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特許7483370水耕パネル洗浄装置および水耕パネル洗浄装置用のブラシ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】水耕パネル洗浄装置および水耕パネル洗浄装置用のブラシ
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/02 20060101AFI20240508BHJP
   B08B 1/12 20240101ALI20240508BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
A01G31/02
B08B1/12
B08B3/02 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019231223
(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公開番号】P2021097633
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000178826
【氏名又は名称】日本山村硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義基
(72)【発明者】
【氏名】小山 竜平
(72)【発明者】
【氏名】藤井 翔太
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-150218(JP,A)
【文献】実開昭54-166410(JP,U)
【文献】実開平01-032047(JP,U)
【文献】実開昭63-038760(JP,U)
【文献】実開平02-137858(JP,U)
【文献】特開平02-135030(JP,A)
【文献】特開2015-089546(JP,A)
【文献】特開2008-194627(JP,A)
【文献】特開2008-155127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/02
B08B 1/20
B08B 3/02
B08B 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水耕パネルを洗浄するための水耕パネル洗浄装置であって、複数の洗浄機構と、前記水耕パネルを搬送する搬送経路とを有し、
前記複数の洗浄機構は、
前記搬送経路沿いに配置される少なくとも1つのブラシと、前記ブラシを回転させるブラシ駆動機構とを含む第1の洗浄機構と、
前記ブラシおよび前記ブラシ駆動機構を含まない他の洗浄機構と、
からなり、
前記他の洗浄機構は、前記搬送路沿いに配置される板状の洗浄体を含む洗浄機構を含んでいる、水耕パネル洗浄装置。
【請求項2】
前記水耕パネルは、全体が発泡樹脂製である請求項1に記載の水耕パネル洗浄装置。
【請求項3】
前記第1の洗浄機構を構成する前記ブラシは毛を有し、前記水耕パネルの定植面が通過する経路上に前記毛の先端部が位置するように配置される請求項1に記載の水耕パネル洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄体は、水耕パネルの非定植面が通過する経路に表面が沿うように配置される請求項1に記載の水耕パネル洗浄装置。
【請求項5】
前記板状の洗浄体を含む洗浄機構は、前記洗浄体を揺動させる往復動機構をさらに含む、請求項1に記載の水耕パネル洗浄装置。
【請求項6】
前記他の洗浄機構は、前記搬送路沿いに配置される水の噴射ノズルおよび前記噴射ノズルへ水を送るポンプを含む洗浄機構をさらに含んでおり、前記噴射ノズルは、水耕パネルの定植面が通過する経路に噴射孔が向くように配置される請求項1に記載の水耕パネル洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄機構、前記他の洗浄機構、および搬送経路を内部に有する筐体をさらに有しており、前記筐体は、前記搬送経路へ洗浄対象の水耕パネルを搬入するための搬入口と、前記搬送経路より洗浄済の水耕パネルを搬出させる搬出口とを有する請求項1から6のいずれかに記載の水耕パネル洗浄装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の水耕パネルを洗浄するための水耕パネル洗浄装置に用いられるブラシであって、前記ブラシは毛を有し、前記毛の太さが0.05mm以上、0.15mm以下である水耕パネル洗浄装置用のブラシ。
【請求項9】
前記毛は、円筒状の軸体の周囲に放射状に設けられ、ブラシ外径が60mm以下となるように前記毛の長さが設定される請求項8に記載の水耕パネル洗浄装置用のブラシ。
【請求項10】
前記毛は、円筒状の軸体の周囲に放射状に設けられ、前記毛の長さが前記軸体の径の0.5倍以上、1.5倍以下に設定される請求項8に記載の水耕パネル洗浄装置用のブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水耕栽培に用いられる水耕パネルを洗浄するための水耕パネル洗浄装置と、水耕パネル洗浄装置に用いられるブラシとに関する。
【背景技術】
【0002】
栽培室内で野菜等の植物を栽培する植物工場では、成長に必要な養分を溶かした養液により植物を育成する水耕栽培が行われている。水耕栽培には、図14に示すような、発泡スチロール製の水耕パネル9が広く用いられている。水耕パネル9は、扁平な矩形状の板状体であり、面積の広い表裏両面を植物が植えられる定植面91と呼び、外周の端面を非定植面92と呼んでいる。定植面91には、植物の間隔をあけて保持するための複数の定植孔90が貫通して設けられている。
【0003】
水耕パネルを繰り返し使用するには、使用済の水耕パネルを洗浄することにより、付着した藻、菌などの汚れを落とし、食い込んだ根の残渣を取り除くことが必要となる。従来、この種の水耕パネル洗浄装置として、水耕パネルの表裏両面および両側端面に向けて高圧水を吹き付けて水耕パネルの定植面および非定植面を洗浄するタイプのもの(例えば、特許文献1参照)や、水耕パネルの表裏両面に向けて洗浄液を噴射しつつ水耕パネルの定植面をブラシで洗浄するタイプのもの(例えば、特許文献2参照)など、種々のタイプのものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-223136号公報
【文献】実開昭63-38759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、いずれの水耕パネル洗浄装置も、洗浄性能に差異があるため、定植面と非定植面との両方について、ぬめりのある藻、菌類などの汚れを確実に落とすのが難しく、また、発泡樹脂製の水耕パネルに見られる根の食い込みなどの根の残渣を取り除くことも容易でなく、十分な洗浄効果が得られない、という問題があった。
【0006】
また、水耕パネル洗浄装置のうち、ブラシを用いた水耕パネル洗浄装置は、洗浄能力に優れているが、水耕パネルをブラシで傷付けるおそれがあり、水耕パネルの寿命に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0007】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、定植面および非定植面の両方について、十分な洗浄効果を得ることができる水耕パネル洗浄装置を提供することを目的とする。
【0008】
この発明が他に目的とするところは、水耕パネルを傷付けることなく汚れを落とし、根の残渣を確実に取り除くことができる水耕パネル洗浄装置用のブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による水耕パネル洗浄装置は、水耕パネルを洗浄するためのものであって、複数の洗浄機構と、水耕パネルを搬送する搬送経路とを有する。複数の洗浄機構のうちのいずれかは、搬送経路沿いに配置される少なくとも1つのブラシと、ブラシを回転させるブラシ駆動機構とを含む洗浄機構よりなる。
【0010】
この発明による水耕パネル洗浄装置に洗浄対象の水耕パネルが搬入されると、水耕パネルは搬送経路を搬送されつつ複数の洗浄機構によりぬめりのある藻や菌類の汚れが落とされ、根の食い込みなどの根の残渣が取り除かれる。この場合、複数の洗浄機構のうちのいずれかは、定植面の洗浄に適するブラシを用いた洗浄機構であるので、この洗浄機構に非定植面の洗浄に適する洗浄機構を組み合わせることで、水耕パネルの定植面および非定植面に付着した汚れを確実に落とし、水耕パネルに食い込んだ根の残渣を確実に取り除くことが可能であり、定植面と非定植面の両方を十分に洗浄できる。この場合、水耕パネルの洗浄は、通過中であってもよく、また、留まった状態であってもよい。なお、水耕パネルの搬送は、動力による自動搬送、手操作による手動搬送のいずれであってもよい。
【0011】
水耕パネルは、典型的には発泡樹脂製であるが、これに限らず、発泡樹脂以外のものであってもよい。
【0012】
好ましい実施形態においては、複数の洗浄機構は、ブラシおよびブラシ駆動機構を含む第1の洗浄機構と、ブラシおよびブラシ駆動機構を含まない他の洗浄機構とからなるものである。第1の洗浄機構を構成するブラシは、水耕パネルの定植面が通過する経路上に毛の先端部が位置するように配置される。
【0013】
ブラシを用いた洗浄機構は、水耕パネルの定植面の洗浄に適し、ブラシを水耕パネルの定植面が通過する経路上に毛の先端部が位置するように配置することにより水耕パネルの定植面が十分に洗浄される。
【0014】
好ましい実施形態においては、他の洗浄機構は、搬送路沿いに配置される板状の洗浄体を含む洗浄機構を含んでいる。洗浄体は、水耕パネルの非定植面が通過する経路に表面が沿うように配置される。
【0015】
板状の洗浄体を用いた洗浄機構は、水耕パネルの非定植面の洗浄に適し、洗浄体を水耕パネルの非定植面が通過する経路に表面が沿うように配置することにより水耕パネルの非定植面が十分に洗浄される。なお、洗浄体は、往復動機構により往復動させるのが望ましいが、これに限定されるものではなく、動かさずに固定したものであってもよい。
【0016】
他の好ましい実施形態においては、搬送路沿いに配置される水の噴射ノズルおよび噴射ノズルへ水を送るポンプを含む洗浄機構をさらに含んでいる。噴射ノズルは、水耕パネルの定植面が通過する経路に噴射孔が向くように配置される。
【0017】
高圧水の噴射ノズルを用いた洗浄機構は、水耕パネルの定植面のみならず、定植孔の洗浄に適しており、噴射ノズルを水耕パネルの定植面が通過する経路に噴射孔が向くように配置することにより水耕パネルの定植孔の内面が十分に洗浄される。なお、噴射ノズルより噴射する水は、加温された温水が望ましいが、常温の水であってもよい。また、水は、高圧で噴射される高圧水が望ましいが、これに限定されるものではない。
【0018】
水耕パネル洗浄装置は、好ましくは、洗浄機構および搬送経路を内部に有する筐体をさらに有している。筐体は、搬送経路へ洗浄対象の水耕パネルを搬入するための搬入口と、搬送経路より洗浄済の水耕パネルを搬出させる搬出口とを有する。
【0019】
この発明によるブラシは、好ましくは、毛の太さが0.05mm以上、0.15mm以下である。
【0020】
水耕パネルに作用する毛の物理的な力は、毛の太さに応じて強くなり、毛が太いと、汚れや根の残渣を除去する能力が高められるが、その一方で水耕パネルを傷付け易くなることから、毛の太さを上記の最適な範囲に設定する。ここで、「毛の太さ」とは、毛の断面形状が真円であれば、真円の直径をいい、真円でない円であれば、円の最大径をいう。
【0021】
この発明のブラシによると、水耕パネルを傷付けることなく、水耕パネルに付着した汚れを落とし、水耕パネルに食い込んだ根の残渣を取り除くことができる。
【0022】
好ましい実施態様においては、毛は、円筒状の軸体の周囲に放射状に設けられたものであり、ブラシ外径が60mm以下となるように毛の長さが設定される。
【0023】
また、好ましい実施態様においては、毛は、円筒状の軸体の周囲に放射状に設けられたものであり、毛の長さが軸体の径の0.5倍以上、1.5倍以下に設定される。
【発明の効果】
【0024】
この発明の水耕パネル洗浄装置によれば、定植面および非定植面の両方について、十分な洗浄効果を得ることができる。
また、この発明の水耕パネル洗浄装置用のブラシによれば、水耕パネルを傷付けることなく汚れを落とし、根の残渣を確実に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】水耕パネル洗浄装置の外観を示す斜視図である。
図2】水耕パネル洗浄装置の内部機構の一例を示す説明図である。
図3】洗浄体の往復動機構の原理説明図である。
図4】ブラシの第1の実施形態を示す一部を断面した正面図である。
図5】ブラシの第2の実施形態を示す正面図である。
図6】ブラシの第3の実施形態を示す一部を断面した正面図である。
図7】水耕パネル洗浄装置の内部機構の他の例を示す説明図である。
図8図4に示すブラシを用いた定植面の洗浄機構の斜視図である。
図9図4に示すブラシを用いた非定植面の洗浄機構の斜視図である。
図10図4および図5に示すブラシを用いた定植面の洗浄機構の斜視図である。
図11図5に示すブラシを用いた非定植面の洗浄機構の斜視図である。
図12】ブラシの毛の太さと水耕パネルの洗浄効果との関係を説明するための実験データである。
図13】ブラシによる水耕パネルの洗浄効果を説明するための実験データである。
図14】水耕パネルの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(1)水耕パネル洗浄装置の構成
図1および図2は、水耕パネル洗浄装置5の一実施形態を示す。この実施形態の水耕パネル洗浄装置5は、第1~第3の各洗浄機構11,12,13と、水耕パネル9を水平な搬送経路70に沿って搬送する搬送機構7とを有している。この装置の筐体50は、搬送経路70へ洗浄対象の水耕パネル9を搬入するための搬入口51と、搬送経路70より洗浄済の水耕パネル9を搬出させる搬出口52とを有する。なお、図示していないが、搬出口52の外側には、洗浄済の水耕パネル9を回収するトレイが配備される。
【0027】
筐体50の内部に、図中、Xで示す上部空間に、第1~第3の各洗浄機構11,12,13と搬送機構7と洗浄液噴射機構8とが組み込まれる。第1の洗浄機構11は、ブラシ1A,10Aを用いた定植面の洗浄機構6である。第2の洗浄機構12は、板状の洗浄体102を用いた非定植面の洗浄機構100である。第3の洗浄機構13は、高圧水の噴射ノズル112,113を用いた定植面等の洗浄機構110であり、水耕パネル9の定植面91のみならず、定植孔90の洗浄に適している。
【0028】
Yで示す下部空間には、第1の洗浄機構11のブラシ1A,10Aを回転駆動するブラシ駆動機構60,第2の洗浄機構12の洗浄体102を往復駆動する往復動機構101、第3の洗浄機構の噴射ノズル112,113に高圧水を送るポンプ111、搬送機構7を駆動する駆動機構74の他、構成各部の動作を制御する制御装置、構成各部や制御装置に電源を供給する電源装置などが組み込まれている。
【0029】
第1の洗浄機構11は、水耕パネル9の表裏両面(定植面91)を第1ブラシ1Aおよび第2ブラシ10Aにより洗浄するもので、第1ブラシ1A、第2ブラシ10A,およびブラシ駆動機構60とで定植面の洗浄機構6を構成する。第1ブラシ1Aおよび第2ブラシ10Aは搬送経路70に沿って上側および下側の異なる位置にそれぞれ配置される。第1ブラシ1Aは搬送経路70を挟んで搬送ローラー73と上下に対向している。第2ブラシ10Aは2個の搬送ローラー73,73の中間に位置している。
【0030】
第1ブラシ1Aは、水耕パネル9の表面の定植面91が通過する経路上に毛2の先端部が位置するように配置されるもので、水耕パネル9の表面側の定植面91を洗浄する。
第2ブラシ10Aは、水耕パネル9の裏面の定植面91が通過する経路上に毛2の先端部が位置するように配置されるもので、水耕パネル9の裏面側の定植面91を清浄する。
第1ブラシ1Aおよび第2ブラシ10Aは、図4に示す第1の実施形態の円筒状のブラシであり、ブラシ外径が異なっている。なお、第1の実施形態のブラシ1A,10Aの詳細は後述する。
【0031】
第2の洗浄機構12は、水耕パネル9の両側端面(非定植面92)を左右一対の板状の洗浄体102,102により洗浄するもので、左右一対の洗浄体102と往復動機構101とで非定植面の洗浄機構100を構成する。各洗浄体102は、この実施例では、ポリエステルよりなる不織布とポリウレタンフォームよりなるスポンジとを貼り合わせたものを用いているが、一定の厚み(例えば50~100mm)を有する帯状体ないしは直方体であって、表面が柔軟なものであれば、これに限定されるものではない。
【0032】
この実施例の往復動機構101は、洗浄体102を揺動させるもので、これにより洗浄体102が水耕パネル9の側端面を擦るようにして洗浄する。
図3は往復動機構101の一例を示しており、図示しないモータによる回転運動を揺動運動に変えるカム板103とクランク104,105とを備えている。なお、図中、106~108は2つの部材を回動自由に連結する枢軸である。
【0033】
カム板103が回転すると、クランク104,105が回転運動を揺動運動に変えて洗浄体102に伝え、これにより洗浄体102が図中、一点鎖線で示すように揺動する。なお、往復動機構101は、洗浄体102を揺動させる態様のものに限らず、往復直線運動させる態様のものであってもよい。また、洗浄体102は、動かさずに固定したものであってもよい。
【0034】
第3の洗浄機構13は、水耕パネル9の表裏両面および両側端面に向けて噴射ノズル112,113により温水を高圧で噴射させて水耕パネル9の定植面91、非定植面92、および定植孔90を洗浄するもので、噴射ノズル112,113とポンプ110とで定植面等の洗浄機構110を構成する。
各噴射ノズル112,113は水耕パネル9の幅に対応する長さを有する筒状体であり、上側のノズル112には下面に、下側のノズル113には上面に、それぞれ複数個の高圧水の噴射孔(図示せず)が一定間隔毎に設けられている。この実施例では、各噴射ノズル112,113を図示しない揺動フレームに支持させて揺動させているが、これに限らず、固定フレームに支持させてもよい。なお、噴射する水は、高圧水、例えば圧力が0.5~1.5MPaの高圧水が望ましいが、高圧水に限定されない。また、噴射する水は、温水に代えて、常温の水を用いることもできる。
【0035】
搬送機構7は、水耕パネル9を筐体50内に取り込んで水平な搬送経路70に沿って搬送し、筐体50外へ送り出すものであり、水耕パネル9を上下より挟んで前送りする前後2対の搬送ローラー71,72および水耕パネル9を下面より支持して前送りする2個の搬送ローラー73によって構成されている。各搬送ローラー71,72,73は、モータを駆動源とする駆動機構74により回転駆動される。なお、この実施例では、各搬送ローラー71,72,73は駆動機構74により駆動しているが、これに限らず、ハンドル操作などにより駆動して、水耕パネル9を手動で搬送させるようにしてもよい。
【0036】
水耕パネル9は、ポリスチレン(PS)とポリプロピレン(PP)の混合素材よりなる発泡樹脂を用いた金型成形品であるが、それ以外の発泡樹脂、例えば、発泡ポリスチレン(EPS)やポリスチレン(PP)などの発泡樹脂を用いた金型成形品であってもよい。さらに、水耕パネル9は、発泡樹脂の金型成形品に限らず、射出成形や真空成形による樹脂成形品であってもよい。
【0037】
(2)ブラシの構成
図4図6は、水耕パネル洗浄装置に組み込まれるブラシの実施形態を示している。図4は、第1の実施形態のブラシ1Aを示し、円筒状の軸体3の周囲に多数本の毛2が放射状に設けられたものである。この実施形態のブラシ1Aは、水耕パネル9の定植面91を洗浄するのに好適であるが、水耕パネル9の非定植面92の洗浄にも用いることができる。
【0038】
毛2は複数本ずつが軸体3の周面に植え付けられている。この実施形態のブラシ1Aでは、毛2は複数本ずつが複数行、複数列にわたって外周面の全体に均等に植設されているが、これに限らず、螺旋を巻くように外周面の全体にわたって植設してもよい。
軸体3の両端には回転軸30が連結される。回転軸30はブラシ駆動機構60により連繋され、ブラシ駆動機構60の駆動によってブラシ1Aが図中、矢印で示す方向へ回転する。ブラシ駆動機構60はモータを駆動源とし、歯車や伝動ベルトなどの動力伝達機構を含む。
【0039】
毛2は、柔軟で可撓性と弾性とを有するもので、吸水性が低く、耐熱性に優れた材質のものが望ましい。例えば、ナイロン66のような化学繊維が用いられるが、これに限られず、ナイロン66以外の化学繊維であってもよく、また、化学繊維以外に獣毛や植物繊維を用いることもできる。
【0040】
毛2は、長さ方向と直交する方向の断面形状がほぼ真円であり、毛2の太さ(直径)は、0.05mm以上、0.15mm以下が好適であり、さらに、この範囲内では0.1mmの太さのものが好適である。毛2の太さが0.05mmより小さいと、洗浄効果が低下し、0.15mmを越えると、水耕パネル9の表面を傷付けるおそれがある。
【0041】
全ての毛2は、同一長さであり、ブラシ1Aの外形は円筒形状をなす。水耕パネル9に食い込んだ根の残渣の除去能力を高めるために、ブラシ1Aは、ブラシ外径Rが60mm以下(40mm以下が好適)となるように毛2の長さLが設定され、さらに、毛2の長さLは、軸体3の直径rの0.5倍以上、1.5倍以下の範囲内に設定されるのが望ましい。
図2の水耕パネル洗浄装置5に組み込まれた第1ブラシ1Aはブラシ外形Rが20mmのものであり、第2ブラシ10Aはブラシ外形Rが40mmのものである。
【0042】
図5は、水耕パネル洗浄装置用のブラシの第2の実施形態を示している。この実施形態のブラシ1Bは、円盤状の本体部4の平坦な表面に同一長さの毛20が方向を揃えて設けられたものであり、水耕パネル9の定植面91の洗浄にも非定植面92の洗浄にも用いることが可能である。毛20は複数本ずつが本体部4の表面に植え付けられ、そのように植え付けられる毛20は本体部4の表面の全体にわたっている。
本体部4の背面には連結フランジ40を介して回転軸41が連結される。回転軸41は図示しないブラシ駆動機構に連繋され、ブラシ駆動機構の駆動によってブラシ1Bが図中、矢印で示す方向へ回転する。
【0043】
毛20は、第1の実施形態と同様、ナイロン66が用いられるが、その他の化学繊維、獣毛、植物繊維を用いることもできる。毛20の太さは、0.05mm以上、0.15mm以下が好適である。
【0044】
図6は、水耕パネル洗浄装置用のブラシの第3の実施形態を示している。このブラシ1Cは、円筒状の軸体3の両端に側板部42,42を備え、軸体3の周囲に同一長さの毛2が放射状に設けられるとともに、各側板部42の内側の面に同一長さの毛20が方向を揃えて設けられている。この実施形態のブラシ1Cは、軸体3の周囲の毛2を水耕パネル9の定植面91の洗浄に用い、側板部42の内側の毛20を非定植面92の洗浄に用いることができるようにしたもので、ひとつのブラシ1Cで水耕パネル9の定植面91と非定植面92とを同時に洗浄することが可能である。
【0045】
毛2,20は複数本ずつが軸体3の周面および側板部42の内側の面に植え付けられ、そのように植え付けられる毛2,20は軸体3の外周面および各側板部42の内側の面の全体にわたっている。軸体3の両端には回転軸30が連結される。回転軸30は図示しないブラシ駆動機構に連繋され、ブラシ駆動機構の駆動によってブラシ1Bが図中、矢印で示す方向へ回転する。
【0046】
毛2,20は、第1、第2の各実施形態と同様、ナイロン66が用いられているが、その他の化学繊維、獣毛、植物繊維を用いることもできる。毛2,20の太さは、0.05mm以上、0.15mm以下が好適である。
【0047】
ブラシ1Cの軸体10の部分は、水耕パネル9に食い込んだ根の残渣の除去能力を高めるために、ブラシ外径が60mm以下(40mm以下が好適)となるように毛2の長さが設定され、さらに、毛2の長さは、軸体3の直径の0.5倍以上で1.5倍以下の範囲内に設定されるのが望ましい。
【0048】
(3)水耕パネル洗浄装置の動作
上記した構成の水耕パネル洗浄装置5において、搬入口51より水耕パネル9が筐体50内に搬入されると、水耕パネル9は搬送機構7の搬送ローラー71,72,73により搬送経路70を搬送されつつ、第1、第2、第3の各洗浄機構11,12,13によって水耕パネル9の定植面91、非定植面92、および定植孔90が洗浄される。
【0049】
水耕パネル9の表裏両面の定植面91は、主として第1の洗浄機構11の第1ブラシ1Aおよび第2ブラシ10Aによって、また、水耕パネル9の両側端面の非定植面92は、主として第2の洗浄機構11の板状の洗浄体102によって、さらに、水耕パネル9の定植孔90の内面は、主として第3の洗浄機構13の高圧水によって、付着した汚れが落とされるとともに、食い込んだ根の残渣が取り除かれる。
この場合、ブラシ1A,10Aの毛2の太さは0.05mm以上、0.15mm以下であるので、水耕パネル9の定植面91を傷付けることなく、水耕パネル9に付着した汚れや水耕パネル9に食い込んだ根の残渣が取り除かれる。
【0050】
(4)水耕パネル洗浄装置の他の実施形態
図7は、水耕パネル洗浄装置の他の実施形態を示している。
この実施形態の水耕パネル洗浄装置5は、筐体50の内部のXで示す上部空間に、第1、第2の各洗浄機構11,12と、水耕パネル9を水平な搬送経路70に沿って搬送する搬送機構7と、水耕パネル9に洗浄液を噴射する洗浄液噴射装置8とが組み込まれている。この実施形態の搬送機構7は、水耕パネル9を上下より挟んで前送りする複数対の搬送ローラー71,72によって構成されている。
【0051】
第1の洗浄機構11は、水耕パネル9の表面側の定植面91を第1ブラシ1Aにより洗浄するもので、第1ブラシ1Aとブラシ駆動機構60とで定植面の洗浄機構6を構成する。
第2の洗浄機構12は、水耕パネル9の裏面側の定植面91と両側端面の非定植面92とを第2ブラシ1Cにより洗浄するもので、第2ブラシ1Cとブラシ駆動機構60とで定植面等の洗浄機構110を構成している。
【0052】
第1ブラシ1Aおよび第2ブラシ1Cは、搬送経路70に沿って上側および下側の同じ位置にそれぞれ配置され、搬送経路70を挟んで上下に対向する。
第1ブラシ1Aは、水耕パネル9の上面の定植面91が通過する経路上に第1ブラシ1Aの毛2の先端部が位置するように配置されるもので、水耕パネル9の表面側の定植面91を洗浄する。
第2ブラシ1Cは、水耕パネル9の下面の定植面91が通過する経路上に第2ブラシ10Aの毛2の先端部が位置し、水耕パネル9の両側端面の非定植面92が通過する経路上に第2ブラシ1Cの毛20の先端部が位置するように配置され、水耕パネル9の裏面側の定植面91および両側端面の非定植面92を同時に清浄する。
【0053】
洗浄液噴射装置8は、搬送経路70を搬送される水耕パネル9の表裏両面に向けて洗浄液を噴射するもので、第1、第2の各ブラシ1A,1Cの位置に対する上流の側に搬送経路70を挟んで配置される第1の噴射管81,82と、第1、第2の各ブラシ1A,1Cの位置に対する下流の側に搬送経路70を挟んで配置される第2の噴射管83,84とを含んでいる。噴射管81,83の下面および噴射管82,84の上面には、それぞれ噴射孔が設けられている。各噴射管81~84には給水機構(図示せず)より洗浄液が送られる。噴射された洗浄液は排水機構(図示せず)により回収される。なお、洗浄液は、温水、温水に洗剤を加えたもの、さらに殺菌剤を加えたものなど、種々のものを使用できる。
【0054】
(5)定植面および非定植面の洗浄機構の他の構成例
図8は、定植面の洗浄機構6の他の構成例を示している。図示のものは、第1の実施形態の同じブラシ1A,1Aを水耕パネル9の搬送経路70を挟む上下の同じ位置に対向配置した態様のものである。上側のブラシ1Aは、水耕パネル9の表面側の定植面91が通過する経路上に毛2の先端部が位置するように配置される。下側のブラシ1Aは、水耕パネル9の裏面側の定植面91が通過する経路上に毛2の先端部が位置するように配置される。なお、図2の実施形態は、ブラシ1A,10Aの位置をずらせて配置したものである。
【0055】
図9は、非定植面の洗浄機構100の他の構成例を示している。図示のものは、第1の実施形態の同じブラシ1A,1Aを水耕パネル9の搬送経路70を挟む両側の同じ位置に対向配置した態様のものである。各ブラシ1Aは、水耕パネル9の両側端面の非定植面92が通過する経路上に毛2の先端部が位置するようにそれぞれ配置される。
【0056】
図10は、定植面の洗浄機構6の他の構成例を示している。図示のものは、第1の実施形態のブラシ1Aと第2の実施形態のブラシ1Bとを水耕パネル9の搬送経路70を挟む上下の同じ位置に対向配置した態様のものである。上側のブラシ1Bは、水耕パネル9の上面の定植面91が通過する経路上に毛20の先端部が位置するように配置される。下側のブラシ1Aは、水耕パネル9の下面の定植面91が通過する経路上に毛2の先端部が位置するように配置される。
【0057】
図11は、非定植面の洗浄機構100の他の構成例を示している。図示のものは、第2の実施形態のブラシ1Bを水耕パネル9の搬送経路70を挟む両側の同じ位置に対向配置した態様のものである。各ブラシ1Bは、水耕パネル9の両側端面の非定植面92が通過する経路上に毛20の先端部が位置するようにそれぞれ配置される。
【0058】
水耕パネル洗浄装置の設計に際して、上記した洗浄機構を組み合わせることで、水耕パネル9の定植面91および非定植面92の両方を洗浄することが可能となる。
例えば、水耕パネル9の搬送経路70に沿って図8に示す態様で2個のブラシ1A,1Aを配置するとともに、その上流または下流位置に、図9に示す態様で2個のブラシ1A,1Aを配置するか、図11に示す態様で2個のブラシ1B,1Bを配置することによって、水耕パネル9の表裏両面の定植面91と両側端面の非定植面92とを洗浄することができる。
【0059】
また、水耕パネル9の搬送経路70に沿って図10に示す態様で2個のブラシ1A,1Bを配置するとともに、その上流または下流位置に、図9に示す態様で2個のブラシ1A,1Aを配置するか、図11に示す態様で2個のブラシ1B,1Bを配置することによって、水耕パネル9の表裏両面の定植面91と両側端面の非定植面92とを洗浄することができる。
【0060】
なお、上記の各態様では、水耕パネル9の表裏の各定植面91および両側の各非定植面92は、それぞれ1回の洗浄をもって終了するが、搬送経路70に沿って配置するブラシや洗浄体の個数を増やしたり、搬送経路70を水耕パネル9が繰り返し通過するように巡回経路を設けたりすることにより、各定植面91および各非定植面92を2回以上洗浄することが可能である。
【0061】
(6)ブラシの効果確認試験1
ブラシの毛2の太さと洗浄効果および水耕パネル9に生じる傷との関係を調べるために、以下の効果確認試験1を実施した。ここでは、図4に示す第1の実施形態のブラシ1Aを用いて試験を行っており、また、水耕パネル9は、矩形板状の発泡樹脂製の水耕パネルを用いている。
この効果確認試験1は、毛2の太さが0.4mm、0.2mm、0.1mm、0.075mmの4種類のブラシ1Aについて、各ブラシ1Aの水耕パネル9への押し付け度合を変化させたときの洗浄効果と傷の発生の有無とを確認するものである。ブラシ1Aの水耕パネル9への押し付け度合は、水耕パネル9の定植面91に対するブラシ1Aの接近度合を変えることにより変化させている。なお、この試験で用いたブラシ1Aは、軸体3の径が40mm、ブラシ外径Rが80mm、毛の長さが20mmである。
【0062】
図12は、効果確認試験1の試験結果を示している。同図の試験では、ブラシ1Aの水耕パネル9への押し付け度合は、ブラシ1Aの毛先が水耕パネル9の定植面91に接する状態のときを0mmとし、ブラシ1Aを1mm単位で水耕パネル9に接近させたときの水耕パネル9の洗浄効果と傷の発生の有無を示している。なお、試験時のブラシ1Aの回転速度は320rpm、洗浄時間は25秒に設定した。
【0063】
図12において、×は傷の発生があったことを示し、○は傷の発生がなく洗浄効果があったことを示している。図12によると、毛2の太さが0.4mmのブラシ1Aについては、ブラシ1Aを水耕パネル9に1mm接近させたとき(以下、「1mmの押し付け度合」という。)、水耕パネル9の定植面91に傷が発生した。また、毛2の太さが0.2mmのブラシ1Aについても同様であり、1mmの押し付け度合で水耕パネル9の定植面91に傷が発生している。なお、水耕パネル9に発生する傷には、微細な傷の他、欠けなども含まれる。
【0064】
これに対して、毛2の太さが0.1mmのブラシ1Aについては、3mmの押し付け度合であっても水耕パネル9の定植面91に傷が発生せず、1mm、2mm、3mmのいずれの押し付け度合の場合も、水耕パネル9に付着した汚れを落とすことができ、また、水耕パネル9に食い込んだ根の残渣を取り除くことができた。また、毛2の太さが0.075mmのブラシ1Aについては、5mmの押し付け度合であっても水耕パネル9の定植面91に傷が発生せず、1mm、2mm、3mm、4mm、5mmのいずれの押し付け度合の場合も、水耕パネル9に付着した汚れを落とすことができ、また、水耕パネル9に食い込んだ根の残渣を取り除くことができた。
【0065】
(7)ブラシの効果確認試験2
ブラシのブラシ外径Rの大小と洗浄効果、特に根の残渣の除去効果との関係を調べるために、以下の効果確認試験2を実施した。ここでは、図1に示す第1の実施形態のブラシ1Aを用いて試験を行っており、また、水耕パネル9は、矩形板状の発泡樹脂製の水耕パネルを用いている。
この効果確認試験2は、ブラシ外径Rが80mm、軸体3の直径rが40mm、毛2の長さLが20mmのブラシ(以下「大径ブラシ」という。)により水耕パネル9を洗浄した後、ブラシ外径Rが40mm、軸体3の直径rが10mm、毛の長さLが15mmのブラシ(以下「小径ブラシ」という。)により水耕パネル9を引き続き洗浄したときに、洗浄前と大径ブラシによる洗浄後と小径ブラシによる洗浄後とに水耕パネル9に食い込んだ根の残渣数を測定したものである。なお、この試験で用いたブラシ1Aは、毛の太さが0.01mmである。また、試験時のブラシ1Aの回転速度は200rpm、洗浄時間は20秒に設定している。
【0066】
図13(A)は、3枚の水耕パネル9について、上記の効果確認試験2を行ったときの試験結果を示している。図13(1)によると、洗浄前は根の残渣数が9.0本であり、大径ブラシによる洗浄後は、根の残渣数が3.3本であり、小径ブラシによる洗浄後は、根の残渣数が1.3本である。なお、上記の根の残渣数は、3枚の水耕パネル9についての平均値である。
大径ブラシは、毛の長さL(L=20mm)が軸体3の直径r(r=40mm)の0.5倍であり、一方、小径ブラシは、毛の長さL(L=15mm)が軸体3の直径r(r=10mm)の1.5倍である。
【0067】
図13(B)は、小径ブラシにより水耕パネル9を洗浄したときに、洗浄前と小径ブラシによる洗浄後とに水耕パネル9に食い込んだ根の残渣数を測定した結果を示している。図13(B)によると、洗浄前は根の残渣数が10.3本であり、小径ブラシによる洗浄後は、根の残渣数が1.7本である。なお、上記の根の残渣数は、3枚の水耕パネル9についての平均値である。
以上のことから、大径ブラシも小径ブラシも、水耕パネル9に食い込んだ根の残渣を除去する能力を有するものであるが、小径ブラシの方が大径ブラシより根の残渣を除去する能力が高いことがわかる。
【符号の説明】
【0068】
1A,1B,1C,10A ブラシ
2,20 毛
3 軸体
5 水耕パネル洗浄装置
6 定植面の洗浄機構
7 搬送機構
9 水耕パネル
11 第1の洗浄機構
12 第2の洗浄機構
13 第3の洗浄機構
50 筐体
51 搬入口
52 搬出口
60 ブラシ駆動機構
70 搬送経路
90 定植孔
91 定植面
92 非定植面
100 非定植面の洗浄機構
101 往復動機構
102 洗浄体
110 定植面等の洗浄機構
112,113 噴射ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14