IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インコーポレイテッドの特許一覧

特許7483331光及びグルコサミン塩酸塩を使用して皮膚状態を治療するための組成物及び方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】光及びグルコサミン塩酸塩を使用して皮膚状態を治療するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20240508BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240508BHJP
   A61K 31/7008 20060101ALI20240508BHJP
   A61K 41/17 20200101ALI20240508BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240508BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
A61K8/60
A61Q19/00
A61K31/7008
A61K41/17
A61P17/00
A61P43/00 125
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019119544
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2020002133
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】16/021,748
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522236350
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・チェン
(72)【発明者】
【氏名】アリ・ファシフ
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・エム・リ
(72)【発明者】
【氏名】ウェン-ファ・リ
(72)【発明者】
【氏名】リリアム・エイ・モレイラ
(72)【発明者】
【氏名】ラミン・パルサ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ディー・サウスオール
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-072335(JP,A)
【文献】特開昭62-036306(JP,A)
【文献】特表2018-507740(JP,A)
【文献】Institut Esthederm, France,Whitening Cleansing Foam,Mintel GNPD [online],2015年04月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#2972787, [検索日:2023.08.30], 表題部分及び成分
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 38/00-38/58
A61K 41/00-45/08
A61K 48/00
A61K 50/00-51/12
A61K 31/33-33/44
A61M 36/10-36/14
A61N 5/00- 5/10
A61P 1/00-43/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)最大2重量%のグルコサミン塩酸塩を含む局所適用組成物と、(b)600nm~750nmのピーク波長を有する赤色光、750nm~1000nmのピーク波長を有する近赤外光、又は両方を送達する光送達装置と、を含む、キット。
【請求項2】
前記光送達装置が、前記赤色光及び前記近赤外光の両方を送達する、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
皮膚を処置する方法であって、最大2重量%のグルコサミン塩酸塩を含む局所適用組成物を、皮膚老化の徴候のための処置を必要としている前記皮膚に局所的に適用することと、光送達装置を使用して、600nm~750nmのピーク波長を有する赤色光、750nm~1000nmのピーク波長を有する近赤外光、又は両方に前記皮膚を曝露することと、を含む、方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
【請求項4】
皮膚を処置する方法であって、最大2重量%のグルコサミン塩酸塩を含む局所適用組成物を、保湿を必要としている前記皮膚に局所的に適用することと、光送達装置を使用して、600nm~750nmのピーク波長を有する赤色光、750nm~1000nmのピーク波長を有する近赤外光、又は両方に前記皮膚を曝露することと、を含む、方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
【請求項5】
前記皮膚が、前記赤色光及び前記近赤外光の両方に曝露される、請求項又はに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ヒアルロン酸は、全ての結合組織において見られる。皮膚において、ヒアルロン酸は、線維芽細胞及びケラチノサイトによって生成される。ヒアルロン酸は、水中でその重量の1000倍に結合することができ、皮膚が水を保持及び維持するのを助けることができる。若い皮膚において、ヒアルロン酸は、コラーゲン及びエラスチン繊維の周辺、及びこれらの繊維が交差するところに位置する。若い皮膚ほどふっくらとしていない老化した皮膚は、ヒアルロン酸のレベルの減少によって特徴付けられる。そのようなヒアルロン酸レベルの減少は、コラーゲン及びエラスチンとのその解離、並びに水結合の低減に寄与する。したがって、ヒアルロン酸レベルの減少は、しわ、弾性の変化、膨張の低減、及び皮膚の微小血管系を支持する能力の減少を含む、皮膚老化の徴候に関与する。皮膚老化の主な臨床的徴候は、年齢と共に増加する細かい小じわ及びしわの出現である。
【0002】
しわ及び細かい小じわと闘うための異なる製品及び方法が提案されており、ヒアルロン酸自体は、皮膚の保湿及び弾性を増加させるために、注射用及び局所用化粧品の両方における活性剤として市販されている。しかしながら、ヒアルロン酸は、皮膚上で、かつ皮膚に注入されたときに制限された寿命を有する。皮膚中に存在する酵素であるヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸を分解し、したがってその影響を低減する。ヒアルロン酸の半減期は、組織によって異なるが、真皮及び表皮において約1日である。更に、外因性ヒアルロン酸の皮膚への浸透は、そのサイズに起因して局所適用によって達成することが困難であることが証明されている。
【0003】
形態又は経口栄養補助食品中のグルコサミンは、ヒト及び動物における関節の構造及び機能を支持するために市販されている。グルコサミンの一般的な販売形態は、グルコサミン硫酸塩、グルコサミン塩酸塩、及びN-アセチルグルコサミンである。
【0004】
グルコサミンは、関節痛の治療のためにいくつかの経口栄養補助食品で使用されている。スキンケアでは広く使用されていない。
【0005】
光線療法は、皮膚の状態を治療するのに有効であることが知られており、約633nmの波長を有する赤色光は、抗炎症効果を有することが知られている。赤色光の抗炎症作用の機構は、炎症性メディエータ、並びにインターロイキン-1a及びマトリクスメタロプロテイナーゼなどの酵素の阻害によって生じると考えられている。
【0006】
米国特許第8,771,328号は、顔面用マスクの形態であり得る、簡便な装置内に配置された、LEDなどの放射ランプ用の治療ランププラットフォームを含む、改良された光線療法システムを開示する。このシステムは、異なる波長の放射エネルギー、例えば、青色、赤色、又は赤外線のうちの少なくとも2つを放射する。
【0007】
Johnson&Johnson Consumer Inc.から市販されているNEUTROGENA Light Therapy Acne Maskは、皮膚表面の真下に浸透して、座瘡を誘発する細菌を死滅させる青色光及び皮膚のより深くまで浸透して炎症を軽減する赤色光を放射する。
【0008】
米国特許第7,066,941号は、約400nm~約500nmの波長を有する可視光の有効量を照射することによって、加齢した皮膚又は損傷した皮膚を治療することに関する。光源は、例えば、太陽光であっても、人工光であってもよく、一実施形態では、発光ダイオードが個別の皮膚領域に適用される。α-ヒドロキシ酸などの角質層の光透過性を増強する、及び/又は光を除去する化合物を含有する組成物は、光治療の前又は光治療中に適用されてもよい。
【0009】
国際公開第2016/146778号は、グルコサミンを含む多種多様な成分を含有し得る局所適用組成物と共に、緑色光、赤色光、及び近赤外光に対応する波長のピークを有する不連続スペクトルを有する光を皮膚に提供する1つ又は2つ以上の光線を用いて、対象の皮膚を照明することを含む、スキンケアを提供する美容方法に関する。そのような方法は、皮膚細胞の増殖及び移動、並びにコラーゲンなどの細胞外マトリクス繊維の生成を伴う皮膚活性化プロセスにとって有益であると言われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
出願者らは今回、皮膚によるヒアルロン酸の生成が、驚くべきことに、最大約2重量%のグルコサミン塩酸塩を含む局所適用組成物を適用し、光送達装置を使用して赤色及び近赤外光に前述の皮膚を曝露することによって上方制御され得、したがって、皮膚における少なくとも1つの老化の徴候の出現を改善する、低減する、阻害する、又は遅延させることを含む、皮膚に対する有意かつ予想外な利益を提供することを発見した。組み合わせはまた、皮膚バリア保護及び皮膚保湿を向上させ得る。したがって、例えば、皮膚老化の徴候を治療し、皮膚を保湿する新しい方法が現在利用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、皮膚によるヒアルロン酸の生成を増加させる方法を提供し、最大約2重量%のグルコサミン塩酸塩を含む局所適用組成物をそのような皮膚に局所的に適用することと、光送達装置を使用して、約600nm~約750nmのピーク波長を有する赤色光、約750nm~約1000nmのピーク波長を有する近赤外光、又は両方に前述の皮膚を曝露することとを含む。
【0012】
本発明はまた、皮膚を処置する方法も提供し、最大約2重量%のグルコサミン塩酸塩を含む局所適用組成物を、皮膚老化の徴候のための治療を必要としている皮膚に局所的に適用することと、光送達装置を使用して、約600nm~約750nmのピーク波長を有する赤色光、約750nm~約1000nmのピーク波長を有する近赤外光、又は両方に前述の皮膚を曝露することとを含む。
【0013】
本発明は更に、皮膚を処置する方法を提供し、最大約2重量%のグルコサミン塩酸塩を含む局所適用組成物を、保湿を必要としている皮膚に局所的に適用することと、光送達装置を使用して、約600nm~約750nmのピーク波長を有する赤色光、約750nm~約1000nmのピーク波長を有する近赤外光、又は両方に前述の皮膚を曝露することとを含む。
【0014】
本発明はまた、(a)最大約2重量%のグルコサミン塩酸塩を含む局所適用組成物と、(b)約600nm~約750nmのピーク波長を有する赤色光、約750nm~約1000nmのピーク波長を有する近赤外光、又は両方を送達する光送達装置とを含むキットも提供する。
【0015】
本発明は更に、約0.1~約2重量%のグルコサミン塩酸塩と、約2.5~約4.5のpKaを有する少なくとも1つの化合物とを含む局所適用組成物を提供し、前述の組成物は、約5.5未満のpHを有する。
【0016】
本発明はまた、約0.1~約2重量%のグルコサミン塩酸塩と、約2.5~約4.5のpKaを有する少なくとも1つの化合物とを含む局所適用組成物を含むフィルムを提供し、前述の組成物は、約5.5未満のpHを有する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
特段の記載がない限り、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般に解釈するのと同じ意味を有する。本明細書において言及する刊行物、特許出願、特許などの他の参考文献は全て、参照により組み込まれる。
【0018】
本明細書で使用する場合、「局所的に適用する」とは、例えば、手、又はワイプ、ローラー、若しくはスプレーなどのアプリケータを使用して、外皮又は頭皮に直接塗ったり、なじませたりすることを意味する。
【0019】
本発明で使用する場合、「化粧用」とは、具体的には組織又は皮膚の外観に関する場合、身体的に美しい外観を保つ、回復させる、与える、装う、若しくは高める、又は美しさ又は若々しさが増すように見える美化物質、又は製剤(調剤)を指す。
【0020】
本発明で使用する場合、「化粧用としての有効量」とは、1つ又は2つ以上の状態を治療するのに十分であるが、重度の副作用を回避するのに十分に低度の、生理学的に活性な化合物又は組成物の量を意味する。化合物又は組成物の化粧用としての有効量は、処置する特定の状態、最終使用者の年齢及び健康状態、処置/防止する状態の重症度、処置の期間、他の処置の性質、使用する特定の化合物又は製品/組成物、利用する特定の化粧用として許容可能なキャリア、及び同様の要因によって変化する。
【0021】
本発明で使用する場合、「化粧用として許容可能な」とは、この用語が説明する成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、刺激、アレルギー性反応などなく、組織(例えば、皮膚)と接触して使用するのに好適であることを意味する。
【0022】
本発明で使用する場合、「化粧用として許容可能な活性剤」とは、皮膚への、美容的又は治療的な効果を有する化合物(合成若しくは天然)である。
【0023】
本発明で使用する場合、「治療又は治療する」とは、状態又は障害の存在又は徴候の緩和、低減、予防、改善又は排除を指す。
【0024】
本発明は、皮膚老化の徴候を治療するのに適している。本発明で使用する場合、「皮膚老化の徴候」とは、小じわ及びしわの存在、弾性の喪失、不均一な皮膚、シミを含む。特に好ましい実施形態では、老化の徴候は、小じわ及びしわの存在、及び/又は弾性の喪失である。
【0025】
本発明で使用する場合、「しわ」は、細かい小じわ、細かいしわ、又は粗いしわを含む。しわの例としては、目の周囲の細かいしわ(例えば、「目尻のしわ」)、額及び頬のしわ、眉間のしわ、口の周囲の豊齢線が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
本発明で使用する場合、「弾性の喪失」とは、たるみ、弛緩、及び緩んだ組織を含むが、これらに限定されない皮膚又は組織の弾性、又は構造的完全性の喪失を含む。弾性、又は組織の構造的完全性の喪失は、疾患、老化、ホルモン変化、機械的外傷、環境損傷、又は化粧料又は医薬品などの製品の組織への適用の結果を含むが、これらに限定されない、多数の要因の結果であり得る。
【0027】
本発明で使用する場合、「不均一な皮膚」とは、炎症後色素沈着過度などの色素沈着過度に分類され得る、びまん性又は斑点模様の色素沈着に関連する皮膚の状態を意味する。
【0028】
本発明で使用する場合、「シミ」とは、赤み又は紅斑に関連する皮膚の状態を意味する。
【0029】
本発明の組成物は、保湿が必要な皮膚を処置するのにも有用である。本発明で使用する場合、「保湿が必要な皮膚」とは、水分が欠如している、皮脂が欠如している、ひび割れしている、乾燥している、痒みがある、鱗屑性である、乾皮症である、脱水状態である、柔軟性が欠如している、輝きが欠如している、くすんでいる、又は脂質が欠如している皮膚を意味するが、これらに限定されない。
【0030】
特に指示がない限り、百分率又は濃度は、重量百分率又は重量濃度(即ち、%(W/W))を指す。特に明記しない限り、全ての範囲は、両端点を包含し、例えば、「4~9」は、両端点の4と9を含む。
【0031】
グルコサミン塩酸塩を含む局所適用組成物
本発明は、グルコサミン塩酸塩を含む局所適用組成物を利用する。
【0032】
局所適用組成物は、最大約2重量%、好ましくは最大約1.5重量%、又はより好ましくは最大約1重量%のグルコサミン塩酸塩を含有してもよい。
【0033】
グルコサミンは、様々な塩及び誘導体を含む様々な形態で入手可能である。本発明者らは、全てのグルコサミン形態が、赤外光及び/又は赤色光と組み合わせた場合に優れた効果を提供するわけではないことを発見した。驚くべきことに、赤外光及び/又は赤色光と共にグルコサミン塩酸塩を投与することは、ヒアルロン酸の生成を相乗的に増加させる。これは、グルコサミンリン酸塩、N-アセチルグルコサミン、又はグルコサミンでは観察されなかった。
【0034】
グルコサミン塩酸塩は、例えば、Sigma Aldrichから市販されている。
【0035】
組成物は、当該技術分野で設定された濃度で、従来から皮膚用の組成物に使用されている、多種多様な付加的な油溶性材料及び/又は水溶性材料を含んでもよい。例えば、界面活性剤、真珠光沢剤又は乳白剤、増粘剤、皮膚軟化剤、コンディショナ、湿潤剤、キレート化剤、スクラブ剤、及び組成物の外観、感触、又は香りを向上させる添加剤、例えば、着色剤、香料、保存料、pH調整剤などが含まれ得る。
【0036】
組成物は、例えば、他の老化防止剤及び保湿剤、抗ニキビ剤、てかり制御剤、抗菌剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、外用鎮痛剤、日焼け止め剤、光防護剤、酸化防止剤、角質溶解剤、界面活性剤、栄養素、ビタミン、エネルギー増強剤、制汗剤、収斂剤、体臭防止剤、安定剤、皮膚硬化防止剤、皮膚調整剤、及び皮膚美白剤などを含む、1つ又は2つ以上の他の化粧用として許容可能な活性剤を含んでもよい。
【0037】
他の化粧用活性剤の量は、組成物の約0.001重量%~約20重量%、例えば、組成物の約0.01重量%~約5重量%などの組成物の約0.005重量%~約10重量%の範囲であってもよい。
【0038】
化粧用として許容可能な活性剤は、例えば、過酸化ベンゾイル、D-パンテノールカロテノイド、セラミド、多価不飽和脂肪酸、必須脂肪酸、ラッカーゼなどの酵素、酵素阻害剤、ミネラル、エストロゲンなどのホルモン、ヒドロコルチゾンなどのステロイド、2-ジメチルアミノエタノール、塩化銅などの銅塩、アルジレリン、シンエイク、及びこれらの銅を含有するものなどのペプチド、コエンザイムQ10、プロリンなどのアミノ酸、ビタミン、ラクトビオン酸、アセチル-コエンザイムA、ナイアシン、リボフラビン、チアミン、リボース、NADH及びFADH2などの電子輸送体、アロエベラ、ナツシロギク、オートミール、ディル、ブラックベリー、キリ、Picia anomala、及びチコリなどの天然抽出物、4-ヘキシルレゾルシノールなどのレゾルシノール、クルクミノイド、N-アセチルグルコサミン及びグルコサミン塩酸塩以外の他のグルコサミンなどの糖アミン、並びにこれらの誘導体及びこれらの混合物から選択されてもよい。
【0039】
ビタミンの例としては、限定されないが、ビタミンA、ビタミンB群、例えば、ビタミンB3、ビタミンB5及びビタミンB12、ビタミンC、ビタミンK、及びビタミンEの異なる形態、例えば、α、β、γ又はδトコフェロール、又はこれらの混合物及び誘導体が挙げられる。
【0040】
酸化防止剤の例としては、限定されないが、水溶性酸化防止剤、例えば、スルフヒドリル化合物及びその誘導体(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム及びN-アセチル-システイン)、リポ酸及びジヒドロリポ酸、レスベラトロール、ラクトフェリン、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル及びアスコルビルポリペプチド)が挙げられる。本発明の組成物に使用するのに好適な油溶性酸化防止剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン、レチノイド(例えば、レチノール及びパルミチン酸レチニル)、トコフェロール(例えば、酢酸トコフェノール)、トコトリエノール、及びユビキノンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物に使用するのに適した酸化防止剤を含有する天然抽出物としては、限定されないが、フラボノイド及びイソフラボノイドを含有する抽出物、及びその誘導体(例えば、ゲニステイン及びダイゼイン)、レスベラトロールを含有する抽出物が挙げられる。このような天然抽出物の例には、ブドウ種、緑茶、松の樹皮及びプロポリスが挙げられる。
【0041】
一実施形態では、局所適用組成物は、少なくとも約4、又は約4~約20重量%のグリセリン、例えば約6~約10重量%のグリセリンを含む。
【0042】
別の実施形態では、局所適用組成物は、約0.1~約2重量%の塩酸グルコサミンと、約2.5~約4.5のpKaを有する少なくとも1つの化合物とを含み、前述の組成物は、約5.5未満のpHを有する。例えば、約2.5~約4.5のpKaを有する化合物は、クエン酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0043】
別の実施形態では、局所適用組成物は、亜硫酸水素ナトリウムを更に含む。
【0044】
組成物は、化粧用として許容可能な局所用キャリアを更に含んでいてもよい。本キャリアは、組成物の約50重量%~約99.99重量%(例えば、組成物の約80重量%~約99重量%)であってもよい。本発明の一実施形態では、化粧用として許容可能な局所用キャリアは水を含む。
【0045】
組成物は、ローション、クリーム、ゲル、スティック、スプレー、軟膏、ペースト、フォーム、パウダー、ムース、クリーム、ワイプ、パッチ、ヒドロゲル、フィルム形成製品、フェイシャルマスク及びスキンマスク、溶解性又は非溶解性フィルム、並びにファンデーションなどのメークアップを含むが、これらに限定されない、多種多様な製品種類へと作製されてもよい。これらの製品種類は、溶液、懸濁液、マイクロエマルション及びナノエマルションなどのエマルション、ゲル、固形物、フィルム、並びにリポソームが挙げられるが、これらに限定されない、化粧用として許容可能な多種多様な局所用キャリアを含有してもよい。以下は、このようなキャリアの非限定例である。当業者によれば他のキャリアを配合することもできる。
【0046】
組成物は、溶液として配合されてもよい。溶液は、典型的には、水性又は有機溶媒(例えば、約50%~約99.99%又は約90%~約99%の化粧用として許容可能な水性又は有機溶媒)を含む。好適な有機溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトールエステル、1,2,6-ヘキサントリオール、エタノール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0047】
組成物は、皮膚軟化剤を含む溶液として配合されてもよい。このような組成物は、好ましくは、約2%~約50%の皮膚軟化剤(複数可)を含有する。本発明で使用する場合、「皮膚軟化剤」とは、皮膚からの経皮水分喪失を防止することなどにより、乾燥状態の防止又は緩和のために使用する材料を指す。皮膚軟化剤の例としては、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、Pepe、Wenninger、McEwen編、pp.2930-36(The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Assoc,Washington,D.C.,9th Edition,2002)(以後、「ICI Handbook」)に記載されるものなどが挙げられるが、これに限定されない。特に好適な皮膚軟化剤の例としては、植物油、鉱油、脂肪エステルなどが挙げられる。
【0048】
ローションはそのような溶液から作製され得る。ローションは、典型的には、約1%~約20%(例えば、約5%~約10%)の皮膚軟化剤(複数可)と、約50%~約90%(例えば、約60%~約80%)の水とを含有する。
【0049】
溶液から配合できる別の種類の製品はクリームである。クリームは、典型的には、約5%~約50%(例えば、約10%~約20%)の皮膚軟化剤(複数可)と、約45%~約85%(例えば、約50%~約75%)の水とを含有する。
【0050】
又は、組成物は、無水物であってもよく、水を含まないが、有機溶媒及び/又はシリコーン溶媒、油、脂質及びワックスを含む軟膏であってもよい。軟膏は、動物又は植物油の単一塩基又は半固体の炭化水素を含有してもよい。軟膏は、約2%~約10%の皮膚軟化剤(複数可)と、約0.1%~約2%の増粘剤(複数可)とを含有し得る。増粘剤の例としては、ICI Handbookのpp.2979~84に記載されるものが挙げられるが、これに限定されない。
【0051】
組成物は、エマルションとして配合されてもよい。局所用キャリアがエマルションである場合、約1%~約10%(例えば、約2%~約5%)の局所用キャリアが乳化剤(複数可)を含有する。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、又はカチオン性であってもよい。乳化剤の例としては、ICI Handbookのpp.2962~71に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
ローション及びクリームを、エマルションとして配合することができる。典型的には、このようなローションは、0.5%~約5%の乳化剤(複数可)を含有する。このようなクリームは、典型的には、約1%~約20%(例えば、約5%~約10%)の皮膚軟化剤(複数可)と、約20%~約80%(例えば、約30%~約70%)の水と、約1%~約10%(例えば、約2%~約5%)の乳化剤(複数可)とを含有する。
【0053】
水中油型及び油中水型の、ローション及びクリームのような単相エマルションのスキンケア製剤は、化粧品技術分野で周知であり、本発明に有用である。水中油中水型又は油中水中油型などの多相エマルション組成物もまた、本発明に有用である。一般に、そのような単相又は多相のエマルションは、必須成分として水、皮膚軟化剤、及び乳化剤を含有する。
【0054】
組成物は、ゲル(例えば、適切なゲル化剤(複数可)を用いた、水性、アルコール性、アルコール/水性又は油性のゲル)として配合されてもよい。水性及び/又はアルコール性ゲル用の好適なゲル化剤には、天然ゴム、アクリル酸及びアクリレートのポリマー及びコポリマー、及びセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース)が含まれるが、これらに限定されない。油(鉱油など)用の好適なゲル化剤としては、水素添加ブチレン/エチレン/スチレンコポリマー及び水素添加エチレン/プロピレン/スチレンコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。このようなゲルは、典型的には、約0.1重量%~5重量%のこのようなゲル化剤を含有する。
【0055】
組成物はまた、固形物(例えば、ワックスベースのスティック、バー、パウダー)に配合することができる。
【0056】
組成物は、フィルム、織布又は不織布材料、ワイプ、パッチ、マスク、衣類などの基材に含まれてもよい。
【0057】
一実施形態では、組成物はフィルムに含まれてもよい。本明細書で使用する場合、「フィルム」という用語は、哺乳類、より具体的にはヒトの皮膚に薄層、つまり膜を形成する組成物を意味する。このようなフィルムは、単層又は多層を含んでもよい。
【0058】
一実施形態では、フィルムは、溶解性フィルムである。様々な溶解性フィルムが当該技術分野において既知であり、本発明に従ってこれらのいずれか1つを使用してもよい。
【0059】
ある特定の実施形態では、フィルムは、米国特許出願公開第2015/0182991号に記載のインテグラルフィルム製品を含んでもよく、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。このインテグラルフィルム製品は、製造基材から独立して使用するために、フィルム製品をその上で作製した製造基材から除去できるように配置及び構成される。具体的には、この製品は、剥離性表面を有する製造基材上にマスクを載置し、マスクを通してフィルム形成組成物を送達して粗形状体を製造基材上に形成することと、マスクを除去することと、製造基材上に配置されたインテグラルフィルム製品へと粗形状体を凝固させることと、を含む。マスクは、所望のインテグラルフィルム製品に対応する形状を有する少なくとも1つの開口部を有する。インテグラルフィルム製品は、製造基材から独立して使用するために製造基材の剥離性表面から除去できるように配置及び構成される。
【0060】
別の実施形態では、フィルムは、米国特許出願公開第2015/0182990号に記載の多層形状のフィルム製品を含んでもよく、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、皮膚に送達される局所適用組成物を含む第1の面と、外部に露出する第2の面と、を含む2層形状のフィルム製品が使用されてもよい。そのような製品は、マスクを通して液体フィルム形成組成物を送達することと、マスクを除去して多層粗形状体を残すことと、多層粗形状体を硬化して多層成形フィルム製品を形成することとを含むプロセスを使用して作製され得る。マスクは、送達面と、反対側の面と、所望の成形フィルム製品に対応する設計を有する少なくとも1つの開口部と、を有する。フィルム形成組成物は、多流ノズルを通して送達される。マスクの移動並びにマスク開口部への第1及び第2のフィルム形成液体組成物の送達は、空隙の容積に対応するマスクの開口部に第1及び第2のフィルム形成液体組成物の容積流量をもたらすように制御される。ノズルは、マスクの送達面と接触している。
【0061】
別の特定の実施形態では、フィルムは米国特許出願公開第2015/0182992号に記載の多層フィルム製品を含んでもよく、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、第1の層が、第1の層上に配置された第2の層よりも大きい表面積を有する2層形状のフィルム製品が使用されてもよい。これは、第1の層の上に第2の層の「島」を形成する。2層のうちの1つは皮膚に接触するための層であり、本発明の組成物を含む。他方の層は、外部に露出する。このような製品は、第1のマスクを通して第1のフィルム形成組成物を送達して、第1の粗形状体を形成することと、第1のマスクを除去することと、第1の粗形状体上に第2のマスクを載置することと、第2のマスクを通して第2のフィルム形成組成物を送達して、第1の粗形状体上に第2の粗形状体を形成することと、第2のマスクを除去することと、第1及び第2の粗形状体を凝固させて成形フィルム製品をもたらすことと、によって作製されてもよい。
【0062】
更なる実施形態では、米国特許出願公開第2015/0182993号に記載の成形フィルム製品は組成物を含んでもよく、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。このような成形フィルム製品は、製造基材上にマスクを載置することと、ノズルを通してフィルム形成組成物を送達して、製造基材上に粗形状体を形成することと、マスクを除去することと、フィルム形成組成物を凝固させて、製造基材上に配置された成形フィルム製品をもたらすことと、によって作製されてもよい。マスクは、送達面と、反対側の製造基材対向面と、所望の成形フィルム製品に対応する設計を有する少なくとも1つの開口部と、を有する。フィルム形成組成物の送達中、ノズルは、マスクの少なくとも1つの開口部に対するマスクの送達面と密閉係合するように配置される。
【0063】
更に別の実施形態では、米国特許出願公開第2016/0367490号に記載の局所適用多層フィルムが使用されてもよく、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。このフィルムは、フィルムに水を適用することで容易に除去することができる。本明細書で使用する場合、「容易に除去することができる」とは、フィルムに水を適用することでフィルムが溶解又は崩壊することで、ごしごしこすったりなどすることなく、フィルムを皮膚から取り除くことができることを意味する。
【0064】
このようなフィルムは、皮膚から外側に面した第1の上面と、第1の上面と反対側の第1の下面と、を有する第1の上層を含む。物品はまた、第1の上層の第1の下面に面し、この下面に接着される第2の上面と、物品が皮膚に適用される際に皮膚と物品とを接触させて接着する、外側に面した第2の下面と、を含む下皮膚接触層を有する。下皮膚接触層は、局所適用組成物を含む。加えて、第1の上層及び第2の下層のそれぞれは、水溶性フィルム形成材料を含み、物品は皮膚に水を適用することで皮膚から容易に除去できる。
【0065】
局所適用組成物を含有するこのフィルムは、多層成形フィルム製品の上記の形成プロセスのうちの1つによって形成されてもよい。これはまた、接着層をキャスティング及び乾燥し、次いで下層の上に上層をキャスティングすることによって作製されてもよい。2層は、既知の接着法(機械的、化学的、分散、静電気、拡散によるものなど)のいずれかによって互いに接着されてもよい。一実施形態では、2層は、好ましくはいずれも水溶性であり、これにより、非接着性の外側に面した層中の水分が既に乾燥している接着性の皮膚接触層をわずかに溶解することで、2層の界面に一定量の拡散接着をもたらす。第2の実施形態では、両層はウェット・オン・ウェット方式でキャスティングされ、材料同士の混合が材料間の界面で生じ、これにより拡散接着による結合が形成される。好ましくは、各材料は共通の溶媒を有するか、かつ/又は互いに混和することで互いに混合及び結合する。接着層及び非接着層(それぞれ皮膚接触層及び外側に面した層)の材料は、材料同士が互いに結合するように、アルコールなどの水以外の共通の溶媒を有してもよい点が認識されよう。
【0066】
例えば、皮膚接触層は、好ましくは、親水性フィルム形成ポリマー、フィルム中の他の成分を可溶化するための可溶化剤、崩壊促進剤、増粘剤/構造化剤/テクスチャ改質剤、皮膚の水分を保持するための吸湿剤/湿潤剤、吸湿剤を皮膚内に移動させるための分配係数改変剤/吸収又は浸透促進物質、可撓性及び柔軟性を与えるための可塑剤/一次接着剤、ヒドロコロイドに使用され、潜在水分を保持し、最終物品を可撓性に保つための溶媒、並びに他の補助剤又は添加剤を含む。皮膚接触層は好ましくは皮膚表面に直接適用され、物品の皮膚接触面として使用されるのに適した特性を有する。そのような特性としては、急速溶解性、持続的接着強度、半閉塞性、及び可撓性が揚げられる。皮膚接触層は、グルコサミン塩酸塩と、局所適用組成物の他の成分とを含む。
【0067】
外側に面した層は、物理的バリアとして使用するのに適した特性を有することにより、物品が適用部位に定置されている間、物品に埃や汚れ及び細片が付かないようにすることができる。そのような特性としては、急速溶解性、半閉塞性、可撓性、及び非粘着性が揚げられる。外側に面した層は、親水性フィルム形成ポリマー、崩壊促進剤、水中油乳化剤、皮膚接触層から局所層への水の移動を制限するためのワックス、可撓性及び柔軟性を与えるための可塑剤、一次接着剤、ヒドロコロイドに使用され、潜在水分を保持し、最終物品を可撓性に保つための溶媒、及び他の補助剤又は添加剤を含む。
【0068】
本発明の特定の実施形態では、局所適用組成物は、このような水で除去することができる多層フィルムに含有される。フィルムは、例えば、最大約2mmの厚さを有してもよい。フィルムは、第2の下面を皮膚に接着することによって皮膚上に配置される。次いで、フィルムは、本発明による光送達装置を使用して、400nm~460nmのピーク波長を有する青色光に曝露される。フィルムは、例えば、少なくとも15分、又は少なくとも30分、又は少なくとも3時間、又はなくとも6時間の期間にわたって定位置に維持され、これにより、グルコサミン塩酸塩は、皮膚の適用部位に移動することが可能である。次いでフィルムは、水を適用する(ただちにフィルムが溶解する)ことにより適用部位から除去される。
【0069】
上記の更なる実施形態では、下皮膚接触層は、有効量の乳化剤を更に含んで、皮膚へのグルコサミン塩酸塩の輸送を促進する。一実施形態では、乳化剤はグリセリン誘導体である。例えば乳化剤は、グリセリド及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選択されてもよい。
【0070】
光送達装置
光送達装置は、赤色光若しくは近赤外光又は両方の任意の光源を含んでもよい。一実施形態では、光送達装置は、光及び近赤外光の両方を送達する。
【0071】
本明細書で使用される場合、「赤色」光は、約600~約750nm、好ましくは約600~約700nmのピーク波長を有する光を意味する。一実施形態では、赤色光は、約633nmのピーク波長を有する。
【0072】
本明細書で使用される場合、「近赤外」光は、約750~約1000nm、好ましくは約800~約900nmのピーク波長を有する光を意味する。一実施形態では、近赤外光は、約830のピーク波長を有する。
【0073】
光送達装置は、それが赤色光、近赤外光、又は両方を放出するという条件で、任意の形態又は構成をとることができる。光は、連続的に、パルス状で、集中的に、拡散して、多波長で、コヒーレントに、若しくは所望の範囲内で非コヒーレントに、又は所望の波長(複数可)で送達されてもよい。
【0074】
ある特定の好ましい実施形態では、赤色光のみ、近赤外光のみ、又は赤色光及び近赤外光のみが皮膚に送達される。即ち、他の波長の光は、光送達装置によって送達される光におけるそのような他の波長のフィルタリング又はそのような波長の不在のいずれかによって、皮膚に送達されない。
【0075】
別のそのような実施形態では、赤色光のみが送達される。
【0076】
更なる実施形態では、近赤外線のみが送達される。
【0077】
特に好ましい実施形態では、赤色光及び近赤外光の両方が送達される。
【0078】
光は、好ましくは低強度で送達される。一実施形態では、光の電力供給は、約20mW/cm未満である。例えば、光は、約1mW/cm~約20mW/cmの強度で送達されてもよい。別の実施形態では、光の強度は、約1mW/cm未満である。
【0079】
光源は、例えば1つ又は2つ以上のLEDであってもよい。LEDは、例えば、個々のLED電球であっても、マルチLEDストリップであってもよい。
【0080】
装置は、顔面で使用するための成形マスク、シュラウド、又はフードの形態であってもよい。あるいは、装置は、シャツ、ベストなどの身体上、具体的には胴上で使用するための形状であってもよい。装置は、円形、楕円形、矩形、若しくは他の形状の形態であってもよい、又はこれらの形状を有するパッチであってもよい。このようなパッチはまた、不規則形状、又は顔面若しくは身体の特定部分に適合するように設計された形状を有してもよい。
【0081】
一実施形態では、装置は、米国特許第8,771,328号に記載のように、ランププラットフォームと、遠隔バッテリーパックと、を含み、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。LEDなどの放射ランプ用ランププラットフォームは、ランプが取り付けられる第1の壁と、皮膚により近く、第1の壁から離間された第2の壁と、を備えるアセンブリ内に配置され、ランプは第1の壁に対して凹設される。第2の壁は、皮膚に対向する反射面と、ランプからユーザへとランプ放射を伝達するための、第1の壁上のLEDと実質的に整列した複数の光開口部と、を備える。ランプ及び関連する回路は、反射面が皮膚に向かって比較的滑らかでシームレスとなるように、第1の壁と第2の壁との間に配置される。ランプの数は、回路の数と同じように最小化され、他のアセンブリ材料は比較的軽量のアセンブリとなるように意図的に選択され、治療セッション中のユーザの快適性を高める結果をもたらす。壁はユーザに関して適応力のある調整可能性のために、柔軟な硬さを有する。より具体的には、壁は、ユーザの顔面に関して凹面構成を有し、その構成は、静止位置に関して調整可能であり、使用中のユーザへの緊密な適合と確実な係合のために、ユーザの頭部寸法に関して拡大可能となっている。装置は、ランプ放射からユーザの眼を遮蔽するためのレンズを含む眼鏡フレーム又はゴーグルを備えるフレームと共に、ユーザに装着される。実施形態の調整可能性は、支持フレームに関して枢動可能な壁によって更に高められ、そこではフレームが、ユーザの頭部寸法に関する選択的調整可能性のための伸縮自在のテンプルアームを含んでもよい。したがって、装置は患者の上にウェアラブルハンドフリーマスク又は類似物として支持される。電源は、エネルギーをランプに伝達し、遠隔バッテリーパックを備え、そしてユーザ用に装置の使用回数をカウントするための、及び所定の使用回数後の装置交換の必要性を示すための、制御プロセッサをも含んでもよい。
【0082】
プラットフォームは、頭部へ複数の手段、すなわち、眼鏡フレーム、ストラップ、引きひも、ハーネス、ベルクロ、ダイアル回転式又はスナップボタンで固定されてもよい。マスクが固定されると、あごから額を覆うように上方へ向けて調整されてもよい。マスクはまた、横から横を覆うように外側へ向けて調整されてもよい。更に、いったんプラットフォームが曲がって/スライドして顔面領域をカバーしてしまうと、プラットフォームの皮膚からの距離は、ユーザの皮膚面に関して所望の光強度を実現するために調整されてもよい。したがって、光治療は3つまでの物理的方向へ最大化され得る。
【0083】
本主題の調整可能性は、調整可能エネルギー出力、調整可能波長、優先ゾーン、タイマーなどの形態の高められた適応性/調整可能性のために「スマート」な処理及びセンサシステムを通して実装されてもよい。センサシステムのセンサにより、本主題の実施形態が、色、座瘡、損傷密度などのためのセンサによる患者の顔面及び身体の皮膚の評価、並びに、優先スポットのエネルギーを多少とも使用してのスマート処置の計画を行う能力を有することができるであろう。本主題の実施形態は、皮膚のタイプ、年齢、問題の総体的深刻さの観点からスマートとなり得、それに応じて処置をカスタマイズする能力を有する。
【0084】
別の実施形態では、装置は、米国特許出願公開第2016/0045758号に記載のように、把持可能なスポットアプリケータアセンブリに配置されたLEDなどの放射ランプ用の治療ランププラットフォームを含み、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。把持可能なスポットアプリケータアセンブリは、患者に対向する反射面と、ランプからユーザへとランプ放射を伝達するための複数のLEDと、を含む。ランプ及び関連する回路は、把持可能な細長い構造体内に収容される。
【0085】
一実施形態では、光と同時に、又は連続して、超音波エネルギーも皮膚に送達される。超音波エネルギーは、光装置によって、又は別個の装置によって送達されてもよい。
【0086】
一実施形態では、光送達装置は、光及び超音波エネルギーの両方を送達する。
【0087】
ヒアルロン酸の生成
本発明によると、皮膚に対するグルコサミン塩酸塩の局所投与と赤色光若しくは近赤外光又は両方への曝露との組み合わせは、そのような皮膚によって生成されるヒアルロン酸の予想外の増加をもたらす。そのような組み合わせは、グルコサミン塩酸塩の局所投与又は赤色光及び/若しくは近赤外光への曝露単独のいずれかによって生成される量と比較して、皮膚によって生成されるヒアルロン酸の量の相乗的な増加を提供することが見出された。
【0088】
加えて、他の形態のグルコサミンを含む他の活性成分との赤色及び/又は近赤外光曝露の組み合わせは、皮膚におけるヒアルロン酸生成の相乗的な増加をもたらさなかった。
【0089】
一実施形態では、組み合わせは、ヒアルロン酸生成の少なくとも1.5倍の増加をもたらす。
【0090】
ヒアルロン酸生成は、以下の方法によって測定され得る。
【0091】
ヒト皮膚線維芽細胞は、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbeccos'Modified Eagle Medium、DMEM)+10%ウシ胎児血清、50単位/mLペニシリン、及び50μg/mLストレプトマイシンからなる増殖培地中のフラスコ内で維持される。細胞は、処置前に24時間、フェノールレッドを含まないダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)+2%ウシ胎児血清、50単位/mLペニシリン、及び50μg/mLのストレプトマイシン中の96ウェルプレートにおいて、1ウェル当たり10,000細胞で播種される。グルコサミンHCl又は他の活性物質を10%ストックで1xPBSに溶解し、様々な濃度で48時間培地に添加した。培養培地は、処置後48時間で収集し、製造業者のプロトコルに従って、ヒアルロナンELISAキット(Echelon、カタログ番号K-1200)を使用してHA(Hyaluronic acid、ヒアルロン酸)分泌について測定される。活性を評価するために、比色機会が405nmで測定される。
【0092】
各試験された処置の正味のHA分泌は、未処置の処置からのHA分泌量を引いた各それぞれの処置からのHA分泌量から計算される。次いで、光+活性物質による処置の組み合わせによってもたらされる倍率増加は、光単独による処置からの分泌された正味HAで割った、組み合わされた光+活性処置の適用からの分泌された正味HAの倍率変化として計算される。
【0093】
局所適用組成物及び光は、同時に又は連続的に投与されてもよい。連続的に投与される場合、組成物及び光は、いずれかの順序で投与されてもよい。超音波エネルギーも投与される場合、組成物、光、及び超音波エネルギーは、同時に、又は任意の順序で投与されてもよい。
【0094】
本発明の一実施形態では、皮膚老化の徴候のための治療を必要としている皮膚は、最大約2重量%のグルコサミン塩酸塩を含む組成物を皮膚に局所的に適用することと、光送達装置を使用して、約600nm~約750nmのピーク波長を有する赤色光、約750nm~約1000nmのピーク波長を有する近赤外光、又は両方に皮膚を曝露することとによって治療される。
【0095】
本発明の別の実施形態では、保湿のための処置を必要としている皮膚は、最大約2重量%のグルコサミン塩酸塩を含む組成物を皮膚に局所的に適用することと、光送達装置を使用して、約600nm~約750nmのピーク波長を有する赤色光、約750nm~約1000nmのピーク波長を有する近赤外光、又は両方に皮膚を曝露することとによって処置される。
【0096】
以下の非限定的実施例は、本発明を更に説明する。
【実施例
【0097】
(実施例1)
ヒアルロン酸の生成に関する以下の試験処置の活性を、未処置試料を対照として使用した上記のインビトロ方法を使用して比較した:a)633nmの赤色光と830nmのIR光との組み合わせ(各々0.3J/cm)、b)633nmの赤色光と830nmのIR光との組み合わせ(各々3J/cm)、c)細胞培地溶液中0.02%グルコサミンHCl、d)細胞培地溶液中の0.2%グルコサミンHCl、e)赤色光とIR光との組み合わせ(各々0.3J/cm)、及び細胞培地溶液中0.02%グルコサミンHClの同時適用、並びにf)赤色光とIR光との組み合わせ(各々3J/cm)、及び細胞培地溶液中0.2%グルコサミンHClの同時適用。
【0098】
結果を表1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
赤色光及び近赤外光とグルコサミンHClとの組み合わせの処置は、光単独での処置よりもヒト皮膚線維芽細胞中のヒアルロン酸分泌を相乗的に増加させた。
【0101】
(実施例2)
実施例1と同じ試験方法を使用して、表2に示される処置をヒト皮膚線維芽細胞に適用した。グルコサミン塩酸塩の代わりに、グルコサミンリン酸塩を使用した。
【0102】
相乗効果は観察されなかった。
【0103】
【表2】
【0104】
(実施例3)
実施例1と同じ試験方法を使用して、表3に示される処置をヒト皮膚線維芽細胞に適用した。グルコサミン塩酸塩の代わりに、N-アセチルグルコサミンを使用した。
【0105】
相乗効果は観察されなかった。
【0106】
【表3】
【0107】
(実施例4)
水酸化ナトリウムの量を調整することによって、4~5.5の範囲のpH値で表4に示される成分を使用して、グルコサミン塩酸塩を含む局所適用組成物を調製した。5.5を超えるpHを有する組成物は、60℃で7日後又は50℃で30日後に外観及び色について視覚的に評価した場合、物理的に安定ではなかった。
【0108】
【表4】
【0109】
(実施例5)
特許請求される発明で使用するための2つの局所適用組成物を、表5及び6に示される成分を使用して調製した。表5の局所適用組成物は、0.1%重量の亜硫酸水素ナトリウムを含有した。表6の局所適用組成物は、亜硫酸水素ナトリウムを含有しなかった。
【0110】
実施例4に記載の方法を使用して物理的安定性について試験した場合、表5の組成物は、表6の組成物と比較して改善された色及び外観を示した。
【0111】
【表5】
【0112】
【表6】
【0113】
表7の組成物も調製した。組成物A及びBは、亜硫酸水素ナトリウム(組成物C)の代わりに、既知の酸化防止剤であるBHT又はトコフェリルアセテートのいずれかを含有した。しかしながら、組成物Aも組成物Bも、実施例4に記載の様式で試験した場合、組成物Cに対する物理的安定性の改善を示さなかった。
【0114】
【表7】
【0115】
〔実施の態様〕
(1) 皮膚によるヒアルロン酸の生成を増加させる方法であって、最大約2重量%のグルコサミン塩酸塩を含む局所適用組成物をそのような皮膚に局所的に適用することと、光送達装置を使用して、約600nm~約750nmのピーク波長を有する赤色光、約750nm~約1000nmのピーク波長を有する近赤外光、又は両方に前記皮膚を曝露することと、を含む、方法。
(2) 前記皮膚が、前記赤色光及び前記近赤外光の両方に曝露される、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記局所適用組成物が、約3.0~約5.5のpHを有する、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記光の強度が、約20mW/cm未満である、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記皮膚を超音波エネルギーに曝露することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
【0116】
(6) 前記光送達装置が、光及び超音波エネルギーを送達する、実施態様5に記載の方法。
(7) 皮膚を処置する方法であって、最大約2重量%のグルコサミン塩酸塩を含む局所適用組成物を、皮膚老化の徴候のための治療を必要としている皮膚に局所的に適用することと、光送達装置を使用して、約600nm~約750nmのピーク波長を有する赤色光、約750nm~約1000nmのピーク波長を有する近赤外光、又は両方に前記皮膚を曝露することと、を含む、方法。
(8) 前記皮膚が、前記赤色光及び前記近赤外光の両方に曝露される、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記皮膚老化の徴候が、細かい小じわ及びしわである、実施態様7に記載の方法。
(10) 前記局所適用組成物が、約3.0~約5.5のpHを有する、実施態様7に記載の方法。
【0117】
(11) 前記光の強度が、約20mW/cm未満である、実施態様7に記載の方法。
(12) 前記皮膚を超音波エネルギーに曝露することを更に含む、実施態様7に記載の方法。
(13) 前記光送達装置が、光及び超音波エネルギーを送達する、実施態様12に記載の方法。
(14) 皮膚を処置する方法であって、最大約2重量%のグルコサミン塩酸塩を含む局所適用組成物を、保湿を必要としている皮膚に局所的に適用することと、光送達装置を使用して、約600nm~約750nmのピーク波長を有する赤色光、約750nm~約1000nmのピーク波長を有する近赤外光、又は両方に前記皮膚を曝露することと、を含む、方法。
(15) 前記皮膚が、前記赤色光及び前記近赤外光の両方に曝露される、実施態様14に記載の方法。
【0118】
(16) 皮膚老化の徴候が、細かい小じわ及びしわである、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記局所適用組成物が、約3.0~約5.5のpHを有する、実施態様14に記載の方法。
(18) 前記光の強度が、約20mW/cm未満である、実施態様14に記載の方法。
(19) 前記皮膚を超音波エネルギーに曝露することを更に含む、実施態様14に記載の方法。
(20) 前記光送達装置が、光及び超音波エネルギーを送達する、実施態様19に記載の方法。
【0119】
(21) (a)最大約2重量%のグルコサミン塩酸塩を含む局所適用組成物と、(b)約600nm~約750nmのピーク波長を有する赤色光、約750nm~約1000nmのピーク波長を有する近赤外光、又は両方を送達する光送達装置と、を含む、キット。
(22) 前記光送達装置が、前記赤色光及び前記近赤外光の両方を送達する、実施態様21に記載のキット。
(23) 約0.1~約2重量%のグルコサミン塩酸塩と、約2.5~約4.5のpKaを有する少なくとも1つの化合物と、を含む、局所適用組成物であって、約5.5未満のpHを有する、局所適用組成物。
(24) 亜硫酸水素ナトリウムを更に含む、実施態様23に記載の組成物。
(25) 前記約2.5~約4.5のpKaを有する化合物が、クエン酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様23に記載の組成物。
【0120】
(26) 約0.1~約2重量%のグルコサミン塩酸塩と、約2.5~約4.5のpKaを有する少なくとも1つの化合物と、を含む、局所適用組成物を含むフィルムであって、前記組成物が、約5.5未満のpHを有する、フィルム。
(27) 亜硫酸水素ナトリウムを更に含む、実施態様26に記載のフィルム。
(28) 前記約2.5~約4.5のpKaを有する化合物が、クエン酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様26に記載のフィルム。
(29) 多層の水で除去することができるフィルムの形態の、実施態様26に記載のフィルム。
(30) グリセリン誘導体を含む下皮膚接触層を含む、実施態様26に記載のフィルム。