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特許7483362ベルトと封止リングとを備える締め付け装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ベルトと封止リングとを備える締め付け装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/08 20060101AFI20240508BHJP
   F16L 33/04 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
F16B2/08 H
F16L33/04
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019223449
(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公開番号】P2020115037
(43)【公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】1873094
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519155583
【氏名又は名称】カイロウ
【氏名又は名称原語表記】CAILLAU
【住所又は居所原語表記】28,rue Ernest Renan, 92130 ISSY‐LES‐MOULINEAUX,France
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】リゴレー,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ジンビ,アブドルフェッタ
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-079588(JP,A)
【文献】特開2014-206270(JP,A)
【文献】特表2008-537771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/08
F16L 33/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一端および第二端(10A、10B)を有するベルト(10)と、前記ベルトの環状凹部(11)内に配置された封止リング(22)と、それぞれ前記第一端および第二端(10A、10B)の近傍において前記ベルトによって支持された第一締め付け突起および第二締め付け突起(12A、12B)とを備える締め付け装置であって、前記突起は、前記ベルトを締め付けるために互いに対して変位可能であり、前記凹部(11)は、前記封止リングのエッジに対する押し込み段差(11A、11B)を形成するエッジを有し、前記封止リングは、前記段差間の前記凹部(11)の全幅(LR)を実質的に占め、前記ベルトの前記第一端および第二端は、前記第二端に形成された2つの横タブ(28A、28B;128A、128B)を備える封止構成(24、26;124、126)を有し、
前記封止構成は、オス/メスタイプ構成であり、前記ベルトの前記第一端は、前記ベルトの締め付け状態において、前記第二端の前記横タブ(28A、28B;128A、128B)間に貫入するオス構成(24;124)であり、
前記封止構成は、前記ベルトの前記第一端(10A)に形成された中心タブ(24;124)と、前記ベルトの前記第二端(10B)に形成され、前記横タブ(28A、28B;128A、128B)によって規定された中心ノッチ(26;126)とを備え、前記中心タブは、前記ベルトの締め付け状態において、前記中心ノッチに貫入し、
前記中心ノッチ(26;126)は、前記横タブ(28A;128A)および前記横タブ(28B;128B)の間に規定され、
前記横タブ(28A;128A)は、前記ベルトの幅方向に、前記ベルトの環状エッジ(10’A)から前記凹部(11)へ伸び、
前記横タブ(28B;128B)は、前記ベルトの反対側の環状エッジ(10’B)から前記凹部(11)に伸び、
これらの横タブのそれぞれは、各横タブが前記押し込み段差(11A、11B)のうちの1つの一部を備え
前記締め付け突起(12A、12B)は、前記ベルト上に付加された細片部(14A、14B)に形成され、
前記第一締め付け突起(12A)が形成された前記細片部(14A)は、前記中心タブ(24)上に位置する少なくとも1つの第一締め付けエリア(16A)において、前記ベルト(10)に締め付けられる、締め付け装置。
【請求項2】
前記凹部(11)は、前記押し込み段差の一方から他方(11A、11B)へ伸びる平坦な底部(11’)を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記締め付け突起(12A、12B)が形成された前記細片部(14A、14B)は、前記凹部の幅(LR)以下である幅(LP)を有し、前記凹部(11)の半径方向外側の面に締め付けられる、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第一突起(12A)が形成された前記細片部(14A)は、少なくとも第二締め付けエリア(18A)において、前記ベルト(10)にさらに締め付けられており、前記第二締め付けエリア(18A)は、前記ベルトの締め付け状態において、前記ベルトの周に沿って、前記ベルトの前記第一端(10A)から前記第二端(10B)へ向かう方向に、前記横タブ(28A、28B)の端を越えて伸びる、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記凹部(11)の幅(LR)は、前記ベルト(10)の幅(LC)の少なくとも60%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記中心タブ(24、124)の最小幅(Ll、Lm)は、前記ベルト(10)の幅(LC)の少なくとも50%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記横タブ(28A、28B;128A、128B)の長さ(La)は、前記ベルト(10)の幅(LC)の50~150%の範囲にある、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、前記ベルト幅の2つの異なる部分において前記ベルトの前記第一端(10A)の近傍に配置された2つの第一締め付け突起(12A、12’A)と、前記ベルト幅の2つの異なる部分において前記ベルトの前記第二端(10B)の近傍に配置された2つの第二締め付け突起(12B、12’B)とを備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記2つの第一突起(12A、12’A)および/または前記2つの第二突起(12B、12’B)が配置された前記ベルト幅の前記異なる部分は、前記ベルト(10)の周方向のスリット(30A、30B)によって分離される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、前記2つの突起(12A、12B)に保持された締め付け軸(20A)を備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
各横タブ(28A、28B;128A、128B)は、前記タブの全長にわたって伸びる前記押し込み段差のうちの1つの一部分を備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、第一端および第二端を有するベルトと、ベルト内に配置された封止リングと、それぞれベルトの第一端および第二端の近傍において、ベルトによって支持された第一締め付け突起(lug)および第二締め付け突起とを備え、ベルトを締め付けるために突起を互いに対して変位可能である、締め付け装置に関する。
【0002】
特に、そのような装置は、2つのチューブを封止して接続する機能を有する。この2つのチューブは、端と端とを向かい合わせて並べられた2つの平滑なチューブからなり得る。したがって、封止リングは、チューブ(すなわち、互いに圧嵌入される、隆起(bulge)タイプまたは類似の支持面を有する2つのチューブ)の端間の分離線と協働する。いずれの場合も、封止リングは、これらの隆起の頂点と協働して、2つのチューブ間に閉鎖封止空間を配置できる。
【背景技術】
【0003】
特許文献1は、締め付け突起を備える外側締め付けベルトと、外側ベルトの内側に配置された内側ベルトと、内側ベルトの凹部に配置された封止リングとを備える装置を開示する。外側ベルトは、締め付けを確実にし、封止リングおよび内側ベルトを組み合わせることで、封止を確実にする。内側ベルトの端は、タブ(tab)およびノッチ(notch)構成を有し、タブは、外側ベルトの締め付け時に、ノッチに貫入して、封止接触を確実にする。このシステムは、比較的複雑である。なぜなら、外側ベルト、内側ベルト、および封止リングを構成する3つの異なる部材を取り扱いかつ組み立てる工程が想定されており、これらの部材は、完璧に位置合わせされ、互いに押し込まれる(wedge)必要がある。
【0004】
特許文献2は、代替の1つにおいて、ベルトと、このベルトに締め付けられた突起と、ベルトの内側に配置された封止リングとを備える装置を提案する。このシステムは、封止リングを含むベルトの他には締め付けベルトを必要としないので、より単純である。しかし、ベルトの内側の封止リングの押し込みは、ランダムであり、ベルトの端間の接触部の封止は、十分でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2011/210546号明細書
【文献】米国特許出願公開第2003/015872号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、上記欠点を実質的に有さない装置、特に使用が容易であり、信頼性のある装置を提案することによって、従来技術の上記状態を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本開示は、第一端および第二端を有するベルトと、ベルトの環状凹部内に配置された封止リングと、それぞれベルトの第一端および第二端の近傍においてベルトによって支持された第一締め付け突起および第二締め付け突起とを備える締め付け装置であって、突起は、ベルトを締め付けるために互いに対して変位可能であり、凹部は、封止リングのエッジに対する押し込み段差を形成するエッジを有し、封止リングは、段差間の凹部の全幅を実質的に占め、ベルトの第一端および第二端は、第二端に形成された2つの横タブを備える封止構成を有し、これらの横タブのそれぞれは、各横タブが押し込み段差のうちの1つの一部を備えるように、ベルトの一方のエッジから凹部へ、ベルト上の幅方向に伸びる、装置に関する。
【0008】
このように、封止リングは、ベルトの環状凹部に受け取られ、封止リングがこの凹部の全幅を実質的に占めている限り、封止リングは、この凹部を規定する段差間に押し込まれる。この押し込みは、ベルトの第一端と第二端との接合部において有効なままとなる。なぜなら、封止ベルトは、横タブのよって構成される段差の部分によって横方向にその状態に維持されるからである。封止構成は、ベルトの端において、ベルトと一体的に、直接的に達成されるので、ベルトの締め付け状態におけるこれらの端間の封止接触を確実にする。しかし、ベルト内に配置された封止リングは、ほとんど外部に露出されず、そのエッジは、その段差部分において封止リングを受け取る横タブによって保護される。
【0009】
封止構成は、特に、オス/メス構成タイプであり、ベルトの第一端は、ベルトの締め付け状態において第二端の横タブ間に貫入するオス構成を与える。このオス構成と横タブの内側エッジ(すなわち、これらのタブの、ベルトの環状エッジとは反対のエッジ)との間の協働は、封止性を促進する。
【0010】
封止構成は、ベルトの第一端に形成された中心タブと、ベルトの第二端に形成され、横タブによって規定された中心ノッチとを備えてもよい。中心タブは、ベルトの締め付け状態において、中心ノッチに貫入してもよい。
【0011】
凹部は、押し込み段差の一方から他方へ伸びる平坦な底部を有してもよい。
【0012】
締め付け突起は、ベルト上に付加された細片部に形成されてもよい。
【0013】
締め付け突起が形成された細片部は、凹部の幅以下である幅を有してもよく、凹部の半径方向外側の面に締め付けられてもよい。
【0014】
第一突起が形成された細片部は、中心タブ上に位置する少なくとも1つの第一締め付けエリアにおいて、ベルトに締め付けられてもよい。
【0015】
第一突起が形成された細片部は、少なくとも第二締め付けエリアにおいて、ベルトにさらに締め付けられていてもよく、第二締め付けエリアは、ベルトの締め付け状態において、ベルトの周に沿って、ベルトの第一端から第二端へ向かう方向に、横タブの端を越えて伸びてもよい。
【0016】
凹部の幅は、ベルトの幅の少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、またはさらに少なくとも80%であってもよい。
【0017】
中心タブの最小幅は、ベルトの幅の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、またはさらに少なくとも70%であってもよい。
【0018】
横タブの長さは、ベルトの幅の50~150%、必要に応じて70~120%の範囲にあってもよい。
【0019】
装置は、ベルト幅の2つの異なる部分においてベルトの第一端の近傍に配置された2つの第一締め付け突起と、ベルト幅の2つの異なる部分においてベルトの第二端の近傍に配置された2つの締め付け突起とを備えてもよい。
【0020】
2つの第一突起および/または2つの第二突起が配置されたベルト幅の異なる部分は、ベルトの周方向のスリットによって分離されてもよい。
【0021】
前記装置は、2つの突起に保持された締め付け軸を備えてもよい。
【0022】
本開示に係る装置において、封止リングは、凹部体積を占め、そしてこの凹部を規定する段差によって、そのエッジにおいて押し込まれる。締め付け突起は、ベルトに直接に一体化され得、またはベルトに付加された細片部によって形成され得る。このように、ベルトは、締め付け突起よりも簡単に変形する材料であり得る。特に、締め付け突起およびベルトは、金属細片であり得る。突起を与え得る金属細片は、例えば、より大きな厚さを有することによって、その機械的な抵抗性を大きくし得る。これは、用途によって、特に、締め付け突起が締め付け時に傾斜に対抗するような補強部を有するような形状にされる場合に、一方でベルトはより厚い細片によって与えられ得る。補強部は、ベルト幅の大きな部分を占め得るので、封止リングが大きな幅を有することを可能にする。これは、ある構成において好適であり、特に、封止リングと、互いに接続されて、締め付け装置によって締め付けられた2つのチューブの隆起との接触によって封止が確実にされる場合に好適である。この装置が2つの第一締め付け突起および2つの第二締め付け突起を備える場合、異なる突起に印加される締め付け力は、周方向のスリットの存在により分離され得る。
【0023】
非限定的な例によって表された実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって、本開示は、理解され、その利点がより明らかとなる。説明において添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明に係る締め付け装置の斜視図である。
図2図2は、図1のII-II面での断面図である。
図3図3は、図1の矢印IIIにしたがって全体を見たときの、封止リングを省略した図1の装置の斜視図である。
図4図4は、2つのチューブ上で締め付けた図1~3の装置の斜視図である。
図5図5は、図4のV-V面での断面図である。
図6図6は、別の実施形態を示す、図1と同様の図である。
図7図7は、図6のVII-VII面に沿う断面図である。
図8図8は、締め付け突起を省略した装置を示す、図6と同様の図である。
図9図9は、図6の矢印IXにしたがって全体を見たときの、締め付けリングを省略した装置の内側を示す斜視図である。
図10図10は、2つのチューブの端で締め付けられた装置を示す、ベルトの軸に平行で、ベルトの直径を含む面での断面図である。
図11図11は、別の実施形態に係るベルトの半径方向外側の面の、その端の領域おける一部を示す平面図である。
図12図12は、図11のXII-XII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示す締め付け装置は、第一端10Aおよび第二端10Bを有するベルト10を備える。このベルトは、それぞれ第一端10Aおよび第二端10Bの近傍に位置する第一締め付け突起12Aおよび第二締め付け突起12Bを支持する。この例において、締め付け突起12Aおよび12Bは、ベルト上に付加された細片部14Aおよび14Bに形成される。この例において、各突起は、それを支持する細片部と一体化される。細片部14Aおよび14Bは、それぞれの平板部15A、15Bと持ち上げ部とを有する。平板部は、ベルト10の半径方向外側の面に対向して配置され、実質的にこのベルトの周方向にしたがって方向付けられる。持ち上げ部は、それぞれの突起12A、12Bを形成する。
【0026】
この例において、細片部14Aおよび14Bは、それぞれ2つの締め付けエリア16A、18Aおよび16B、18Bによってベルトに締め付けられる。締め付けエリア16A、18Aおよび16B、18Bのうちの少なくとも1つ(例えば、第二締め付けエリア18A、18B)は、ボスによって形成される。第一締め付けエリア16Aおよび16Bもまた、ボスによって形成され得、溶接によってなされ得る。また、締め付けエリアは、別の方法で形成され得る。例えば、クリンチング(clinching)によって形成され得るか、またはベルトの開口部と協働するセンタリングスタッド(centering stud)の形態で形成され得る。本例において、各細片部の2つの締め付けエリアのそれぞれは、その細片部の平板に作成され、ベルトへ向かって突出するボスによって形成される。逆の配置が提供され得る。すなわち、ボスがベルトに設けられ、細片部の平板に向かって突出する。または混合構成が提供され得る。すなわち、一方のボスが細片部の平板に設けられ、他方がベルトに設けられる。
【0027】
しかし、本開示の範囲を逸脱せずに、突起を支持する細片部の、他の締め付けモードが提供され得る。また、突起は、ベルトと一体的に形成され得る。
【0028】
いずれにせよ、突起は、ベルトを締め付けるために互いに対して変位可能であることが理解される。本例において、この締め付けは、突起と協働する締め付け軸(stem)によって突起を互いに接近させることによって操作される。この例において、この締め付け軸は、ネジ20の軸20Aによって形成される。ネジ20のネジ頭20B(または、軸と協働するナット)は、一方の突起の背後に保持され、軸20Aと協働するナット20Cは、他方の突起の背後に保持される。この例において、軸は、突起の貫通穴を横断する。
【0029】
図2および3からより良く分かるように、ベルトは、半径方向内側の面に形成された環状凹部11を有する。
【0030】
一般と同様に、「半径方向内側」は、素子が、ベルトの軸Aの方向に向かって、この軸から遠く離れる半径方向外側の素子に対して反対となるように配置されることを意味する。また、一般と同様に、前方向は、締め付け時に突起が変位する方向であると考える。このように、この例において、締め付けを達成するように、突起が互いに接近するようにされる限りにおいて、突起の前面は、他方の突起に向けられる面であり、後面は、その反対面である。
【0031】
凹部の環状エッジは、それぞれ押し込み段差11Aおよび11Bを形成する。封止リング22(図3では、図面を分かりやすくするために省略)は、凹部11内に配置される。この封止リングは、それ自体の周りに巻かれた平坦な細片から形成される。リングは、閉リングまたは開リングであり得る。
【0032】
この例において、凹部11は、一方の押し込み段差(11Aおよび11B)から他方の押し込み段差(11Aおよび11B)へ伸びる平坦な底部11’を有する。凹部の深さPは、封止リング22の厚みEに実質的に一致する。凹部11の深さPは、凹部の両側で、凹部11の円柱方向の底部と、凹部11のエッジにおけるベルト10の半径方向内側の表面に正接する円柱方向の表面との間に規定される。したがって、封止リングは、凹部に押し込まれることによって、凹部に受け取られる。図2から分かるように、半径方向の平面に位置する2つの環状リム間で測定される、封止リングの幅Lは、凹部の幅LRに一致する。より正確には、幅LRは、幅Lに等しいか、または幅Lよりもほんのわずかに大きい。このように、封止リングは、凹部にその厚み方向に収容されるだけでなく、2つの段差11Aおよび11B間に横方向に押し込まれる。図2から分かるように、封止リング22の環状エッジ(特に、その外側エッジ)は、押し込み段差11Aおよび11Bと凹部11の底部11Cとの間への移動に適合するためにわずかに面取りまたは鈍化され得る。
【0033】
封止リングは、特にグラファイトタイプまたはグラファイト系材料で形成されるが、マイカ系材料からなるか、またはセラミック繊維またはガラス繊維から製造されるか、もしくは一般に、特に圧縮または変形によって封止を確実にするのに適した複合材料で製造され得る。
【0034】
ベルト10の第一端10Aは、オス封止構成(この例において、中心タブ24)であり、その第二端10Bは、メス封止構成を形成する中心ノッチ26である。中心タブ24がベルトの締め付け時に中心ノッチ26に貫入することが理解される。この中心ノッチ26は、横タブ28Aおよび28Bの間に規定される。タブ28Aは、ベルトの幅方向に(すなわち、ベルトの軸Aに平行に)、このベルトの環状エッジ10’Aから凹部11へ伸びる。
【0035】
同様に、タブ28Bは、ベルトの反対側の環状エッジ10’Bから凹部11に伸びる。このように、横タブ28Aおよび28Bのそれぞれは、押し込み段差のうちの1つの一部を備える。このように、図2および3において、押し込み段差11Aがタブ28Aにおいて伸びる(この例においては、このタブの全長にわたって伸びる)こと、そして同様に、押し込み段差11Bがタブ28Bにおいてこのタブの長さにわたって伸びることが分かる。
【0036】
したがって、特に図2から分かるように、封止リング22はまた、タブ28Aおよび28Bの領域において横方向に押し込まれる。したがって、この封止リングは、そのエッジにおいて保護されるとともに、その半径方向外側の面においても中心タブ24によって保護される。
【0037】
ベルトの締め付け時に、その2つの端10Aおよび10Bは、互いにより接近し、それにより封止リング22を圧縮する。この封止リングを横タブの領域に押し込むことは、この圧縮に寄与するとともに、その均一性にも寄与し、同時に、特に漏洩のおそれのあるこの領域での封止リングの使用または損傷を回避する。
【0038】
上記のように、封止リングは、閉じた環状体であり得る。封止リングが開いた環状体の形態である場合、この環状体の端間の分離線は、ベルトの端から距離を置いて配置され得る。
【0039】
図4は、締め付け状態の締め付け装置を示し、この装置の内側で2つのチューブ1および2が接続されていることを示す。この締め付け状態において、横タブ28Aおよび28Bの自由端において、封止リングの長さの非常に小さい部分は、横方向に露出されていることが理解され得る。
【0040】
図5からより良く分かるように、チューブ1および2は、この例において、それぞれ環状隆起を有する(チューブ2は、環状隆起2Aを有し、チューブ1は、環状隆起1Aを有する)。この例において、チューブ2は、チューブ1に圧嵌入される自由端2Bを有する。この圧嵌入状態において、2つの環状隆起1Aおよび2Aの上に締め付け装置(より詳細には、封止リング22)が乗る。したがって、チューブの隆起1Aおよび2Aと封止リング22との間にこのように形成された包囲部(enclosure)ENは、外部に対して閉じられる。
【0041】
本例において、凹部の幅LRは、この例において、ベルトの幅LCの少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、またはさらには少なくとも80%である。ベルトの幅LCは、ベルトの一方の環状エッジから次の環状エッジを測定したものである。
【0042】
また、上記の図を参照すると、本例において、締め付け突起が形成される細片部14Aおよび14Bの幅LPは、凹部11の幅LRよりも若干小さい。これらの細片部14Aおよび14B(より詳細には、それらの平板15Aおよび15B)は、凹部11の半径方向外側の面に締め付けられることが理解され得る。この例において、第一突起12Aが形成される細片部14Aは、中心タブ24の領域においてベルト10に締め付けられる。この細片部14Aの第一締め付けエリア16Aは、中心タブ24上に位置することが理解され得る。この例において、平板15Aの幅LPは、この中心タブ24の幅Llとほぼ同じである。この中心タブへの締め付けによって、締め付け時に、このタブが封止リングに半径方向に支持されることが促進され得る。しかし、第二締め付けエリア18Aは、中心タブ24Aの後方に位置することが理解され得る。より詳細には、図4に示すカラー(collar)の締め付け状態において、横タブ28Aおよび28Bの端は、この締め付けエリア18Aの前方に位置する。言い換えると、第二締め付けエリア18Aは、締め付け状態において、ベルト10の周に沿って、その第一端10Aからその第二端10Bの方へ、これらの2つの端の間の分離線を通過せずに、向かう方向において、横タブ28Aおよび28Bの端の後方に見出される。
【0043】
上記の実施形態において、装置は、1つの第一突起12Aと1つの第二突起12とを含む。
【0044】
以下、図6およびそれ以降の図は、装置が2つの第一突起と2つの第二突起とを備える別の例を示す。これらの図において、前記の図から変更のない要素は、同じ参照符号によって示す。図から分かるように、装置は、ベルト上でその第一端10Aに幅方向に並んで配置された2つの第一突起12Aおよび12’Aと、ベルトの第二端10Bに並んで配置された2つの第二突起12Bおよび12’Bとを備える。この例において、突起は、第一実施形態と同様に、すなわち、細片部に形成される。細片部は、その平板によってベルトに締め付けられる。例えば、図6では、細片部14Aに第一突起12Aが形成され、その細片部の平板15Aがベルトの半径方向外側の面に締め付けられ、そして細片部14’Aに他方の突起12’Aが形成され、その細片部の平板15’Aがベルトに締め付けられることが分かる。2つの第一突起は、同一であり、2つの第二突起も同様である。
【0045】
平板15Aおよび15’Aは、幅方向に並んで配置され、それぞれの幅は、ベルトの幅LCの半分に実質的に等しい。したがって、2つの第一突起は、ベルト幅の2つの異なる部分に配置され、2つの第二突起は、ベルト幅の2つの異なる部分に配置される。
【0046】
特に図8を参照すると、それぞれの異なる部分が周方向のスリットによって分離されることが分かる。したがって、ベルトの第一端10Aは、この第一端の自由端から後方へ伸びる周方向のスリット30Aを有し、スリット30Aの長さは、第一突起12Aおよび12’Aを支持する細片部14Aおよび14’Aの平板15Aおよび15’Aの長さに実質的に等しい。このように、周方向のスリット30Aは、中心タブ24を2つのタブ部分24Aおよび24Bに分割する。同様に、ベルトの第二端10Bは、その自由端から伸びる周方向のスリット30Bを有し、スリット30Bの長さは、第二突起12Bおよび12’Bが形成される細片部14Bおよび14’Bの平板15Bおよび15’Bの長さに実質的に等しい。
【0047】
周方向のスリット30Aおよび30Bは、ベルト幅の中央に向かって配置される。したがって、周方向のスリット30Bは、中心ノッチ26の底部から始まって、上記の後方へ伸びる。スリット30Aおよび30Bの長さは、実質的に等しくできる。しかし、本例において、スリット30Aは、スリット30Bよりも長い。この例において、スリットの長さは、突起が形成される細片部の平板の後部をスリットが越えないか、またはほとんど越えないような長さである。
【0048】
突起30Aおよび30Bが存在することを除けば、ベルトは、上記の図の実施形態のベルトと同様である。特に、上記凹部11を有する。図7において、封止リング22が段差11Aおよび11Bによって横方向に押し付けられることによってこの凹部に受け取られることが分かる。より見やすい図は、図9である。
【0049】
図10は、図6の締め付け装置が2つのチューブ1’および2’の端に配置され、これらのチューブを接続する様子を示す。この例において、これらのチューブは、平滑であり、それらの端は、自由端1’Aおよび2’Aであり、チューブが端と端を向かい合わせて(接合して、またはせずに)配置されることにより、互いに対向することが分かる。この例において、図面が明瞭となるように、これらの端は、接合していないように表される。封止リング22がこれらの2つの自由端間の分離線を覆っていることが分かる。また、第一突起12Aがチューブ1’の半径方向の上方に位置し、第一突起12’Aがチューブ2’の半径方向の上方に位置することが分かる。同様に、第二突起12Bおよび12B’は、それぞれチューブ1’およびチューブ2’の半径方向の上方に位置し、突起12Aおよび12Bは、突起12’Aおよび12’Bと同様に、周方向に並ぶ。周方向のスリット30Aおよび30Bが存在することによって、突起12Aおよび12Bが位置するベルトの部分と、突起12’Aおよび12’Bが位置するベルトの部分とは、締め付け時に動作が若干異なり得る。これにより、2つのチューブの直径が非常にわずかにしか異ならなくとも、または各対の突起の変位が厳密には同期しなくとも、ベルトを2つのチューブのそれぞれに完璧に締め付けることが確実となる。
【0050】
上記例において、中心タブ24は、その全長にわたって実質的に一定の幅を有する。実際に、このタブの横エッジは、ベルトの周方向に平行である。ベルトの周方向は、このベルトが形成される細片長の方向に一致する。同様に、横タブ28Aおよび28Bもまた、この方向に平行であり、特に中心タブがその間に収容されるそれらの内側エッジがその方向に平行である。
【0051】
図11および12は、別の例を示す。これらの図において、前記の図から変更のない要素は、同じ参照符号によって示す。したがって、ベルト10は、上記図と同様に、環状凹部11を有する。ベルトの第一端10Aに配置された中心タブ124は、その自由端に向かって次第に小さくなる幅を有し、最小幅は、Lmである。したがって、上記から分かるように、この中心タブは、実質的に台形形態を規定する。中心ノッチ126は、中心タブ124の形状に適合する形状を有し、したがって、その底部に達するまで小さくなる幅を有する。したがって、横タブ128Aおよび128Bは、その外側エッジBEがベルトの周方向に平行となるが、内側エッジBIがベルトの周方向に対して傾く。なお、特に図12の断面において、凹部11は、これらの横タブにおいて、これらの横タブ128Aおよび128Bのそれぞれが段差11Aおよび11Bの一方の一部を含むように、部分的に伸びる。
【0052】
また、中心タブ24の幅Llは、このタブのエッジが互いに平行であるとした場合の最小幅である。したがって、一般に、タブ24の最小幅Llまたはタブ124の最小幅Lmは、ベルトの幅LCの少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、さらには少なくとも70%であり得る。
【0053】
特に図3および11から分かるように、ベルトの周方向にしたがって、中心ノッチ26または126の底部からこれらのタブの自由端までを測定した、横タブ28Aおよび28Bまたは128Aおよび128Bの長さは、ベルトの幅LCの50~150%、必要に応じて70~120%の範囲にある。一方で、これにより、横タブの内側エッジとオス封止構成(この例において、中心タブ24または124)の嵌め合わせエッジとの間に良好な接触面を確実にし、ベルトの仕様に応じて、良好な封止能力を得ることを可能にする。他方で、このように横タブは、封止リングのエッジを完全に保護するのに十分な長さを有する。中心タブの長さは、実質的に横タブの長さに等しい。
図1
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12