(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】可食性植物の軟化が抑制されたレトルト処理方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20240508BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20240508BHJP
A23L 3/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
A23L19/00 A
A23L27/00 D
A23L3/00 101C
(21)【出願番号】P 2019185536
(22)【出願日】2019-10-08
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 千尋
【審査官】厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104855852(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103783458(CN,A)
【文献】特開2011-083209(JP,A)
【文献】特開平09-327276(JP,A)
【文献】特許第5136802(JP,B2)
【文献】特開2002-315501(JP,A)
【文献】特開2015-126749(JP,A)
【文献】Hashed Rice Sauce with Tomato and Brown Sauce,Mintel GNPD,2012年09月,ID#1887309
【文献】Pasta Sauce (Eggplant & Minced Meat),Mintel GNPD,2005年01月,ID#329279
【文献】Meat Balls with Sweet & Sour Sauce,Mintel GNPD,2010年12月,ID#1455682
【文献】Retort-Type Rice,Mintel GNPD,2001年09月,ID#111752
【文献】Kodawari Yakuzan Honkaku Curry,Mintel GNPD,1998年03月,ID#36015
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00 - 35/00
CAplus/FSTA/AGRICOLA(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘味成分を含有する調味液の存在下で可食性植物をレトルト処理する工程を有する可食性植物の軟化抑制方法であって、
前記調味液中の甘味成分として、ショ糖のすべてまたは一部に代えて、スクラロース、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物、アスパルテーム、及びアセスルファムカリウムからなる群より選択される少なくとも1種の高甘味度甘味料を用いることを特徴とする、可食性植物の軟化抑制方法。
【請求項2】
調味液の存在下で可食性植物をレトルト処理する工程に使用される調味液に、レトルト処理による可食性植物の軟化を抑制する作用を付与するための方法であって、
前記調味液に、ショ糖のすべてまたは一部に代えて、スクラロース、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物、アスパルテーム、及びアセスルファムカリウムからなる群より選択される少なくとも1種の高甘味度甘味料を配合することを特徴とする、前記方法。
【請求項3】
前記可食性植物が野菜または果物である、請求項1
又は2に記載する方法。
【請求項4】
調味液存在下でのレトルト処理による可食性植物の軟化を抑制するために使用される調味液であって、スクラロース、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物、アスパルテーム、及びアセスルファムカリウムからなる群より選択される少なくとも1種の高甘味度甘味料を含有する調味液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜や果物等の可食性植物について、レトルト処理による組織の軟化を抑制する技術を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、調理する手間がかからず、電子レンジや熱湯などを利用して加熱するだけで簡単に食べることができるレトルト食品が広く流通している。こうしたレトルト食品の一つとして、野菜類をレトルトパックした食品が挙げられる。野菜類は、種類にもよるが、肉や魚などに比べて火が通りにくいものも多く、調理に手間がかかるところから、レトルトパックした調理済みの食品は、その便利さが受けて近年需要がますます増える傾向にある。
【0003】
しかしながら、野菜類は、一旦火が通ると、急速に組織が軟化する傾向にある。特に、レトルト処理を施すと、レトルト時の高温による加熱殺菌処理によって、その軟化は一層増大し、野菜類特有の歯ごたえが失われて、食感が不良になるという問題がある。そのため、野菜類特有の食感を保ったレトルト食品が求められている。
【0004】
野菜類をレトルト処理する際に生じる組織の軟化やそれに伴う煮崩れを抑制する方法として、従来より、根菜類や果菜類をカルシウム塩の水溶液中に予め浸漬してからレトルト処理する方法(特許文献1)、カルシウム塩の水溶液に浸漬後、遠赤外線放射性容器に充填してレトルト処理する方法(特許文献2)、軟組織の野菜を必要に応じてアルカリイオン水を含浸させた後に、キトサン溶液を塗布または含浸させて、レトルト処理する方法(特許文献3)等が知られている。また馬鈴薯(ポテト)に関しては、ソーマチンを含浸させた後にレトルト処理する方法(特許文献4)や、0.01~1%濃度のアスコルビン酸水溶液に浸漬した後にレトルト処理する方法(特許文献5)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特公平3-71102号公報
【文献】特開平8-173079号公報
【文献】特開平7-99914号公報
【文献】特開平7-147927号公報
【文献】特開平8-228712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、野菜や果物等の可食性植物をレトルト処理する際に生じる組織の軟化、特にショ糖を含む調味液の存在下でレトルト処理する際に生じる可食性植物の組織の軟化を抑制する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねていたところ、調味液の甘味成分として、ショ糖のすべてまたは一部に代えて、スクラロース、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物、アスパルテーム、及びアセスルファムカリウムからなる群より選択される少なくとも1種の高甘味度甘味料を用いることで、良好な味を維持しながらも、レトルト処理による可食性植物の組織の軟化が有意に抑制できることを見出した。また、かかる調味液を用いたレトルト処理によれば、野菜や果物等の可食性植物特有の歯ごたえが良好に保たれ、食感に優れたレトルト食品が得られることを確認した。
【0008】
本願発明は、かかる知見に基づいてさらに研究を重ねて完成したものであり、下記の実施形態を有するものである。
(I)甘味成分として、ショ糖のすべてまたは一部に代えて、スクラロース、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物、アスパルテーム、及びアセスルファムカリウムからなる群より選択される少なくとも1種の高甘味度甘味料を配合した調味液の存在下で、可食性植物をレトルト処理する工程を有する、可食性植物の軟化が抑制されたレトルト処理方法。
(II)甘味成分を含有する調味液の存在下で可食性植物をレトルト処理する工程を有する可食性植物の軟化抑制方法であって、
前記調味液中の甘味成分として、ショ糖のすべてまたは一部に代えて、スクラロース、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物、アスパルテーム、及びアセスルファムカリウムからなる群より選択される少なくとも1種の高甘味度甘味料を用いることを特徴とする、可食性植物の軟化抑制方法。
(III)甘味成分を含有する調味液の存在下で可食性植物をレトルト処理する工程を有する可食性植物の調理方法において、
前記調味液に配合する甘味成分として、ショ糖のすべてまたは一部に代えて、スクラロース、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物、アスパルテーム、及びアセスルファムカリウムからなる群より選択される少なくとも1種の高甘味度甘味料を用いることで、当該調味液に対して、レトルト処理による可食性植物の軟化を抑制する作用を付与することを特徴とする、前記高甘味度甘味料の使用方法。
(IV)前記(I)~(III)のいずれか一に記載する方法において、可食性植物をレトルト処理するために使用される調味液であって、スクラロース、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物、アスパルテーム、及びアセスルファムカリウムからなる群より選択される少なくとも1種の高甘味度甘味料を含有する調味液(可食性植物レトルト処理用調味液)。
なお、前記(I)~(III)でいう可食性植物には、野菜及び果物が含まれる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の方法によれば、野菜や果物等の可食性植物について組織の軟化を抑制しながらレトルト処理(加熱殺菌処理)することができる。その結果、当該可食性植物に特有な歯応えを有し食感が良好な可食性植物入りのレトルト食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(I)本発明で用いる高甘味度甘味料
本発明で用いる高甘味度甘味料は、スクラロース、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物、アスパルテーム、及びアセスルファムカリウムからなる群より選択される少なくとも1種である。
【0011】
(スクラロース)
スクラロース(登録商標)(化学名: 1,6-Dichloro-1,6-dideoxy-β-D-fructofuranosyl-4-chloro-4-deoxy-α-D-galactopyranoside)は、ショ糖(砂糖)の約600倍の甘味度を有していることが知られている甘味成分である。水に溶けやすく、安定性に優れているため、甘味料としてだけでなく、従来より広く様々な用途で食品に使用されている成分である。ちなみにスクラロースの甘味の閾値は約5ppmである。スクラロースは商業的に入手することができ、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社から「サンスイート(登録商標)SU-100」等の名称で販売されている。
【0012】
(ステビア抽出物)
ステビアレバウディアナ・ベルトニ(Stevia
Rebaudiana
Bertoni)(本発明では「ステビア」と略称する)は、南米パラグアイを原産地とするキク科ステビア属に属する植物である。本発明が対象とするステビア抽出物は、産地の別を問わず、ステビアの葉又は茎などから、水またはエタノール等の有機溶媒を用いて抽出されたレバウディオサイドAを含有する抽出物である。レバウディオサイドAは、ステビア抽出物に含まれているステビオール配糖体であり、ショ糖(砂糖)の300~450倍の甘味度を有していることが知られている甘味成分である。
【0013】
本発明で用いられるステビア抽出物のレバウディオサイドA含有量は、本発明の効果を奏することを限度として、特に制限されない。言い換えれば、本発明において、ステビア抽出物は、レバウディオサイドAを精製した状態でステビア抽出物として使用することもできるし、また、レバウディオサイドAに加えて、ステビア抽出物に含まれる他のステビオール配糖体(ステビオサイド、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドE、レバウディオサイドM、ズルコサイドA、レブソサイド、ステビオールビオサイドなど)との混合物の状態で使用することもできる。本発明において「ステビア抽出物」の用語には、これらの両方の意味が包含される。ステビア抽出物中のレバウディオサイドAの含有量は、制限されないが、全体の90質量%以上であることが好ましい。より好ましくは95質量%以上である。なお、本発明が対象とするステビア抽出物には、α-グルコシルトランスフェラーゼ等を用いて、上記ステビア抽出物にグルコースやフルクトース等の糖を転移した酵素処理ステビア抽出物も含まれる。また、本発明で対象とするレバウディオサイドAには、α-グルコシルトランスフェラーゼ等を用いてレバウディオサイドAにグルコースやフルクトース等の糖を転移した酵素処理レバウディオサイドAも含まれる。
【0014】
こうしたステビア抽出物は、ステビアの葉や茎等を原料として抽出し、さらに必要に応じて精製処理することで調製することも可能であるが、簡便には商業的に入手することができる。例えば、市販されているステビア抽出物として、「レバウディオJ-100」、及び「レバウディオAD」(以上、いずれも守田化学工業(株)製)などを挙げることができる。これらの製品はレバウディオサイドAを90量%以上の割合で含有するレバウディオサイドA含有製品(ステビア抽出物)である。
【0015】
(ラカンカ抽出物)
羅漢果(学名:Siraitia
grosvenorii)は、中国を原産地とするウリ科ラカンカ属のつる性の多年生植物である。本発明が対象とするラカンカ抽出物は、産地の別を問わず、羅漢果の果実、好ましくは羅漢果の生果実から、水またはエタノール等の有機溶媒を用いて抽出されたモグロシドVを含有する抽出物である。モグロシドVは、ラカンカ抽出物に含まれているトリテルペン系配糖体であり、ショ糖(砂糖)の約300倍の甘味度を有していることが知られている甘味成分でもある。
【0016】
本発明で用いられるラカンカ抽出物のモグロシドV含有量は、本発明の効果を奏することを限度として、特に制限されない。言い換えれば、本発明において、ラカンカ抽出物は、モグロシドVを精製した状態ではラカンカ抽出物として使用することもできるし、また、モグロシドVに加えて、ラカンカ抽出物に含まれるその他のトリテルペン系配糖体(モグロール、モグロシドIE1、モグロシドIA1、モグロシドIIE、モグロシドIII、モグロシドIVa、モグロシドIVE、シメノシド、11-オキソモゴロシド、5α,6α-エポキシモグロシド)との混合物の状態で使用することもできる。本発明において「ラカンカ抽出物」の用語には、これらの両方の意味が包含される。ラカンカ抽出物中のモグロシドVの含有量は、全体の10質量%以上であることが好ましい。より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、よりさらに好ましくは40質量%以上であり、とりわけ好ましくは50質量%以上である。
【0017】
こうしたラカンカ抽出物は、羅漢果の果実から抽出し、さらに必要に応じて精製処理することで調製することも可能であるが、簡便には商業的に入手することができる。例えば、市販されているラカンカ抽出物として「FD羅漢果濃縮エキスパウダー」(7質量%又は15質量%モグロシドV含有物)、「サンナチュレ(登録商標) M30」(30質量%モグロシドV含有物)、「サンナチュレ(商標登録) M50」(50質量%モグロシドV含有品)[以上、いずれも三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製];並びに高純度ラカンカ抽出物(サラヤ株式会社製)等を例示することができる。
【0018】
(アスパルテーム)
アスパルテーム(化学名:N-(L-α-Aspartyl)-L-phenylalanine, 1-methyl ester)は、ショ糖(砂糖)の100~200倍の甘味度を有するアミノ酸に由来する甘味成分であり、フェニルアラニンのメチルエステルと、アスパラギン酸とがペプチド結合した構造を持つジペプチドのメチルエステルである。ちなみにアスパルテームの甘味の閾値は約28ppmである。これは商業的に入手することができ、例えば「パルスイート(登録商標)」という商品名で味の素株式会社から市販されている。
【0019】
(アセスルファムカリウム)
アセスルファムカリウムは、6-メチル-1,2,3-オキサチアジン-4(3H)-オン-2,2-ジオキシド(6-methyl-1,2,3-oxathiazine-4(3H)-one 2,2-dioxide) のカリウム塩であり、ショ糖(砂糖)の200倍もの甘味度を有する高甘味度甘味料である。ちなみにアセスルファムカリウムの甘味の閾値は約15ppmである。これは商業的に入手することができ、例えば「サネット」という商品名でMCフーズスペシャリティー株式会社から市販されている。
【0020】
本発明において、前述する高甘味度甘味料は、スクラロース、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物、アスパルテーム、及びアセスルファムカリウムからなる群より選択される少なくとも1種であればよく、1種単独で使用されても、また2種以上を組み合わせて使用されてもよい。2種以上を組み合わせる態様として、制限されないものの、例えば少なくともステビア抽出物とラカンカ抽出物とを含む組み合わせを例示することができる。組み合わせるラカンカ抽出物として、前述するように、好ましくはモグロシドVの含有量が30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上のものを用い、また組み合わせるステビア抽出物として、前述するように、好ましくはレバウディオサイドAの含有量が90質量%以上、好ましくは95質量%以上である。このように、ステビア抽出物とラカンカ抽出物とを併用することで、ステビア抽出物を単独で使用する場合に生じ得るステビア抽出物特有の味質(苦味、後引き感)を抑えることで良好な甘味を呈しながらも、本発明の効果を得ることができる。なお、ステビア抽出物とラカンカ抽出物との配合比は、本発明の効果を奏することを限度として特に制限されない。一例を挙げると、レバウディオサイドAとモグロシドVとの配合比が質量比(以下、同じ)で50:50~99:1となるような組み合わせを挙げることができる。配合比はこの範囲で適宜設定することができ、例えば60:40~99:1、70:30~99:1、80:20~99:1、または90:10~99:1の範囲を例示することができる。
【0021】
(II)本発明が対象とする可食性植物
本発明が対象とする可食性植物としては、野菜及び果物を挙げることができる。
野菜としては、例えば、葉菜類、茎菜類、根菜類、果菜類、花菜類などのすべての野菜類が包含される。ここで葉菜類の例としては、ハクサイ、キャベツ、シュンギク、ホウレンソウ、コマツナ、カラシナ、キョウナ、タカナ、チンゲンサイ、ツルムラサキ、ニラ、ネギ、ノザワナなどが挙げられる。また茎菜類の例としては、アスパラガス、ウド、フキなどが挙げられる。また根菜類の例としては、ニンジン、ゴボウ、大根、里芋、ジャガイモ、サツマイモ、ヤツガシラ、ヤマノイモ、レンコン、カブ、タケノコ、タマネギ、百合根などが挙げられる。また、果菜類の例としてはキュウリ、ナス、カボチャ、トマト、サヤインゲン、グリンピース、ソラマメ、エダマメなどが挙げられる。さらに、花菜類の例としてはカリフラワー、ブロッコリーなどが挙げられる。本発明ではこれらの野菜のうちの1種類のみ使用してもまたは2種以上を併用してもよい。これらの野菜のうち、好ましくはレトルト処理により軟化しやすいものである。また、好ましくは、特有の歯応えを有する野菜であり、レトルト処理によりその歯応えが消失しやすい野菜である。特有の歯応えを有する野菜として、好ましくは、茎菜類及び根菜類を挙げることができる。より好ましくはニンジン、ジャガイモ、及びタマネギ等の根菜類である。
【0022】
果物としては、前記野菜と同様に、好ましくはレトルト処理により軟化しやすいものである。好ましくは、特有の歯応えを有する果物であり、レトルト処理によりその歯応えが消失しやすい果物である。制限されないものの、例えば、みかん、もも、りんご、梨、及びパイナップル等を挙げることができる。
【0023】
(III)可食性植物の軟化が抑制されたレトルト処理方法
本発明のレトルト処理方法は、甘味成分として、ショ糖のすべてまたは一部に代えて、前述する高甘味度甘味料の少なくとも1種を配合した調味液の存在下で、可食性植物をレトルト処理することで実施することができる。
調味液は、スクラロース、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物、アスパルテーム、及びアセスルファムカリウムからなる群より選択される少なくとも1種の高甘味度甘味料を含む水溶液であればよい。
【0024】
調味液に配合するスクラロースの量としては、本発明の効果を奏することを限度として、制限されないものの、通常0.001~0.04質量%の範囲で設定することができる。好ましくは0.006~0.025質量%、より好ましくは0.008~0.016質量%の範囲である。
【0025】
調味液に配合するステビア抽出物としては、本発明の効果を奏することを限度として、制限されないものの、ステビア抽出物に含まれるレバウディオサイドAの含有量に換算して通常0.0012~0.06質量%の範囲で設定することができる。好ましくは0.01~0.038質量%、より好ましくは0.012~0.025質量%の範囲である。
【0026】
調味液に配合するラカンカ抽出物としては、本発明の効果を奏することを限度として、制限されないものの、ラカンカ抽出物に含まれるモグロシドVの含有量に換算して通常0.0012~0.06質量%の範囲で設定することができる。好ましくは0.01~0.038質量%、より好ましくは0.012~0.025質量%の範囲である。
【0027】
調味液に配合するアスパルテームの量としては、本発明の効果を奏することを限度として、制限されないものの、通常0.003~0.12質量%の範囲で設定することができる。好ましくは0.02~0.075質量%、より好ましくは0.025~0.05質量%の範囲である。
【0028】
調味液に配合するアセスルファムカリウムの量としては、本発明の効果を奏することを限度として、制限されないものの、通常0.003~0.12質量%の範囲で設定することができる。好ましくは0.02~0.075質量%、より好ましくは0.025~0.05質量%の範囲である。
なお、以上のこれらの各高甘味度甘味料の配合量は、レトルト処理に供する際の調味液への配合量である。
【0029】
本発明で使用する調味液は、前述する高甘味度甘味料の少なくとも1種に加えて、ショ糖(スクロース)を含有するものであってもよい。本発明でレトルト処理に使用する調味液中のショ糖濃度は、調理後の料理の味に応じて適宜変更調整することができ、特に制限されるものではない。
本発明で使用する調味液として、好ましくは、通常配合するショ糖の量のすべてに代えて、前述する高甘味度甘味料の少なくとも1種を含有する調味液である。
【0030】
ショ糖は、通常、ショ糖を含む調味料として使用される。その代表的なものとして砂糖を挙げることができる。なお、砂糖は、分密糖と含密糖とに分離することができ、分密糖には、ざらめ糖(白ざら糖、中ざら糖、グラニュー糖)、くるま糖(上白糖、中白糖、三温糖)、液糖(ショ糖型、50%転化型)、及び加工糖(角砂糖、氷砂糖、粉砂糖、顆粒状糖)が含まれ、また含密糖には黒砂糖が含まれる。また、ショ糖を含む、砂糖以外の調味料としては、本みりん、みりん風調味料、水あめ、日本酒、ワイン、醤油、味噌などを例示することができる。
【0031】
本発明で使用する調味液は、本発明の効果を妨げないことを限度として、前記成分の他に、他の調味成分を含むものであってもよい。かかる調味成分としては、例えば、食塩(塩化ナトリウム)、硫酸鉄等の鉄塩、リン酸塩、重曹、ミョウバン、重炭酸ナトリウムなどの有機酸または無機酸の塩;クエン酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸などの有機酸;グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、タウリン等の旨味成分;カプサイシン、ピペリン等の辛味成分等を例示することができる。また、添加剤として、例えば、ソルビン酸またはその塩等の保存料;アスコルビン酸ナトリウムや酵素処理ルチンなどの酸化防止剤;プロテアーゼやパパイン等の酵素;着色料;香料;増粘剤等を配合することもできる。
【0032】
前記の調味液を用いてレトルト処理する際の可食性植物(野菜、果物)は、必要に応じて、外皮を剥いだり、食べやすい大きさにカットする等の、下処理をしたものであることが好ましい。カットの方法は、調理する料理の種類に応じて、適宜設定することができる。また、本発明の効果を妨げないことを限度として、必要に応じて、あらかじめ味付けをしたり、湯煎、ボイルまたは炒めるなどの下処理をしておいてもよい。
【0033】
本発明においてレトルト処理とは、「中心温度120℃4分相当以上」の加熱処理を行うことをいう。この加熱条件によれば、細菌などの微生物を加熱によって死滅させることで腐敗を防ぎ、食品を長く貯蔵することが可能になる。なお、こうした条件での加熱処理効果(殺菌効果)が得られる処理条件であれば、加熱温度は120℃に制限されるものではなく、具材の種類や調味液のpHなどによって加熱温度と加熱時間は適宜設定調整することができる。例えば、果物やジャムなどの缶や瓶詰め食品は、酸を多く含みpHが低いため、100℃以下の温度で、比較的短時間で殺菌効果を得ることができる。しかし、一般的には、例えばウエルシュ菌、ボツリヌス菌、セレウス菌などの芽胞菌を死滅させるのに、120℃であれば4分の加熱処理で足りるのに対して、100℃では400分も要すると言われている。これを考えると、具材の劣化を抑制するうえでは100℃を超える温度、好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上の温度で短時間処理する方法を採用することが好ましい。また、135℃で2~5分間で加熱する高温短時間殺菌(HTST)によるハイ・レトルト殺菌法と称される方法を用いることもできる。
【0034】
加熱処理時間も、前記条件での加熱処理効果が得られる時間であればよく、加熱処理する具材に応じて設定することができる。例えば中心温度120℃を基準とした場合、4分以上、制限はされないものの、好ましくは4~60分、より好ましくは10~30分程度を例示することができる。
【0035】
レトルト処理は、対象とする具材及び調味液を、耐熱性および/または耐圧性の容器(缶、瓶および半剛体の成形容器[semi-rigid container]を含む)またはパウチ(軟包装袋[flexible pouch])に充填し、必要に応じて脱気した後に、密封し、上記条件で加熱殺菌することで実施することができる。当該処理は、通常、加圧可能な圧力鍋、高圧釜またはレトルト釜等を用いて行うことができる。具材を充填する容器またはパウチは、レトルト処理に耐えられるように、少なくとも耐熱性および/または耐圧性を備えていることが好ましい。このような容器やパウチとして使用される包装素材には、遮光性とガスバリア性に優れたアルミ箔やアルミ蒸着フィルム;ガスバリア性に優れたポリ塩化ビニリデンやシリカ蒸着フィルム;強度に優れたナイロン、ポリプロピレン、ポリエステルフィルムなどを挙げることができ、これらの異なる特性の包装素材をラミネートする(貼り合わせる)ことで、所望の容器またはパウチの素材として使用することができる。
【0036】
具材となる可食性植物を本発明の調味液を用いて、レトルト処理して得られる食品としては、制限されないものの、下記を例示することができる。本発明では、レトルト処理して得られる食品を、下記の食品も含めて、「レトルト食品」と総称する。
(a)缶詰:
果実缶詰(みかん、もも、さくらんぼ、パイナップル、リンゴ、洋なし、ミックスドフルーツなど)、野菜缶詰(トマト、アスパラガス、スイートコーン、マッシュルーム、大豆、ゆで小豆など)、調理缶詰(カレー、シチュー、おでん等)
(b)瓶詰:
果実瓶詰(みかん、もも、さくらんぼ、パイナップル、リンゴ、洋なし、ミックスドフルーツ、栗甘露煮など)、野菜瓶詰(エノキダケ、メンマ、ヤングコーン、ピクルス、オリーブなど)、ジャム瓶詰(いちご、マーマレード、リンゴ、ブルーベリー、あんずなど)、調理瓶詰(カレー、シチュー、おでん等)
(c)パウチ詰レトルト食品
調理済み食品(カレー、シチュー、ハヤシ、野菜スープ、パスタソース、釜飯の素、八宝菜、おでん等)、米飯類食品(赤飯、五目めしなど)、その他(ぜんざい等)
(d)成形容器詰レトルト食品
調理済み食品(カレー、シチュー、ハヤシ、野菜スープ、パスタソース、釜飯の素、八宝菜、おでん等)、米飯類食品(赤飯、五目めしなど)、その他(ぜんざい等)。
【0037】
本発明のレトルト処理方法によれば、前述する高甘味度甘味料を配合しない調味液を用いたレトルト処理と比較して、レトルト処理による可食性植物(野菜や果物等)の組織の軟化を抑制することができ、当該植物特有の食感(歯応え)を有するレトルト食品を製造し、提供することができる。
【0038】
(IV)可食性植物の軟化抑制方法
本発明の可食性植物の軟化抑制方法は、甘味成分を含有する調味液の存在下で可食性植物をレトルト処理する工程を有する方法であって、前記調味液中の甘味成分として、ショ糖のすべてまたは一部に代えて、前述する高甘味度甘味料の少なくとも1種を用いることを特徴とする。
【0039】
当該方法で対象とする可食性植物、また当該方法で用いる調味液、高甘味度甘味料、レトルト処理は、いずれも前記(I)~(III)で説明した通りであり、前記の記載はここで援用することができる。
【0040】
本発明の軟化抑制方法によれば、前述する高甘味度甘味料を配合しない調味液を用いたレトルト処理と比較して、レトルト処理による可食性植物(野菜や果物等)の組織の軟化を抑制することができ、当該植物特有の食感(歯応え)を有するレトルト食品を製造し、提供することができる。
【0041】
(V)高甘味度甘味料の使用方法
本発明は、甘味成分を含有する調味液の存在下で可食性植物をレトルト処理する工程を有する可食性植物の調理方法において、前記調味液に配合する甘味成分として、ショ糖のすべてまたは一部に代えて、前述する高甘味度甘味料の少なくとも1種を用いることを特徴とする。つまり、前述する高甘味度甘味料の新たな使用方法を提供するものである。
【0042】
当該方法で対象とする可食性植物、また当該方法で用いる調味液、高甘味度甘味料、レトルト処理は、いずれも前記(I)および(II)で説明した通りであり、前記の記載はここで援用することができる。
【0043】
本発明の方法によれば、前述する高甘味度甘味料を配合しない調味液を用いたレトルト処理と比較して、レトルト処理による可食性植物(野菜や果物等)の組織の軟化を抑制することができ、当該植物特有の食感(歯応え)を有するレトルト食品を製造し、提供することができる。
【0044】
以上、本明細書において、「含む」及び「含有する」の用語には、「からなる」及び「から実質的になる」という意味が含まれる。
【実施例】
【0045】
以下、本発明の構成及び効果について、その理解を助けるために、実験例を用いて本発明を説明する。但し、本発明はこれらの実験例によって何ら制限を受けるものではない。以下の実験は、特に言及しない限り、室温(25±5℃)、及び大気圧条件下で実施した。また、各実験例で採用したパネルは、飲食品の味覚の官能評価に従事し訓練して、社内試験に合格した官能評価適格者である。なお、以下の記載において、特に言及しない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味するものとする。
【0046】
下記の実験例で使用した主な原料は、次の通りである。
(1)スクラロース
「サンスイート(登録商標)SU-100」三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製
スクラロースを15%の割合で含有する、砂糖の約100倍の甘味を有する高甘味度甘味料製品。
(2)ステビア抽出物
「レバウディオJ-100」(乾燥粉末製品)守田化学工業株式会社製
レバウディオサイドAを95%以上の割合で含有する、砂糖の約300倍の甘味を有する高甘味度甘味料製品。
(3)ラカンカ抽出物
「サンナチュレM50」(乾燥粉末製品)三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製
モグロシドVを50%の割合で含有する、砂糖の約300倍の甘味を有する高甘味度甘味料製品。
(4)アスパルテーム:
「パルスイート(登録商標)」味の素株式会社製
砂糖の約200倍の甘味を有する高甘味度甘味料製品。
(5)アセスルファムカリウム
「サネット」MCフーズスペシャリティー株式会社製
砂糖の約200倍の甘味を有する高甘味度甘味料製品。
【0047】
実験例1 高甘味度甘味料単独または砂糖との併用下での可食性植物のレトルト処理(その1)
高甘味度甘味料としてスクラロース、可食性植物としてニンジン、ジャガイモ、及びタマネギ(以上、野菜)、並びに官能評価パネルとして3名の適格者を用いて、下記の実験を行った。
【0048】
(1)実験方法
表1に記載する割合で、砂糖または/およびスクラロースを含む水溶液を調味液(被験調味液)として調製した。これを所定の大きさにカットした野菜(40g)を入れた耐圧耐熱製のゼリーカップに満杯になるまで入れた。蓋をして密封した後、高圧釜にいれて、レトルト処理(中心温度121℃、20分加熱処理)をした。レトルト処理後、室温条件下で室温になるまで冷却した後に、得られた野菜を各パネルに食べてもらい、その硬さ(食感)を評価してもらった。
【0049】
評価は、上記で得られた野菜の硬さ(対象野菜の硬さ)を、同種の野菜を、被験調味液の(Blank)または(1-5)に浸漬した状態でレトルト処理した場合に得られる硬さ(比較野菜の硬さ)と対比することで実施した。具体的には、被験調味液(Blank)の存在下でレトルト処理した野菜の硬さを「評価:5」、被験調味液(1-5)の存在下でレトルト処理した野菜の硬さを「評価:0」とし、これらを基準として、各被験調味液(1-1)~(1-4)の存在下でレトルト処理した野菜の硬さを、0~5の6段階で評価してもらった。なお、6段階の評価基準は、各パネルの判断に相違がでないように、あらかじめ3名のパネル間で摺り合わせることで各人の内部基準を統一した。
【0050】
試験野菜(カット野菜)
ニンジン:皮を剥いて1cm各にカット
ジャガイモ:皮を剥いて1cm各にカット
タマネギ:表面の皮を剥いで半分にカットしたものをさらに4等分にくし切り
【0051】
【0052】
(2)実験結果
評価結果を、野菜毎に表2~4に記載する。
【表2】
表2に示すように、砂糖に加えてスクラロースを配合した被験調味液のもとでレトルト処理することで、ニンジンの軟化が抑制されることが確認された。
【表3】
表3に示すように、ジャガイモについても、前述するニンジンと同様の傾向が認められた。
【表4】
表4に示すように、タマネギについても、前述するニンジン及びジャガイモと同様の傾向が認められた。
【0053】
実験例2 高甘味度甘味料単独または砂糖との併用下での可食性植物のレトルト処理(その2)
実験例1の結果から、この実験例では、高甘味度甘味料として、スクラロースに代えて、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物、アスパルテーム、またはアセスルファムカリウムを用いて、実験例1と同様の実験を行った。
【0054】
(1)実験方法
表5に記載する割合で、砂糖または/およびスクラロースを含む水溶液を調味液(被験調味液)として調製した。これを所定の大きさにカット(半分を4等分にくし切りしたタマネギ)したタマネギ(40g)を入れた耐圧耐熱製のゼリーカップに満杯になるまで入れ、実験例1と同様に、レトルト処理(中心温度121℃、20分加熱処理)した。レトルト処理後、室温条件下で室温になるまで冷却した後に、得られたタマネギをパネル3名に食べてもらい、その硬さ(食感)を評価してもらった。
評価は、各被験調味液のサンプル2-2のもとでレトルト処理した場合に得られるタマネギの硬さを、対応する被験調味液のサンプル2-1とサンプル2-3のもとで、同様にレトルト処理したタマネギの硬さと対比することで実施した。具体的には、サンプル2-1の存在下でレトルト処理したタマネギの硬さを「5」、サンプル2-3の存在下でレトルト処理したタマネギの硬さを「0」とし、これらを基準として0~5の6段階で評価した。
【0055】
【0056】
(2)実験結果
評価結果を、表6に記載する。
【表6】
この結果から、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物、アスパルテーム、及びアセスルファムカリウムについても、実験例1で効果を示したスクラロースと同様に、砂糖に加えてこれらの高甘味度甘味料を配合した被験調味液のもとでレトルト処理することで、植物組織の軟化が抑制されることが確認された。
【0057】
実験例3 牛丼への応用
(1)実験方法
表7に記載する処方に従って、砂糖または/および高甘味度甘味料(スクラロース、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物)を含む水溶液を牛丼調味液3-1~3-3として調製した。これを耐圧耐熱製のレトルトパウチ(幅100mm、高さ160mm)に50g入れ、この中に所定の大きさにカットした具材(牛肉10g、タマネギ30g)を、具材のすべてが調味液に浸るように入れた。なお、具材として、牛肉は予め沸騰した湯で2分間ボイルしたものを、またタマネギは半分をさらに4等分にくし切りにカットした後に沸騰した湯で1分間ボイルしたものを使用した。蓋をして密封した後、高圧釜にいれて、レトルト処理(中心温度121℃、20分加熱処理)をした。レトルト処理後、室温条件下で室温になるまで冷却した後に、得られた具材のうちタマネギをパネル3名に食べてもらい、その硬さ(食感)を評価してもらった。
【0058】
【0059】
評価は、牛丼調味液3-2及び3-3のもとでレトルト処理した場合に得られるタマネギ(被験タマネギ)の硬さを、下記の基準に基づいて、対応する牛丼調味液3-1のもとで、同様にレトルト処理したタマネギ(比較タマネギ)の硬さと対比することで実施した。
[評価]
4点:比較タマネギよりも明らかに硬い
3点:比較タマネギよりもやや硬い
2点:比較タマネギと同等の食感
1点:比較タマネギよりもやや軟らかい
0点:比較タマネギよりも明らかに軟らかい
【0060】
(2)実験結果
評価結果を、表8に記載する。
【表8】
この結果から、実際の調理においても、砂糖に加えて、スクラロース、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物、等の高甘味度甘味料を配合した調味液の存在下で野菜等の可食性植物をレトルト処理することで、植物組織の軟化が抑制されることが確認された。
これらのことから、調味液に配合する砂糖の全てまたは一部に代えて、本発明で効果を示したスクラロース、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物、アスパルテーム、およびアセスルファムカリウムよりなる群から選択される少なくとも1つを用いることで、レトルト処理による植物組織の過度な軟化が抑制され、植物(野菜や果物等)特有の食感を有する飲食物が調製できることがわかる。