(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】処理装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20240508BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20240508BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20240508BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20240508BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/005
G09B29/10 A
G09B29/00 A
G01C21/26 P
(21)【出願番号】P 2019218440
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2022-09-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597151563
【氏名又は名称】株式会社ゼンリン
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】大原 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】幸 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 政宏
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-148985(JP,A)
【文献】特開2012-058157(JP,A)
【文献】特開2016-053495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/005
G09B 29/10
G09B 29/00
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の移動経路網により
搭乗者を乗せた乗り物が到達可能な乗換エリアであって、当該乗換エリア内における
前記搭乗者の移動が可能な乗換エリアを地図データに基づいて選択する乗換エリア選択部と、
前記
搭乗者が同一の
前記乗り物に乗った状態を維持しつつ
当該乗り物の機能の変更により当該乗り物
自体の移動態様を変えることによって前記
搭乗者の移動手段を前記乗換エリア内で変更
し、変更後の移動手段に対応する第2の移動経路網に前記乗り物を誘導するように誘導情報を出力する出力部と、を備える処理装置。
【請求項2】
前記乗換エリア選択部は、第1移動手段の移動経路網により到達可能な第1乗換エリアであって、当該第1乗換エリア内における前記
搭乗者の移動が可能な第1乗換エリアと、第2移動手段の移動経路網により到達可能な第2乗換エリアであって、当該第2乗換エリア内における前記
搭乗者の移動が可能な第2乗換エリアとを前記地図データに基づいて選択し、
前記出力部は、前記
搭乗者の移動手段を前記第1乗換エリア内において前記第1移動手段から前記第2移動手段又は前記第2移動手段から前記第1移動手段に変更し、前記第2移動手段により前記
搭乗者を前記第2乗換エリア内に進入又は前記第2乗換エリア内から退出させるように前記誘導情報を出力する、請求項1記載の処理装置。
【請求項3】
前記地図データは、
前記第1移動手段の移動経路網を定める第1ネットワークデータと、
前記第2移動手段の移動経路網を定める第2ネットワークデータと、
前記第1乗換エリアの候補となる複数の第1候補エリアを前記第1ネットワークデータに対応付け、前記第2乗換エリアの候補となる複数の第2候補エリアを前記第2ネットワークデータに対応付ける候補エリアデータと、
前記複数の第1候補エリアのいずれかと前記複数の第2候補エリアのいずれかとの複数の組み合わせ候補を定める乗換データと、を含み、
前記乗換エリア選択部は、前記第1ネットワークデータと、前記第2ネットワークデータと、前記候補エリアデータと、前記乗換データとに基づいて、前記第1乗換エリア及び前記第2乗換エリアを選択する、請求項2記載の処理装置。
【請求項4】
前記地図データは、
前記複数の組み合わせ候補のそれぞれに対し、前記第1乗換エリア及び前記第2乗換エリアとしての利用の制約条件を定める制約データを更に含み、
前記乗換エリア選択部は、前記制約データに更に基づいて、前記第1乗換エリア及び前記第2乗換エリアを選択する、請求項3記載の処理装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記乗換エリア選択部が選択した前記第1乗換エリア及び前記第2乗換エリアに対応する前記制約条件を満たすように前記誘導情報を出力する、請求項4記載の処理装置。
【請求項6】
前記制約条件は、組み合わせ候補の前記第1乗換エリア及び前記第2乗換エリアとしての利用を天候に応じて制限する条件である、請求項4又は5記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の移動手段にそれぞれ対応する複数の経路データベースを備える電子地図データを利用した経路探索装置が開示されている。電子地図データは、緯度、経度あるいは座標が実質的に同じになるように複数の経路データベースに設けられた乗り換えノードを含んでいる。経路探索装置は、乗り換えノードを経由地とし、複数の経路データベースを順次用いた経路を探索する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、より適切な乗換の誘導に有効な処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る処理装置は、第1の移動経路網により搭乗者を乗せた乗り物が到達可能な乗換エリアであって、当該乗換エリア内における搭乗者の移動が可能な乗換エリアを地図データに基づいて選択する乗換エリア選択部と、搭乗者が同一の乗り物に乗った状態を維持しつつ当該乗り物の機能の変更により当該乗り物自体の移動態様を変えることによって搭乗者の移動手段を乗換エリア内で変更し、変更後の移動手段に対応する第2の移動経路網に乗り物を誘導するように誘導情報を出力する出力部と、を備える。
【0006】
乗換エリア選択部は、第1移動手段の移動経路網により到達可能な第1乗換エリアであって、当該第1乗換エリア内における搭乗者の移動が可能な第1乗換エリアと、第2移動手段の移動経路網により到達可能な第2乗換エリアであって、当該第2乗換エリア内における搭乗者の移動が可能な第2乗換エリアとを地図データに基づいて選択し、出力部は、搭乗者の移動手段を第1乗換エリア内において第1移動手段から第2移動手段又は第2移動手段から第1移動手段に変更し、第2移動手段により搭乗者を第2乗換エリア内に進入又は第2乗換エリア内から退出させるように誘導情報を出力してもよい。
【0007】
地図データは、第1移動手段の移動経路網を定める第1ネットワークデータと、第2移動手段の移動経路網を定める第2ネットワークデータと、第1乗換エリアの候補となる複数の第1候補エリアを第1ネットワークデータに対応付け、第2乗換エリアの候補となる複数の第2候補エリアを第2ネットワークデータに対応付ける候補エリアデータと、複数の第1候補エリアのいずれかと複数の第2候補エリアのいずれかとの複数の組み合わせ候補を定める乗換データと、を含んでもよく、乗換エリア選択部は、第1ネットワークデータと、第2ネットワークデータと、候補エリアデータと、乗換データとに基づいて、第1乗換エリア及び第2乗換エリアを選択してもよい。
【0008】
地図データは、複数の組み合わせ候補のそれぞれに対し、第1乗換エリア及び第2乗換エリアとしての利用の制約条件を定める制約データを更に含み、乗換エリア選択部は、制約データに更に基づいて、第1乗換エリア及び第2乗換エリアを選択してもよい。
【0009】
出力部は、乗換エリア選択部が選択した第1乗換エリア及び第2乗換エリアに対応する制約条件を満たすように誘導情報を出力してもよい。
【0010】
制約条件は、組み合わせ候補の第1乗換エリア及び第2乗換エリアとしての利用を天候に応じて制限する条件であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】経路案内システムの機能的な構成を例示するブロック図である。
【
図2】移動経路のネットワークを例示する模式図である。
【
図3】移動経路のネットワークを定めるデータを例示する模式図である。
【
図4】候補エリアデータを例示するテーブルである。
【
図6】経路案内システムのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図7】経路案内手順を例示するフローチャートである。
【
図8】乗換ありの経路探索手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
〔処理システム〕
本実施形態に係る処理システム1は、移動経路網により到達可能なエリアであって、自エリア内における移動体の移動が可能な乗換エリアを地図データに基づいて選択することと、移動体の移動手段の変更を乗換エリア内で行うように誘導情報を出力することと、をを実行するように構成されている。
【0015】
処理システム1は、第1移動手段の移動経路網により到達可能なエリアであって、自エリア内における移動体の移動が可能な第1乗換エリアと、第2移動手段の移動経路網により到達可能なエリアであって、自エリア内における移動体の移動が可能な第2乗換エリアとを地図データに基づいて選択し、移動体の移動手段を第1乗換エリア内において第1移動手段から第2移動手段又は第2移動手段から第1移動手段に変更し、第2移動手段により移動体を第2乗換エリア内に進入又は第2乗換エリア内から退出させるように誘導情報を出力してもよい。
【0016】
移動体は、各種移動手段によって移動する物体である。移動体の具体例としては、徒歩、又は乗り物により移動する人が挙げられる。移動手段の変更の具体例としては、徒歩から各種乗り物による移動への変更、各種乗り物による移動から徒歩への変更、及び、ある乗り物から他の乗り物への乗り換え等が挙げられる。移動体が同一の乗り物に乗り続けた状態で、当該乗り物の移動態様が変わることも、移動体の移動手段の変更に含まれる。例えば、空陸両用乗り物が離陸することは、搭乗者である人(移動体)の移動手段を当該乗り物による陸上走行から当該乗り物による飛行に変更することに相当する。逆に、空陸両用乗り物が着陸することは、移動体の移動手段を当該乗り物による飛行から当該乗り物による陸上走行に変更することに相当する。
【0017】
図1に示すように、処理システム1は、処理装置100と、地図サーバ200とを備える。地図サーバ200は、経路探索用の地図データを処理装置100に提供する。地図データは、ネットワークデータ300(
図3参照)と、候補エリアデータ400(
図4参照)と、乗換データ500(
図5参照)とを含む。
【0018】
ネットワークデータ300は、移動経路網を定める。例えばネットワークデータ300は、第1移動手段の移動経路網(以下、「第1移動経路網」という。)を定める第1ネットワークデータと、第2移動手段の移動経路網(以下、「第2移動経路網」という。)を定める第2ネットワークデータとを含む。第1移動経路網がカバーする地域と、第2移動経路網がカバーする地域とは、少なくとも部分的に重複していてもよい。
【0019】
第2移動経路網は第1移動手段が通行できず、第2移動手段が通行し得る移動経路網であってもよい。例えば、第1移動経路網は、乗り物による陸上走行の移動経路網であってもよく、第2移動経路網は乗り物による飛行の移動経路網であってもよい。
【0020】
図2は、第1移動経路網及び第2移動経路網を例示する模式図である。
図2に示す第1移動経路網10は、陸上用乗り物M2が通行し得る陸上移動経路11のネットワークである。第2移動経路網20は、陸上用乗り物M2が通行できず、空中用乗り物M3が通行し得る空中移動経路21のネットワークである。なお、空陸両用乗り物M1は、陸上移動経路11及び空中移動経路21の両方を通行できる。
【0021】
図3に示すように、ネットワークデータ300は、第1移動経路網10を定める第1ネットワークデータ310と、第2移動経路網20を定める第2ネットワークデータ320とを含む。第1ネットワークデータ310は、複数の地点にそれぞれ対応付けられた複数のノード311と、複数のノード間の移動経路を示すリンク312とを含む。リンク312は、経由点を示す少なくとも一つの構成点313を含んでもよい。第2ネットワークデータ320は、複数の地点にそれぞれ対応付けられた複数のノード321と、複数のノード間の移動経路を示すリンク322とを含む。リンク322は、経由点を示す少なくとも一つの構成点323を含んでもよい。
【0022】
少なくとも第1ネットワークデータ310は、陸上移動経路11の周辺地物情報を更に含んでいてもよい。周辺地物の具体例としては、陸上移動経路11内又は陸上移動経路11の周辺に設けられるあらゆる物体が挙げられる。例えば、周辺地物の具体例としては、陸上移動経路11に設けられる道路標識、縁石、中央分離帯、及び陸上移動経路11沿いの建築物等が挙げられる。また、
図2中の河川13、駐車スペース14も周辺地物の一種である。
【0023】
候補エリアデータ400は、上記乗換エリアの候補となる複数の候補エリアをネットワークデータに対応付ける。例えば候補エリアデータ400は、上記第1乗換エリアの候補となる複数の第1候補エリアを第1ネットワークデータ310に対応付け、上記第2乗換エリアの候補となる複数の第2候補エリアを第2ネットワークデータ320に対応付ける。第1候補エリアは、第1移動経路網により到達可能なエリアであって、自エリア内における移動体の移動と、第1移動手段から第2移動手段への変更又は第2移動手段からの第1移動手段への変更とが可能なエリアである。第2候補エリアは、第2移動経路網により到達可能なエリアであって、自エリア内における移動体の移動が可能なエリアである。第1候補エリア及び第2候補エリアは、2以上の地点を含むように線状に延びた区間であってもよいし、2以上の地点を含むように面状に広がった領域であってもよい。第1候補エリアは、第1移動経路網自体の1エリア(例えば第1移動経路網の1区間)であってもよいし、第1移動経路網の周辺地物(例えば駐車スペース14)の1エリアであってもよい。同様に、第2候補エリアは、第2移動経路網自体の1エリアであってもよいし、第2移動経路網の周辺地物の1エリアであってもよい。
【0024】
図2においては、第1候補エリアとして候補エリアRT1,RT2,RT3が例示され、第2候補エリアとして候補エリアAT1,AT2,AT3が例示されている。候補エリアRT1,RT2は、陸上移動経路11に沿って線状に延びた区間である。候補エリアRT3は、周辺地物である駐車スペース14において面状に広がった領域である。候補エリアAT1,AT2は、空中移動経路21に沿って線状に延びた区間である。候補エリアAT3は、候補エリアRT3の上空の領域である。
【0025】
候補エリアデータ400は、各候補エリアの範囲を定める。例えば
図4に例示するように、候補エリアデータ400は、各候補エリアの「座標」を定める。例えば候補エリアデータ400は、候補エリアの範囲を緯度、経度、標高等の座標で定める。座標による候補エリアの定め方に特に制限はない。例えば、線状の候補エリアは、両端部の座標により定められていてもよいし、また、線状の候補エリアは、線状に並ぶ点列の座標により定められていてもよい。面状の候補エリアは、外縁の頂部の座標により定められていてもよいし、面状に点在する点列の座標により定められていてもよい。立体の候補エリアの座標は、高さを定める値を更に含んでいてもよい。
【0026】
候補エリアデータ400は、候補エリアごとに「種類」を更に定めてもよい。種類は、候補エリアの形態を示す。「線」は、線状に延びるエリアであることを示している。「面」は、面状に広がるエリアであることを示している。「立体」は、立体状に広がるエリアであることを示している。候補エリアデータ400が各候補エリアの種類を定める場合、候補エリアの種類に応じて座標のデータ形式が異なっていても、候補エリアの種類に基づいて適切に座標を読み出すことが可能となる。
【0027】
候補エリアデータ400は、各候補エリアの「関連地物」を更に定めてもよい。関連地物は、候補エリアへの経路探索用の地物を示す。例えば関連地物は、候補エリアに対応するノード311,321、リンク312,322、構成点313,323等を示す。候補エリアが、移動経路網自体の区間である場合、ノード311,321、リンク312,322、構成点313,323は候補エリアに含まれる。候補エリアが周辺地物内のエリアである場合、ノード311,321、リンク312,322、構成点313,323は候補エリア外に位置する。候補エリアデータ400が候補エリアごとの関連地物を定める場合、候補エリアを含む経路探索が容易になる。
【0028】
一例として、
図4において候補エリアRT1に対応付けられた「RN1_1」、「RN1_3」は、
図3における構成点313f,313eのIDである。候補エリアRT2に対応付けられた「RN2_1」、「RN2_3」は、構成点313d,313cのIDである。候補エリアRT3に対応付けられた「RN4_0」、「RN3_1」は、構成点313a,313bのIDである。候補エリアAT1に対応付けられた「AN1_1」、「AN2_1」は、構成点323f,323eのIDである。候補エリアAT2に対応付けられた「AN3_1」、「AN4_1」は、構成点323d,323cのIDである。候補エリアAT3に対応付けられた「AN6_0」、「AN5_1」は、構成点323a,323bのIDである。
【0029】
乗換データ500は、複数の第1候補エリアのいずれかと複数の第2候補エリアのいずれかとの複数の組み合わせ候補を定める。例えば
図5に示すように、乗換データ500は、組み合わせ候補ごとに「FROM」と「TO」を定める。FROMは移動体の移行元の候補エリアを示し、TOは移行先の候補エリアを示す。
図5中の「乗換ID」は、組み合わせ候補の識別情報である。
【0030】
例えば乗換データ500は、各第1候補エリアを、当該エリアから最も近い(鉛直上方から見て近い)第2候補エリアに組み合わせるように、複数の組み合わせ候補を定めていてもよい。各組合せ候補において、第1候補エリアと第2候補エリアとは、少なくとも部分的に重複していてもよい。ここでの重複は、鉛直上方から見て実質的に重複していることを意味する。例えば、第1候補エリアと第2候補エリアとが線状の区間である場合、第1候補エリアと第2候補エリアとが同一の道路に沿っていれば、緯度・経度の微差があってもこれらのエリア同士は重複している。
【0031】
図2においては、候補エリアRT1と候補エリアAT1とが全域に亘って重複し、候補エリアRT2と候補エリアAT2とが全域に亘って重複し、候補エリアRT3と候補エリアAT3とが全域に亘って重複している。乗換データ500は、候補エリアRT1と候補エリアAT1とを組み合わせ、候補エリアRT2と候補エリアAT2とを組み合わせ、候補エリアRT3と候補エリアAT3とを組み合わせる。なお、第1候補エリアと第2候補エリアとは、必ずしも重複していなくてもよい。
【0032】
図5に示すように、地図データは、複数の組み合わせ候補のそれぞれに対し、第1乗換エリア及び第2乗換エリアとしての利用の制約条件を定める制約データ600を更に含んでいてもよい。制約条件の具体例としては、第1乗換エリア及び第2乗換エリアとしての利用を時間帯に応じて制限する条件、第1乗換エリア及び第2乗換エリアとしての利用を移動手段に応じて制限する条件等が挙げられる。
図5に例示する時間条件は、組み合わせ候補を第1乗換エリア及び第2乗換エリアとして利用できる時間帯と、組み合わせ候補を第1乗換エリア及び第2乗換エリアとして利用できない時間帯とを定める。
【0033】
例えば、乗換ID「001」及び「002」の組み合わせ候補の時間条件は「全日、終日」となっているので、これらの組み合わせ候補には乗り換えに利用できない時間帯がない。一方、乗換ID「003」の組み合わせ候補の時間条件は「平日 8:00-23:00」となっているので、この組み合わせ候補は、平日23:00-8:00と休日の終日に乗り換えに利用できない。
【0034】
図5に例示するモビリティ条件は、組み合わせ候補を第1乗換エリア及び第2乗換エリアとして利用し得る移動手段を、変更前の移動手段と変更後の移動手段との組み合わせで定めている。例えば、乗換ID「001」及び「002」の組み合わせ候補のモビリティ条件は「飛行 ⇒ 陸上走行」となっている。飛行から陸上走行への変更の具体例としては、空中用乗り物から陸上用乗り物への乗り換え、空陸両用乗り物の着陸等が挙げられる。
【0035】
乗換ID「003」の組み合わせ候補に対しては、乗換ID「001」及び「002」の組み合わせ候補と同様の「飛行 ⇒ 陸上走行」に加えて、「飛行 ⇒ 徒歩」が定められている。飛行から徒歩への変更の具体例としては、着陸した空中用乗り物又は空陸両用乗り物から降りて歩くことが挙げられる。
【0036】
なお、制約条件は、上述した時間条件及びモビリティ条件に限られない。第1乗換エリア及び第2乗換エリアとしての利用を何らかの形で制限する条件は、全て制約条件となり得る。例えば、制約条件は、第1乗換エリア及び第2乗換エリアとしての利用を天候に応じて制限する条件(以下、「天候条件」という。)であってもよい。天候条件の具体例としては、風速又は雨量に応じて、空中用乗り物又は空陸両用乗り物の離着陸を禁止する条件が挙げられる。組み合わせ候補を第1乗換エリア及び第2乗換エリアとして利用するための料金も、制約条件の一種である。
【0037】
制約条件は、組み合わせ候補に対して部分的に定められていてもよい。例えば、第1候補エリアの一部分に対して時間条件が付されていてもよいし、第2候補エリアの一部分に対して時間条件が付されていてもよい。
【0038】
なお、第1移動経路網は、必ずしも陸上における移動経路のネットワークに限られず、水上における移動経路のネットワークであってもよいし、空中における移動経路のネットワークであってもよい。第2移動経路網は、必ずしも空中における移動経路のネットワークに限られず、水上における移動経路のネットワークであってもよいし、陸上における移動経路のネットワークであってもよい。例えば、第1移動経路網が、歩行者専用の陸上移動経路のネットワークであり、第2移動経路網が、自動車専用の陸上移動経路のネットワークであってもよい。
【0039】
処理装置100は、乗換エリアを地図サーバ200の地図データに基づいて選択することと、移動体の移動手段の変更を乗換エリア内で行うように誘導情報を出力することと、を実行する。例えば処理装置100は、第1移動手段の移動経路網により到達可能なエリアであって、自エリア内における移動体(例えば人)の移動が可能な第1乗換エリアと、第2移動手段の移動経路網により到達可能なエリアであって、自エリア内における移動体の移動が可能な第2乗換エリアとを地図データに基づいて選択し、移動体の移動手段を第1乗換エリア内において第1移動手段から第2移動手段又は第2移動手段から第1移動手段に変更し、第2移動手段により移動体を第2乗換エリア内に進入又は第2乗換エリア内から退出させるように誘導情報を出力する。
【0040】
例えば処理装置100は、機能ブロックとして、位置情報取得部111と、地図データ取得部112と、地図データ記憶部113と、乗換エリア選択部114と、経路探索部115と、経路出力部116とを有する。以下、各機能ブロックについて説明する。各機能ブロックが実行する処理は、処理装置100が実行する処理に相当する。
【0041】
位置情報取得部111は、現在地の位置情報と、目的地の位置情報とを取得する。例えば位置情報取得部111は、現在地の位置情報を位置センサ700から取得し、目的地の位置情報をユーザインタフェース800から取得する。位置センサ700は、乗り物又は歩行者の携帯端末に搭載されており、例えばGPS(Global Positioning System)により現在地を検出する。位置センサ700は、速度センサ、加速度センサ、及びジャイロセンサ等を補助的に用いて現在地を検出してもよい。
【0042】
ユーザインタフェース800は、乗り物又は歩行者の携帯端末に搭載されており、ユーザ入力の取得と、ユーザに対する情報表示とを行う。例えばユーザインタフェース800は、入力デバイスと、表示デバイスとを有する。表示デバイスの具体例としては、液晶モニタ又は有機EL(Electro Luminescence)モニタ等が挙げられる。入力デバイスの具体例としては、キーパッド等が挙げられる。入力デバイスは、所謂タッチパネルとして表示デバイスと一体化されていてもよい。
【0043】
地図データ取得部112は、位置情報取得部111が取得した情報に基づいて、現在地と目的地とを含むエリア(以下、「探索対象エリア」という。)の地図データを地図サーバ200から取得する。例えば地図データ取得部112は、探索対象エリアのネットワークデータ300と、候補エリアデータ400と、乗換データ500と、制約データ600とを地図サーバ200から取得する。地図データ記憶部113は、地図データ取得部112が取得した地図データを記憶する。
【0044】
乗換エリア選択部114は、地図データ記憶部113が記憶する地図データに基づいて、第1乗換エリアを第1移動経路網から選択し、第2乗換エリアを第2移動経路網から選択する。乗換エリア選択部114は、第1乗換エリアと少なくとも部分的に重複する第2乗換エリアを第2移動経路網から選択してもよい。
【0045】
例えば乗換エリア選択部114は、ネットワークデータ300と、候補エリアデータ400と、乗換データ500と、制約データ600とに基づいて、第1乗換エリア及び第2乗換エリアを選択する。例えば乗換エリア選択部114は、ネットワークデータ300と、候補エリアデータ400と、乗換データ500とに基づいて、第1候補エリア及び第2候補エリアを絞り込む。更に、乗換エリア選択部114は、絞り込んだ第1候補エリア及び第2候補エリアが乗り換えに利用可能であるかを制約データ600に基づいて確認する。ここでの「乗り換え」は、第1候補エリアにおける第1移動手段から第2移動手段への変更又は第2移動手段から第1移動手段への変更と、第2候補エリアにおける第2移動経路網への進入又は第2移動手段からの退出とを含む。乗換エリア選択部114は、絞り込んだ第1候補エリア及び第2候補エリアが乗り換えに利用可能である場合に、これらを第1乗換エリア及び第2乗換エリアとして選択する。
【0046】
例えば乗換エリア選択部114は、ネットワークデータ300と、候補エリアデータ400とに基づいて、現在地から目的地への移動に適した候補エリアを探索する。現在地から目的地への移動に適した候補エリアが存在する場合、乗換エリア選択部114は、当該候補エリアを含む組み合わせ候補を乗換データ500から選択し、当該組み合わせ候補の第1候補エリアを第1乗換エリアとし、当該組み合わせ候補の第2候補エリアを第2乗換エリアとする。
【0047】
一例として、乗換エリア選択部114は、現在地及び目的地がいずれも第1移動経路網10に属しており、第1移動経路網10から第2移動経路網20への乗り換えが必要とされる場合に、第1乗換エリア及び第2乗換エリアを探索する。第1移動経路網10から第2移動経路網20への乗り換えが必要とされる場合の具体例としては、現在地から目的地までの陸上移動経路11において、第2移動経路網20を利用することで到着時間が早まる場合、交通渋滞、災害、事故等の通行の障害が生じている場合、又は天候が陸上移動経路11の移動に適さない場合等が挙げられる。例えば
図2に示すように、現在地SPから目的地GPまでの間で河川13を渡る陸上移動経路11に交通渋滞が生じている場合に、第1移動経路網10から第2移動経路網20への乗り換えが必要とされる。
【0048】
乗換エリア選択部114は、現在地が第2移動経路網20に属しており、第2移動経路網20から第1移動経路網10への乗り換えが必要とされる場合にも、第1乗換エリア及び第2乗換エリアを探索する。第2移動経路網20から第1移動経路網10への乗り換えが必要とされる場合の具体例としては、天候が空中移動経路21の移動に適さない場合等が挙げられる。
【0049】
例えば乗換エリア選択部114は、候補エリアデータ400と乗換データ500とに基づいて、第1移動経路網10から第2移動経路網20への転出に適した組み合わせ候補(以下、「転出用候補」という。)と、第2移動経路網20から第1移動経路網10への転入に適した組み合わせ候補(以下、「転入用候補」という。)とを探索する。例えば乗換エリア選択部114は、候補エリアデータ400に基づいて、現在地から所定範囲にある第1候補エリアを探索し、当該所定範囲に第1候補エリアが存在している場合には、当該第1候補エリアをFROMとする組み合わせ候補を転出用候補として乗換データ500から選択する。
【0050】
更に乗換エリア選択部114は、候補エリアデータ400に基づいて、目的地から所定範囲にある第1候補エリアを探索し、当該所定範囲に第1候補エリアが存在している場合には、当該第1候補エリアをTOとする組み合わせ候補を転入用候補として乗換データ500から選択する。
【0051】
乗換エリア選択部114は、制約データ600に基づいて、転出用候補及び転入用候補がいずれも乗り換えに利用可能であるかを確認する。転出用候補及び転入用候補がいずれも乗り換えに利用可能である場合、乗換エリア選択部114は、転出用候補の第1候補エリアを転出用の第1乗換エリアとして選択し、転出用候補の第2候補エリアを転出用の第2乗換エリアとして選択し、転入用候補の第1候補エリアを転入用の第1乗換エリアとして選択し、転入用の第2候補エリアを転入用の第2乗換エリアとして選択する。転出用候補が乗り換えに利用できない場合、乗換エリア選択部114は、他の転出用候補を探索する。転入用候補が乗り換えに利用できない場合、乗換エリア選択部114は、他の転入用候補を探索する。
【0052】
なお、乗換エリア選択部114は、候補エリアデータ400、乗換データ500及び制約データ600を参照することなく、ネットワークデータ300に基づいて第1乗換エリアを第1移動経路網10から選択し、第2乗換エリアを第2移動経路網20から選択してもよい。例えば乗換エリア選択部114は、第1移動経路網10から、現在地から目的地への移動に適した部分を第1乗換エリアとして選択し、第2移動経路網20のうち第1乗換エリアに重複する部分を第2乗換エリアとして選択する。このように、乗換エリア選択部114がネットワークデータ300に基づいて第1乗換エリア及び第2乗換エリアを選択する場合、地図データが候補エリアデータ400、乗換データ500及び制約データ600を含んでいる必要はない。
【0053】
経路探索部115は、現在地から目的地までの経路を探索する。乗換エリア選択部114により第1乗換エリア及び第2乗換エリアが選択された場合、経路探索部115は、第1移動経路網10において第1乗換エリアに連なる第1経路と、第2移動経路網20において第2乗換エリアに連なる第2経路と、を含む経路を探索する。誘導情報は、移動体の移動手段を第1乗換エリア内において第1移動手段から第2移動手段又は第2移動手段から第1移動手段に変更し、第2移動手段により移動体を第2乗換エリア内に進入又は前記第2乗換エリア内から退出させるように移動体を誘導する情報である。
【0054】
一例として、経路探索部115は、
図2に示すように、現在地SPから転出用の第1乗換エリア(候補エリアRT1)までの経路MR1(転出前の第1経路)を探索し、経路MR1の到達地点を転出用の第1乗換エリアへの進入位置RT11とする。また、経路探索部115は、転出用の第2乗換エリア(候補エリアAT1)から転入用の第2乗換エリア(候補エリアAT2)までの経路MR2(第2経路)を探索する。経路探索部115は、経路MR2の出発地点を転出用の第2乗換エリアからの退出位置AT11とし、経路MR2の到達地点を転入用の第2乗換エリアへの進入位置AT21とする。更に、経路探索部115は、転入用の第1乗換エリア(候補エリアRT2)から目的地GPまでの経路MR3(転入後の第1経路)を探索し、経路MR3の出発地点を転入用の第1乗換エリアからの退出位置RT21とする。
【0055】
なお、上述した各種の経路探索は、ダイクストラ法又はベルマン・フォード法等の既知の方法によって実行可能である。
【0056】
経路出力部116は、経路探索部115により探索された現在地から目的地までの経路に基づいて、現在地から目的地までの誘導情報をユーザインタフェース800に出力する。経路探索部115が、第1移動経路網10から第2移動経路網20への乗り換えを含む経路を導出した場合、経路出力部116は、第1移動手段により第1経路に従って移動体を移動させ、移動体の移動手段を第1乗換エリアにおいて第1移動手段から第2移動手段又は第2移動手段から第1移動手段に変更し、第2移動手段により移動体を第2乗換エリア内に進入又は第2乗換エリア内から退出させ、第2移動手段により第2経路に従って移動体を移動させるように誘導情報を出力する。
【0057】
例えば経路出力部116は、第1移動手段により経路MR1(転出前の第1経路)に従って現在地SPから進入位置RT11まで移動体を移動させ、転出用の第1乗換エリア内において移動体の移動手段を第1移動手段から第2移動手段に変更し、第2移動手段により移動体を転出用の第2乗換エリア内に進入させ、第2移動手段により経路MR2(第2経路)に従って退出位置AT11から進入位置AT21まで移動体を移動させ、第2移動手段により移動体を転入用の第2乗換エリア内から退出させ、転入用の第1乗換エリア内において移動体の移動手段を第2移動手段から第1移動手段に変更し、第1移動手段により経路MR3(転入後の第1経路)に従って退出位置RT21から目的地GPまで移動体を移動させるように誘導情報を出力する。
【0058】
経路出力部116は、誘導情報を乗り物の運転支援装置(例えば自動運転装置)に出力してもよい。経路出力部116、乗換エリア選択部114が選択した第1乗換エリア及び第2乗換エリアに対応する制約条件を満たすように誘導情報を出力してもよい。例えば経路出力部116は、第1乗換エリアのうち制約条件を満たす部分内において、移動体の移動手段を第1移動手段から第2移動手段または第2移動手段から第1移動手段に変更するように誘導情報を出力してもよい。また、経路出力部116は、第2乗換エリアのうち制約条件を満たす部分内に移動体を進入させ又は当該部分内から移動体を退出させるように誘導情報を出力してもよい。
【0059】
図6は、処理システム1のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図6に示すように、地図サーバ200は、回路290を有する。回路290は、少なくとも一つのプロセッサ291と、メモリ292と、ストレージ293と、通信ポート294とを有する。ストレージ293は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。ストレージ293は、地図データを記憶する。メモリ292は、ストレージ293からロードしたプログラム及びプロセッサ291による演算結果等を一時的に記憶する。プロセッサ291は、メモリ292と協働して上記プログラムを実行することで、地図サーバ200の各機能ブロックを構成する。通信ポート294は、プロセッサ291からの指令に従って、通信ネットワークNWを介して処理装置100との間で通信を行う。
【0060】
処理装置100は、回路190を有する。回路190は、少なくとも一つのプロセッサ191と、メモリ192と、ストレージ193と、入出力ポート194と、通信ポート195とを有する。ストレージ193は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。ストレージ193は、乗換エリアを地図サーバ200の地図データに基づいて選択することと、移動体の移動手段の変更を乗換エリア内で行うように誘導情報を出力することと、を処理装置100に実行させるためのプログラムを記憶している。例えばストレージ193は、地図データ記憶部113に割り当てられる記憶領域と、位置情報取得部111、地図データ取得部112、乗換エリア選択部114、経路探索部115及び経路出力部116を処理装置100に構成させるためのプログラムに割り当てられる記憶領域とを含む。
【0061】
メモリ192は、ストレージ193からロードしたプログラム及びプロセッサ191による演算結果等を一時的に記憶する。プロセッサ191は、メモリ192と協働して上記プログラムを実行することで、処理装置100の各機能ブロックを構成する。入出力ポート194は、プロセッサ191からの指令に従って、位置センサ700及びユーザインタフェース800との間で情報の入出力を行う。通信ポート195は、プロセッサ191からの指令に従って、通信ネットワークNWを介して地図サーバ200との間で通信を行う。
【0062】
なお、回路190,290は、必ずしもプログラムにより各機能を構成するものに限られない。例えば回路190,290は、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により少なくとも一部の機能を構成してもよい。
【0063】
〔経路案内手順〕
続いて、経路案内方法の一例として、処理装置100が実行する経路案内手順を例示する。この手順は、第1乗換エリアを第1移動経路網から選択し、第2乗換エリアを第2移動経路網から選択することと、第1移動経路網において第1乗換エリアに連なる第1経路と、第1乗換エリアと第2乗換エリアとの間の移行と、第2移動経路網において第2乗換エリアに連なる第2経路と、を含む経路を出力することとを含む。
【0064】
図7は、現在地及び目的地がいずれも第1移動経路網10に属する場合の経路案内手順を例示している。
図7に示すように、処理装置100は、まずステップS01,S02,S03,S04を実行する。ステップS01では、位置情報取得部111が、ユーザインタフェース800から目的地の位置情報を取得する。ステップS02では、位置情報取得部111が、位置センサ700から現在地の位置情報を取得する。ステップS03では、地図データ取得部112が、現在地と目的地とを含むエリア(上記探索対象エリア)の地図データを地図サーバ200から取得し、地図データ記憶部113に保存する。
【0065】
ステップS04では、地図データ記憶部113が記憶する地図データに基づいて、乗換エリア選択部114が、第1移動経路網10から第2移動経路網20への転出に適した第1候補エリア(以下、「転出用の第1候補エリア」という。)を探索する。例えば乗換エリア選択部114は、候補エリアデータ400に基づいて、現在地から所定範囲にある第1候補エリアを探索し、当該所定範囲に第1候補エリアが存在するかを確認する。
【0066】
ステップS04において所定範囲に第1候補エリアが存在すると判定した場合、処理装置100は、ステップS05を実行する。ステップS05では、乗換エリア選択部114が、転出用の第1候補エリアにおいて、第1移動経路網10から第2移動経路網20への乗り換えが可能であるかを確認する。例えば乗換エリア選択部114は、転出用の第1候補エリアをFROMとする組み合わせ候補(上記転出用候補)を乗換データ500から選択し、制約データ600の制約条件に基づいて転出用候補が乗り換えに利用可能であるかを確認する。
【0067】
ステップS05において転出用候補が乗り換えに利用可能であると判定した場合、処理装置100はステップS06を実行する。ステップS06では、地図データ記憶部113が記憶する地図データに基づいて、乗換エリア選択部114が、第2移動経路網20から第1移動経路網10への転入に適した第1候補エリア(以下、「転入用の第1候補エリア」という。)を探索する。例えば乗換エリア選択部114は、候補エリアデータ400に基づいて、目的地から所定範囲にある第1候補エリアを探索し、当該所定範囲に第1候補エリアが存在するかを確認する。
【0068】
ステップS06において所定範囲に第1候補エリアが存在すると判定した場合、処理装置100はステップS07を実行する。ステップS07では、乗換エリア選択部114が、転入用の第1候補エリアにおいて、第2移動経路網20から第1移動経路網10への乗り換えが可能であるかを確認する。例えば乗換エリア選択部114は、転入用の第1候補エリアをTOとする組み合わせ候補(上記転入用候補)を乗換データ500から選択し、制約データ600の制約条件に基づいて転入用候補が乗り換えに利用可能であるかを確認する。
【0069】
ステップS07において転入用候補が乗り換えに利用可能であると判定した場合、処理装置100はステップS08,S09を実行する。ステップS08では、乗換エリア選択部114が、転出用候補の第1候補エリアを転出用の第1乗換エリアとして選択し、転出用候補の第2候補エリアを転出用の第2乗換エリアとして選択し、転入用候補の第1候補エリアを転入用の第1乗換エリアとして選択し、転入用の第2候補エリアを転入用の第2乗換エリアとして選択する。
【0070】
ステップS09では、経路探索部115が、転出用の第1乗換エリア、転出用の第2乗換エリア、転入用の第1乗換エリア、及び転入用の第2乗換エリアを含む経路を探索する。この探索手順については後述する。
【0071】
ステップS04において所定範囲に第1候補エリアが存在しないと判定した場合、ステップS05において転出用候補が乗り換えに利用可能でないと判定した場合、ステップS06において所定範囲に第1候補エリアが存在しないと判定した場合、及びステップS07において転入用候補が乗り換えに利用可能でないと判定した場合、処理装置100は、ステップS08,S09の代わりにステップS11を実行する。ステップS11では、経路探索部115が、第1移動経路網10から第2移動経路網20への乗り換えを行わずに、第1移動経路網10内において現在地から目的地に向かう経路を探索する。
【0072】
ステップS09,S11の次に、処理装置100はステップS12を実行する。ステップS12では、経路出力部116が、経路探索部115により探索された現在地から目的地までの経路に基づいて、現在地から目的地までの誘導情報をユーザインタフェース800に出力する。経路探索部115が、第1移動経路網10から第2移動経路網20への乗り換えを含む経路を導出した場合、経路出力部116は、第1移動手段により第1経路に従って移動体を移動させ、移動体の移動手段を第1乗換エリアにおいて第1移動手段から第2移動手段又は第2移動手段から第1移動手段に変更し、第2移動手段により移動体を第2乗換エリア内に進入又は第2乗換エリア内から退出させ、第2移動手段により第2経路に従って移動体を移動させるように誘導情報を出力する。
【0073】
例えば経路出力部116は、第1移動手段により転出前の第1経路に従って現在地から転出用の第1乗換エリアまで移動体を移動させ、転出用の第1乗換エリア内において移動体の移動手段を第1移動手段から第2移動手段に変更し、第2移動手段により移動体を転出用の第2乗換エリア内に進入させ、第2移動手段により第2経路に従って移動体を移動させ、第2移動手段により移動体を転入用の第2乗換エリア内から退出させ、転入用の第1乗換エリア内において移動体の移動手段を第2移動手段から第1移動手段に変更し、第1移動手段により転入後の第1経路に従って転入用の第1乗換エリアから目的地まで移動体を移動させるように誘導情報を出力する。
【0074】
図8は、ステップS09における経路探索手順を例示するフローチャートである。
図8に示すように、処理装置100は、ステップS21,S22,S23,S24,S25,S26,S27,S28を実行する。ステップS21では、経路探索部115が、現在地SPから転出用の第1乗換エリア(候補エリアRT1)までの経路MR1(転出前の第1経路)を探索する。ステップS22では、経路探索部115が、経路MR1の到達地点を転出用の第1乗換エリアへの進入位置RT11とする。
【0075】
ステップS23では、経路探索部115が、転出用の第2乗換エリア(候補エリアAT1)から転入用の第2乗換エリア(候補エリアAT2)までの経路MR2(第2経路)を探索する。ステップS24では、経路探索部115が、経路MR2の出発地点を転出用の第2乗換エリアからの退出位置AT11とする。ステップS25では、経路探索部115が、経路MR2の到達地点を転入用の第2乗換エリアへの進入位置AT21とする。
【0076】
ステップS26では、経路探索部115が、転入用の第1乗換エリア(候補エリアRT2)から目的地GPまでの経路MR3(転入後の第1経路)を探索する。ステップS27では、経路探索部115が、経路MR3の出発地点を転入用の第1乗換エリアからの退出位置RT21とする。以上でステップS09における経路探索手順が完了する。
【0077】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、処理装置100は、処理装置移動経路網により到達可能なエリアであって、自エリア内における移動体の移動が可能な乗換エリアを地図データに基づいて選択する乗換エリア選択部114と、移動体の移動手段の変更を乗換エリア内で行うように誘導情報を出力する経路出力部116と、を備える。
【0078】
この処理装置100が出力する誘導情報によれば、移動手段の変更を行う位置の柔軟な調節が可能となる。例えば、空陸両用乗り物M1が移動体(例えば人)の移動手段を陸上走行から飛行に変更する(すなわち離陸する)場合には、他の移動体の通行状況に基づいて、空陸両用乗り物M1の離陸位置を第1乗換エリア内で柔軟に調節することができる。例えば、第1乗換エリア内を移動しながら、前方の移動体との間に十分な滑走スペースが確保された時点で離陸用の滑走を開始することができる。また、空陸両用乗り物M1が移動体の移動手段を飛行から陸上走行に変更する(すなわち着陸する)場合には、他の移動体の通行状況に基づいて、空陸両用乗り物M1の着陸位置を第1乗換エリア内で柔軟に調節することができる。例えば、前方の移動体との間に十分な滑走スペースを確保できる位置に空陸両用乗り物M1を着陸させることができる。
【0079】
また、陸上用乗り物M2から空中用乗り物M3に移動体が乗り換える場合、及び空中用乗り物M3から陸上用乗り物M2に移動体が乗り換える場合には、他の移動体の通行状況に基づいて、空中用乗り物M3の乗り換え待機位置を乗換エリア内で柔軟に調節することができる。例えば、他の移動体が存在していない位置、他の移動体の通行を妨げにくい位置等において空中用乗り物M3を待機させることができる。
【0080】
また、歩行者が陸上用乗り物M2に搭乗する場合には、歩行者の移動能力に合わせて、陸上用乗り物M2によるピックアップ位置を乗換エリア内で柔軟に調節することができる。例えば、移動能力が高い歩行者(例えば健常な成年)の場合は、歩行者の現在地を起点として広範囲からピックアップ位置を選択し、移動能力が低い歩行者(例えば高齢者)の場合は、歩行者の現在地を起点として狭い範囲からピックアップ位置を選択することができる。
【0081】
乗換エリア選択部114は、第1移動手段の移動経路網(上記第1移動経路網10)により到達可能なエリアであって、自エリア内における移動体の移動が可能な第1乗換エリアと、第2移動手段の移動経路網(上記第2移動経路網20)により到達可能なエリアであって、自エリア内における移動体の移動が可能な第2乗換エリアとを地図データに基づいて選択し、経路出力部116は、移動体の移動手段を第1乗換エリア内において第1移動手段から第2移動手段又は第2移動手段から第1移動手段に変更し、第2移動手段により移動体を第2乗換エリア内に進入又は第2乗換エリア内から退出させるように誘導情報を出力してもよい。この場合、移動体の移動手段を第1移動手段から第2移動手段又は第2移動手段から第1移動手段に変更するための位置に加えて、第2移動手段により移動体を第2移動経路網20に進入又は第2移動経路網20から退出させる位置も柔軟に調節することができる。
【0082】
例えば、空陸両用乗り物M1又は空中用乗り物M3を第2移動経路網20に進入させる際には、上方に位置する他の移動体との衝突を避けるように、第2乗換エリアへの進入位置を調節することができる。また、空陸両用乗り物M1又は空中用乗り物M3を第2移動経路網20から退出させる際には、下方に位置する他の移動体との衝突を避けるように、第2乗換エリアからの退出位置を調節することができる。
【0083】
地図データは、第1移動手段の移動経路網を定める第1ネットワークデータと、第2移動手段の移動経路網を定める第2ネットワークデータと、第1乗換エリアの候補となる複数の第1候補エリアを第1ネットワークデータに対応付け、第2乗換エリアの候補となる複数の第2候補エリアを第2ネットワークデータに対応付ける候補エリアデータと、複数の第1候補エリアのいずれかと複数の第2候補エリアのいずれかとの複数の組み合わせ候補を定める乗換データと、を含んでもよく、乗換エリア選択部は、第1ネットワークデータと、第2ネットワークデータと、候補エリアデータと、乗換データとに基づいて、第1乗換エリア及び第2乗換エリアを選択してもよい。この場合、第1乗換エリア及び第2乗換エリアとして選択可能な第1候補エリアと第2候補エリアとの組み合わせを示す情報を地図データが含むことによって、第1乗換エリア及び第2乗換エリアのより適切な選択をより迅速に行うことが可能となる。
【0084】
地図データは、複数の組み合わせ候補のそれぞれに対し、第1乗換エリア及び第2乗換エリアとしての利用の制約条件を定める制約データを更に含み、乗換エリア選択部は、制約データに更に基づいて、第1乗換エリア及び第2乗換エリアを選択してもよい。この場合、第1乗換エリア及び第2乗換エリアとしての利用を時間帯に応じて制限する条件、第1乗換エリア及び第2乗換エリアとしての利用を移動手段に応じて制限する条件、第1乗換エリア及び第2乗換エリアとしての利用を天候に応じて制限する条件、第1乗換エリア及び第2乗換エリアとして利用するための料金等、様々な制約条件にも柔軟に適応した第1乗換エリア及び第2乗換エリアの選択が可能となる。
【0085】
経路出力部116は、乗換エリア選択部114が選択した第1乗換エリア及び第2乗換エリアに対応する制約条件を満たすように誘導情報を出力してもよい。この場合、制約条件付きで利用可能な第1乗換エリア及び第2乗換エリアが選択された場合であっても、当該制約条件に柔軟に適応した誘導情報の出力が可能となる。
【0086】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、変更前の移動手段(例えば上記第1移動手段)と、変更後の移動手段(例えば上記第2移動手段)とに、別個の移動経路網が対応付けられることは必須ではない。例えば、第1移動手段及び第2移動手段とがいずれも陸上用の移動手段である場合(例えば第1移動手段が徒歩であり、第2移動手段が乗り物による陸上走行である場合)には、第1移動手段の移動経路網及び第2移動手段の移動経路網が共通であってもよい。この場合、第1候補エリアと第2候補エリアとの区別がなくなるので、乗換データ500は不要であり、制約データ600は、候補エリアごとに制約条件を定めればよい。
【0087】
また、以上においては、現在地から目的地までの誘導情報を出力する処理装置100を例示したが、処理装置は、少なくとも移動体の移動手段の変更を乗換エリア内で行うように誘導情報(以下、「乗り換え用の誘導情報」という。)を出力するものであればよい。単に乗り換え用の誘導情報を出力する装置の具体例としては、変更前後の移動手段に従って、移動が可能な乗換エリアを提示する装置が挙げられる。
【0088】
以上の実施形態の全部又は一部に記載された態様は、乗り換えを含む経路における乗り換え位置の柔軟な調節を可能にする処理装置の提供、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上又は適切な機能の提供その他の機能向上又は適切な機能の提供、データ及び/又はプログラムの容量の削減、装置及び/又はシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置又はシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。
【符号の説明】
【0089】
10…第1移動経路網、20…第2移動経路網、100…処理装置、114…乗換エリア選択部、116…経路出力部、300…ネットワークデータ、400…候補エリアデータ、500…乗換データ。