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特許7483371真空雰囲気で用いられる電磁石組立体及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】真空雰囲気で用いられる電磁石組立体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/35 20060101AFI20240508BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240508BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
C23C14/35 Z
H01L21/31 D
H01L21/302 101G
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019232888
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2020109206
(43)【公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】10-2018-0172659
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519231924
【氏名又は名称】アルバック コリア カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・グン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ビョン・ホ・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ム・ソク・コ
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ボム・ビョン
【審査官】西田 彩乃
(56)【参考文献】
【文献】特許第6301044(JP,B1)
【文献】特開2014-207311(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0249289(US,A1)
【文献】特表平06-505676(JP,A)
【文献】特開昭50-000358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/35
C23C 14/34
H01L 21/31
H01L 21/3065
H01F 7/00ー20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビンと、前記ボビンに巻回されたコイルと、を含む電磁石と、
少なくとも一側に開口された開口部を有し、前記電磁石を収容するための収容空間を備える収容ボックスと、
前記電磁石が前記収容空間に受容された状態で、前記開口部を介して前記収容空間に充填されて固化されることにより、前記電磁石の少なくとも一部が真空雰囲気に露出されることを防止するための熱伝導媒介体と、
を含み、
前記コイルのうち、前記ボビンに巻回された部分は前記熱伝導媒介体によって真空雰囲気に露出されず、
前記ボビンは、外側に前記コイルが巻回されるボビン本体を含み、
前記熱伝導媒介体が固化された状態で、前記ボビン本体の内部空間に永久磁石が挿入又は分離可能である、真空雰囲気で用いられる電磁石組立体。
【請求項2】
前記電磁石組立体は、前記熱伝導媒介体と共に、前記コイルが真空雰囲気に露出されることを防止しながら、(i)前記コイルのうち前記ボビンに巻回された部分から延びるコイル延長部、及び(ii)外部電源から前記コイルに電源を印加するパワーラインが互いに接続されるよう、前記パワーラインの少なくとも一部をカバーするダクトをさらに含み、
前記ダクトの両端部のうち少なくとも電磁石側の端部は、前記熱伝導媒介体によって真空雰囲気に露出されない、請求項に記載の真空雰囲気で用いられる電磁石組立体。
【請求項3】
前記収容ボックスは、冷媒流入ライン及び冷媒吐出ラインにそれぞれ連通して冷媒を案内する冷媒流路を含む冷却プレートを含む、請求項に記載の真空雰囲気で用いられる電磁石組立体。
【請求項4】
密閉された内部空間を備える真空室と、前記真空室の真空度を保持するための真空ポンプと、前記真空室の内部に配置される電磁石組立体とを含み、
前記電磁石組立体は、
ヨークと、
前記ヨークに配置される永久磁石と、
一側に前記真空室の内部に向かって開口された開口部を有し、電磁石を収容するための収容空間を備える収容ボックスと、
前記収容ボックスに配置され、前記永久磁石を収容するボビンと、前記ボビンに巻回されたコイルを含み、前記真空室の内部に位置する対象体に磁場を提供するための電磁石と、
前記電磁石が前記収容空間に受容された状態で、前記開口部を介して前記収容空間に充填されて固化されることで、前記電磁石の少なくとも一部が真空雰囲気に露出されることを防止するための熱伝導媒介体と、
を含み、
前記ボビンは、外側に前記コイルが巻回されるボビン本体を含み、
前記熱伝導媒介体が固化された状態で、前記ボビン本体の内部空間に前記永久磁石が挿入又は分離可能である、真空処理装置。
【請求項5】
前記電磁石組立体は、前記熱伝導媒介体と共に、前記コイルが真空雰囲気に露出されることを防止しながら、(i)前記コイルのうち前記ボビンに巻回された部分から延びるコイル延長部、及び(ii)外部電源から前記コイルに電源を印加するパワーラインが互いに接続されるよう、前記パワーラインの少なくとも一部をカバーするダクトをさらに含み、
前記ダクトの両端部のうち少なくとも電磁石側の端部は、前記熱伝導媒介体によって前記真空室の内部に露出されない、請求項に記載の真空処理装置。
【請求項6】
前記真空処理装置は真空成膜形成装置である、請求項に記載の真空処理装置。
【請求項7】
電磁石を形成するステップと、
ジグに電磁石を収容する収容空間を備えた収容ボックスを挿入することによって、一側に開口された開口部を設けるステップと、
常温及び常圧で固体状態を有する熱伝導物質を加熱させて液体状態に変化させるステップと、
前記開口部を介して前記収容空間に前記液体状態の熱伝導物質を充填させるステップと、
前記液体状態の熱伝導物質が固体状態の熱伝導媒介体になるように冷却させるステップと、
前記収容ボックスから前記ジグを分離させるステップと、
を含み、
前記ジグは、
収容ボックスが載置される空間を提供する載置部と、
前記載置部から突出形成されて電磁石のボビンのボビン本体の内部空間に前記熱伝導物質が流入することを防止するための突起と、を含み、
前記ボビン本体の外側にコイルが巻回され、
前記ボビン本体の内側に形成された空間の内部に位置するように永久磁石を挿入又は分離可能に設置するステップをさらに含む真空雰囲気で用いられる電磁石組立体の製造方法。
【請求項8】
前記電磁石を形成するステップは、
ボビンにコイルを巻回するステップと、
巻回されたコイルの間の間隙を減らすために、巻回されたコイルの隣接する被覆材を相互融着させるステップと、
を含む、請求項に記載の真空雰囲気で用いられる電磁石組立体の製造方法。
【請求項9】
前記相互融着させるステップは、巻回されたコイルを加熱させた状態で、巻回されたコイルに垂直な方向に加圧するステップを含む、請求項に記載の真空雰囲気で用いられる電磁石組立体の製造方法。
【請求項10】
前記電磁石を形成するステップは、ボビンにコイルを巻回するステップを含み、
前記製造方法は、前記液体状態の熱伝導物質が巻回されたコイルの間の間隙に入り込むように前記収容ボックスを振動させるステップをさらに含む、請求項に記載の真空雰囲気で用いられる電磁石組立体の製造方法。
【請求項11】
前記電磁石を形成するステップは、ボビンにコイルを巻回するステップを含み、
前記製造方法は、前記熱伝導媒介体と共に、前記コイルが真空雰囲気に露出されることを防止しながら、(i)前記コイルのうち前記ボビンに巻回された部分から延びるコイル延長部、及び(ii)外部電源から前記コイルに電源を印加するパワーラインが互いに接続されるよう、前記パワーラインの少なくとも一部をカバーするダクトを設置するステップをさらに含み、
前記充填させるステップは、前記ダクトの両端部のうち少なくとも電磁石側の端部が前記熱伝導媒介体によって真空雰囲気に露出されないように、前記電磁石側の端部を前記収容空間内に位置させた状態で行われる、請求項に記載の真空雰囲気で用いられる電磁石組立体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の説明は、真空雰囲気で用いられる電磁石組立体及びその製造方法に関し、例えば、真空成膜形成装置などの真空処理装置で使用され得る電磁石組立体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空成膜形成装置及びプラズマエッチング装置などの半導体製造プロセスで用いられる様々な産業設備をはじめとする真空処理装置は、真空雰囲気で使用しなければならない電磁石組立体を必要とする。このような電磁石組立体は、電磁石を構成するコイルの被覆材料から発生するガス形態の不純物によって、対象体及び/又は周辺部品をはじめ、真空状態に悪影響を及ぼす。
【0003】
それだけでなく、真空状態では大気状態に比べて熱伝導率が極めて低い値を有するため、冷却効率が低下する問題がある。特に、一般的な方式で製造された電磁石組立体で、コイルの積層方向(すなわち、コイルの巻回方向に垂直な方向)への熱伝導率を測定すると、真空状態における熱伝導率(0.2W/m/K)が大気状態における熱伝導率(2W/m/K)の1/10のレベルに過ぎないため、電磁石組立体を真空雰囲気で使用するときに、冷却効率が大きく低下する問題があった。適切な冷却が行われない場合、電磁石組立体の効率が急激に減少するようになり、このような問題は、大きいサイズの磁場を生成する必要がある電磁石組立体において、さらに深刻になる。したがって、真空雰囲気で使用しなければならない電磁石組立体の場合、高い冷却量を提供する冷却施設を備えなければならない追加的な問題が発生し得る。
【0004】
一方、このような問題を解決するために、真空室内に大気圧を保持する別途の大気ボックスを備え、大気ボックス内に電磁石組立体を配置させる技術を活用することができる。しかし、この場合、大気ボックスの設置に求められる多くの容積が要求され、また、大気ボックスが占める空間だけ電磁石組立体から対象体に提供しなければならないという磁気力が弱まる問題が生じる。したがって、対象体に十分な磁気力を提供するために、電磁石組立体に極めて高い電流を印加しなければならないことにより、電力の効率が減少する問題が発生する。また、このような過程で生じる高い熱量を除去するための冷却施設を備えなければならない問題が発生する。
【0005】
前述した背景技術は、発明者が本発明の導出過程において保有する又は習得したものであって、必ずしも本発明の出願前に一般公衆に公開された公知技術とすることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態の目的は、真空雰囲気で生じ得る各種問題を解決できる電磁石組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、真空雰囲気で用いられる電磁石組立体は、磁場を生成するための電磁石と、少なくとも一側に開口された開口部を有し、前記電磁石を収容するための収容空間を備える収容ボックスと、前記電磁石が前記収容空間に受容された状態で、前記開口部を介して前記収容空間に充填されて固化されることにより、前記電磁石の少なくとも一部が真空雰囲気に露出されることを防止するための熱伝導媒介体とを含む。
【0008】
前記電磁石は、ボビンと、前記ボビンに巻回されたコイルと、を含み、前記コイルのうち、前記ボビンに巻回された部分は前記熱伝導媒介体によって真空雰囲気に露出されない。
【0009】
前記電磁石組立体は、前記熱伝導媒介体と共に、前記コイルが真空雰囲気に露出されることを防止しながら、(i)前記コイルのうち前記ボビンに巻回された部分から延びるコイル延長部、及び(ii)外部電源から前記コイルに電源を印加するパワーラインが互いに接続されるよう、前記パワーラインの少なくとも一部をカバーするダクトをさらに含み、前記ダクトの両端部のうち少なくとも前記電磁石側の端部は、前記熱伝導媒介体によって真空雰囲気に露出されない。
【0010】
前記ボビンは、外側に前記コイルが巻回されるボビン本体を含み、前記熱伝導媒介体が固化された状態で、前記ボビン本体の内部空間に永久磁石が挿入又は分離可能である。
【0011】
前記収容ボックスは、冷媒流入ライン及び冷媒吐出ラインにそれぞれ連通して冷媒を案内する冷媒流路を含む冷却プレートを含み得る。
【0012】
一実施形態に係る真空処理装置は、密閉された内部空間を備える真空室と、前記真空室の真空度を保持するための真空ポンプと、前記真空室の内部に配置される電磁石組立体とを含み、前記電磁石組立体は、前記真空室内部に位置する対象体に磁場を提供するための電磁石と、一側に前記真空室内部に向かって開口された開口部を有し、前記電磁石を収容するための収容空間を備える収容ボックスと、前記電磁石が前記収容空間に受容された状態で、前記開口部を介して前記収容空間に充填されて固化されることで、前記電磁石の少なくとも一部が真空雰囲気に露出されることを防止するための熱伝導媒介体とを含む。
【0013】
前記電磁石は、ボビンと、前記ボビンに巻回されたコイルを含み、前記コイルのうち、前記ボビンに巻回された部分は前記熱伝導媒介体によって前記真空室内部に露出されない。
【0014】
前記電磁石組立体は、前記熱伝導媒介体と共に、前記コイルが真空雰囲気に露出されることを防止しながら、(i)前記コイルのうち前記ボビンに巻回された部分から延びるコイル延長部、及び(ii)外部電源から前記コイルに電源を印加するパワーラインが互いに接続されるよう、前記パワーラインの少なくとも一部をカバーするダクトをさらに含み、前記ダクトの両端部のうち少なくとも前記電磁石側の端部は、前記熱伝導媒介体によって前記真空室内部に露出されない。
【0015】
前記真空処理装置は、真空成膜形成装置であり得る。
【0016】
一実施形態によると、真空雰囲気で用いられる電磁石組立体の製造方法は、電磁石を形成するステップと、ジグに電磁石を収容する収容空間を備えた収容ボックスを挿入することによって、一側に開口された開口部を設けるステップと、常温及び常圧で固体状態を有する熱伝導物質を加熱させて液体状態に変化させるステップと、前記開口部を介して前記収容空間に前記液体状態の熱伝導物質を充填させるステップと、前記液体状態の熱伝導物質が固体状態の熱伝導媒介体になるように冷却させるステップと、前記収容ボックスから前記ジグを分離させるステップとを含む。
【0017】
前記ジグは、収容ボックスが載置される空間を提供する載置部と、前記載置部から突出形成されて電磁石のボビン本体の内部空間に前記熱伝導物質が流入することを防止するための突起とを含み得る。
【0018】
前記ボビンは、外側にコイルが巻回されるボビン本体を含み、前記製造方法は、前記ボビン本体の内側に形成された空間の内部に位置するように永久磁石を設置するステップをさらに含み得る。
【0019】
前記電磁石を形成するステップは、ボビンにコイルを巻回するステップと、巻回されたコイルの間の間隙を減らすために、巻回されたコイルの隣接する被覆材を相互融着させるステップとを含み得る。
【0020】
前記融着させるステップは、巻回されたコイルを加熱させた状態で、巻回されたコイルに垂直な方向に加圧するステップを含み得る。
【0021】
前記電磁石を形成するステップは、ボビンにコイルを巻回するステップを含み、前記製造方法は、前記液体状態の熱伝導物質が巻回されたコイルの間の間隙に入り込むように前記収容ボックスを振動させるステップをさらに含み得る。
【0022】
前記電磁石を形成するステップは、ボビンにコイルを巻回するステップを含み、前記製造方法は、前記熱伝導媒介体と共に、前記コイルが真空雰囲気に露出されることを防止しながら、(i)前記コイルのうち前記ボビンに巻回された部分から延びるコイル延長部、及び(ii)外部電源から前記コイルに電源を印加するパワーラインが互いに接続されるよう、前記パワーラインの少なくとも一部をカバーするダクトを設置するステップをさらに含み、前記充填させるステップは、前記ダクトの両端部のうち少なくとも前記電磁石側の端部が前記熱伝導媒介体によって真空雰囲気に露出されないように、前記電磁石側の端部を前記収容空間内に位置させた状態で実行することができる。
【0023】
一実施形態に係る真空雰囲気で用いられる電磁石組立体の製造方法は、電磁石を形成するステップと、収容空間と、前記収容空間に連通し、少なくとも一側に開口された開口部を有する収容ボックスに前記電磁石を挿入するステップと、常温及び常圧で固体状態を有する熱伝導物質を加熱させて液体状態に変化させるステップと、前記開口部を埋め込むように、前記液体状態の熱伝導物質を前記収容空間に充填させるステップと、前記液体状態の熱伝導物質が固体状態の熱伝導媒介体になるよう冷却させるステップとを含む。
【発明の効果】
【0024】
一実施形態によれば、電磁石組立体を構成するコイルの被覆材料から発生するガス形態の不純物によって、真空雰囲気に悪影響を及ぼす問題を防止することができる。
【0025】
一実施形態によれば、真空雰囲気内でも高い熱伝達効率を有することによって、電磁石組立体の冷却効率を向上させることができる。
【0026】
一実施形態によれば、相対的に低い冷却量を用いて電磁石組立体を冷却させ得るため、電磁石組立体をはじめとして、これを備える各種の産業設備を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】一実施形態に係る真空成膜形成装置の概念図である。
図2】一実施形態に係る電磁石組立体の正面斜視図である。
図3】一実施形態に係る電磁石組立体の部分断面斜視図である。
図4】一実施形態に係る電磁石組立体の正面分解斜視図である。
図5】一実施形態に係る電磁石組立体の背面斜視図である。
図6】一実施形態に係る電磁石組立体の製造方法を説明するための図である。
図7】一実施形態に係る電磁石組立体の製造方法を説明するための図である。
図8】一実施形態に係る電磁石組立体の製造方法を示すフローチャートである。
図9】一実施形態に係る電磁石形成ステップを示すフローチャートである。
図10】一実施形態に係る電磁石組立体の斜視図である。
図11】一実施形態に係る電磁石組立体に熱伝導物質が充填される前の状態を示す正面図である。
図12】一実施形態に係る電磁石組立体の一部品を示す分解斜視図である。
図13】一実施形態に係る電磁石組立体の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施形態に対する特定な構造的又は機能的な説明は単なる例示のための目的として開示されたものとして、様々な形態に変更される。したがって、実施形態は特定な開示形態に限定されるものではなく、本明細書の範囲は技術的な思想に含まれる変更、均等物ないし代替物を含む。
【0029】
第1又は第2などの用語を複数の構成要素を説明するために用いることがあるが、このような用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ解釈されなければならない。例えば、第1構成要素は第2構成要素と命名することができ、同様に第2構成要素は第1構成要素にも命名することができる。
【0030】
いずれかの構成要素が他の構成要素に「連結」されているか「接続」されていると言及されたときには、その他の構成要素に直接的に連結されているか又は接続されているが、中間に他の構成要素が存在し得るものと理解されなければならない。
【0031】
本明細書で用いられる用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0032】
異なるように定義さがれない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0033】
以下、実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。各図面に提示される同一な参照符号は同一な部材を示す。
【0034】
図1は、一実施形態に係る真空成膜形成装置の概念図である。
【0035】
図1を参照すると、一実施形態に係る真空成膜形成装置1などの真空処理装置は、密閉された内部空間を備える真空室Vと、真空室Vが大気圧未満の圧力の真空度を保持するようにするための真空ポンプ(図示せず)と、真空室Vの内部に配置される電磁石組立体11とを含む。以下、真空処理装置が真空成膜形成装置1の場合について例示的に説明することにする。
【0036】
一実施形態に係る真空成膜形成装置1は、真空状態の真空室V内にガスを注入してプラズマを生成させ、イオン化されたガス粒子を蒸着しようとするターゲット物質を含むターゲットTに衝突させた後、衝突によってスパッタリングされた粒子を基板などの対象体Oに蒸着させる技術を用いることができる。真空成膜形成装置1は、相対的に低温で薄膜を製造することができ、電場によって加速されたイオンが基板に緻密に蒸着されて蒸着速度が速い長所を有する。
【0037】
真空成膜形成装置1は、ターゲットTに磁気力線を形成するために真空雰囲気で用いられる電磁石組立体11を含む。電磁石組立体11は、対象体Oに対向してターゲットTの後方に配置される。すなわち、ターゲットTの前方(図1を基準として右側)に対象体Oが配置され、ターゲットTの後方(図1を基準として左側)に電磁石組立体11が配置される。
【0038】
電磁石組立体11は、磁場を生成するための磁場生成部Mと、磁場生成部Mで発生する熱を吸収し、外部に排出する冷媒を案内するための冷媒流入ラインL_in及び冷媒吐出ラインL_outを含む。真空雰囲気で用いられる電磁石組立体11については以下に説明する。一方、以下で記載される電磁石組立体11は、真空成膜形成装置用電磁石組立体にのみ限定されるものではなく、プラズマエッチング装置などの半導体製造プロセスで用いられる様々な産業設備をはじめとする真空処理装置に使用され得るという点を明らかにする。
【0039】
図2は、一実施形態に係る電磁石組立体の正面斜視図であり、図3は、一実施形態に係る電磁石組立体の部分断面斜視図であり、図4は、一実施形態に係る電磁石組立体の正面分解斜視図であり、図5は、一実施形態に係る電磁石組立体の背面斜視図である。
【0040】
図2図5において、真空室V(図1参照)の図示は省略したが、一実施形態に係る電磁石組立体21は、図1に示すように真空雰囲気で使用される可能性があることを明らかにする。
【0041】
図2図5を参照すると、一実施形態に係る電磁石組立体21は、ヨークY、磁場生成部M、収容ボックス215,218、熱伝導媒介体214及びダクト217を含む。ここで、収容ボックス215,218は、電磁石212,216を収容する収容空間Sを形成することによって、例えば、冷却プレート215及びカバー218を含む。
【0042】
磁場生成部Mは、磁場を生成するための構成であって、例えば、真空室Vの内部に位置する対象体O(図1参照)に磁場を提供する。例えば、磁場生成部Mは、永久磁石211,219、コイル212、ボビン216を含む。ここで、コイル212及びボビン216を称して「電磁石」ということができる。理解の便宜のために、コイル212に電源を印加する外部電源については省略することを明らかにする。このような構造によれば、コイル212の巻回回数を異なるようにしたり、コイル212に印加される電流又は電圧の大きさを制御したりすることで、磁場生成部Mで生成する磁場の大きさを調整することができる。また、永久磁石211,219によると、特定の値の磁場を発生させるために、コイル212に印加される電流又は電圧を過度に増加させる必要がないため、エネルギーを節約することができる。言い換えれば、コイル212に印加される電流又は電圧のレベルを低下させることで、コイル212によって発生する熱を減少させることができ、その結果、コイル212で発生する熱を外部に放出させるための冷却手段の冷却量を減らすことで設備を簡素化し、冷却のために消耗するエネルギーを節約することで全体電磁石組立体21のエネルギー効率を向上させることができる。一方、以下磁場生成部Mは、永久磁石211,219を含むものとして説明するが、これは1つの実施形態に過ぎず、永久磁石211,219が省略され得ることを明らかにしておく。
【0043】
永久磁石211,219は、例えば、ネオジウム(Nd)又はフェライト(ferrite)から形成される。一方、永久磁石211,219は、高温の環境に露出される場合、磁気が減少するという問題がある。特に、ネオジウム磁石の場合、通常的に流通する磁石のうち極めて優れた磁気的特性を有するため、強い磁場を作るためには効率的であるものの、熱に弱い短所があり、約80度以上の温度で永久に磁気が減少する問題が発生し、コイル212によって発生する熱を十分に放出できるように設計する必要がある。後述する構造によれば、このような問題を解消することができる。一方、永久磁石211,219は、必ずしもネオジウム又はフェライトで形成される必要はなく、他の物質を用いて形成されてもよい。また、永久磁石211,219は、例えば、ネオジウム及びフェライトのいずれか1つ以上の材質で形成することもできる。永久磁石211,219は、内側永久磁石211及び外側永久磁石219を含んでもよい。
【0044】
内側永久磁石211は、ボビン216の内側に位置する。内側永久磁石211は、熱伝導媒介体214が固化された状態で、ボビン本体216aの内側に形成された内部空間へ挿入又は分離される。このような構造によれば、内側永久磁石211に熱が印加される問題なしに、熱伝導媒介体214を形成することができるため、内側永久磁石211の磁気が減少する問題を防止することができる。
【0045】
内側永久磁石211は、冷却プレート215の貫通部215bを通過して冷却プレート215の収容空間Sに配置された電磁石212,216のボビン本体216aの内部空間に位置する。
【0046】
外側永久磁石219は、電磁石212,216の外部に配置される。外側永久磁石219は、冷却プレート215の周縁方向を取り囲む形状に配置されてもよい。外側永久磁石219は、内側永久磁石211と互いに反対になる極性を有するように配置される。
【0047】
ヨークYは、内側永久磁石211及び外側永久磁石219を支持する。例えば、ヨークYは、SUS400、SUS430、鉄及び/又はニッケルなどの磁気材質から形成されることによって、内側永久磁石211及び外側永久磁石219による磁気力線が効率よく形成することができる。ヨークYのうち、内側永久磁石211と外側永久磁石219との間の離隔空間には冷却プレート215が配置される。
【0048】
コイル212は、例えば、エナメル(enamel)など絶縁物質の被覆材料でコーティングされた導線からなることで、コイル212に流れる電流が熱伝導媒介体214を介して外部に伝達されることを防止する。一方、一般的に、エナメルなどの被覆材料は、高温の真空雰囲気でガス形態の不純物を発生させ、真空状態に悪影響を与える恐れがある。しかし、実施形態に係る構造及び/又は製造方法を利用すれば、このような現象を防止すると共に、真空状態における冷却効率も向上させることができる。具体的に、コイル212のうち、(i)ボビン216に巻回される部分は、熱伝導媒介体214によって真空室Vの内部に露出されず、(ii)ボビン216に巻回される部分から延びて外部電源のパワーライン212aに接続されるコイル延長部(図示せず)は、熱伝導媒介体214及びダクト217によって真空室Vの内部に露出されることを防止できる。例えば、パワーライン212a及びコイル延長部は、ダクト217の内部で接続され得る。
【0049】
ボビン216は、コイル212の巻回のための支持体として機能すると共に、電磁気力の強度を向上させるコア(core)として機能する。ボビン216の上下の高さは、収容空間Sの上下の高さと同一であり得る。ボビン216は、ボビン本体216aと、ボビン本体216aの両端部から周縁方向に延びるボビン翼216bとを含む。
【0050】
ボビン本体216aの外側にはコイル212が巻回され、内側には内側永久磁石211が配置される。ボビン翼216bは、ボビン本体216aの上段及び下段から外側に延びることができる。
【0051】
収容ボックス215,218は、少なくとも一側、例えば、真空室Vの内部に向かって開口された開口部を有し、電磁石212,216を収容するための収容空間Sを備える。ここで、開口部は、収容空間Sに連通する。収容ボックス215,218は、電磁石212,216の少なくとも一側を支持し、電磁石212,216で発生する熱を外部に放出するために、熱伝導率の高い非磁性放熱材料、例えば、アルミニウム又は銅などで形成される。収容ボックス215,218は、冷却プレート215及びカバー218を含む。
【0052】
冷却プレート215は、電磁石212,216を収容し、電磁石212,216から発生する熱を外部に放出させることができる。冷却プレート215は、電磁石212,216の周縁方向を取り囲むための枠部215aと、枠部215aから段差があるように形成され、電磁石212,216が据置可能な面を提供する収容空間Sと、収容空間Sに連通するように冷却プレート215を上下方向(ボビン216の高さ方向)に貫通する貫通部215bとを含む。冷却プレート215の内部には冷媒が流動することのできる冷媒流路(図示せず)が形成され、流動空間には、冷媒流入ラインL_in及び冷媒吐出ラインL_outが連結され、外部から冷媒が流入したり、外部に吐出したりできる。例えば、冷媒流入ラインL_in及び冷媒吐出ラインL_outはヨークYを貫通し、冷却プレート215に連結される。
【0053】
カバー218は、冷却プレート215の上面をカバーすることによって、熱伝導物質が収容空間Sに充填された後に固化され、熱伝導媒介体214を生成する過程で熱伝導物質が冷却プレート215の上側に流出することを防止する。一方、カバー218は、冷却プレート215と一体に形成されてもよい。この場合、収容ボックス215,218の上側壁がカバー218であることが理解できる。
【0054】
熱伝導媒介体214は、電磁石212,216が収容空間Sに受容された状態で、収容ボックス215,218のうち真空雰囲気に露出された開口部が埋め込まれるよう、熱伝導物質が収容空間Sに充填されて固化された構成として理解される。導線を数回繰り返し巻回することで製造されるコイル212の製造特性上、コイル212の形状を予め作られた収容空間Sに正確に合わせて製造したり、予め作られたコイル212の形状に合わせて収容空間Sを形成したりすることは現実的に極めて難しい。また、コイル212の形が一定ではないため、コイル212を収容空間Sの内壁に正確に面接触させることは困難であり、両者間の多くの部分で線接触又は点接触が行われることによって、コイル212及び収容空間Sの内壁の間には互いに離隔した空いた空間が形成される。熱伝導媒介体214は、このような空いた空間を埋めることができる熱伝導率の高い物質から形成され、コイル212から放出される熱を収容ボックス215,218に効率よく伝達することで、外部に放出されるようにする。例えば、熱伝導媒介体214を形成する熱伝導物質として、常温及び常圧で固体状態を有する金属が使用される。例えば、熱伝導物質として、コイル212の被覆材の融点よりも溶融点の低い金属が使用され得る。例えば、熱伝導物質として、溶融点が100度ないし400度である低融点金属が使用され得る。例えば、熱伝導物質は、インジウム(In)、鉛(Pb)及びプラスチック系列熱伝導物質のいずれか1つ以上で形成され得る。
【0055】
熱伝導媒介体214は、収容空間Sに電磁石212,216の挿入された状態で、液体状態の熱伝導物質を収容空間Sに充填してこれを冷却させることによって形成される。
【0056】
ダクト217は、熱伝導媒介体214と共に、コイル212が真空雰囲気に露出されることを防止しながら、(i)コイル212のうちボビン216に巻回された部分から延びるコイル延長部と、(ii)パワーライン212aとが互いに接続するように、パワーライン212aの少なくとも一部をカバーする。ダクト217の両端部のうち少なくとも電磁石212,216側の端部は、図5に示すように、熱伝導媒介体214によって収容空間Sが外部に露出されないようにする。また、ダクト217の全体が熱伝導媒介体214の位置する収容空間Sの内部に位置してもよい。一方、ここで、ダクト217は、内部に通路を形成する形状であればいずれの形状であってもよく、必ず強盛な材質である必要はないことを明らかにする。
【0057】
図6及び図7は、一実施形態に係る電磁石組立体の製造方法を説明するための図であり、図8は、一実施形態に係る電磁石組立体の製造方法を示すフローチャートであり、図9は、一実施形態に係る電磁石形成ステップを示すフローチャートである。
【0058】
参考として、図6及び図7は、熱伝導媒介体214が形成されていない状態の形状を示す。また、図6では、理解の便宜のために電磁石212,216を省略して示し、冷却プレート215及びカバー218の一部は切開して示したことを明らかにしておく。
【0059】
図1図9を参照すると、一実施形態に係る真空雰囲気で用いられる電磁石組立体21の製造方法は、電磁石212,216を形成するステップS81と、ジグ22,23に電磁石212,216を収容する収容空間Sを備えた収容ボックス215,218を挿入して一側に開口された開口部を設けるステップS82と、ダクト217を設置するステップS83と、熱伝導物質を加熱させるステップS84と、開口部を介して収容ボックス215,218の収容空間Sに液体状態の熱伝導物質を充填させるステップS85と、液体状態の熱伝導物質が巻回されたコイル212の間の隙間に入り込むように収容ボックス215,218を振動させるステップS86と、液体状態の熱伝導物質が固体状態の熱伝導媒介体になるように冷却させるステップS87と、収容ボックス215,218からジグ22,23を分離させるステップS88と、永久磁石211,219を設置するステップS89とを含む。一方、反対となる記載がない限り、電磁石組立体21の製造方法において各ステップの実行順序は制限されず、一部のステップが省略され得ることを明らかにする。
【0060】
開口部を設けるステップS82で用いられるジグ22,23について、以下のように説明する。ジグ22,23によると、プレート215の貫通部215bを密閉させた状態で、一側に開口された開口部を介して熱伝導物質を充填させることができる。したがって、ボビン本体216aの内部空間で熱伝導物質が充填されることを防止することで、熱伝導媒介体214が完全に固化及び冷却された後、ボビン本体216aの内部空間に内側永久磁石211を挿入することができる。したがって、内側永久磁石211が熱により磁気が減少する問題を防止できる。
【0061】
ジグ22,23は、収容ボックス215,218の上側及び下側を取り囲む上側ジグ22及び下側ジグ23を例示的に説明するが、これとは異なり、ジグ22,23は、左側ジグ及び右側ジグに分離可能であることは当業者であれば理解できるであろう。
【0062】
上側ジグ22及び下側ジグ23は、互いに形を合わせて収容ボックス215,218が収容可能な空間を提供し、一側にのみ開口される開口部を形成する。下側ジグ23は、載置部231及び突起232を含む。
【0063】
載置部231は、冷却プレート215が載置される空間であって、下側ジグ23の上面から陥没形成される。載置部231は、熱伝導物質の充填過程でダクト217の一部を収容できる第1ダクトガイド231aを含む。
【0064】
第1ダクトガイド231aは、下側ジグ23の開口部方向の面と、載置部231の底面から段差のある形状を有する。第1ダクトガイド231aは、冷却プレート215の開口部方向の面に陥没形成された第2ダクトガイド215cに連通する。
【0065】
相互連通した第1ダクトガイド231a及び第2ダクトガイド215cによると、図7に示されるように熱伝導物質が充填されない状態で、ダクト217が収容可能な空間を提供する。したがって、図5に示されるように、熱伝導媒介体214が形成された状態で、ダクト217が電磁石組立体21の下方に延びる構造を提供する。
【0066】
突起232は、熱伝導物質が特定の領域で充填されることを防止する。突起232は、例えば、下側ジグ23の底面から突出される。突起232は、第1突起232a及び第2突起232bを含む。
【0067】
第1突起232aは、収容空間Sから貫通部215bを介して熱伝導物質が漏れることを防止するために、貫通部215bに形合わせられた形状を有する。ジグ22,23及び収容ボックス215,218が相互結合された状態で、第1突起232aは、貫通部215bに位置する。
【0068】
第2突起232bは、第1突起232aから上側に突出して電磁石212,216を支持する。収容ボックス215,218の内部に挿入された電磁石212,216は、第2突起232bによって安定的に支持され得るため、熱伝導物質を充填する過程で、電磁石212,216の位置が揺れる問題を防止することができる。第2突起232bは、ボビン本体216aの内部空間に形合わせた形状を有する。ジグ22,23、収容ボックス215,218及び電磁石212,216が結合された状態で、ボビン本体216aの内部空間に位置するようになる。
【0069】
電磁石212,216を形成するステップS81は、ボビン216の外側にコイル212を巻回するステップS811と、巻回されたコイル212の間に隙間を減らすために巻回されたコイル212の隣接する被覆材を相互融着させるステップS812とを含む。ここで、融着させるステップS812は、巻回されたコイル212を加熱させた状態で、巻回されたコイル212に垂直な方向に加圧するステップを含む。このような方法によれば、隣接する被覆材同士が相互溶けて融着したり、相互の形状に対応して変形したりするなど、コイル212間の隙間が急激に減少することになる。したがって、外部に対するコイル212の露出表面積が減少することは勿論、コイル212の積層方向によって熱伝導率を減少させる主な要素であったコイル212間の隙間がほとんどなくなるため、コイル212の積層方向による熱伝導率が著しく増加する。
【0070】
充填させるステップS85は、ダクト217の両端部のうち電磁石212,216側の端部が熱伝導媒介体214によって外部に露出されないよう、電磁石212,216側の端部を収容空間S内に位置させた状態で行われる。
【0071】
一方、充填させるステップS85に前もって、収容ボックス215,218を加熱するステップをさらに含んでもよい。このような方法によると、コイル212間の隙間や、コイル212及び収容空間Sの内壁の間の空いた空間に熱伝導物質が十分に流入されるように、熱伝導物質の流動性を増大させることができる。一方、収容ボックス215,218を加熱するステップは、充填させるステップS85と同時に行われてもよい。
【0072】
振動させるステップS86は、充填させるステップS85と同時に行われるか、交互に繰り返し行われてもよい。例えば、熱伝導物質が十分にコイル212間の隙間に入り込む、又はコイル212及び収容空間Sの内壁の間の空間を完全に埋めるように、熱伝導物質を一定の量だけ充填させた状態で、収容ボックス215,218を振動させるなど、充填させるステップS85及び振動させるステップS86を交互に繰り返し行うことができる。
【0073】
以下、上述した実施形態により製造された電磁石組立体21を大気状態及び真空状態にそれぞれ置いた状態で、一定の大きさの電流6Aをコイル212に供給し、一定の流量の冷却水(6L/min)を冷却プレート215に供給しながら電圧を測定した結果を示す。実際の試験は、大気状態で2時間、真空状態で6時間にわたり実行され、下に記載した時間以降は電圧の変化がほとんどなかった。
【0074】
【表1】
【0075】
表1を参照すると、大気状態と比較して真空状態における電圧の大きさが微小量のみが増加するだけであって(約1%)、実質的に類似の冷却効率を有する点が確認される。このような結果をマクスウェル(Maxwell)方程式により分析すると、真空状態におけるコイル212の積層方向の熱伝導率は、2W/m/K以上になることが明らかである。このように実施形態に係る電磁石組立体を真空状態で使用する場合、従来方式で製造された電磁石組立体を大気状態で使用する場合と比較して同一であるか、むしろ、より向上された熱伝導率を示すことが確認される。
【0076】
図10は、一実施形態に係る電磁石組立体の斜視図であり、図11は、一実施形態に係る電磁石組立体に熱伝導物質が充填される前の状態を示す正面図であり、図12は、一実施形態に係る電磁石組立体の一部品を示す分解斜視図である。
【0077】
図10図12を参照すると、一実施形態に係る電磁石組立体31は、磁場生成部M、収容ボックス315,318、熱伝導媒介体314、及びダクト317を含む。ここで、収容ボックス315,318は、電磁石312,316を収容する収容空間Sを形成するものとして、例えば、冷却プレート315及びカバー318を含む。
【0078】
磁場生成部Mは、永久磁石311及び電磁石312,316を含み、電磁石312,316は、コイル312及びボビン316を含む。ボビン316は、ボビン本体316a及びボビン翼316bを含む。
【0079】
収容ボックス315,318の一側には、真空雰囲気に向かって開口される開口部が形成され、他方にはボビン本体316aの内部空間と連通する孔が形成される。熱伝導媒介体314が固化された状態で、当該の孔を介してボビン本体316aの内部に永久磁石311が挿入される。
【0080】
前記孔は、ボビン316の構造を介して収容空間Sと連通することを防止する。例えば、ボビン本体316aの上下の高さは、収容空間Sの上下の高さと同一であり得る。言い換えれば、ボビン本体316aの上段及び下段は、それぞれ収容空間Sの内壁に無理に挿し挟む(tight fit)ことができる。このような構造によれば、ボビン本体316aの内部空間に熱伝導物質が流れることを減らすことができる。
【0081】
例えば、ボビン翼316bの左右の幅は、収容空間Sの左右の幅と同一であってもよい。言い換えれば、ボビン翼316bの両端部は、それぞれ収容空間Sの内壁に無理に挿し挟むことができる。このような構造によれば、熱伝導物質を充填させる過程で電磁石312,316が流動される問題を減らすことができる。
【0082】
一方、収容ボックス315,318は、図1などに示すように、複数の電磁石配列を有する磁場生成部Mを収容できることを明らかにする。言い換えれば、磁場生成部Mは、複数のボビン316と、複数のボビン316のそれぞれに巻回される複数のコイル312と、複数のボビン316のそれぞれの内部に収容される複数の永久磁石311とを含む。
【0083】
例えば、図1に示すように、複数の永久磁石311のうち少なくとも一部の隣接する2つの永久磁石311は極性が互いに反対となるように配置される。また、真空成膜形成装置用の電磁石組立体31は、隣接する2つの永久磁石311が付着される磁性体を含む。前記伝導体は隣接する2つの永久磁石311の間に磁気力線が効率よく形成されるようにブリッジ(bridge)として機能することができるため、磁場生成部Mの効率を向上させることができる。
【0084】
図13は、一実施形態に係る電磁石組立体の製造方法を示すフローチャートである。
【0085】
図13を参照すると、一実施形態に係る真空雰囲気で用いられる電磁石組立体31の製造方法は、電磁石312,316を形成するステップS91と、収容ボックス315,318に電磁石312,316を挿入するステップS92と、ダクト317を設置するステップS93と、熱伝導物質を加熱させるステップS94と、収容ボックス315,318の開口部を埋め込むよう液体状態の熱伝導物質を充填させるステップS95と、液体状態の熱伝導物質が巻回されたコイル312間の隙間に入り込むように収容ボックス315,318を振動させるステップS96と、液体状態の熱伝導物質が固体状態の熱伝導媒介体314になるように冷却させるステップS97と、永久磁石311を設置するステップS99とを含む。一方、反対となる記載がない限り、電磁石組立体31の製造方法において各ステップの実行順序は制限されず、一部のステップが省略され得ることを明らかにする。
【0086】
上述したように、たとえ限定された図面によって実施形態が説明されたが、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、前記記載から様々な修正及び変形が可能である。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順に実行されたり、及び/又は説明された構造、装置などの構成要素が説明された方法と異なる形態に結合又は組合わせられたり、他の構成要素又は均等物によって置換されても適切な結果を達成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13