(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ダクト及びそれを備えた電装ユニット
(51)【国際特許分類】
F24F 1/24 20110101AFI20240508BHJP
F24F 1/22 20110101ALI20240508BHJP
F24F 13/22 20060101ALI20240508BHJP
F24F 1/50 20110101ALI20240508BHJP
【FI】
F24F1/24
F24F1/22
F24F13/22
F24F1/50
(21)【出願番号】P 2019163185
(22)【出願日】2019-09-06
【審査請求日】2022-08-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】吉田 純一
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-098625(JP,A)
【文献】特開平06-074546(JP,A)
【文献】特開2014-017488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/24
F24F 1/22
F24F 13/22
F24F 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機の機械室を画定するベース部材とドレンパンとの間に設置されるダクトであって、
前記ベース部材及び前記ドレンパンに接続され、前記ドレンパン側に位置する第1開口及び前記ベース部材側に位置する第2開口が形成された流路を電装箱とともに形成する筐体と、
前記第1開口の一部を閉塞するように前記筐体の内側面に接続された第1蓋部材と、
前記筐体の前記ドレンパン側に設けられ、
前記ダクトの前記流路を流れる気流を発生させるファンと、
を備え、
前記第1蓋部材には、前記ファンの形状に対応した開口が形成されているダクト。
【請求項2】
前記第2開口の一部を閉塞するように前記筐体の内側面に接続された第2蓋部材を備えている請求項1に記載のダクト。
【請求項3】
前記流路における流体の流通方向から見たとき、前記電装箱に設けられ前記筐体に収容される放熱フィンの周囲と前記筐体の内側面との隙間を閉塞する遮風部材を備え、
前記遮風部材は、前記筐体の前記内側面に取り付けられている請求項1又は2に記載のダクト。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のダクトと、
前記機械室の下面に位置する前記ベース部材と、
前記機械室の上面に位置する前記ドレンパンと、
を備え、
前記筐体の上部が前記ドレンパンに接続されている電装ユニット。
【請求項5】
前記ドレンパンには、下方に向かって所定長さだけ延出するとともに下端が前記第1開口と略同形状の第3開口とされた筒状部が形成され、
前記第1開口と前記第3開口とが接続されるように、前記筐体と前記筒状部とが固定されている請求項4に記載の電装ユニット。
【請求項6】
内部に電装部品が収容されるとともに背面から放熱フィンが突出している前記電装箱を備え、
該電装箱は、前記放熱フィンが前記筐体に収容されるように、前記背面が前記筐体の前面に接続されている請求項4又は5に記載の電装ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクト及びそれを備えた電装ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ビル用マルチエアコンの室外機の機械室には、電装部品等が収容された電装箱が設けられる。電装箱に収容される電装部品の中には、例えばパワー素子など通電時に発熱する発熱部品がある。
【0003】
電装部品を適正な温度環境下で作動させるために発熱部品を冷却する必要があり、例えば特許文献1には、発熱部品に熱的に接続された放熱フィンをダクト内の冷却風に晒すことで発熱部品を冷却することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなダクトは、放熱フィンを収容するために所定の寸法を確保する必要があるが、機械室の空間を相応に占有してしまう。しかし、放熱フィンの冷却効率を考慮すればダクトの省略は現実的ではない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、流体が流通する流路を形成するとともに機械室の構造強度を向上させる補強部材とすることができるダクト及びそれを備えた電装ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のダクト及びそれを備えた電装ユニットは以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の一態様に係るダクトは、室外機の機械室を画定するベース部材とドレンパンとの間に設置されるダクトであって、前記ベース部材及び前記ドレンパンに接続され、前記ドレンパン側に位置する第1開口及び前記ベース部材側に位置する第2開口が形成された流路を電装箱とともに形成する筐体と、前記第1開口の一部を閉塞するように前記筐体の内側面に接続された第1蓋部材と、前記筐体の前記ドレンパン側に設けられ、前記ダクトの前記流路を流れる気流を発生させるファンと、を備え、前記第1蓋部材には、前記ファンの形状に対応した開口が形成されている。
【0008】
本態様に係るダクトによれば、ベース部材及びドレンパンに接続され、前記ドレンパン側に位置する第1開口及び前記ベース部材側に位置する第2開口が形成された流路を電装箱とともに形成する筐体と、第1開口の一部を閉塞するように筐体の内側面に接続された第1蓋部材とを備えている。これによれば、第1蓋部材が筐体に対して梁のような補強部材として機能するため、第1蓋部材によって筐体の強度を向上させることができる。このとき、流路を形成する筐体は、ベース部材及びドレンパンに接続されている。このため、筐体は、機械室の構造を剛に構成するための支柱としても機能する。つまり、ダクトの筐体は、流路を形成するだけでなく、機械室の構造強度を向上させる補強部材としても機能する。
なお、筐体及び電装箱によって形成される流路には、例えば、電装箱に収容され作動熱を発する電装部品を冷却する放熱フィンが晒される。
【0009】
また、本発明の一態様に係るダクトは、前記第2開口の一部を閉塞するように前記筐体の内側面に接続された第2蓋部材を備えている。
【0010】
本態様に係るダクトによれば、第2開口の一部を閉塞するように筐体の内側面に接続された第2蓋部材を備えている。これによれば、第2蓋部材が筐体に対して梁のような補強部材として機能するため、第2蓋部材によって筐体の強度を更に向上させることができる。
【0011】
また、本発明の一態様に係るダクトは、前記流路における流体の流通方向から見たとき、前記電装箱に設けられ前記筐体に収容される放熱フィンの周囲と前記筐体の内側面との隙間を閉塞する遮風部材を備え、前記遮風部材は、前記筐体の前記内側面に取り付けられている。
【0012】
本態様に係るダクトによれば、流路における流体の流通方向から見たとき、電装箱に設けられ筐体に収容される放熱フィンの周囲と筐体の内側面との隙間を閉塞する遮風部材を備えている。これによれば、放熱フィンの周囲と筐体の内側面との間にできる隙間を閉塞することができるので、流路を流通する流体(放熱フィンを冷却する流体)がその隙間に流れ込むことを抑制できる。これによって、流体を放熱フィンに効率的に導くことができる。
また、遮風部材は、筐体の内側面に取り付けられている。これによれば、遮風部材が筐体の内側面に対してリブのような補強部材として機能するため、遮風部材によって筐体の強度を更に向上させることができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る電装ユニットは、上述のダクトと、前記機械室の下面に位置する前記ベース部材と、前記機械室の上面に位置する前記ドレンパンとを備え、前記筐体の上部が前記ドレンパンに接続されている。
【0014】
本態様に係る電装ユニットによれば、上述のダクトと、機械室の下面に位置するベース部材と、機械室の上面に位置するドレンパンとを備え、筐体の上部がドレンパンに接続されている。これによれば、ダクトによって機械室の構造強度が向上した電装ユニットを提供することができる。
【0015】
また、本発明の一態様に係る電装ユニットにおいて、前記ドレンパンには、下方に向かって所定長さだけ延出するとともに下端が前記第1開口と略同形状の第3開口とされた筒状部が形成され、前記第1開口と前記第3開口とが接続されるように、前記筐体と前記筒状部とが固定されている。
【0016】
本態様に係る電装ユニットによれば、ドレンパンには、下方に向かって延出するとともに下端が第1開口と略同形状の第3開口とされた筒状部が形成され、第1開口と第3開口とが接続されるように、筐体と筒状部とが固定されている。これによれば、筐体とドレンパンとの固定位置を、所定長さだけドレンパンの下方に位置させることができる。このため、固定箇所とドレンパンの下面との間に作業用のスペースを確保できるので組み立て性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明の一態様に係る電装ユニットは、内部に電装部品が収容されるとともに背面から放熱フィンが突出している前記電装箱を備え、該電装箱は、前記放熱フィンが前記筐体に収容されるように、前記背面が前記筐体の前面に接続されている。
【0018】
本態様に係る電装ユニットによれば、装部品が収容されるとともに背面から放熱フィンが突出している電装箱を備え、電装箱は、放熱フィンが筐体に収容されるように、背面が筐体の前面に接続されている。筐体は高い強度を有しているので、電装箱を筐体に対して固定支持させることができる。
例えば、電装箱をベース部材に直接的に固定支持する場合、運転中の振動等を考慮すると、電装箱の筐体の強度を相応に確保しなければならない。強度を確保するためには、例えば、電装箱の筐体を構成する板金の板厚を大きくしなければならず重量の増加が懸念される。
しかし、電装箱を筐体に対して固定支持させることで、電装箱の筐体を構成する板金の板厚を小さくすることができるので電装箱の重量を低減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るダクト及びそれを備えた電装ユニットによれば、流体が流通する流路を形成するとともに機械室の構造強度を向上させる補強部材とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電装ユニットの機械室内における正面斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る電装ユニットの機械室内における背面斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るダクトの正面斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る電装ユニットが設置された室外機の側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るダクトの上面斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る電装ユニットの背面斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るダクトの側面斜視図である。
【
図9】
図8に示すダクトのドレンカバーの構成を示したである。
【
図11】ダクトとドレンパンとの接続部付近の部分拡大斜視図である。
【
図12】ダクトとドレンパンとの接続部付近の部分拡大斜視図である。
【
図13】ダクトとドレンパンとの接続部付近の部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係るダクト及びそれを備えた電装ユニットについて図面を用いて説明する。
【0022】
図1及び
図2に示すように、電装ユニット10は、例えば、ビル用マルチエアコンの室外機に画定された機械室12に設置されるものであって、エアコンの制御を実行する電装部品等が収容される電装箱90や電装箱90が固定されるダクト50付近の構造物である。
【0023】
電装ユニット10は、ダクト50と、ダクト50の前面に設置され、電装部品94が収容された電装箱90とを備えている。
なお、ここで言う「前面」とは、
図1において手前側に位置する面である。
【0024】
図2及び
図3に示すように、ダクト50は、立方体形状に作製された箱型であって前面、上面及び下面が開口とされた筐体52、筐体52の上面の開口を閉塞する第1蓋部材58及び筐体52の下面の開口を閉塞する第2蓋部材59を有している。
【0025】
筐体52の前面の開口は、後述の放熱フィン96が挿入されるための入口とされる。また、筐体52の上面の開口は、後述する流路72の第1開口74となる。また、筐体52の下面の開口は、後述する流路72の第2開口76となる。
【0026】
図4に示すように、機械室12の上部には熱交換器室14が画定され、室外熱交換器16及び室外機用ファン18が設置されている。熱交換器室14は後述のドレンパン20に形成された筒状部22を介して流路72と連通している。このため、室外機用ファン18により発生する気流が室外熱交換器16を通過することで熱交換器室14内が減圧されたとき、外気と熱交換器室14との間に圧力差が発生して流路72に空気の流れが形成される。
なお、
図3及び
図5に示すように、筐体52の上部に気流を発生させるためのファン62を設けてもよく、この場合は、ファン62が駆動することで流路72を流れる空気の風量が増加される。ただし、室外機用ファン18によって流路72に十分な風量が確保される場合はファン62を省略してもよい。
【0027】
第1蓋部材58は、ファン62の形状に対応した2つの開口が形成された板状の部材とされ、筐体52の内側面に接続されている。このとき、第1蓋部材58が、筐体52に対して梁のような補強部材として機能する。このため、ダクト50を第1蓋部材58によって剛な構造とすることができる。
なお、ファン62を設けない場合、第1蓋部材58の開口の形状をファン62に対応させる必要はなく、十分な風量の空気が流路72を流れるだけの任意の形状とされた開口が形成されていればよい。
【0028】
図3に示すように、第2蓋部材59は、通気用の2つの開口が形成された板状の部材とされ、筐体52の内側面に接続されている。このとき、第2蓋部材59が、筐体52に対して梁のような補強部材として機能する。このため、ダクト50を第2蓋部材59によって剛な構造とすることができる。
なお、通気用の開口の形状は図示されたものに限定されることはなく、十分な風量の空気が流路72を流れるだけの任意の形状のとされた開口が形成されていればよい。
【0029】
図3及び
図6に示すように、筐体52には、内部の空間を水平方向(同図において左右方向)に分割する縦仕切り板60が設けられている。
【0030】
縦仕切り板60は、上下方向に延在している板状の部材であって、その上部が第1蓋部材58に接続され、下部が第2蓋部材59に接続され、背後が筐体52に接続されている。縦仕切り板60は、筐体52、第1蓋部材58及び第2蓋部材59を接続するのでダクト50を更に剛な構造とすることができる。
【0031】
図2及び
図3に示すように、筐体52の前面側縁には、両側に広がる対電装箱用フランジ部54が形成されている。
対電装箱用フランジ部54は、後述する電装箱90の背面に対して面で接触するように構成されている。
【0032】
図3及び
図6に示すように、筐体52の底部には、筐体52の角辺から広がる対ベース用フランジ部65が形成されている。
対ベース用フランジ部65は、後述するベース部材40に対して面で接触するように構成されている。
【0033】
図3及び
図5に示すように、筐体52の前側上部の左右には、上方に張り出し横断面がコの字形状とされた2つの対筒状部用接続部56が形成されている。
対筒状部用接続部56には、後述する筒状部22との締結に用いられるビスが螺合するネジ穴57が形成されている。
【0034】
図6に示すように、筐体52の前面の開口を塞ぐように電装箱90が取り付けられたとき、電装箱90と筐体52とによって流路72が形成される。
流路72は、上下の端面が開口している。このとき、上側の開口が第1開口74とされ、下側の開口が第2開口76とされる。
【0035】
図3に示すように。筐体52の側面(同図において左側面)には、流路72と筐体52の外部とを連通させる連通口70が形成されている。
【0036】
図7及び
図8に示すように、連通口70は、筐体52の外側面において、リアクタカバー(外側カバー)66に覆われている。
【0037】
リアクタカバー66は、筐体52の外側面に接続され、筐体52とともにサブ流路78を形成している。
【0038】
サブ流路78の下方には、連通口70よりも開口面積が大きい第4開口80が形成されており、外部空間(機械室12の空間)と連通している。
【0039】
連通口70は、リアクタカバー66の内側において、下方側からドレンカバー(内側カバー)68によって覆われている。
【0040】
ドレンカバー68は、筐体52の外側面に接続されるとともに上方に開口が形成されている。
【0041】
図9に示すように、ドレンカバー68は、筐体52の内側面に付着しているドレン水のうち、連通口70を介して筐体52の外側面に導かれたドレン水を受けることができる。これによって、ドレン水が連通口70の下方に伝うことを回避できる。
【0042】
図7に示すように、リアクタカバー66の内側、かつ、ドレンカバー68の下方において、筐体52の外側面にはリアクタ(作動熱を発する電装部品)86が設けられている。
【0043】
リアクタ86は、鉄心(コア)やコイルから構成されており、回路基板等に比べて重量が大きい電装部品とされているが、強度が確保されたダクト50(筐体52)にリアクタ86を取り付けることで、筐体52とリアクタ86とを強固に接続することができる。これによって、例えば圧縮機等の運転によって生じる振動の影響を受け難くなる。
【0044】
図1に示すように、電装箱90は、立方体形状に作製された箱型の筐体92を有している。
【0045】
筐体92の内部には、エアコンの制御を実行するための複数種類の電装部品94が収容されている。
このとき、上述の通り、リアクタ86は電装箱90とは別個に配置されている。このため、筐体92にリアクタ86が収容された場合に比べて、電装箱90の重量(収容物を含めた重量)を低減することができる。また、重量の大きいリアクタ86を支持させるための強度を筐体92そのものに持たせる必要がなくなるので、例えば筐体92を形成する板金の板厚を薄くすることで、筐体92の重量を低減することができる。
【0046】
図6に示すように、電装箱90の背面には、電装部品94を冷却するための放熱フィン96が突出するように設けられている。
【0047】
電装箱90は、放熱フィン96がダクト50の収容されるように、ダクト50の対電装箱用フランジ部54に対して固定される。なお、固定の手段としては、例えばボルト・ナットによる締結とされる。
【0048】
放熱フィン96がダクト50に収容された状態でファン62を駆動することで、流路72に発生する気流によって放熱フィン96を冷却(空冷)することができる。
【0049】
また、
図8に示すように、その気流によって流路72の圧力(静圧)が低下して、連通口70からサブ流路78を介して機械室12の空気が吸い込まれる。このとき、サブ流路78に形成された気流がリアクタ86を冷却する。
【0050】
図3及び
図6に示すように、筐体52の内側面及び縦仕切り板60には遮風部材64が取り付けらてれている。
図6及び
図10に示すように、遮風部材64は、ダクト50の収容された放熱フィン96の上下端の周囲と筐体52の内側面との隙間、及び、放熱フィン96の上下端の周囲と縦仕切り板60の側面との隙間を閉塞するコの字形状の板状部材とされる。
【0051】
図10において、流路72には紙面垂直方向に空気が流通する。このとき、放熱フィン96の周囲と筐体52及び縦仕切り板60の内側面との隙間を遮風部材64によって閉塞することで、空気を確実に放熱フィン96に導くことができる。
【0052】
また、遮風部材64は、筐体52と縦仕切り板60とを接続するのでダクト50を更に剛な構造とすることができる。
【0053】
図1及び
図2に示すように、ダクト50は、機械室12を画定する部材とされたベース部材40及びドレンパン20に対して固定支持されている。
【0054】
ベース部材40は、機械室12の下方に配置された面状の部材とされ、その上面と筐体52の対ベース用フランジ部65とが締結部材によって固定される。
【0055】
図1に示すように、ベース部材40には、凸条の支持桁42が2本並列して設けられている。電装箱90はこの2本の支持桁42に載置されている。
ただし、電装箱90がダクト50に固定されている状態においては、電装箱90の荷重は、そのほとんどが支持桁42ではなく剛に構成されたダクト50によって支えられている。言い換えると、強度が確保されたダクト50(筐体52)に電装箱90を取り付けることで、筐体52と電装箱90とを強固に接続している。
【0056】
ドレンパン20は、ベース部材40に対向するように機械室12の上方に配置された面状の部材とされ、その下面に筐体52の上部が固定される。
【0057】
以下、ドレンパン20と筐体52との接続について詳細に説明する。
図11に示すように、ドレンパン20の下面には、下方へ向かって所定の長さだけ延出している筒状部22が形成されている。
【0058】
筒状部22の下端は、筐体52と電装箱90とによって形成された流路72の第1開口74の開口形状に対応する第3開口24が形成されている。
【0059】
筒状部22の側面には、面方向に張り出した板状の対ダクト用フランジ部26が接続されている。
【0060】
対ダクト用フランジ部26には、筐体52との締結に用いられるビスの軸部が挿通される挿通穴28が形成されている。
【0061】
なお、同図において、対ダクト用フランジ部26は筒状部22の手前側の側面に接続されているが、筐体52の対筒状部用接続部56と対応させるために、図示しない筒状部22の奥側の側面にも接続されている。
【0062】
このように構成された筒状部22の第3開口24と流路72の第1開口74とが一致する位置にダクト50を配置する。
【0063】
このとき、筐体52の上端と筒状部22の下端との継ぎ目には僅かな隙間ができることがある。このため、継ぎ目を囲うように構成された帯状の継ぎ目カバー30を設けてもよい。この継ぎ目カバー30によって、継ぎ目から空気が漏洩することを抑制できる。
【0064】
そして、
図12に示すように、対筒状部用接続部56、対ダクト用フランジ部26及び継ぎ目カバー30をビスによって一体に締結する。これによって、
図13に示すように、ドレンパン20と筐体52とが接続・固定される。
【0065】
なお、
図1に示すように、筒状部22の内部はドレンパン20の上面側の空間(熱交換器室14)に連通しているため、流路72は熱交換器室14に連通することとなる。このため、筐体52の内側面にはドレン水が付着することがある。
【0066】
ただし、このドレン水が連通口70を介して筐体52の外側面に導かれたとしても、先述の通り、ドレンカバー68によってドレン水を受けることができる。
【0067】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
第1開口74の一部を閉塞するように筐体52の内側面に接続された第1蓋部材58を備えている。これによれば、第1蓋部材58が筐体52に対して梁のような補強部材として機能するため、第1蓋部材58によって筐体52の強度を向上させることができる。このとき、流路72を形成する筐体52は、ベース部材40材及びドレンパン20に接続されている。このため、筐体52は、機械室12の構造を剛に構成するための支柱としても機能する。つまり、ダクト50の筐体52は、流路72を形成するだけでなく、機械室12の構造強度を向上させる補強部材としても機能する。
【0068】
また、第2開口76の一部を閉塞するように筐体52の内側面に接続された第2蓋部材59を備えている。これによれば、第2蓋部材59が筐体52に対して梁のような補強部材として機能するため、第2蓋部材59によって筐体52の強度を更に向上させることができる。
【0069】
また、電装箱90に設けられ筐体52に収容される放熱フィン96の周囲と筐体52の内側面との隙間を閉塞する遮風部材64を備えている。これによれば、放熱フィン96の周囲と筐体52及び縦仕切り板60の内側面との間にできる隙間を閉塞することができるので、流路72を流通する流体(放熱フィン96を冷却する流体)がその隙間に流れ込むことを抑制できる。これによって、流体を放熱フィン96に効率的に導くことができる。
また、遮風部材64は、筐体52及び縦仕切り板60の内側面に取り付けられている。これによれば、遮風部材64が筐体52に対してリブのような補強部材として機能するため、遮風部材64によって筐体52の強度を更に向上させることができる。
【0070】
また、ドレンパン20には、下方に向かって延出するとともに下端が第1開口74と略同形状の第3開口24とされた筒状部22が形成され、第1開口74と第3開口24とが接続されるように、筐体52と筒状部22とが固定されている。これによれば、筐体52とドレンパン20との固定位置(対ダクト用フランジ部26)を、所定長さだけドレンパン20の下方に位置させることができる。このため、対ダクト用フランジ部26とドレンパン20の下面との間に作業用のスペースを確保できるので組み立て性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0071】
10 電装ユニット
12 機械室
14 熱交換器室
16 室外熱交換器
18 室外機用ファン
20 ドレンパン
22 筒状部
24 第3開口
26 対ダクト用フランジ部
28 挿通穴
30 継ぎ目カバー
40 ベース部材
42 支持桁
50 ダクト
52 筐体
54 対電装箱用フランジ部
56 対筒状部用接続部
57 ネジ穴
58 第1蓋部材
59 第2蓋部材
60 縦仕切り板
62 ファン
64 遮風部材
65 対ベース用フランジ部
66 リアクタカバー(外側カバー)
68 ドレンカバー(内側カバー)
70 連通口
72 流路
74 第1開口
76 第2開口
78 サブ流路
80 第4開口
86 リアクタ(作動熱を発する電装部品)
90 電装箱
92 筐体
94 電装部品
96 放熱フィン