下端にアーム8が固定されているが、ポール7の任意の高さ位置にアーム8は固定され得る。なお河川Kの水面Sに近い位置に超音波センサTを配置可能とすべく、ポール7の下側にアーム8を固定することが好ましい。
【0028】
アーム8は、長手方向に延びる空洞を有しており、当該アーム8の空洞にはアンテナ5が配置される。
【0029】
筐体3は、アーム8の他端側に取り付けられる。筐体3は、樹脂、FRP、或いは通信のための電波を通す構造を有するアルミ等の防錆力に優れた金属等から形成される。
【0030】
筐体3の内部には電池D(例えば一次電池)が配置されており、電池Dから超音波センサTの構成要素に電力が供給されることで、超音波センサTの構成要素は作動する。
【0031】
超音波センサTは、上記の構成要素として、送波部20と、受波部21と、通信部22と、制御装置23とを備える。
【0032】
送波部20は、電池Dから電圧が印加されることで、振動を生じる圧電素子を備えており、当該圧電素子の振動によって、超音波Pが発生する。本発明では、制御装置23の制御のもと、送波部20の圧電素子に印加する電圧が調整可能とされ、電圧が大きくされることで、圧電素子の振動で生じる超音波Pの強度が大きくなる。電圧が小さくされることで、圧電素子の振動で生じる超音波Pの強度が小さくなる。
【0033】
受波部21は、超音波の振動エネルギーを電気信号に変換する圧電素子を備える。
【0034】
図5に示すように、筐体3の壁面には開口部11が形成されており、開口部11に送波部20(図2)や受波部21が配置される。開口部11の形成された筐体3の壁面3aが河川K側(下側)を向けられることで、送波部20から発せられた超音波Pを、開口部11から発信させて、河川Kの水面に向かわせるとともに、水面で反射した超音波Pの反射波Hを、開口部11に通過させて、受波部21に受信させることが可能とされる。
【0035】
通信部22は、筐体3の内部に配置されるものであって、ケーブル12を介してアンテナ5と接続される(ケーブル12の一端側は、筐体3を貫通して、通信部22に接続され、ケーブル12の他端側は、アーム8を貫通して、アンテナ5に接続される)。通信部22は、LPWA(Low Power Wide Area)やWi-Fi(登録商標)や3Gや4G等の方式によって基地局Bと無線通信を行なうことが可能である。なお消費電力を抑えて遠距離通信を実現する観点から、通信方式はLPWAであることが好ましい。また図示例では、ケーブル12は、筐体3の外側に配置されているが、筐体3の内部に配置されてもよい。
【0036】
制御装置23は、筐体3の内部に配置される。当該制御装置23は、CPUやメモリを有するものであって、メモリに格納されたプログラムをCPUが実行することで、以下の(1)~(4)に示す処理を行うことが可能である。
【0037】
(1)メモリに記憶された時間が経過するたびに、送波部20が備える圧電素子に電圧を印加して圧電素子を振動させることで、当該振動で生じた超音波Pを、河川Kの水面に向けて発信すること。
(2)水面で反射された超音波Pの反射波Hが受波部21に受信されるたびに、超音波Pを発信してから反射波Hを受信するまでの時間(以下、発信受信時間)を計測すること。
(3)発信受信時間を計測するたびに、当該発信受信時間に基づき「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」を取得して、当該情報をメモリに格納すること。
(4)メモリに記憶された時間が経過するたびに、メモリに格納された「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」を、管理サーバーSに送信すること(この情報の送信は、通信部22及び基地局B間の無線通信や、基地局B及び管理サーバーS間の通信によって行われる)。
【0038】
例えば、上記の「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」は、「発信受信時間の値を示す情報」とされる。この場合、例えば、制御装置23は、メモリに記憶された時間が経過するたびに、当該時間内に計測された発信受信時間の値を示す情報を、管理サーバーSに送信する。
【0039】
或いは、上記の「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」は、メモリに記憶された時間内に計測された発信受信時間の値のうち、最大値、最小値、最頻値、或いは最終値(最後に検知された発信受信時間の値)を示す情報とされる。この場合、制御装置23は、メモリに記憶された時間が経過するたびに、上記の最大値、最小値、最頻値、或いは最終値を示す情報を、管理サーバーSに送信する。
【0040】
或いは、上記の「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」は、メモリに記憶された時間内に計測された複数の発信受信時間の平均値を示す情報」とされる。この場合、制御装置23は、メモリに記憶された時間が経過するたびに、当該時間内に計測された発信受信時間の平均値を求めて、当該平均値を示す情報を、管理サーバーSに送信する。
【0041】
また、上記の「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」は、例えば、「超音波センサTと水面との間の距離Lを示す情報」とされる。この場合、制御装置23は、発信受信時間を計測するたびに、当該発信受信時間の値と音速とから、超音波センサTと水面との間の距離Lの値を求める。そして制御装置23は、メモリに記憶された時間が経過するたびに、当該時間内に求められた距離Lの値を、管理サーバーSに送信する。なお音速は気温に応じて変化するため、気温を計測する温度センサを筐体3に取り付けて、温度センサが計測した気温に基づき、距離Lの演算に用いる音速を補正してもよい。
【0042】
或いは、上記の「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」は、メモリに記憶された時間内に求められた距離Lの値のうち、最大値、最小値、最頻値、或いは最終値(最後に検知された距離Lの絶対値)を示す情報とされる。この場合、制御装置23は、メモリに記憶された時間が経過するたびに、当該時間内に求めた複数の距離Lの値のうち、最大値、最小値、最頻値、或いは最終値を示す情報を管理サーバーSに送信する。
【0043】
或いは、「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」は、「複数の距離Lの平均値を示す情報」とされる。この場合、制御装置23は、メモリに記憶された時間が経過するたびに、当該時間内に求めた距離Lの平均値を求めて、当該平均値を示す情報を管理サーバーSに送信する。
【0044】
管理サーバーSには、河川Kの通常時と異常時とで超音波センサTの作動条件を切り替えるための手段として、図2に示す情報取得部25・判定部26・切替部27が構成される。情報取得部25・判定部26・切替部27は、管理サーバーSのCPUが、管理サーバーSのメモリに格納されているプログラムを実行することで構成される。
【0045】
図6は、情報取得部25、判定部26、及び切替部27によって実行される処理を示すフロチャートである。
【0046】
超音波センサTから送信された「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」が管理サーバーSに受信されるたびに、情報取得部25は、当該受信された「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」を取得する(S101)。
【0047】
S101で「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」が取得されるたびに、判定部26は、「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」に基づき、河川Kの状態が通常か異常かを判定する(S102)。このS102では、S101で取得される情報に示される値が閾値よりも大きい場合には、河川Kの状態が通常と判定され、S101で取得される情報に示される値が閾値以下である場合には、河川Kの状態が異常と判定される。
【0048】
例えばS101で取得される「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」が「発信受信時間の値を示す情報」である場合には、当該情報に示される「発信受信時間の値」と比較するための閾値が、管理サーバーSのメモリに予め格納される。この閾値は、例えば、超音波センサTが設置された河川Kの位置における水位が危険水位近傍に達するときに、超音波センサTが計測する「発信受信時間の値」とされる。
【0049】
そして、S101で取得される情報に示される「発信受信時間の値」が閾値よりも大きい場合には、判定部26は、S102で河川Kの状態が通常と判定する。またS101で取得される情報に示される「発信受信時間の値」が閾値以下である場合には、判定部26は、S102で河川Kの状態が異常と判定する。
【0050】
またS101で取得される「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」が「超音波センサTと水面との間の距離Lを示す情報」である場合には、当該情報に示される「距離L」と比較するための閾値が、管理サーバーSのメモリに予め格納される。この閾値は、例えば、超音波センサTが設置された河川Kの位置における水位が危険水位近傍に達するときに、超音波センサTが求める「距離L」とされる。
【0051】
そして、判定部26は、S101で取得される情報に示される「距離L」が閾値よりも大きい場合には、河川Kの状態が通常と判定し、S101で取得される情報に示される「距離L」が、閾値以下である場合には、河川Kの状態が異常と判定する。
【0052】
上述した判定部26によるS102の判定処理は、S101で情報が取得されるたびに行われる。各回のS102の判定結果を示す情報は、管理サーバーSのメモリに格納される。
【0053】
そしてS102で異常と判定された場合には、判定部26は、前回の判定結果も異常であったか否かを判定する(S103)。判定結果が通常から異常に変わった場合には(つまり前回のS102の判定結果が通常であり、今回のS102の判定結果が異常である場合には)、S103でNOと判定される。
【0054】
またS102で通常と判定された場合には、判定部26は、前回の判定結果も通常であったか否かを判定する(S104)。判定結果が異常から通常に変わった場合には(つまり前回のS102の判定結果が異常であり、今回のS102の判定結果が通常である場合には)、S104でNOと判定される。
【0055】
切替部27は、判定部26による判定結果が変わった場合に(つまりS103或いはS104でNOの場合に)、超音波センサTの作動条件を切り替えるための処理を行う。
【0056】
具体的には、判定部26による判定結果が通常から異常に変わった場合(S103でNOの場合)には、切替部27は、以下のS105~S107の処理を行う。
【0057】
S105:「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」を通常時の値よりも短くするための処理。
S106:「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」を通常時の値よりも短くするための処理。
S107:「超音波センサTの送波部20が備える圧電素子に印加される電圧の値(以下、「送波部20の圧電素子への印加電圧値」と記す)」を、通常時の値よりも小さくするための処理。
【0058】
また判定部26による判定結果が異常から通常に変わった場合(S104でNOの場合)には、切替部27は、以下のS108~S110の処理を行う。
【0059】
S108:「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」を通常時の値に戻すための処理。
S109:「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」を、通常時の値に戻すための処理。
S110:「送波部20の圧電素子への印加電圧値」を、通常時の値に戻すための処理。
【0060】
以下、S105~S110の処理の詳細について説明する。
【0061】
管理サーバーSのメモリには、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」の通常時及び異常時の値を示すテーブルが格納される。このテーブルでは、例えば下記の表1のように、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」の異常時の値が通常時の値よりも小さく設定されたものである。なおテーブルに示される通常時及び異常時の値は、下記の表1に示す値に限定されず、河川Kの規模や、超音波センサTの設置位置やスペック等に応じて、適宜、調整され得る。
【0062】
【表1】
【0063】
そして上記のテーブルが管理サーバーSに格納される場合には、判定部26による判定結果が変わったときに、切替部27は、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」を、テーブルに示される通常時の値或いは異常時の値に変更するための情報を生成して、当該情報を超音波センサTに送信する。
【0064】
例えば上記の表1がテーブルとして管理サーバーSに格納される場合には、判定部26による判定結果が通常から異常に変わった場合(図6のS103でNOの場合)には、切替部27は、S105で「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」を異常時の値「2分/回」に変更するための情報を生成して超音波センサTに送信する。また切替部27は、S106で「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」を異常時の値「2分/回」に変更するための情報を生成して超音波センサTに送信する。さらに切替部27は、S107で「送波部20の圧電素子への印加電圧値」を異常時の値「5V」に変更する情報を生成して超音波センサTに送信する。なおS105~S107で生成された情報は、まとめて超音波センサTに送信されてもよい。
【0065】
また判定部26による判定結果が異常から通常に変わった場合(S104でNOの場合)には、切替部27は、S108で「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」を通常時の値「5分/回」に変更するための情報を生成して超音波センサTに送信する。また切替部27は、S109で「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」を通常時の値「60分/回」に変更するための情報を生成して超音波センサTに送信する。さらに切替部27は、S110で「送波部20の圧電素子への印加電圧値」を通常時の値「10V」に変更する情報を生成して超音波センサTに送信する。なおS108~S110で生成された情報は、まとめて超音波センサTに送信されてもよい。
【0066】
上記のS105~S107やS108~S110で生成されて超音波センサTに送信された情報は、超音波センサTの制御装置23が備えるメモリに格納される。そして超音波センサTの制御装置23は、「超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」を、メモリに格納された情報の示す値に制御する。
【0067】
例えば、S108~S110で生成された通常時の情報(表1の通常時の値を示す情報)が制御装置23のメモリに格納されている期間では、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」が、それぞれ通常時の値「5分/回」・「60分/回」・「10V」とされる。
【0068】
そして判定部26による判定結果が通常から異常に変わったことで(S102で異常、S103でNOと判定されたことで)、S105~S107で異常時の情報(表1の「異常時の値」を示す情報)が超音波センサTに送信される場合には、当該異常時の情報が制御装置23のメモリに新たに格納されることになる。その結果、河川Kの状態が異常の期間では、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」が「5分/回(通常時の値)」から「2分/回(異常時の値)」に短くされる。また「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」が「60分/回(通常時の値)」から「2分/回(異常時の値)」に短くされる。また「送波部20の圧電素子への印加電圧値」が「10V(通常時の値)」から「5V(異常時の値)」に小さくされる。
【0069】
そして判定部26による判定結果が異常から通常に変わったことで(S102で通常、S104でNOと判定されたことで)、S108~S110で通常時の情報(表1の「通常時の値」を示す情報)が超音波センサTに送信される場合には、当該通常時の情報が制御装置23のメモリに新たに格納されることになる。その結果、河川Kの状態が通常の期間では、「超音波Pを発信する時間間隔」が「2分/回(異常時の値)」から「5分/回(通常時の値)」に戻される。また「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」が「2分/回(異常時の値)」から「60分/回(通常時の値)」に戻される。また「送波部20の圧電素子への印加電圧値」が「5V(異常時の値)」から「10V(通常時の値)」に戻される。
【0070】
以上説明した第1実施形態のセンサシステム1によれば、判定部26による判定結果が異常から通常に変わったときに、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」や「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」が、通常時の値に戻されることで、長くなる。これにより、河川Kが通常の期間中において、超音波Pの発信や情報の送信のために消費される電池Dの容量を小さく抑えることができる。また判定部26による判定結果が通常から異常に変わったときには、「送波部20の圧電素子への印加電圧値」が小さくされる。このため、河川Kが異常の期間中でも、超音波Pの発信のために消費される電池Dの容量を小さく抑えることができる。以上のことから第1実施形態のセンサシステム1によれば、電池Dの容量が短期間で少なくなることを防止できるので、超音波センサTを長期間継続して作動させることが可能であり、作業員が超音波センサTの設置場所に幾度も出向く手間を抑制することができる。
【0071】
さらに第1実施形態のセンサシステム1によれば、判定部26による判定結果が通常から異常に変わったときに「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」が通常時の値よりも短くされる。これにより、河川Kが異常の期間中において、超音波センサTに受信される反射波Hの数を多くすることができる。そしてこのことから、河川Kが異常の期間中において、超音波センサTが「発信受信時間」を計測する回数を多くすることができるので、これに伴い、「発信受信時間」に基づき取得される「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」の数も多くすることができる。そしてさらに判定部26による判定結果が通常から異常に変わったときには、「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」も通常時の値よりも短くされることで、河川Kが異常の期間中において、多数の「河川Kの水位値を特定可能な情報」が超音波センサTから送信されて管理サーバーSに受信されることになる。したがって第1実施形態のセンサシステム1によれば、異常時における河川Kの水位を正確に特定可能である。なお河川Kが異常の期間では、「送波部20の圧電素子への印加電圧値」が小さくされることで、送波部20から発信される超音波Pの強度が小さくなるが、異常の期間では、図3に示すように河川Kの水位が高くなるため、河川Kの水位と超音波センサTとの間の距離Lが短くなる。したがって超音波Pの強度が小さくなっても、超音波センサTに反射波Hを検知させることができるので、超音波センサTが、発信受信時間を計測して、「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」を管理サーバーSに送信することが可能となる。
【0072】
なお第1実施形態のセンサシステム1では、図7に示すように、超音波センサTの制御装置23に、情報取得部25と判定部26と切替部27とが構成されてもよい(図7に示す情報取得部25と判定部26と切替部27は、制御装置23のCPUがメモリに格納されたプログラムを実行することで実現される)。
【0073】
図7に示すようにセンサシステム1が変更される場合には、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」の通常時及び異常時の値を示すテーブルが、制御装置23のメモリに格納される。このテーブルも、上記の表1と同様、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」の異常時の値が通常時の値よりも小さく設定されたものである。
【0074】
そして図6のS101に対応するステップで、情報取得部25は、超音波センサTで計測された発信受信時間に基づき「河川Kの水位値を特定可能な情報」を取得して、超音波センサTの制御装置23のメモリに格納する。
【0075】
そして図6のS102に対応するステップで、判定部26は、S101で取得された情報に示される値と閾値とを比較することで、河川Kの状態が通常か異常かを判定する。そして判定部26による判定結果が通常から異常に変わったとときに(S102に対応するステップで異常、S103に対応するステップでNOと判断されたとき)、切替部27は、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」の値を、上記のテーブルに示される異常時の値に変更する。これにより河川Kの状態が異常の期間中において、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」や「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」や「送波部20の圧電素子への印加電圧値」は、通常時の値よりも小さくされる。なお、超音波センサTがサーバーに送信する情報は、S101で取得された「河川Kの水位値を特定可能な情報」である。
【0076】
また判定部26による判定結果が異常から通常に変わったときに(S102に対応するステップで通常、S104に対応するステップでNOと判断されたとき)、切替部27は、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」を、上記のテーブルに示される通常時の値に変更する。
【0077】
また第1実施形態のセンサシステム1では、図8に示すように、情報取得部25と判定部26とが管理サーバーSに構成され、切替部27が超音波センサTの制御装置23に構成されてもよい。この場合も、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」の通常時及び異常時の値を示すテーブルが、制御装置23のメモリに格納される。
【0078】
そして図9に示す処理が、管理サーバーSに構成される情報取得部25と判定部26とによって行われる。
【0079】
図9のS201は、情報取得部25によって行われる処理であり、図6のS101と同様である。
【0080】
図9のS202~S206は、判定部26によって実行される処理であり、S202,S203,S204は、それぞれ図6のS102,S103,S104と同様である。
【0081】
S202で異常、S203でNOと判断されたときに、判定部26は、「河川Kの状態が通常から異常に変わったことを示す情報」を超音波センサTに送信する(S205)。
【0082】
S202で通常、S204でNOと判断されときに、判定部26は、「河川Kの状態が通常から異常に変わったことを示す情報」を超音波センサTに送信する(S206)。
【0083】
そして上記の「河川Kの状態が通常から異常に変わったことを示す情報」が超音波センサTに受信された際に、超音波センサTの切替部27は、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」を、テーブルに示される異常時の値に変更する。これにより河川Kの状態が異常の期間中において、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」が、それぞれ通常時の値よりも小さくされる。
【0084】
また上記の「河川Kの状態が異常から通常に変わったことを示す情報」が超音波センサTに受信された際に、超音波センサTの切替部27は、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」の値を、テーブルに示される通常時の値に変更する。
【0085】
次に本発明の他の実施形態のセンサシステム1を説明する。なお以下では、第1実施形態と相違する点について説明し、第1実施形態と共通する点については、第1実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0086】
図10は、本発明の第2実施形態に係るセンサシステム30を構成する機器を示す概略図である。図11は、超音波センサTの作動条件を切り替えるために構成される手段を示すブロック図である。
【0087】
第2実施形態のセンサシステム30では、河川Kの水位を観測するための超音波センサTとして、河川Kに配置される超音波センサT1と、超音波センサT1よりも河川Kの上流側に配置される超音波センサT2とが使用される(以下、超音波センサT1を「下流側の超音波センサT1」と適宜記し、超音波センサT2を「上流側の超音波センサT2」と適宜記す)。
【0088】
第2実施形態のセンサシステム30では、基地局B1と超音波センサT1とが無線通信可能とされ、基地局B2と超音波センサT2とが無線通信可能とされ、無線又は有線のネットワークNを介して基地局B1,B2と管理サーバーSとが通信可能とされる。
【0089】
超音波センサT1,T2は、それぞれ、第1実施形態の超音波センサTと同様のハードウェア構成を有しており、第1実施形態の超音波センサTと同様の処理を行うことが可能である。
【0090】
管理サーバーSのメモリには、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」の通常時及び異常時の値を示すテーブルが格納される。このテーブルも、上記の表1と同様、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」の異常時の値が通常時の値よりも小さく設定されたものである。
【0091】
管理サーバーSには、河川Kの通常時と異常時とで超音波センサT1の作動条件を切り替えるための手段として、図11に示す情報取得部31・判定部32・切替部33が構成される。情報取得部31・判定部32・切替部33は、管理サーバーSのCPUが、管理サーバーSのメモリに格納されているプログラムを実行することで構成される。
【0092】
図12は、情報取得部31、判定部32、及び切替部33によって実行される処理を示すフロチャートである。
【0093】
情報取得部31は、上流側の超音波センサT2から送信された「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」を取得する(S301)。上記の「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」は、上流側の超音波センサT2が計測した「発信受信時間の値・最大値・最小値・最頻値・最終値・平均値」を示す情報、或いは、上流側の超音波センサT2が求めた「距離Lの値・最大値・最小値・最頻値・最終値・平均値」を示す情報である。
【0094】
そしてS301で情報取得部31が情報を取得するたびに、判定部32は、河川Kの状態が通常か異常かを判定する(S302)。このS302の判定は、S301で取得される情報に示される値を閾値と比較することで行われる。S301で取得された情報が上流側の超音波センサT2から送信された情報であることから、S302の判定は、河川Kの上流側の状態が、通常か異常かを判定することに相当する。
【0095】
例えばS301で取得される「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」が「発信受信時間の値を示す情報」である場合には、当該情報に示される「発信受信時間の値」と比較するための閾値が、管理サーバーSのメモリに予め格納される。この閾値は、例えば、超音波センサT2が設置された上流側の位置における河川Kの水位が危険水位近傍に達するときに、超音波センサT2が計測する「発信受信時間の値」とされる。
【0096】
またS301で取得される「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」が「超音波センサTと水面との間の距離Lの値を示す情報」である場合には、当該情報に示される「距離Lの値」と比較するための閾値が、管理サーバーSのメモリに予め格納される。この閾値は、例えば、超音波センサT2が設置された上流側の位置における河川Kの水位が危険水位近傍に達するときに、超音波センサT2が求める「距離Lの値」とされる。
【0097】
そしてS301で取得された情報に示される「発信受信時間の値」或いは「距離Lの値」が、上記の閾値以下である場合には、判定部32は、S302で河川Kの状態が異常と判定する。S301で取得された情報に示される「発信受信時間の値」或いは「距離Lの値」が、上記の閾値よりも大きい場合には、判定部32は、S302で河川Kの状態が通常と判定する。
【0098】
そして、判定部32は、S302で河川Kの状態が異常と判定した場合には、S303で前回も異常であったか否か判定し、S302で河川Kの状態が通常と判定した場合には、S304で前回も通常であったか否か判定する。
【0099】
そして、切替部33は、判定部32による判定結果が変わった場合に(S303或いはS304でNOの場合に)、下流側の超音波センサT1の作動条件を切り替える処理を行う。
【0100】
具体的には、判定部32による判定結果が通常から異常に変わった場合(S303でNOの場合)、切替部33は、「下流側の超音波センサT1が超音波Pを発信する時間間隔」や「下流側の超音波センサT1がサーバーSに情報を送信する時間間隔」を通常時の時間間隔よりも短くする(S305,S306)。またさらに切替部33は、「下流側の超音波センサT1に設けられる送波部20の圧電素子への印加電圧値」を、通常時の値よりも小さくする(S307)。
【0101】
また判定部32による判定結果が異常から通常に変わった場合(S304でNOの場合)、切替部33は、「下流側の超音波センサT1が超音波Pを発信する時間間隔」・「下流側の超音波センサT1がサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「下流側の超音波センサT1に設けられる送波部20の圧電素子への印加電圧値」を、通常時の値に戻す(S308,S309,S310)。
【0102】
上記のS305~S310は、図6のS105~S110と同様、超音波センサTの作動条件(「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「圧電素子に印加される電圧の値」)を切り替えるための情報を生成して、超音波センサTに送信するものである。上記の情報が下流側の超音波センサT1に送信されることで、下流側の超音波センサT1の作動条件が切り替えられる。
【0103】
第2実施形態のセンサシステム30によれば、判定部32による判定結果が異常から通常に変わったときに、「下流側の超音波センサT1が超音波Pを発信する時間間隔」や「下流側の超音波センサT1がサーバーに情報を送信する時間間隔」が、通常時の値に戻されることで、長くなる。また判定部32による判定結果が通常から異常に変わったときには、「下流側の超音波センサT1に設けられる送波部20の圧電素子への印加電圧値」が小さくされる。以上のことから、下流側の超音波センサT1に対して設けられる電池Dの容量が短期間で少なくなることを防止できる。したがって下流側の超音波センサT1を長期間継続して作動させることが可能であり、作業員が超音波センサT1の設置場所に幾度も出向く手間を抑制することができる。
【0104】
さらに第2実施形態のセンサシステム30によれば、判定部32による判定結果が通常から異常に変わったときに、「超音波センサT1が超音波Pを発信する時間間隔」や「超音波センサT1がサーバーに情報を送信する時間間隔」が通常時の値よりも短くされる。このため、河川Kが異常の期間中において、多数の「河川Kの水位値を特定可能な情報」が超音波センサT1から送信されて管理サーバーSに受信される。したがって、異常時における河川Kの水位を正確に特定可能である。
【0105】
さらに第2実施形態のセンサシステム30によれば、上流側の超音波センサT2から送信された「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」に基づき、河川Kの上流側の状態が異常か通常か判定されて、この判定結果に基づき、下流側の超音波センサT1の作動条件が切り替えられる。このため、河川Kの上流側の水位が危険水位に至った時点(河川Kの下流側の水位が危険水位に至っていない時点)で、「下流側の超音波センサT1が超音波Pを発信する時間間隔」や「下流側の超音波センサT1がサーバーに情報を送信する時間間隔」を通常時の値よりも短くすることができる。したがって、河川Kの下流側の水位が危険水位に至った時点を、遅れなく特定できる。
【0106】
なお第2実施形態では、作動条件の切り替え対象となるセンサは、下流側のセンサT1に限定されず、さらに切り替えの根拠となる情報の送信元のセンサも、上流側のセンサT2に限定されない。以下、第2実施形態のセンサシステムの他の例について説明する。
【0107】
図13に示すように、小規模な河川K1が大規模な河川K2に合流する場合には、降雨等で河川K2の水位が高くなった時に、河川K2の水が、河川K1に流入して、河川K1の下流側から上流側へと流れるバックウォーターと称される現象が生じる(図14の破線矢印はバックウォーターの流れを示している)。このバックウォーターが生じる場合には、以下のa,bに示す水位上昇が生じる。
【0108】
a:河川K1の下流側で水位上昇が生じた後、河川K1の上流側で水位上昇が生じる。
b:河川K2における河川K1との合流位置で水位上昇が生じた後、河川K1の任意の位置で水位上昇が生じる。
【0109】
また図13に示すように河川K2の下流側に河川K1が合流し、河川K2の上流側で降雨が多い場合には、上記のバックウォーターによって以下のcに示す水位上昇を多頻度で生じさせ得るものとして、河川K1,K2をみなすことができる。
【0110】
c:河川K2の任意の位置で水位上昇が生じた後、河川K1の任意の位置で水位上昇が生じる。
【0111】
以上に鑑み、第2実施形態のセンサシステム30は、以下の例1~3に示すように変更され得る。
【0112】
・例1(aに示す水位上昇が生じることを考慮する場合)
センサシステム30には、超音波センサTとして、河川K1に配置される一の超音波センサT3と、当該一の超音波センサT3よりも河川Kの下流側に配置される二の超音波センサT4とが設けられる。

情報取得部31は、二の超音波センサT4から送信された河川K1の水位を特定可能な値を示す情報を取得する。
判定部32は、情報取得部31が情報を取得するたびに、当該情報に基づき河川K1の状態が通常か異常かを判定する。
切替部33は、判定部32による判定結果が変わったときに、一の超音波センサT3の作動条件を切り替えるための処理として、以下の(1)~(3)の処理を行う。
(1)判定部32による判定結果が通常から異常に変わったときに、一の超音波センサT3が超音波Pを発信する時間間隔を通常時の値よりも短くし、判定部32による判定結果が異常から通常に変わったときに、一の超音波センサT3が超音波Pを発信する時間間隔を通常時の値に戻すための処理。
(2)判定部32による判定結果が通常から異常に変わったときに、一の超音波センサT3が管理サーバーSに「河川K1の水位を特定可能な値を示す情報」を送信する時間間隔を、通常時の値よりも短くし、判定部32による判定結果が異常から通常に変わったときに、一の超音波センサT3が管理サーバーSに上記の情報を送信する時間間隔を、通常時の値に戻すための処理。
(3)判定部32による判定結果が通常から異常に変わったときに、一の超音波センサTT3に設けられている圧電素子に印加される電圧の値を、通常時の値よりも小さく、判定部32による判定結果が異常から通常に変わったときに、前記圧電素子に印加される電圧の値を、通常時の値に戻すための処理。
【0113】
・例2(bに示す水位上昇が生じることを考慮する場合)
センサシステム30には、超音波センサTとして、河川K1に配置される一の超音波センサT3又はT4と、河川K2における河川K1との合流位置に配置される二の超音波センサT5とが設けられる。

情報取得部31は、二の超音波センサT5から送信された河川K2の水位を特定可能な値を示す情報を取得する。
判定部32は、情報取得部31が情報を取得するたびに、当該情報に基づき河川K2の状態が通常か異常かを判定する。
切替部33は、判定部32による判定結果が変わったときに、一の超音波センサT3又はT4の作動条件を切り替えるための処理として、以下の(1)~(3)の処理を行う。
(1)判定部32による判定結果が通常から異常に変わったときに、一の超音波センサT3又はT4が超音波Pを発信する時間間隔を通常時の値よりも短くし、判定部32による判定結果が異常から通常に変わったときに、一の超音波センサT3又はT4が超音波Pを発信する時間間隔を通常時の値に戻すための処理。
(2)判定部32による判定結果が通常から異常に変わったときに、一の超音波センサT3又はT4が管理サーバーSに「河川K1の水位を特定可能な値を示す情報」を送信する時間間隔を、通常時の値よりも短くし、判定部32による判定結果が異常から通常に変わったときに、一の超音波センサT3又はT4が管理サーバーSに上記の情報を送信する時間間隔を、通常時の値に戻すための処理。
(3)判定部32による判定結果が通常から異常に変わったときに、一の超音波センサT3又はT4に設けられている圧電素子に印加される電圧の値を、通常時の値よりも小さく、判定部32による判定結果が異常から通常に変わったときに、前記圧電素子に印加される電圧の値を、通常時の値に戻すための処理。
【0114】
・例3(cに示す水位上昇が生じることを考慮する場合)
センサシステム30には、超音波センサTとして、河川K1に配置される一の超音波センサT3又はT4と、河川K1が合流する河川K2に配置される二の超音波センサT5又はT6とが設けられる。

情報取得部31は、二の超音波センサT5又はT6から送信された河川K2の水位を特定可能な値を示す情報を取得する。
判定部32は、情報取得部31が情報を取得するたびに、当該情報に基づき河川K2の状態が通常か異常かを判定する。
切替部33は、判定部32による判定結果が変わったときに、一の超音波センサT3又はT4の作動条件を切り替えるための処理として、以下の(1)~(3)の処理を行う。
(1)判定部32による判定結果が通常から異常に変わったときに、一の超音波センサT3又はT4が超音波Pを発信する時間間隔を通常時の値よりも短くし、判定部32による判定結果が異常から通常に変わったときに、一の超音波センサT3又はT4が超音波Pを発信する時間間隔を通常時の値に戻すための処理。
(2)判定部32による判定結果が通常から異常に変わったときに、一の超音波センサT3又はT4が管理サーバーSに「河川K1の水位を特定可能な値を示す情報」を送信する時間間隔を、通常時の値よりも短くし、判定部32による判定結果が異常から通常に変わったときに、一の超音波センサT3又はT4が管理サーバーSに上記の情報を送信する時間間隔を、通常時の値に戻すための処理。
(3)判定部32による判定結果が通常から異常に変わったときに、一の超音波センサT3又はT4に設けられている圧電素子に印加される電圧の値を、通常時の値よりも小さく、判定部32による判定結果が異常から通常に変わったときに、前記圧電素子に印加される電圧の値を、通常時の値に戻すための処理。
【0115】
上記の例1~3に示すようにセンサシステム30が変更される場合でも、作動条件の切り替え対象とされる一の超音波センサTに対して設けられる電池Dの容量が短期間で少なくなることを防止できる。また一の超音波センサTから管理サーバーSに送信される「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」に基づき、河川K2の水が河川K1に流入するバックウオーターによって、河川K1が危険水位に至る時点を特定できる。
【0116】
次に本発明の第3実施形態のセンサシステム40を説明する。図14は、本発明の第3実施形態に係るセンサシステム40を構成する機器を示す概略図である。図15は、超音波センサTの作動条件を切り替えるために管理サーバーSに構成される手段を示すブロック図である。
【0117】
第3実施形態のセンサシステム40は、「河川Kの領域における降雨量に関する情報」に基づき河川Kの状態が異常か通常かを判定して、この判定結果に基づき、超音波センサTの作動を切り替えるものである。
【0118】
第3実施形態のセンサシステム40では、基地局Bと超音波センサTとが無線通信可能とされる。また無線又は有線のネットワークNを介して、基地局Bと管理サーバーSとが通信可能とされ、管理サーバーSとデータベースサーバーWとが通信可能とされる。
【0119】
データベースサーバーWは、上記の「河川Kの領域における降雨量に関する情報」として、「河川Kの上流側の領域における降雨量を示す情報(以下、上流側の降雨量を示す情報)」を、データベースDBに格納するものである。情報に示される降雨量は、超音波センサTの設置位置よりも「河川Kの上流側の領域」に配置された雨量計によって計測されたものである。データベースサーバーWは、雨量計が計測する降雨量を定期的に取得して、データベースに格納する。管理サーバーSは、データベースサーバーWから「上流側の降雨量を示す情報(河川Kの領域における降雨量に関する情報)」を定期的に受信する。なお、上記の「河川Kの上流側の領域」には、「河川K直上の領域(河川Kの上側を通過する橋梁など)」のみならず、「河川K近傍の地上の領域」も含まれる。
【0120】
管理サーバーSのメモリには、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」の通常時及び異常時の値を示すテーブルが、格納される。このテーブルも、上記の表1と同様、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」の異常時の値が通常時の値よりも小さく設定されたものである。
【0121】
管理サーバーSには、河川Kの通常時と異常時とで超音波センサTの作動条件を切り替えるための手段として、図15に示す情報取得部41・判定部42・切替部43が構成される。情報取得部41・判定部42・切替部43は、管理サーバーSのCPUが、管理サーバーSのメモリに格納されているプログラムを実行することで構成されるものである。
【0122】
図16は、情報取得部41、判定部42、及び切替部43によって実行される処理を示すフロチャートである。
【0123】
情報取得部41は、データベースサーバーWから送信された「上流側の降雨量を示す情報」を取得する(S401)。
【0124】
ついで、判定部42は、S401で取得された情報に示される「上流側の降雨量」が閾値と比較することで、河川Kの状態が通常か異常かを判定する(S402)。「上流側の降雨量を示す情報」に示される降雨量が閾値以上である場合には、判定部42は、S402で河川Kの状態が異常と判定し、S403で前回も異常であったか否か判定する。「上流側の降雨量を示す情報」に示される値が閾値よりも小さい場合には、判定部42は、S402で河川Kの状態が通常と判定し、S404で前回も通常であったか否か判定する。
【0125】
切替部43は、判定部42による判定結果が変わった場合に(S403或いはS404でNOの場合に)、超音波センサTの作動条件を切り替える処理を行う。
【0126】
具体的には、判定部42による判定結果が通常から異常に変わった場合(S403でNOの場合)、切替部43は、以下のS405~S407の処理を行う。
【0127】
S405:「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」を、通常時の時間間隔よりも短くするための処理。
S406:「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」を、通常時の時間間隔よりも短くするための処理。
S407:「超音波センサTに設けられる送波部20の圧電素子への印加電圧値」を、通常時の値よりも小さくするための処理。
【0128】
また判定部42による判定結果が異常から通常に変わった場合(S404でNOの場合)、切替部43は、以下のS408~410の処理を行う。
【0129】
S408:「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」を、通常時の値に戻すための処理。
S409:「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」を、通常時の値に戻すための処理。
S410:「超音波センサTに設けられる送波部20の圧電素子への印加電圧値」を、通常時の値に戻すための処理。
【0130】
上記のS405~S410は、図6のS105~S110と同様、超音波センサTの作動条件(「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「圧電素子に印加される電圧の値」)を切り替えるための情報を生成して、超音波センサTに送信するものである。上記の情報が超音波センサTに送信されることで、超音波センサTの作動条件が切り替えられる。
【0131】
第3実施形態のセンサシステム40によれば、「上流側の降雨量を示す情報」に基づき河川Kが異常か通常か判定され、判定結果が異常から通常に変わったときに、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」や「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」が、通常時の値に戻されることで、長くなる。また判定部42による判定結果が通常から異常に変わったときには、「超音波センサTに設けられる送波部20の圧電素子への印加電圧値」が小さくされる。以上のことから、超音波センサTに対して設けられる電池Dの容量が短期間で少なくなることを防止できるので、手間を抑えつつ超音波センサTを長期間継続して作動させることが可能である。
【0132】
さらに第3実施形態のセンサシステム40でも、判定部42による判定結果が通常から異常に変わったときに、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」や「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」が通常時の値よりも短くされる。このため、河川Kが異常の期間中において、多数の「河川Kの水位値を特定可能な情報」が、超音波センサTから送信されて、管理サーバーSに受信される。したがって、異常時における河川Kの水位を正確に特定可能である。
【0133】
さらに第3実施形態のセンサシステム40によれば、「上流側の降雨量を示す情報」に基づき、河川Kの上流側の状態が異常か通常か判定され、この判定結果に基づき超音波センサTの作動条件が切り替えられる。このため、河川Kの上流側の降雨量が閾値を上回った時点(超音波センサTが設置される河川Kの下流側の水位が危険水位に至っていない時点)で、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」や「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」を通常時の値よりも短くすることができる。したがって、河川Kの下流側の水位が危険水位に至った時点を遅れなく特定できる。
【0134】
なお上記の「上流側の降雨量を示す情報」の代わりに、「超音波センサT近傍の河川Kの領域における降雨量を示す情報(以下、超音波センサT近傍の降雨量を示す情報)」が使用されてもよい。当該情報は、超音波センサTの近傍に配置された雨量計によって計測されたものであり、データベースサーバーWは、上記の雨量計が計測した降雨量を、定期的に取得してデータベースに格納する。そして、管理サーバは、データベースサーバーWから定期的に「超音波センサT近傍の降雨量を示す情報」を受信する。
【0135】
そしてS401に対応するステップでは、「超音波センサT近傍の降雨量を示す情報」が取得される。S402に対応するステップでは、「超音波センサT近傍の降雨量を示す情報」で取得された情報に基づき、河川Kの状態が通常か異常かが判定される。以上のように変更される場合でも、上記の判定結果に基づき超音波センサTの作動条件が切り替えられることで、超音波センサTを長期間継続して作動させることや、異常時における河川Kの水位を特定することが可能である。
【0136】
また第3実施形態で、河川Kの状態を判定するために使用される「河川Kの領域における降雨量に関する情報」は、上記の「降雨量を示す情報」に限定されず、例えば「河川Kの領域における降雨量の予報値を示す情報」とすることができる。
【0137】
この場合、例えば、データベースサーバーWは、「超音波センサTの設置位置よりも河川Kの上流側の領域における降雨量の予報値(以下、上流側の降雨量予報値)を示す情報」を、データベースに格納するものとされる。上記の「河川Kの上流側の領域」には、「河川K直上の領域(河川Kの上側を通過する橋梁など)」のみならず、「河川K近傍の地上の領域」も含まれる。
【0138】
上流側の降雨量予報値は、気象庁や地方自治体が管理するサーバーに格納されたものである。データベースサーバーWは、上記のサーバーから、上流側の降雨量予報値を定期的に取得して、データベースに格納する。管理サーバーSは、データベースサーバーWから「上流側の降雨量予報値を示す情報」を定期的に受信する。
【0139】
図17は、上流側の降雨量予報値が使用される場合に情報取得部41・判定部42・切替部43によって行われる処理を示すフロチャートである。
【0140】
情報取得部41は、データベースサーバーWから送信された「上流側の降雨量予報値を示す情報」を取得する(S501)。
【0141】
ついで、判定部42は、S501で取得された情報に示される「上流側の降雨量予報値」を閾値と比較することで、河川Kの状態が通常か異常かを判定する(S502)。「上流側の降雨量予報値」が閾値以上である場合には、判定部42は、S502で河川Kの状態が異常と判定し、S503で前回も異常であったか否か判定する。「上流側の降雨量予報値」が閾値よりも小さい場合には、判定部42は、S502で河川Kの状態が通常と判定し、S504で前回も通常であったか否か判定する。
【0142】
切替部43は、判定部42による判定結果が通常から異常に変わった場合(S503でNOの場合)、S505,S506,S507の処理を行う。また判定部42による判定結果が通常から異常に変わった場合(S504でNOの場合)、切替部43は、S508,S509,S510の処理を行う。上記のS505~S510は、図6のS105~S510と同様である。
【0143】
上記の変更例によれば、「上流側の降雨量予報値」に基づき河川Kの状態が異常か通常か判定されることで、河川Kの上流側の水位が危険水位に至っていない時点で、S505,S506の処理によって、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」や「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」を通常時の値よりも短くすることができる。したがって、より確実に、超音波センサT近傍の河川Kの下流側における水位が危険水位に至った時点を遅れなく特定できる。
【0144】
なお上記の「上流側の降雨量予報値を示す情報」の代わりに、「超音波センサT近傍のる降雨量予報値を示す情報」が使用されてもよい。この場合、情報に示される「超音波センサT近傍の降雨量予報値」に基づき河川Kの状態が異常か通常か判定されることで、超音波センサT近傍の河川Kの水位が危険水位に至っていない時点で、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」や「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」を通常時の値よりも短くすることができる。よって上記の場合も、超音波センサT近傍における河川Kの水位が危険水位に至った時点を遅れなく特定できる。
【0145】
また第3実施形態のセンサシステム40では、図18に示すように、情報取得部41と判定部42とが管理サーバーSに構成され、切替部43が超音波センサTの制御装置23に構成されてもよい。
【0146】
上記の場合も、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」の通常時及び異常時の値を示すテーブルが、制御装置23のメモリに格納される。
【0147】
そして図19に示す処理が、管理サーバーSに構成される情報取得部41と判定部42とによって行われる。
【0148】
図19のS601は、情報取得部41によって行われる処理であり、当該S601では、データベースサーバーWから送信される「降雨量を示す情報」或いは「降雨量予報値を示す情報」が取得される。「降雨量を示す情報」は、上述した「上流側の降雨量を示す情報」或いは「超音波センサT近傍の降雨量を示す情報」である。「降雨量予報値を示す情報」は、上述した「上流側の降雨量予報値を示す情報」或いは「超音波センサT近傍の降雨量予報値を示す情報」である。
【0149】
図19のS602~S606は、判定部42によって実行される処理である。S601で「降雨量を示す情報」が取得される場合、S602,S603,S604は、図16のS402,S403,S404と同様の処理とされる。S601で「降雨量予報値を示す情報」が取得される場合、S602,S603,S604は、図17のS502,S503,S504と同様の処理とされる。
【0150】
そしてS602で異常、S603でNOと判断されたときに、判定部42は、「河川Kの状態が通常から異常に変わったことを示す情報」を超音波センサTに送信する(S605)。
【0151】
またS602で通常、S604でNOと判断されときに、判定部42は、「河川Kの状態が異常から通常に変わったことを示す情報」を超音波センサTに送信する(S606)。
【0152】
そして上記の「河川Kの状態が通常から異常に変わったことを示す情報」が超音波センサTに受信された際に、超音波センサTの切替部43は、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」を、テーブルに示される異常時の値に変更する。これにより河川Kの状態が異常の期間中において、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」が、それぞれ通常時の値よりも小さくされる。
【0153】
また上記の「河川Kの状態が異常から通常に変わったことを示す情報」が超音波センサTに受信された際に、超音波センサTの切替部43は、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」・「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」・「送波部20の圧電素子への印加電圧値」の値を、テーブルに示される通常時の値に変更する。
【0154】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々改変できる。
【0155】
例えば、第1~第3実施形態では、切替部27,33,43によって、超音波センサTの作動条件を切り替えるための処理として、以下の(1),(2)の処理の双方が行われるが、(1),(2)の処理の一方のみが切替部27,33,43によって行われてもよい。
【0156】
(1)判定部26,32,42による判定結果が通常から異常に変わったときに、超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔を通常時の値よりも短くし(図6のS105,図12のS305,図16のS405、図17のS505等)、判定部26,32,42による判定結果が異常から通常に変わったときに、超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔を通常時の値に戻す(図6のS108,図12のS308,図16のS408、図17のS508等)ための処理。
(2)判定部26,32,42による判定結果が通常から異常に変わったときに、超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔を、通常時の値よりも短くし(図6のS106,図12のS306,図16のS406、図17のS506等)、判定部26,32,42による判定結果が異常から通常に変わったときに、超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔を、通常時の値に戻す(図6のS109,図12のS309,図16のS409、図17のS509等)ための処理。
【0157】
(1)の処理のみが行われる場合であっても、判定部26,32,42による判定結果が通常から異常に変わったときに、超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔が通常時の値よりも短くされることで、河川Kが異常の期間中において、超音波センサTに受信される反射波Hの数を多くすることができる。このことから、河川Kが異常の期間中において、超音波センサTが、「発信受信時間」を計測する回数や、「発信受信時間」に基づき取得する「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」の数を多くすることができる。したがって、「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔」を短くすれば、河川Kが異常の期間中に数多く取得される「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」を管理サーバーSに受信させることができるので、異常時における河川Kの水位を正確に特定できる。
【0158】
そして(1)の処理のみが行われる場合であっても、判定部26,32,42による判定結果が異常から通常に変わったときに、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔」が長くなることで、電池Dの容量が短期間で少なくなることを防止できる。したがって超音波センサTを長期間継続して作動させることが可能である。
【0159】
また(2)の処理のみが行われる場合であっても、判定部26,32,42による判定結果が通常から異常に変わったときに、超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔が通常時の値よりも短くされることで、電池Dの容量が短期間で少なくなることを防止できる。このため超音波センサTを長期間継続して作動させることが可能である。さらに(2)の処理のみが行われる場合でも、異常時における「超音波センサTが情報をサーバーSに送信する時間間隔」を短くすれば、河川Kが異常の期間中に、多数の「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」を管理サーバーSに受信させることができるので、異常時における河川の水位を正確に特定可能である。以下、具体的に説明する。
【0160】
例えば(2)の処理のみが行われるようにするために、下記の表2に示すように、「超音波センサTが超音波Pを発信する時間間隔(以下、超音波発信間隔)」の通常時及び異常時の双方の値を5分/回の一定値とし、「超音波センサTがサーバーSに情報を送信する時間間隔(以下、情報送信間隔)」について、通常時の値を60分/回とし、異常時の値を5分/回とすることが考えられる。この場合には、情報送信間隔の通常時の値(60分/回)が異常時の値(5分/回)よりも長いことで、電池Dの容量が短期間で少なくなることを防止できる。さらに情報送信間隔の異常時の値(5分/回)が超音波発信間隔の値(5分/回)と同等に短い。このため、河川が異常の期間中において、超音波センサTは、「反射波受信→発信受信時間の計測→「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」の取得」の処理を行うたびに、取得された「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」を直ちに管理サーバーSに送信するものとなる。これにより、河川が異常の期間中において、多数の「河川Kの水位を特定可能な値を示す情報」が管理サーバーSに受信されて、河川Kの水位をタイムリーに把握できるので、異常時における河川Kの水位を正確に特定可能である。
【0161】
【表2】
【0162】
また第1~第3実施形態では、切替部43が、超音波センサTの作動条件を切り替えるための処理として、下記の(3)の処理を行うが、(3)の処理は必ずしも行われなくてもよい。この場合でも、上記の(1),(2)の一方又は双方が行われることで、超音波センサTを長期間継続して作動させることが可能であるとともに、異常時における河川Kの水位を正確に特定できる。
【0163】
(3)判定部26,32,42による判定結果が通常から異常に変わったときに、作動条件の切り替え対象とされた超音波センサTに設けられている圧電素子に印加される電圧の値を、通常時の値よりも小さくし(図6のS107,図12のS307,図16のS407、図17のS507等)、判定部26,32,42による判定結果が異常から通常に変わったときに、前記圧電素子に印加される電圧の値を、通常時の値に戻す(図6のS110,図12のS310,図16のS410、図17のS510等)ための処理。
【符号の説明】
【0164】
1,30,40 センサシステム
T,T1,T2,T3,T4 超音波センサ
20 送波部
21 受波部
22 通信部
23 制御装置
25,31,41 情報取得部
26,32,42 判定部
27,33,43 切替部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19